(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151437
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】道路機械
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061041
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 裕彦
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BD03
2D052BD11
(57)【要約】
【課題】アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業する作業者に各種情報を視覚的に伝えること。
【解決手段】アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1と、トラクタ1の前方に設置されて舗装材PVを受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後方へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材PVをトラクタ1の後方で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材PVをスクリュSCの後方で敷き均すスクリード3と、アスファルトフィニッシャ100の前後方向(車長方向)及び幅方向(車幅方向)の少なくとも一方における路面に光を照射して情報を伝える照射装置LSと、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、
前記トラクタの前方に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後方へ給送するコンベアと、
前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後方で敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後方で敷き均すスクリードと、
当該道路機械の前後方向及び幅方向の少なくとも一方における路面に光を照射して情報を伝える照射装置と、を備える、
道路機械。
【請求項2】
施工中に前記照射装置によって光が照射される範囲は、移動中に前記照射装置によって光が照射される範囲とは異なる、
請求項1に記載の道路機械。
【請求項3】
前記照射装置が伝える前記情報は、進入禁止領域の境界の位置であり、
前記照射装置は、前記路面に照射する光によって前記境界を可視化する、
請求項1又は2に記載の道路機械。
【請求項4】
当該道路機械の周囲にいる人を検出する物体検出装置と、
前記照射装置を制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記物体検出装置の出力に基づいて人を検出したときに、前記照射装置による光の照射態様を変化させる、
請求項1乃至3の何れかに記載の道路機械。
【請求項5】
当該道路機械の周囲にいる人を検出する物体検出装置と、
前記照射装置を制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記物体検出装置の出力に基づいて前記進入禁止領域から所定距離の範囲内において人を検出しているときに、前記照射装置が照射する光によって前記境界を可視化する、
請求項3に記載の道路機械。
【請求項6】
当該道路機械の周囲にいる人を検出する物体検出装置と、
前記照射装置を制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記物体検出装置の出力に基づいて検出された人と前記進入禁止領域との間の距離に応じて前記照射装置による光の照射態様を変化させる、
請求項3に記載の道路機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトフィニッシャに取り付けられたカメラが取得する画像を利用してアスファルトフィニッシャの周囲の状況をアスファルトフィニッシャの操作者が視認できるようにするアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のアスファルトフィニッシャは、アスファルトフィニッシャの周囲で作業する作業者とアスファルトフィニッシャとが接近したことを視覚的にアスファルトフィニッシャの操作者に知らせることができる。
【0005】
しかしながら、上述のアスファルトフィニッシャは、作業者とアスファルトフィニッシャとが接近したこと等の各種情報を視覚的にその作業者に伝えることができない。
【0006】
そこで、アスファルトフィニッシャ等の道路機械の周囲で作業する作業者に各種情報を視覚的に伝えることができる道路機械の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態に係る道路機械は、トラクタと、前記トラクタの前方に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後方へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後方で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後方で敷き均すスクリードと、当該道路機械の前後方向及び幅方向の少なくとも一方における路面に光を照射して情報を伝える照射装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上述の道路機械は、道路機械の周囲で作業する作業者に各種情報を視覚的に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】施工中のアスファルトフィニッシャの側面図である。
【
図2】施工中のアスファルトフィニッシャの上面図である。
【
図3】走行中のアスファルトフィニッシャの上面図である。
【
図4】制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】照射制御処理の一例のフローチャートである。
【
図6】施工中のアスファルトフィニッシャの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の側面図である。道路機械は、ベースペーバ、タックペーバ、又はマルチアスファルトペーバ等であってもよい。
図2及び
図3はアスファルトフィニッシャ100の上面図である。具体的には、
図2は施工中(舗装材PVの敷設中)のアスファルトフィニッシャ100の上面図であり、
図3は施工中でないときの走行中(移動中)のアスファルトフィニッシャ100の上面図である。アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成されている。以下では、便宜上、トラクタ1から見たホッパ2の方向(+X方向)を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向(-X方向)を後方とする。
【0011】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。図示例では、トラクタ1は、後輪走行用油圧モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用油圧モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用油圧モータ及び前輪走行用油圧モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。後輪5及び前輪6はクローラで置き換えられてもよい。
【0012】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。図示例では、コントローラ50は、CPU、メモリ、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を含むマイクロコンピュータで構成され、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0013】
ホッパ2は、舗装材PVを受け入れるための機構である。図示例では、ホッパ2は、トラクタ1の前方に設置され、ホッパウイング2Wを含む。ホッパウイング2Wは、ホッパシリンダ7によってY軸方向(幅方向、車幅方向)に開閉可能に構成されている。具体的には、ホッパウイング2Wは、左ホッパシリンダ7Lによって左方に開閉可能な左ホッパウイング2WLと、右ホッパシリンダ(図示せず)によって右方に開閉可能な右ホッパウイング2WRとを含む。
【0014】
アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパウイング2Wを全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材PVを受け入れる。図示例では、舗装材PVは、アスファルト混合物であり、「アスファルト合材」とも称される。
図1及び
図2ではホッパウイング2Wは全開状態となっており、
図3ではホッパウイング2Wは全閉状態となっている。なお、
図2及び
図3では、明瞭化のため、ホッパ2内に受け入れられた舗装材PVの図示が省略されている。ホッパ2内に受け入れられた舗装材PVは、ホッパ2の中央部にあるコンベアCVによってトラクタ1の後方に給送される。ホッパ2内の舗装材PVが減少するとホッパウイング2Wが閉じられ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材PVがホッパ2の中央部に集められる。コンベアCVがトラクタ1の後方に舗装材PVを給送できるようにするためである。トラクタ1の後方に給送された舗装材PVは、スクリュSCによってトラクタ1の後方且つスクリード3の前方で車幅方向に敷き拡げられる。図示例では、スクリュSCは、左延長スクリュSCL及び右延長スクリュSCRが連結された状態にある。
図1及び
図2ではスクリュSCによって敷き拡げられた舗装材PVは粗いドットパターンで示され、スクリード3によって敷き均された新設舗装体NPは細かいドットパターンで示されている。
【0015】
スクリード3は、舗装材PVを敷き均すための機構である。図示例では、スクリード3は、前側スクリード30及び後側スクリード31を含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。後側スクリード31は、左方に伸縮できるように構成された左後側スクリード31L、及び、右方に伸縮できるように構成された右後側スクリード31Rを含む。
図1及び
図2ではスクリード3は最も伸張(拡幅)した状態となっており、
図3ではスクリード3は最も収縮した状態、すなわち、中央部に収納された状態になっている。
【0016】
後側スクリード31の遠位端にはサイドプレート41が取り付けられている。図示例では、左後側スクリード31Lの左端には左サイドプレート41Lが取り付けられ、右後側スクリード31Rの右端には右サイドプレート41Rが取り付けられている。
【0017】
スクリード3の後方には踏み板32が取り付けられている。具体的には、踏み板32は、スクリード3の後方において作業者が新設舗装体NPを踏まずに車幅方向に行き来できるようにスクリード3の後方に取り付けられている。図示例では、踏み板32は、前側スクリード30の後方に取り付けられる中央踏み板32C、左後側スクリード31Lの後方に取り付けられる左踏み板32L、及び、右後側スクリード31Rの後方に取り付けられる右踏み板32Rを含む。
【0018】
後側スクリード31の前方にはモールドボード42が取り付けられている。モールドボード42は、後側スクリード31の前方に滞留する舗装材PVの量を調整できるように上下動できるように構成されている。舗装材PVは、モールドボード42の下端と路盤RBとの間の隙間を通ってスクリード3の下に至る。
【0019】
具体的には、モールドボード42は、左後側スクリード31Lの前方に配置される左モールドボード42L、及び、右後側スクリード31Rの前方に配置される右モールドボード42Rを含む。
【0020】
モールドボード42の前方にはスクリュSCが配置され、スクリュSCの前方にはリテーニングプレート43が配置されている。具体的には、リテーニングプレート43は、左延長スクリュSCLの前方に配置される左リテーニングプレート43L、及び、右延長スクリュSCRの前方に配置される右リテーニングプレート43Rを含む。なお、リテーニングプレート43は省略されてもよい。
【0021】
トラクタ1の上部には、撮像装置51及び照射装置LSが取り付けられている。撮像装置51は、アスファルトフィニッシャ100の周囲を撮像するように構成されている。図示例では、撮像装置51は、アスファルトフィニッシャ100の周囲を撮像可能な単眼カメラである。なお、アスファルトフィニッシャ100には照明装置が取り付けられていてもよい。照明装置は、夜間作業等の際にアスファルトフィニッシャ100の周囲を照らすための装置である。
【0022】
図示例では、撮像装置51は、アスファルトフィニッシャ100の後方を撮像するための後方カメラ51B、アスファルトフィニッシャ100の前方を撮像するための前方カメラ51F、アスファルトフィニッシャ100の左方を撮像するための左方カメラ51L、及び、アスファルトフィニッシャ100の右方を撮像するための右方カメラ51Rを含む。
【0023】
照射装置LSは、アスファルトフィニッシャ100の周囲の壁又は路面等に光を照射して周囲にいる人に視覚的に情報を伝えることができるように構成されている。図示例では、照射装置LSは、可視光半導体レーザであり、アスファルトフィニッシャ100の周囲の路面に光を照射するように位置付けられ、且つ、無線又は有線でコントローラ50に接続されている。なお、照射装置LSは、線状の領域を限定的に照射できるのであれば、発光ダイオード等の他の光源を利用した装置であってもよい。
【0024】
具体的には、照射装置LSは、ホッパ2の前方にある路面にレーザ光を照射する第1照射装置LS1、スクリード3の後方にある路面にレーザ光を照射する第2照射装置LS2、ホッパ2の側方にある路面にレーザ光を照射する第3照射装置LS3、トラクタ1の側方にある路面にレーザ光を照射する第4照射装置LS4、及び、スクリード3の側方にある路面にレーザ光を照射する第5照射装置LS5を含む。
【0025】
図示例では、照射装置LSは、アスファルトフィニッシャ100の周囲に設定されている進入禁止領域NEの境界を可視化するため、アスファルトフィニッシャ100の周囲の路面上に設定された直線状の照射範囲IRを照射するように構成されている。具体的には、進入禁止領域NEは、第1進入禁止領域NE1~第5進入禁止領域NE5を含み、照射範囲IRは、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5を含む。
【0026】
第1照射装置LS1は、ホッパ2の前方に設定されている第1進入禁止領域NE1の前側の境界を可視化するため、ホッパ2の前方の路面上においてY軸に沿って延びる直線状の第1照射範囲IR1を照射するように構成されている。図示例では、第1照射範囲IR1の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、開いた状態のホッパウイング2Wの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)と同じである。但し、第1照射範囲IR1の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、開いた状態のホッパウイング2Wの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)より所定距離だけ長く設定されてもよい。また、図示例では、第1照射装置LS1は、ホッパ2の下部構造体を構成する前フレームF1の前面に取り付けられている。前フレームF1は、プッシュローラPRが固定される部材である。但し、第1照射装置LS1は、他の部分に取り付けられていてもよい。
【0027】
第2照射装置LS2は、スクリード3の後方に設定されている第2進入禁止領域NE2の後側の境界を可視化するため、スクリード3の後方の路面上においてY軸に沿って延びる直線状の第2照射範囲IR2を照射するように構成されている。図示例では、第2照射範囲IR2の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、伸張(拡幅)した状態のスクリード3の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)と同じである。但し、第2照射範囲IR2の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、伸張(拡幅)した状態のスクリード3の車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)より長くてもよい。また、図示例では、第2照射装置LS2は、スクリード3の後方に設けられる中央踏み板32Cの後面に取り付けられている。但し、第2照射装置LS2は、他の部分に取り付けられていてもよい。
【0028】
第3照射装置LS3は、ホッパ2の側方に設定されている第3進入禁止領域NE3の外側の境界を可視化するため、ホッパ2の側方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第3照射範囲IR3を照射するように構成されている。具体的には、第3照射装置LS3は第3左照射装置LS3L及び第3右照射装置LS3Rを含み、第3進入禁止領域NE3は第3左進入禁止領域NE3L及び第3右進入禁止領域NE3Rを含み、第3照射範囲IR3は第3左照射範囲IR3L及び第3右照射範囲IR3Rを含む。そして、第3左照射装置LS3Lは、左ホッパウイング2WLの左方に設定されている第3左進入禁止領域NE3Lの左側の境界を可視化するため、左ホッパウイング2WLの左方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第3左照射範囲IR3Lを照射するように構成され、第3右照射装置LS3Rは、右ホッパウイング2WRの右方に設定されている第3右進入禁止領域NE3Rの右側の境界を可視化するため、右ホッパウイング2WRの右方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第3右照射範囲IR3Rを照射するように構成されている。図示例では、第3左照射範囲IR3L及び第3右照射範囲IR3Rのそれぞれの前後方向(車長方向、X軸方向)における長さは、ホッパウイング2Wの前後方向(X軸方向)における長さと同じである。但し、第3左照射範囲IR3L及び第3右照射範囲IR3Rのそれぞれの前後方向(車長方向、X軸方向)における長さは、ホッパウイング2Wの前後方向(X軸方向)における長さより長くてもよい。また、図示例では、第3左照射装置LS3Lは、ホッパ2の下部構造体を構成する左フレームF2の左面に取り付けられ、第3右照射装置LS3Rは、ホッパ2の下部構造体を構成する右フレーム(図示せず。)の右面に取り付けられている。但し、第3照射装置LS3は、他の部分に取り付けられていてもよい。
【0029】
第4照射装置LS4は、スクリュSC(リテーニングプレート43)の前方に設定されている第4進入禁止領域NE4の前側の境界を可視化するため、スクリュSC(リテーニングプレート43)の前方の路面上においてY軸に沿って延びる直線状の第4照射範囲IR4を照射するように構成されている。具体的には、第4照射装置LS4は第4左照射装置LS4L及び第4右照射装置LS4Rを含み、第4進入禁止領域NE4は第4左進入禁止領域NE4L及び第4右進入禁止領域NE4Rを含み、第4照射範囲IR4は第4左照射範囲IR4L及び第4右照射範囲IR4Rを含む。そして、第4左照射装置LS4Lは、左延長スクリュSCL(左リテーニングプレート43L)の前方に設定されている第4左進入禁止領域NE4Lの前側の境界を可視化するため、左延長スクリュSCL(左リテーニングプレート43L)の前方の路面上においてY軸に沿って延びる直線状の第4左照射範囲IR4Lを照射するように構成され、第4右照射装置LS4Rは、右延長スクリュSCR(右リテーニングプレート43R)の前方に設定されている第4右進入禁止領域NE4Rの前側の境界を可視化するため、右延長スクリュSCR(右リテーニングプレート43R)の前方の路面上においてY軸に沿って延びる直線状の第4右照射範囲IR4Rを照射するように構成されている。図示例では、第4左照射範囲IR4Lの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、左後側スクリード31Lの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)と同じであり、第4右照射範囲IR4Rの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、右後側スクリード31Rの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)と同じである。但し、第4左照射範囲IR4Lの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、左後側スクリード31Lの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)より長くてもよく、第4右照射範囲IR4Rの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)は、右後側スクリード31Rの車幅方向(Y軸方向)における長さ(幅)より長くてもよい。また、図示例では、第4左照射装置LS4Lは、左モールドボード42Lの上端に取り付けられ、第4右照射装置LS4Rは、右モールドボード42Rの上端に取り付けられている。但し、第4左照射装置LS4Lは、他の部分に取り付けられていてもよい。例えば、第4左照射装置LS4Lは、トラクタ1の左側面に取り付けられていてもよく、第4右照射装置LS4Rは、トラクタ1の右側面に取り付けられていてもよい。
【0030】
第5照射装置LS5は、スクリード3の側方に設定されている第5進入禁止領域NE5の外側の境界を可視化するため、スクリード3の側方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第5照射範囲IR5を照射するように構成されている。具体的には、第5照射装置LS5は第5左照射装置LS5L及び第5右照射装置LS5Rを含み、第5進入禁止領域NE5は第5左進入禁止領域NE5L及び第5右進入禁止領域NE5Rを含み、第5照射範囲IR5は第5左照射範囲IR5L及び第5右照射範囲IR5Rを含む。そして、第5左照射装置LS5Lは、スクリード3(左サイドプレート41L)の左方に設定されている第5左進入禁止領域NE5Lの左側の境界を可視化するため、スクリード3(左サイドプレート41L)の左方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第5左照射範囲IR5Lを照射するように構成され、第5右照射装置LS5Rは、スクリード3(右サイドプレート41R)の右方に設定されている第5右進入禁止領域NE5Rの右側の境界を可視化するため、スクリード3(右サイドプレート41R)の右方の路面上においてX軸に沿って延びる直線状の第5右照射範囲IR5Rを照射するように構成されている。図示例では、第5左照射範囲IR5Lの前後方向(X軸方向)における長さは、左サイドプレート41Lの前後方向(X軸方向)における長さと同じであり、第5右照射範囲IR5Rの前後方向(X軸方向)における長さは、右サイドプレート41Rの前後方向(X軸方向)における長さと同じである。但し、第5左照射範囲IR5Lの前後方向(X軸方向)における長さは、左サイドプレート41Lの前後方向(X軸方向)における長さより長くてもよく、第5右照射範囲IR5Rの前後方向(X軸方向)における長さは、右サイドプレート41Rの前後方向(X軸方向)における長さより長くてもよい。また、図示例では、第5左照射装置LS5Lは、左サイドプレート41Lの左面に取り付けられ、第5右照射装置LS5Rは、右サイドプレート41Rの右面に取り付けられている。但し、第5照射装置LS5は、他の部分に取り付けられていてもよい。
【0031】
なお、照射装置LSは、アスファルトフィニッシャ100の周囲の路面上に設定された直線状の照射範囲IRを照射するように構成されているが、文字、図形、又はそれらの組み合わせ等を路面上に可視化できるように構成されていてもよい。また、照射装置LSは、光量(明るさ)及び波長(色)等の少なくとも1つが異なる光を同時に照射できるように構成されていてもよい。
【0032】
次に、
図4を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される制御システムSYSについて説明する。
図4は、制御システムSYSの構成例を示すブロック図である。制御システムSYSは、主に、コントローラ50、撮像装置51、情報取得装置53、及び照射装置LS等で構成されている。図示例では、コントローラ50、撮像装置51、情報取得装置53、及び照射装置LSは、電源装置60から電力の供給を受ける。電源装置60は、動力源の一例であるエンジン61によって駆動される発電機62が発電した交流電力を直流電力に変換する。電源装置60は、不図示のバッテリから電力の供給を受けてもよい。
図4の太点線は電力線を表し、細実線は信号線を表し、二重線はエンジン61と発電機62とが機械的に連結されていることを表す。
【0033】
コントローラ50は、機能要素として照射制御部50aを含む。照射制御部50aは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで構成され、照射装置LSを制御する。図示例では、照射制御部50aは、撮像装置51及び情報取得装置53等の出力に基づいて照射の要否を判定する。そして、照射制御部50aは、照射が必要と判定した場合に、照射の開始に関する指令を照射装置LSに対して出力する。照射装置LSは照射制御部50aからの指令に応じて光量(明るさ)及び波長(色)等の少なくとも1つを変更できるように構成されていてもよい。
【0034】
情報取得装置53は、情報を取得し、取得した情報をコントローラ50に対して出力できるように構成されている。情報取得装置53は、例えば、走行速度センサ、操舵角センサ、及び舗装幅センサ等の少なくとも1つを含む。走行速度センサは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を検出する。操舵角センサは、アスファルトフィニッシャ100の操舵角を検出する。舗装幅センサは、後側スクリード31の伸張量を検出して舗装幅を算出する。なお、情報取得装置53は、タッチパネル又はスイッチ等の入力装置であってもよい。
【0035】
次に、
図5を参照し、照射制御部50aが照射装置LSを制御する処理(以下、「照射制御処理」とする。)の一例について説明する。
図5は、照射制御処理の一例のフローチャートである。
図5に示す例では、照射制御部50aは、アスファルトフィニッシャ100の稼動中にこの照射制御処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。照射制御部50aは、例えば、電源装置60が電力の供給を受けたとき、或いは、エンジン61が作動させられたときに照射制御処理の実行を開始する。なお、照射制御部50aは、スイッチの操作等、入力装置等を介した所定の操作が行われたときにこの照射制御処理を一度だけ実行するように構成されていてもよい。
【0036】
最初に、照射制御部50aは、施工中であるか否かを判定する(ステップST1)。図示例では、照射制御部50aは、路盤RBに向けてスクリード3が降ろされたか否かに基づいて施工中であるか否かを判定する。具体的には、照射制御部50aは、スクリード3を持ち上げるためのリフトシリンダ8(
図1参照)内における作動油の圧力を取得する情報取得装置53(圧力センサ)の出力に基づいてスクリード3が路盤RBに向けて降ろされたか否かを判断する。より具体的には、照射制御部50aは、リフトシリンダ8のロッド側油室における作動油の圧力が所定値を下回った場合に、リフトシリンダ8が伸張してスクリード3が路盤RBに向けて降ろされたと判断し、施工中であると判定する。なお、照射制御部50aは、走行中と施工中とを区別できるのであれば、他の任意の情報に基づいて施工中であるか否かを判定してもよい。
【0037】
施工中であると判定した場合(ステップST1のYES)、照射制御部50aは、全ての照射装置LSを作動させる(ステップST2)。図示例では、照射制御部50aは、第1照射装置LS1~第5照射装置LS5のそれぞれに対して照射の開始に関する指令を出力する。その結果、第1照射装置LS1~第5照射装置LS5のそれぞれは、
図2に示すように、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5のそれぞれを照射して第1進入禁止領域NE1~第5進入禁止領域NE5のそれぞれの境界を可視化する。なお、照射制御部50aは、施工中であると判定した場合に、全ての照射装置LSではなく、一部の照射装置LSに対して照射の開始に関する指令を出力してもよい。例えば、照射制御部50aは、第3照射装置LS3~第5照射装置LS5のそれぞれに対して照射の開始に関する指令を出力してもよい。この場合、第1照射範囲IR1は第1照射装置LS1によって照射されず、第2照射範囲IR2は第2照射装置LS2によって照射されない。
【0038】
一方、施工中でないと判定した場合(ステップST1のNO)、照射制御部50aは、走行中であるか否かを判定する(ステップST3)。図示例では、照射制御部50aは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を取得する情報取得装置53(走行速度センサ)の出力に基づいて走行中であるか否かを判定する。具体的には、照射制御部50aは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度が所定速度以上である場合に走行中であると判定する。なお、照射制御部50aは、他の任意の情報に基づいて走行中であるか否かを判定してもよい。
【0039】
走行中であると判定した場合(ステップST3のYES)、照射制御部50aは、一部の照射装置LSを作動させる(ステップST4)。図示例では、照射制御部50aは、第1照射装置LS1及び第2照射装置LS2のそれぞれに対して照射の開始に関する指令を出力する。その結果、第1照射装置LS1及び第2照射装置LS2のそれぞれは、
図3に示すように、第2照射範囲IR2及び第2照射範囲IR2のそれぞれを照射して第1進入禁止領域NE1及び第2進入禁止領域NE2のそれぞれの境界を可視化する。この場合、第1進入禁止領域NE1及び第2進入禁止領域NE2のそれぞれの前後方向(X軸方向)における長さは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度が大きいほど大きくなるように設定されてもよい。また、この場合には、第3照射範囲IR3は第3照射装置LS3によって照射されず、第4照射範囲IR4は第4照射装置LS4によって照射されず、第5照射範囲IR5は第5照射装置LS5によって照射されない。
【0040】
上述の構成により、アスファルトフィニッシャ100は、アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業する作業者に対し、進入禁止領域NEの存在を視覚的に認識させることができる。
【0041】
具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、アスファルトフィニッシャ100の施工中においては、第3左照射装置LS3Lによって左ホッパウイング2WLの左方の路面上に設定された第3左照射範囲IR3Lを照射することにより、第3左進入禁止領域NE3Lの存在を作業者に視覚的に認識させることができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、作業者が第3左進入禁止領域NE3Lの存在に気付かずに第3左進入禁止領域NE3Lに進入してしまうのを防止でき、ひいては、左ホッパウイング2WLが開かれたときに左ホッパウイング2WLと作業者とが接触してしまうのを防止できる。第3右進入禁止領域NE3R、第4進入禁止領域NE4、及び第5進入禁止領域NE5についても同様である。
【0042】
次に、
図6を参照し、照射制御処理の別の一例について説明する。
図6を参照して説明する照射制御処理は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に物体が存在するか否かに応じて照射装置LSによる光の照射態様を変化させる点で上述の照射制御処理と異なる。
【0043】
図6に示す例では、コントローラ50は、撮像装置51が取得する画像に基づいてアスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する物体を検出できるように構成されている。すなわち、撮像装置51は、物体検出装置として機能するように構成されている。
【0044】
また、コントローラ50は、撮像装置51が取得する画像に各種画像処理を施すことで、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。この場合、作業者は、所定のマーカが描かれた腕章又はヘルメット等を装着していてもよい。画像認識処理で認識され易いようにするためである。この場合、コントローラ50は、所定のマーカの画像を見つけ出すことで作業者の位置を検出できる。
【0045】
また、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する作業者の位置を検出できるように構成されていてもよい。この場合、コントローラ50は、検出した作業者と進入禁止領域NEとの間の距離を算出できるように構成されていてもよい。
【0046】
また、コントローラ50は、ステレオカメラ、ミリ波レーダ、超音波センサ、レーザレーダ、赤外線センサ、又はLIDAR等である別の物体検出装置の出力に基づいてアスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する物体を検出できるように構成されていてもよく、検出した物体とアスファルトフィニッシャ100又は進入禁止領域NE等との間の距離を算出できるように構成されていてもよい。
【0047】
また、照射装置LSによる光の照射態様を変化させることは、例えば、照射装置LSによる照射を開始させること、照射装置LSによる照射を停止させること、照射装置LSが照射する光の波長(色)を変化させること、照射装置LSが照射する光を点滅させること、又は、照射装置LSが照射する光の光量(明るさ)を変化させること等を含む。
【0048】
図6に示す例では、コントローラ50は、
図5を参照して説明したように、アスファルトフィニッシャ100が施工中である場合、アスファルトフィニッシャ100の周囲に物体が存在するか否かにかかわらず、第1照射装置LS1~第5照射装置LS5のそれぞれによって第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5を継続的に照射させている。
【0049】
このような前提の上で、
図6に示す例では、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100の周囲における作業者等の人の有無に応じて照射装置LSによる光の照射態様を変化させるように構成されている。
【0050】
具体的には、コントローラ50は、
図6に示すように、前方カメラ51Fが取得する画像に基づいて右ホッパウイング2WRの右方に作業者WKを検出した場合、第3右進入禁止領域NE3Rと作業者WKとの間の距離DSを算出する。そして、コントローラ50は、距離DSの値が所定の閾値以下の場合、第3右照射装置LS3Rに対して点滅指令を出力して第3右照射装置LS3Rが照射する光を点滅させるようにする。すなわち、コントローラ50は、第3右照射装置LS3Rによって所定の時間間隔毎に第3右照射範囲IR3Rを照射させるようにする。なお、
図6における八つのクロスパターンブロックで表される範囲は、所定の時間間隔毎に照射される第3右照射範囲IR3Rを表している。すなわち、八つのクロスパターンブロックは、第3右照射範囲IR3Rを照射する第3右照射装置LS3Rが点滅していることを表している。
【0051】
この構成により、作業者WKは、路面上に可視化される直線状の第3右照射範囲IR3Rを見ることにより、第3右進入禁止領域NE3Rの境界を認識でき、右ホッパウイング2WRに接近すべきでないことを認識できる。また、第3右照射範囲IR3Rが断続的に照射されるため、作業者WKは、第3右照射範囲IR3Rが照射されていることに気付き易い。
【0052】
なお、
図6に示す例では、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に物体が存在するか否かにかかわらず、照射装置LSによって照射範囲IRを継続的に照射させている。
【0053】
しかしながら、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100に物体が接近したときに照射装置LSによる照射範囲IRの照射を開始させ、アスファルトフィニッシャ100の周囲に物体が存在しない場合には、照射装置LSによる照射範囲IRの照射を実行させないように構成されていてもよい。
【0054】
例えば、コントローラ50は、第1進入禁止領域NE1と作業者との間の距離が所定値以下となった場合に第1照射装置LS1による第1照射範囲IR1の照射を開始させ、その距離が所定値を上回る場合には第1照射装置LS1による第1照射範囲IR1の照射を実行させないように構成されていてもよい。第2進入禁止領域NE2~第5進入禁止領域NE5についても同様である。
【0055】
或いは、コントローラ50は、ホッパウイング2Wが開く方向に動いているときに第3照射装置LS3によって第3照射範囲IR3を照射させるように構成されていてもよい。すなわち、コントローラ50は、第3進入禁止領域NE3内又は第3進入禁止領域NE3の近くに作業者が存在しているか否かにかかわらず、ホッパウイング2Wが開く方向に動いていないときには第3照射装置LS3による第3照射範囲IR3の照射を実行させないように構成されていてもよい。
【0056】
或いは、コントローラ50は、後側スクリード31が伸張する方向に動いているときに第5照射装置LS5によって第5照射範囲IR5を照射させるように構成されていてもよい。すなわち、コントローラ50は、第5進入禁止領域NE5内又は第5進入禁止領域NE5の近くに作業者が存在しているか否かにかかわらず、後側スクリード31が伸張する方向に動いていないときには第5照射装置LS5による第5照射範囲IR5の照射を実行させないように構成されていてもよい。
【0057】
或いは、コントローラ50は、作業者が進入禁止領域NE内に進入したときに、不図示の音出力装置に対して指令を出力し、その作業者に向けて警報を発するように構成されていてもよい。その作業者が進入禁止領域NE内に進入したことをその作業者に知らせるためである。
【0058】
或いは、コントローラ50は、作業者と進入禁止領域NEとの間の距離が所定値を下回ったときに、不図示の音出力装置に対して指令を出力し、その作業者に向けて警報を発するように構成されていてもよい。その作業者が進入禁止領域NEに近づき過ぎていることをその作業者に知らせるためである。
【0059】
上述のように、道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100は、
図2に示すように、トラクタ1と、トラクタ1の前方に設置されて舗装材PVを受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後方へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材PVをトラクタ1の後方で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材PVをスクリュSCの後方で敷き均すスクリード3と、アスファルトフィニッシャ100の前後方向(車長方向)及び幅方向(車幅方向)の少なくとも一方におけるアスファルトフィニッシャ100の周囲の路面に光を照射して情報を伝える照射装置LSと、を備えている。
【0060】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業する作業者に各種情報を視覚的に伝えることができる。
【0061】
また、施工中に照射装置LSによって光が照射される範囲は、移動中に照射装置LSによって光が照射される範囲とは異なっていてもよい。
図2に示す例では、施工中に照射装置LSによって光が照射される範囲は、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5の全てであり、走行中に照射装置LSによって光が照射される範囲は、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5の一部(第1照射範囲IR1及び第2照射範囲IR2)である。
【0062】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、路面上における比較的重要でない範囲を含む多くの範囲が照射されてしまい、比較的重要な範囲が照射されていることが作業者によって気付かれ難くなってしまうのを抑制できる。
【0063】
また、照射装置LSが伝える情報は、進入禁止領域NEの境界の位置であってもよい。この場合、照射装置LSは、路面に照射する光によって進入禁止領域NEの境界を可視化してもよい。
図2に示す例では、第1照射装置LS1は、直線状の第1照射範囲IR1にレーザ光を照射することによって、第1進入禁止領域NE1の前側の境界を可視化している。第2照射装置LS2~第5照射装置LS5についても同様である。
【0064】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業している作業者は、進入禁止領域NEの位置及び大きさを容易に認識することができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、作業者が進入禁止領域NE内に進入するのを抑制できる。
【0065】
また、アスファルトフィニッシャ100は、アスファルトフィニッシャ100の周囲にいる人を検出する物体検出装置としての撮像装置51と、照射装置LSを制御する制御装置としてのコントローラ50と、を更に備えていてもよい。そして、コントローラ50は、物体検出装置としての撮像装置51の出力に基づいて人を検出したときに、照射装置LSによる光の照射態様を変化させてもよい。例えば、コントローラ50は、
図6に示すように、前方カメラ51Fの出力に基づいて右ホッパウイング2WRの右方に作業者WKを検出したときに、第3右照射装置LS3Rが照射する光を点滅させてもよい。
【0066】
この構成により、作業者WKは、第3右進入禁止領域NE3Rの存在に容易に気付くことができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、作業者WKが第3右進入禁止領域NE3R内に進入するのをより確実に抑制できる。
【0067】
また、アスファルトフィニッシャ100では、コントローラ50は、物体検出装置としての撮像装置51の出力に基づいて進入禁止領域NEから所定距離の範囲内において人を検出しているときに、照射装置LSが照射する光によって進入禁止領域NEの境界を可視化するように構成されていてもよい。換言すれば、コントローラ50は、進入禁止領域NEから所定距離の範囲内において人を検出していないときには、照射装置LSが照射する光による進入禁止領域NEの境界の可視化を実行しないように構成されていてもよい。
【0068】
この構成は、作業者が進入禁止領域NEに接近する前の照射状態と作業者が進入禁止領域NEに接近した後の照射状態との違いを際立たせることができるため、作業者が進入禁止領域NEに接近したことを作業者に気付かせ易いという効果をもたらす。
【0069】
また、アスファルトフィニッシャ100では、コントローラ50は、物体検出装置としての撮像装置51の出力に基づいて検出された人と進入禁止領域NEとの間の距離に応じて照射装置LSによる光の照射態様を変化させてもよい。例えば、
図6に示す例では、コントローラ50は、作業者WKと第3右進入禁止領域NE3Rとの間の距離DSの値が所定の閾値以下の場合、第3右照射装置LS3Rに対して点滅指令を出力して第3右照射装置LS3Rが照射する光を点滅させるようにする。或いは、コントローラ50は、作業者WKと第3右進入禁止領域NE3Rとの間の距離DSが小さくなるにつれて第3右照射装置LS3Rが照射する光の色(波長)を緑色、黄緑色、黄色、橙色のように変化させてもよい。そして、コントローラ50は、作業者WKが第3右進入禁止領域NE3R内に進入したときに第3右照射装置LS3Rが照射する光の色を赤色に変化させてもよい。
【0070】
この構成は、作業者WKが第3右進入禁止領域NE3Rに近づくにつれて危険度が高まっていくことを作業者WKに伝えることができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、作業者WKが第3右進入禁止領域NE3Rに近づくのを効果的に抑制できる。
【0071】
以上、本開示の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、後述する実施形態に限定されることもない。上述した又は後述する実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述した又は後述する実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0072】
例えば、上述の実施形態では、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5のそれぞれは、直線状となるように構成されているが、曲線状、ジグザグ状、又は波状等の他の形状となるように構成されていてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、照射装置LSは、アスファルトフィニッシャ100の施工中又は走行中に路面に光を照射するが、照射装置LSが路面に光を照射する期間は、アスファルトフィニッシャ100の施工中又は走行中に限定されない。例えば、照射装置LSは、アイドリング状態(例えばエンジン61が稼動中で且つアスファルトフィニッシャ100が走行していない状態)においても路面に光を照射することができる。この場合、照射装置LSは、動力源としてのエンジン61が起動された後で、入力装置へ所定の操作が行われた後に、路面に光を照射してもよい。特に、アイドリング状態であってもホッパ2の開閉動作又はスクリード3の伸縮動作は実行されるため、照射装置LSは、路面に光を照射することにより、アイドリング状態での安全を向上させることができる。
【0074】
また、上述の実施形態では、第1照射範囲IR1~第5照射範囲IR5のそれぞれは、第1進入禁止領域NE1~第5進入禁止領域NE5のそれぞれの境界の一部を示すように構成されている。具体的には、第1照射範囲IR1は、第1進入禁止領域NE1の前側の境界線を示すように構成され、第1進入禁止領域NE1の左側、右側、及び後側の境界線を示していない。しかしながら、第1照射範囲IR1は、第1進入禁止領域NE1の境界の全部を示すように構成されていてもよい。例えば、第1照射範囲IR1は、第1進入禁止領域NE1と一致するように設定されていてもよい。すなわち、第1照射装置LS1は、第1進入禁止領域NE1の全域を照射するように構成されていてもよい。第2照射装置LS2~第5照射装置LS5のそれぞれについても同様である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・トラクタ 2・・・ホッパ 2W・・・ホッパウイング 2WL・・・左ホッパウイング 2WR・・・右ホッパウイング 3・・・スクリード 3A・・・レベリングアーム 5・・・後輪 6・・・前輪 7・・・ホッパシリンダ 7L・・・左ホッパシリンダ 8・・・リフトシリンダ 30・・・前側スクリード 31・・・後側スクリード 31L・・・左後側スクリード 31R・・・右後側スクリード 32・・・踏み板 32C・・・中央踏み板 32L・・・左踏み板 32R・・・右踏み板 41・・・サイドプレート 41L・・・左サイドプレート 41R・・・右サイドプレート 42・・・モールドボード 42L・・・左モールドボード 42R・・・右モールドボード 43・・・リテーニングプレート 43L・・・左リテーニングプレート 43R・・・右リテーニングプレート 50・・・コントローラ 50a・・・照射制御部 51・・・撮像装置 51B・・・後方カメラ 51F・・・前方カメラ 51L・・・左方カメラ 51R・・・右方カメラ 53・・・情報取得装置 60・・・電源装置 61・・・エンジン 62・・・発電機 100・・・アスファルトフィニッシャ CV・・・コンベア F1・・・前フレーム F2・・・左フレーム IR・・・照射範囲 IR1・・・第1照射範囲 IR2・・・第2照射範囲 IR3・・・第3照射範囲 IR3L・・・第3左照射範囲 IR3R・・・第3右照射範囲 IR4・・・第4照射範囲 IR4L・・・第4左照射範囲 IR4R・・・第4右照射範囲 IR5・・・第5照射範囲 IR5L・・・第5左照射範囲 IR5R・・・第5右照射範囲 LS・・・照射装置 LS1・・・第1照射装置 LS2・・・第2照射装置 LS3・・・第3照射装置 LS3L・・・第3左照射装置 LS3R・・・第3右照射装置 LS4・・・第4照射装置 LS4L・・・第4左照射装置 LS4R・・・第4右照射装置 LS5・・・第5照射装置 LS5L・・・第5左照射装置 LS5R・・・第5右照射装置 NE・・・進入禁止領域 NE1・・・第1進入禁止領域 NE2・・・第2進入禁止領域 NE3・・・第3進入禁止領域 NE3L・・・第3左進入禁止領域 NE3R・・・第3右進入禁止領域 NE4・・・第4進入禁止領域 NE4L・・・第4左進入禁止領域 NE4R・・・第4右進入禁止領域 NE5・・・第5進入禁止領域 NE5L・・・第5左進入禁止領域 NE5R・・・第5右進入禁止領域 NP・・・新設舗装体 PR・・・プッシュローラ PV・・・舗装材 RB・・・路盤 SC・・・スクリュ SCL・・・左延長スクリュ SCR・・・右延長スクリュ SYS・・・制御システム WK・・・作業者