(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015142
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】低摩擦係数を有する水溶性フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 29/04 20060101AFI20230124BHJP
C08L 3/12 20060101ALI20230124BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20230124BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20230124BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230124BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C08L29/04 B
C08L3/12
C08K5/053
B65D65/46
C11D3/37
C11D17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172084
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2019520819の分割
【原出願日】2017-10-27
(31)【優先権主張番号】62/413,929
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.POLAROID
(71)【出願人】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】リー デイヴィッド エム
(72)【発明者】
【氏名】ブロンビー パーシー ザ セカンド
(57)【要約】
【課題】水溶性パッケージへと形成することができ、他の水溶性フィルムに粘着する傾向が低減されて水溶性を維持することができる水溶性フィルムが当分野において必要とされている。
【解決手段】本開示は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、(a)デンプンが、約5phr~約30phrの量でヒドロキシプロピル化デンプンを含む、(b)デンプンが、約2.5phr~約30phrの量で、約2%を超える変性度を有する変性デンプンを含む、(c)デンプンが、約20%~約80%のアミロース含有量を有する非変性デンプンである、または(d)デンプンが、約23%~約95%のアミロース含有量を有すヒドロキシプロピル化デンプンを含み、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、もしくはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールを含む、水溶性フィルムを提供する。本開示は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む密封された物品をさらに提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、前記デンプンが、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含む、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記ヒドロキシプロピル化デンプンが、約65%~約95%の範囲のアミロース含有量を有する、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記ヒドロキシプロピル化デンプンが、約4%~約8%の変性度を有する、請求項1または請求項2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記デンプンが、約6phr~約10phrの範囲の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記デンプンが、約8phrの量で存在し、76ミクロンのフィルムが、MSTM-205によって測定した場合、約90秒未満の冷水溶解度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記デンプンが、約12phr~約16phrの範囲の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記フィルムが、少なくとも40MPaの引張強度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記フィルムが、約45MPaを超える引張強度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、約5以下の光沢対光沢静摩擦係数を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記可塑剤が、約1phr~約40phrの範囲の量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
前記可塑剤が、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジグリセロール、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項12】
前記可塑剤が、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ソルビトール、グリセロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項13】
界面活性剤、酸化防止剤、苦味剤、ソイルリリースポリマー、再付着防止剤、キレート剤、ビルダー、香料、または前述のものの組み合わせをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項14】
前記フィルムが、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項15】
前記ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールホモポリマー、アニオン変性を有するポリビニルアルコールコポリマー、および前述のものの組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項16】
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、請求項1~15のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを含む、密封された物品。
【請求項17】
前記内部パウチ容積に収容されている組成物をさらに含む、請求項16に記載の密封された物品。
【請求項18】
前記組成物が、洗剤組成物である、請求項17に記載の密封された物品。
【請求項19】
前記洗剤組成物が、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の密封された物品。
【請求項20】
水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、前記変性デンプンが、約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、水溶性フィルム。
【請求項21】
前記変性デンプンが、約4%~約8%の変性度を有する、請求項20に記載の水溶性フィルム。
【請求項22】
前記変性デンプンが、約65%~約95%の範囲のアミロース含有量を有する、請求項20または請求項21に記載の水溶性フィルム。
【請求項23】
前記変性デンプンが、ヒドロキシアルキル変性を含み、前記アルキルが、3個以上の炭素原子の鎖長を有する、請求項20~22のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項24】
前記ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールホモポリマー、アニオン変性を有するポリビニルアルコールコポリマー、および前述のものの組み合わせからなる群から選択されたポリビニルアルコールを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項25】
前記ポリビニルアルコールが、アニオン変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項23に記載の水溶性フィルム。
【請求項26】
前記デンプンが、約6phr~約10phrの範囲の量で存在する、請求項20~25のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項27】
前記デンプンが、約8phrの量で存在し、76ミクロンのフィルムが、MSTM-205によって測定した場合、約90秒未満の冷水溶解度を有する、請求項20~26のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項28】
前記デンプンが、約12phr~約16phrの範囲の量で存在する、請求項20~25のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項29】
前記フィルムが、少なくとも40MPaの引張強度を有する、請求項20~28のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項30】
前記フィルムが、約45MPaを超える引張強度を有する、請求項20~29のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項31】
前記フィルムが、5以下の光沢対光沢静摩擦係数を有する、請求項20~30のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項32】
前記可塑剤が、約1phr~約40phrの範囲の量で存在する、請求項20~31のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項33】
前記可塑剤が、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジグリセロール、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項20~32のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項34】
前記可塑剤が、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ソルビトール、グリセロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20~33のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項35】
界面活性剤、酸化防止剤、苦味剤、ソイルリリースポリマー、再付着防止剤、キレート剤、ビルダー、香料、または前述のものの組み合わせをさらに含む、請求項20~34のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項36】
前記フィルムが、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする、請求項20~35のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項37】
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、請求項20~36のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを含む、密封された物品。
【請求項38】
前記内部パウチ容積に収容されている組成物をさらに含む、請求項37に記載の密封された物品。
【請求項39】
前記組成物が、洗剤組成物である、請求項38に記載の密封された物品。
【請求項40】
前記洗剤組成物が、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項39に記載の密封された物品。
【請求項41】
水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、前記デンプンが、20%~80%の範囲のアミロース含有量を有する、水溶性フィルム。
【請求項42】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約60重量%~約95重量%の量で存在する、請求項41に記載の水溶性フィルム。
【請求項43】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約85重量%~約95重量%の量で存在する、請求項41または請求項42に記載の水溶性フィルム。
【請求項44】
前記デンプンが、約2phr~約30phrの範囲の量で存在する、請求項41~43のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項45】
前記デンプンが、約2phr~約5phrの範囲の量で存在する、請求項41~44のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項46】
前記フィルムが、約1の光沢対光沢静摩擦係数を有する、請求項41~45のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項47】
前記デンプンが、約40重量%~約60重量%の範囲のアミロース含有量を有する、請求項41~46のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項48】
前記可塑剤が、約1phr~約40phrの範囲の量で存在する、請求項41~47のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項49】
前記可塑剤が、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジグリセロール、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項41~48のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項50】
前記可塑剤が、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ソルビトール、およびグリセロールからなる群から選択される、請求項41~49のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項51】
界面活性剤、酸化防止剤、苦味剤、ソイルリリースポリマー、再付着防止剤、キレート剤、ビルダー、香料、または前述のものの組み合わせをさらに含む、請求項41~50のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項52】
前記フィルムが、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする、請求項41~51のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項53】
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、請求項41~52のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを含む、密封された物品。
【請求項54】
前記内部パウチ容積に収容されている組成物をさらに含む、請求項53に記載の密封された物品。
【請求項55】
前記組成物が、洗剤組成物である、請求項54に記載の密封された物品。
【請求項56】
前記洗剤組成物が、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項55に記載の密封された物品。
【請求項57】
水溶性ポリビニルアルコールと、可塑剤およびヒドロキシプロピル変性デンプンとの混合物を含む水溶性フィルムであって、前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、前記デンプンが、23%~95%の範囲のアミロース含有量を有し、前記ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、またはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む、水溶性フィルム。
【請求項58】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約60重量%~約95重量%の量で存在する、請求項57に記載の水溶性フィルム。
【請求項59】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルムの総重量に基づいて約85重量%~約95重量%の量で存在する、請求項57または請求項58に記載の水溶性フィルム。
【請求項60】
前記デンプンが、約5phr~約12phrの範囲の量で存在する、請求項57~59のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項61】
前記フィルムが、約5以下の光沢対光沢静摩擦係数を有する、請求項57~60のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項62】
前記デンプンが、約50重量%~約95重量%の範囲のアミロース含有量を有する、請求項57~61のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項63】
前記ヒドロキシプロピル変性デンプンが、2%を超えるヒドロキシプロピル変性を含む、請求項57~62のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項64】
前記ヒドロキシプロピル変性デンプンが、約4%~約8%のヒドロキシプロピル変性を含む、請求項57~63のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項65】
前記可塑剤が、約1phr~約40phrの範囲の量で存在する、請求項57~64のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項66】
前記可塑剤が、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジグリセロール、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項57~65のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項67】
前記可塑剤が、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ソルビトール、およびグリセロールからなる群から選択される、請求項57~66のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項68】
界面活性剤、酸化防止剤、苦味剤、ソイルリリースポリマー、再付着防止剤、キレート剤、ビルダー、香料、または前述のものの組み合わせをさらに含む、請求項57~67のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項69】
前記フィルムが、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする、請求項57~68のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項70】
内部パウチ容積を画定するパウチの形態の、請求項57~69のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを含む、密封された物品。
【請求項71】
前記内部パウチ容積に収容されている組成物をさらに含む、請求項70に記載の密封された物品。
【請求項72】
前記組成物が、洗剤組成物である、請求項71に記載の密封された物品。
【請求項73】
前記洗剤組成物が、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項72に記載の密封された物品。
【請求項74】
前記デンプンが、乾燥状態で1ミクロン~約6ミクロンの範囲の平均粒径を有する、請求項1~15、20~36、41~52、および57~69のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項75】
前記デンプンが、75℃を超えかつ最大300℃の糊化温度を有する、請求項1~15、20~36、41~52、57~69、および74のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、水溶性フィルムおよび関連するパケットに関する。より具体的には、本開示は、低い摩擦係数、したがって変換装置および他の水溶性フィルムなどの表面に粘着する傾向の低減を実証することができる、ポリビニルアルコール系水溶性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマーフィルムは、送達される材料の分散、注入、溶解、および投与を単純化する包装材料として一般的に使用される。消費者は、バケツ、シンク、または水を保持するために好適な任意の容器等の混合容器にパウチ入り組成物を直接添加することができる。有利なことに、これは、消費者がその組成物を計量する必要性をなくすと同時に正確な投与を提供する。パウチ入り組成物はまた、材料を注入または掬う等、製品容器から材料を分配することに関連するであろう散らかりを低減し得る。要するに、可溶性の予め計量されたポリマーフィルムパウチは、種々の用途における消費者の使用に利便性を提供する。
【0003】
しかしながら、水溶性ポリマーから調製された水溶性フィルムは、それらが形成される(または例えばパウチに変換される)表面および/または他の水溶性フィルムに粘着する場合がある。かかる問題は、フィルムがパウチへと形成され、パウチが二次包装内で一緒に保管されるときに特に起こり得る。粘着防止剤は、パウチの保存中の、製造表面への粘着およびパウチ同士の粘着を防止するために、水溶性フィルムの粘着性を低減するために使用されてきた。しかしながら、特により高い充填レベルで粘着防止剤を含むことは、一般に、得られるフィルムの機械的特性に有害な影響を有する。特に、水溶性フィルムの引張強度が一般に減少し、その結果フィルムを単回投与用パウチへと加工することが困難になる。代替的な解決策としては、タルク、デンプン、または同様の粒子を用いてフィルムに粉付けすることが挙げられるが、粉付けプロセスは一般に面倒であり、粉末材料の無駄と機械のダウンタイムをもたらす。
【0004】
したがって、水溶性パッケージへと形成することができ、他の水溶性フィルムに粘着する傾向が低減されて水溶性を維持することができる水溶性フィルムが当分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含む、フィルムを提供する。
【0006】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含む、密封された物品を提供する。
【0007】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、変性デンプンが、約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、フィルムを提供する。
【0008】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、変性デンプンが、約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、密封された物品を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約20%~約80%の範囲のアミロース含有量を有する、フィルムを提供する。
【0010】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約20%~約80%の範囲のアミロース含有量を有する、密封された物品を提供する。
【0011】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコールと、可塑剤およびヒドロキシプロピル変性デンプンとの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有し、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、またはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む、フィルムを提供する。
【0012】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコールと、可塑剤およびヒドロキシプロピル変性デンプンとの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有し、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、またはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む、密封された物品を提供する。
【0013】
本開示の別の態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む密封された物品であって、水溶性フィルムが、本明細書に記載の任意の態様または実施形態に従って定義されている、密封された物品を提供する。
【0014】
本明細書に記載の組成物については、これらに限定されないが、構成成分、およびその組成範囲を含む任意選択的な特徴は、本明細書で提供される様々な態様、実施形態、および実施例から選択されることが考慮される。例えば、実施例6~45に記載の実施形態および配合手法は、本明細書の説明に提供されている追加の特徴のうちのいずれかと組み合わせられ得る。
【0015】
さらなる態様および利点は、以下の詳細な説明の考察から当業者に明らかとなるであろう。本開示のフィルムおよびパウチは、種々の形態の実施形態の影響を受けるが、以下の説明は、本開示が例示的であり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図しない、という理解の下に、特定の実施形態を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の理解をさらに促進するために、2つの図面が、本明細書に添付されている。
【0017】
【
図1】アミロースおよびアミロペクチンのレンダリングを示す。
【
図2】フィルム試験片の摩擦係数を測定するための機器の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の一態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含む、フィルムを提供する。
【0019】
この態様に従ったフィルムは、驚くべきことに、(1)下記の引張強度試験に従って、約45MPa~約60MPaの範囲の引張強度を特徴とするパウチへと、自動化された装置を使用して高いデンプン充填量で変換される優れた能力(変換性)、(2)MSTM-205に従って100秒以下の冷水(10℃)溶解時間を特徴とする優れた水溶性、および(3)下記の摩擦係数試験によって測定した場合、約5以下の比較的低い光沢対光沢静摩擦係数(COF)を特徴とする、フィルム同士の良好な粘着防止特性、の組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0020】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、およびデンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含む、密封された物品を提供する。
【0021】
実施形態では、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約65%~約95%の範囲のアミロース含有量を有する。本明細書で使用される場合、かつ特に言及されない限り、アミロースの百分率は、本質的に水、アミロース、およびアミロペクチンからなる約12重量%の水を有するデンプン中のアミロースおよびアミロペクチンの総重量に基づく重量の百分率である。例えば、65%のアミロース含有量を有するデンプンは、35%のアミロペクチン含有量を有する。
図1に示されるように、アミロースは、α(1→4)グリコシド結合を介して結合しているα-D-グルコース単位の線状らせん状ポリマーを含み、アミロペクチンは(1→4)グリコシド結合で線状に結合している、例えば24~30グルコース単位ごとに起こる、α(1→6)結合で分岐が起こるグルコースの高分岐ポリマーを含む。理論に拘束されることを意図しないが、典型的な変性デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化、ヒドロキシエチル化デンプン、またはアセテート変性デンプン)は、アミロース鎖およびアミロペクチン鎖の両方の全体に、ランダムにまたは実質的にランダムに分布している変性(例えば、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、またはアセテート基)を有すると考えられる。一態様では、本明細書で使用するための変性デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化またはヒドロキシエチル化デンプン)は、アミロース鎖およびアミロペクチン鎖の両方の全体にランダムに分布している変性を有するであろう。代替的な一態様では、本明細書で使用するための変性デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化またはヒドロキシエチル化デンプン)は、アミロース鎖およびアミロペクチン鎖の両方の全体に非ランダムに分布している変性を有するであろう。
【0022】
実施形態では、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約4%~約8%の範囲の変性度を有し得る。本明細書で使用される場合、かつ特に言及されない限り、デンプンの変性度は重量パーセントである。デンプンの変性は、0~3の置換度(DS)としても特徴付けられ得、0のDSが、各グルコース環に変性されているOH基がないことを意味し、3のDSが、各グルコース環上の3つすべてのOH基が変性されていることを意味する。実施形態では、ヒドロキシプロピル化デンプンは、例えば、約0.05~約0.4、または約0.1~約0.3の範囲の、または約0.1、約0.2、約0.3、もしくは約0.4のDSを有し得る。実施形態では、デンプンは、約6phr~約16phrの範囲の量で存在する。実施形態では、デンプンは、約6phr~約10phrの範囲の量で存在する。実施形態では、デンプンは、約12phr~約16phrの範囲の量で水溶性フィルム中に存在する。実施形態では、水溶性フィルムは、本明細書に記載の引張強度試験によって決定される場合、少なくとも40MPaの引張強度を有する。実施形態では、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマー、アニオン変性を有するポリビニルアルコールコポリマー、および前述のものの組み合わせからなる群から選択されたポリビニルアルコールを含む。
【0023】
実施形態では、水溶性フィルムは、本明細書に記載の摩擦係数試験によって決定される場合、約5以下、または約0.1~約5、または約0.5~約5の光沢対光沢(G-G)静摩擦係数を有する。水溶性フィルムの光沢側面とは、流延面上に流延された水溶性フィルムの空気側面を指す。水溶性フィルムのつや消し側面とは、流延面上に流延された水溶性フィルムの流延面側を指す。実施形態では、水溶性フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減されたG-G静摩擦係数を特徴とする。G-G静摩擦係数が低いほど、フィルム(またはそれから形成されたパウチ)が、形成される(または例えばパウチへと変換される)表面および/または他の水溶性フィルムに粘着する可能性が低い。本明細書で使用される場合、「光沢対光沢静的摩擦係数」は、同じ配合を有する2つの水溶性フィルムの光沢側面間の静的摩擦係数を指す。本明細書で使用される場合、「光沢対つや消し静摩擦係数」は、同じ配合を有する2つの水溶性フィルムの光沢側面とつや消し側面との間の静摩擦係数を指す。本明細書で使用される場合、「つや消し対つや消し静摩擦係数」は、同じ配合を有する2つの水溶性フィルムのつや消し側面間の静摩擦係数を指す。本明細書に記載の摩擦係数は、光沢対光沢静摩擦係数である。光沢対光沢静摩擦係数は、典型的には、所与の流延水溶性フィルムについての光沢対つや消し静摩擦係数およびつや消し対つや消し摩擦係数よりも高い。理論に拘束されることを意図しないが、ブローフィルムは流延表面上に流延されず、ブローフィルムのすべての側面は空気側面または「光沢」側面とみなすことができ、したがって、流延フィルムの光沢対光沢静摩擦係数は、流延フィルムと同じフィルム組成を有するブローフィルムの静摩擦係数を表すと考えられる。
【0024】
実施形態では、密封された物品は、内部パウチ容積に収容されている組成物を含む。実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。実施形態では、洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0025】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、変性デンプンが、約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、フィルムを提供する。
【0026】
この態様に従ったフィルムは、驚くべきことに、(1)下記の引張強度試験に従って、約45MPa~約60MPaの範囲の引張強度を特徴とするパウチへと、自動化された装置を使用して高いデンプン充填量で変換される優れた能力(変換性)、(2)MSTM-205に従って100秒以下の冷水(10℃)溶解時間を特徴とする優れた水溶性、および(3)下記の摩擦係数試験によって測定した場合、約5以下または比較的低い光沢対光沢静摩擦係数(COF)を特徴とする、フィルム同士の良好な粘着防止特性、の組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0027】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、変性デンプンが、約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、密封された物品を提供する。
【0028】
実施形態では、変性デンプンは、約4%~約8%の変性度を有する。実施形態では、変性デンプンは、約65%~約95%の範囲のアミロース含有量を有する。実施形態では、変性デンプンは、ヒドロキシアルキル変性を含み、アルキルは、3個以上の炭素、または3~8個の炭素、または3~5個の炭素、または3個の炭素の鎖長を有する。本明細書で使用される場合、「アルキル」は、1~30個の炭素原子、例えば、1~20個の炭素原子、または1~10個の炭素原子を含有する直鎖状および分岐状飽和炭化水素基を指す。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル(2-メチルプロピル)、t-ブチル(1,1-ジメチルエチル)、3,3-ジメチルペンチル、および2-エチルヘキシルが挙げられる。特に示されない限り、アルキル基は、非置換アルキル基または置換アルキル基であり得る。本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシル基で置換されているアルキル基を指す。ヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0029】
実施形態では、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマー、アニオン変性を有するポリビニルアルコールコポリマー、および前述のものの組み合わせからなる群から選択されたポリビニルアルコールを含む。実施形態では、デンプンは、約6phr~約16phrの範囲の量で存在する。実施形態では、デンプンは、約6phr~約10phrの範囲の量で存在する。実施形態では、デンプンは、約12phr~約16phrの範囲の量で存在する。実施形態では、水溶性フィルムは、本明細書に記載の引張強度試験によって決定される場合、少なくとも約40MPaかつ最大約60MPaの引張強度を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、本明細書に記載の摩擦係数試験によって決定される場合、約5以下、または約0.1~約5、または約0.5~約5、または約0.1~約3、または約0.1~約2のG-G静摩擦係数を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減されたG-G静摩擦係数を特徴とする。
【0030】
実施形態では、密封された物品は、内部パウチ容積に収容されている組成物を含む。実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。実施形態では、洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0031】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約20%~約80%の範囲のアミロース含有量を有する、フィルムを提供する。
【0032】
この態様に従ったフィルムは、驚くべきことに、(1)MSTM-205に従って100秒以下の冷水(10℃)溶解時間を特徴とする、優れた水溶性、(2)下記の摩擦係数試験によって測定した場合、約1以下の比較的低い光沢対光沢静摩擦係数(COF)を特徴とする、フィルム同士の優れた粘着防止特性、および(3)下記の引張強度試験に従って、約40MPa~約60MPaの範囲の引張強度を特徴とする特徴とするパウチへと、自動化された装置を使用して高いデンプン充填量で変換される良好な能力(変換性)、の組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0033】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約20%~約80%の範囲のアミロース含有量を有する、密封された物品を提供する。
【0034】
実施形態では、ポリビニルアルコールは、フィルムの総重量に基づいて、約85重量%~約95重量%の量で水溶性フィルム中に存在する。実施形態では、非変性デンプンは、約2phr~約30phrの範囲の量で存在する。実施形態では、非変性デンプンは、約2phr~約5phrの範囲の量で存在する。実施形態では、水溶性フィルムは、約1以下のG-G静摩擦係数を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0035】
実施形態では、密封された物品は、内部パウチ容積に収容されている組成物を含む。実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。実施形態では、洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0036】
本開示の別の態様は、水溶性ポリビニルアルコールと、可塑剤およびヒドロキシプロピル変性デンプンとの混合物を含む水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有し、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、またはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む、フィルムを提供する。
【0037】
この態様に従ったフィルムは、驚くべきことに、(1)下記の引張強度試験に従って、約45MPa~約60MPaの範囲の引張強度を特徴とするパウチへと、自動化された装置を使用して高いデンプン充填量で変換される優れた能力(変換性)、(2)100秒以下の冷水(10℃)溶解時間を特徴とする優れた水溶性、および(3)下記の摩擦係数試験によって測定した場合、約5以下の比較的低い光沢対光沢静摩擦係数(COF)を特徴とする、フィルム同士の良好な粘着防止特性、の組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0038】
本開示の関連する態様は、内部パウチ容積を画定するパウチの形態の水溶性フィルムを含む、密封された物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリビニルアルコールと、可塑剤およびヒドロキシプロピル変性デンプンとの混合物を含み、ポリビニルアルコールが、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量で存在し、デンプンが、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有し、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコール、またはアニオン性変性剤がアクリレートもしくはアルキルアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む、密封された物品を提供する。
【0039】
実施形態では、デンプンは、約5phr~約12phrの範囲の量で存在する。実施形態では、水溶性フィルムは、約5以下、または約0.1~約5、または約0.5~約5、または約0.1~3、または約0.1~約2のG-G静摩擦係数を有する。実施形態では、デンプンは、約50重量%~約95重量%の範囲のアミロース含有量を有する。実施形態では、ヒドロキシプロピル変性デンプンとしては、2%を超えるヒドロキシプロピル変性、例えば2.1%~8%のヒドロキシプロピル変性が挙げられる。実施形態では、ヒドロキシプロピル変性デンプンとしては、約4%~約8%のヒドロキシプロピル変性が挙げられる。実施形態では、水溶性フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0040】
実施形態では、密封された物品は、内部パウチ容積に収容されている組成物を含む。実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。実施形態では、洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0041】
本開示に従う水溶性フィルムとみなされるためには、フィルムは、約1.5ミル(約0.038mm)の厚さで、MonoSol Test Method MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に300秒以下で溶解する。
【0042】
「含む(備える)」は、本明細書で使用される場合、本開示の実施において相まって用いられ得る様々な構成成分、成分、またはステップを意味する。したがって、用語「含む」は、より限定的な用語「本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」を包含する。本組成物は、本明細書に開示の必要とされる要素および任意選択的な要素のうちのいずれかを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。例えば、熱成形パケットは、フィルムの熱成形特徴の使用のために本明細書に記載のフィルム「から本質的になり」得る一方で、非熱成形フィルム(例えば、フタ部分)、および例えばインクジェット印刷によるフィルム上の任意選択的な印を含む。本明細書において例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で、好適に実施され得る。
【0043】
特に明記されない限り、本明細書で言及されるすべての百分率、部、および比は、場合に応じて、本開示のフィルム組成物の乾燥総重量またはパケット収容組成物の総重量に基づき、測定はすべて、約25℃で行われる。特に明記されない限り、列挙された成分に関連するかかる重量はすべて、活性レベルに基づくものであり、したがって、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0044】
本明細書に記載されるすべての範囲は、すべての可能なサブセットの範囲およびそのようなサブセットの範囲の任意の組み合わせを含む。デフォルトでは、範囲は、別に記載されない限り、記載される終了点を含む。値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間の各々の間の値、およびその記載される範囲内の任意の他の記載される値または間にある値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、そのより小さな範囲内に含まれ得、また、記載される範囲内の任意の具体的に除外される限界値に従って、本開示内に包含される。記載される範囲がこれらの限界値のうちの1つまたは両方を含む場合、これらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲も、本開示の一部であることが考慮される。
【0045】
例えば、記載される目的物のパラメータまたは記載される目的物に関連付けられた範囲の一部として、本明細書に記載される任意の数値の場合、説明の一部を形成する代替物は、特定の数値の周辺の機能的に等価の範囲であることが明白に考慮される(例えば、「40mm」として開示された寸法について、考慮される別の実施形態は「約40mm」である)。同様に、「約」によって記載される値は、代替的な実施形態として具体的な値自体を明示的に含む(例えば、「約40」として記載される終点について、考慮される代替的な実施形態は「40」である)。
【0046】
明細書で使用される場合、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、互換性があるとみなされるべきである。ある特定の実施形態では、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、それぞれ、フィルムを使用して作製された容器、および好ましくは、例えば計量された用量の送達システムの形態の、その中に材料を密封する、密封された容器を指すために使用される。密封パウチは、ヒートシール、溶剤接着、および接着密封(例えば、水溶性接着剤を用いて)等のプロセスおよび特徴を含む、任意の好適な方法で作製することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、および特に言及されない限り、用語「重量%(wt.%)」および「重量%(wt%)」は、フィルム中の残留湿度(適用できる場合)を含むフィルム全体の「乾燥」(無水)重量部中の特定の要素の組成、またはパウチ内に内包される全組成物の重量部(適用できる場合)を指すことを意図している。
【0048】
本明細書で使用される場合、および特に言及されない限り、用語「PHR」(「phr」)は、水溶性フィルム中の水溶性ポリマー樹脂(PVOHかまたは他のポリマー樹脂かにかかわらないが、デンプンを含まない)百部当たりの、指定される要素の組成の部を指すことを意図する。
【0049】
フィルムは、溶液流延法を含む、任意の好適な方法によって作製され得る。フィルムは、縦型形成充填密封(VFFS)、回転ドラム横型形成充填密封、または熱成形、および、例えば、容器周囲周辺へのフィルム層の溶剤密封または熱密封を含む、任意の好適なプロセスによって、容器(パウチ)を形成するために使用されることができる。パウチは、例えば、バルク水に送達される材料を投入するために使用され得る。
【0050】
任意の実施形態では、水溶性パウチは、パウチの画定された内部容積内に組成物を収容(内包)し得る。組成物は、液体、固体、またはそれらの組み合わせから選択することができる。本明細書で使用される場合、「液体」は、自由流動性の液体、ならびにペースト、ゲル、フォーム、およびムースを含む。液体の非限定的な例としては、液体軽質および液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗いおよび/または食洗器用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、一般に洗濯に使用される洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、ならびにボディウォッシュなどの洗剤組成物が挙げられる。かかる洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含み得る。任意選択的に、洗剤組成物は、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、およびボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0051】
液体の非限定的なさらなる例としては、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物(任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む)を含む、非家庭用ケア組成物が挙げられる。実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。
【0052】
気体、例えば、懸濁気泡、または固体、例えば、粒子を液体内に含めることができる。本明細書で使用する「固体」には、粉末、凝集物、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。固体の非限定的な例としては、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、および真珠玉が挙げられる。固体組成物は、これらに限定されないが、香料を含むマイクロカプセルまたは酵素を含むマイクロカプセルなどの、洗浄を通じた利益、前処理的利益、および/または審美的効果を含む、技術的利益を提供し得る。
【0053】
フィルム、パウチ、ならびに関連する作製方法および使用方法は、特に記載されない限り、さらに下記の(実施例に示されるものを含む)1つ以上の追加の任意選択的な要素、特徴、およびステップのうちのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが考慮される。
【0054】
水溶性フィルム
本明細書に記載の水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。実施形態では、PVOHは、PVOHホモポリマー、アニオン変性を有するPVOHコポリマー、および前述のものの組み合わせからなる群から選択されたPVOH樹脂を含む。フィルムは、任意の好適な厚さを有し得、約76ミクロン(μm)のフィルム厚が、典型的であり、特に考慮される。考慮される他の値および範囲としては、約5~約200μmの範囲、または約20~約100μm、または約40~約90μm、または約50~約80μm、または約または約60~約65μmの範囲、例えば、65μm、76μm、88μmの値が挙げられる。
【0055】
PVOH樹脂
本明細書に記載のフィルムは、フィルムのPVOH樹脂内容物を構成するように1つ以上のPVOHポリマーを含み、PVOHコポリマーを含み得る。
【0056】
ポリビニルアルコールは、通常加水分解または鹸化と称されるポリビニルアセテートのアルコール分解により一般に調製される合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された、高結晶性ポリマーであり、約140°F(約60℃)よりも高温の温水にのみ溶解する。ポリビニルアセテートの加水分解後に十分な数のアセテート基が残存することが可能である、つまりPVOHポリマーが部分的に加水分解される場合、ポリマーは、より弱く水素結合され、結晶性がより低く、一般に約50°F(約10℃)未満の冷水に溶解する。したがって、部分的に加水分解されたポリマーはPVOHコポリマーであるが一般的にPVOHと称される、ビニルアルコール-ビニルアセテートコポリマーである。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」という用語は、一般に、単一の種類のモノマー反復単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー反復単位からなる、または本質的になるポリマー鎖)を含む。PVOHの特定の場合について、用語「ホモポリマー」(または「PVOHホモポリマー」または「PVOHポリマー」)は、加水分解度に応じた、ビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の分布を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルモノマー単位からなる、または本質的になるポリマー鎖)をさらに含む。100%加水分解の限定的な場合において、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する真のホモポリマーを含むことができる。
【0058】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載のように、新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することによって決定される。20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を述べることが、国際的慣行である。本明細書にセンチポアズ(cP)で指定するすべての粘度は、特に言及されない限り、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する(または有しない)と記載されている場合は、特に言及されない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する樹脂の平均粘度であることを意図する。
【0059】
PVOH樹脂がPVOHポリマーブレンドであるとき、樹脂は、加重対数平均粘度
【数1】
に基づいて選択され得る。2つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数2】
は、式
【数3】
によって計算され、式中、μ
ιが、対応するPVOHポリマーの粘度である。
【0060】
参考として、水溶性フィルムは、20℃で4%の溶液粘度
【数4】
を有するPVOH樹脂または樹脂ブレンドを含む。様々な実施形態では、粘度
【数5】
は、約4cP~約30cP、約5cP~約28cP、約12cP~約25cP、約18cP~約26CP、約14cP~約23cP、約22cP~約26cP、または約15cP~約20cPの範囲の、例えば、約10cP、約11cP、約12cP、約13cP、約14cP、約14.5cP、約15cP、約16cP、約16.5cP、約17cP、約17.5cP、約18cP、約18.5cP、約19cP、約19.5cP、約20cP、約21cP、約22cP、約23cP、約24cP、約25cP、約26cP、約27cP、約28cP、約29cP、または約30cPであり得る。PVOH樹脂の粘度は、PVOH樹脂の重量平均分子量
【数6】
と相関し、多くの場合、粘度は
【数7】
の代用として使用されることは、当該技術分野において公知である。
【0061】
PVOH樹脂は、少なくとも80%、84%、または85%、および最大約99.7%、98%、96%、または80%、例えば、約84%~約90%、または85%~88%の範囲の、または86.5%、または85%~99.7%、約88%~98%、または90%~96%の範囲の、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、または96%の、または87~93の範囲の、加水分解度(D.H.またはDH)を有し得る。本明細書で使用される場合、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換されたビニルアセテート単位のモル百分率として表される。
【0062】
さらに、PVOH樹脂がPVOH樹脂ブレンドであるとき、約80%~約99.7%、約85%~約98%、または約87~約93%、または約96~98%、例えば約85%、または約86%、または約87%、または約87.5%、または約88%、または約88.5%、または約89%、または約89.5%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約96.5%、または約97%、または約97.5%、または約98%の加重算術平均加水分解度
【数8】
を有するPVOH樹脂ブレンドを選択することが望ましい。例えば、2つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数9】
は、式
【数10】
によって計算され、式中、W
iが、対応するPVOHポリマーの重量パーセントであり、H
iが、対応する加水分解度である。
【0063】
水溶性フィルムは、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位(すなわち、完全に加水分解されていないとき)、および単一の種類のアニオン性モノマー単位(例えば、単一の種類のモノマー単位が、アニオン性モノマー単位の等価の酸の形態、塩の形態、および任意選択的にエステルの形態を含み得るとき)を含むPVOHターポリマーであり得るPVOHコポリマーが挙げられ得る。いくつかの態様では、PVOHコポリマーは、2つ以上の種類のアニオン性モノマー単位を含み得る。PVOHコポリマーに使用され得るアニオン性モノマー単位の一般的な部類としては、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステルおよび無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステルおよび無水物、ならびに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位が挙げられる。好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、アクリル酸アルキル、アルキルアルカクリレート(alkacrylate)、ビニルスルホン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせを含む、ビニルアニオン性モノマーに相当するビニル重合単位が挙げられる。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、アクリレートでもアルキルアルカクリレートでもない。
【0064】
実施形態では、アニオン性モノマー単位は、ビニル酢酸、アクリル酸アルキル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、スルホン酸アルキル、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、スルホン酸アルキル、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、アクリレートでもアルキルアルカクリレートでもない。
【0065】
ある種類の実施形態では、PVOHは、カルボキシル基変性コポリマーである。別の態様では、PVOHは、ジカルボキシル型のモノマーで変性され得る。これらの実施形態のうちの1つの部類では、両方のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、マレイン酸、フマル酸)に結合している。これらの実施形態のうちの別の部類では、両方のカルボニルのα炭素は不飽和結合に結合し、不飽和結合は、例えばメチル分岐(例えば、シトラコン酸、メサコン酸)でさらに置換される。これらの実施形態のうちの別の部類では、1つのカルボニルのβ炭素および他のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、イタコン酸、cis-グルタコン酸、trans-グルタコン酸)に接続している。アルキルカルボキシル基を提供するモノマーが考慮される。マレイン酸型(例えば、マレイン酸、マレイン酸ジアルキル(マレイン酸ジメチルを含む)、マレイン酸モノアルキル(マレイン酸モノメチル)または無水マレイン酸を含む)コモノマーが特に考慮される。
【0066】
実施形態では、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸由来のモノマーを含む。マレイン酸誘導モノマーは、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、または他のアルカリ金属塩)、前述のもののエステル(例えば、メチル、エチル、または他のC1~C4またはC6アルキルエステル)、およびそれらの組み合わせ(例えば、複数の種類のアニオン性モノマーまたは等価の形態の同じアニオン性モノマー)のうちの1つ以上であり得る。例えば、マレイン酸誘導モノマーとしては、1つ以上のマレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、およびそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられ得る。同様に、アニオン性モノマーとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、およびそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0067】
ポリビニルアセテートからポリビニルアルコールへの鹸化のための溶剤は、典型的には、得られるPVOH粉末中に、乾燥後でも残存し得るメタノールである。PVOHを溶解すると、メタノールは大気中に放出される。それ故に、PVOH粉末中に残存するメタノール含有量を3重量%未満、またはさらに1重量%未満に低下させることが望ましい。揮発性有機化合物を除去する方法は、PVOHポリマー中の揮発性有機化合物を水で置き換えるために、乾燥ステップ中に水含有ガスを供給することを含む。しかしながら、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル、または無水物で変性されたPVOHは、水に対して高い親和性を有し、水-ガスの使用は、PVOHの加工を困難にする粉末粒子の表面の溶解および粒子の凝集をもたらす。あるいは、高温での長時間の加熱が、残留メタノールを除去するために使用されてきた。しかしながら、そのような高温は、PVOHヒドロキシル部分とモノエステル、ジエステル、および/または無水物単位との間の架橋を促進し、不溶性成分をもたらす。
【0068】
PVOHコポリマー中の残存メタノール量を減少させるために、鹸化されたコポリマーは、約45体積%以上、60体積%以上、または70体積%以上のメチルアセテート含有量を有するメタノール/メチルアセテート混合物中で、洗浄される。例えば、鹸化ステップ後に得られるPVOHゲルは、15/85(v/v)の比のメタノール/メチルアセテートで摩砕することができる。
【0069】
さらに、メタノールの量を減少させるために、最終PVOH樹脂の粒径は、95重量%超が1.0mm篩を通過するか、または30%超が500ミクロン篩を通過するか、または45%超が500ミクロン篩を通過するように、減少され得る。最終PVOH樹脂の粒径が大きすぎると、メタノールの揮発が困難になる。
【0070】
エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステルまたは無水物を含有するPVOHコポリマーの場合、部分鹸化によってラクトン環形成対コポリマー変性の比を制御することによって、不溶性成分の量を減少させることができる。ラクトン環形成対コポリマー変性の比は、式(Q)によって表すことができる。
0.05≦Y/X<0.98(Q)
式中、Xはコポリマー変性であり、Yはラクトン環形成である。不溶性物質の量を減少させるために、Y/Xは約0.80以下、約0.60以下、または約0.40以下である。
【0071】
PVOH樹脂がアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含む場合、PVOHコポリマー中の1つ以上のアニオン性モノマー単位の組み込みレベルは特に限定されない。実施形態では、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、PVOHコポリマー中に、約1モル%~10モル%、または1.5モル%~約8モル%、または約2モル%~約6モル%、または約3モル%~約5モル%、または約1モル%~約4モル%(様々な実施形態では、例えば、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、もしくは4.0モル%、および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、もしくは10モル%)の範囲の量で存在する。
【0072】
水溶性フィルムは、フィルムの総重量に基づいて、少なくとも約20重量%、30重量%、40重量%、55重量%、50重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、もしくは90重量%かつ/または最大約60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、もしくは99重量%のPVOH樹脂または樹脂ブレンドを含有し得る。実施形態では、PVOH樹脂または樹脂ブレンドは、フィルムの総重量に基づいて約20重量%~約95重量%の量でフィルム中に存在する。実施形態では、PVOH樹脂または樹脂ブレンドは、フィルムの総重量に基づいて約60重量%~約95重量%の量でフィルム中に存在する。実施形態では、PVOH樹脂または樹脂ブレンドは、フィルムの総重量に基づいて約85重量%~約95重量%の量でフィルム中に存在する。
【0073】
実施形態では、PVOH樹脂は、PVOHポリマーのブレンドを含む。実施形態では、PVOH樹脂ブレンドは、アニオン変性PVOHポリマーを含む。前述の実施形態の改良において、PVOH樹脂ブレンドは、第2のアニオン変性PVOHポリマーまたはPVOHホモポリマーから選択された第2のPVOHポリマーをさらに含む。PVOH樹脂ブレンドが2つのアニオン変性PVOHポリマーを含む実施形態では、2つのアニオン変性PVOHポリマーは、同じアニオン変性または異なるアニオン変性を有し得る。例えば、2つのアニオン変性PVOHポリマーは、各々マレイン酸変性ポリマーであり得る。さらに、2つのアニオン変性PVOHポリマーは、例えば、マレイン酸変性ポリマーとアセテート変性ポリマーとであり得る。2つのアニオン変性PVOHポリマーが同じアニオン変性を有する実施形態では、粘度、加水分解度、および/またはアニオン変性度から選択された少なくとも1つの特性が、2つのアニオン変性PVOHポリマー間で異なり得る。
【0074】
デンプン
本明細書に記載の水溶性フィルムは、デンプンおよび/または変性デンプンを含む。変性デンプンの非限定的な例としては、エチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、プロピル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、およびアセテート変性デンプンが挙げられる。
【0075】
デンプンは、PVOH樹脂の総量に基づいて、少なくとも約2phr、2.5phr、5phr、6phr、7phr、10phr、12phr、15phr、20phr、もしくは22phrかつ/または最大約5phr、10phr、12phr、16phr、20phr、22phr、24phr、26phr、もしくは30phrの量で提供され得る。例えば、デンプンは、約2.5phr~約30phr、もしくは約5phr~約30phr、もしくは約5phr~約30phr、もしくは約5phr~約15phr、もしくは約6phr~約10phr、もしくは約12phr~約16phr、もしくは約2phr~約5phr、もしくは約5phr~約12phrの範囲、または約2phr、約2.5phr、約3phr、約7phr、約8phr、約9phr、約13phr、約14phr、約16phr、約20phr、約22phr、約24phr、約25phr、もしくは約26phrの量で提供され得る。
【0076】
デンプンは、少なくとも約20%、約23%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、もしくは約75%かつ/または最大約60%、約70%、約80%、約85%、もしくは約95%、例えば、約65%~約95%、もしくは約75%~約85%、もしくは約20%~約80%、もしくは約25%~約70%、もしくは約30%~約70%、もしくは約40%~約60%、もしくは約23%~約95%の範囲内の、アミロース含有量を有し得る。
【0077】
約20%~約80%のアミロース含有量を有するデンプンの供給源としては、ドングリ、リンゴ、アロールート、オオムギ、エステルユリ、ニレの木、白木質、アヤメ塊茎、トウモロコシ、アミロメイズ、エンバク、エンドウ豆、ジャガイモ、サゴおよび小麦が挙げられる。約23%~約95%のアミロース含有量を有するデンプンの供給源としては、ドングリ、リンゴ、エステルユリ、アヤメ塊茎、トウモロコシ、アミロメイズ、エンバク、エンドウ豆、サゴおよび小麦が挙げられる。
【0078】
アミロース含有量の決定は、Amylose and Amylopectin Content of Starches Determined by their Iodine Complex Formation、F.L.Bates,D.French,and R.E.Rundle、J.Am.Chem.Soc.,1943,65(2)、頁142~148に論じられるような、ヨウ素錯体形成によって達成され得る。
【0079】
45%未満のアミロペクチンを含有する高アミロースデンプンは、米国特許第5,300,145号(参照により本明細書に組み込まれる)の第8欄第14行~第9欄第68行に概説されている修正電位差ヨウ素法を用いて、より好適に測定される。55%超、70%超、および89%超のアミロース量を有する高アミロースデンプンは、本明細書に含まれる実施形態である。
【0080】
本明細書で好適なデンプン中に存在するアミロペクチンは、高分子量分画、中分子量分画、および低分子量分画を含み得る。分子量分画は、Journal of Cereal Science 27(1998)289-299、Shi、Y.、Capitani、T.、Trzasko、P.、およびJeffoat、R.に論じられているゲル浸透クロマトグラフィーによって決定され得る。3つすべての重量分画を含むアミロペクチン含有量を有する高アミロースデンプンは、本明細書に含まれる実施形態である。例えば、高アミロースデンプンとしては、2~32%(31.1%など)の高分子量分画のアミロペクチン、59~71%(59.5%など)の線状および分岐状(アミロペクチンとアミロースの混合物)の中分子量分画、ならびに9~27%(9.4%など)の低分子量分画(アミロース)が挙げられ得る。
【0081】
デンプンの平均粒径は、その固体状態にあるときに6ミクロンを超えるべきではなく、例えば、デンプンは約1~約6ミクロン、約1ミクロン~約5.5ミクロン、約1.5ミクロン~約5ミクロン、約2ミクロン~約5ミクロン、約2ミクロン~約4ミクロン、約3ミクロン~約5ミクロン、約3ミクロン~約4ミクロンの範囲、例えば、約1、2、3、4、5、または6ミクロンで提供され得る。理論に拘束されることを意図しないが、デンプンの平均粒径が6ミクロンを超えて増加すると、得られるフィルムの引張強度および伸びなどの物理的特性が悪影響を受けると考えられる。水および熱の存在下では、デンプンは膨潤(例えば、約6ミクロン~約8ミクロン)によってある程度までサイズが増加し、次いで経時的に分解することは、当技術分野において一般的な知識である。したがって、本明細書で使用される場合、デンプンの「平均粒径」は、デンプン原材料の乾燥粒子を指す。乾燥デンプンの平均粒径を決定するための方法は、当技術分野において公知である。
【0082】
水中のデンプンをデンプン糊化温度より低い温度に加熱すると、デンプンは膨潤するであろう。水中のデンプンをデンプン糊化温度以上の温度に加熱すると、デンプンは分解し、ゲルを形成するであろう。所与のデンプンの糊化温度は、これらに限定されないが、デンプンが由来する植物の種類、デンプン中の架橋度、デンプンの変性度、およびアミロース含有量の程度を含むデンプンの種々の特性に依存する。実施形態では、デンプンは、水溶性フィルム原材料が水中で混合される温度よりも高い糊化温度を有する。実施形態では、水中でのデンプンの糊化温度は、約75℃超、約80℃超、約85℃超、約90℃超、または約95℃超かつ最大約300℃、最大約250℃、200℃、または150℃、例えば約80℃~約200℃、または約85℃~約150℃の範囲である。水溶液中に他の化学物質が存在すると、デンプンの糊化特性に影響を与え得る。
【0083】
デンプンは、少なくとも約2%、約4%、約5%、もしくは約6%かつ/または最大約4%、約6%、約7%、もしくは約8%、例えば、約2%超、または約2%~約8%、約4%~約8%、もしくは約5%~約7%の範囲の変性度を有し得る。
【0084】
実施形態では、2つ以上のデンプンを一緒に使用して、デンプンブレンドを形成してもよい。デンプンブレンドとしては、2つの非変性デンプン、2つの変性デンプン、または非変性デンプンと変性デンプンなどの組み合わせが挙げられ得る。例えば、2つ以上の非変性デンプンを一緒にブレンドして、約20%~約95%、または約40%~約60%の平均アミロース含有量を達成してもよい。驚くべきことに、デンプンの混合物を使用すると、ブレンド中の各デンプンは、各デンプンを単独のデンプンとして使用した場合と同じように、独立して最終フィルムの特性に影響を与えることが見出された。したがって、ブレンドの各デンプンは、独立して、本明細書に記載のように、ある程度の変性、糊化温度、粒径、および/またはアミロース含有量を有し得る。
【0085】
実施形態では、デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプンを含み、約5phr~約30phr、任意選択的に約6phr~約10phr、または約12phr~約16phrの範囲の量で水溶性フィルム中に存在する。任意選択的に、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約65%~約95%、または約75%~約85%の範囲のアミロース含有量を有する。任意選択的に、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約4%~約8%、または約5%~約7%の変性度を有する。実施形態では、ヒドロキシプロピル化デンプンを含み、約76ミクロンの厚さを有する水溶性フィルムは、MSTM-205によって測定した場合、約90秒未満の冷水溶解度を有する。
【0086】
理論に拘束されることを意図しないが、当業者は、フィルム中に存在するデンプンの量が増加するにつれて、フィルムの機械的特性(例えば、引張強度および引裂強度)が減少すると予想するであろう。以下に実証されるように、非変性デンプンが、約80:20以上(すなわち、約25phrデンプン)(例えば、70:30)のPVOH樹脂対デンプンの比で水溶性フィルム中に存在するとき、フィルムの引張強度および引裂強度は、80:20未満、例えば97:3のPVOH樹脂対デンプンの比でデンプンを含む等価の水溶性フィルムのものに対して劇的に減少する。
【0087】
有利にも、ヒドロキシプロピル化デンプンを含むフィルムの機械的特性は、フィルムに含まれるヒドロキシプロピル化デンプンの量が約2.5phr~約30phrの範囲にわたって増加すると維持される(すなわち、著しく減少しない)ことが驚くべきことに見出された。実施形態では、水溶性フィルムは、約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンを含み、フィルムは、少なくとも約40MPaまたは少なくとも約45MPa~約60MPaの引張強度を有する。理論に拘束されることを意図しないが、変性デンプンが、アルキルが3個以上の炭素原子、例えば3~8個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル変性デンプンであるとき、ヒドロキシアルキル鎖は、アミロースのらせん構造を破壊して、アミロースがポリビニルアルコール鎖とより密接に会合することを可能にして、非変性デンプンを含むフィルムに対して、得られるフィルムに増加した機械的強度を提供すると考えられる。
【0088】
理論に拘束されることを意図しないが、デンプンを含む水溶性フィルムでは、フィルム中のデンプンの量が増加するにつれて、G-G静摩擦係数が減少すると考えられる。実施形態では、水溶性フィルムは、約5phr~約30phrの範囲のヒドロキシプロピル化デンプンを含み、フィルムは、約5以下、約3以下、約2以下、または約1以下のG-G静摩擦係数を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、約5phr~約30phrの範囲のヒドロキシプロピル化デンプンを含み、フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0089】
実施形態では、デンプンは、約2%を超える変性度を有する変性デンプンを含み、変性デンプンは、約2.5phr~約30phr、任意選択的に約6phr~約16phr、または約6phr~約10phr、または約12phr~約16phrの範囲の量で存在する。任意選択的に、変性度は、約4%~約8%、または約5%~約7%である。任意選択的に、変性デンプンは、約65%~約95%、または約75%~約85%の範囲のアミロース含有量を有する。任意選択的に、変性デンプンは、ヒドロキシアルキル変性を含み、アルキルは、3個以上の炭素原子の鎖長を有する。実施形態では、約2%を超える変性度を有する変性デンプンを含み、約76ミクロンの厚さを有する水溶性フィルムは、MSTM-205によって測定した場合、約90秒未満の冷水溶解度を有する。
【0090】
理論に拘束されることを意図しないが、変性デンプンが約2%を超える変性度を有するとき、変性デンプンを含むフィルムの機械的特性は、フィルムに含まれるデンプンの量が、約2.5phr~約30phrの範囲にわたって増加すると維持された(すなわち、顕著に減少しなかった)と考えられる。実施形態では、水溶性フィルムは、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する、2%を超える変性度を有する変性デンプンを含み、フィルムは、少なくとも約40MPa、または少なくとも約45MPa~約60MPaの引張強度を有する。理論に拘束されることを意図しないが、変性デンプンが約2%を超える、例えば4%~8%の変性度を有するとき、変性はアミロースのらせん構造を破壊し、非変性デンプンを含むフィルムに対して、アミロースがポリビニルアルコール鎖とより密接に会合することを可能にして、非変性デンプンを含むフィルムに対して増加した機械的強度を、得られるフィルムに提供する、と考えられる。
【0091】
実施形態では、水溶性フィルムは、約2.5phr~約30phrの範囲の量で、約2%を超える変性度を有する変性デンプンを含み、フィルムは約5以下、約3以下、約2以下、または約1以下のG-G静摩擦係数を有する。実施形態では、水溶性フィルムは、約2.5phr~約30phrの範囲の量で、2%を超える変性度を有する変性デンプンを含み、フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0092】
実施形態では、水溶性フィルムは、約20%~約80%、任意選択的に約25%~約70%、約30%~約70%、または約40%~約60%の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含む。任意選択的に、非変性デンプンは、約2phr~約30phr、または約2phr~約5phrの範囲の量で存在する。有利には、水溶性フィルムが、約20%を超えかつ約80%未満の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含むとき、フィルムは、より低いデンプン充填量(例えば、約2phr~約5phr)ででさえ、約1以下のG-G静摩擦係数を有することが見出された。実施形態では、水溶性フィルムは、約20%~約80%、任意選択的に約25%~約70%、約30%~約70%、または約40%~約60%の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含み、フィルムは、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0093】
実施形態では、水溶性フィルムは、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプンを含み、PVOH樹脂は、非変性ポリビニルアルコール、アニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。任意選択的に、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約5phr~約12phrの範囲の量で存在する。任意選択的に、ヒドロキシプロピル化デンプンは、約50%~約95%の範囲のアミロース含有量を有する。さらに任意選択的に、ヒドロキシプロピル化デンプンは、2%を超えるヒドロキシプロピル変性、または約4%~約8%のヒドロキシプロピル変性を含む。理論に拘束されることを意図しないが、アクリレート部分は、ヒドロキシアルキル変性デンプンと負に相互作用して、高いG-G静摩擦係数を有するフィルムを生じると考えられる。実施形態では、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプンを含む水溶性フィルムおよびPVOH樹脂は、非変性ポリビニルアルコール、アニオン性変性剤がクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、約5以下の光沢対光沢静摩擦係数を有する。実施形態では、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプンを含む水溶性フィルムおよびPVOH樹脂は、非変性ポリビニルアルコール、アニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、デンプンを含まない等価のフィルム配合物と比較して、低減された光沢対光沢静摩擦係数を特徴とする。
【0094】
他の水溶性ポリマー
PVOH樹脂または樹脂ブレンドに加えて、使用するための他の水溶性ポリマーとしては、これらに限定されないが、ときにPVOHホモポリマーと称されるビニルアルコール-ビニルアセテートコポリマー、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、これらに限定されないが、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、およびデンプン(以前上記のものではない)を含む水溶性天然ポリマー、これらに限定されないが、エチル化デンプン、およびヒドロキシエチル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンを含む水溶性ポリマー変性デンプン(上記のものではない)、前述のもののコポリマー、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられ得る。さらに他の水溶性ポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびそれらの塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸、およびそれらの塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。このような水溶性ポリマーは、PVOHか否かにかかわらず、種々の供給業者から市販されている。実施形態では、水溶性フィルムは、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリアクリル酸またはそれらの塩を含まない。
【0095】
水溶性フィルムは、これらに限定されないが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、粘着防止剤、抗酸化剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型のナノクレイ(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)などのナノ粒子、漂白剤(例えば、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、など)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカライド、および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;オクタアセチルスクロース;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲンなどのフラボノイド;ならびにクアシンおよびブルシンなどのクアシノイド)、および辛味(例えば、カプサイシン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、およびレシンフェラトキシン)などの嫌悪剤、ならびに他の機能的成分などの、他の補助剤および加工助剤を、これらの意図される目的に好適な量で含有し得る。可塑剤を含む実施形態が好ましい。実施形態では、水溶性フィルムは、界面活性剤、酸化防止剤、苦味剤、ソイルリリースポリマー、再付着防止助剤、キレート剤、ビルダー、香料、またはそれらの組み合わせを含む。補助剤の量は、個別にまたは一括して、最大約50重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、4重量%かつ/または少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%、もしくは5重量%であり得る。
【0096】
水溶性フィルム構成成分が溶剤に添加され、混合されるかまたは高温に保持される溶剤流延などの方法では、組成物は褐変する場合がある。かかる褐変は、透明フィルムが求められるため、ほとんどの水溶性フィルム用途にとって望ましくない。したがって、本明細書に記載の方法および組成物は、加熱された組成物の褐変を防止するために、得られるフィルムの重量に基づいて、約0.10重量%~約0.75重量%の範囲、例えば約0.4重量%~約0.7重量%の範囲の量で亜硫酸水素または二亜硫酸を組成物に添加することをさらに含み得る。
【0097】
可塑剤
可塑剤は、材料(通常は樹脂またはエラストマー)に加えられて、(ポリマーのガラス遷移温度を減少させることにより)その材料をより柔軟でより可撓性にし、かつ加工しやすくする液体、固体、または半固体である。ポリマーは、あるいは、ポリマーまたはモノマーを化学的に変性することによって、内部で可塑化し得る。加えてまたはあるいは、ポリマーは、好適な可塑剤の添加によって、外部で可塑化し得る。
【0098】
可塑剤としては、これらに限定されないが、グリセロール、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、最大400MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なVoranol(商標)など)、およびそれらの混合物が挙げられ得る。実施形態では、可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、最大400MWのポリエチレングリコール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なVoranol(商標)など)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、キシリトール、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0099】
可塑剤の全量は、全フィルム重量に基づき、約10重量%~約45重量%、または15重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%、または約20重量%~約45重量%の範囲、例えば、約25重量%であり得る。実施形態では、水溶性フィルム中の可塑剤の量は、水溶性フィルム中の全水溶性ポリマー100部当たりの部(PHR)で表され、例えば、少なくとも1PHR、少なくとも5PHR、少なくとも10PHR、少なくとも15PHR、少なくとも20PHR、少なくとも25PHR、少なくとも30PHR、または少なくとも35PHRの量で存在する。可塑剤の総量は、例えば、最高で40PHRまたは45PHRまたは50PHRであり得る。可塑剤の総量は、例えば、約1PHR~約40PHR、または約10PHR~約40PHR、または約30PHR~約50PHR、または約32.5PHR~約42.5PHR、または約35PHR~約45PHR、または約35PHR~約40PHR、または30PHRを超えかつ45PHR未満、または40PHR~50PHRの範囲であり得る。可塑剤の特定の量は、水溶性フィルムの所望のフィルム可塑性特徴および加工性特徴に基づいて、特定の実施形態において選択され得る。低可塑剤レベルでは、フィルムは、脆くなるか、加工が困難になるか、または破断しやすくなり得る。高可塑剤レベルでは、フィルムは、所望の使用には柔らかすぎるか、弱すぎるか、または加工が困難であり得る。
【0100】
界面活性剤
水溶性フィルムに使用するための界面活性剤は、当該技術分野において公知である。任意には、流延時の樹脂溶液の分散を助けるために界面活性剤が含まれる。適切な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性、および双性イオン性クラスが挙げられ得る。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール、およびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、および四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、ならびにアミンオキシド、N-アルキルベタイン、およびスルホベタイン(双性イオン性)が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な界面活性剤としては、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセロールおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコールおよびアルカノールアミド、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩および四級化ポリオキシエチレン化アミン、ならびにアミンオキシド、N-アルキルベタイン、スルホベタイン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0101】
様々な実施形態では、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約0.1重量%~約8.0重量%、または約1.0重量%~約7.0重量%、または約3重量%~約7重量%、または約5重量%~約7重量%の範囲にある。実施形態では、水溶性フィルム中の可塑剤の量は、水溶性フィルム中の全水溶性ポリマー100部当たりの部(PHR)で表され、約0.5phr~約12phr、約1.0phr~約11.0phr、約3.0phr~約10.5phr、または約1.0phr~約2.0phrの範囲で存在する。
【0102】
適切な潤滑剤/離型剤には、脂肪酸およびその塩、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アミン、脂肪アミンアセテート、ならびに脂肪アミドが含まれ得るが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/離型剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪アミンアセテートである。ある種類の実施形態において、水溶性フィルム中の潤滑剤/離型剤の量は、約0.02重量%~約1.5重量%、任意で約0.1重量%~約1重量%の範囲であり得る。
【0103】
好適な充填剤/増量剤/粘着防止剤/脱粘着剤としては、これらに限定されないが、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ステアリン酸およびその金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。任意選択的に、上述の特定のデンプン構成成分のうちの1つに加えて、例えば約5phr~約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプン、または約2%を超える変性度を有し、約2.5phr~約30phrの範囲の量で存在する変性デンプン、または約20%~約80%の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプン、または、ポリビニルアルコールが、非変性ポリビニルアルコールもしくはアニオン性変性剤がアクリレートではないという条件でアニオン変性ポリビニルアルコールコポリマーを含むとき、約23%~約95%の範囲のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプンなどの追加の非変性デンプンまたは変性デンプンが、水溶性に含まれ得る。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン、およびシリカである。ある種類の実施形態では、水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/粘着防止剤/脱粘着剤の量は、例えば、約1重量%~約6重量%、もしくは約1重量%~約4重量%、もしくは約2重量%~約4重量%、または約1phr~約6phr、もしくは約1phr~約4phr、もしくは約2phr~約4phrの範囲であり得る。実施形態では、上述の特定のデンプン構成成分のうちの1つに加えて、デンプンまたは変性デンプンが水溶性フィルムに含まれるとき、追加のデンプン構成成分は、フィルムに含まれるすべてのデンプンの総重量に基づいて約50重量%未満の量で提供されるであろう。理論に拘束されることを意図しないが、上述のデンプン構成成分を含むことによる、本開示の水溶性フィルムに提供されるいかなる利益も、水溶性フィルムに対してより少ない利益を提供するか、または水溶性フィルムに対して全く利益を提供しない追加のデンプン構成成分を含むことによって影響を受けないと考えられる。
【0104】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定される、少なくとも4重量%、好ましくは約4~約10重量%の範囲の残留水分含有量をさらに有することができる。
【0105】
フィルムの作製方法
1つの考慮される部類の実施形態は、水溶性パケットの水溶性フィルムが、例えば溶剤流延法によって形成されることを特徴とする。PVOHの溶剤流延法のためのプロセスは、当技術分野で公知である。例えば、フィルム形成プロセスでは、ポリビニルアルコールポリマーおよび二次添加剤は、溶剤、典型的には、水に溶解され、表面上に計量供給され、ほぼ乾燥されて(または強制乾燥されて)流延フィルムを形成し、次いで得られた流延フィルムを、流延表面から取り外す。プロセスは、バッチ式で実施され得、連続プロセスでより効率的に実施される。例えば、水または溶剤を約80~90℃の範囲の温度に加熱し、可塑剤、デンプン、および二次添加剤をまず水または溶剤に添加し、続いて界面活性剤を添加する。均質な混合物が形成されるまで、混合物を撹拌する。次いで、フィルム形成樹脂を混合物に添加し、均質になるまで約80~90℃で混合する。
【0106】
ポリビニルアルコールの連続フィルムの形成では、移動している流延表面、例えば連続的に移動している金属ドラムまたはベルト上に溶液の溶液を計量供給し、溶剤が実質的に液体から除去されることを生じ、それによって自己支持性の流延フィルムが形成され、次いで得られた流延フィルムを流延表面から剥ぎ取ることが、従来方法である。
【0107】
任意選択的に、水溶性フィルムは、1つの層または複数の類似した層からなる自立フィルムであり得る。
【0108】
残留水分含有量
【0109】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定される、少なくとも4重量%、好ましくは約4~約10重量%の範囲の残留水分含有量をさらに有することができる。
【0110】
パウチ/パケット
本明細書に開示の水溶性フィルムは、その中に組成物を収容する内部パウチ容積を画定するパウチの形態で、密封された物品を作製するのに有用である。例えば、区画が気体を除去された固体を内包する実施形態では、「封止物品」は、通気孔を有する密封区画を包含する。パウチ組成物は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の形態をとり得る。フィルムはまた、改善された湿潤処理および少ない冷水残留物が望ましい、任意の他の用途にも有用である。
【0111】
本明細書に記載のフィルムは、同じフィルムから作製されるか、または他のポリマー材料のフィルムと組み合わせて作製される、2つ以上の区画を有するパケットを作製するためにも使用されてもよい。さらなるフィルムは、例えば、当該技術分野で既知の同じまたは異なるポリマー材料の流延、吹込成形、押出成形、または押出吹込成形により得ることができる。ある種類の実施形態において、追加のフィルムとして使用するのに好適なポリマー、コポリマーまたはこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸、またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、キサンタンガム等の天然ガム、ならびにカラゲナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせから選択され得るか、またはポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。1つの考慮される実施形態は、パケット材料中のポリマーレベルを特徴とし、例えば、上述のPVOHコポリマーは、上述のように少なくとも60%である。
【0112】
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封された区画を備え得る。それ故に、パウチは、単一の区画または複数の区画を備え得る。水溶性パウチは、界面に密封された2層の水溶性ポリマーフィルムから、またはそれ自体の上に折り重ねられて密封された単一のフィルムによって形成され得る。フィルムのうちの1つまたはその両方とも、上述のPVOHフィルムを含む。フィルムは、水性環境への放出のための任意の所望の組成物を含む内部パウチ容器容積を画定する。組成物は、特に限定されず、例えば、以下に記載の種々の組成物のうちのいずれかを含む。複数の区画を備える実施形態では、各区画は、同一および/または異なる組成物を収容し得る。ひいては、組成物は、それらに限定されないが、液体、固体、圧縮固体(錠剤)、およびそれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁している固体)を含む任意の好適な形態をとり得る。実施形態では、パウチは、第1、第2、および第3の区画を備え、これらの各々はそれぞれ、異なる第1、第2、および第3の組成物を収容する。
【0113】
多区画パウチの区画は、同じかまたは異なるサイズ(複数可)および/または容積(複数可)のものでもよい。本多区画パウチの区画は、任意の好適な様式で分離または結合し得る。実施形態では、第2のおよび/または第3のおよび/または後続の区画は、第1の区画に重ね合わせられる。実施形態では、第2および/または第3および/または後続の区画は、隣り合ってまたは同心円状の向きに配向されている。区画は連なって包装され、各区画がミシン目によって個別に分離可能であってもよい。このように、各区画は、一連につながったものの残りの部分からエンドユーザによって個々にちぎり取られてもよい。
【0114】
区画の幾何学的形状は、同じかまたは異なっていてもよい。実施形態では、任意選択的な第3の区画および後続の区画は、第1および第2の区画と比較して異なる幾何学的形状および形状を各々有する。これらの実施形態では、任意選択的な第3の区画および後続の区画は、第1または第2の区画上のデザインで配置される。このデザインは、例えば、概念もしくは指示を示すために、装飾的、教育的、もしくは例示的であり得、および/または製品の供給元を示すために使用され得る。
【0115】
本開示のパウチおよび/またはパケットは、1つ以上の異なるフィルムを備え得る。例えば、単一の区画の実施形態において、パケットは、1つの壁であって、それ自体の上に折り曲げられ、縁で密封された1つの壁、あるいは、縁で一緒に密封された2つの壁でできていてもよい。複数区画の実施形態では、パケットは、任意の所与のパケット区画が単一のフィルムまたは異なる組成物を有する複数のフィルムから作製された壁部を備え得るように、1つ以上のフィルムから作製されてもよい。
【0116】
パウチおよびパケットは、任意の好適な装置および方法を使用して作製され得る。例えば、単区画パウチは、当該技術分野で一般的に知られている縦型形成充填、横型形成充填、または回転ドラム充填技術を使用して作製することができる。このようなプロセスは、連続的または断続的のいずれかであり得る。フィルムは、その展性を高めるために、湿潤および/または加熱され得る。方法はまた、フィルムを好適な型に引き込むために真空の使用を伴い得る。フィルムを型に引き込む真空は、フィルムが表面の水平部分上に載せられると、約0.2~約5秒、または約0.3~約3、または約0.5~約1.5秒間適用され得る。この真空は、例えば、10mbar~1000mbarの範囲内、または100mbar~600mbarの範囲内の低圧を提供するようなものであってもよい。
【0117】
パケットが作製される型は、パウチの必要寸法に応じて任意の形状、長さ、幅、および奥行きを有し得る。型はまた、望ましい場合、サイズおよび形状が互いに異なり得る。例えば、最終パウチの容積は、約5ml~約300ml、または約10~150ml、または約20~約100mlであり得、型のサイズはそれに応じて調整される。
【0118】
成形、密封、および熱成形
熱成形可能なフィルムは、熱および力の適用を通して成形され得るフィルムである。
【0119】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、(例えば、型内に)それを成形し、次いで、そのフィルムを冷却し、それによってフィルムが、その形状、例えば、その型の形状を保持するであろうプロセスである。熱は、任意の好適な手段を使用して加えられてもよい。例えば、フィルムは、フィルムを表面上に供給する前、または表面上に供給されると、加熱要素下に、または熱気の中を通過させることによって直接加熱され得る。あるいは、フィルムは、例えば、表面を加熱することによって、またはフィルム上に熱い物品を適用することによって間接的に加熱され得る。実施形態では、フィルムは、赤外光を使用して加熱される。フィルムは、約50~約150℃、約50~約120℃、約60~約130℃、約70~約120℃、または約60~約90℃の範囲の温度に加熱され得る。熱成形は、次のプロセス:型全体に熱軟化されたフィルムを手動でドレーピングすること、または型に対して軟化されたフィルムを圧力によって成形すること(例えば、真空成形)、または正確に知られている温度を有する新たに押出されたシートを成形およびトリミングステーションへ自動的に高速で送り出すこと(automatic high-speed indexing)、またはフィルムの自動配置、プラグ成形および/もしくは空気圧式伸張(pneumatic stretching)および圧力成形のうちの任意の1つ以上によって実施され得る。
【0120】
あるいは、フィルムは、それを表面上に供給する前に、または表面上に供給されると、任意の好適な手段によって、例えば湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物のための可塑剤、または前述のものの任意の組み合わせを含む)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、または表面を湿潤化することによって、もしくは湿潤物品を間接的にフィルムに適用することによって、湿潤化されてもよい。
【0121】
フィルムが加熱および/または濡らされると、フィルムは、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き込まれ得る。成形されたフィルムの充填は、任意の好適な手段を利用することによって達成され得る。実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および必要な充填速度に依存するであろう。実施形態では、成形されたフィルムは、インライン充填技法によって充填される。次いで、充填された開口しているパケットは、任意の好適な方法によって、第2のフィルムを使用して封鎖され、パウチを形成する。これは、水平位置にある間に、連続的な一定の動作で達成され得る。封鎖は、開口しているパケット全体および上に、第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで、典型的には型間の、したがってパケット間の領域で、好ましくは第1のフィルムおよび第2のフィルムを共に密封することによって、達成され得る。
【0122】
パケットおよび/またはその個々の区画を密封する任意の好適な方法が利用され得る。かかる手段の非限定的例としては、ヒートシール、溶剤溶着、溶剤または湿潤密封、およびそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、密封が形成される領域のみが、熱または溶剤で処理される。熱または溶剤は、任意の方法によって、典型的には封鎖材料上、および典型的には、密封を形成する領域上にのみ適用され得る。溶剤または湿潤密封もしくは溶着が使用される場合、熱も適用されることが好ましい場合がある。湿潤または溶剤密封/溶着の好ましい方法は、型の間の領域上、または封鎖材料上に、溶剤を、例えばこれらの領域上に噴霧またはプリントすることによって、選択的に溶剤を適用することと、次いで、これらの領域上に圧力を適用して、密封を形成することと、を含む。例えば、上述のような、密封ロールおよび密封ベルト(任意選択的に熱も提供する)が使用され得る。
【0123】
次いで、形成されたパウチは、切断装置により切断され得る。切断は、任意の公知の方法を使用して達成され得る。また切断は、好ましくは定速で、好ましくは水平位置で、連続的様式によっても行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物品、または高温の物品、またはレーザーであってもよく、後者の場合、高温の物品またはレーザーは、フィルム/密封領域を「焼き」切る。
【0124】
多区画パウチの異なる区画は、隣り合った様式でまたは同心円状の様式で一緒に作製されてもよく、得られる共に結合したパウチは、切断によって分離されても分離されなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することができる。
【0125】
実施形態では、パウチは、a)(上述のように)第1の区画を形成するステップと、b)ステップ(a)で形成された封鎖区画内のうちのいくつかまたはすべての中に凹部を形成して、第1の区画の上に重ねられた第2の成形区画を生成するステップと、c)充填し、第3のフィルムによって第2の区画を封鎖するステップと、d)第1、第2、および第3のフィルムを密封するステップと、e)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。ステップ(b)で形成された凹部は、ステップ(a)で調製された区画に真空を印加することによって達成することができる。
【0126】
実施形態では、第2および/または第3の区画(複数可)は、欧州特許出願第08101442.5号、または米国特許出願公開第2013/240388(A1)号、またはWO2009/152031に記載のように、別個のステップで作製され、次いで、第1の区画と組み合わされることができる。
【0127】
実施形態では、パウチは、a)任意選択的に熱および/または真空を使用して、第1の形成機械で第1のフィルムを使用して、第1の区画を形成すること、b)第1の区画に第1の組成物を充填すること、c)任意選択的に、第2の区画を第2の組成物で充填すること、d)第1および任意選択的な第2の区画を第2のフィルムで第1のフィルムに密封すること、ならびにe)フィルムを切断して多区画パウチを製造すること、のステップを含むプロセスに従って作製され得る。
【0128】
実施形態では、パウチは、a)第1の形成機械上で第1のフィルムを使用して、任意選択的に熱および/または真空を使用して、第1の区画を形成するステップと、b)第1の区画に第1の組成物を充填するステップと、c)第2の形成機械上で、任意選択的に熱および真空を使用して、第2のフィルムを変形させて第2および任意選択的に第3の成形区画を作製するステップと、d)第2および任意選択的に第3の区画に充填するステップと、e)第2および任意選択的に第3の区画を、第3のフィルムを使用して密封するステップと、f)密封された第2および任意選択的に第3の区画を、第1の区画上に配置するステップと、g)第1、第2、および任意選択的に第3の区画を密封するステップと、h)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。
【0129】
第1および第2の形成機械は、上記のプロセスを行うためのそれらの適合性に基づいて選択されてもよい。実施形態では、第1の形成機械は、好ましくは水平形成機械であり、第2の形成機械は、好ましくは回転ドラム式形成機であり、好ましくは第1の形成機械の上方に位置する。
【0130】
適切な供給ステーションを使用することによって、多数の異なるもしくは特有の組成物および/または異なるもしくは特有の液体、ゲルもしくはペースト組成物を組み込む多区画パウチを製造することが可能であり得ることが理解されるべきである。
【0131】
実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、活性剤、潤滑剤、嫌悪剤、またはそれらの混合物等の好適な材料を噴霧または散布される。実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、例えばインクおよび/または活性剤を用いてその上にプリントされる。
【0132】
縦型形成、充填、および密封
実施形態では、本開示の水溶性フィルムは、密封された物品に形成され得る。実施形態では、密閉された物品は、縦型形成の充填および密封された物品である。縦型形成、充填および密封(VFFS)プロセスは、従来の自動プロセスである。VFFSは、垂直に配向された供給管の周囲にフィルムの単一片を巻き付けるアセンブリ機械等の装置を含む。機械のヒートシールまたは別の方法は、フィルムの対向する縁部を共に固定して側面密封を作製し、フィルムの中空チューブを作製する。続いて、機械のヒートシールまたは別の方法は、底部密封を作製し、それによって、頂部密封が後に形成される開口頂部を有する容器部分を画定する。機械は、特定の量の流動可能な製品を、開口頂端部を通して容器部分に導入する。容器が所望の量の製品を含むと、機械は、例えば別のヒートシール機器にフィルムを前進させて、頂部密封を作製する。最後に、機械はフィルムをカッターに前進させて、頂部密封のすぐ上のフィルムを切断して、充填されたパッケージを提供する。
【0133】
作業中、アセンブリ機械は、ロールからフィルムを前進させてパッケージを形成する。したがって、フィルムは機械を通って容易に進むことができ、機械アセンブリに接着しないか、または加工中に破損するほど脆弱でなはない必要がある。
【0134】
水溶性フィルムは、Rovema VFFS機または同等物でVFFSによって変換され得る。パウチ/パケットは、78°F(約25.5℃)および相対湿度24%の標準的な実験室雰囲気で調製される。充填されていない袋と塩で充填された袋との両方を製造する。塩を収容する袋は、最大充填レベルで1.2lbs(約550g)まで充填される。水平密封温度は225°F(約107℃)であり、垂直密封温度は、例えば約255°F(約124℃)~約280°F(約138℃)等、良好な密封を製造するために必要に応じて変化する。
【0135】
パウチの内容物
(例えば、パウチまたはパケットの形態の)本物品は、様々な組成物、例えば、家庭用ケア組成物(洗剤組成物)、または非家庭用ケア組成物を収容し得る。多区画パウチは、同じかまたは異なる組成物を各々別個の区画に収容し得る。組成物は、水溶性フィルムの近位にある。組成物は、フィルムから約10cm未満、または約5cm未満、または約1cm未満にあってもよい。典型的に、組成物は、フィルムに隣接しているか、またはフィルムに接触している。フィルムは、その中に組成物を収容する、パウチまたは区画の形態であり得る。
【0136】
パウチの内側フィルムは、不適合な成分を含有する組成物を、互いから物理的に分離して保持するための仕切りとして利用され得る。かかる仕切りは、有用寿命を延長し得る、および/またはかかる成分の物理的不安定性を減少させ得ると考えられる。加えてまたはあるいは、かかる仕切りは、米国特許出願第8,835,372号に記載のように、審美的利益を提供し得る。
【0137】
実施形態では、組成物は、液体軽質および液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗いおよび/または食洗器用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、一般に洗濯に使用される洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、ならびにボディウォッシュとしての洗剤組成物の群から選択され得る。かかる洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料または着色剤、溶剤、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0138】
実施形態では、組成物は、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物(任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む)を含む、非家庭用ケア組成物の群から選択され得る。
【0139】
実施形態では、内部パウチ容積に収容されている組成物は、洗剤組成物である。任意選択的に、洗剤組成物は、洗濯洗剤、食器洗い洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、ボディウォッシュ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0140】
有用な非家庭用ケア組成物の非限定的な例、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物(任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む)。本パウチに使用する組成物は、液体、固体、または粉末の形態をとり得る。液体組成物は、固体を含み得る。固体には、粉末またはマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、もしくは1つ以上の真珠大のボールなどの凝集体、またはそれらの混合物が挙げられ得る。かかる固体要素は、洗浄を通して、または前処理、遅延もしくは連続放出構成成分として技術的利益を提供し得、加えてまたはあるいは、審美的効果(例えば、香料マイクロカプセル)を提供し得る。
【0141】
本明細書に記載のフィルムによってカプセル化されている組成物は、液体組成物のとき、配合される成分および組成物の目的などの要因に応じて、任意の好適な粘度を有し得る。一実施形態では、組成物は、20s-1の剪断速度および20℃の温度で、100~3,000cP、または300~2,000cP、または500~1,000cPの高剪断粘度値、および1s-1の剪断速度および20℃の温度で、500~100,000cP、または1000~10,000cP、または1,300~5,000cPの低剪断粘度値を有する。粘度の測定方法は、当該技術分野において既知である。本発明に従った粘度測定は、回転式レオメータ、例えばTA instruments AR550を使用して実行される。この計器は、等方性液体用の約50~60μmの隙間を有する40mmの2°もしくは1°のコーン固定具、または粒子を含有する液体用の1000μmの隙間を有する40mmのフラットスチールプレートを含む。測定は、調整ステップ、ピークホールドおよび連続ランプステップを含むフロー手順を使用して実行される。調整ステップは、20℃での測定温度の設定、10s-1の剪断速度での10秒の予備剪断、および選択された温度での60秒の平衡化を含む。ピークホールドは、20℃で0.05s-1の剪断速度を3分間適用し、10秒ごとにサンプリングすることを含む。連続ランプステップは、20℃で0.1~1200s-1の剪断速度で3分間実施され、完全なフロープロファイルを得る。
【0142】
上述のように、組成物は、非家庭用ケア組成物であり得る。例えば、非家庭用ケア組成物は、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、船舶用組成物、医療用組成物、商業用組成物、軍事および準軍事用組成物、オフィス用組成物、ならびに娯楽および公園用組成物、ペット用組成物、水処理用組成物(任意のかかる使用に適用可能な洗浄組成物および洗剤組成物を含む)から選択され得る。
【0143】
ある種類の実施形態では、組成物は、農薬、例えば1種以上の殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、有害生物防除剤(pesticide)、殺ダニ剤、忌避剤、誘引剤、枯れ葉剤(defoliament)、植物成長調節剤、肥料、殺細菌剤、微量栄養素、微量元素を含む。好適な農薬および二次薬剤は、米国特許第6,204,223号および同第4,681,228号、ならびに欧州特許第EP0989803(A1)号に記載されている。例えば、適切な除草剤は、パラコート塩(例えば、パラコートジクロライドまたはパラコートビス(メチルサルフェート)、ジクワット塩(例えば、ジクワットジブロミドまたはジクワットアルギン酸塩)、およびグリフォセートまたはその塩またはエステル(例えば、グリホセートイソプロピルアンモニウム、グリホセートセスキナトリウムまたはグリホサートトリメシウム、スルホセートとしても知られている)が挙げられる。不適合な作物保護化学物質の対は、例えば米国特許第5,558,228号に記載のように、別々のチャンバで使用され得る。使用され得る不適合な作物保護化学物質の対としては、例えば、ベンスルフロンメチルとモリネート、2,4-Dとチフェンスルフロンメチル、2,4-Dとメチル2-[[[[N-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエート、2,4-Dとメトスルフロンメチル、マネブまたはマンコゼブとベノミル、グリホサートとメトスルフロンメチル、トラロメトリンとモノクロトホスまたはジメトエートなどの任意の有機リン酸塩、ブロモキシニルとN-[[4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル]-アミノ]カルボニル]-3-(エチルスルホニル)-2-ピリジン-スルホンアミド、ブロモキシニルとメチル2-[[[[(4-メチル-6-メトキシ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]-ベンゾエート、ブロモキシニルとメチル2-[[[[N-(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエートが挙げられる。別の関連する種類の実施形態では、組成物は、任意選択的に土壌と一緒に、さらに任意選択的に例えば米国特許第8,333,033号に記載の種類の実施形態を含む、マルチ、砂、ピートモス、ウォータージェリー結晶、および肥料から選択された1つ以上の追加成分と一緒に1つ以上の種子を含み得る。
【0144】
別の種類の実施形態では、組成物は水処理剤である。かかる薬剤としては、例えば米国特許出願公開第2014/0110301号および米国特許第8,728,593号に記載のような、攻撃的な酸化化学物質が挙げられる。例えば、消毒剤(sanitizing agent)には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウムなどの次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸(「ジクロル」またはジクロロ-s-トリアジントリオン、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)およびトリクロロイソシアヌル酸(「トリクロル」または1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)などの塩素化イソシアヌレートを含むことができる。消毒化合物の塩および水和物もまた意図される。例えば、ジクロロイソシアヌル酸は、とりわけ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物として提供され得る。臭素含有消毒剤はまた、単位用量包装用途での使用に好適であり得、とりわけ1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、および2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールなどである。酸化剤は、米国特許第7,476,325号に記載のもの、例えばペルオキシモノ硫酸水素カリウムであり得る。組成物は、例えば、米国特許出願公開第2008/0185347号に記載のようなpH調整化学物質であってもよく、例えば、組成物が水と接触すると、発泡性であり、水のpHを調整するような、酸性構成成分およびアルカリ構成成分が挙げられ得る。好適な成分には、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、水酸化カリウム、スルファミン酸、有機カルボン酸、スルホン酸、およびリン酸二水素カリウムが含まれる。緩衝剤ブレンドとして、例えば、ホウ酸、炭酸ナトリウム、グリコール酸、およびオキソンモノ過硫酸塩を含み得る。
【0145】
水処理剤は、例えば米国特許出願公開第2014/0124454号に記載のような凝集剤であってもよいか、または凝集剤を含んでもよい。凝集剤は、ポリマー凝集剤を含むことができ、例えばポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、3-メチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)またはアクリル酸の、アクリルアミドコポリマー、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、中性ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリリン酸、ポリスチレンスルホン酸、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。凝集剤は、酢酸キトサン、乳酸キトサン、アジピン酸キトサン、グルタミン酸キトサン、コハク酸キトサン、リンゴ酸キトサン、クエン酸キトサン、フマル酸キトサン、塩酸キトサンおよびこれらの組み合わせから選択することができる。水処理用組成物は、例えばジルコニウム化合物、希土類ランタニド塩、アルミニウム化合物、鉄化合物、またはこれらの任意の組み合わせから選択される一種以上の、リン酸塩除去物質を含むことができる。
【0146】
組成物は、例えば、米国特許出願第2006/0172910号に記載のような水垢除去組成物、例えば、クエン酸、またはマレイン酸、またはそれらの硫酸塩、またはそれらの任意の混合物であり得る。
【0147】
例えば、US RE29059 Eに記載のような例えば羽毛などの微粒子;例えば、米国特許出願公開第2004/0144682号および同第2006/0173430号に記載のような超吸収性ポリマー;例えば、米国特許第3,580,390号および米国特許出願公開第2011/0054111号に記載のような顔料および染色剤;例えば、米国特許第8,163,104号に記載のようなろう付け用フラックス(例えば、アルカリ金属フルオロアルミネート、アルカリ金属フルオロシリケート、およびアルカリ金属フルオロ亜鉛酸塩);米国特許出願公開第2007/0003719号に記載のような食品(例えば、コーヒー粉末または乾燥スープ);ならびに例えば、米国特許第4,466,431号に記載のような創傷包帯を含む、様々な他の種類の組成物は、本明細書に記載のパケットへの使用を考慮される。
【0148】
溶解および崩壊試験(MSTM 205)
フィルムは、当該技術分野で既知の方法、MonoSol試験方法205(MSTM 205)に従った溶解時間および崩壊時間を特徴とし得るか、またはそれらを試験され得る。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。
【0149】
装置および材料:
1.600mLのビーカー
2.電磁撹拌器(Lablineモデル番号1250または同等物)
3.電磁撹拌棒(5cm)
4.温度計(0~100℃±1℃)
5.テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
6.タイマー(0~300秒、秒単位の精度)
7.Polaroid 35mmスライドマウント(または等価物)
8.MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または等価物)
9.蒸留水
【0150】
試験する各フィルムについて、ステンレス鋼テンプレートを使用して3つの試験片をフィルム試料から切断する(すなわち、3.8cm×3.2cmの試験片)。フィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って等間隔のウェブエリアから切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.各試験片を別々の35mmスライドマウント内にロックする。
2.ビーカーを500mLの蒸留水で満たす。温度計で水温を測定し、必要な場合は、温度を20℃(約68°F)に維持するように水を加熱または冷却する。
3.水柱の高さを記録する。電磁撹拌器をホルダーの基部上に置く。ビーカーを電磁撹拌器上に置き、電磁撹拌棒をビーカーに加え、撹拌器をオンにし、水柱の高さのおよそ5分の1の渦が発達するまで撹拌速度を調節する。渦の奥行きを記録する。
4.スライドマウントの長い端部が水面と平行であるように、35mmスライド台ホルダーのワニ口クランプに35mmスライド台を固定する。ホルダーの深さ調節器は、落下されたとき、クリップの端部が水面下0.6cmになるように据え付けられるべきである。フィルム表面が水の流れに対して垂直になるように、スライドマウントの短い側面のうちの一方はビーカーの側面の隣にあり、他方は撹拌棒の中心の直接上方に位置付けられるべきである。
5.1つの動作で、固定されたスライドおよびクリップを水中に落下させ、タイマーを始動させる。崩壊は、フィルムが破断するときに発生する。すべての目視可能なフィルムがスライドマウントから外されたら、未溶解のフィルム断片がないか溶液の監視を継続しながら、スライドを水の外に引き揚げる。溶解は、すべてのフィルム断片がもはや目視可能でなく、溶液が透明になるときに発生する。
【0151】
結果は、以下の、試料の完全な識別、個々のおよび平均の崩壊時間および溶解時間、ならびに試料を試験した際の水温を含むべきである。
【0152】
フィルム崩壊時間(I)およびフィルム溶解時間(S)は、それぞれ、方程式1および方程式2において以下に示される指数関数アルゴリズムを使用して、標準または参照フィルム厚に修正され得る。
I修正された=I測定された/(参照の厚さ/測定された厚さ)1.83[1]
S修正された=S測定された/(参照の厚さ/測定された厚さ)1.93[2]
【0153】
引張強度試験
引張強度試験に従った引張強度を特徴とするか、または引張強度のために試験されるフィルムを、次のように分析する。手順としては、ASTM D882(「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」)または同等物に従った引張強度の決定が挙げられる。フィルムデータの収集には、INSTRON(登録商標)引張試験装置(モデル5544引張試験機または等価物)が使用される。寸法安定性および再現性を確保するように各々信頼性のある切断器具により切断された最低3つの試験片を、各測定について機械方向(MD)(該当する場合)で試験する。試験は、23±2.0℃および35±5%相対湿度の標準的な実験室雰囲気中で行う。引張強度決定のために、3.0±0.15ミル(または76.2±3.8μm)の厚さを有する単一のフィルムシートの、1インチ幅(2.54cm)の試料を調製する。次いで、35%の相対湿度環境への曝露を最小化しながら試験を進めるために、試料をINSTRON(登録商標)引張試験機に移動する。500Nのロードセルを備えた引張試験機をメーカーの取扱説明書に従って準備し、較正する。正しいグリップおよびフェースを取り付ける(ゴムでコーティングされ、幅25mmであるモデル番号2702-032のフェースまたは等価物を有するINSTRON(登録商標)グリップ)。試料を引張試験機に取り付け、引張強度(すなわち、フィルムを破断するのに必要な応力)を決定するために分析する。
【0154】
本開示に従ったフィルムの好適な挙動は、引張強度試験によって測定した場合、少なくとも約40MPaの引張強度値(機械方向(MD)で)によって示される。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも40MPaかつ/または最大約60MPa(例えば、約40、約45、約60、約55、または約60MPa)の引張強度値を有する。
【0155】
引裂強度試験
この方法は、特定の長さのポリビニルアルコール(PVOH)フィルムを通して引裂を伝播することが必要である試料厚さの平均力(グラム/ミル)の決定を網羅する。フィルムにわたって引裂を伝播させるのに必要とされる力(グラム)は、正確に較正された振り子装置を使用して測定する。重力による作用により、振り子は、弧を描いて揺れ、予め切断されたスリットから試験片を引き裂く。試験片を片側で静止して保持し、反対側を振り子に固定する。振り子の揺れのエネルギー損失が、目盛り上の針によって示される。目盛りの表示は、試験片を引き裂くのに必要とされる力の関数である。この方法は、PVOHフィルムの相対的引裂耐性を順位付けする際の値からなるものである。水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールフィルムの引裂伝播抵抗のために、MSTM 107RDの標準的な試験方法に従って、Elmendorf Tearing Testerモデルl#40043で評価した。
【0156】
水溶性フィルムは、試験前少なくとも8時間の間、約23℃+/-3℃(73°F+/-5°F)の温度、および約35%±5%の相対湿度で調整した。試験は、23℃+/-3℃(73°F+/-5°F)の温度、および約35%±5%の相対湿度の標準的な実験室雰囲気で行った。
ミル当たりのグラム-力での平均引裂力は、次のように計算した。
引裂力、g/ミル=(増加させた重量g/100)x目盛りの指数
ミルでの膜厚
【0157】
本開示に従ったフィルムの好適な挙動は、引裂強度試験によって測定した場合、少なくとも約800g/ミルの引裂強度値(機械方向(MD)で)によって示される。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも500g/ミルかつ/または最大約2000g/ミル(例えば、約500、約800、約1000、約1200、または約1500g/ミル)の引裂強度値(MD)を有する。
【0158】
摩擦係数試験
摩擦係数方法は、互いにこすり合わせられる2つの材料片の摩擦を試験し、一方の材料片を他方の材料片に対して動かすのに必要な力を測定する。そりを始動させる力(静摩擦)およびそりを動かし続ける力(動摩擦)の両方を、ASTM D1894「Friction Testing of Plastic Film and Sheeting」を使用してロードセルによって測定する。
【0159】
この方法は、Instron
(登録商標)摩擦係数試験冶具モデル2810-005または同等物、または
図2に示されている代表的な図、およびInstron(登録商標)試験機モデル#5543または同等物を使用する。
【0160】
試験機器は、フィルム試料14をその上に固定されている摩擦そり12が静置される摩擦冶具10を含む。そり12は、摩擦冶具10に固定されているプーリ22と係合するプルコード20を介して上部グリップ18に取り付けられている。下部カップリング24は、試験冶具をInstron(登録商標)試験機(図示せず)に固定する。
【0161】
Instron(登録商標)方法のBlue Hill programによれば、「システムは、特定のチャンネルの開始値から終了値までの最大値を検索する;上下する最初のデータポイントを最大値のパーセンテージによって決定し、このポイントを最初のピークとして割り当てる;次の等式、静摩擦=最初のピーク/そりの重量、を使用して静摩擦係数を決定する;次の等式、平均負荷=エネルギー/伸びの変化、を使用して、最初のピークから終了値までの領域の平均負荷を計算する;次の式、動摩擦=平均負荷/そりの重量、を使用して動摩擦係数を決定する。」
【0162】
試験領域を形成するための試験片は、そりには(5インチ×5インチ四方(12.7cm×12.7cm四方)、および表面には5インチ×8インチ四方(12.7cm×20.3cm)の寸法を有する試料からなるべきである。フィルム厚は、静的COFに影響を及ぼさないと考えられるが、フィルムは、3.0±0.10ミル(または76.2±2.5μm)の厚さを有し得る。試料は、例えば、かみそりの刃および適切な寸法のテンプレートを使用して切断してもよい。適用可能なときは、流延フィルムの機械方向と平行に長い寸法で試料を切断しなければならない。また適用可能なときは、5インチ×5インチの試料方向に留意し、そりが引っ張られる方向がフィルム試料の機械方向と平行になるように試験中に配向しなければならない。
【0163】
試験片は、試験前少なくとも8時間の間75°F±5°Fおよび相対湿度35%±5%に調整されるべきであり、試験は、同じ温度および相対湿度条件で行う。
【0164】
COF機器の設置手順
1.Instron(登録商標)摩擦係数試験冶具モデル2810-005の下あごからクレビスピンを取り外し、下あごを取り外す。
2.上あごからクレビスピンを取り外し、上あごを取り外す。
3.Instron(登録商標)試験機モデル#5543のベースアダプタ上に摩擦冶具下部カップリングを置く。
4.クレビスピンで取り付ける。
5.プルコードの一端のループを、上のクレビスピンに滑り込ませ、ロッククリップに置き換える。
6.試験機モデル#5543の較正
7.プルコードのもう一端にあるループを摩擦そりのフックに滑り込ませる。
8.プーリが自由に回転できることを確認する。
9.プルコードにたるみがなく、滑車周囲の溝に配向されるまでそりを動かす。
10.そりがプーリに衝突せずに全50mmの試験に沿って摩擦そりを引く十分な移動空間があるように、Instron(登録商標)摩擦係数試験冶具モデル2810-005の移動クロスヘッド(上ハード)を配置する。
11.クロスヘッドが動いている間はコードをピンと張って保持する。
12.Instron#5543コントロールパネルのJOGコントロールを使用して、摩擦そりの遠端が摩擦冶具のバックプレーン(運動軸に垂直なプーリから最も遠い平面)を超えないように伸張限界を設定する。移動制限を設定するには、GLボタンを押す。これは、試験中に摩擦そりがプーリと衝突するのを防止し、対象の試料の摩擦係数が適切に測定されることを確保する。
13.これで試験冶具の試験準備が整う。
試験片の配置手順
1.表面試料を適切な向きにアルミニウム製摩擦冶具に置く。
2.表面試料をアルミニウム表面の縁上でしっかりと引き、試料を摩擦冶具の底側面にテープで留める。
3.表面へのそりの固着を回避するために、カップリングから最も離れた摩擦冶具の端に沿ってテープで留めることが重要である。
4.材料がピンと張っているが延伸していないことを確認する。
5.そりが引っ張られる方向とフィルムの機械方向が平行になるように、5×5インチの試料で摩擦そりを包む。
6.表面試料に固着するであろう余分な材料がないことを確認しながら、そりの最上部に重なっている先端の縁をテープで留める。
7.試料が測定される接触面にピンと張っていることを確認して、試料の他の縁を摩擦そりにテープで留める。
8.そり上の対象の表面と摩擦冶具上の対象の表面との間にテープが挟まれていないことを確認する。
9.COFの測定に誤差を生じるであろうしわや膨らみがないように、摩擦面上の試料と摩擦そり上の試料をピンと張らなければならない。
10.そりを検査して、試験される表面に異物が触れていないことを確認する。
11.2つの試験片の間に不自然な固着が生じることを防止するため、そりをプルコードに取り付け、そりを摩擦テーブルの上に非常に軽く穏やかに置き、速やかに試験を開始する。
12.完全に伸びた状態でそりが摩擦冶具の上に置かれた試料の上に完全に収まり、テープに接触するか、または摩擦冶具の縁からはみ出していないことを確認する。
COF試験の実施
1.要求される向きごとに少なくとも3個の試験片を試験する(例:空気側面-空気側面、またはバンド側面-バンド側面)。
2.空気側面からバンド側面への試験の組み合わせについては、フィルムの空気側面の向きは、アルミニウム製試験面上に置かれたフィルム試料でなければならず、試験用のバンド側面は、そり周囲を包んでいる材料を含まなければならない。
3.フィルム試験片を取り扱う間は、粉末や湿気が試験の正確性を損なう場合があるため、パウダーフリーの防湿手袋を必ず着用する。
4.例えばテンプレートを使用して、上述のように試料を切断する。
5.第1の試験片に包まれた摩擦そりを、滑車から最も遠い摩擦冶具の端に置く。
6.プルコードがピンと張っていることを確認する。
7.試験画面から「COF.im ptf」というタイトルの摩擦係数試験を開く。
8.画面のスタートボタンをクリックして試験を開始する。
9.試験片の試運転が完了したら、OKをクリックして摩擦そりを開始位置に戻し、摩擦そりおよび冶具のフィルム試験片を交換する。試験を繰り返す。
【0165】
フィルムは、4.0以下、または2.0以下、または1.5以下、または1.25以下、または1.0以下の範囲、例えば1.0、0.9、0.8、0.7、0.6以下の静COFを特徴とし得る。別の態様では、静COFは、4.0未満、または約2.5未満、または2未満、または1未満であり得る。
【0166】
1つ以上の態様では、フィルムは、5未満のG-G静COF、および40~60MPaの範囲の引張強度を有することを特徴とし得る。
【0167】
本開示に従った水溶性フィルムは、次の実施例の観点からより良好に理解され得、これらの実施例は、単に水溶性フィルムを例示することを意図し、それらの範囲を限定することを多少なりとも意味しない。
【実施例0168】
実施例1
水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および変性デンプンを含む水溶性フィルムを調製した。フィルム配合物は、約4%のマレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含んでいた。3つのフィルム配合物は、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、ならびに80%のアミロース含有量、および約2.66phr(1a)、約7.98phr(1b)、または23.94phr(1c)のレベルで存在する約6%のヒドロキシプロピル変性を有するヒドロキシプロピル化デンプンをさらに含んでいた。これらのフィルムは、フィルムの総重量に基づいて、約77重量%(1a)、約74重量%(1b)、および約66重量%(1c)のPVOH樹脂を含んでいた。3つの追加のフィルム配合物は、PVOH樹脂に加えて、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、ならびに約20%のアミロース含有量、および約2.66phr(1a)、約7.98phr(1e)、または23.94phr(1f)のレベルで存在する、約2%のヒドロキシプロピル変性を有するヒドロキシエチル化デンプンをさらに含んでいた。これらのフィルムは、フィルムの総重量に基づいて、約77重量%(1d)、約74重量%(1e)、および約66重量%(1f)のPVOH樹脂を含んでいた。約75ミクロンの厚さを有するフィルムを調製した。フィルムを、MSTM-205に従って10℃での冷水溶解度について、引張強度試験に従って引張強度について、および摩擦係数試験に従って摩擦係数について試験した。100秒以下で溶解したフィルムを表1に(+)として示し、100秒を超え300秒以下で溶解したフィルムを以下の表1に(*)として示す。約45MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表1に(+)として示し、約45MPa未満であるが少なくとも約40MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表1に(*)として示し、40MPa未満の引張強度を有したフィルムは、以下の表1に(-)として示す。約1以下の光沢対光沢静摩擦係数を有したフィルムは表1に(+)として示し、約1を超え約5以下の光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、表1に(*)として示し、約5を超える光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、以下の表1に(-)として示す。
【表1】
【0169】
表1は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約5phr~約30phrの量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンの混合物を含む本開示のフィルムが、良好な冷水溶解度、良好な引張強度、および優れた摩擦係数を実証することを示している。表1は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約5phr未満の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンの混合物を含む本開示のフィルムが、良好な冷水溶解度、良好な引張強度、および許容可能な摩擦係数を実証することをさらに示している。表1は、ヒドロキシプロピル化デンプンを含む水溶性フィルムの引張強度が、デンプン充填量を約2.5phrから約24phrに増加すると維持または改善される一方で、ヒドロキシエチル化デンプンを含む水溶性フィルムの引張強度は、デンプン量の充填量が増加すると減少することをさらに示している。
【0170】
表1は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約2%を超える変性度を有し、約2.5p~約30phrの範囲の量で存在する変性デンプンの混合物を含む本開示のフィルムが、良好な冷水溶解度、良好な引張強度、および許容可能な摩擦係数を実証し、約5~約30phrの範囲で提供されると、良好な冷水溶解度、良好な引張強度、および優れた摩擦係数摩擦の組み合わせを実証することをさらに示している。表1は、約2%の変性度を有し、低充填レベル、例えば約12phr以下で存在する変性デンプンを有する水溶性フィルムが、同様の充填レベルで2%を超える変性度を有する変性デンプンを有するフィルムに対して、増加した摩擦係数を実証することをさらに示している。表1は、約2%を超える変性度を有する変性デンプンを含む水溶性フィルムの引張強度が、デンプン充填量を約2.5phrから約24phrに増加すると維持または改善される一方で、約2%未満の変性度を有する変性デンプンを含む水溶性フィルムの引張強度は、デンプン量の充填量が増加すると減少することをさらに示している。
【0171】
したがって、実施例1は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約5phr~約30phrの量で存在するヒドロキシプロピル化デンプンの混合物を含む本開示の水溶性フィルムと、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約2%を超える変性度を有し、かつ良好な冷水溶解度、良好な変換性、および低いG-G摩擦係数によって実証されるようにフィルム同士の良好な粘着防止特性を有する約5phr~約30phrの範囲の量で存在する変性デンプンの混合物を含む本開示の水溶性フィルムをフィルム実証する。
【0172】
実施例2
水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および非変性デンプンを含む水溶性フィルムを調製した。フィルム配合物は、約4%のマレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含んでいた。フィルム配合物は、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、および約2.66phr(2a、2d、2g、2j)、約7.98phr(2b、2e、2h、2k)、または23.94phr(2c、2f、2i、2l)のレベルで存在する非変性デンプンをさらに含んでいた。3枚のフィルム(2a、2b、2c)は、1%のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含み、3枚のフィルム(2d、2e、2f)は、25%のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含み、および3枚のフィルム(2g、2h、2i)は、50%のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含み、3枚のフィルム(2j、2k、2l)は、80%のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含んでいた。これらのフィルムは、フィルムの総重量に基づいて、約77重量%(2a、2d、2g、2j)、約74重量%(2b、2e、2h、2k)、および約66重量%(2c、2c、2f、2i、2l)のPVOH樹脂を含んでいた。約75ミクロンの厚さを有するフィルムを調製した。フィルムを、MSTM-205に従って10℃での冷水溶解度について、引張強度試験に従って引張強度について、および摩擦係数試験に従って摩擦係数について試験した。100秒以下で溶解したフィルムを表2に(+)として示し、100秒を超え300秒以下で溶解したフィルムを以下の表2に(*)として示す。45MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表2に(+)として示し、約45MPa未満であるが少なくとも約40MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表2に(*)として示し、40MPa未満の引張強度を有したフィルムは、以下の表2に(-)として示す。約1以下の光沢対光沢静摩擦係数を有したフィルムは表2に(+)として示し、約1を超え約5以下の光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、表2に(*)として示し、約5を超える光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、以下の表2に(-)として示す。
【表2】
【0173】
表2は、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約20重量%~約80重量%の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含む本開示に従った水溶性フィルムが、デンプンが低充填レベル(例えば、約2phr~約5phr)(2d、2g)で提供されると良好な引張強度および摩擦係数を実証することを示している。表2は、約20重量%~約80重量%の範囲のアミロース含有量を有する非変性デンプンを含む本開示に従った水溶性フィルムの引張強度が、デンプン充填量が増加すると減少することをさらに実証している。したがって、表2は、良好な変換性、および低いG-G摩擦係数によって実証されるようなフィルム同士の良好な粘着防止特性を有する、水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、および約20重量%~80重量%の範囲のアミロース含有量を有し、約5phr~約30phrの量で存在する非変性デンプンの混合物を含む本開示の水溶性フィルムを実証している。
【0174】
実施例3
異なるポリビニルアルコール樹脂を有する水溶性フィルムを調製し、光沢対光沢静摩擦係数について試験した。各水溶性フィルム配合物は、フィルムの総重量に基づいて約74重量%の量で提供されたポリビニルアルコール樹脂を含んでいた。試験したポリビニルアルコール樹脂は、約13cPの粘度および約88の加水分解度を有するPVOHホモポリマー(3a)、約23CPの粘度および約88の加水分解度を有するPVOHホモポリマー(3b)、5%のアクリル酸メチル変性を有するポリビニルアルコールコポリマー(3c)、4%のマレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマー(3d)、約2%のマレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマー(3e)、ならびに約4%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含んでいた。各フィルム配合物は、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、および約7.98phrのレベルで存在するデンプンをさらに含んでいた。試験されたデンプンは、50%のアミロース含量を有する非変性デンプン(3a
1~3e
1)、または約80%のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプン(3a
2~3e
2)を含んでいた。約1以下の光沢対光沢静摩擦係数を有したフィルムは表3に(+)として示し、約1を超え約5以下の光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、表3に(*)として示し、約5を超える光沢対光沢摩擦係数を有したフィルムは、表3に(-)として示す。以下
【表3】
【0175】
表3は、光沢対光沢摩擦係数に対する非変性デンプンの効果が、ポリビニルアルコールの種類またはポリビニルアルコールコポリマーの変性度に依存しなかったことを示している。表3は、ヒドロキシプロピル化デンプンが、アクリル酸メチル変性PVOHを除くすべての樹脂型に対して許容可能な摩擦係数を提供したことをさらに示している。したがって、ヒドロキシプロピル化デンプンの効果は、アクリレート変性PVOHを除いて、樹脂型間で顕著な差異はない。
【0176】
実施例4
異なるデンプンを有する水溶性フィルムを調製し、引張強度試験および引裂強度試験に従って引張強度および引裂強度について試験した。各水溶性フィルム配合物は、フィルムの総重量に基づいて約77重量%の量で提供された、マレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含んでいた。フィルム配合物は、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、および約2.66phrのレベルで存在するデンプンをさらに含んでいた。試験したデンプンは、1%のアミロース含有量を有する非変性デンプン(4a)、1%のアミロース含有量を有する酸加水分解デンプン(4b)、約25%のアミロース含有量を有する非変性デンプン(4c)、約25%のアミロース含有量を有するヒドロキシエチル変性デンプン(4d)、50%のアミロース含有量を有する非変性デンプン(4e)、80%のアミロース含有量を有する非変性デンプン(4f)、および80%のアミロース含有量を有するヒドロキシプロピル変性デンプン(4g)を含んでいた。引張強度値および引裂強度値を、以下の表4に提供する。
【表4】
【0177】
表4は、水溶性フィルムの引張強度(約45~55N/mm2)および引裂強度(約1300~2000g/ミル)が、すべてのフィルムについて比較的一貫していることを示している。したがって、表4は、アミロース含有量および変性型が、水溶性フィルムの機械的特性に顕著に影響を及ぼさないことを実証している。
【0178】
実施例5
異なるポリビニルアルコール対デンプンの比を有する水溶性フィルムを調製し、上述のように引張強度および引裂強度について試験した。各水溶性フィルム配合物は、マレイン酸変性を有するポリビニルアルコールコポリマーを含んでいた。フィルム配合物は、約26phrの可塑剤、合計約1phrの例えば界面活性剤、酸化防止剤などの微量の加工助剤、および約50%のアミロース含有量を有する非変性デンプンをさらに含んでいた。フィルムの総重量に基づいて樹脂中に提供されたPVOHの量、およびPVOH:デンプンの比は、79重量%PVOHおよび100:0(5a)、77重量%および97:3(5b)、63重量%および80:20(5c)、47重量%および60:40(5d)、または32重量%および40:60(5e)であった。約45MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表2に(+)として示し、約45MPa未満であるが約40MPa以上の引張強度を有したフィルムは、表2に(*)として示し、40MPa未満の引張強度を有したフィルムは、以下の表2に(-)として示す。約1500g/ミル以上の引裂強度を有したフィルムは、表5に(+)として示し、約1500g/ミル未満であるが約500g/ミル以上の引張強度を有したフィルムは、表5に(+)として示し、500g/ミル未満の引張強度を有したフィルムは、以下の表5に(-)として示す。
【表5】
【0179】
表5は、非変性デンプンが、約80:20以上のPVOH樹脂対デンプンの比で水溶性フィルム中に存在するとき、フィルムの引張強度および引裂強度が、80:20未満、例えば97:3のPVOH樹脂対デンプンの比でデンプンを含む等価の水溶性フィルムのものに対して、劇的に減少することを示している。
【0180】
実施例6~45
約20重量%~95重量%の量で存在する異なるポリビニルアルコール、約2.5~約30phrの量で存在する異なるデンプン、約10重量%~約45重量%の量で存在する可塑剤、約0.1重量%~8.0重量%の量で存在する界面活性剤、約0.01重量%~10重量%の量で存在する苦味剤、および0.01重量%~10重量%の量で存在する漂白剤を有する水溶性フィルムを調製する。フィルム配合物を以下の表6に示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
*次のうちの1つ以上から選択される:ポリエチレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ズルシトール、エリトリトール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ボラノール、キシリトール
**次のうちの1つ以上として選択される:カチオン性、アニオン性、双性イオン性
Aは、アクリル酸アルキルモノマーのPVOHターポリマーである。
Bは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位のPVOHターポリマーである。
Cは、1.75モル%のマレイン酸モノアルキルモノマー単位のPVOHターポリマーである。
Dは、4.00モル%のマレイン酸モノアルキルモノマー単位のPVOHターポリマーである。
Eは、PVOHホモポリマー(粘度3;DH85)である。
Fは、PVOHホモポリマー(粘度4;DH88)である。
Gは、PVOHホモポリマー(粘度8;DH88)である。
Hは、PVOHホモポリマー(粘度13;DH88)である。
Iは、PVOHホモポリマー(粘度15、DH79)である。
Jは、PVOHホモポリマー(粘度23;DH88)である。
Kは、PVOHホモポリマー(粘度32、DH88)である。
Lは、PVOHホモポリマー(粘度40;DH88)である。
Mは、PVOHホモポリマー(粘度56、DH98)である。
Nは、Cascoトウモロコシ製品(25%アミロース、天然)(Ingredion)である。
Oは、Hylon(登録商標)V(50%アミロース、天然)(Ingredion)である。
Pは、Eco-Film(登録商標)(80%アミロース、ヒドロキシプロピル化、約2.5%変性)(Ingredion)である。
【0181】
このように、実施例6~45は、本開示に従った水溶性フィルムの調製のために特に考慮されたフィルム配合物を示している。
【0182】
実施例46
実施例1~45の水溶性フィルムからパウチを調製する。特に、パウチは、界面で密封された2層の水溶性ポリマーフィルムから、またはそれ自体の上に折り重ねられ、密封された単一のフィルムによって形成する。両方の方法では、フィルムは、フィルムの光沢側面がパウチの外側を形成している、つや消し-つや消し界面で密封されている内部パウチ容器を画定する。
【0183】
調製されたパウチを、液体、粉末、ゲル、またはそれらの組み合わせを含む組成物でさらに充填する。組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香料、染料もしくは着色剤、および/または溶剤(液体およびゲル組成物用)などの成分を含む。
【0184】
実施例47
本開示に従った水溶性フィルムを、市販の高速装置を使用して充填されたパウチへと熱成形した。パウチは、水溶性フィルムの摩擦係数を低下させることに対する実用的で現実的な結果を実証した。特に、同様の組成を有するが本開示のデンプンを含まない市販のフィルムは、形成されたパウチが取り扱い中に一緒に粘着するのを防止するために粉末(例えば、米国特許第9,290,727号に記載のようなタルク)の適用を必要とする一方で、本発明に従ったフィルムで作製されたパウチは、パウチ同士の粘着を防止するために粉末の適用を必要としなかった。本開示のフィルムが低減した摩擦係数を有することの結果、利益が観察された。
【0185】
上記の説明は、理解を明確にするために示されているに過ぎず、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るため、そこから不必要な限定が理解されるべきではない。
【0186】
本明細書で引用したすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。本開示と、組み込まれる特許、刊行物、および参考文献との間に矛盾がある場合は、本開示が優先されるべきである。