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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151447
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】医療器具二次元コード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231005BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20231005BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20231005BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20231005BHJP
   A61B 90/94 20160101ALI20231005BHJP
【FI】
G06K7/10 376
G06K7/10 416
G06K7/14 017
G03B11/00
G03B15/05
A61B90/94
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061054
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】515327214
【氏名又は名称】有限会社東奥電気
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】中野渡 寛之
【テーマコード(参考)】
2H053
2H083
【Fターム(参考)】
2H053CA12
2H083AA06
2H083AA26
(57)【要約】
【課題】周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つフォーカスを合わせる時間を短縮できる医療器具二次元コード読取装置を提供する。
【解決手段】医療器具二次元コード読取装置60は、医療器具60に付された二次元コード61をスキャンして読み取る据え置き型の装置である。コードリーダユニット40は、光源42とカメラ部43を備え、光源42に光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルター44が設けられ、カメラ部43に反射光の第1偏光フィルター44とは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルター45が設けられ、光源42から発せられる光は拡散板34の位置を任意に設定することで作業環境に適した光量に調節される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具に付された二次元コードをスキャンして読み取る据え置き型の医療器具二次元コード読取装置であって、
箱状の筐体と、前記筐体の上面部を構成して開口部が形成された蓋部と、前記筐体内の前記開口部の下方に設けられ光を照射する光源及び前記二次元コードからの反射光を読み取るカメラ部を有するコードリーダユニットと、を備え、
前記光源には前記光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部には前記反射光の前記第1偏光フィルターとは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部を装置後方側に所定の角度で傾け、
前記蓋部には前記開口部の一部を塞ぐとともに前記光源から照射された光の一部を周囲の明るさや、金属表面の反射率に応じて拡散する拡散板が設けられていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記開口部は、矩形状の第1開口部と、前記第1開口部の装置前方側に連続し前記第1開口部よりも幅の狭い第2開口部とからなり全体として凸型に形成され、
前記拡散板は前記第2開口部の装置前側に設けられ、
前記第1開口部の範囲に読取りエリアが設けられていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記開口部には、前記第1開口部と前記第2開口部とからなる凸型に嵌り、中央部に小開口が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板が着脱可能に設けられていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記光源は、上部LED及び下部LEDからなり、
前記上部LEDからの光の一部は前記拡散板による拡散後に照射され、前記下部LEDからの光が読取りエリアに照射され、
前記上部LED及び前記下部LEDからの光は波長627nmをピークとした前後、560nm~660nmの赤色波長であることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記蓋部の上には、厚さ0.1mm~1.2mmのポリ塩化ビニルからなるとともに平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーが着脱可能に配置されていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具に付された二次元コードをスキャンして読み取る据え置き型の医療器具二次元コード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関では、膨大な種類の医療器具が使用されている。この膨大な種類の医療器具の準備や管理には大変な労力を必要としている。これに対処するために様々な医療器具の管理装置が提案されており、その一つに、医療器具に付された二次元コードをスキャンして読み取ることで医療器具を管理する医療器具二次元コード読取装置がある。このような医療器具二次元コード読取装置として、例えば、特許文献1の技術が知られている。
【0003】
特許文献1の医療器具二次元コード読取装置は、非接触で二次元コードを読み取る据え置き型の装置であり、医療器具二次元コード読取装置の上部に形成されたコード読み取り部に医療器具を近づけて二次元コードを読み取る。一般的に、二次元コードに読み取りには、二次元コード部に光を照射し、その反射光をカメラで読み取る方法が使用されている。
【0004】
しかし、二次元コードは小さいうえ、金属からなる医療器具に付されているため、反射光が散乱してフォーカスを合わせることが難しいため、特許文献1の医療器具二次元コード読取装置では、装置上面に医療器具を近づけてフォーカスを合わせる必要があり、二次元コードの読み取りに時間がかかる。また、装置上面に医療器具を載せると、装置と医療器具が接触するため、両方にダメージが与えられ、医療行為後の医療器具には血液などが付着している場合もあり、取扱いに手間がかかる。
【0005】
また、医療器具二次元コード読取装置として特許文献2の技術が知られている。特許文献2の医療器具二次元コード読取装置は、筒状の筐体の内部に、環状の拡散リングが配置されており、拡散リングは、環状に配設された複数のLEDより照射された光を拡散して多様な向きの光を生成する。
【0006】
装置端部に設けられたガラス窓部に二次元コード等が付された物品が置かれ、その物品は多様な向きからの光により、多様な方向から照明され、それらの光を反射する。撮像部は、酸化マーキングにて形成された二次元コード(シンボル)の像、彫り込みにて形成されたシンボルの像、および、曲面に形成されたシンボルの像を撮像し、その像に応じた画像信号を読取部に提供する。
【0007】
しかし、特許文献2の医療器具二次元コード読取装置では、ガラス窓部状に物品を配置するため、装置上面に医療器具を載せると、装置と医療器具が接触して両方にダメージが与えられ、物品が医療行為後の医療器具の場合には血液などが付着している場合もあり、取扱いに手間がかかる。一方で、ガラス窓部に接触しない位置で二次元コードを読み取る場合は、やはりフォーカスに時間がかかる。
【0008】
また、医療器具二次元コード読取装置の設置場所によっては部屋の照明をつけていたとしても時間帯などによって暗くなる場合や、金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下し、光量が不足することで二次元コードが読み取り難くなることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-88550号公報
【特許文献2】特開2007-310550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる医療器具二次元コード読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]医療器具に付された二次元コードをスキャンして読み取る据え置き型の医療器具二次元コード読取装置であって、
箱状の筐体と、前記筐体の上面部を構成して開口部が形成された蓋部と、前記筐体内の前記開口部の下方に設けられ光を照射する光源及び前記二次元コードからの反射光を読み取るカメラ部を有するコードリーダユニットと、を備え、
前記光源には前記光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部には前記反射光の前記第1偏光フィルターとは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部を装置後方側に所定の角度で傾け、
前記蓋部には前記開口部の一部を塞ぐとともに前記光源から照射された光の一部を周囲の明るさや、金属表面の反射率に応じて拡散する拡散板が設けられていることを特徴とする。
【0012】
従来の医療器具二次元コード読取装置は、LEDをリング状に配置しているものがほとんどであり、医療器具がヘアライン仕上げなど、金属にスジが入っている場合、必ず強い散乱光を発生させてしまうため、読み難い場合がある。特に二次元コードがいわゆるドットマーキングの場合、散乱光が発生すると読み難くなる。この点、本発明の構成によれば、光源には光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルターが設けられ、カメラ部には反射光の第1偏光フィルターとは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルターが設けられているので、偏光を掛けた上で光に方向性を持たせ(一方向からのみ照射する)、散乱光を抑える。これにより、金属製の医療器具における、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げなど、表面状態の影響を受けにくくなり安定した読込が可能となる。
【0013】
また、従来の医療器具二次元コード読取装置は、フォーカスが合わせ難く、それを補填するために、医療器具に接触させて読むタイプがほとんどである。しかし、それでは血液などが付着した場合、感染リスクの恐れがあり、接触させることは問題が多い。また、洗浄された医療器具であっても読取装置に接触させることは衛生管理上好ましくないだけでなく、接触による機械的消耗も読取装置、医療器具双方に発生する。この点、本発明の構成によれば、カメラ部を装置後方側に所定の角度で傾けたので、読取り範囲を広くでき(例えば、従来は20mm角程度が主流だったものを50mm×40mmにでき)、人が上下方向、水平方向の三次元に医療器具を移動させなくても、同じ高さで水平に二次元移動させるだけでフォーカスを合わせることができる。このように、本発明では、医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0014】
また、一般的に、偏光フィルターを掛けることによって、金属表面から発生する読取りに障害となる散乱光を低減させることができるが、作業環境の照度の影響を受け、明る過ぎたり暗くなり過ぎたりすることがある。そうなると、露光時間や、ゲインなど専門知識が必要な調整を現場で実施することになり、撮像やデコードに不利となる。照度の影響を少なくするために露光時間を長くすればするほど鮮明な画像となるが、物体移動によるブレの影響があり、ゲインを高くするほど読取りは良くなる傾向が見られるが、高過ぎると画質が乱れるため調整は容易でない。従って、二次元コードを撮像する際は、周囲の明るさに適した露光時間とゲインを設定することが望まれる。この点、本発明の構成によれば、蓋部には開口部の一部を塞ぐとともに光源から照射された光の一部を周囲の明るさに応じて拡散する拡散板が設けられているので、光源からの光の一部を拡散板に当てることにより、露光時間やゲインを調整しなくても周囲を明るさに適したLED光が適度に拡散されるように調整可能となり、コード撮像に有利となる。このため、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0015】
[2]好ましくは、前記開口部は、矩形状の第1開口部と、前記第1開口部の装置前方側に連続し前記第1開口部よりも幅の狭い第2開口部とからなり全体として凸型に形成され、
前記拡散板は前記第2開口部の装置前側に設けられ、
前記第1開口部の範囲に読取りエリアが設けられている。
【0016】
従来の医療器具二次元コード読取装置は、約20mm角程度と読取り範囲が狭かく且つ非接触だったために、読取りエリアの問題はおきなかったが、読取りエリアが広くなると、どこのエリアが読み取りできるエリアなのかわかりにくくなる。この点、本発明の構成によれば、開口部は、矩形状の第1開口部と、第1開口部の装置前方側に連続し第1開口部よりも幅の狭い第2開口部とからなり全体として凸型に形成されている。凸の幅の狭い第2開口部は、光の通り道であり、そこのエリアは読取りエリアではないが、光を通すために必要なエリアである。凸の幅の広い第1開口部が読取りエリアである。このように、開口部の形状を工夫することで非接触、広範囲でも読取りエリアをわかりやすくすることができる。このため、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0017】
[3]好ましくは、前記開口部には、前記第1開口部と前記第2開口部とからなる凸型に嵌り、中央部に小開口が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板が着脱可能に設けられている。
【0018】
外部からの自然光が入る部屋では、医療器具二次元コード読取装置の設置場所によっては部屋の照明をつけていたとしても時間帯などによって暗くなる場合や、金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した場合もあり、光量が不足することで二次元コードが読み取り難くなることもある。この点、本発明の構成によれば、開口部に、第1開口部と第2開口部とからなる凸型に着脱可能に嵌り、中央部に小開口が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板を配置することで、光ブースタ板の全体から光を拡散して周囲の光量を増加させ、周囲が明るくても暗くても両方の環境で医療器具に付された二次元コードを明るく照らして小開口を介して二次元コードを読み取ることができる。
【0019】
[4]好ましくは、前記光源は、上部LED及び下部LEDからなり、
前記上部LEDからの光の一部は前記拡散板による拡散後に照射され、前記下部LEDからの光が読取りエリアに照射され、
前記上部LED及び前記下部LEDからの光は波長627nm付近をピークとした前後、560nm~660nm周辺の赤色波長である。
【0020】
従来の医療器具二次元コード読取装置はLEDに白色光や青色を使用しているものが多く、そういった場合、コードに付着した血液がそれらの光により黒っぽくなる(赤と青の光を合成すると黒くなる、白は青色成分も混じっているため赤に当てると若干黒くなる)ため、読取りが難しくなっていた。この点、本発明の構成によれば、光源は、上部LED及び下部LEDからなり、上部LED及び下部LEDからの光は赤色に近い単一波長に近い光であるので、二次元コードに付着した赤色の血液に光の吸収現象が発生せず透過されるようになるため、医療行為終了直後の血液が付着した状態での医療器具の二次元コードも読込めるようになる。このため、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面が経年劣化により茶褐色に変色することなどにより金属表面の反射率が低下した医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0021】
[5]好ましくは、前記蓋部の上には、厚さ0.1mm~1.2mmのポリ塩化ビニルからなるとともに平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーが着脱可能に配置されている。
【0022】
一般的に、非接触読取りでも血液が付着した医療器具を読み取る際、どうしても医療器具を読取装置に接触させてしまうことが多い。そのため、透明カバーを掛けることが望まれているが、カバーを掛けるとハレーション(反射光)が発生し、読取障害が発生しやすい。また、読取りの際、器具をガラスにぶつけてガラスを破損させてしまうという事例も起きている。この点、発明者は、透明カバーはポリ塩化ビニル(PVC)の素材で0.1mm~1.2mm厚程度のものが、医療器具の二次元コード読取りの際の反射低減効果や、柔軟性、強度的、ガラス保護としても適していることを発見した。また、カメラの下部に反射吸収シートを配置することにより、反射の影響を低減させることが可能となる。さらに、周囲が暗くなった場合や、金属表面の反射率が低下した場合でも平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーを45度回転させて配置することで、光が拡散して周囲の光量を増加させ、医療器具に付された二次元コードを明るく照らして二次元コードを読み取ることができる。このため、読取装置を保護するとともに、周囲が明るくても暗くても両方の環境で医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0023】
周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ金属表面の反射率が低下した場合でも医療器具に付された二次元コードを非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる医療器具二次元コード読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る医療器具二次元コード読取装置及び医療器具の一例の斜視図である。
図2】本発明に係る医療器具二次元コード読取装置の要部拡大図である。
図3】開口部周辺の蓋部の底面図である。
図4】蓋部を取り外した状態の医療器具二次元コード読取装置の平面図である。
図5】本発明に係る医療器具二次元コード読取装置の要部断面図である。
図6】コードリーダユニットの説明図である。
図7】比較例及び実施例の作用図である。
図8】透明カバーを掛けた状態の医療器具二次元コード読取装置の説明図である。
図9】光ブースタ板の説明図である。
図10】(a)比較例の黒色板、(b)実施例1の拡散板、(c)実施例2の光ブースタ板、それぞれの作用図である。
図11】(a)比較例による二次元コードを照らした状態と、(b)実施例による二次元コードを照らした状態とを説明する図である。
図12】(a)透明カバーを基準姿勢(傾き0度)で配置した状態と、(b)透明カバーを回転させて傾けた姿勢(傾き45度)で配置した状態とを説明する図である。
図13】透明カバーの性質を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図では、医療器具二次元コード読取装置を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例0026】
図1に示されるように、医療器具二次元コード読取装置10は、例えば医療用ハサミなどの医療器具60に付された二次元コード61をスキャンして読み取る据え置き型の装置である。
【0027】
図1図4に示されるように、医療器具二次元コード読取装置10は、箱状の筐体20と、筐体20の上面部を構成して開口部31、32が形成された蓋部30と、筐体20内の開口部31、32の下方に設けられ光を照射する光源41及び二次元コード61からの反射光を読み取るカメラ部43を有するコードリーダユニット40と、を備えている。二次元コード61は、医療器具60の一部に小さく形成されており、いわゆるドットマーキング形式のものである。なお、実施例では二次元コード61をドットマーキング形式としたが、これに限らず、バーコード形式やシンボル形式など形式は問わない。
【0028】
筐体20は、正面部21と、側面部22、22と、背面部23と、これらの底を塞ぐ底面部24と、上面部を構成する蓋部30と、を備えている。正面部21、側面部22、22、背面部23及び底面部24から、上方が開放した箱状の筐体20に形成され、上方の開放部分に着脱可能に蓋部30が設けられている。また、正面部21には、ダイヤル式のスイッチ25が設けられている。また、筐体20の正面部21、側面部22、22、背面部23及び底面部24からなる部分は金属製であり、蓋部30は合成樹脂製である。なお、筐体20の材質は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属や、合成樹脂等、一般的な筐体を構成するものであれば材質は問わない。
【0029】
図1図4に示されるように、蓋部30には、開口部31、32全体を覆うとともに光を通しガラス天板33と、開口部31、32の一部を塞ぐとともに光源42から照射された光の一部を拡散する乳白色の拡散板34が設けられている。蓋部30の裏面30bに、ガラス天板33が設けられ、ガラス天板33に重ねて拡散板34が設けられ、ガラス天板33及び拡散板34が支持部材35、35に支持され、支持部材35、35が締結部材36、36により蓋部30の裏面30bに締結されている。例えば、ガラス天板33の厚さは、5mmである。
【0030】
開口部31、32は、矩形状の第1開口部31と、第1開口部31の装置前方側(正面部21側)に連続し第1開口部31の幅L1よりも狭い幅L2の第2開口部と32とからなり全体として凸型に形成されている。拡散板34は第2開口部32の装置前側に設けられている。図3(b)に示すように、拡散板34には、複数の取付穴34aが形成されている。この取付穴34aのいずれかの位置に締結部材36(図3(a)参照)を挿通して締結することで、拡散板34の第2開口部32側への突き出し位置を調整でき、これにより光の量を調整することができる。なお、図3(b)では、取付穴34aは、突き出し方向に3段階に調整可能としたが、2段階、4段階でもよく、さらには突き出し方向へ長穴に形成して任意に突き出し位置を調整できるようにしてもよい。
【0031】
図2図6に示されるように、コードリーダユニット40は、カメラ部43よりも下方に配置される筐体41と、カメラ部43よりも上方に配置される光源42と、反射光を読み取る(撮像する)カメラ部43と、を備えている。
【0032】
コードリーダユニット40は、筐体20の底面部24に固定され折れ曲がった傾斜支持部材26により装置後方側に所定の角度で傾くように支持されている。このため、カメラ部43を装置後方側に所定の角度で傾けられている。また、光源42も、装置後方側に所定の角度で傾けられている。コードリーダユニット40の所定の角度(傾斜角度)αは、22、5°である。なお、実施例では、コードリーダユニット40の所定の角度(傾斜角度)αを、22、5°としたが、これに限定されず、傾斜角度αは、カメラ部43と光源42を器量器具60の金属表面の映り込まない角度かつ、読取りに最適な角度とすれば、20°~25°など他の角度であってもよい。
【0033】
また、上方の光源42には光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルター44が設けられている。カメラ部43には医療機器60の二次元コード61からの反射光の第1偏光フィルター44とは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルター45が設けられている。例えば、第1偏光フィルター44は、コードリーダユニット40に対して縦方向の光のみを通過させるものであり、第2偏光フィルター45は、コードリーダユニット40に対して横方向の光のみを通過させるものである。第1、第2偏光フィルターの透過方向性はそれぞれ縦横逆であってもよい。
【0034】
また、カメラ部下方の筐体41には、二次元コード61からの反射光を吸収する反射光吸収シート46が設けられている。反射光吸収シート46を設けることで、読取障害となる反射光を吸収して二次元コード61の読み取りをより速く正確に行うことができる。
【0035】
光源42は、上部LED42a及び下部LED42bからなる。上部LED42aからの光が拡散板34に照射され、下部LED42bからの光がコード検知エリアA1に照射される。コードリーダユニット40を所定の角度に傾けたことで、第2開口部32の上方にコード検知エリアA1が広範囲に設けられる。上部LED42a及び下部LED42bからの光は赤色周辺の波長であり、例えば、波長627nm付近をピークとした前後、560nm~660nm周辺の波長であれば好ましい。なお、実施例では、560nm~660nm周辺の波長の光としたが、これに限定されず、血液付着の影響を多少受けてもよい場合は560nm以下や660nm以上の波長であってもよい。また、カメラフォーカスは、r=50mmであり、±5~10mm程度の深度余裕がある。なお、カメラフォーカスは、r=50mmに限定されず、45mm、55mm、60mmなどでもよく、フォーカスが合えば所定の範囲で適宜設定しても差し支えない。
【0036】
図2図5に示されるように、拡散板34の範囲が拡散光発生エリアS1であり、第2開口部32の拡散板34のない範囲が偏光通過エリアS2であり、第1開口部31の中央部分の範囲が読取りエリアS3となる。読取りエリアS3の範囲は、読取範囲の面積が縦50mm×横40mmほどの広範囲になる。
【0037】
また、第1開口部31の第2開口部32よりも幅の広い部分(第1開口部31の両端部)は、偏光光を逃がす偏光光逃がしエリアS4、S4となる。この偏光逃がしエリアS4、S4を設けることで、読取りに不必要な光がカメラ部43に入ることを防止し、より一層二次元コード61の読み取りを速く正確に行うことができる。
【0038】
また、コードリーダユニット40には、撮像画像を英数字情報へ変換するデコードユニット50が接続され、このデコードユニット50には各種演算や表示部を有するPC51が接続されている。
【0039】
医療器具60を矢印(1)のように移動させ、検知エリアA1で二次元コード61を下向きにすることで、二次元コード61を読み取ることができる。コードリーダユニット40が傾いて配置されていることで検知エリアA1が傾斜していので、医療器具60をほぼ水平に移動するだけでよく、矢印(2)のように上下に移動させることが不要となる。このため、二次元コード61を簡単に読み取ることができる。
【0040】
次に比較例の作用について説明する。
図7の(a)に示すように、比較例の医療器具二次元コード読取装置100は、筐体の底面部101と平行にコードリーダユニット102が設けられている。コードリーダユニット102は、光源103、104、105と、カメラ部104を備え、このコードリーダユニット102は、上方にガラス天板107が設けられ、デコードユニット108を介してPC109が接続されている。
【0041】
比較例の医療器具二次元コード読取装置100は、光源103、104からそれぞれ矢印(3)、(4)のように光が照射されている。照射された光は、二次元コード61で反射し、反射光の一部は矢印(5)のようにカメラ部43に向かう。このとき、反射光の一部は矢印(6)のようにコードリーダユニット102のカメラ部106以外の部分に進み、矢印(7)のよう反射する。このため、ハレーションが発生し、二次元コード61の読み取りの時間が長くなる。
【0042】
次に実施例の作用について説明する。
図7(b)に示すように、実施例の医療器具二次元コード読取装置10は、コードリーダユニット40が傾斜して配置されている。下部LED42bから矢印(8)のように作業者とは反対側の後方側に斜めに光が照射される。このため、作業者は光を気にせず容易に医療器具60を移動させることができる。
【0043】
照射された光は、二次元コード61で反射し、反射光の一部は矢印(9)のようにカメラ部43に向かう。また、上部LED42aから照射された光は拡散板34により、矢印(10)のように拡散板34のサイズに応じて遮蔽される。このため、二次元コード61周辺を読み取り易い適度な明るさになる。反射光の一部は矢印(11)のようにコードリーダユニット40の反射光吸収シート46に進む。このとき反射光が反射光吸収シート46に吸収され矢印(12)のよう反射しないので、ハレーションを防止し、読み取りを行い易くすることができる。
【0044】
次に別態様にかかる医療器具二次元コード読取装置10について説明する。
図8に示すように、筐体20の蓋部30の上には、厚さ0.1mm~1.2mmのポリ塩化ビニルからなるとともに平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバー55が着脱可能に配置されている。これにより、医療器具60の二次元コード読取りの際の反射低減効果や、柔軟性、強度的、ガラス保護としても好適にすることができる。
【0045】
次に光ブースタ板70について説明する。
図1図9図10(c)に示されるように、開口部31、32には、第1開口部31と第2開口部32とからなる凸型に嵌り、中央部に小開口73が形成されるとともに光を拡散する平面視で凸型の光ブースタ板70が着脱可能に設けられている。光ブースタ板70は、開口部31、32に嵌った状態では、ガラス天板33(図5参照)の上に乗っている。
【0046】
光ブースタ板70は、大きい第1開口部31に嵌る大矩形部71と、小さい第2開口部32に嵌る小矩形部72とが一体に形成されており、その中央部に小開口73が形成されている。また、光ブースタ板70は、その表面74が平面状に形成されており、大矩形部71と小矩形部72との段差部75が、第1開口部31と第2開口部32との段差に一致するように配置される。光ブースタ板70は、半透明のアクリルで構成されている。
【0047】
次に光量に関する作用について説明する。
図10(a)は比較例の医療器具二次元コード読取装置100であり、第2開口部32の一部が黒色板で覆われている。光源42からの光はあまり拡散せず、蓋部30のエリアB1のみから光が出ている。このため、開口部31、32の周囲全体の光量は少ない。
【0048】
図10(b)は実施例1の医療器具二次元コード読取装置10であり、第2開口部32の一部が乳白色の拡散板34で覆われている。光源42からの光が拡散板34で拡散して光量が増加するともに、蓋部30のエリアB1から光が出ている他、エリアB2からも光が出ている。このため、開口部31、32の周囲全体の光量は多い。
【0049】
図10(c)は実施例2の医療器具二次元コード読取装置10であり、開口部31、32に光ブースタ板70が配置されている。光源42からの光は、光ブースタ板70を介して全体から光を拡散し、開口部31、32の周囲の光量を増加させことができる。具体的には、エリアB3及びエリアB4から光が出ている。このため、開口部31、32の周囲全体の光量は多い。光ブースタ板70は開口部31、32に配置するだけであるので、周囲が暗く光量不足となった時や金属表面の反射率が低下した場合でも、簡単に設置して光量を増加させることができる。
【0050】
次に二次元コードの見え方について説明する。
図11(a)は比較例の医療器具二次元コード読取装置100(図10(a)参照)の検知エリアにある医療器具60であり、比較例の医療器具二次元コード読取装置100は主に偏光のみが出ているため、二次元コード61部分のいわゆる梨地(ざらざらした表面)上では光量が不足して二次元コード61が見え難い。
【0051】
図11(b)は実施例1の医療器具二次元コード読取装置10(図10(b)参照)の検知エリアにある医療器具60であり、実施例1の医療器具二次元コード読取装置10は偏光の他に拡散板34散乱光が出ているため、検知エリアの光量が多く、二次元コード61部分の梨地上であっても二次元コード61がよく見える。
【0052】
次に透明カバー55の作用について説明する。
図12(a)は透明カバー55を基準姿勢(傾き0度)で配置した状態であり、エリアB1のみが明るくなっており、全体として光量が少ない。
【0053】
図12(b)は透明カバー55を回転させて傾けた姿勢(傾き45度)で配置した状態であり、エリアB1が図12(a)のエリアB1よりも広い領域で明るくなっており、加えてエリアB4も明るくなっているため、全体としての光量が多い。このように透明カバー55を回転させて傾けるだけで光量を調整することができる。
【0054】
次に透明カバー55の性質について説明する。
図13に示されるように、横軸は透明カバー55の平面視における回転させた角度であり、縦軸は光の強さを比で表しているグラフである。透明カバー55はPVC(ポリ塩化ビニル)製であり透明カバーの回転角(傾けた角度)により散乱光が増加する。これにより、透明カバー55の回転角の度合いによっても光ブースタ板70(図9参照)のような効果が得られる。透明カバー55は厚いほど散乱(及びカバー内の吸収)の影響が大きくなるので通常は、厚さ0.5mmのものを使用すると好ましい。透明カバー55の製造時の圧延方向に対して回転角が0度(通常の状態、基準姿勢)のときに散乱光が最小であり、回転角が45度のときに散乱光が最大であり、回転角が90度のときに再び散乱光が最小になる。これは、PVC(ポリ塩化ビニル)は非結晶性のため散乱光の変化は製造の圧延時に生じる高分子の物理的配置によるものである。
【0055】
水平方向(平面視)における透明カバー55の回転角xによる散乱光の変化(散乱光の度合い変化)yは、波高1/2、バイアス1/2、マイナスコサインカーブcos、周期1/4とすると、次の近似式、y=(1-cos4x)/2で表すことができる。
【0056】
次に以上に述べた医療器具二次元コード読取装置10の作用、効果を説明する。
【0057】
本発明の実施例では、本発明の構成によれば、光源42には光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルター44が設けられ、カメラ部43には反射光の第1偏光フィルター44とは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルター45が設けられているので、偏光を掛けた上で光に方向性を持たせ(一方向からのみ照射する)、散乱光を抑える。これにより、金属製の医療器具60における、鏡面仕上げ、ヘアライン仕上げなど、表面状態の影響を受けにくくなり安定した読込が可能となる。
【0058】
さらに、本発明の実施例では、カメラ部43を装置後方側に所定の角度で傾けたので、読取り範囲を広くでき(例えば、従来は20mm角程度が主流だったものを50mm×40mm程度まで広げることができ)、人が上下方向、水平方向の三次元に医療器具60を移動させなくても、同じ高さで水平に二次元移動させるだけでフォーカスを合わせることができる。このように、本発明では、医療器具60に付された二次元コード61を非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0059】
さらに、本発明の実施例では、蓋部30には開口部32の一部を塞ぐとともに光源42から照射された光の一部を拡散する拡散板34が設けられているので、光源42からの光の一部を周囲の明るさに応じて拡散する拡散板34に当て、その光が作業環境に適した光となるようにする。これにより、第1偏光フィルター44を掛けた光でも周囲に適した光量となり、現場で露光時間やゲインを再調整しなくても作業環境にあわせることができるため、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ表面の反射率が低下した場合でもコード撮像に有利となる。
【0060】
さらに、本発明の実施例では、光源42は、装置後方側に所定の角度で傾けられているので、上向き設置でも金属上のコードを読むために有利な強い光を発生させても眩しさを低減させることができる。さらに、光源42の光が作業者に直接見えないように適切な位置に拡散板34を配置されているので、強い光を発生させても眩しさをより低減させることができる。
【0061】
さらに、本発明の実施例では、開口部31、32は、矩形状の第1開口部31と、第1開口部31の装置前方側に連続し第1開口部31よりも幅の狭い第2開口部32とからなり全体として凸型に形成されている。凸の幅の狭い第2開口部32は、光の通り道であり、そこのエリアは読込エリアではないが、光を通すために必要なエリアである。凸の幅の広い第1開口部31が読込エリアである。このように、開口部31、32の形状を工夫することで非接触、広範囲でも読取エリアをわかりやすくすることができる。このため、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ表面の反射率が低下した場合でも医療器具60に付された二次元コード61を非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0062】
さらに、本発明の実施例では、光源42は、上下2列の上部LED42a及び下部LED42bからなり、上部LED42a及び下部LED42bからの光は赤色に近い単一波長に近い光であるので、二次元コード61に付着した赤色の血液に光の吸収現象が発生せず透過されるようになるため、医療行為終了直後の血液が付着した状態での医療器具60の二次元コード61も読込めるようになる。
【0063】
また、二次元コード61のドットを読込ませる場合、金属表面を黒くして二次元コード61部分からの反射光を捉える必要があるが、カメラ部43や光源42に対して平面に二次元コード61を当てると、光源42の光が金属表面に映り込み、読込に支障を与える。そのため、二次元コード61はカメラ部43や光源42に対して傾斜させる必要があるが、常に最適な傾斜に人間側で合わせることは難しい。この点、本発明の実施例では、カメラ部43と光源42を金属表面の映り込まない角度かつ、読取りに最適な角度に設置する。このため、作業者はガラス天板33の面に対して平行に、或いは多少任意に傾けた状態でも二次元コード61を当てればよいので、読取りが容易となる。
【0064】
さらに、本発明の実施例では、開口部31、32に、第1開口部31と第2開口部31とからなる凸型に着脱可能に嵌り、中央部に小開口73が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板70を配置することで、光ブースタ板70の全体から光を拡散して周囲の光量を増加させ、周囲が明るくても暗くても両方の環境で医療器具60に付された二次元コード61を明るく照らして小開口73を介して二次元コード61を読み取ることができる。
【0065】
さらに、本発明の実施例では、周囲が暗くなった場合でも平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーを45度回転させて配置することで、光が拡散して周囲の光量を増加させ、医療器具60に付された二次元コード61を明るく照らして二次元コード61を読み取ることができる。このため、読取装置を保護するとともに、周囲が明るくても暗くても両方の環境で、かつ表面の反射率が低下した場合でも医療器具60に付された二次元コード61を非接触で簡単に読み込むことができ、且つ、フォーカスを合わせる時間を短縮できる。
【0066】
尚、実施例では、筐体20を箱状としたがこれに限定されず、筒状でもよい。また、光源42は、LEDを上下2段のものを使用したが、LEDの段数は3段以上でも良い。また、実施例では、拡散板34を乳白色としたが、これに限定されず、白を基調とした半透明などにしてもよい。また、実施例では、光ブースタ板70を半透明としたが、これに限定されず、乳白色のものを使用してもよい。
【0067】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の医療器具二次元コード読取装置は、医療器具に付された二次元コードの読み取りに好適である。
【符号の説明】
【0069】
10…医療器具二次元コード読取装置、20…筐体、26…傾斜支持部材、30…蓋部、31…第1開口部(開口部)、32…第2開口部(開口部)、33…ガラス天板、34…拡散板、40…コードリーダユニット、42…光源、42a…上部LED(光源)、42b…下部LED(光源)、43…カメラ部、44…第1偏光フィルター、45…第2偏光フィルター、46…反射光吸収シート、55…透明カバー、60…医療器具、61…二次元コード(シンボル)、70…光ブースタ板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具に付された二次元コードをスキャンして読み取る据え置き型の医療器具二次元コード読取装置であって、
箱状の筐体と、前記筐体の上面部を構成して開口部が形成された蓋部と、前記筐体内の前記開口部の下方に設けられ光を照射する光源及び前記二次元コードからの反射光を読み取るカメラ部を有するコードリーダユニットと、を備え、
前記光源には前記光の所定方向の成分のみを透過させる第1偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部には前記反射光の前記第1偏光フィルターとは異なる方向の成分のみを透過させる第2偏光フィルターが設けられ、
前記カメラ部を装置後方側に所定の角度で傾け、
前記蓋部には前記開口部の一部を塞ぐとともに前記光源から照射された光の一部を周囲の明るさや、金属表面の反射率に応じて拡散する拡散板が設けられ
前記開口部は、矩形状の第1開口部と、前記第1開口部の装置前方側に連続し前記第1開口部よりも幅の狭い第2開口部とからなり全体として凸型に形成され、
前記拡散板は前記第2開口部の装置前側に設けられ、
前記第1開口部の範囲に読取りエリアが設けられていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項2】
請求項記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記開口部には、前記第1開口部と前記第2開口部とからなる凸型に嵌り、中央部に小開口が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板が着脱可能に設けられていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記光源は、上部LED及び下部LEDからなり、
前記上部LEDからの光の一部は前記拡散板による拡散後に照射され、前記下部LEDからの光が読取りエリアに照射され、
前記上部LED及び前記下部LEDからの光は波長627nmをピークとした前後、560nm~660nmの赤色波長であることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項記載の医療器具二次元コード読取装置であって、
前記蓋部の上には、厚さ0.1mm~1.2mmのポリ塩化ビニルからなるとともに平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーが着脱可能に配置されていることを特徴とする医療器具二次元コード読取装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
]好ましくは、前記開口部は、矩形状の第1開口部と、前記第1開口部の装置前方側に連続し前記第1開口部よりも幅の狭い第2開口部とからなり全体として凸型に形成され、
前記拡散板は前記第2開口部の装置前側に設けられ、
前記第1開口部の範囲に読取りエリアが設けられている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
]好ましくは、前記開口部には、前記第1開口部と前記第2開口部とからなる凸型に嵌り、中央部に小開口が形成されるとともに光を拡散する凸型の光ブースタ板が着脱可能に設けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
]好ましくは、前記光源は、上部LED及び下部LEDからなり、
前記上部LEDからの光の一部は前記拡散板による拡散後に照射され、前記下部LEDからの光が読取りエリアに照射され、
前記上部LED及び前記下部LEDからの光は波長627nm付近をピークとした前後、560nm~660nm周辺の赤色波長である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
]好ましくは、前記蓋部の上には、厚さ0.1mm~1.2mmのポリ塩化ビニルからなるとともに平面視で45度回転させて傾けることで光が拡散する透明カバーが着脱可能に配置されている。