(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151400
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/86 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A01D34/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060989
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】河原 文雄
(72)【発明者】
【氏名】藤元 隆史
(72)【発明者】
【氏名】頭司 宏明
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA06
2B083CA07
2B083HA59
(57)【要約】
【課題】法面の草を刈り取る刈取り部の角度調整を簡略化すること。
【解決手段】畦の上を走行しながら草を刈る草刈り機であって、走行部に連結された機体と、畦の法面の草を刈り取る刈取り部と、機体に支持される支持部と、支持部に対し、刈取り部を回動可能に支持させる取付部と、支持部に対する刈取り部の回動角度を調整するための角度調整機構と、を備え、角度調整機構は、支持部及び刈取り部の一方に設けられた被係合部と、被係合部に係合し、前記刈取り部が草を刈る軌跡を含む面である刈面の水平面に対する角度を所定の角度に保持する係合部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦の上を走行しながら草を刈る草刈り機であって、
走行部に連結された機体と、
前記畦の法面の草を刈り取る刈取り部と、
前記機体に支持される支持部と、
前記支持部に対し、前記刈取り部を回動可能に支持させる取付部と、
前記支持部に対する前記刈取り部の回動角度を調整するための角度調整機構と、を備え、
前記角度調整機構は、前記支持部及び前記刈取り部の一方に設けられた被係合部と、
前記被係合部に係合し、前記刈取り部が草を刈る軌跡を含む面である刈面の水平面に対する角度を所定の角度に保持する係合部と、
を有する草刈り機。
【請求項2】
前記被係合部は、前記支持部に設けられ、
前記係合部は、複数の凹部を含む長溝を有し、前記刈取り部に連結され、
前記複数の凹部のうち、前記被係合部が係合される凹部の位置に応じて、前記刈面の水平面に対する角度を調整可能である、
請求項1に記載の草刈り機。
【請求項3】
前記被係合部は、前記刈取り部に設けられ、
前記係合部は、複数の凹部を有し、前記支持部に連結され、
前記複数の凹部のうち、前記被係合部が係合される凹部の位置に応じて、前記刈面の水平面に対する角度を調整可能である、
請求項1に記載の草刈り機。
【請求項4】
前記刈取り部は、前記走行部の走行する方向に対して左側及び右側のそれぞれに取り付けられ、
前記左側及び右側のそれぞれに取り付けられた刈取り部の前記刈面の水平面に対する角度は、互いに独立に調整可能である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の草刈り機。
【請求項5】
前記係合部に対し、前記被係合部を相対的に付勢する付勢手段をさらに備えた
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り機に関する。特に、自走式の草刈り機の格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畦の上面(天面)又は法面に生えた雑草等を除去するため、草刈り機を用いて、定期的に畦の草刈り作業を行う。特許文献1には、無線通信による遠隔操作によって畦の上を走行しながら、天面及び法面の草刈り作業を行う自走式の草刈り機が開示されている。特許文献1に記載された草刈り機は、機体前方部に水平刈刃及び傾斜刈刃を有する刈刃部を備え、走行しながら、水平刈刃を用いて畦の天面に生えた雑草等を除去し、傾斜刈刃を用いて畦の法面に生えた雑草等を除去可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された草刈り機は、機体前方部に、法面の草を刈り取る傾斜刈刃を備えている。特許文献1に記載された草刈り機において、傾斜刈刃の傾斜角度を調整するためには、固定アームに設けられた複数の取り付け孔に対して、第1アームに設けられる回動ピンを取り付ける前記取り付け孔の位置、及び第2アームに設けられる回動ピンを取り付ける前記取り付け孔の位置を変更しなければならず、前記複数の取り付け孔に対して、複数の回動ピンの差し替えが必要になるため、調整が煩雑になり、かつ調整に時間を要するという問題がある。
【0005】
また、例えば、法面の草を刈り取る刈取り部がワイヤーを用いて支持される農作業機において、農作業機が凸凹な法面の草を刈る場合、刈取り部のワイヤーのたわみによって、農作業機は凸凹な法面に追随するが、農作業機の使用頻度、又は、著しい凸凹の高低差における作業の繰り返しにおいては、ワイヤーがたわむこと及びワイヤーが張ることが頻繁に繰り返されるため、ワイヤーが損傷するおそれがあり、ワイヤーの損傷によって刈取り部又は農作業機が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明の一実施形態の課題は、法面の草を刈り取る刈取り部の角度調整を簡略化することにある。また、本発明の一実施形態の課題の一つは、刈取り部の損傷を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る草刈り機は、畦の上を走行しながら草を刈る草刈り機であって、走行部に連結された機体と、前記畦の法面の草を刈り取る刈取り部と、前記機体に支持される支持部と、前記支持部に対し、前記刈取り部を回動可能に支持させる取付部と、前記支持部に対する前記刈取り部の回動角度を調整するための角度調整機構と、を備え、前記角度調整機構は、前記支持部及び前記刈取り部の一方に設けられた被係合部と、前記被係合部に係合し、前記刈取り部が草を刈る軌跡を含む面である刈面の水平面に対する角度を所定の角度に保持する係合部と、を有する。
【0008】
前記被係合部は、前記支持部に設けられ、前記係合部は、複数の凹部を含む長溝を有し、前記刈取り部に連結され、前記複数の凹部のうち、前記被係合部が係合される凹部の位置に応じて、前記刈取り部が草を刈る軌跡を含む面である刈面の水平面に対する角度を調整可能であってよい。
【0009】
前記被係合部は、前記刈取り部に設けられ、前記係合部は、複数の凹部を有し、前記支持部に連結され、前記複数の凹部のうち、前記被係合部が係合される凹部の位置に応じて、前記刈面の水平面に対する角度を調整可能であってよい。
【0010】
前記刈取り部は、前記走行部の走行する方向に対して左側及び右側のそれぞれに取り付けられ、前記左側及び右側のそれぞれに取り付けられた刈取り部の前記刈面の水平面に対する角度は、互いに独立に調整可能であってよい。
【0011】
前記係合部に対し、前記被係合部を相対的に付勢する付勢手段をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、法面の草を刈り取る刈取り部の角度調整を簡略化可能である。また、本発明の一実施形態によれば、刈取り部の損傷を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る草刈り機の構成を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る草刈り機の構成を示す左側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る法面刈取り部の構成を示す背面図である。
【
図4】第1実施形態に係る草刈り機の構成を示す左側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る草刈り機の構成を示す平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る草刈り機の構成を示す平面図である。
【
図12】第2実施形態に係る草刈り機の構成を示す左側面図である。
【
図13】第3実施形態に係る草刈り機の構成を示す平面図である。
【
図14】(A)、(B)及び(C)は、第3実施形態に係る法面刈取り部の左右方向の位置の調整を説明するための斜視図である。
【
図15】第3実施形態に係る法面刈取り部の構成を示す背面図である。
【
図16】第3実施形態に係る法面刈取り部の構成を示す背面図である。
【
図17】第3実施形態に係る草刈り機の構成を示す左側面図である。
【
図18】第3実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための左側面図である。
【
図19】第3実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための背面図である。
【
図20】第3実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための左側面図である。
【
図21】第3実施形態に係る法面刈取り部の作業状態から格納状態への遷移を説明するための背面図である。
【
図22】
図14(B)又は(C)の右側法面刈取り部の右方向の位置の調整を説明するための斜視図の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の草刈り機について説明する。但し、本発明の草刈り機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。また、進行方向に対する左右の位置に同一又は類似の部材が設けられている場合、当該部材の符号の後にL(左側の部材)又はR(右側の部材)を付する。左右の部材を特に区別しない場合は、L及びRを省略して説明する場合がある。
【0015】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は、草刈り機が畦に対して草刈り作業を行いながら進行する状態において、畦から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は、「上」とは反対の方向を示す。また、説明の便宜上、「前」は、走行部に対して天面刈取り部が位置する方向を示し、「後」は、「前」とは反対の方向を示す。また、「左」又は「右」は、草刈り機の「後」から草刈り機を見た背面視に対する「左」又は「右」を示す。
【0016】
また、平面視における草刈り機の中心線(進行方向に平行で、かつ、草刈り機の左右方向の中心を通る線)を基準としたとき、相対的に、中心線に近い側を「内側」と呼び、中心線から遠い側を「外側」と呼ぶ。
【0017】
<第1実施形態>
[草刈り機100の構成]
草刈り機100は、走行しながら畦の草刈り作業を行う自走式の草刈り機である。具体的には、リモートコントローラにより遠隔制御され、畦の上を自走して草刈り作業を行う草刈り機である。
【0018】
図1~
図3は、法面刈取り部80の作業状態を示す図であり、
図4は法面刈取り部80の格納状態を示す図である。
図1に示される草刈り機100の法面刈取り部80の状態は、水平面203(
図4参照)に平行又は略平行な位置に調整され、かつ、左右方向の長さ(幅)を最大になる位置に調整された状態である。
図3に示される草刈り機100の法面刈取り部80の状態は、畦200の法面202の傾斜角(角度α)に応じて、支持部材86L及び86Rを含む面205に対する角度(角度γ)を調整された状態である。
図4に示される草刈り機100の状態は、
図2に示される状態から、連結部材90が接続部材88に対して反時計回りに90度又は略90度回動し、さらに左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる刃部82Rが対向した状態である。
【0019】
図1又は
図2に示すように、草刈り機100は、機体10、走行部20、天面刈取り部30及び法面刈取り部80を有する刈取り部120、制御部40、リンク機構50L及び50R、エンジン60、オルタネータ70、及びバッテリ41を含む。各部の駆動は制御部40により制御される。草刈り機100は、走行部20で自走しながら、天面刈取り部30及び法面刈取り部80を駆動制御することで、1回の走行で畦200の天面201及び法面202の草刈り作業を行うことができるようになっている(
図3参照)。
【0020】
機体10は、草刈り機100の骨格をなすフレームであり、機体本体14と、機体本体14に固定され、前方に延びる支持プレート15とを含む。支持プレート15には、天面刈取り部30を取り付けるための取付部材11L及び11Rが設けられている。また、機体本体14の後方には、法面刈取り部80を連結するための法面刈取り部取付部材12が設けられている。機体10は、金属材料(例えば、鋼材、アルミニウム材)、繊維強化プラスチック(FRP)材料等を用いて構成することができるが、この例に限られるものではない。
【0021】
走行部20は、左右一対のクローラ20L及び20Rを有し、草刈り機100の走行手段として機能する。背面視において、クローラ20Lは、草刈り機100の進行方向に向かって左側の走行手段であり、クローラ20Rは、右側の走行手段である。なお、クローラ20Rの構造は、クローラ20Lと同じであるため、ここではクローラ20Lに着目して説明する。
【0022】
図2に示すように、クローラ20Lは、クローラベルト21L、駆動輪22L、従動輪23L、クローラフレーム24L、及び駆動部54Lを含む。クローラベルト21Lは、駆動輪22L及び従動輪23Lに架け渡され、駆動輪22Lの回転に従って回転する。駆動部54Lは、オルタネータ70及びバッテリ41から供給される電力により駆動される。駆動輪22Lは、駆動部54Lから伝達された動力により回転する。駆動輪22Lの回転による動力は、クローラベルト21Lを介して従動輪23Lに伝達される。クローラフレーム24Lは、駆動輪22L及び従動輪23Lをそれぞれ回転可能に支持する。本実施形態では、クローラベルト21Lは、弾性部材(具体的にはゴム)で構成され、複数のラグ部(突出部)を有し、駆動部54Lとして、モータが用いられている。
【0023】
図1、
図2に示すように、刈取り部120は、走行部20に対して前方に設けられる天面刈取り部30、及び走行部20に対して後方に設けられる法面刈取り部80を有する。法面刈取り部80は左右一対の左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを有する。詳細は後述するが、天面刈取り部30は、機体10が進行する方向(前方)に設けられ、畦(の天面)に生えた雑草等の草を刈る作業(草刈り作業)を行う草刈り手段として機能する。また、天面刈取り部30は、左右方向(正面視)において左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの間に備えられる。なお、草刈り機100において、法面刈取り部80が走行部20に対して前方に設けられ、天面刈取り部30が走行部20に対して後方に設けられてもよく、このとき、左、及び右は、前方から見た場合の左、及び右に対応する。
【0024】
制御部40は、機体10の上方に備えられ、走行部20、刈取り部120、及びバッテリ41を制御する機能を有する。制御部40は、例えば、演算装置、メモリ、及び通信回路等を備えた電子回路基板を有している。例えば、メモリには、草刈り機100の各部を各種制御するための制御プログラムが記憶されており、演算装置はメモリから制御プログラムを読み出し、制御プログラムに基づき、走行部20、天面刈取り部30及び法面刈取り部80を制御する。
【0025】
リンク機構50L及び50Rは、機体10と走行部20とを連結し、機体10と走行部20との間の位置関係を相対的に変化させる機能を有する。リンク機構50Lは、草刈り機100の進行方向に向かって左側のリンク機構であり、クローラ20Lに連結される。リンク機構50Rは、草刈り機100の進行方向に向かって右側のリンク機構であり、クローラ20Rに連結される。
【0026】
リンク機構50Lは、リンクアーム51L、リンクアーム52L及び電動シリンダ53Lを含む。リンク機構50Rは、リンクアーム51R、リンクアーム52R及び電動シリンダ53Rを含む。なお、リンク機構50Rの構造は、リンク機構50Lと同じであるため、ここではリンク機構50Lに着目して説明する。
【0027】
リンク機構50Lにおいて、リンクアーム51Lは、一端がクローラフレーム24Lに回動可能に連結され、他端が機体10に回動可能に連結される。なお、リンクアーム51Lと機体10とは、連結軸(図示省略)を介して接続されており、連結軸には、電動シリンダ53Lが回動可能に連結されている。リンクアーム52Lは、一端がクローラフレーム24Lに連結され、他端が機体10に連結される。リンクアーム51L、リンクアーム52L、クローラフレーム24L及び機体10によって第1の平行リンクが構成される。草刈り機100は、地面の凹凸に応じて、電動シリンダ53Lを伸縮させて第1の平行リンクを動作させることにより、機体10と走行部20との間の上下の位置関係を変化させ、機体10を水平に保ちながら走行可能に構成されている。
【0028】
図2又は
図4に示すように、エンジン60は、機体10の上方に備えられる。エンジン60は、天面刈取り部30に含まれる刃部32L及び32Rを駆動する駆動部33L及び33Rの動力源、及びオルタネータ70の動力源として機能する。なお、エンジン60で生成された動力は、ベルト等で構成された動力伝達手段(図示省略)を介して、駆動部33L及び33R、並びに、別途設けたオルタネータ70に伝達される。動力伝達手段は、オルタネータ70へ動力を伝達するための第1の動力伝達手段(図示省略)と、天面刈取り部30へ動力を伝達するための第2の動力伝達手段(図示省略)と、を含んでいる。
【0029】
オルタネータ70は、機体10の上方に備えられている。オルタネータ70及びエンジン60には、第1の動力伝達手段のベルト(図示省略)が架け渡されている。ベルトを介してエンジンの動力が伝達されることにより、オルタネータ70は電力を生成する。オルタネータ70は、生成した電力をバッテリ41に、供給すると共に、法面刈取り部80に含まれる刃部82L及び82Rを駆動する駆動部83L及び83R(
図1及び
図3)、及び走行部20を駆動する駆動部54L及び54R(
図3)の動力源として機能する。また、オルタネータ70によって生成された電力は、ワイヤーハーネス、ハーネスケーブルなどと呼ばれる電力と制御信号(電気信号)の少なくとも一方を供給する電力供給手段(図示省略)を介して、駆動部83L及び83R、駆動部54L及び54R、駆動部33L及び33R、並びに、バッテリ41に供給される。
【0030】
なお、オルタネータ70には、発電制御を行うための発電制御回路(図示省略)が搭載されている。草刈り機100には、バッテリ電圧を検知するセンサが設けられており、センサによって検知された結果を発電制御回路がモニタリングして、その発電状態をオルタネータ70自身が制御するようになっている。すなわち、発電制御回路は、バッテリ電圧をモニタリングしており、バッテリ電圧が所定値を下回れば、電力を生成して給電状態となり、バッテリ電圧が所定値を上回れば給電停止となるように、オルタネータ70を制御する。
【0031】
バッテリ41は、オルタネータ70の後方に位置しており、機体10の上方、かつ、エンジン60の後方に設けられる。バッテリ41は、オルタネータ70で生成された電力を蓄電する。バッテリ41は、蓄電した電力を、法面刈取り部80に含まれる刃部82L及び82Rを駆動する駆動部83L及び83R(
図1及び
図2)、及び走行部20を前後に駆動する駆動部54L及び54R(
図3)に供給する動力源として機能する。また、バッテリ41は、蓄電した電力を、機体10と走行部20の間の上下の位置関係を変化させるリンク機構50L及び50Rを動作させるための電動シリンダ53L及び53Rに供給する動力源として機能する。なお、バッテリ41に蓄電された電力は、オルタネータ70と同様の電力供給手段を介して、駆動部83L及び83R、駆動部54L及び54R、及び電動シリンダ53L及び53Rに供給される。
【0032】
なお、草刈り機100は、カバー部材を含んでよい。カバー部材は、バッテリ41、制御部40、オルタネータ70、及びエンジン60を覆い、保護する役割を有する。また、カバー部材は、バッテリ41、制御部40、オルタネータ70、及びエンジン60の一部を覆う構成としてもよい。
【0033】
以下、
図1~
図4を用いて、天面刈取り部30の構成及び法面刈取り部80の構成を詳細に説明する。
【0034】
[天面刈取り部30の構成]
はじめに、天面刈取り部30の構成を説明する。天面刈取り部30は、取付部材11を介して支持プレート15に吊り下げられるように支持されている(例えば、
図2参照)。また、
図1~
図4に示すように、天面刈取り部30は、ケーシング31、左右に並んで配置された2つの刃部32L及び32R、並びに駆動部33L及び33Rを含む。ケーシング31は、刃部32L及び32Rの上方及び側方を覆い、土、小石、草などの周囲への飛散を防ぐ。刃部32R、及び駆動部33Rの構造は、刃部32L、及び駆動部33Lの構造と同じであるため、ここでは刃部32L、及び駆動部33Lに着目して説明する。
【0035】
図3に示すように、刃部32Lは、複数の草刈り刃32Laと、複数の草刈り刃32Laを装着する刈刃装着部32Lbと、を有している。刈刃装着部32Lbは、駆動部33Lの回転軸32Lcに接続され、エンジン60からの動力により回転する。刈刃装着部32Lbの回転により、複数の草刈り刃32Laも回転し、刃部32Lは草を刈るように構成されている。駆動部33Lは、ベルト(図示省略)を含む第2の動力伝達手段(図示省略)を有し、エンジン60からの動力を、刈刃装着部32Lbを介して複数の草刈り刃32Laに伝達する。第2の動力伝達手段には、(電動)クラッチ(図示省略)が組み込まれており、制御部40がクラッチを制御することで、天面刈取り部30にエンジン60の動力を伝達するか否かを制御できるように構成されている。本実施形態では、草刈り刃を刈刃と呼ぶ。
【0036】
なお、本実施形態では、刃部32L及び32Rは、機体10の中心線110に対して、左右対称又は左右略対称に備えられ、静止時において相互に干渉しないように位相ずれして配設され、第2の動力伝達手段は、ベルトの回転力を分岐して、駆動部33L及び33Rの両方に伝達する複数のギヤ(図示省略)を有している。複数のギヤは、ベルトを介して伝達されるエンジン60の駆動力が、駆動部33L及び33Rの両方に(略)均等に伝達されるように設計されている。したがって、刃部32Lの複数の草刈り刃32La及び刃部32Rの複数の草刈り刃32Raは同じタイミングかつ同じ速度で回転する。
【0037】
本実施形態に係る草刈り機100では、天面刈取り部30の刃部32を回転させるための動力源として、エンジン60を使用する例を示した。しかし、ここで説明した例に限らず、刃部32L及び32Rを回転させるための動力源として、モータを用いることも可能である。この場合、制御部40を用いて、駆動部33L及び33Rを独立に制御し、刃部32L及び32Rを独立に駆動する構成としてもよい。
【0038】
草刈り機100では、天面刈取り部30の刃部32L及び32Rは回転する複数の草刈り刃32La及32Raで構成される例を示した。しかし、ここで説明した例に限らず、刃部32L及び32Rは、山形の複数の刃を備えた2枚の刃状部材を、刃状部材の山形の複数の刃をずらして重ねて構成され、2枚の刃状部材のうち一方は左に移動したのちに右に移動し、他方は右に移動したのちに左に移動する(すなわち、左右の互いに異なる方向に移動する)ことを繰り返す、又は、2枚の刃状部材は互いに異なる回転方向に回転することで草刈り機100が草を刈る機能を有してもよい。この場合の刃部32L及び32Rは、例えば、バリカンに備えられる刃部と同様の刃部である。
【0039】
[法面刈取り部80の構成]
次に、法面刈取り部80の構成を詳細に説明する。
図1に示すように、機体10の後方には、中心線110を通る位置に、法面刈取り部取付部材12が固定されており、法面刈取り部80は、法面刈取り部取付部材12を介して機体本体14に接続され、支持されている。法面刈取り部80は、左右一対の左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを含んでいる。
【0040】
詳細は後述するが、草刈り機100の作業状態において、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rは、複数の草刈り刃82La及び82Raを水平な状態から畦の法面の傾斜に合わせた角度に角度調整可能に構成されており、天面刈取り部30と共に平面刈りができるだけではなく、法面に生えた雑草等の草を刈ることができるように構成されている。また、草刈り機100は、作業状態から格納状態に遷移するとき、草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rは、一旦後方を向いた状態となった後、中心線に対して対向するように(中心側を向くように)構成されている。
【0041】
また、詳細は後述するが、草刈り機100は、法面刈取り部80を格納状態に折り畳むための折畳み機構150を有しており、草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rを、下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から後方を向いた状態に回動させた後、中心線に対して対向させ、作業状態から格納状態に遷移可能に構成されている。
【0042】
本実施形態では、刈面204L又は204Rは、法面刈取り部80(左側法面刈取り部80Lの草刈り刃82La及び右側法面刈取り部80Rの草刈り刃82Ra)が草を刈る軌跡を含む面である。例えば、本実施形態のような回転する刃部の場合、刈面204L又は204Rは刃部の回転軌跡を含む面であり、上述したようなバリカンのような互いに異なる左右方向に往復する2枚の刃状部材を含む刃部の場合、刈面204L又は204Rは刃部の左右方向に移動する移動軌跡を含む面である。
【0043】
図1、
図2又は
図4に示すように、法面刈取り部80は、機体本体14に連結する接続部材88、接続部材88に回動可能に支持される連結部材90、連結部材90に固定され、作業状態において連結部材90から後方に延びるレバー96、連結部材90から左右に延び、連結部材90に支持される左右一対の支持部材86L及び86R、それぞれに刃部を有する左右一対の左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80R、左側法面刈取り部80L(草刈り刃82La)及び右側法面刈取り部80R(草刈り刃82Ra)の支持部材86L及び86Rを含む面205に対する角度(角度γ)を調整するために設けられた左右一対の角度調整機構160L及び160R、並びに左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを作業状態から格納状態に移動させるための折畳み機構150を有する。なお、本実施形態では、連結部材90、レバー96、支持部材86L及び86Rを含めて、連結部と呼ぶ場合がある。
【0044】
図2又は
図4に示すように、接続部材88は、連結部材90を介して左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを支持している。接続部材88の前部は、機体本体14の法面刈取り部取付部材12に対して挿脱可能に構成される。接続部材88の後部には突出部88aが設けられている。突出部88aには、ピン状部材88bを挿通させる挿通孔が形成されている。ピン状部材88bは、当該挿通孔とアーム部90bの他端に形成された挿通孔とに挿通され、接続部材88及び連結部材90を連結する。突出部88aは、ピン状部材88bの中心点を回動支点(中心軸を回動軸)として、連結部材90(アーム部90b)を接続部材88に対して回動自在に支持している。突出部88aの後端88cは、連結部材90に設けられた後述の被係合部材90aに当接して、連結部材90の下限位置を制限する部材として機能し、下方制限部と呼ばれる場合がある。なお、本実施形態では、接続部材88、法面刈取り部取付部材12、及び突出部88aを含めて接続部と呼ぶ場合がある。
【0045】
連結部材90は、前側の一端(前端)にピン状部材88bを挿通する挿通孔が設けられたアーム部90bと、アーム部90bの後側の一端(後端)に設けられ、支持部材86L及び86Rを取り付けるための取付部材90cとを有している。アーム部90bには、突出部88aの後端88cと係合するピン状の被係合部材90aが凸設されている。アーム部90bの後部には、レバー96が接続されている。取付部材90cは、回動軸170L及び170Rを中心として、支持部材86L及び86Rをそれぞれ回動可能に支持している。したがって、草刈り作業中に、左側法面刈取り部80L(草刈り刃82La)、右側法面刈取り部80R(草刈り刃82Ra)が石等の凹凸により地面から力を受けると、回動軸170L及び170Rを回動支点(中心軸を回動軸)に、支持部材86L、86Rが上方に回動し、地面の凹凸に左側法面刈取り部80L、右側法面刈取り部80Rが追従するように構成されている。また、取付部材90cには、支持部材86L及び86Rの下方への回動をそれぞれ制限する下方制限ピン171L及び171Rが左右に設けられている。下方制限ピン171L及び171Rは支持部材86L及び86Rの下端に当接し、支持部材86L及び86Rの下方への回動を制限するものであり、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rと地面との距離を所定の距離に保持する機能を有する。また、連結部材90は、後述の折畳み機構150の第1折畳み部材93と、第2折畳み部材94とを介して、接続部材88の突出部88aに挿通された係合部材取付ピン88dに連結されている。アーム部90bの前端と後端との間であって、被係合部材90aの後方には、第2折畳み部材取付ピン93bを挿通する挿通孔が形成されている。
【0046】
なお、本実施形態では、接続部材88に対する連結部材90(アーム部90b)の回動角度を検出するために、ポテンショメータ等の角度検出手段(図示は省略)が設けられている。そして、連結部材90が上方に回動して、接続部材88との角度が所定の角度以上となったときには、制御部40は、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの草刈り刃82La、82Raがモータにより回転駆動しないように、モータを電気的に遮断し、モータへの電力が供給されないように制御する。
【0047】
図1及び
図3に示すように、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rは、それぞれ、ケーシング81L及び81R、刃部82L及び82R、並びに駆動部83L及び83Rを含む。刃部82L及び刃部82Rは、天面刈取り部30の刃部32L及び32Rと同様に、複数の草刈り刃82La及び82Ra、刈刃装着部82Lb及び82Rb、及び回転軸82Lc及び82Rcで構成された部位であり、複数の草刈り刃82La及び82Raが回転することにより畦に生えた草を刈る。また、刃部82L及び刃部82Rは、天面刈取り部30の刃部32L及び32Rと同様に、山形の複数の刃を備えた2枚の刃状部材を、刃状部材の山形の複数の刃をずらして重ねて構成され、2枚の刃状部材が互いに異なる左右に往復する、又は、2枚の刃状部材が互いに異なる回転方向に回転することで草刈り機100が草を刈る機能を有してもよい。なお、右側法面刈取り部80Rの構造は、左側法面刈取り部80Lと同じであるため、ここでは左側法面刈取り部80Lに着目して説明する。
【0048】
図2に示すように、左側法面刈取り部80Lにおいて、ケーシング81Lは、刃部82Lを覆い、天面刈取り部30のケーシング31と同様に、土、小石、草などの周囲への飛散を防ぐ。なお、
図3に示すように、ケーシング81Lには、後述の角度調整機構160Lのロックプレート84Lとの間でかけ渡されるばね97Lの一端が連結されている。また、ケーシング81Lには、支持部材86Lを移動可能に構成されたスライダ85Lと連結される一対の支持部材89Lが設けられている。ケーシング81Lは、ばね97Lを介してロックプレート84Lに連結され、当該支持部材89Lを介してスライダ85Lに連結されている。その結果、左側法面刈取り部80Lは、支持部材86Lに支持される。また、ケーシング81Lには、左側法面刈取り部80Lを角度調整する際の把持部となる取っ手140Lが設けられている。また、駆動部83Lは、刃部82Lを回転させるための部位であり、オルタネータ70及びバッテリ41から供給される動力により駆動されるモータを有している。
【0049】
なお、本実施形態において、バッテリ41と駆動部83L及び83R、及びオルタネータ70と駆動部83L及び83Rとは、例えば、ワイヤーハーネスで接続されている。草刈り機100は、刃部82L及び82R、駆動部83L及び83Rの動力源として、バッテリ41又はオルタネータ70を使用することにより、ワイヤーハーネスで駆動部83L及び83Rとバッテリ41又はオルタネータ70とを接続し、ワイヤーハーネスを用いて刃部82L及び82Rを回転させるための動力を刃部82L及び82Rに伝達することができるように構成されている。すなわち、草刈り機100は、動力源をエンジンで構成した場合に必要となる動力伝達手段を必要とすることがなく、駆動部83L及び83Rの位置が変化する左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rに、(簡易な構成で)電力を供給することができるようになっている。
【0050】
次に、角度調整機構160について説明する。
図3に示すように、角度調整機構160(160L及び160R)は、支持部材86Lと左側法面刈取り部80Lを連結し、支持部材86Rと右側法面刈取り部80Rを連結する。角度調整機構160Rの構造は、角度調整機構160Lの構造と同じであるため、ここでは角度調整機構160Lに着目して説明する。角度調整機構160Lは、草刈り機100の作業状態において、左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82Lを水平な状態から法面の傾斜に合わせた角度に調整する機能を有するものであり、刈取り部取付ピン89Laを中心に回動した左側法面刈取り部80Lの位置を保持することで、刃部82Lの角度を調整する。角度調整機構160Lは、例えば、ロックプレート84L、支持部材86Lを左右方向にスライド可能なスライダ85L、スライダ85Lに接続された支持部材89L、及びロックプレート84Lと左側法面刈取り部80Lとの間に架け渡されたばね97Lを含む。
【0051】
ロックプレート84Lは、支持部材86Lと左側法面刈取り部80Lとを連結する。
図5に示すように、ロックプレート84Lは、前後に向かい合って配置された一対のロックプレート部材84Lc及び84Ldと、一対のロックプレート部材84Lc及び84Ldをその上端側で連結する連結ピン84Leを有する。各ロックプレート部材84Lc及び84Ldは細長に形成され、櫛状の長溝84Lcaが形成されている。長溝84Lcaは、スライダ85Lに固定された角度調整ピン84Lbに係合して、左側法面刈取り部80L(刃部82L)の角度を位置決め固定する位置決め凹部84Lcfを複数(本実施形態では5つ)有している。位置決め凹部84Lcfは、係合した角度調整ピン84Lbが脱落しにくいように、角度調整ピン84Lbの係合時には、背面視において斜め上方に傾斜するように構成されている。また、各ロックプレート部材84Lc及び84Ldの下端側は、左側法面刈取り部80Lに固定された支持部材89Lに回動可能に接続されている。ばね97Lは、ロックプレート部材84Lc及び84Ldの下端部と、法面刈取り部80(ケーシング81)との間に接続される。ばね97Lは、引っ張りばねで構成され、位置決め凹部84Lcfに係合した角度調整ピン84Lbが脱落しないよう、ロックプレート84Lを付勢する機能を有する。
【0052】
スライダ85L及び85Rは、畦(天面)の幅に合わせて、左側法面刈取り部80Lの位置を左右方向に独立して調整する機能を有する。スライダ85Lは支持部材86Lに挿通され、支持部材89Lを取り付けるための刈取り部取付部98Lが固定されている。刈取り部取付部98Lは、刈取り部取付ピン89Laを介して支持部材89Lと接続され、刈取り部取付部98Lに対して、支持部材89Lが回動可能に構成されている。スライダには、一対のロックプレート部材84Lc及び84Ldに形成された位置決め凹部84Lcfに係合して、左側法面刈取り部80L(刃部82L)の角度を位置決め固定するための角度調整ピン84Lbが固定されている。
【0053】
また、詳細は後述するが、角度調整機構160Lは、草刈り機100が作業状態から格納状態に遷移する状態において、草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rを、中心線110に対して対向させる機能を有するものであり、刈取り部取付ピン89Laを中心に左側法面刈取り部80Lを回動させると共に、刈取り部取付ピン89Raを中心に右側法面刈取り部80Rを回動させることで、刃部82L及び刃部82Rを中心線110に対して対向させる。このとき、草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rは、下方を向いた状態から後方を向いた状態に回動している。ここで、草刈り機100が作業状態から格納状態に遷移する状態において、角度調整機構160は刈面204L又は204Rと、支持部材86L及び86Rを含む面205との間の角度γ(
図3)を調整可能である。角度γ(
図3)は、角度α(
図3)と同一又は略同一である。
【0054】
次に、折畳み機構150について説明する。
図2又は
図4に示すように、折畳み機構150は、接続部材88と連結部材90を連結する。折畳み機構150は、草刈り機100の作業状態から格納状態に遷移する状態において、草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rを、下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から後方を向いた状態に回動させた状態で、固定する機能を有するものである。折畳み機構150は、例えば、係合部材95、第1折畳み部材93、第2折畳み部材94、接続部材88、及び連結部材90を含む。突出部88a、アーム部90b、第1折畳み部材93、及び第2折畳み部材94によって、リンク機構が形成される。詳細は後述されるが、草刈り機100では、当該リンク機構及び係合部材95を用いて、第1折畳み部材93が法面刈取り部80(左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80R)を支持する支持部材86L及び86Rに当接し押さえると共に、係合部材95が被係合部材90aに係合することで、法面刈取り部80の上方への回動移動が制限される。
【0055】
係合部材95は、上述の係合部材取付ピン88dを介して、突出部88aに回動可能に固定されている。係合部材95は、被係合部材90aを受ける受け部95bを有している。受け部95bには、被係合部材90aに係合する係合凹部95aが形成されたフック状の部位が含まれる。また、係合部材95は、前方に突出した上方回動制限部95cを有しており、上方回動制限部95cの下端が突出部88aの上端に当接することで、係合部材95の反時計回り方向の回動位置が制限されるようになっている。また、係合部材95には、下方回動制限部88fが設けられており、下方回動制限部88fが突出部88aの内周面に当接することで、係合部材95の反時計回り方向の回動が制限されるようになっている。なお、
図7は、下方回動制限部88fにより反時計回り方向の回動が制限されている状態である。
【0056】
図1、
図2、又は、
図4に示すように、第1折畳み部材93は、アーム部90bと第2折畳み部材94とを連結する。第1折畳み部材93は、例えば、左右に延在する部材93aa及び部材93aaの略中央から下方に延在する部材93abから形成される部材である。部材93aaは、左右両端に、回動軸170L及び170Rを回動支点(中心軸を回動軸)とした支持部材86L及び86Rの回動を押さえる押さえ部材93al及び93arを有する。押さえ部材93al及び93arは、ゴム等で構成されたパッドである。第1折畳み部材93の上方の一端(部材93aaの一部)には、第2折畳み部材94と連結するための第1折畳み部材取付ピン93aを挿通する挿通孔(図示は省略)が形成され、第1折畳み部材93の下方の他端(部材93abの端部)には、アーム部90bと連結するための第2折畳み部材取付ピン93bを挿通する挿通孔が形成されている。第2折畳み部材94は、第1折畳み部材93と突出部88aとを連結する。第2折畳み部材94の後方側の一端には、第1折畳み部材取付ピン93aを挿通する挿通孔が形成されている。そして、第2折畳み部材94の前方側の他端には、突出部88aと連結するための係合部材取付ピン88dを挿通する挿通孔が形成されており、第2折畳み部材94は、係合部材取付ピン88dを介して突出部88aに接続されている。突出部88aには、係合部材取付ピン88dを挿通させる挿通孔が形成されている。なお、被係合部材90aに係合する係合部材95の一端は係合部材取付ピン88dを挿通する挿通孔が形成されており、係合部材95は、第2折畳み部材94と共に係合部材取付ピン88dを介して突出部88aに接続されている。
【0057】
第2折畳み部材取付ピン93bは、第1折畳み部材93の下方の一端に形成された挿通孔及びアーム部90bに形成された挿通孔に挿通され、第1折畳み部材93を及びアーム部90bに対して回動可能に連結する。第1折畳み部材取付ピン93aは、第1折畳み部材93の上方に形成された挿通孔及び第2折畳み部材94の後方側の一端に形成された挿通孔に挿通され、第1折畳み部材93を第2折畳み部材94に対して回動可能に連結する。係合部材取付ピン88dは、係合部材95の前方側に形成された挿通孔、第2折畳み部材94の前端に形成された挿通孔、及び突出部88aの上端側に形成された挿通孔に挿通され、係合部材95及び第2折畳み部材94を突出部88aに対して回動可能に連結する。
【0058】
[法面刈取り部80の格納方法]
ここで、
図5~
図9に示される図を用いて、法面刈取り部80を
図4に示す格納状態とするための、法面刈取り部80の格納方法を説明する。
図5~
図9は、
図1に示される草刈り機100の全体から、主に、接続部材88から法面刈取り部80を抽出し、草刈り機100が
図2に示される法面刈取り部80の作業状態から
図4に示される法面刈取り部80の格納状態に遷移する状態を説明するための図である。
【0059】
図5~
図9に示される法面刈取り部80の格納方法では、刈面204L又は204Rが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)は、刈面204L又は204Rと支持部材86L及び86Rを含む面205との間の角度(角度γ)が0度又は略0度の状態(
図2参照)である例が示されている。また、
図5~
図9に示される法面刈取り部80の格納方法では、折畳み機構150を用いて連結部材90を接続部材88に対して反時計回りに90度又は略90度回動させ、刈面204L又は204Rが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から後方を向いた状態(位置)に遷移(固定)させた後(
図7参照)、角度調整機構160L及び160Rを用いて、刈面204L又は204Rと支持部材86L又は86Rとの間の角度γを角度0度又は略0度の状態から角度90度又は略90度の状態(位置)に遷移(固定)させ、左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる刃部82Rを対向した状態(位置)(
図4)に遷移(固定)させる例が示されるが、法面刈取り部80の格納方法は、ここで示される方法に限定されない。
【0060】
なお、刈面204L又は204Rが下方を向いた状態とは、刈面204L又は204Rが(略)水平、すなわち、刈面204L又は204Rと支持部材86L及び86Rを含む面205との間の角度(角度γ)が0度又は略0度の状態(
図2参照)である。また、本実施形態では、刈面204Lは、ケーシング81Lに覆われていない刃部82Lが露出している露出面であり、刈面204Rは、ケーシング81Rに覆われていない刃部82Rが露出している露出面である。
【0061】
また、上述のとおり、本実施形態では、接続部材88は、連結部材90を介して左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを支持している。接続部材88は接続部に含まれ、連結部材90は連結部に含まれる。よって、折畳み機構150を用いて連結部材90を接続部材88に対して回動させることは、折畳み機構150を用いて連結部を介して、連結部に支持(接続)された左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを、接続部に対して回動させることと換言できる。また、本実施形態では、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる草刈り刃82La及び82Raの刈面204L又は204Rを複数の位置で固定させることが可能である。したがって、折畳み機構150は、連結部を介して、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを回動させ、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを所定の固定位置で固定することができる。
【0062】
例えば、草刈り機100の作業状態において、角度γは
図3に示す角度であってよく、連結部材90が接続部材88に対して反時計回りに90度又は略90度回動し、刈面204L又は204Rが
図3に示される角度γで下方を向いた状態から、後方を向いた状態に遷移させた後、角度調整機構160L及び160Rを用いて、刈面204L又は204Rと面205との角度γを
図3に示される状態から90度又は略90度の状態に遷移させ、左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる刃部82Rを対向した状態(
図4)に遷移させてもよい。
【0063】
まずは、
図5~
図7を用いて、連結部材90が接続部材88に対して反時計回りに90度又は略90度回動し、刈面204L又は204Rが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から、後方を向いた状態に遷移する例を説明する。
【0064】
図5、又は
図6に示されるように、レバー96を持って、レバー96を上方に移動(9反時計回りに回動)させると、レバー96に接続された連結部材90のアーム部90bがピン状部材88bを回動支点(中心軸を回動軸)として、接続部材88に対して反時計回りに90度又は略90度回動し、刈面204L又は204Rが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から、後方を向いた状態に移動してゆく。
【0065】
アーム部90bが回動すると、アーム部90bに接続された第1折畳み部材93もアーム部90bの動きに従って移動する。これにより、第2折畳み部材94が係合部材取付ピン88dを回動支点(中心軸を回動軸)として、突出部88aに対して反時計回りに回動し、側面視において、第2折畳み部材取付ピン93bと第2折畳み部材94とが互いに近づくように、第1折畳み部材93と第2折畳み部材94とのなす角が小さくなっていく。
【0066】
アーム部90bが所定の位置まで回動すると、アーム部90bから突出する被係合部材90aが係合部材95の受け部95bに当接して係合凹部95aに係合する(嵌り込む)。この状態で、さらに連結部材90を上方へ回動させると、係合部材95も反時計回りに回動する。そして、係合部材95の反時計回りへの回動により、上方回動制限部95cの下端が突出部88aの上端に当接すると、係合部材95の回動と共に連結部材90の回動も制限されるようになっている。すなわち、法面刈取り部80の上方への回動移動が制限される。係合凹部95aに被係合部材90aが係合した状態でレバー96から手を離すと、係合部材95には連結部材90及び法面刈取り部80の自重がかかるため、時計回りの力が作用する。これにより、係合部材95はその下方回動制限部88fが突出部88aの内周面に当接する位置で保持され、法面刈取り部80は、所定の位置に固定される。
【0067】
また、アーム部90bの回動に伴い、アーム部90bに固定された取付部材90cも回動する。これにより、回動軸170L及170Rの延在方向が水平方向から鉛直方向へと変化し、支持部材86L及び86Rの回動方向が上下方向から前後方向の回動(水平面内の回動)に変化する。また、アーム部90bの回動により、第1折畳み部材93も、第1折畳み部材取付ピン93aを回動支点(中心軸を回動軸)として、第2折畳み部材94に対して回動しながら移動していく。第1折畳み部材93は、係合部材95に被係合部材90aが係合して所定の位置に固定されたときのアーム部90bの位置で、押さえ部材98al及び98arが支持部材86L及び86Rに当接するように構成されている。押さえ部材93al及び93arの当接により、回動軸170L及170Rを回動支点(中心軸を回動軸)とする支持部材86L及び86Rの水平面内の回動が制限される。これにより、アーム部90bが所定の位置に固定されたときに、法面刈取り部80の水平面内での動きを制限することができる。
【0068】
こうして、刈面204L又は204Rは、下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から、反時計回りに90度又は略90度回動し、後方を向いた状態に遷移すると共に後方を向いた状態で固定される。以上説明したように、本実施形態では、突出部88a、アーム部90b、第1折畳み部材93、及び第2折畳み部材94を含むリンク機構及び係合部材95を用いて、法面刈取り部80の上方への回動移動を制限すると共に、水平面内の移動を制限することで、格納位置に法面刈取り部80を固定できるようになっている。
【0069】
なお、アーム部90bの上方回動により、接続部材88とアーム部90bとの所定角度を越えると、法面刈取り部80の草刈り刃82La及び82Raを駆動させるモータは動力源から電気的に遮断される。これにより、法面刈取り部80が所定の高さ位置を超えたときに、草刈り刃82La及び82Raが駆動することがなく、草刈り機100の安全性を向上させることができる。本実施形態では、角度検出手段に基づいて、制御部40がモータに対する電力供給の切り替えを行う構成であったが、この構成に限られない。例えば、アーム部90bの角度に応じて、モータへ電力供給を直接ON/OFF切替できるスイッチを用いることも可能である。この場合、アーム部90bが所定の位置まで上方回動するまでは、スイッチがONの状態でモータの電力供給をONの状態とし、アーム部90bが所定の位置を超えて上方回動するとスイッチがOFFとなってモータの電力供給をOFFの状態となるように構成する。例えば、アーム部90bにスイッチをON/OFF切替するためのスイッチ切替部を固定すると共に、突出部88aには、スイッチ切替部に操作されるスイッチを設けるようにする。スイッチ切替部は、アーム部90bと共に回動したときに、アーム部90bが所定の位置まで上方回動するまでは、(スイッチに当接して)スイッチをON状態とするような形状に構成されており、アーム部90bが所定の位置を超えて上方回動すると、スイッチ切替部がスイッチから外れてスイッチはOFF状態となる。
【0070】
次に、
図7~
図9を用いて、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの刃部が草を刈る軌跡を含む刈面204L又は204Rが後方を向いた状態から、対向した状態に遷移する例を説明する。
【0071】
左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの刈面204L又は204Rが
図7に示されるような後方を向いた状態で固定されると、角度調整機構160(160L及び160R)によって、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの刈面204L又は204Rは、刈面204L又は204Rと面205との間の角度γを0度又は略0度の状態(
図7参照)から90度又は略90度の状態(
図9参照)に遷移してゆく。なお、角度調整機構160Rの構造は、角度調整機構160Lの構造と同じであるため、ここでは角度調整機構160Lに着目して説明する。
【0072】
図7及び
図8に示されるように、取っ手140Lを持って、ロックプレート84Lを操作し、位置決め凹部84Lcfから角度調整ピン84Lbが外れるようにロックプレート84Lを移動させる。この時、ロックプレート84Lは、支持部材89Lに対して回動し、支持部材89Lは、刈取り部取付ピン89Laを回動支点(中心軸を回動軸)としてスライダ85Lに対して回動する。続いて、ロックプレート84Lをさらに移動させ、初めに嵌っていた位置決め凹部84Lcfとは異なる位置決め凹部84Lcfに角度調整ピン84Lbを嵌め込むことで、刈面204Lと面205との間の角度γを変えることができる。
【0073】
図9に示されるように、位置決め凹部84Lcfのうち、より前方に位置する位置決め凹部84Lcfと嵌合させるほど角度γは小さくなり、最も前方に位置する位置決め凹部84Lcgに角度調整ピン84Lbを嵌め込むと、角度γは90度又は略90度、すなわち、刈面204Lが面205に対して垂直又は略垂直となる。ロックプレート84Lと同様に、取っ手140Rを持って、ロックプレート84Rを操作することによって、位置決め凹部84Rcfのうち、最も前方に位置する位置決め凹部84Rcgに角度調整ピン84Rcbを嵌め込むと、角度γは90度又は略90度、すなわち刃部82Rの回転軌跡を含む刈面204Rが支持部材86Rに対して垂直又は略垂直となる。その結果、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rの刃部が草を刈る軌跡を含む刈面204L又は204Rは対向した状態に遷移され、対向した状態で固定される。
【0074】
以上説明したように、草刈り機100は、折畳み機構150及び角度調整機構160を用いて、作業状態から格納状態(
図4参照)に遷移することができる。草刈り機100が格納状態に遷移することで、刈面204L又は204Rを対向した状態にし、刃部を外部から見えにくい状態にする。よって、草刈り機100は、安全性の高い草刈り機である。
【0075】
また、
図4に示される草刈り機100の状態は格納状態であると共に、リンク機構50L及び50R、並びに電動シリンダ53L及び53Rを用いて、走行部20に対して機体10を上方に移動させた状態であり、法面刈取り部80の後方端部が地面(水平面203)に当接しないように、法面刈取り部80の後方端部と走行部20の後方接地面を結ぶ接線と水平面203との角度(デパーチャーアングル)が所定の角度βとなるよう保持された状態である。草刈り機100は、当該状態を確保することで、移動時又は運搬時において、刃部を外部から見えにくい状態にすると共に、法面刈取り部80の地面との接触を抑制し、法面刈取り部80の破損を防止することができる。よって、草刈り機100は、安全性の高い草刈り機である。
【0076】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る草刈り機100Bでは、格納状態において、第1実施形態に係る草刈り機100の法面刈取り部80を、さらに反時計回り(前方)に90度回転させて、法面刈取り部80を機体10と重畳させる形態を説明する。第2実施形態に係る草刈り機100Bは、格納状態において法面刈取り部80を機体10と重畳させる点において、第1実施形態に係る草刈り機100と異なる。よって、第2実施形態に係る草刈り機100Bの説明では、第1実施形態に係る草刈り機100と異なる点を、以下において主に説明する。
【0077】
図10は、草刈り機100Bの作業状態における構成を示す平面図である。
図11は草刈り機100Bの格納状態における構成を示す平面図である。
図12は、草刈り機100B格納状態における構成を示す左側面図である。
【0078】
図10及び
図11に示されるように、草刈り機100Bは、法面刈取り部取付部材12bと、第3折畳み部材88eと、を有する。法面刈取り部取付部材12bの一端は機体10に固定され、法面刈取り部取付部材12bの他端には、第3折畳み部材取付ピン93cを挿通させる挿通孔が形成されている。第3折畳み部材取付ピン93cは、当該挿通孔と第3折畳み部材88eの一端に形成された挿通孔とに挿通され、第3折畳み部材88eの一端を法面刈取り部取付部材12bに対して回動可能に連結する。前記第3折畳み部材88eの他端は、突出部88aに取付けられ接続される。第2実施形態では、本実施形態では、第3折畳み部材88e、法面刈取り部取付部材12b、及び突出部88aを含めて接続部と呼ばれる場合がある。
【0079】
図10~
図12に示されるように、草刈り機100Bは、草刈り機100に搭載されたオルタネータ70及びエンジン60を含まず、制御部40及びバッテリ41を用いて、各駆動部へ電力を供給し、草を刈ることができる。また、草刈り機100Bでは、オルタネータ70及びエンジン60を含まないことによって、法面刈取り部80を機体10と重畳させる空間を確保し、草刈り機100に比べてコンパクトに格納可能なように構成されている。
【0080】
草刈り機100Bでは、草刈り機100と同様に、折畳み機構150を用いて連結部材90を接続部に対して反時計回りに90度又は略90度回動させ、刈面204L又は204R(
図3)が下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から後方を向いた状態に遷移させた後、角度調整機構160L及び160Rを用いて、刈面204L又は204Rと面205との間の角度γ(
図3)を角度0度又は略0度の状態から角度90度又は略90度の状態に遷移させ、左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる刃部82Rを対向した状態(
図4)に遷移させる。第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、折畳み機構150は、連結部を介して、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを回動させ、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rを所定の固定位置で固定することができる。所定の固定位置は、例えば、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rが後方を向いた位置であってよく、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rが上方を向いた位置であってよく、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rが対向した位置であってよく、左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rが左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80Rが機体10と重畳する位置であってもよい。
【0081】
草刈り機100Bでは、左側法面刈取り部80Lに含まれる刃部82L及び右側法面刈取り部80Rに含まれる刃部82Rを対向した状態から、第3折畳み部材取付ピン93cの中心点を回動支点(中心軸を回動軸)として、第3折畳み部材88eの一端を法面刈取り部取付部材12bに対して反時計回り(前方)に90度又は略90度回動させて、法面刈取り部80(左側法面刈取り部80L及び右側法面刈取り部80R)を機体10と重畳させることができる(
図11及び
図12)。その結果、草刈り機100Bは、草刈り機100に比べて、法面刈取り部80をよりコンパクトに格納することができる。
【0082】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る草刈り機100Cでは、機体10に対する法面刈取り部80の周辺の構成、折畳み機構150及び角度調整機構160の構成が第1実施形態に係る草刈り機100とは異なっており、それ以外の構成は第1実施形態に係る草刈り機100と同様である。本実施形態の草刈り機100Cは、ここでは、主に第1実施形態に係る草刈り機100と異なる点を説明する。草刈り機100Cにおいて、刈取り部120Cは、天面刈取り部30、及び法面刈取り部80Cを有する。天面刈取り部30は第1実施形態と同様の構成を有し、ここでの説明は省略される。
【0083】
[法面刈取り部80Cの構成]
図13は、第3実施形態に係る草刈り機100Cの平面図である。同図に示すように、法面刈取り部80Cは、左右一対の左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRを含んでいる。そして、機体10の後方には、中心線110に対して対称又は略対称な位置であって、機体本体14の後方左の端部15L及び機体本体14の後方右の端部15Rに、法面刈取り部連結部12L及び12Rが固定されており、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRは、法面刈取り部連結部12L及び12Rを介して機体本体14に接続され、支持されている。
【0084】
なお、機体本体14には、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRを所定の格納位置に格納するための格納係合部材181CL、181CRが一対固定されている。格納係合部材181CL、181CRは、後述の左右位置調整機構90Cに含まれる刈取り部取付部98CLa、98CRaと係合するように構成されており、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRを所定(第1格納状態、
図18参照)の格納位置に保持する機能を有する。格納係合部材181CL、181CRにはそれぞれ、後述の連結ボルト183CL、183CRが嵌り込む孔182CL、182CRが形成されている。
【0085】
法面刈取り部80Cは、法面刈取り部連結部12L及び12Rに回動可能に支持される左右一対の左右位置調整機構90CL及び90CR、左右位置調整機構90CL及び90CRに支持される左右一対の角度調整機構130CL及び130CR、角度調整機構130CL及び130CRに支持され、刃部82CL及び82CRを有する左右一対の左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRを有する。なお、左右一対の左右位置調整機構90CL及び90CRは、畦の幅(左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRが作用する法面の位置)に応じて、法面刈取り部80Cの幅調整(左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRの左右の位置の調整)を行うための機構である。
【0086】
また、詳細は後述するが、草刈り機100Cは、角度調整機構130CL及び130CR、左右位置調整機構90CL及び90CRを用いて、法面刈取り部80を所定の格納位置に移動させる構成となっており、角度調整機構130CL及び130CR、左右位置調整機構90CL及び90CRにより第3実施形態の折畳み機構が構成されている。
【0087】
左右位置調整機構90CLは法面刈取り部連結部12Lに回動可能に連結される。角度調整機構130CLは左右位置調整機構90CLと左側法面刈取り部80CLの間に連結される。よって、左側法面刈取り部80CLは、法面刈取り部連結部12Lに回動可能に連結され、後方の作業位置と前方の格納位置との間を移動可能に構成されている。左右位置調整機構90CLと同様にして、左右位置調整機構90CRは法面刈取り部連結部12Rに回動可能に連結され、角度調整機構130CRは左右位置調整機構90CRと右側法面刈取り部80CRの間に連結される。よって、右側法面刈取り部80CRは、法面刈取り部連結部12Rに回動可能に連結される。
【0088】
左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRは、それぞれ、ケーシング81CL及び81CR、刃部82CL及び82CR、駆動部83CL及び83CR、法面刈取り部支持部89CL及び89CR、並びに取っ手140CL及び140CRを含む。なお、左側法面刈取り部80CLの構造は、右側法面刈取り部80CRの構造と同様であるため、ここでは右側法面刈取り部80CRに着目して説明する。
【0089】
ケーシング81CRの上面には、法面刈取り部支持部89CRが立設されており、ケーシング81CRは、法面刈取り部支持部89CRを介して、法面刈取り部連結部134CRに回動可能に連結される。なお、法面刈取り部支持部89CRには、角度調整機構130CRの角度調整ピン133CR(後述する)と一体に構成された操作レバー部187CRが取り付けられていると共に、角度調整ピン133CRが位置決め凹部131CRcから外れて移動できるようにピン移動凹部185CRが形成されている。ケーシング81CRは、刃部82CRを覆い、天面刈取り部30のケーシング31と同様に、土、小石、草などの周囲への飛散を防ぐ。取っ手140CRがケーシング81CRに取付けられている。取っ手140CRは右側法面刈取り部80CRを角度調整する際の把持部となる。駆動部83CRは刃部82CRに連結され、刃部82CRを回転させるための部位であり、オルタネータ70及びバッテリ41から供給される動力により駆動されるモータを有している。
【0090】
[法面刈取り部80Cの角度調整機構130C]
草刈り機100Cは、角度調整機構130C(130CL及び130CR)を有しており、畦200の天面201の幅(法面の位置)に応じて位置調整した左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRの刈面204CL、204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を、畦の法面の角度α2に応じて、それぞれ独立して調整することができるようになっている(
図15参照)。なお、角度調整機構130Lの構造は、角度調整機構130Rの構造と同様であるため、ここでは、主に、
図14(A)、
図15又は
図22を用いて、角度調整機構130Rに着目して説明する。
図15に示される構成において、
図13を用いて説明された内容と同様又は類似する構成に関しては説明を省略することがある。なお、
図22は、
図14(B)又は(C)に示される右側法面刈取り部80CRの斜視図において、角度調整機構130CRの周辺の構成の一部を拡大した図である。
【0091】
図14(A)、又は
図15に示すように、角度調整機構130CRは、例えば、ロックプレート131CR、角度調整ピン133CRを有する係脱操作部材184CR、及び法面刈取り部連結部134CRを含む。
【0092】
図14(A)又は
図22に示すように、ロックプレート131CRは、前後に互いに向かい合って配置される一対のロックプレート部材131CRa及び131CRbから成り、刈取り部取付部98CR(刈取り部取付部98CRb)に対して回動可能に固定されている。ロックプレート部材131CRa及び131CRbの外縁には、角度調整ピン133CRに係合して刈面204CRの角度を位置決め固定する複数(本実施形態では4つ)の位置決め凹部131CRc及び131CRdが形成されている。複数の位置決め凹部131CRc及び131CRdは、円弧状に配設されており、右側法面刈取り部80CR(法面刈取り部支持部89CR)に設けられた角度調整ピン133CRに係合して、右側法面刈取り部80CRを位置決め固定する。なお、一対のロックプレート部材131CRa及び131CRbには、法面刈取り部下限位置決めピン186CRが架け渡すように連結されている。法面刈取り部下限位置決めピン186CRは、後述の刈取り部取付部98CRbに当接して、ロックプレート部材131CRa及び131CRbの回動を制限する。
【0093】
係脱操作部材184CRは、角度調整ピン133CRをロックプレート131CR(位置決め凹部131CRc、131CRd)に係脱させて、右側法面刈取り部80CRが法面に対して所定角度となるように保持されたロック状態とロック状態を解除する解除状態とを切り替え操作するための部材であり、
図22に示すように、軸188CRを介して法面刈取り部支持部89CRに回動可能に連結されている。平面視において、係脱操作部材184CRには、法面刈取り部支持部89CRよりも外側に突出するように形成され、ユーザが操作するための操作レバー部187CRと、位置決め凹部131CRc、131CRdに係合し、右側法面刈取り部80CRが法面に対して所定角度となるようにロックする角度調整ピン133CRと、が含まれている。図示省略したが、係脱操作部材184CRと法面刈取り部支持部89CRとの間には、ばねが配設されている。ばねは、係脱操作部材184CRを付勢して、角度調整ピン133CRがロックプレート部材131CRa及び131CRbの位置決め凹部131CRc、131CRdと係合する方向に力を作用させている。ばねの付勢に抗して、操作レバー部187CRを上方に操作すると、軸188CRを中心に係脱操作部材184CRが回動する。これにより、角度調整ピン133CRがピン移動凹部185CRへ移動し、ロックプレート部材131CRa及び131CRbに対するロック状態が解除される。
【0094】
法面刈取り部連結部134CRは、刈取り部取付部98CRに固定され、刈取り部取付部98CRと法面刈取り部支持部89CRとを接続して、右側法面刈取り部80CR及び左右位置調整機構90CRを連結する。ロックプレート部材131CRa及び131CRb、法面刈取り部支持部89CR、及び刈取り部取付部98CRには、法面刈取り部取付ピン132CRを挿通させるための挿通孔が形成されている。当該挿通孔に挿通された法面刈取り部取付ピン132CRを介して、法面刈取り部支持部89CR、ロックプレート131CR、及び刈取り部取付部98CRが連結され、刈取り部取付部98CR及びロックプレート131CRに対し、法面刈取り部支持部89CRが回動可能に連結される。
【0095】
図15を参照して、角度調整機構130CRを用いた、右側法面刈取り部80Rの角度調整動作について説明する。まず、係脱操作部材184CRの操作レバー部187CRを操作して、位置決め凹部131CRcとの係合から角度調整ピン133CRを外す。続いて、取っ手140CRを持って、右側法面刈取り部80CRを操作して、移動させる。この時、法面刈取り部支持部89CRは角度調整ピン133CRと共に法面刈取り部取付ピン132CRを中心に、刈取り部取付部98CR及びロックプレート131CRに対して回動する。初めに嵌っていた位置決め凹部131CRc及び131CRdとは異なる位置決め凹部131CRc及び131CRdに角度調整ピン133CRを嵌め込むことで、刈面204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を変えることができる。
【0096】
草刈り機100Cの背面視において、右に位置する位置決め凹部131CRc及び131CRdと嵌合させるほど角度γ2は小さくなっていく。法面202の傾斜に応じて、角度調整ピン133CRに嵌める位置決め凹部131CRc及び131CRdを変えることで、角度γ2を、法面202の傾斜に応じた角度に調整することができる。
【0097】
第3実施形態では、草刈り機100Cの背面視において、一番左の位置決め凹部131CRc及び131CRdに角度調整ピン133CRを嵌め込むと、角度γ2は90度、すなわち、刈面204CRが機体本体14(を含む面206)に対して垂直又は略垂直となり、一番右の位置決め凹部131CRc及び131CRdに角度調整ピン133CRを嵌め込むと、角度γ2は0度、すなわち、刈面204CLが機体本体14(を含む面206)に平行又は略平行となるように構成されている。
【0098】
以上説明したように、草刈り機100Cでは、ロックプレート131CRを用いて、右側法面刈取り部80CRの刈面204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を調整することができる。ロックプレート131CRと同様に、ロックプレート131CLを用いて、左側法面刈取り部80CLの刈面204CLと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を調整することができる。したがって、草刈り機100は、法面202の傾斜に適した草刈り作業を行うことができる。
【0099】
また、草刈り機100Cは、刈面204L及び204Rと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を左右対称に、かつ、0度に調整した状態(
図13参照)で、水平面203と平行又は略平行な面の草刈り作業を行うことも可能である。さらに、
図16に示されるように、草刈り機100Cは、角度γ2を左右非対称に(異なる角度に)調整して草刈り作業を行うことも可能である。
【0100】
[法面刈取り部80の左右方向の位置の調整機構]
草刈り機100Cは、左右位置調整機構90C(90CR及び90CL)を有し、畦の幅(左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRが作用する法面の位置)に応じて、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRの位置を調整することができる。なお、左右位置調整機構90CLの構造は、左右位置調整機構90CRの構造と同様であるため、ここでは
図14(A)~
図14(C)を用いて、右方向の位置調整機構である左右位置調整機構90CRに着目して説明する。
図14(A)~
図14(C)に示される構成において、
図13、
図15、
図16と同様又は類似する構成に関しては説明を省略することがある。
【0101】
図14(A)~
図14(C)は、草刈り機100Cに含まれる法面刈取り部80Cの右側後方から見た斜視図であり、法面刈取り部80Cの周辺を拡大して示した図である。
図14(A)に示される例では、例えば、天面201の幅は幅W1であり、刈面204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2は、畦の傾斜の角度α2に応じた角度である。また、刈面204CRから法面202まで距離(高さ)は、草を刈る高さ(草刈り高さ)に相当し、その高さは高さH1である。
【0102】
右方向の左右位置調整機構90CRは、第2の平行リンク95CR、及びばね94CRを含む。第2の平行リンク95CRは、連結部99CR、リンクアーム91CR、リンクアーム92CR、及び刈取り部取付部98CRを有する。連結部99CRは、上下に互いに向かい合って配置される一対の連結部99CRa及び99CRb、機体本体14に固定された法面刈取り部連結部12Rに回動可能に支持され、一対の連結部99CRa及び99CRbに接続される回動部材99CRc、連結部99CRa及び99CRbに形成された挿通孔に挿通される左右位置制限ピン93CRを有する。刈取り部取付部98CRは、上下に互いに向かい合って配置される刈取り部取付部98CRa及び98CRbを有する。
【0103】
なお、本実施形態の草刈り機100Cにおいても、法面刈取り部連結部12Rに対する回動部材99CRcの回動角度が所定角度を越えると、右側法面刈取り部80CRの草刈り刃82Raに動力を供給するモータが、動力源から電気的に遮断されるように構成されている。第1実施形態と同様、法面刈取り部連結部12Rに対する回動部材99CRcの回動角度が所定角度をポテンショメータ等の角度検出センサに基づいて、モータと動力源との接続を遮断する構成としてもよいし、回動部材99CRcの回動に伴い、スイッチをON/OFF切替する構成としてもよい。
【0104】
右方向の左右位置調整機構90CRは、連結部99CR(回動部材99CRc)を用いて法面刈取り部連結部12Rに連結され、刈取り部取付部98CRを用いて法面刈取り部連結部134CRに連結される。リンクアーム91CR及び92CRは連結部99CRa及び99CRbに回動可能に連結される。リンクアーム91CR及び92CRの他端は、刈取り部取付部98CRに含まれる刈取り部取付部98CRa及び98CRbに回動可能に連結される。なお、
図13、
図17等に示すように、刈取り部取付部98CRaの上部からは、刈取り部取付部98CRaとリンクアーム91CR及び92CRとを連結するための連結ボルト183CRが突出している。
【0105】
また、刈取り部取付部98CRbは、刈取り部取付部98CRaよりも長く構成されており、平面視において刈取り部取付部98CRaに比べ、その左側端が中心側に突出している。この刈取り部取付部98CRbの中心側への突出部は、ロックプレート部材131CRa及び131CRbを連結する法面刈取り部下限位置決めピン186CRに当接して、ロックプレート131CRの回動を制限している。これにより、通常の状態においては、右側法面刈取り部80CRの下限位置が所定の位置に制限される。一方、右側法面刈取り部80CRが障害物等により下方から力を受けると、ロックプレート131CRが回動して、法面刈取り部下限位置決めピン186CRは刈取り部取付部98CRbから離接する。
【0106】
リンクアーム92CRは、リンクアーム91CRより内側(中心側)に配置される。リンクアーム92CLは、リンクアーム91CLより内側(中心側)に配置される。連結部99CR及び刈取り部取付部98CRは互いに平行又は略平行に配置される。リンクアーム91CR及び92CRは互いに平行又は略平行に配置される。
【0107】
ばね94CRは、連結部99CRaの回動部材99CRcの下端に設けられたばね取付部99CRd、及びリンクアーム91CRの下端に設けられたばね取付部91CRa(
図14(B))の間に接続される。ばね94CRは、引張りばねであり、内側に引っ張り力が作用する。第2の平行リンク95CRが中心線110に対して外側に変形されると、ばね94CRの作用により、右側法面刈取り部80CRは中心線110に対して内側に付勢され、右側法面刈取り部80CRは法面202に押し付けられる。ばね94CRの作用に伴う付勢力は、ばね取付部91CRaからばね取付部99CRdに向かって働く力であり、リンクアーム91CRに対して内側に働く力及びリンクアーム91CRに対して前方に働く力に分解される。リンクアーム91CRに対して内側に働く力が右側法面刈取り部80CRを法面202に押し付ける付勢力である。
【0108】
例えば、畦(法面の幅)が細く(法面202が内側に移動した状態)なった場合や走行する位置が右側に寄った場合には、
図14(B)に示されるように、リンクアーム91CRはばね94CRの作用により内側に引っ張られ、第2の平行リンク95CRは黒矢印の方向に変形する。なお、リンクアーム91CRの左方への移動は、リンクアーム91CRの一端と、リンクアーム92CRの一端との間に配置された左右位置制限ピン93CRによって制限される。例えば、畦の幅(法面の幅)が所定の幅よりも狭くなりすぎた場合には、リンクアーム91CRの一端に近い側が左方に移動し、左右位置制限ピン93CRに当接し、第2の平行リンクの変形が制限されると共に、右側法面刈取り部80CRの左方への移動が制限される。
【0109】
一方、畦(法面の幅)が広く(法面202が外側に移動した状態)なった場合、又は、走行する位置が左側に寄った場合には、
図14(C)に示すように、リンクアーム91CRは畦からの力を受ける。これにより、バネに内側へ引っ張る力以上の力が発生すると、ばね94CRは伸長して、外側に引っ張られ、第2の平行リンク95CR(リンクアーム91CR及び92CR)は黒矢印の方向に変形する。右側法面刈取り部80CRは、畦からの力がばね94Rの引っ張り力と釣り合うまで外側(図示右側)に移動する。具体的には、畦幅(法面の幅)が所定よりも広くなると、リンクアーム92CRの一端に近い側が左右位置制限ピン93CRに当接し、第2の平行リンクの変形が制限されると共に、右側法面刈取り部80CRの右方への移動が制限される。
【0110】
草刈り機100Cを畦200に載せると、法面刈取り部80Cは、上述した右方向の左右位置調整機構90CRによって、右側法面刈取り部80CRを左右方向にスライドさせることが可能である。すなわち、刈面204CRを法面に追従させるように移動させることができる。
【0111】
以上説明したように、第3実施形態に係る草刈り機100Cは、畦の幅に応じて、法面刈取り部80Cの左右方向の位置を容易に調整可能であり、畦幅の変化に対応させながら草刈り作業を行うことができる。
【0112】
[法面刈取り部80Cの折畳み方法]
次に、
図13、
図17~
図21に示される図を用いて、第3実施形態に係る法面刈取り部80Cの折畳み(格納)方法について説明する。なお、右側法面刈取り部80CRの折畳み方法は、左側法面刈取り部80CLと同様であるため、ここでは、主に、左側法面刈取り部80CLの折畳み方法に着目して説明する。
図18~
図21は、草刈り機100Cが
図13に示される法面刈取り部80Cの作業状態から
図21に示される法面刈取り部80Cの格納状態に遷移する状態を説明するための図である。
図13、
図17~
図21に示される構成において、
図13~
図16と同様又は類似する構成に関しては説明を省略することがある。
【0113】
図13、
図17に示す状態は、刈面204CL又は204CRが下方を向いた状態の刈面204CL又は204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2が、0度又は略0度の状態を示している。ここでは、
図13、
図17の状態から、
図18のように左側からの側面視において、法面刈取り部80Cを、機体本体14に対して反時計回りに180度又は略180度回動させ、刈面204CL及び204CRが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態)から上方を向いた状態(第1格納状態)に遷移させた後、角度調整機構130CL及び130CRを用いて、
図13のように刈面204CL及び204CRと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2を角度0度又は略0度の状態(刈面204CLと機体本体14(を含む面206)とが水平又は略水平な状態)から
図20に示すような角度90度又は略90度の状態に遷移させ、刃部82CL及び刃部82CRが互いに対向した状態(第2格納状態)に遷移させる場合についての格納方法を説明する。なお、格納状態における刃部82CL及び刃部82CRは、内向きに対面した状態(「ハ」字状、または逆「ハ」字状)に対面した状態としてもよい。また、法面刈取り部80Cの格納方法は、ここで示される方法に限定されない。例えば、草刈り機100Cは、法面刈取り部80Cを、
図15に示されるような角度γ2である作業状態から、法面刈取り部80Cを(略)180度回動させてから、刃部82CL及び刃部82CRを対向した状態(
図20及び
図21に示される状態)に遷移させてもよい。なお、角度α2は角度γ2と同一又は略同一である。
【0114】
まず、刈面204CL及び204CRが下方を向いた状態(水平面203を向いた状態、
図13に示される状態)から、刈面204CL及び204CRが上方を向いた状態(
図18及び
図19に示される状態)に遷移する例を説明する。
【0115】
第3実施形態における上述のとおり、左側法面刈取り部80CLは、左右位置調整機構90CLの回動部材99CLcを介して、法面刈取り部連結部12Lに回動可能に連結されている。
図17に示される左側面において、取っ手140CLを持って、左側法面刈取り部80CLを上方に移動させると、左側法面刈取り部80CLを、回動部材99CLcを介して上方に回動させることができる。
【0116】
左側法面刈取り部80CLをさらに回動させ続けると、左側法面刈取り部80CLが、下方を向いた状態から、上方を向いた状態(
図18に示される状態)に遷移する。
【0117】
図18は第1格納状態にある法面刈取り部80Cを示した図であり、左側法面刈取り部80CLの刈面204CLは、機体本体14(を含む面206)と平行又は略平行で上に向けた状態である。本実施形態の草刈り機100Cでは、左側法面刈取り部80CLが畦からの力を受けないとき、角度調整機構130CLのばね94CLの作用により、平面視における連結部99CRに対する第2の平行リンク95CL(リンクアーム91CL及び92CL)の角度が所定の角度に保たれる。これにより、背面視における上述の刈取り部取付部98CLaの左右方向の位置が(略)格納係合部材181CLの位置に対応した所定の位置となり、第1格納状態において、刈取り部取付部98CLaが、機体本体14に設けられた格納係合部材181CLに係合すると共に、連結ボルト183CLも、格納係合部材181CLに形成された孔182CLに係合する。これにより、水平面内における左右位置調整機構90CLの第2の平行リンク95CLの回動が制限され、左側法面刈取り部80CLの位置が固定される。なお、
図18の黒矢印は、左側法面刈取り部80CLの回動可能方向を示している。
【0118】
次に、
図19~
図21を用いて、刈面204CL及び204CRが上方を向いた状態(第1格納状態)から、互いに対向した状態(第2格納状態)に遷移する例を説明する。
【0119】
図19は、第1格納状態にある草刈り機100Cの背面図である。まず、第1格納状態の草刈り機100Cにおいて、係脱操作部材184CL(操作レバー部187CL)を操作し、ロックプレート131CL(
図19における最も外側(左側)の位置決め凹部131CLc)から角度調整ピン133CLを外し、ロックを解除する。次に、取っ手140CLを持って、左側法面刈取り部80CLを回動させる。このとき、角度調整ピン133CLは、法面刈取り部支持部89CLと共に、刈取り部取付部98CL及びロックプレート131CLに対して回動する。
【0120】
左側法面刈取り部80CLを回動させ、角度調整ピン133CLを、
図19における最も中心側(右側)の位置決め凹部131CLc及び131CLdに嵌め込むと、刈面204CLと機体本体14(を含む面206)との間の角度γ2は90度又は略90度となり、刈面204CLは水平面203に対して垂直又は略垂直になる(
図21に示す第2格納状態になる)。左側法面刈取り部80CLと同様に、右側法面刈取り部80CRを操作すると、刈面204CRは水平面203に対して垂直又は略垂直となる。その結果、刈面204CL又は204CRは対向した状態に遷移され、対向した状態で固定される。
【0121】
なお、
図20又は
図21に示されるように、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRは機体本体14と重畳し、バッテリ41、及びオルタネータ70は、左側法面刈取り部80CLと右側法面刈取り部80CRとの間に挟まれ、配置される。また、左側法面刈取り部80CL及び右側法面刈取り部80CRは、草刈り機100Cの格納状態の左側面視において、草刈り機100Cの前後方向の幅W3(天面刈取り部30の先端と左右位置調整機構90Cの後端(回動制限ピン97CL及び97CR)との幅)の内側に格納されている。さらに、草刈り機100の格納状態の背面視において、草刈り機100の走行部20の左右方向の幅W2(クローラ20Lの左側端部とクローラ20Rの右側端部との幅)の内側に格納されている。その結果、草刈り機100では、前後・左右方向において、法面刈取り部80をよりコンパクトに格納することができると共に、格納状態の時に法面刈取り部80Cを機体に重畳させない構成と比べ、重量バランスを改善することができる。
【0122】
さらに、草刈り機100Cでは、機体10の前方に天面刈取り部30を備え、機体10の後方に右側法面刈取り部80CRと左側法面刈取り部80CLとを中心線110に対して左右対称に備えている。また、機体10の上方には、制御部40、オルタネータ70、及びエンジン60が、中心線110上に配置される。このような構成により、草刈り機100では、右側法面刈取り部80CR及び左側法面刈取り部80CLの何れか一方を格納状態にし、他方を作業状態として、走行又は草刈り作業を行なう場合であっても、草刈り機100Cの重量が草刈り機100Cの特定の位置に集中することが抑制される。すなわち、草刈り機100Cでは、走行時又は草刈り作業時に機体10の重量バランスが崩れ難く、機体10の重量バランスを安定させて、走行すること、又は草刈り作業を行なうことができる。
【0123】
以上、本発明の草刈り機100、100B及び100Cについて図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態に係る構成は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項は、明示の記載がなくても各構成に含まれる。
【0124】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0125】
10:機体、11、11L、11R:取付部材、12、12b:法面刈取り部取付部材、12L、12R:法面刈取り部連結部、14:機体本体、15:支持プレート、15L:後方左の端部、15R:後方右の端部、20:走行部、20L、20R:クローラ、21L、21R:クローラベルト、22L:駆動輪、23L:従動輪、24L:クローラフレーム、30:天面刈取り部、31:ケーシング、32、32L、32R:刃部、32La、32Ra:草刈り刃、32Lb、32Rb:刈刃装着部、32Lc、32Rc:回転軸、33L、33R:駆動部、40:制御部、41:バッテリ、50、50L、50R:リンク機構、51L、51R、52L、52R:リンクアーム、53L、53R:電動シリンダ、54L、54R:駆動部、60:エンジン、70:オルタネータ、80、80C:法面刈取り部、80CL、80L:左側法面刈取り部、80CR、80R:右側法面刈取り部、81CL、81CR、81L、81R:ケーシング、82CL、82CR、82L、82R:刃部、82La、82Ra:草刈り刃、82Lb、82Rb:刈刃装着部、82Lc、82Rc:回転軸、83CL、83CR、83L、83R:駆動部、84L、84R:ロックプレート、84Lb、84Rb:角度調整ピン、84Lc、84Ld、84Rc、84Rd:ロックプレート部材、84Lca、84Lda、84Rca、84Rda:長溝、84Le、84Re:連結ピン、84Lcf、84Ldf、84Rcf、84Rdf:位置決め凹部、84Lcg、84Rcg:位置決め凹部、85L、85R:スライダ、86L、86R:支持部材、88:接続部材、88a:突出部、88b:ピン状部材、88c:後端、88d:係合部材取付ピン、88e:第3折畳み部材、88f:下方回動制限部、89CL、89CR:法面刈取り部支持部、89L、89R:支持部材、89La、89Ra:刈取り部取付ピン、90C、90CL、90CR:左右位置調整機構、90:連結部材、90a:被係合部材、90b:アーム部、90c:取付部材、91CL、91CR、92CL、92CR:リンクアーム、91CRa:ばね取付部、93:第1折畳み部材、93a:第1折畳み部材取付ピン、93CR:左右位置制限ピン、93aa、93ab:部材、93al、93ar押さえ部材、93b:第2折畳み部材取付ピン、93c:第3折畳み部材取付ピン、94:第2折畳み部材、94CL、94CR:ばね、95CL、95CR:第2の平行リンク、95:係合部材、95a:係合凹部、95b:受け部、95c:上方回動制限部、96:レバー、97CL、97CR:回動制限ピン、97L、97R:ばね、98CL、98CLa、98CR、98CRa、98CRb、98L、98R:刈取り部取付部、99CR:連結部、99CRa、99CRb:連結部、99CLc、99CRc:回動部材、99CRd:ばね取付部、100:草刈り機、100B:草刈り機、100C:草刈り機、110:中心線、120:刈取り部、120C:刈取り部、130C、130CL、130CR:角度調整機構、131CL:ロックプレート、131CLc:位置決め凹部、131CLd:位置決め凹部、131CR:ロックプレート、131CRa:ロックプレート部材、131CRb:ロックプレート部材、131CRc:位置決め凹部、131CRd:位置決め凹部、132CR:法面刈取り部取付ピン、133CL:角度調整ピン、133CR:角度調整ピン、134CR:法面刈取り部連結部、140CL、140CR、140L、140R:取っ手、150:折畳み機構、160、160L、160R:角度調整機構、170L:回動軸、170R:回動軸、171L:下方制限ピン、171R:下方制限ピン、181CL、181CR:格納係合部材、182CL、182CR:孔、183CL、183CR:連結ボルト、184CL、184CR:係脱操作部材、185CL、185CR:ピン移動凹部、186CL、186CR:法面刈取り部下限位置決めピン、187CR、187CL:操作レバー部、188CR:軸、200:畦、201:天面、202:法面、203:水平面、204CL、204CR、204L、204R:刈面、205:面、206:面