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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151534
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
   H01C 1/084 20060101AFI20231005BHJP
   H01C 1/01 20060101ALI20231005BHJP
   H01C 1/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01C1/084
H01C1/01 G
H01C1/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061200
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 一宏
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 孝彦
【テーマコード(参考)】
5E028
【Fターム(参考)】
5E028BA01
5E028BA04
5E028BA07
5E028BB01
5E028BB15
5E028CA03
5E028EA03
5E028EA13
5E028GA02
5E028JB03
(57)【要約】
【課題】製造コストを高くすることなく、抵抗体からの熱がプリント基板に影響しにくい抵抗器を提供する。
【解決手段】抵抗器10において、第1電極17は、絶縁基板15に設けられ、第1端子16に電気的に接続されている。抵抗体18は、絶縁基板15に設けられ、第1電極17と電気的に接続されている。第2電極19は、絶縁基板15の第1主面25上に設けられ、抵抗体18と電気的に接続されている。第2端子22は、第2電極19と電気的に接続されている。第1端子16と第2端子22は、各々、第1電極17と第2電極19から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面165、225を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ回路の入力端間に設けられる抵抗器であって、
一主面を有する絶縁基板と、
第1端子と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1端子に電気的に接続された第1電極と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された抵抗体と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記抵抗体と電気的に接続された第2電極と、
前記第2電極と電気的に接続された第2端子と、
を備え、
前記第1端子と前記第2端子は、各々、前記第1電極と前記第2電極から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面を有する、
抵抗器。
【請求項2】
前記第1端子及び前記第2端子は、各々、前記抵抗器と前記プリント基板との間に空間を介在させるように抵抗器支持部をさらに有している、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記絶縁基板はAlで構成されている、
請求項1又は2に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記絶縁基板は、前記一主面である第1主面とは異なり、前記絶縁基板の厚さ方向において前記第1主面と対向する第2主面を更に有し、
前記絶縁基板の前記第2主面は凹凸形状部を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第1端子及び前記第2端子の前記絶縁基板に対する接合部分、前記第1電極、前記第2電極、前記抵抗体、及び前記絶縁基板を覆う成型樹脂をさらに備え、
前記成型樹脂は少なくとも一主面に凹凸形状部を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の抵抗器。
【請求項6】
一主面を有する絶縁基板と、
第1端子と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1端子に電気的に接続された第1電極と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された抵抗体と、
前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記抵抗体と電気的に接続された第2電極と、
前記第2電極と電気的に接続された第2端子と、
を備え、
前記第1端子と前記第2端子は、各々、前記第1電極と前記第2電極から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面を有する、
抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に抵抗器に関し、より詳細には、インバータ回路の入力端間に設けられる抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、例えば、直流電圧を発生するバッテリと、直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、交流電圧によって駆動されるモータとを備えている。インバータは、バッテリから供給される直流電圧を平滑化する平滑コンデンサを有している。
【0003】
インバータは、さらに、放電抵抗を有している。放電抵抗は、平滑コンデンサに並列に接続され、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電する。
【0004】
特許文献1には、樹脂基板に放電抵抗を固定する放電抵抗固定構造(抵抗器)が開示されている。この構造では、樹脂基板から延びるボスによって、放電抵抗と樹脂基板との間に隙間を確保しており、その結果、放電抵抗からの熱が樹脂基板に影響しにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-212702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の放電抵抗固定構造では、樹脂基板にボスを設けるために樹脂基板の構造が複雑になっており、そのため加工費用が高くなっている。
【0007】
本開示の目的は、安価で、抵抗体からの熱がプリント基板に影響しにくい抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る抵抗器は、インバータ回路の入力端間に設けられる抵抗器であって、絶縁基板と、第1端子と、第1電極と、抵抗体と、第2電極と、第2端子とを備えている。前記絶縁基板は、一主面を有する。前記第1電極は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1端子に電気的に接続されている。前記抵抗体は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記抵抗体と電気的に接続されている。前記第2端子は、前記第2電極と電気的に接続されている。前記第1端子と前記第2端子は、各々、前記第1電極と前記第2電極から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面を有する。
【0009】
本開示の他の一態様に係る抵抗器は、絶縁基板と、第1端子と、第1電極と、抵抗体と、第2電極と、第2端子とを備えている。前記絶縁基板は、一主面を有する。前記第1電極は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1端子に電気的に接続されている。前記抵抗体は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記絶縁基板の前記一主面上に設けられ、前記抵抗体と電気的に接続されている。前記第2端子は、前記第2電極と電気的に接続されている。前記第1端子と前記第2端子は、各々、前記第1電極と前記第2電極から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、安価で、抵抗体からの熱がプリント基板に影響しにくい抵抗器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1実施形態における抵抗器が用いられた電気自動車のインバータ制御装置を含む電気回路図である。
図2図2は、上述の抵抗器の平面図である。
図3図3は、上述の抵抗器の断面図である。
図4図4は、本開示の第2実施形態における抵抗器の断面図である。
図5図5は、本開示の第3実施形態における抵抗器の断面図である。
図6図6は、本開示の第4実施形態における抵抗器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る抵抗器について、図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(第1実施形態)
(1)インバータ制御装置
図1を用いて、本開示に係る抵抗器10が用いられるインバータ制御装置1を説明する。
【0014】
インバータ制御装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に用いられる。インバータ制御装置1は、直流電圧を発生する直流電源3と、交流電圧によって駆動されるモータ2との間に配置されている。インバータ制御装置1は、直流電源3の直流電圧を交流電圧に変換してモータ2に供給する。直流電源3は、直流電圧を出力する電源ユニットであり、リチウムイオン電池などの充放電可能な2次電池を含む。直流電源3は、例えば、燃料電池でもよい。
【0015】
インバータ制御装置1は、図1に示すように、インバータ回路4と、昇圧回路5と、平滑コンデンサ9と、抵抗器10とを有している。
【0016】
インバータ回路4は、複数のスイッチング素子(図示せず)を有しており、スイッチング素子を動作させることで直流電圧を三相交流電圧に変換する。インバータ回路4と直流電源3とは、高電位側ライン11及び低電位側ライン12を介して互いに接続されている。高電位側ライン11は、直流電源3の正極に接続された電力線であり、電線、および/または、バスバからなる。低電位側ライン12は、直流電源3の負極に接続された電力線であり、電線、および/または、バスバからなる。この実施形態では、低電位側ライン12は、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有するグランドラインを意味する。
【0017】
昇圧回路5は、直流電源3とインバータ回路4との間に配置されている。昇圧回路5は、直流電源3からの直流電圧を昇圧する。
【0018】
平滑コンデンサ9は、インバータ回路4の入力端間に電気的に接続されており、具体的には、高電位側ライン11と低電位側ライン12との間を延びるライン13に設けられている。平滑コンデンサ9は、高電位側ライン11と低電位側ライン12との間の母線電圧を平滑化することで、母線電圧を安定化する。つまり、平滑コンデンサ9は、直流電源3から供給される直流電圧を平滑化する。
【0019】
抵抗器10は、平滑コンデンサ9に並列に接続され、平滑コンデンサ9に蓄えられた電荷を放電する。
【0020】
(2)抵抗器
図2及び図3を用いて、抵抗器10を説明する。抵抗器10は、面実装型であり、プリント基板14の配線層(図示せず)に、はんだ接合される。
【0021】
抵抗器10は、絶縁基板15と、第1端子16と、第1電極17と、抵抗体18と、第2電極19と、第2端子22と、を備えている。
【0022】
絶縁基板15は、例えばAlを90%以上、特に96%含有するアルミナで構成され、その形状は矩形状(上面視にて長方形)となっている。以後、図2の左右方向を長手方向とし、図2の上下方向を短手方向とする。さらに、図2の右側を長手方向第1側とし、図2の左側を長手方向第2側とし、図2の上側を短手方向第1側とし、図2の下側を短手方向第2側とする。なお、長手方向と短手方向は直交している。
【0023】
絶縁基板15は、上側を向く第1主面25と、下側を向く第2主面26と、側面27とを有している。本実施形態では、上述したように、絶縁基板15は矩形状であり、4つの側面27を有している。
【0024】
第1端子16は、高電位側ライン11(インバータ回路4の高圧側端子T1(図1参照))に接続される。第1端子16は、後述するように、絶縁基板15の長手方向第2側端部に設けられている。
【0025】
第2端子22は、低電位側ライン12(インバータ回路4の低圧側端子T2(図1参照))に接続される。第2端子22は、後述するように、絶縁基板15の長手方向第1側端部に設けられている。
【0026】
第1電極17及び第2電極19は、絶縁基板15の第1主面25に、銀等の金属を有する厚膜材料を印刷、焼成することによって形成されている。
【0027】
第1電極17は、絶縁基板15の第1主面25の長手方向第2側端部に設けられている。第1電極17は、抵抗体18に電気的に接続されている。第1電極17は、更に第1端子16に電気的に接続されている。
【0028】
第2電極19は、絶縁基板15の第1主面25の長手方向第1側端部に設けられている。第2電極19は、抵抗体18に電気的に接続されている。第2電極19は、更に第2端子22に電気的に接続されている。
【0029】
抵抗体18は、絶縁基板15の第1主面25に形成され、第1電極17及び第2電極19に接続されている。抵抗体18は、長手方向(図2の左右方向)に蛇行状に延びて形成されている。抵抗体18は、第1電極17と第2電極19の間に、銅ニッケル、銀パラジウム、又は酸化ルテニウムからなる厚膜材料を印刷した後、焼成することによって形成される。なお、図2では、抵抗体18の両端部が第1電極17及び第2電極19の各端部の上面に形成されているが、それらの端部の下面に形成されていてもよい。
【0030】
第1端子16及び第2端子22は、外部接続のための板状金属端子(リード端子)である。第1端子16及び第2端子22は、プリント基板14にはんだ付けされて、絶縁基板15をプリント基板14から上方に離れた位置に保持する。つまり、絶縁基板15の第2主面26は、プリント基板14から離れた位置にある。第1端子16及び第2端子22は、例えば銅からなり、その表面にスズ等のメッキが施されている。第1端子16及び第2端子22は、金型加工した端子を絶縁基板15に差し込んで、はんだ付けされる。
【0031】
第1端子16は、電極接続部161と、抵抗器支持部162と、端子接続部163と、リード端子接続部164とを有している。電極接続部161は、第1電極17に電気的に接続されている。抵抗器支持部162は、絶縁基板15の第2主面26に下方から当接して支持している。端子接続部163は、電極接続部161から抵抗器支持部162まで下方に延び、さらに下方に延びている。端子接続部163は、絶縁基板15の側面27に近接しているが、わずかに側方に離れて配置されている。リード端子接続部164は、端子接続部163から側方に(絶縁基板15の中心から離れる外側に)延びており、プリント基板14にはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部164の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面165となっている。第1端子16は、金属片を折り曲げて形成されており、絶縁基板15Aに装着された状態で弾性変形可能である。
【0032】
第2端子22は、電極接続部221と、抵抗器支持部222と、端子接続部223と、リード端子接続部224とを有している。電極接続部221は、第2電極19に電気的に接続されている。抵抗器支持部222は、絶縁基板15の第2主面26に下方から当接して支持している。端子接続部223は、電極接続部221から抵抗器支持部222まで下方に延び、さらに下方に延びている。端子接続部223は、絶縁基板15の側面27に近接しているが、わずかに離れて配置されている。リード端子接続部224は、端子接続部223から側方に(絶縁基板15の中心から離れる外側に)延びており、プリント基板14にはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部224の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面225となっている。第2端子226は、金属片を折り曲げて形成されており、絶縁基板15Aに装着された状態で弾性変形可能である。
【0033】
図3に示すように、抵抗器10は、絶縁基板15の第1主面25を覆う保護層24を備えている。保護層24は、例えば、ガラスコーティング、エポキシ樹脂からなる。保護層24は、具体的には、抵抗体18、第1電極17、第2電極19、第1端子16の一部(少なくとも第1電極17との接合部)、及び第2端子22の一部(少なくとも第2電極19との接合部)を覆っている。なお、保護層24は、絶縁基板15の第2主面26を覆っていてもよい。
【0034】
上記の構造では、第1端子16の接合面165は、絶縁基板15の厚さ方向D1において第1電極17から1mm以上離間した位置にある。また、上記の構造では、第2端子22の接合面225は、絶縁基板15の厚さ方向D1において第2電極19から1mm以上離間した位置にある。
【0035】
上記の構造では、絶縁基板15上に、第1電極17、第2電極19、抵抗体18が一体的に形成されている。このように絶縁基板15の一面に電極と抵抗体を一体形成することで、抵抗器10が安価に作成可能になる。
【0036】
上記構造では、板状金属端子である第1端子16及び第2端子22を用いて抵抗器10をプリント基板14にはんだ接合している。したがって、プリント基板14と絶縁基板15との熱膨張差による応力を第1端子16及び第2端子22の変形によって吸収することで、はんだ接合部(つまり、リード端子接続部164及びリード端子接続部224)への応力ストレスを低減し、はんだ接合部の高信頼性化を実現でき、耐温度ストレス寿命を向上できる。特に、第1端子16の端子接続部163及び第2端子22の端子接続部223は絶縁基板15の側面27から離れているので、第1端子16及び第2端子22の弾性変形可能量が増えている。
【0037】
さらに、絶縁基板15の厚さ方向D1において、第1端子16の接合面165から第1電極17までの距離、及び第2端子22の接合面225から第2電極19までの距離が、各々、1mm以上になっている。したがって、上記の応力吸収が確実に実現され、はんだ接続耐久性を向上させている。
【0038】
さらに、抵抗器支持部162、222によって、抵抗器10とプリント基板14との間に、より具体的には絶縁基板15の第2主面26とプリント基板14との間に、空間を介在させていることで、抵抗器10の放熱性が向上している。これにより、抵抗器10をさらに小型化できる。そしてまた、熱伝導率の高いアルミナ基板からなる絶縁基板15に抵抗体18を設けることにより、抵抗体18の発熱により発生する熱を効率よく放出できるという作用効果を有するものである。
【0039】
(第2実施形態)
図4を参照しながら、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、絶縁基板の第2主面に凹凸形状部が形成された抵抗器10Aを開示している。なお、第1実施形態との相違点を中心に説明するので、同じ構成には同じ又は対応する符号を付すことで説明を適宜省略する。
【0040】
第1実施形態と同様に、絶縁基板15Aの第2主面26Aは、プリント基板14から離れた位置にある。
【0041】
そして、絶縁基板15Aの第2主面26Aは、凹凸形状部31を有する。凹凸形状部31は、具体的には、短手方向(図4の紙面に垂直な方向)に延びる複数の凹部又は溝部が長手方向に複数形成されている構造である。
【0042】
凹凸形状部31により、絶縁基板15Aの放熱性が向上する。したがって、抵抗器10Aを小型化できる。
【0043】
さらに、凹凸形状部31によって第1端子16と第2端子22とが並ぶ方向に交差する方向に延びる複数の凹部が実現されているので、第1端子16と第2端子22との間の長手方向における沿面距離(導電体間を絶縁体の表面に沿った経路の最短距離)が長くなる。これにより、抵抗器10Aを小型化しても安全性基準を達成できる。
【0044】
(第3実施形態)
第1実施形態では抵抗体、電極等は絶縁基板の上側面に形成されていたが、下側面に形成されていてもよい。
【0045】
図5を用いて、そのような例として第3実施形態を説明する。第3実施形態は、絶縁基板の第2主面に抵抗体や電極が形成された抵抗器10Bを開示している。なお、第1実施形態との相違点を中心に説明するので、同じ構成には同じ又は対応する符号を付すことで説明を適宜省略する。
【0046】
図5を用いて、抵抗器10Bを説明する。
【0047】
抵抗器10Bは、絶縁基板15Bと、第1端子16Bと、第1電極17Bと、抵抗体18Bと、第2電極19Bと、第2端子22Bとを備えている。
【0048】
絶縁基板15Bは、上側を向く第1主面25Bと、下側を向く第2主面26Bと、側面27Bとを有している。
【0049】
第1端子16Bは、高電位側ライン11に接続される。第1端子16Bは、後述するように、絶縁基板15Bの長手方向第2側端部に設けられている。
【0050】
第2端子22Bは、低電位側ライン12に接続される。第2端子22Bは、後述するように、絶縁基板15Bの長手方向第1側端部に設けられている。
【0051】
第1電極17B及び第2電極19Bは、絶縁基板15Bの第2主面26Bに、銀等の金属を有する厚膜材料を印刷、焼成することによって形成されている。
【0052】
第1電極17Bは、絶縁基板15Bの第2主面26Bの長手方向第2側端部に設けられている。第1電極17Bは、抵抗体18Bに電気的に接続されている。第1電極17Bは、更に第1端子16Bに電気的に接続されている。
【0053】
第2電極19Bは、絶縁基板15Bの第2主面26Bの長手方向第1側端部に設けられている。第2電極19Bは、抵抗体18Bに電気的に接続されている。第2電極19Bは、更に第2端子22Bに電気的に接続されている。
【0054】
抵抗体18Bは、絶縁基板15Bの第2主面26Bに形成され、第1電極17B及び第2電極19Bに接続されている。
【0055】
第1端子16B及び第2端子22Bは、外部接続のための板状金属端子(リード端子)である。第1端子16B及び第2端子22Bは、断面がコの字形状であり、プリント基板14にリフローはんだ付けされて、絶縁基板15Bをプリント基板14Bから上方に離れた位置に保持する。つまり、絶縁基板15Bの第2主面26Bは、プリント基板14から離れた位置にある。第1端子16B及び第2端子22Bは、例えば銅からなり、その表面にスズ等のメッキが施されている。
【0056】
第1端子16Bは、電極接続部16B1と、端子接続部16B3と、リード端子接続部16B4とを有している。電極接続部16B1は、第1電極17Bに電気的に接続されており、絶縁基板15Bの第2主面26に下方から支持している。端子接続部16B3は、電極接続部16B1から下方に延びている。リード端子接続部16B4は、端子接続部16B3から側方に(絶縁基板15Bの中心に近づく内側に)延びており、プリント基板14Bにはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部16B4の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面16B5となっている。
【0057】
第2端子22Bは、電極接続部22B1と、端子接続部22B3と、リード端子接続部22B4とを有している。電極接続部22B1は、第2電極19Bに電気的に接続されており、絶縁基板15Bの第2主面26Bに下方から支持している。端子接続部22B3は、電極接続部22B1から下方に延びている。リード端子接続部22B4は、端子接続部22B3から側方に(絶縁基板15Bの中心に近づく内側に)延びており、プリント基板14Bにはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部22B4の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面22B5となっている。
【0058】
図5に示すように、抵抗器10Bは、絶縁基板15Bの第2主面26Bを覆う保護層24Bを有している。保護層24Bは、例えば、ガラスコーティング、エポキシ樹脂からなる。保護層24Bは、具体的には、抵抗体18B、第1電極17B、第2電極19B、第1端子16Bの一部、及び第2端子22Bの一部を覆っている。保護層24Bは、プリント基板14から離れた位置にある。
【0059】
上記の構造では、第1端子16Bの接合面16B5は、絶縁基板15Bの厚さ方向D1において第1電極17Bから1mm以上離間した位置にある。また、上記の構造では、第2端子22Bの接合面22B5は、絶縁基板15Bの厚さ方向D1において第2電極19Bから1mm以上離間した位置にある。
【0060】
上記の構造では、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0061】
(第4実施形態)
図6を参照しながら、第4実施形態を説明する。第4実施形態は、樹脂モールドされた抵抗器10Cを開示している。なお、第1実施形態との相違点を中心に説明するので、同じ構成には同じ又は対応する符号を付すことで説明を適宜省略する。
【0062】
抵抗器10Cは、第1実施形態の抵抗器10と概ね同じ構造(絶縁基板15、第1電極17、抵抗体18、第2電極19)を有している。
【0063】
抵抗器10Cは、更に、成型樹脂33を有している。成型樹脂33は、モールド成型によって形成されており、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー等の高耐熱の成型樹脂である。
【0064】
成型樹脂33は、絶縁基板15の第1主面25側にある抵抗体18、第1電極17、第2電極19、第1端子16Cの一部(少なくとも第1電極17との接合部)、第2端子22Cの一部(少なくとも第2電極19との接合部)を覆う上側部分34と、絶縁基板15の第2主面26を覆う下側部分35とを有している。
【0065】
上側部分34の上面36には、複数の凹凸形状部37が形成されている。下側部分35の下面38(一主面の一例)は、複数の凹凸形状部39が形成されている。凹凸形状部37、39は、具体的には、短手方向に延びる複数の凹部又は溝部が長手方向に並んで形成されている構造である。下面38は、プリント基板14の上方に離れた位置にある。つまり、成型樹脂33の下面38は、プリント基板14から離れた位置にある。なお、成型樹脂33の下面38は、下方側を向いた平面視矩形状の一主面として機能している。
【0066】
凹凸形状部37,39により、絶縁基板15の放熱性が向上する。したがって、抵抗器10Cを小型化できる。
【0067】
さらに、凹凸形状部37、39によって第1端子16と第2端子22とが並ぶ方向に交差する方向に延びる複数の凹部が実現されているので、第1端子16Cと第2端子22Cとの長手方向における沿面距離が長くなっている。したがって、抵抗器10Cを小型化しても安全性基準を達成できる。この実施形態では、例えば第1端子16Cのリード端子接続部16C5と第2端子22Cのリード端子接続部22C5との間が両端子間の最短距離部分であるので、成型樹脂33の下面38にある凹凸形状部39が上記安全基準達成に貢献している。
【0068】
第1端子16Cは、電極接続部16C1と、第1鉛直部16C2と、水平部16C3と、第2鉛直部16C4と、リード端子接続部16C5とを有している。電極接続部16C1は、第1電極17に電気的に接続されている。第1鉛直部16C2は電極接続部16C1から下方に延びており、絶縁基板15の側面27に近接又は当接している。水平部16C3は、電極接続部16C1の一端から長手方向外側に延びている。第2鉛直部16C4は、水平部16C3の一端から下方に延びており、成型樹脂33の下側部分35の側壁41からわずかに側方に離れた位置に配置されている。リード端子接続部16C5は、第2鉛直部16C4から側方に(絶縁基板15の中心に近づく内側に)延びており、プリント基板14にはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部16C5の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面16C6となっている。第1端子16Cは、金属片を折り曲げて形成されており、成型樹脂33にモールドされた状態において、第2鉛直部16C4及びリード端子接続部16C5は弾性変形可能である。
【0069】
第2端子22Cは、電極接続部22C1と、第1鉛直部22C2と、水平部22C3と、第2鉛直部22C4と、リード端子接続部22C5とを有している。電極接続部22C1は、第2電極19に電気的に接続されている。第1鉛直部22C2は電極接続部22C1から下方に延びており、絶縁基板15の側面27に近接又は当接している。水平部22C3は、電極接続部22C1の一端から長手方向外側に延びている。第2鉛直部22C4は、水平部22C3の一端から下方に延びており、成型樹脂33の下側部分35の側壁41からわずかに側方に離れた位置に配置されている。リード端子接続部22C5は、第2鉛直部22C4から側方に(絶縁基板15の中心に近づく内側に)延びており、プリント基板14にはんだ付けされている。つまり、リード端子接続部22C5の下面が、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面22C6となっている。第2端子22Cは、金属片を折り曲げて形成されており、成型樹脂33にモールドされた状態において、第2鉛直部22C4及びリード端子接続部22C5は弾性変形可能である。
【0070】
(変形例)
上述の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0071】
抵抗体、電極、端子等の具体的な形状や材料は前述の実施形態に限定されない。
【0072】
第3実施形態の抵抗器の絶縁基板に第2実施形態のような凹凸形状部を設けてもよい。
【0073】
第4実施形態の抵抗器の凹凸形状部は成型樹脂の一面だけに設けられていてもよい。
【0074】
抵抗器は、電気自動車やハイブリッド車用途以外のインバータ回路に使用される、大きな電力を放電する抵抗器にも適用可能である。
【0075】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0076】
第1態様に係る抵抗器(10、10A、10B、10C)は、インバータ回路(4)の入力端間に設けられる抵抗器であって、絶縁基板(15、15A、15B)と、第1端子(16、16B、16C)と、第1電極(17、17B、17C)と、抵抗体(18、18B、18C)と、第2電極(19、19B、19C)と、第2端子(22、22B、22C)とを備えている。絶縁基板(15、15A、15B)は一主面(25、25B)を有する。第1電極(17、17B、17C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25、25B)上に設けられ、第1端子(16、16B、16C)に電気的に接続されている。抵抗体(18、18B、18C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25、25B)上に設けられ、第1電極(17、17B、17C)と電気的に接続されている。第2電極(19、19B、19C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25B)上に設けられ、抵抗体(18、18B、18C)と電気的に接続されている。第2端子(22、22B)は、第2電極(19、19B、19C)と電気的に接続されている。第1端子(16、16B、16C)と第2端子(22、22B、22C)は、各々、第1電極(17、17B、17C)と第2電極(19、19B、19C)から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面(165、225、16B5、22B5、16C6、22C6)を有する。
【0077】
この態様によれば、第1端子(16、16B、16C)及び第2端子(22、22B、22C)を用いて抵抗器(10、10A、10B、10C)をプリント基板14にはんだ接合している。したがって、熱膨張差による応力を第1端子(16、16B、16C)及び第2端子(22、22B、22C)の変形によって吸収することで、はんだ接合部(164、224、16B4、22B4、16C5、22C5)への応力ストレスを低減できる。その結果、はんだ接合部(164、224、16B4、22B4、16C5、22C5)の高信頼性化を実現でき、さらには耐温度ストレス寿命を向上できる。
【0078】
第2態様に係る抵抗器(10、10A、10B、10C)では、第1態様において、第1端子(16、16B、16C)及び第2端子(22、22B、22C)は、各々、抵抗器(10、10A、10B、10C)とプリント基板(14、14B)との間に空間を介在させるように抵抗器支持部(162、222)をさらに有している。
【0079】
この態様によれば、抵抗器(10、10A、10B、10C)の放熱性が向上している。
【0080】
第3態様に係る抵抗器(10、10A、10B、10C)では、第1態様又は第2態様において、絶縁基板はAlで構成されている。
【0081】
この態様によれば、抵抗器(10、10A、10B、10C)の放熱性が向上している。
【0082】
第4態様に係る抵抗器(10A)では、第1~第3態様のいずれか一つにおいて、絶縁基板(15A)は、一主面である第1主面(25A)とは異なり、絶縁基板(15A)の厚さ方向において第1主面と対向する第2主面(26A)を更に有している。絶縁基板(15A)の第2主面(26A)は凹凸形状部(31)を有する。
【0083】
この態様によれば、絶縁基板(15)の放熱性が向上する。したがって、抵抗器(10)を小型化できる。
【0084】
第5態様に係る抵抗器(10C)は、第1~第4態様のいずれか一つにおいて、成型樹脂(33)をさらに備えている。成型樹脂(33)は、第1端子(16C)及び第2端子(22C)の絶縁基板(15)に対する接合部分、第1電極(17)、第2電極(18)、抵抗体(18)、及び絶縁基板(15)を覆う。成型樹脂(33)は少なくとも一主面(36、38)に凹凸形状部(37、39)を有する。
【0085】
この態様によれば、絶縁基板(15)の放熱性が向上する。したがって、抵抗器(10C)を小型化できる。
【0086】
第6態様に係る抵抗器(10、10A、10B、10C)は、絶縁基板(15、15A、15B)と、第1端子(16、16B、16C)と、第1電極(17、17B、17C)と、抵抗体(18、18B、18C)と、第2電極(19、19B、19C)と、第2端子(22、22B、22C)とを備えている。絶縁基板(15、15A、15B)は一主面(25、25B)を有する。第1電極(17、17B、17C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25、25B)上に設けられ、第1端子(16、16B、16C)に電気的に接続されている。抵抗体(18、18B、18C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25、25B)上に設けられ、第1電極(17、17B、17C)と電気的に接続されている。第2電極(19、19B、19C)は、絶縁基板(15、15A、15B)の一主面(25B)上に設けられ、抵抗体(18、18B、18C)と電気的に接続されている。第2端子(22、22B)は、第2電極(19、19B、19C)と電気的に接続されている。第1端子(16、16B、16C)と第2端子(22、22B、22C)は、各々、第1電極(17、17B、17C)と第2電極(19、19B、19C)から所定長さ以上離間した位置に、プリント基板実装用のはんだ付け接合可能な接合面(165、225、16B5、22B5、16C6、22C6)を有する。
【0087】
この態様によれば、第1端子(16、16B、16C)及び第2端子(22、22B、22C)を用いて抵抗器(10、10A、10B、10C)をプリント基板14にはんだ接合している。したがって、熱膨張差による応力を第1端子(16、16B、16C)及び第2端子(22、22B、22C)の変形によって吸収することで、はんだ接合部(164、224、16B4、22B4、16C5、22C5)への応力ストレスを低減できる。その結果、はんだ接合部(164、224、16B4、22B4、16C5、22C5)の高信頼性化を実現でき、さらには耐温度ストレス寿命を向上できる。
【符号の説明】
【0088】
1:インバータ制御装置
2:モータ
3:直流電源
4:インバータ回路
9:平滑コンデンサ
10、10A、10B、10C:抵抗器
11:高電位側ライン
12:低電位側ライン
14、14B:プリント基板
15、15A、15B:絶縁基板
16、16B、16C:第1端子
162、222:抵抗器支持部
164、224、16B4、22B4、16C5、22C5:リード端子接続部
165、225、16B5、22B5、16C6、22C6:接合面
17、17B:第1電極
18、18B:抵抗体
19、19B:第2電極
22、22B、22C:第2端子
22B4、22C5:リード端子接続部
25、25B:第1主面
26、26B:第2主面
27、27B:側面
31、37、39:凹凸形状部
33:成型樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6