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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015151
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】呼吸器合胞体ウイルスワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/155 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230124BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230124BHJP
   C12N 15/45 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K39/155 ZNA
A61K31/7105
A61K48/00
A61P37/04
C12N15/45
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172576
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2018541089の分割
【原出願日】2016-10-21
(31)【優先権主張番号】62/247,563
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/245,208
(32)【優先日】2015-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/245,031
(32)【優先日】2015-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,250
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】513084469
【氏名又は名称】モデルナティエックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ModernaTX,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100195796
【弁理士】
【氏名又は名称】塩尻 一尋
(72)【発明者】
【氏名】チャラメッラ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】バール, カピル
(72)【発明者】
【氏名】エスペセス, エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ダイ
(72)【発明者】
【氏名】ベット, アンドリュー ジェイ.
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、挿入突然変異誘発の可能性というリスクを負うことなく、RSVに対して、細胞性免疫と体液性免疫の両方を含むバランスの取れた免疫応答を誘導できるRSVワクチンを提供することである。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む、RSVワクチンに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む、RSVワクチン。
【請求項2】
前記少なくとも1つの抗原性ポリペプチドが、糖タンパク質Gまたはその免疫原性断片である、請求項1に記載のRSVワクチン。
【請求項3】
前記少なくとも1つの抗原性ポリペプチドが、糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片である、請求項1に記載のRSVワクチン。
【請求項4】
アジュバントを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項5】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25及び27からなる群から選択される少なくとも1つの核酸配列によってコードされ、かつ/または前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号260~280のうちのいずれかの少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項1に記載のRSVワクチン。
【請求項6】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25及び27からなる群から選択される核酸配列の少なくとも1つの断片によってコードされ、かつ/または前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号260~280のうちのいずれかの核酸配列の少なくとも1つの断片を含む、請求項1に記載のRSVワクチン。
【請求項7】
前記RSV抗原性ポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列である、請求項1に記載のRSVワクチン。
【請求項8】
前記オープンリーディングフロムがコドン最適化された、請求項1~7のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項9】
多価である、請求項1~8のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項10】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが少なくとも2つの抗原性ポリペプチドをコードする、請求項1~9のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項11】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが少なくとも10の抗原性ポリペプチドをコードする、請求項10に記載のRSVワクチン。
【請求項12】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが少なくとも100の抗原性ポリペプチドをコードする、請求項11に記載のRSVワクチン。
【請求項13】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが2~100の抗原性ポリペプチドをコードする、請求項1~9のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項14】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、少なくとも1つの化学修飾を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項15】
前記化学修飾が、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、N1-エチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メトキシウリジン及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される、請求項14に記載のRSVワクチン。
【請求項16】
ナノ粒子中に製剤化された、請求項1~15のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項17】
前記ナノ粒子が50~200nmの平均直径を有する、請求項16に記載のRSVワクチン。
【請求項18】
前記ナノ粒子が脂質ナノ粒子である、請求項16または17に記載のRSVワクチン。
【請求項19】
前記脂質ナノ粒子が、カチオン性脂質と、PEG修飾脂質と、ステロールと、非カチオン性脂質とを含む、請求項18に記載のRSVワクチン。
【請求項20】
前記カチオン性脂質がイオン性カチオン性脂質であり、前記非カチオン性脂質が中性脂質であり、前記ステロールがコレステロールである、請求項19に記載のRSVワクチン。
【請求項21】
前記カチオン性脂質が、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される、請求項20に記載のRSVワクチン。
【請求項22】
前記ナノ粒子が、0.4未満の多分散値を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項23】
前記ナノ粒子が、中性のpH値で中性の正味電荷を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項24】
少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームと、少なくとも1つの5’末端キャップと、少なくとも1つの化学修飾とを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含み、脂質ナノ粒子内に製剤化された、RSVワクチン。
【請求項25】
前記5’末端キャップが7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpである、請求項24に記載のRSVワクチン。
【請求項26】
前記少なくとも1つの化学修飾が、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、N1-エチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、5-メチルウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メトキシウリジン及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される、請求項24または25に記載のRSVワクチン。
【請求項27】
前記脂質ナノ粒子が、カチオン性脂質と、PEG修飾脂質と、ステロールと、非カチオン性脂質とを含む、請求項16~26のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項28】
前記カチオン性脂質がイオン性カチオン性脂質であり、前記非カチオン性脂質が中性脂質であり、前記ステロールがコレステロールである、請求項27に記載のRSVワクチン。
【請求項29】
前記カチオン性脂質が、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される、請求項28に記載のRSVワクチン。
【請求項30】
少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含み、前記オープンリーディングフレーム中のウラシルの少なくとも80%が化学修飾を有する、RSVワクチン。
【請求項31】
前記オープンリーディングフレーム中の前記ウラシルの100%が化学修飾を有する、請求項30に記載のRSVワクチン。
【請求項32】
前記化学修飾が前記ウラシルの5位にある、請求項30または31に記載のRSVワクチン。
【請求項33】
前記化学修飾がN1-メチルプソイドウリジンである、請求項30~32のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項34】
脂質ナノ粒子中に製剤化された、請求項30~33のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項35】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法であって、請求項1~34のいずれか一項に記載のRSVワクチンを、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
前記抗原特異的免疫応答がT細胞応答を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗原特異的免疫応答がB細胞応答を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
抗原特異的免疫応答を誘導する前記方法が、RSVワクチンの単回投与を伴う、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ワクチンのブースター用量を投与することを更に含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ワクチンが、皮内注射または筋肉注射によって前記対象に投与される、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法にて使用するための請求項1~34のいずれか一項に記載のRSVワクチンであって、前記方法は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で前記RSVワクチンを前記対象に投与することを含む、前記RSVワクチン。
【請求項42】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法にて使用するための薬剤の製造における請求項1~34のいずれか一項に記載のRSVワクチンであって、前記方法は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で前記RSVワクチンを前記対象に投与することを含む、前記RSVワクチン。
【請求項43】
前記糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片が、融合前のコンフォメーションを維持するように設計されている、請求項3に記載のRSVワクチン。
【請求項44】
対象において抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で製剤化された、請求項1~34のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項45】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも1log増加する、請求項44に記載のRSVワクチン。
【請求項46】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、1~3log増加する、請求項45に記載のRSVワクチン。
【請求項47】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも2倍増加する、請求項44に記載のRSVワクチン。
【請求項48】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも5倍増加する、請求項47に記載のRSVワクチン。
【請求項49】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも10倍増加する、請求項48に記載のRSVワクチン。
【請求項50】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、2~10倍増加する、請求項47に記載のRSVワクチン。
【請求項51】
前記対照が、RSVワクチンの投与を受けたことがない対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項44~50のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項52】
前記対照が、弱毒化生RSVワクチンまたは不活化RSVワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項44~50のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項53】
前記対照が、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項44~50のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項54】
前記対照が、RSVウイルス様粒子(VLP)ワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項44~50のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項55】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/2に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項44~54のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項56】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/4に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項55に記載のRSVワクチン。
【請求項57】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/10に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項56に記載のRSVワクチン。
【請求項58】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/100に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項57に記載のRSVワクチン。
【請求項59】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/1000に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項58に記載のRSVワクチン。
【請求項60】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2~1/1000に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項55に記載のRSVワクチン。
【請求項61】
前記有効量が、25~1000μgまたは50~1000μgの総用量である、請求項44~60のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項62】
前記有効量が、100μgの総用量である、請求項61に記載のRSVワクチン。
【請求項63】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、25μgの用量である、請求項61に記載のRSVワクチン。
【請求項64】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、100μgの用量である、請求項61に記載のRSVワクチン。
【請求項65】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、400μgの用量である、請求項61に記載のRSVワクチン。
【請求項66】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、500μgの用量である、請求項61に記載のRSVワクチン。
【請求項67】
前記RSVワクチンの前記有効量が、対照と比較して、5~200倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項44~66のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項68】
前記RSVワクチンの単回用量が、対照と比較して、約2~10倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項67に記載のRSVワクチン。
【請求項69】
前記RSVワクチンの単回用量が、対照と比較して、約5倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項68に記載のRSVワクチン。
【請求項70】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも1log増加する、請求項35に記載の方法。
【請求項71】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、1~3log増加する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも2倍増加する、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも5倍増加する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、少なくとも10倍増加する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価が、対照と比較して、2~10倍増加する、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記対照が、RSVワクチンの投与を受けたことがない対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記対照が、弱毒化生RSVワクチンまたは不活化RSVワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項70~75のいずれか一項に記載方法。
【請求項78】
前記対照が、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記対照が、RSV VLPワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/2に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/4に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/10に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/100に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/1000に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記有効量が、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2~1/1000に減らした用量と同等の用量であり、前記対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記有効量が50~1000μgの総用量である、請求項70~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記有効量が100μgの総用量である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、25μgの用量である、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、100μgの用量である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、400μgの用量である、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記有効量が、前記対象に合計2回投与される、500μgの用量である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が60%を超える、請求項70~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が65%を超える、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が70%を超える、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が75%を超える、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が80%を超える、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が85%を超える、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
RSVに対する前記ワクチンの有効性が90%を超える、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ワクチンが、最大1年間または最大2年間、RSVに対して前記対象を免疫にする、請求項70~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記ワクチンが、2年を超える間、RSVに対して前記対象を免疫にする、請求項70~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記ワクチンが、3年を超える間、RSVに対して前記対象を免疫にする、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記ワクチンが、4年を超える間、RSVに対して前記対象を免疫にする、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ワクチンが、5~10年間、RSVに対して前記対象を免疫にする、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記対象が約5歳以下であるか、前記対象が約1歳~約5歳の間の年齢であるか、前記対象が約6ヶ月~約1歳の間の年齢であるか、前記対象が約6ヶ月以下であるか、前記対象が約12ヶ月以下である、請求項70~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記対象が、約60歳、約70歳またはそれ以上の年齢の高齢者対象である、請求項70~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記対象が、約20歳~約50歳の間の年齢の若年成人である、請求項70~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象が、正期産で生まれている、請求項70~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記対象が妊娠約36週より前の早産で生まれたか、前記対象が妊娠約32週より前に早産で生まれたか、前記対象が妊娠約32週~約36週の間の早産で生まれている、請求項70~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記対象が妊娠している、請求項70~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記対象が、慢性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息)を有する、請求項70~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記対象がRSVに曝露したことがある、前記対象がRSVに感染している、または前記対象がRSVによる感染リスクがある、請求項70~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記対象が免疫不全状態である、請求項70~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記RSVワクチンの第2の用量(ブースター用量)及び任意選択により第3の用量を投与することを更に含む、請求項70~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記RSVワクチンの前記有効量が、対照と比較して、5~200倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項70~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記RSVワクチンの単回用量が、対照と比較して、約2~10倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドに連結されたシグナルペプチドを含む、RSVワクチン。
【請求項117】
前記抗原性ポリペプチドが、融合(F)糖タンパク質もしくはその免疫原性断片、吸着(G)タンパク質もしくはその免疫原性断片、核タンパク質(N)もしくはその免疫原性断片、リンタンパク質(P)もしくはその免疫原性断片、大型ポリメラーゼタンパク質(L)もしくはその免疫原性断片、マトリックスタンパク質(M)もしくはその免疫原性断片、小型疎水性タンパク質(SH)もしくはその免疫原性断片、非構造タンパク質1(NS1)もしくはその免疫原性断片、または非構造タンパク質2(NS2)及びその免疫原性断片である、請求項116に記載のRSVワクチン。
【請求項118】
前記シグナルペプチドが、IgEシグナルペプチドまたはIgGκシグナルペプチドである、請求項116または117に記載のRSVワクチン。
【請求項119】
前記IgEシグナルペプチドがIgE HC(Ig重鎖ε-1)シグナルペプチドである、請求項118に記載のRSVワクチン。
【請求項120】
前記IgE HCシグナルペプチドが配列MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号281)を有する、請求項119に記載のRSVワクチン。
【請求項121】
前記IgGκシグナルペプチドが配列METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号282)を有する、請求項118に記載のRSVワクチン。
【請求項122】
前記シグナルペプチドが、日本脳炎PRMシグナル配列(MLGSNSGQRVVFTILLLLVAPAYS、配列番号283)、VSVgタンパク質シグナル配列(MKCLLYLAFLFIGVNCA、配列番号284)、日本脳炎JEVシグナル配列(MWLVSLAIVTACAGA、配列番号285)及びMELLILKANAITTILTAVTFC(配列番号289)から選択される、請求項116~119のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項123】
請求項116~122のいずれか一項に記載のRSVワクチンをコードする核酸。
【請求項124】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ペプチドに連結されたシグナルペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチン。
【請求項125】
前記RSV抗原性ペプチドが、RSV吸着タンパク質(G)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項126】
前記RSV抗原性ペプチドが、RSV融合(F)糖タンパク質またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項127】
前記RSV抗原性ペプチドが、核タンパク質(N)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項128】
前記RSV抗原性ペプチドが、リンタンパク質(P)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項129】
前記RSV抗原性ペプチドが、大型ポリメラーゼタンパク質(L)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項130】
前記RSV抗原性ペプチドが、マトリックスタンパク質(M)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項131】
前記RSV抗原性ペプチドが、小型疎水性のタンパク質(SH)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項132】
前記RSV抗原性ペプチドが、非構造タンパク質1(NS1)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項133】
前記RSV抗原性ペプチドが、非構造タンパク質2(NS2)またはその免疫原性断片である、請求項124に記載のRSVワクチン。
【請求項134】
前記シグナルペプチドが、IgEシグナルペプチドまたはIgGκシグナルペプチドである、請求項124~133のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項135】
前記IgEシグナルペプチドがIgE HC(Ig重鎖ε-1)シグナルペプチドである、請求項134に記載のRSVワクチン。
【請求項136】
前記IgE HCシグナルペプチドが配列MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号281)を有する、請求項135に記載のRSVワクチン。
【請求項137】
前記IgGκシグナルペプチドが配列METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号282)を有する、請求項134に記載のRSVワクチン。
【請求項138】
前記シグナルペプチドが、日本脳炎PRMシグナル配列(MLGSNSGQRVVFTILLLLVAPAYS、配列番号283)、VSVgタンパク質シグナル配列(MKCLLYLAFLFIGVNCA、配列番号284)及び日本脳炎JEVシグナル配列(MWLVSLAIVTACAGA、配列番号285)から選択される、請求項124~137のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項139】
膜結合呼吸器合胞体ウイルス(RSV)Fタンパク質、膜結合DS-Cav1(安定した融合前のRSV Fタンパク質)または膜結合RSV Fタンパク質と膜結合DS-Cav1の組み合わせをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む、RSVワクチン。
【請求項140】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号5に記載される配列を含む、請求項139に記載のRSVワクチン。
【請求項141】
前記少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドが、配列番号7、257、258または259に記載される配列を含む、請求項139または140に記載のRSVワクチン。
【請求項142】
前記RSVワクチンの単回用量が、対照と比較して、2~10倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項139~141のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項143】
前記RSVワクチンの単回用量が、対照と比較して、約5倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす、請求項142に記載のRSVワクチン。
【請求項144】
前記血清中和抗体がRSV A及び/またはRSV Bに対するものである、請求項142または143に記載のRSVワクチン。
【請求項145】
MC3脂質ナノ粒子中に製剤化された、請求項139~144のいずれか一項に記載のRSVワクチン。
【請求項146】
対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法であって、請求項139~145のいずれか一項に記載のRSVワクチンを、対象において抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項147】
前記RSVワクチンのブースター用量を投与することを更に含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記RSVワクチンの第2のブースター用量を投与することを更に含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
5’末端キャップと、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームと、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチン。
【請求項150】
前記少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号5によって特定される配列によってコードされる、請求項149に記載のワクチン。
【請求項151】
前記少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号262によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項152】
前記少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号6によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項153】
前記少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号290によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項154】
前記mRNAポリヌクレオチドが、配列番号7によって特定される配列によってコードされる、請求項149に記載のワクチン。
【請求項155】
前記mRNAポリヌクレオチドが、配列番号263によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項156】
前記少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号8によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項157】
前記少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号291によって特定される配列を含む、請求項149に記載のワクチン。
【請求項158】
前記5’末端キャップが、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpであるか、これを含む、請求項149~157のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項159】
前記オープンリーディングフレーム中のウラシルの100%が、前記ウラシルの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾されている、請求項149~158のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項160】
DLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む、脂質ナノ粒子中に製剤化された、請求項149~159のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項161】
前記脂質ナノ粒子が、クエン酸三ナトリウム緩衝液、スクロース及び水を更に含む、請求項160に記載のワクチン。
【請求項162】
5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号262によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、DLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化され、前記配列番号262によって特定される配列のウラシルヌクレオチドが、前記ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾されている、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【請求項163】
5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号263によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、DLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化され、前記配列番号263によって特定される配列のウラシルヌクレオチドが、前記ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾されている、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【請求項164】
対象のワクチン接種に使用するための医薬組成物であって、
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原をコードするmRNAを有効量で含み、
前記有効量は、投与後1~72時間に前記対象の血清中で測定したときに検出可能な抗原レベルをもたらすのに十分なものである、前記医薬組成物。
【請求項165】
前記抗原のカットオフ指数が1~2である、請求項164に記載の組成物。
【請求項166】
対象のワクチン接種に使用するための医薬組成物であって、
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原をコードするmRNAを有効量で含み、
前記有効量は、投与後1~72時間に前記対象の血清中で測定したときに、前記抗原に対する中和抗体によってもたらされる1,000~10,000の中和力価をもたらすのに十分なものである前記医薬組成物。
【請求項167】
7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpである5’末端キャップと、配列番号260~280のうちのいずれか1つによって特定される配列と、3’ポリAテールとを含む少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2015年10月22日に出願された米国特許仮出願第62/245,208号、2015年10月28日に出願された米国特許仮出願第62/247,563号、及び2015年10月29日に出願された米国特許仮出願第62/248,250号の利益を主張するものであり、各出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。本出願はまた、米国特許法第119条(e)に基づき、2015年10月22日に出願された米国特許仮出願第62/245,031号の利益を主張するものであり、当該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、Paramyxoviridae科Pneumovirinae属に属する一本鎖マイナスセンスRNAウイルスである。成人における症状は、典型的に副鼻腔感染症または感冒に似ているが、この感染症には症状がないこともある。高齢の成人(例えば、60歳超)において、RSV感染症は、細気管支炎または肺炎に進行し得る。子供における症状は、多くの場合、より深刻であり、細気管支炎及び肺炎が含まれる。米国では、ほとんどの子供が3歳までにRSVに感染すると推定されている。RSVビリオンは、核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)及び大型ポリメラーゼタンパク質(L)に結合したウイルスRNAからなる内部ヌクレオカプシドから構成される。ヌクレオカプシドは、マトリックスタンパク質(M)に取り囲まれ、ウイルス融合(F)タンパク質及び吸着(G)タンパク質ならびに小型疎水性タンパク質(SH)が組み込まれた脂質二重層に内包されている。ウイルスゲノムはまた、I型インターフェロン活性を阻害する2つの非構造タンパク質(NS1及びNS2)及びM2タンパク質をコードしている。
【0003】
デオキシリボ核酸(DNA)ワクチン接種は、RSV抗原などの外来抗原に対する体液性及び細胞性免疫応答を刺激するために使用される1つの技術である。遺伝子操作されたDNA(例えば、ネイキッドプラスミドDNA)を生きている宿主に直接注入すると、宿主細胞うちの少数が抗原を直接産生し、その結果、防御免疫応答が生じる。しかしながら、この技術では、癌遺伝子の活性化または癌抑制遺伝子の抑制を引き起こし得る挿入突然変異誘発の可能性を含む、潜在的な問題が生じる。
【発明の概要】
【0004】
本開示のRNAワクチンを使用すると、例えば、挿入突然変異誘発の可能性というリスクを負うことなく、RSVに対して、細胞性免疫と体液性免疫の両方を含むバランスの取れた免疫応答を誘導することができる。
【0005】
RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、感染症の罹患率またはアンメットメディカルニーズの程度もしくはレベルに応じて、様々な環境で利用することができる。RNAワクチンは、RSVの様々な遺伝子型、菌株及び分離株による感染を治療及び/または予防するために利用することができる。本明細書で提供されるRNAワクチンは、市販の抗ウイルス治療法と比べて、抗体力価がより大きく、より早い応答をもたらす点で、優れた特性を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示のRNAワクチンは、RNAワクチンが天然の細胞機構を利用することから、翻訳の際に適切なタンパク質コンフォメーションを生じるように良好に設計されると考えられる。ex vivoで製造され、望ましくない細胞性応答を惹起し得る従来型ワクチンとは異なり、本明細書で提供されるRNAワクチンは、より自然な方法で、細胞系にもたらされる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、(i)少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片(例えば、RSVに対する免疫応答を惹起することができる免疫原性断片)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、(ii)薬学的に許容される担体とを含む、RSVワクチンを提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗原性ポリペプチドは、糖タンパク質Gまたはその免疫原性断片である。
【0009】
いくつかの実施形態において、抗原性ポリペプチドは、糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片である。
【0010】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、糖タンパク質Fであり、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、G、M、N、P、L、SH、M2、NS1及びNS2から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、糖タンパク質Fであり、少なくとも2つの抗原性ポリペプチドは、G、M、N、P、L、SH、M2、NS1及びNS2から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、アジュバントを更に含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される核酸配列と少なくとも80%の同一性を有するホモログによってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される核酸配列と少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.8%または99.9%)の同一性を有するホモログによってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258または259に記載される核酸配列の少なくとも1つの断片(例えば、少なくとも1つの抗原性配列または少なくとも1つのエピトープを有する断片)によってコードされる。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号260~280のうちのいずれかに記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号260~280のうちのいずれかに記載される核酸配列と少なくとも80%の同一性を有するホモログを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号260~280のうちのいずれかに記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号260~280のうちのいずれかに記載される核酸配列と少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.8%または99.9%)の同一性を有するホモログを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号260~280のうちのいずれかに記載される核酸配列の少なくとも1つの断片(例えば、少なくとも1つの抗原性配列または少なくとも1つのエピトープを有する断片)を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3または配列番号4に記載されるアミノ酸配列であるか、その断片であるか、当該配列に対して少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%、99%)の同一性を有するホモログである。
【0016】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、243または245に記載されるアミノ酸配列であるか、その断片であるか、当該配列に対して少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%、99%)の同一性を有するホモログである。
【0017】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも96%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列に対して95~99%の同一性を有し、かつ膜融合活性を有する、抗原性ポリペプチドをコードする。
【0018】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードしており、コドン最適化されたmRNAである。
【0019】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードし、(対応する)野生型mRNA配列に対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードし、野生型mRNA配列に対して75%、85%または95%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードし、野生型mRNA配列に対して30~80%、40~80%、50~80%、60~80%、70~80%、75~80%または78~80%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードし、野生型mRNA配列に対して30~85%、40~85%、50~85%、60~85%、70~85%、75~85%または80~85%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有する抗原性ポリペプチドをコードし、野生型mRNA配列に対して30~90%、40~90%、50~90%、60~90%、70~90%、75~90%、80~90%または85~90%の同一性を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸(例えば、DNA)によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも96%の同一性を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも98%の同一性を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、本開示の核酸配列に対して95~99%の同一性を有する核酸によってコードされる。
【0021】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドは、本開示の配列を有する核酸によってコードされ、野生型mRNA配列に対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドは、本開示の配列を有する核酸によってコードされ、野生型mRNA配列に対して75%、85%または95%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドは、本開示の配列を有する核酸によってコードされ、野生型mRNA配列に対して30~80%、40~80%、50~80%、60~80%、70~80%、75~80%または78~80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドは、本開示の配列を有する核酸によってコードされ、野生型mRNA配列に対して30~85%、40~85%、50~85%、60~85%、70~85%、75~85%または80~85%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドは、本開示の配列を有する核酸によってコードされ、野生型mRNA配列に対して30~90%、40~90%、50~90%、60~90%、70~90%、75~90%、80~90%または85~90%未満の同一性を有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、本開示のアミノ酸配列を有し、かつ野生型mRNA配列に対して少なくとも80%の同一性を有する抗原性ポリペプチドをコードするが、野生型mRNA配列を含まない。
【0023】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該RNAポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該RNAポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾及び少なくとも1つの5’末端キャップを有し、当該RSVワクチンは、脂質ナノ粒子内に製剤化される。
【0025】
いくつかの実施形態において、5’末端キャップは、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpである。
【0026】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾は、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、N1-エチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メトキシウリジン及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質と、PEG修飾脂質と、ステロールと、非カチオン性脂質とを含む。いくつかの実施形態において、カチオン性脂質はイオン性カチオン性脂質であり、非カチオン性脂質は中性脂質であり、ステロールはコレステロールである。いくつかの実施形態において、カチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態において、脂質は、
【化1】
である。
【0029】
いくつかの実施形態において、脂質は、
【化2】
である。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含み、オープンリーディングフレーム中のウラシルの少なくとも80%は化学修飾を有し、任意選択により、脂質ナノ粒子内に製剤化される、RSVワクチンを提供する。
【0031】
いくつかの実施形態において、オープンリーディングフレーム中のウラシルの100%が化学修飾を有する。いくつかの実施形態において、化学修飾は、ウラシルの5位にある。いくつかの実施形態において、化学修飾は、N1-メチルプソイドウリジンである。いくつかの実施形態において、化学修飾は、ウラシルの5位にあるN1-メチルプソイドウリジンである。いくつかの実施形態において、オープンリーディングフレーム中のウラシルの100%がN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾される。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量でRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを対象に投与することを含む、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗原特異的免疫応答は、T細胞もしくはB細胞の応答またはその両方を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、抗原特異的免疫応答をもたらす方法は、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの単回投与を伴う。いくつかの実施形態において、方法は、ブースター用量のRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを対象に投与することを更に含む。本発明によるブースターワクチンは、本明細書で開示される任意のRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを含み得、最初に投与されるRSV RNAワクチンと同じであり得る。いくつかの実施形態において、同じRSV RNAワクチンがRSVのシーズンごとに毎年投与される。
【0035】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、皮内、鼻腔内または筋肉注射によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、筋肉注射によって対象に投与される。
【0036】
また、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法にて使用するためのRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンが本明細書で提供され、この方法は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量でRSVワクチンを対象に投与することを含む。
【0037】
更に、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法にて使用するための薬剤の製造におけるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの使用が本明細書で提供され、この方法は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量でRSVワクチンを対象に投与することを含む。
【0038】
本開示のいくつかの態様は、対象において抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で製剤化されたRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを提供する。
【0039】
本開示の他の態様は、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、対象において抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で本明細書に記載されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを対象に投与することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも1log増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、1~3log増加する。
【0041】
いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、2~10倍増加する。
【0042】
いくつかの実施形態において、対照は、RSVワクチンの投与を受けたことがない対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、弱毒化生RSVワクチンまたは不活化RSVワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、RSVウイルス様粒子(VLP)ワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。
【0043】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/2に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0044】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/4に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0045】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/10に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0046】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/100に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0047】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/1000に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0048】
いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2~1/1000に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0049】
いくつかの実施形態において、有効量は、25μg~1000μg、または50μg~1000μg、または25~200μgの総用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、50μg、100μg、200μg、400μg、800μgまたは1000μgの総用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、25μgの用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、50μgの用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、100μgの用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、200μgの用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、400μgの用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、500μgの用量である。
【0050】
いくつかの実施形態において、対象に投与される有効量は、50μg~1000μgの総用量(RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン)である。
【0051】
いくつかの実施形態において、RSVに対するRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効性(または有効率)は、60%超である。
【0052】
ワクチン有効性は、標準的な分析を使用して評価することができる(例えば、Weinberg et al.,J Infect Dis.2010 Jun 1;201(11):1607-10参照)。例えば、ワクチン有効性は、二重盲検無作為化比較臨床試験によって決定することができる。ワクチン有効性は、非接種者(ARU)と接種者(ARV)の試験コホート間の罹患率(AR)の比例的低下で表すことができ、次式を使用して、接種者群における疾患の相対危険度(RR)から算出することができる。
有効性=(ARU-ARV)/ARU×100、及び
有効性=(1-RR)×100
【0053】
同様に、ワクチン有効率は、標準的な分析を使用して評価することができる(例えば、Weinberg et al.,J Infect Dis.2010 Jun 1;201(11):1607-10参照)。ワクチン有効率は、ワクチン(ワクチンの有効性の高さが既に証明されている場合もある)が集団においてどの程度疾患を低下させるかの評価である。この尺度は、ワクチン自体だけではなく、予防接種プログラムの利点と有害作用の正味のバランスを比較臨床試験よりも自然な条件下で評価することができる。ワクチン有効率は、ワクチン有効性(効力)に比例するが、集団中の標的群がどの程度良好に免疫化されているかということに影響され、また、入院、外来診察または費用の「実際の」結果に影響を与える他の非ワクチン関連因子にも影響される。例えば、一連の感染症例と適切な対照との間の接種率を比較する、後ろ向き症例対照分析を使用することができる。ワクチン有効率は、ワクチン接種を受けたにもかかわらず感染症を発症したオッズ比(OR)を使用した率差として表すことができる。
有効率=(1-OR)×100
【0054】
いくつかの実施形態において、RSVに対するRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効性(または有効率)は、65%超である。いくつかの実施形態において、RSVに対するワクチンの有効性(または有効率)は、70%超である。いくつかの実施形態において、RSVに対するワクチンの有効性(または有効率)は、75%超である。いくつかの実施形態において、RSVに対するワクチンの有効性(または有効率)は、80%超である。いくつかの実施形態において、RSVに対するワクチンの有効性(または有効率)は、85%超である。いくつかの実施形態において、RSVに対するワクチンの有効性(または有効率)は、90%超である。
【0055】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、1年まで(例えば、1回のRSVシーズンの間)、対象をRSVに対して免疫にする。いくつかの実施形態において、ワクチンは、最大2年間、対象をRSVに対して免疫にする。いくつかの実施形態において、ワクチンは、2年を超える間、対象をRSVに対して免疫にする。いくつかの実施形態において、ワクチンは、3年を超える間、対象をRSVに対して免疫にする。いくつかの実施形態において、ワクチンは、4年を超える間、対象をRSVに対して免疫にする。いくつかの実施形態において、ワクチンは、5~10年間、対象をRSVに対して免疫にする。
【0056】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの投与を受ける対象は、約5歳以下であるか、約1歳~約5歳の間の年齢(例えば、約1、2、3、4、5または6歳)であるか、約6ヶ月~約1歳の間の年齢(例えば、約6、7、8、9、10、11または12ヶ月)であるか、約6ヶ月以下であるか、約12ヶ月以下(例えば、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2ヶ月または1ヶ月)である。いくつかの実施形態において、対象は、正期産(例えば、約37~42週)で生まれている。いくつかの実施形態において、対象は、妊娠約36週より前(例えば、約36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26または25週)の早産で生まれたか、対象は、妊娠約32週より前に早産で生まれたか、対象は、妊娠約32週~約36週の間の早産で生まれている。
【0057】
いくつかの実施形態において、対象は、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの投与を受けるとき、妊娠している(例えば、第1期、第2期、第3期)。RSVは、主に乳幼児において、下気道の感染症を引き起こす。RSV関連死の1/3が生後1年で発生し、これらの死亡例の99%が低資源国で生じている。米国では極めて一般的であるため、ほぼ全ての子供が2歳の誕生日を迎える前にこのウイルスに感染する。したがって、本開示は、RSVに対する母子感染予防を改善する母体免疫化のためのRSVワクチンを提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、対象は、慢性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息)を有する。COPDには、粘液性の長期咳嗽を伴う慢性気管支炎、及び経時的な肺への損傷を伴う肺気腫の2つの形態がある。したがって、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの投与を受ける対象は、慢性気管支炎または肺気腫を有し得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、対象は、RSVに曝露したことがある、RSVに感染しいる、またはRSVによる感染のリスクがある。
【0060】
いくつかの実施形態において、対象は、免疫不全状態である(免疫系の障害、例えば、免疫系疾患または自己免疫疾患がある)。
【0061】
いくつかの実施形態において、対象は、約60歳、約70歳またはそれ以上の年齢(例えば、約60、65、70、75、80、85または90歳)の高齢者対象である。
【0062】
いくつかの実施形態において、対象は、約20歳~約50歳の間の年齢(例えば、約20、25、30、35、40、45または50歳)の若年成人である。
【0063】
本開示のいくつかの態様は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドに連結されたシグナルペプチドを含有するRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを提供する。したがって、いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、RSV抗原性ペプチドに連結されたシグナルペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含有する。また、本明細書で開示されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンをコードする核酸も本明細書で提供される。
【0064】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、RSV吸着タンパク質(G)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、RSV融合(F)糖タンパク質またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、核タンパク質(N)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、リンタンパク質(P)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、大型ポリメラーゼタンパク質(L)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、マトリックスタンパク質(M)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、小型疎水性タンパク質(SH)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、非構造タンパク質1(NS1)またはその免疫原性断片である。いくつかの実施形態において、RSV抗原性ペプチドは、非構造タンパク質2(NS2)またはその免疫原性断片である。
【0065】
いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、IgEシグナルペプチドである。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、IgE HC(Ig重鎖ε-1)シグナルペプチドである。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、配列MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号281)を有する。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、IgGκシグナルペプチドである。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、配列METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号282)を有する。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、配列TGGAGACTCCCGCTCAGCTGCTGTTTTTGCTCCTCCTATGGCTGCCGGATACCACCGGC(配列番号287)またはAUGGAGACUCCCGCUCAGCUGCUGUUUUUGCUCCUCCUAUGGCUGCCGGAUACCACCGGC(配列番号288)によってコードされる。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、日本脳炎PRMシグナル配列(MLGSNSGQRVVFTILLLLVAPAYS、配列番号283)、VSVgタンパク質シグナル配列(MKCLLYLAFLFIGVNCA、配列番号284)及び日本脳炎JEVシグナル配列(MWLVSLAIVTACAGA、配列番号285)から選択される。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、MELLILKANAITTILTAVTFC(配列番号289)である。
【0066】
また、膜結合呼吸器合胞体ウイルス(RSV)Fタンパク質、膜結合DS-Cav1(安定した融合前のRSV Fタンパク質)または膜結合RSV Fタンパク質と膜結合DS-Cav1の組み合わせをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む、RSVワクチンが本明細書で提供される。
【0067】
いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、配列番号5の配列及び/または配列番号7の配列を含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量(例えば、RSVワクチンの単回用量)は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、2倍~200倍(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200倍)のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの単回用量は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、約5倍、50倍または150倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの単回用量は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、約2倍~10倍または約40~60倍のRSVに対する血清中和抗体の増加をもたらす。
【0069】
いくつかの実施形態において、血清中和抗体は、RSV A及び/またはRSV Bに対するものである。
【0070】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化される(例えば、米国特許出願公開第2013/0245107A1号及び国際出願第WO2010/054401号参照)。
【0071】
また、対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法が本明細書で提供され、この方法は、対象において抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効な量で、膜結合RSV Fタンパク質、膜結合DS-Cav1(安定した融合前のRSV Fタンパク質)または膜結合RSV Fタンパク質と膜結合DS-Cav1の組み合わせをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを対象に投与することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、方法は、ブースター用量のRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、第2のブースター用量のRSVワクチンを投与することを更に含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンRNA(例えば、mRNA)の有効性は、フラジェリンアジュバントと組み合わされたとき、特に、1つ以上の抗原をコードするmRNAが、フラジェリンをコードするmRNAと組み合わされたとき、著しく向上し得る。
【0074】
フラジェリンアジュバント(例えば、mRNAコード化フラジェリンアジュバント)と組み合わされたRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、市販のワクチン製剤と比べて、抗体力価がより大きく、より早い応答をもたらし得る点で、優れた特性を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、RNAワクチン、例えば、mRNAポリヌクレオチドなどは、RNA(例えば、mRNA)ワクチンが天然の細胞機構を利用することから、翻訳の際に抗原及びアジュバントの両方にとって適切なタンパク質コンフォメーションを生じるように良好に設計されると考えられる。ex vivoで製造され、望ましくない細胞性応答を惹起し得る従来型ワクチンとは異なり、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、より自然な方法で、細胞系にもたらされる。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片(例えば、抗原性ポリペプチドに対する免疫応答を誘導することができる免疫原性断片)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドと、フラジェリンアジュバントをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNAポリヌクレオチド)とを含む、RNA(例えば、mRNA)ワクチンを提供する。
【0076】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのフラジェリンポリペプチド(例えば、コードされたフラジェリンポリペプチド)は、フラジェリンタンパク質である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのフラジェリンポリペプチド(例えば、コードされたフラジェリンポリペプチド)は、免疫原性フラジェリン断片である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのフラジェリンポリペプチド及び少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、単一のRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドによってコードされる。他の実施形態において、少なくとも1つのフラジェリンポリペプチド及び少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、異なるRNAポリヌクレオチドによってそれぞれコードされる。
【0077】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのフラジェリンポリペプチドは、配列番号173~175の配列を有するフラジェリンポリペプチドに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸ワクチンは、化学修飾されている。他の実施形態において、核酸ワクチンは、修飾されていない。
【0079】
更に他の態様は、第1の呼吸器ウイルス抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンを対象に投与することを含み、当該RNAポリヌクレオチドは、安定化要素を含まず、ワクチンにアジュバントが共配合または共投与されない、対象にワクチン接種を行うための組成物及びその方法を提供する。
【0080】
他の態様において、本発明は、第1のウイルス抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンを対象に投与することを含み、10μg/kg~400μg/kgの用量の核酸ワクチンが対象に投与される、対象にワクチン接種を行うための組成物及びその方法である。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドの用量は、1~5μg、5~10μg、10~15μg、15~20μg、10~25μg、20~25μg、20~50μg、30~50μg、40~50μg、40~60μg、60~80μg、60~100μg、50~100μg、80~120μg、40~120μg、40~150μg、50~150μg、50~200μg、80~200μg、100~200μg、120~250μg、150~250μg、180~280μg、200~300μg、50~300μg、80~300μg、100~300μg、40~300μg、50~350μg、100~350μg、200~350μg、300~350μg、320~400μg、40~380μg、40~100μg、100~400μg、200~400μgまたは300~400μg/用量である。いくつかの実施形態において、核酸ワクチンは、皮内注射または筋肉注射によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、核酸ワクチンは、0日目に対象に投与される。いくつかの実施形態において、第2の用量の核酸ワクチンが21日目に対象に投与される。
【0081】
いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、25μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、100μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、50μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、75μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、150μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、400μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、対象に投与される核酸ワクチン中には、200μgの用量のRNAポリヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、遠位リンパ節と比較して、局所リンパ節において、100倍高いレベルで蓄積する。他の実施形態において、核酸ワクチンは、化学修飾されており、他の実施形態において、核酸ワクチンは、化学修飾されていない。
【0082】
本発明の態様は、第1の抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンであって、当該RNAポリヌクレオチドは、安定化要素及び薬学的に許容される担体または賦形剤を含まず、アジュバントがワクチン中に含まれない、核酸ワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、安定化要素は、ヒストンステムループである。いくつかの実施形態において、安定化要素は、野生型配列と比較してGC含量の多い核酸配列である。
【0083】
本発明の態様は、第1の抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンであって、当該RNAポリヌクレオチドは、ヒト対象に許容されるパーセンテージで第1の抗原に対する抗体保有基準を上回る抗体力価を付与する、宿主へのin vivo投与用の製剤中に存在する、核酸ワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のmRNAワクチンによって産生される抗体の力価は、中和抗体の力価である。いくつかの実施形態において、中和抗体の力価は、タンパク質ワクチンよりも大きい。他の実施形態において、本発明のmRNAワクチンによって産生される中和抗体の力価は、アジュバント添加タンパク質ワクチンよりも大きい。更に他の実施形態において、本発明のmRNAワクチンによって産生される中和抗体の力価は、1,000~10,000、1,200~10,000、1,400~10,000、1,500~10,000、1,000~5,000、1,000~4,000、1,800~10,000、2000~10,000、2,000~5,000、2,000~3,000、2,000~4,000、3,000~5,000、3,000~4,000または2,000~2,500である。中和力価は、典型的に、プラーク数の50%減少を達成するのに必要な最大血清希釈として表される。
【0084】
また、第1の抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンであって、当該RNAポリヌクレオチドは、安定化要素を有するか、アジュバントとともに製剤化された第1の抗原性ポリペプチドをコードするmRNAワクチンによって誘発される抗体力価よりも長く持続する高い抗体力価を誘発する、宿主へのin vivo投与用の製剤中に存在する、核酸ワクチンが提供される。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、単回投与後1週間以内に中和抗体を産生するように製剤化される。いくつかの実施形態において、アジュバントは、カチオン性ペプチド及び免疫活性化核酸から選択される。いくつかの実施形態において、カチオン性ペプチドは、プロタミンである。
【0085】
いくつかの態様は、少なくとも1つの化学修飾を含むか、任意選択によりヌクレオチド修飾を含まないオープンリーディングフレームを有し、当該オープンリーディングフレームは第1の抗原性ポリペプチドをコードする、1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む、核酸ワクチンであって、当該RNAポリヌクレオチドは、宿主の抗原発現レベルが、安定化要素を有するか、アジュバントとともに製剤化された第1の抗原性ポリペプチドをコードするmRNAワクチンによってもたらされる抗原発現レベルを著しく超えるように、宿主へのin vivo投与用の製剤中に存在する、核酸ワクチンを提供する。
【0086】
他の態様は、少なくとも1つの化学修飾を含むか、任意選択によりヌクレオチド修飾を含まないオープンリーディングフレームを有し、当該オープンリーディングフレームは第1の抗原性ポリペプチドをコードする、1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む、核酸ワクチンであって、非修飾型mRNAワクチンが同等の抗体力価をもたらすのに必要なRNAポリヌクレオチドよりも、RNAポリヌクレオチドが少なくとも1/10少ない、核酸ワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、25~100μgの用量で存在する。
【0087】
本発明の態様はまた、少なくとも1つの化学修飾を含むか、任意選択によりヌクレオチド修飾を含まないオープンリーディングフレームを有し、当該オープンリーディングフレームは第1の抗原性ポリペプチドをコードする、1つ以上のRNAポリヌクレオチド10μg~400μgと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含み、ヒト対象への送達用に製剤化された、使用単位のワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、ワクチンは、カチオン性脂質ナノ粒子を更に含む。
【0088】
本発明の態様は、個体または個体集団において呼吸器ウイルス株に対する抗原記憶を形成、維持または修復する方法を提供し、この方法は、当該個体または集団に抗原記憶ブースター核酸ワクチンを投与することを含み、当該核酸ワクチンは、(a)少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドであって、少なくとも1つの化学修飾を含むか、任意選択によりヌクレオチド修飾を含まず、かつ2つ以上のコドン最適化オープンリーディングフレームを含み、当該オープンリーディングフレームは、一連の参照抗原性ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドと、(b)任意選択により薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む。いくつかの実施形態において、ワクチンは、筋肉内投与、皮内投与及び皮下投与からなる群から選択される経路を介して個体に投与される。いくつかの実施形態において、投与ステップは、組成物の注射に適した装置と対象の筋肉組織とを触させることを含む。いくつかの実施形態において、投与ステップは、エレクトロポレーションと組み合わせて、組成物の注射に適した装置と対象の筋肉組織とを接触させることを含む。
【0089】
本発明の態様は、対象にワクチン接種を行う方法を提供し、この方法は、有効量で第1の抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンの25μg/kg~400μg/kgの単回用量を対象に投与して、対象にワクチン接種を行うことを含む。
【0090】
他の態様は、少なくとも1つの化学修飾を含むオープンリーディングフレームを有し、当該オープンリーディングフレームは第1の抗原性ポリペプチドをコードする、1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む、核酸ワクチンであって、非修飾型mRNAワクチンが同等の抗体力価をもたらすのに必要なRNAポリヌクレオチドよりも、RNAポリヌクレオチドが少なくとも1/10少ない、核酸ワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、25~100μgの用量で存在する。
【0091】
他の態様は、ヌクレオチド修飾を含まない(非修飾)オープンリーディングフレームを有し、当該オープンリーディングフレームは第1の抗原性ポリペプチドをコードする、LNP製剤化RNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンであって、LNPで製剤化されていない非修飾型mRNAワクチンが同等の抗体力価をもたらすのに必要なRNAポリヌクレオチドよりも、RNAポリヌクレオチドが少なくとも1/10少ない、核酸ワクチンを提供する。いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、25~100μgの用量で存在する。
【0092】
実施例で示されるデータは、本発明の製剤を使用すると、免疫応答が著しく向上することを示している。化学修飾されたRNAワクチンと修飾されていないRNAワクチンのどちらも本発明で有用である。驚くべきことに、ワクチンの製造には化学修飾されていないmRNAを使用して担体中に製剤化することが好ましいという先行技術の方向とは対照的に、化学修飾されたmRNA-LNPワクチンは、必要とされる有効mRNA用量が非修飾型mRNAよりもかなり低く、すなわち、LNP以外の担体中に製剤化された非修飾型mRNAよりも1/10少ないことが本明細書に記載される。本発明のRNAワクチンは化学修飾型及び非修飾型のどちらも、異なる脂質担体中に製剤化されたmRNAワクチンよりも良好な免疫応答をもたらす。
【0093】
他の態様において、本発明は、呼吸器ウイルス抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンを有効量で対象に投与して、対象にワクチン接種を行うことを含む、年齢が60歳以上の高齢者対象を治療する方法を包含する。
【0094】
他の態様において、本発明は、呼吸器ウイルス抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンを有効量で対象に投与して、対象にワクチン接種を行うことを含む、年齢が17歳以下の若年者対象を治療する方法を包含する。
【0095】
他の態様において、本発明は、呼吸器ウイルス抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する1つ以上のRNAポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンを有効量で対象に投与して、対象にワクチン接種を行うことを含む、成年対象を治療する方法を包含する。
【0096】
いくつかの態様において、本発明は、呼吸器抗原をコードする少なくとも2つの核酸配列を含む混合ワクチンを用いて対象にワクチン接種を行う方法であり、ここで、ワクチンの用量は、併用治療用量であり、抗原をコードするそれぞれ個々の核酸の用量は、治療未満用量である。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド25μgである。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド100μgである。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド50μgである。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド75μgである。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド150μgである。いくつかの実施形態において、併用用量は、対象に投与される核酸ワクチン中、RNAポリヌクレオチド400μgである。いくつかの実施形態において、抗原をコードするそれぞれ個々の核酸の治療未満用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20μgである。他の実施形態において、核酸ワクチンは、化学修飾されており、他の実施形態において、核酸ワクチンは、化学修飾されていない。
【0097】
いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258または259のうちの1つであり、少なくとも1つの化学修飾を含む。他の実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258または259のうちの1つであり、いかなるヌクレオチド修飾も含まないか、非修飾である。更に他の実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、243または245のうちのいずれかの抗原性タンパク質をコードし、少なくとも1つの化学修飾を含む。他の実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、配列番号3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、243または245のうちのいずれかの抗原性タンパク質をコードし、いかなるヌクレオチド修飾も含まないか、非修飾である。
【0098】
本発明の種々の実施形態の詳細については、以下の発明を実施するための形態に記載される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0099】
前述その他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に示される、以下の本発明の具体的な実施形態の説明から明らかになるであろう。図面中、同じ参照記号は、各種図を通して同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺とおりではなく、本発明の様々な実施形態の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1】MC3 LNPで製剤化された種々のmRNAワクチンを使用して送達されたRSVワクチン抗原に対する免疫応答をタンパク質抗原と比較して評価するために設計された、マウスにおける免疫原性試験のデータを示す。データは、強い中和抗体力価を示した。
図2】RNA/LNPワクチンがタンパク質抗原よりもはるかに強い細胞性免疫応答を与えたことを示す。
図3図3A~3Cは、マウスにおける免疫原性を試験するための細胞内サイトカイン染色アッセイのデータを示す。データは、DS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/NLPワクチン及びRSV-G mRNA/LNPワクチンが、Th1に偏った強いCD4+免疫応答をマウスで誘発することを示している。
図4図4A~4Cは、マウスにおける免疫原性を試験するための細胞内サイトカイン染色アッセイのデータを示す。データは、DS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/NLPワクチン及びRSV-G mRNA/LNPワクチンが、Th1に偏った強いCD8+免疫応答をマウスで誘発することを示している。
図5】マウスにおける免疫原性試験のデータを示す。データは、ADJU-PHOS(登録商標)でアジュバント化されたタンパク質抗原により達成された中和抗体力価と同等の強い中和抗体力価を示している。
図6図6A~6Cは、マウスにおける免疫原性を試験するための細胞内サイトカイン染色アッセイのデータを示す。データは、DS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/LNPワクチン及びRSV-G mRNA/LNPワクチンが、Th1に偏った強いCD4+免疫応答をマウスで誘発することを示している。
図7図7A~7Cは、マウスにおける免疫原性を試験するための細胞内サイトカイン染色アッセイのデータを示す。データは、RSV-G mRNA/LNPワクチンまたはDS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/LNPワクチンが、TH1に偏った強いCD8+免疫応答をマウスで誘発することを追認している。
図8】アッセイのデータを示す。データは、MC3 LNPで製剤化されたRSV mRNAワクチンで免疫化したマウスのいずれの肺からもウイルスは回収されず、低用量のDS-CAV1タンパク質/ADJU-PHOS(登録商標)ワクチンの動物1匹だけが鼻内に検出可能なウイルスを有していたことを示している。
図9】コットンラットにおける免疫原性試験のデータを示す。データは、MC3 LNPで製剤化された種々のRSV mRNAワクチンで免疫化した動物における強い中和抗体力価を示している。
図10】種々のRSV mRNAワクチンに対する抗原性φ及び抗原性部位IIの応答を特徴付ける、コットンラット競合ELISAのデータを示す。
図11】コットンラット抗原刺激アッセイのデータを示す。データは、MC3 LNPで製剤化されたRSV mRNAワクチンの保護効果を示している。
図12】RSV mRNAワクチン及び対照製剤によってアフリカミドリザルで誘導されたRSV Aに対する血清中和抗体力価(個々のNT50及び95%信頼区間とGMT)を表すグラフを示す。
図13図13A~13Bは、10週目(PD3から2週間)に測定したパリビズマブ(部位II)(図13A)及びD25(部位φ)(図13B)に対する血清抗体競合ELISA力価を(個々のIT50で、及びGMTを95%信頼区間とともに)表すグラフを示す。
図14図14A~14Bは、アフリカミドリザルにおいて抗原刺激後に検出された平均肺ウイルス血症(図13A)及び抗原刺激に検出された平均鼻ウイルス血症(図13B)を95%信頼区間とともに表すグラフを示す。
図15】種々のRSV mRNAワクチン及び対照製剤によってRSV経験アフリカミドリザルで誘導されたRSV Aに対するワクチン接種後2週間の血清中和抗体力価を(個々のNT50で、及びGMTを95%信頼区間とともに)表すグラフを示す。
図16】種々のRSV mRNAワクチン及び対照製剤によってRSV経験アフリカミドリザルで誘導されたRSV Aに対する血清中和抗体力価を(GMTを95%信頼区間とともに)表すグラフを示す。
図17図17A~17Bは、ベースライン時及び免疫付与後4週間に測定したパリビズマブ(部位II)(図17A)及びD25(部位φ)(図17B)に対する血清抗体競合ELISA力価を(個々のIT50で、及びGMTを95%信頼区間とともに)表すグラフを示す。
図18図18A~18Bは、種々のワクチン及び対照製剤によってRSV経験アフリカミドリザルで誘導されたRSV F特異的CD4+(図18A)及びCD8+(図18B)T細胞応答を表すグラフを示す。
図19】種々のワクチン及び対照製剤によってコットンラットで誘導されたRSV A及びRSV Bに対する、4週目(RSV A(丸)及びRSV B(四角)に対して、投与1後4週間)及び8週目(RSV A(上向き三角)及びRSV B(下向き三角)に対して、投与2後4週間)の血清中和抗体力価を(個々のNT50で、及びGMTを95%信頼区間ともに)を表すグラフを示す。
図20】RSV B 18357による抗原刺激後のコットンラットで測定した肺(丸)及び鼻(四角)のウイルスコピーの平均を95%信頼区間とともに表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
本開示の実施形態は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原をコードする(少なくとも1つの)ポリヌクレオチドを含むRNA(例えば、mRNA)ワクチンを提供する。RSVは、Pneumovirinae属の一本鎖マイナスセンスRNAウイルスである。このウイルスには、主に表面のG糖タンパク質の違いに起因するA型及びB型として知られる、少なくとも2つの抗原サブグループがある。GとFの2つのRSV表面糖タンパク質が呼吸器上皮細胞との結合及び付着を媒介する。F表面糖タンパク質は、隣接する細胞の融合を媒介する。これにより、合胞体細胞の形成が生じる。RSVは、細気管支炎の最も一般的な原因である。感染した成人のほとんどは、鬱血、微熱及び喘鳴などの軽度の感冒様症状を発症する。乳幼児及び小児は、細気管支炎及び肺炎などのより深刻な症状を呈することがある。この疾患は、呼吸器からの分泌物との接触を介してヒトに感染し得る。
【0102】
RSVのゲノムは、少なくとも3つの表面糖タンパク質(F、G及びSHを含む)と、4つのヌクレオカプシドタンパク質(L、P、N及びM2を含む)と、1つのマトリックスタンパク質Mをコードする。糖タンパク質Fは、ビリオンと宿主膜との間の融合によってウイルス侵入を誘導する。糖タンパク質Gは、II型膜貫通糖タンパク質であり、主要な吸着タンパク質である。SHは、短い内在性膜タンパク質である。マトリックスタンパク質Mは、脂質二重層の内層に存在し、ビリオン形成を助ける。ヌクレオカプシドタンパク質L、P、N及びM2は、RSVゲノムの複製及び転写を調節する。糖タンパク質Gがウイルス粒子を気管支上皮細胞表面に係留及び安定化させ、糖タンパク質Fが細胞のグリコサミノグリカンと相互作用して宿主細胞への融合及びRSVビリオン内容物の宿主細胞への送達を媒介すると考えられている(Krzyzaniak MA et al.PLoS Pathog 2013;9(4))。
【0103】
本明細書で提供されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、DNAワクチン接種に関連するリスクの多くを伴うことなく、細胞性免疫と体液性免疫の両方を含むバランスの取れた免疫応答を誘導するために使用することができる。
【0104】
国際出願第PCT/US2015/02740号の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0105】
本明細書に記載されるmRNAワクチンは、現行ワクチンよりもいくつかの点で優れることが見出された。第1に、脂質ナノ粒子(LNP)送達は、文献に記載されているプロタミン系手段を含む他の製剤よりも優れ、追加のアジュバントを必要としない。LNPの使用により、化学修飾型または非修飾型mRNAワクチンの有効的な送達が可能になる。更に、LNP製剤化mRNAワクチンは、修飾型と非修飾型のどちらも、従来型ワクチンよりも著しく優れていることが本明細書で示された。いくつかの実施形態において、本発明のmRNAワクチンは、従来型ワクチンよりも少なくとも10倍、20倍、40倍、50倍、100倍、500倍または1,000倍優れている。
【0106】
mRNAワクチン及び自己複製RNAワクチンを含む機能性RNAワクチンは、その作製が試みられてきたが、これらのRNAワクチンの治療有効性は、まだ完全に確立されていない。実に驚くべきことに、本発明者らは、本発明の態様に従って、抗原生成及び中和能力を有する機能性抗体産生の増大を含む、著しく増強され、また多くの点で相乗的である免疫応答をもたらす、mRNAワクチンのin vivo送達のための製剤クラスを見出した。これらの結果は、他の種類の脂質系製剤で使用されるmRNAの用量と比較して極めて低用量のmRNAが投与された場合でも、達成することができる。本発明の製剤は、機能性mRNAワクチンの予防薬及び治療薬としての有効性を確立するのに十分な予想外に著しいin vivo免疫応答を示した。更に、自己複製RNAワクチンは、免疫原性応答をもたらすのに十分なRNAを細胞に送達するのに、ウイルス複製経路に依存している。本発明の製剤は、強い免疫応答をもたらすのに十分なタンパク質を産生するのにウイルス複製を必要としない。したがって、本発明のmRNAは、自己複製RNAではなく、ウイルス複製に必要な構成要素を含まない。
【0107】
本発明は、いくつかの態様において、脂質ナノ粒子(LNP)製剤が、化学修飾型及び非修飾型mRNAワクチンを含むRNAワクチンの有効性を著しく増強するという驚くべき発見に関係する。LNP製剤化mRNAワクチンの有効性について、いくつかの異なる抗原を使用してin vivoで試験した。本明細書に示される結果は、他の市販のワクチンよりも予想外に優れたLNP製剤化mRNAワクチンの有効性を示している。
【0108】
増強された免疫応答をもたらすことに加えて、本発明の製剤は、試験した他のワクチンよりも少ない用量で、より迅速な免疫応答をもたらす。本発明のmRNA-LNP製剤はまた、異なる担体で製剤化されたワクチンに比べて、定量的及び定性的に良好な免疫応答をもたらす。
【0109】
本明細書に記載されるデータは、本発明の製剤が、既存の抗原ワクチンを超える予想外の著しい改善をもたらしたことを示している。更に、本発明のmRNA-LNP製剤は、mRNAの用量が他のワクチンより低い場合であっても、他のワクチンよりも優れている。MC3 LNPで製剤化された種々のmRNAワクチンをタンパク質抗原ワクチンとマウスで比較した。データは、既存のワクチンと比較すると、mRNAワクチンが、タンパク質抗原よりも強い中和抗体力価、はるかに高い細胞性免疫応答を与え、マウスにおいて、Th1に偏った強いCD4+及びCD8+免疫応答と、肺のウイルス減少とをもたらしたことを示した。低用量のタンパク質/アジュバントワクチン製剤では動物1匹にのみウイルスが回収されたのに対し、MC3 LNPで製剤化されたRSV mRNAワクチンで免疫化したマウスではいずれの肺からもウイルスは回収されなかった。著しい中和抗体力価がラット及びサルでも達成された。
【0110】
本明細書に記載される試験で使用したLNPは、siRNAを送達するために種々の動物モデル及びヒトにおいて以前から使用されているものである。LNP製剤のsiRNA送達に関してなされた観察を考慮すると、LNPがワクチンに有用であるという事実は、実に驚くべきことである。LNP製剤化siRNAの治療的送達は、一過性IgM応答に関連する望ましくない炎症応答の原因となり、典型的に、抗原生成の低減及び免疫応答の低下につながることが観察されている。siRNAについて観察された知見とは対照的に、本発明のLNP-mRNA製剤は、一過性のIgM応答ではなく、予防法及び治療法に十分なIgGレベルの増大をもたらすことが本明細書で示される。
【0111】
核酸/ポリヌクレオチド
本明細書で提供されるRSVワクチンは、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つの(1つ以上の)リボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含む。「核酸」という用語は、その最も広い意味で、ヌクレオチドの重合体を含む任意の化合物及び/または物質を含む。これらの重合体は、ポリヌクレオチドと呼ばれる。
【0112】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される核酸配列と少なくとも80%の同一性を有するホモログによってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される少なくとも1つの核酸配列、または配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258もしくは259に記載される核酸配列と少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.8%または99.9%)の同一性を有するホモログによってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、配列番号1、2、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、242、246、257、258または259に記載される核酸配列の少なくとも1つの断片(例えば、少なくとも1つの抗原性配列または少なくとも1つのエピトープを有する断片)によってコードされる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、mRNAポリヌクレオチドであり、当該mRNAポリヌクレオチドの各ウラシル(ウラシルの100%)は、化学修飾される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、mRNAポリヌクレオチドであり、当該mRNAポリヌクレオチドの各ウラシル(ウラシルの100%)は、N1-メチルプソイドウリジンを含むように化学修飾される。
【0113】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、243または245に記載されるアミノ酸配列であるか、その(抗原性)断片であるか、当該配列に対して少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%、99%)の同一性を有するホモログである。
【0114】
核酸(ポリヌクレオチドともいう)は、例えば、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA、例えば、β-D-リボ配置を有するLNA、α-L-リボ配置を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能基を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能基を有する2’-アミノ-α-LNAを含む)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)もしくはこれらのキメラもしくは組み合わせであってよく、またはこれらを含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)として機能する。「メッセンジャーRNA」(mRNA)は、(少なくとも1つの)ポリペプチド(天然、非天然または修飾されたアミノ酸重合体)をコードする任意のポリヌクレオチドであって、これが翻訳されて、in vitro、in vivo、in situまたはex vivoで、コードされているポリペプチドを生成できる任意のポリヌクレオチドを指す。当業者であれば、別途記載される場合を除き、本出願に記載されるポリヌクレオチド配列は、DNA配列を表す場合には「T」を用い、配列がRNA(例えば、mRNA)を表す場合には、「T」は「U」に置き換えられることを理解するであろう。したがって、特定の配列識別番号によって識別されるDNAによってコードされるRNAポリヌクレオチドはいずれも、DNAによってコードされた対応するRNA(例えば、mRNA)配列を含み得、当該RNA配列は、DNA配列の各「T」が「U」に置き換えられているものである。
【0116】
mRNA分子の基本構成要素は、典型的に、少なくとも1つのコーディング領域、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、5’キャップ及びポリAテールを含む。本開示のポリヌクレオチドは、mRNAとして機能し得るが、その設計上の機能的及び/または構造的特徴から野生型mRNAとは区別することができ、この特徴は、核酸治療法を用いた有効的なポリペプチド発現に関する既存の課題を解決するのに役立つ。
【0117】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンのRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9または9~10個の抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンのRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100個の抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、RSVワクチンのRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、少なくとも100個の抗原性ポリペプチドまたは少なくとも200個の抗原性ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、RSVワクチンのRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、1~10、5~15、10~20、15~25、20~30、25~35、30~40、35~45、40~50、1~50、1~100、2~50または2~100個の抗原性ポリペプチドをコードする。
【0118】
本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、いくつかの実施形態において、コドン最適化される。コドン最適化法は、当該技術分野において知られており、本明細書に記載のとおりに使用することができる。コドン最適化を用いると、いくつかの実施形態において、標的生物及び宿主生物におけるコドン頻度を一致させて適切な折り畳みを確保すること、GC含量に偏りをもたせてmRNAの安定性を向上させ、もしくは二次構造を低減させること、遺伝子構築物もしくは発現を損なう可能性のあるタンデム反復コドンもしくは塩基ラン(base run)を最小にすること、転写及び翻訳制御領域をカスタマイズすること、タンパク質輸送配列を挿入もしくは除去すること、コードタンパク質に翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/付加すること、タンパク質ドメインを付加、除去もしくはシャッフルすること、制限部位を挿入もしくは欠失すること、リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を改変すること、翻訳率を調整してタンパク質の様々なドメインの適切な折り畳みを可能にすること、またはポリヌクレオチド内の問題のある二次構造を低減もしくは排除することができる。コドン最適化のツール、アルゴリズム及びサービスは、当該技術分野において知られており、非限定的な例には、GeneArt(Life Technologies)、DNA2.0(Menlo Park CA)によるサービス及び/または独自の方法が挙げられる。いくつかの実施形態において、最適化アルゴリズムを使用してオープンリーディングフレーム(ORF)配列が最適化される。
【0119】
いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して95%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して90%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して85%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して80%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して75%未満の配列同一性を共有する。
【0120】
いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して65%~85%(例えば、約67%~約85%または約67%~約80%)の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、コドン最適化配列は、天然または野生型配列(例えば、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、抗原性タンパク質またはポリペプチド)をコードする天然または野生型mRNA配列)に対して65%~75%または約80%の配列同一性を共有する。
【0121】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、少なくとも1つの修飾を有する少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、少なくとも1つの5’末端キャップを有する少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含み、かつ脂質ナノ粒子内に製剤化される。ポリヌクレオチドの5’キャッピングは、以下の化学的RNAキャップアナログを製造元のプロトコールに従って使用して5’-グアノシンキャップ構造を生じさせることで、in vitro転写反応中に同時に達成することができる:3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G[ARCAキャップ];G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs(Ipswich,MA))。修飾RNAの5’キャッピングは、ワクシニアウイルスキャッピング酵素を使用して「キャップ0」構造:m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs(Ipswich,MA))を生じさせることによって転写後に達成され得る。キャップ1構造は、ワクシニアウイルスキャッピング酵素と2’-Oメチルトランスフェラーゼの両方を使用してm7G(5’)ppp(5’)G-2’-O-メチルを生じさせることで生成することができる。キャップ2構造は、キャップ1構造から、2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用して3番目の5’-ヌクレオチドを2’-O-メチル化することによって生成することができる。キャップ3構造は、キャップ2構造から、2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用して4番目の5’-ヌクレオチドを2’-O-メチル化することによって生成することができる。酵素は、組み換え供給源に由来してもよい。
【0122】
修飾mRNAは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合、12~18時間または18時間超、例えば、24、36、48、60、72もしくは72時間超の安定性を有する。
【0123】
いくつかの実施形態において、コドン最適化RNAは、G/Cレベルを増加させたものであり得る。核酸分子(例えば、mRNA)のG/C含量は、RNAの安定性に影響し得る。グアニン(G)及び/またはシトシン(C)の残基量を増加させたRNAは、アデニン(A)及びチミン(T)またはウラシル(U)のヌクレオチドを多量に含有するRNAよりも機能的に安定であり得る。一例として、WO02/098443は、翻訳領域における配列改変によって安定化されたmRNAを含有する医薬組成物を開示している。遺伝コードの縮重により、この改変は、既存のコドンを、結果として得られるアミノ酸を変更することなく、より大きなRNA安定性を助長するコドンに置き換えることによってなされる。このアプローチは、RNAのコーディング領域に限定される。
【0124】
抗原/抗原性ポリペプチド
RSVには、少なくとも2つの抗原サブグループ(A及びB)があることが知られている。この抗原二型性は、主に、表面のG糖タンパク質の違いによるものである。2つの表面糖タンパク質G及びFは、エンベロープ中に存在し、呼吸器上皮細胞との吸着及び融合を媒介する。Fタンパク質はまた、隣接する細胞の融合を媒介して、このウイルスの名前の由来となっている、特徴的な合胞体細胞を形成する。2つのRSV抗原バリアントの疫学的及び生物学的な重要性は、はっきりとわかっていない。しかし、A型感染のほうが重症になる傾向を示唆するいくつかの証拠がある。
【0125】
RSVゲノムは、約15,000ヌクレオチド長であり、負の極性を有する一本鎖RNAから構成される。RSVゲノムは、11個のタンパク質をコードする10個の遺伝子を有し、2つのM2のオープンリーディングフレームがある。当該ゲノムは、NS1からLへと順次転写され、その長さに沿って発現は減少する。
【0126】
NS1及びNS2は、I型インターフェロン活性を阻害する。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、NS1、NS2またはその免疫原性断片の産物をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0127】
Nは、ヌクレオカプシドを形成するゲノムRNAに会合するヌクレオカプシドタンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、ヌクレオカプシドタンパク質またはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0128】
Mは、ウイルスの組み立てに必要なマトリックスタンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、マトリックスタンパク質またはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0129】
SH、G及びFは、ウイルスコートを形成する。Gタンパク質は、高度にグリコシル化されている表面タンパク質であり、吸着タンパク質として機能する。Fタンパク質は、もう1つの重要な表面タンパク質であり、融合を媒介することにより、ウイルスの細胞質への侵入を可能にし、また合胞体の形成を可能にする。RSVの双方のサブタイプにおいて、Fタンパク質は相同であり、Fタンパク質を指向する抗体で中和される。対照的に、Gタンパク質は、2つのサブタイプで大幅に異なる。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、SH、GもしくはFタンパク質またはこれらの組み合わせまたはこれらの免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0130】
細胞表面にあるヌクレオリンがRSV融合タンパク質の受容体である。ヌクレオリンとRSV融合タンパク質の相互作用の阻害が、細胞培養物及び動物モデルでのRSV感染に対して治療効果があることが示されている。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、ヌクレオリンまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0131】
M2は、転写にも必要とされる第2のマトリックスタンパク質であり、M2-1(伸長因子)及びM2-2(転写調節)をコードする。M2は、CD8エピトープを含有する。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、第2のマトリックスタンパク質またはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0132】
Lは、RNAポリメラーゼをコードする。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、RNAポリメラーゼ(L)またはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0133】
リンタンパク質Pは、Lタンパク質の補因子である。いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、リンタンパク質Pまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態は、糖タンパク質Gまたはその免疫原性断片(例えば、RSVに対する免疫応答を惹起することが可能な免疫原性断片)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチンを提供する。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態は、糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片(例えば、RSVに対する免疫応答を惹起することが可能な免疫原性断片)をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチンを提供する。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態は、融合後の形態のポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチンを開示する。本発明の更なる実施形態は、融合前の形態のポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチンを開示する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドまたはその抗原性断片は、融合前のコンフォメーションの糖タンパク質、例えば、限定するものではないが、融合前の糖タンパク質FまたはDS-CAV1を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、ある特定のポリペプチドまたはその抗原性断片は、融合前のコンフォメーションにあるとき、同じタンパク質またはその免疫原性断片の融合後のコンフォメーションと比較して、中和抗体に対するエピトープをより多く含有し得る。例えば、融合前の糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片は、その膜の遠位先端に固有の抗原部位(「抗原性部位0」)を有する。抗原性部位0は、必須ではないが、RSV Fタンパク質配列の残基62~69及び196~209を含み得る。いくつかの場合において、限定するものではないが、融合前の糖タンパク質Fまたはその免疫原性断片などの融合前のポリペプチドまたはその免疫原性断片は、融合後のポリペプチドまたはその免疫原性断片により達成される免疫応答よりも数倍大きな免疫応答を呈し得る。融合前のRSV糖タンパク質及びその使用方法は、WO/2014/160463に記載されており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0137】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、RSV A2株(RSV A2)から得られた糖タンパク質Fもしくは糖タンパク質Gまたはこれらの免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。サブタイプA株及びサブタイプB株を含む、他のRSV株も本開示に包含される。
【0138】
いくつかの実施形態において、RSVワクチンは、少なくとも1つの化学修飾を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの修飾を有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)を有する。
【0139】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ポリペプチドは、25アミノ酸よりも長く、50アミノ酸よりも短い。したがって、ポリペプチドには、遺伝子産物、天然ポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片ならびに前述の他の等価物、バリアント及びアナログが含まれる。ポリペプチドは、単一分子であってもよいし、二量体、三量体または四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖ポリペプチドまたは抗体もしくはインスリンなどの多鎖ポリペプチドを含み得、会合または連結され得る。多鎖ポリペプチドには、最も一般的に、ジスルフィド結合が認められる。ポリペプチドという用語はまた、少なくとも1つのアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工的化学的アナログになっているアミノ酸高分子に対しても適用され得る。
【0140】
「ポリペプチドバリアント」という用語は、そのアミノ酸配列が天然配列または参照配列とは異なる分子を指す。アミノ酸配列バリアントは、天然配列または参照配列と比較して、アミノ酸配列内の特定の位置に置換、欠失及び/または挿入を有し得る。通常、バリアントは、天然配列または参照配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、バリアントは、天然配列または参照配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を共有する。
【0141】
いくつかの実施形態において、「バリアント模倣体」が提供される。本明細書で使用されるとき、「バリアント模倣体」は、活性化配列を模倣し得る少なくとも1つのアミノ酸を含有する。例えば、グルタミン酸は、リン酸化スレオニン及び/またはリン酸化セリンの模倣体として作用し得る。あるいは、バリアント模倣体は、失活化をもたらすか、模倣体を含有する不活性化産物をもたらすことができる。例えば、フェニルアラニンは、チロシンの不活性化置換として作用し、アラニンは、セリンの不活性化置換として作用することができる。
【0142】
「オルソログ」は、種分化によって共通の祖先遺伝子から進化した異なる種の遺伝子を指す。通常、オルソログは、進化の過程で同じ機能を保持する。オルソログの特定は、新たに配列決定されるゲノムの遺伝子機能の信頼性の高い予測に重要である。
【0143】
「アナログ」は、1つ以上のアミノ酸の変更、例えば、アミノ酸残基の置換、付加または欠失による違いはあるが、親ポリペプチドまたは出発ポリペプチドの特性のうちの1つ以上を引き続き保持している、ポリペプチドバリアントを含むことを意味する。
【0144】
「パラログ」は、ゲノム内の重複によって関連する遺伝子(またはタンパク質)である。オルソログは、進化の過程で同じ機能を保持しているが、パラログは、元の機能に関連しているとしても、新しい機能を進化させている。
【0145】
本開示は、バリアント及び誘導体を含む、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドをベースにしたいくつかの種類の組成物を提供する。これらには、例えば、置換、挿入欠失及び共有結合によるバリアント及び誘導体が含まれる。「誘導体」という用語は、「バリアント」という用語と同義的に使用されるが、一般的に、参照分子または出発分子と比較して、任意の方法で修飾及び/または変更されている分子を指す。
【0146】
したがって、参照配列、特に本明細書で開示されるポリペプチド配列に対して置換、挿入及び/または付加、欠失ならびに共有結合による修飾を含有するペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、配列タグまたは1つ以上のリジンなどのアミノ酸をペプチド配列に(例えば、N末端またはC末端に)付加することができる。配列タグは、ペプチドの検出、精製または位置決定のために使用することができる。リジンは、ペプチドの溶解性を増大させ、またはビオチニル化を可能にするために使用することができる。あるいは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ末端領域及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基を任意選択的に欠失させて、切断型配列を提供してもよい。あるいは、その配列の用途、例えば、可溶性であり、または固体支持体に連結されたより大きな配列の一部として配列を発現させるなどに応じて、特定のアミノ酸(例えば、C末端残基またはN末端残基)を欠失させてもよい。代替的な実施形態において、シグナル配列、終結配列、膜貫通ドメイン、リンカー、多量体形成ドメイン(例えば、foldon領域など)及び同等物のための配列(またはこれらをコードする配列)を、同一または類似の機能を達成する代替配列と置換してもよい。そのような配列は、当業者には容易に特定可能である。本明細書で提供される配列のいくつかは、例えば、RNA(例えば、mRNA)ワクチンの調製直前に削除され得る配列タグまたは末端ペプチド配列を(例えば、N末端またはC末端に)含有することも理解されたい。
【0147】
ポリペプチドに関する「置換バリアント」は、天然配列または出発配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が削除され、その代わりに同じ位置に別のアミノ酸が挿入されたものである。置換は、分子中のアミノ酸が1つのみ置換された単一の置換であってもよいし、同一分子中の2つ以上のアミノ酸が置換された複数の置換であってもよい。
【0148】
本明細書で使用されるとき、「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸を、同様の大きさ、電荷または極性を有する別のアミノ酸で置き換える置換を指す。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン及びロイシンなどの非極性(疎水性)残基を別の非極性残基にする置換が挙げられる。同様に、保存的置換の例には、ある極性(親水性)残基を別の極性残基にする置換、例えば、アルギニンとリジンの間、グルタミンとアスパラギンの間、及びグリシンとセリンの間の置換が挙げられる。加えて、リジン、アルギニンまたはヒスチジンなどの塩基性残基を別の塩基性残基にする置換、またはアスパラギン酸またはグルタミン酸などのある酸性残基を別の酸性残基にする置換も保存的置換の更なる例である。非保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニンもしくはメチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基をシステイン、グルタミン、グルタミン酸もしくはリジンなどの極性(親水性)残基にする置換、及び/または極性残基を非極性残基にする置換が挙げられる。
【0149】
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関する「特徴」は、分子のうち、明確に異なる、アミノ酸配列ベースの構成要素またはヌクレオチドベースの構成要素としてそれぞれ定義される。ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特徴には、表面発現、局所的高次構造形状、折り畳み、ループ、半ループ、ドメイン、半ドメイン、部位、末端またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0150】
ポリペプチドに関して本明細書で使用されるとき、「ドメイン」という用語は、1つ以上の特定可能な構造的または機能的特徴または特性(例えば、結合能力、タンパク質-タンパク質相互作用の部位としての機能)を有するポリペプチドモチーフを指す。
【0151】
ポリペプチドに関して本明細書で使用されるとき、「部位」という用語は、それがアミノ酸に基づく実施形態に関する場合、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」と同義的に使用される。ポリペプチドに関して本明細書で使用されるとき、「部位」という用語は、それがヌクレオチドに基づく実施形態に関する場合、「ヌクレオチド」と同義的に使用される。部位は、ポリペプチドベースの分子またはポリヌクレオチドベースの分子内のうちで修飾、操作、改変、誘導体化または変更され得るペプチドまたはポリペプチドまたはポリヌクレオチド内の位置を表す。
【0152】
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関して本明細書で使用されるとき、「末端」という用語は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの端部をそれぞれ指す。かかる端部は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの最初の部位または最後の部位のみに限定されるものではなく、末端領域に付加されたアミノ酸またはヌクレオチドを含み得る。ポリペプチドベースの分子は、N末端(遊離アミノ基(NH)を有するアミノ酸で終わる)と、C末端(遊離カルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸で終わる)の両方を有することを特徴とし得る。タンパク質は、場合によって、ジスルフィド結合または非共有結合性の力によって一緒になった複数のポリペプチド鎖から構成される(多量体、オリゴマー)。これらのタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有する。あるいは、ポリペプチドの末端は、状況に応じて、有機コンジュゲートなどの非ポリペプチドベースの部分で開始または終結するように修飾されてもよい。
【0153】
当業者によって認識されるように、タンパク質断片、機能性タンパク質ドメイン及び相同タンパク質もまた、目的のポリペプチドの範囲内であるとみなされる。例えば、参照タンパク質の10、20、30、40、50、60、70、80、90、100または100超のアミノ酸長の任意のタンパク質断片(すなわち、参照ポリペプチド配列よりも少なくとも1アミノ酸残基短いがそれ以外では同一であるポリペプチド配列)が本明細書で提供される。別の例において、本明細書に記載される配列のうちのいずれかに対して、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%同一である20、30、40、50または100アミノ酸のストレッチを含む任意のタンパク質を本開示に従って利用することができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、本明細書に記載または参照される配列のうちのいずれも、示されるように、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の変異を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質断片は、25アミノ酸よりも長く、50アミノ酸よりも短い。
【0154】
本開示のポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子は、参照分子(例えば、参照ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチド)、例えば、当該技術分野に記載の分子(例えば、操作または設計された分子または野生型分子)とある程度の配列類似性または配列同一性を共有し得る。「同一性」という用語は、当該技術分野において知られているように、配列を比較することによって決定される2つ以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列間の関係性を指す。当該技術分野において、同一性はまた、2つ以上のアミノ酸残基または核酸残基のストリング間のマッチ数によって決定される配列間の配列関係性の度合いを意味する。同一性は、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって処理されたギャップアライメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列のうちより小さい配列間での同一マッチ率を評価する。関連するペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に算出することができる。ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列に適用される「同一性パーセント」は、配列をアライメントし、必要に応じて、最大同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後に、第2の配列のアミノ酸配列または核酸配列中の残基と同一であるアミノ酸または核酸の候補配列中の残基(アミノ酸残基または核酸残基)のパーセンテージとして定義される。アライメントのための方法及びコンピュータープログラムは、当該技術分野においてよく知られている。同一性は、同一性パーセントの算出に依存するが、算出に導入されるギャップ及びペナルティーによって値が異なり得ることは理解される。一般に、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのバリアントは、本明細書に記載され、当業者に知られている配列アライメントプログラム及びパラメーターによって決定したとき、特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列に対して、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが、100%未満の配列の同一性を有する。そのようなアライメントツールには、BLASTスイートのものが含まれる(Stephen F.Altschul,et al.,(1997),“Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。別の多く用いられるローカルアライメント手法は、Smith-Watermanアルゴリズムに基づくものである(Smith,T.F.&Waterman,M.S.(1981)“Identification of common molecular subsequences.” J.Mol.Biol.147:195-197)。動的計画法に基づいた一般的なグローバルアライメント手法は、Needleman-Wunschアルゴリズムである(Needleman,S.B.&Wunsch,C.D.(1970)“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J.Mol.Biol.48:443-453.)。より最近では、Needleman-Wunschアルゴリズムを含む他の最適グローバルアライメント法よりも高速にヌクレオチド及びタンパク質配列のグローバルアライメントを生成するといわれるFast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)が開発されている。他のツールについては、本明細書において、具体的には、以下の「同一性」の定義において記載される。
【0155】
本明細書で使用されるとき、「相同性」という用語は、高分子、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド分子間の全体的な関係性を指す。マッチする残基のアライメントによって決定された類似性または同一性の閾値レベルを共有する高分子(例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)及び/またはポリペプチド分子)は、相同と呼ばれる。相同性は、分子間の関係を記述する定性的用語であり、定量的な類似性または同一性に基づき得る。類似性または同一性は、2つの比較配列間の配列マッチの程度を定義する定量的用語である。いくつかの実施形態において、高分子は、その配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一または類似であれば、互いに「相同」であるとみなされる。「相同」という用語は、必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)間の比較を指す。2つのポリヌクレオチド配列は、当該配列がコードするポリペプチドが、少なくとも20アミノ酸の少なくとも1つのストレッチについて、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または更には99%であれば、相同であるとみなされる。いくつかの実施形態において、相同なポリヌクレオチド配列は、一意に指定された少なくとも4~5アミノ酸のストレッチをコードする能力を特徴とする。60ヌクレオチド長未満のポリヌクレオチド配列の場合、相同性は、一意に指定された少なくとも4~5アミノ酸のストレッチをコードする能力によって決定される。2つのタンパク質配列は、当該タンパク質が、少なくとも20アミノ酸の少なくとも1つのストレッチについて、少なくとも50%、60%、70%、80%または90%同一であれば、相同であるとみなされる。
【0156】
相同性は、比較される配列が進化上共通の起源から分化したことを示唆する。「ホモログ」という用語は、共通の祖先配列に由来することにより第2のアミノ酸配列または核酸配列に関連する第1のアミノ酸配列または核酸配列(例えば、遺伝子(DNAまたはRNA)またはタンパク質配列)を指す。「ホモログ」という用語は、種分化の事象によって分離した遺伝子間及び/もしくはタンパク質間の関係、または遺伝子重複の事象によって分離した遺伝子間及び/もしくはタンパク質間の関係に適用され得る。
【0157】
多タンパク質及び多成分ワクチン
本開示は、単一の抗原性ポリペプチドをそれぞれコードする複数のRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含むRSVワクチン、及び1つを超える抗原性ポリペプチドを(例えば、融合ポリペプチドとして)コードする単一のRNAポリヌクレオチドを含むRSVワクチンを包含する。したがって、第1のRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、第2のRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドとを含むワクチン組成物は、(a)第1のRSV抗原性ポリペプチドをコードする第1のRNAポリヌクレオチドと、第2のRSV抗原性ポリペプチドをコードする第2のRNAポリヌクレオチドとを含むワクチン、ならびに(b)第1及び第2のRSV抗原性ポリペプチドを(例えば、融合ポリペプチドとして)コードする単一のRNAポリヌクレオチドを含むワクチンを包含することを理解されたい。本開示のRSV RNAワクチンは、いくつかの実施形態において、それぞれが異なるRSV抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する2~10個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個)またはそれ以上のRNAポリヌクレオチド(または2~10個もしくはそれ以上の異なるRSV抗原性ポリペプチドをコードする単一のRNAポリヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV融合(F)糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV吸着(G)タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV核タンパク質(N)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSVリンタンパク質(P)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV大型ポリメラーゼタンパク質(L)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSVマトリックスタンパク質(M)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV小型疎水性タンパク質(SH)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV非構造タンパク質1(NS1)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV非構造タンパク質2(NS2)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドとを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV融合(F)タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、RSV吸着タンパク質(G)をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドとを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV Fタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV Nタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV Mタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV Lタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV Pタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV SHタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV NS1タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、RSV NS2タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドを含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、シグナルペプチド(例えば、配列番号281または配列番号282)に融合されたRSV抗原性ポリペプチドをコードする。したがって、RSV抗原性ペプチドに連結されたシグナルペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含むRSVワクチンが提供される。
【0159】
更に、シグナルペプチドに融合された本明細書で開示される任意のRSV抗原性ポリペプチド(例えば、F、G、M、N、L、P、SH、NS1、NS2またはこれらの任意の抗原性断片)を含むRSVワクチンが本明細書で提供される。シグナルペプチドは、RSV抗原性ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0160】
シグナルペプチド
いくつかの実施形態において、RSVポリヌクレオチドによってコードされる抗原性ポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。シグナルペプチドは、N末端の15~60アミノ酸タンパク質を含み、典型的に、分泌経路において膜を通過する移行に必要であり、したがって、真核生物及び原核生物の両生物において、大部分のタンパク質が分泌経路へ入ることを普遍的に制御している。シグナルペプチドは、一般に、長さの異なるN末端領域(通常、正に荷電したアミノ酸を含む)と、疎水性領域と、短いカルボキシ末端ペプチド領域の3つの領域からなる。真核生物において、新生前駆タンパク質(プレタンパク質)のシグナルペプチドは、リボソームを粗面小胞体(ER)膜に向かわせ、膜を通過して伸長するペプチド鎖の輸送を開始する。しかしながら、シグナルペプチドは、成熟タンパク質の最終目的地に関与しない。その配列中にアドレスタグを欠いている分泌タンパク質は、普通は外部環境に分泌される。シグナルペプチドは、小胞体(ER)に存在するシグナルペプチダーゼによって前駆タンパク質から切断されるか、切断されないまま膜アンカーとして機能する。近年、シグナルペプチドのより進んだ見解が導き出されており、ある特定のシグナルペプチドの機能及び免疫優性は、これまで予想されていたよりも極めて多岐にわたることが示されている。
【0161】
シグナルペプチドは、典型的に、プロセシングのために、新規合成タンパク質の小胞体(ER)への標的化を促進するように機能する。ERプロセシングにより成熟エンベロープタンパク質が生成され、そこでシグナルペプチドは、典型的に、宿主細胞のシグナルペプチダーゼによって切断される。シグナルペプチドはまた、タンパク質の細胞膜への標的化を促進し得る。本開示のRSVワクチンは、例えば、人工シグナルペプチドをコードするRNAポリヌクレオチドを含み得、シグナルペプチドをコードする配列は、RSV抗原性ポリペプチドのコード配列に作動可能に連結され、当該配列とインフレームである。したがって、本開示のRSVワクチンは、いくつかの実施形態において、シグナルペプチドに融合されたRSV抗原性ポリペプチドを含む抗原性ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、RSV抗原性ポリペプチドのN末端に融合される。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、RSV抗原性ポリペプチドのC末端に融合される。
【0162】
いくつかの実施形態において、RSV抗原性ポリペプチドに融合されるシグナルペプチドは、人工シグナルペプチドである。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされるRSV抗原性ポリペプチドに融合される人工シグナルペプチドは、免疫グロブリンタンパク質、例えば、IgEシグナルペプチドまたはIgGシグナルペプチドから得られる。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされるRSV抗原性ポリペプチドに融合されるシグナルペプチドは、MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号281)の配列を有するIg重鎖ε-1シグナルペプチド(IgE HC SP)である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされるRSV抗原性ポリペプチドに融合されるシグナルペプチドは、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号282)の配列を有するIgGk鎖V-III領域のHAHシグナルペプチド(IgGkSP)である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされるRSV抗原性ポリペプチドは、配列番号281または配列番号282のシグナルペプチドに融合された配列番号1~配列番号28のうちの1つに記載されるアミノ酸配列を有する。本明細書で開示される例は、限定を意図するものではなく、プロセシングのためのタンパク質のERへの標的化及び/またはタンパク質の細胞膜への標的化を促進することが当該技術分野において知られているあらゆるシグナルペプチドを本開示に従って使用することができる。
【0163】
シグナルペプチドは、15~60アミノ酸長を有し得る。例えば、シグナルペプチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59または60アミノ酸長を有し得る。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、20~60、25~60、30~60、35~60、40~60、45~60、50~60、55~60、15~55、20~55、25~55、30~55、35~55、40~55、45~55、50~55、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、15~45、20~45、25~45、30~45、35~45、40~45、15~40、20~40、25~40、30~40、35~40、15~35、20~35、25~35、30~35、15~30、20~30、25~30、15~25、20~25または15~20アミノ酸長を有し得る。
【0164】
シグナルペプチドは、典型的に、ERプロセシング中に切断部位で新生ポリペプチドから切断される。本開示のRSV RNAワクチンによって産生される成熟RSV抗原性ポリペプチドは、典型的に、シグナルペプチドを含まない。
【0165】
化学修飾
本開示のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含み、当該RNAは、少なくとも1つの化学修飾を含む。
【0166】
「化学修飾」及び「化学修飾された(化学修飾型)」という用語は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)またはシチジン(C)のリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドに対する、その位置、パターン、パーセントまたは集団のうちの少なくとも1つにおける修飾を指す。一般に、これらの用語は、天然に存在する5’末端のmRNAキャップ部分におけるリボヌクレオチド修飾を指すものではない。
【0167】
ポリヌクレオチドの修飾には、限定するものではないが、本明細書に記載されるものが含まれ、化学修飾を含む修飾が含まれるが、これらに明示的に限定されるものではない。ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、天然、非天然である修飾を含み得、またはポリヌクレオチドは、天然及び非天然修飾の組み合わせを含み得る。ポリヌクレオチドは、任意の有用な修飾を含み得、例えば、糖、核酸塩基またはヌクレオシド間結合(例えば、リン酸、ホスホジエステル連結またはホスホジエステル主鎖への結合)の修飾を含み得る。
【0168】
ポリペプチドに関して、「修飾」という用語は、標準形の20アミノ酸セットに対する修飾を指す。本明細書で提供されるポリペプチドは、アミノ酸の置換、挿入または置換と挿入の組み合わせを含有する場合も、「修飾された」とみなされる。
【0169】
ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、いくつかの実施形態において、種々の(1つを超える)異なる修飾を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドの特定領域は、1つ、2つまたはそれ以上の(任意選択により異なる)ヌクレオシド修飾またはヌクレオチド修飾を含有する。いくつかの実施形態において、修飾型RNAポリヌクレオチド(例えば、修飾型mRNAポリヌクレオチド)は、細胞または生物に導入されると、非修飾型ポリヌクレオチドと比べて、細胞または生物のそれぞれにおいて低減された分解を示す。いくつかの実施形態において、修飾型RNAポリヌクレオチド(例えば、修飾型mRNAポリヌクレオチド)は、細胞または生物に導入されると、細胞または生物のそれぞれにおいて低減された免疫原性(例えば、低減された先天性応答)を示し得る。
【0170】
ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、いくつかの実施形態において、所望の機能または特性を達成するために、ポリヌクレオチドの合成中または合成後に導入される非天然修飾型ヌクレオチドを含む。修飾は、ヌクレオチド間結合、プリン塩基もしくはピリミジン塩基、または糖に存在してもよい。修飾は、化学合成またはポリメラーゼ酵素を用いて、鎖の末端または鎖の他の場所に導入することができる。ポリヌクレオチドのいずれの領域も化学修飾され得る。
【0171】
本開示は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」は、糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体(本明細書において「核酸塩基」ともいう)との組み合わせで含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾されたヌクレオチドは、任意の有用な方法によって、例えば、化学的、酵素的または組み換え的に、1つ以上の修飾されたヌクレオシドまたは非天然ヌクレオシドを含むように合成することができる。ポリヌクレオチドは、連結されたヌクレオシドの1つまたは複数の領域を含み得る。そのような領域は、様々な主鎖結合を有し得る。結合は、標準的なホスホジエステル結合であってよく、この場合、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの領域を含むことになる。
【0172】
修飾されたヌクレオチドの塩基対合は、標準的なアデノシン-チミン、アデノシン-ウラシルまたはグアノシン-シトシンの塩基対だけでなく、ヌクレオチド及び/または非標準的塩基もしくは修飾された塩基を含む修飾ヌクレオチドの間で形成される塩基対も包含され、ここで、水素結合ドナーと水素結合アクセプターの配置は、非標準的塩基と標準的塩基との間、または2つの相補的な非標準的塩基構造(例えば、少なくとも1つの化学修飾を有するポリヌクレオチドにおけるものなど)との間の水素結合を可能にするものである。そのような非標準的塩基対合の一例は、修飾されたヌクレオチドのイノシンとアデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対合である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせを本開示のポリヌクレオチドに組み込むことができる。
【0173】
化学修飾を含むがこれらに限定されない、本開示の組成物、ワクチン、方法及び合成手順に有用なポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾は、限定するものではないが、次のものが含まれる:2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、1,2’-O-ジメチルアデノシン、1-メチルアデノシン、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸)、2-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6イソペンテニルアデノシン、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸)、イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6,2’-O-ジメチルアデノシン、N6,2’-O-ジメチルアデノシン、N6,N6,2’-O-トリメチルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、N6-アセチルアデノシン、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、N6-メチル-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、7-デアザ-アデノシン、N1-メチル-アデノシン、N6,N6(ジメチル)アデニン、N6-シス-ヒドロキシ-イソペンテニル-アデノシン、α-チオ-アデノシン、2(アミノ)アデニン、2(アミノプロピル)アデニン、2(メチルチオ)N6(イソペンテニル)アデニン、2-(アルキル)アデニン、2-(アミノアルキル)アデニン、2-(アミノプロピル)アデニン、2-(ハロ)アデニン、2-(ハロ)アデニン、2-(プロピル)アデニン、2’-アミノ-2’-デオキシ-ATP、2’-アジド-2’-デオキシ-ATP、2’-デオキシ-2’-a-アミノアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドアデノシンTP、6(アルキル)アデニン、6(メチル)アデニン、6-(アルキル)アデニン、6-(メチル)アデニン、7(デアザ)アデニン、8(アルケニル)アデニン、8(アルキニル)アデニン、8(アミノ)アデニン、8(チオアルキル)アデニン、8-(アルケニル)アデニン、8-(アルキル)アデニン、8-(アルキニル)アデニン、8-(アミノ)アデニン、8-(ハロ)アデニン、8-(ヒドロキシル)アデニン、8-(チオアルキル)アデニン、8-(チオール)アデニン、8-アジド-アデノシン、アザアデニン、デアザアデニン、N6(メチル)アデニン、N6-(イソペンチル)アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデノシン、7-メチルアデニン、1-デアザアデノシンTP、2’フルオロ-N6-Bz-デオキシアデノシンTP、2’-OMe-2-アミノ-ATP、2’O-メチル-N6-Bz-デオキシアデノシンTP、2’-a-エチニルアデノシンTP、2-アミノアデニン、2-アミノアデノシンTP、2-アミノ-ATP、2’-a-トリフルオロメチルアデノシンTP、2-アジドアデノシンTP、2’-b-エチニルアデノシンTP、2-ブロモアデノシンTP、2’-b-トリフルオロメチルアデノシンTP、2-クロロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-アミノアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-アジドアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-ブロモアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-クロロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-フルオロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-ヨードアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-メルカプトアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-チオメトキシアデノシンTP、2-フルオロアデノシンTP、2-ヨードアデノシンTP、2-メルカプトアデノシンTP、2-メトキシ-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-トリフルオロメチルアデノシンTP、3-デアザ-3-ブロモアデノシンTP、3-デアザ-3-クロロアデノシンTP、3-デアザ-3-フルオロアデノシンTP、3-デアザ-3-ヨードアデノシンTP、3-デアザアデノシンTP、4’-アジドアデノシンTP、4’-炭素環式アデノシンTP、4’-エチニルアデノシンTP、5’-ホモ-アデノシンTP、8-アザ-ATP、8-ブロモ-アデノシンTP、8-トリフルオロメチルアデノシンTP、9-デアザアデノシンTP、2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、2-チオシチジン、3-メチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルシチジン、5,2’-O-ジメチルシチジン、5-ホルミル-2’-O-メチルシチジン、リシジン、N4,2’-O-ジメチルシチジン、N4-アセチル-2’-O-メチルシチジン、N4-メチルシチジン、N4,N4-ジメチル-2’-OMe-シチジンTP、4-メチルシチジン、5-アザ-シチジン、プソイド-イソ-シチジン、ピロロ-シチジン、α-チオ-シチジン、2-(チオ)シトシン、2’-アミノ-2’-デオキシ-CTP、2’-アジド-2’-デオキシ-CTP、2’-デオキシ-2’-a-アミノシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドシチジンTP、3(デアザ)5(アザ)シトシン、3(メチル)シトシン、3-(アルキル)シトシン、3-(デアザ)5(アザ)シトシン、3-(メチル)シチジン、4,2’-O-ジメチルシチジン、5(ハロ)シトシン、5(メチル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(トリフルオロメチル)シトシン、5-(アルキル)シトシン、5-(アルキニル)シトシン、5-(ハロ)シトシン、5-(プロピニル)シトシン、5-(トリフルオロメチル)シトシン、5-ブロモ-シチジン、5-ヨード-シチジン、5-プロピニルシトシン、6-(アゾ)シトシン、6-アザ-シチジン、アザシトシン、デアザシトシン、N4(アセチル)シトシン、1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、1-メチル-プソイドイソシチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、2-メトキシ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-1-メチル-プソイドイソシチジン、4-メトキシ-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-プソイドイソシチジン、4-チオ-プソイドイソシチジン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、ピロロ-プソイドイソシチジン、ゼブラリン、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)シチジンTP、2,2’-無水-シチジンTP塩酸塩、2’フルオロ-N4-Bz-シチジンTP、2’フルオロ-N4-アセチル-シチジンTP、2’-O-メチル-N4-アセチル-シチジンTP、2’O-メチル-N4-Bz-シチジンTP、2’-a-エチニルシチジンTP、2’-a-トリフルオロメチルシチジンTP、2’-b-エチニルシチジンTP、2’-b-トリフルオロメチルシチジンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-アミノシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-アジドシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-ブロモシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-クロロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-フルオロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-ヨードシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-メルカプトシチジンTP、2’-デオキシ-2’-b-チオメトキシシチジンTP、2’-O-メチル-5-(1-プロピニル)シチジンTP、3’-エチニルシチジンTP、4’-アジドシチジンTP、4’-炭素環式シチジンTP、4’-エチニルシチジンTP、5-(1-プロピニル)アラ-シチジンTP、5-(2-クロロ-フェニル)-2-チオシチジンTP、5-(4-アミノ-フェニル)-2-チオシチジンTP、5-アミノアリル-CTP、5-シアノシチジンTP、5-エチニルアラ-シチジンTP、5-エチニルシチジンTP、5’-ホモ-シチジンTP、5-メトキシシチジンTP、5-トリフルオロメチル-シチジンTP、N4-アミノ-シチジンTP、N4-ベンゾイル-シチジンTP、プソイドイソシチジン、7-メチルグアノシン、N2,2’-O-ジメチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、ワイオシン、1,2’-O-ジメチルグアノシン、1-メチルグアノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸)、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸)、7-アミノメチル-7-デアザグアノシン、7-シアノ-7-デアザグアノシン、アルカエオシン、メチルワイオシン、N2,7-ジメチルグアノシン、N2,N2,2’-O-トリメチルグアノシン、N2,N2,7-トリメチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、N2,7,2’-O-トリメチルグアノシン、6-チオ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、N1-メチル-グアノシン、α-チオ-グアノシン、2(プロピル)グアニン、2-(アルキル)グアニン、2’-アミノ-2’-デオキシ-GTP、2’-アジド-2’-デオキシ-GTP、2’-デオキシ-2’-a-アミノグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドグアノシンTP、6(メチル)グアニン、6-(アルキル)グアニン、6-(メチル)グアニン、6-メチル-グアノシン、7(アルキル)グアニン、7(デアザ)グアニン、7(メチル)グアニン、7-(アルキル)グアニン、7-(デアザ)グアニン、7-(メチル)グアニン、8(アルキル)グアニン、8(アルキニル)グアニン、8(ハロ)グアニン、8(チオアルキル)グアニン、8-(アルケニル)グアニン、8-(アルキル)グアニン、8-(アルキニル)グアニン、8-(アミノ)グアニン、8-(ハロ)グアニン、8-(ヒドロキシル)グアニン、8-(チオアルキル)グアニン、8-(チオール)グアニン、アザグアニン、デアザグアニン、N(メチル)グアニン、N-(メチル)グアニン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、6-メトキシ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、1-Me-GTP、2’フルオロ-N2-イソブチル-グアノシンTP、2’O-メチル-N2-イソブチル-グアノシンTP、2’-a-エチニルグアノシンTP、2’-a-トリフルオロメチルグアノシンTP、2’-b-エチニルグアノシンTP、2’-b-トリフルオロメチルグアノシンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-アミノグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-アジドグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-ブロモグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-クロログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-フルオログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-ヨードグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-b-メルカプトグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-

b-チオメトキシグアノシンTP、4’-アジドグアノシンTP、4’-炭素環式グアノシンTP、4’-エチニルグアノシンTP、5’-ホモ-グアノシンTP、8-ブロモ-グアノシンTP、9-デアザグアノシンTP、N2-イソブチル-グアノシンTP、1-メチルイノシン、イノシン、1,2’-O-ジメチルイノシン、2’-O-メチルイノシン、7-メチルイノシン、2’-O-メチルイノシン、エポキシクエオシン、ガラクトシル-クエオシン、マンノシルクエオシン、クエオシン、アリルアミノ-チミジン、アザチミジン、デアザチミジン、デオキシ-チミジン、2’-O-メチルウリジン、2-チオウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチルウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-タウリノメチル-2-チオウリジン、5-タウリノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、1-メチル-3-(3-アミノ-5-カルボキシプロピル)プソイドウリジン、1-メチルプソイドウリジン、1-エチル-プソイドウリジン、2’-O-メチルウリジン、2’-O-メチルプソイドウリジン、2’-O-メチルウリジン、2-チオ-2’-O-メチルウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、3,2’-O-ジメチルウリジン、3-メチル-プソイド-ウリジンTP、4-チオウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル、5,2’-O-ジメチルウリジン、5,6-ジヒドロ-ウリジン、5-アミノメチル-2-チオウリジン、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチルウリジン、5-カルバモイルメチルウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチルウリジンメチルエステル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5-カルバモイルメチルウリジンTP、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチルウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン、5-メトキシカルボニルメチルウリジン、5-メチルウリジン,)、5-メトキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルジヒドロウリジン、5-オキシ酢酸-ウリジンTP、5-オキシ酢酸-メチルエステル-ウリジンTP、N1-メチル-プソイド-ウラシル、N1-エチル-プソイド-ウラシル、ウリジン5-オキシ酢酸、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)-ウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-2-チオウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチルウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)ウリジンTP、5-プロピニルウラシル、α-チオ-ウリジン、1(アミノアルキルアミノ-カルボニルエチルエニル)-2(チオ)-プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチルエニル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチルエニル)-4(チオ)プソイドウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチルエニル)-プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチルエニル)-2(チオ)-プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチルエニル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチルエニル)-4(チオ)プソイドウラシル、1(アミノカルボニルエチルエニル)-プソイドウラシル、1置換2(チオ)-プソイドウラシル、1置換2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1置換4(チオ)プソイドウラシル、1置換プソイドウラシル、1-(アミノアルキルアミノ-カルボニルエチルエニル)-2-(チオ)-プソイドウラシル、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジンTP、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイド-UTP、1-メチル-プソイド-UTP、1-エチル-プソイド-UTP、2(チオ)プソイドウラシル、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2-(チオ)ウラシル、2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-グアノシン、2’-アミノ-2’-デオキシ-UTP、2’-アジド-2’-デオキシ-UTP、2’-アジド-デオキシウリジンTP、2’-O-メチルプソイドウリジン、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2’-デオキシ-2’-a-アミノウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドウリジンTP、2-メチルプソイドウリジン、3(3アミノ-3カルボキシプロピル)ウラシル、4(チオ)プソイドウラシル、4-(チオ)プソイドウラシル、4-(チオ)ウラシル、4-チオウラシル、5(1,3-ジアゾール-1-アルキル)ウラシル、5(2-アミノプロピル)ウラシル、5(アミノアルキル)ウラシル、5(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5(メトキシカルボニルメチル)-2-(チオ)ウラシル、5(メトキシカルボニル-メチル)ウラシル、5(メチル)2(チオ)ウラシル、5(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチル)4(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-2(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-4(チオ)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(トリフルオロメチル)ウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-(アルキル)-2-(チオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)-2,4(ジチオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)-4(チオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)プソイドウラシル、5-(アルキル)ウラシル、5-(アルキニル)ウラシル、5-(アリルアミノ)ウラシル、5-(シアノアルキル)ウラシル、5-(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5-(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5-(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5-(ハロ)ウラシル、5-(l,3-ジアゾール-l-アルキル)ウラシル、5-(メトキシ)ウラシル、5-(メトキシカルボニルメチル)-2-(チオ)ウラシル、5-(メトキシカルボニル-メチル)ウラシル、5-(メチル)2(チオ)ウラシル、5-(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5-(メチル)4(チオ)ウラシル、5-(メチル)-2-(チオ)プソイドウラシル、5-(メチル)-2,4(ジチオ)プソイドウラシル、5-(メチル)-4(チオ)プソイドウラシル、5-(メチル)プソイドウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2(チオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2,4(ジチオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-4-(チオ)ウラシル、5-(プロピニル)ウラシル、5-(トリフルオロメチル)ウラシル、5-アミノアリル-ウリジン、5-ブロモ-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、5-ウラシル、6(アゾ)ウラシル、6-(アゾ)ウラシル、6-アザ-ウリジン、アリルアミノ-ウラシル、アザウラシル、デアザウラシル、N3(メチル)ウラシル、プソイド-UTP-1-2-エタン酸、プソイドウラシル、4-チオ-プソイド-UTP、1-カルボキシメチル-プソイドウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、1-プロピニル-ウリジン、1-タウリノメチル-1-メチル-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-プソイドウリジン、2-メトキシ-4-チオ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、(±)1-(2-ヒドロキシプロピル)プソイドウリジンTP、(2R)-1-(2-ヒドロキシプロピル)プソイドウリジンTP、(2S)-1-(2-ヒドロキシプロピル)プソイドウリジンTP、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)アラ-ウリジンTP、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)ウリジンTP、(Z)-5-(2-ブロモ-ビニル)アラ-ウリジンTP、(Z)-5-(2-ブロモ-ビニル)ウリジンTP、1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-プソイド-UTP、1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)プソイドウリジンTP、1-(2,2-ジエトキシエチル)プソイドウリジンTP、1-(2,4,6-トリメチルベンジル)プソイドウリジンTP、1-(2,4,6-トリメチル-ベンジル)プソイド-UTP、1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)プソイド-UTP、1-(2-アミノ-2-カルボキシエチル)プソイド-UTP、1-(2-アミノ-エチル)プソイド-UTP、1-(2-ヒドロキシエチル)プソイドウリジンTP、1-(2-Mエトキシエチル)プソイドウリジンTP、1-(3,4-ビス-トリフルオロメトキシベンジル)プソイドウリジンTP、1-(3,4-ジメトキシベンジル)プソイドウリジンTP、1-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイド-UTP、1-(3-アミノ-プロピル)プソイド-UTP、1-(3-シクロプロピル-プロパ-2-イニル)プソイドウリジンTP、1-(4-アミノ-4-カルボキシブチル)プソイド-UTP、1-(4-アミノ-ベンジル)プソイド-UTP、1-(4-アミノ-ブチル)プソイド-UTP、1-(4-アミノ-フェニル)プソイド-UTP、1-(4-アジドベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-ブロモベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-クロロベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-フルオロベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-ヨードベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-メタンスルホニルベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-メトキシベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-メトキシ-ベンジル)プソイド-UTP、1-(4-メトキシ-フェニル)プソイド-UTP、1-(4-メチルベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-メチル-ベンジル)プソイド-UTP、1-(4-ニトロベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-ニトロ-ベンジル)プソイド-UTP、1(4-ニトロ-フェニル)プソイド-UTP、1-(4-チオメトキシベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-トリフルオロメトキシベンジル)プソイドウリジンTP、1-(4-トリフルオロメチルベンジル)プソイドウリジンTP、1-(5-アミノ-ペンチル)プソイド-UTP、1-(6-アミノ-ヘキシル)プソイド-UTP、1,6-ジメチル-プソイド-UTP、1-[3-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-プロピオニル]プソイドウリジンTP、1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-プロピオニル}プソイドウリジンTP、1-アセチルプソイドウリジンTP、1-アルキル-6-(1-プロピニル)-プソイド-UTP、1-アルキル-6-(2-プロピニル)-プソイド-UTP、1-アルキル-6-アリル-プソイド-UTP、1-アルキル-6-エチニル-プソイド-UTP、1-アルキル-6-ホモアリル-プソイド-UTP、1-アルキル-6-ビニル-プソイド-UTP、1-アリルプソイドウリジンTP、1-アミノメチル-プソイド-UTP、1-ベンゾイルプソイドウリジンTP、1-ベンジルオキシメチルプソイドウリジンTP、1-ベンジル-プソイド-UTP、1-ビオチニル-

PEG2-プソイドウリジンTP、1-ビオチニルプソイドウリジンTP、1-ブチル-プソイド-UTP、1-シアノメチルプソイドウリジンTP、1-シクロブチルメチル-プソイド-UTP、1-シクロブチル-プソイド-UTP、1-シクロヘプチルメチル-プソイド-UTP、1-シクロヘプチル-プソイド-UTP、1-シクロヘキシルメチル-プソイド-UTP、1-シクロヘキシル-プソイド-UTP、1-シクロオクチルメチル-プソイド-UTP、1-シクロオクチル-プソイド-UTP、1-シクロペンチルメチル-プソイド-UTP、1-シクロペンチル-プソイド-UTP、1-シクロプロピルメチル-プソイド-UTP、1-シクロプロピル-プソイド-UTP、1-エチル-プソイド-UTP、1-ヘキシル-プソイド-UTP、1-ホモアリルプソイドウリジンTP、1-ヒドロキシメチルプソイドウリジンTP、1-イソ-プロピル-プソイド-UTP、1-Me-2-チオ-プソイド-UTP、1-Me-4-チオ-プソイド-UTP、1-Me-アルファ-チオ-プソイド-UTP、1-メタンスルホニルメチルプソイドウリジンTP、1-メトキシメチルプソイドウリジンTP、1-メチル-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)プソイド-UTP、1-メチル-6-(4-モルホリノ)-プソイド-UTP、1-メチル-6-(4-チオモルホリノ)-プソイド-UTP、1-メチル-6-(置換フェニル)プソイド-UTP、1-メチル-6-アミノ-プソイド-UTP、1-メチル-6-アジド-プソイド-UTP、1-メチル-6-ブロモ-プソイド-UTP、1-メチル-6-ブチル-プソイド-UTP、1-メチル-6-クロロ-プソイド-UTP、1-メチル-6-シアノ-プソイド-UTP、1-メチル-6-ジメチルアミノ-プソイド-UTP、1-メチル-6-エトキシ-プソイド-UTP、1-メチル-6-エチルカルボキシレート-プソイド-UTP、1-メチル-6-エチル-プソイド-UTP、1-メチル-6-フルオロ-プソイド-UTP、1-メチル-6-ホルミル-プソイド-UTP、1-メチル-6-ヒドロキシアミノ-プソイド-UTP、1-メチル-6-ヒドロキシ-プソイド-UTP、1-メチル-6-ヨード-プソイド-UTP、1-メチル-6-イソ-プロピル-プソイド-UTP、1-メチル-6-メトキシ-プソイド-UTP、1-メチル-6-メチルアミノ-プソイド-UTP、1-メチル-6-フェニル-プソイド-UTP、1-メチル-6-プロピル-プソイド-UTP、1-メチル-6-tert-ブチル-プソイド-UTP、1-メチル-6-トリフルオロメトキシ-プソイド-UTP、1-メチル-6-トリフルオロメチル-プソイド-UTP、1-モルホリノメチルプソイドウリジンTP、1-ペンチル-プソイド-UTP、1-フェニル-プソイド-UTP、1-ピバロイルプソイドウリジンTP、1-プロパルギルプソイドウリジンTP、1-プロピル-プソイド-UTP、1-プロピニル-プソイドウリジン、1-p-トリル-プソイド-UTP、1-tert-ブチル-プソイド-UTP、1-チオメトキシメチルプソイドウリジンTP、1-チオモルホリノメチルプソイドウリジンTP、1-トリフルオロアセチルプソイドウリジンTP、1-トリフルオロメチル-プソイド-UTP、1-ビニルプソイドウリジンTP、2,2’-無水-ウリジンTP、2’-ブロモ-デオキシウリジンTP、2’-F-5-メチル-2’-デオキシ-UTP、2’-OMe-5-Me-UTP、2’-OMe-プソイド-UTP、2’-a-エチニルウリジンTP、2’-a-トリフルオロメチルウリジンTP、2’-b-エチニルウリジンTP、2’-b-トリフルオロメチルウリジンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-アミノウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-アジドウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-ブロモウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-クロロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-フルオロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-ヨードウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-メルカプトウリジンTP、2’-デオキシ-2’-b-チオメトキシウリジンTP、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、2-メトキシウリジン、2’-O-メチル-5-(1-プロピニル)ウリジンTP、3-アルキル-プソイド-UTP、4’-アジドウリジンTP、4’-炭素環式ウリジンTP、4’-エチニルウリジンTP、5-(1-プロピニル)アラ-ウリジンTP、5-(2-フラニル)ウリジンTP、5-シアノウリジンTP、5-ジメチルアミノウリジンTP、5’-ホモ-ウリジンTP、5-ヨード-2’-フルオロ-デオキシウリジンTP、5-フェニルエチニルウリジンTP、5-トリ重水素メチル-6-重水素ウリジンTP、5-トリフルオロメチル-ウリジンTP、5-ビニルアラウリジンTP、6-(2,2,2-トリフルオロエチル)-プソイド-UTP、6-(4-モルホリノ)-プソイド-UTP、6-(4-チオモルホリノ)-プソイド-UTP、6-(置換フェニル)-プソイド-UTP、6-アミノ-プソイド-UTP、6-アジド-プソイド-UTP、6-ブロモ-プソイド-UTP、6-ブチル-プソイド-UTP、6-クロロ-プソイド-UTP、6-シアノ-プソイド-UTP、6-ジメチルアミノ-プソイド-UTP、6-エトキシ-プソイド-UTP、6-エチルカルボキシレート-プソイド-UTP、6-エチル-プソイド-UTP、6-フルオロ-プソイド-UTP、6-ホルミル-プソイド-UTP、6-ヒドロキシアミノ-プソイド-UTP、6-ヒドロキシ-プソイド-UTP、6-ヨード-プソイド-UTP、6-イソ-プロピル-プソイド-UTP、6-メトキシ-プソイド-UTP、6-メチルアミノ-プソイド-UTP、6-メチル-プソイド-UTP、6-フェニル-プソイド-UTP、6-フェニル-プソイド-UTP、6-プロピル-プソイド-UTP、6-tert-ブチル-プソイド-UTP、6-トリフルオロメトキシ-プソイド-UTP、6-トリフルオロメチル-プソイド-UTP、アルファ-チオ-プソイド-UTP、プソイドウリジン1-(4-メチルベンゼンスルホン酸)TP、プソイドウリジン1-(4-メチル安息香酸)TP、プソイドウリジンTP1-[3-(2-エトキシ)]プロピオン酸、プソイドウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-(2-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、プソイドウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-{2(2-エトキシ)-エトキシ}-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、プソイドウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、プソイドウリジンTP1-[3-{2-(2-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、プソイドウリジンTP1-メチルホスホン酸、プソイドウリジンTP1-メチルホスホン酸ジエチルエステル、プソイド-UTP-N1-3-プロピオン酸、プソイド-UTP-N1-4-ブタン酸、プソイド-UTP-N1-5-ペンタン酸、プソイド-UTP-N1-6-ヘキサン酸、プソイド-UTP-N1-7-ヘプタン酸、プソイド-UTP-N1-メチル-p-安息香酸、プソイド-UTP-N1-p-安息香酸、ワイブトシン、ヒドロキシワイブトシン、イソワイオシン、ペルオキシワイブトシン、低修飾ヒドロキシワイブトシン、4-デメチルワイオシン、2,6-(ジアミノ)プリン、1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル:1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノチアジン-l-イル、1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、1,3,5-(トリアザ)-2,6-(ジオキサ)-ナフタレン、2(アミノ)プリン、2,4,5-(トリメチル)フェニル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-シチジン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-アデニン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-ウリジン、2’-アミノ-2’-デオキシリボース、2-アミノ-6-クロロ-プリン、2-アザ-イノシニル、2’-アジド-2’-デオキシリボース、2’フルオロ-2’-デオキシリボース、2’-フルオロ-修飾塩基、2’-O-メチル-リボース、2-オキソ-7-アミノピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-ピリドピリミジン-3-イル、2-ピリジノン、3ニトロピロール、3-(メチル)-7-(プロピニル)イソカルボスチリリル、3-(メチル)イソカルボスチリリル、4-(フルオロ)-6-(メチル)ベンゾイミダゾール、4-(メチル)ベンゾイミダゾール、4-(メチル)インドリル、4,6-(ジメチル)インドリル、5ニトロインドール、5置換ピリミジン、5-(メチル)イソカルボスチリリル、5-ニトロインドール、6-(アザ)ピリミジン、6-(アゾ)チミン、6-(メチル)-7-(アザ)インドリル、6-クロロ-プリン、6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノチアジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノチアジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アザ)インドリル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノチアジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキル-ヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノチアジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(プロピニル)イソカルボスチリリル、7-(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル-7-(アザ)インドリル、7-デアザ-イノシニル、7-置換1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-置換1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、9-(メチル)-イミジゾピリジニル、アミノインドリル、アントラセニル、ビス-オルト-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ビス-オルト-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ジフルオロトリル、ヒポキサンチン、イミジゾピリジニル、イノシニル、イソカルボスチリリル、イソグアニシン、N2-置換プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、N6-置換プリン、N-アルキル化誘導体、ナフタレニル、ニトロベンゾイミダゾリル、ニトロイミダゾリル、ニトロインダゾリル、ニトロピラゾリル、ヌブラリン、O6-置換プリン、O-アルキル化誘導体、オルト-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オルト-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オキソホルミシンTP、パラ-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、パラ-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ペンタセニル、フェナントラセニル、フェニル、プロピニル-7-(アザ)イン

ドリル、ピレニル、ピリドピリミジン-3-イル、ピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-7-アミノ-ピリドピリミジン-3-イル、ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ピロロピリミジニル、ピロロピリジニル、スチルベンジル、置換1,2,4-トリアゾール、テトラセニル、ツベルシジン、キサンチン、キサントシン-5’-TP、2-チオ-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、2-アミノ-リボシド-TP、ホルマイシンATP、ホルマイシンBTP、ピロロシンTP、2’-OH-アラ-アデノシンTP、2’-OH-アラ-シチジンTP、2’-OH-アラ-ウリジンTP、2’-OH-アラ-グアノシンTP、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジンTP、及びN6-(19-アミノ-ペンタオキサノンアデシル)アデノシンTP。
【0174】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2、3、4つまたはそれ以上)の組み合わせを含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)中の修飾核酸塩基は、プソイドウリジン(ψ)、2-チオウリジン(s2U)、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、2’-O-メチルウリジン、1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、α-チオ-グアノシン、α-チオ-アデノシン、5-シアノウリジン、4’-チオウリジン7-デアザ-アデニン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)及び2,6-ジアミノプリン、(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7-デアザ-グアノシン、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ1)、7-メチル-グアノシン(m7G)、1-メチル-グアノシン(m1G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、2,8-ジメチルアデノシン、2-ゲラニルチオウリジン、2-リシジン、2-セレノウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)-5,6-ジヒドロウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジン、3-メチルプソイドウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-2’-O-メチルウリジンメチルエステル、5-アミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-アミノメチル-2-セレノウリジン、5-アミノメチルウリジン、5-カルバモイルヒドロキシメチルウリジン、5-カルバモイルメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-シアノメチルウリジン、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、7-アミノカルボキシプロピル-デメチルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシンメチルエステル、8-メチルアデノシン、N4,N4-ジメチルシチジン、N6-ホルミルアデノシン、N6-ヒドロキシメチルアデノシン、アグマチジン、環式N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、グルタミル-クエオシン、メチル化低修飾ヒドロキシワイブトシン、N4,N4,2’-O-トリメチルシチジン、ゲラニル化5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン、ゲラニル化5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、Q塩基、preQ0塩基、preQ1塩基、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドは、プソイドウリジン、1-メチル-プソイドウリジン、1-エチル-プソイドウリジン、5-メチルシトシン、5-メトキシウリジン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAポリリボヌクレオチドなどのRNAポリリボヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2、3、4つまたはそれ以上)の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2、3、4つまたはそれ以上)の組み合わせを含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)中の修飾核酸塩基は、1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、プソイドウリジン(ψ)、α-チオ-グアノシン及びα-チオ-アデノシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、前述の修飾核酸塩基の少なくとも2つ(例えば、2、3、4つまたはそれ以上)の組み合わせを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、プソイドウリジン(ψ)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2-チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2-チオウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、メトキシ-ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2’-O-メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、2’-O-メチルウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、N6-メチル-アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、N6-メチル-アデノシン(m6A)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、特定の修飾のために均一に修飾される(例えば、完全に修飾される、配列全体にわたって修飾される)。例えば、ポリヌクレオチドは、1-メチル-プソイドウリジンで均一に修飾され得、すなわち、mRNA配列中の全てのウリジン残基が1-メチル-プソイドウリジンで置き換えられる。同様に、ポリヌクレオチドは、配列中に存在するあらゆる種類のヌクレオシド残基が上記のものなどの修飾残基で置き換えられることによって、均一に修飾され得る。
【0179】
修飾シトシンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、N4-アセチル-シチジン(ac4C)、5-メチル-シチジン(m5C)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hm5C)、1-メチル-プソイドイソシチジン、2-チオ-シチジン(s2C)及び2-チオ-5-メチル-シチジンが挙げられる。
【0180】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾ウリジンである。修飾ウリジンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)、5-メトキシウリジン、2-チオウリジン、5-シアノウリジン、2’-O-メチルウリジン及び4’-チオウリジンが挙げられる。
【0181】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、7-デアザ-アデニン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)及びN6-メチル-アデノシン(m6A)が挙げられる。
【0182】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7-デアザ-グアノシン、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ1)、7-メチル-グアノシン(m7G)、1-メチル-グアノシン(m1G)、8-オキソ-グアノシン及び7-メチル-8-オキソ-グアノシンが挙げられる。
【0183】
本開示のポリヌクレオチドは、分子の全長にわたって部分的にまたは完全に修飾され得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドまたはその所定の配列領域(例えば、ポリAテールを含む、または含まないmRNA)中の1つ以上または全てまたは所与の種類のヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つ以上もしくは全て)が均一に修飾され得る。いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチド(またはその所与の配列領域)中の全てのヌクレオチドXが、修飾ヌクレオチドであり、ここで、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのうちのいずれか1つ、または組み合わせA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cのうちのいずれか1つである。
【0184】
ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを約1%~約100%(全体的なヌクレオチド含有量に対して、またはヌクレオチドの1つ以上の種類(すなわち、A、G、UまたはCのうちのいずれか1つ以上)に対して)、またはその間の任意のパーセンテージ(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%及び95%~100%)含有し得る。任意の残りのパーセンテージは、非修飾のA、G、UまたはCの存在によって占められることは理解されるであろう。
【0185】
ポリヌクレオチドは、最小1%及び最大100%の修飾ヌクレオチド、またはその間の任意のパーセンテージ、例えば、少なくとも5%の修飾ヌクレオチド、少なくとも10%の修飾ヌクレオチド、少なくとも25%の修飾ヌクレオチド、少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、もしくは少なくとも90%の修飾ヌクレオチドを含有し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、修飾ウラシルまたは修飾シトシンなどの修飾ピリミジンを含有し得る。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド中のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、修飾ウラシル(例えば、5-置換ウラシル)によって置き換えられる。修飾ウラシルは、単一の特有な構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば、2、3、4つまたはそれ以上の特有な構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド中のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、修飾シトシン(例えば、5-置換シトシン)によって置き換えられる。修飾シトシンは、単一の特有な構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば、2、3、4つまたはそれ以上の特有な構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾ウラシルである。修飾ウラシルを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、プソイドウリジン(ψ)、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-プソイドウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(hoU)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジンまたは5-ブロモ-ウリジン)、3-メチル-ウリジン(mU)、5-メトキシ-ウリジン(moU)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmoU)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmoU)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cmU)、1-カルボキシメチル-プソイドウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chmU)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchmU)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcmU)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウリジン(mcmU)、5-アミノメチル-2-チオ-ウリジン(nmU)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnmseU)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnmU)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τmU)、1-タウリノメチル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τmU)、1-タウリノメチル-4-チオ-プソイドウリジン、5-メチル-ウリジン(mU、すなわち、核酸塩基デオキシチミンを有する)、1-メチル-プソイドウリジン(mψ)、1-エチル-プソイドウリジン(eψ)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(mU)、1-メチル-4-チオ-プソイドウリジン(mψ)、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、3-メチル-プソイドウリジン(mψ)、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロプソイドウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(mD)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、N1-メチル-プソイドウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acpU)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジン(acpψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inmU)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inmU)、α-チオ-ウリジン、2’-O-メチル-ウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、2’-O-メチル-プソイドウリジン(ψm)、2-チオ-2’-O-メチル-ウリジン(sUm)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcmUm)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncmUm)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnmUm)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、及び5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inmUm)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’-F-アラ-ウリジン、2’-F-ウリジン、2’-OH-アラ-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジン及び5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)]ウリジンが挙げられる。
【0187】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。修飾シトシンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、5-アザ-シチジン、6-アザ-シチジン、プソイドイソシチジン、3-メチル-シチジン(mC)、N4-アセチル-シチジン(acC)、5-ホルミル-シチジン(fC)、N4-メチル-シチジン(mC)、5-メチル-シチジン(mC)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hmC)、1-メチル-プソイドイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-プソイドイソシチジン、2-チオ-シチジン(sC)、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-プソイドイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-プソイドイソシチジン、リシジン(kC)、α-チオ-シチジン、2’-O-メチル-シチジン(Cm)、5,2’-O-ジメチル-シチジン(mCm)、N4-アセチル-2’-O-メチル-シチジン(acCm)、N4,2’-O-ジメチル-シチジン(mCm)、5-ホルミル-2’-O-メチル-シチジン(fCm)、N4,N4,2’-O-トリメチル-シチジン(m Cm)、1-チオ-シチジン、2’-F-アラ-シチジン、2’-F-シチジン及び2’-OH-アラ-シチジンが挙げられる。
【0188】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノ-6-ハロ-プリン(例えば、2-アミノ-6-クロロ-プリン)、6-ハロ-プリン(例えば、6-クロロ-プリン)、2-アミノ-6-メチル-プリン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチル-アデノシン(mA)、2-メチル-アデニン(mA)、N6-メチル-アデノシン(mA)、2-メチルチオ-N6-メチル-アデノシン(msA)、N6-イソペンテニル-アデノシン(iA)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニル-アデノシン(msA)、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ioA)、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(msioA)、N6-グリシニルカルバモイル-アデノシン(gA)、N6-スレオニルカルバモイル-アデノシン(tA)、N6-メチル-N6-スレオニルカルバモイル-アデノシン(mA)、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイル-アデノシン(msA)、N6,N6-ジメチル-アデノシン(m A)、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(hnA)、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(mshnA)、N6-アセチル-アデノシン(acA)、7-メチル-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、α-チオ-アデノシン、2’-O-メチル-アデノシン(Am)、N6,2’-O-ジメチル-アデノシン(mAm)、N6,N6,2’-O-トリメチル-アデノシン(m Am)、1,2’-O-ジメチル-アデノシン(mAm)、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸)(Ar(p))、2-アミノ-N6-メチル-プリン、1-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、2’-F-アラ-アデノシン、2’-F-アデノシン、2’-OH-アラ-アデノシン及びN6-(19-アミノ-ペンタオキサノンアデシル)-アデノシンが挙げられる。
【0189】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(mI)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4-デメチル-ワイオシン(imG-14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(oyW)、ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、低修飾ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、7-デアザ-グアノシン、クエオシン(Q)、エポキシクエオシン(oQ)、ガラクトシル-クエオシン(galQ)、マンノシル-クエオシン(manQ)、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ)、アルカエオシン(G)、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン(mG)、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチル-イノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチル-グアノシン(mG)、N2-メチル-グアノシン(mG)、N2,N2-ジメチル-グアノシン(m G)、N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,2,7G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、α-チオ-グアノシン、2’-O-メチル-グアノシン(Gm)、N2-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(mGm)、N2,N2-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m Gm)、1-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(mGm)、N2,7-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2,7Gm)、2’-O-メチル-イノシン(Im)、1,2’-O-ジメチル-イノシン(mIm)、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸)(Gr(p))、1-チオ-グアノシン、O6-メチル-グアノシン、2’-F-アラ-グアノシン、及び2’-F-グアノシンが挙げられる。
【0190】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、5’UTRエレメント、任意選択によりコドン最適化オープンリーディングフレームならびに3’UTRエレメント、ポリ(A)配列及び/またはポリアデニル化シグナルを含み、当該RNAは、化学修飾されていない。
【0191】
RSV RNAワクチン:RNA(例えば、mRNA)のin vitro転写
本開示のRSVワクチンは、mRNA(例えば、修飾されたmRNA)などの少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含む。mRNAは、例えば、「in vitro転写鋳型」と呼ばれる鋳型DNAからin vitroで転写される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有する。少なくとも1つの化学修飾には、明示的に限定されるものではないが、本明細書に記載の任意の修飾が含まれ得る。
【0192】
RNAのin vitro転写は、当該技術分野において知られており、国際公開第WO/2014/152027号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている。例えば、いくつかの実施形態において、RNA転写産物は、RNA転写産物を生成するためのin vitro転写反応において、増幅されていない線状DNA鋳型を使用して生成される。いくつかの実施形態において、RNA転写産物は、酵素的キャッピングによりキャッピングされる。いくつかの実施形態において、RNA転写産物は、クロマトグラフ法により、例えば、オリゴdT基質を使用して精製される。いくつかの実施形態は、DNaseの使用を除外する。いくつかの実施形態において、RNA転写産物は、T7ファージRNAポリメラーゼ及び所望の化学物質のヌクレオチド三リン酸を利用する酵素的in vitro転写反応により、目的遺伝子をコードする増幅されていない線状DNA鋳型から合成される。任意数のRNAポリメラーゼまたはバリアントを本発明の方法で使用することができる。ポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、例えば、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNaポリメラーゼ及び/または変異ポリメラーゼ(例えば、限定するものではないが、化学修飾された核酸及び/またはヌクレオチドを含む修飾核酸及び/または修飾ヌクレオチドを組み込むことができるポリメラーゼ)から選択され得るが、これらに限定されない。
【0193】
いくつかの実施形態において、増幅されていない線状化プラスミドDNAをin vitro転写の鋳型DNAとして利用する。いくつかの実施形態において、鋳型DNAは、単離されたDNAである。いくつかの実施形態において、鋳型DNAは、cDNAである。いくつかの実施形態において、cDNAは、RNAポリヌクレオチド、例えば、限定するものではないが、RSV RNA、例えば、RSV mRNAの逆転写によって形成される。いくつかの実施形態において、細胞は、例えば、細菌細胞、例えば、E.coliであり、例えば、DH-1細胞にプラスミドDNA鋳型をトランスフェクトする。いくつかの実施形態において、トランスフェクトした細胞を培養してプラスミドDNAを複製し、その後、プラスミドDNAを単離及び精製する。いくつかの実施形態において、DNA鋳型は、5’側に位置し、目的遺伝子に作動可能に連結されたRNAポリメラーゼプロモーター、例えば、T7プロモーターを含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、in vitro転写鋳型は、5’非翻訳(UTR)領域をコードし、オープンリーディングフレームを含有し、3’UTR及びポリAテールをコードする。in vitro転写鋳型の特定の核酸配列の組成及び長さは、鋳型によってコードされるmRNAに依存する。
【0195】
「5’非翻訳領域」(UTR)は、ポリペプチドをコードしていない開始コドン(すなわち、リボソームによって翻訳されるmRNA転写産物の最初のコドン)から直接上流(すなわち、5’側)にあるmRNAの領域を指す。
【0196】
「3’非翻訳領域」(UTR)は、ポリペプチドをコードしていない終止コドン(すなわち、翻訳の終結を伝達するmRNA転写産物のコドン)から直接下流(すなわち、3’側)にあるmRNAの領域を指す。
【0197】
「オープンリーディングフレーム」は、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAGまたはTGA)で終わり、かつポリペプチドをコードするDNAの連続ストレッチである。
【0198】
「ポリAテール」は、多数の連続したアデノシン一リン酸を含有する、3’UTRから下流、例えば、直接下流(すなわち、3’側)にあるmRNAの領域である。ポリAテールは、10~300個のアデノシン一リン酸を含有し得る。例えば、ポリAテールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290または300個のアデノシン一リン酸を含有し得る。いくつかの実施形態において、ポリAテールは、50~250個のアデノシン一リン酸を含有する。関連する生物学的環境内(例えば、細胞内、in vivo)において、ポリ(A)テールは、例えば、細胞質内での酵素分解からmRNAを保護するように機能し、かつ/または転写終結、核からのmRNAの輸送及び翻訳を助ける。
【0199】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、200~3,000個のヌクレオチドを含む。例えば、ポリヌクレオチドは、200~500、200~1000、200~1500、200~3000、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1500~3000または2000~3000個のヌクレオチドを含み得る。
【0200】
治療方法
ヒト及び他の動物におけるRSVの予防及び/または治療のための組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット及び試薬が本明細書で提供される。RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、治療薬または予防薬として使用することができる。これは、感染症の予防及び/または治療のための薬剤として使用することができる。例示的な態様において、本開示のRSV RNAワクチンは、RSVからの予防的保護を提供するために使用される。RSVからの予防的保護は、本開示のRSV RNAワクチンの投与後に達成され得る。ワクチンは、1回、2回、3回、4回またはそれ以上投与することができるが、ワクチンを1回投与すれば十分であり得る(その後、任意選択により1回のブースターを行う)。あまり望ましくはないが、感染個体にワクチンを投与して治療応答を達成することが可能である。用量は適宜調整する必要があり得る。
【0201】
本発明の態様において、RSVに対する対象の免疫応答を誘発する方法が提供される。方法は、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含むRSV RNAワクチンを対象に投与することを伴い、これにより、当該対象において、RSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片に特異的な免疫応答を誘導するものであり、当該対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型(例えば、非核酸)ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して増加する。「抗抗原性ポリペプチド抗体」は、抗原性ポリペプチドに特異的に結合する血清抗体である。
【0202】
予防上有効な用量は、臨床的に許容されるレベルでウイルスの感染を防ぐ治療上有効な用量である。いくつかの実施形態において、治療上有効な用量は、ワクチンの添付文書に列挙される用量である。従来型ワクチンは、本明細書で使用されるとき、本発明のmRNAワクチン以外のワクチンを指す。例えば、従来型ワクチンには、生きた微生物のワクチン、死滅した微生物のワクチン、サブユニットワクチン、タンパク質抗原ワクチン、DNAワクチンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0203】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、1log~10log増加する。
【0204】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、1log増加する。
【0205】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、2log増加する。
【0206】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、3log増加する。
【0207】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、5log増加する。
【0208】
いくつかの実施形態において、対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価は、ワクチン接種後、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象の抗抗原性ポリペプチド抗体力価と比較して、10log増加する。
【0209】
本発明の他の態様において、RSVに対する対象の免疫応答を誘発する方法が提供される。方法は、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含むRSV RNAワクチンを対象に投与することを伴い、これにより、当該対象において、RSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片に特異的な免疫応答を誘導するものであり、当該対象における免疫応答は、RSVに対する従来型ワクチンをRNAワクチンに対して2倍~100倍の用量レベルで接種した対象における免疫応答と同等である。
【0210】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して2倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0211】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して3倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0212】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して4倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0213】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して5倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0214】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して10倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0215】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して50倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0216】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して100倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0217】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して10~1000倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0218】
いくつかの実施形態において、対象の免疫応答は、従来型ワクチンをRSV RNAワクチンに対して100~1000倍の用量レベルで接種した対象の免疫応答と同等である。
【0219】
他の実施形態において、免疫応答は、対象における[タンパク質]抗体力価を決定することによって評価される。
【0220】
他の態様において、本発明は、少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含むRSV RNAワクチンを対象に投与することによって、当該対象において、RSVに対する免疫応答を誘発する方法であり、これにより、当該対象において、RSV抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片に特異的な免疫応答を誘導するものであり、当該対象における免疫応答は、RSVに対する従来型ワクチンを予防上有効な用量で接種した対象において誘発される免疫応答と比較して2日~10週間早く誘導される。いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、RNAワクチンに対して2倍~100倍の用量である予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘導される。
【0221】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、2日早く誘導される。
【0222】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、3日早く誘導される。
【0223】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、1週間早く誘導される。
【0224】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、2週間早く誘導される。
【0225】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、3週間早く誘導される。
【0226】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、5週間早く誘導される。
【0227】
いくつかの実施形態において、対象における免疫応答は、予防上有効な用量の従来型ワクチンを接種した対象において誘発される免疫応答と比較して、10週間早く誘導される。
【0228】
広域スペクトルRSVワクチン
2種以上のRSV株に感染するリスクのある状況が想定される。RNA(例えば、mRNA)治療用ワクチンは、限定するものではないが、製造スピード、認められた地理的脅威に適合するようにワクチンを迅速に調整できる能力などを含むいくつかの因子により、混合ワクチン手法に特に適している。更に、当該ワクチンは、人体を利用して抗原性タンパク質を産生するので、より大きくより複雑な抗原性タンパク質の産生に適しており、これにより、ヒト対象における適切な折り畳み、表面発現、抗原提示などが可能となる。2種以上のRSV株から保護するために、第1のRSVの少なくとも1つの抗原性ポリペプチドタンパク質(またはその抗原性部分)をコードするRNAを含み、第2のRSVの少なくとも1つの抗原性ポリペプチドタンパク質(またはその抗原性部分)をコードするRNAを更に含む、混合ワクチンを投与することができる。RNA(mRNA)は、例えば、単一の脂質ナノ粒子(LNP)中に一緒に製剤化されてもよいし、共投与が予定されている別々のLNP中に製剤化されてもよい。
【0229】
フラジェリンアジュバント
フラジェリンは、約500アミノ酸の単量体タンパク質であり、重合することにより、細菌の動きに関与する鞭毛を形成する。フラジェリンは、種々の有鞭毛型細菌(例えばSalmonella typhimurium)及び無鞭毛型細菌(Escherichia coliなど)によって発現されている。自然免疫系細胞(樹状細胞、マクロファージなど)によるフラジェリンの感知は、Toll様受容体5(TLR5)ならびにNod様受容体(NLR)Ipaf及びNaip5によって媒介される。TLR及びNLRは、自然免疫応答及び適応免疫応答を活性化する役割を担うことが特定されている。したがって、フラジェリンは、ワクチンにおいて、アジュバント効果をもたらす。
【0230】
既知のフラジェリンポリペプチドをコードするヌクレオチド及びアミノ酸配列は、NCBI GenBankデータベースにおいて公開されている。なかでも、S.Typhimurium、H.Pylori、V.Cholera、S.marcesens、S.flexneri、T.Pallidum、L.pneumophila、B.burgdorferei、C.difficile、R.meliloti、A.tumefaciens、R.lupini、B.clarridgeiae、P.Mirabilis、B.subtilus、L.monocytogenes、P.aeruginosa及びE.coliに由来するフラジェリン配列が知られている。
【0231】
フラジェリンポリペプチドは、本明細書で使用されるとき、完全長フラジェリンタンパク質、その免疫原性断片、及びフラジェリンタンパク質またはその免疫原性断片に対して少なくとも50%の配列同一性を有するペプチドを指す。例示的なフラジェリンタンパク質には、Salmonella typhi(UniProエントリー番号Q56086)、Salmonella typhimurium(A0A0C9DG09)、Salmonella enteritidis(A0A0C9BAB7)、及びSalmonella choleraesuis(Q6V2X8)ならびに配列番号173~175に由来するフラジェリンが挙げられる。いくつかの実施形態において、フラジェリンポリペプチドは、フラジェリンタンパク質またはその免疫原性断片に対して、少なくとも60%、70%、75%、80%、90%、95%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0232】
いくつかの実施形態において、フラジェリンポリペプチドは、免疫原性断片である。免疫原性断片は、免疫応答を惹起するフラジェリンタンパク質の一部である。いくつかの実施形態において、免疫応答は、TLR5免疫応答である。免疫原性断片の一例は、ヒンジ領域の全てまたは一部が欠失しているか、他のアミノ酸で置き換えられているフラジェリンタンパク質である。例えば、抗原性ポリペプチドは、ヒンジ領域に挿入され得る。ヒンジ領域は、フラジェリンの超可変領域である。フラジェリンのヒンジ領域は、「D3ドメインまたはD3領域」、「プロペラドメインまたはプロペラ領域」、「超可変ドメインまたは超可変領域」及び「可変ドメインまたは領可変域」とも呼ばれる。「ヒンジ領域の少なくとも一部」は、本明細書で使用されるとき、フラジェリンのヒンジ領域の任意の部分またはヒンジ領域全体を指す。他の実施形態において、フラジェリンの免疫原性断片は、フラジェリンの20、25、30、35または40アミノ酸C末端断片である。
【0233】
フラジェリン単量体は、ドメインD0~D3によって形成される。ステムを形成する0及びD1は、縦に並んだ長いアルファヘリックスから構成され、種々の細菌間で高度に保存されている。D1ドメインは、TLR5活性化に有用ないくつかのアミノ酸ストレッチを含む。D1ドメイン全体または当該ドメイン内の活性領域のうちの1つ以上がフラジェリンの免疫原性断片である。D1ドメイン内の免疫原性領域の例には、Salmonella typhimurium FliCフラジェリンの残基88~114及び残基411~431が挙げられる。88~100領域の13アミノ酸のうち、SalmonellaフラジェリンとTLR5活性化を保持したままの他のフラジェリンとの間で少なくとも6置換が可能である。したがって、フラジェリンの免疫原性断片は、TLR5を活性化し、SalmonellaのFliCの88~100の配列(LQRVRELAVQSAN、配列番号286)に対して53%以上同一である13アミノ酸モチーフを含有する、フラジェリン様配列を含む。
【0234】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、フラジェリンと1つ以上の抗原性ポリペプチドの融合タンパク質をコードするRNAを含む。本明細書で使用される「融合タンパク質」とは、構築物の2つの構成要素の連結を指す。いくつかの実施形態において、抗原性ポリペプチドのカルボキシ末端がフラジェリンポリペプチドのアミノ末端に融合または連結される。他の実施形態において、抗原性ポリペプチドのアミノ末端がフラジェリンポリペプチドのカルボキシ末端に融合または連結される。融合タンパク質は、例えば、1,2、3、4、5、6個またはそれ以上の抗原性ポリペプチドに連結した1、2、3、4、5、6個またはそれ以上のフラジェリンポリペプチドを含み得る。2つ以上のフラジェリンポリペプチド及び/または2つ以上の抗原性ポリペプチドが連結される場合、そのような構築物は、「多量体」と呼ばれることがある。
【0235】
融合タンパク質の各構成要素は、互いに直接連結されてもよいし、リンカーを介して接続されてもよい。例えば、リンカーは、アミノ酸リンカーであってよい。RNA(例えば、mRNA)ワクチンによってコードされる、融合タンパク質の構成要素を連結するためのアミノ酸リンカーは、例えば、リジン残基、グルタミン酸残基、セリン残基及びアルギニン残基からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み得る。いくつかの実施形態において、リンカーは、1~30、1~25、1~25、5~10、5、15または5~20アミノ酸長である。
【0236】
他の実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、少なくとも2つの個別のRNAポリヌクレオチドを含み、一方は1つ以上の抗原性ポリペプチドをコードし、他方はフラジェリンポリペプチドをコードする。少なくとも2つのRNAポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子などの担体中に一緒に製剤化され得る。
【0237】
治療及び予防組成物
例えば、ヒト及び他の動物におけるRSVの予防、治療及び/または診断のための組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット及び試薬が本明細書で提供される。RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、治療薬または予防薬として使用することができる。これは、感染症の予防及び/または治療のための薬剤として使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明のRSVワクチンは、免疫エフェクター細胞のプライミングにおける使用が想定され得、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)をex vivoで活性化させた後、対象に注入(再注入)する。
【0238】
例示的な実施形態において、本明細書に記載されるRNAポリヌクレオチドを含有するRSVワクチンは、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象)に投与することができ、RNAポリヌクレオチドは、in vivoで翻訳されて抗原性ポリペプチドを産生する。
【0239】
RSV RNAワクチンは、細胞、組織または生物において、ポリペプチド(例えば、抗原または免疫原)の翻訳を誘導し得る。例示的な実施形態において、かかる翻訳は、in vivoで生じるが、かかる翻訳がex vivo、培地またはin vitroで生じる実施形態も想定され得る。例示的な実施形態において、細胞、組織または生物を、抗原性ポリペプチドをコードする少なくとも1つの翻訳可能領域を有するポリヌクレオチドを含有するRSV RNAワクチンを含有する組成物の有効量と接触させる。
【0240】
RSV RNAワクチンの「有効量」は、少なくとも部分的には、標的組織、標的細胞型、投与手段、ポリヌクレオチドの物理的特性(例えば、大きさ及び修飾ヌクレオシドの程度)及びRSV RNAワクチンの他の構成要素、ならびに他の決定因子に基づいて提供される。一般に、RSV RNAワクチン組成物の有効量は、細胞中の抗原産生に相関して誘導されたまたはブーストされた免疫応答をもたらす。一般に、少なくとも1つの化学修飾を有するRNAポリヌクレオチドを含有するRSV RNAワクチンの有効量は、好ましくは、同じ抗原またはペプチド抗原をコードする同様の非修飾型ポリヌクレオチドを含有する組成物よりも有効である。抗原産生の増加は、細胞トランスフェクションの増加(RNAワクチンでトランスフェクトされた細胞のパーセンテージ)、ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の増加、核酸分解の低下(例えば、修飾ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳期間の延長によって示される)、または宿主細胞の抗原特異的免疫応答の変化によって示され得る。
【0241】
「医薬組成物」という用語は、有効物質と不活性または活性担体との組み合わせを指し、これにより、組成物は、in vivoまたはex vivoにおける診断用途または治療用途に特に適したものになる。「薬学的に許容される担体」は、対象への投与後または投与時に、望ましくない生理学的作用を引き起こさない。医薬組成物中の担体は、有効成分と適合性があり、有効成分を安定化することが可能であるという意味においても「許容される」ものでなければならない。有効物質の送達のための薬学的担体として1つ以上の可溶化剤を利用することができる。薬学的に許容される担体の例には、剤形として使用可能な組成物を達成する、生体適合性ビヒクル、アジュバント、添加剤及び希釈剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の担体の例には、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。更なる好適な薬学的担体及び希釈剤ならびにその使用のための薬学的必要物は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0242】
いくつかの実施形態において、本開示によるRNAワクチン(ポリヌクレオチド及びそのコードされたポリペプチド含む)は、RSVの治療または予防のために使用することができる。
【0243】
RSV RNAワクチンは、能動免疫スキームの一環として健康な個体に対して、または潜伏期間中もしくは発症後の活動性感染中の感染初期に、予防的または治療的に投与することができる。いくつかの実施形態において、細胞、組織または対象に提供される本開示のRNAワクチンの量は、免疫予防に有効な量であり得る。
【0244】
RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、他の予防化合物または治療化合物とともに投与することができる。非限定的な例として、予防化合物または治療化合物は、アジュバントまたはブースターであり得る。ワクチンなどの予防組成物に関して本明細書で使用されるとき、「ブースター」という用語は、予防(ワクチン)組成物の追加投与を指す。ブースター(またはブースターワクチン)は、予防組成物の先の投与後に投与され得る。予防組成物の初回投与からブースター投与までの時間は、限定するものではないが、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分35分、40分、45分、50分、55分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週、10日、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、25年、30年、35年、40年、45年、50年、55年、60年、65年、70年、75年、80年、85年、90年、95年または99年超であり得る。例示的な実施形態において、予防組成物の初回投与からブースター投与までの時間は、限定するものではないが、1週、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年であり得る。
【0245】
いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、当該技術分野において知られている不活化ワクチンの投与と同様に、筋肉内、鼻腔内または皮内に投与することができる。
【0246】
RSV RNAワクチンは、感染症の罹患率またはアンメットメディカルニーズの程度もしくはレベルに応じて、様々な環境で利用することができる。非限定的な例として、RNAワクチンは、種々の感染症を治療及び/または予防するために利用することができる。RNAワクチンは、多くの場合、一般に利用可能な抗ウイルスと比べて、抗体力価がより大きく、早い応答をもたらす点で、優れた特性を有する。
【0247】
RSV RNAワクチン及びRNAワクチン組成物ならびに/または複合体を、任意選択により、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0248】
RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、単独で、または1つ以上の他の構成成分とともに、製剤化または投与することができる。例えば、RSV RNAワクチン(ワクチン組成物)は、限定するものではないが、アジュバントを含む他の構成成分を含み得る。
【0249】
いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、アジュバントを含まない(アジュバントフリーである)。
【0250】
RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、製剤化または投与することができる。いくつかの実施形態において、ワクチン組成物は、少なくとも1つの追加の有効物質、例えば、治療上有効な物質、予防上有効な物質または両方の組み合わせなどを含む。ワクチン組成物は、無菌でも、パイロジェンフリーでも、無菌とパイロジェンフリーの両方であってもよい。ワクチン組成物などの医薬品の製剤化及び/または製造において一般的に検討すべき項目は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(その全体を参照により本明細書に援用する)に認めることができる。
【0251】
いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、ヒト、ヒト患者または対象に投与される。本開示の目的上、「有効成分」という文言は、一般に、その中に含有されるRNAワクチンまたはポリヌクレオチド、例えば、抗原性ポリペプチドをコードするRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチド)を指す。
【0252】
本明細書に記載されるワクチン組成物の製剤は、薬理学分野で知られているまたはこれ以後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製法は、有効成分(例えば、mRNAポリヌクレオチド)と、賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分とを一緒にするステップと、次いで、必要であり、かつ/または望ましい場合には、製品を所望の単回または複数回用量単位に分割、成形及び/または包装するステップとを含む。
【0253】
本開示による医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意追加の成分の相対量は、治療を受ける対象の特性、体格及び/または状態に応じて、更には、組成物が投与される経路に応じて、変動し得る。例として、組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0254】
RSV RNAワクチンは、(1)安定性を高め、(2)細胞トランスフェクションを増加させ、(3)(例えば、デポ製剤からの)持続放出もしくは遅延放出を可能にし、(4)体内分布を変え(例えば、特定の組織または細胞型への標的化)、(5)コードされたタンパク質のin vivoでの翻訳を増加させ、かつ/または(6)コードされたタンパク質(抗原)のin vivoでの放出プロファイルを変える、1つ以上の賦形剤を使用して製剤化することができる。賦形剤には、従来の賦形剤、例えば、溶媒、分散媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、保存剤のいずれか及び全てに加えて、限定するものではないが、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェル型ナノ粒子、ペプチド、タンパク質、RSV RNAワクチンがトランスフェクトされた細胞(例えば、対象への移植用)、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣体及びこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0255】
安定化要素
真核生物の天然mRNA分子は、5’キャップ構造または3’ポリ(A)テールなどの他の構造的特徴に加えて、安定化要素、例えば、限定するものではないが、その5’端にある非翻訳領域(UTR)(5’UTR)及び/またはその3’端にあるUTR(3’UTR)を含有することがわかっている。5’UTR及び3’UTRはいずれも、典型的に、ゲノムDNAから転写されるものであり、未成熟mRNAの要素である。5’キャップ及び3’ポリ(A)テールなどの成熟mRNAの特徴的な構造特徴は、通常、mRNAプロセシング中に、転写された(未成熟)mRNAに付加される。3’ポリ(A)テールは、典型的に、転写されたmRNAの3’端に付加される一続きのアデニンヌクレオチドであり、最大約400個のアデニンヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、3’ポリ(A)テールの長さは、個々のmRNAの安定性に関して必須の要素であり得る。
【0256】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、1つ以上の安定化要素を含み得る。安定化要素には、例えば、ヒストンステムループが含まれ得る。32kDaのタンパク質であるステムループ結合タンパク質(SLBP)が特定されている。SLBPは、核と細胞質の両方において、ヒストンメッセージの3’端にあるヒストンステムループに会合する。その発現レベルは、細胞周期によって調節され、S期中にピークを迎え、そのときにヒストンmRNAレベルも上昇する。このタンパク質は、U7 snRNPによるヒストンpre-mRNAの効率的な3’端プロセシングに必要であることがわかっている。SLBPは、プロセシング後もステムループに会合し続け、次いで、細胞質中で、成熟ヒストンmRNAのヒストンタンパク質への翻訳を刺激する。SLBPのRNA結合ドメインは、後生動物及び原生動物にわたって保存されており、そのヒストンステムループへの結合は、ループ構造に依存する。最小結合部位は、ステムループに対して、5’側の少なくとも3つのヌクレオチド及び3’側の2つのヌクレオチドである。
【0257】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、コーディング領域、少なくとも1つのヒストンステムループ及び任意選択によりポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルを含む。ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルは、一般に、コードされたタンパク質の発現レベルを向上させるものとされる。コードされたタンパク質は、いくつかの実施形態において、ヒストンタンパク質、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、EGFP、β-ガラクトシダーゼ、EGFP)またはマーカーもしくは選択タンパク質(例えば、α-グロビン、ガラクトキナーゼ及びキサンチン:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT))ではない。
【0258】
いくつかの実施形態において、ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルと少なくとも1つのヒストンステムループの組み合わせは、この両方は、自然では代替的機構を示すが、相乗的に作用して、個々の要素のいずれかで観察されるレベルを超えてタンパク質発現を増加させる。ポリ(A)と少なくとも1つのヒストンステムループの組み合わせの相乗効果は、要素の順序またはポリ(A)配列の長さに依存しないことがわかっている。
【0259】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、ヒストン下流要素(HDE)を含まない。「ヒストン下流要素」(HDE)は、天然ステムループの3’側に約15~20個のヌクレオチドのプリンリッチポリヌクレオチドストレッチを含み、これは、ヒストンpre-mRNAの成熟ヒストンmRNAへのプロセシングに関与するU7 snRNAの結合部位を表す。いくつかの実施形態において、核酸は、イントロンを含まない。
【0260】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、エンハンサー配列及び/またはプロモーター配列を含有しても含有しなくてもよく、当該配列は、修飾されていても非修飾でもよく、活性化されていても不活性化されていてもよい。いくつかの実施形態において、ヒストンステムループは、通常、ヒストン遺伝子に由来し、当該構造のループを形成する、短い配列からなるスペーサーによって隔てられた2つの隣接する部分的または完全に逆相補的な配列の分子内塩基対合を含む。不対合ループ領域は、典型的に、ステムループ要素のいずれとも塩基対合できない。これは、多くのRNA二次構造に重要な構成要素であるため、RNAでより頻繁に生ずるが、同様に一本鎖DNAにも存在し得る。ステムループ構造の安定性は、通常、対合領域の長さ、ミスマッチまたはバルジの数、及び塩基組成に依存する。いくつかの実施形態において、ゆらぎ塩基対合(非ワトソン-クリック塩基対合)が生じ得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのヒストンステムループ配列は、15~45の長さのヌクレオチドを含む。
【0261】
他の実施形態において、RNAワクチンは、1つ以上のAUリッチ配列が除去され得る。これらの配列は、AURESと呼ばれることもあり、3’UTR中に認められる不安定化配列である。AURESは、RNAワクチンから除去され得る。あるいは、AURESをRNAワクチン中に残してもよい。
【0262】
いくつかの実施形態において、RNAポリヌクレオチドは、安定化要素を含まない。
【0263】
ナノ粒子形成
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、ナノ粒子中に製剤化される。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、脂質ナノ粒子中に製剤化される。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、カチオン性脂質ナノ粒子と呼ばれる脂質-ポリカチオン複合体中に製剤化される。脂質ナノ粒子の形成は、当該技術分野において知られている方法及び/または米国特許出願公開第20120178702号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって達成することができる。非限定的な例として、ポリカチオンには、カチオン性のペプチドまたはポリペプチドを挙げることができ、限定するものではないが、ポリリジン、ポリオルニチン及び/またはポリアルギニンならびに国際公開第WO2012013326号または米国特許出願公開第US20130142818号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているカチオン性ペプチドなどがある。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、限定するものではないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの非カチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子中に製剤化される。
【0264】
脂質ナノ粒子製剤は、限定するものではないが、カチオン性脂質成分の選択、カチオン性脂質の飽和の程度、PEG化の性質、全成分の比率、及び大きさなどの生物物理的パラメーターによる影響を受け得る。Semple et al.(Nature Biotech.2010 28:172-176、その全体を参照により本明細書に援用する)による一例では、脂質ナノ粒子製剤は、57.1%のカチオン性脂質、7.1%のジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%のコレステロール及び1.4%のPEG-c-DMAで構成される。別の例として、カチオン性脂質の組成を変えると、siRNAが種々の抗原提示細胞により効率的に送達されることが示された(Basha et al.Mol Ther.2011 19:2186-2200、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0265】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、35~45%のカチオン性脂質、40%~50%のカチオン性脂質、50%~60%のカチオン性脂質及び/または55%~65%のカチオン性脂質を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子の脂質とRNA(例えば、mRNA)の比は、5:1~20:1、10:1~25:1、15:1~30:1及び/または少なくとも30:1であってよい。
【0266】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤におけるPEG比を増やしても減らしてもよく、かつ/またはPEG脂質の炭素鎖長をC14からC18に変更して脂質ナノ粒子製剤の薬物動態及び/もしくは体内分布を変えてもよい。非限定的な例として、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、DSPC及びコレステロールと比較して、0.5%~3.0%、1.0%~3.5%、1.5%~4.0%、2.0%~4.5%、2.5%~5.0%及び/または3.0%~6.0%の脂質モル比のPEG-c-DOMG(R-3-[(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル)]-1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-アミン)(本明細書においてPEG-DOMGとも呼ばれる)を含有し得る。いくつかの実施形態において、PEG-c-DOMGは、限定するものではないが、PEG-DSG(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)、PEG-DMG(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール)及び/またはPEG-DPG(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)などのPEG脂質で置き換えられてもよい。カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin-MC3-DMA、DLin-DMA、C12-200及びDLin-KC2-DMAなどの当該技術分野において知られている任意の脂質から選択することができる(例えば、米国特許出願公開第20130245107A1号参照)。
【0267】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン製剤は、少なくとも1つの脂質を含むナノ粒子である。脂質は、限定するものではないが、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG、PEG化脂質及びアミノアルコール脂質から選択することができる。いくつかの実施形態において、脂質は、限定するものではないが、DLin-DMA、DLin-D-DMA、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA及びアミノアルコール脂質などのカチオン性脂質であってよい。アミノアルコールカチオン性脂質は、米国特許出願公開第US20130150625号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている脂質であってもよく、かつ/または当該特許出願公開に記載されている方法によって作製されてもよい。非限定的な例として、カチオン性脂質は、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,2Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(US20130150625の化合物1)、2-アミノ-3-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(US20130150625の化合物2)、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-[(オクチルオキシ)メチル]プロパン-1-オール(US20130150625の化合物3)、及び2-(ジメチルアミノ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(US20130150625の化合物4)、またはこれらの任意の薬学的に許容される塩もしくは立体異性体であってよい。
【0268】
脂質ナノ粒子製剤は、典型的に、脂質、特に、イオン性カチオン性脂質、例えば、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)、またはN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)を含み、中性脂質のステロール及び粒子の凝集を減少させることができる分子、例えばPEG脂質またはPEG修飾脂質を更に含む。
【0269】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、(i)2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される少なくとも1つの脂質と、(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE及びSMから選択される中性脂質と、(iii)ステロール、例えば、コレステロールと、(iv)PEG脂質、例えば、PEG-DMGまたはPEG-cDMAとから、カチオン性脂質20~60%:中性脂質5~25%:ステロール25~55%:PEG脂質0.5~15%のモル比で、本質的に構成される。
【0270】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択されるカチオン性脂質を、モル基準で25%~75%、例えば、モル基準で35~65%、45~65%、60%、57.5%、50%または40%含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で0.5%~15%、例えば、モル基準で3~12%、5~10%または15%、10%もしくは7.5%の中性脂質を含む。中性脂質の例には、限定するものではないが、DSPC、POPC、DPPC、DOPE及びSMが挙げられる。いくつかの実施形態において、製剤は、モル基準で5%~50%(例えば、モル基準で15~45%、20~40%、40%、38.5%、35%または31%)のステロールを含む。ステロールの非限定的な例は、コレステロールである。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で0.5%~20%(例えば、モル基準で0.5~10%、0.5~5%、1.5%、0.5%、1.5%、3.5%または5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質を含む。いくつかの実施形態において、PEG脂質またはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000DaのPEG分子を含む。いくつかの実施形態において、PEG脂質またはPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000未満、例えば、約1,500Da、約1,000Daまたは約500DaのPEG分子を含む。PEG修飾脂質の非限定的な例は、PEG-ジステアロイルグリセロール(PEG-DMG)(本明細書においてPEG-C14またはC14-PEGとも呼ばれる)、PEG-cDMAが挙げられる(Reyes et al.J.Controlled Release,107,276-287(2005)において更に考察されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0272】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される25~75%のカチオン性脂質と、0.5~15%の中性脂質と、5~50%のステロールと、0.5~20%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0273】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される35~65%のカチオン性脂質と、3~12%の中性脂質と、15~45%のステロールと、0.5~10%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0274】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される45~65%のカチオン性脂質と、5~10%の中性脂質と、25~40%のステロールと、0.5~10%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0275】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される60%のカチオン性脂質と、7.5%の中性脂質と、31%のステロールと、1.5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0276】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される50%のカチオン性脂質と、10%の中性脂質と、38.5%のステロールと、1.5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0277】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される50%のカチオン性脂質と、10%の中性脂質と、35%のステロールと、4.5%または5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質と、0.5%の標的化脂質とを含む。
【0278】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される40%のカチオン性脂質と、15%の中性脂質と、40%のステロールと、5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0279】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン(L608)及びN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン(L530)からなる群から選択される57.2%のカチオン性脂質と、7.1%の中性脂質と、34.3%のステロールと、1.4%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0280】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、モル基準で、PEG脂質、PEG-cDMA(PEG-cDMAは、Reyes et al.(J.Controlled Release,107,276-287(2005)において更に考察されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する)から選択される57.5%のカチオン性脂質と、7.5%の中性脂質と、31.5%のステロールと、3.5%のPEG脂質またはPEG修飾脂質とを含む。
【0281】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質20~70%:中性脂質5~45%:コレステロール20~55%:PEG修飾脂質0.5~15%のモル比の脂質混合物から本質的に構成される。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質20~60%:中性脂質5~25%:コレステロール25~55%:PEG修飾脂質0.5~15%のモル比の脂質混合物から本質的に構成される。
【0282】
いくつかの実施形態において、脂質モル比は、50/10/38.5/1.5(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMG、PEG-DSGまたはPEG-DPG))、57.2/7.1134.3/1.4(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDPPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-cDMA))、40/15/40/5(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMG))、50/10/35/4.5/0.5(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DSG))、50/10/35/5(カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMG))、40/10/40/10(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMGまたはPEG-cDMA))、35/15/40/10(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMGまたはPEG-cDMA))、または52/13/30/5(mol% カチオン性脂質/中性脂質(例えばDSPC)/Chol/PEG修飾脂質(例えばPEG-DMGまたはPEG-cDMA)である。
【0283】
脂質ナノ粒子組成物及びその作製方法の非限定的な例は、例えば、Semple et al.(2010)Nat.Biotechnol.28:172-176;Jayarama et al.(2012),Angew.Chem.Int.Ed.,51:8529-8533、及びMaier et al.(2013)Molecular Therapy 21,1570-1578(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている。
【0284】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質と、PEG脂質と、構造的脂質とを含み得、任意選択により、非カチオン性脂質を含み得る。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、40~60%のカチオン性脂質と、5~15%の非カチオン性脂質と、1~2%のPEG脂質と、30~50%の構造的脂質とを含み得る。別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質50%と、非カチオン性脂質10%と、PEG脂質1.5%と、構造的脂質38.5%とを含み得る。更に別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質55%と、非カチオン性脂質10%と、PEG脂質2.5%と、構造的脂質32.5%とを含み得る。いくつかの実施形態において、カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin-KC2-DMA、DLin-MC3-DMA、L319、L608及びL520などの本明細書に記載される任意のカチオン性脂質であってよい。
【0285】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される脂質ナノ粒子製剤は、4成分脂質ナノ粒子であり得る。脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質と、非カチオン性脂質と、PEG脂質と、構造的脂質とを含み得る。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、40~60%のカチオン性脂質と、5~15%の非カチオン性脂質と、1~2%のPEG脂質と、30~50%の構造的脂質とを含み得る。別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質50%と、非カチオン性脂質10%と、PEG脂質1.5%と、構造的脂質38.5%とを含み得る。更に別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質55%と、非カチオン性脂質10%と、PEG脂質2.5%と、構造的脂質32.5%とを含み得る。いくつかの実施形態において、カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin-KC2-DMA、DLin-MC3-DMA、L319、L608及びL520などの本明細書に記載される任意のカチオン性脂質であってよい。
【0286】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質と、非カチオン性脂質と、PEG脂質と、構造的脂質とを含み得る。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、50%のカチオン性脂質DLin-KC2-DMAと、10%の非カチオン性脂質DSPCと、1.5%のPEG脂質PEG-DOMGと、38.5%の構造的脂質コレステロールとを含む。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、50%のカチオン性脂質DLin-MC3-DMAと、10%の非カチオン性脂質DSPCと、1.5%のPEG脂質PEG-DOMGと、38.5%の構造的脂質コレステロールとを含む。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、50%のカチオン性脂質DLin-MC3-DMAと、10%の非カチオン性脂質DSPCと、1.5%のPEG脂質PEG-DMGと、38.5%の構造的脂質コレステロールとを含む。更に別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、55%のカチオン性脂質L319、L608またはL520と、10%の非カチオン性脂質DSPCと、2.5%のPEG脂質PEG-DMGと、32.5%の構造的脂質コレステロールとを含み得る。
【0287】
ワクチン組成物中の有効成分、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意追加の成分の相対量は、治療を受ける対象が何であるか、体格及び/または状態に応じて、更には、組成物が投与される経路に応じて、変動し得る。例えば、組成物は、0.1%~99%(w/w)の有効成分を含み得る。例として、組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0288】
いくつかの実施形態において、RNAワクチン組成物は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含み得、DLin-MC3-DMAと、コレステロールと、DSPCと、PEG2000-DMGとを含む脂質ナノ粒子、クエン酸三ナトリウム緩衝液、スクロース及び注射用水中で製剤化される。非限定的な例として、組成物は、2.0mg/mLの薬剤物質(例えば、RSVをコードするポリヌクレオチド)と、21.8mg/mLのMC3と、10.1mg/mLのコレステロールと、5.4mg/mLのDSPCと、2.7mg/mLのPEG2000-DMGと、5.16mg/mLのクエン酸三ナトリウムと、71mg/mLのスクロースと、1.0mLの注射用水とを含む。
【0289】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子)は、10~500nm、20~400nm、30~300nm、40~200nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子)は、50~150nm、50~200nm、80~100nmまたは80~200nmの平均直径を有する。
【0290】
リポソーム、リポプレックス及び脂質ナノ粒子
いくつかの実施形態において、RNAワクチン医薬組成物は、限定するものではないが、DiLa2リポソーム(Marina Biotech(Bothell,WA))、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech(Bothell,WA))、中性DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)系リポソーム(例えば、卵巣癌のためのsiRNA送達(Landen et al.Cancer Biology&Therapy 2006 5(12)1708-1713)、その全体を参照により本明細書に援用する)及びヒアルロナン被覆リポソーム(Quiet Therapeutics(Israel))などのリポソーム中に製剤化されてもよい。
【0291】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、米国特許出願公開第US2012060293号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている凍結乾燥されたゲル相リポソーム組成物で製剤化され得る。
【0292】
ナノ粒子製剤は、リン酸コンジュゲートを含み得る。リン酸コンジュゲートは、in vivo循環時間を延長させ得、かつ/またはナノ粒子の標的化送達を増大させ得る。本発明で使用されるリン酸コンジュゲートは、WO2013033438または米国特許出願公開第US20130196948号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。非限定的な例として、リン酸コンジュゲートは、国際公開第WO2013033438号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている式のうちのいずれか1つの化合物を挙げることができる。
【0293】
ナノ粒子製剤は、ポリマーコンジュゲートを含み得る。ポリマーコンジュゲートは、水溶性コンジュゲートであってよい。ポリマーコンジュゲートは、米国特許出願公開第20130059360号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている構造を有し得る。いくつかの態様において、本発明のポリヌクレオチドとのポリマーコンジュゲートは、米国特許出願公開第20130072709号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載の方法及び/またはセグメント化ポリマー試薬を使用して作製することができる。他の態様において、ポリマーコンジュゲートは、限定するものではないが、米国特許出願公開第US20130196948号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載のポリマーコンジュゲートなどのように、環部分を含むペンダント側鎖基を有し得る。
【0294】
ナノ粒子製剤は、対象における本発明のナノ粒子の送達を向上させるコンジュゲートを含み得る。更に、コンジュゲートは、対象におけるナノ粒子の食作用クリアランスを抑制し得る。いくつかの態様において、コンジュゲートは、ヒト膜タンパク質CD47から設計された「自己」ペプチド(例えば、Rodriguezら(Science 2013,339,971-975、その全体を参照により本明細書に援用する)によって記載された「自己」粒子)であってよい。Rodriguezらによって示されたように、自己ペプチドは、マクロファージが媒介するナノ粒子のクリアランスを遅延させ、ナノ粒子の送達を向上させた。他の態様において、コンジュゲートは、膜タンパク質CD47であってもよい(例えば、Rodriguez et al.Science 2013,339,971-975参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。Rodriguezらは、CD47が、「自己」ペプチドと同様に、スクランブルペプチド及びPEG被覆ナノ粒子と比較して、対象における循環粒子の比率を増大し得ることを示した。
【0295】
いくつかの実施形態において、本発明のRNAワクチンは、対象における本発明のナノ粒子の送達を向上させるコンジュゲートを含むナノ粒子中に製剤化される。コンジュゲートは、CD47膜であってもよいし、コンジュゲートは、先に記載された「自己」ペプチドなどの、CD47膜タンパク質に由来するものであってもよい。他の実施形態において、ナノ粒子は、PEGと、CD47のコンジュゲートまたはその誘導体とを含み得る。更に他の実施形態において、ナノ粒子は、上述の「自己」ペプチドと、膜タンパク質CD47の両方を含んでもよい。
【0296】
いくつかの実施形態において、「自己」ペプチド及び/またはCD47タンパク質は、本発明のRNAワクチンの送達のために、本明細書に記載されるように、ウイルス様粒子または偽ビリオンにコンジュゲートされ得る。
【0297】
他の実施形態において、RNAワクチン医薬組成物は、本発明のポリヌクレオチドと、分解可能な結合を有し得るコンジュゲートとを含む。コンジュゲートの非限定的な例には、イオン性水素原子を含む芳香族部分、スペーサー部分、及び水溶性ポリマーが挙げられる。非限定的な例として、分解可能な結合を有するコンジュゲートを含む医薬組成物及び当該医薬組成物を送達するための方法は、米国特許出願公開第US20130184443号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0298】
ナノ粒子製剤は、炭水化物担体と、RNAワクチンとを含む炭水化物ナノ粒子であり得る。非限定的な例として、炭水化物担体は、無水物変性フィトグリコーゲンもしくはグリコーゲン型物質、フィトグリコーゲンオクテニルコハク酸,フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物変性フィトグリコーゲンβ-デキストリンを挙げることができるが、これらに限定されない(例えば、国際公開第WO2012109121号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0299】
本発明のナノ粒子製剤は、粒子の送達を改善するために、界面活性剤またはポリマーで被覆されてもよい。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、限定するものではないが、PEGコーティング及び/または中性の表面電荷を有するコーティングなどの親水性コーティングで被覆され得る。親水性コーティングは、限定するものではないが、RNAワクチンなどの大きなペイロードを含むナノ粒子を中枢神経系内に送達するのに役立ち得る。非限定的な例として、親水性コーティングを含むナノ粒子及び当該ナノ粒子を作製する方法は、米国特許出願公開第US20130183244号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0300】
いくつかの実施形態において、本発明の脂質ナノ粒子は、親水性ポリマー粒子であり得る。親水性ポリマー粒子及び親水性ポリマー粒子の作製方法の非限定的な例は、米国特許出願公開第US20130210991号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0301】
他の実施形態において、本発明の脂質ナノ粒子は、疎水性ポリマー粒子であり得る。
【0302】
脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質を、迅速に排除される脂質ナノ粒子(reLNP)として知られる生分解性カチオン性脂質に置き換えることによって改善され得る。限定するものではないが、DLinDMA、DLin-KC2-DMA及びDLin-MC3-DMAなどのイオン性カチオン性脂質は、時間の経過とともに血漿中及び組織中に蓄積することがわかっており、潜在的な毒性原になり得る。迅速に排除される脂質の迅速な代謝により、ラットにおける脂質ナノ粒子の忍容性及び治療指数が1mg/kgの用量から10mg/kgの用量の大きさで改善し得る。酵素的に分解されるエステル結合を含めると、reLNP製剤の活性を維持したまま、カチオン性構成成分の分解及び代謝プロファイルが改善し得る。エステル結合は、脂質鎖中に内在してもよいし、脂質鎖の末端に終端で位置してもよい。内部エステル結合は、脂質鎖中の任意の炭素を置き換えてもよい。
【0303】
いくつかの実施形態において、内部エステル結合は、飽和炭素のいずれの側に位置してもよい。
【0304】
いくつかの実施形態において、免疫応答は、ナノ化学種、ポリマー及び免疫原を含み得る脂質ナノ粒子を送達することによって誘発され得る(米国特許出願公開第20120189700号及び国際公開第WO2012099805号、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0305】
ポリマーは、ナノ化学種を封入し得、またはナノ化学種を部分的に封入し得る。免疫原は、組み換えタンパク質、修飾RNA及び/または本明細書に記載されるポリヌクレオチドであってよい。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、ワクチン、限定するものではないが、病原体に対するワクチンなどにおける使用のために製剤化され得る。
【0306】
脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子が粘膜バリアを通過するように粒子の表面特性を操作して変更してもよい。粘液は、限定するものではないが、口腔(例えば、頬及び食道の膜ならびに扁桃腺組織)、眼、消化管(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻、呼吸器(例えば、鼻、咽頭、気管及び気管支の膜)、生殖器(例えば、膣、子宮頸部及び尿道の膜)などの粘膜組織に位置する。10~200nmよりも大きいナノ粒子は、薬剤封入効率が高く、幅広い薬物の持続的送達をもたらす能力において好ましいが、粘膜バリアに迅速に拡散するには大きすぎると考えられている。粘液は、連続的に、分泌され、排出され、廃棄または消化され、再利用されるので、捕捉された粒子の大部分は、数秒内または数時間内に粘膜組織から除去され得る。低分子量ポリエチレングリコール(PEG)で高密度に被覆された大きなポリマーナノ粒子(直径200nm~500nm)は、水中で拡散する同じ粒子よりもわずかに4~6倍遅く、粘液を通って拡散した(Lai et al.PNAS 2007 104(5):1482-487;Lai et al.Adv Drug Deliv Rev.2009 61(2):158-171、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。ナノ粒子の輸送は、通過速度ならびに/または蛍光顕微鏡法、例えば、限定するものではないが、光褪色後蛍光回復法(FRAP)及び高解像多重粒子追跡法(MPT)を使用して決定することができる。非限定的な例として、粘膜バリアを通過できる組成物は、米国特許第8,241,670号または国際公開第WO2013110028号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているように作製することができる。
【0307】
粘液を通過するように操作された脂質ナノ粒子は、ポリマー材料(例えば、ポリマーコア)及び/またはポリマー-ビタミンコンジュゲート及び/またはトリブロックコポリマーを含み得る。ポリマー材料には、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル及びポリアリレートを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリマー材料は、生分解性及び/または生体適合性であり得る。生体適合性ポリマーの非限定的な例は、国際公開第WO2013116804号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。ポリマー材料は、更に、照射されてもよい。非限定的な例として、ポリマー材料は、ガンマ照射され得る(例えば、国際公開第WO201282165号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。具体的なポリマーの非限定的な例には、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレンビニルアセテートポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクラレート、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリアルキレン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えば、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルハライド、例えば、ポリ(ビニルクロリド)(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)及びこれらのコポリマー及び混合物、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、PEG-PLGA-PEG、ならびにトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。脂質ナノ粒子は、限定するものではないが、ブロックコポリマー(国際公開第WO2013012476号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている分岐ポリエーテル-ポリアミドブロックコポリマーなど)及び(ポリ(エチレングリコール))-(ポリ(プロピレンオキシド))-(ポリ(エチレングリコール))トリブロックコポリマー(例えば、米国特許出願公開第20120121718号、米国特許出願公開第20100003337号及び米国特許第8,263,665号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)などのコポリマーで被覆され得、またはこれらと会合し得る。コポリマーは、GRAS(一般に安全と認められる)ポリマーであってよく、脂質ナノ粒子の形成は、新規の化学実体が生じないような方法で作製され得る。例えば、脂質ナノ粒子は、新規の化学実体を形成することなく、依然としてヒト粘液を迅速に通過することができる、ポロキサマー被覆PLGAナノ粒子を含み得る(Yang et al.Angew.Chem.Int.Ed.2011 50:25972600、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。ヒト粘液を通過することができるナノ粒子を生成するための非限定的な拡張可能な方法は、Xuらによって記載されている(例えば、J Control Release 2013,170(2):279-86参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0308】
ポリマー-ビタミンコンジュゲートのビタミンは、ビタミンEであってよい。コンジュゲートのビタミン部分は、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンE、他のビタミン、コレステロール、疎水性部分または他の界面活性剤の疎水性構成成分(例えば、ステロール鎖、脂肪酸、炭化水素鎖及びアルキレンオキシド鎖)などの他の好適な構成成分で置換されてもよい。
【0309】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチン医薬組成物は、限定するものではないが、DiLa2リポソーム(Marina Biotech(Bothell,WA))、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech(Bothell,WA))、中性DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)系リポソーム(例えば、卵巣癌のためのsiRNA送達(Landen et al.Cancer Biology&Therapy 2006 5(12)1708-1713、その全体を参照により本明細書に援用する))及びヒアルロナン被覆リポソーム(Quiet Therapeutics(Israel))などのリポソーム中に製剤化されてもよい。
【0310】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、米国特許出願公開第US2012060293号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている凍結乾燥されたゲル相リポソーム組成物で製剤化され得る。
【0311】
ナノ粒子製剤は、リン酸コンジュゲートを含み得る。リン酸コンジュゲートは、in vivo循環時間を延長させ得、かつ/またはナノ粒子の標的化送達を増大させ得る。本発明で使用されるリン酸コンジュゲートは、WO2013033438または米国特許出願公開第20130196948号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。非限定的な例として、リン酸コンジュゲートは、国際公開第WO2013033438号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている式のうちのいずれか1つの化合物を挙げることができる。
【0312】
ナノ粒子製剤は、ポリマーコンジュゲートを含み得る。ポリマーコンジュゲートは、水溶性コンジュゲートであってよい。ポリマーコンジュゲートは、米国特許出願公開第20130059360号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている構造を有し得る。いくつかの態様において、本発明のポリヌクレオチドとのポリマーコンジュゲートは、米国特許出願公開第20130072709号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載の方法及び/またはセグメント化ポリマー試薬を使用して作製することができる。他の態様において、ポリマーコンジュゲートは、限定するものではないが、米国特許出願公開第US20130196948号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載のポリマーコンジュゲートなどのように、環部分を含むペンダント側鎖基を有し得る。
【0313】
ナノ粒子製剤は、対象における本発明のナノ粒子の送達を向上させるコンジュゲートを含み得る。更に、コンジュゲートは、対象におけるナノ粒子の食作用クリアランスを抑制し得る。いくつかの態様において、コンジュゲートは、ヒト膜タンパク質CD47から設計された「自己」ペプチド(例えば、Rodriguezら(Science 2013,339,971-975、その全体を参照により本明細書に援用する)によって記載された「自己」粒子)であってよい。Rodriguezらによって示されたように、自己ペプチドは、マクロファージが媒介するナノ粒子のクリアランスを遅延させ、ナノ粒子の送達を向上させた。他の態様において、コンジュゲートは、膜タンパク質CD47であってもよい(例えば、Rodriguez et al.Science 2013,339,971-975参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。Rodriguezらは、CD47が、「自己」ペプチドと同様に、スクランブルペプチド及びPEG被覆ナノ粒子と比較して、対象における循環粒子の比率を増大し得ることを示した。
【0314】
いくつかの実施形態において、本発明のRNAワクチンは、対象における本開示のナノ粒子の送達を向上させるコンジュゲートを含むナノ粒子中に製剤化される。コンジュゲートは、CD47膜であってもよいし、コンジュゲートは、先に記載された「自己」ペプチドなどの、CD47膜タンパク質に由来するものであってもよい。他の態様において、ナノ粒子は、PEGと、CD47のコンジュゲートまたはその誘導体とを含み得る。更に他の態様において、ナノ粒子は、上述の「自己」ペプチドと、膜タンパク質CD47の両方を含んでもよい。
【0315】
他の態様において、「自己」ペプチド及び/またはCD47タンパク質は、本発明のRNAワクチンの送達のために、本明細書に記載されるように、ウイルス様粒子または偽ビリオンにコンジュゲートされ得る。
【0316】
他の実施形態において、RNAワクチン医薬組成物は、本発明のポリヌクレオチドと、分解可能な結合を有し得るコンジュゲートとを含む。コンジュゲートの非限定的な例には、イオン性水素原子を含む芳香族部分、スペーサー部分、及び水溶性ポリマーが挙げられる。非限定的な例として、分解可能な結合を有するコンジュゲートを含む医薬組成物及び当該医薬組成物を送達するための方法は、米国特許出願公開第US20130184443号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0317】
ナノ粒子製剤は、炭水化物担体と、RNA(例えば、mRNA)ワクチンとを含む炭水化物ナノ粒子であり得る。非限定的な例として、炭水化物担体は、無水物変性フィトグリコーゲンもしくはグリコーゲン型物質、フィトグリコーゲンオクテニルコハク酸,フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物変性フィトグリコーゲンβ-デキストリンを挙げることができるが、これらに限定されない(例えば、国際公開第WO2012109121号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0318】
本発明のナノ粒子製剤は、粒子の送達を改善するために、界面活性剤またはポリマーで被覆されてもよい。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、限定するものではないが、PEGコーティング及び/または中性の表面電荷を有するコーティングなどの親水性コーティングで被覆され得る。親水性コーティングは、限定するものではないが、RNAワクチンなどの大きなペイロードを含むナノ粒子を中枢神経系内に送達するのに役立ち得る。非限定的な例として、親水性コーティングを含むナノ粒子及び当該ナノ粒子を作製する方法は、米国特許出願公開第US20130183244号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0319】
いくつかの実施形態において、本発明の脂質ナノ粒子は、親水性ポリマー粒子であり得る。親水性ポリマー粒子及び親水性ポリマー粒子の作製方法の非限定的な例は、米国特許出願公開第US20130210991号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0320】
他の実施形態において、本発明の脂質ナノ粒子は、疎水性ポリマー粒子であり得る。
【0321】
脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質を、迅速に排除される脂質ナノ粒子(reLNP)として知られる生分解性カチオン性脂質に置き換えることによって改善され得る。限定するものではないが、DLinDMA、DLin-KC2-DMA及びDLin-MC3-DMAなどのイオン性カチオン性脂質は、時間の経過とともに血漿中及び組織中に蓄積することがわかっており、潜在的な毒性原になり得る。迅速に排除される脂質の迅速な代謝により、ラットにおける脂質ナノ粒子の忍容性及び治療指数が1mg/kgの用量から10mg/kgの用量の大きさで改善し得る。酵素的に分解されるエステル結合を含めると、reLNP製剤の活性を維持したまま、カチオン性構成成分の分解及び代謝プロファイルが改善し得る。エステル結合は、脂質鎖中に内在してもよいし、脂質鎖の末端に終端で位置してもよい。内部エステル結合は、脂質鎖中の任意の炭素を置き換えてもよい。
【0322】
いくつかの実施形態において、内部エステル結合は、飽和炭素のいずれの側に位置してもよい。
【0323】
いくつかの実施形態において、免疫応答は、ナノ化学種、ポリマー及び免疫原を含み得る脂質ナノ粒子を送達することによって誘発され得る(米国特許出願公開第20120189700号及び国際公開第WO2012099805号、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0324】
脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子が粘膜バリアを通過するように粒子の表面特性を操作して変更してもよい。粘液は、限定するものではないが、口腔(例えば、頬及び食道の膜ならびに扁桃腺組織)、眼、消化管(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻、呼吸器(例えば、鼻、咽頭、気管及び気管支の膜)、生殖器(例えば、膣、子宮頸部及び尿道の膜)などの粘膜組織に位置する。10~200nmよりも大きいナノ粒子は、薬剤封入効率が高く、幅広い薬物の持続的送達をもたらす能力において好ましいが、粘膜バリアに迅速に拡散するには大きすぎると考えられている。粘液は、連続的に、分泌され、排出され、廃棄または消化され、再利用されるので、捕捉された粒子の大部分は、数秒内または数時間内に粘膜組織から除去され得る。低分子量ポリエチレングリコール(PEG)で高密度に被覆された大きなポリマーナノ粒子(直径200nm~500nm)は、水中で拡散する同じ粒子よりもわずかに4~6倍遅く、粘液を通って拡散した(Lai et al.PNAS 2007 104(5):1482-487;Lai et al.Adv Drug Deliv Rev.2009 61(2):158-171、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。ナノ粒子の輸送は、通過速度ならびに/または蛍光顕微鏡法、例えば、限定するものではないが、光褪色後蛍光回復法(FRAP)及び高解像多重粒子追跡法(MPT)を使用して決定することができる。非限定的な例として、粘膜バリアを通過できる組成物は、米国特許第8,241,670号または国際公開第WO2013110028号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているように作製することができる。
【0325】
粘液を通過するように操作された脂質ナノ粒子は、ポリマー材料(すなわち、ポリマーコア)及び/またはポリマー-ビタミンコンジュゲート及び/またはトリブロックコポリマーを含み得る。ポリマー材料には、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル及びポリアリレートを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリマー材料は、生分解性及び/または生体適合性であり得る。生体適合性ポリマーの非限定的な例は、国際公開第WO2013116804号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。ポリマー材料は、更に、照射されてもよい。非限定的な例として、ポリマー材料は、ガンマ照射され得る(例えば、国際公開第WO201282165号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。具体的なポリマーの非限定的な例には、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレンビニルアセテートポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクラレート、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリアルキレン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えば、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルハライド、例えば、ポリ(ビニルクロリド)(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)及びこれらのコポリマー及び混合物、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、PEG-PLGA-PEG、ならびにトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。脂質ナノ粒子は、限定するものではないが、ブロックコポリマー(国際公開第WO2013012476号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている分岐ポリエーテル-ポリアミドブロックコポリマーなど)及び(ポリ(エチレングリコール))-(ポリ(プロピレンオキシド))-(ポリ(エチレングリコール))トリブロックコポリマー(例えば、米国特許出願公開第20120121718号及び米国特許出願公開第20100003337号ならびに米国特許第8,263,665号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)などのコポリマーで被覆され得、またはこれらと会合し得る。コポリマーは、GRAS(一般に安全と認められる)ポリマーであってよく、脂質ナノ粒子の形成は、新規の化学実体が生じないような方法で作製され得る。例えば、脂質ナノ粒子は、新規の化学実体を形成することなく、依然としてヒト粘液を迅速に通過することができる、ポロキサマー被覆PLGAナノ粒子を含み得る(Yang et al.Angew.Chem.Int.Ed.2011 50:25972600、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。ヒト粘液を通過することができるナノ粒子を生成するための非限定的な拡張可能な方法は、Xuらによって記載されている(例えば、J Control Release 2013,170(2):279-86参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0326】
ポリマー-ビタミンコンジュゲートのビタミンは、ビタミンEであってよい。コンジュゲートのビタミン部分は、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンE、他のビタミン、コレステロール、疎水性部分または他の界面活性剤の疎水性構成成分(例えば、ステロール鎖、脂肪酸、炭化水素鎖及びアルキレンオキシド鎖)などの他の好適な構成成分で置換されてもよい。
【0327】
粘液を通過するように操作された脂質ナノ粒子は、限定するものではないが、ポリヌクレオチド、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、例えばジメチルジオクタデシル-臭化アンモニウムなどのカチオン性界面活性剤)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール及びポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、N-アセチルシステイン、ムグワート、ブロメライン、パパイン、クレロデンドラム、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アムブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、チモシンβ4ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、エルドステイン)及びrhDNaseを含む各種DNaseなどの表面改質剤を含み得る。表面改質剤は、粒子表面に埋め込むか、粒子表面にからませてもよいし、脂質ナノ粒子の表面上に配置してもよい(例えば、コーティング、吸着、共有結合または他のプロセスによって)(例えば、米国特許出願公開第20100215580号及び米国特許出願公開第20080166414号及びUS20130164343参照、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0328】
いくつかの実施形態において、粘液を通過する脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子中に封入され得、かつ/または粒子の表面上に配置され得る。ポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に共有結合的に結合され得る。粘液を通過する脂質ナノ粒子製剤は、複数のナノ粒子を含み得る。更に、製剤は、粘液と相互作用し、かつ粘液を通過する脂質ナノ粒子の粘膜組織への送達を増大させ得る粘膜付着を低減させる周辺粘液の構造特性及び/または付着性を変え得る粒子を含有してもよい。
【0329】
他の実施形態において、粘液を通過する脂質ナノ粒子は、粘膜通過を向上させるコーティングを含む低張製剤であり得る。製剤は、送達される上皮に対して低張であり得る。
【0330】
低張製剤の非限定的な例は、国際公開第WO2013110028号に認めることができ、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0331】
いくつかの実施形態において、粘膜バリアを通過する送達を向上させるために、RNAワクチン製剤は、低張液を含んでもよいし、低張液であってもよい。低張液は、限定するものではないが、粘液を通過する粒子などの粘液不活性粒子が膣上皮表面に到達できる速度を上げることが可能であることがわかった(例えば、Ensign et al.Biomaterials 2013,34(28):6922-9参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0332】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、限定するものではないが、Silence Therapeutics(London,United Kingdom)社のATUPLEX(商標)系、DACC系、DBTC系及び他のsiRNAリポプレックス技術、STEMGENT(登録商標)(Cambridge、MA)社のSTEMFECT(商標)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)またはプロタミンに基づいた標的化及び非標的化核酸送達などのリポプレックスとして製剤化される(Aleku et al.Cancer Res.2008 68:9788-9798;Strumberg et al.Int J Clin Pharmacol Ther 2012 50:76-78;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222-1234;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360-1370;Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334-344;Kaufmann et al.Microvasc Res 2010 80:286-293;Weide et al.J Immunother.2009 32:498-507;Weide et al.J Immunother.2008 31:180-188;Pascolo,Expert Opin.Biol.Ther.4:1285-1294;Fotin-Mleczek et al.,2011 J.Immunother.34:1-15;Song et al.,Nature Biotechnol.2005,23:709-717;Peer et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2007 6;104:4095-4100;deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125-132、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0333】
いくつかの実施形態において、そのような製剤はまた、限定するものではないが、肝細胞、免疫細胞、腫瘍細胞、内皮細胞、抗原提示細胞及び白血球を含む様々な細胞種をin vivoで受動的または能動的に指向するように、構築または組成変更され得る(Akinc et al.Mol Ther.2010 18:1357-1364;Song et al.,Nat Biotechnol.2005 23:709-717;Judge et al.,J Clin Invest.2009 119:661-673;Kaufmann et al.,Microvasc Res 2010 80:286-293;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222-1234;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360-1370;Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334-344;Basha et al.,Mol.Ther.2011 19:2186-2200;Fenske and Cullis,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:25-44;Peer et al.,Science.2008 319:627-630;Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127-1133、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。製剤の肝細胞への受動的標的化の一例には、アポリポタンパク質Eに結合し、in vivoで当該製剤の肝細胞への結合及び取り込みを促進することが示されている、DLin-DMA、DLin-KC2-DMA及びDLin-MC3-DMA系脂質ナノ粒子製剤が挙げられる(Akinc et al.Mol Ther.2010 18:1357-1364、その全体を参照により本明細書に援用する)。製剤はまた、限定するものではないが、葉酸、トランスフェリン、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)及び抗体標的化アプローチによって例示されるように、その表面上に異なるリガンドを発現させることによって選択的に標的化され得る(Kolhatkar et al.,Curr Drug Discov Technol.2011 8:197-206;Musacchio and Torchilin,Front Biosci.2011 16:1388-1412;Yu et al.,Mol Membr Biol.2010 27:286-298;Patil et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2008 25:1-61;Benoit et al.,Biomacromolecules.2011 12:2708-2714;Zhao et al.,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:309-319;Akinc et al.,Mol Ther.2010 18:1357-1364;Srinivasan et al.,Methods Mol Biol.2012 820:105-116;Ben-Arie et al.,Methods Mol Biol.2012 757:497-507;Peer 2010 J Control Release.20:63-68;Peer et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2007 104:4095-4100;Kim et al.,Methods Mol Biol.2011 721:339-353;Subramanya et al.,Mol Ther.2010 18:2028-2037;Song et al.,Nat Biotechnol.2005 23:709-717;Peer et al.,Science.2008 319:627-630;Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127-1133、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0334】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、固形脂質ナノ粒子として製剤化される。固形脂質ナノ粒子(SLN)は、平均直径が1000nmまでの間である球形であり得る。SLNは、親油性分子を可溶化することができ、かつ界面活性剤及び/または乳化剤で安定化し得る固形脂質コアマトリックスを有する。他の実施形態において、脂質ナノ粒子は、自己組織化脂質ポリマーナノ粒子であり得る(Zhang et al.,ACS Nano,2008,2(8),pp 1696-1702参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。非限定的な例として、SLNは、国際公開第WO2013105101号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているSLNであってもよい。別の非限定的な例として、SLNは、国際公開第WO2013105101号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法またはプロセスによって作製することができる。
【0335】
当該製剤は、RNAワクチンによって細胞のトランスフェクションを増やし、かつ/またはコードされたタンパク質の翻訳を増やすことができ得るが、リポソーム、リポプレックスまたは脂質ナノ粒子を利用して、ポリヌクレオチドが目的とするタンパク質産生の効率を改善することができる。かかる例の1つには、脂質封入を使用してポリプレックスプラスミドDNAの効果的な全身送達を可能にすることがある(Heyes et al.,Mol Ther.2007 15:713-720、その全体を参照により本明細書に援用する)。リポソーム、リポプレックスまたは脂質ナノ粒子はまた、ポリヌクレオチドの安定性を増大させるために使用することができる。
【0336】
いくつかの実施形態において、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、制御放出及び/または標的化送達用に製剤化することができる。本明細書で使用されるとき、「制御放出」は、治療成果を達成する特定の放出パターンに一致する、医薬組成物または化合物の放出プロファイルを指す。いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、制御放出及び/または標的化送達のために、本明細書に記載され、かつ/または当該技術分野において知られている送達物質中に、封入され得る。本明細書で使用されるとき、「封入する」という用語は、閉じ込められること、取り囲むこと、または包み込むことを意味する。本発明の化合物の製剤に関するとき、封入は、実質的なものであっても、完全なものであっても、部分的なものであってもよい。「実質的に封入された」という用語は、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.9超または99.999%超が送達物質内に閉じ込められ、取り囲まれ、または包み込まれることを意味する。「部分的な封入」は、本発明の医薬組成物または化合物の10%未満、10、20、30、40、50以下が送達物質内に閉じ込められ、取り囲まれ、または包み込まれることを意味する。有利には、封入は、蛍光及び/または電子顕微鏡写真を使用して本発明の医薬組成物または化合物の漏出または活性を測定することによって決定することができる。例えば、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99または99.99%超が送達物質中に封入される。
【0337】
いくつかの実施形態において、制御放出製剤は、限定するものではないが、トリブロックコポリマーを含み得る。非限定的な例として、製剤は、2つの異なる種類のトリブロックコポリマーを含み得る(国際公開第WO2012131104号及び同第WO2012131106号、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0338】
他の実施形態において、RNAワクチンは、脂質ナノ粒子中または迅速に排除される脂質ナノ粒子中に封入することができ、次いで、この脂質ナノ粒子または迅速に排除される脂質ナノ粒子は、本明細書に記載され、かつ/または当該技術分野において知られているポリマー、ヒドロゲル及び/または外科用シーラント内に封入され得る。非限定的な例として、ポリマー、ヒドロゲルまたは外科用シーラントは、PLGA、エチレンビニルアセテート(EVAc)、ポロキサマー、GELSITE(登録商標)(Nanotherapeutics,Inc.(Alachua,FL))、HYLENEX(登録商標)(Halozyme Therapeutics(San Diego CA))、フィブリノゲンポリマー(Ethicon Inc.(Cornelia,GA))、TISSELL(登録商標)(Baxter International,Inc(Deerfield,IL))、PEG系シーラント及びCOSEAL(登録商標)(Baxter International,Inc(Deerfield,IL))などの外科用シーラントであってよい。
【0339】
他の実施形態において、脂質ナノ粒子は、対象に注射されたときにゲルを形成し得る、当該技術分野において知られている任意のポリマー内に封入されてもよい。別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、生分解性であり得るポリマーマトリックス内に封入されてもよい。
【0340】
いくつかの実施形態において、制御放出及び/または標的化送達のためのRNAワクチン製剤はまた、少なくとも1つの制御放出コーティングを含み得る。制御放出コーティングには、OPADRY(登録商標)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、EUDRAGIT RL(登録商標)、EUDRAGIT RS(登録商標)、及びエチルセルロース水性分散体(AQUACOAT(登録商標)及びSURELEASE(登録商標))などのセルロース誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0341】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチン制御放出及び/または標的化送達製剤は、ポリカチオン性側鎖を含有し得る少なくとも1つの分解性ポリエステルを含み得る。分解性ポリエステルには、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、分解性ポリエステルは、PEG化ポリマーを形成するためのPEGコンジュゲートを含み得る。
【0342】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むRNAワクチン制御放出及び/または標的化送達製剤は、米国特許第8,404,222号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている少なくとも1つのPEG及び/またはPEG関連ポリマー誘導体を含み得る。
【0343】
他の実施形態において、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むRNAワクチン制御放出送達製剤は、米国特許出願公開第20130130348号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている制御放出ポリマー系であってよい。
【0344】
いくつかの実施形態において、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、治療用ナノ粒子中に封入され得、これは、本明細書において「治療用ナノ粒子RNAワクチン」と呼ばれる。治療用ナノ粒子は、本明細書に記載される方法及び当該技術分野において知られている方法、例えば、限定するものではないが、国際公開第WO2010005740号、同第WO2010030763号、同第WO2010005721号、同第WO2010005723号、同第WO2012054923号、米国特許出願公開第US20110262491号、同第US20100104645号、同第US20100087337号、同第US20100068285号、同第US20110274759号、同第US20100068286号、同第US20120288541号、同第US20130123351号及び同第US20130230567号、ならびに米国特許第8,206,747号、同第8,293,276号、同第8,318,208号及び同第8,318,211号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載の方法によって製剤化され得る。他の実施形態において、治療用ポリマーナノ粒子は、米国特許出願公開第US20120140790号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載の方法によって特定することができる。
【0345】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子RNAワクチンは、持続放出用に製剤化することができる。本明細書で使用されるとき、「持続放出」は、特定の期間にわたってある放出速度に従う、医薬組成物または化合物を指す。特定の期間には、時間、日、週、月、及び年が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、持続放出性ナノ粒子は、ポリマーと、限定するものではないが、本発明のポリヌクレオチドなどの治療薬とを含み得る(国際公開第2010075072号ならびに米国特許出願公開第US20100216804号、同第US20110217377号及び同第US20120201859号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。別の非限定的な例において、持続放出性製剤は、限定するものではないが、結晶、巨大分子ゲル及び/または微粒子懸濁液などの、持続的なバイオアベイラビリティを可能にする作用物質を含み得る(米国特許出願公開第US20130150295号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0346】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子RNAワクチンは、標的特異的になるように製剤化することができる。非限定的な例として、治療用ナノ粒子は、コルチコステロイドを含み得る(国際公開第WO2011084518号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。非限定的な例として、治療用ナノ粒子は、国際公開第WO2008121949号、同第WO2010005726号、同第WO2010005725号、同第WO2011084521号及び米国特許出願公開第US20100069426号、同第US20120004293号及び同第US20100104655号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているナノ粒子中に製剤化され得る。
【0347】
いくつかの実施形態において、本発明のナノ粒子は、ポリマーマトリックスを含み得る。非限定的な例として、ナノ粒子は、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)またはこれらの組み合わせなどの2つ以上のポリマーを含み得る。
【0348】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、ジブロックコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、ジブロックコポリマーは、PEGを、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)またはこれらの組み合わせなどのポリマーとの組み合わせで含み得る。更に他の実施形態において、ジブロックコポリマーは、国際公開第WO2013120052号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものなどの高Xジブロックコポリマーであってよい。
【0349】
非限定的な例として、治療用ナノ粒子は、PLGA-PEGブロックコポリマーを含む(米国特許出願公開第US20120004293号及び米国特許第8,236,330号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。別の非限定的な例において、治療用ナノ粒子は、PEG及びPLAまたはPEG及びPLGAのジブロックコポリマーを含むステルスナノ粒子である(米国特許第8,246,968号及び国際公開第WO2012166923号参照、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)。更に別の非限定的な例において、治療用ナノ粒子は、米国特許出願公開第20130172406号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているステルスナノ粒子または標的特異型ステルスナノ粒子である。
【0350】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、多元ブロックコポリマーを含み得る(例えば、米国特許第8,263,665号及び同第8,287,910号ならびに米国特許出願公開第20130195987号参照、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0351】
更に別の非限定的な例において、脂質ナノ粒子は、ブロックコポリマーPEG-PLGA-PEGを含む(例えば、Lee et al.“Thermosensitive Hydrogel as a Tgf-β1 Gene Delivery Vehicle Enhances Diabetic Wound Healing.” Pharmaceutical Research,2003 20(12):1995-2000においてTGF-β1遺伝子の送達ビヒクルとして使用され、Li et al.“Controlled Gene Delivery System Based on Thermosensitive Biodegradable Hydrogel” Pharmaceutical Research 2003 20(6):884- 888;及びChang et al.,“Non-ionic amphiphilic biodegradable PEG-PLGA-PEG copolymer enhances gene delivery efficiency in rat skeletal muscle.” J Controlled Release.2007 118:245-253において制御された遺伝子送達系として使用された、感熱性ヒドロゲル(PEG-PLGA-PEG)参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。本開示のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、PEG-PLGA-PEGブロックコポリマーを含む脂質ナノ粒子中に製剤化され得る。
【0352】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるブロックコポリマーは、非ポリマーミセルとブロックコポリマーとを含むポリイオン複合体中に含まれていてもよい(例えば、米国特許出願公開第20120076836号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0353】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、少なくとも1つのアクリルポリマーを含み得る。アクリルポリマーには、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリシアノアクリレート及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0354】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、少なくとも1つのポリ(ビニルエステル)ポリマーを含み得る。ポリ(ビニルエステル)ポリマーは、ランダムコポリマーなどのコポリマーであってよい。非限定的な例として、ランダムコポリマーは、国際公開第WO2013032829号または米国特許出願公開第20130121954号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものなどの構造を有し得る。いくつかの態様において、ポリ(ビニルエステル)ポリマーは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドにコンジュゲートされ得る。他の態様において、本発明で使用することができるポリ(ビニルエステル)ポリマーは、本明細書に記載されるものであってよい。
【0355】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、少なくとも1つのジブロックコポリマーを含み得る。ジブロックコポリマーは、限定するものではないが、ポリ(乳)酸-ポリ(エチレン)グリコールコポリマーであってよい(例えば、国際公開第WO2013044219号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。非限定的な例として、治療用ナノ粒子を使用して癌を治療することができる(国際公開第WO2013044219号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0356】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、本明細書に記載され、かつまたは当該技術分野において知られている、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含み得る。
【0357】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、少なくとも1つのアミン含有ポリマー、限定するものではないが、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(β-アミノエステル)(例えば、米国特許第8,287,849号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)及びこれらの組み合わせなどを含み得る。他の実施形態において、本明細書に記載されるナノ粒子は、国際公開第WO2013059496号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものなどのアミンカチオン性脂質を含み得る。いくつかの態様において、カチオン性脂質は、アミノ-アミンまたはアミノ-アミド部分を有し得る。
【0358】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、ポリカチオン性側鎖を含有し得る少なくとも1つの分解性ポリエステルを含み得る。分解性ポリエステルには、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、分解性ポリエステルは、PEG化ポリマーを形成するためのPEGコンジュゲートを含み得る。
【0359】
他の実施形態において、治療用ナノ粒子は、少なくとも1つの標的化リガンドのコンジュゲートを含み得る。標的化リガンドは、当該技術分野において知られている任意のリガンド、限定するものではないが、モノクローナル抗体などであってよい(Kirpotin et al,Cancer Res.2006 66:6732-6740、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0360】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子は、水溶液に製剤化され得、これを使用して癌を標的にしてもよい(国際公開第WO2011084513号及び米国特許出願公開第20110294717号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0361】
いくつかの実施形態において、治療用ナノ粒子RNAワクチン(例えば、少なくとも1つのRNAワクチンを含む治療用ナノ粒子)は、米国特許第8,404,799号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)においてPodobinskiらが記載した方法を使用して製剤化することができる。
【0362】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、合成ナノ担体中に封入され、当該担体に結合し、かつ/または当該担体と会合し得る。合成ナノ担体には、国際公開第WO2010005740号、同第WO2012149454号及び同第WO2013019669号、ならびに米国特許出願公開第US20110262491号、同第US20100104645号、同第US20100087337号及び同第US20120244222号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。合成ナノ担体は、当該技術分野において知られている方法及び/または本明細書に記載される方法を使用して製剤化することができる。非限定的な例として、合成ナノ担体は、国際公開第WO2010005740号、同第WO2010030763号及び同第WO201213501号、ならびに米国特許出願公開第US20110262491号、同第US20100104645号、同第US20100087337号及び同第US2012024422号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製剤化することができる。他の実施形態において、合成ナノ担体の製剤は、国際公開第WO2011072218号及び米国特許第8,211,473号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法を使用して凍結乾燥され得る。更に他の実施形態において、限定するものではないが、合成ナノ担体を含む本発明の製剤は、米国特許出願公開第20130230568号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって凍結乾燥または再構成され得る。
【0363】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを放出する反応基を含有し得る(国際公開第WO20120952552号及び米国特許出願公開第US20120171229号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0364】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、合成ナノ担体の送達からの免疫応答を向上させる免疫活性化剤を含有し得る。非限定的な例として、合成ナノ担体は、免疫系のTh1系応答を向上させ得るTh1免疫活性化剤を含み得る(国際公開第WO2010123569号及び米国特許出願公開第20110223201号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0365】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、標的化放出用に製剤化され得る。いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、指定のpHで、かつ/または所望の時間間隔後にポリヌクレオチドを放出するように製剤化される。非限定的な例として、合成ナノ粒子は、RNAワクチンを24時間後、かつ/またはpH4.5で放出するように製剤化され得る(国際公開第WO2010138193号及び同第WO2010138194号ならびに米国特許出願公開第US20110020388号及び同第US20110027217号、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0366】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドの制御放出及び/または持続放出用に製剤化され得る。非限定的な例として、持続放出用の合成ナノ担体は、当該技術分野において知られている方法、本明細書に記載される方法、ならびに/または国際公開第WO2010138192号及び米国特許出願公開第20100303850号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製剤化することができる。
【0367】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、制御放出及び/または持続放出用に製剤化され得、製剤は、結晶性側鎖(CYSC)ポリマーであるポリマーを少なくとも1つ含む。CYSCポリマーは、米国特許第8,399,007号に記載されており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0368】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、ワクチンとして使用するために製剤化され得る。いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを封入し得る。非限定的な例として、合成ナノ担体は、少なくとも1つの抗原とワクチン剤形のための賦形剤とを含み得る(国際公開第WO2011150264号及び米国特許出願公開第20110293723号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。別の非限定的な例として、ワクチン剤形は、同じ抗原または異なる抗原を含む少なくとも2つの合成ナノ担体と、賦形剤とを含み得る(国際公開第WO2011150249号及び米国特許出願公開第20110293701号参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。ワクチン剤形は、本明細書に記載される方法、当該技術分野において知られている方法、ならびに/または国際公開第WO2011150258号及び米国特許出願公開第US20120027806号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって選択され得る。
【0369】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、少なくとも1つのアジュバント(例えば、フラジェリンタンパク質)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、少なくとも1つのアジュバントを含み得る。非限定的な例として、アジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムホスフェートまたはジメチルジオクタデシルアンモニウムアセテート(DDA)、及びマイコバクテリウム総脂質抽出物の無極性分画または当該無極性分画の一部を含み得る(例えば、米国特許第8,241,610号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。他の実施形態において、合成ナノ担体は、少なくとも1つのポリヌクレオチドと、アジュバントとを含み得る。非限定的な例として、アジュバントを含む、任意選択により含む、合成ナノ担体は、国際公開第WO2011150240号及び米国特許出願公開第US20110293700号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製剤化することができる。
【0370】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、ウイルス由来のペプチド、断片または領域をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを封入し得る。非限定的な例として、合成ナノ担体には、国際公開第WO2012024621号、同第WO201202629号及び同第WO2012024632号ならびに米国特許出願公開第US20120064110号、同第US20120058153号及び同第US20120058154号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているナノ担体を挙げることができる。
【0371】
いくつかの実施形態において、合成ナノ担体は、体液性応答及び/または細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘起することが可能であり得るポリヌクレオチドに結合され得る(例えば、国際公開第WO2013019669号参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0372】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、双性イオン脂質中に封入され、当該脂質に結合し、かつ/または当該脂質と会合し得る。双性脂質及び双性脂質の使用方法の非限定的な例は、米国特許出願公開第20130216607号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。いくつかの態様において、双性イオン脂質は、本明細書に記載されるリポソーム及び脂質ナノ粒子で使用することができる。
【0373】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、米国特許出願公開第20130197100号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているコロイド状ナノ担体中に製剤化され得る。
【0374】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、経口投与用に最適化され得る。ナノ粒子は、限定するものではないが、キトサンまたはその誘導体などの少なくとも1つのカチオン性バイオポリマーを含み得る。非限定的な例として、ナノ粒子は、米国特許出願公開第20120282343号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製剤化することができる。
【0375】
いくつかの実施形態において、LNPは、脂質KL52を含む(米国特許出願公開第2012/0295832号に開示されているアミノ脂質、その全体を参照により本明細書に明示的に援用する)。LNP投与の活性及び/または安全性(ALT/AST、白血球数及びサイトカイン誘導の1つ以上を調べることによって決定される)は、かかる脂質を組み込むことによって改善され得る。KL52を含むLNPは、静脈内及び/または1用量以上で投与され得る。いくつかの実施形態において、KL52を含むLNPの投与は、MC3を含むLNPと比較して、同量または改善したmRNA及び/またはタンパク質発現をもたらす。
【0376】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、更に小さなLNPを使用して送達されてもよい。そのような粒子は、直径が0.1μm未満から最大100nm、例えば、限定するものではないが、0.1μm未満、1.0μm未満、5μm未満、10μm未満、15μm未満、20μm未満、25μm未満、30μm未満、35μm未満、40μm未満、50μm未満、55μm未満、60μm未満、65μm未満、70μm未満、75μm未満、80μm未満、85μm未満、90μm未満、95μm未満、100μm未満、125μm未満、150μm未満、175μm未満、200μm未満、225μm未満、250μm未満、275μm未満、300μm未満、325μm未満、350μm未満、375μm未満、400μm未満、425μm未満、450μm未満、475μm未満、500μm未満、525μm未満、550μm未満、575μm未満、600μm未満、625μm未満、650μm未満、675μm未満、700μm未満、725μm未満、750μm未満、775μm未満、800μm未満、825μm未満、850μm未満、875μm未満、900μm未満、925μm未満、950μm未満または975μm未満であってよい。
【0377】
他の実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、約1nm~約100nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約30nm、約1nm~約40nm、約1nm~約50nm、約1nm~約60nm、約1nm~約70nm、約1nm~約80nm、約1nm~約90nm、約5nm~約100nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約30nm、約5nm~約40nm、約5nm~約50nm、約5nm~約60nm、約5nm~約70nm、約5nm~約80nm、約5nm~約90nm、約10~約50nm、約20~約50nm、約30~約50nm、約40~約50nm、約20~約60nm、約30~約60nm、約40~約60nm、約20~約70nm、約30~約70nm、約40~約70nm、約50~約70nm、約60~約70nm、約20~約80nm、約30~約80nm、約40~約80nm、約50~約80nm、約60~約80nm、約20~約90nm、約30~約90nm、約40~約90nm、約50~約90nm、約60~約90nm及び/または約70~約90nmの直径であり得る、更に小さなLNPを使用して送達されてもよい。
【0378】
いくつかの実施形態において、そのようなLNPは、マイクロ流体ミキサーを備える方法を使用して合成される。例示的なマイクロ流体ミキサーには、限定するものではないが、スリット型インターデジタルマイクロミキサーを挙げることができ、例えば、限定するものではないが、Microinnova(Allerheiligen bei Wildon,Austria))社製によるもの及び/またはジグザグヘリンボーンマイクロミキサー(SHM)があり(Zhigaltsev,I.V.et al.,Bottom-up design and synthesis of limit size lipid nanoparticle systems with aqueous and triglyceride cores using millisecond microfluidic mixingが公開されている(Langmuir.2012.28:3633-40;Belliveau,N.M.et al.,Microfluidic synthesis of highly potent limit-size lipid nanoparticles for in vivo delivery of siRNA.Molecular Therapy-Nucleic Acids.2012.1:e37;Chen,D.et al.,Rapid discovery of potent siRNA-containing lipid nanoparticles enabled by controlled microfluidic formulation.J Am Chem Soc.2012.134(16):6948-51、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0379】
いくつかの実施形態において、SHMを備えるLNPの生成方法は、少なくとも2つの流入流れの混合を更に含み、この混合は、微細構造誘導型カオス的移流(MICA)によって生じる。この方法によれば、流体流れは、ヘリンボーンのパターンに存在する流路を通って流れ、回転流を引き起こし、流体が互いに折り重なる。この方法はまた、流体が循環している間に表面が方向性を変える、流体混合のための表面を含み得る。SHMを使用してLNPを生成する方法には、米国特許出願公開第2004/0262223号及び同第2012/0276209号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に明示的に援用する)に開示されているものが含まれる。
【0380】
いくつかの実施形態において、本発明のRNAワクチンは、限定するものではないが、スリット型インターデジタル微細構造ミキサー(SIMM-V2)または標準スリット型インターデジタルマイクロミキサー(SSIMM)またはキャタピラー(CPMM)またはジェット衝突(IJMM)(Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH(Mainz Germany)社製)などのマイクロミキサーを使用して生成された脂質ナノ粒子中に製剤化され得る。
【0381】
いくつかの実施形態において、本開示のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、マイクロ流体技術を使用して生成された脂質ナノ粒子中に製剤化され得る(Whitesides,George M.The Origins and the Future of Microfluidics.Nature,2006 442:368-373;及びAbraham et al.Chaotic Mixer for Microchannels.Science,2002 295:647-651参照、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。非限定的な例として、制御されたマイクロ流体製剤は、マイクロ流路内にある低いレイノルズ数の定常圧による駆動流の流れを混合する受動的方法を伴う(例えば、Abraham et al.Chaotic Mixer for Microchannels.Science,2002 295:647651参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0382】
いくつかの実施形態において、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、限定するものではないが、Harvard Apparatus(Holliston,MA)社製またはDolomite Microfluidics(Royston,UK)社製のものなどのマイクロミキサーチップを使用して生成された脂質ナノ粒子中に製剤化され得る。マイクロミキサーチップを、スリット及び再結合メカニズムにより2つ以上の流体流れを迅速に混合するために使用することができる。
【0383】
いくつかの実施形態において、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、国際公開第WO2013063468号または米国特許第8,440,614号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている薬物封入マイクロスフェアを使用した送達用に製剤化され得る。マイクロスフェアは、国際公開第WO2013063468号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の化合物を含み得る。他の態様において、本発明のRNAワクチンを細胞に送達するには、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、脂質(APPL)が有用である(国際公開第WO2013063468号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0384】
いくつかの実施形態において、本開示のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、約10~約100nm、例えば、限定するものではないが、約10~約20nm、約10~約30nm、約10~約40nm、約10~約50nm、約10~約60nm、約10~約70nm、約10~約80nm、約10~約90nm、約20~約30nm、約20~約40nm、約20~約50nm、約20~約60nm、約20~約70nm、約20~約80nm、約20~約90nm、約20~約100nm、約30~約40nm、約30~約50nm、約30~約60nm、約30~約70nm、約30~約80nm、約30~約90nm、約30~約100nm、約40~約50nm、約40~約60nm、約40~約70nm、約40~約80nm、約40~約90nm、約40~約100nm、約50~約60nm、約50~約70nm約50~約80nm、約50~約90nm、約50~約100nm、約60~約70nm、約60~約80nm、約60~約90nm、約60~約100nm、約70~約80nm、約70~約90nm、約70~約100nm、約80~約90nm、約80~約100nm及び/または約90~約100nmの直径を有する脂質ナノ粒子中に製剤化され得る。
【0385】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、約10~500nmの直径を有し得る。
【0386】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、100nm超、150nm超、200nm超、250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、500nm超、550nm超、600nm超、650nm超、700nm超、750nm超、800nm超、850nm超、900nm超、950nmまたは1000nm超の直径を有し得る。
【0387】
いくつかの態様において、脂質ナノ粒子は、国際公開第WO2013059922号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている限界寸法の脂質ナノ粒子であってよい。限界寸法の脂質ナノ粒子は、水性コアまたは疎水性コアを取り囲む脂質二重層を含み得、ここで、脂質二重層は、限定するものではないが、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、セレブロシド、C8~C20の脂肪酸ジアシルホスファチジルコリン及び1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)などのリン脂質を含み得る。他の態様において、限界寸法の脂質ナノ粒子は、限定するものではないが、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG及びDSPE-PEGなどのポリエチレングリコール脂質を含み得る。
【0388】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、国際公開第WO2013063530号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている送達方法を使用して、特定の場所に送達し、局在化させ、及び/または集中させてもよい。非限定的な例として、RNAワクチンを対象に送達する前に、それと同時に、またはその後に、空のポリマー粒子を対象に投与してもよい。空のポリマー粒子は、対象と接触すると、体積が変化し、対象内の特定の位置に、留まり、埋め込まれ、固定化され、または捕捉される。
【0389】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、有効物質放出系中に製剤化され得る(例えば、米国特許出願公開第US20130102545号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。有効物質放出系は、1)触媒活性をもつ核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドインヒビター鎖に結合した少なくとも1つのナノ粒子と、2)治療上有効な物質(例えば、本明細書に記載されるポリヌクレオチド)に結合した少なくとも1つの基質分子に結合した化合物とを含み得、ここで、治療上有効な物質は、触媒活性をもつ核酸による基質分子の切断によって放出される。
【0390】
いくつかの実施形態において、RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、非細胞性物質を含む内側コアと、細胞膜を含む外表面とを含むナノ粒子中に製剤化され得る。細胞膜は、細胞由来でもよいし、ウイルス由来の膜であってもよい。非限定的な例として、ナノ粒子は、国際公開第WO2013052167号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。別の非限定的な例として、本明細書に記載されるRNAワクチンを送達するために、国際公開第WO2013052167号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているナノ粒子を使用してもよい。
【0391】
いくつかの実施形態において、RNAワクチンは、多孔性ナノ粒子に支持された脂質二重層(原細胞)中に製剤化され得る。原細胞については、国際公開第WO2013056132号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0392】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるRNAワクチンは、米国特許第8,420,123号及び同第8,518,963号ならびに欧州特許第EP2073848B1号(そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているポリマーナノ粒子中、またはこれらに記載されている方法によって作製されたポリマーナノ粒子中に製剤化され得る。非限定的な例として、米国特許第8,518,963号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているナノ粒子または当該特許に記載されている方法によって作製されたナノ粒子などのポリマーナノ粒子は、高いガラス転移温度を有し得る。別の非限定的な例として、経口製剤及び非経口製剤のためのポリマーナノ粒子は、欧州特許第EP2073848B1号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製され得る。
【0393】
他の実施形態において、本明細書に記載されるRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、イメージングで使用されるナノ粒子中に製剤化され得る。ナノ粒子は、米国特許出願公開第20130129636号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものなどのリポソームナノ粒子であってよい。非限定的な例として、リポソームは、ガドリニウム(III)2-{4,7-ビス-カルボキシメチル-10-[(N,N-ジステアリルアミドメチル-N’-アミド-メチル]-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカ-1-イル}-酢酸及び中性の完全に飽和したリン脂質成分を含み得る(例えば、米国特許出願公開第US20130129636号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0394】
いくつかの実施形態において、本発明において使用することができるナノ粒子は、米国特許出願公開第20130130348号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって形成される。
【0395】
本発明のナノ粒子は、限定するものではないが、欠乏すると貧血から神経管欠陥に及ぶ健康被害をもたらし得るものなどの栄養素を更に含み得る(例えば、国際公開第WO2013072929号に記載のナノ粒子参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。非限定的な例として、栄養素は、第一鉄塩、第二鉄塩または元素状の鉄、ヨウ素、葉酸、ビタミンまたは微量栄養素であってよい。
【0396】
いくつかの実施形態において、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、膨潤性ナノ粒子中に製剤化され得る。膨潤性ナノ粒子は、限定するものではないが、米国特許第8,440,231号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものであってよい。非限定的な実施形態として、本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンを肺系統に送達するために、膨潤性ナノ粒子が使用され得る(例えば、米国特許第8,440,231号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。
【0397】
本発明のRNA(例えば、mRNA)ワクチンは、限定するものではないが、米国特許第8,449,916号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されるものなどのポリ酸無水物ナノ粒子中に製剤化され得る。本発明のナノ粒子及びマイクロ粒子を幾何学的に操作して、マクロファージ応答及び/または免疫応答を制御してもよい。いくつかの態様において、幾何学的に操作された粒子は、限定するものではないが、肺送達などの標的化送達用の本発明のポリヌクレオチドを組み込むために、様々な形状、大きさ及び/または表面電荷を有し得る(例えば、国際公開第WO2013082111号参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。幾何学的に操作される粒子の他の物理的特徴には、限定するものではないが、窓形成、角度のあるアーム、非対称性及び表面粗さ、電荷が含まれ得、これにより、細胞と組織との相互作用を変えることができる。非限定的な例として、本発明のナノ粒子は、国際公開第WO2013082111号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。
【0398】
いくつかの実施形態において、本発明のナノ粒子は、水溶性ナノ粒子、例えば、限定するものではないが、国際公開第WO2013090601号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されるものなどであってよい。ナノ粒子は、良好な水溶性を示すために、小型で双性イオンのリガンドを有する無機ナノ粒子であってもよい。ナノ粒子はまた、小さな流体力学的直径(HD)、時間、pH及び塩濃度に対する安定性、ならびに低レベルの非特異的タンパク質結合を有し得る。
【0399】
いくつかの実施形態において、本発明のナノ粒子は、米国特許出願公開第US20130172406号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって開発され得る。
【0400】
いくつかの実施形態において、本発明のナノ粒子は、限定するものではないが、米国特許出願公開第20130172406号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されているものなどのステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子である。本発明のナノ粒子は、米国特許出願公開第20130172406号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。
【0401】
他の実施形態において、ステルスまたは標的特異的ステルスナノ粒子は、ポリマーマトリックスを含み得る。ポリマーマトリックスは、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレートまたはこれらの組み合わせなどの2つ以上のポリマーを含み得る。
【0402】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、高密度の核酸層を有するナノ粒子-核酸ハイブリッド構造であってよい。非限定的な例として、ナノ粒子-核酸ハイブリッド構造は、米国特許出願公開第20130171646号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法によって作製することができる。ナノ粒子は、限定するものではないが、本明細書に記載されるポリヌクレオチド及び/または当該技術分野において知られているポリヌクレオチドなどの核酸を含み得る。
【0403】
本発明のナノ粒子の少なくとも1つは、コアナノ構造に埋め込まれ得、またはナノ構造内もしくはナノ構造上で少なくとも1つのペイロードを運搬もしくは会合することが可能である低密度の多孔性3D構造もしくはコーティングで被覆され得る。少なくとも1つのナノ粒子を含むナノ構造の非限定的な例は、国際公開第WO2013123523号に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0404】
ワクチン投与方法
RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、治療上有効な成果をもたらす任意の経路によって投与され得る。これらには、皮内、筋肉内、鼻腔内及び/または皮下投与が含まれるが、これらに限定されない。本開示は、それを必要とする対象にRNAワクチンを投与することを含む方法を提供する。正確な必要量は、対象の種、年齢及び全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式などに応じて、対象ごとに変化し得る。RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、典型的に、投与の容易性及び用量の均一性のために単位剤形で製剤化される。しかしながら、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物の一日の総用量は、堅実な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効な用量レベル、予防上有効な用量レベル、適切なイメージング用量レベルは、治療対象の疾病及び疾病の重症度、採用される特定の化合物の活性、採用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全身状態、性別及び食生活、採用される特定の化合物の投与の時間、投与経路及び排泄速度、治療の継続期間、採用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに医学分野でよく知られている同様の因子を含む、種々の因子に依存し得る。
【0405】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、1日につき対象の体重1kg当たり、0.0001mg/kg~100mg/kg、0.001mg/kg~0.05mg/kg、0.005mg/kg~0.05mg/kg、0.001mg/kg~0.005mg/kg、0.05mg/kg~0.5mg/kg、0.01mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~40mg/kg、0.5mg/kg~30mg/kg、0.01mg/kg~10mg/kg、0.1mg/kg~10mg/kgまたは1mg/kg~25mg/kgを送達するのに十分な用量レベルで、1日1回以上、週1回以上、月1回以上などで投与されて、所望の治療効果、診断効果、予防効果またはイメージング効果を得ることができる(例えば、国際公開第WO2013078199号に記載されている単位用量範囲を参照、その全体を参照により本明細書に援用する)。所望の用量は、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、毎週、2週ごと、3週ごと、4週ごと、2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとなどに送達され得る。ある特定の実施形態において、所望の用量は、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回またはそれ以上の投与)を用いて送達され得る。複数回投与が採用される場合、本明細書に記載されるものなどの分割投薬計画を使用してもよい。例示的な実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、0.0005mg/kg~0.01mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg~約0.0075mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg、約0.001mg/kg、約0.002mg/kg、約0.003mg/kg、約0.004mg/kgまたは約0.005mg/kgを送達するのに十分な用量レベルで投与され得る。
【0406】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、0.025mg/kg~0.250mg/kg、0.025mg/kg~0.500mg/kg、0.025mg/kg~0.750mg/kgまたは0.025mg/kg~1.0mg/kgを送達するのに十分な用量レベルで、1回または2回(またはそれ以上)投与され得る。
【0407】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、0.0100mg、0.025mg、0.050mg、0.075mg、0.100mg、0.125mg、0.150mg、0.175mg、0.200mg、0.225mg、0.250mg、0.275mg、0.300mg、0.325mg、0.350mg、0.375mg、0.400mg、0.425mg、0.450mg、0.475mg、0.500mg、0.525mg、0.550mg、0.575mg、0.600mg、0.625mg、0.650mg、0.675mg、0.700mg、0.725mg、0.750mg、0.775mg、0.800mg、0.825mg、0.850mg、0.875mg、0.900mg、0.925mg、0.950mg、0.975mgもしくは1.0mgの総用量またはこれらの総用量を送達するのに十分な用量レベルで、2回(例えば、0日目及び7日目、0日目及び14日目、0日目及び21日目、0日目及び28日目、0日目及び60日目、0日目及び90日目、0日目及び120日目、0日目及び150日目、0日目及び180日目、0日目及び3ヶ月後、0日目及び6ヶ月後、0日目及び9ヶ月後、0日目及び12ヶ月後、0日目及び18ヶ月後、0日目及び2年後、0日目及び5年後または0日目及び10年後)投与され得る。より高い用量及びより低い用量ならびに投与頻度が本開示に包含される。例えば、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、3回または4回投与され得る。
【0408】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン組成物は、0.010mg、0.025mg、0.100mgもしくは0.400mgの総用量またはこれらの総用量を送達するのに十分な用量レベルで、2回(例えば、0日目及び7日目、0日目及び14日目、0日目及び21日目、0日目及び28日目、0日目及び60日目、0日目及び90日目、0日目及び120日目、0日目及び150日目、0日目及び180日目、0日目及び3ヶ月後、0日目及び6ヶ月後、0日目及び9ヶ月後、0日目及び12ヶ月後、0日目及び18ヶ月後、0日目及び2年後、0日目及び5年後または0日目及び10年後)投与され得る。
【0409】
いくつかの実施形態において、対象にワクチン接種を行う方法にて使用されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、対象へのワクチン接種に有効な量で、10μg/kg~400μg/kgの核酸ワクチンの単回用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、対象にワクチン接種を行う方法にて使用されるRNAワクチンは、対象へのワクチン接種に有効な量で、10μg~400μgの核酸ワクチンの単回用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、対象にワクチン接種を行う方法にて使用されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、25~1000μgの単回用量(例えば、RSV抗原をコードするmRNAの単回用量)として対象に投与される。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンは、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000μgの単回用量として対象に投与される。例えば、RSV RNAワクチンは、25~100、25~500、50~100、50~500、50~1000、100~500、100~1000、250~500、250~1000または500~1000μgの単回用量として対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、対象にワクチン接種を行う方法にて使用されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、2回用量として対象に投与され、その用量の組み合わせは、25~1000μgのRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンに等しい。
【0410】
本明細書に記載されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチン医薬組成物は、鼻腔内、気管内または注射可能(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内及び皮下)などの本明細書に記載される剤形に製剤化することができる。
【0411】
RSV RNAワクチン製剤及び使用方法
本開示のいくつかの態様は、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの製剤を提供し、ここで、RSV RNAワクチンは、対象において抗原特異的免疫応答(例えば、抗RSV抗原性ポリペプチドに特異的な抗体の産生)をもたらすのに有効な量で製剤化される。「有効量」は、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効なRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの用量である。また、対象の抗原特異的免疫応答を誘導する方法も本明細書で提供される。
【0412】
いくつかの実施形態において、抗原特異的免疫応答は、本明細書で提供されるRSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンを投与した対象において産生された抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価を測定することによって特徴付けられる。抗体力価は、対象内の抗体の量、例えば、特定の抗原(例えば、抗RSV抗原性ポリペプチド)または抗原のエピトープに特異的である抗体の量の測定値である。抗体力価は、典型的に、陽性結果をもたらす最大希釈の逆数で表される。例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)が、抗体力価を決定するための一般的なアッセイである。
【0413】
いくつかの実施形態において、抗体力価は、対象が感染したかどうかを評価し、または免疫付与が必要かどうかを決定するために使用される。いくつかの実施形態において、抗体力価は、自己免疫応答の強さを決定し、ブースター免疫が必要であるかを決定し、以前のワクチンが有効であったかを決定し、かつ最近または以前のあらゆる感染を特定するために使用される。本開示によれば、抗体力価は、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンによって、対象において誘導された免疫応答の強さを決定するために使用される。
【0414】
いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも1log増加する。例えば、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5または少なくとも3log増加し得る。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、1、1.5、2、2.5または3log増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、1~3log増加する。例えば、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、1~1.5、1~2、1~2.5、1~3、1.5~2、1.5~2.5、1.5~3、2~2.5、2~3または2.5~3log増加し得る。
【0415】
いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも2倍増加する。例えば、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍または少なくとも10倍増加し得る。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、2、3、4、5,6、7、8、9または10倍増加する。いくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、2~10倍増加する。例えば、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、対照(例えば、対照ワクチン)と比較して、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9または9~10倍増加し得る。
【0416】
対照は、いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの投与を受けたことがない対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、弱毒化生RSVワクチンの投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。弱毒化ワクチンは、毒性を低下させることによって作製された生存能力のある(生きた)ワクチンである。弱毒化されたウイルスは、改変されていない生きたウイルスと比較して、無害または低毒性になるように改変される。いくつかの実施形態において、対照は、RSV不活化ワクチンの投与を受けた対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの投与を受けた対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。組み換えタンパク質ワクチンは、典型的に、異種発現系(例えば、細菌または酵母)で産生されたタンパク質抗原または大量の病原性生物から精製されたタンパク質抗原のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、対照は、RSVウイルス様粒子(VLP)ワクチン(例えば、ウイルスカプシドタンパク質を含有するが、ウイルスゲノムを含まないので、子孫ウイルスを複製/産生することができない粒子)の投与を受けたことがある対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価である。いくつかの実施形態において、対照は、融合前または融合後のFタンパク質を含むか、2つの組み合わせを含む、VLP RSVワクチンである。
【0417】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量と比較して少ない用量である。本明細書で提供される「標準治療」は、医学的または心理学的治療ガイドラインを指し、全般的または特定的であり得る。「標準治療」は、科学的証拠及び所与の状態の治療に関わる医療専門家間の協力に基づいた適切な治療法を規定している。これは、ある特定のタイプの患者、疾病または臨床環境に対して医師/臨床医が従うべき診断及び治療プロセスである。「標準治療用量」は、本明細書に記載されるとき、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの用量であって、医師/臨床医または他の医療専門家が、RSVまたはRSV関連状態を治療または予防するための標準治療ガイドラインに従いながら、RSVまたはRSV関連状態を治療または予防するために対象に投与する用量である。
【0418】
いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンの有効量を投与した対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0419】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/2に減らした用量と同等の用量である。例えば、RSV RNAワクチンの有効量は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも1/3、少なくとも1/4、少なくとも1/5、少なくとも1/6、少なくとも1/7、少なくとも1/8、少なくとも1/9または少なくとも1/10に減らした用量と同等の用量であり得る。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンの有効量は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を少なくとも少なくとも1/100、少なくとも1/500または少なくとも1/1000に減らした用量と同等の用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンの有効量は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、1/10、1/20、1/50、1/100、1/250、1/500または1/1000に減らした用量と同等の用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNAワクチンの有効量を投与した対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくはタンパク質RSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、組み換えまたは精製されたRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2~1/1000(例えば、1/2~1/100、1/10~1/1000)に減らした用量と同等の用量であり、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0420】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチンの標準治療用量を1/2~1/1000、1/2~1/900、1/2~1/800、1/2~1/700、1/2~1/600、1/2~1/500、1/2~1/400、1/2~1/300、1/2~1/200、1/2~1/100、1/2~1/90、1/2~1/80、1/2~1/70、1/2~1/60、1/2~1/50、1/2~1/40、1/2~1/30、1/2~1/20、1/2~1/10、1/2~1/9、1/2~1/8、1/2~1/7、1/2~1/6、1/2~1/5、1/2~1/4、1/2~1/3、1/3~1/1000、1/3~1/900、1/3~1/800、1/3~1/700、1/3~1/600、1/3~1/500、1/3~1/400、1/3~1/300、1/3~1/200、1/3~1/100、1/3~1/90、1/3~1/80、1/3~1/70、1/3~1/60、1/3~1/50、1/3~1/40、1/3~1/30、1/3~1/20、1/3~1/10、1/3~1/9、1/3~1/8、1/3~1/7、1/3~1/6、1/3~1/5、1/3~1/4、1/4~1/1000、1/4~1/900、1/4~1/800、1/4~1/700、1/4~1/600、1/4~1/500、1/4~1/400、1/4~1/400、1/4~1/200、1/4~1/100、1/4~1/90、1/4~1/80、1/4~1/70、1/4~1/60、1/4~1/50、1/4~1/40、1/4~1/30、1/4~1/20、1/4~1/10、1/4~1/9、1/4~1/8、1/4~1/7、1/4~1/6、1/4~1/5、1/4~1/4、1/5~1/1000、1/5~1/900、1/5~1/800、1/5~1/700、1/5~1/600、1/5~1/500、1/5~1/400、1/5~1/300、1/5~1/200、1/5~1/100、1/5~1/90、1/5~1/80、1/5~1/70、1/5~1/60、1/5~1/50、1/5~1/40、1/5~1/30、1/5~1/20、1/5~1/10、1/5~1/9、1/5~1/8、1/5~1/7、1/5~1/6、1/6~1/1000、1/6~1/900、1/6~1/800、1/6~1/700、1/6~1/600、1/6~1/500、1/6~1/400、1/6~1/300、1/6~1/200、1/6~1/100、1/6~1/90、1/6~1/80、1/6~1/70、1/6~1/60、1/6~1/50、1/6~1/40、1/6~1/30、1/6~1/20、1/6~1/10、1/6~1/9、1/6~1/8、1/6~1/7、1/7~1/1000、1/7~1/900、1/7~1/800、1/7~1/700、1/7~1/600、1/7~1/500、1/7~1/400、1/7~1/300、1/7~1/200、1/7~1/100、1/7~1/90、1/7~1/80、1/7~1/70、1/7~1/60、1/7~1/50、1/7~1/40、1/7~1/30、1/7~1/20、1/7~1/10、1/7~1/9、1/7~1/8、1/8~1/1000、1/8~1/900、1/8~1/800、1/8~1/700、1/8~1/600、1/8~1/500、1/8~1/400、1/8~1/300、1/8~1/200、1/8~1/100、1/8~1/90、1/8~1/80、1/8~1/70、1/8~1/60、1/8~1/50、1/8~1/40、1/8~1/30、1/8~1/20、1/8~1/10、1/8~1/9、1/9~1/1000、1/9~1/900、1/9~1/800、1/9~1/700、1/9~1/600、1/9~1/500、1/9~1/400、1/9~1/300、1/9~1/200、1/9~1/100、1/9~1/90、1/9~1/80、1/9~1/70、1/9~1/60、1/9~1/50、1/9~1/40、1/9~1/30、1/9~1/20、1/9~1/10、1/10~1/1000、1/10~1/900、1/10~1/800、1/10~1/700、1/10~1/600、1/10~1/500、1/10~1/400、1/10~1/300、1/10~1/200、1/10~1/100、1/10~1/90、1/10~1/80、1/10~1/70、1/10~1/60、1/10~1/50、1/10~1/40、1/10~1/30、1/10~1/20、1/20~1/1000、1/20~1/900、1/20~1/800、1/20~1/700、1/20~1/600、1/20~1/500、1/20~1/400、1/20~1/300、1/20~1/200、1/20~1/100、1/20~1/90、1/20~1/80、1/20~1/70、1/20~1/60、1/20~1/50、1/20~1/40、1/20~1/30、1/30~1/1000、1/30~1/900、1/30~1/800、1/30~1/700、1/30~1/600、1/30~1/500、1/30~1/400、1/30~1/300、1/30~1/200、1/30~1/100、1/30~1/90、1/30~1/80、1/30~1/70、1/30~1/60、1/30~1/50、1/30~1/40、1/40~1/1000、1/40~1/900、1/40~1/800、1/40~1/700、1/40~1/600、1/40~1/500、1/40~1/400、1/40~1/300、1/40~1/200、1/40~1/100、1/40~1/90、1/40~1/80、1/40~1/70、1/40~1/60、1/40~1/50、1/50~1/1000、1/50~1/900、1/50~1/800、1/50~1/700、1/50~1/600、1/50~1/500、1/50~1/400、1/50~1/300、1/50~1/200、1/50~1/100、1/50~1/90、1/50~1/80、1/50~1/70、1/50~1/60、1/60~1/1000、1/60~1/900、1/60~1/800、1/60~1/700、1/60~1/600、1/60~1/500、1/60~1/400、1/60~1/300、1/60~1/200、1/60~1/100、1/60~1/90、1/60~1/80、1/60~1/70、1/70~1/1000、1/70~1/900、1/70~1/800、1/70~1/700、1/70~1/600、1/70~1/500、1/70~1/400、1/70~1/300、1/70~1/200、1/70~1/100、1/70~1/90、1/70~1/80、1/80~1/1000、1/80~1/900、1/80~1/800、1/80~1/700、1/80~1/600、1/80~1/500、1/80~1/400、1/80~1/300、1/80~1/200、1/80~1/100、1/80~1/90、1/90~1/1000、1/90~1/900、1/90~1/800、1/90~1/700、1/90~1/600、1/90~1/500、1/90~1/400、1/90~1/300、1/90~1/200、1/90~1/100、1/100~1/1000、1/100~1/900、1/100~1/800、1/100~1/700、1/100~1/600、1/100~1/500、1/100~1/400、1/100~1/300、1/100~1/200、1/200~1/1000、1/200~1/900、1/200~1/800、1/200~1/700、1/200~1/600、1/200~1/500、1/200~1/400、1/200~1/300、1/300~1/1000、1/300~1/900、1/300~1/800、1/300~1/700、1/300~1/600、1/300~1/500、1/300~1/400、1/400~1/1000、1/400~1/900、1/400~1/800、1/400~1/700、1/400~1/600、1/400~1/500、1/500~1/1000、1/500~1/900、1/500~1/800、1/500~1/700、1/500~1/600、1/600~1/1000、1/600~1/900、1/600~1/800、1/600~1/700、1/700~1/1000、1/700~1/900、1/700~1/800、1/800~1/1000、1/800~1/900または1/900~1/1000に減らした用量と同等の用量である。前述などのいくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。いくつかの実施形態において、有効量は、組み換えRSVタンパク質ワクチン標準治療用量を1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/60、1/70、1/80、1/90、1/100、1/110、1/120、1/130、1/140、1/150、1/160、1/170、1/1280、1/190、1/200、1/210、1/220、1/230、1/240、1/250、1/260、1/270、1/280、1/290、1/300、1/310、1/320、1/330、1/340、1/350、1/360、1/370、1/380、1/390、1/400、1/410、1/420、1/430、1/440、1/450、1/4360、1/470、1/480、1/490、1/500、1/510、1/520、1/530、1/540、1/550、1/560、1/5760、1/580、1/590、1/600、1/610、1/620、1/630、1/640、1/650、1/660、1/670、1/680、1/690、1/700、1/710、1/720、1/730、1/740、1/750、1/760、1/770、1/780、1/790、1/800、1/810、1/820、1/830、1/840、1/850、1/860、1/870、1/880、1/890、1/900、1/910、1/920、1/930、1/940、1/950、1/960、1/970、1/980、1/990または1/1000に減らした用量と同等(または少なくとも同等)の用量である。前述などのいくつかの実施形態において、対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価は、組み換えもしくは精製されたRSVタンパク質ワクチン、または弱毒化生RSVワクチンもしくは不活化RSVワクチン、またはRSV VLPワクチンの標準治療用量を投与した対照の対象において産生される抗RSV抗原性ポリペプチド抗体の力価と同等である。
【0421】
いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、50~1000μgの総用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、50~1000、50~900、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~90、50~80、50~70、50~60、60~1000、60~900、60~800、60~700、60~600、60~500、60~400、60~300、60~200、60~100、60~90、60~80、60~70、70~1000、70~900、70~800、70~700、70~600、70~500、70~400、70~300、70~200、70~100、70~90、70~80、80~1000、80~900、80~800、80~700、80~600、80~500、80~400、80~300、80~200、80~100、80~90、90~1000、90~900、90~800、90~700、90~600、90~500、90~400、90~300、90~200、90~100、100~1000、100~900、100~800、100~700、100~600、100~500、100~400、100~300、100~200、200~1000、200~900、200~800、200~700、200~600、200~500、200~400、200~300、300~1000、300~900、300~800、300~700、300~600、300~500、300~400、400~1000、400~900、400~800、400~700、400~600、400~500、500~1000、500~900、500~800、500~700、500~600、600~1000、600~900、600~900、600~700、700~1000、700~900、700~800、800~1000、800~900または900~1000μgの総用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000μgの総用量である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象に合計2回投与される、25~500μgの用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、対象に合計2回投与される、25~500、25~400、25~300、25~200、25~100、25~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、100~500、100~400、100~300、100~200、150~500、150~400、150~300、150~200、200~500、200~400、200~300、250~500、250~400、250~300、300~500、300~400、350~500、350~400、400~500または450~500μgの用量である。いくつかの実施形態において、RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンの有効量は、対象に合計2回投与される、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450または500μgの総用量である。
【0422】
追加の実施形態
1.5’末端キャップと、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームと、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチン。
【0423】
2.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号257によって特定される配列によってコードされる、段落1に記載のワクチン。
【0424】
3.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号258によって特定される配列によってコードされる、段落1に記載のワクチン。
【0425】
4.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号259によって特定される配列によってコードされる、段落1に記載のワクチン。
【0426】
5.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号278によって特定される配列を含む、段落1に記載のワクチン。
【0427】
6.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号279によって特定される配列を含む、段落1に記載のワクチン。
【0428】
7.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号280によって特定される配列を含む、段落1に記載のワクチン。
【0429】
8.当該5’末端キャップが、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpであるか、これを含む、段落1~7のいずれか1つに記載のワクチン。
【0430】
9.当該オープンリーディングフレーム中のウラシルの100%が当該ウラシルの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾されている、段落1~8のいずれか1つに記載のワクチン。
【0431】
10.DLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、段落1~9のいずれか1つに記載のワクチン。
【0432】
11.当該脂質ナノ粒子が、クエン酸三ナトリウム緩衝液、スクロース及び水を更に含む、段落10に記載のワクチン。
【0433】
12.5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号278によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該配列番号278によって特定される配列のウラシルヌクレオチドは、当該ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾され、任意選択によりDLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【0434】
13.5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号279によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該配列番号279によって特定される配列のウラシルヌクレオチドは、当該ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾され、任意選択によりDLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【0435】
14.5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号280によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該配列番号280によって特定される配列のウラシルヌクレオチドは、当該ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾され、任意選択によりDLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【0436】
15.5’末端キャップと、少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームと、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含む、RSVワクチン。
【0437】
16.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号5によって特定される配列によってコードされる、段落15に記載のワクチン。
【0438】
17.当該少なくとも1つのmRNAポリヌクレオチドが、配列番号262によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0439】
18.当該少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号6によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0440】
19.当該少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号290によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0441】
20.当該mRNAポリヌクレオチドが、配列番号7によって特定される配列によってコードされる、段落15に記載のワクチン。
【0442】
21.当該mRNAポリヌクレオチドが、配列番号263によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0443】
22.当該少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号8によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0444】
23.当該少なくとも1つのRSV抗原性ポリペプチドが、配列番号291によって特定される配列を含む、段落15に記載のワクチン。
【0445】
24.当該5’末端キャップが、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpであるか、これを含む、段落15~23のいずれか1つに記載のワクチン。
【0446】
25.当該オープンリーディングフレーム中のウラシルの100%が当該ウラシルの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾されている、段落15~24のいずれか1つに記載のワクチン。
【0447】
26.DLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、段落15~25のいずれか1つに記載のワクチン。
【0448】
27.当該脂質ナノ粒子が、クエン酸三ナトリウム緩衝液、スクロース及び水を更に含む、段落26に記載のワクチン。
【0449】
28.5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号262によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該配列番号262によって特定される配列のウラシルヌクレオチドは、当該ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾され、任意選択によりDLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【0450】
29.5’末端キャップ7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpと、配列番号263によって特定される配列と、3’ポリAテールとを有する少なくとも1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ポリヌクレオチドを含み、当該配列番号263によって特定される配列のウラシルヌクレオチドは、当該ウラシルヌクレオチドの5位にN1-メチルプソイドウリジンを含むように修飾され、任意選択によりDLin-MC3-DMA、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール(PEG)2000-DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化される、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン。
【0451】
本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、または図面に示される構築物の詳細及び構成要素の配置に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践または実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「including(含む)」、「comprising(含む)」または「having(有する)」、「containing(含有する)」、「involving(伴う)」及びこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【実施例0452】
実施例1:ポリヌクレオチドの製造
本開示によれば,ポリヌクレオチド及び/またはその部分もしくは領域の製造は、「Manufacturing Methods for Production of RNA Transcripts」と題された国際公開第WO2014/152027号(その内容全体を参照により本明細書に援用する)に教示されている方法を利用して達成することができる。
【0453】
精製方法には、国際公開第WO2014/152030号及び国際公開第WO2014/152031号(そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に教示されているものが含まれ得る。
【0454】
ポリヌクレオチドの検知法及び特性評価法は、国際公開第WO2014/144039号(その全体を参照により本明細書に援用する)に教示されているように実施することができる。
【0455】
本開示のポリヌクレオチドの特徴付けは、ポリヌクレオチドマッピング、逆転写酵素シーケンシング、電荷分布解析、RNA不純物の検出または前述の2つ以上の任意の組み合わせを使用して達成することができる。「特徴付け」には、RNA転写産物の配列を決定すること、RNA転写産物の純度を決定すること、またはRNA転写産物の電荷不均一性を決定することが含まれる。そのような方法は、例えば、国際公開第WO2014/144711号及び国際公開第WO2014/144767号に教示されており、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0456】
実施例2:キメラポリヌクレオチド合成
本開示によれば、三リン酸化学反応を使用して、キメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分を連結またはライゲートすることができる。例えば、100ヌクレオチド以下の第1の領域または部分は、5’リン酸及び末端3’desOHまたは遮断OHにより、化学的に合成される。領域が80ヌクレオチドよりも長い場合、ライゲーション用の2つの鎖として合成することができる。
【0457】
in vitro転写(IVT)を使用して第1の領域または部分を非位置的に改変された領域または部分として合成する場合、5’リン酸への変換と、それに続く3’末端キャッピングとが行われ得る。
【0458】
一リン酸保護基は、当該技術分野において知られているもののいずれかから選択することができる。
【0459】
キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、化学合成またはIVT方法のいずれかを使用して合成することができる。IVT方法は、修飾されたキャップを有するプライマーを利用することができるRNAポリメラーゼを含み得る。あるいは、130ヌクレオチドまでのキャップを化学的に合成し、IVT領域またはIVT部分に連結してもよい。
【0460】
ライゲーション法では、DNA T4リガーゼによるライゲーションと、それに続くDNAse処理により、コンカテマー化が容易に回避されるものである。
【0461】
キメラポリヌクレオチド全体をリン酸-糖骨格で作製する必要はない。領域または部分のうちの1つがポリペプチドをコードする場合、かかる領域または部分は、リン酸-糖骨格を含み得る。
【0462】
次に、任意の既知のクリックケミストリー、オルトクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)または当業者に知られている他のバイオコンジュゲート化学反応を使用して、ライゲーションを行う。
【0463】
合成経路
一連の出発セグメントを使用してキメラポリヌクレオチドを作製することができる。かかるセグメントには、
(a)通常の3’OHを含む、キャップ及び保護された5’セグメント(SEG.1)、
(b)ポリペプチドのコーディング領域及び通常の3’OHを含み得る、5’三リン酸セグメント(SEG.2)、
(c)コルジセピンを含み、または3’OHを含まない、キメラポリヌクレオチドの3’端(例えばテール)用の5’リン酸セグメント(SEG.3)が含まれる。
【0464】
合成(化学的合成またはIVT合成)後に、セグメント3(SEG.3)をコルジセピンで処理し、次いで、ピロホスファターゼで処理して、5’リン酸を生成させる。
【0465】
次いで、RNAリガーゼを使用して、セグメント2(SEG.2)をSEG.3にライゲーションすることができる。次いで、ライゲーションされたポリヌクレオチドを精製し、ピロホスファターゼで処理して、二リン酸を切断する。次いで、処理されたSEG.2-SEG.3構築物を精製し、5’末端にSEG.1をライゲーションする。キメラポリヌクレオチドの更なる精製ステップが実施されてもよい。
【0466】
キメラポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、ライゲーションされたセグメントまたは連結されたセグメントは、次のように表すことができる。5’UTR(SEG.1)、オープンリーディングフレームまたはORF(SEG.2)及び3’UTR+ポリA(SEG.3)。
【0467】
各ステップの収率は、90~95%にもなり得る。
【0468】
実施例3:cDNA生成のためのPCR
cDNAを調製するためのPCR工程は、Kapa Biosystems(Woburn,MA)による2× KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して実施することができる。このシステムは、2× KAPA ReadyMix 12.5μl、フォワードプライマー(10μM)0.75μl、リバースプライマー(10μM)0.75μl、鋳型cDNA 100ngを含み、dHOで25.0μlに希釈される。反応条件は、95℃で5分であってよく、98℃で20秒、次に58℃で15秒、次に72℃で45秒を25サイクル、次に72℃で5分、次に終了まで4℃で反応を実施することができる。
【0469】
InvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(Carlsbad,CA)を製造元の説明書に従って使用して、反応をクリーンアップすることができる(5μgまで)。より大きな反応には、許容量がより大きい製品を使用したクリーンアップが必要とされ得る。クリーンアップに続いて、NANODROP(商標)を使用してcDNAを定量し、アガロースゲル電気泳動で分析して、当該cDNAが予想されるサイズであることを確認することができる。次いで、cDNAをシーケンシング解析に供した後、in vitro転写反応に進む。
【0470】
実施例4:in vitro転写(IVT)
in vitro転写反応により、RNAポリヌクレオチドが生成される。かかるポリヌクレオチドは、化学修飾RNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む、本開示のポリヌクレオチドの領域または部分を含み得る。化学修飾RNAポリヌクレオチドは、均一に修飾されたポリヌクレオチドであり得る。in vitro転写反応は、カスタムのヌクレオチド三リン酸(NTP)混合物を利用する。NTPは、化学修飾NTP、または天然NTPと化学修飾NTPの混合物を含み得る。
【0471】
典型的なin vitro転写反応は、以下を含む。
1)鋳型cDNA 1.0μg
2)10×転写バッファー 2.0μl
(400mM Tris-HCl(pH8.0)、190mM MgCl、50mM DTT、10mM スペルミジン)
3)カスタムNTP(各25mM) 0.2μl
4)RNase阻害剤 20U
5)T7 RNAポリメラーゼ 3000U
6)dHO 最大20.0μl、及び
7)37℃で3~5時間のインキュベーション。
【0472】
粗IVT混合物は、翌日のクリーンアップに備えて、4℃で終夜保存され得る。次いで、1UのRNaseフリーDNaseを使用して、元の鋳型を消化する。37℃で15分のインキュベーション後に、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)を製造元の説明書に従って使用して、mRNAを精製することができる。このキットは500μgまでのRNAを精製することができる。このクリーンアップに続いて、NANODROP(商標)を使用してRNAポリヌクレオチドを定量し、アガロースゲル電気泳動で分析して、RNAポリヌクレオチドが適切なサイズであり、かつRNAの分解が起きていないことを確認することができる。
【0473】
実施例5:酵素キャッピング
RNAポリヌクレオチドのキャッピングは、以下のとおりに実施される。この場合、混合物は、IVT RNA 60μg~180μg及びdHOの最大72μlを含む。混合物を65℃で5分間インキュベートしてRNAを変性させた後、これを直ちに氷に移す。
【0474】
次いで、本プロトコールは、10×キャッピングバッファー(0.5M トリス-HCl(pH8.0)、60mM KCl、12.5mM MgCl)(10.0μl)、20mM GTP(5.0μl)、20mM S-アデノシルメチオニン(2.5μl)、RNase阻害剤(100U)、2’-O-メチルトランスフェラーゼ(400U)、ワクシニアキャッピング酵素(グアニリルトランスフェラーゼ)(40U)、dHO(最大28μl)の混合と、RNAが60μgの場合は30分間、RNAが180μgの場合は最大2時間の37℃でのインキュベーションとを伴う。
【0475】
次いで、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)を製造元の説明書に従って使用して、RNAポリヌクレオチドを精製することができる。このクリーンアップに続いて、NanoDrop(商標)(ThermoFisher,Waltham,MA)を使用してRNAを定量し、アガロースゲル電気泳動で分析して、RNAポリヌクレオチドが適切なサイズであり、かつRNAの分解が起きていないことを確認することができる。RNAポリヌクレオチド産物はまた、逆転写PCRを行ってシーケンシング用のcDNAを生成させることで、配列決定を行ってもよい。
【0476】
実施例6:ポリAテーリング反応
cDNA中にポリTがない場合は、最終産物のクリーニング前にポリAテーリング反応を実施する必要がある。これは、キャップされたIVT RNA(100μl)、RNase阻害剤(20U)、10×テーリングバッファー(0.5M トリス-HCl(pH8.0)、2.5M NaCl、100mM MgCl)(12.0μl)、20mM ATP(6.0μl)、ポリAポリメラーゼ(20U)、dHO 最大123.5μlを混合し、37℃で30分間インキュベートすることによって行われる。ポリAテールが転写産物中に既に存在する場合には、テーリング反応を飛ばして、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(Austin,TX)によるクリーンアップ(500μgまで)に直接進むことができる。ポリ-Aポリメラーゼは、酵母中で発現された組み換え酵素であってよい。
【0477】
ポリAテーリング反応の処理能力または完全性は、常に正確なサイズのポリAテールをもたらすとは限らないことを理解されたい。したがって、およそ40~200ヌクレオチド、例えば、約40、50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、150~165、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164または165のポリAテールは、本開示の範囲内である。
【0478】
実施例7:キャッピングアッセイ
タンパク質発現アッセイ
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有し、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を、等しい濃度で細胞にトランスフェクトすることができる。トランスフェクションから6、12、24及び/または36時間後に、培養培地中に分泌されたタンパク質の量を、ELISAによってアッセイすることができる。より高いレベルのタンパク質を培地中に分泌する合成ポリヌクレオチドは、より高い翻訳能力のあるキャップ構造を有する合成ポリヌクレオチドに該当する。
【0479】
純度分析合成
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有し、ポリペプチドをコードするRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、変性アガロース尿素ゲル電気泳動またはHPLC分析を使用して、純度について比較することができる。電気泳動で単一の統合されたバンドを有するRNAポリヌクレオチドは、複数のバンドまたは縞状のバンドを有するポリヌクレオチドと比較して、純度の高い生成物に該当する。単一のHPLCピークを有する化学修飾RNAポリヌクレオチドも、純度の高い生成物に該当する。キャッピング反応の効率が高いほど、より純粋なポリヌクレオチド集団を与える。
【0480】
サイトカイン分析
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有し、ポリペプチドをコードするRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、複数の濃度で細胞にトランスフェクトすることができる。トランスフェクションから6、12、24及び/または36時間後に、培養培地中に分泌されたTNF-α及びIFN-βなどの炎症促進性サイトカインの量を、ELISAによってアッセイすることができる。より高いレベルの炎症誘発性サイトカインを培地中に分泌させるRNAポリヌクレオチドは、免疫活性化キャップ構造を含有するポリヌクレオチドに該当する。
【0481】
キャッピング反応効率
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有し、ポリペプチドをコードするRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ処理後にLC-MSによって、キャッピング反応効率について分析することができる。キャップされたポリヌクレオチドのヌクレアーゼ処理により、LC-MSによって検出可能である、遊離ヌクレオチドとキャップされた5’-5-三リン酸キャップ構造との混合物が得られる。LC-MSスペクトルにおけるキャップされた生成物の量は、反応からの総ポリヌクレオチドのパーセントとして表すことができ、キャッピング反応効率に対応する。キャッピング反応効率の高いキャップ構造は、LC-MSによると、キャップされた生成物の量が多い。
【0482】
実施例8:修飾RNAまたはRT PCR産物のアガロースゲル電気泳動
個々のRNAポリヌクレオチド(体積20μl中200~400ng)または逆転写されたPCR産物(200~400ng)を、非変性1.2%アガロースE-Gel(Invitrogen(Carlsbad,CA))上のウェルにローディングし、製造元のプロトコールに従って12~15分間、泳動する。
【0483】
実施例9:NANODROP(商標)による修飾RNAの定量及びUVスペクトルデータ
TEバッファー(1μl)中の化学修飾RNAポリヌクレオチドをNanodrop(商標)UV吸光度測定に使用して、化学合成またはin vitro転写反応からの各ポリヌクレオチドの収率を定量する。
【0484】
実施例10:リピドイドを使用した修飾mRNAの製剤化
RNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドは、細胞に加える前に、設定した比で、ポリヌクレオチドをリピドイドと混合することによって、in vitro実験用に製剤化することができる。in vivo製剤は、全身循環を促進するために追加成分の添加を必要とすることがある。これらのリピドイドのin vivo作用に好適な粒子を形成する能力を試験するために、siRNA-リピドイド製剤に使用される標準的な製剤化プロセスを出発点として使用することができる。粒子の形成後に、ポリヌクレオチドを加え、複合体と一体化させる。封入効率は標準的な色素排除アッセイを使用して決定される。
【0485】
実施例11:RSV RNAワクチン
RSV RNA(例えば、mRNA)ワクチンは、例えば、以下の配列のうちの少なくとも1つ、または以下の配列のうちの少なくとも1つの断片、またはその誘導体及びバリアントによってコードされる、少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含み得る。RSV RNAワクチンは、例えば、少なくとも1つの化学修飾を有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含み得、例えば、RSVワクチンは、例えば、以下の(DNA)配列のうちの少なくとも1つまたは以下の配列のうちの少なくとも1つの断片またはその誘導体及びバリアントによってコードされる、少なくとも1つの化学修飾されたRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含み得る。
RSV#1
ATGGAGCTGCTCATCCTCAAAGCAAATGCCATCACCACTATCCTGACCGCCGTCACTTTCTGCTTCGCCTCCGGCCAAAATATCACCGAAGAGTTCTATCAGTCCACCTGCTCTGCCGTTTCTAAAGGTTACCTGTCAGCCCTTAGAACAGGGTGGTATACCTCTGTTATTACCATTGAGTTGTCCAACATTAAGAAGAACAAGTGCAATGGCACAGACGCTAAGGTTAAGCTCATCAAGCAGGAGCTCGACAAATATAAAAATGCCGTCACGGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGCACCCAGGCGACAAACAACCGTGCACGACGCGAGCTACCCCGATTCATGAACTACACCCTCAATAATGCAAAGAAGACAAATGTGACGCTCTCTAAGAAGCGCAAGCGTCGCTTTCTGGGCTTTCTTCTCGGGGTTGGGAGCGCGATCGCAAGCGGCGTGGCTGTATCAAAAGTGCTTCATCTTGAGGGAGAAGTGAATAAAATCAAAAGTGCTCTGCTATCTACAAACAAAGCCGTTGTATCACTGTCCAACGGAGTGTCCGTGCTCACGTCCAAAGTGCTAGATTTGAAGAATTACATCGATAAGCAGCTGCTCCCTATTGTGAACAAACAATCATGTTCCATCAGTAACATTGAAACAGTCATCGAGTTTCAACAGAAAAACAATAGACTGCTGGAGATTACCAGAGAATTTTCGGTTAACGCCGGCGTGACTACCCCTGTAAGCACCTACATGTTGACAAACTCCGAACTTTTGTCACTGATAAACGATATGCCTATTACTAATGATCAGAAAAAATTGATGTCCAATAATGTCCAAATCGTCAGGCAACAGTCCTACAGTATCATGTCTATTATTAAGGAGGAGGTCCTTGCATACGTGGTGCAACTGCCATTATACGGAGTCATTGATACTCCCTGTTGGAAACTCCATACAAGCCCCCTGTGCACTACTAACACTAAAGAGGGATCAAATATTTGTCTCACTCGGACAGATAGAGGTTGGTACTGTGATAATGCTGGCTCAGTGTCATTCTTTCCACAGGCTGAAACCTGCAAGGTTCAGTCAAACAGGGTGTTTTGCGATACCATGAATTCTCTAACCCTCCCCAGTGAGGTGAACCTGTGTAATGTGGATATATTCAACCCCAAGTATGATTGTAAGATCATGACCTCCAAGACGGACGTGAGTAGCAGTGTTATCACCTCCCTGGGGGCCATTGTATCCTGCTACGGAAAAACGAAATGTACTGCCTCGAACAAAAATAGGGGAATCATCAAAACTTTTAGTAATGGATGCGACTACGTATCTAATAAAGGTGTTGACACAGTGTCAGTCGGCAACACACTGTATTACGTGAATAAGCAAGAAGGGAAGTCGCTGTATGTCAAAGGGGAGCCTATCATTAATTTTTATGACCCACTGGTTTTCCCCAGCGATGAGTTCGACGCCAGCATTAGTCAGGTTAATGAGAAAATCAACCAGTCCTTGGCATTTATTCGTAAGAGTGATGAATTGCTCCATAATGTGAACGCTGGTAAATCCACTACCAACATTATGATAACTACCATCATCATAGTAATAATAGTAATTTTACTGTCTCTGATCGCTGTGGGCCTGTTACTGTATTGCAAAGCCCGCAGTACTCCTGTCACCTTATCAAAGGACCAGCTGTCTGGGATAAACAACATCGCGTTCTCCAAT(配列番号1)
RSV#2
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAAAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAAAAAACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAAAAAAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAAACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAAACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAAAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAAGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号2)
【0486】
RSVワクチンは、例えば、以下の抗原性ポリペプチド配列のうちの少なくとも1つまたは以下の配列のうちの少なくとも1つの断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含み得る。
RSV#1
【化3】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
RSV#2
【化4】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【0487】
実施例12:マウス免疫原性
本実施例において、mRNA/LNPプラットフォームを使用して送達されたRSVワクチン抗原に対する免疫応答をタンパク質抗原と比較して評価するためにアッセイを実施した。
【0488】
雌のBalb/c(CRL)マウス(6~8週齢、N=マウス10頭/群)にRSV mRNAワクチンまたはタンパク質ワクチンを投与した。mRNAワクチンを作製し、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化した。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含めた。
MRK-1 膜結合RSV Fタンパク質
MRK-4 膜結合DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)
MRK-5 RSV F構築物
MRK-6 RSV F構築物
MRK-7 RSV F構築物
MRK8 RSV F構築物
MRK9 膜結合RSV Gタンパク質
MRK11 切断型RSV Fタンパク質(細胞外ドメインのみ)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾した構築物
MRK12 DS-CAV1(非膜結合型)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾
MRK13:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-5構築物
MRK14:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-6構築物
MRK16:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-8構築物
【0489】
上記の12個のmRNAをコードするDNA配列及び関連するアミノ酸配列を以下に列挙する。
MRK-1 膜結合RSV Fタンパク質/MRK_01_F(完全長、Merck A2株)/SQ-030268:
ATGGAGCTGCTCATCCTCAAAGCAAATGCCATCACCACTATCCTGACCGCCGTCACTTTCTGCTTCGCCTCCGGCCAAAATATCACCGAAGAGTTCTATCAGTCCACCTGCTCTGCCGTTTCTAAAGGTTACCTGTCAGCCCTTAGAACAGGGTGGTATACCTCTGTTATTACCATTGAGTTGTCCAACATTAAGAAGAACAAGTGCAATGGCACAGACGCTAAGGTTAAGCTCATCAAGCAGGAGCTCGACAAATATAAAAATGCCGTCACGGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGCACCCAGGCGACAAACAACCGTGCACGACGCGAGCTACCCCGATTCATGAACTACACCCTCAATAATGCAAAGAAGACAAATGTGACGCTCTCTAAGAAGCGCAAGCGTCGCTTTCTGGGCTTTCTTCTCGGGGTTGGGAGCGCGATCGCAAGCGGCGTGGCTGTATCAAAAGTGCTTCATCTTGAGGGAGAAGTGAATAAAATCAAAAGTGCTCTGCTATCTACAAACAAAGCCGTTGTATCACTGTCCAACGGAGTGTCCGTGCTCACGTCCAAAGTGCTAGATTTGAAGAATTACATCGATAAGCAGCTGCTCCCTATTGTGAACAAACAATCATGTTCCATCAGTAACATTGAAACAGTCATCGAGTTTCAACAGAAAAACAATAGACTGCTGGAGATTACCAGAGAATTTTCGGTTAACGCCGGCGTGACTACCCCTGTAAGCACCTACATGTTGACAAACTCCGAACTTTTGTCACTGATAAACGATATGCCTATTACTAATGATCAGAAAAAATTGATGTCCAATAATGTCCAAATCGTCAGGCAACAGTCCTACAGTATCATGTCTATTATTAAGGAGGAGGTCCTTGCATACGTGGTGCAACTGCCATTATACGGAGTCATTGATACTCCCTGTTGGAAACTCCATACAAGCCCCCTGTGCACTACTAACACTAAAGAGGGATCAAATATTTGTCTCACTCGGACAGATAGAGGTTGGTACTGTGATAATGCTGGCTCAGTGTCATTCTTTCCACAGGCTGAAACCTGCAAGGTTCAGTCAAACAGGGTGTTTTGCGATACCATGAATTCTCTAACCCTCCCCAGTGAGGTGAACCTGTGTAATGTGGATATATTCAACCCCAAGTATGATTGTAAGATCATGACCTCCAAGACGGACGTGAGTAGCAGTGTTATCACCTCCCTGGGGGCCATTGTATCCTGCTACGGAAAAACGAAATGTACTGCCTCGAACAAAAATAGGGGAATCATCAAAACTTTTAGTAATGGATGCGACTACGTATCTAATAAAGGTGTTGACACAGTGTCAGTCGGCAACACACTGTATTACGTGAATAAGCAAGAAGGGAAGTCGCTGTATGTCAAAGGGGAGCCTATCATTAATTTTTATGACCCACTGGTTTTCCCCAGCGATGAGTTCGACGCCAGCATTAGTCAGGTTAATGAGAAAATCAACCAGTCCTTGGCATTTATTCGTAAGAGTGATGAATTGCTCCATAATGTGAACGCTGGTAAATCCACTACCAACATTATGATAACTACCATCATCATAGTAATAATAGTAATTTTACTGTCTCTGATCGCTGTGGGCCTGTTACTGTATTGCAAAGCCCGCAGTACTCCTGTCACCTTATCAAAGGACCAGCTGTCTGGGATAAACAACATCGCGTTCTCCAAT (配列番号5)
【化5】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN(配列番号290)
MRK-4 膜結合DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)/MRK_04_融合前F/DS-CAV1(完全長、S155C/S290C/S190F/V207L)/SQ-030271:
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAAAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAAAAAACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAAAAAAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAAACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAAACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAAAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAAGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号7)
【化6】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN(配列番号291)
MRK-5 RSV F構築物:
ATGGAACTGCTCATCCTTAAAGCCAACGCGATAACGACCATTCTGACCGCCGTGACCTTCTGCTTCGCCAGCGGCCAGAACATTACCGAAGAGTTTTACCAGAGCACGTGCTCTGCCGTGAGCAAAGGTTATCTGAGCGCTTTAAGAACTGGCTGGTACACCAGTGTTATTACTATAGAGCTGTCAAATATTAAAAAGAATAAATGCAACGGGACCGATGCCAAAGTAAAATTAATTAAGCAGGAATTGGACAAGTATAAGAATGCAGTGACAGAGTTGCAGCTCCTGATGCAGAGCACACAAGCTACAAACAATCGCGCTCGCCAGCAGCAACAGCGGTTTTTAGGGTTCCTGCTAGGGGTGGGGTCAGCCATTGCCTCTGGAGTGGCAGTGTCCAAAGTGCTGCATCTGGAAGGGGAAGTTAACAAGATAAAATCCGCACTCCTCAGCACCAATAAAGCCGTGGTCTCCCTGTCCAATGGAGTATCAGTTTTGACAAGCAAGGTGCTGGACCTGAAGAATTATATAGATAAGCAGTTACTGCCAATAGTGAATAAACAGTCATGCTCAATTAGCAACATTGAGACAGTTATCGAATTCCAGCAGAAAAATAATAGGCTTCTGGAAATAACTCGCGAATTCTCAGTAAATGCCGGAGTGACCACACCCGTATCGACTTATATGCTTACAAACTCTGAACTGTTGTCCTTGATTAACGATATGCCAATAACAAATGACCAGAAGAAGCTAATGAGCAACAATGTGCAGATTGTAAGACAGCAGTCTTACTCAATAATGTCTATAATAAAAGAGGAGGTGTTGGCATATGTGGTGCAACTGCCTCTCTATGGCGTGATCGATACTCCTTGCTGGAAGTTACATACATCTCCACTGTGTACAACTAATACTAAGGAGGGTAGCAATATTTGTCTGACACGCACAGATCGGGGTTGGTATTGCGACAACGCGGGCAGTGTGAGCTTTTTCCCTCAGGCCGAAACCTGTAAGGTTCAATCTAATCGGGTATTTTGCGACACAATGAACAGCCTGACCCTTCCGTCCGAAGTTAATTTGTGCAACGTCGACATCTTCAATCCTAAATATGACTGCAAAATCATGACTTCTAAAACCGACGTATCCAGCTCAGTGATAACAAGCCTTGGGGCAATTGTAAGCTGCTATGGCAAGACGAAGTGCACCGCTAGTAACAAGAACCGGGGGATTATTAAGACTTTTTCGAACGGATGCGATTACGTCTCCAACAAAGGCGTCGATACTGTGTCCGTGGGAAACACCCTCTACTATGTGAACAAGCAGGAAGGCAAAAGCCTCTACGTCAAAGGAGAGCCTATCATCAATTTCTACGACCCTCTAGTATTCCCTTCAGACGAATTTGACGCATCAATTTCCCAGGTGAACGAGAAAATAAATCAAAGCTTAGCCTTTATCCGCAAGAGTGATGAGTTGCTTCACAACGTCAACGCCGGCAAATCAACCACTAAT(配列番号9)
【化7】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARQQQQRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTN(配列番号292)
MRK-6 RSV F構築物:
【化8】
下線部は、foldonをコードする配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化9】
最初の下線部は、シグナルペプチド配列を表す。最初の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。2番目の下線部は、foldonを表す。2番目の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARQQQQRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELL(配列番号293)
MRK-7 RSV F構築物:
ATGGAGCTCCTGATCTTGAAGGCGAATGCCATTACCACCATCCTCACCGCAGTAACTTTCTGTTTCGCAAGTGGCCAGAATATAACAGAAGAGTTCTATCAGTCAACCTGTAGCGCAGTCTCAAAGGGGTATTTATCAGCACTGAGAACCGGTTGGTATACCAGTGTTATTACAATAGAGCTGAGTAACATAAAGGAGAATAAGTGCAACGGCACTGACGCCAAGGTCAAGCTCATCAAACAGGAACTCGATAAATACAAGAACGCTGTCACTGAACTGCAGCTGCTGATGCAAAGCACCCCCGCCACCAACAATAGGGCCCGCAGAGAGCTTCCTAGATTTATGAACTACACTCTGAACAACGCCAAAAAGACCAATGTAACACTGTCAAAGAAACAGAAACAGCAGGCTATTGCAAGCGGTGTGGCTGTGTCTAAAGTGCTGCATCTCGAGGGGGAGGTCAACAAGATCAAATCCGCATTGCTCAGCACCAACAAGGCTGTGGTGAGCCTGTCCAATGGTGTCTCAGTGCTCACCAGCAAAGTGCTGGACCTGAAGAATTATATTGATAAGCAGCTGCTACCCATAGTCAACAAACAGTCATGCTCCATATCTAATATTGAGACTGTCATCGAGTTCCAACAGAAGAACAATCGCCTGCTGGAGATTACCAGGGAGTTCTCAGTCAATGCCGGGGTCACGACACCCGTTAGTACTTATATGCTTACCAACTCCGAGCTTCTCTCTTTGATCAATGACATGCCAATTACTAACGACCAGAAGAAGTTGATGTCTAACAATGTACAGATCGTTCGCCAGCAGTCCTATTCCATTATGTCGATTATTAAAGAGGAGGTTCTTGCATACGTCGTGCAGTTGCCATTATATGGAGTCATCGACACCCCCTGCTGGAAACTGCATACGTCACCATTATGCACCACGAATACAAAGGAGGGCAGTAATATTTGTCTTACACGGACTGATCGAGGCTGGTATTGTGATAACGCAGGCTCGGTGTCATTCTTTCCACAGGCTGAAACCTGTAAGGTGCAATCTAATAGGGTGTTTTGCGATACCATGAATTCTCTGACTCTGCCCAGTGAGGTCAATTTGTGTAACGTGGACATCTTCAACCCAAAGTACGACTGCAAGATCATGACATCTAAGACAGATGTGTCATCCAGCGTTATCACGAGCCTCGGCGCTATAGTCTCCTGTTACGGCAAGACCAAGTGCACCGCTAGCAACAAGAATCGGGGAATCATCAAAACCTTTTCTAACGGTTGTGACTACGTGAGCAACAAGGGGGTGGATACCGTCTCAGTCGGTAACACCCTGTACTACGTGAATAAACAGGAGGGGAAGTCATTGTACGTGAAGGGTGAACCTATCATCAACTTTTATGACCCCCTCGTCTTCCCATCAGACGAGTTTGACGCGTCCATCTCTCAGGTGAATGAGAAGATTAACCAGAGCCTGGCTTTTATCCGCAAATCAGACGAACTACTGCACAATGTCAACGCTGGCAAGAGCACAACAAATATAATGATAACAACCATCATCATCGTCATTATTGTGATCTTGTTATCACTGATCGCTGTGGGGCTCCTCCTTTATTGCAAGGCTCGTAGCACCCCTGTCACCCTCAGTAAAGATCAGCTGTCAGGGATCAATAATATCGCGTTTAGCAAC(配列番号13)
【化10】
下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKQKQQAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN(配列番号294)
MRK8 RSV F構築物:
【化11】
下線部は、GCN4をコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
【化12】
最初の下線部は、シグナルペプチド配列を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。2番目の下線部は、GCN4を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
FASSQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKSAVTELQLLMQSTPATNNKFLGFLQGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPLAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNIDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINGTLAFIRKSDEKLHN(配列番号295)
MRK9膜結合RSV Gタンパク質:
【化13】
下線部は、膜貫通ドメインをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化14】
下線部は、膜貫通ドメインを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
MRK11切断型RSV Fタンパク質(細胞外ドメインのみ)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾した構築物
【化15】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表し、2番目の下線部は、foldonをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化16】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表し、2番目の下線部は、foldonを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELL(配列番号296)
MRK12 DS-CAV1(非膜結合型)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾
【化17】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表し、2番目の下線部は、foldonをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化18】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表し、2番目の下線部は、foldonを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELL(配列番号297)
MRK13 Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-5構築物
【化19】
下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化20】
下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARQQQQRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTN(配列番号298)
MRK14 Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-6構築物
【化21】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表し、2番目の下線部は、foldonをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化22】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表し、2番目の下線部は、foldonを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKKNKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTQATNNRARQQQQRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELL(配列番号299)
MRK16 Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-8構築物
【化23】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表し、2番目の下線部は、GCN4をコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。
【化24】
最初の下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表し、2番目の下線部は、GCN4を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または以下に示すように欠失させてもよい。
FASSQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKSAVTELQLLMQSTPATNNKFLGFLQGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPLAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNIDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINGTLAFIRKSDEKLHN(配列番号300)
【0490】
本試験で評価したタンパク質ワクチンは、McLellan et al.Science 342,592(2013)に記載されている、DS-CAV1安定化融合前Fタンパク質(1mg/mL)であった。タンパク質を50mM Hepes、300mM NaClで緩衝させ、Adju-phosで製剤化した。
【0491】
簡潔に述べると、マウス10頭の複数群に以下のワクチンで筋肉内投与により免疫付与した。
【表A】
【0492】
実験の0日目及び21日目に、動物を免疫化した。14日目及び35日目に、各動物から採血し、血清学的アッセイに使用した。42日目及び49日目に、動物のサブセットを屠殺し、ELISPOT及び細胞内サイトカイン染色試験に供するために脾臓を採取した。
【0493】
A.RSV中和アッセイ:
各群のマウス血清をプールし、以下の手順を使用して、RSV-A(Long株)の中和について評価した。
1.全ての血清試料を、56℃に設定した乾燥浴インキュベーター内に30分間入れることによって熱失活させた。次いで、試料血清及び対照血清をウイルス希釈液(2%FBS含有EMEM)で1:3に希釈し、試料を2連でアッセイプレートに加え、連続希釈した。
2.RSV-Longストックウイルスをフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で素早く解凍した。ウイルスをウイルス希釈液で2000pfu/mLに希釈した。
3.希釈したウイルスを96ウェルプレートの各ウェルに加えた(細胞の1列を除く)。
4.HEp-2細胞をトリプシン処理し、洗浄し、ウイルス希釈液中に1.5×10細胞/mlで再懸濁し、100mLの懸濁細胞を96ウェルプレートの各ウェルに加えた。次いで、プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートした。
5.72時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、PBS中に溶解した80%アセトンを使用して16~24℃で10~20分間固定した。固定液を除去し、プレートを空気乾燥させた。
6.次いで、プレートをPBS+0.05%Tweenで完全に洗浄した。検出用モノクローナル抗体143-F3-1B8及び34C9を2.5に希釈し、次いで、プレートをPBS+0.05%で完全に洗浄した後、50プレートをPBS+0で完全に洗浄した。96ウェルプレートのウェル。次いで、プレートを16~24℃の加湿チャンバー中、ロッカー上で60~75分間インキュベートした。
7.インキュベーション後、プレートを完全に洗浄した。
8.ビオチン化ウマ抗マウスIgGをアッセイ希釈液で1:200に希釈し、96ウェルプレートの各ウェルに加えた。プレートを上記のとおりにインキュベートし、洗浄した。
9.IRDye 800CW ストレプトアビジン(1:1000の最終希釈)、Sapphire 700(1:1000の希釈)及び5mM DRAQ5溶液(1:10,000の希釈)のカクテルをアッセイ希釈液中に調製し、50mLのカクテルを96ウェルプレートの各ウェルに加えた。プレートを上記のとおりに暗所でインキュベートし、洗浄し、空気乾燥させた。
10.次いで、Aerius Imagerを使用してプレートを読み取った。次いで、Graphpad Prismの4パラメーター曲線フィッティングを使用して血清中和の力価を算出した。
【0494】
投与1後(PD1)及び投与2後(PD2)に測定したマウス免疫原性試験の血清中和抗体の力価を図1に示す。PD2の血清中和抗体の力価については、以下の表形式でも示す。
【表B】
【0495】
結果は、中和抗体の力価が強く、RSV mFワクチン及びRSVmDS-CAV1 mRNAワクチンを含むmRNAワクチンのいくつかが、DS-CAV1タンパク質/adjuv-phosワクチンよりも高い中和抗体力価を誘導したことを示した。
【0496】
B.細胞性免疫応答のアッセイ:
マウスIFN-γ ELISPOTアッセイ手順
I.脾細胞の調製:
脾臓を60mm組織培養皿に入れ、シリンジハンドルで上下に触れて細胞を取り出した。次いで、細かくなった脾臓を15mLチューブに移し、1200rpmで10分間遠心分離にかけ、アンモニウム-クロリド-カリウム(ACK)溶解バッファー中に再懸濁し、室温で5分間インキュベートした。R10培地をチューブに加え、細胞を1200rpmで10分間遠心分離にかけた後、R10培地でもう1回洗浄した。2回目の遠心分離後、細胞を10mLのR10培地中に再懸濁し、70μmのナイロンセルストレーナーに通して濾過して50mL遠心管に入れた。更なる10mLの培地でストレーナーをすすぎ、これを細胞に加えた。血球計算盤上で細胞を計数し、細胞濃度を群全体で正規化した。
【0497】
II.ELISPOTアッセイ:
1)96ウェルのMultiScreen-IP滅菌白色濾過プレートを、Bio-Hood中、PBS中10μg/ml(1:100の希釈)のMABTECH精製抗マウスIFN-γクローンAN18でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。
2)翌朝、プレートを滅菌PBSで洗浄し、R10培地を用いて37℃で4時間ブロックした。
3)脾細胞を4x10細胞/ウェルでプレートに加え、RSV-F及びRSV-Gのペプチドプールで細胞を刺激した。ペプチドプールは、以下のとおりであった。
RSV-Fの場合:
【表C-1】
【表C-2】
【表C-3】
【表C-4】
RSV-Gの場合:
【表D-1】
【表D-2】
4)プレートを37℃、5%COで20~24時間インキュベートした。
5)翌日、プレートを完全に洗浄し、1ウェル当たり100μLのMABTECH検出用抗体クローンR4-6A2を、PSB/1%FBSが入った各ウェルに0.25μg/mlになるように加えた(1:4000の希釈)。プレートを2時間インキュベートし、次いで、PBS/0.05%Tween20で完全に洗浄した。
6)ストレプトアビジン-APをPSB/1%FBSで1:3000に希釈し、100μLを各ウェルに加えた。
7)プレートを室温で60分間インキュベートし、PBS/Tween20(0.05%)で完全に洗浄した。
8)100μlの1-STEP NBT/BCIPを各ウェルに加え、プレートを室温で数分間維持し、水道水で洗浄し、一晩乾燥させた。
9)AIDイメージャーシステムを使用してプレートの画像を取得し、データを処理して脾細胞100万個当たりのIFN-γ分泌細胞数を算出した。
【0498】
データは、RNA/LNPワクチンが、ミョウバンで製剤化したタンパク質抗原よりもはるかに高い細胞性免疫応答を与え、ミョウバンで製剤化したタンパク質抗原は、検出可能な細胞性免疫応答をほとんどまたは全く誘発しなかったことを示した。図2を参照されたい。図中、のある棒は、インターフェロンγの数が多すぎて正確に計数できなかったことを示す。
【0499】
III.細胞内サイトカイン染色:
脾細胞を上記のとおりに採取した。新しく採取した脾細胞を1×10細胞/mLでR10培地中で一晩放置した。翌朝、100μLの細胞をプレートテンプレートに従って1×10細胞/ウェルの最終数で各ウェルに加えた。プールしたRSV-FまたはRSV-Gペプチドを使用して細胞を刺激した。RSV-Fペプチドプールは、上記のとおりであった。RSV-Gペプチドプールは、上記のものか、JPT(カタログPM-RSV-MSG)から購入した。細胞を37℃で1時間インキュベートし、BFA及びモネンシンをそれぞれ5μgの最終濃度になるように各ウェルに加えた。
【0500】
細胞を染色するために、20μLの20mM EDTAを各細胞ウェルに加え、細胞を室温(RT)で15分間インキュベートした。プレートを500×gで5分間遠心分離にかけ、上清を吸引した。次いで、プレートをPBSで洗浄し、再度遠心分離にかけた。ViVidyeをDMSOで再構成し、PBSで希釈した。希釈したVividye 125μLを各ウェルに加え、室温で15分間インキュベートした。プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、プレートを175μLのFACSWashで再度洗浄した。BD cytofix/cytoperm溶液を各ウェルに加え、プレートを2~8℃で20~25分間インキュベートした。次いで、プレートを遠心分離にかけ、BD perm洗浄バッファーで2回洗浄した。最後に、FCブロックを、BD perm洗浄バッファー中1ウェル当たり125mLの体積で最終濃度0.01mg/mLになるように加えた。細胞を以下のとおりに作製した細胞内の抗体カクテルで染色した。
a)IL-10 FITC:
b)IL-17A PE:
c)IL-2 PCF594:
d)CD4 PerCPcy5.5:
e)TNF PE Cy7:
f)IFNg APC:
g)CD8a BV510:
h)CD3 APC Cy7:
i)Perm Wash:
【0501】
細胞を抗体カクテル(試験ウェル当たり20μL)とともに2~8℃で35分間インキュベートし、BD perm洗浄バッファーで2回洗浄し、1ウェル当たり200μLのBD固定液中に再懸濁した。試料をLSRIIで取得し、Flojoソフトウェアを使用してデータを解析した。ペプチドプールに応答し、Ifn-γ、IL-2またはTNFαを産生したCD4+脾細胞のパーセンテージを図3A、3B及び3Cに示し、ペプチドプールに応答し、Ifn-γ、IL-2またはTNFαを産生したCD8+脾細胞のパーセンテージを図4A、4B及び4Cに示す。データは、DS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/LNPワクチン及びRSV-G mRNA/LNPワクチンが、Th1に偏った強いCD4+免疫応答をマウスで誘発するというものであった。加えて、RSV-G mRNA/LNPワクチンまたはDS-CAV1タンパク質抗原ではなく、RSV-F mRNA/LNPワクチンが、Th1に偏った強いCD8+免疫応答をマウスで誘発する。
【0502】
実施例13:マウス免疫原性
本実施例において、mRNA/LNPプラットフォームを使用して送達されたRSVワクチン抗原に対する免疫応答をタンパク質抗原と比較して評価するために更なるアッセイを実施した。
【0503】
この実施例でも、雌のBalb/c(CRL)マウス(6~8週齢、N=マウス10頭/群)にmRNAワクチンまたはタンパク質ワクチンを投与した。mRNAワクチンを作製し、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化した。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含めた。
MRK-1 膜結合RSV Fタンパク質
MRK-2 分泌型RSV Fタンパク質
MRK-3 分泌型DS-CAV1
MRK-4 膜結合DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)
MRK-5 RSV F構築物
MRK-7 RSV F構築物
MRK8 RSV F構築物
MRK9 膜結合RSV Gタンパク質
インフルエンザM1
【0504】
MRK-2、MRK-3及びインフルエンザM1のmRNA配列をコードするDNA配列を以下に列挙する。対応するアミノ酸配列も示す。他の全ての配列については、本明細書に別途記載されている。
【0505】
MRK-2 非膜結合型RSV Fタンパク質/MRK_02_F(可溶性、Merck A2株)/
【化25】
下線部は、foldonをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
【化26】
最初の下線部は、シグナルペプチド配列を表す。最初の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。2番目の下線部は、foldonを表す。2番目の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
MRK-3 非膜結合型DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)//MRK_03_DS-CAV1(可溶性、S155C/S290C/S190F/V207L)/SQ-030271:
【化27】
下線部は、foldonをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
【化28】
最初の下線部は、シグナルペプチド配列を表す。最初の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができ、または欠失させてもよい。2番目の下線部は、foldonを表す。2番目の下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
インフルエンザM-1(A/カリフォルニア/04/2009(H1N1)、ACP44152)+hIgκ
【化29】
下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドをコードする領域を表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
【化30】
下線部は、ヒトIgκシグナルペプチドを表す。下線部は、同一または類似の機能を達成する代替配列に置換することができる。
【0506】
インフルエンザM1 mRNAは、mRNAを取り込む細胞にウイルス様粒子(VLP)を形成させることによって免疫応答を増加させる目的で、MRK-1、MRK-4またはMRK-9と組み合わせた。
【0507】
本試験で評価したタンパク質ワクチンは、McLellan et al.Science 342,592(2013)に記載されている、DS-CAV1安定化融合前Fタンパク質(1mg/mL)であった。このタンパク質を50mM Hepes、300mM NaClで緩衝させ、Adju-phosで製剤化した。
【0508】
マウス10頭の各群を筋肉内投与により免疫化し、マウス10頭の100群を100μLのワクチンで筋肉内投与により免疫化した(50μLの注射液を各四頭筋に送達した)。以下のワクチンを用いて各群にワクチン接種を行った。
【表1】
【0509】
実験の0日目及び21日目に、動物を免疫化した。14日目及び35日目に、各動物から採血し、血清学的アッセイに使用した。42日目に、動物のサブセットを屠殺し、ELISPOT及び細胞内サイトカイン染色試験に供するために脾臓を採取した。
【0510】
27日目に、1×10PFUのRSV A2でマウスに鼻腔内投与により抗原刺激を行った。接種から4日後に動物をCO吸入によって屠殺し、肺及び鼻甲介を取り出し、通常の氷上で、10倍量のSPG含有ハンクス平衡塩溶液(Lonza)中でホモジナイズした。試料を2000rpmで10分間遠心分離にかけることによって清澄化し、等分し、急速凍結させ、直ちに-70℃で凍結保存した。
【0511】
A.RSV中和アッセイ:
中和抗体の力価を上記のとおりに決定した。力価を図5に示す(PD1=投与後に採取した試料1、PD2=投与後に採取した試料2)。結果は、先の実験で示されたように、mRNA/LNPワクチンが強い免疫原性を有し、高い中和抗体力価をもたらしたことを示した。インフルエンザM1を発現するmRNAと膜結合タンパク質抗原を発現するmRNAとを一緒に送達することによって有意に高い中和抗体を生成させる試みは成功しなかった。
【0512】
B.細胞内サイトカイン染色
細胞内サイトカイン染色を実施例13に上述した方法と同じように実施した。RSV-F及びGペプチドプールに対するCD4 ICSの応答を図6A、6B及び6Cに示す。先の試験と同様に、ICSの結果は、RSV-F及びRSV-Gを発現するmRNAワクチンが、Th1に偏った強いCD4免疫応答を誘発することを示した。
【0513】
CD8 ICSの応答を図7A、7B及び7Cに示す。データは、RSV-GまたはDS-CAV1タンパク質/adju phosを発現するmRNAではなく、RSV-F抗原を発現するmRNAが、Th1に偏った強いCD8応答を誘発したという先の知見を追認するものである。
【0514】
C.マウス抗原刺激の結果
ウイルス力価の測定手順を以下に概説する。簡潔に述べると、試料を希釈し、これをコンフルエントなHEp-2細胞単層が入った24ウェルプレートに2連で加えた。プレートを37℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、試料接種物を吸引し、0.75%メチルセルロースを含有する1mlの重層を加えた。プレートを37℃で5日間インキュベートした。5日のインキュベーション後、クリスタルバイオレット/グルタルアルデヒド溶液で細胞を固定して染色した。プラークを計数し、力価を組織1g当たりのpfuとして表した。図8に示されるように、MC3 LNPで製剤化したmRNAワクチンで免疫化したマウスのいずれの肺からもウイルスは回収されず、低用量のDS-CAV1タンパク質/adju phosワクチンの動物1頭だけが鼻内に検出可能なウイルスを有していた。
【0515】
実施例14:コットンラットにおける免疫原性及び有効性
本実施例において、コットンラットRSV抗原刺激モデルにおけるmRNA/LNPワクチンの免疫原性及び有効性を試験するためにアッセイを実施した。
【0516】
より具体的には、雌のコットンラット(SAGE)を使用し、3~7週齢に免疫化を開始した。使用するmRNAワクチンを作製し、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化した。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含めた。
MRK-1 膜結合RSV Fタンパク質
MRK-2 分泌型RSV Fタンパク質(細胞外ドメインを切断)
MRK-3 分泌型DS-CAV1(三量体細胞外ドメイン)
MRK-4 膜結合DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)
MRK9 膜結合RSV Gタンパク質
インフルエンザM1タンパク質
【0517】
本試験で評価したタンパク質ワクチンは、McLellan et al.Science 342,592(2013)に記載されている、DS-CAV1安定化融合前Fタンパク質(1mg/mL)であった。タンパク質を50mM Hepes、300mM NaClで緩衝させ、Adju-phosで製剤化した。
【0518】
コットンラット10頭の各群を120μLのワクチンで筋肉内投与により免疫化した(60μLの注射液を各四頭筋に送達した)。表2に記載される以下のワクチンを用いて各群にワクチン接種を行った。
【表2】
【0519】
実験の0日目及び28日目に、動物を免疫化した。28日目及び56日目に、各動物から採血し、血清学的アッセイに使用した。56日目に、1×105.5PFUのRSV A2でコットンラットに鼻腔内投与により抗原刺激を行った。接種から4日後に動物をCO吸入によって屠殺し、肺(左葉)及び鼻甲介を取り出し、通常の氷上で、10倍量のSPG含有ハンクス平衡塩溶液(Lonza)中でホモジナイズした。試料を2000rpmで10分間遠心分離にかけることによって清澄化し、等分し、急速凍結させ、直ちに-70℃で凍結保存した。
【0520】
A.RSV中和アッセイ
中和抗体の力価を上記のとおりに決定した。
【0521】
投与1後及び投与2後に決定された力価を図9に示す。コットンラットにおける中和力価は、単回免疫付与後で強く、全体的に、adju-phosで製剤化したDS-CAV1タンパク質抗原またはRSV A2ウイルスによる感染でもたらされた中和力価よりも数倍高かった。最も高い中和抗体力価は、完全長RSV-Fタンパク質、切断型F-タンパク質(細胞外ドメイン)、mDS-CAV1(RSV F膜貫通ドメインを含有する安定化融合前Fタンパク質)、及びsDS-CAV1(切断型の安定化融合前Fタンパク質)ならびに完全長Fタンパク質とインフルエンザM1とを含むmRNA組み合わせ(上記グラフ中、「VLP/mF」と称する)を発現するRNAワクチンによってもたらされた。
【0522】
投与後2で決定された力価は、中和抗体力価が全体的にmRNAワクチンとDS-CAV1タンパク質比較物の両方でかなり高かったことを示している。驚くべきことに、本試験において、2つのマウス免疫原性試験と同様に、mG及びmG+インフルエンザM1 mRNAワクチン群ではワクチンの2回目の投与後に比較的高い中和抗体力価が観察された。RSV-G抗原を送達するために使用した他のワクチン様式では、アッセイに補体を含めない限り、中和抗体活性はin vitroで観察されないことが報告された。
【0523】
B.競合ELISA
中和抗体のRSV F-タンパク質上の特異的エピトープに対する免疫応答を特徴付けた。抗原性部位IIは、リスクのある乳幼児においてRSVによる下気道感染を予防するために開発されたモノクローナル抗体パリビズマブの結合部位である。抗原性部位φは、RSVの自然感染によって誘発される、より強力な中和抗体の結合部位である。種々のmRNA系ワクチンに対する抗原性部位φ及び抗原性部位IIの応答を特徴付けるために競合ELISAを開発した。
【0524】
方法
ELISAプレートを融合前Fタンパク質または融合後Fタンパク質(McLellan et al.,2013)のいずれかでコーティングした。コーティング後、プレートを洗浄し、ブロッキングバッファー(PBST/3%脱脂粉乳)でブロックした。次いで、コットンラット抗原刺激試験の試験血清をブロッキングバッファーで希釈し、ELISAプレートで滴定した。ビオチン化D25(抗原性部位φに結合するモノクローナル抗体)またはビオチン化パリビズマブ(抗原性部位IIに結合するモノクローナル抗体)をブロッキングバッファーで希釈し、ELISAプレートの各ウェルに加えた(ビオチン化D25は、融合前Fタンパク質をコーティングしたプレートでのみ使用され、ビオチン化パリビズマブは、抗原性部位IIが両方の抗原型に存在するので、融合前Fタンパク質または融合後Fタンパク質をコーティングしたプレートで使用できる)。インキュベーション後、プレートを洗浄し、ストレプトアビジンタグ付き西洋ワサビペルオキシダーゼをELISAプレートの各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄し、TMB基質(ThermoScientific)とインキュベートした。10分間発色させ、次いで、100μLの2N硫酸でクエンチし、プレートをマイクロプレートリーダーで450nMで読み取った。結果を図10に示す。図10は、融合前Fタンパク質に結合するD25または融合後Fタンパク質に結合するパリビズマブのいずれかと競合するコットンラット血清の能力を示す。
【0525】
ナイーブマウスとmGまたはVLP/mGで免疫化したマウス(いずれもD25またはパリビズマブが結合するエピトープを発現しない)の両方でバックグラウンド結合力価が認められた。非標識モノクローナル抗体を陽性対照として実験に含めた。そのデータを図10の右側の列に示す。MRK01、MRK02、MRK09、MRK10+MRK01またはMRK10+MRK9で免疫化したコットンラットにおいて、D25競合力価は明確でなかった。DS-CAV1配列(MRK04、MRK03及びMRK10+MRK04)をコードするmRNAでの免疫化のみがD25競合抗体力価を誘発した。これは、これらのmRNAが主に融合前のコンフォメーション状態にある形態のRSV Fタンパク質を産生することを示している。対照的に、パリビズマブ競合力価は、MRK01またはMKR02 mRNAで免疫化した動物で極めて高かった。これは、これらのmRNAがコットンラットにおいて融合後のRSV Fタンパク質として産生されたことを示している。
【0526】
C.コットンラット抗原刺激の結果
コットンラットの鼻におけるRSV力価を測定する手順は、マウスに関する上記手順に従った。鼻における力価を図11に示す。本アッセイにおいて、検出限界は組織1g当たり40pfuであった。ワクチン接種した動物の1頭(MC3 LNPで封入化したmDS-CAV1(MRK4)mRNAをワクチン接種したマウス1頭)のみが鼻内に検出可能なウイルスを有したことがわかった。対照的に、ワクチン接種を受けていないが、同試験で抗原刺激を行った動物におけるRSV A2ウイルスの幾何平均力価は、10,000pfu超/g組織であった。
【0527】
実施例15:アフリカミドリザルにおける免疫原性及び有効性
本実施例において、アフリカミドリザルRSV抗原刺激モデルにおけるmRNA/LNPワクチンの免疫原性及び有効性を試験するためにアッセイを実施した。
【0528】
より具体的には、体重が1.3~3.75kgの範囲であり、中和抗体力価によりRSV陰性であることが確認された雌雄の成体アフリカミドリザルを使用した。使用するmRNAワクチンを作製し、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化した。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含めた。
MRK01 膜結合RSV Fタンパク質
MRK04 膜結合DS-Cav1(安定化融合前Fタンパク質)
【0529】
アフリカミドリザル4頭の各群を1000μLのワクチンで筋肉内投与により免疫化した(500μLの注射液を各三角筋に送達)。表3に記載される以下のワクチンを用いて各群にワクチン接種を行った。
【表3】
【0530】
実験の0、28及び56日目に、動物を免疫化した。0、14、28、42、56及び70日目に、各動物から採血し、血清学的アッセイに使用した。70日目に、1×105.5PFUのRSV A2でアフリカミドリザルに鼻腔内投与により抗原刺激を行った。鼻咽頭スワブを抗原刺激後1~12、14及び18日目に採取し、肺洗浄液試料を抗原刺激後3、5、7、9、12、14及び18日目に回収し、ウイルスの複製について試験した。
【0531】
A.RSV中和アッセイ
中和抗体の力価(NT50)を上記のとおりに決定した。
【0532】
投与1後及び投与2後に決定されたNT50力価を図12に示す。mRNAワクチンを投与した群とRSV A2を投与した群の両群で、各投与後に力価が上昇することが認められた。10週目(投与後3から2週間)におけるmRNAワクチンで得られたGMTは、RSV A2の投与を受けた動物よりも2桁を超えて高かった。
【0533】
B.競合ELISA
中和抗体のRSV F-タンパク質上の特異的エピトープに対する免疫応答を上記の競合アッセイを使用して特徴付けた。
【0534】
10週目(PD3から2週間)に測定したパリビズマブ及びD25競合抗体力価を図13A~13Bに示す。GMTパリビズマブ競合力価は、mDS-Cav1を投与した群と比較して、mFまたはmF+mDS-Cav1の組み合わせを投与した群で5倍高かった。一方、GMT D25競合抗体力価は、mF mRNAを投与した群よりもmDS-Cav1またはmF+mDS-Cav1の組み合わせを投与した群で2倍高かった。融合前F安定化抗原(mDS-Cav1)は、融合前の特異的応答を誘発することができた。
【0535】
C.アフリカミドリザル抗原刺激の結果
前述のように、ワクチン有効性を評価するために、ワクチン接種後70日目に、1×105.5PFUのRSV A2でアフリカミドリザルに鼻腔内投与により抗原刺激を行った。抗原刺激後に鼻咽頭スワブ及び肺洗浄液試料を回収し、ウイルスの存在について試験した。
【0536】
アフリカミドリザルの鼻咽頭スワブ及び肺洗浄液試料のRSV力価を測定するために、RSV Aを検出するためのRSV RT-qPCRアッセイを以下のとおり実施した。
1)実験及び材料:
A.装置
1.Stratagene Mx3005PリアルタイムPCRシステム及びMxProソフトウェア
2.Jouan GR422遠心分離器または同等物
3.Jouanプレートキャリアまたは同等物
B.試薬
1.Quantitect(登録商標)Probe Rt-PCRキット(1000)カタログ番号204445
2.水、分子生物学等級のDNAaseフリー及びプロテアーゼフリー、5 Prime、カタログ番号2900136
3.TEバッファー、10mM Tris 1mM EDTA ph 8.0、Fisher Bioreagents、カタログ番号BP2473-100
4.ウイルスプライマー:RSV Aフォワード及びリバースプライマー、Sigmaカスタム、HPLC精製済み。プライマーストックは、分子学等級の水で100μMに再構築し、-20℃で保存する。
5.RSV二重標識プローブ、Sigmaカスタム、HPLC精製済み。プローブストックは、TEバッファーで100μMに再構成し、遮光で-20℃で保存する。
6.RSV A標準物は、社内で作製し、-20℃で保存した。アッセイ標準物は、RSV AのN遺伝子に対するプライマー対を設計することによって作製した。RSV A標準物の産物長は885bpである。本標準物を作製するために、QIAGEN OneStep RT-PCRを使用した。
【表4】
7.Promega、Maxwell(登録商標)16 Viral Total Nucleic Acid Purification Kit(製品番号AS1150
C.消耗品
1.Stratageneオプティカルキャップ8×ストリップ、カタログ番号401425
2.Stratagene Mx3000P96ウェルプレート、スカート付き、カタログ番号401334
3.ARTフィルター付ピペットチップ
2)RT-PCR反応及び設定
A.完全Master Mixの調製
1.最終反応体積が50μLになるように、以下の設定に従って、完全Master Mixを調製する。以下の表は、1ウェル当たりの体積である。最終プライマー濃度は300nM、最終プローブ濃度は200nMである。
【表5】
2.45μLの完全マスターミックスを各ウェルに加える。プレートカバーでプレートを覆い、アルミ箔で包んで遮光する。
B.標準曲線の作製
1.-20℃から標準物を取り出す。
2.10倍希釈を使用して、標準物を最終濃度1×10コピー/5μL~1コピー/5μLに希釈する。
C.試料調製
1.Maxwell(登録商標)16 Viral Total Nucleic Acid Purification Kit(Promega、製品番号AS1150)を使用して、鼻咽頭スワブ及び肺洗浄液試料をRT-PCR反応用に調製する。
2.製造元のプロトコールに従って200μLの試料を抽出し、50μLに溶出してPCR反応に使用する。
D.試料の添加
1.抽出した試料5μLを適切なウェルに加える。試料の添加後、標準曲線を加える前に試料ウェルに慎重に蓋をする。
2.希釈した標準物5μLを適切なウェルに加え、蓋をする。
3.分子学等級の水5μLをテンプレートなしのコントロール(NTC)ウェルに加える。
4.プレートをアルミ箔で包み、プレートを遠心分離器に移す。
5.プレートを100rpmで2分間回転させて、ウェルの側面にある可能性のある試料またはマスターミックスを落とす。
6.プレートをアルミ箔で包み、プレートをStratagene機器に移す。
E.サーマルサイクラー:Stratagene MX 3005P
1.プレートをStratagene Mx3005P内に置き、熱プロファイル条件を以下に設定する。
【表6】
2.Stratagene Mx3005pソフトウェアを使用して結果を解析する
【0537】
肺及び鼻の試料で検出された平均RNAコピー数を図14A~14Bに示す。MC3中に製剤化されたmF、mDS-Cav1またはmF+mDS-Cav1をコードするmRNAを投与した動物は、RSV A2で免疫化した対照群と同様に、肺の完全な保護(ウイルス検出なし)を示した。mRNAワクチンを投与した動物はまた、ワクチンなし対照群と比較して、アッセイ日の大部分で、鼻内で検出されたウイルスが2logを超えて減少したことを示した。
【0538】
実施例16:RSVを経験したアフリカミドリザルにおける免疫原性
MC3 LNP中に製剤化したmRNAワクチンの免疫原性について、RSVを経験したアフリカミドリザルで試験した。
【0539】
ELISA及び中和抗体力価によってRSVセロポジティブであることが確認された体重が1.3kgを超える健康な成体アフリカミドリザル(両性別)(n=5/群)を本試験のために選択した。本試験のために選択された動物プールは、先のワクチン試験でRSVに実験的に感染しており、試験開始時に全群が同様の群GMTを有するように、試験前のRSV中和力価に基づいて試験群に分布させた。RSV経験動物は、セロポジティブヒト成体において期待され得る応答を反映し得る、ワクチン接種に対する免疫記憶リコール応答のモデルを提供する。
【0540】
0週目に単一ワクチン用量を各動物に筋肉内(IM)経路により投与した。MC3 LNPのみを投与する対照群も本試験設計に含めた。ワクチンを表7に記載のとおりに投与した。ワクチン接種後、接種部位の変化またはワクチンに対する有害反応を示し得る活動もしくは摂食習慣の他の変化について、動物を毎日観察したが、何も認められなかった。RSV中和抗体力価ならびにパリビズマブ(部位II)及びD25(部位φ)競合抗体力価を評価するために血清試料を採取した。PBMC試料を収集して細胞性免疫応答を評価した。
【表7】
【0541】
上記の方法を使用して、個々の動物のNT50力価をベースライン時及び接種から2週後に採取した血清試料で測定した。結果を図15に示す。mRNAワクチンによるワクチン接種は、平均で、血清中和力価の150倍の増加をもたらした。倍数増加は、全てのmRNAワクチンで同等であった。LNPのみのワクチン対照群では、力価の増加は観察されなかった。ワクチン接種後2~4週ごとに力価を測定することによって血清中和力価の持続性を評価した。ワクチン接種後24週目まで測定した各群のGMTを図16に示す。力価は、24週目で、ベースラインよりも約50倍高い状態のままである。
【0542】
ワクチン接種した動物におけるブースター応答の質を評価するために、パリビズマブ(部位II)及びD25(部位φ)の両方の競合抗体力価を決定した。上記のとおり、抗原性部位IIは、融合前及び融合後の両方のコンフォメーションのFタンパク質上に認められる中和エピトープであり、部位φは、融合前の特異的中和エピトープである。上記の方法を使用してワクチン接種から4週後に測定したパリビズマブ(部位II)及びD25(部位φ)の競合抗体力価を図17A~17Bにまとめる。全てのmRNAワクチンが、ベースラインから約7倍となるパリビズマブ競合力価の増加をもたらした。免疫付与前のD25競合抗体力価は、MC3 LNPのみの対照群における動物1頭を除く全動物でアッセイの検出限界を下回ったが、mRNA系ワクチンを投与した全動物でD25競合抗体力価がもたらされた。GMTは、mDS-Cav1またはmF+mDS-Cav1の組み合わせを投与した群で最も高かった。LNPのみの対照群では、パリビズマブまたはD25(部位φ)の競合抗体力価の増加は認められなかった。
【0543】
mRNAワクチンはまた、ワクチン接種から6週後のICSアッセイによって決定されるように、RSV経験アフリカミドリザルにおいてT細胞応答を増強することがわかった(図18A~18B)。
アフリカミドリザルのICSアッセイを以下のとおり実施した。
A.1日目:PBMCの解凍
1.PBMCのバイアルを液体窒素から取り出し、解凍の準備が整うまでドライアイス上に置いた。
2.細胞を設定値37℃の水浴中で穏やかに攪拌しながら迅速に解凍した。
3.各対象について、血清学的ピペットを使用して、適切にラベル付けされた15mLチューブまたは50mLチューブに細胞懸濁液を移した。
4.約0.5mLのR10培地を細胞にゆっくり加え、次いで、これを静かに振って培地と細胞懸濁液を混合した。
5.次いで、凍結細胞量の3倍量のR10培地を、0.5mL~1.0mLのR10培地の添加ごとに振りながら、各チューブに滴加した。
6.次いで、約10~15mLが各チューブに添加されるまで、R10培地を1.0mL~2.0mLの割合で一度に加えた。
7.チューブを振って培地と細胞懸濁液を混合し、次いで、250×g(設定値)で室温で8~10分間遠心分離にかけた。
8.上清を除去し、細胞を5mLのR10培地中に穏やかに再懸濁した。
9.次いで、細胞懸濁液を12ウェル組織培養プレートに移した。
10.組織培養プレートを37℃+/-2℃、4%~6%COのインキュベーター内に一晩置いた。
B.2日目:PBMCの計数及び刺激手順
PBMC計数
1.12ウェル組織培養プレートの各ウェルから得たPBMCを、ラベルを付けた50mLコニカルチューブ中に入れた。
2.次いで、血球計算盤上のトリパンブルー排除法またはGuava PCによって細胞を計数し、1×10細胞/mLになるように再懸濁した。
刺激設定
1.次いで、再懸濁したPBMC 100μLを96ウェル滅菌U底組織培養プレートの各ウェルに、1×10細胞/ウェルの最終数で加えた。
2.RSV Fタンパク質配列に対応するペプチドプールを以下のように作製した。最適の結果を得るために、ペプチドを組み合わせてRSV F1及びRSV F2の2つのプールにした。RSVF1は、以下のリストの最初の71ペプチドを含み、RSV F2は、それ以降の70ペプチドを含む。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
3.ペプチドプール(RSV F1またはRSV F2プールのいずれか)を最終濃度2.5μg/mLになるように細胞に加えた。
4.1つのモックウェルを各対象について用意した。ペプチドプールの体積に対応する体積のDMSOをモックウェルに加えた。
5.陽性対照ウェルをPMA(20ng/mL)/イオノマイシン(1.25μg/mL)溶液で刺激した。
6.CD28/CD49dカクテルを最終濃度2μg/mLで各ウェルに加えた。
7.ペプチド及びCD28/CD49dカクテルの添加後、プレートを37℃のインキュベーター内で30~60分インキュベートした。
8.次いで、5mLのBrefeldin A(0.5mg/mL)を各ウェルに添加した後、プレートを37℃ 5%COインキュベーター内で更に4~5時間インキュベートした。
9.次いで、プレートを取り出し、20μLの20mM EDTA(1×PBS中に溶解)を各細胞ウェルに加えた。
10.次いで、プレートを4℃で一晩維持した。
C.3日目:染色
1.プレートを500×gで5分間遠心分離にかけ、上清を除去した。
2.各ウェルを175mLのFACS Washで洗浄し、プレートを再度500×gで5分間遠心分離にかけ、上清を除去した。
3.製造元の推奨量に従って、PBMCを以下のように細胞外抗体で染色した。
i. CD8 APCH7: 1試験当たり5μL
ii. CD3 PE: 1試験当たり20μL
iii.CD4 PCF594:1試験当たり5μL
iv. ViViDye: 1試験当たり3μL
4.カクテルを全てのウェルに加えた後、120μLのFACSwashを各ウェルに加え、混合した。プレートを暗所室温で25~30分間インキュベートした。
5.次いで、プレートを500×gで5分間遠心分離にかけ、1ウェル当たり175μLのFACS washで洗浄した。
6.200μLのBD Cytofix/cytoperm溶液を各ウェルに加え、プレートを4℃で20~25分間インキュベートした。
7.次いで、プレートを500×gで5分間遠心分離にかけ、1ウェル当たり175μLのPD perm washバッファーで2回洗浄した。
8.次いで、細胞内抗体を用いてPBMCを以下のように染色した。
i. IFN-gFITC 1試験当たり20μL
ii. TNF PEcy7 1試験当たり5μL
iii.IL-2 APC 1試験当たり20μL
9.カクテルを全てのウェルに加えた後、120μLのBD PermWashを各ウェルに加え、プレートを暗所室温で25分間インキュベートした。
10.接種後、プレートを500×gで5分間遠心分離にかけ、175μLのBDperm洗浄バッファーで洗浄し、次いで、1ウェル当たり200μLのBD固定液中に細胞を再懸濁した。次いで、試料を4℃で一晩保存し、固定から24時間以内にLSRIIで取得した。
【0544】
図18A~18Bに示されるように、mRNAワクチン(mF、mDS-Cav1またはmF+mDS-Cav1)は、IFN-γ、IL-2及びTNF-αが陽性であったRSV F特異的CD4+及びCD8+T細胞応答の増加をもたらした。全体的に、応答は、全mRNAワクチン群にわたって同等であった。T細胞応答は、MC3 LNPのみの対照群では増強されなかった。
【0545】
実施例17:コットンラットでのRSV-Bに対する免疫原性及び有効性;MC3で封入化したmRNAワクチンの有効率
RSV-Bでの抗原刺激に対する実験用mRNA RSVワクチン製剤の免疫原性及び有効性をコットンラットで試験した。本試験では、MC3脂質ナノ粒子中に封入化した異なる形態のRSV-Fタンパク質をコードするmRNAを比較した。
【0546】
より具体的には、雌のコットンラット(SAGE)を使用し、3~7週齢に免疫化を開始した。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含めた。
MRK01 膜結合RSV Fタンパク質
MRK04 膜結合DS-Cav1(安定化融合前Fタンパク質)
【0547】
本試験に含めた群は、表9にまとめるとおりである。本試験は、全てのmRNAワクチンを25mgの単回用量で評価した。本試験に含めた対照群は、RSV A2(1×105.5pfu)の投与を受けるか、ワクチンなしのいずれかであった。0週目に単一の鼻腔内接種を受けるRSV A2投与群を除き、各動物に2回用量のワクチンを投与した(0週目及び4週目)。RSV中和抗体力価を評価するために血清試料を採取した。8週目に、RSV B RSV 18537株でコットンラットに鼻腔内投与により抗原刺激を行った。抗原刺激から4日後、動物を安楽死させ、鼻及び肺組織を採取し、組織中のRSVレベルを測定することによってワクチン有効性を評価した。
【表9】
【0548】
4週目(投与1後から4週間)及び8週目(投与2後から4週間;抗原刺激日)に採取した血清試料における個々の動物の中和抗体(NT50)力価を測定した。全動物が4週目にmRNAワクチンによるワクチン接種及びRSV A2抗原刺激に応答した。両mRNAワクチン群で、2回目の免疫付与後に力価が上昇した。mRNAワクチン及びRSV A2感染のいずれもRSV A及びRSV Bに対して、ほぼ同等の中和抗体力価をもたらした。4週目及び8週目(投与1後(PD1)から4週間及び投与2後(PD2)から4週間(抗原刺激日))に測定した個々の動物及び群の幾何平均NT50力価を図19に示す。
【0549】
種々のワクチン製剤のin vivo有効性を、上記の方法を使用してRSV B株18537で抗原刺激した後の免疫化コットンラットの肺及び鼻腔におけるウイルス複製の阻害を測定することによって評価した。データを図20に示す。ウイルス複製の完全な阻害が、wt RSV A2で免疫化したコットンラットの肺及び鼻で観察された。mF及びmDS-Cav1の両方のmRNAは、RSV Aに由来する配列に基づいた設計にもかかわらず、RSV B 18537による抗原刺激から肺及び鼻の両方を完全に保護した。mF及びmDS-Cav1の両mRNAワクチンは、MC3脂質ナノ粒子で製剤化した場合、RSV B抗原刺激に対して等しく有効であった。
【0550】
本明細書に記載される配列のそれぞれは、化学修飾された配列、またはヌクレオチド修飾を含まない非修飾の配列を包含する。
【0551】
実施例18:マウス免疫原性
本実施例において、非化学修飾型mRNA/LNPプラットフォームを使用して送達されたRSVワクチン抗原に対する免疫応答をタンパク質抗原と比較して評価するためにアッセイを実施する。
【0552】
雌のBalb/c(CRL)マウス(6~8週齢、N=マウス10頭/群)にRSV mRNAワクチンまたはタンパク質ワクチンを投与する。mRNAワクチンを作製し、MC3脂質ナノ粒子中に製剤化する。本試験で評価するmRNAワクチンには、以下を含める(それぞれ非化学修飾型である)。
MRK-1 膜結合RSV Fタンパク質
MRK-4 膜結合DS-CAV1(安定化融合前Fタンパク質)
MRK-5 RSV F構築物
MRK-6 RSV F構築物
MRK-7 RSV F構築物
MRK8 RSV F構築物
MRK9 膜結合RSV Gタンパク質
MRK11 切断型RSV Fタンパク質(細胞外ドメインのみ)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾した構築物
MRK12 DS-CAV1(非膜結合型)、Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾
MRK13:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-5構築物
MRK14:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-6構築物
MRK16:Ig分泌ペプチドシグナル配列を含むように修飾したMRK-8構築物
【0553】
実験の0日目及び21日目に、動物を免疫化する。14日目及び35日目に、各動物から採血し、血清学的アッセイに使用する。42日目及び49日目に、動物のサブセットを屠殺し、ELISPOT及び細胞内サイトカイン染色試験に供するために脾臓を採取する。
【0554】
A.RSV中和アッセイ:
各群のマウス血清をプールし、以下の手順を使用して、RSV-A(Long株)の中和について評価する。
11.全ての血清試料を、56℃に設定した乾燥浴インキュベーター内に30分間入れることによって熱失活させる。次いで、試料血清及び対照血清をウイルス希釈液(2%FBS含有EMEM)で1:3に希釈し、試料を2連でアッセイプレートに加え、連続希釈する。
12.RSV-Longストックウイルスをフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で素早く解凍する。ウイルスをウイルス希釈液で2000pfu/mLに希釈する。
13.希釈したウイルスを96ウェルプレートの各ウェルに加える(細胞の1列を除く)。
14.HEp-2細胞をトリプシン処理し、洗浄し、ウイルス希釈液中に1.5×10細胞/mlで再懸濁し、100mLの懸濁細胞を96ウェルプレートの各ウェルに加える。次いで、プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートする。
15.72時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、PBS中に溶解した80%アセトンを使用して16~24℃で10~20分間固定する。固定液を除去し、プレートを空気乾燥させる。
16.次いで、プレートをPBS+0.05%Tweenで完全に洗浄する。検出用モノクローナル抗体143-F3-1B8及び34C9を2.5に希釈し、次いで、プレートをPBS+0.05%で完全に洗浄した後、50プレートをPBS+0で完全に洗浄する。96ウェルプレートのウェル。次いで、プレートを16~24℃の加湿チャンバー中、ロッカー上で60~75分間インキュベートする。
17.インキュベーション後、プレートを完全に洗浄する。
18.ビオチン化ウマ抗マウスIgGをアッセイ希釈液で1:200に希釈し、96ウェルプレートの各ウェルに加える。プレートを上記のとおりにインキュベートし、洗浄する。
19.IRDye 800CW ストレプトアビジン(1:1000の最終希釈)、Sapphire 700(1:1000の希釈)及び5mM DRAQ5溶液(1:10,000の希釈)のカクテルをアッセイ希釈液中に調製し、50mLのカクテルを96ウェルプレートの各ウェルに加える。プレートを上記のとおりに暗所でインキュベートし、洗浄し、空気乾燥させる。
20.次いで、Aerius Imagerを使用してプレートを読み取る。次いで、Graphpad Prismの4パラメーター曲線フィッティングを使用して血清中和の力価を算出する。
【0555】
マウス免疫原性試験の血清中和抗体の力価を投与1後(PD1)及び投与2後(PD2)に測定する。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表11】
更なるmRNAワクチン
MRK_04
SQ-030271
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAAAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAAAAAACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAAAAAAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAAACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAAACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAAAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAAGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号7)
MRK_04_AAALysなし
SQ-038059
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAGAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAGAAGACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAAAAGAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAGACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAGACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAAAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAGGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号257)
MRK_04_4Aなし
SQ-038058
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAGAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAGAAGACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAGAAGAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAGACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAGACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAGAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAGGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号258)
MRK_04_ポリAなし_3変異
SQ-038057
ATGGAACTGCTCATTTTGAAGGCAAACGCTATCACGACAATACTCACTGCAGTGACCTTCTGTTTTGCCTCAGGCCAGAACATAACCGAGGAGTTTTATCAATCTACATGCAGCGCTGTATCTAAAGGCTACCTGAGTGCGCTCCGCACAGGATGGTACACCTCCGTGATCACCATCGAGCTCAGCAATATTAAAGAGAACAAGTGCAATGGTACCGACGCTAAAGTCAAACTTATCAAGCAGGAACTCGACAAATATAAGAACGCTGTGACCGAGCTGCAGTTATTGATGCAGAGTACACCTGCCACCAATAACAGAGCTAGGAGGGAGTTGCCTAGGTTTATGAACTACACTCTCAACAACGCGAAGAAAACCAATGTGACGCTATCCAAGAAACGGAAGAGGAGGTTCCTGGGGTTTCTTTTAGGGGTGGGCTCTGCCATTGCTTCCGGCGTGGCTGTATGTAAAGTTCTCCACCTCGAGGGAGAGGTTAATAAGATTAAGTCGGCCCTGCTGAGTACTAACAAAGCAGTGGTGTCGCTGAGTAACGGAGTAAGTGTGTTAACATTTAAGGTGCTGGACCTCAAGAATTATATTGACAAACAGTTGCTTCCTATTCTAAACAAACAGAGCTGTTCAATAAGTAATATTGAAACTGTTATTGAGTTTCAGCAGAAGAACAACAGGCTTCTTGAGATTACACGCGAGTTCAGTGTCAATGCCGGCGTTACAACACCCGTGTCTACCTACATGCTGACGAATTCTGAGCTTCTCTCTCTCATAAACGACATGCCCATTACGAATGACCAAAAGAAACTTATGTCCAACAACGTGCAGATTGTGCGACAGCAATCCTATAGCATTATGTGTATCATCAAGGAAGAGGTACTCGCTTATGTTGTGCAGCTACCACTCTATGGTGTGATTGACACCCCCTGTTGGAAGCTGCATACCAGTCCACTCTGCACCACTAACACAAAGGAAGGGAGCAATATTTGCCTCACTCGAACCGACAGGGGGTGGTATTGCGATAATGCGGGCTCCGTGTCCTTCTTTCCACAGGCTGAAACTTGTAAGGTACAGTCAAACCGCGTGTTCTGTGATACTATGAATTCTCTGACTCTTCCCAGCGAGGTTAATCTCTGCAACGTCGACATTTTCAATCCTAAATATGACTGCAAGATCATGACCAGCAAGACCGACGTCTCCAGCTCAGTAATCACTAGCCTAGGGGCCATTGTAAGCTGCTATGGCAAAACCAAGTGTACTGCCTCTAATAAGAACAGAGGCATAATTAAAACCTTTTCAAATGGCTGTGACTATGTGTCGAATAAGGGCGTCGACACGGTCTCAGTAGGGAATACCCTCTACTACGTTAACAAACAGGAAGGCAAATCCCTTTATGTAAAGGGCGAGCCCATCATAAATTTCTACGACCCACTTGTGTTCCCCAGTGATGAATTCGATGCATCAATCTCCCAGGTGAACGAAAAGATCAATCAATCCCTTGCTTTTATACGAAAGTCAGATGAACTCCTGCATAACGTGAATGCTGGGAAATCTACAACCAACATCATGATCACTACCATCATTATTGTGATTATCGTAATTCTGCTATCCTTGATTGCTGTCGGGCTGCTTCTGTACTGTAAGGCCAGATCGACGCCTGTGACCCTTTCAAAAGACCAACTTAGCGGTATCAATAATATTGCCTTTAGCAAT(配列番号259)
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【表12-11】
【表12-12】
【表12-13】
【表12-14】
【0556】
等価物
当業者であれば、通常の実験を用いるだけで、本明細書に記載される本開示の具体的な実施形態の等価物を数多く認識または確認できるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0557】
本明細書で開示される全ての参考文献は、特許文書を含め、その全体が参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2023015151000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む、RSVワクチン。
【外国語明細書】