(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151523
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電気接続部材及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061179
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】森永 雄司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導電性接合材の厚さが不均一になりにくい電気接続部材を提供する。
【解決手段】電極を有する半導体素子の電極と配線パターンとを接続するために用いる板状の電気接続部材110であって、導電性接合材を介して半導体素子の電極に接続される半導体接続領域118と、半導体素子の電極に接続されない半導体非接続領域120と、配線パターンに接続される配線パターン接続領域122とを有し、半導体接続領域118には複数の突起112が形成されており、複数の突起112のうち隣接する2つの突起112の間には第1貫通孔114が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する半導体素子の前記電極と配線パターンとを接続するために用いる板状の電気接続部材であって、
導電性接合材を介して前記半導体素子の前記電極に接続される半導体接続領域と、前記半導体素子の前記電極に接続されない半導体非接続領域と、前記配線パターンに接続される配線パターン接続領域とを有し、
前記半導体接続領域には複数の突起が形成されており、
前記複数の突起のうち隣接する2つの前記突起の間には第1貫通孔が形成されていることを特徴とする電気接続部材。
【請求項2】
前記半導体素子は一方の面に複数の電極を有する半導体素子であり、
前記電気接続部材は前記複数の電極と前記配線パターンとを接続するために用いるものであることを特徴とする請求項1に記載の電気接続部材。
【請求項3】
前記半導体素子は一方の面に複数種類の電極を有する半導体素子であり、
前記電気接続部材は前記複数種類の電極のうち一の種類の電極と前記配線パターンとを接続するために用いるものであることを特徴とする請求項1に記載の電気接続部材。
【請求項4】
前記一の種類の電極は、複数の個別電極に分割されており、
前記複数の突起のそれぞれは前記複数の個別電極のそれぞれ対応する領域に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気接続部材。
【請求項5】
前記第1貫通孔の面積(平面積)は、前記突起の面積(平面積)よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気接続部材。
【請求項6】
前記突起は、円錐形状、角錐形状、円柱形状、角柱形状又は半球形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電気接続部材。
【請求項7】
前記電気接続部材は、前記半導体非接続領域に第2貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電気接続部材。
【請求項8】
電極を有する半導体素子と、
配線パターンと、
前記半導体素子の前記電極と前記配線パターンとを接続する板状の電気接続部材とを備える半導体装置であって、
前記電気接続部材は、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気接続部材であることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続部材及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代パワー半導体(GaN等)の出現により、スイッチング動作を従来の数百kHzから数MHzオーダーに高速化させたい、ターンオンオフ速度も1桁以上に高速化させたいといった要求と合わせ、回路システム動作時のスイッチング損失、サージ電圧及びノイズの低減を図って、動作安定性や信頼性を確保したいという要求がある。
【0003】
そこで従来、半導体素子と配線パターンとを接続する電気接続部材に、低インダクタンス化が可能な板状の電気接続部材が使用されている。この板状の電気接続部材は、導電性接合材を介して、半導体素子と接続されるものである。
【0004】
特許文献1には、電気接続部材の第1接合部と第2接合部との間の下面の中間部に、はんだなどの導電性接合材が第1接合部と半導体素子の上部電極との間から中間部に漏れ拡がるのを抑制するように、金属の酸化膜が形成されている半導体装置が開示されている。特許文献1に記載の半導体装置によれば、導電性接合材の電気接続部材への漏れ拡がりを抑制して、半導体装置の信頼性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術においては、半導体素子の全面に導電性接合材を塗布し、電気接続部材を配置した状態でリフローすることにより半導体素子と電気接続部材とを接続しているため、半導体素子と電気接続部材とが傾いた状態で接合されて導電性接合材の厚さが不均一となる場合があるという問題があった。また、これに起因して、製造される半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、導電性接合材の厚さが不均一になりにくい電気接続部材及び信頼性の低下が抑制された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の電気接続部材は、電極を有する半導体素子の前記電極と配線パターンとを接続するために用いる板状の電気接続部材であって、導電性接合材を介して前記半導体素子の前記電極に接続される半導体接続領域と、前記半導体素子の前記電極に接続されない半導体非接続領域と、前記配線パターンに接続される配線パターン接続領域とを有し、
前記半導体接続領域には複数の突起が形成されており、前記複数の突起のうち隣接する2つの前記突起の間には第1貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
(2)本発明の電気接続部材においては、前記半導体素子は一方の面に複数の電極を有する半導体素子であり、前記電気接続部材は前記複数の電極と前記配線パターンとを接続するために用いるものであることが好ましい。
【0010】
(3)本発明の電気接続部材においては、前記半導体素子は一方の面に複数種類の電極を有する半導体素子であり、前記電気接続部材は前記複数種類の電極のうち一の種類の電極と前記配線パターンとを接続するために用いるものであることが好ましい。
【0011】
(4)本発明の電気接続部材において、前記一の種類の電極は複数の個別電極に分割されており、前記複数の突起のそれぞれは前記複数の個別電極のそれぞれ対応する領域に形成されていることが好ましい。
【0012】
(5)本発明の電気接続部材において、前記第1貫通孔の面積(平面積)は、前記突起の面積(平面積)よりも小さいことが好ましい。
【0013】
(6)本発明の電気接続部材において、前記突起は、円錐形状又は角錐形状を有することが好ましい。
【0014】
(7)本発明の電気接続部材においては、前記半導体非接続領域に第2貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0015】
(8)本発明の半導体装置は、電極を有する半導体素子と、配線パターンと、前記半導体素子の前記電極と前記配線パターンとを接続する板状の電気接続部材とを備える半導体装置であって、前記電気接続部材は、本発明の電気接続部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電気接続部材によれば、半導体接続領域には複数の突起が形成されていることから、半導体素子と電気接続部材とが傾いた状態で接合されることが防止され、導電性接合材の厚さが均一となる。また、複数の突起の形成位置に対応した位置に導電性接合材を塗布することで不要な導電性接合材の塗布を抑制することができる。また、本発明の電気接続部材によれば、隣接する2つの突起の間には第1貫通孔が形成されていることから、溶融した導電性接合材の流れが分断されることで、導電性接合材の流れがコントロールし易くなり、必要以上の導電性接合材の濡れ拡がりを防止することができる。それらの結果、本発明の電気接続部材によれば、製造される半導体装置の信頼性が低下するのを抑制することができ、本発明の半導体装置は、信頼性の低下が抑制された半導体装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の電気接続部材110の斜視図である。
【
図2】本発明の電気接続部材110を接続する対象となる半導体素子102の平面図である。
【
図3】本発明の電気接続部材110を半導体素子102の電極104に接続した状態を示す図である。
【
図4】実施形態に係る電子モジュール130の等価回路126を示す図である。
【
図5】実施形態で用いる半導体素子(第1半導体素子10,第2半導体素子20)の電極構造を示す図である。
【
図6】実施形態に係る電子モジュール130の要部拡大斜視図である。
【
図7】変形例1に係る電子モジュール132の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の電気接続部材及び半導体装置について、図面を参照して説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。また、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、各実施形態においては、基本的な構成、特徴、機能等が同じ構成、要素(形状等が完全に同一ではない構成要素を含む。)については、実施形態をまたいで同じ符号を使用するとともに再度の説明を省略することがある。
【0019】
[電気接続部材及び半導体装置]
図1は、本発明の電気接続部材110の斜視図である。
図2は、本発明の電気接続部材110を接続する対象となる半導体素子102の平面図である。
図3は、本発明の電気接続部材110を半導体素子102の電極104に接続した状態を示す図である。
図3(A)は当該状態を示す斜視図であり、
図3(B)及び
図3(C)は当該状態を示す要部断面図である。
図3(B)は接合工程前の要部断面図であり、
図3(C)は接合工程後の要部断面図である。
【0020】
本発明の電気接続部材110は、
図1~
図3に示すように、電極104を有する半導体素子102の電極104と配線パターン(後述する
図6における第1配線パターン41参照)とを接続するために用いる板状の電気接続部材である。電気接続部材110は、
図1及び
図2に示すように、導電性接合材124を介して半導体素子102の電極104に接続される半導体接続領域118と、半導体素子102の電極104に接続されない半導体非接続領域120と、配線パターンに接続される配線パターン接続領域122とを有する。そして、半導体接続領域118には複数の突起112が形成されており、複数の突起112のうち隣接する2つの突起112の間(半導体非接続領域)には第1貫通孔114が形成されている。
【0021】
本発明の電気接続部材110において、半導体素子102は、
図2に示すように、一方の面に複数の電極(個別電極104a,104b、104c)を有する半導体素子であり、電気接続部材110は複数の電極(個別電極104a,104b、104c)と配線パターンとを接続するために用いるものである。
【0022】
また、本発明の電気接続部材110において、半導体素子102は、
図2に示すように、一方の面に複数種類の電極(電極104及び他の電極106)を有する半導体素子であり、電気接続部材110は複数種類の電極(電極104及び他の電極106)のうち一の種類の電極(電極104)と配線パターンとを接続するために用いるものである。
【0023】
また、本発明の電気接続部材110において、半導体素子102における一の種類の電極(電極104)は、
図2に示すように、複数の個別電極104a,104b,104cに分割されており、電気接続素子110における複数の突起112a,112b,112c(
図1参照)のそれぞれは、複数の個別電極104a,104b,104c(
図2及び
図3参照)のそれぞれ対応する領域に形成されている。なお、本発明においては、各個別電極104a,104b,104cに対応する領域に1個の突起112が形成されていてもよいし(
図1参照)、各個別電極104a,104b,104cに対応する領域に複数の突起112が形成されていてもよい。
【0024】
また、本発明の電気接続部材110において、第1貫通孔114の面積(平面積)は、
図1に示すように、突起112の面積(平面積)よりも小さい。また、本発明の電気接続部材110において、突起112は、
図1に示すように、円錐形状を有する。なお、本発明においては、突起112は、円錐形状を有するものに限定されるものではなく、角錐形状、円柱形状、角柱形状、半球形状その他の形状を有するものであってもよい。
【0025】
また、本発明の電気接続部材110においては、
図1及び
図3に示すように、半導体非接続領域120に第2貫通孔116が形成されている。第2貫通孔116は、中央の突起112(突起112b)から配線パターン接続領域122に向かう垂直線上に配置されている。
【0026】
また、本発明の電気接続部材110において、
図3(A)に示すように、半導体非接続領域120の全部又は一部には保護絶縁層108が形成されている。保護絶縁層108としては、レジスト層、金属酸化層などを用いることができる。
【0027】
本発明の半導体装置は、
図3(A)に示すように、電極104を有する半導体素子102と、配線パターン(図示せず)と、半導体素子102の電極104と配線パターンとを接続する板状の電気接続部材110とを備える半導体装置である。なお、
図3(A)中、符号106は他の電極を示す。
【0028】
本発明の電気接続部材110の半導体素子102への接続は以下のようにして行う。すなわち、半導体素子102の電極104に導電性接合材124を塗布した後、電気接続部材110の突起112(突起112a,112b,112c)(
図1参照)が電極104(個別電極104a,104b,104c)(
図2参照)に対向するように電気接続部材110を搭載する。その後、リフロー等により導電性接合材124を溶融させることで、電気接続部材110を半導体素子102の電極104に接続する(
図3(B)~(C)参照)。なお、配線パターン接続領域122は図示しない基板上の配線パターンに導電性接合材を介して接続する。
【0029】
[電気接続部材及び半導体装置の効果]
本発明の電気接続部材110によれば、半導体接続領域118には複数の突起112が形成されていることから、半導体素子102と電気接続部材110とが傾いた状態で接合されることが防止され、導電性接合材124の厚さが均一となる。また、複数の突起112の形成位置に対応した位置に導電性接合材124を塗布することで不要な導電性接合材124の塗布を抑制することができる。また、本発明の電気接続部材110によれば、隣接する2つの突起112の間には第1貫通孔114が形成されていることから、溶融した導電性接合材124の流れが分断されることで、導電性接合材124の流れがコントロールし易くなり、必要以上の導電性接合材124の濡れ拡がりを防止することができる。その結果、製造される半導体装置の信頼性が低下するのを抑制することができ、本発明の半導体装置は、信頼性の低下が抑制された半導体装置となる。
【0030】
また、本発明の電気接続部材110によれば、上記したように、必要以上の導電性接合材124の濡れ拡がりを防止することができることから、導電性接合材124が半導体非接合領域120や他の電極106にまで拡がることがなくなる。
【0031】
また、本発明の電気接続部材110によれば、複数の突起112の形成位置に対応した位置に導電性接合材124が塗布されることになることから、半導体装置の信頼性が低下するのをより一層抑制することができる。
【0032】
本発明の電気接続部材110においては、第1貫通孔114の面積(平面積)が突起112の面積(平面積)よりも小さいことから、それに応じて寄生インダクタンスを低くできる。
【0033】
本発明の電気接続部材110によれば、突起112が円錐形状を有することから、突起112の先端側で導電性接合材124を増やすことができ、突起112の周りに均等かつ確実に導電性接合材124を位置付けることができる。このため、導電性接合材124の厚みを確保しつつ導電性接合材124の厚さを均一にすることができる。また、本発明の電気接続部材110によれば、突起112が円錐形状を有することから、導電性接合材124の厚みを確保しつつ厚さを均一にすることができ、硬化した後に導電性接合材124にクラックが入る等の不具合の発生を抑制できる。
【0034】
また、本発明の電気接続部材110によれば、半導体非接続領域120に第2貫通孔116が形成されていることから、半導体接続領域118から配線パターン接続領域122の方向へ向かって導電性接合材124が必要以上に濡れ拡がらなくなり、半導体素子102の端面と電気接続部材110との間のショート不良を引き起こすことがなくなる。
【0035】
また、本発明の電気接続部材110によれば、半導体素子102における半導体非接続領域120に対応する領域の全部又は一部には保護絶縁層108が形成されていることから、導電性接合材124が半導体非接続領域120に向かって濡れ拡がることがなくなる。
【0036】
本発明の半導体装置は、電極104を有する半導体素子102と、配線パターン(図示せず)と、半導体素子102の電極104と前記配線パターンとを接続する板状の電気接続部材110とを備える半導体装置であるから、信頼性の低下が抑制された半導体装置となる。
【0037】
本願発明の電気接続部材110は、板状の電気接続部材であり、ワイヤ等の電気接続部材よりも接合面積が大きく、寄生インダクタンスを小さくできるため、次世代パワー半導体(窒化ガリウム、炭化ケイ素、又は、酸化ガリウムを材料とする半導体)からなる半導体素子を用いた半導体装置に適用した場合に特に大きな効果が得られる。以下の実施形態においては、そのような半導体装置として、次世代パワー半導体(GaN)からなる半導体素子を用いた電子モジュールを用いて、本発明の電気接続部材及び半導体装置を説明する。
【0038】
[半導体装置の構成例]
図4は、実施形態に係る電子モジュール130の等価回路126を示す図である。
図5は、実施形態に用いる半導体素子(第1半導体素子10,第2半導体素子20)の電極構造を示す図である。
図5(A)は第1半導体素子10の電極構造を示す図であり、
図5(B)は第2半導体素子20の電極構造を示す図である。
図6は、実施形態に係る電子モジュール130の要部拡大斜視図である。
【0039】
第1半導体素子10のドレイン電極11dは、
図4に示すように、第3配線パターン43を介して電源端子70に接続されている。また、第1半導体素子10のソース電極12sは、第2半導体素子20のドレイン電極21dと第1配線パターン41に接続され、第1配線パターン41を介して出力端子72に接続されている。また、第2半導体素子20のソース電極22sは、第2配線パターン42を介してグランド端子74に接続されている。また、コンデンサ30は、第3配線パターン43及び第2配線パターン42を介して電源端子70とグランド端子74に接続されている。直列に接続された第1半導体素子10及び第2半導体素子20に、コンデンサ30が並列接続された回路となっている。なお、検出用ソース電極12sb、検出用ソース電極22sbも設けられている。
【0040】
第1半導体素子10及び第2半導体素子20はともにMOSトランジスタであり、
図5に示すように、第1半導体素子10又は第2半導体素子20それぞれの同一表面の一方の側に第1ドレイン電極11d,第2ドレイン電極21dが配置され、他方の側に第1ソース電極12s,第2ソース電極22sが配置されている。第1ドレイン電極11dは、
図5(A)に示すように、3個の個別電極11d1,11d2、11d3から構成されており、第2ドレイン電極21dは、
図5(B)に示すように、3個の個別電極21d1,21d2、21d3から構成されている。また、第1ソース電極12sは、
図5(A)に示すように、3個の個別電極12s1,12s2、12s3から構成されており、ソース電極22sは、
図5(B)に示すように、3個の個別電極22s1,22s2、22s3から構成されている。なお。
図5(A)において、符号13gは第1ゲート電極を示し、符号12sbは第1検出用ソース電極12sbを示す。また、
図5(B)において、符号23gは第2ゲート電極を示し、符号22sbは第2検出用ソース電極を示す。
【0041】
実施形態に係る電子モジュール130において、電気接続部材110は、
図6に示すように、ドレイン電極11d1,11d2,11d3,21d1,21d2、21d3の位置に突起112が配置されるように、また、ソース電極12s1,12s2,12s3,22s1,22s2,22s3の位置に各突起112が配置されるようにして半導体素子
【0042】
実施形態に係る電子モジュール130は、樹脂封止型の電子モジュールであって、
図6に示すように、第1配線パターン41、第2配線パターン42及び第3配線パターン43を有する基板40と、複数の第1電極(第1ドレイン電極11d,第1ソース電極12s(図示せず),第1検出用ソース電極12sb,第1ゲート電極13g)を有する第1半導体素子10と、複数の第2電極(第2ドレイン電極21d(図示せず),第2ソース電極22s,第2検出用ソース電極22sb,第2ゲート電極23g)を有する第2半導体素子20と、コンデンサ30と、基板40とを有する。
【0043】
第1配線パターン41は、第1半導体素子10が搭載され、第1電気接続部材51により第1ソース電極12sが接続され、第4電気接続部材54により第2ドレイン電極21dが接続されている。第2配線パターン42は、第2半導体素子20が搭載され、第2電気接続部材52により第2ソース電極22sが接続され、コンデンサ30の一部31が接続されている。第3配線パターン43は、第3電気接続部材53により第1ドレイン電極11dが接続され、コンデンサ30の他部32が接続されている。基板40は、例えばセラミック基板に銅回路板を直接接合したDCB基板を用いる。
【0044】
実施形態に係る電子モジュール130においては、
図6に示すように、第2電気接続部材52と第3電気接続部材53は、線状の電気接続部材を使用しているが、第1電気接続部材51と第4電気接続部材54は、板状の電気接続部材(本発明の電気接続部材110)を使用している。
【0045】
第1電気接続部材51としての電気接続部材110は、
図6に示すように、3つある第1ソース電極12s(12s1,12s2,12s3)を覆う広さで、第1ソース電極12s(12s1,12s2,12s3)と第1配線パターン41とを接続している。第4電気接続部材54としての電気接続部材110は、3つある第2ドレイン電極21d(21d1,21d2,21d3)を覆う広さで、第2ドレイン電極21d(21d1,21d2,21d3)と第1配線パターン41とを接続している。
【0046】
そして、これら第1電気接続部材51及び第4電気接続部材54として、本発明の電気接続部材110(すなわち、半導体接続領域118と、半導体非接続領域120と、配線パターン接続領域122とを有し、半導体接続領域118には複数の突起112が形成されており、複数の突起112のうち隣接する2つの突起の間には第1貫通孔114が形成された電気接続部材110)を用いている(
図1参照)。
【0047】
以上説明したように、実施形態に係る電子モジュール130(本発明の半導体装置に相当)によれば、第1電気接続部材51及び第4電気接続部材54として、本発明の電気接続部材110を用いることから、各半導体素子(第1半導体素子10,第2半導体素子20)と各電気接続部材(第1電気接続部材51,第4電気接続部材54)とが傾いた状態で接合されることが防止され、導電性接合材の厚さが均一となる。また、複数の突起の形成位置に対応した位置に導電性接合材を塗布することで不要な導電性接合材の塗布を抑制することができる。また、隣接する2つの突起の間には第1貫通孔が形成されていることから、溶融した導電性接合材の流れが分断されることで、導電性接合材の流れがコントロールし易くなり、必要以上の導電性接合材の濡れ拡がりを防止することができる。その結果、実施形態に係る電子モジュール130(本発明の半導体装置に相当)は、信頼性の低下が抑制された半導体装置となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0049】
(1)
図7は、変形例1に係る電子モジュール132の要部拡大斜視図である。変形例1に係る電子モジュール132は、
図7に示すように、実施形態に係る電子モジュール130における、線状の第2電気接続部材52及び第3電気接続部材53の代わりに、板状の第2電気接続部材52及び板状の第3電気接続部材53(すなわち本発明の電気接続部材110)を用いたものである。このような構造を有する電子モジュール(電子モジュール132)であっても、本発明の半導体装置が有する効果をそのまま有する。
【0050】
(2)上記した実施形態においては、一方の表面に複数の個別ドレイン電極及び複数の個別ソース電極を有する半導体素子を用いて、本発明の電気接続部材を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ドレイン電極として、各個別ドレイン電極が部分的に接続された構造を有するドレイン電極を有する半導体素子や、ソース電極として、各個別ソース電極が部分的に接続された構造を有するソース電極を有する半導体素子にも適用できる。また、ドレイン電極及び各ソース電極が入り組んだ構造をもった半導体素子にも適用できる。
【0051】
(3)上記した実施形態においては、半導体素子の電極に接続する配線パターンとして、基板上に形成された配線パターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、基板上に形成された配線パターン以外の配線パターン(例えば、リードフレーム、バルク状の配線パターンなど)を用いることもできる。
【0052】
(4)上記した実施形態においては、ハーフブリッジ回路を用いて本発明の半導体装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、トーテムポール型力率改善回路その他の回路にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
102 半導体素子
104 電極
104a,104b,104c 個別電極
106 他の電極
108 保護絶縁層
110 電気接続部材
112 突起
114 第1貫通孔
116 第2貫通孔
118 半導体接続領域
120 半導体非接続領域
122 配線パターン接続領域
126 等価回路
10 第1半導体素子
11d,11d1,11d2,11d3 第1ドレイン電極
12s,12s1,12s2,12s3 第1ソース電極
12sb 第1検出用ソース電極
13g 第1ゲート電極
20 第2半導体素子
21d,21d1,21d2,21d3 第2ドレイン電極
22s,22s1,22s2,22s3 第2ソース電極
22sb 第2検出用ソース電極
23g 第2ゲート電極
30 コンデンサ
31 コンデンサの一部
32 コンデンサの他部
40 基板
41 第1配線パターン(配線パターン)
42 第2配線パターン(配線パターン)
43 第3配線パターン(配線パターン)
51 第1電気接続部材(電気接続部材)
52 第2電気接続部材(電気接続部材)
53 第3電気接続部材(電気接続部材)
54 第4電気接続部材(電気接続部材)
70 電源端子
72 出力端子
74 グランド端子
130,132 電子モジュール