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特開2023-151464センサー配置決定装置およびセンサー配置決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151464
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】センサー配置決定装置およびセンサー配置決定方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/89 20180101AFI20231005BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/64
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061076
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】左部 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲甘▼蔗 寂樹
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA38
3L260CA28
3L260CA29
3L260CA34
3L260CB09
3L260CB23
3L260CB63
3L260CB65
3L260CB66
3L260EA22
(57)【要約】
【課題】例えば環境センサーが発熱機器の傍などの位置に設置されている場合、所定位置の温度を予測する際に予測精度が下がり、空調機を適切に制御できない場合がある。
【解決手段】センサー配置決定装置10は、対象空間80内の温度を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定装置10であって、取得部20と、決定部30と、を備える。取得部20は、空調機情報21と、空間情報22と、を取得する。空調機情報21は、温度に影響を与える空調機Aと温度に及ぼす空調機Aからの距離の影響とを関連づけた情報である。空間情報22は、対象空間80内の空調機Aの配置に関する情報である。決定部30は、空調機情報21と空間情報22とに基づいて、対象空間80における、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の環境を計測するセンサー(S1、S2)の配置を決定するセンサー配置決定装置(10、11)であって、
前記環境に影響を与える因子と前記環境に及ぼす前記因子からの距離の影響とを関連づけた情報である第1情報(21)と、前記空間内の前記因子の配置に関する情報である第2情報(22)と、を取得する取得部(20)と、
前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記空間における前記センサーの配置の候補(31、32)を決定する決定部(30)と、
を備えるセンサー配置決定装置。
【請求項2】
前記第2情報は、建物の設計モデル、解析モデル、建築図面、および計装図面の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項1に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項3】
前記因子は、室内機を有する空調機(A)であり、
前記第1情報は、前記空調機の機種、前記室内機の形状、前記空調機の能力、前記室内機が供給する空調空気の風量および前記空調機の系統情報、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項4】
前記第1情報は、前記室内機が供給する前記空調空気の風向、吹出温度、吹出範囲および風速、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報、をさらに含む、
請求項3に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項5】
前記因子は、換気装置(B)であり、
前記第1情報は、前記換気装置の機種、前記換気装置の形状、前記換気装置の換気量、前記換気装置が供給する空気の風量、全熱交換器の有無、前記全熱交換器の熱交換効率および前記換気装置の温度調整機能の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記換気装置からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項6】
前記因子は、什器(C)であり、
前記第1情報は、前記什器の種類に応じて決まる、前記什器からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項7】
前記因子は、窓(D)であり、
前記第1情報は、前記窓の大きさ、熱貫流率、日射取得係数および遮蔽物の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記窓からの距離に応じた前記環境への影響である、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項8】
前記因子は、扉(E)であり、
前記第1情報は、前記扉の大きさ、断熱性能および開閉頻度、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記扉からの距離に応じた前記環境への影響である、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記第2情報から前記空間の体積または床面積を算出し、前記空間の体積または床面積に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量(33)を決定する、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項10】
前記第1情報は、前記室内機の数量または冷媒系統の数量に応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報、をさらに含み、
前記決定部は、前記室内機の数量または前記冷媒系統の数量に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量を決定する、
請求項3又は4に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項11】
前記決定部は、前記因子の数量に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量を決定する、
請求項1から9のいずれかに記載のセンサー配置決定装置。
【請求項12】
前記決定部で決定された、前記空間における前記センサーの配置の候補を出力する出力部(40)、
をさらに備える、
請求項1から8のいずれかに記載のセンサー配置決定装置。
【請求項13】
前記センサーは、前記空間に配置する目的が異なる複数のセンサーを有し、
前記出力部は、前記目的が異なる複数のセンサーそれぞれを区別して、前記空間における前記センサーの配置の候補を出力する、
請求項12に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項14】
前記決定部は、
前記センサーを配置する目的ごとに、前記因子からの距離の影響を受ける位置、または、前記因子からの距離の影響を受けない位置のいずれかを、前記空間における前記センサーの配置の候補として決定し、
前記出力部は、前記センサーを配置する目的ごとに、前記空間における前記センサーの配置の候補、または、前記空間における前記センサーの不適配置の位置を出力する、
請求項12又は13に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項15】
前記目的が異なるセンサーは、
前記空間内に常時設置される第1センサーと、
前記空間内の環境に関するデータを取得した後に回収される第2センサーと、
を有し、
前記出力部は、前記第2センサーが前記空間から回収されるタイミングの通知、又は前記第2センサーによる前記データの取得の終了のタイミングの通知を出力する、
請求項13又は14に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項16】
空間内の環境を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定方法であって、
前記環境に影響を与える因子と前記環境に及ぼす前記因子からの距離の影響とを関連づけた情報である第1情報と、前記空間内の前記因子の配置に関する情報である第2情報と、を取得する取得ステップと、
前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記空間における前記センサーの配置の候補を決定する決定ステップと、
を備えるセンサー配置決定方法。
【請求項17】
環境に影響を与える因子の空間内での影響に関する、前記空間の熱気流解析を行う解析部(50)と、
前記空間の熱気流解析の結果(51)に基づいて、前記空間におけるセンサーの設置の候補(310、320)を決定する決定部(300)と、
を備えるセンサー配置決定装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
センサー配置決定装置およびセンサー配置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間に設置した環境センサーの値を用いて所定位置の温度を予測し、予測温度を用いて空調機を制御している(特許文献1(特許3548114号公報))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、環境センサーが発熱機器の傍などの位置に設置されている場合、所定位置の温度を予測する際に予測精度が下がり、空調機を適切に制御できない場合があるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点のセンサー配置決定装置は、空間内の環境を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定装置であって、取得部と、決定部と、を備える。取得部は、第1情報と、第2情報と、を取得する。第1情報は、環境に影響を与える因子と環境に及ぼす因子からの距離の影響とを関連づけた情報である。第2情報は、空間内の因子の配置に関する情報である。決定部は、第1情報と第2情報とに基づいて、空間におけるセンサーの配置の候補を決定する。
【0005】
このセンサー配置決定装置では、空間内の因子による環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することで、配置されたセンサーを用いて、空間内の環境を精度よく予測することができる。
【0006】
第2観点のセンサー配置決定装置は、第1観点の装置であって、第2情報は、建物の設計モデル、解析モデル、建築図面、および計装図面の少なくとも1つに関する情報を含む。
【0007】
このセンサー配置決定装置では、建物の空間情報を取得することができる。
【0008】
第3観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、環境に影響を与える因子は、室内機を有する空調機である。第1情報は、空調機の機種、室内機の形状、空調機の能力、室内機が供給する空調空気の風量および空調機の系統情報、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、室内機からの距離に応じた環境への影響に関する情報を含む。
【0009】
このセンサー配置決定装置では、空調機による空間内の環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することができる。
【0010】
第4観点のセンサー配置決定装置は、第3観点の装置であって、第1情報は、室内機が供給する空調空気の風向、吹出温度、吹出範囲および風速、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、室内機からの距離に応じた環境への影響に関する情報、をさらに含む。
【0011】
このセンサー配置決定装置では、室内機が供給する空調空気の空間内の環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することができる。
【0012】
第5観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、環境に影響を与える因子は、換気装置である。第1情報は、換気装置の機種、換気装置の形状、換気装置の換気量、換気装置が供給する空気の風量、全熱交換器の有無、全熱交換器の熱交換効率および換気装置の温度調整機能の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、換気装置からの距離に応じた環境への影響に関する情報を含む。
【0013】
このセンサー配置決定装置では、換気装置による空間内の環境への影響を考慮して、空間におけるセンサーの配置の候補を決定することができる。
【0014】
第6観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、環境に影響を与える因子は、什器である。第1情報は、什器の種類に応じて決まる、什器からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む。
【0015】
このセンサー配置決定装置では、什器による空間内の環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することができる。
【0016】
第7観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、環境に影響を与える因子は、窓である。第1情報は、窓の大きさ、熱貫流率、日射取得係数および遮蔽物の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、窓からの距離に応じた環境への影響である。
【0017】
このセンサー配置決定装置では、窓による空間内の環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することができる。
【0018】
第8観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、環境に影響を与える因子は、扉である。第1情報は、扉の大きさ、断熱性能および開閉頻度、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、扉からの距離に応じた環境への影響である。
【0019】
このセンサー配置決定装置では、扉による空間内の環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することができる。
【0020】
第9観点のセンサー配置決定装置は、第1観点又は第2観点の装置であって、決定部は、第2情報から空間の体積または床面積を算出し、空間の体積または床面積に応じて、空間内に配置するセンサーの数量を決定する。
【0021】
このセンサー配置決定装置では、空間の大きさを考慮してセンサーの数値を決定することで、多量のセンサーを配置せず、コストを小さくすることができる。
【0022】
第10観点のセンサー配置決定装置は、第3観点又は第4観点の装置であって、第1情報は、室内機の数量または冷媒系統の数量に応じて決まる、室内機からの距離に応じた環境への影響に関する情報、をさらに含む。決定部は、室内機の数量または冷媒系統の数量に応じて、空間内に配置するセンサーの数量を決定する。
【0023】
このセンサー配置決定装置では、空調機情報を考慮してセンサーの数値を決定することで、室内機が設置されている空間に適した、センサーの数量を決定することができる。
【0024】
第11観点のセンサー配置決定装置は、第1観点から第9観点のいずれかの装置であって、決定部は、環境に影響を与える因子の数量に応じて、空間内に配置するセンサーの数量を決定する。
【0025】
このセンサー配置決定装置では、空間内に影響を与える因子の数量を考慮してセンサーの数値を決定することで、空間内の因子の多少にかかわらず、センサーの最適な数値を決定することができる。
【0026】
第12観点のセンサー配置決定装置は、第1観点から第8観点のいずれかの装置であって、出力部をさらに備える。出力部は、決定部で決定された、空間におけるセンサーの配置の候補を出力する。
【0027】
このセンサー配置決定装置では、出力部がセンサーの配置候補を出力することで、センサーの配置候補をユーザが容易に取得することができる。
【0028】
第13観点のセンサー配置決定装置は、第12観点の装置であって、センサーは、空間に配置する目的が異なる複数のセンサーを有する。出力部は、目的が異なる複数のセンサーそれぞれを区別して、空間内における前記センサーの配置の候補を出力する。
【0029】
このセンサー配置決定装置では、目的別のセンサーごとに、配置候補を取得することができる。
【0030】
第14観点のセンサー配置決定装置は、第12観点又は第13観点の装置であって、決定部は、センサーを配置する目的ごとに、因子からの距離の影響を受ける位置、または、因子からの距離の影響を受けない位置のいずれかを、空間におけるセンサーの配置の候補として決定する。出力部は、センサーを配置する目的ごとに、空間におけるセンサーの配置の候補、または、空間におけるセンサーの不適配置の位置を出力する。
【0031】
このセンサー配置決定装置では、センサーの不適配置な位置を取得することで、不適配置の位置を考慮してセンサー配置を決定することができる。
【0032】
第15観点のセンサー配置決定装置は、第13観点又は第14観点の装置であって、目的が異なるセンサーは、第1センサーと、第2センサーと、を有する。第1センサーは、空間内に常時設置される。第2センサーは、空間内の環境に関するデータを取得した後に回収される。出力部は、第2センサーが空間から回収されるタイミングの通知、又は第2センサーによるデータの取得の終了のタイミングの通知を出力する。
【0033】
このセンサー配置決定装置では、センサーを回収するタイミングやセンサーによるデータ取得終了のタイミングを取得することができる。
【0034】
第16観点のセンサー配置決定方法は、空間内の環境を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定方法であって、取得ステップと、決定ステップと、を備える。取得ステップは、第1情報と、第2情報と、を取得する。第1情報は、環境に影響を与える因子と環境に及ぼす因子からの距離の影響とを関連づけた情報である。第2情報は、空間内の因子の配置に関する情報である。決定ステップは、第1情報と第2情報とに基づいて、空間におけるセンサーの配置の候補を決定する。
【0035】
このセンサー配置決定方法では、空間内の因子による環境への影響を考慮して、センサーの配置の候補を決定することで、空間内の環境を精度よく予測することができる。
【0036】
第17観点のセンサー配置決定装置は、解析部と、決定部と、を備える。解析部は、環境に影響を与える因子の空間内での影響に関する、空間の熱気流解析を行う。決定部は、空間の熱気流解析の結果に基づいて、空間におけるセンサーの設置の候補を決定する。
【0037】
このセンサー配置決定装置では、空間の熱気流解析の結果を考慮して、センサーの配置の候補を決定することで、空間内の環境を精度よく予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】空調制御システムの機能ブロック図である。
図2】対象空間の一例を示す図である。
図3】対象空間における空調機の配置の一例を示す図である。
図4】空調制御システムのフローチャートである。
図5】空調機情報及び空間情報の一例を説明するための図である。
図6】常時センサーの設置不適箇所の一例を説明するための図である。
図7】センサーの設置範囲の一例を説明するための図である。
図8】対象空間の他の例を示す図である。
図9A】常時センサーの設置不適箇所の他の例を説明するための図である。
図9B】常時センサーの設置不適箇所の他の例を説明するための図である。
図10】変形例の空調制御システムの機能ブロックである。
図11】センサーの設置範囲の他の例を示す図である。
図12】常時センサーの設置数を説明するための図である。
図13】変形例の空調制御システムの機能ブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(1)空調制御システムの概要
本実施形態の空調制御システム100は、対象空間80である部屋の空調制御を行うために設けられたシステムである。空調制御システム100は、図1に示すように、空調機Aと、センサー配置決定装置10と、を有している。
【0040】
本実施形態の空調制御システム100はセンサー配置決定装置10に相当する。センサー配置決定装置10は、請求項に記載のセンサーの配置候補決定方法を実施するための装置である。
【0041】
センサー配置決定装置10は、ネットワーク90を介して、対象空間80の空調に関連する機器と通信する。本実施形態では、対象空間80の空調に関連する機器は、空調機Aである。空調機Aは、空間に設置される空調室内機(室内機)である。
【0042】
センサー配置決定装置10は、対象空間80におけるセンサーの配置の候補を決定する。センサーは、常時センサーS1と、教師データ取得用センサーS2と、を有している。
【0043】
(2)空調制御システムの構成
(2-1)センサー配置決定装置
センサー配置決定装置10は、コンピュータにより実現されるものである。センサー配置決定装置10は、図1に示すように、取得部20と、決定部30と、を備える。コンピュータ10は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。図1に示す取得部20及び決定部30は、制御演算装置により実現される各種の機能ブロックである。これらの機能ブロックは、制御演算装置がプログラムを実行させることで出現する。
【0044】
(2-1-1)取得部
取得部20は、対象空間80内の環境に影響を与える因子と対象空間80内の環境に及ぼす因子からの距離の影響とを関連づけた情報である空調機情報(第1情報)21を取得する。本実施形態では、対象空間80内の環境は、温度である。また、本実施形態では、温度に影響を与える因子は、空調機(室内機)Aである。
【0045】
本実施形態の空調制御システム100は、図2に示すように、対象空間80に複数の空調機A1~A4を有している。
【0046】
図3に示すように、複数の空調機A1~A4は、それぞれ4辺に沿うように、4つの吹出口A1a~A4dが設けられている。そして空調機A1~A4は、吹出口A1a~A4dから吹き出す風向を調節するフラップ61a~64dを有している。
【0047】
本実施形態では、空調機情報21は、空調機Aと空調機Aからの距離の影響とを関連づけた情報である。空調機Aからの距離が小さい場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。例えば、空調機Aからの直線距離が約3m以下である場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなるが、空調機Aからの直線距離はこれに限るものではない。
【0048】
空調機情報21は、空調機Aの機種、室内機(空調機)Aの形状、空調機Aの能力、空調機Aが供給する空調空気の風量および空調機Aの冷媒系統情報(系統情報)、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報を含む。
【0049】
空調機Aの機種は、住宅用のルームエアコン、店舗又はオフィス用のエアコン、ビル用のマルチエアコンなどが含まれる。また、室内機(空調機)Aの形状は、天井埋め込みカセット形、天井吊形、床置き形などが含まれる。本実施形態では、室内機Aの形状は天井埋め込みカセット形である。
【0050】
空調機Aの能力が大きい場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。例えば、空調機Aの能力が約2.8kW以上である場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなるが、空調機Aの能力はこれに限るものではない。
【0051】
空調機Aが供給する空調空気の風量が大きい場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。例えば、空調機Aが供給する空調空気の風量が約300m3/min以上である場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなるが、空調機Aが供給する空調空気の風量はこれに限るものではない。
【0052】
空調機Aの冷媒系統情報は、室内機と室外機との接続に関する情報である。1台の室外機に冷媒配管で接続された複数の室内機は、同一冷媒系統に属するものとする。例えば、第1冷媒系統は、第1室外機に複数の室内機A1~A4が冷媒配管で接続されており、第2冷媒系統は、第2室外機に複数の室内機A5~A8(図12参照)が冷媒配管で接続されているとする。
【0053】
空調機Aの冷媒系統情報は、複数の冷媒系統のうち、室内機がいずれの系統に属しているかに関する情報を含む。例えば、空調機Aの冷媒系統情報は、室内機A1~A4が第1冷媒系統に属するという情報を含む。
【0054】
また、空調機情報21は、空調機Aが供給する空調空気の風向、吹出温度、吹出範囲および風速、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報、をさらに含むようにしてもよい。
【0055】
図2図3に示すように、空調機(室内機)A1~A4の各フラップ61a~64dは、一台の室内機A1~A4の下面における外周4辺の内側に、各辺と平行に伸びるようにして、各吹出口A1a~A4dに対応する位置にそれぞれ設けられている。制御部(図示せず)は、各吹出口A1a~A4dに対する各室内機Aの各フラップ61a~64dの角度を変更するように制御して、吹出気流を対象空間80内の所定位置に向けることができる。
【0056】
ファン(図示せず)は、各室内機A1~A4のそれぞれに設けられており、制御部によって吹出口A1a~A4dから送り出される吹出気流の速度が調節される。
【0057】
空調機Aが供給する空調空気の風が当たる向きでは、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。本実施形態では、空調機A1~A4は、各吹出口A1a~A4dの4方向から空調空気を吹き出す。空調機A1~A4は、各吹出口A1a~A4dのうち、例えばいずれか2方向から空調空気を吹き出すようにしてもよい。空調機A1~A4の各吹出口A1a~A4dのうち、空調空気を吹き出す向きでは、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。
【0058】
また、空調機Aの吹出温度と対象空間80の室内温度との温度差が大きい場合、空調機Aの吹出温度による、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。例えば、空調機Aの吹出温度と対象空間80の室内温度との温度差が約10℃以上である場合、空調機Aの吹出温度による、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなるが、空調機Aの吹出温度と対象空間80の室内温度との温度差はこれに限るものではない。
【0059】
また、室内機Aの吹出範囲内では、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。本実施形態では、室内機A1~A4は、フラップ61a~64dの向きを変えることによって、天井から見て30度から90度の範囲で室内機Aの吹出範囲を変えて運転することができる。
【0060】
室内機Aの風速が大きい場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなる。例えば、室内機Aの風速が、空調機Aの吹出口A1a~A4dからの距離0mにおいて約1m/s以上である場合、対象空間80内の温度に対する空調機Aの影響が大きくなるが、室内機Aの風速はこれに限るものではない。
【0061】
また、取得部20は、対象空間80内の環境に影響を与える因子の配置に関する情報である空間情報(第2情報)22を取得する。本実施形態では、空間情報22は、対象空間80の、空調機Aの配置に関する情報である。また、空間情報22は、対象空間80が含まれる建物の設計モデル70に関する情報を含む。本実施形態では、取得部20は、建物の設計モデル70から建物の対象空間80の、空調機Aの配置に関する情報を取得する。空間情報22は、建物の設計モデル70に限るものではなく、建物の解析モデル、建築図面、および計装図面の少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。
【0062】
(2-1-2)決定部
決定部30は、空調機情報21と空間情報22とに基づいて、対象空間80における常時センサーS1の配置候補31と、対象空間80における教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定する。
【0063】
本実施形態では、決定部30は、空調機Aと空調機Aからの距離の影響とを関連づけた空調機情報21と、対象空間80内の空調機Aの配置に関する空間情報22とに基づいて、対象空間80における常時センサーS1の配置候補31と、対象空間80における教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定する。
【0064】
また、決定部30は、空間情報22から対象空間80の床面積を算出し、対象空間80の床面積に応じて、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33を決定する。決定部30は、対象空間80の形状、大きさ、および、空調機Aの数量、目標とする温度予測の精度から、所定の床面積で対象空間80を数個のエリアに分け、それぞれに1つずつ常時センサーS1を設置するものとして常時センサーS1の数量33を決定するようにしてもよい。
【0065】
本実施形態では、決定部30は、設計モデル70から、対象空間80の床面積を算出し、対象空間80の床面積に応じて、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33を決定する。常時センサーS1は、対象空間80の床面積が100mから150mにつき1個程度配置するのが好ましい。本実施形態では、対象空間80の床面積が100mあたり常時センサーS1を1個配置する。例えば、対象空間80の床面積が100mである場合、決定部30は、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33は「1」であると決定する。
【0066】
(3)センサー
センサーは、対象空間80内の環境を計測する環境センサーである。センサーは、対象空間80に常時設置される常時センサーS1と、教師データを取得する際に対象空間80に設置される教師データ取得用センサーS2と、を含んでいる。
【0067】
対象空間80内の環境は、温度、湿度、二酸化炭素濃度などが含まれる。環境センサーは、温度センサー、二酸化炭素センサー、湿度センサーなどが含まれる。本実施形態では、センサーは温度センサーである。
【0068】
(3-1)常時センサー
常時センサーS1は、対象空間80における温度に関するデータを取得するための温度センサーである。本実施形態では、常時センサーS1は、対象空間80における温度に関するデータを取得する。
【0069】
常時センサーS1は、空調制御システム100による空調制御の実運用前及び運用時に、対象空間80に常に設置される。
【0070】
常時センサーS1は、空調制御システム100のセンサー配置決定装置10で決定した位置に配置される。常時センサーS1は、対象空間80における温度への空調機Aによる影響の少ない箇所に配置される。
【0071】
(3-2)教師データ取得用センサー
教師データ取得用センサーS2は、対象空間80における温度に関する教師データを取得するための温度センサーである。本実施形態では、教師データ取得用センサーS2は、対象空間80における温度に関する教師データを取得する。
【0072】
機械学習器(図示せず)は、教師データを用いて、ソフトセンシング予測モデルを学習する。機械学習器は、ソフトセンシング予測モデルの説明変数となる常時センサーS1のデータの値と、ソフトセンシング予測モデルの目的変数となる教師データ取得用センサーS2の教師データの値とを、関連付けて学習する。ソフトセンシング予測モデルは、常時センサーS1のデータの値を説明変数として、教師データ取得用センサーS2が設置されていた位置の温度を予測する。
【0073】
教師データ取得用センサーS2は、空調制御システム100による空調制御の実運用前に、ソフトセンシング予測モデルを用いて対象空間80内の温度を予測する位置(予測位置)に設置される。
【0074】
空調制御システム100による空調制御の実運用開始後は、教師データ取得用センサーS2は回収され、作成したソフトセンシング予測モデルでパラメータ(温度)を予測し、温度分布の可視化や空調制御などに適用する。
【0075】
教師データ取得用センサーS2は、空調制御システム100のセンサー配置決定装置10で決定した位置に配置される。教師データ取得用センサーS2は、例えば、対象空間80内の温度への影響の強い外乱要素の近くの位置に配置される。対象空間80内の温度への影響の強い外乱要素は、換気装置B、窓D(図8参照)などが含まれる。または、教師データ取得用センサーS2は、対象空間80全体に均一に配置される。
【0076】
(4)空調制御システムの全体動作
空調制御システム100のフローチャートを図4に示す。図4では、対象空間80に空調機A1~A4が配置されている場合を例に挙げて説明する。
【0077】
ステップS11では、取得部20が空調機情報21を取得する。本実施形態では、取得部20は、空調機A1~A4と、空調機A1~A4からの距離の影響とを関連づけた情報である空調機情報21を取得する。
【0078】
図5に示すように、例えば、空調機A1の中心位置о1から対象空間80の中央付近の所定の位置P1までの距離はd1である。空調機A2の中心位置о2から対象空間80の中央付近の所定の位置P1までの距離はd2である。空調機A3の中心位置о3から対象空間80の中央付近の所定の位置P1までの距離はd3である。空調機A4の中心位置о4から対象空間80の中央付近の所定の位置P1までの距離はd4である。
【0079】
また、例えば、空調機A1の中心位置о1から対象空間80の領域80cの所定の位置P2までの距離はd5である。空調機A2の中心位置о2から対象空間80の領域80cの所定の位置P2までの距離はd6である。空調機A3の中心位置о3から対象空間80の領域80cの所定の位置P2までの距離はd7である。空調機A4の中心位置о4から対象空間80の領域80cの所定の位置P2までの距離はd8である。
【0080】
取得部20は、空調機情報21として、例えば、空調機A1と、空調機A1の中心位置о1から対象空間80の領域80aの所定の位置P1までの距離d1とを関連づけた情報を取得する。その後、ステップS12に進む。
【0081】
ステップS12では、取得部20が空間情報22を取得する。本実施形態では、設計図面70から、建物の対象空間80の、空調機A1~A4の配置に関する情報である第2情報22を取得する。
【0082】
図5に示すように、対象空間80は、領域80a~80dを含んでいる。空調機A1は、対象空間80の領域80aに配置されている。空調機A2は、対象空間80の領域80bに配置されている。空調機A3は、対象空間80の領域80cに配置されている。空調機A4は、対象空間80の領域80dに配置されている。その後、ステップS13に進む。
【0083】
ステップS13では、決定部30が常時センサーS1の設置数33を決定する。ステップS13では、ステップS11で取得した空調機情報21、及びステップS12で取得した空間情報22に基づいて、対象空間80を所定のエリアに切り分けて、各エリアに常時センサーS1を1つずつ設置するものとして、常時センサーS1の設置数33を決定する。
【0084】
本実施形態では、決定部30は、ステップS12で取得した空間情報22から対象空間80の床面積を算出し、対象空間80の床面積に応じて、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33を決定する。
【0085】
図5に示すように、対象空間80の床面積は、辺Lが10m、辺Mが10mの100mの正方形である。従って、決定部30は、対象空間80における常時センサーS1の設置数31を「1」であると決定する。その後、ステップS14に進む。
【0086】
ステップS14では、決定部30は、常時センサーS1の不適配置の位置を抽出する。本実施形態では、常時センサーS1の不適配置の位置は、空調機Aの吹出し気流の到達範囲である。
【0087】
決定部30は、空調機(室内機)Aの形状、空調機Aの能力、及び空調機Aの風量から、空調機Aの最大風量及び各風向における吹出し気流の到達範囲を推測し、空調機Aの吹出し気流の到達範囲を常時センサーS1の不適配置の位置として抽出する。また、空調機Aの吹出し気流の到達範囲は、空調機Aからの物理的距離に基づいて推測されるようにしてもよい。
【0088】
室内機Aの機種の特性と吹出し気流到達範囲を紐づけておくことにより、空調機情報21を取得することで、対象空間80における空調機Aの吹出し気流の到達範囲を取得することができる。空調機Aの吹出し気流の到達範囲は、空調機Aの吹出口から約0m~約3mの範囲であるが、空調機Aの吹出し気流の到達範囲はこれに限るものではない。
【0089】
図6は、常時センサーS1の設置不適箇所の例を説明するための図である。本実施形態では、図6に示すように、空調機A4の吹出口A4aの吹出し気流の到達範囲は、例えば、空調機A4の吹出口A4aからの距離Rが3mであり、空調機A4と対象空間80の天井との間が30度となる方向f1と、空調機A4と対象空間80の天井との間が90度となる方向f2との間の角度がθとなる範囲である。その後、ステップS15に進む。
【0090】
ステップS15では、決定部30は、常時センサーS1の推奨設置位置(範囲)となる配置候補31を決定する。ステップS15では、対象空間80から、ステップS14で抽出した、常時センサーS1の不適配置の位置を除外する。本実施形態では、対象空間80から、空調機Aの吹出し気流の到達範囲を除外する。また、対象空間80から、空調機Aの吹出し気流の到達範囲を除外した領域のうち、ステップS13で、切り分けたエリアに属する各空調機Aの中間位置を常時センサーS1の推奨設置位置(範囲)とする。本実施形態では、対象空間80の領域80a~80dに設けられている各室内機A1~A4からの中間位置を、常時センサーS1の配置候補31(図7参照)として決定する。その後、ステップS16に進む。
【0091】
ステップS16では、決定部30は、教師データ取得用センサーS2の推奨設置位置(範囲)となる配置候補32を決定する。ステップS16では、決定部30は、ステップS14で抽出した、常時センサーS1の不適配置の位置の範囲に基づいて、教師データ取得用センサーS2を設置すべき位置32a、32b、32c、32d(図7参照)を抽出する。教師データ取得用センサーS2を設置すべき位置32a、32b、32c、32dは、空調機A1~A4の吹出し気流の到達範囲である。
【0092】
決定部30は、ステップS11で取得した空調機情報21、及びステップS12で取得した空間情報22に基づいて、空調機A1~A4の温度に対する影響が強いとされる位置を閾値判定等により判断して、教師データ取得用センサーS2を設置すべき位置32a、32b、32c、32dとしてもよい。
【0093】
そして、決定部30は、教師データ取得用センサーS2が、対象空間80内に均等に散らばるように、他の複数の位置32e、32f(図7参照)を取得する。
【0094】
決定部30は、教師データ取得用センサーS2を設置すべき位置32a、32b、32c、32dと、教師データ取得用センサーS2の他の複数の位置32e、32fを、教師データ取得用センサーS2の配置候補32として決定する。
【0095】
図7は、対象空間80におけるセンサーの設置範囲の一例を説明するための図である。対象空間80に、常時センサーS1を1個と、教師データ取得用センサーS2(S2a~S2f)を6個配置するものとする。図7に示すように、対象空間80は、領域80a~80dを含んでいる。空調機A1は、対象空間80の領域80aに配置されている。空調機A2は、対象空間80の領域80bに配置されている。空調機A3は、対象空間80の領域80cに配置されている。空調機A4は、対象空間80の領域80dに配置されている。
【0096】
常時センサーS1は、対象空間80において、空調機A1~A4の中間位置である配置候補31に配置される。教師データ取得用センサーS2aは、空調機A1の近傍である配置候補32aに配置される。教師データ取得用センサーS2bは、空調機A2の近傍である配置候補32bに配置される。教師データ取得用センサーS2cは、空調機A3の近傍である配置候補32cに配置される。教師データ取得用センサーS2dは、空調機A4の近傍である配置候補32dに配置される。教師データ取得用センサーS2eは、空調機A1~A4の気流が当たらない位置である配置候補32eに配置される。教師データ取得用センサーS2fは、空調機A1~A4の気流が当たらない位置である配置候補32fに配置される。
【0097】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10は、対象空間80内の温度を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定装置10であって、取得部20と、決定部30と、を備える。取得部20は、空調機情報21と、空間情報22と、を取得する。空調機情報21は、温度に影響を与える空調機Aと温度に及ぼす空調機Aからの距離の影響とを関連づけた情報である。空間情報22は、対象空間80内の空調機Aの配置に関する情報である。決定部30は、空調機情報21と空間情報22とに基づいて、対象空間80における、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定する。
【0098】
従来の空調制御システムでは、室内機やリモコンに配置されたセンサーの値を用いて空調機を制御している。そのため、空間居住域(床から1.7m程度)における温度や気流の状況は考慮していないため、温度ムラやドラフト(風当り)感を起因とした空調に対する要求が存在している。
【0099】
例えば空調空間の実際の温度分布において、空調機の吹出し気流が届く位置又は届かない位置、空調空間内の高さの異なる位置、外乱影響の強い位置又は弱い位置、複数の冷媒系統の室内機の影響を受ける位置など、空調空間内の位置によって温度変化の様相が異なる。従来は、空間に設置したセンサーを用いて空調機を制御する際に、局所的な値を入手して空調制御に反映しているため、発熱機器の傍、人の密集地帯、間仕切りの陰、日射影響の強い位置等の特異点を持つ位置にセンサーを設置している場合には、目的とする環境を構築することができなくなる可能性がある。
【0100】
また、空調機の制御のみにかかわらず、空調空間内のパラメータ分布の可視化等を目的とした空間のパラメータ分布の取得においても、空間における環境センサーの位置が重要となる。空調空間内のパラメータは、例えば、温湿度、CO、気流、快適度(PMV:予測平均温冷感申告)が含まれる。空間の居住域のパラメータの分布を計測することで、実際の人の感じ方に即した空調制御や換気制御、もしくはパラメータ分布の可視化を行い、空調機の設定の変更の補助や、在室者が自分にとって快適な場所を選択すること、機器導入の検討の補助等を可能にする。
【0101】
パラメータ分布の可視化を目的とする場合、空間の大多数を占める環境だけでなく、パラメータに影響を与える部分、及び、空間で発生している様々な特異点を計測しなければ、空間全体のパラメータ分布を正しく取得することができない。
【0102】
さらに、パラメータ分布を予測する場合は、常時空間に設置する常時センサーと、教師データ取得後は回収する教師データ取得用センサーとが必用になる。常時センサーは特異点ではない位置に必要である。教師データ取得用センサーは特異点も含め、空間内において所定の間隔で設置することが必要となる。
【0103】
しかし、実際にセンサーを設置するサービスエンジニアにはこういった知見が無く、センサーの設置に関するルールが定められていなければ、空間内の最適な位置にセンサーを設置することは難しい。
【0104】
以上のようにセンサーを用いて空調機を最適に制御する場合、又はパラメータ分布等を出力する場合には、センサーを最適な位置に設置することが重要であるが、従来技術では、目標とする温度予測の精度を実現する最適な設置位置を見つけることができず、センサーの最適な個数も分からなかった。よって、サービスエンジニアの感覚に任せた、環境センサーの位置及び個数になり、精度の確保ができない場合や、オーバースペックによりコストが必要以上にかかる場合などがあった。
【0105】
このセンサー配置決定装置10では、対象空間80内の空調機Aによる温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することで、対象空間80内の温度を精度よく予測することができる。
【0106】
また、このセンサー配置決定装置10では、目標とする温度予測の精度を実現する、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができ、空調制御の精度向上、及び温度分布予測の精度向上が可能である。また、このセンサー配置決定装置10では、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置位置の検討工数を削減することができ、さらに、サービスエンジニアの感覚に頼らずに、対象空間80内の最適な位置に、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2を設置できる。また、このセンサー配置決定装置10では、空調機情報21、及び空間情報22を取得することで、実際の空間にいなくても常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置位置の検討をすることができる。また、このセンサー配置決定装置10で常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することで、教師データ取得用センサーS2を配置していない他の位置の温度を予測することにより、センサーのコストを抑制することができる。
【0107】
(5-2)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10では、空間情報22は、建物の設計モデル70に関する情報を含む。
【0108】
このセンサー配置決定装置10では、建物の設計モデル70から、対象空間80に関する情報を取得することができる。これにより、センサーを設置する建物の対象空間80ごとに、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を、適切に決定することができる。
【0109】
(5-3)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10は、対象空間80内の温度に影響を与える因子は、空調機Aである。空調機情報21は、空調機Aの機種、空調機(室内機)Aの形状、空調機Aの能力、空調機Aが供給する空調空気の風量および空調機Aの系統情報、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報を含む。
【0110】
このセンサー配置決定装置10では、空調機Aによる対象空間80内の温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。これにより、対象空間80に設置されている空調機Aに合わせて、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を、適切に決定することができる。
【0111】
(5-4)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10では、空調機情報21は、空調機Aが供給する空調空気の風向、吹出温度、吹出範囲および風速、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報、をさらに含む。
【0112】
このセンサー配置決定装置10では、空調機Aが供給する空調空気の対象空間80内の温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。
【0113】
(5-5)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10では、決定部30は、空間情報22から対象空間80の床面積を算出し、対象空間80の床面積に応じて、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33を決定する。
【0114】
このセンサー配置決定装置10では、対象空間80の大きさを考慮して常時センサーS1の設置数33を決定することで、多量のセンサーを配置することがなくなり、コストを小さくすることができる。
【0115】
(5-6)
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10を用いたセンサー配置決定方法では、対象空間80内の温度を計測するセンサーSの配置を決定するセンサー配置決定方法であって、取得ステップと、決定ステップと、を備える。取得ステップは、空調機情報21と、空間情報22と、を取得する。空調機情報21は、空調機Aと空調機Aからの距離の影響とを関連づけた情報である。空間情報22は、対象空間80内の空調機Aの配置に関する情報である。決定ステップは、空調機情報21と空間情報22とに基づいて、対象空間80における、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定する。
【0116】
このセンサー配置決定装置10を用いたセンサー配置決定方法では、対象空間80内の空調機Aによる温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することで、対象空間80内の温度を精度よく予測することができる。
【0117】
(6)変形例
(6-1)変形例1A
本実施形態に係るセンサー配置決定装置10では、対象空間80内の温度に影響に与える因子が、空調機Aである場合について説明したが、これに限るものではない。
【0118】
図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82(図8参照)内の温度に影響に与える因子は、換気装置B(図8参照)でもよい。また、図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82内の温度に影響に与える因子は、空調機A及び換気装置Bでもよい。
【0119】
対象空間82内の温度に影響に与える因子が、換気装置Bである場合、取得部20は、換気装置情報を第1情報として取得する。換気装置情報は、換気装置Bの機種、換気装置Bの形状、換気装置Bの換気量、換気装置Bが供給する空気の風量、全熱交換器の有無、全熱交換器の熱交換効率および換気装置Bの温度調整機能の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、換気装置Bからの距離に応じた温度への影響に関する情報を含む。
【0120】
換気装置Bからの距離が小さい場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなり、換気装置Bによる対象空間82内での温度変化等が大きくなる。例えば、換気装置Bからの距離が約3m以下である場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなるが、換気装置Bからの距離はこれに限るものではない。
【0121】
換気装置Bの機種は、換気扇、全熱交換器、調湿外気処理機などが含まれる。換気装置Bの形状は、プロペラファン、シロッコファンなどが含まれる。
【0122】
換気装置Bの換気量が大きい場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなる。例えば、換気装置Bの換気量が約300m3/h以上である場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなるが、換気装置Bの換気量はこれに限るものではない。
【0123】
換気装置Bが供給する空気の風量が大きい場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなる。例えば、換気装置Bが供給する空気の風量が約300m3/h以上である場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなるが、換気装置Bが供給する空気の風量はこれに限るものではない。
【0124】
換気装置Bが全熱交換器である場合、室内空気と屋外空気との間で熱交換を行うので、室内に供給する屋外から得た空気の温度は室内空気温度に近づく。そのため、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が小さくなる。また、全熱交換器の熱交換効率が大きい場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が小さくなる。
【0125】
また、換気装置Bが温度調整機能を有する場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響度の大きさは、換気装置Bの温度調節機能の運転内容によって異なる。温度調節機能を有する換気装置Bが、供給空気温度を室内温度に近づけるように運転される場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響は小さくなる。また、温度調節機能を有する換気装置Bが、空調機Aと同じように、温度調節をした空気を対象空間82に供給するように運転される場合、対象空間82内の温度に対する換気装置Bの影響が大きくなる。
【0126】
また、換気装置Bの特性と、換気装置Bの吹出し気流の到達範囲を紐づけておくことにより、センサー配置決定装置10に換気装置情報を入力することで、換気装置Bの対象空間内の温度に対する影響範囲を取得することができる。
【0127】
変形例1Aでは、空調機A及び換気装置Bによる対象空間82内の温度への影響を考慮して、対象空間82における常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。
【0128】
(6-2)変形例1B
図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82内の温度に影響を与える因子は、什器C(図8参照)でもよい。什器とは、日常使用する器具や家具である。什器は、例えば、間仕切り、棚などである。
【0129】
対象空間82内の温度に影響を与える因子が什器Cである場合、取得部20は、什器情報を第1情報として取得する。什器情報は、什器Cの種類に応じて決まる、什器Cからの距離に応じた温度への影響に関する情報を含む。例えば、対象空間82内に配置された什器Cが間仕切りである場合、間仕切りの付近では対象空間82内の気流が変化するので、間仕切りによってセンサーの測定値が影響を受けやすい。
【0130】
什器Cからの距離が小さい場合、対象空間82内の温度に対する什器Cの影響が大きくなり、什器Cによる対象空間82内での温度変化等が大きくなる。例えば、什器Cが間仕切りであって、什器Cからの距離が約0.1m以下である場合、対象空間82内の温度に対する什器Cの影響が大きくなるが、什器Cからの距離はこれに限るものではない。
【0131】
また、図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82内の温度に影響を与える因子は、発熱を伴う什器(発熱体)でもよい。発熱を伴う什器は、例えば、パソコンF(図8参照)、印刷機などである。
【0132】
例えば、発熱を伴う什器がデスクトップパソコンであって、発熱量100Wのデスクトップパソコンからの距離が約0.2m以下である場合、対象空間82内の温度に対するデスクトップパソコンの影響が大きくなる。
【0133】
変形例1Bでは、什器Cによる対象空間82内の温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。
【0134】
(6-3)変形例1C
図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82内の温度に影響を与える因子は、対象空間82が有する窓D(図8参照)でもよい。対象空間82内の温度に影響を与える因子が窓Dである場合、取得部20は窓情報を第1情報として取得する。窓情報は、窓Dの大きさ、熱貫流率、日射取得係数および遮蔽物の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、窓Dからの距離に応じた温度への影響である。
【0135】
窓Dからの距離が小さい場合、対象空間82内の温度に対する窓Dの影響が大きくなり、窓Dによる対象空間82内での温度変化等が大きくなる。例えば、窓Dからの距離が約1.0m以下である場合、対象空間82の温度に対する窓Dの影響が大きくなるが、窓Dからの距離はこれに限るものではない。
【0136】
熱貫流率は、窓Dを介して熱移動が生じる際に、熱の伝えやすさを示す値である。熱貫流率は、ソフトウエアを用いて算出することができる。また、熱貫流率は、熱流センサーを用いて測定することができる。対象空間82の窓Dの外側と内側の温度差が大きい場合、熱貫流率が高くなる。
【0137】
日射取得係数は、「建物による遮蔽がないと仮定した場合に取得できる日射量」に対する「実際に建物内部に取得できる日射量」の期間平均的な比率である。日射取得係数が大きい場合、日射による熱量が多い。
【0138】
遮蔽物は、カーテン、ブラインド、障子などであり、窓Dからの日射を遮蔽する。窓Dに遮蔽物を有する場合、窓Dによってセンサーの測定値が影響を受けにくくなる。
【0139】
また、窓Dが大きい場合、窓Dの付近ではセンサーの測定値が影響を受けやすい。
【0140】
変形例1Cでは、窓Dによる対象空間82内の温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。
【0141】
(6-4)変形例1D
図1に示すセンサー配置決定装置10において、対象空間82内の温度に影響を与える因子は、対象空間82が有する扉E(図8参照)でもよい。対象空間82内の環境に影響を与える因子が扉Eである場合、取得部20は、扉情報を第1情報として取得する。扉情報は、扉Eの大きさ、断熱性能および開閉頻度、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、扉Eからの距離に応じた温度への影響である。
【0142】
扉Eからの距離が小さい場合、対象空間82内の温度に対する扉Eの影響が大きくなり、扉Eによる対象空間82内での温度変化等が大きくなる。例えば、扉Eからの距離が約2m以下である場合、対象空間82内の温度に対する扉Eの影響が大きくなるが、扉Eからの距離はこれに限るものではない。
【0143】
扉Eが大きい場合、扉Eの付近ではセンサーの測定値が影響を受けやすい。
【0144】
また、扉Eの断熱性能が高い場合、室内と室外での熱の出入りが少なくなり、対象空間82内において、センサーの測定値は、外気温の影響を受けにくくなる。
【0145】
扉Eの開閉頻度が高い場合、室内と室外での熱の出入りが多くなり、センサーの測定値が影響を受けやすい。
【0146】
変形例1Dでは、扉Eによる対象空間82内の温度への影響を考慮して、常時センサーS1の配置候補31と教師データ取得用センサーS2の配置候補32の候補を決定することができる。
【0147】
(6-5)変形例1E
図1に示すセンサー配置決定装置10において、決定部30は、対象空間82内の温度に影響を与える因子の数量に応じて、対象空間82内に配置する常時センサーS1の数量33を決定するようにしてもよい。
【0148】
図8は、対象空間82内の環境に影響を与える因子を説明するための図である。図8に示すように、対象空間82に、空調機A1~A4(A3、A4は図示せず)と、換気装置B1、B2(B2は図示せず)と、什器Cと、窓Dと、扉Eと、パソコンFと、を有している。
【0149】
空調機Aは、本実施形態に記載のように、対象空間82内の温度に影響を与える因子である。換気装置Bと、什器Cと、窓Dと、扉Eは、変形例1A~1Dに記載のように、対象空間82内の温度に影響を与える因子である。また、変形例1Bに記載のように、パソコンFは、発熱体であり、対象空間82内の温度に影響を与える因子である。
【0150】
また、図8に示す外皮負荷Gは、外部から対象空間82の天井、壁、床など外皮を通して室内に入る熱負荷であり、対象空間82内の温度に影響を与える因子である。
【0151】
取得部20は、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2を設置する対象空間82の空間情報22(建築図面、配管図面、CADモデル、BIMモデルなど)、空調機Aの設置位置(室内機の水平座標や高さなど)、換気装置Bの設置位置(水平座標、高さ)、空調機情報21(機種、室内機形状、能力、風量、系統情報)、換気装置情報(機種、形状、風量、全熱交換器の有無、全熱交換器の熱交換効率、温度調整機能の有無)、間仕切りなどの什器Cの位置、パソコンFなどの発熱体の位置、人の位置、窓Dの熱貫流率、扉Eの熱貫流率、壁の熱貫流率、及び窓Dの日射取得係数などを取得する。
【0152】
決定部30は、空調機情報21、空調コントローラー情報、換気装置情報、対象空間82の空間情報22、空調機Aの設置位置、換気装置Bの設置位置、間仕切りなどの什器Cの位置、人の位置、窓Dの熱貫流率、扉Eの熱貫流率、壁の熱貫流率、及び日射取得係数などを利用して、「空間を最も効率よく制御する」および「空間全体のリアルタイム情報を正しく取得する」ために必要な環境情報(温度情報)を対象空間82内のどこで得るべきかを算出する。
【0153】
変形例1Eでは、対象空間82内の温度に影響を与える因子の数量を考慮して、常時センサーS1の数値33を決定することで、対象空間82内の温度に影響を与える因子の多少にかかわらず、常時センサーS1の最適な数値33を決定することができる。
【0154】
(6-6)変形例1F
本実施形態では、常時センサーS1の不適配置の位置は、空調機Aの気流到達域である場合について説明したが、これに限るものではない。
【0155】
空調機を効率よく制御するためには、各々の空調機によって空調される位置でのセンシングが必要である。
【0156】
しかし、例えば環境センサーで検出した温度を用いて空調を制御する場合、環境センサーを空調機の吹出し気流を直接受ける位置に設置してしまうと、気流が当たる位置以外の環境を把握することが難しくなる。また、パソコン等の発熱機器の傍に設置した場合などもその発熱を環境センサーが検知してしまう。こういった場合は特異点に対してのみの制御となってしまい、全体最適にはならない。
【0157】
しかし、サービスエンジニアの勘と経験でこれらの環境センサーを設置する場合は最適な位置に設置できない可能性があり、できたとしても必要以上の個数の環境センサーを設置してしまいコストがかかる場合がある。
【0158】
また、環境パラメータの予測を行う場合であっても、空調機の制御を行う場合と同様の課題がある。運用形態の例として、環境センサーのうち、常時センサーを常に設置し、教師データ取得用の環境センサーを教師データ取得後は回収する。常時センサーの値を説明変数として、教師データ取得用の環境センサーが設置してあった位置の温度をリアルタイムに予測する形態が考えられる。
【0159】
この例において、常時センサーが特異点に設置された場合には、説明変数としての常時センサーのパラメータは、教師データ取得用の環境センサーのパラメータを予測する上で余分な要素を持つ、あるいは予測するのに要素が不足する可能性がある。
【0160】
常時センサーの設置位置としては特異点ではない位置に設置することが必要である。また、教師データ取得用の環境センサーは空間全体の環境を取得するために、特異点ではない位置及び特異点のそれぞれで教師データを取得する必要がある。
【0161】
図9A及び図9Bは、常時センサーS1の不適配置の位置の他の例を説明するための図である。
【0162】
図9Aに示すように、常時センサーS1の不適配置の位置は、特異点近傍である。特異点とは、局所的に環境(温度)が周囲と異なる点である。特定点は、例えば、対象空間82において、発熱体であるパソコンF付近の位置35a、窓Dからの日射影響が強い位置35b、空調機Aの吹出し口から見て什器Cの陰となる位置35c、扉E(図8参照)の傍、人の密集地帯等である。
【0163】
発熱体については、発熱体の種類や発熱量に対応させて、温度に影響を与える距離を記憶しておくことにより、対象空間82での発熱体の配置に関する空間情報22から、対象空間82内での特異点を導出する。
【0164】
窓Dについては、窓Dの大きさ、熱貫流率、日射取得係数、遮蔽物の有無からピーク時の熱負荷を概算し、概算した熱負荷を基に、温度への影響距離を算出し、特異点を導出する。この時、別の建物と隣接している側で日射影響が殆どない窓など、温度への影響が少ないと判断できるものは特異点から除外してもよい。
【0165】
また、扉Eについては、扉Eの大きさ、熱貫流率、開閉頻度を入力することにより温度への影響距離を算出し、特異点を導出する。この時、締め切りの扉など、温度への影響が少ないと判断できるものは特異点から除外してもよい。
【0166】
また、図9Bに示すように、常時センサーS1の不適配置の位置は、設置不可能位置である。設置不可能位置とは、対象空間82において、空中など物理的にセンサーを設置不可能な位置35dや床面35eなどである。
【0167】
空間情報22をもとに、空中などの物理的にセンサーを設置できない範囲や、床面など常時設置するのに不都合な位置、天井などの居住域からかけ離れた位置などの範囲を取得する。また、常時センサーS1の不適配置の位置(範囲)は、ユーザの入力による設置禁止範囲を加えてもよい。
【0168】
図1のセンサー配置決定装置10において、対象空間82のうち、常時センサーS1の不適配置の位置(範囲)を除く範囲から、対象空間82の床面積に基づいて分けられた各エリアにおいて、エリア内の中間に近くなるように、常時センサーS1の設置を推奨する位置もしくは範囲を決める。
【0169】
教師データ取得用センサーS2については、常時センサーS1の不適配置の位置(範囲)を基に、温度の計測の必要がある気流到達範囲及び特異点を決定し、気流到達範囲、および特異点以外の範囲において、教師データ取得用センサーS2が所定の距離間隔で対象空間82全体にいきわたるように、教師データ取得用センサーS2の設置位置(範囲)を決める。教師データ取得用センサーS2の距離間隔は、目標とする温度予測の精度により決定する。
【0170】
また、教師データ取得用センサーS2については、常時センサーS1の不適配置の位置(範囲)として除外した空中などを指定してもよく、その場合はポールや三脚のようなものを用いて、教師データ取得用センサーS2が配置される。対象空間82の空中に教師データ取得用センサーS2が設置される場合、対象空間82内の上下方向の温度分布を取得するようにしてもよい。
【0171】
変形例1Fでは、取得部20が取得した空間情報22から、対象空間80、82における特異点となりそうな位置を推測し、常時センサーS1の配置の候補から除外する。これにより、常時センサーS1の不適配置の位置を考慮して、常時センサーS1の配置候補31を適切に決定することができる。
【0172】
(6-7)変形例1G
変形例1Gの空調制御システム110の機能ブロック図を図10に示す。空調制御システム110は、図10に示すように、空調機Aと、センサー配置決定装置11と、を有している。
【0173】
センサー配置決定装置11は、取得部20と、決定部30とを備えている点は、図1で示した本実施形態の空調制御システム100のセンサー配置決定装置10と同様である。変形例1Gに係る空調制御システム120では、センサー配置決定装置11は、出力部40をさらに備えている点が、図1に示したセンサー配置決定装置10と異なる。
【0174】
出力部40は、決定部30で決定された、対象空間80における常時センサーS1の配置候補31と、対象空間80における教師データ取得用センサーS2の配置候補32と、を出力する。
【0175】
出力部40は、目的が異なる複数のセンサーそれぞれを区別して、対象空間80内におけるセンサーの配置の候補を出力する。変形例1Gでは、出力部40は、常時センサーS1と、教師データ取得用センサーS2とを区別して、対象空間80内における常時センサーS1の配置候補31と、対象空間80内における教師データ取得用センサーS2の配置候補32を出力する。
【0176】
変形例1Gにおいて、対象空間は、例えば、空調機A、換気装置B等を有する対象空間82でもよい。
【0177】
図11は、図8に示した対象空間82内における常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置範囲の例を示す。
【0178】
図11に示すように、常時センサーS1の設置候補31は、空調機A1~A4、換気装置B1、B2、什器C、窓D、扉E、パソコンF(図示せず)から離れた位置である。常時センサーS1は、例えば、床面から机上までの高さである0.7~0.8mの高さ位置に配置される。
【0179】
また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Aは、換気装置B1の吹出口付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Bは、什器C付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Cは、空調機A1付近及び窓D付近の位置である。教師データ取得用センサーS2の配置候補32Dは、空調機A1付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Eは、空調機A2付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Fは、空調機A3付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Gは、空調機A4付近の位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Hは、換気装置B2の吹出口から離れた位置である。また、教師データ取得用センサーS2の配置候補32Iは、換気装置B2の吹出口から離れた位置である。教師データ取得用センサーS2は、例えば、床面から机上までの高さである0.7~0.8mの高さ位置に配置される。
【0180】
変形例1Gのセンサー配置決定装置11では、空調機Aの機種と温度への影響範囲(気流の影響範囲)を紐づけておくことにより、または、その他の温度に影響を及ぼす因子と温度への影響範囲を記憶しておくことにより、温度に影響を及ぼす要素に関する情報(空調機情報など)を入力することで、空間における環境への影響を及ぼす因子の影響範囲を算出し、因子の影響範囲をもとに推定した、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置目安位置を、空調コントローラーやパソコン、タブレット等のデバイスのアプリにおいて、設計図面やCADモデル上に表示する。これにより、空間全体の環境を正しく取得するために、あるいは目的とする空間を制御するために、適切とされる位置へのセンサーの設置を促すことができる。
【0181】
空調装置及び換気装置の制御、並びに、空間のパラメータ分布の実測及び予測を目的として、設置する環境センサーの位置及び数量を最適化することにより、空調機の制御精度、及び換気装置の制御精度を向上させて、空間パラメータ分布を正しく取得することを可能にする。また、目標とする温度予測の精度に対して、必要以上のセンサーを設置しないことにより、センサーの購入コストや管理コストを削減する。
【0182】
変形例1Gのセンサー配置決定装置11で算出する位置に設置した常時センサーS1で取得する実測環境情報(実測温度情報)を用いて空調を制御してもよく、また、予測環境情報(予測温度情報)を用いて制御してもよい。または、センサー配置決定装置11は、対象空間80、82の環境情報(温度情報)を、実測もしくは予測して得ることを目的としてもよい。
【0183】
変形例1Gでは、対象空間80、82に対する最適な常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置位置を自動で選定し、サービスエンジニアに示す。出力部40は、建物のCADモデル上、BIMモデル上、建築図面上、又はテキスト等により、アプリ上で、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置推奨位置(範囲)を提示することができる。また、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の設置推奨位置(範囲)を、空調コントローラーやユーザ端末などのアプリを介して、CADモデル、建築図面もしくはカメラ画像といった室内形状が視覚的にわかるものに重ねて表示する形、もしくはテキストの形式にしてから、ユーザ端末等に表示することができる。また、常時センサーS1の不適配置の位置(範囲)を、常時センサーS1の設置禁止範囲として、提示してもよい。
【0184】
変形例1Gのセンサー配置決定装置11では、出力部40が、決定部30で決定された、対象空間80、82における常時センサーS1の配置候補31と、対象空間80、82における教師データ取得用センサーS2の配置候補32と、を出力することで、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を、ユーザが容易に取得することができる。
【0185】
(6-8)変形例1H
図10に示すセンサー配置決定装置11において、決定部30は、センサーを配置する目的ごとに、対象空間80内の温度に影響を与える因子からの距離の影響を受ける位置、または、対象空間80内の温度に影響を与える因子からの距離の影響を受けない位置のいずれかを、対象空間80における常時センサーS1の配置候補31、又は、教師データ取得用センサーS2の配置候補32として決定してもよい。
【0186】
また、変形例1Hでは、出力部40は、センサーを配置する目的ごとに、対象空間80における常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32、または、対象空間80における常時センサーS1の不適配置の位置を出力する。
【0187】
変形例1Hでは、目的が異なるセンサーは、常時センサーS1と、教師データ取得用センサーS2と、を含む。常時センサーS1は、対象空間80内に常時設置される。教師データ取得用センサーS2は、空間内の環境に関するデータを取得した後に回収される。
【0188】
変形例1Hでは、出力部40は、例えば、ユーザ端末のアプリ上に、常時センサーS1と教師データ取得用センサーS2を判別可能に表示することができる。
【0189】
常時センサーS1の位置をユーザが指定してもよいが、常時センサーS1の位置をユーザが指定する場合は、常時センサーS1の推奨位置とユーザによる指定位置とを比較表示し、さらに、目標とする温度予測の精度が低下することをユーザに示すようにする。
【0190】
また、出力部40は、教師データ取得用センサーS2が対象空間80から回収されるタイミングの通知、又は教師データ取得用センサーS2によるデータの取得の終了のタイミングの通知を出力する。
【0191】
変形例1Hにおいて、対象空間は、例えば、空調機A、換気装置B等を有する対象空間82でもよい。
【0192】
変形例1Hのセンサー配置決定装置11では、常時センサーS1の不適配置な位置を取得することで、不適配置の位置を考慮して、常時センサーS1の配置候補31及び教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決定することができる。また、変形例1Hのセンサー配置決定装置11では、教師データ取得用センサーS2を回収するタイミングや、教師データ取得用センサーS2によるデータ取得終了のタイミングを取得することができる。
【0193】
センサーの種類として、常時センサーS1、教師データ取得用センサーS2に加えて、特に環境への影響の強い特異点には、特異点常時観測用のセンサーを設置してもよい。
【0194】
(6-9)変形例1I
図1に示すセンサー配置決定装置10において、決定部30は、空間情報22から対象空間80の体積を算出し、対象空間80の体積に応じて、対象空間80内に配置する常時センサーS1の数量33を決定するようにしてもよい。また、対象空間は、例えば、空調機A、換気装置B等を有する対象空間82でもよい。
【0195】
変形例1Iでは、対象空間80の大きさを考慮して常時センサーS1の数値33を決定することで、多量のセンサーを配置せず、コストを小さくすることができる。
【0196】
(6-10)変形例1J
図1に示すセンサー配置決定装置10において、決定部30は、冷媒系統の数量に応じて、対象空間に配置する常時センサーS1の数量33を決定するようにしてもよい。
【0197】
変形例1Jでは、空調機情報(第1情報)21は、冷媒系統の数量に応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報、をさらに含む。
【0198】
決定部30は、空調機Aの数量に応じて、対象空間に配置する常時センサーS1の数量33を決定するようにしてもよい。また、空調機情報21は、空調機Aの数量に応じて決まる、空調機Aからの距離に応じた温度への影響に関する情報、をさらに含むようにしてもよい。
【0199】
図12は、ビル用マルチエアコンが設置された対象空間84における常時センサーS1の設置数を説明するための図である。例えば、ビル用マルチエアコンで同じ冷媒配管系統が設置されている範囲を1エリアとし、1エリアに常時センサーを1個設置する。
【0200】
空調機A1~A4は同じ冷媒配管系統であり、対象空間84の第1エリア84aに設置されている。決定部30は、対象空間84の第1エリア84aに設置する常時センサーS1の数量は「1」であると決定する。
【0201】
また、空調機A5~A8は同じ冷媒配管系統であり、対象空間84の第2エリア84bに設置されている。決定部30は、対象空間84の第2エリア84bに配置する常時センサーS1の数量は「1」であると決定する。
【0202】
空間情報22である対象空間84の形状及び大きさ、並びに、空調機情報21である空調機Aの数量及び目標とする温度予測の精度から、同じ冷媒配管系統の空調機Aが設置されている範囲で、対象空間84を数個のエリアに分け、それぞれに1つずつ常時センサーS1を設置するものとして常時センサーS1の数量を決定してもよい。
【0203】
変形例1Jでは、空調機Aの情報を考慮して常時センサーS1の数値33を決定することで、空調機Aが設置されている対象空間84に適した、常時センサーS1の数量33を決定することができる。
【0204】
(6-11)変形例1K
変形例1Kの空調制御システム120の機能ブロック図を図13に示す。空調制御システム120は、図13に示すように、空調機Aと、センサー配置決定装置12と、を有している。
【0205】
変形例1Kのセンサー配置決定装置12は、解析部50と、決定部300と、を備える。
【0206】
解析部50は、対象空間80内の温度に影響を与える因子の対象空間80内での影響に関する、対象空間80の熱気流解析を行う。
【0207】
決定部300は、対象空間80の熱気流解析の結果51に基づいて、対象空間80における、常時センサーS1の配置候補310と、教師データ取得用センサーS2の配置候補320を決定する。
【0208】
対象空間は、例えば、空調機A、換気装置B等を有する対象空間82でもよい。空間情報として対象空間の解析モデルを入力し、CFD等気流解析を行うことで、空調機Aや換気装置Bなどの、対象空間の温度に対する影響範囲を取得してもよい。
【0209】
変形例1Kのセンサー配置決定装置12では、対象空間80の熱気流解析の結果51を考慮して、常時センサーS1の配置候補310と、教師データ取得用センサーS2の配置候補320を決定することで、配置された常時センサーS1の配置候補310と、教師データ取得用センサーS2の配置候補320を用いて、対象空間80内の温度を精度よく計測することができる。
【0210】
(6-12)変形例1L
本実施形態のセンサー配置決定装置10では、常時センサーS1の配置候補31を決めてから教師データ取得用センサーS2の配置候補32を決める場合について説明したが、順序は逆でもよく、もしくは同時に判断してもよい。
【0211】
(6-13)変形例1M
図1のセンサー配置決定装置10において、既存の空間に対して、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の、最適位置及び数量を選定しても良く、また、設計段階の空間に対して、常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の配置位置のシミュレーションとして用いてもよい。
【0212】
(6-14)変形例1N
図1のセンサー配置決定装置10において、春夏秋冬それぞれで常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の位置を変更することで、季節に応じたセンサーの設置位置を指定することもできる。また、細かな時間スパンとして、朝昼晩の時系列で常時センサーS1及び教師データ取得用センサーS2の位置を変更してもよい。
【0213】
(6-15)変形例1O
本実施形態及び各変形例では、センサーが温度センサーである場合について説明したが、センサーは、湿度センサー、二酸化炭素濃度センサーなどでもよい。
【0214】
(6-16)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0215】
100、110、120 空調制御システム
10、11、12 センサー配置決定装置
20 取得部
21 空調機情報(第1情報)
22 空間情報(第2情報)
30、300 決定部
31、310 常時センサーの配置候補
32(32a~32d、32A~32I)、320 教師データ取得用センサーの配置候補
31 常時センサーの設置数
40 出力部
50 解析部
51 空間の熱気流解析の結果
A(A1~A8) 空調機
B(B1、B2) 換気装置
S1 常時センサー
S2 教師データ取得用センサー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0216】
【特許文献1】特許3548114号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の環境を計測するセンサー(S1、S2)の配置を決定するセンサー配置決定装置(10、11)であって、
前記環境に影響を与える因子と前記環境に及ぼす前記因子からの距離の影響とを関連づけた情報である第1情報(21)と、前記空間内の前記因子の配置に関する情報である第2情報(22)と、を取得する取得部(20)と、
前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記空間における前記センサーの配置の候補(31、32)を決定する決定部(30)と、
を備えるセンサー配置決定装置。
【請求項2】
前記第2情報は、建物の設計モデル、解析モデル、建築図面、および計装図面の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項1に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項3】
前記因子は、室内機を有する空調機(A)であり、
前記第1情報は、前記空調機の機種、前記室内機の形状、前記空調機の能力、前記室内機が供給する空調空気の風量および前記空調機の系統情報、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項4】
前記第1情報は、前記室内機が供給する前記空調空気の風向、吹出温度、吹出範囲および風速、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報、をさらに含む、
請求項3に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項5】
前記因子は、換気装置(B)であり、
前記第1情報は、前記換気装置の機種、前記換気装置の形状、前記換気装置の換気量、前記換気装置が供給する空気の風量、全熱交換器の有無、前記全熱交換器の熱交換効率および前記換気装置の温度調整機能の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記換気装置からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項6】
前記因子は、什器(C)であり、
前記第1情報は、前記什器の種類に応じて決まる、前記什器からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項7】
前記因子は、窓(D)であり、
前記第1情報は、前記窓の大きさ、熱貫流率、日射取得係数および遮蔽物の有無、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記窓からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項8】
前記因子は、扉(E)であり、
前記第1情報は、前記扉の大きさ、断熱性能および開閉頻度、のいずれか並びに組み合わせの少なくとも1つに応じて決まる、前記扉からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報を含む
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記第2情報から前記空間の体積または床面積を算出し、前記空間の体積または床面積に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量(33)を決定する、
請求項1又は2に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項10】
前記第1情報は、前記室内機の数量または冷媒系統の数量に応じて決まる、前記室内機からの距離に応じた前記環境への影響に関する情報、をさらに含み、
前記決定部は、前記室内機の数量または前記冷媒系統の数量に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量を決定する、
請求項3又は4に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項11】
前記決定部は、前記因子の数量に応じて、前記空間内に配置する前記センサーの数量を決定する、
請求項1から9のいずれかに記載のセンサー配置決定装置。
【請求項12】
前記決定部で決定された、前記空間における前記センサーの配置の候補を出力する出力部(40)、
をさらに備える、
請求項1から8のいずれかに記載のセンサー配置決定装置。
【請求項13】
前記センサーは、前記空間に配置する目的が異なる複数のセンサーを有し、
前記出力部は、前記目的が異なる複数のセンサーそれぞれを区別して、前記空間における前記センサーの配置の候補を出力する、
請求項12に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項14】
前記決定部は、
前記センサーを配置する目的ごとに、前記因子からの距離の影響を受ける位置、または、前記因子からの距離の影響を受けない位置のいずれかを、前記空間における前記センサーの配置の候補として決定し、
前記出力部は、前記センサーを配置する目的ごとに、前記空間における前記センサーの配置の候補、または、前記空間における前記センサーの不適配置の位置を出力する、
請求項12又は13に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項15】
前記目的が異なるセンサーは、
前記空間内に常時設置される第1センサーと、
前記空間内の環境に関するデータを取得した後に回収される第2センサーと、
を有し、
前記出力部は、前記第2センサーが前記空間から回収されるタイミングの通知、又は前記第2センサーによる前記データの取得の終了のタイミングの通知を出力する、
請求項13又は14に記載のセンサー配置決定装置。
【請求項16】
空間内の環境を計測するセンサーの配置を決定するセンサー配置決定方法であって、
前記環境に影響を与える因子と前記環境に及ぼす前記因子からの距離の影響とを関連づけた情報である第1情報と、前記空間内の前記因子の配置に関する情報である第2情報と、を取得する取得ステップと、
前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記空間における前記センサーの配置の候補を決定する決定ステップと、
を備えるセンサー配置決定方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0215
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0215】
100、110、120 空調制御システム
10、11、12 センサー配置決定装置
20 取得部
21 空調機情報(第1情報)
22 空間情報(第2情報)
30、300 決定部
31、310 常時センサーの配置候補
32(32a~32d、32A~32I)、320 教師データ取得用センサーの配置候補
33 常時センサーの設置数
40 出力部
50 解析部
51 空間の熱気流解析の結果
A(A1~A8) 空調機
B(B1、B2) 換気装置
S1 常時センサー
S2 教師データ取得用センサー