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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151560
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ウェアラブルカメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/66 20230101AFI20231005BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231005BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231005BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20231005BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20231005BHJP
   H04N 23/71 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
H04N5/232 030
G03B15/00 U
G03B15/00 Q
G03B17/02
G03B17/56 Z
H04N5/225 600
H04N5/235 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061235
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 文月
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健介
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA11
2H100CC01
2H100DD15
2H105EE16
5C122DA09
5C122EA52
5C122FH11
5C122FH14
5C122GG05
5C122GG10
5C122GG17
5C122GG28
5C122HA29
5C122HA81
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】 本発明の目的は、照射部の消費電力を適切に制御可能なウェアラブルカメラを提供することである。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明のウェアラブルカメラは、撮像部と、前記撮像部によって撮像される撮像箇所を示すための光を照射する照射部と、前記照射部に印加する電力を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記撮像部で取得した画像の状態に応じて、前記照射部に印加する電力を制御することを特徴とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部によって撮像される撮像箇所を示すための光を照射する照射部と、
前記照射部に印加する電力を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記撮像部で取得した画像の状態に応じて、前記照射部に印加する電力を制御することを特徴とするウェアラブルカメラ。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像内に人物がいることを検知した場合には、前記照射部に電力を供給しないことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項3】
前記制御部は、前記照射部の照射による反射光により前記画像の輝度値が閾値を超えた場合には、前記照射部に電力を供給しないことを特徴とする請求項1または2に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像から検出した被写体の明るさに応じて、前記照射部の照射状態を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項5】
前記制御部は、前記照射部の点灯と消灯とを繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項1または4に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項6】
前記制御部は、前記照射部の照射時間を設定することを特徴とする請求項1または4に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項7】
温度検知部を備え、前記照射部の照射時間は、前記温度検知部により取得した温度が、予め設定しておいた温度閾値を超える前までの時間であることを特徴とする請求項6に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項8】
撮像部と、
前記撮像部によって撮像される撮像箇所を示すための光を照射する照射部と、
前記照射部に印加する電力を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記撮像部の状態に応じて、前記照射部に印加する電力を制御することを特徴とするウェアラブルカメラ。
【請求項9】
温度検知部を備え、
前記制御部は、前記温度検知部により取得した温度が、閾値を超えた場合には前記照射部に電力を供給しないことを特徴とする請求項8に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項10】
前記照射部は点光源であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項11】
首掛け型カメラであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のウェアラブルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射部を有するウェアラブルカメラに関し、特に照射部の照射条件の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザーの身体に装着可能な撮像装置として、ウェアラブルカメラが良く知られている。ウェアラブルカメラは、頸部や耳、頭部に装着してハンズフリーな状態で前方や後方を撮影でき、また、ユーザーは撮影と作業を同時に行うことが可能である。しかしながら、ウェアラブルカメラを頸部や耳、頭部に装着して撮影している場合、ユーザーはカメラの正確な向きを把握できず、どこを撮影しているかを知ることができない場合がある。そのような場合、ウェアラブルカメラにポインタ機能を搭載し、撮影箇所や撮影範囲を提示させる方法が有効である。特許文献1には、撮影範囲をユーザーに示すポインタ機能を備えたウェアラブルカメラが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術は、ポインタ(照射部)の消費電力を考慮していない。消費電力を考慮した適切な制御をしない場合、消費電力の増大を招く場合がある。そこで、本発明の目的は、照射部の消費電力を適切に制御可能なウェアラブルカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のウェアラブルカメラは、撮像部と、前記撮像部によって撮像される撮像箇所を示すための光を照射する照射部と、前記照射部に印加する電力を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記撮像部で取得した画像の状態に応じて、前記照射部に印加する電力を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、照射部の消費電力を適切に制御可能なウェアラブルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るウェアラブルカメラの外観を示す斜視図
図2】実施形態1に係るウェアラブルカメラの構成例を示すブロック図
図3】実施形態1に係るウェアラブルカメラの制御処理の一例を示すフローチャート
図4】実施形態2に係るウェアラブルカメラの構成例を示すブロック図
図5】実施形態2に係るウェアラブルカメラの制御処理の一例を示すフローチャート
図6】実施形態3に係るウェアラブルカメラの構成例を示すブロック図
図7】実施形態3に係るウェアラブルカメラの制御処理の一例を示すフローチャート
図8】実施形態4に係るウェアラブルカメラの制御処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。また、添付図面においては、同一または同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<実施形態1>
特許文献1に開示された従来技術は、照射部としてのポインタの消費電力を考慮していない為、消費電力の適切な制御をしないと、消費電力の増大を招く場合がある。より具体的には、ポインタの照射が不要な場合や、ポインタを照射することが好ましくない場合においても、ポインタを照射し続ける可能性がある。このような場合には、ウェアラブルカメラを装着している人物(以降、単に装着者とする)が手動でポインタを消灯する手段が考えられる。しかしながら、ウェアラブルカメラは装着者の手を塞がずに装着できることで、何らかの作業を実施しながら撮影が行えるという利点があるため、装着者が手動でポインタの照射状態を切り替えることは煩わしく、好ましくない。
【0010】
そこで本発明の実施形態1では、撮影画像の状態に応じて、ポインタの照射が不要な場合にはポインタを自動消灯することで、装着者の手を煩わせることなく消費電力を適切に制御することを可能にしたウェアラブルカメラを提案する。
【0011】
以下、図1から図3を参照して、本発明の実施形態1による、ウェアラブルカメラのポインタ照射制御について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るウェアラブルカメラ100の外観を示す斜視図である。ウェアラブルカメラ100は装着部110、可動部120、カメラヘッド部130を備えており、装着者は装着部110を首に掛けて使用する。カメラヘッド部130は、撮像部131と、照射部としてのポインタ部132を有している。また、撮影部131は前方の撮影を行い、ポインタ部132は撮影部131の撮影箇所を装着者に示す。可動部120は装着部110とカメラヘッド部130の間に配置され、カメラヘッド部130を回転させる役割を持つ。
【0013】
なお、本実施形態では撮影部131とポインタ部132は同じカメラヘッド部130内に配置しているが、ポインタ部132が撮影箇所を提示できれば、配置は本構成に限定されることはない。また、カメラヘッド部130の回転機構が不要なウェアラブルカメラの場合は、可動部120を無くして、装着部110とカメラヘッド部130を直接接続した構成でもよい。また、ウェアラブルカメラ100は、装着者が装着部110を首に掛けて使用する手段に限らず、身体の一部にハンズフリーで装着できればよい。但し、頸部は人体で最も動作によるブレが少ない箇所であるため、首掛け型カメラであれば、装着者の動きによる影響を受けにくく、ウェアラブルカメラとしてより安定した撮影が行える。
【0014】
図2は、実施形態1に係るウェアラブルカメラ100の構成例を示すブロック図である。以下、図2を参照してウェアラブルカメラ100の構成について説明する。
【0015】
撮像部131は、不図示の撮像素子および撮影レンズを備えており、この撮像素子は、例えば、CCD又はCMOS素子およびA/D変換器を有している。そして、撮影レンズを介してCCD又はCMOS素子に光学像が結像される。CCD又はCMOS素子は光学像に応じた電気信号(アナログ信号)を出力し、A/D変換器は当該アナログ信号をデジタル信号に変換して画像データとして出力する。なお、撮像部131を構成する撮影レンズ、撮像素子およびA/D変換器の構成は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種構成が適用できる。すなわち、撮像部131は被写体の光学像から電気信号(画像データ)を生成して出力できる構成であればよい。
【0016】
ポインタ部132は、不図示のポインタ光源を備えており、ポインタ光源は例えば、半導体レーザー(LD)又はLED素子である。なお、光源がLED素子の場合、LED素子は半導体レーザーよりも配光角が広いため、LED素子の前方に集光レンズを配置して、配光角を狭くすることが望ましい。また、ポインタ部132は、ウェアラブルカメラ100の装着者に撮像箇所を示すことができればよく、レーザーポインタのような点光源で十分である。点光源であれば、先述した配光角を狭めるための機構などを備えることなく撮影箇所を容易に提示することができる。
【0017】
記憶部140は、電気的に消去・記録可能なメモリやシステムメモリ、ワークメモリ、画像メモリであり、例えば、RAMやROMが含まれる。記憶部140には、CPU150の動作用の定数およびプログラムなどが記憶される。なお、当該プログラムには後述するフローチャートを実行するためのプログラムが含まれる。
【0018】
CPU150は、ウェアラブルカメラ100全体の制御を司る。そして、CPU150は、記憶部140に記録されたプログラムを実行することによって、後述する処理を行う。また、CPU150は記憶部140に記録された画像データを記録部160に送って、当該記録部160に画像データを記録する。なお、記録部160は、例えば、メモリカードなどの記録媒体である。
【0019】
ポインタ制御部170は、CPU150で実行されるプログラムに基づいて、ポインタ部132に印加する電力を制御し、ポインタ部132に電力を供給する。
【0020】
スイッチ部133は、図1に図示はしないが装着部110もしくはカメラヘッド部130の外装に配置されており、物理的に押されることで、ポインタのオン/オフを切り替えることができる。なお、ポインタがオンの状態とは、ポインタ制御部170からポインタ部132に電力を供給できる状態を指し、逆に、オフの状態とは、ポインタ制御部170からポインタ部132に電力が供給できない状態を指す。ポインタがオフの状態でスイッチ部133が一度押されると、ポインタはオンに切り替わり、ポインタがオンの状態でスイッチ部133が再び押されると、ポインタはオフに切り替わるものである。
【0021】
続いて、図3に示すフローチャートを用いて、撮影画像の状態に応じてポインタ部132の照射状態を制御する手順を詳細に説明する。
【0022】
図3は、実施形態1に係るウェアラブルカメラ100の制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図3のフローチャートに係る処理は、CPU150が記憶部140に格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0023】
まず、ウェアラブルカメラ100による撮影が開始されると、撮像部131は画像を取得する(ステップS301)。次に、CPU150は、スイッチ部133の押下状態からポインタのオン/オフ状態を判定する(ステップS302)。この時点でポインタがオフである場合(ステップS302においてNO)には、以降の処理は実施せずに本フローを終了する。ポインタがオン(ステップS302においてYES)であれば、CPU150は、ステップS301で取得した撮影画像から、後述する条件をすべて満たすか否かを判定する(ステップS303)。ここで、撮影画像の状態が条件を一つでも満たさない場合(ステップS303においてNO)、ポインタ制御部170は、CPU150からの指示に基づいてポインタ部132への電力供給を中断し(ステップS309)、ステップS310へ進む。但し、条件を一つでも満たさない場合に、ステップS303の時点でポインタ制御部170からポインタ部132への電力供給がなされていない場合には、そのまま電力を供給しない状態を継続し(ステップS309)、同様にステップS310へ進む。
【0024】
一方で、撮影画像の状態が条件をすべて満たす場合(ステップS303においてYES)、ポインタ制御部170は、CPU150からの指示に基づいてポインタ部132に電力を供給する(ステップS304)。続いてCPU150は、ステップS301で取得した撮影画像から、画素ごとに輝度値を算出(ステップS305)し、輝度値がある一定の閾値を超える画素が存在するか否かを判定する(ステップS306)。画像内に輝度値が閾値を超える画素が存在しない場合(ステップS306においてNO)、そのままステップS310へ進む。一方、輝度値が閾値を超える画素が存在する場合(ステップS306においてYES)には、ポインタ制御部170が、CPU150からの指示に基づいてポインタ部132への電力供給を中断する(ステップS307)。その後、撮像部131で再び画像を取得し、CPU150は、ステップS306で輝度値が閾値を超えていると判定した画素について、輝度値が閾値を下回ったかを判定する(ステップS308)。当該画素の輝度値が閾値を下回っている場合(ステップS308においてYES)、ステップS310へ進む。
【0025】
続いてステップS310では、CPU150がスイッチ部133の押下状態からポインタのオン/オフ状態を再度判定し、ポインタがオフ(ステップS310においてYES)であれば、一連の処理を終了する。ポインタがオンになっていれば(ステップS310においてNO)、ステップS303に戻り、ポインタが物理的にオフされるまでステップS303からステップS310の処理を繰り返す。
【0026】
このように、図3に示すフローに則ってポインタの照射制御を実行することで、ウェアラブルカメラ100は、ポインタの照射が不要であると判断できる場合に自動でポインタを消灯する。特に、ステップS304からステップS308のループ処理では、ポインタ部132からの照射光が被写体に反射し、反射光が撮影画像に写りこむことがある。この場合、撮影画像の一部における輝度値が高くなってしまい、画像の品質や視認性が低下する場合があるが、このときもポインタを消灯するものである。
【0027】
以上の処理により、ウェアラブルカメラ100は、装着者の手を煩わせることなく不要な電力消費を削減し、消費電力を適切に制御することができる。さらに、ステップS304からステップS308の処理により、画像品質や視認性の低下を防ぐこともできる。
【0028】
なお、ステップS303における条件には以下の例がある。例えば、ステップS301で取得した撮影画像から人体検出を行い、撮影画角内に人物がいないことを条件とする。この条件によって、撮影画角内に人物を検知した場合にポインタが自動消灯されることで、消費電力の適切な制御だけでなく、人の目にポインタが照射されることがないなど、安全面でも効果が得られる。人体検出の手段としては背景差分による動体検出などが挙げられるが、一般的に知られている人体検出の手段でよく、これに限定されるものではない。また、ウェアラブルカメラ100の装着者が何らかの作業を実施していることを条件としてもよい。この場合、スイッチ部133の押下によってポインタがオンになっていても、装着者が作業を実施していなければポインタを消灯し、電力を削減することができる。なお、装着者が作業を実施しているか否かの判定は、例えば、撮像部131で取得した撮影画像から装着者の手や腕部を検出し、一定時間以上、手や腕部が画角内に写りこんでいるかを基準として判定する手段があるが、この限りではない。また、先述した複数の判定条件に加え、ステップS306の判定は必須ではなく、いずれか一つ以上を条件として判定してもよい。
【0029】
<実施形態2>
特許文献1に開示された従来技術は、製造現場等の屋内を想定されており、ポインタの光の明るさ(照度)は屋内照明の目安値(およそ1,000ルクス以下)に対して同等、または少し低い程度であり、十分である。よって、装着者がポインタの照射光を視認することは容易である。しかしながら、屋外の太陽光のもと(およそ1,000~100,000ルクス)でポインタ機能を使用すると、ポインタの明るさ(照度)は太陽光に対して低いため、装着者はポインタの照射光を視認できない場合がある。そこで単にポインタの出力を上げて装着者がポインタの照射光を視認できるようにすると、消費電力の増大によりウェアラブルカメラのバッテリー寿命が短くなる場合がある。また、消費電力の増大はポインタ周辺及びカメラと肌が触れ合う箇所の温度を上昇させてしまう。仮に放熱を考慮した場合は、冷却ファンの搭載やポインタ周辺の表面積を増やす必要があるため、装置の大型化が懸念される。
【0030】
そこで本発明の実施形態2では、撮影画像の明るさに応じたポインタ部の電力調整及び点滅制御を実施することで、適切な消費電力に抑えることを可能にしたウェアラブルカメラを提案する。
【0031】
以下、図4から図5を参照して、本発明の実施形態2による、撮影画像の明るさに応じたポインタ部の電力調整及び点滅制御を実施するウェアラブルカメラに関して詳細に説明する。
【0032】
図4は、実施形態2に係るウェアラブルカメラ100の構成例を示すブロック図である。以下図4を参照してウェアラブルカメラ100の構成について説明する。実施形態2の構成には照度測定部180がある。照度測定部180は、撮像部131から取得した撮影画像の輝度から、被写体の照度を検知及び算出する機能を持つ。輝度と照度の相関関係は、予め記憶部140に格納されている。
【0033】
また、ポインタ制御部170は、実施形態1と同様にポインタ部132に電力を供給するが、照度測定部180で算出した被写体の照度に応じて、供給する電力量を調整することもできる。例えば、被写体の照度が暗いと判断された場合、ポインタ制御部170から供給する電力量を少なくし、被写体の照度が明るいと判断された場合には電力を多く供給する。なお、光源の光束および消費電力は被写体の照度から算出でき、相関関係は予め記憶部140に格納されている。
【0034】
続いて、図4から図5を参照して、撮影画像の明るさに応じたポインタ部132の電力調整及び点滅制御について説明する。
【0035】
図5は、実施形態2に係るウェアラブルカメラ100の制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理は、CPU150が記憶部140に格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0036】
処理が開始されると、撮像部131は画像を取得しておく(ステップS301)。次に装着者がスイッチ部133を押したら(ステップS302において、YES)、照度測定部180は取得した画像から輝度値を算出し(ステップS401)、輝度値から被写体の照度を算出する(ステップS402)。被写体の照度は先述した通り、予め記憶部140に格納された輝度との相関関係から算出される。被写体の照度がわかると、CPU150は、装着者が被写体上で照射する光を視認できるように、必要な光束の値を算出する(ステップS403)。光束の値は被写体の明るさと比例関係にあるため、被写体が明るいときに光束値が大きくなるように調整を行う。
【0037】
なお、ステップS302において、装着者がスイッチ部133を押さない場合には(ステップS302において、NO)、以降の処理は実施せずに本フローを終了する。
【0038】
次に、ステップS402で算出した被写体の照度によってポインタ部132の照射状態を決定する。まず予め被写体の明るい照度と暗い照度との境目となる照度閾値を決めておく。ここでは照度閾値を、例えば、先述した屋内照明の目安値である1000ルクスとする。次にステップS402で算出した被写体の照度が照度閾値以下であるかを判定する(ステップS404)。被写体の照度が照度閾値以下の場合(ステップS404において、YES)、ポインタ部132の照射条件は「常に点灯」に決定される(ステップS405)。一方、被写体の照度が照度閾値以上の場合(ステップS404において、NO)、CPU150は照射条件を「点滅」に決定する(ステップS406)。照射条件を点滅にすることで、ポインタ部132の照射する光は装着者に視認されつつ、消費電力は常に点灯している場合よりも抑えることができる。照射条件が点滅に決定した後は、点滅におけるオン/オフ時間のデューティ比を決定する(ステップS407)。デューティ比はポインタ制御部170が、最終的に供給したい消費電力の平均値を、常に点灯するときに必要な消費電力で割って算出する。例えば、ステップS403で算出した光束でポインタ部132を常に点灯する場合の消費電力は2Wであるが、ポインタ制御部170が点滅により消費電力を0.5W平均に抑えたいと判断した場合、デューティ比は、
0.5W/2W×100=25%
と算出できる。したがってこの場合は、ある周期における25%の時間をオン、残りの75%の時間をオフとする点滅を行う。
【0039】
最後にポインタ部132の消灯(ステップS410)までの制御を説明する。ポインタ部132の照射条件が決定した後、ポインタ制御部170は先に決定した照射条件でポインタ部132の制御を実施し(ステップS408)、ポインタ部132が点灯される。その後、装着者がスイッチ部133を再度押すまで、CPU150はステップS401からS409までの処理を繰り返す(ステップS409において、NO)。装着者がスイッチ部133を再度押した場合(ステップS409において、YES)、ポインタ部132は消灯し(ステップS410)、本フローは終了する。
【0040】
なお、本実施形態では、被写体の照度によって照射条件を常に点灯か点滅にするかを判定した。しかしながら、被写体の照度が照度閾値以下の場合でもバッテリーの寿命をより長く保たせたいときは、ステップS404とS405の間に、バッテリーの寿命を考慮してステップS406に進む判定の処理を追加してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、撮影部131が取得した撮影画像から被写体の照度を検知するが、ウェアラブルカメラ内に照度計を搭載して、ウェアラブルカメラは撮影画像と照度計の両方から被写体の照度を検知してもよい。
【0042】
このように、本発明の実施形態2では、CPU150が図5に示す制御を実行することで、装着者は被写体の照度に関わらずポインタ部132の照射する光を被写体上で視認できるようになる。また、ウェアラブルカメラ100は適切な消費電力でポインタ部132の光を照射しているため、バッテリーの寿命を長く保つことが可能である。
【0043】
<実施形態3>
実施形態2は、ポインタ制御部170が撮影画像の明るさに応じたポインタ部の電力調整及び点滅制御を実施することで、適切な消費電力に抑えることを可能にしたウェアラブルカメラを提案した。実施形態3は、ウェアラブルカメラに温度検知部を設けて、撮影画像の明るさ及び温度検知部が取得した温度に基づいてポインタ部の連続照射時間を制御するウェアラブルカメラを提案する。照射時間の制御処理を実行することで、適切な消費電力に抑えることができ、更に、ウェアラブルカメラや装着者への熱による影響を防ぐことができる。
【0044】
以下、図6から図7を参照して、本発明の実施形態3による、撮影画像の明るさ及び温度に応じたポインタ部の電力調整及び連続照射時間の制御を実施するウェアラブルカメラに関して詳細に説明する。
【0045】
図6は、実施形態3に係るウェアラブルカメラ100の構成例を示すブロック図である。以下図6を参照してウェアラブルカメラ100の構成について説明する。実施形態3の構成では温度検知部111を備えている。少なくとも1つの温度検知部111は固定部110もしくはカメラヘッド部130の装着者の身体に触れる箇所のうち、身体に触れる箇所との温度の相関が取れる箇所に配置される。温度検知部111は撮影最中常に温度を検知しており、その温度に基づいてポインタ制御部170は後述するポインタ部132の照射制御を行う。
【0046】
続いて、図6から図7を参照して、撮影画像の明るさ及び温度に応じたポインタ部132の電力調整及び連続照射時間の制御について説明する。図7は、実施形態3に係るウェアラブルカメラ100の制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理は、CPU150が記憶部140に格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0047】
ステップS301~S302及びS401からS404までは実施形態2と同様の処理であるが、ステップS404以降の連続照射時間の決定やその制御は異なる。被写体の照度が照度閾値以下の場合(ステップS404において、YES)、特に時間制限を設けず、ポインタ制御部170はステップS403で算出した光束でポインタ部132を点灯させる(ステップS501)。スイッチ部133が押されたら、ポインタ制御部170はポインタ部132を消灯させる(ステップS409において、YES及びステップS410)。
【0048】
被写体の照度が照度閾値以上の場合(ステップS404において、NO)、ポインタ制御部170は光束と温度から算出する照射時間に基づいた処理(ステップS511からS514)を実行する。
【0049】
まず、温度検知部111は温度を取得し(ステップS511)、その温度とステップS403で算出した光束を用いてポインタ部132の照射時間を算出する(ステップS512)。照射時間は、例えば、検知した温度が予め決めておいた温度閾値を超えるまでとする。温度閾値を超えるまでの時間は温度と光束が決定してあれば算出できる。なお、温度閾値は予め記憶部140に格納されていた値であり、例えば、熱による肌への影響を未然に防止できる温度を温度閾値としてよい。
【0050】
次に、ポインタ制御部170はポインタ部132をステップS512で算出した照射時間だけ点灯させる(ステップS513)。照射時間が経過すると(ステップS514において、YES)、スイッチ部133のON/OFFに関係なくポインタ部132は自動的に消灯される(ステップS410)。しかしながら、先に決められた照射時間を経過する前に装着者がスイッチ部133を押した場合も、ポインタ部132は消灯される(ステップS514において、NO及びステップS409において、YES)。なお、スイッチ部133が押されるまでに、被写体の明るさが変化する場合がある。そのためCPU150は、ステップS401からS404及びS501からS514の処理を繰り返し実行し(ステップS409において、NO)、ポインタ部132の照射条件を常に最適な状態にしておく。
【0051】
本実施形態の図7は、ポインタ部132の光束と温度検知部111が取得した温度によって照射時間を決定したが、照射時間は、ポインタ部132の光束とウェアラブルカメラ100に搭載してあるバッテリーの寿命から算出した値でもよい。また、被写体の照度が照度閾値より高い場合においては、最大の連続照射時間は、例えば、一律3秒までと決定しておいてもよい。
【0052】
このように、本発明の実施形態3では、CPU150が図7に示す制御を実行することで、実施形態2と同様に、装着者は被写体の照度に関わらずポインタ部132の照射する光を被写体上で視認できるようになる。また、温度検知部111で取得した温度と、画像から算出した光束を用いて照射時間を設定することで、適切な消費電力に抑えることができ、更にウェアラブルカメラや装着者への熱による影響を防ぐことも可能である。
【0053】
<実施形態4>
実施形態1~3では、撮像部131で取得した撮影画像の状態に応じてポインタ部132の照射状態を制御する方法について説明した。本実施形態では、撮像部131で取得した撮影画像によらず、ウェアラブルカメラ100の状態に応じてポインタ部132の照射状態を制御する手段について説明する。
【0054】
以下、図8を参照して、本発明の実施形態4による、ウェアラブルカメラ100のポインタ照射制御について説明する。
【0055】
図8は、実施形態4に係るウェアラブルカメラの制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートに係る処理は、CPU150が記憶部140に格納されたプログラムを実行することによって行われる。また、図8に示すステップS601からS605は、図3に示すステップS302からステップS310のうち、ステップS305からステップS308を除いた処理手順に等しい。但し、ステップS602における判定条件は、実施形態1で述べたステップS303における判定条件とは異なる。
【0056】
ステップS602における判定条件には以下の例がある。例えば、ウェアラブルカメラ100が人体に装着されていることを条件とする。この場合、撮影画像の状態によらず、且つスイッチ部133の押下によってポインタがオンになっていても、ウェアラブルカメラ100が人体に装着されていなければポインタを消灯し、不要な電力の消費を防ぐことができる。なお、ウェアラブルカメラ100が人体に装着されているかの判定は、例えば、装着部110に何らかのセンサーを設けて判定する手段があるが、この限りではない。また、ウェアラブルカメラ100が撮影または録画を行っていることをステップS602における条件としてもよい。なお、撮影または録画を行っているかの判定は、例えば、記録部160に新たな書き込みがなされている状態か否かで判定するなどの手段があるが、この限りではない。また、ウェアラブルカメラ100を駆動するためのバッテリーの残量を監視して、残量がある一定の閾値を下回っていないことをステップS602における条件としてもよい。また、実施形態3に示すように、ウェアラブルカメラ100に温度検知部を設け、検知した温度がある一定の閾値を超えていないことをステップS602における条件としてもよい。この場合、ある一定の温度を超えた場合にポインタが自動消灯されることで、消費電力の適切な制御だけでなく、ポインタ照射による必要以上の温度上昇を防ぎ、人体に直接触れるウェアラブルカメラとしての安全性を高めることができる。また、例えばウェアラブルカメラ100が無線ネットワークを介して遠隔地と通信できるものとした場合、遠隔地の通信先からポインタを消灯するような指示を受信していないことをステップS602における条件としてもよい。なお、これら複数の判定条件は必須ではなく、いずれか一つ以上を条件として判定してもよい。
【0057】
以上の処理により、ウェアラブルカメラ100は、自身の状態に応じて、装着者の手を煩わせることなく不要な電力を削減し、消費電力を適切に制御することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 ウェアラブルカメラ
110 装着部
111 温度検知部
120 可動部
130 カメラヘッド部
131 撮像部
132 ポインタ部
133 スイッチ部
140 記憶部
150 CPU
160 記録部
170 ポインタ制御部
180 照度測定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8