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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151461
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061070
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052BD03
2D052BD12
2D052CA26
(57)【要約】
【課題】安全性の向上を実現する。
【解決手段】アスファルトフィニッシャは、トラクタと、トラクタの前側に設置されたホッパと、ホッパ内の舗装材をトラクタの後側へ搬送するコンベアと、コンベアによって搬送されて路面に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、スクリュによって敷き拡げられた舗装材をスクリュの後側で敷き均す、車幅方向に伸縮可能なスクリード装置と、を有し、スクリード装置の車幅方向の長さが、スクリュに基づいた所定の長さを下回らないように、スクリード装置の伸縮を制御するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、
前記トラクタの前側に設置されたホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送されて路面に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均す、前記車幅方向に伸縮可能なスクリード装置と、を有し、
前記スクリード装置の前記車幅方向の長さが、前記スクリュに基づいた所定の長さを下回らないように、前記スクリード装置の伸縮を制御するように構成されている、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
前記舗装材を撒く前記路面の幅に対応するよう、前記スクリード装置を縮める制御する際、前記スクリード装置の前記車幅方向の長さが前記所定の長さの場合に、前記スクリード装置を縮める制御を抑制するように構成されている、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
前記舗装材を撒く前記路面の幅に対応するよう、前記スクリード装置の前記車幅方向の長さの検出結果に基づいて、前記スクリード装置を縮める制御する際、前記スクリード装置の前記車幅方向の長さが前記所定の長さの場合に、前記スクリード装置を縮める制御を抑制するように構成されている、
請求項2に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
前記スクリード装置の伸縮の操作を入力する入力装置をさらに有し、
前記入力装置から入力された操作に基づいて、前記スクリード装置を縮める制御する際、前記スクリード装置の前記車幅方向の長さが前記所定の長さの場合に、前記スクリード装置を縮める制御を抑制するように構成されている、
請求項2に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項5】
前記スクリード装置を縮める制御を抑制させている場合に、前記アスファルトフィニッシャの速度を低下させる制御を行うように構成されている、
請求項2乃至4のいずれか一つに記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項6】
前記スクリード装置を縮める制御を抑制したことを示す情報を、外部装置に送信するように構成されている、
請求項2乃至5のいずれか一つに記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項7】
前記スクリュの前記車幅方向の長さに基づいて、前記所定の長さを設定するように構成されている、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載のアスファルトフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタと、トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、ホッパ内の舗装材をトラクタの後側へ給送するコンベアと、コンベアにより給送された舗装材をトラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、スクリュにより敷き拡げられた舗装材をスクリュの後側で敷き均すスクリードとを備えたアスファルトフィニッシャが知られている。
【0003】
アスファルトフィニッシャが施工を行う際には、設計図を作成し、設計図に基づいて路面に舗装材を敷き均すよう施工が行われている。当該施工を容易にするために様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1では、アスファルトフィニッシャの自動操舵を行う際に、スクリードの車幅方向の長さを自動的に修正する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-007336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アスファルトフィニッシャにおいては、スクリードの遠端部には、前方向まで延伸しているサイドプレートが設けられている。このため、スクリードの車幅方向の長さを変更すると、サイドプレートがスクリュと接触する可能性がある。
【0006】
このような可能性は、自動操舵でスクリードの車幅方向の長さを自動的に補正する場合に限らず、アスファルトフィニッシャにおいて操作者がスクリードの車幅方向の長さを調整している場合についても存在する。
【0007】
上述に鑑み、アスファルトフィニッシャのスクリードの車幅方向の長さが所定の長さを下回らないよう制御することで、サイドプレートがスクリュに接触することを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るアスファルトフィニッシャは、トラクタと、トラクタの前側に設置されたホッパと、ホッパ内の舗装材をトラクタの後側へ搬送するコンベアと、コンベアによって搬送されて路面に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、スクリュによって敷き拡げられた舗装材をスクリュの後側で敷き均す、車幅方向に伸縮可能なスクリード装置と、を有し、スクリード装置の車幅方向の長さが、スクリュに基づいた所定の長さを下回らないように、スクリード装置の伸縮を制御するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、アスファルトフィニッシャのスクリードの車幅方向の長さが所定の長さを下回らないよう制御することで、サイドプレートがスクリュに接触することを抑制して、安全性の向上を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャを示した図である。
図2図2は、実施形態に係るコントローラ及びコントローラに接続されている機器の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るアスファルトフィニッシャに搭載される油圧システムの構成例を示す油圧回路図である。
図4図4は、実施形態に係るアスファルトフィニッシャが備えるスクリュの説明図である。
図5図5は、実施形態に係るアスファルトフィニッシャのスケジュール情報に基づいた移動経路を示した図である。
図6図6は、実施形態に係る左サイドプレートとスクリュとの位置関係を示した図である。
図7図7は、実施形態に係るコントローラによる、アスファルトフィニッシャの制御を示したフローチャートである。
図8図8は、変形例に係るアスファルトフィニッシャの後面図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100の概略図である。具体的には、図1(A)はアスファルトフィニッシャ100の左側面図であり、図1(B)はアスファルトフィニッシャ100の上面図である。
【0013】
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成されている。図1に示す例では、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向がX軸方向に対応し、且つ、車幅方向がY軸方向に対応するように配置されている。そして、Z軸は、X軸及びY軸のそれぞれと直交するように配置されている。具体的には、車長方向の前側が+X側に対応し、車長方向の後側が-X側に対応し、車幅方向の左側が+Y側に対応し、車幅方向の右側が-Y側に対応し、鉛直方向の上側が+Z側に対応し、鉛直方向の下側が-Z側に対応している。
【0014】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。図1に示す例では、トラクタ1は、後輪走行用モータ20(図3参照。)を用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用モータ22(図3参照。)を用いて前輪6を回転させることによってアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用モータ20及び前輪走行用モータ22は何れも、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータである。但し、トラクタ1は、車輪の代わりにクローラを備えていてもよい。
【0015】
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。舗装材は、例えば、アスファルト混合物等である。図1に示す例では、ホッパ2は、トラクタ1の前側(+X側)に設置され、ホッパシリンダ24によってY軸方向(車幅方向)に開閉されるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材を受け入れる。また、アスファルトフィニッシャ100は、ダンプトラックの荷台から舗装材を受け入れているときも、プッシュローラ2bを介してダンプトラックを前方に押しながら走行を継続する。図1(A)及び図1(B)はホッパ2が全開状態であるときのアスファルトフィニッシャ100を示す。アスファルトフィニッシャ100の操作者は、ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパ2を閉じ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材をホッパ2の中央部に集める。ホッパ2の中央部の底にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を搬送できるようにするためである。トラクタ1の後側(-X側)に搬送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。
【0016】
コンベアCVは、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータによって駆動される。図1に示す例では、コンベアCVは、搬送通路CPを介して、ホッパ2内の舗装材をトラクタ1の後側へ送るように構成されている。搬送通路CPは、トラクタ1の内部に形成された略直方体状の空間であり、トラクタ1の前面においてホッパ2内に開口する略長方形の入口OPを有する。具体的には、コンベアCVは、左コンベア及び右コンベアを含む。
【0017】
スクリュSCは、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータによって駆動される。具体的には、スクリュSCは、左メインスクリュSCLM、右メインスクリュSCRM、第1左延長スクリュSCLE1、及び第1右延長スクリュSCRE1を含む。左コンベアは、左メインスクリュSCLMに向けて舗装材を送るように構成されている。右コンベアは、右メインスクリュSCRMに向けて舗装材を送るように構成されている。左メインスクリュSCLM及び右メインスクリュSCRMは、トラクタ1の幅内に配置されている。左延長スクリュSCLEは、左メインスクリュSCLMの左端に連結され、トラクタ1の幅から左側に突出するように配置されている。右延長スクリュSCREは、右メインスクリュSCRMの右端に連結され、トラクタ1の幅から右側に突出するように配置されている。
【0018】
スクリード3は、舗装材を敷き均すための機構である。図1に示す例では、スクリード3は、主に、メインスクリード30及び伸縮スクリード31を含む。メインスクリード30は、左メインスクリード及び右メインスクリードを含む。伸縮スクリード31は、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rを含む。メインスクリード30、左伸縮スクリード31L、及び右伸縮スクリード31Rは、車長方向で重ならないように前後にずらして配置されている。具体的には、メインスクリード30の後側に左伸縮スクリード31Lが配置され、左伸縮スクリード31Lの後側に右伸縮スクリード31Rが配置されている。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25の伸縮によってレベリングアーム3Aと共に上下に動かされる。レベリングアーム3Aは、左レベリングアーム3AL及び右レベリングアーム3ARを含む。
【0019】
伸縮スクリード31は、スクリード伸縮シリンダ27によって車幅方向に伸縮可能に構成されている。スクリード伸縮シリンダ27は、メインスクリード30の筐体の後面に固定されている支持部によって支持され、伸縮スクリード31を車幅方向(Y軸方向)に伸縮させることができるように構成されている。具体的には、スクリード伸縮シリンダ27は左スクリード伸縮シリンダ27L及び右スクリード伸縮シリンダ27Rを含む。左スクリード伸縮シリンダ27Lは、メインスクリード30に対して左伸縮スクリード31Lを車幅方向の左側に伸縮させることができる。右スクリード伸縮シリンダ27Rは、メインスクリード30に対して右伸縮スクリード31Rを車幅方向の右側に伸縮させることができる。
【0020】
レベリングアーム3Aは、スクリード3をトラクタ1に連結できるように構成されている。具体的には、レベリングアーム3Aは、一端がスクリード3に連結され、他端がトラクタ1に回動可能に連結されている。
【0021】
レベリングシリンダ23は、舗装材の敷き均し厚さ(舗装厚)を調節するためにレベリングアーム3Aの前端部分を上下動させる油圧シリンダである。図1に示す例では、レベリングシリンダ23は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aの前端部分に連結されている。なお、レベリングアーム3Aの前端部分は、トラクタ1によって摺動可能に支持されている。舗装厚を増大させる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をレベリングシリンダ23のロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23を収縮させてレベリングアーム3Aの前端部分を上昇させる。一方、敷き均し厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23のロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23を伸張させてレベリングアーム3Aの前端部分を下降させる。
【0022】
スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を持ち上げるための油圧シリンダである。図1に示す例では、スクリードリフトシリンダ25は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアーム3Aの後端部分に連結されている。スクリード3を持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。その結果、スクリードリフトシリンダ25は収縮し、レベリングアーム3Aの後端部分が持ち上がりスクリード3が持ち上がる。一方、持ち上げられたスクリード3を下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内の作動油を流出可能とする。その結果、スクリード3の重量によってスクリードリフトシリンダ25は伸張し、レベリングアーム3Aの後端部分が下降してスクリード3が下降する。
【0023】
伸縮スクリード31の遠位端には、サイドプレート40が取り付けられている。サイドプレート40は、左サイドプレート40L及び右サイドプレート40Rを含む。具体的には、左伸縮スクリード31Lの遠位端(左端)には、左サイドプレート40Lが取り付けられ、右伸縮スクリード31Rの遠位端(右端)には、右サイドプレート40Rが取り付けられている。
【0024】
図1(B)に示されるように、サイドプレート40は、スクリュSCの長手方向(回転軸方向)の延長上まで、進行方向前側(X軸正方向側)の端部が延伸している。
【0025】
サイドプレート40は、伸縮モールドボード41の遠位端にも取り付けられている。伸縮モールドボード41は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材のうち、伸縮スクリード31の手前に滞留する舗装材の量を調節するための部材であり、伸縮スクリード31と共に車幅方向に伸縮できるように構成されている。
【0026】
具体的には、伸縮モールドボード41は、車幅方向に延びる板状の部材であり、左伸縮モールドボード41L及び右伸縮モールドボード41Rを含む。そして、左伸縮モールドボード41Lの遠位端(左端)には、左サイドプレート40L(プレート部の一例)が取り付けられ、右伸縮モールドボード41Rの遠位端(右端)には、右サイドプレート40R(プレート部の一例)が取り付けられている。
【0027】
伸縮モールドボード41は、伸縮スクリード31及びサイドプレート40とは無関係に、Z軸方向における高さを調節できるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード41を上下に移動させることで、伸縮モールドボード41の下端と路盤との間の隙間の大きさを調節することによって、その隙間を通過する舗装材の量を調節できる。そのため、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード41を上下に移動させることで、伸縮モールドボード41の後側(-X側)で且つ伸縮スクリード31の前側(+X側)に滞留する舗装材の量(高さ)を調節でき、ひいては、伸縮スクリード31の下側に取り込まれる舗装材の量を調節できる。
【0028】
スクリードステップ42は、作業者がスクリード3の後方で作業する際の足場を構成する部材である。具体的には、スクリードステップ42は、左スクリードステップ42L、中央スクリードステップ42C、及び右スクリードステップ42Rを含む。
【0029】
リテーニングプレート43は、スクリュSCによって舗装材が車幅方向に適切に送り出されるようにするために、スクリュSCによって車幅方向に送り出される舗装材がスクリュSCの前方に散らばってしまうのを防止するための板状部材である。図1に示す例では、リテーニングプレート43は、左リテーニングプレート43L及び右リテーニングプレート43Rを含む。
【0030】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。図1に示す例では、コントローラ50は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置を含むコンピュータであり、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、例えば、不揮発性記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することで実現される。また、コントローラ50が実現する各種機能は、例えば、油圧アクチュエータを駆動するための作動油を供給する油圧ポンプの吐出量を制御する機能、及び、油圧アクチュエータと油圧ポンプとの間の作動油の流れを制御する機能を含む。なお、油圧アクチュエータは、油圧シリンダ及び油圧モータを含む。
【0031】
通信装置53は、アスファルトフィニッシャ100とアスファルトフィニッシャ100の外部にある機器との間の通信を制御できるように構成されている。本実施形態に係る通信装置53は、運転席1Sの前方に設置され、携帯電話通信網、近距離無線通信網、又は衛星通信網等を介した通信を制御する。
【0032】
GPSモジュール54は、GNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールの一例であり、GPS(Global Positioning System)による2次元測位(二次元測位)の結果を示した位置情報を受信する。位置情報は、アスファルトフィニッシャ100の位置を緯度及び経度で表した情報を含む。なお、本実施形態は、位置情報の取得手法として、GPSを用いるが、位置情報の取得手法を限定するものではなく、周知の他の手法を用いてもよい。
【0033】
トラクタ1には、空間認識装置51が取り付けられている。空間認識装置51は、アスファルトフィニッシャ100周辺の空間に関する情報を取得し、取得した情報をコントローラ50に対して出力できるように構成されている。本実施形態に係る空間認識装置51前方監視装置51Fと、後方監視装置51Bと、を含んでいる。
【0034】
前方監視装置51Fは、アスファルトフィニッシャ100の前方を監視できるように構成されている。本実施形態では、前方監視装置51Fは、トラクタ1の前方にある空間を監視範囲RFとするLIDARであり、トラクタ1の上面の前端中央部に取り付けられている。なお、前方監視装置51Fは、アスファルトフィニッシャ100の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0035】
後方監視装置51Bは、アスファルトフィニッシャ100の後方を監視できるように構成されている。本実施形態では、後方監視装置51Bは、スクリード3の後方にある空間を監視範囲RBとするLIDARであり、アスファルトフィニッシャ100の操作者のための手摺りとして機能するガイドレール1Gに取り付けられている。なお、後方監視装置51Bは、運転席1Sの下部に取り付けられていてもよく、アスファルトフィニッシャ100の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0036】
空間認識装置51は、アスファルトフィニッシャ100の側方を監視できるように構成される側方監視装置を含んでいてもよい。この場合、側方監視装置は、例えば、トラクタ1の左方にある空間を監視範囲とするLIDARとして、後輪5よりも前側でトラクタ1の上面の左端部に取り付けられてもよい。側方監視装置は、例えば、トラクタ1の右方にある空間を監視範囲とするLIDARとして、後輪5よりも前側でトラクタ1の上面の右端部に取り付けられてもよい。
【0037】
LIDARは、例えば、監視範囲内にある100万点以上の点とLIDARとの間の距離を測定する。但し、前方監視装置51F及び後方監視装置51Bの少なくとも一方は、単眼カメラ、ステレオカメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダ、レーザスキャナ、距離画像カメラ、又はレーザレンジファインダ等であってもよい。側方監視装置についても同様である。実施形態は、空間認識装置51の一例としてLIDARを用いた例について説明する。しかしながら、本実施形態は、空間認識装置51を、LIDARに制限するものではない。つまり、アスファルトフィニッシャ100を基準とした空間を認識可能な空間認識装置であればよい。
【0038】
前方監視装置51Fの監視範囲RFは、路盤を含む。側方監視装置の監視範囲についても同様である。本実施形態では、監視範囲RFは、路盤BSの幅より大きい幅を有する。
【0039】
後方監視装置51Bの監視範囲RBは、新設舗装体を含む。本実施形態では、監視範囲RBは、新設舗装体の幅より大きい幅を有する。
【0040】
本実施形態に係る空間認識装置51によって検知された測定情報は、コントローラ50に送信される。本実施形態に係るコントローラ50は、受信した測定情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の自動操舵を行う。また、コントローラ50は、受信した測定情報に基づいて、運転者に対して警報等の通知を行ってもよい。
【0041】
次に、図2を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載されるコントローラ50について説明する。図2は、コントローラ50及びコントローラ50に接続されている機器の構成例を示すブロック図である。
【0042】
図2に示されるように、コントローラ50は、走行速度センサ47と、補助記憶装置48と、GPSモジュール54と、前方監視装置51Fと、後方監視装置51Bと、駆動系コントローラ52と、通信装置53と、スクリード制御装置55と、スクリュ制御装置56と、スクリード長さ検出装置57と、に接続されている。
【0043】
走行速度センサ47は、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を検出するように構成されている。図2に示す例では、走行速度センサ47は、後輪5を駆動する後輪走行用モータ20の回転軸の角速度を検出するエンコーダである。具体的には、走行速度センサ47は、左走行速度センサ及び右走行速度センサを含む。左走行速度センサは、左後輪を駆動する左後輪走行用モータ20Lの回転軸の角速度を検出するエンコーダである。右走行速度センサは、右後輪を駆動する右後輪走行用モータ20Rの回転軸の角速度を検出するエンコーダである。走行速度センサ47は、回転板に形成されたスリットを検知する近接スイッチ等で構成されていてもよい。
【0044】
補助記憶装置48は、各種情報を記憶するように構成されている。図2に示す例では、補助記憶装置48は、トラクタ1に搭載された不揮発性記憶装置であり、各種情報を記憶している。例えば、補助記憶装置48は、スケジュール情報記憶部48aと、スクリュ長さ記憶部48bと、を記憶している。
【0045】
スケジュール情報記憶部48aは、アスファルトフィニッシャ100が舗装対象とする路面を施工するためのスケジュール情報を記憶している。本実施形態に係るスケジュール情報は、例えば、アスファルトフィニッシャ100が移動する経路の中心線と、舗装する路面の端部(路面と路肩との境界となる部分)を示した目標線と、を含んでいる。本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100は、スケジュール情報に基づいて道路の舗装の自動制御を行う。
【0046】
スクリュ長さ記憶部48bは、アスファルトフィニッシャ100が備えるスクリュSCの長さの情報を記憶する。本実施形態に係るスクリュ長さ記憶部48bは、例えば、アスファルトフィニッシャ100に、メインスクリュ(左メインスクリュSCLM、又は右メインスクリュSCRM)に拡張スクリュ(例えば、第1左延長スクリュSCLE1、又は第1右延長スクリュSCRE1)が接続されている場合、接続された後のスクリュSCの長さに関する情報を記憶する。
【0047】
さらに、スクリュ長さ記憶部48bは、アスファルトフィニッシャ100に装着可能な拡張スクリュに関する情報を有してもよい。例えば、スクリュ長さ記憶部48bは、アスファルトフィニッシャ100に設けられたメインスクリュ(左メインスクリュSCLM、又は右メインスクリュSCRM)の長さを記憶してもよい。さらに、スクリュ長さ記憶部48bは、アスファルトフィニッシャ100に接続可能な拡張スクリュ毎に、当該拡張スクリュを識別する情報(例えば、型番、RFID、又は2次元バーコード)と、当該拡張スクリュの長さと、を対応付けて記憶してもよい。
【0048】
したがって、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100に拡張スクリュが接続された場合に、スクリュ長さ記憶部48bに記憶された情報から、アスファルトフィニッシャ100のスクリュSCの長さを認識できる。また、当該対応関係は、補助記憶装置48が記憶する手法に制限するものではなく、アスファルトフィニッシャ100と通信可能なサーバが保持してもよい。
【0049】
GPSモジュール54は、GNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールの一例であり、GPS(Global Positioning System)による2次元測位(二次元測位)の結果を示した位置情報を受信する。位置情報は、アスファルトフィニッシャ100の位置を緯度及び経度で表した情報を含む。なお、本実施形態は、位置情報の取得手法として、GPSを用いるが、位置情報の取得手法を限定するものではなく、周知の他の手法を用いてもよい。
【0050】
スクリード長さ検出装置57は、伸縮スクリード31が車幅方向の伸縮している長さを検出する。スクリード長さ検出装置57は、伸縮スクリード31が車幅方向の伸縮している長さを検出できればどのようなセンサを用いてもよく、例えば、撮像装置を用いてもよい。撮像装置を用いた場合、伸縮スクリード31を撮像し、撮像画像から伸縮スクリード31の車幅方向の長さを特定する。
【0051】
通信装置53は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する装置、例えばロードローラ―、携帯通信装置、RFIDリーダ等と無線通信を行う。本実施形態は、通信装置53の無線通信規格として、例えば、Wi-Fi(登録商標)、無線LAN、及びBluetooth(登録商標)等のうちいずれか一つ以上を用いてよい。
【0052】
駆動系コントローラ52は、制御指令に従って、トラクタ1を制御する。例えば、駆動系コントローラ52は、トラクタ1の速度制御及び舵角制御を行う。
【0053】
スクリード制御装置55は、伸縮スクリード31の伸縮量を制御するように構成されている。図2に示す例では、スクリード制御装置55は、スクリード伸縮シリンダ27に流入する作動油の流量を制御する。スクリード制御装置55は、図3に示されるスクリード伸縮用制御弁37を含み、コントローラ50からの制御指令に応じ、スクリード伸縮シリンダ27のロッド側油室内と油圧ポンプとを接続する管路の連通・遮断を切り換える。
【0054】
そして、スクリード制御装置55は、コントローラ50からの制御指令に従って、スクリード伸縮シリンダ27を収縮させて、左伸縮スクリード31Lを縮める制御と、スクリード伸縮シリンダ27は伸張させて、左伸縮スクリード31Lを延ばす制御と、を行う。
【0055】
スクリュ制御装置56は、スクリュSCの回転速度を制御するように構成されている。図2に示す例では、スクリュ制御装置56は、スクリュSCを駆動する油圧モータに流入する作動油の流量を制御する電磁弁である。具体的には、スクリュ制御装置56は、コントローラ50からの制御指令に応じ、スクリュSCを駆動する油圧モータと油圧ポンプとを接続する管路の流路面積を増減させる。より具体的には、スクリュ制御装置56は、流路面積を増大させることによって、スクリュSCを駆動する油圧モータに流入する作動油の流量を増加させ、スクリュSCの回転速度を増加させる。或いは、スクリュ制御装置56は、流路面積を低減させることによって、スクリュSCを駆動する油圧モータに流入する作動油の流量を低下させ、スクリュSCの回転速度を低下させる。
【0056】
コントローラ50は、GPSモジュール54、前方監視装置51F、後方監視装置51、走行速度センサ47、スクリード長さ検出装置57、及び補助記憶装置48から情報を取得し、各種演算を実行した上で、その演算結果に応じ、スクリード制御装置55、スクリュ制御装置56、駆動系コントローラ52に制御指令を出力する。本実施形態に係るコントローラ50が備える機能ブロックについては後述する。
【0057】
<油圧システムの説明>
次に、図3を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムについて説明する。図3は、アスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムの構成例を示す油圧回路図である。
【0058】
油圧システムは、主に、油圧源14、後輪駆動部F1、コンベア・スクリュ駆動部F2、前輪駆動部F3、操舵・締め固め装置駆動部F4、レベリング部F5、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、及びスクリード伸縮部F8を含む。
【0059】
油圧源14は、各種駆動部を動作させる作動油を供給するように構成されている。本実施形態では、油圧源14は、主に、エンジン14E、後輪走行用ポンプ14R、チャージポンプ14C、シリンダ用ポンプ14M、コンベア・スクリュ用ポンプ14S、及び前輪走行用ポンプ14Fを含む。
【0060】
エンジン14Eは、後輪走行用ポンプ14R、チャージポンプ14C、シリンダ用ポンプ14M、コンベア・スクリュ用ポンプ14S、及び前輪走行用ポンプ14Fを駆動する駆動源である。
【0061】
後輪走行用ポンプ14Rは、後輪駆動部F1に駆動用の作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施形態では、後輪走行用ポンプ14Rは、閉回路で用いられる斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプである。
【0062】
チャージポンプ14Cは、後輪駆動部F1に制御用の作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプである。
【0063】
シリンダ用ポンプ14Mは、操舵・締め固め装置駆動部F4、レベリング部F5、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、及びスクリード伸縮部F8のそれぞれに作動油を供給可能な可変容量型油圧ポンプである。本実施形態では、シリンダ用ポンプ14Mは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、吐出圧が所定圧で一定となるようにその吐出量が制御される。
【0064】
コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、コンベア・スクリュ駆動部F2に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施形態では、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
【0065】
前輪走行用ポンプ14Fは、前輪駆動部F3に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施形態では、前輪走行用ポンプ14Fは斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
【0066】
後輪駆動部F1は、後輪5を駆動できるように構成されている。本実施形態では、後輪駆動部F1は、左後輪走行用モータ20L、右後輪走行用モータ20R、チェック弁20La、20Ra、リリーフ弁20Lb、20Rb、及び減速機切替弁V0を含む。
【0067】
左後輪走行用モータ20Lは、左側の後輪を駆動する油圧モータである。また、右後輪走行用モータ20Rは、右側の後輪を駆動する油圧モータである。本実施形態では、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rは無段変速式油圧モータであり、後輪走行用ポンプ14Rと共に閉回路(HST回路)を構成している。
【0068】
チェック弁20Laは、後輪走行用ポンプ14Rの第1ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第2ポートとを繋ぐ管路C1内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Laは、管路C1内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C1内に流入させる。なお、図中の括弧内の数字はポート番号を表す。同様に、チェック弁20Raは、後輪走行用ポンプ14Rの第2ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第1ポートとを繋ぐ管路C2内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Raは、管路C2内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C2内に流入させる。
【0069】
リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧以下に維持する。具体的には、リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C1内の作動油を閉回路外に流出させる。同様に、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧以下に維持する。具体的には、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C2内の作動油を閉回路外に流出させる。
【0070】
減速機切替弁V0は、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える機構である。本実施形態では、減速機切替弁V0は、コントローラ50からの制御指令に応じ、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を利用して左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える。
【0071】
コンベア・スクリュ駆動部F2は、コンベアCV及びスクリュSCを駆動できるように構成されている。本実施形態では、コンベア・スクリュ駆動部F2は、主に、コンベア用モータ21C、スクリュ用モータ21S、コンベア用制御弁V1C、及び、スクリュ用制御弁V1Sを含む。
【0072】
コンベア用モータ21C及びスクリュ用モータ21Sは何れも、開回路を形成する可変容量型油圧モータである。コンベア用モータ21Cは、左コンベア用モータ21CL及び右コンベア用モータ21CRを含む。スクリュ用モータ21Sは、左スクリュ用モータ21SL及び右スクリュ用モータ21SRを含む。コンベア用制御弁V1Cは、左コンベア用制御弁V1CL及び右コンベア用制御弁V1CRを含む。スクリュ用制御弁V1Sは、左スクリュ用制御弁V1SL及び右スクリュ用制御弁V1SRを含む。
【0073】
左コンベア用制御弁V1CLは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を左コンベア用モータ21CLの吸込ポートに流入させ、且つ、左コンベア用モータ21CLの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。右コンベア用制御弁V1CRは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を右コンベア用モータ21CRの吸込ポートに流入させ、且つ、右コンベア用モータ21CRの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。同様に、左スクリュ用制御弁V1SLは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を左スクリュ用モータ21SLの吸込ポートに流入させ、且つ、左スクリュ用モータ21SLの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。右スクリュ用制御弁V1SRは、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油を右スクリュ用モータ21SRの吸込ポートに流入させ、且つ、右スクリュ用モータ21SRの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。左コンベア用モータ21CL、右コンベア用モータ21CR、左スクリュ用モータ21SL、及び右スクリュ用モータ21SRのそれぞれにおける吐出ポートから流出する作動油は、オイルクーラOCを通って作動油タンクTに排出される。
【0074】
前輪駆動部F3は、前輪6を駆動できるように構成されている。本実施形態では、前輪駆動部F3は、主に、前輪走行用モータ22及び前輪走行用弁V2を含む。
【0075】
前輪走行用モータ22は、開回路を形成する固定容量型油圧モータである。
前輪走行用弁V2は、コントローラ50からの制御指令に応じて動作し、前輪走行用ポンプ14Fが吐出する作動油を前輪走行用モータ22の吸込ポートに流入させる。図3に示す例では、前輪走行用モータ22は、左前輪走行用モータ22L及び右前輪走行用モータ22Rを含む。前輪走行用ポンプ14Fは、左前輪走行用モータ22L及び右前輪走行用モータ22Rのそれぞれに対し並行して作動油を供給する。
【0076】
操舵・締め固め装置駆動部F4は、操舵装置及び締め固め装置(何れも図示せず。)を駆動できるように構成されている。操舵装置は、前輪6を操舵するための油圧装置である。本実施形態では、操舵装置は、例えば、操作者によるステアリングホイールの操作に応じ、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用して前輪6の操舵角を変化させる。また、締め固め装置は舗装材を締め固めるための油圧装置である。本実施形態では、締め固め装置はタンパ及びバイブレータを含み、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用してタンパ及びバイブレータを作動させる。
【0077】
レベリング部F5は、舗装厚を調節できるように構成されている。本実施形態では、レベリング部F5は、主に、レベリングシリンダ23、レベリング用制御弁33、及びパイロットチェック弁33Pを含む。
【0078】
レベリングシリンダ23は、舗装厚を調節するためにレベリングアーム3Aを上下動させる油圧シリンダである。レベリングシリンダ23は、舗装厚を増大させる際に収縮し、舗装厚を低減させる際に伸張するように構成されている。図3に示す例では、レベリングシリンダ23は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rを含む。
【0079】
レベリング用制御弁33は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するように構成されている。図3に示す例では、レベリング用制御弁33は、左レベリング用制御弁33L及び右レベリング用制御弁33Rを含む。舗装厚を増大させる場合、左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左レベリングシリンダ23Lは収縮し、左レベリングアーム3ALは上昇する。右レベリングシリンダ23Rを収縮させる右レベリング用制御弁33Rについても同様である。一方、舗装厚を低減させる場合、左レベリング用制御弁33Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左レベリングシリンダ23Lは伸張し、左レベリングアーム3ALは下降する。右レベリングシリンダ23Rを伸張させる右レベリング用制御弁33Rについても同様である。
【0080】
パイロットチェック弁33Pは、外力によってレベリングシリンダ23が動いてしまうのを防止するように構成されている。図3に示す例では、パイロットチェック弁33Pは、パイロットチェック弁33PaL、33PbL、33PaR、及び33PbRを含む。例えば、パイロットチェック弁33PaLは、操作者の操作に応じて左レベリング用制御弁33Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左レベリングシリンダ23Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁33PaLは、それ以外の場合に左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁33PbL、33PaR、33PbRについても同様である。
【0081】
ホッパ駆動部F6は、ホッパ2を開閉できるように構成されている。本実施形態では、ホッパ駆動部F6は、主に、ホッパシリンダ24、ホッパ用制御弁34、及びパイロットチェック弁34Pを含む。
【0082】
ホッパシリンダ24は、ホッパ2を開閉する油圧アクチュエータであり、ホッパ2を開く際に収縮し、ホッパ2を閉じる際に伸張する。図3に示す例では、ホッパシリンダ24は、左ホッパシリンダ24L及び右ホッパシリンダ24Rを含む。
【0083】
ホッパ用制御弁34は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するように構成されている。図3に示す例では、ホッパ用制御弁34は、左ホッパ用制御弁34L及び右ホッパ用制御弁34Rを含む。ホッパ2を開く場合、左ホッパ用制御弁34Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左ホッパシリンダ24Lは収縮する。また、右ホッパ用制御弁34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を右ホッパシリンダ24Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、右ホッパシリンダ24Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、右ホッパシリンダ24Rは収縮する。一方、ホッパ2を閉じる場合、左ホッパ用制御弁34Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左ホッパシリンダ24Lは伸張する。また、右ホッパ用制御弁34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を右ホッパシリンダ24Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、右ホッパシリンダ24Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、右ホッパシリンダ24Rは伸張する。
【0084】
パイロットチェック弁34Pは、ホッパ2の重量、又は、ホッパ2とホッパ2内の舗装材の重量によってホッパシリンダ24が収縮し、ホッパ2が開いてしまうのを防止するように構成されている。図3に示す例では、パイロットチェック弁34Pは、パイロットチェック弁34PL及びパイロットチェック弁34PRを含む。例えば、パイロットチェック弁34PLは、操作者の操作に応じて左ホッパ用制御弁34Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左ホッパシリンダ24Lのロッド側油室に流入する場合に限り、左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁34PLは、それ以外の場合に左ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁34PRについても同様である。
【0085】
なお、ホッパ駆動部F6では、ホッパシリンダ24のロッド側油室とホッパ用制御弁34との間にはパイロットチェック弁が設置されていない。これは、ホッパ2の重量が大きいので外力によってホッパシリンダ24が意図せず伸張してしまう可能性が低いためである。但し、ホッパシリンダ24のロッド側油室とホッパ用制御弁34との間にパイロットチェック弁が設置されてもよい。
【0086】
スクリードリフト部F7は、スクリード3を持ち上げることができるように構成されている。本実施形態では、スクリードリフト部F7は、主に、スクリードリフトシリンダ25、スクリードリフト用制御弁35、切替弁35a、リリーフ弁35b、及び切替弁35cを含む。
【0087】
スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を持ち上げる油圧アクチュエータであり、スクリード3を持ち上げる際に収縮し、スクリード3を下ろす際に伸張する。図3に示す例では、スクリードリフトシリンダ25は、左スクリードリフトシリンダ25L及び右スクリードリフトシリンダ25Rを含む。
【0088】
スクリードリフト用制御弁35は、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するように構成されている。スクリード3を持ち上げる場合、スクリードリフト用制御弁35は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室から作動油タンクTに向けて作動油が逆流するのを防止するためである。なお、スクリードリフトシリンダ25のヘッド側油室から流出する作動油は、スクリードリフト用制御弁35を通過することなく作動油タンクTに排出される。この場合、スクリードリフトシリンダ25は収縮する。一方、スクリード3を地面に下ろす場合、スクリードリフト用制御弁35は利用されない(図3に示す状態のまま維持される。)。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含まない第2位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室の作動油を作動油タンクTに向けて流出させるためである。そのため、スクリードリフトシリンダ25はスクリード3の重量によって伸張し、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室の作動油は切替弁35a及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。
【0089】
切替弁35a及びリリーフ弁35bは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際に発生する揚力(舗装材がスクリード3を持ち上げようとする力)の変化に伴うスクリード3の上下動を実現する。具体的には、揚力の増大によりスクリード3が上昇するとスクリードリフトシリンダ25は収縮する。この場合、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油は、管路C3、スクリードリフト用制御弁35、及び切替弁35aを通ってスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室に流入する。一方、揚力の減少によりスクリード3が下降するとスクリードリフトシリンダ25は伸張する。この場合、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室から流出する作動油は、切替弁35a、スクリードリフト用制御弁35、及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。なお、切替弁35cは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際、すなわち、下流にあるスクリード伸縮部F8等の油圧装置が使用されない間、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。下流にあるスクリード伸縮部F8等の油圧装置に悪影響を及ぼさないようにするためである。具体的には、伸縮スクリード31、クラウン装置、及び段差装置等が意図せず動いてしまうのを防止するためである。
【0090】
スクリード伸縮部F8は、伸縮スクリード31を車幅方向に伸縮させることができるように構成されている。本実施形態では、スクリード伸縮部F8は、主に、スクリード伸縮シリンダ27、スクリード伸縮用制御弁37、パイロットチェック弁37P、及びリリーフ弁37Vを含む。図3に示す例では、スクリード伸縮用制御弁37は、左スクリード伸縮用制御弁37L及び右スクリード伸縮用制御弁37Rを含む。パイロットチェック弁37Pは、パイロットチェック弁37PaL、37PaR、37PbL、及び37PbRを含む。リリーフ弁37Vは、左リリーフ弁37VL及び右リリーフ弁37VRを含む。
【0091】
左スクリード伸縮用制御弁37Lは、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するように構成されている。左伸縮スクリード31Lを引っ込ませる場合、左スクリード伸縮用制御弁37Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室内に流入させ、且つ、左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左スクリード伸縮シリンダ27Lは収縮し、左伸縮スクリード31Lは引っ込められる。右伸縮スクリード31Rを引っ込ませる場合についても同様である。一方、左伸縮スクリード31Lを押し出させる場合、左スクリード伸縮用制御弁37Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室内に流入させ、且つ、左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。この場合、左スクリード伸縮シリンダ27Lは伸張し、左伸縮スクリード31Lは押し出される。
【0092】
パイロットチェック弁37Pは、外力によってスクリード伸縮シリンダ27が意図せずに動いてしまうのを防止するように構成されている。例えば、パイロットチェック弁37PaLは、操作者の操作に応じて左スクリード伸縮用制御弁37Lが動作し、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油が左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、パイロットチェック弁37PaLは、それ以外の場合に左スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁37PbL、37PaR、及び37PbRについても同様である。
【0093】
リリーフ弁37Vは、伸縮スクリード31を引っ込めさせる方向に作用する過度の外力によって伸縮スクリード31に関連する部材が破壊されるのを防止するように構成されている。例えば、左リリーフ弁37VLは、左スクリード伸縮シリンダ27Lを収縮させる方向に作用する過度の外力を受けて左スクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室における作動油の圧力が過度に上昇した場合、ヘッド側油室における作動油の作動油タンクTへの流出を許容する。その結果、左スクリード伸縮シリンダ27Lは収縮して外力の一部を吸収することで左伸縮スクリード31Lが損傷を受けるのを防止する。右リリーフ弁37VRについても同様である。
【0094】
<コントローラの機能ブロック>
アスファルトフィニッシャ100のコントローラ50内の各機能ブロックについて説明する。コントローラ50内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。本実施形態にかかるコントローラ50で実行されるプログラムは、不揮発性の補助記憶装置に格納する手法に制限するものではなく、配布可能な記憶部媒体に格納してもよいし、通信回線NWを介して送受信されてもよい。
【0095】
本実施形態に係るコントローラ50は、GPSモジュール54、前方監視装置51F、後方監視装置51、及び走行速度センサ47からの検出結果に従って、自己位置推定を行い、補助記憶装置48に記憶されているスケジュール情報で示される路面をアスファルト舗装するために自動移動制御を行う。
【0096】
その際、コントローラ50は、舗装材が舗装対象の路面からはみ出ないように、スクリード長さ検出装置57からの測定情報に基づいた、伸縮スクリード31を延ばす又は縮める制御指令を、スクリード制御装置55に送信する。
【0097】
ところで、伸縮スクリード31の遠位端には、サイドプレート40が取り付けられている。このため、伸縮スクリード31を車幅方向に縮める場合、サイドプレート40が、スクリュに接触する可能性がある。
【0098】
そこで、本実施形態に係るコントローラ50は、伸縮スクリード31(スクリード装置の一例)の車幅方向の長さが、スクリュSCに基づいた所定の長さを下回らないように、伸縮スクリード31の伸縮を制御する。
【0099】
スクリュSCに基づいた所定の長さとは、サイドプレート40がスクリュSCに接触しないように定められた長さであって、例えば、スクリュSCの車幅方向の長さに所定のマージンを加算した長さ、つまりスクリュSCの車幅方向の長さ以上の長さとする。これにより、伸縮スクリード31が、スクリュSCに接触することを抑制できる。
【0100】
コントローラ50は、より具体的には、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで構成される機能ブロックとして、通信制御部50a、設定部50b、取得部50c、移動経路算出部50d、移動制御部50e、及びスクリード制御部50fを有する。
【0101】
通信制御部50aは、外部の機器との間で情報の送受信を行う。
【0102】
例えば、通信制御部50aは、RFID(Radio Frequency Identification)リーダ、又は2次元バーコードリーダから、アスファルトフィニッシャ100に接続される拡張スクリュに関する情報を受信してもよい。
【0103】
設定部50bは、通信制御部50aが受信した、拡張スクリュに関する情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100のスクリュSCの長さを、スクリュ長さ記憶部48bに登録する。次に、アスファルトフィニッシャ100に接続する拡張スクリュについて説明する。
【0104】
本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100は、舗装対象となる道路の幅に応じて、接続する拡張スクリュを異ならせてる。
【0105】
図4は、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100が備えるスクリュSCの説明図である。図4に示されるように、アスファルトフィニッシャ100は、左メインスクリュSCLMに接続可能な拡張スクリュが複数種類存在する。図4に示される例では、第1左延長スクリュSCLE1と、第2左延長スクリュSCLE2と、が存在する例である。第1左延長スクリュSCLE1、及び第2左延長スクリュSCLE2の各々は、左メインスクリュSCLMに接続可能である。第1左延長スクリュSCLE1の長さは例えば、1mであり、第2左延長スクリュSCLE2の長さは、例えば50cmとする。このように拡張スクリュは、種類に応じて長さが異なる。
【0106】
また、第1左延長スクリュSCLE1、第2左延長スクリュSCLE2及び左メインスクリュSCLMを全て繋げてもよい。接続手法としては、どのような手法を用いてもよく、例えばボルト締結してもよい。
【0107】
作業者は、アスファルトフィニッシャ100が舗装する道路の幅に応じて、拡張スクリュをメインスクリュに締結する。本実施形態においては、上述したように、コントローラ50が、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが、スクリュSCに基づいた所定の長さを下回らないように制御するためには、スクリュSCの長さを認識する必要がある。
【0108】
そこで、作業者は、アスファルトフィニッシャ100に接続した拡張スクリュの長さを設定するための作業を行う。
【0109】
例えば、第1左延長スクリュSCLE1にRFID44L1が埋め込まれ、第2左延長スクリュSCLE2にRFID44L2が埋め込まれている場合、作業者は、アスファルトフィニッシャ100に接続する拡張スクリュ(例えば、第1左延長スクリュSCLE1)のRFID(例えば、RFID44L1)を(図示しない)RFIDリーダで読み込む。RFIDリーダが読み込んだ情報には、接続する拡張スクリュ(例えば、第1左延長スクリュSCLE1)を識別する情報又は、拡張スクリュの長さを示す情報が含まれている。
【0110】
そして、RFIDリーダは、読み込んだ情報を、アスファルトフィニッシャ100の通信装置53に送信する。
【0111】
そして、通信制御部50aは、通信装置53を介して、RFIDリーダから、接続される拡張スクリュ(例えば、第1左延長スクリュSCLE1)を識別する情報又は、拡張スクリュの長さを示す情報を受信する。
【0112】
設定部50bは、受信した情報に基づいて、スクリュ長さ記憶部48bに、アスファルトフィニッシャ100に拡張スクリュが接続された後のスクリュSCの長さを登録する。例えば、設定部50bは、拡張スクリュを識別する情報を受信していた場合、スクリュ長さ記憶部48bに記憶されている、拡張スクリュを識別する情報(例えば、型番、RFID)と、当該拡張スクリュの長さと、の対応関係から、接続されている拡張スクリュの長さを特定する。そして、設定部50bは、特定した長さをスクリュ長さ記憶部48bに登録する。
【0113】
さらに、設定部50bは、拡張スクリュの長さと、メインスクリュの長さと、の合計であるスクリュSCの長さを、スクリュ長さ記憶部48bに登録する。
【0114】
さらに、設定部50bは、スクリュSCの長さに基づいて、スクリュの伸縮制御を行う際に基準とする所定の長さを設定する。所定の長さを用いた制御については後述する。
【0115】
なお、本実施形態は、接続される拡張スクリュに関する情報の送信元が、RFIDリーダの場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、送信元をRFIDリーダに制限するものではなく、例えば、作業者の携帯通信装置であってもよい。例えば、拡張スクリュに2次元バーコードが貼り付けられている場合、携帯通信装置が有する撮像装置が、2次元バーコードを撮像し、携帯通信装置が、2次元バーコードから抽出した情報を、通信装置53に送信してもよい。さらには、アスファルトフィニッシャ100に設けられた入力装置が、拡張スクリュに関する情報(例えば型番)又は拡張スクリュの長さの入力を受け付けてもよい。これらの場合、設定部50bが、当該情報に基づいて、拡張スクリュの長さ、及びスクリュSCの長さをスクリュ長さ記憶部48bに登録する。
【0116】
また、コントローラ50は、設定部50bが登録した拡張スクリュの長さが、スケジュール情報記憶部48aに記憶されているスケジュール情報の道路の幅に対応していない場合、施工を開始する前に、警告を出力してもよい。さらには、コントローラ50は、スケジュール情報の道路の幅に対応する拡張スクリュの情報が登録されるまで、自動制御の開始を抑制してもよい。
【0117】
図2に戻り、取得部50cは、様々な情報を取得する。例えば、取得部50cは、各種センサからの測定情報を取得する。例えば、取得部50cは、前方監視装置51F、後方監視装置51、走行速度センサ47及びスクリード長さ検出装置57から測定情報を取得する。他の例としては、取得部50cは、GPSモジュール54から位置情報を取得する。さらに、取得部50cは、必要に応じて、補助記憶装置48から情報を取得する。
【0118】
移動経路算出部50dは、スケジュール情報記憶部48aから読み出したスケジュール情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の移動経路を算出する。
【0119】
移動制御部50eは、算出された移動経路に沿って移動するように、取得部50cが取得した測定情報、及び位置情報に基づいた制御指令を駆動系コントローラ52に出力する。これにより、アスファルトフィニッシャ100の自動移動制御が行われる。
【0120】
スクリード制御部50fは、舗装材を撒く路面の幅に対応するよう、スクリード長さ検出装置57の測定情報(検出結果の一例)に基づいて、伸縮スクリード31を伸縮させるための制御指令を、スクリード制御装置55に出力する。これにより、スクリード3の車幅方向の長さを、施工対象である道路の幅と一致させることができるので、舗装対象の路面に対して適切に舗装材を敷き均すことができる。
【0121】
ただし、スクリード制御部50fは、舗装材を撒く路面の幅に対応するよう、伸縮スクリード31を縮める制御を行う際、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが所定の長さの場合に、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制する。
【0122】
具体的には、スクリード制御部50fは、伸縮スクリード31を縮める制御する際、スクリード長さ検出装置57の測定情報によって、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが所定の長さであることを検出した場合に、サイドプレート40が路面よりも外側(路肩側)にはみ出したとしても、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制する。次に、スクリード制御部50fによる伸縮スクリード31を縮める制御の抑制について説明する。
【0123】
<アスファルトフィニッシャの移動経路の説明>
図5は、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100のスケジュール情報に基づいた移動経路を示した図である。図5に示される例では、アスファルトフィニッシャ100のが、進行方向5001に移動する場合について説明する。
【0124】
そして、アスファルトフィニッシャ100の移動制御部50eは、舗装対象となる道路に従って移動するために、アスファルトフィニッシャ100の中心が、舗装対象となる道路の中心線CL1に合致するように、トラクタ1を制御する。
【0125】
さらに、スクリード制御部50fは、左サイドプレート40Lが左側の目標線OLLと合致するように、左伸縮スクリード31Lを伸縮させるための制御指令を、スクリード制御装置55に出力する。同様に、スクリード制御部50fは、右サイドプレート40Rが右側の目標線OLRと合致するように、右伸縮スクリード31Rを伸縮させるための制御指令をスクリード制御装置55に出力する。これにより、アスファルトフィニッシャ100の中心が、舗装対象となる道路の中心線CL1から少しずれた場合でも、舗装対象となる路面に舗装材を適切に敷き均すことができる。
【0126】
ところで、アスファルトフィニッシャ100の中心が、中心線CL1に合致している場合、中心線CL1から左方向の道路の端部までの長さはL1であり、中心線CL1から右方向の道路の端部までは長さL1である。このため、スクリード制御部50fは、アスファルトフィニッシャ100の中心から、右サイドプレート40R及び左サイドプレート40Lまでは長さL1になるように伸縮制御を行えばよい。
【0127】
しかしながら、アスファルトフィニッシャ100においては、移動制御部50eが自動制御を行う場合に、アスファルトフィニッシャ100の中心が、中心線CL1からずれる場合がある。例えば、道路が曲がっている場合、移動制御部50eが、トラクタ1の自動制御で舵角を変更するタイミングに遅延が生じると、アスファルトフィニッシャ100の中心が、中心線CL1からずれることになる。この場合、例えば、アスファルトフィニッシャ100の中心は、経路CL2に沿って移動をすることが考えられる。
【0128】
この場合、スクリード制御部50fは、アスファルトフィニッシャ100の中心から、左サイドプレート40Lまで長さL3になるように、左伸縮スクリード31Lの伸縮制御を行う。
【0129】
スクリード制御部50fは、アスファルトフィニッシャ100の中心から、右サイドプレート40Rまで長さL2になるように、右伸縮スクリード31Rの伸縮制御を行う必要がある。しかしながら、アスファルトフィニッシャ100の中心から、右サイドプレート40Rまでの長さが、長さL2になるように、右伸縮スクリード31Rを縮める場合、右サイドプレート40Rが、スクリュSCに接触する可能性がある。
【0130】
図6は、本実施形態に係る左サイドプレート40LとスクリュSCとの位置関係を示した図である。図6は、左メインスクリュSCLMに第1左延長スクリュSCLE1を接続したスクリュSCと、左サイドプレート40Lと、の位置関係を示しているが、スクリュSCと、右サイドプレート40Rとの位置関係も同様となる。
【0131】
図6に示される例では、進行方向5001とする。そして、左メインスクリュSCLM及び第1左延長スクリュSCLE1は、スクリュ制御装置56による制御によって、矢印6001方向に回転することで、舗装材が路肩方向(目標線OLLが存在する方向)に押し出される。
【0132】
そして、スクリード制御部50fは、左サイドプレート40Lが、左側の目標線OLLと合致するように、左スクリード伸縮シリンダ27Lによる伸縮制御を行う。なお、伸縮モールドボード41は、左スクリード伸縮シリンダ27Lによる伸縮制御に従って伸縮するものとして説明を省略する。
【0133】
左サイドプレート40Lが左側の目標線OLLより右側にずれたことを検出した場合、スクリード制御部50fは、左スクリード伸縮シリンダ27Lを延ばす制御を行い、左サイドプレート40Lを、左矢印方向6002に移動させる。
【0134】
同様に、左サイドプレート40Lが左側の目標線OLLより左側にずれたことを検出した場合、スクリード制御部50fが、左スクリード伸縮シリンダ27Lを縮める制御を行い、左サイドプレート40Lを、右矢印方向6003に移動させる。しかしながら、左サイドプレート40Lは、右矢印方向6003に移動しすぎた場合、左サイドプレート40Lが第1左延長スクリュSCLE1の端部に接触する。
【0135】
そこで、本実施形態に係るスクリード制御部50fは、左サイドプレート40Lが第1左延長スクリュSCLE1に接触しないよう、伸縮スクリード31(スクリード装置の一例)の車幅方向の長さが、所定の長さを下回らないよう制御する。
【0136】
図5に戻り、スクリード制御部50fは、伸縮スクリード31を縮める制御する際、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが所定の長さの場合に、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制する。これにより、右サイドプレート40Rは、右側の目標線OLRより路肩側にはみ出した移動線5011に従って移動している。これにより、舗装材は路肩にはみ出るが、右サイドプレート40RがスクリュSCに接触することを抑制できる。したがって、コントローラ50が、上述した制御を行うことで、右サイドプレート40RがスクリュSCに接触することを抑制し、安全性の向上を実現できる。
【0137】
本実施形態に係るコントローラ50は、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制する場合に、様々な制御を行うことができる。
【0138】
例えば、移動制御部50eは、スクリード制御部50fが伸縮スクリードを縮める制御を抑制させている場合に、アスファルトフィニッシャ100のトラクタ1の速度を低下させる制御を行ってもよい。
【0139】
つまり、スクリード制御部50fが伸縮スクリード31を縮める制御を抑制させている場合に、移動制御部50eは、アスファルトフィニッシャ100の中心が、道路の中心線からずれていると推定する。そして、移動制御部50eは、当該ずれを修正するために、トラクタ1の速度を低下させる制御を行う。移動制御部50eは、速度を低下させた後、アスファルトフィニッシャ100の移動方向を修正することで、目標線にサイドプレート40が合致するように、伸縮スクリード31を伸縮させる制御を再び開始できる。したがって、速度を低下させた倍に移動方向の修正を行えるので、路面の舗装の精度を向上させることができる。また、移動制御部50eは、トラクタ1の速度を低下させた後、移動方向の修正が難しい場合又は異常が生じたと認識した場合には、トラクタ1を停止させてもよい。
【0140】
他の例としては、通信制御部50aが、スクリード制御部50fが伸縮スクリード31を縮める制御を抑制したことを示した情報を、外部装置に送信してもよい。例えば、通信制御部50aは、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制したことを示した情報を、当該アスファルトフィニッシャ100の進行方向後ろ側に存在するロードローラに送信する。これによりロードローラは、当該情報に基づいた制御を行うことができる。また、通信制御部50aは、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制したことを示した情報を、周囲に存在する作業者の携帯通信装置に送信してもよい。当該情報の送信を行うことで、後続のロードローラ又は作業者がフォローすることができる。例えば、作業者が路肩にはみ出た舗装材を路面に戻す作業を行うことができる。したがって、通信制御部50aが、上述した情報を送信することで、路面の舗装の精度を向上させることができる。さらに、通信制御部50aは、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制したことを示した情報を、作業履歴を管理する管理サーバに送信してもよい。これにより、本実施形態は、アスファルトフィニッシャ100の作業履歴を管理できる。
【0141】
<アスファルトフィニッシャによる自動移動制御における制御手順の説明>
図7は、本実施形態に係るコントローラ50による、アスファルトフィニッシャ100の制御を示したフローチャートである。図7で示される例では、すでにスクリュ長さ記憶部48bにスクリュSCの長さは登録されている
【0142】
まず、コントローラ50の取得部50cは、自動制御を行う前に、補助記憶装置48のスクリュ長さ記憶部48bから、スクリュSCの長さに基づいた所定の長さを取得する(S7001)。
【0143】
次に、取得部50cは、自動制御を行う前に、補助記憶装置48のスケジュール情報記憶部48aから、スケジュール情報を取得する(S7002)。
【0144】
移動経路算出部50dは、スケジュール情報に従って、アスファルトフィニッシャ100の移動経路を算出する(S7003)。
【0145】
そして、移動制御部50eは、算出された移動経路に従って移動するように移動制御を開始する(S7004)。
【0146】
取得部50cは、GPSモジュール54から位置情報を取得すると共に、前方監視装置51F、後方監視装置51、走行速度センサ47及びスクリード長さ検出装置57の各々から測定情報を取得する(S7005)。
【0147】
移動制御部50eは、位置情報、並びに、前方監視装置51F、後方監視装置51、及び走行速度センサ47の各々の測定情報に基づいて、移動経路に従って移動するように移動制御を行う(S7006)。
【0148】
スクリード制御部50fは、スクリード長さ検出装置57の測定情報、及びスケジュール情報で示された目標線の位置に基づいて、サイドプレート40が、目標線からずれているか否かを判定する(S7007)。サイドプレート40が、目標線からずれていないと判定した場合(S7007:No)、伸縮制御は行われず、S7011の処理に移る。
【0149】
サイドプレート40が、目標線からずれていると判定した場合(S7007:Yes)、スクリード制御部50fは、ずれを修正するための伸縮制御が、伸縮スクリード31の車幅方向の長さを、所定の長さより下回らせるような縮める制御が否かを判定する(S7008)。
【0150】
伸縮スクリード31の車幅方向の長さを、所定の長さを下回らせるような縮める制御ではないと判定した場合(S7008:No)、スクリード制御部50fは、ずれを修正するための伸縮制御を行う(S7009)。
【0151】
一方、伸縮スクリード31の車幅方向の長さを、所定の長さを下回らせるような縮める制御であると判定した場合(S7008:Yes)、当該縮める制御を停止する(S7010)。
【0152】
その後、移動制御部50eが、移動経路による移動が終了したか否かを判定する(S7011)。終了していないと判定した場合(S7011:No)、再びS7005から処理を行う。
【0153】
一方、移動制御部50eが、移動経路による移動が終了したと判定した場合(S7011:Yes)、処理を終了する。
【0154】
本実施形態に係るコントローラ50は、移動制御を行う場合に、道路の幅に合わせて伸縮スクリード31の伸縮制御を行うことができる。その際に、伸縮スクリード31の車幅方向の長さを、所定の長さを下回らせるような縮める制御が必要な場合には、当該縮める制御を停止することで、サイドプレート40がスクリュSCに接触することを抑制できる。
【0155】
(変形例)
上述した実施形態では、アスファルトフィニッシャ100の自動移動制御を行う場合に、コントローラ50が伸縮スクリード31の伸縮制御を行う場合について説明した。しかしながら、伸縮スクリード31の縮める制御の抑制は、上述した実施形態のように自動移動制御を行う場合に制限するものではなく、作業者から伸縮スクリード31を縮める操作を受け付けた場合に行ってもよい。そこで、変形例では、作業者から伸縮スクリード31を縮める操作を受け付けた場合について説明する。
【0156】
本変形例に係るアスファルトフィニッシャ100は、運転席1Sに搭乗している操作者の操舵に従って移動する。さらに、本変形例に係るアスファルトフィニッシャ100は、作業者からの操作に従って、伸縮スクリード31の伸縮制御を行う。
【0157】
図8は、アスファルトフィニッシャ100の後面図を示した図である。図8に示される例では、入力部55Lは、作業者から、メインスクリード30に対して左伸縮スクリード31Lを車幅方向の左側に伸縮させるための操作を受け付ける。入力部55Rは、作業者から、メインスクリード30に対して右伸縮スクリード31Rを車幅方向の右側に伸縮させるための操作を受け付ける。入力部55L及び入力部55Rは、受け付けた操作の情報を、コントローラ50に出力する。
【0158】
これによって、コントローラ50のスクリード制御部50fは、受け付けた操作の情報に従って、伸縮スクリード31の伸縮制御を行う。
【0159】
また、スクリード制御部50fは、入力部55L又は入力部55Rから入力された操作に基づいて、伸縮スクリード31を縮める制御する際、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが所定の長さの場合に、伸縮スクリード31を縮める制御を抑制する。
【0160】
本変形例では、スクリード制御部50fが上述した制御を行うことで、作業者が伸縮スクリード31の伸縮制御を行う場合でも、サイドプレート40にスクリュSCが接触することを抑制できる。このため、本変形例に係るアスファルトフィニッシャ100は、安全性の向上を実現できる。
【0161】
なお、本変形例は、作業者からの操作を受け付ける入力装置が、入力部55L及び入力部55Rの場合について説明した。しかしながら、本変形例は、入力部55L及び入力部55Rを備える例に制限するものではない。例えば、一つの入力装置で、左伸縮スクリード31L及び右伸縮スクリード31Rの伸縮制御を行ってもよい。入力装置は、アスファルトフィニッシャ100の後面近傍に設置する例に制限するものではなく、運転席1Sに設けられてもよいし、無線通信を行う着脱可能な機器であってもよい。
【0162】
<作用>
上述した実施形態及び変形例に係るアスファルトフィニッシャ100のコントローラ50が、上述した構成を備えることで、路面の幅に合わせて、伸縮スクリード31の伸縮制御を行う際に、伸縮スクリード31の車幅方向の長さが、スクリュSCに基づいた所定の長さを下回らないように、伸縮スクリード31の伸縮制御を行う。これにより、伸縮スクリード31の遠端部に設けられたサイドプレート40が、スクリュSCに接触することを抑制できるので、安全性の向上を実現できる。
【0163】
また、所定の長さは、拡張スクリュを接続する場合、メインスクリュの長さに、拡張スクリュの長さを加算した合計の長さに基づいて設定されている。例えば、アスファルトフィニッシャ100が施工する際、道路の幅に応じてスクリュSCの長さを変更した場合、長さを変更した後のスクリュSCにサイドプレート40が接触しないよう制御が行われる。したがって、スクリュSCの長さを変更しても、サイドプレート40と接触することが抑制されるので、安全性の向上を実現できる。
【0164】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0165】
以上、アスファルトフィニッシャの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0166】
100 アスファルトフィニッシャ
SCLM 左メインスクリュ
SCRM 右メインスクリュ
SCLE1 第1左延長スクリュ
SCRE1 第1右延長スクリュ
27L 左スクリード伸縮シリンダ
27R 右スクリード伸縮シリンダ
30 メインスクリード
31L 左伸縮スクリード
31R 右伸縮スクリード
47 走行速度センサ
48 補助記憶装置
48a スケジュール情報記憶部
48b スクリュ長さ記憶部
50 コントローラ
50a 通信制御部
50b 設定部
50c 取得部
50d 移動経路算出部
50e 移動制御部
50f スクリード制御部
51F 前方監視装置
51B 後方監視装置
52 駆動系コントローラ
53 通信装置
54 GPSモジュール
55 スクリード制御装置
56 スクリュ制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8