(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151551
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】射出成形の表示装置、射出成形機、及び射出成形の管理装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061221
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】羽野 勝之
(72)【発明者】
【氏名】堀川 朋紀
(72)【発明者】
【氏名】松永 拓也
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM32
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JP11
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP15
4F206JP18
4F206JP21
4F206JP23
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】設定するための負担を軽減させる。
【解決手段】射出成形の表示装置は、射出成形によって製造された成形品の不良現象の選択を受け付けるように構成されている受付部と、選択を受け付けた不良現象に対応付けられた、パラメータを選択可能に表示するように構成されている表示制御部と、を有し、受付部は、さらに、パラメータから選択を受け付けるように構成され、表示制御部は、さらに、選択を受け付けたパラメータに関する情報を表示するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形によって製造された成形品の不良現象の選択を受け付けるように構成されている受付部と、
選択を受け付けた不良現象に対応付けられた、パラメータを選択可能に表示するように構成されている表示制御部と、を有し、
前記受付部は、さらに、前記パラメータから選択を受け付けるように構成され、
前記表示制御部は、さらに、選択を受け付けた前記パラメータに関する情報を表示するように構成されている、
射出成形の表示装置。
【請求項2】
前記不良現象と、前記パラメータと、前記不良現象における前記パラメータの影響の度合いを表した影響度と、を対応付けて記憶する第1記憶部を、さらに有し、
前記表示制御部は、選択を受け付けた前記不良現象に対応付けられた、前記パラメータを、前記影響度に基づいて表示するように構成されている、
請求項1に記載の射出成形の表示装置。
【請求項3】
前記第1記憶部に記憶されている前記影響度を変更するように構成されている変更部を、
さらに備える請求項2に記載の射出成形の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記パラメータの前記影響度を更新するための表示情報を表示するように構成され、
前記変更部は、前記表示情報に対する入力操作に応じて、当該表示情報に対応する前記影響度を変更するように構成されている、
請求項3に記載の射出成形の表示装置。
【請求項5】
第1の前記パラメータと第2の前記パラメータとの間の関連度を記憶する第2記憶部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記受付部が第1の前記パラメータの選択を受け付けた場合に、第1の前記パラメータに関する情報と、第1の前記パラメータ及び前記関連度に基づいて選択された第2の前記パラメータに関する情報と、を表示するように構成されている、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の射出成形の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の表示装置を備える射出成形機。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の表示装置を備える射出成形の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形の表示装置、射出成形機、及び射出成形の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から射出成形機においては、射出成形中の各種プロセス、又はユーザによる設定内容に関する情報を表示装置に表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、表示装置に表示された設定項目が、操作者に変更された場合に、当該設定項目の表示態様を変更している。これにより、操作者が変更した設定項目を再変更する際に、当該変更された設定項目を探すための負担を軽減できる。
【0005】
しかしながら、射出成形機で成形された成形品に不良現象が生じた場合に、不良現象に対応するための設定項目を、操作者が特定することが難しい。例えば、特許文献1に記載された技術においては、操作者は変更が必要な設定項目を認識している必要がある。
【0006】
本発明の一態様は、不良現象に対応するための設定項目を、操作者が簡単に特定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る射出成形の表示装置は、射出成形によって製造された成形品の不良現象の選択を受け付けるように構成されている受付部と、選択を受け付けた不良現象に対応付けられた、パラメータを選択可能に表示するように構成されている表示制御部と、を有し、受付部は、さらに、パラメータから選択を受け付けるように構成され、表示制御部は、さらに、選択を受け付けたパラメータに関する情報を表示するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、操作者が設定するための負担を軽減させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る管理システムの構成を例示した図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る管理装置、射出成形機、及び射出成形機の周辺構成を例示した図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る不良現象対応記憶部のテーブル構造を例示した図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るパラメータ対応記憶部のテーブル構造を例示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る管理装置の表示制御部が表示制御する、射出成形機3の分析画面を例示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る管理装置の表示制御部が表示制御する、射出成形機3の品質管理画面を例示した図である。
【
図7】
図7は、更新ボタンが押下された場合の折れ線2の欄の更新例を示した図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態にかかる変更部による、不良現象対応記憶部223に記憶されている影響度の変更を説明した概念図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る射出成形機の制御装置が出力するログ情報画面を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0011】
図1は、実施形態に係る管理システム1(射出成形管理システムの一例)の構成を例示した図である。本実施形態においては、管理システム1では、通信ネットワーク8を介して、管理装置2と、2台の射出成形機3A、3B(以下、任意の射出成形機を示す場合には射出成形機3とも称する)と、2台の取出ロボット4A、4B(以下、任意の取出ロボットを示す場合には取出ロボット4とも称する)と、2台の材料乾燥機5A、5B(以下、任意の材料乾燥機を示す場合には材料乾燥機5とも称する)と、2台の金型温調器6A、6B(以下、任意の金型温調器を示す場合には金型温調器6とも称する)と、2台の検査装置10A、10B(以下、任意の検査装置を示す場合には検査装置10とも称する)と、が通信可能に接続されている。
【0012】
通信ネットワーク8は、例えば、複数の射出成形機3が設置された工場における通信網が含まれてもよいし、インターネット等の公衆ネットワークが含まれてもよい。
【0013】
具体的には、射出成形機3Aで成形された成形品を、取出ロボット4Aが取り出す。材料乾燥機5Aは、射出成形機3Aの供給口に投入される成形材料(例えば、樹脂)を乾燥させるための機器である。金型温調器6Aは、射出成形機3Aの金型装置800(
図2参照)の温度を調整するための機器である。検査装置10Aは、取出ロボット4Aに取り出された成形品を検査するための機器である。
【0014】
さらに、射出成形機3Bで成形された成形品を、取出ロボット4Bが取り出す。材料乾燥機5Bは、射出成形機3Bの供給口に投入される成形材料(例えば、樹脂)を乾燥させるための機器である。金型温調器6Bは、射出成形機3Bの金型装置800(
図2参照)の温度を調整するための機器である。検査装置10Bは、取出ロボット4Bに取り出された成形品を検査するための機器である。
【0015】
管理装置2は、管理システム1の各機器の情報を管理している装置である。管理装置2は、記憶装置21と表示ディスプレイ22を備えている。本実施形態に係る管理装置2は、管理システム1の各機器から受信した情報を記憶装置21に記憶し、記憶装置21に記憶された情報を表示ディスプレイ22に表示する。これにより、操作者は、射出成形機3が成形品を成形している状況を認識できる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る、管理装置2、射出成形機3及び射出成形機3の周辺構成を例示した図である。
図2に示される例では、射出成形機3の周辺構成として、材料乾燥機5と、金型温調器6と、検査装置10を備えている。さらに、管理システム1は、通信ネットワーク8を介して、射出成形機3、材料乾燥機5、金型温調器6、及び検査装置10と、管理装置2と、が接続されている。
【0017】
材料乾燥機5は、射出成形機3の供給口に投入される成形材料(例えば、樹脂)を乾燥させるための機器であって、通信I/F501と、制御回路502と、を備えている。
【0018】
制御回路502は、材料乾燥機5全体を制御する機器である。通信I/F501は、通信ネットワーク8に接続された機器(例えば、管理装置2)と通信するためのインターフェースとする。本実施形態の制御回路502は、通信I/F501を介して、材料乾燥機5に関するデータを、管理装置2に送信する。材料乾燥機5に関するデータ(以下、乾燥機データとも称する)としては、乾燥用に設定された温度、及び成形材料の乾燥温度の実績データが含まれている。
【0019】
金型温調器6は、射出成形機3の金型装置800の温度を調整するための機器であって、通信I/F601と、センサ602と、制御回路603と、を備えている。
【0020】
センサ602は、射出成形機3の金型装置800の温度を取得する。制御回路603は、金型温調器6全体を制御する機器である。通信I/F601は、通信ネットワーク8に接続された機器(例えば、管理装置2)と通信するためのインターフェースとする。本実施形態の制御回路603は、センサ602から取得した温度に基づいて金型装置800の温度を調整する。さらに、制御回路603は、通信I/F601を介して、金型温調器6に関するデータ(以下、温調器データとも称する)を、管理装置2に送信する。金型温調器6に関するデータとしては、金型装置800に対して設定された温度、金型装置800の温度の実績データ、温調に用いる液体の流量データが含まれている。
【0021】
検査装置10は、射出成形機3に成形された成形品を検査するための機器であって、通信I/F1001と、センサ1002と、制御回路1003と、を備えている。
【0022】
センサ1002は、射出成形機3により成形された成形品を検査するための情報(例えば、画像データ)を取得する。制御回路1003は、検査装置10全体を制御する機器である。通信I/F1001は、通信ネットワーク8に接続された機器(例えば、管理装置2)と通信するためのインターフェースとする。本実施形態の制御回路1003は、センサ1002から取得した情報に基づいて成形品を検査する。例えば、本実施形態の制御回路1003は、成形品の不良現象が生じているか否かを検査する。不良現象としては、例えば、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインが含まれている。なお、本実施形態で示す不良現象は、一例として示したものであって、他の不良現象が含まれてもよい。
【0023】
ショートモールドは、金型装置800の一部に成形材料が充填されていない状態で冷却されたため不完全な成形品となる不良現象である。
【0024】
バリは、成形時に成形材料が金型装置800からはみ出し、成形品に不要な部分が残ってしまう不良現象である。
【0025】
ヒケは、成形材料が金型装置800内で冷却されて固まる際に収縮するが、収縮した分の成形材料が充填されずに、成形品の表面がくぼむ不良現象である。
【0026】
ウェルドラインは、成形材料が金型装置800内で一度分岐して、再度合流する際に、合流地点で適切につながらず、成形品に線などが残る不良現象である。
【0027】
制御装置700は、通信I/F701を介して、検査結果データを、管理装置2に送信する。検査結果データとしては、成形品に不良現象が生じているか否かが含まれている。さらに、検査結果データとしては、成形品に不良現象が生じている場合に、生じている不良現象(ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインのうち少なくとも一つ以上)を示すデータが含まれている。
【0028】
(射出成形機)
射出成形機3について説明する。なお、本実施形態に係る管理システム1は、設置する射出成形機3の数を2台に制限するものではなく、1台、又は3台以上設置してもよい。
【0029】
射出成形機3は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700と、フレーム900とを有する。フレーム900の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機3の各構成要素について説明する。
【0030】
(型締装置)
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
【0031】
固定プラテン110は、フレーム900に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。可動プラテン120は、フレーム900に対し型開閉方向に移動自在に配置される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、フレーム900上に型開閉方向に移動自在に載置される。タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔をおいて連結する。
【0032】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、リンク群が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換して、トグル機構150を作動させる。
【0033】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0034】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。
【0035】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0036】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0037】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0038】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0039】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。
【0040】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、駆動機構220によりエジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、駆動機構220によりエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
【0041】
(射出装置)
射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程とも呼ぶ。計量工程では、所定量の液状の成形材料を蓄積する。充填工程では、計量工程で蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。保圧工程では、成形材料の保持圧力を設定圧に保つ。
【0042】
(移動装置)
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。
【0043】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704と、通信インターフェース705と、を有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0044】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0045】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0046】
なお、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。
【0047】
なお、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0048】
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を表示する。
【0049】
表示画面は、射出成形機3の設定などに用いられる。表示画面は、複数用意され、切換えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される表示画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機3の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
【0050】
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。なお、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
【0051】
通信インターフェース705は、通信ネットワーク8を介して接続されている管理装置2と通信を行うためのインターフェースとする。
【0052】
成形品が成形された場合に、CPU701は、射出成形機3に設けられた(図示しない)センサによる検出結果、及び射出成形機3において設定されている設定情報を、記憶媒体702から読み出して、通信インターフェース705を介して、管理装置2にログ情報として送信する。
【0053】
ログ情報は、射出成形機3が成形品を製造するための1ショット毎の情報であって、当該成形品を製造するために設定されている設定情報と、当該成形品を成形する際にセンサで検出された検出情報と、を含んだ情報とする。
【0054】
(管理装置)
管理装置2(表示装置の一例)は、射出成形機3を管理するための機器であって、CPU201と、通信インターフェース202と、入力インターフェース203と、出力インターフェース204と、を備えている。
【0055】
また、管理装置2は、記憶装置21と接続されている。記憶装置21は、読み書き可能な不揮発性の補助記憶装置であって、例えば、HDD(Dard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。
【0056】
記憶装置21は、ログ情報記憶部221と、検査情報記憶部222と、不良現象対応記憶部223と、パラメータ対応記憶部224と、を記憶する。
【0057】
ログ情報記憶部221は、射出成形機3による成形品の製造に関するログ情報を記憶する。ログ情報記憶部221は、例えば、射出成形機3から送信されたログ情報、材料乾燥機5から送信された乾燥機データ、及び金型温調器6から送信された温調器データを、1ショット毎に対応付けて記憶する。これにより管理装置2は、1ショット毎に、射出成形機3が製造した成形品ごとの設定値、及び成形品の製造時に計測された実績値を対応付けて保持できる。
【0058】
検査情報記憶部222は、射出成形機3による成形品の検査結果を示した検査結果データを記憶する。検査情報記憶部222は、例えば、検査装置10から送信された検査結果データを、1ショット毎に記憶する。これにより管理装置2は、1ショット毎に、射出成形機3が製造した成形品ごとの検査結果データを保持できる。検査結果データには、不良現象が生じたか否かを示す情報と共に、不良現象が発生した場合には不良現象を特定する情報(例えば、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドライン)が含まれている。
【0059】
不良現象対応記憶部223は、射出成形によって製造された成形品で生じる不良現象に影響があると考えられるパラメータを記憶する。
図3は、本実施形態に係る不良現象対応記憶部223のテーブル構造を例示した図である。
【0060】
図3に示されるように、不良現象対応記憶部223(第1記憶部の一例)は、不良現象と、当該不良現象に関連する第1関連パラメータと、当該不良現象に関連する第2関連パラメータと、を対応付けて記憶する。なお、不良現象は、上述したとおりとして説明を省略する。
【0061】
第1関連パラメータは、成形品を製造するために設定された設定項目(第1のパラメータの一例)と、当該設定項目による設定値が不良現象に影響を与える度合いを示した影響度と、が対応付けられている。
【0062】
第2関連パラメータは、成形品の製造時に計測された実績を示す実績項目(第2のパラメータの一例)と、当該実績項目による実績値が不良現象に影響を与える度合いを示した影響度と、が対応付けられている。
【0063】
影響度は、不良現象に影響を与える度合いを示した情報であって、例えば、射出成形機3の出荷時には、予め設定した値が設定されていてもよい。例えば、影響度は、熟練者が予め設定した値でもよい。また、影響度は、実際の成形品を製造する際に、予め設定されていた設定値又は計測された実績値と、当該不良現象と、の間の相関関係の値を算出し、当該相関関係の値に応じて設定された値でもよい。なお、影響度は、数値のみに制限するものではなく、不良現象に影響を与える度合いを認識できる情報であればよい。例えば、影響度として、文字、記号、符号を用いてもよい。影響度の具体的な例としては、て"○"、"△"又は"×"等の記号を用いてもよい。
【0064】
影響度は、射出成形機3が成形品を製造している間に、より適切な値になるように更新される。なお、更新手法については後述する。
【0065】
不良現象の1種類であるショートモールドには、第1関連パラメータの設定項目として、VP切替位置(スクリュ330の充填工程から保圧工程への切換位置)、計量完了位置(計量終了時のスクリュ330の位置)、金型温度(設定)(金型装置800に予め設定された温度)、第1射出速度(スクリュ330射出時の第1段階の速度)、第2射出速度(スクリュ330射出時の第2段階の速度)とが対応付けられている。ショートモールドにおける各設定項目の影響度は、VP切替位置が"70"、計量完了位置が"65"、金型温度(設定)が"50"、第1射出速度が"45"、第2射出速度が"45"となる。
【0066】
不良現象の1種類であるショートモールドには、第2関連パラメータの実績項目として、最小クッション位置(金型装置800に成形材料を充填した後に圧力をかける際のスクリュ330の最も前に移動したときの位置)、充填前位置(密度を一定にさせるためにスクリュ330を前後させた位置)、金型温度(実績)(金型装置800として計測された温度)、充填ピーク圧(成形材料を充填した時の圧力のピーク値)とが対応付けられている。ショートモールドにおける各設定項目の影響度は、最小クッション位置が"80"、充電前位置が"70"、金型温度(実績)が"65"、充填ピーク圧が"60"となる。
【0067】
不良現象の1種類であるバリには、第1関連パラメータの設定項目として、VP切替位置、型締力(設定)、計量完了位置、樹脂温度(設定)(成形材料の射出時の温度)、第2射出速度、第1射出速度が対応付けられている。バリにおける各設定項目の影響度は、VP切替位置が"70"、型締力(設定)が"60"、計量完了位置が"60"、樹脂温度(設定)が"60"、第2射出速度が"45"、第1射出速度が"40"となる。
【0068】
不良現象の1種類であるバリには、第2関連パラメータの実績項目として、充填ピーク圧、型締力(実績)、充填前位置、樹脂温度(実績)とが対応付けられている。バリにおける各設定項目の影響度は、充填ピーク圧が"70"、型締力(実績)が"70"、充填前位置が"70"、樹脂温度(実績)が"60"となる。
【0069】
不良現象の1種類であるヒケには、第1関連パラメータの設定項目として、保圧(保圧工程で設定された保持圧力)、金型温度(設定)、冷却時間(冷却工程における冷却時間)が対応付けられている。ヒケにおける各設定項目の影響度は、保圧が"55"、金型温度(設定)が"50"、冷却時間が"45"となる。
【0070】
不良現象の1種類であるヒケには、第2関連パラメータの実績項目として、金型温度(実績)が対応付けられている。ヒケにおける各設定項目の影響度は、金型温度(実績)が"50"となる。
【0071】
不良現象の1種類であるウェルドラインには、第1関連パラメータの設定項目として、充填圧力(設定)(充填工程で設定された圧力)、第2射出速度、金型温度(設定)が対応付けられている。ウェルドラインにおける各設定項目の影響度は、充填圧力(設定)が"50"、第2射出速度が"40"、金型温度(設定)が"35"となる。
【0072】
不良現象の1種類であるウェルドラインには、第2関連パラメータの実績項目として、充填ピーク圧、金型温度(実績)が対応付けられている。ヒケにおける各設定項目の影響度は、充填ピーク圧が"50"、金型温度(実績)が"40"となる。
【0073】
パラメータ対応記憶部224(第2記憶部の一例)は、第1関連パラメータ(設定項目)と、第2関連パラメータ(実績項目)と、の間の関連度を記憶する。
図4は、本実施形態に係るパラメータ対応記憶部224のテーブル構造を例示した図である。
図4に示されるように、第1関連パラメータ(設定項目)と、第2関連パラメータ(実績項目)との対応毎に関連度が設定されている。
図4に示される関連度は大きい値が設定されているほど、設定項目と実績項目との間の関連性が高いことを示している。
【0074】
例えば、VP切替位置と最小クッション位置との間の関連性が"60"であり、計量完了位置と最小クッション位置との間の関連性が"70"であり、金型温度(設定)と最小クッション位置との間の関連性が"40"であり、第1射出速度と最小クッション位置との間の関連性が"20"であり、第2射出速度と最小クッション位置との間の関連性が"20"である。
【0075】
成形品を製造するために設定された設定項目と、成形品の製造時に計測された実績を示す実績項目と、の間は互いに影響を及ぼしている。このため、操作者が、任意の実績項目を選択した場合に、当該実績項目に関連する設定項目を提示したり、任意の実績項目を選択した場合に、当該実績項目に関連する設定項目を提示したりすることで、操作者の操作負担を軽減する。
【0076】
例えば、不良現象がショートモールドの場合において、操作者が、実績項目として、最小クッション位置を選択した場合、管理装置2は、ショートモールドの設定項目の候補(VP切替位置、計量完了位置、金型温度(設定)、第1射出速度、及び第2射出速度)のうち、最も関連度が高い計量完了位置を提示してもよい。
【0077】
また、管理装置2においては、CPU701が、記憶装置21等に記憶されたプログラムを実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0078】
本実施形態に係るCPU201の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU201にて実行されるプログラムにて実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。CPU201は、入力受付部211と、表示制御部212と、変更部213と、を実現する。
【0079】
入力受付部211は、入力装置23を介して、表示画面に表示された項目について、操作者からの入力された情報を受け付ける。
【0080】
表示制御部212は、入力受付部211が受け付けた情報に基づいた表示画面を、表示ディスプレイ22に表示する。このように、本実施形態では、操作者によって入力された情報に基づいて表示画面が更新される。
【0081】
本実施形態に係る管理装置2においては、上述した構成を用いて、ログ情報記憶部221に記憶されている1ショット毎に設定データ、実績データ、及び検査結果データを参照して、成形材料の製造時における不良現象について調査を行うことができる。
【0082】
図5は、本実施形態に係る表示制御部212が表示制御する、射出成形機3の分析画面を例示した図である。
図5に示される分析画面では、不良現象選択欄1501と、表示データ範囲欄1502と、ショット数欄1503と、状態欄1504と、条件欄1505と、項目欄1506と、項目選択欄1507と、グラフ表示欄1508と、を含んでいる。
図5に示される分析画面は、例えば、射出成形機3Aの分析画面とするが、分析画面に複数の射出成形機3の内容を含めてもよい。
図5に示される分析画面では、横軸が時間で射出成形機3から収集した実績値や設定値の変化をグラフで確認できる。また、射出成形機3の稼働状態や成形品の変更、及び成形条件の変更等といったイベントに関する情報も合わせて確認できる。
【0083】
表示データ範囲欄1502は、分析画面のグラフ表示欄1508等で表示する日時の範囲の設定を受け付ける欄である。
図5で示される例では、"2017年8月28日15時~2017年8月29日15時"までが設定されている。
【0084】
ショット数欄1503は、表示データ範囲欄1502で設定された日時に範囲において、単位時間当たりのショット数(実績ショット数)を示している。
【0085】
状態欄1504は、射出成形機3Aの状態を示している。
図5に示される例では、表示データ範囲欄1502で設定された日時に範囲において、"電源OFF"と、"稼働中"と、"停止中"と、"異常発生中"とによる状態の変化が示されている。
【0086】
条件欄1505は、射出成形機3Aが成形する条件名、換言すれば成形対象の製品の変化を示している。
図5に示される例では、表示データ範囲欄1502で設定された日時に範囲において、時間に応じて成形される製品が変わったことを、色(網掛け)の変化として示されている。
【0087】
項目欄1506は、射出成形機3Aにおける設定項目毎に設定されている設定値の変化を示している。
図5に示される例では、表示データ範囲欄1502で設定された日時に範囲において、時間に応じて設定が変更される設定値を、色(網掛け)の変化として示されている。
【0088】
本実施形態においては、項目選択欄1507において選択された項目に関する情報が、グラフ表示欄1508に表示される。これにより、操作者は、グラフ表示欄1508を参照して、成形品に不良現象が生じたときの設定値及び実績値を確認できる。しかしながら、熟練していない操作者の場合には、グラフ表示欄1508で不良現象に対応する項目(例えば、設定項目又は実績項目)を選択するのが難しい。そこで、本実施形態においては、不良現象選択欄1501で不良現象が選択された場合に、グラフ表示欄1508に表示される項目のうち、選択可能な項目を限定する。
【0089】
不良現象選択欄1501は、第1成形品不良現象選択欄1501Aと、第2成形品不良現象選択欄1501Bと、更新ボタン1501Cを含んでいる。
【0090】
例えば、第1成形品不良現象選択欄1501Aは、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインから不良現象を選択するための欄である。同様に、第2成形品不良現象選択欄1501Bは、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインから不良現象を選択するための欄である。本実施形態においては、第1成形品不良現象選択欄1501A及び第2成形品不良現象選択欄1501Bで不良現象を選択するためのプルダウンメニュー形式の場合とするが、他の形式でもよい。
【0091】
このように、入力受付部211は、第1成形品不良現象選択欄1501A、及び第2成形品不良現象選択欄1501Bの各々について、射出成形によって製造された成形品の不良現象の選択を受け付ける。第1成形品不良現象選択欄1501A、及び第2成形品不良現象選択欄1501Bにおいて不良現象の選択を受け付けた後、入力受付部211は、更新ボタン1501Cの押下を受け付ける。これにより、項目選択欄1507に表示される設定項目及び実績項目の候補が、選択された不良現象に基づいて更新される。
【0092】
項目選択欄1507は、第1設定項目選択欄1507Aと、第1実績項目選択欄1507Bと、第2設定項目選択欄1507Cと、第2実績項目選択欄1507Dと、を含んでいる。
【0093】
第1設定項目選択欄1507Aは、グラフ表示欄1508に設定値を表示する設定項目を選択するための欄である。第1実績項目選択欄1507Bは、グラフ表示欄1508に実績値を表示する実績項目を選択するための欄である。
【0094】
また、入力受付部211が、第1成形品不良現象選択欄1501Aで不良現象の選択を受け付けると共に更新ボタン1501Cの押下を受け付けた場合、本実施形態に係る表示制御部212は、第1設定項目選択欄1507Aに対して、選択を受け付けた不良現象と、不良現象対応記憶部223で対応付けられた、設定項目を表示する。
【0095】
同様に、入力受付部211が、第1成形品不良現象選択欄1501Aで不良現象の選択を受け付けるとともに更新ボタン1501Cの押下を受け付けた場合、本実施形態に係る表示制御部212は、第1実績項目選択欄1507Bに対して、選択を受け付けた不良現象と、不良現象対応記憶部223で対応付けられた、実績項目を表示する。
【0096】
図5に示される例では、第1成形品不良現象選択欄1501Aで"ショートモールド"の選択を受け付けた場合として、表示制御部212が、第1実績項目選択欄1507Bのプルダウンメニューに、選択可能な実績項目"最小クッション位置"、"充填開始位置"、"金型温度(実績)"、"充填ピーク圧"を、選択された不良現象の影響度順(影響度に基づいた表示の一例)に、選択可能に表示している。なお、本実施形態は、影響度順に実績項目を表示する例について説明するが、影響度順に表示する態様に制限するものではない。
【0097】
第2設定項目選択欄1507Cは、(図示しない)グラフ表示欄に設定値を表示する設定項目を選択するための欄である。第2実績項目選択欄1507Dは、(図示しない)グラフ表示欄に実績値を表示する実績項目を選択するための欄である。(図示しない)グラフ表示欄は、グラフ表示欄1508より下方に表示される欄であって、入力受付部211が、操作者から下方向へのスクロール操作を受け付けた場合に表示される。
【0098】
グラフ表示欄1508は、第1設定項目選択欄1507Aで選択された設定項目における設定値、及び第1実績項目選択欄1507Bで選択された実績項目における実績値を表示する。本実施形態に係るグラフ表示欄1508では、表示データ範囲欄1502で設定された日時に範囲における、設定値及び実績値の変化が示される。
【0099】
図5に示される例では、入力受付部211が、第1設定項目選択欄1507Aにおいて、設定項目"VP切替位置"の選択を受け付けていると共に、第2設定項目選択欄1507Cにおいて、設定項目"最小クッション位置"の選択を受け付けている。
【0100】
これにより、表示制御部212は、選択を受け付けた設定項目"VP切替位置"の設定値を示す線1508Aと、選択を受け付けた実績項目"最小クッション位置"の実績値を示す線1508Bと、を表示する。このように、本実施形態では、不良現象の選択を受け付けた場合に、当該不良現象と対応付けられている設定項目及び実績項目のうち、操作者から選択された設定項目の設定値に関するグラフ及び実績項目の実績値に関するグラフ
(設定項目又は実績項目(パラメータの一例)に関する情報の一例)を表示する。
【0101】
設定値に関するグラフとは、時間の遷移に従って設定値の変化を示す線である。実績値に関するグラフとは、時間の遷移に従って実績値の変化を示す線である。
【0102】
これにより、操作者は、不良現象と関連性が高いと推測される設定値及び実績値を確認できるので、不良現象が生じた原因の特定負担を軽減できる。
【0103】
表示制御部212が表示する分析画面と別の画面について説明する。
【0104】
図6は、本実施形態に係る表示制御部212が表示制御する、射出成形機3の品質管理画面を例示した図である。
図6に示される品質管理画面では、不良現象選択欄1601と、グラフ種類選択欄1602と、X軸表示単位選択欄1603と、最大表示件数欄1604と、表示データ範囲欄1605と、項目選択欄1606と、第1グラフ表示欄1607と、第2グラフ表示欄1608と、影響度評価欄1609とを含んでいる。
図6に示される品質管理画面は、例えば、射出成形機3Aの品質管理画面とするが、品質管理画面に複数の射出成形機3の内容を含めてもよい。
【0105】
グラフ種類選択欄1602は、第1グラフ表示欄1607に表示されるグラフの種類を選択する欄である。本実施形態では、"折れ線"及び"散布図"から選択を受け付けることができる。
【0106】
X軸表示単位選択欄1603は、第1グラフ表示欄1607及び第2グラフ表示欄1608に表示されるX軸の種類を選択する欄である。本実施形態では、"ショット数"及び"時間"から選択を受け付けることができる。本実施形態では、X軸の種類の選択は、グラフ種類選択欄1602において、"折れ線"が選択されている場合に制限される。
【0107】
最大表示件数欄1604は、第1グラフ表示欄1607及び第2グラフ表示欄1608に表示されるショット数の設定を受け付ける欄である。
【0108】
表示データ範囲欄1605は、第1グラフ表示欄1607及び第2グラフ表示欄1608で表示する日時の範囲を設定する。
図6で示される例では、"2021年12月22日17時25分25秒~2021年12月22日17時35分21秒"までが設定されている。
【0109】
不良現象選択欄1601は、第1成形品不良現象選択欄1601Aと、第2成形品不良現象選択欄1601Bと、更新ボタン1601Cを含んでいる。
【0110】
例えば、第1成形品不良現象選択欄1601Aは、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインから不良現象を選択するための欄である。同様に、第2成形品不良現象選択欄1601Bは、ショートモールド、バリ、ヒケ、及びウェルドラインから不良現象を選択するための欄である。
図6に示される例では、検索欄1601Dが表されている。操作者は、当該検索欄1601Dから、一覧に表示されていない他の不良現象を検索できる。
【0111】
入力受付部211は、第1成形品不良現象選択欄1601A、及び第2成形品不良現象選択欄1601Bの各々について、射出成形によって製造された成形品の不良現象の選択を受け付ける。そして、入力受付部211は、第1成形品不良現象選択欄1601A、及び第2成形品不良現象選択欄1601Bにおいて不良現象の選択を受け付けた後、更新ボタン1601Cの押下を受け付ける。これにより、項目選択欄1606に表示される設定項目及び実績項目の候補が、選択された不良現象に基づいて更新される。
【0112】
項目選択欄1606は、折れ線1/散布図の欄と、折れ線2の欄と、表示切替欄1606Eと、を含んでいる。
【0113】
表示切替欄1606Eは、射出成形機3の現状を表示する"現状表示"と、射出成形機3の過去の実績を表示する"履歴表示"と、を選択可能に表示する。本実施形態では、"履歴表示"が選択されている場合について説明する。
【0114】
折れ線1/散布図の欄は、第1成形品不良現象選択欄1601Aで選択された不良現象に関する情報(例えば、設定項目、又は実績項目)を、第1グラフ表示欄1607に表示するための設定欄とする。
【0115】
折れ線1/散布図の欄は、第1設定項目選択欄1606Aと、第1実績項目選択欄1606Bと、を含んでいる。
【0116】
第1設定項目選択欄1606Aは、第1グラフ表示欄1607に設定値を表示する設定項目を選択するための欄である。第1実績項目選択欄1606Bは、第1グラフ表示欄1607に実績値を表示する実績項目を選択するための欄である。
【0117】
折れ線2の欄は、第2成形品不良現象選択欄1601Bで選択された不良現象に関する情報(例えば、設定項目、又は実績項目)を、第2グラフ表示欄1608に表示するための設定欄とする。
【0118】
折れ線2の欄は、第2設定項目選択欄1606Cと、第2実績項目選択欄1606Dと、を含んでいる。
【0119】
第2設定項目選択欄1606Cは、第2グラフ表示欄1608に設定値を表示する設定項目を選択するための欄である。第2実績項目選択欄1606Dは、第2グラフ表示欄1608に実績値を表示する実績項目を選択するための欄である。
【0120】
図6に示される例では、第2成形品不良現象選択欄1601Bで"バリ"の選択を受け付けた場合として、表示制御部212が、第2設定項目選択欄1606Cのプルダウンメニューに、選択可能な実績項目"VP切替位置"、"型締力(設定)"、"計量完了位置"、"樹脂温度(設定)"を、選択された不良現象の影響度順(影響度に基づいた表示の一例)に、選択可能に表示している。さらに、
図6に示される例では、検索欄1606Fが表されている。当該検索欄1606Fから、表示されていない設定項目を検索できる。
【0121】
また、第2設定項目選択欄1606Cには、更新ボタン1606Gが設けられ、第2実績項目選択欄1606Dには、更新ボタン1606Gが設けられている。
【0122】
更新ボタン1606Gは、第2設定項目選択欄1606Cに設定された設定項目に関連する実績項目で第2実績項目選択欄1606Dを更新するために設けられている。更新ボタン1606Hは、第2実績項目選択欄1606Dに設定された実績項目に関連する設定項目で第2設定項目選択欄1606Cを更新するために設けられている。
【0123】
図7は、更新ボタン1606Gが押下された場合の折れ線2の欄の更新例を示した図である。
図7に示される例では、折れ線2の欄のうち、第2設定項目選択欄1606Cに"VP切替位置"が設定されている。入力受付部211が、更新ボタン1606Gの押下を受け付けた場合、表示制御部212は、既に選択されている不良現象"バリ"において"VP切替位置"と関連度が最も高い"充填ピーク圧"を、第2実績項目選択欄1606Dに自動的に選択表示する。
【0124】
また、更新ボタン1606Hが押下された場合には、第2実績項目選択欄1606Dに設定されている実績項目と関連度が最も高い設定項目が、第2設定項目選択欄1606Cに自動的に選択表示される。
【0125】
このように、入力受付部211が、第2設定項目選択欄1606Cで設定項目の選択を受け付けた場合に、表示制御部212は、選択されている不良現象に対応する実績項目のうち、選択を受け付けた設定項目とパラメータ対応記憶部224で関連度が最も高く対応付けられている実績項目を、第2実績項目選択欄1606Dに選択表示する。なお、第2実績項目選択欄1606Dで実績項目の選択を受け付けた場合も同様とする。さらに、当該表示は、折れ線2の欄に制限するものではなく、折れ線1/散布図の欄も同様として説明を省略する。
【0126】
図6に戻り、第1グラフ表示欄1607は、第1設定項目選択欄1606Aで選択された設定項目における設定値、及び第1実績項目選択欄1606Bで選択された実績項目における実績値を表示する。本実施形態に係る第1グラフ表示欄1607では、表示データ範囲欄1605で設定された範囲のうち、最大表示件数欄1604で設定された件数における、設定値及び実績値の変化が示される。
【0127】
図6に示される例では、第1グラフ表示欄1607は、不良現象"ショートモールド"と影響度が高いと推測される、設定項目"VP切替位置"の設定値を示す線1607Aと、実績項目"最小クッション位置"の実績値を示す線1607Bと、が示される。
【0128】
第2グラフ表示欄1608は、不良現象"バリ"と影響度が高いと推測される、設定項目"VP切替位置"の設定値を示す線1608Aと、実績項目"充填ピーク圧"の実績値を示す線1608Bと、が示される。実績項目"充填ピーク圧"は、
図7で示したように不良現象"バリ"において"VP切替位置"と関連度が最も高い実績項目として自動的に設定されている。
【0129】
影響度評価欄1609は、第1成形品不良現象選択欄1609Aと、第2成形品不良現象選択欄1609Bと、反映ボタン1609Cと、を含んでいる。
【0130】
第1成形品不良現象選択欄1609Aは、第1グラフ表示欄1607で表示されている設定項目と実績項目との影響度を更新するための選択欄である。入力受付部211が、選択欄から"大"、"中"、"小"のうちいずれか一つのチェックを受け付けた後、反映ボタン1609Cの押下を受け付けることで、変更部213が、設定項目と実績項目との影響度を更新する。例えば"大"がチェックされていた場合に影響度が大きくなり、"中"がチェックされていた場合に影響度が変化せず、"小"がチェックされていた場合に影響度が小さくなる。
【0131】
第2成形品不良現象選択欄1609Bは、第2グラフ表示欄1608で表示されている設定項目と実績項目との影響度を更新するための選択欄である。影響度の更新は、第1成形品不良現象選択欄1609Aと同様として説明を省略する。
【0132】
このように、表示制御部212は、設定項目及び実績項目の影響度を更新するための第1成形品不良現象選択欄1609A及び第2成形品不良現象選択欄1609B(表示情報の一例)を表示する。
【0133】
そして、変更部213は、入力受付部211が、第1成形品不良現象選択欄1609A又は第2成形品不良現象選択欄1609Bでチェックを受け付けると共に、反映ボタン1609Cの押下を受け付けた場合に、変更部213は、選択欄に対応する設定項目及び実績項目の影響度を、チェックに対応する影響度で変更する。
【0134】
図8は、本実施形態にかかる変更部213による、不良現象対応記憶部223に記憶されている影響度の変更を説明した概念図である。
【0135】
図6に示されるように、表示制御部212は、設定項目又は実績項目(パラメータの一例)の影響度を更新するための表示情報の一例として、第1成形品不良現象選択欄1609A及び第2成形品不良現象選択欄1609Bを表示している。
【0136】
図8に示される例では、
図6で示したように、第1成形品不良現象選択欄1609Aが"大"の選択を受け付け、第2成形品不良現象選択欄1609Bが"小"の選択を受け付けた場合の更新度の変更を行う例とする。つまり、操作者は、第1成形品不良現象選択欄1601Aで選択された"ショートモールド"において、第1グラフ表示欄1607に表示されているVP切替位置と最小クッション位置について影響度が高く、第2成形品不良現象選択欄1601Bで選択された"バリ"において、第2グラフ表示欄1608に表示されているVP切替位置と充填ピーク圧について影響度が低いと判断した場合の更新となる。
【0137】
図8に示されるように、更新前の不良現象対応記憶部223のテーブル1801においては、"ショートモールド"の"VP切替位置"1811には影響度"70"が設定されていると共に、"最小クッション位置"1812には、影響度"80"が設定されている。"バリ"の"VP切替位置"1813には影響度"70"が設定されていると共に、"充填ピーク圧"1814には、影響度"70"が設定されている。
【0138】
変更部213は、第1成形品不良現象選択欄1609Aに対する"大"の選択に基づいて、"ショートモールド"の"VP切替位置"及び"最小クッション位置"の影響度を増加させる。さらに、変更部213は、第2成形品不良現象選択欄1609Bに対する"小"の選択に基づいて、"バリ"の"VP切替位置"及び"充填ピーク圧"の影響度を減少させる。本実施形態では、影響度を増加させる場合に、"5"加算し、影響度を減少させる場合に、"5"減算する。なお、本実施形態では、増加する数値及び減少させる数値を"5"に制限するものではなく、他の数値でもよい。さらには、加算及び減算で影響度を変更する例に制限するものではなく、乗算又は除算等を用いてもよい。
【0139】
更新後の不良現象対応記憶部223のテーブル1802においては、"ショートモールド"の"VP切替位置"1821には影響度"75"に変更されると共に、"最小クッション位置"1822には影響度"85"に変更される。"バリ"の"VP切替位置"1823には影響度"65"に変更されると共に、"充填ピーク圧"1824には、影響度"65"に変更される。
【0140】
このように、本実施形態では、上述した制御によって、操作者の第1成形品不良現象選択欄1609A及び第2成形品不良現象選択欄1609Bに対する入力に応じて、不良現象対応記憶部223に記憶されている影響度を更新できる。
【0141】
なお、本実施形態は、第1成形品不良現象選択欄1609A及び第2成形品不良現象選択欄1609Bに対する入力に基づいて影響度を更新する例について説明した。しかしながら、本実施形態は影響度の更新を当該入力に基づく手法に制限するものではない。
【0142】
例えば、変更部213は、射出成形機3の金型装置800毎に、検査結果データ及びログ情報に基づいて、不良現象と、設定項目又は実績項目との相関関係を算出し、当該相関関係に基づいて、影響度を自動的に更新してもよい。さらには、変更部213は、熟練者が直接入力された影響度で更新してもよい。
【0143】
(変形例)
上述した実施形態では、管理装置2において画面を表示する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態では、不良現象に関連する設定項目又は実績項目の表示を、管理装置2に制限するものではない。そこで、変形例では、射出成形機3が表示を行う場合について説明する。
【0144】
本変形例に係る射出成形機3は、管理装置2に送信するログ情報を記憶媒体702に保存する。また、射出成形機3は、検査装置10による検査結果を示した検査結果データを、管理装置2から参照してもよいし、検査装置10から受信してもよい。また、射出成形機3は、材料乾燥機5の乾燥機データ、及び金型温調器6の温調器データを、管理装置2から参照してもよい。
【0145】
本変形例では、射出成形機3は、不良現象対応記憶部223及びパラメータ対応記憶部224を管理装置2から参照する。なお、本変形例は、参照する態様に制限するものではなく、射出成形機3が、不良現象対応記憶部223及びパラメータ対応記憶部224を記憶してもよい。
【0146】
射出成形機3の制御装置700に係るCPU701は、記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することで、入力受付部と、表示制御部と、変更部と、を実現する。
【0147】
図9は、本変形例に係る射出成形機3の制御装置700が出力するログ情報画面を例示した図である。
【0148】
図9に示されるログ情報画面1900では、総数1901と、良品数1902と、不良数1903と、リジェクト数1904と、ロギングボタン1905と、監視設定ボタン1906と、保存ボタン1907と、第1成形品不良現象選択欄1908と、第2成形品不良現象選択欄1909と、更新ボタン1910と、統計一覧1920と、実績グラフ欄1930と、が示されている。
【0149】
統計一覧1920は、設定欄1921~1928毎の統計値(例えば、平均、範囲、最大、最小、積分値、標準偏差等)が表されている。設定欄1921~1928に表される内容は、ユーザによって設定できる。本変形例では、設定欄1921~1928に、設定項目及び実績項目の設定を可能としている。本実施形態では、設定欄1921~1928に表される項目について表示、監視、及びログ情報の保存が可能となる。なお、本実施形態の監視とは、所定の基準に基づいた良品か否かの判定を表す。
【0150】
統計一覧1920の"監視"、"中心"、及び"範囲"は、当該設定欄における成形品の不良か否かを判定するための情報とする。"監視"には、監視を行う"入"又は監視を行わない"切"が設定される"監視"は、以下に示す監視設定ボタン1906により行われる。例えば、"中心"で示される値から"範囲"で示される範囲に含まれていない場合には不良と判定する。
【0151】
監視設定ボタン1906において、監視が"切"の場合には監視を行わず、"入"の場合に監視を行うことを示している。"入"の場合、制御装置700は、設定欄1921~1928の各々において、計測された実績値又は設定値が、"監視"、"中心"、及び"範囲"で示された基準を満たしているか否かに応じた監視を行う。
【0152】
統計一覧1920の"不良"は、"監視"、"中心"、及び"範囲"で示された基準を満たしていない成形品の個数を示している。
【0153】
設定欄1921~1928は、射出成形機3のサイクル、充填、及び計量における、監視対象となる項目(例えば、設定項目及び実績項目)として設定されている。
【0154】
制御装置700の入力受付部は、設定欄1921~1928に対する項目の変更を受け付ける。制御装置700の表示制御部は、設定欄1921~1928のうちいずれか一つ(例えば設定欄1927)の選択を受け付けた場合に、選択可能な項目の一覧1940を表示する。
【0155】
経験の少ない操作者が、項目の一覧1940から、監視が必要な項目を、適切に選択するのは難しい。そこで本変形例では、入力受付部211が、第1成形品不良現象選択欄1908及び第2成形品不良現象選択欄1909から不良現象の選択を受け付ける。
【0156】
入力受付部が、第1成形品不良現象選択欄1908及び第2成形品不良現象選択欄1909で不良現象の選択を受け付けた後、更新ボタン1910の押下を受け付けた場合、表示制御部は、選択可能な項目の一覧1940に、選択された不良現象における影響度が高い順に項目が表示される。
図9に示される例では、不良現象"ショートモールド"において影響度が高い順に実績項目を表示している。
【0157】
入力受付部が、一覧1940に表されているタブの切り替えを受け付けることで、表示制御部は、第1成形品不良現象選択欄1908又は第2成形品不良現象選択欄1909で選択されている不良現象と影響度が高い項目を、選択可能に表示できる。換言すれば、操作者からタブの切り替えを受け付けることで、表示制御部は、不良現象"ショートモールド"で影響度が高い設定項目、不良現象"バリ"で影響度が高い設定項目、又は不良現象"バリ"で影響度が高い実績項目等を、表示できる。これらの設定項目及び実績項目は、影響度順に表示される。
【0158】
そして、入力受付部が、項目の一覧1940で表示されている、設定項目又は実績項目の選択を受け付ける。これにより、設定欄1921~1928に設定される項目を更新できる。
【0159】
実績グラフ欄1930は、ショット毎に、設定欄1921~1928における設定値又は各種センサによって計測された実績値のグラフを示している。
【0160】
ロギングボタン1905は、実績グラフ欄1730に示された設定値及び実績値のうち少なくとも一つ以上をログ情報として保存するか否かを受け付けるボタンとする。ロギングボタン1905が押下されている("ロギング 入"と表示されている)場合に、制御装置700は、実績グラフ欄1730に示された情報等を、ログ情報として記憶媒体702に保存する。
【0161】
監視設定ボタン1906は、統計一覧1920の監視する項目に従って監視するか否かを受け付けるボタンとする。監視設定ボタン1906が押下されている("監視 入"と表示されている)場合に、1ショット毎に不良品であるか否かを監視し、監視結果をログ情報に含める。
【0162】
保存ボタン1907は、設定欄1911~1918毎の統計値(例えば、平均、範囲、最大、最小、積分値、標準偏差等)を保存するか否かを受け付けるボタンとする。保存ボタン1907が押下されている場合に、成形時における、設定欄1911~1918毎の統計値を、ログ情報として保存する。
【0163】
総数1901は、射出成形機3において成形された成形品の数を示している。良品数1902は、"監視"、"中心"、及び"範囲"に基づいて良品と判定された成形品の数を示している。不良数1903は、"監視"、"中心"、及び"範囲"に基づいて不良品と判定された成形品の数を示している。リジェクト数1904は、リジェクトされた成形品の数を示している。
【0164】
本実施形態に係る制御装置700は、上述した構成を備えることで、射出成形機3において、不良現象に関連する項目(設定項目又は実績項目)の設定が容易になる。したがって、不良現象に関連する、設定項目の設定値又は実績項目の実績値の監視が容易になる。
【0165】
また、本変形例においても、上述した実施形態と同様に、不良現象の選択を受け付けた後、任意の設定欄(例えば、設定欄1921~1928)に、設定項目の選択を受け付けた場合に、選択を受け付けた設定項目と関連度が高い実績項目が自動的に、隣接する設定欄に選択されてもよい。
【0166】
同様に、本変形例においても、上述した実施形態と同様に、影響度の変更を行ってもよい。このように、射出成形機3は、管理装置2で実施可能な処理であれば、実行できるものとして、説明を省略する。
【0167】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、集約した射出成形機3や周辺機器のデータを、分析画面、品質管理画面、又はログ情報画面として表示できるので、操作者は、射出成形機3により成形の状況の把握が容易になる。
【0168】
従来から、操作者が、射出成形機で製造された成形品の不良原因を簡単に調べたいという要望がある。また、射出成形機において、成形品の不良現象と相関が高いデータ(例えば、設定項目又は実績項目)に対して、専門知識がなくても簡単に監視をかけたいという要望がある。
【0169】
従来の技術では、このような要望について、操作者が、膨大な種類のデータから、関連のありそうな項目を人手で調査する必要があった。また、専門知識のない操作者では、時間を要するだけでなく不良現象に対応する項目の特定が難しかった。そのため、不良現象が発生した期間の特定やその後の品質データ監視による再発防止が不十分で成形品の品質向上に繋がらない可能性があった。
【0170】
これに対して、上述した実施形態及び変形例においては、分析画面、品質管理画面、又はログ情報画面において、設定項目又は実績項目を選択する際に、不良現象の選択を受け付けておくことで、選択可能な候補を絞り込むことができる。これにより、操作者は、不良現象に関連のある項目を把握できる。したがって、操作者は、熟練者でなくとも項目の選択が容易になるので、操作負担を軽減できる。
【0171】
また、上述した実施形態及び変形例においては、射出成形機3が成形品を製造している状況に応じて、設定項目又は実績項目の影響度を変更できる。したがって、変更後に、不良現象の選択を受け付けた際に、より適切な設定項目又は実績項目を提示できるので、操作者の負担を軽減できる。
【0172】
また、上述した実施形態及び変形例においては、設定項目と実績項目との間の関連度を保持しているので、設定項目及び実績項目のうちいずれか一方の選択を受け付けた場合に、関連性の高い、設定項目及び実績項目のうちいずれか他方を提示できる。これにより、操作者の操作負担を軽減できる。
【0173】
以上、本発明に係る射出成形の表示装置、射出成形機、及び射出成形の管理装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0174】
1 管理システム
2 管理装置
3A、3B 射出成形機
4A、4B 取出ロボット
5A、5B 材料乾燥機
6A、6B 金型温調器
8 通信ネットワーク
10A、10B 検査装置
201 CPU
202 通信インターフェース
203 入力インターフェース
204 出力インターフェース
21 記憶装置
22 表示ディスプレイ
23 入力装置
211 入力受付部
212 表示制御部
213 変更部
221 ログ情報記憶部
222 検査情報記憶部
223 不良現象対応記憶部
224 パラメータ対応記憶部