(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151541
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】誘導システム、誘導方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20231005BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20231005BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B21/00
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061207
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米倉 宗孝
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C086AA51
5C086BA30
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA11
5C087AA02
5C087AA05
5C087AA11
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA42
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD20
5C087DD49
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5K038AA06
5K038CC12
5K038FF01
5K038GG04
5K038GG06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、対象者を案内し、かつ、対象者が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させる誘導システム、誘導方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】誘導システム1は、取得部21と、捕捉部22と、案内部23と、警告部24と、を備える。取得部21は、対象者の識別情報を取得する。捕捉部22は、識別情報に基づいて対象者の位置を捕捉する。案内部23は、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者に伝達する。案内情報は、対象者に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。警告部24は、対象者が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者に伝達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設にいる対象者を誘導する誘導システムであって、
前記対象者の識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報に基づいて前記対象者の位置を捕捉する捕捉部と、
前記施設に設置されており周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置を制御して、前記対象者に所定の経路に沿った移動を促すための案内情報を前記対象者に伝達する案内部と、
前記対象者が前記所定の経路から逸れた場合に、前記複数の通知装置を制御して、前記対象者に警告を示す警告情報を前記対象者に伝達する警告部と、を備える、
誘導システム。
【請求項2】
前記識別情報は、前記対象者の顔に関する顔情報を含み、
前記捕捉部は、前記顔情報と、前記対象者を前記施設に設置されたカメラが撮影することで生成された前記対象者の画像と、を照合することで、前記対象者の位置を捕捉する、
請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記施設は、集合住宅であり、
前記顔情報は、前記集合住宅の共用玄関に設置されたロビーインターホンを操作する前記対象者を前記共用玄関に設置された玄関カメラが撮影することで生成される、
請求項2に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記識別情報は、前記対象者が発する音に関する音情報を含み、
前記捕捉部は、前記音情報と、前記施設に設置されたマイクロフォンで収音された音と、を照合することで、前記対象者の位置を捕捉する、
請求項1に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記識別情報は、前記対象者が所持する携帯端末を区別するための端末情報を含み、
前記捕捉部は、前記携帯端末から出力される信号に基づいて、前記対象者の位置を捕捉する、
請求項1に記載の誘導システム。
【請求項6】
前記対象者の位置に応じて、前記施設において人が通る開口部に設けられた開閉部材を駆動して前記開口部を開閉する開閉管理部と、前記対象者の位置に応じて、前記開閉部材を施錠又は解錠する施錠管理部と、のうち少なくとも一方を更に備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記対象者の位置に応じて、前記施設に設置され前記対象者を運搬する運搬装置の動作を制御する運搬管理部を更に備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記複数の通知装置のうち少なくとも1つの通知装置は、前記施設の地図を表示する表示部を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導システム。
【請求項9】
前記警告部は、前記警告情報を前記対象者に伝達した後、前記対象者が前記所定の経路に戻らない場合に、所定の通報先へ通報する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導システム。
【請求項10】
施設にいる対象者を誘導する誘導方法であって、
前記対象者の識別情報を取得する取得ステップと、
前記識別情報に基づいて前記対象者の位置を捕捉する捕捉ステップと、
前記施設に設置されており周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置を制御して、前記対象者に所定の経路に沿った移動を促すための案内情報を前記対象者に伝達する案内ステップと、
前記対象者が前記所定の経路から逸れた場合に、前記複数の通知装置を制御して、前記対象者に警告を示す警告情報を前記対象者に伝達する警告ステップと、を有する、
誘導方法。
【請求項11】
請求項10に記載の誘導方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に誘導システム、誘導方法及びプログラムに関し、より詳細には、施設にいる対象者を誘導する誘導システム、誘導方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のゲストエンゲージメントシステム(誘導システム)は、複数のゲストデバイスと、複数のセンサを含むセンサネットワークと、中央サーバと、を含む。各ゲストデバイスは、ゲストデバイスの固有の識別子を放送する周期的ビーコン信号を発する。複数のセンサは、周期的ビーコン信号を検出する。中央サーバは、複数のセンサの各々に通信可能に接続され、且つセンサによって検出されたゲストデバイスのそれぞれの固有の識別子をセンサの既知の場所に関連付けるログと、タイムスタンプとを記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に記載のゲストエンゲージメントシステム(誘導システム)は、施設においてゲスト(対象者)の位置をモニタすることができる。しかしながら、ゲスト(対象者)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性があり、対策が必要とされることがある。
【0005】
本開示は、対象者を案内し、かつ、対象者が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができる誘導システム、誘導方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る誘導システムは、施設にいる対象者を誘導する。誘導システムは、取得部と、捕捉部と、案内部と、警告部と、を備える。前記取得部は、前記対象者の識別情報を取得する。前記捕捉部は、前記識別情報に基づいて前記対象者の位置を捕捉する。前記案内部は、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置を制御して、案内情報を前記対象者に伝達する。前記複数の通知装置は、前記施設に設置されている。前記案内情報は、前記対象者に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。前記警告部は、前記対象者が前記所定の経路から逸れた場合に、前記複数の通知装置を制御して、警告情報を前記対象者に伝達する。前記警告情報は、前記対象者に警告を示す情報である。
【0007】
本開示の一態様に係る誘導方法は、施設にいる対象者を誘導する。誘導方法は、取得ステップと、捕捉ステップと、案内ステップと、警告ステップと、を有する。前記取得ステップでは、前記対象者の識別情報を取得する。前記捕捉ステップでは、前記識別情報に基づいて前記対象者の位置を捕捉する。前記案内ステップでは、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置を制御して、案内情報を前記対象者に伝達する。前記複数の通知装置は、前記施設に設置されている。前記案内情報は、前記対象者に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。前記警告ステップでは、前記対象者が前記所定の経路から逸れた場合に、前記複数の通知装置を制御して、警告情報を前記対象者に伝達する。前記警告情報は、前記対象者に警告を示す情報である。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記誘導方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、対象者を案内し、かつ、対象者が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る誘導システムを含むブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の誘導システムの使用例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、同上の誘導システムの使用例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の誘導システムの使用例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例3に係る誘導システムと共に用いられる、携帯端末のブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る誘導システムの使用例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の各実施形態においては、本開示の誘導システム、誘導方法及びプログラムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の各実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0012】
(実施形態1)
(概要)
誘導システム1(
図1参照)は、施設にいる対象者H1(
図2参照)を誘導する。
図1に示すように、誘導システム1は、取得部21と、捕捉部22と、案内部23と、警告部24と、を備える。取得部21は、対象者H1の識別情報を取得する。捕捉部22は、識別情報に基づいて対象者H1の位置を捕捉する。案内部23は、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者H1に伝達する。複数の通知装置7は、施設に設置されている。案内情報は、対象者H1に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する。警告情報は、対象者H1に警告を示す情報である。
【0013】
また、本実施形態の誘導方法は、施設にいる対象者H1を誘導する。誘導方法は、取得ステップと、捕捉ステップと、案内ステップと、警告ステップと、を有する。取得ステップでは、対象者H1の識別情報を取得する。捕捉ステップでは、識別情報に基づいて対象者H1の位置を捕捉する。案内ステップでは、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者H1に伝達する。複数の通知装置7は、施設に設置されている。案内情報は、対象者H1に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。警告ステップでは、対象者H1が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する。警告情報は、対象者H1に警告を示す情報である。
【0014】
また、本実施形態のプログラムは、上記の誘導方法をコンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0015】
本実施形態の誘導システム1、誘導方法及びプログラムによれば、案内情報を対象者H1に伝達することで、対象者H1が迷わないように対象者H1を案内することができる。さらに、対象者H1が所定の経路から逸れた場合に警告情報を対象者H1に伝達することで、対象者H1が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができる。
【0016】
本開示でいう「施設」は、例えば、住宅、店舗、オフィスビル、工場、倉庫、複合商業施設、図書館、美術館、博物館、遊戯施設、テーマパーク、公園、空港、鉄道駅、球場、ホテル、及び病院等である。その他、「施設」は、例えば、船舶及び鉄道車両等の移動体であってもよい。また、「施設」は、屋内施設であってもよいし、屋外施設であってもよい。
【0017】
本実施形態では、一例として、「施設」が集合住宅であって、対象者H1が配達業者である場合について、説明する。
【0018】
誘導システム1を利用することで、対象者H1は一例として、次のように配達業務を行うことができる。対象者H1は、施設の共用玄関E1に設置されたロビーインターホン3を操作して、荷物の届け先の住戸の住戸番号を指定する。すると、当該住戸に設置されたインターホン親機4は、呼出音を発する。当該住戸の住民は、インターホン親機4を操作することで、対象者H1が当該住戸の前まで来ることを許可する。対象者H1は、誘導システム1により行き先を誘導されながら、住戸の前に辿り着く。対象者H1は、荷物を住民に引き渡す。その後、対象者H1は、誘導システム1により行き先を誘導されながら、共用玄関E1に戻り、施設から退出する。
【0019】
対象者H1にとっては、迷うことなく住戸に行くことができるという利点がある。施設の住人(荷物の届け先の住戸の住人を含む)にとっては、対象者H1が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができるという利点がある。すなわち、誘導システム1を利用することで、施設のセキュリティの向上を図ることができる。
【0020】
一般に、配達業者が住戸の前まで侵入可能であると、配達業者が荷物の届け先の住戸以外の場所へ意図的に又は偶発的に立ち入る可能性があり、セキュリティ上、問題となり得る。そのため、一部の集合住宅においては、集合住宅の管理人(コンシェルジュ)が、配達業者に共用玄関E1までしか立ち入ることを許可しない場合がある。一部の国や地域においては、集合住宅の管理人が、配達業者に共用玄関E1までしか立ち入ることを許可しないという運用が主流である。
【0021】
このような集合住宅では、住人がフードデリバリーサービス等の配達業務を発注して荷物を受け取るためには、例えば、配達業者が共用玄関E1に来てから、住人が自ら共用玄関E1に行く必要があった。そのため、配達業者が住戸の前まで荷物を届ける場合と比較して、住人にとっての利便性が損なわれていた。
【0022】
これに対して、集合住宅において、誘導システム1の利用を前提として、配達業者が住戸の前まで立ち入ることを許可すれば、施設のセキュリティを確保しつつ、住人にとっての利便性を高めることができる。
【0023】
(詳細)
(1)全体構成
以下、誘導システム1及び誘導システム1と共に使用される機器について、より詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、誘導システム1と共に使用される機器として、ロビーインターホン3、複数のインターホン親機4、複数のインターホン子機5、情報端末6、複数の通知装置7、玄関カメラC1、複数のカメラC2、開閉部材81、電気錠82及び運搬装置83がある。
【0025】
ロビーインターホン3とインターホン親機4との間、及びインターホン親機4とインターホン子機5との間で、通話のための通信が確立される。集合住宅(施設)への来訪者(対象者H1等)がロビーインターホン3に向かって音声を発し、住戸の住人がインターホン親機4に向かって音声を発することで、ロビーインターホン3とインターホン親機4とを介して来訪者と住戸の住人とが通話することができる。また、来訪者がインターホン子機5に向かって音声を発し、住戸の住人がインターホン親機4に向かって音声を発することで、インターホン子機5とインターホン親機4とを介して来訪者と住戸の住人とが通話することができる。
【0026】
(2)誘導システム
本実施形態の誘導システム1は、ロビーインターホン3とインターホン親機4との間の通信を仲介するインターホン管理端末を兼ねている。誘導システム1は、例えば、施設の管理人室に設置される。
【0027】
誘導システム1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、誘導システム1の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0028】
図1に示すように、誘導システム1は、通信部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、発報部15と、処理部2と、を備える。
【0029】
通信部11は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部11は、通信インタフェース装置を介して、ロビーインターホン3、玄関カメラC1、複数のインターホン親機4、複数の通知装置7及び複数のカメラC2等の機器と通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。
【0030】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)等によって構成される。記憶部12は、情報を記憶する。記憶部12は、例えば、玄関カメラC1及び複数のカメラC2で生成された画像を記憶する。また、記憶部12は、例えば、誘導システム1のプロセッサで実行されるプログラムを記憶する。
【0031】
操作部13は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部13は、ユーザの操作を受け付ける。ユーザは、操作部13を操作することにより、誘導システム1を制御することができる。
【0032】
表示部14は、ディスプレイを含む。表示部14は、情報を表示する。例えば、表示部14は、玄関カメラC1及び複数のカメラC2で生成された画像を表示する。
【0033】
発報部15は、対象者H1が所定の経路から逸れた場合に発報する。発報部15は、例えば、ブザー又はスピーカを含み、音により発報する。あるいは、発報部15は、例えば、光源を含み、光により発報する。
【0034】
処理部2は、上述の1以上のプロセッサを含む。処理部2は、誘導システム1の全体的な制御を行う。
【0035】
処理部2は、取得部21、捕捉部22、案内部23、警告部24、開閉管理部25、施錠管理部26及び運搬管理部27を含む。なお、これらは、処理部2によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0036】
取得部21は、対象者H1の識別情報を取得する。本実施形態では、識別情報は、対象者H1の顔に関する顔情報を含む。対象者H1が共用玄関E1に来た際に、共用玄関E1に設置された玄関カメラC1が対象者H1の顔を撮影し、撮影画像を生成する。この撮影画像が、顔情報に相当する。誘導システム1の取得部21は、通信部11を介して、玄関カメラC1から顔情報を取得する。
【0037】
このように、本実施形態では顔情報は、集合住宅(施設)の共用玄関E1に設置されたロビーインターホン3を操作する対象者H1を、玄関カメラC1が撮影することで生成される。
【0038】
捕捉部22は、識別情報に基づいて対象者H1の位置を捕捉する。対象者H1の位置を捕捉するとは、対象者H1の位置を示す位置情報を誘導システム1の外部から取得すること、又は、対象者H1の位置を求めることを指す。本実施形態では、捕捉部22は、対象者H1の位置を求める。より詳細には、捕捉部22は、顔情報と、対象者H1を施設に設置されたカメラC2が撮影することで生成された対象者H1の画像と、を照合することで、対象者H1の位置を捕捉する(求める)。
【0039】
捕捉部22は、まず、複数のカメラC2で生成された複数の画像(以下、「監視画像」と呼ぶ)を取得する。より詳細には、捕捉部22は、複数のカメラC2で生成された複数の監視画像を、通信部11を介して取得する。次に、捕捉部22は、顔認識技術により、玄関カメラC1から取得した顔情報(撮影画像)と複数の監視画像とを対比し、いずれかの監視画像に対象者H1が写っているか否かを判断する。捕捉部22は、ある監視画像に対象者H1が写っていると判断すると、当該監視画像を生成したカメラC2の撮影場所に対象者H1がいると判断する。複数のカメラC2のそれぞれの撮影場所を示す情報は、記憶部12に予め記憶されており、捕捉部22は、この情報を参照することで、対象者H1の位置を求める。
【0040】
顔情報を用いることで、位置情報を発信するデバイスを対象者H1が所持していなくても、対象者H1の位置を求めることができる。
【0041】
案内部23は、施設に設置された複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者H1に伝達する。案内情報は、対象者H1に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。例えば、複数の通知装置7における案内情報の出力のオンオフが、案内部23の制御に従って切り替わる。案内部23は、複数の通知装置7のうち、捕捉部22で求められた対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7に案内情報を出力させる。これにより、対象者H1に案内情報が伝達される。対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7は、例えば、所定の経路上に設置された2以上の通知装置7のうち、対象者H1の位置に最も近い通知装置7を含む。あるいは、対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7は、例えば、所定の経路上に設置された2以上の通知装置7のうち、対象者H1の進行方向に設置された通知装置7を含む。
【0042】
通知装置7は、例えば、音声により案内情報を出力する。より具体的な例としては、通知装置7は、「次の分かれ道をまっすぐ進んでください。」又は「次の分かれ道を右に曲がってください。」等の音声を出力し、対象者H1の道案内をする。対象者H1は、道案内に従うことで、所定の経路に沿って移動することができる。
【0043】
本実施形態では、所定の経路は、共用玄関E1と荷物の届け先の住戸とを結ぶ経路である。後述するように、荷物を届けに来た対象者H1は、ロビーインターホン3を操作し、住戸の住人は、インターホン親機4を操作して応答する。インターホン親機4への操作により、対象者H1の目的地(荷物の届け先)が、当該インターホン親機4が設置された住戸に設定される。所定の経路は、共用玄関E1と荷物の届け先の住戸とを結ぶ、予め決まった経路であってもよいし、案内部23により所定のアルゴリズムで決定される経路であってもよい。
【0044】
警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する。警告情報は、対象者H1に警告を示す情報である。例えば、複数の通知装置7における警告情報の出力のオンオフが、警告部24の制御に従って切り替わる。警告部24は、複数の通知装置7のうち、捕捉部22で求められた対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7に警告情報を出力させる。これにより、対象者H1に警告情報が伝達される。対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7は、例えば、所定の経路上に設置された2以上の通知装置7のうち、対象者H1の位置に最も近い通知装置7を含む。あるいは、対象者H1の位置に対応した1以上の通知装置7は、例えば、所定の経路上に設置された2以上の通知装置7のうち、対象者H1の進行方向に設置された通知装置7を含む。
【0045】
通知装置7は、例えば、音(音声を含み得る)により警告情報を出力する。より具体的な例としては、通知装置7は、「目的地への通路はこちらではありません。引き返してください。」又は「この先は立ち入り禁止です。これ以上進むと通報します。」等の音声を出力し、対象者H1が進んでいる経路が誤った経路であることを通知する。
【0046】
また、警告部24は、警告情報を対象者H1に伝達した後、対象者H1が所定の経路に戻らない場合に、所定の通報先へ通報する。一例として、警告部24は、1つのカメラC2で生成された監視画像に基づいて対象者H1が所定の経路から逸れたと判断し、さらに、別の1つのカメラC2で生成された監視画像に基づいて対象者H1が所定の経路から逸れたと判断すると、所定の通報先へ通報する。つまり、一例として、警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れた2つ以上の位置に立ち入ったと判断すると、所定の通報先へ通報する。
【0047】
所定の通報先は、例えば、警備会社及び施設の管理人である。警告部24は、通信部11を介して警備会社へ通報する。また、警告部24は、発報部15により施設の管理人へ通報する。
【0048】
開閉管理部25は、開閉部材81を駆動する。より詳細には、開閉管理部25は、開閉部材81に所定の信号を送信することで、開閉部材81を駆動する。開閉管理部25により駆動される開閉部材81は、例えば、自動ドア、電動ゲート又は電動シャッターである。すなわち、開閉管理部25は、例えば、自動ドア若しくは電動ゲートの開閉、又は、電動シャッターの上げ下げを制御する。
【0049】
施錠管理部26は、開閉部材81を施錠又は解錠する。施錠管理部26により施錠又は解錠される開閉部材81は、例えば、ドア(自動ドアでもよい。)又はシャッター(電動シャッターでもよい。)である。
【0050】
運搬管理部27は、運搬装置83の動作を制御する。運搬装置83は、例えば、エレベーター又はエスカレーターである。
【0051】
(3)ロビーインターホン
ロビーインターホン3は、集合住宅の共用玄関E1に設置されている。
図1に示すように、ロビーインターホン3は、通信部31と、記憶部32と、操作部33と、スピーカ34と、マイクロフォン35と、処理部36と、を備える。
【0052】
通信部31は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部31は、通信インタフェース装置を介して、誘導システム1と通信可能である。
【0053】
記憶部32は、情報を記憶する。記憶部32は、例えば、処理部36で実行されるプログラムを記憶する。
【0054】
操作部33は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部33は、対象者H1等のユーザの操作を受け付ける。対象者H1は、操作部33を操作することで、住戸の住人との通話を開始することができる。
【0055】
スピーカ34は、インターホン親機4に入力された音を出力する。マイクロフォン35は、音の入力を受け付ける。マイクロフォン35に入力された音は、インターホン親機4から出力される。これにより、対象者H1は、ロビーインターホン3及びインターホン親機4を介して、住戸の住人と通話することができる。
【0056】
処理部36は、1以上のプロセッサを含む。処理部36は、ロビーインターホン3の全体的な制御を行う。
【0057】
(4)インターホン親機
複数のインターホン親機4と複数のインターホン子機5とは、一対一で対応している。各インターホン親機4は、対応するインターホン子機5と通信可能である。各住戸の室内には、インターホン親機4が設置されており、各住戸の玄関前には、対応するインターホン子機5が設置されている(
図2参照)。
【0058】
図1に示すように、インターホン親機4は、通信部41と、記憶部42と、操作部43と、表示部44と、スピーカ45と、マイクロフォン46と、処理部47と、を備える。
【0059】
通信部41は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部41は、通信インタフェース装置を介して、誘導システム1、情報端末6及び対応するインターホン子機5と通信可能である。
【0060】
記憶部42は、情報を記憶する。記憶部42は、例えば、処理部47で実行されるプログラムを記憶する。
【0061】
操作部43は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部43は、住戸の住人等のユーザの操作を受け付ける。
【0062】
表示部44は、ディスプレイを含む。表示部44は、情報を表示する。例えば、表示部44は、玄関カメラC1及びインターホン子機5の撮影部56で生成された画像を表示する。
【0063】
スピーカ45は、ロビーインターホン3又はインターホン子機5に入力された音を出力する。マイクロフォン46は、音の入力を受け付ける。マイクロフォン46に入力された音は、ロビーインターホン3又はインターホン子機5から出力される。これにより、住戸の住人は、ロビーインターホン3又はインターホン子機5とインターホン親機4とを介して、対象者H1と通話することができる。
【0064】
処理部47は、1以上のプロセッサを含む。処理部47は、インターホン親機4の全体的な制御を行う。
【0065】
(5)インターホン子機
図1に示すように、インターホン子機5は、通信部51と、記憶部52と、操作部53と、スピーカ54と、マイクロフォン55と、撮影部56と、処理部57と、を備える。
【0066】
通信部51は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部51は、通信インタフェース装置を介して、対応するインターホン親機4と通信可能である。
【0067】
記憶部52は、情報を記憶する。記憶部52は、例えば、処理部57で実行されるプログラムを記憶する。
【0068】
操作部53は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部53は、対象者H1等のユーザの操作を受け付ける。
【0069】
スピーカ54は、インターホン親機4に入力された音を出力する。マイクロフォン55は、音の入力を受け付ける。マイクロフォン55に入力された音は、インターホン親機4から出力される。これにより、対象者H1は、インターホン子機5とインターホン親機4とを介して、住戸の住人と通話することができる。
【0070】
撮影部56は、周囲を撮影する。撮影部56は、撮像素子を含む。撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサである。
【0071】
処理部57は、1以上のプロセッサを含む。処理部57は、インターホン子機5の全体的な制御を行う。
【0072】
(6)情報端末
住戸の住人は、情報端末6を所持する。情報端末6は、例えば、携帯電話、タブレット端末又はウェアラブル端末等の携帯端末である。住戸の住人は、情報端末6と自室のインターホン親機4とを予め紐付けておく。情報端末6は、紐付けされたインターホン親機4と通信可能である。
【0073】
図1に示すように、情報端末6は、通信部61と、記憶部62と、操作部63と、表示部64と、処理部65と、を備える。
【0074】
通信部61は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部61は、通信インタフェース装置を介して、紐付けされたインターホン親機4と通信可能である。
【0075】
記憶部62は、情報を記憶する。記憶部62は、例えば、インターホン親機4のアドレスを記憶する。また、記憶部62は、例えば、処理部65で実行されるプログラムを記憶する。
【0076】
操作部63は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部63は、住戸の住人等のユーザの操作を受け付ける。
【0077】
表示部64は、ディスプレイを含む。表示部64は、情報を表示する。例えば、玄関カメラC1で生成された画像が、誘導システム1及びインターホン親機4を介して通信部61で受信され、表示部64は、当該画像を表示する。
【0078】
処理部65は、1以上のプロセッサを含む。処理部65は、情報端末6の全体的な制御を行う。
【0079】
(7)通知装置
複数の通知装置7は、集合住宅(施設)に設置されている。より詳細には、
図2に示すように、複数の通知装置7は、集合住宅の廊下及び階段等の共用スペースに設置されている。
【0080】
図1に示すように、通知装置7は、通信部71と、記憶部72と、操作部73と、表示部74と、スピーカ75と、マイクロフォン76と、処理部77と、を備える。
【0081】
通信部71は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部71は、通信インタフェース装置を介して、誘導システム1と通信可能である。
【0082】
記憶部72は、情報を記憶する。記憶部72は、例えば、施設の地図、及び、通知装置7のアドレスを記憶する。また、記憶部72は、例えば、処理部77で実行されるプログラムを記憶する。
【0083】
操作部73は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部73は、対象者H1及び住戸の住人等のユーザの操作を受け付ける。また、操作部73は、静電容量センサ等を備えて非接触で操作可能な構成であってもよい。
【0084】
表示部74は、ディスプレイを含む。表示部74は、情報を表示する。例えば、表示部74は、施設の地図を表示する。このように、複数の通知装置7のうち少なくとも1つの通知装置7は、施設の地図を表示する表示部74を有する。
【0085】
スピーカ75は、音を出力する。スピーカ75は、例えば、操作部73への操作に応じて、音を出力することで、ユーザに情報を提供する。また、スピーカ75は、誘導システム1による制御に応じて、案内情報及び警告情報等を出力する。
【0086】
マイクロフォン76は、周囲の音を収音する。収音とは、音を電気信号として捉えることである。
【0087】
処理部77は、1以上のプロセッサを含む。処理部77は、通知装置7の全体的な制御を行う。
【0088】
(8)玄関カメラ及び複数のカメラ
玄関カメラC1は、集合住宅(施設)の共用玄関E1に設置される。玄関カメラC1は、ロビーインターホン3を操作する者(対象者H1等)を撮影する。本実施形態では、
図2に示すように、玄関カメラC1は、ロビーインターホン3と一体に設けられている。
【0089】
複数のカメラC2は、集合住宅(施設)に設置されている。より詳細には、
図2に示すように、複数のカメラC2は、集合住宅の廊下及び階段等の共用スペースに設置されている。複数のカメラC2は、周囲を撮影する。一例として、複数のカメラC2は、複数の通知装置7と一対一で対応しており、各カメラC2は、対応する通知装置7の近傍に設置されている。
【0090】
玄関カメラC1及び複数のカメラC2はそれぞれ、撮像素子を含む。撮像素子は、例えばCCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサ等の二次元イメージセンサである。
【0091】
玄関カメラC1及び複数のカメラC2でそれぞれ生成される画像は、静止画像であってもよいし、動画であってもよい。また、上記画像は、モノクローム画像であってもよいし、カラー画像であってもよい。
【0092】
(9)開閉部材及び電気錠
施設には、1つ以上の開閉部材81が設置される。より詳細には、開閉部材81は、施設の共用スペースに設置される。開閉部材81は、例えば、ドア、電動ゲート又はシャッターである。また、開閉部材81には、電気錠82が取り付けられていてもよい。電気錠82は、誘導システム1の施錠管理部26から送信される信号に応じて、開閉部材81を施錠又は解錠する。
【0093】
(10)運搬装置
施設には、運搬装置83が設置される。運搬装置83は、例えば、エレベーター又はエスカレーターである。
【0094】
(11)誘導システムの使用例
次に、誘導システム1の使用例について、
図3、
図4を参照して説明する。なお、
図3、
図4に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0095】
上述の通り、本実施形態の対象者H1は、配達業者である。荷物を持って集合住宅を訪れた対象者H1は、まず、荷物の届け先の住戸の住人を呼び出す(ステップST1)。より詳細には、対象者H1は、ロビーインターホン3の操作部33を操作して、荷物の届け先の住戸の住戸番号を指定する。すると、ロビーインターホン3は、指定された住戸番号の情報を含む信号を誘導システム1へ送信する。誘導システム1は、当該住戸番号を有する住戸のインターホン親機4へ、呼出信号を送信する。呼出信号は、インターホン親機4の識別情報を含む。インターホン親機4は、呼出信号に含まれる識別情報が自機の識別情報と一致していると判定すると、呼出信号が自機に宛てられた信号であると認証する。インターホン親機4が呼出信号を受信すると、インターホン親機4は、例えば音により住人を呼び出す。住人がインターホン親機4の操作部43に第1の操作を行うと(ステップST2:Yes)、インターホン親機4は、ロビーインターホン3との間で、通話のための通信を確立させる。これにより、対象者H1と住人とが通話することができる(ステップST3)。
【0096】
次に、住人は、インターホン親機4の操作部43に第2の操作(撮影操作)を行う(ステップST4:Yes)。すると、インターホン親機4は、玄関カメラC1へ撮影開始信号を送信する。玄関カメラC1は、撮影開始信号を受信すると、撮影を開始する(ステップST5)。これにより、玄関カメラC1は、対象者H1の顔を撮影し、撮影画像を生成する。玄関カメラC1は、撮影画像を誘導システム1へ送信する。
【0097】
撮影画像は、顔情報に相当する。誘導システム1の捕捉部22は、顔情報と、ステップST1で呼び出しを受けた住戸の住戸情報(ここでは、住戸番号)とを紐付ける(ステップST6)。誘導システム1の記憶部12は、顔情報と住戸番号との紐付けの関係を記憶する。
【0098】
ロビーインターホン3又はインターホン親機4に対して、通話を終了するための操作がなされると(ステップST7:Yes)、ロビーインターホン3とインターホン親機4との間の通信が遮断され、対象者H1と住人とは通話を終了する(ステップST8)。また、住人がインターホン親機4に第3の操作をすることで、共用玄関E1のドア(
図2の開閉部材81)が解錠される(ステップST9)ので、対象者H1はドアを通り、届け先の住戸に向けて移動する。
【0099】
ここで、誘導システム1は、誘導処理を開始する(ステップST10)。例えば、住人がインターホン親機4に第3の操作をすることをトリガとして、誘導システム1が誘導処理を開始する。誘導処理が終了すると、誘導システム1は、対象者H1の個人情報を削除する(ステップST11)。ステップST11で削除される個人情報は、例えば、玄関カメラC1及び複数のカメラC2で生成された、対象者H1が写っている画像(顔情報を含む)である。以上により、一連の処理が終了する。
【0100】
図4に、誘導処理の詳細を示す。誘導システム1の案内部23は、所定の経路を設定し、複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者H1に伝達する(ステップST21)。より詳細には、所定の経路上に設置された通知装置7が、対象者H1の位置に応じて、音声により対象者H1を案内する。また、所定の経路上に設置された通知装置7は、表示部74に施設の地図を表示する。表示部74には、地図に重畳して、所定の経路を示す曲線、現在地を示す記号、及び、目的地(荷物の届け先)を示す記号等が表示されてもよい。
【0101】
複数のカメラC2はそれぞれ、周囲を撮影する(ステップST22)。複数のカメラC2は、常時、周囲を撮影していてもよいし、誘導システム1が誘導処理を実行している間にのみ周囲を撮影してもよい。複数のカメラC2の各々は、周囲を撮影することで、監視画像を生成する。
【0102】
誘導システム1の捕捉部22は、対象者H1の顔情報と、複数のカメラC2の各々で生成された監視画像と、を照合することで、対象者H1の位置を捕捉する(ステップST23)。警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れたと判断すると(ステップST24:Yes)、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する(ステップST25)。
【0103】
例えば、
図2では、対象者H1の進行方向に3つの通路R1~R3が存在する。通路R1には通知装置701とカメラC21とが設置され、通路R2には通知装置702とカメラC22とが設置され、通路R3には通知装置703とカメラC23とが設置されている。
【0104】
ここで、荷物の届け先の住戸が、通路R1の先にあると仮定する。つまり、所定の経路は、通路R1を含み、通路R2、R3を含まないとする。誘導システム1の案内部23は、通路R1に設置された通知装置701のスピーカ75に、案内情報を伝達させる。また、カメラC22が対象者H1を撮影すると、警告部24は、対象者H1が通路R2に侵入したと判断し、通知装置702のスピーカ75に、警告情報を伝達させる。また、カメラC23が対象者H1を撮影すると、警告部24は、対象者H1が通路R3に侵入したと判断し、通知装置703のスピーカ75に、警告情報を伝達させる。
【0105】
ステップST25で通知装置7が警告情報を伝達した後、対象者H1が所定の経路に復帰しなかった場合(ステップST26:No)、警告部24は、所定の通報先へ通報する(ステップST35)。
【0106】
ステップST25で通知装置7が警告情報を伝達した後、対象者H1が所定の経路に復帰すると(ステップST26:Yes)、ステップST27へ進む。また、ステップST24において、対象者H1が所定の経路から逸れていないと警告部24が判断した場合も(ステップST24:No)、ステップST27へ進む。
【0107】
ステップST27では、捕捉部22は、対象者H1が目標の住戸、すなわち、荷物の届け先の住戸に到着したか否かを判定する。一例として、捕捉部22は、目標の住戸の最寄りのカメラC2で対象者H1が撮影されると、対象者H1が目標の住戸に到着したと判定する。別の一例として、捕捉部22は、目標の住戸のインターホン子機5の操作部53が操作され、このインターホン子機5の撮影部56で対象者H1が撮影され、対象者H1の顔が認証されると、対象者H1が目標の住戸に到着したと判定する。対象者H1が目標の住戸に到着するか、ステップST35において警告部24が通報するまで、ステップST21~ST27が継続される。
【0108】
対象者H1は、目標の住戸に到着すると(ステップST27:Yes)、荷物を住人に引き渡す。より詳細には、まず対象者H1は、インターホン子機5の操作部53に所定の操作をする。すると、インターホン子機5は、インターホン親機4に呼出信号を送信する。インターホン親機4が呼出信号を受信すると、インターホン親機4は、例えば音により住人を呼び出す。住人がインターホン親機4の操作部43に第1の操作を行うと、インターホン親機4は、インターホン子機5との間で、通話のための通信を確立させる。これにより、対象者H1と住人とが通話することができる。その後、住人は、住戸の玄関ドアを開けて荷物を受け取る。
【0109】
次に、対象者H1を施設から退出させるために、誘導システム1が対象者H1を案内する。より詳細には、対象者H1が目標の住戸に到着したと捕捉部22が判定すると、誘導システム1に登録された目的地が、共用玄関E1に変更される。誘導システム1は、目標の住戸から共用玄関E1までの所定の経路に沿って対象者H1が移動するように案内をする。このときの所定の経路は、共用玄関E1から目標の住戸までの経路と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
【0110】
ステップST28~ST34は、対象者H1が目標の住戸から共用玄関E1へ移動するまでの誘導システム1の処理であり、ステップST21~ST27と同様の処理である。
【0111】
まず、案内部23は、複数の通知装置7を制御して、案内情報を対象者H1に伝達する(ステップST28)。複数のカメラC2はそれぞれ、周囲を撮影し、監視画像を生成する(ステップST29)。捕捉部22は、対象者H1の顔情報と、複数のカメラC2の各々で生成された監視画像と、を照合することで、対象者H1の位置を捕捉する(ステップST30)。警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れたと判断すると(ステップST31:Yes)、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する(ステップST32)。
【0112】
ステップST32で通知装置7が警告情報を伝達した後、対象者H1が所定の経路に復帰しなかった場合(ステップST33:No)、警告部24は、所定の通報先へ通報する(ステップST35)。
【0113】
ステップST32で通知装置7が警告情報を伝達した後、対象者H1が所定の経路に復帰すると(ステップST33:Yes)、ステップST34へ進む。また、ステップST31において、対象者H1が所定の経路から逸れていないと警告部24が判断した場合も(ステップST31:No)、ステップST34へ進む。
【0114】
ステップST34では、捕捉部22は、対象者H1が共用玄関E1に到着したか否かを判定する。一例として、捕捉部22は、共用玄関E1の最寄りのカメラC2で対象者H1が撮影されると、対象者H1が目標の住戸に到着したと判定する。対象者H1が共用玄関E1に到着するか、ステップST35において警告部24が所定の通報先へ通報するまで、ステップST28~ST34が継続される。
【0115】
(12)開閉部材、電気錠及び運搬装置の管理
誘導処理において、捕捉部22で捕捉された対象者H1の位置に応じて、誘導システム1は、ドア、シャッター又は電動ゲート等の開閉部材81を動作させたり、開閉部材81を施錠又は解錠したり、運搬装置83の動作を制御したりしてもよい。
【0116】
図1に示すように、誘導システム1は、開閉管理部25と、施錠管理部26と、のうち少なくとも一方(
図1では両方)を備え、開閉管理部25は、対象者H1の位置に応じて、施設において人が通る開口部810に設けられた開閉部材81を駆動して開口部810を開閉する。例えば、開閉部材81が自動ドアである場合、開口部810の周縁はドア枠に相当する。開閉部材81が自動ドア、電動シャッター又は電動ゲートである場合、開閉管理部25は、開閉部材81を駆動するモータの動作を制御することで、開閉部材81を、開口部810を開放する位置と、開口部810を塞ぐ位置と、の間で移動させる。
【0117】
施錠管理部26は、対象者H1の位置に応じて、開閉部材81を施錠又は解錠する。より詳細には、施錠管理部26は、開閉部材81に取り付けられた電気錠82を駆動することで、開閉部材81を施錠又は解錠する。
【0118】
例えば、施設には複数の開閉部材81が設けられており、開閉管理部25は、対象者H1が移動するための所定の経路上に設けられた開閉部材81を、開口部810を開放する位置へ移動させる。一方で、開閉管理部25は、所定の経路の外に設けられた開閉部材81を、開口部810を塞ぐ位置に移動させる。また、例えば、施錠管理部26は、所定の経路上に設けられた開閉部材81を解錠し、所定の経路の外に設けられた開閉部材81を施錠する。
【0119】
図1に示すように、誘導システム1は、運搬管理部27を備え、運搬管理部27は、対象者H1の位置に応じて、運搬装置83の動作を制御する。運搬装置83は、施設に設置される。運搬装置83は、対象者H1を運搬する。例えば、運搬装置83がエレベーターである場合、対象者H1がエレベーターに乗ると、運搬管理部27は、エレベーターを制御するコントローラに信号を送信することで、エレベーターの行き先階を制限する。例えば、共用玄関E1が1階にあり、対象者H1の行き先(目標の住戸)が3階にある場合、運搬管理部27は、エレベーターによる3階よりも上の階への移動を禁止する、あるいは、エレベーターによる1階及び3階以外の階への移動を禁止する。対象者H1がエレベーターに乗ったか否かは、捕捉部22により判断される。捕捉部22は、対象者H1がエレベーターに乗ったか否かを、例えば、エレベーターの乗りかごに設置されたカメラC2、又は、エレベーターの乗り場付近に設置されたカメラC2で撮影された監視画像から判断する。
【0120】
(実施形態1の変形例1)
以下、実施形態1の変形例1に係る誘導システム1について、
図1を参照して説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
本変形例1の誘導システム1は、住人の不在時に対象者H1が置き配をすることを可能にするシステムである。
【0122】
実施形態1では、ロビーインターホン3の操作部33が操作されると、ロビーインターホン3はインターホン親機4へ呼出信号を送信し、インターホン親機4が住人を呼び出す。その後、インターホン親機4に対する住人の操作に応じて、玄関カメラC1が対象者H1を撮影し、誘導システム1が誘導処理を開始する。
【0123】
本変形例1では、ロビーインターホン3の操作部33が操作されると、情報端末6に通知がなされる。例えば、インターホン親機4は、呼出信号を受信すると、インターホン親機4から音を発して住人を呼び出すことと、インターホン親機4に紐付けられた情報端末6に通知することと、を行う。
【0124】
情報端末6は、例えば、住人が携帯可能な携帯端末である。そのため、住人は、外出中であっても、通知を受け取ることができる。
【0125】
情報端末6が通知を受け取った後、住人が操作部63に所定の操作をすると、対象者H1の入場の許可を示す許可信号がインターホン親機4に送信される。インターホン親機4は、許可信号を誘導システム1を経由して玄関カメラC1に送信する。玄関カメラC1は、許可信号を受信すると、対象者H1を撮影する。その後、誘導システム1は、共用玄関E1のドア(
図2の開閉部材81)を解錠する。
【0126】
この後の処理は、実施形態1の誘導処理(
図4参照)と同様である。誘導システム1により、対象者H1は、所定の経路に沿って目標の住戸まで案内される。対象者H1は、目標の住戸に到着すると、住戸の入り口付近に荷物を置く。その後、誘導システム1により、対象者H1は、所定の経路に沿って共用玄関E1まで案内される。
【0127】
(実施形態1の変形例2)
以下、実施形態1の変形例2に係る誘導システム1について、
図1を参照して説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0128】
本変形例2では、対象者H1の識別情報は、対象者H1が発する音に関する音情報を含む。捕捉部22は、音情報と、施設に設置されたマイクロフォン76で収音された音と、を照合することで、対象者H1の位置を捕捉する。
【0129】
本変形例2では、対象者H1が発する音を収音するマイクロフォン76は、通知装置7に備えられている。ただし、マイクロフォン76が通知装置7とは別体に設置されていてもよい。
【0130】
対象者H1が発する音は、例えば、対象者H1の声、又は、足音である。対象者H1が発する音は、まず、共用玄関E1においてマイクロフォン35で収音されて、誘導システム1の記憶部12に電気信号として記憶される。例えば、対象者H1が操作するロビーインターホン3と、住人が操作するインターホン親機4との間で通話のための通信が確立されているときに、住人がインターホン親機4の操作部43に所定の操作をすることで、記憶部12は、対象者H1が発する音の記録を開始する。記憶部12に記憶された音が、音情報に相当する。
【0131】
捕捉部22は、記憶部12に記憶された音と、マイクロフォン76で収音された音と、を照合することで、対象者H1の位置を捕捉する。捕捉部22は、複数のマイクロフォン76のうちあるマイクロフォン76で収音された音について、記憶された音との一致率が閾値より高いと判断すると、当該マイクロフォン76の付近に対象者H1がいると判断する。各マイクロフォン76の設置場所を示す情報は、記憶部12に予め記憶されており、捕捉部22は、記憶部12に記憶された情報を参照することで、対象者H1の位置を求める。
【0132】
(実施形態1の変形例3)
以下、実施形態1の変形例3に係る誘導システム1について、
図5を参照して説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
本変形例3の誘導システム1は、携帯端末9と共に用いられる。携帯端末9は、対象者H1に携帯される。携帯端末9は、例えば、携帯電話、タブレット端末又はウェアラブル端末等である。携帯端末9は、対象者H1の位置を求めるために使用される。
【0134】
対象者H1は、施設に来る前又は施設に来てから、携帯端末9を誘導システム1に登録する。例えば、携帯端末9の端末情報が誘導システム1の記憶部12に記憶されることで、携帯端末9が登録される。端末情報は、携帯端末9を区別するための情報である。端末情報は、例えば、携帯端末9の製造時に設定された識別番号である。あるいは、携帯端末9は、例えば、誘導システム1により割り振られた識別番号である。
【0135】
図5に示すように、携帯端末9は、通信部91と、記憶部92と、操作部93と、表示部94と、スピーカ95と、測位部96と、処理部97と、を備える。
【0136】
通信部91は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部91は、通信インタフェース装置を介して、誘導システム1と通信可能である。
【0137】
記憶部92は、情報を記憶する。記憶部92は、例えば、端末情報を記憶する。また、記憶部92は、例えば、処理部97で実行されるプログラムを記憶する。
【0138】
操作部93は、例えば、釦、タッチパネル及びタッチパネルディスプレイのうち少なくとも1つを有する。操作部93は、対象者H1等のユーザの操作を受け付ける。
【0139】
表示部94は、ディスプレイを含む。表示部94は、情報を表示する。
【0140】
スピーカ95は、音を出力する。スピーカ95は、例えば、操作部93への操作に応じて、音を出力することで、対象者H1に情報を提供する。また、スピーカ95は、誘導システム1から送信された案内情報及び警告情報等を出力する。
【0141】
測位部96は、携帯端末9の位置を求める。本変形例3では測位部96は、ビーコン信号を用いて携帯端末9の位置を求める。より詳細には、施設には位置が既知の複数のビーコンが設置されており、測位部96は、複数のビーコンからビーコン信号を受信することで、携帯端末9と複数のビーコンの各々との間の距離を求め、3点測位により携帯端末9の位置を求める。別の一例として、測位部96は、複数のビーコンからビーコン信号を受信することで、携帯端末9と複数のビーコンの各々との間の距離を求め、最寄りのビーコンの位置を、携帯端末9の位置としてもよい。更に別の一例として、測位部96は、GPS(Global Positioning System)を用いて携帯端末9の位置を求めてもよい。
【0142】
処理部97は、1以上のプロセッサを含む。処理部97は、携帯端末9の全体的な制御を行う。
【0143】
取得部21で取得される識別情報は、対象者H1が所持する携帯端末9を区別するための端末情報を含む。捕捉部22は、携帯端末9から出力される信号に基づいて、対象者H1の位置を捕捉する。より詳細には、携帯端末9は、端末情報と、測位部96で求められた携帯端末9の位置に関する情報と、を誘導システム1に送信する。これにより、捕捉部22は、携帯端末9の位置、つまり、携帯端末9を所持する対象者H1の位置を捕捉する。
【0144】
(実施形態1の変形例4)
以下、実施形態1の変形例4に係る誘導システム1について、
図5を参照して説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0145】
本変形例4では、対象者H1の顔情報は、誘導システム1の記憶部12に予め記憶されている。よって、対象者H1の顔を玄関カメラC1で撮影する作業を省略することができる。また、対象者H1が所持する携帯端末9の端末情報は、記憶部12に予め記憶されている。
【0146】
対象者H1は、ロビーインターホン3を操作することに代えて、携帯端末9を操作することにより、対象者H1が施設に来たことを住人に通知する。すなわち、携帯端末9の操作部93に所定の操作がされると、携帯端末9は、住人が所持する情報端末6に通知する。情報端末6が通知を受け取った後、住人が操作部63に所定の操作をすると、対象者H1の入場の許可を示す許可信号が、誘導システム1に送信される。許可信号は、携帯端末9の端末情報と、住人が住む住戸の住戸情報と、を含む。誘導システム1は、記憶部12に記憶された対象者H1の顔情報を、住戸情報と紐付ける。これにより、施設において、顔情報に基づいた対象者H1の追跡が可能となる。
【0147】
なお、携帯端末9は、誘導システム1を介してインターホン親機4へ、対象者H1が施設に来たことを通知してもよい。インターホン親機4が通知を受け取った後、住人が操作部43に所定の操作をすると、対象者H1の入場の許可を示す許可信号が、誘導システム1に送信される。許可信号は、携帯端末9の端末情報と、住人が住む住戸の住戸情報と、を含む。誘導システム1は、記憶部12に記憶された対象者H1の顔情報を、住戸情報と紐付ける。これにより、施設において、顔情報に基づいた対象者H1の追跡が可能となる。
【0148】
(実施形態1のその他の変形例)
以下、実施形態1のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0149】
誘導システム1が、ロビーインターホン3とインターホン親機4との間の通信を仲介するインターホン管理端末を兼ねていることは、必須ではない。誘導システム1は、インターホン管理端末としての機能を有していなくてもよい。
【0150】
インターホン親機4は、通話機能に加えて、他の機能を備えていてもよい。例えば、インターホン親機4は、住戸に設置された照明器具の調光制御、空調機器の動作の制御、音響機器の制御、災害の報知、接続された電気機器への電力供給、及び、各種情報(集合住宅の管理人からの通知等)の表示等を行ってもよい。
【0151】
インターホン子機5の撮影部56が、対象者H1の位置を追跡するためのカメラC2として用いられてもよい。
【0152】
記憶部12は、案内情報の出力ログ、警告情報の出力ログ、及び、通報のログのうち少なくとも1つを記憶してもよい。
【0153】
誘導処理の終了後に、対象者H1の個人情報(顔情報等)を削除することは、必須ではない。
【0154】
対象者H1が所定の経路を逸れた際に警告部24が通報する条件は、適宜変更されてもよい。例えば、警告部24は、所定の回数以上連続して、対象者H1が所定の経路を逸れていると捕捉部22で判断されると通報してもよい。あるいは、警告部24は、所定の時間以上継続して、対象者H1が所定の経路を逸れていると捕捉部22で判断されると通報してもよい。
【0155】
対象者H1が共用玄関E1のドアを通行してよいか否かを、住人ではなく、集合住宅の管理人が判断してもよい。管理人は、例えば、共用玄関E1に待機しており、対象者H1は管理人と直接会話することができる。あるいは、対象者H1がロビーインターホン3の操作部33を操作することで、ロビーインターホン3と管理人室に設置されたインターホン装置との間で通信が確立され、対象者H1は管理人と通話できるようになる。管理人は、対象者H1の身元確認等を行い、対象者H1が共用玄関E1のドアを通行してよいか否かを判断する。管理人は、対象者H1が共用玄関E1のドアを通行してよいと判断すると、管理人室に設置されたインターホン装置を操作して、玄関カメラC1により対象者H1の顔を撮影し、かつ、共用玄関E1のドアを解錠する。また、これにより、誘導システム1が誘導処理を開始する。
【0156】
本開示における誘導システム1又は誘導方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。例えば、処理部2、36、47、57、65、77、97がそれぞれコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における誘導システム1又は誘導方法の実行主体としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0157】
また、誘導システム1における複数の機能が、1つの装置に集約されていることは誘導システム1に必須の構成ではなく、誘導システム1の複数の構成要素は、複数の装置に分散して設けられていてもよい。さらに、誘導システム1の少なくとも一部の機能がサーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0158】
また、誘導システム1以外の構成についても、複数の構成要素が複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、玄関カメラC1とロビーインターホン3とが別体に設けられていてもよい。
【0159】
反対に、実施形態において、複数の装置に分散されている複数の構成要素が、1つの装置に集約されていてもよい。例えば、カメラC2と通知装置7とが、1つの装置に集約されていてもよい。
【0160】
また、誘導システム1は、複数の通知装置7のうち少なくとも1つを更に備えていてもよい。
【0161】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る誘導システム1について、
図6を参照して説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0162】
(概要)
本実施形態では、実施形態1とは別の一例として、「施設」が集合住宅であって、対象者H1が集合住宅の利用者である場合について、説明する。
【0163】
本実施形態の集合住宅は、共用設備を備えている。当該集合住宅の住人は、共用設備を利用する権限を有する。また、住人以外の者が、共用設備を利用する権限を有している場合がある。本実施形態では、誘導システム1により誘導される対象者H1が、住人以外の者であって、共用設備を利用する権限を有する者である場合を例に説明する。
【0164】
例えば、同一又は同系列の企業がデベロッパーを務める複数の集合住宅に関して、各集合住宅の住人は、自らが居住する集合住宅以外の集合住宅の共用設備を利用する権限を有する場合があり、この場合の上記住人が、対象者H1に該当する。また、例えば、集合住宅への来訪者が、共用設備の管理者に予め登録手続きを行う等により、集合住宅の共用設備を利用する権限を有する場合があり、この場合の上記来訪者が、対象者H1に該当する。
【0165】
共用設備の一例は、キッチン、ランドリースペース、会議室、ラウンジ、ゲストルーム、フォトスタジオ、キッズルーム、遊戯施設、スポーツジム、及び、フィットネススタジオ等である。
【0166】
誘導システム1を利用することで、対象者H1は一例として、次のように集合住宅の共用設備を利用することができる。対象者H1は、予め共用設備の利用予約を行う。その後、対象者H1は、集合住宅の共用玄関E1を訪れる。誘導システム1は、対象者H1を認証すると、対象者H1が共用設備に行くことを許可する。対象者H1は、誘導システム1により行き先を誘導されながら、共用設備に辿り着く。対象者H1は、共用設備を利用する。対象者H1は、共用設備を利用し終えると、誘導システム1により行き先を誘導されながら、共用玄関E1に戻り、施設から退出する。
【0167】
対象者H1にとっては、迷うことなく共用設備まで行くことができるという利点がある。施設の住人にとっては、対象者H1が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができるという利点がある。すなわち、誘導システム1を利用することで、施設のセキュリティの向上を図ることができる。
【0168】
(詳細)
本実施形態の誘導システム1の構成は、実施形態1と同様である。本実施形態の誘導システム1の使用例について、
図6を参照して説明する。なお、
図6に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0169】
対象者H1は、まず、自らの個人情報等の必要事項を誘導システム1に登録する(ステップST41)。対象者H1は、例えば、携帯端末9(
図5参照)にインストールされたアプリケーションを起動して、必要事項を入力する。携帯端末9は、入力された情報を誘導システム1に送信する。誘導システム1の記憶部12は、携帯端末9から受信した情報を記憶する。
【0170】
次に、対象者H1は、施設の利用予約をする(ステップST42)。対象者H1は、例えば、上記アプリケーションを通じて利用予約をする。誘導システム1は、利用予約を受け付けると、記憶部12に予約情報を記憶する。予約情報は、例えば、対象者H1が所持する携帯端末9の端末情報と、対象者H1が使用する共用設備の名称と、対象者H1が共用設備を利用する予定の日時と、を含む。
【0171】
対象者H1は、予約した日時に、施設を訪問する(ステップST43)。誘導システム1は、対象者H1の認証を試みる(ステップST44)。例えば、玄関カメラC1の付近に、携帯端末9を読み取るための読取装置が設置されており、対象者H1は、携帯端末9を読取装置にかざす。これにより、携帯端末9の端末情報が読取装置で読み取られる。読取装置は、携帯端末9の端末情報を誘導システム1へ送信する。誘導システム1は、端末情報が記憶部12に事前に記憶された端末情報と一致し、かつ、現在の日時が対象者H1が共用設備を利用する予定の日時である場合は、認証に成功する(ステップST45:Yes)。
【0172】
認証に成功すると、玄関カメラC1は、対象者H1の顔を撮影し、撮影画像を生成する(ステップST46)。玄関カメラC1は、撮影画像を誘導システム1へ送信する。
【0173】
誘導システム1は、顔情報(撮影画像)と、対象者H1が利用する予定の共用設備とを紐付ける(ステップST47)。誘導システム1の記憶部12は、顔情報と共用設備との紐付けの関係を記憶する。
【0174】
次に、誘導システム1は、共用玄関E1のドア(
図2の開閉部材81)を解錠する(ステップST48)。対象者H1はドアを通り、共用設備に向けて移動する。
【0175】
ここで、誘導システム1は、誘導処理を開始する(ステップST49)。例えば、顔情報(撮影画像)と、対象者H1が利用する予定の共用設備との紐付けの完了をトリガとして、誘導システム1が誘導処理を開始する。誘導処理が終了すると、誘導システム1は、対象者H1の個人情報を削除する(ステップST50)。ステップST50で削除される個人情報は、例えば、玄関カメラC1及び複数のカメラC2で生成された、対象者H1が写っている画像(顔情報を含む)である。以上により、一連の処理が終了する。
【0176】
誘導処理の詳細は、実施形態1と同様である。すなわち、案内部23は、複数の通知装置7を制御して、共用玄関E1から共用設備までの所定の経路を案内する案内情報を対象者H1に伝達する。警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れたと判断すると、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する。
【0177】
また、共用設備が設けられた部屋の入り口に、開閉部材81(ドア)が設けられていてもよい。そして、開閉管理部25は、対象者H1が近づくと、開閉部材81を解錠してもよい。
【0178】
対象者H1が共用設備の利用を終えて施設から退出しようとする際にも、同様に、案内部23は、複数の通知装置7を制御して、共用設備から共用玄関E1までの所定の経路を案内する案内情報を対象者H1に伝達する。警告部24は、対象者H1が所定の経路から逸れたと判断すると、複数の通知装置7を制御して、警告情報を対象者H1に伝達する。
【0179】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0180】
第1の態様に係る誘導システム(1)は、施設にいる対象者(H1)を誘導する。誘導システム(1)は、取得部(21)と、捕捉部(22)と、案内部(23)と、警告部(24)と、を備える。取得部(21)は、対象者(H1)の識別情報を取得する。捕捉部(22)は、識別情報に基づいて対象者(H1)の位置を捕捉する。案内部(23)は、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置(7)を制御して、案内情報を対象者(H1)に伝達する。複数の通知装置(7)は、施設に設置されている。案内情報は、対象者(H1)に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。警告部(24)は、対象者(H1)が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置(7)を制御して、警告情報を対象者(H1)に伝達する。警告情報は、対象者(H1)に警告を示す情報である。
【0181】
上記の構成によれば、案内情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が迷わないように対象者(H1)を案内することができる。さらに、対象者(H1)が所定の経路から逸れた場合に警告情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができる。
【0182】
また、第2の態様に係る誘導システム(1)では、第1の態様において、識別情報は、対象者(H1)の顔に関する顔情報を含む。捕捉部(22)は、顔情報と、対象者(H1)を施設に設置されたカメラ(C2)が撮影することで生成された対象者(H1)の画像と、を照合することで、対象者(H1)の位置を捕捉する。
【0183】
上記の構成によれば、捕捉部(22)は、対象者(H1)の位置を容易に捕捉できる。
【0184】
また、第3の態様に係る誘導システム(1)では、第2の態様において、施設は、集合住宅である。顔情報は、集合住宅の共用玄関(E1)に設置されたロビーインターホン(3)を操作する対象者(H1)を共用玄関(E1)に設置された玄関カメラ(C1)が撮影することで生成される。
【0185】
上記の構成によれば、玄関カメラ(C1)により、対象者(H1)の顔情報を新規に生成することができる。
【0186】
また、第4の態様に係る誘導システム(1)では、第1の態様において、識別情報は、対象者(H1)が発する音に関する音情報を含む。捕捉部(22)は、音情報と、施設に設置されたマイクロフォン(76)で収音された音と、を照合することで、対象者(H1)の位置を捕捉する。
【0187】
上記の構成によれば、捕捉部(22)は、対象者(H1)の位置を容易に捕捉できる。
【0188】
また、第5の態様に係る誘導システム(1)では、第1の態様において、識別情報は、対象者(H1)が所持する携帯端末(9)を区別するための端末情報を含む。捕捉部(22)は、携帯端末(9)から出力される信号に基づいて、対象者(H1)の位置を捕捉する。
【0189】
上記の構成によれば、捕捉部(22)は、対象者(H1)の位置を容易に捕捉できる。
【0190】
また、第6の態様に係る誘導システム(1)は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、開閉管理部(25)と、施錠管理部(26)と、のうち少なくとも一方を更に備える。開閉管理部(25)は、対象者(H1)の位置に応じて、施設において人が通る開口部(810)に設けられた開閉部材(81)を駆動して開口部(810)を開閉する。施錠管理部(26)は、対象者(H1)の位置に応じて、開閉部材(81)を施錠又は解錠する。
【0191】
上記の構成によれば、対象者(H1)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を更に低減させることができる。
【0192】
また、第7の態様に係る誘導システム(1)は、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、運搬管理部(27)を更に備える。運搬管理部(27)は、対象者(H1)の位置に応じて、施設に設置され対象者(H1)を運搬する運搬装置(83)の動作を制御する。
【0193】
上記の構成によれば、対象者(H1)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を更に低減させることができる。
【0194】
また、第8の態様に係る誘導システム(1)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、複数の通知装置(7)のうち少なくとも1つの通知装置(7)は、施設の地図を表示する表示部(74)を有する。
【0195】
上記の構成によれば、対象者(H1)は、表示部(74)を見ることで、目的地までの経路を確認することができる。
【0196】
また、第9の態様に係る誘導システム(1)では、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、警告部(24)は、警告情報を対象者(H1)に伝達した後、対象者(H1)が所定の経路に戻らない場合に、所定の通報先へ通報する。
【0197】
上記の構成によれば、施設のセキュリティを高められる。
【0198】
第1の態様以外の構成については、誘導システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0199】
また、第10の態様に係る誘導方法は、施設にいる対象者(H1)を誘導する。誘導方法は、取得ステップと、捕捉ステップと、案内ステップと、警告ステップと、を有する。取得ステップでは、対象者(H1)の識別情報を取得する。捕捉ステップでは、識別情報に基づいて対象者(H1)の位置を捕捉する。案内ステップでは、周囲の人に情報を伝達する複数の通知装置(7)を制御して、案内情報を対象者(H1)に伝達する。複数の通知装置(7)は、施設に設置されている。案内情報は、対象者(H1)に所定の経路に沿った移動を促すための情報である。警告ステップでは、対象者(H1)が所定の経路から逸れた場合に、複数の通知装置(7)を制御して、警告情報を対象者(H1)に伝達する。警告情報は、対象者(H1)に警告を示す情報である。
【0200】
上記の構成によれば、案内情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が迷わないように対象者(H1)を案内することができる。さらに、対象者(H1)が所定の経路から逸れた場合に警告情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができる。
【0201】
また、第11の態様に係るプログラムは、第10の態様に係る誘導方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0202】
上記の構成によれば、案内情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が迷わないように対象者(H1)を案内することができる。さらに、対象者(H1)が所定の経路から逸れた場合に警告情報を対象者(H1)に伝達することで、対象者(H1)が意図的に又は偶発的に、立ち入るべきではない場所に立ち入る可能性を低減させることができる。
【0203】
上記態様に限らず、実施形態に係る誘導システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、誘導方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【符号の説明】
【0204】
1 誘導システム
3 ロビーインターホン
7 通知装置
9 携帯端末
21 取得部
22 捕捉部
23 案内部
24 警告部
25 開閉管理部
26 施錠管理部
27 運搬管理部
74 表示部
76 マイクロフォン
81 開閉部材
810 開口部
83 運搬装置
C1 玄関カメラ
C2 カメラ
E1 共用玄関
H1 対象者