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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151429
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20231005BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20231005BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20231005BHJP
【FI】
B62D6/00
B60W30/12
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061030
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輝
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA15
3D232DA23
3D232DA25
3D232DA29
3D232DA76
3D232DA84
3D232DC10
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD06
3D232DE09
3D232EA01
3D232EB11
3D232EC22
3D232GG01
3D241BA12
3D241BC02
3D241CC17
3D241CD12
3D241CD29
3D241CE05
3D241DA58Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC37Z
(57)【要約】
【課題】運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる車両走行制御装置を提供する。
【解決手段】車両走行制御装置12は、車線内を走行中の車両10が車線端に接近した場合に、車両10の走行位置を、車線の中央側に移動させる操舵制御トルクTを発生させる車線維持制御を行うものであって、車線維持制御の動作回数を算出する動作回数算出部56と、操舵制御トルクTよりも大きい車両10の運転者の操舵トルクTdが加わることによって、車線維持制御がキャンセルされたキャンセル回数を算出するキャンセル回数算出部57と、車線維持制御の動作回数に基づいて、操舵制御トルクTの大きさを設定する制御ゲイン調整部58(制御トルク設定部)と、車線維持制御のキャンセル回数に基づいて、オーバライドキャンセルのし易さを設定するオーバライド調整部59(制御トルク設定部)とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線内を走行中の車両が、当該車線の車線端に接近した場合に、前記車両の走行位置を、前記車線の中央側に移動させる操舵制御トルクを発生させる車線維持制御を行う車両走行制御装置であって、
前記車線維持制御の動作回数を算出する動作回数算出部と、
前記操舵制御トルクよりも大きい前記車両の運転者の操舵トルクが加わることによって、前記車線維持制御がキャンセルされたキャンセル回数を算出するキャンセル回数算出部と、
前記動作回数に基づいて、前記操舵制御トルクの大きさを設定して、前記キャンセル回数に基づいて、オーバライドキャンセルのし易さを設定する制御トルク設定部と、を備える、
車両走行制御装置。
【請求項2】
前記制御トルク設定部は、前記動作回数と前記キャンセル回数とが、ともに所定の閾値を超えた場合に、前記操舵制御トルクをデフォルト値よりも小さい値に設定する、
請求項1に記載の車両走行制御装置。
【請求項3】
前記車両の進行方向の障害物を検出する障害物検出部を更に備えて、
前記制御トルク設定部は、前記障害物検出部が障害物を検出しない場合に、前記動作回数及び前記キャンセル回数に基づいて、前記操舵制御トルクの大きさを設定する、
請求項1又は請求項2に記載の車両走行制御装置。
【請求項4】
前記車線維持制御を行いながら所定距離以上走行した際に、前記動作回数算出部が算出した、前記車両を右側に操舵させる操舵制御トルクを発生させた第1の動作回数と、前記車両を左側に操舵させる操舵制御トルクを発生させた第2の動作回数との総和に占める前記第1の動作回数の割合が所定の閾値よりも大きい場合に、前記車線における前記車両の走行位置を、前記車線の中央よりも左側に調整して、
前記総和に占める前記第2の動作回数の割合が所定の閾値よりも大きい場合に、前記車線における前記車両の走行位置を、前記車線の中央よりも右側に調整する走行位置調整部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車両を車線に沿って走行させるために、運転者の操舵操作の支援を行う車両制御装置が実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両を、左右の白線の中央位置に設定した目標走行ラインに沿って走行させるように操舵操作の支援を行う車両制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-22365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された車両制御装置にあっては、車両を左右の白線の中央位置に沿って走行させるように操舵操作の支援を行うため、左右の白線の中央位置に沿って走行しない運転者に対して煩わしさを与えるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる車両走行制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両走行制御装置は、車線内を走行中の車両が、当該車線の車線端に接近した場合に、前記車両の走行位置を、前記車線の中央側に移動させる操舵制御トルクを発生させる車線維持制御を行う車両走行制御装置であって、前記車線維持制御の動作回数を算出する動作回数算出部と、前記操舵制御トルクよりも大きい前記車両の運転者の操舵トルクが加わることによって、前記車線維持制御がキャンセルされたキャンセル回数を算出するキャンセル回数算出部と、前記動作回数に基づいて、前記操舵制御トルクの大きさを設定して、前記キャンセル回数に基づいて、オーバライドキャンセルのし易さを設定する制御トルク設定部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【0009】
また、本発明に係る車両走行制御装置において、前記制御トルク設定部は、前記動作回数と前記キャンセル回数とが、ともに所定の閾値を超えた場合に、前記操舵制御トルクをデフォルト値よりも小さい値に設定する。
【0010】
この構成によれば、運転者の操舵操作に応じて、車両走行制御装置が発揮する操舵制御トルクを設定することができるため、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【0011】
また、本発明に係る車両走行制御装置は、前記車両の進行方向の障害物を検出する障害物検出部を更に備えて、前記制御トルク設定部は、前記障害物検出部が障害物を検出しない場合に、前記動作回数及び前記キャンセル回数に基づいて、前記操舵制御トルクの大きさを設定する。
【0012】
この構成によれば、車両の周囲に障害物がない状態において、車両走行制御装置が車線維持制御を行っている際の運転者の操舵操作を分析することができるため、車線に沿って走行する際の運転者の癖を精度よく分析することができる。
【0013】
また、本発明に係る車両走行制御装置は、前記車線維持制御を行いながら所定距離以上走行した際に、前記動作回数算出部が算出した、前記車両を右側に操舵させる操舵制御トルクを発生させた第1の動作回数と、前記車両を左側に操舵させる操舵制御トルクを発生させた第2の動作回数との総和に占める前記第1の動作回数の割合が所定の閾値よりも大きい場合に、前記車線における前記車両の走行位置を、前記車線の中央よりも左側に調整して、前記総和に占める前記第2の動作回数の割合が所定の閾値よりも大きい場合に、前記車線における前記車両の走行位置を、前記車線の中央よりも右側に調整する走行位置調整部を更に備える。
【0014】
この構成によれば、より高い精度で、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1の実施の形態の車両走行制御装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2A図2Aは、車線の左寄りを走行している場合に、車両走行制御装置が行う制御動作の一例を示す図である。
図2B図2Bは、車線の右寄りを走行している場合に、車両走行制御装置が行う制御動作の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態の車両走行制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、第1の実施の形態の車両走行制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第2の実施の形態の車両走行制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、第2の実施の形態の車両走行制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1を用いて、本発明の第1の実施の形態の車両走行制御装置を説明する。図1は、第1の実施の形態の車両走行制御装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
(車両走行制御装置の全体構成)
車両10が搭載する車両走行制御装置12は、運転者の操舵制御を補助するものであって、車線内を走行中の車両が、当該車線の車線端に接近した場合に、車両10の走行位置を、車線の中央側に移動させる車線維持制御を行う。
【0020】
図1に示すように、車両走行制御装置12は、ECU14と、メインスイッチ15と、ステレオカメラ16と、操舵トルクセンサ17と、車速センサ18と、加速度センサ19と、EPSモータ25とを備える。
ECU14は、車両10が車線を逸脱しないように車線維持制御を行う。具体的な車線維持制御の内容は後述する。ECU14は、CPUと、RAMと、ROMと、を備えるコンピュータの構成を有する。ECU14は、図1に図示しない記憶部が記憶する制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、車両10の車線維持制御を実行する。なお、ECU14の機能は、専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0021】
メインスイッチ15は、車両走行制御装置12に、車線維持制御を行わせるためのメインスイッチである。メインスイッチ15は、例えば車両10のメータクラスタの周辺等に設置された機械式スイッチ、電気式スイッチ等によって実現される。
【0022】
ステレオカメラ16は、車両10のルームミラーの裏面側に、車両10の進行方向前方を向いて設置される。ステレオカメラ16は、2台のカメラを、同じ水平位置に、光軸が平行になるように設置される。ステレオカメラ16は、車両10の進行方向前方のステレオペア画像を同じタイミングで撮像する。車両走行制御装置12のECU14は、ステレオカメラ16が撮像したステレオペア画像を取得して、当該ステレオペア画像の中から、車両や人間等の障害物を検出する。また、ステレオカメラ16は、車両10の進行方向の車線と車線端に引かれたレーンマーカを含む画像を撮像する。車両走行制御装置12のECU14は、ステレオカメラ16が撮像した画像を取得して、当該画像の中からレーンマーカを検出する。なお、レーンマーカの検出に使用される画像は、ステレオペア画像である必要はないため、車両走行制御装置12のECU14は、ステレオカメラ16から取得したステレオペア画像のうち1枚の画像の中から、レーンマーカを検出すればよい。
【0023】
操舵トルクセンサ17は、コラムシャフトに加えられる、EPSモータ25の駆動力によって生じる操舵制御トルクTと、ステアリングシャフトに加えられる車両10の運転者の操舵による操舵トルクTdとの総和を計測する。車両10の運転者が、車両走行制御装置12が印加した操舵制御トルクTとは逆方向の操舵トルクTdを印加した場合、操舵トルクセンサ17が計測する値は、操舵制御トルクTよりも小さくなる。即ち、操舵制御トルクTと操舵トルクセンサ17の計測値との偏差ΔTは、操舵トルクTdを表す。ステアリングシャフトとコラムシャフトとの間にはトーションバーが備えられる。操舵トルクセンサ17は、トーションバーに加わるトルク、即ち、EPSモータ25の駆動力による操舵制御トルクTと、運転者の操舵による操舵トルクTdとに応じて生じるねじれ角を、例えば抵抗値の変化として計測する。
【0024】
車速センサ18は、車両10の車速を検出する。
【0025】
加速度センサ19は、車両10の加速度を検出する。
【0026】
EPSモータ25は、車両10に搭載された電動パワーステアリングシステム(EPS:Electric Power Steering System)を駆動するための電動モータである。EPSモータ25は、ECU14からの指示に基づく電流をEPSモータ25に流すことによって、車両10のステアリングの操舵トルクを発生させる。
【0027】
ECU14と、メインスイッチ15と、ステレオカメラ16と、操舵トルクセンサ17と、車速センサ18と、加速度センサ19とは、内部バス22で接続される。内部バス22は、例えば、CAN(Controller Area Network)等で実現される車内LANである。
【0028】
ECU14と、EPSモータ25とは、内部バス28で接続される。内部バス28は、例えば、CAN等で実現される車内LANである。
【0029】
(車両の走行位置に応じた制御動作)
図2A図2Bを用いて、車両走行制御装置12が、直線路を走行中の車両10の走行位置に応じて行う制御動作を説明する。図2Aは、車線の左寄りを走行している場合に、車両走行制御装置が行う制御動作の一例を示す図である。図2Bは、車線の左寄りを走行している場合に、車両走行制御装置が行う制御動作の一例を示す図である。
【0030】
本実施の形態の車両走行制御装置12は、車両10が所定の状態にある場合に、運転者による車両10の操舵をアシストすることによって、車両10が走行中の車線を逸脱しないように補助する。例えば、車両走行制御装置12は、車両10が車線を逸脱する恐れがあると判断した場合に、車両10に対して、車線中央側に操舵させる操舵力を与える。このような車線逸脱防止制御を行うことによって、車両10は車線の逸脱を防止することができる。なお、車線逸脱防止制御は、本開示における車線維持制御の一例である。
【0031】
また、車両走行制御装置12は、車両10が車線を逸脱する恐れがあると判断した場合に、車両10に対して、車線中央に沿って走行するように操舵力を与える。このような車線トレース制御を行うことによって、車両10は車線に沿って走行することができる。なお、車線トレース制御は、本開示における車線維持制御の一例である。
【0032】
例えば、図2Aに示す道路30において車線トレース制御を行う場合、車両走行制御装置12は、目標走行位置32を設定する。目標走行位置32は、道路30の左端を示すレーンマーカ30aと、道路30の右端を示すレーンマーカ30bとの中点の軌跡である。
【0033】
車両走行制御装置12は、車両10が目標走行位置32に沿って走行するように、車両10に対して操舵トルクを加える。例えば、車両10が目標走行位置32とレーンマーカ30aとの間にいる場合、即ち、車両10の位置と目標走行位置32との間に偏差D1がある場合、車両走行制御装置12は、車両10が目標走行位置32に近づくように、車両10を右に操舵させる操舵制御トルクF1を加える。
【0034】
また、図2Bに示す道路30において車線トレース制御を行う場合、車両走行制御装置12は、目標走行位置32を設定する。目標走行位置32は、道路30の左端を示すレーンマーカ30aと、道路30の右端を示すレーンマーカ30bとの中点の軌跡である。
【0035】
車両走行制御装置12は、車両10が目標走行位置32に沿って走行するように、車両10に対して操舵トルクを加える。例えば、車両10が目標走行位置32とレーンマーカ30bとの間にいる場合、即ち、車両10の位置と目標走行位置32との間に偏差D2がある場合、車両走行制御装置12は、車両10が目標走行位置32に近づくように、車両10を左に操舵させる操舵制御トルクF2を加える。
【0036】
車両走行制御装置12がこのような車線維持制御を行う場合、普段、車線の中央を走行する運転者にとっては、自身の感覚と合うため、違和感なく使用することができる。しかし、普段、車線の左寄りを走行する運転者や、車線の右寄りを走行する運転者にとっては、自身の感覚と合わないため、車両走行制御装置12が発生させる操舵制御トルクF1,F2に対して、煩わしさを感じる可能性がある。
【0037】
(車両走行制御装置の機能構成)
図3を用いて、車両走行制御装置12の機能構成を説明する。図3は、第1の実施の形態の車両走行制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0038】
ECU14は、制御プログラムを実行することによって、図3に示す車両状態検出部51と、車線端検出部52と、障害物検出部53と、制御トルク算出部54と、操舵トルク算出部55と、動作回数算出部56と、キャンセル回数算出部57と、制御ゲイン調整部58と、オーバライド調整部59と、車線維持支援実行部60とを機能部として実現する。
【0039】
車両状態検出部51は、車両10の状態を検出する。具体的には、車両状態検出部51は、走行中の車速や加速度等の車両走行状態を検出する。また、車両状態検出部51は、車両10のウインカが操作されていないことを検出する。また、車両状態検出部51は、車両10のキーOFFや施錠等に基づいて、運転終了状態にあることを検出する。
【0040】
車線端検出部52は、公知のレーンマーカ検出アルゴリズムを用いて、車両10が走行中の車線の左右のレーンマーカ(図2Aのレーンマーカ30a,30b、図2Bのレーンマーカ40a,40b)を検出する。具体的には、車線端検出部52は、ステレオカメラ16が撮像したステレオペア画像の少なくとも1枚の画像を処理することによって、路面との間にコントラストを有して、車両10の進行方向に沿って延びるレーンマーカ40a,40bを検出する。なお、車線端検出部52は、レーンマーカ40a,40bを、実線、破線等の線種別、及びレーンマーカの色によらずに検出する。
【0041】
障害物検出部53は、ステレオカメラ16が撮像したステレオペア画像に対して画像処理を行うことによって、車両10の進行方向前方の障害物を検出する。具体的な画像処理の方法は問わないが、公知のステレオ画像処理に則って行えばよい。
【0042】
制御トルク算出部54は、車線端検出部52が検出したレーンマーカの位置に基づいて、車両10の走行位置を修正する操舵制御トルクTを算出する。
【0043】
操舵トルク算出部55は、車線維持支援実行部60がEPSモータ25に対して操舵制御トルクTを発生させたタイミングで、車両10の運転者の操舵トルクTdを算出する。より具体的には、操舵トルク算出部55は、車線維持支援実行部60がEPSモータ25に対して発生させた操舵制御トルクTと、操舵トルクセンサ17が計測した操舵制御トルクTと操舵トルクTdとの総和とに基づいて、操舵トルクTdを算出する。即ち、操舵トルクTdは、式(1)で算出される。
【0044】
Td=T―ΔT・・・(1)
【0045】
ここで、ΔTは、操舵制御トルクTと運転者の操舵トルクTdとの偏差を表す。
【0046】
動作回数算出部56は、車線維持支援実行部60が車線維持制御の動作回数をインクリメントすることによって、車線維持制御の動作回数を算出する。
【0047】
キャンセル回数算出部57は、車線維持支援実行部60がオーバライドキャンセルを行った回数をインクリメントすることによって、オーバライドキャンセルの動作回数を算出する。
【0048】
制御ゲイン調整部58は、動作回数算出部56が算出した車線維持支援機能の動作回数が、予め設定された動作回数閾値よりも多いかを判定する。また、制御ゲイン調整部58は、車線維持支援機能の動作回数が、動作回数閾値よりも多い場合に、制御トルク算出部54が算出した操舵制御トルクTよりも小さい操舵制御トルク、即ち制御ゲインを減らして車線維持制御を行う。また、制御ゲイン調整部58は、メインスイッチ15が押下された際に、制御ゲインのデフォルト設定を行う。なお、制御ゲイン調整部58は、本開示における制御部の一例である。
【0049】
オーバライド調整部59は、キャンセル回数算出部57が算出した車線維持支援機能のキャンセル回数が、予め設定されたキャンセル回数閾値よりも多いかを判定する。また、オーバライド調整部59は、車線維持支援機能のキャンセル回数が、キャンセル回数閾値よりも多い場合に、運転者の操舵介入があった際に、車線維持制御をキャンセルし易い、即ちオーバライドキャンセルし易い設定とする。また、オーバライド調整部59は、車線維持制御を開始する際に、オーバライド条件のデフォルト設定を行う。オーバライド調整部59は、本開示における制御部の一例である。
【0050】
車線維持支援実行部60は、車両状態検出部51が、車両10が所定の運転状態であることを検出した場合であって、尚且つ、車両10の運転者がステアリングを補舵している場合に、車線内を走行中の車両10が車線端に接近したことを条件として、車両10の走行位置を、車線の中央側に移動させる車線維持制御を行う。より具体的には、車線維持支援実行部60は、EPSモータ25に対して、制御トルク算出部54が算出した操舵制御トルクTを発生させる。なお、車線維持制御が実行される、車両10の所定の運転状態とは、例えば、所定の車速以上であって、加速度(前後加速度及び左右加速度)が所定値以下の状態であること、また、ウインカが操作されていないこと等である。また、車線維持支援実行部60は、車線維持制御の動作中に、運転者が、操舵制御トルクTと反対方向に、閾値ΔTthを超える操舵トルクTdを入力した場合に、車線維持制御を停止させるオーバライドキャンセルを行う。また、車線維持支援実行部60は、車両状態検出部51が、車両10が車線維持制御を実行可能な状態にないことを検出した場合に、車線維持制御を停止させる。なお、車線維持支援実行部60が行う車線維持制御は、車両10がレーンマーカに接近した場合に、車線中央に押し返す方向の操舵力を加える制御であってもよいし、車両10がレーンマーカに接近した場合に、車線中央に沿って走行させる制御であってもよい。
【0051】
(車両走行制御装置が行う処理の流れ)
図4を用いて、車両走行制御装置12が行う処理の流れを説明する。図4は、第1の実施の形態の車両走行制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0052】
車線維持支援実行部60は、メインスイッチ15が押下されたことを検出すると、制御ゲイン調整部58とオーバライド調整部59に対して、車線維持制御を行う際にEPSモータ25に発生させる操舵制御トルクTと、車両10の操舵を運転者にオーバライドする際の条件(オーバライドキャンセル条件)とをデフォルト設定にする(ステップS11)。
【0053】
車線維持支援実行部60は、車線維持支援を行う動作条件が成立しているかを判定する(ステップS12)。車線維持支援を行う動作条件が成立していると判定される(ステップS12:Yes)とステップS13に進む。一方、車線維持支援を行う動作条件が成立していないと判定される(ステップS12:No)とステップS12を繰り返す。
【0054】
なお、車線維持支援を行う動作条件が成立しているかは、例えば、メインスイッチ15が押下されて、車両10の車速が所定の車速以上であり、尚且つ、車両10の加速度が所定の加速度未満である等の、所定の条件を満たしていることによって判定される。
【0055】
ステップS12において、車線維持支援を行う動作条件が成立していると判定されると、車線維持支援実行部60は、車線維持支援(車線維持制御)を実行する(ステップS13)。
【0056】
車線維持支援実行部60は、車線維持支援機能が動作したかを判定する(ステップS14)。車線維持支援機能が動作したと判定される(ステップS14:Yes)とステップS15に進む。一方、車線維持支援機能が動作したと判定されない(ステップS14:No)とステップS13に戻る。
【0057】
ステップS14において、車線維持支援機能が動作したと判定されると、障害物検出部53は、車両10の進行方向前方に、停止車両等の回避すべき障害物があるかを判定する(ステップS15)。車両10の進行方向前方に回避すべき障害物があると判定される(ステップS15:Yes)とステップS13に戻る。一方、車両10の進行方向前方に回避すべき障害物があると判定されない(ステップS15:No)とステップS16に進む。
【0058】
ステップS15において、車両10の進行方向前方に回避すべき障害物があると判定されないと、動作回数算出部56は、車線維持支援機能の動作回数をインクリメントする(ステップS16)。
【0059】
車線維持支援実行部60は、実行中の車線維持支援機能がオーバライドキャンセルされたかを判定する(ステップS17)。実行中の車線維持支援機能がオーバライドキャンセルされたと判定される(ステップS17:Yes)とステップS18に進む。一方、実行中の車線維持支援機能がオーバライドキャンセルされたと判定されない(ステップS17:No)とステップS13に戻る。
【0060】
ステップS17において、実行中の車線維持支援機能がオーバライドキャンセルされたと判定されると、キャンセル回数算出部57は、オーバライドキャンセルの発生回数をインクリメントする(ステップS18)。
【0061】
制御ゲイン調整部58は、車線維持支援機能の動作回数が、予め設定された動作回数閾値よりも多いかを判定する(ステップS19)。車線維持支援機能の動作回数が、予め設定された動作回数閾値よりも多いと判定される(ステップS19:Yes)とステップS20に進む。一方、線維持支援機能の動作回数が、予め設定された動作回数閾値よりも多いと判定されない(ステップS19:No)とステップS12に戻る。
【0062】
ステップS19において、車線維持支援機能の動作回数が、予め設定された動作回数閾値よりも多いと判定されると、オーバライド調整部59は、車線維持支援機能のキャンセル回数が、予め設定されたキャンセル回数閾値よりも多いかを判定する(ステップS20)。車線維持支援機能のキャンセル回数が、予め設定されたキャンセル回数閾値よりも多いと判定される(ステップS20:Yes)とステップS21に進む。一方、車線維持支援機能のキャンセル回数が、予め設定されたキャンセル回数閾値よりも多いと判定されない(ステップS20:No)とステップS12に戻る。
【0063】
ステップS20において、車線維持支援機能のキャンセル回数が、予め設定されたキャンセル回数閾値よりも多いと判定されると、制御ゲイン調整部58は、車線維持支援実行部60が車線維持支援を行う際の制御ゲインを減らす(ステップS21)。
【0064】
続いて、オーバライド調整部59は、車両10の操舵を運転者にオーバライドし易い設定とする(ステップS22)。
【0065】
車両状態検出部51は、車両10が運転終了状態にあるかを検出する(ステップS23)。車両10が運転終了状態にあると判定される(ステップS23:Yes)とステップS24に進む。一方、車両10が運転終了状態にあると判定されないステップS23:No)とステップS12に戻る。なお、車両状態検出部51は、前記したように、車両10の、例えばキーOFFや施錠等に基づいて、運転終了状態にあることを検出する。
【0066】
ステップS23において、車両10が運転終了状態にあると判定されると、動作回数算出部56は、車線維持支援機能の動作回数をリセットする。また、キャンセル回数算出部57は、オーバライドキャンセルの発生回数をリセットする(ステップS24)。その後、車両走行制御装置12は、図4の処理を終了する。
【0067】
(実施の形態の作用効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る車両走行制御装置12は、車線内を走行中の車両10が車線端に接近した場合に、車両10の走行位置を、車線の中央側に移動させる操舵制御トルクTを発生させる車線維持制御を行うものであって、車線維持制御の動作回数を算出する動作回数算出部56と、操舵制御トルクTよりも大きい車両10の運転者の操舵トルクTdが加わることによって、車線維持制御がキャンセルされたキャンセル回数を算出するキャンセル回数算出部57と、車線維持制御の動作回数に基づいて、操舵制御トルクTの大きさを設定する制御ゲイン調整部58(制御トルク設定部)と、車線維持制御のキャンセル回数に基づいて、オーバライドキャンセルのし易さを設定するオーバライド調整部59(制御トルク設定部)とを備える。従って、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る車両走行制御装置12において、制御ゲイン調整部58(制御トルク設定部)は、車線維持制御の動作回数とキャンセル回数とが、ともに所定の閾値を超えた場合に、操舵制御トルクTをデフォルト値よりも小さい値に設定する。従って、運転者の操舵操作に応じて、車両走行制御装置12が発揮する操舵制御トルクTを設定することができるため、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る車両走行制御装置12は、車両10の進行方向の障害物を検出する障害物検出部53を更に備えて、制御ゲイン調整部58(制御トルク設定部)は、障害物検出部53が障害物を検出しない場合に、車線維持制御の動作回数及びキャンセル回数に基づいて、操舵制御トルクTの大きさを設定する。従って、車両10の周囲に障害物がない状態において、車両走行制御装置12が車線維持制御を行っている際の運転者の操舵操作を分析することができるため、車線に沿って走行する際の運転者の癖を精度よく分析することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図5図6を用いて、本発明の第2の実施の形態の車両走行制御装置12aを説明する。図5は、第2の実施の形態の車両走行制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図6は、第2の実施の形態の車両走行制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0071】
なお、車両走行制御装置12aのハードウエア構成は、図1に示した車両走行制御装置12のハードウエア構成と同じであるため、同じ符号を用いて説明する。
【0072】
(車両走行制御装置の機能構成)
ECU14は、制御プログラムを実行することによって、図5に示す車両状態検出部51と、車線端検出部52と、右側動作回数算出部56aと、左側動作回数算出部56bと、走行位置調整部61と、車線維持支援実行部60とを機能部として実現する。
【0073】
車両状態検出部51と、車線端検出部52と、車線維持支援実行部60の機能は、第1の実施形態で説明した通りである。
【0074】
右側動作回数算出部56aは、車線維持支援実行部60が、車両10を右側に操舵させる操舵制御トルクTを発生した回数をインクリメントすることによって、車両10を右側に操舵させる車線維持制御の動作回数を算出する。
【0075】
左側動作回数算出部56bは、車線維持支援実行部60が、車両10を左側に操舵させる操舵制御トルクTを発生した回数をインクリメントすることによって、車両10を左側に操舵させる車線維持制御の動作回数を算出する。
【0076】
走行位置調整部61は、車両10が、車線維持制御を行いながら所定距離以上走行した際に、右側動作回数算出部56aが算出した、車両10を右側に操舵させる操舵制御トルクTを発生させた右側動作回数Na(第1の動作回数)と、車両10を左側に操舵させる操舵制御トルクTを発生させた左側動作回数Nb(第2の動作回数)との総和に占める右側動作回数Naの割合が所定の閾値よりも大きい場合に、車線における車両10の走行位置を、車線の中央よりも左側に調整する。また、走行位置調整部61は、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が所定の閾値よりも大きい場合に、車線における車両10の走行位置を、車線の中央よりも右側に調整する。
【0077】
(車両走行制御装置が行う処理の流れ)
図6を用いて、車両走行制御装置12aが行う処理の流れを説明する。
【0078】
車線維持支援実行部60は、車線維持支援を行う動作条件が成立しているかを判定する(ステップS31)。車線維持支援を行う動作条件が成立していると判定される(ステップS31:Yes)とステップS32に進む。一方、車線維持支援を行う動作条件が成立していないと判定される(ステップS31:No)とステップS31を繰り返す。
【0079】
ステップS31において、車線維持支援を行う動作条件が成立していると判定されると、車線維持支援実行部60は、車線維持支援(車線維持制御)を実行する(ステップS32)。
【0080】
車線維持支援実行部60は、車線維持支援機能が動作したかを判定する(ステップS33)。車線維持支援機能が動作したと判定される(ステップS33:Yes)とステップS34に進む。一方、車線維持支援機能が動作したと判定されない(ステップS33:No)とステップS32に戻る。
【0081】
ステップS14において、車線維持支援機能が動作したと判定されると、車線維持支援実行部60は、車両10を右側に操作させる操舵制御トルクTが発生したかを判定する(ステップS34)。車両10を右側に操作させる操舵制御トルクTが発生したと判定される(ステップS34:Yes)とステップS35に進む。一方、車両10を右側に操作させる操舵制御トルクTが発生したと判定されない(ステップS34:No)とステップS36に進む。
【0082】
ステップS34において、車両10を右側に操作させる操舵制御トルクTが発生したと判定されると、右側動作回数算出部56aは、右側動作回数Naをインクリメントする(ステップS35)。その後、ステップS37に進む。
【0083】
ステップS34において、車両10を右側に操作させる操舵制御トルクTが発生したと判定されない、即ち、車両10を左側に操作させる操舵制御トルクTが発生したと判定されると、左側動作回数算出部56bは、左側動作回数Nbをインクリメントする(ステップS36)。その後、ステップS37に進む。
【0084】
ステップS35又はステップS36に続いて、走行位置調整部61は、車両10が車線維持支援を動作させながら所定距離以上走行したかを判定する(ステップS37)。車両10が車線維持支援を動作させながら所定距離以上走行したと判定される(ステップS37:Yes)とステップS38に進む。一方、車両10が車線維持支援を動作させながら所定距離以上走行したと判定されない(ステップS37:No)と、ステップS32に戻る。
【0085】
ステップS37において、車両10が車線維持支援を動作させながら所定距離以上走行したと判定されると、走行位置調整部61は、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める右側動作回数Naの割合が閾値以上であるかを判定する(ステップS38)。右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める右側動作回数Naの割合が閾値以上であると判定される(ステップS38:Yes)とステップS39に進む。一方、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める右側動作回数Naの割合が閾値以上であると判定されない(ステップS38:No)とステップS40に進む。
【0086】
ステップS38において、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める右側動作回数Naの割合が閾値以上であると判定されると、走行位置調整部61は、車両10の目標走行位置32(図2A図2B参照)を、車線中央よりも左寄りに設定する(ステップS39)。その後、ステップS42に進む。
【0087】
ステップS38において、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める右側動作回数Naの割合が閾値以上であると判定されないと、走行位置調整部61は、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が閾値以上であるかを判定する(ステップS40)。右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が閾値以上であると判定される(ステップS40:Yes)とステップS41に進む。一方、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が閾値以上であると判定されない(ステップS40:No)とステップS42に進む。
【0088】
ステップS40において、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が閾値以上であると判定されると、走行位置調整部61は、車両10の目標走行位置32を、車線中央よりも右寄りに設定する(ステップS41)。その後、ステップS42に進む。
【0089】
ステップS39又はステップS41に続いて、或いはステップS40において、右側動作回数Naと左側動作回数Nbとの総和に占める左側動作回数Nbの割合が閾値以上であると判定されないと、車線維持支援実行部60は、車線維持支援機能の停止条件が成立したかを判定する(ステップS42)。車線維持支援機能の停止条件が成立したと判定される(ステップS42:Yes)とステップS43に進む。一方、車線維持支援機能の停止条件が成立したと判定されない(ステップS42:No)とステップS32に戻る。なお、車線維持支援機能の停止条件とは、例えば、メインスイッチ15が切断される、車両10の車速が所定の車速を下回る、車両10の加速度が所定の加速度以上である等のいずれかの条件が成立することである。
【0090】
ステップS42において、車線維持支援機能の停止条件が成立したと判定されると、車線維持支援実行部60は、車線維持支援機能を停止させる(ステップS43)。
【0091】
車両状態検出部51は、車両10が運転終了状態にあるかを検出する(ステップS44)。車両10が運転終了状態にあると判定される(ステップS44:Yes)とステップS45に進む。一方、車両10が運転終了状態にあると判定されないステップS44:No)とステップS31に戻る。
【0092】
ステップS44において、車両10が運転終了状態にあると判定されると、右側動作回数算出部56aは右側動作回数Naをリセットする。また、左側動作回数算出部56bは、左側動作回数Nbをリセットする(ステップS45)。その後、車両走行制御装置12aは、図6の処理を終了する。
【0093】
なお、図6に示した処理の流れは、様々な変形が可能である。例えば、車両10の前方に、停止車両等の回避すべき障害物が存在した場合は、右側動作回数算出部56aによる右側動作回数Naのインクリメントと、左側動作回数算出部56bによる左側動作回数Nbのインクリメントとを中止してもよい。これによって、車両走行制御装置12aは、車両10が前方の障害物を回避する運転操作を行う場面を避けて、車線維持制御の動作状態をモニタすることができる。これによって、運転者の目標走行位置の推定を精度よく行うことができる。
【0094】
(実施の形態の作用効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る車両走行制御装置12aは、車線維持制御を行いながら所定距離以上走行した際に、右側動作回数算出部56a(動作回数算出部)が算出した、車両10を右側に操舵させる操舵制御トルクTを発生させた右側動作回数Na(第1の動作回数)と、左側動作回数算出部56b(動作回数算出部)が算出した、車両10を左側に操舵させる操舵制御トルクTを発生させた左側動作回数Nb(第2の動作回数)との総和に占める右側動作回数Naの割合が所定の閾値よりも大きい場合に、車両10の走行位置を、車線の中央よりも左側に調整して、総和に占める左側動作回数Nbの割合が所定の閾値よりも大きい場合に、車両10の走行位置を、車線の中央よりも右側に調整する走行位置調整部を更に備える。従って、より高い精度で、運転者の意図した走行ラインを走行させ易くすることができる。
【0095】
なお、車両走行制御装置12aは、運転者に、車線維持制御の制御パラメータを設定させる設定ファイルを備えてもよい。そして、運転者に対して、車両10の運転前に当該設定ファイルを開かせて、車線維持制御を行う際に車線の左寄りを走行するか、又は車線の右寄りを走行するかを設定させるようにしてもよい。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10 車両
12,12a 車両走行制御装置
14 ECU
15 メインスイッチ
16 ステレオカメラ
17 操舵トルクセンサ
25 EPSモータ
32 目標走行位置
51 車両状態検出部
52 車線端検出部
53 障害物検出部
54 制御トルク算出部
55 操舵トルク算出部
56 動作回数算出部
56a 右側動作回数算出部(動作回数算出部)
56b 左側動作回数算出部(動作回数算出部)
57 キャンセル回数算出部
58 制御ゲイン調整部(制御トルク設定部)
59 オーバライド調整部(制御トルク設定部)
60 車線維持支援実行部
61 走行位置調整部
Na 右側動作回数(第1の動作回数)
Nb 左側動作回数(第2の動作回数)
T 操舵制御トルク
Td 操舵トルク
ΔT 偏差
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6