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  • 特開-光源用カバー部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151397
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】光源用カバー部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231005BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20231005BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20231005BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
G02B5/20
F21V9/30
F21V3/08
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060984
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】愛須 淳平
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA18
(57)【要約】
【課題】内側の面に結露が生じるのを防止または抑制することができる光源用カバー部材を提供すること。
【解決手段】光源の出射側に設置される光源用カバー部材であって、主として樹脂材料で構成され、光透過性を有する基材と、前記基材の一方の面側に設けられ、入射する光の一部を赤外線に変換する波長変換材料を含む変換層と、を備え、前記変換層が前記光源側に位置する向きで設置されるものであり、前記変換層は、波長が変換された前記赤外線によって発熱することを特徴とする光源用カバー部材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の出射側に設置される光源用カバー部材であって、
主として樹脂材料で構成され、光透過性を有する基材と、
前記基材の一方の面側に設けられ、入射する光の一部を赤外線に変換する波長変換材料を含む変換層と、を備え、
前記変換層が前記光源側に位置する向きで設置されるものであり、
前記変換層は、波長が変換された前記赤外線によって発熱することを特徴とする光源用カバー部材。
【請求項2】
前記波長変換材料は、所定の波長の光を吸収することにより励起され、当該波長よりも長い波長の光を放出するダウンコンバージョン材料である請求項1に記載の光源用カバー部材。
【請求項3】
前記ダウンコンバージョン材料は、500nm以上800nm以下の波長域にピーク波長を有する光によって励起されるものである請求項1または2に記載の光源用カバー部材。
【請求項4】
前記波長変換材料は、無機材料で構成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光源用カバー部材。
【請求項5】
前記波長変換材料は、粒子状をなしている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光源用カバー部材。
【請求項6】
前記変換層中の前記波長変換材料の含有量は、0.01重量%以上50重量%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光源用カバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源用カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のヘッドライト等の光源用のカバー部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されているカバー部材は、光源からの光を透過する材料、例えば、樹脂材材料や、ガラス等で構成されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されているカバー部材では、外部環境によっては、カバー部材の内側に結露が生じることがある。このため、ヘッドライトの光の指向性が低下したり、ヘッドライトの故障を招いたりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2011/004798
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光源用カバー部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)~(6)の本発明により達成される。
(1) 光源の出射側に設置される光源用カバー部材であって、
主として樹脂材料で構成され、光透過性を有する基材と、
前記基材の一方の面側に設けられ、入射する光の一部を赤外線に変換する波長変換材料を含む変換層と、を備え、
前記変換層が前記光源側に位置する向きで設置されるものであり、
前記変換層は、波長が変換された前記赤外線によって発熱することを特徴とする光源用カバー部材。
【0007】
(2) 前記波長変換材料は、所定の波長の光を吸収することにより励起され、当該波長よりも長い波長の光を放出するダウンコンバージョン材料である上記(1)に記載の光源用カバー部材。
【0008】
(3) 前記ダウンコンバージョン材料は、500nm以上800nm以下の波長域にピーク波長を有する光によって励起されるものである上記(1)または(2)に記載の光源用カバー部材。
【0009】
(4) 前記波長変換材料は、無機材料で構成される上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光源用カバー部材。
【0010】
(5) 前記波長変換材料は、粒子状をなしている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光源用カバー部材。
【0011】
(6) 前記変換層中の前記波長変換材料の含有量は、0.01重量%以上50重量%以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光源用カバー部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内面に結露が生じるのを防止または抑制することができる光源用カバー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の光源用カバー部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の光源用カバー部材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の光源用カバー部材の断面図である。
【0016】
なお、図1では、上側を「上方」または「上」と言い、下側を「下方」または「下」とも言う。また、本明細書で参照する図面では、厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0017】
図1に示す光源用カバー部材1は、光源10の出射側に設置されるものであり、基材11と、耐候層12と、変換層13と、を備える。光源用カバー部材1では、変換層13、基材11および耐候層12の順で積層されている。また、光源用カバー部材1は、変換層13が光源10に臨む位置となるよう配置されて用いられる。すなわち、光源用カバー部材1は、変換層13が光源側に位置する向きで設置される。
【0018】
なお、光源10としては、特に限定されず、例えば、乗り物のヘッドライト、リアバンパー等に内蔵されるフォグランプ、コーナリングランプ、ブレーキランプや、スマートフォン、タブレット端末、時計、液晶表示装置等が備える照明装置や、信号機、電光掲示板、ディスプレイ等が備える信号装置等が挙げられる。
【0019】
(基材)
基材11は、主として樹脂材料で構成される。
【0020】
樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、これらの中でもポリカーボネートであるのが好ましい。
【0021】
ポリカーボネートとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネートであることが好ましい。芳香族系ポリカーボネートは、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、光源用カバー部材1の強度をより優れたものとすることができる。
【0022】
この芳香族系ポリカーボネートは、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
【0023】
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
【0024】
【化1】
(式(1)中、Xは、炭素数1~18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
【0025】
なお、前記式(1)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’-(ペンタン-2,2-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ブタン-2,2-ジイル)ジフェノール、1,1’-(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2-シクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3-ビスシクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
特に、ポリカーボネートとしては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネートを主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネートを用いることにより、光源用カバー部材1は、さらに優れた強度を発揮するものとなる。
【0027】
このようなポリカーボネートの平均分子量は、20000以上30000以下であるのが好ましく、23000以上28000以下であるのがより好ましく、24000以上27500以下であるのがさらに好ましい。
【0028】
これにより、光源用カバー部材1の強度を十分に高めることができる。また、ポリカーボネートの溶融状態において、流動性を十分に高めることができる。これにより、光源用カバー部材1を、例えば、押出し成形により製造する際、溶融状態のポリカーボネートと紫外線吸収剤等の添加物と、を十分に混合した状態で押出し成形を行うことができる。よって、成形後に添加物が過剰に凝集した状態となるのを防止することができる。
【0029】
また、ポリカーボネートは、JIS K7210に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が、3g/10min以上30g/10min以下であるのが好ましく、15g/10min以上25g/10min以下であるのがより好ましい。これにより、溶融状態において、ポリカーボネートの流動性を十分に高めることができる。よって、例えば、押出し成形により光源用カバー部材1を製造する際、溶融状態のポリカーボネートと添加物とを十分に混合した状態で押出し成形を行うことができる。
【0030】
また、ポリカーボネートは、吸水率が、0.02%以上0.2%以下のものであるのが好ましく、0.04%以上0.15%以下のものであるのがより好ましい。これにより、溶融状態のポリカーボネートと添加物とを十分に混合した状態で押出し成形を行うことができる。
【0031】
なお、本明細書中での吸水率は、アクアトラック3E(ブラベンダー社製)にて測定した値とされる。
【0032】
また、基材11中のポリカーボネートの含有量は、87重量%以上99.949重量%以下であるのが好ましく、90重量%以上99.87重量%以下であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果をより確実に発揮することができる。
【0033】
基材11の厚さは、特に限定されないが、1mm以上15mm以下であることが好ましく、1.5mm以上5mm以下であるのがより好ましい。これにより、基材11の強度を十分に高めることができるとともに、変換層13の熱を、基材11を介して耐候層12に伝達しやすくすることができる。
【0034】
耐候層12は、主材としての樹脂材料と、紫外線吸収剤と、を含む。これにより、光源用カバー部材1、ひいては光源用カバー部材1でカバーすべき光源10が紫外線により劣化するのを的確に抑制または防止することができる。
【0035】
樹脂材料としては、特に限定されないが、基材11の主材として列挙した材料が挙げられる。また、基材11の樹脂材料と、耐候層12の樹脂材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
この紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、波長が100nm以上400nm以下の光を吸収する光吸収剤を含むことが好ましい。これにより、紫外線や、可視光のうち、比較的波長が短い光(波長が400nm以下の光)の透過を抑制することができる。そのため、紫外線吸収剤としての機能を確実に発揮させることができる。
【0037】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、トリアジン系化合物であることが好ましい。これにより、耐候層12の紫外線による劣化をより確実に防止または抑制することができ、光源用カバー部材1の耐候性をより高めることができる。
【0038】
トリアジン系化合物としては、例えば、2-モノ(ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン化合物や2,4-ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン化合物、2,4,6-トリス(ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン化合物が挙げられ、具体的には、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシエトキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-エトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-プロポキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-(1-(2-エトキシヘキシルオキシ)-1-オキソプロパン-2-イルオキシ)フェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ブトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロポキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-(1-(2-エトキシヘキシルオキシ)-1-オキソプロパン-2-イルオキシ)フェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。また、トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、「チヌビン1577」「チヌビン460」「チヌビン477」(BASFジャパン製)「アデカスタブLA-F70」(ADEKA製)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
このような紫外線吸収剤を配合することにより、耐候層12に入射する光のうち、波長が100nm以上400nm以下の光を耐候層12において確実に吸収することができる。
【0040】
また、耐候層12が紫外線吸収剤を含有する場合、耐候層12における紫外線吸収剤の含有率は、1.0重量%以上10重量%以下であるのが好ましく、3.0重量%以上6.0重量%以下であることがより好ましい。耐候層12中における紫外線吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、紫外線吸収剤の種類によっては、耐候層12の耐候性が低下するおそれがある。また、耐候層12中における紫外線吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の耐候性の向上は見られず、耐候層12の基材11に対する密着性を損ねるおそれがある。
【0041】
なお、耐候層12には、色素が含まれていてもよい。この色素としては、特に限定されないが、例えば、顔料、染料等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。
【0042】
顔料としては、特に限定されないが、例えば、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、ジニトロアニリンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、パーマネントレッド、ナフトールレッド、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、ベンズイミダゾロンブラウン等のアゾ系顔料、アントラピリミジンイエロー、アントラキノニルレッド等のアントラキノン系顔料、銅アゾメチンイエロー等のアゾメチン系顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン系顔料、ニッケルジオキシムイエロー等のニトロソ系顔料、ペリノンオレンジ等のペリノン系顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレット、キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料、ジケトピロロピロールレッド等のピロロピロール系顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料のような有機顔料、カーボンブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、アイボリーブラック、黒鉛、フラーレン等の炭素系顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸塩系顔料、カドミウムイエロー、カドミウムリトポンイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリトポンオレンジ、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリトポンレッド、硫化等の硫化物系顔料、オーカー、チタンイエロー、チタンバリウムニッケルイエロー、べんがら、鉛丹、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、酸化クロム、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック等の酸化物系顔料、ビリジアン等の水酸化物系顔料、紺青等のフェロシアン化物系顔料、群青等のケイ酸塩系顔料、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等のリン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セレン化カドミウム等)のような無機顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
染料としては、特に限定されないが、例えば、金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
耐候層12の厚さは、特に限定されないが、1.0μm以上100μm以下であることが好ましく、5.0μm以上70μm以下であるのがより好ましい。これにより、耐候層12の強度を十分に高めることができるとともに、光源用カバー部材1を曲面形状に成型した際に耐候層12にクラックが生じてしまうのを防止することができる。
【0045】
なお、耐候層12は、省略されていてもよい。この場合、上述した紫外線吸収剤等の添加物は、基材11に含まれることが好ましい。
【0046】
変換層13は、主材としての樹脂材料と、入射する光の一部を赤外線に変換する波長変換材料と、を含む。これにより、光源用カバー部材1に入射した光の一部を赤外線に変換することができる。よって、変換層13が発熱することができ、光源10側の面に結露が生じるのを防止または抑制することができる。また、変換層13が発熱することにより、基材11および耐候層12にも熱が伝達される。
【0047】
変換層13に含まれる樹脂材料としては、特に限定されないが、基材11の主材として列挙した材料が挙げられる。また、基材11の樹脂材料と、変換層13の樹脂材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0048】
この波長変換材料としては、光源10の種類に応じて適宜選択して用いることができるが波長変換材料は、所定の波長の光を吸収することにより励起され、当該波長よりも長い波長(800nm~2000nm)域にピーク波長をもつ光を放出するダウンコンバージョン材料であることが好ましい。これにより、例えば、光源10として、LED光源等の一般的なものを用いた場合、変換層13が赤外線を放出することができる。
【0049】
ダウンコンバージョン材料は、500nm以上800nm以下の波長域にピーク波長を有する光によって励起されるものである。これにより、例えば、光源10として、LED光源等の一般的なものを用いた場合、変換層13が赤外線を放出することができる。
【0050】
ダウンコンバージョン材料としては、例えば、CaWO:Nd、CdS:Cu、YVO:Nd等が挙げられる。
【0051】
また、波長変換材料は、有機材料で構成されたものであってもよいが、無機物質を含む材料、すなわち、無機材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、変換層13の耐久性を向上させることができる。
【0052】
波長変換材料は、粒子状をなしているのが好ましい。これにより、波長変換材料の取り扱いが容易となる。また、波長変換材料を溶解するための特殊な溶媒を用いるのを省略することができる。
【0053】
波長変換材料が粒子状をなしている場合、当該粒子の平均粒径は、10nm以上100nm以下であるのが好ましく、15nm以上50nm以下であるのがより好ましい。これにより、波長変換材料の発光効率をより優れたものとすることができる。
【0054】
波長変換材料が粒子状をなしている場合、当該粒子の形状は、特に限定されず、球状、鱗片状等、いかなる形状であってもよい。
【0055】
変換層13中の波長変換材料の含有量は、0.01重量%以上50重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上25重量%以下であることがより好ましい。これにより、本発明の効果をより確実に発揮することができる。変換層13中の波長変換材料の含有量が少なすぎる場合、本発明の効果が薄れてしまうおそれがある。一方、変換層13中の波長変換材料の含有量が多すぎる場合、変換層13の強度が低下してしまうおそれがある。
【0056】
変換層13の厚さは、特に限定されないが、1.0μm以上100μm以下であることが好ましく、5.0μm以上70μm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の効果をより確実に発揮することができるとともに、変換層13の強度を十分に高めることができる。
【0057】
以上説明したように、光源用カバー部材1は、光源10の出射側に設置されるものであって、主として樹脂材料で構成され、光透過性を有する基材11と、基材11の一方の面側に設けられ、入射する光の一部を赤外線に変換する波長変換材料を含む変換層13と、を備える。また、光源用カバー部材1は、変換層13が光源側に位置する向きで設置されるものであり、変換層13は、波長が変換された赤外線によって発熱するものである。
【0058】
このような本発明によれば、光源10から光源用カバー部材1に入射した光の一部を赤外線に変換することができる。よって、変換層13が発熱することができ、光源10側の面に結露が生じるのを防止または抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述したものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0060】
例えば、本発明の光源用カバー部材を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【0061】
また、本発明の光源用カバー部材は、前述した構成に加え、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 光源用カバー部材
10 光源
11 基材
12 耐候層
13 変換層
図1