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  • 特開-管継手、及び、鋼管の接続方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151555
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】管継手、及び、鋼管の接続方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20231005BHJP
   F16L 37/091 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16L21/08 B
F16L37/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061226
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 正俊
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
【Fターム(参考)】
3H015FA06
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106EA03
3J106EB02
3J106ED13
3J106ED24
(57)【要約】
【課題】鋼管を管継手と接続する際に、抜け方向の移動阻止力を保持しつつ簡易に接続することができる管継手を提供する。
【解決手段】管継手12は、接続先端側の外周に凹条が形成された鋼管Kを接続する管継手であって、一端部20A側から鋼管Kが挿入されるインナー部材20と、鋼管Kの外周とインナー部材20の内周との間をシールするインナーシール部材と、インナー部材の内周に配置され、凹条と係合して鋼管の挿入方向と反対方向の移動を規制する爪部材24A、25Aと、インナー部材20に形成され、鋼管Kの先端がインナー部材20の適正位置へ挿入された状態を、インナー部材20の外側から視認可能とする位置確認部と、一端部40A側からインナー部材20が挿入され、インナー部材20を筒内に保持するアウター部材40と、アウター部材40の内周とインナー部材20の外周との間をシールするアウターシール部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先端側の外周に凹条が形成された鋼管を接続する管継手であって、
筒状とされ、筒軸方向の一端側から前記鋼管が挿入されるインナー部材と、
環状とされて前記インナー部材の内周に配置され、前記鋼管の外周と前記インナー部材の内周との間をシールするインナーシール部材と、
環状とされて前記インナー部材の内周に配置され、前記凹条と係合して前記鋼管の挿入方向と反対方向の移動を規制する爪部材と、
前記インナー部材に形成され、前記鋼管の先端が前記インナー部材の適正位置として前記爪部材と前記凹条とが係合する位置へ挿入された状態を、前記インナー部材の外側から視認可能とする位置確認部と、
筒状とされて筒内に前記インナー部材が挿入され、前記インナー部材を筒内に保持するアウター部材と、
前記アウター部材の内周と前記インナー部材の外周との間に配置され、前記アウター部材の内周と前記インナー部材の外周との間をシールするアウターシール部材と、
を備えた管継手。
【請求項2】
前記位置確認部は、前記アウターシール部材よりも前記挿入奥側に設けられている、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記位置確認部は、前記インナー部材の他端部の筒開口に形成され前記鋼管が前記適正位置に配置された状態で前記鋼管の先端が当接される当接部、を有する、
請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管継手への鋼管の接続方法であって、
前記鋼管の接続先端側の外周に凹条を形成し、
前記鋼管を前記インナー部材の一端側から前記適正位置へ挿入し、
前記インナー部材を前記アウター部材へ挿入し、前記アウター部材へ保持させる、
鋼管の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、管継手、及び、鋼管の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の床や壁内の配管には、鋼管が広く使用されている。この鋼管を、他の鋼管等と接続する場合、フランジやネジ接続で行っている。例えば、特許文献1には、鋼管のフランジを用いて、相手部材とボルトで接続する管継手構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-55742号公報
【特許文献2】特許5219266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、フランジをネジ止めする場合には、締め込み具合等、施工者の技量に依るところが大きく、不具合が発生する場合も考えられる。一方、特許文献2のように、フレキシブル管の管継手のように、規定の位置まで差し込むことにより管継手内に鋼管を保持することも考えられるが、鋼管に適用するためには、抜け方向の移動阻止力を保持するために工夫が必要である。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、鋼管を管継手と接続する際に、抜け方向の移動阻止力を保持しつつ簡易に接続できる管継手構造、及び、鋼管の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の管継手は、接続先端側の外周に凹条が形成された鋼管を接続する管継手であって、筒状とされ、筒軸方向の一端側から前記鋼管が挿入されるインナー部材と、環状とされて前記インナー部材の内周に配置され、前記鋼管の外周と前記インナー部材の内周との間をシールするインナーシール部材と、環状とされて前記インナー部材の内周に配置され、前記凹条と係合して前記鋼管の挿入方向と反対方向の移動を規制する爪部材と、前記インナー部材に形成され、前記鋼管の先端が前記インナー部材の適正位置として前記爪部材と前記凹条とが係合する位置へ挿入された状態を、前記インナー部材の外側から視認可能とする位置確認部と、筒状とされて筒内に前記インナー部材が挿入され、前記インナー部材を筒内に保持するアウター部材と、前記アウター部材の内周と前記インナー部材の外周との間に配置され、前記アウター部材の内周と前記インナー部材の外周との間をシールするアウターシール部材と、備えている。
【0007】
第1の態様の管継手は、インナー部材とアウター部材を有している。インナー部材は、筒状とされ、筒軸方向の一端側から鋼管が挿入される。インナー部材の内周には、インナーシール部材と爪部材が配置されている。インナーシール部材により、鋼管とインナー部材の間がシールされ、爪部材により、鋼管の抜けが阻止される。爪部材は、凹条と係合するので、抜け方向の移動阻止力を保持することができる。
【0008】
アウター部材は、筒軸方向の一端側からインナー部材が挿入され、インナー部材を筒内に保持する。アウター部材の内周とインナー部材の外周との間は、アウターシール部材によりシールされる。
【0009】
インナー部材には、鋼管の先端がインナー部材の適正位置として爪部材と凹条とが係合する位置へ挿入された状態を、インナー部材の外側から視認可能とする位置確認部が設けられている。したがって、作業者は、鋼管がインナー部材の適正位置へ挿入されているかどうかを目視により、容易に確認することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の管継手は、前記位置確認部は、前記アウターシール部材よりも前記挿入奥側に設けられている。
【0011】
第2の態様の管継手によれば、アウターシール部材よりも挿入手前側に位置確認部が設けられていないので、アウター部材とインナー部材の間のシールを容易に行うことができる。
【0012】
本発明の第3の態様の管継手は、前記位置確認部は、前記インナー部材の他端部の筒開口に形成され前記鋼管が前記適正位置に配置された状態で前記鋼管の先端が当接される当接部を有する。
【0013】
第3の態様の管継手によれば、インナー部材の他端部の筒開口に形成された当接部の鋼管の先端を当接させることにより、鋼管をインナー部材の適正位置へ挿入することができる。
【0014】
本発明の第4の態様の鋼管の接続方法は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の管継手への鋼管の接続方法であって、前記鋼管の接続先端側の外周に凹条を形成し、前記鋼管を前記インナー部材の一端側から前記適正位置へ挿入し、前記インナー部材を前記アウター部材へ挿入し、前記アウター部材へ保持させるものである。
【0015】
第4の態様の鋼管の接続方法では、まず、鋼管の接続先端側の外周に凹条を形成する。次に、鋼管をインナー部材の一端側から適正位置へ挿入する。適正位置への挿入は、位置確認部を介してインナー部材の外側から視認により確認することができる。その後、インナー部材をアウター部材へ挿入し、アウター部材へ保持させる。これにより、容易に鋼管が適正位置に挿入されたことを確認して接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成としたので、鋼管を管継手と接続する際に、抜け方向の移動阻止力を保持しつつ簡易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の管継手構造の半断面図である。
図2】本実施形態の管継手構造10の接続前の斜視図である。
図3】本実施形態のインナー部材の半断面図である。
図4】本実施形態のアウター部材の半断面図である。
図5】本実施形態の変形例に係るインナー部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の管継手、及び、鋼管の接続方法について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の管継手12に鋼管Kが接続された管継手構造10の半断面図が示されている。管継手構造10は、管継手12に鋼管Kが挿入された構造である。管継手12は、鋼管Kを他の配管等に接続する継ぎ手である。図2には、管継手構造10の接続前の斜視図が示されている。
【0020】
鋼管Kは、金属製であり、接続先端側の外周に、第1凹条K1及び第2凹条K2が形成されている。第1凹条K1は、鋼管Kの先端から距離D1手前側の位置に溝幅の接続先端側(鋼管Kの先端側)が配置されるように形成され、鋼管Kの外周を一周する溝とされている。第2凹条K2は、第1凹条K1よりも鋼管Kの先端から離れた距離D2手前側の位置に溝幅の接続先端側が配置されるように形成され、鋼管Kの外周を一周する溝とされている。第1凹条K1及び第2凹条K2の溝幅は、後述する爪部材24A、25Aに対応する幅とされており、本実施形態では、後述する第1爪溝24、第2爪溝25の溝幅と略同一とされている。
【0021】
管継手12は、同軸状に配置される、インナー部材20、及び、アウター部材40を有している。以下、インナー部材20、及び、アウター部材40の中心軸をSとする。インナー部材20は、金属製の筒状とされ、一端部20Aの外周に環状のフランジ部22が形成されている。フランジ部22には、中心軸S方向に貫通するボルト孔22Aが、複数(本実施形態では4箇所)形成されている。インナー部材20の外周面は、フランジ部22を除いて段差のない同一外径の平滑状となっている。
【0022】
インナー部材20の他端部20B側の内周面には、他端部20B側から順に、第1シール溝23、第1爪溝24、第2爪溝25、及び第2シール溝26が形成されている。第1シール溝23には、Oリング23Aが配置され、第2シール溝26には、Oリング26Aが配置されている。
【0023】
第1爪溝24には、爪部材24Aが配置され、第2爪溝25には、爪部材25Aが配置されている。爪部材24A、25Aは、環状とされ、断面V字状とされている。爪部材24A、25Aは、V字の開口が他端部20B側に向くように配置され、径方向外側に配置されるV字の一辺が第1爪溝24の底部、第2爪溝25の底部、に沿って各々配置され、径方向内側に配置されるV字の他辺が第1爪溝24、第2爪溝25から各々径方向内側に突出されている。爪部材24A、25Aは金属製とされ、V字の開口が閉じるように弾性変形可能とされている。
【0024】
インナー部材20の他端部20Bの先端には、当接部21が形成されている。当接部21は、インナー部材20の他端部20Bの先端から径方向内側に、鋼管Kの内壁と略同じ位置まで突出されている。第1爪溝24は、当接部21の厚み内側壁から距離D1の位置に形成され、第2爪溝25は、当接部21の厚み内側壁から距離D2の位置に形成されている。これにより、鋼管Kがインナー部材20に挿入されて先端が当接部21に当接された状態で、第1凹条K1と第1爪溝24が径方向に対向する位置に配置され、第2凹条K2と第2爪溝25が径方向に対向する位置に配置される。
【0025】
アウター部材40は、金属製の筒状とされ、一端部40Aの外周に環状のフランジ部41が形成され、他端部40Bの外周に環状のフランジ部42が形成されている。フランジ部41、42には、中心軸S方向に貫通するボルト孔41A、42Aが、複数(本実施形態では4箇所)形成されている。アウター部材40の一端部40A側から挿入されたインナー部材20のフランジ部22とアウター部材40のフランジ部41が重ね合わされ、ボルト孔22A、41AにボルトBが挿通され、ナットNと螺合されてフランジ部22、41を締結している。
【0026】
アウター部材40の内周面には、一端部40A側から順に、第1シール溝43、第2シール溝44、第3シール溝45、及び第4シール溝46が形成されている。第1シール溝43にはOリング43Aが配置され、第2シール溝44にはOリング44Aが配置され、第3シール溝45にはOリング45Aが配置され、第4シール溝46にはOリング46Aが配置されている。
【0027】
アウター部材40の中心軸S方向の長さは、インナー部材20の同方向の長さの略2倍とされている。アウター部材40他端部40B側には、他の管体等が接続される。本実施形態では、ソケット型の管継手となっている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
鋼管Kを管継手12に接続する際には、まず、鋼管Kの接続先端側の外周に、第1凹条K1、第2凹条K2を形成する。第1凹条K1は、接続先端から距離D1の位置に形成し、第2凹条K2は、第1凹条K1は、接続先端から距離D2の位置に形成する。
【0030】
次に、第1凹条K1、第2凹条K2が形成された鋼管Kを、インナー部材20の一端部20A側から挿入する。爪部材25A、24Aを超えるときに、鋼管Kの先端に押されて、爪部材25A、24Aは、V字の開口が狭まるように弾性変形する。そして、鋼管Kの先端を当接部21に当接させる。
【0031】
この状態で、第1シール溝23のOリング23A、第2シール溝26のOリング26Aにより、鋼管Kの外周面とインナー部材20の内周面がシールされる。また、爪部材24AはV字の開口が開くように復元して第1凹条K1と係合し、爪部材25AもV字の開口が開くように復元して第2凹条K2と係合する。これにより、鋼管Kのインナー部材20から抜け出す方向の移動が規制される。
【0032】
作業者は、鋼管Kの接続側先端が当接部21に当接している状態、すなわち、鋼管Kの先端がインナー部材20の適正位置に配置されている状態を、開口21Aから確認することができる。なお、インナー部材20とアウター部材40が別体となっていない管継手の場合には、インナー部材20の他端部20Bに他の部材を接続するための接続部が設けられているため、鋼管Kの先端位置を目視で確認することは難しい。
【0033】
鋼管Kをインナー部材20の適正位置へ挿入した状態で、インナー部材20をアウター部材40の一端部40A側から挿入する。そして、フランジ部22をフランジ部41と重ね合わせ、ボルト孔22A、41AにボルトBを挿通して、ナットNと螺合させてフランジ部22、41を締結する。
【0034】
このようにして、鋼管Kを管継手12と接続することにより、容易に鋼管Kを適切に管継手12と接続することができる。
【0035】
また、爪部材24Aを第1凹条K1と係合させ、爪部材25Aを第2凹条K2と係合させて、鋼管Kのインナー部材20から抜け出す方向の移動を規制することにより、鋼管Kの抜け方向の移動阻止力を保持することができる。
【0036】
さらに、インナー部材20とアウター部材40は、フランジ部22とフランジ部41とを重ね合わせてボルト締結することにより、容易に接合することができる。本実施形態の管継手12では、フランジ部22とフランジ部41の間にシール部分が設けられていないので、ボルトBの締結が方締めになる等の不具合が発生しにくい。
【0037】
また、本実施形態では、ソケット式のアウター部材40を例に説明したが、インナー部材20とアウター部材40が別体とされているので、他端部40B側の形状の異なるアウター部材40を用いることにより、管継手を異なる形状にすることができる。例えば、アウター部材40のみ代えることにより、エルボ、チーズ等の管継手とすることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、インナー部材20の他端部20Bに当接部21を設けたが、必ずしも当接部21は必要ではない。当接部21を設けることにより、鋼管Kの先端を当接部21に当接させることで、鋼管Kを簡易にインナー部材20の適正位置に配置することができる。
【0039】
また、本実施形態では、当接部21を環状としてが、図5に示されるように、インナー部材20の他端部20Bの周方向の一部(図5では2箇所)に当接部21Bを設けてもよい。この場合には、開口21Cから、インナー部材20の適正位置に配置された鋼管Kを確認することができる。
【0040】
また、本実施形態では、インナー部材20とアウター部材40は、フランジ部22とフランジ部41とをボルト締結することにより接合したが、クリップ等、他の保持手段により、インナー部材20をアウター部材40に保持させてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、アウター部材40の内周面に、第1シール溝43、第2シール溝44、第3シール溝45、及び第4シール溝46を形成したが、これらに代えて、インナー部材20の外周面にOリングを配置するための溝を形成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
12 管継手
20 インナー部材
20A 一端部
20B 他端部
21、21B 当接部
21A 開口(位置確認部)
21C 開口(位置確認部)
23A、26A Oリング(インナーシール部材)
24A、25A 爪部材
40 アウター部材
40A 一端部
40B 他端部
43A、44A Oリング(アウターシール部材)
K 鋼管
K1 第1凹条(凹条)
K2 第2凹条(凹条)
図1
図2
図3
図4
図5