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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151549
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】笠木用照明装置及び照明笠木
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20231005BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231005BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
F21V33/00 200
F21V23/00 160
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061218
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 憲昌
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和彰
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014PB01
(57)【要約】
【課題】凹部のない笠木が用いられた手摺や柵等に取付け可能な笠木用照明装置及び照明笠木を提供する。
【解決手段】笠木用照明装置14は、笠木12の外周面12Bに取付け可能とされ、笠木12と反対側に放光部24Aを有するハウジング24と、ハウジング24内に設けられ、LED取付部24Bに光源となるLED46が放光部24Aに対向して配置されるLEDモジュール26と、ハウジング24の端部に取り付けられ、内部がハウジング24内及び笠木12の内部空間12Aにそれぞれ連通し、LEDモジュール26の配線44をハウジング24内から内部空間12Aへ案内するキャップ30と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
笠木の外周面に取付け可能とされ、前記笠木と反対側に放光部を有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられたLED取付部に、光源となるLEDが前記放光部に対向して配置されるLEDモジュールと、
前記ハウジングの端部に取り付けられ、内部が前記ハウジング内及び前記笠木の内部空間にそれぞれ連通し、前記LEDモジュールの配線を前記ハウジング内から前記内部空間へ案内するキャップと、
を有する笠木用照明装置。
【請求項2】
前記放光部側が開放され、互いに対向する一対の側壁の間に前記LEDモジュールを保持し、前記LED取付部の内面に当接して固定されるモジュールケースを有し、
前記一対の側壁の対向方向において、各々の側壁の外寸が互いに異なり、前記LED取付部の中心が前記放光部の中心に対して偏心し、かつ前記LEDの位置が前記LEDモジュールの中心に対して偏心している、請求項1に記載の笠木用照明装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記笠木の前記外周面に固定され、前記放光部及び前記LED取付部を構成する一方の側縁を有するベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、前記放光部及び前記LED取付部を構成する他方の側縁を有するカバー部と、
を有する、請求項1又は請求項2に記載の笠木用照明装置。
【請求項4】
前記キャップは、前記笠木に形成される貫通孔から前記内部空間に挿通される筒状部を備え、
前記配線は、前記筒状部を通って前記笠木の前記内部空間に挿通される、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の笠木用照明装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記笠木への取付面が、前記笠木の前記外周面に沿った凹曲面状である、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の笠木用照明装置。
【請求項6】
笠木と、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の笠木用照明装置と、
を有する照明笠木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠木用照明装置及び照明笠木に関する。
【背景技術】
【0002】
笠木に下方に向かって開口する凹部を長手通しに設け、上記凹部内に照明装置を固定した手摺笠木用照明装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-2232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来例では、笠木に予め凹部を設ける必要があり、凹部のない笠木が用いられた手摺や柵等には照明装置を取り付けることができなかった。
【0005】
本発明は、凹部のない笠木が用いられた手摺や柵等に取付け可能な笠木用照明装置及び照明笠木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る笠木用照明装置は、笠木の外周面に取付け可能とされ、前記笠木と反対側に放光部を有するハウジングと、前記ハウジングに設けられたLED取付部に、光源となるLEDが前記放光部に対向して配置されるLEDモジュールと、前記ハウジングの端部に取り付けられ、内部が前記ハウジング内及び前記笠木の内部空間にそれぞれ連通し、前記LEDモジュールの配線を前記ハウジング内から前記内部空間へ案内するキャップと、を有する。
【0007】
この笠木用照明装置は、笠木の外周面に取り付けられるので、既設の手摺や柵等において照明装置の取付けのための凹部のない笠木に取付け可能である。LEDモジュールの配線は、ハウジング内から、ハウジングの端部に取り付けられるキャップを通じて、笠木の内部空間へ案内されるので、配線の外部への露出が防止される。LEDモジュールはハウジングのLED取付部に配置されており、LEDを発光させると、その光はハウジングの放光部を通じて外部へ放たれる。この光により、所望の領域を照らすことができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る笠木用照明装置において、前記放光部側が開放され、互いに対向する一対の側壁の間に前記LEDモジュールを保持し、前記LED取付部の内面に当接して固定されるモジュールケースを有し、前記一対の側壁の対向方向において、各々の側壁の外寸が互いに異なり、前記LED取付部の中心が前記放光部の中心に対して偏心し、かつ前記LEDの位置が前記LEDモジュールの中心に対して偏心している。
【0009】
この笠木用照明装置では、LEDモジュールは、モジュールケースの一対の側壁に保持された状態で、LED取付部に配置されている。モジュールケースは、LED取付部において、LED取付部の内面に当接して固定されている。
【0010】
モジュールケースは、一対の側壁の対向方向において、各々の側壁の外寸が互いに異なっている。また、LED取付部の中心は、放光部の中心に対して偏心している。更に、LEDの位置は、LEDモジュールの中心に対して偏心している。したがって、一対の側壁の対向方向において、モジュールケースの取付向きを反転させると、光源であるLEDと放光部との相対位置が変化する。このため、モジュールケースの取付向きにより、2通りの照射方向から所望の照射方向を選択できる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る笠木用照明装置において、前記ハウジングが、前記笠木の前記外周面に固定され、前記放光部及び前記LED取付部を構成する一方の側縁を有するベース部と、前記ベース部に取り付けられ、前記放光部及び前記LED取付部を構成する他方の側縁を有するカバー部と、を有する。
【0012】
この笠木用照明装置では、ハウジングが、LED取付部の一方の側縁を有するベース部と、LED取付部の他方の側縁を有するカバー部とを有している。ベース部は、笠木の外周面に固定され、カバー部はベース部に取り付けられる。LEDモジュールは、ベース部とカバー部の間のLED取付部に配置される。ハウジングが分割式となっていることから、LEDモジュールをハウジングに対して笠木の長手方向に挿入できない場合であっても、ハウジングにLEDモジュールを取り付けることができる。
【0013】
第4の態様は、第1~第3の態様の何れか1態様に係る笠木用照明装置において、前記キャップが、前記笠木に形成される貫通孔から前記内部空間に挿通される筒状部を備え、前記配線は、前記筒状部を通って前記笠木の前記内部空間に挿通される。
【0014】
この笠木用照明装置では、ハウジングの端部に取り付けられるキャップが、笠木の貫通孔から内部空間に挿通される筒状部を備え、LEDモジュールの配線が筒状部を通って笠木の内部空間に挿通される。笠木用照明装置を笠木に取り付ける際に、笠木に貫通孔を形成すると、貫通孔にバリが形成される場合があるが、キャップの筒状部が貫通孔に挿通されていることから、配線とバリとの接触が抑制される。これにより、配線の損傷を抑制できる。
【0015】
第5の態様は、第1~第4の態様の何れか1態様に係る笠木用照明装置において、前記ハウジングの前記笠木への取付面が、前記笠木の前記外周面に沿った凹曲面状である。
【0016】
この笠木用照明装置では、ハウジングの笠木への取付面が、笠木の外周面に沿った凹曲面状であるので、ハウジングの取付け状態を安定させると共に、見栄えを向上させることができる。
【0017】
第6の態様に係る照明笠木は、笠木と、第1~第5の態様の何れか1態様に係る笠木用照明装置と、を有する。
【0018】
この照明笠木では、凹部のない笠木に照明装置を取り付けて照明機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、凹部のない笠木が用いられた手摺や柵等に取付け可能な笠木用照明装置及び照明笠木を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る照明笠木を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る照明笠木を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る照明笠木を示す分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る照明笠木を示す部分破断斜視図である。
図5】本実施形態に係る照明笠木を示す部分破断拡大斜視図である。
図6】キャップを示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る照明笠木を示す断面図である。
図8】本実施形態に係る照明笠木において、光を下方へ照射する状態を示す断面図である。
図9】本実施形態に係る照明笠木において、光を斜め6下方へ照射する状態に設定された構造を示す断面図である。
図10】第1変形例に係る照明笠木において、光を下方へ照射する状態を示す断面図である。
図11】(A)は、第2変形例に係る照明笠木において、光を下方へ照射する状態を示す断面図である。(B)は、第2変形例に係る照明笠木を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0022】
(照明笠木)
図1において、本実施形態に係る照明笠木10は、笠木12と、笠木用照明装置14(以下、単に「照明装置14」という。)と、を有している。
【0023】
笠木12は、長尺状の円筒部材であり、中空の内部空間12Aを有している(図7)。この笠木12は、例えば歩行補助手摺の主要部分であり、複数の支柱16等の支持部材により支持されている。支柱16の上端には、笠木12の外周面12Bに沿った断面円弧状のブラケット18が設けられている。笠木12は、ブラケット18に載置された状態で、下方からねじ20を用いて固定されている。笠木12の両端部に、例えば下方に屈曲した端部部材22が接続されていてもよい。
【0024】
この笠木12の底面側には、照明装置14を収めるための凹部は設けられていない。照明装置14は、このような既設の笠木12に取付け可能である。
【0025】
(照明装置)
図1から図9において、本実施形態に係る照明装置14は、ハウジング24と、LEDモジュール26と、モジュールケース28と、キャップ30と、を有している。
【0026】
ハウジング24は、笠木12の外周面12Bに取付け可能とされ、笠木12と反対側に放光部24Aを有する。一例として、図8に示されるように、ハウジング24は、ベース部32と、カバー部34とを有している。ベース部32は、笠木12の外周面12Bに例えばねじ36により締結固定され、LED取付部24Bを構成する一方の側縁38を有する部材である。カバー部34は、ベース部32に取り付けられ、LED取付部24Bを構成する他方の側縁40を有する部材である。
【0027】
ベース部32は、笠木12への取付面32Aを有している。この取付面32Aは、例えば笠木12の外周面12Bに沿った凹曲面状である。また、ベース部32は、一方の側縁38を有する第1側壁32Bと、第1側壁32Bに対向する第2側壁32Cとを有している。第1側壁32Bには、ハウジング24の内側(図8の右側)に張り出す張出部32D,32Eが、例えば一体的に設けられている。
【0028】
張出部32D,32Eは、図8の上下方向に互いに離れて、例えば薄板状に形成されている。また、張出部32D,32Eは、ハウジング24の長手方向に、その全長にわたって延びている。張出部32Eは第1側壁32Bの下端に設けられ、放光部24Aの一端縁を形成している。第1側壁32Bの内面のうち、張出部32D,32Eの間の部分が、LED取付部24Bを構成する一方の側縁38に相当する。
【0029】
図8において、第2側壁32Cの下端面は、第1側壁32Bにおける張出部32Dの下面と同じ高さとされている。これは、LEDモジュール26(モジュールケース28)がLED取付部24Bに傾いて取り付けられないようにするためである。第2側壁32Cの下端面の外側端には、該下端面より下側に張り出す突条32Fが設けられている。第2側壁32Cの外側面には、ねじ穴32Gが形成されている。このねじ穴32Gには、カバー部34を取り付けるためのねじ48が螺合するようになっている。
【0030】
カバー部34の下端には、ハウジング24の内側(図8の左側)に張り出す張出部34Eが、例えば一体的に設けられている。張出部34Eは、放光部24Aの他端縁を形成している。つまり、ベース部32の張出部32Eと、カバー部34の張出部34Eとの間の隙間が放光部24Aとなっている。
【0031】
カバー部34には、ねじ48を通すために貫通孔34Gが形成されている。貫通孔34Gと張出部34Eの間の位置には、ハウジング24の内側に張り出す係合部34Dが、例えば一体的に設けられている。この係合部34Dは、断面L字形の鈎状に形成されている。カバー部34をベース部32に取り付ける際、係合部34Dが、ベース部32における第2側壁32Cの突条32Fに係合するようになっている。係合部34Dの内面は、LED取付部24Bを構成する他方の側縁40に相当する。
【0032】
ねじ48、ベース部32のねじ穴32G、及びカバー部34の貫通孔34Gの数は、カバー部34の長さに応じて適宜設定される。
【0033】
図8において、ハウジング24内におけるLED取付部24Bの上方の空間42には、LEDモジュール26への給電用の配線44が通されるようになっている。この空間42は、ベース部32の第1側壁32Bと、張出部32Dと、第2側壁32Cと、モジュールケース28とにより囲まれた部分である。
【0034】
LEDモジュール26は、ハウジング24に設けられたLED取付部24Bに、光源となるLED46(発光ダイオード)が放光部24Aに対向して配置される発光部である。このLEDモジュール26は、例えば、複数のLED46をフレキシブル基板に取り付けて直線状の発光体としたテープLEDを、角状のパイプ50に収納して構成されている。パイプ50のうち少なくとも放光部24Aに対向する側は、透光性を確保するため透明又は開放状態とされる。放熱性を考慮して、パイプ50は金属であってもよい。
【0035】
モジュールケース28は、放光部24A側が開放され、互いに対向する一対の側壁28A,28Bの間にLEDモジュール26を保持し、LED取付部24Bの内面に当接して固定される、例えば断面逆U字状の部材である。図8において、側壁28Aは第1側壁32B側(左側)に位置し、側壁28Bは第2側壁32C側(右側)に位置する。側壁28A,28Bの厚さは互いに同等であるが、側壁28Aには外側に張り出す突条28Cが形成されている。突条28Cは、例えばモジュールケース28の長手方向に延びている。モジュールケース28をハウジング24に取り付けた状態において、側壁28Aの突条28Cは、LED取付部24Bにおける一方の側縁38に当接し、側壁28Bは他方の側縁40に当接する。つまり、モジュールケース28は、ハウジング24の一方の側縁38と他方の側縁40により挟持される。
【0036】
ハウジング24におけるベース部32の張出部32Eと、カバー部34の張出部34Eは、モジュールケース28に対し下方から当接する。つまり、モジュールケース28は、ハウジング24の一方の側縁38と他方の側縁40により挟持されると共に、張出部32E,34Eにより下方から支持される。
【0037】
LEDモジュール26の放光部24A側には、板状の透明カバー52が配置されてもよい。透明カバー52は、例えばLEDモジュール26からわずかに離れた状態でモジュールケース28に保持される。
【0038】
モジュールケース28の一対の側壁28A,28Bの対向方向において、各々の側壁28A,28Bの外寸が互いに異なり、LED取付部24Bの中心O2は、放光部24Aの中心O1に対して偏心し、かつLED46の位置O3がLEDモジュール26の中心O4に対して偏心している。
【0039】
図8に示される例では、側壁28Aに突条28Cを設けることにより、側壁28Aの外寸を側壁28Bの外寸よりも大きくしている。LED46の位置O3は、LEDモジュール26の中心O4よりも側壁28B側に寄せて配置されている。この配置では、LED46の位置O3が放光部24Aの中心O1に一致しており、照射方向は笠木12の真下方向となる。図9は、図8のモジュールケース28に保持されたLEDモジュール26を、モジュールケース28ごと向きを左右反転させて取り付けた場合を示している。この例では、LED46の位置O3が放光部24Aの中心O1から大きく左に寄っており、照射方向は笠木12の右下方向となる。このように、LEDモジュール26の取付向きを変えることで、2通りの照射方向から所望の照射方向を選択できるようになっている。
【0040】
図1から図7において、キャップ30は、ハウジング24の端部、例えば長手方向の両端部にそれぞれ取り付けられ、内部がハウジング24内及び笠木12の内部空間12Aにそれぞれ連通し、LEDモジュール26の配線44をハウジング24内から内部空間12Aへ案内する端部カバーである。具体的には、キャップ30は、笠木12に形成される貫通孔12Cから内部空間12Aに挿通される筒状部30Aを備えている。筒状部30Aは、キャップ30の上壁部30Dから上方に突出した円筒部である。笠木12に対する貫通孔12Cの穿孔時に形成され得るバリ12Dと配線44との接触を抑制するため、筒状部30Aの高さは、笠木12の肉厚の例えば2倍以上に設定されている。
【0041】
キャップ30は、ハウジング24内と連通するように一端30Bが開口し、他端30Cが閉塞されている。一例として、キャップ30の前面及び背面は、ハウジング24の前面及び背面と面一とされている。ハウジング24の前面はカバー部34の外面である。ハウジング24の背面は、ベース部32の第1側壁32Bの外面である。キャップ30の底面は、ハウジング24の底面と面一とされている。ハウジング24の底面は、ベース部32における張出部32Eの底面と、カバー部34における張出部34Eの底面である。
【0042】
図6図7に示されるように、キャップ30の一端30Bには、ハウジング24内に差し込まれる位置決め用の突起部30Kが設けられている。キャップ30の上壁部30Dは、笠木12への取付面30Uを有している。この取付面30Uは、例えば笠木12の外周面12Bに沿った凹曲面状である。凹曲面は、取付面30Uの全体であってもよく、また取付面30Uの一部であってもよい。図示の例では、凹曲面の底部にキャップ30の軸方向に沿った溝が形成されている。この溝は、キャップ30における上壁部30Dの上面に相当する。
【0043】
上壁部30Dには、キャップ30を笠木12に固定するためのねじ54が挿通される貫通孔30Eが形成されている。一例として、キャップ30の筒状部30Aは、一端30Bより他端30Cに近い側に設けられている。また、貫通孔30Eは、一端30Bと筒状部30Aの間に形成されている。
【0044】
キャップ30の下壁部30Fのうち、貫通孔30Eの直下には、ねじ54が通される貫通孔30Gが形成されている。貫通孔30Gは、工具(図示せず)の差込み孔としても利用される。笠木12への照明装置14の取付後に、貫通孔30Gを蓋部材等(図示せず)で閉塞してもよい。
【0045】
図2図5図7に示されるように、配線44は、筒状部30Aを通って笠木12の内部空間12Aに挿通される。照明装置14は、配線44に対して並列に接続されている。具体的には、照明装置14には分岐線45の一端が接続されており、分岐線45の他端が配線44に接続されている。これにより、図2から図4に示されるように、1つの笠木12に複数の照明装置14を設けることが可能となっている。
【0046】
(第1変形例)
図10に示される第1変形例では、側壁28Aの全体を側壁28Bより厚くすることで、側壁28Aの外寸を側壁28Bの外寸よりも大きくしている。また、図8に示される構造と比較して、ベース部32の第2側壁32Cが下方に長く形成され、該第2側壁32Cがモジュールケース28の側壁(図10では側壁28B)に当接している。つまり、第2側壁32Cが、LED取付部24Bを構成する他方の側縁40を兼ねている。また、この第1変形例では、第2側壁32Cに突条32F(図8)が形成されておらず、カバー部34に突条32Fに係合する係合部34D(図8)も形成されていない。つまり、係合部34Dと突条32Fとの係合がない構造となっている。
【0047】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1から図5図7から図9において、本実施形態に係る照明笠木10は、既設の歩行補助手摺の笠木に照明装置14を取り付けて照明機能を持たせたものである。
【0048】
具体的には、照明装置14は、笠木12の外周面12Bに取り付けられるので、既設の歩行補助手摺において照明装置の取付けのための凹部のない笠木12に取付け可能である。LEDモジュール26の配線44は、ハウジング24内から、ハウジング24の端部に取り付けられるキャップ30を通じて、笠木12の内部空間12Aへ案内されるので、配線44の外部への露出が防止される。また、ハウジング24のベース部32における笠木12への取付面32Aが、笠木12の外周面12Bに沿った凹曲面状であるので、ハウジング24の取付け状態を安定させると共に、見栄えを向上させることができる。
【0049】
LEDモジュール26はハウジング24のLED取付部24Bに配置されており、LED46を発光させると、その光はハウジング24の放光部24Aを通じて外部へ放たれる。この光により、所望の領域を照らすことができる。
【0050】
LEDモジュール26は、モジュールケース28の一対の側壁28A,28Bに保持された状態で、LED取付部24Bに配置されている。モジュールケース28は、LED取付部24Bにおいて、LED取付部24Bの内面に当接して固定されている。
【0051】
モジュールケース28は、一対の側壁28A,28Bの対向方向において、各々の側壁28A,28Bの外寸が互いに異なっている。また、LED取付部24Bの中心O2は、放光部24Aの中心O1に対して偏心している。更に、LED46の位置O3は、LEDモジュール26の中心O4に対して偏心している。したがって、一対の側壁28A,28Bの対向方向において、モジュールケース28の取付向きを反転させると、光源であるLED46と放光部24Aとの相対位置が変化する。このため、図8図9に示されるように、モジュールケース28の取付向きにより、2通りの照射方向から所望の照射方向を選択できる。
【0052】
図8では、LED46の位置O3が放光部24Aの中心O1に一致しており、照射方向は笠木12の真下方向となる。図9では、図8のモジュールケース28とLEDモジュール26の位置関係を維持したまま、モジュールケース28ごと向きを左右反転させており、LED46の位置O3が放光部24Aの中心O1から大きく左に寄っている。これにより、照射方向は笠木12の右下方向となる。
【0053】
ハウジング24は、LED取付部24Bの一方の側縁38を有するベース部32と、LED取付部24Bの他方の側縁40を有するカバー部34とを有している。ベース部32は、笠木12の外周面12Bに固定され、カバー部34はベース部32に取り付けられる。LEDモジュール26は、ベース部32とカバー部34の間のLED取付部24Bに配置される。ハウジング24が分割式となっていることから、支柱16等の存在によりLEDモジュール26をハウジング24に対して笠木12の長手方向に挿入できない場合であっても、ハウジング24にLEDモジュール26を取り付けることができる(図3)。
【0054】
ハウジング24の端部に取り付けられるキャップ30は、笠木12の貫通孔12Cから内部空間12Aに挿通される筒状部30Aを備え、LEDモジュール26の配線44が筒状部30Aを通って笠木12の内部空間12Aに挿通される。照明装置14を笠木12に取り付ける際に、笠木12に貫通孔12Cを形成すると、貫通孔12Cにバリ12Dが形成される場合があるが、キャップ30の筒状部30Aが貫通孔12Cに挿通されていることから、配線44とバリ12Dとの接触が抑制される。これにより、配線44の損傷を抑制できる。また、図7に示されるように、筒状部30Aを笠木12の内部空間12Aにおけるねじ20の突出長さに合わせて長く設定することで、配線44とねじ20との接触も抑制できる。
【0055】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0056】
図示の笠木12は、例えば歩行補助手摺の笠木であるが、墜落防止手摺の笠木や歩行者自転車用柵の笠木であってもよい。また、図示の笠木12は、複数の支柱16に架設されているが、複数の壁付ブラケット(図示せず)に架設されていてもよい。
【0057】
上記実施形態では、複数の照明装置14が配線44に対して並列に接続されていたが、図11に示される第2変形例のように、隣り合う照明装置14が配線44(図8から図10等)を介することなく、配線55を用いて直列に接続される構造であってもよい。あるいは、複数の照明装置14が配線44に対して並列に接続されていた場合に、配線44及び分岐配線45が笠木12の内部空間12Aに通されていてもよい。この場合、図11(A)に示されるように、配線44及び分岐配線45が通されていた空間42(図8から図10等)を省略できる。このため、ハウジング26の上下寸法を小さくすることができる。
【0058】
照明装置14がモジュールケース28を有するものとしたが、LEDモジュール26がハウジング24内に直接格納される構成であってもよい。モジュールケース28の一対の側壁28A,28Bの対向方向において、各々の側壁28A,28Bの外寸が互いに異なり、LED取付部24Bの中心O2は、放光部24Aの中心O1に対して偏心し、かつLED46の位置O3がLEDモジュール26の中心O4に対して偏心しているものとしたが、このような寸法設定がされていなくてもよい。
【0059】
ハウジング24がベース部32とカバー部34を有するものとしたが、ハウジング24の構成はこれに限られず、LEDモジュール26を収納可能であればよい。例えば、LEDモジュール26をハウジング24に長手方向に挿入する構造であってもよい。
【0060】
ハウジング24におけるベース部32の取付面32Aが、笠木12の外周面12Bに沿った凹曲面状であるものとしたが、取付面32Aの形状はこれに限られない。
【0061】
キャップ30が筒状部30Aを有するものとしたが、笠木12の貫通孔12Cにバリ12Dと配線44との接触を抑制する保護部品を設けるのであれば、筒状部30Aを省略することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 照明笠木
12 笠木
12A 内部空間
12B 外周面
12C 貫通孔
14 照明装置(笠木用照明装置)
24 ハウジング
24A 放光部
24B LED取付部
26 LEDモジュール
28 モジュールケース
28A 側壁
28B 側壁
30 キャップ
30A 筒状部
32 ベース部
34 カバー部
38 一方の側縁
40 他方の側縁
44 配線
46 LED
O1 放光部の中心
O2 LED取付部の中心
O3 LEDの位置
O4 LEDモジュールの中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11