(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151563
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体収容カートリッジ及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 101
B41J2/175 161
B41J2/175 169
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061240
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 草介
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KC02
2C056KC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液体容器の回路基板の電気接点に液体が付着する可能性を低減し、回路基板の電気接点の導通の信頼性を向上する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供する。
【解決手段】カートリッジ30は、底面106を有し、液体を収容するケース110と、電気接点を有する回路基板140と、回路基板を保持する回路基板ホルダ130と、筐体から液体を外部へ供給する供給口109とを備え、回路基板ホルダは、供給口よりも、底面から離れた位置に設けられていることにより、供給口から飛散した液体が、回路基板の電気接点に付着する可能性が低減し、回路基板の電気接点の導通の信頼性が向上する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有し、液体を収容する筐体と、
電気接点を有する回路基板と、
前記回路基板を保持する回路基板ホルダと、
前記筐体から外部へ液体を供給するする供給口と
を備え、
前記回路基板ホルダは、前記供給口よりも、前記底面から離れた位置に設けられていることを特徴とする液体収容カートリッジ。
【請求項2】
前記回路基板ホルダは、前記液体収容カートリッジがプリンタに装着される場合に、前記底面から離れる方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項3】
前記回路基板ホルダには、前記回路基板を前記底面から離れる方向へ付勢する付勢部材が設けられることを特徴とする請求項2に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項4】
前記回路基板ホルダは、前記付勢部材の一端と連結され、前記回路基板を保持する第一保持部材と、前記付勢部材の他端と連結され、前記第一保持部材とともに、前記付勢部材を挟持する第二保持部材とを備え、
前記第一保持部材は、前記液体収容カートリッジが前記プリンタに装着される場合に、前記プリンタの一部であり、且つ上方から下方へ突出する突出部と当接し、
前記第二保持部材は、前記液体収容カートリッジが前記プリンタに装着される場合に、前記プリンタの一部であり、且つ前記液体収容カートリッジの前記プリンタへの装着方向に対し、上方へ傾斜した傾斜部と当接し、
前記第一保持部材の前記突出部に対する当接及び前記第二保持部材の前記傾斜部に対する当接により、前記付勢部材が挟み込まれることで前記付勢部材が収縮し、
前記液体収容カートリッジが前記プリンタに対して更に装着される場合に、前記第一保持部材の前記突出部に対する当接が解除され、前記付勢部材が上方へ伸長することで、前記回路基板の前記電気接点が、前記電気接点の上方に位置する前記プリンタの前記電気接点に接触し、
前記液体収容カートリッジの前記プリンタに対する装着が完了された場合に、前記第二保持部材が前記傾斜部によって支持されることで前記回路基板の前記電気接点の前記プリンタの前記電気接点に対する接触が維持されることを特徴とする請求項3に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容カートリッジ及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタは、着脱可能なインクカートリッジを備えている。インクカートリッジは、インク容器を収納し、インク容器は、インク導出部、及び回路基板を備えている。また、回路基板は、インク導出部の斜め下方に設けられている。インク容器のインクは、インク導出部からプリンタに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、回路基板はインク導出部の斜め下方に設けられているので、インクカートリッジをプリンタへ挿抜する時に、インク導出部からインクが飛散し、回路基板を汚す可能性がある。回路基板がインクで汚れた場合には、回路基板の電気接点が導通不良になる可能性があるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、液体容器の回路基板の電気接点に液体が付着する可能性を低減し、回路基板の電気接点の導通の信頼性を向上する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る液体収容カートリッジは、底面を有し、液体を収容する筐体と、電気接点を有する回路基板と、前記回路基板を保持する回路基板ホルダと、前記筐体から外部へ液体を供給する供給口とを備え、前記回路基板ホルダは、前記供給口よりも、前記底面から離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、回路基板ホルダは、供給口よりも底面から離れた位置に設けられているので、供給口から飛散した液体が、回路基板の電気接点に付着する可能性が低減する。従って、回路基板の電気接点の導通の信頼性が向上する。
【0008】
本発明の第二態様に係るプリンタは、前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とする。第二態様によれば、プリンタにおいて、液体収容カートリッジの挿抜時に、液体容器の供給口から飛散した液体が、回路基板の電気接点に付着する可能性が低減する。従って、回路基板の電気接点の導通の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】プリンタ1の内部構成を示す縦断面図である。
【
図4】収容部6にカートリッジ30が装着される状態を示す斜視図である。
【
図5】収容部6にカートリッジ30が装着された状態を示す縦断面図である。
【
図8】カートリッジ30に液体容器100が装着された状態を示す斜視図である。
【
図9】収容部6にカートリッジ30が装着される状態を示す縦断面図である。
【
図10】収容部6にカートリッジ30が装着される状態を示す縦断面図である。
【
図11】収容部6にカートリッジ30が装着される状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して順に説明する。本実施形態では、図面中の機械的要素は、各図面において実際のスケールを示す。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、プリンタ1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
図7の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、カートリッジ30の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
図1~
図5、
図9~
図11はプリンタ1の方向であり、一方
図6~
図8はカートリッジ30の方向であり、カートリッジ30の前面をプリンタ1の後面に向けた状態でカートリッジ30がプリンタ1に装着される。
【0011】
<プリンタ1の構造>
図1を参照して、プリンタ1の構造を説明する。プリンタ1は、長尺状の媒体に印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷データが入力端子(図示略)に入力されると、プリンタ1は、内蔵した印刷機構(図示略)により、印刷データを媒体に印刷し、後述する排出口21から排出する。
図1に示すように、プリンタ1は、筐体2を備える。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状であり、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、底壁27、上壁28、及びフロントカバー23を有する。
【0012】
前壁24は、筐体2の前面に設けられ、上から下に向けて、第一前壁241及び第二前壁242を有する。第一前壁241及び第二前壁242は、夫々、正面から見て、左右方向に長い矩形である。第一前壁241は、筐体2の前側の上部に設けられ、第二前壁242は、第一前壁241の下、且つ、筐体2の前側の中央に設けられる。右壁25、後壁26、及び左壁29は、夫々上下方向に長い矩形である。また、底壁27及び上壁28は、夫々、前後方向に長い矩形である。
【0013】
第一前壁241及び第二前壁242の境目に排出口21が設けられている。排出口21は、正面視左右方向に長い矩形の開口であり、印刷された媒体を排出する。第一前壁241は、表示部3、及び操作部4を備える。表示部3は文字及び画像等を表示する。操作部4は、表示部3の右に設けられる。操作部4は、各種指示を入力するタッチパネル又は複数のボタンを備える。
【0014】
フロントカバー23は、筐体2の前面、且つ、第二前壁242の下に設けられる。フロントカバー23は、正面から見て矩形の蓋であり、下端部に一対のヒンジ231を備える。フロントカバー23は、ヒンジ231により、
図3に示す収容部6の開口部11及び開口部12を閉じる閉位置(
図1参照)と、開口部11及び開口部12を解放する開位置とに回動可能である。
【0015】
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部に、インクジェットヘッド8、カートリッジ30、インクチューブ48、搬送装置45、隔壁55、定着ユニット143を収容する。
【0016】
インクジェットヘッド8は、供給部5から供給される媒体Mに画像を印刷する。インクジェットヘッド8は、インクGを吐出方向に吐出する複数のノズル70を備える。インクジェットヘッド8は、複数のノズル70からインクGを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行う。吐出方向は下方であり、インクジェットヘッド8は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル70が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、供給部5から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。
【0017】
カートリッジ30は、開口部11に収容される。カートリッジ30は、内部にインクを収容した液体容器100を収容し、開口部11の装着部7に装着される。詳細は後述する。インクチューブ48は、筐体2の内部に配置され、装着部7とインクジェットヘッド8との間を接続する。カートリッジ30内部のインクGは、インクチューブ48を介して、カートリッジ30からインクジェットヘッド8に供給される。
【0018】
搬送装置45は、供給部5、搬送部270、10、15、19、支持部80、張力付与部60、及び回転体75を備える。供給部5は、閉位置にあるフロントカバー23の左方、且つ、プリンタ1の後下部の、隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。供給部5は、ロールRを保持する。供給部5は、軸部51、及びマガジン52を備える。軸部51は、左右方向に延び、ロールRの紙管Kに挿通される。マガジン52は、正面視U字状の支持台である。マガジン52は、軸部51の左右両端部を、軸部51が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部51は、マガジン52に取り外し可能に支持される。マガジン52は、プリンタ1に取り外し可能に支持される。
【0019】
ロールRを交換する作業者は、フロントカバー23を開位置に配置して、マガジン52を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。
【0020】
搬送部270は、媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送経路Qに沿った方向である。供給部5から張力付与部60までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、概ね上方である。張力付与部60から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。
【0021】
搬送部270はインクジェットヘッド8よりも搬送方向Fの上流側、且つ、供給部5に対し搬送方向下流側に設けられる。即ち搬送部270は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、インクジェットヘッド8と、供給部5との間に設けられる。搬送部270は、左右方向に延びる軸周りに回転する搬送ローラ271と、左右方向に延びる軸周りに回転するピンチローラ272とを有する。搬送部270は、搬送ローラ271とピンチローラ272で媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fにニップ搬送する。
【0022】
搬送部10は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。搬送部10は、供給部5の軸部51と取り外し可能に係合する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mをインクジェットヘッド8に向けて繰り出させる。
【0023】
支持部80は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側、且つ、搬送部10よりも搬送方向Fの上流側に設けられ、張力付与部60と回転体75とを支持する。張力付与部60は、搬送経路Qにおいて、搬送部270と、搬送部10との間に設けられる。張力付与部60は、供給部5よりも上方に配置され、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側において、左右方向に延びる軸周りに揺動可能に支持される。張力付与部60は、媒体Mに当接して、媒体Mを屈曲させる。これにより、張力付与部60は、媒体Mに張力を付与する。張力は、媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力である。
【0024】
回転体75は、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側、且つ、張力付与部60のうちの搬送方向Fの上流側の端部、即ち、張力付与部60の下端部よりも搬送方向Fの下流側において、左右方向に延びる軸周りに回転可能に支持される。
【0025】
搬送部15は、インクジェットヘッド8の下方、且つ、搬送部270に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部15は、駆動ローラ113、従動ローラ14、及び無端ベルト16を備える。駆動ローラ113と、従動ローラ14とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト16は、駆動ローラ113と、従動ローラ14とに掛け渡される。無端ベルト16の回転に伴い、従動ローラ14が回転する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送部270により媒体Mがニップされるニップ点89の上下位置と略同じであり、インクジェットヘッド8の複数のノズル70と対向する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部270と、搬送部19との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト16に吸着させた状態で搬送する。
【0026】
定着ユニット143は、インクジェットヘッド8に対し搬送方向下流側且つ搬送部19に対し搬送方向上流側に配置される。また、定着ユニット143は、搬送経路Qの下側に設けられる。定着ユニット143は、伝導加熱可能な熱源144と、熱源144によって加熱される加熱板142とを備える。加熱板142は、搬送経路Qを通過する媒体Mを下方から支持する。媒体Mが加熱板142に加熱されることで、インクジェットヘッド8により媒体M上に吐出されたインクGは媒体Mに定着する。
【0027】
搬送部19は、インクジェットヘッド8及び定着ユニット143に対し搬送方向下流側、且つ排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部19は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ17と、ピンチローラ18とを有し、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0028】
印刷処理が実行される場合、プリンタ1の制御部は、搬送部270、10、15、19を駆動して、媒体Mを搬送する。プリンタ1は、張力付与部60により媒体Mに張力が付与されるように搬送部270、10の駆動量を調整する。プリンタ1の制御部は、媒体Mの搬送と同期してインクジェットヘッド8を駆動して、カートリッジ30からインクチューブ48を介して供給されたインクGを媒体Mに吐出する。プリンタ1の制御部は、熱源144を駆動して、媒体M上のインクGを媒体Mに定着させる。媒体Mは排出口21から筐体2の外部に排出される。
【0029】
<収容部6の構造>
図3~
図5を参照して、プリンタ1の内部に設けられる収容部6の構造について説明する。
図3~
図5は、収容部6のみを示し、プリンタ1の他の構造は省略されている。プリンタ1のフロントカバー23の内側に収容部6が設けられている。収容部6は、左右方向に延びる直方体状であり、左から右に向けて、第一収容部61及び第二収容部62を備える。第一収容部61及び第二収容部62は、夫々、直方体状の空間であり、前方に開口する開口部11及び開口部12を備える。フロントカバー23を閉状態から開状態にした場合、収容部6の開口部11、12が露出される。開口部11、12は、夫々、矩形の開口である。第一収容部61は、後述するカートリッジ30を収容する。
【0030】
図3及び
図5に示すように、第一収容部61は、後壁610を備える。後壁610は、第一収容部61の最も後側に設けられた矩形の壁であり、上下左右方向に延びる。後壁610は、装着部7を備える。装着部7は、後壁610の上下方向中央より下に設けられる。カートリッジ30が第一収容部61に収容された場合、装着部7には、カートリッジ30に収納された液体容器100の口栓105が装着される。装着部7には、前方へ向けて突出する供給ニードル9が設けられている。供給ニードル9の内部は中空である。カートリッジ30が第一収容部61に収容され、装着部7に口栓105が装着された場合、供給ニードル9は、液体容器100の接続部107の供給口109の内部に進入する。従って、液体容器100内のインクがプリンタ1のインクジェットヘッドに供給される。
【0031】
また、
図3に示すように、第一収容部61の後壁610には、一対の位置決め突起611及び位置決め突起612が設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、供給ニードル9に対して、左右対称の位置に設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、前方に向けて突出している。位置決め突起611及び位置決め突起612の前端は、供給ニードル9の前端よりも前側に突出している。カートリッジ30が第一収容部61に挿入された時に、位置決め突起612は、後述する第一位置決め部71の丸穴72に嵌合し、位置決め突起611は後述する第二位置決め部73の長穴74に嵌合する。
【0032】
第二収容部62には、メンテナンスボックス(図示略)が収容される。メンテナンスボックスは、カートリッジ30と同様に、直方体状である。メンテナンスボックスは、第二収容部62に収容された状態で固定される。メンテナンスボックスには、メンテナンス用のノズル洗浄液を収容した収容体が収容される。メンテナンス時に、メンテナンスボックスからノズル洗浄液がインクジェットヘッドに供給される。
【0033】
<カートリッジ30の構造>
図7に示すように、カートリッジ30は、直方体状であり、下部ケース37及びカバー36を備える。
図8に示すように、カートリッジ30は、下部ケース37内に、液体容器100を収容する。液体容器100は、液体を収容する容器である。液体容器100は、合成樹脂製のパウチである。以下では、液体容器100にインクが収容されている例を説明する。
【0034】
図7及び
図8に示すように、下部ケース37は、前壁31、後壁32、右壁33、左壁34、及び底壁35を備える。底壁35は、前後方向に長い矩形の板である。前壁31は、底壁35の前端から上方へ向けて延びる。前壁31の左下部には、口栓係合部41が設けられる。口栓係合部41は、前壁31を前後方向に貫通し、且つ上方に開口する開口部である。
図8に示すように口栓係合部41には、液体容器100の口栓105が上方から係合する。前壁31は、液体容器100の口栓105を支持する。前壁31、右壁33、左壁34、及び後壁32により、上方へ開口する開口39が形成される。開口39内に液体容器100が収容される。
【0035】
図8に示すように、カバー36は、上壁365、前壁361、後壁(図示略)、右壁364、及び左壁363を備える。カバー36の一対の軸受部367が下部ケース37の一対の軸321に、夫々、回動可能に支持されて、カバー36は、開口39を覆う閉状態と、開口39を覆わない開状態とに回動する。
図8に示す開状態において、作業者は、液体容器100をカートリッジ30に着脱可能となる。カバー36が閉状態の場合、カートリッジ30は、プリンタ1の収容部6に収容可能となる。
【0036】
<液体容器100の構造>
図5及び
図8を参照して、液体容器100の構造を説明する。液体容器100には、一例として、インクが収容されている。インクの一例は、例えば、ブラックのインクである。液体容器100は、ケース110を備え、ケース110は、構成樹脂製のパウチで形成される。ケース110は、前後方向に長い直方体状である。
図8に示すように、ケース110は、前面101、後面102、右側面103、左側面104、底面106(
図5参照)、及び上面108を備える。底面106及び上面108は、前後方向に長い矩形である。前面101は、底面106の前端から上方向に延びる矩形である。右側面103は、底面106の右端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。左側面104は、底面106の左端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。後面102は、底面106の後端から上方向に延びる矩形である。
【0037】
図8に示すように、前面101の左側下部には、口栓105が設けられている。口栓105は、接続部107、第一位置決め部71、第二位置決め部73、回路基板ホルダ130を備える。接続部107は、前面101に対して、前面101と直交する前方向に延びる円筒である。接続部107は、その中央に供給口109が前方向に開口している。接続部107の供給口109は、液体容器100から外部へインクを供給する供給口である。接続部107は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、供給口109の奥側(後ろ側)の部分には、封止部材(図示略)が設けられる。封止部材により、カートリッジ30が装着部7から外され、接続部107の供給口109と供給ニードル9との接続が解除されたときなどに、インクが供給口109から漏れることを抑制している。
【0038】
第一位置決め部71は、供給口109に対して、供給口109の開口方向(前方向)と交差する交差方向において左斜め下の位置に設けられている。第一位置決め部71の前端部には、開口が円形の丸穴72が設けられている。第二位置決め部73は、供給口109に対して、供給口109の開口方向(前方向)と交差する交差方向において右斜め下方向の位置に設けられている。第二位置決め部73の前端部には、開口が横方向に長い長穴74が設けられている。
【0039】
また、第一位置決め部71は前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、第二位置決め部73は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、接続部107の供給口109、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の位置関係は、第一収容部61に設けられた供給ニードル9、位置決め突起611、及び位置決め突起612と同じで、第一収容部61にカートリッジ30が挿入された場合には、供給口109、第一位置決め部71及び第二位置決め部73が、夫々、供給ニードル9、位置決め突起612及び位置決め突起611に対向する位置に設けられている。
【0040】
<回路基板140及び回路基板ホルダ130の構造>
図5~
図8に示すように、口栓105は、供給口109の上方に回路基板ホルダ130を備えている。即ち、回路基板ホルダ130は、前記供給口109よりも、前記底面106から離れた位置(高い位置)に設けられている。具体的には、液体容器100の底面106からの高さが、供給口109よりも底面106よりも離れた位置(高い位置)に回路基板ホルダ130が設けられている。回路基板ホルダ130は、回路基板140を着脱可能に保持する。回路基板140は、電子回路を内蔵し、電気接点141が露出している。回路基板140は、液体容器100に収容されている液体の残量の情報を記憶している。回路基板140の一例は、ICチップである。回路基板140は、電気接点141が設けられた面が上方を向いた状態で、回路基板ホルダ130に保持される。尚、回路基板140の電気接点141は、第一収容部61に設けられた電気接点613(
図3参照)に接触する。
【0041】
図6に示すように、回路基板ホルダ130は、第一保持部材131、第二保持部材132、及び付勢部材170を備える。付勢部材170の一例は、コイルばねである。第一保持部材131は、上端部が閉じた筒状になっており、上端部に回路基板140を保持する。第二保持部材132は、第一保持部材131の筒内で上下動可能に保持されており、下端部に下方に突出する突出部132Aを備えている。突出部132Aは、前後に夫々傾斜面132AA、132ABを備える。また、第二保持部材132の内部に付勢部材170が設けられており、付勢部材170の一端171に第一保持部材131が連結され、付勢部材170の他端172に第二保持部材132が連結されている。従って、第一保持部材131は、第二保持部材132ともに、付勢部材170を挟持する。
【0042】
図5に示すように、第一収容部61は、上方から下方へ突出する突出部150を備える。突出部150は、プリンタ1の前後方向において夫々傾斜面150A、150Bを備える。突出部150は、カートリッジ30がプリンタ1に装着される場合に、第一保持部材131の上端に当接する。また、第一収容部61は、傾斜部161を備える。傾斜部161は、カートリッジ30のプリンタ1への装着方向に対し、上方へ傾斜した傾斜面161Aを備える。傾斜部161は、傾斜面161Aの上方に接続された水平面161Bを備える。カートリッジ30がプリンタ1に装着される場合に、第二保持部材132の突出部132Aが傾斜部161の傾斜面161Aに当接し、第一収容部61へカートリッジ30の装着が完了した状態で、第二保持部材132の突出部132Aが水平面161Bにより保持される。
図3示すように、第一収容部61は、電気接点613を備える。第一収容部61へカートリッジ30の装着が完了した状態で、電気接点613に、回路基板140の電気接点141が接触する。
【0043】
<カートリッジ30の着脱及び実施例の効果>
プリンタ1にカートリッジ30を装着する場合には、使用者は、プリンタ1のフロントカバー23を開いて、
図4に示すように、第一収容部61にカートリッジ30を挿入する。また、プリンタ1の使用中にインクが不足し、表示部3にカートリッジ30の交換の指示が表示された場合には、使用者は、プリンタ1のフロントカバー23を開いて、カートリッジ30を交換する。これらの場合に、第一位置決め部71及び第二位置決め部73により、供給口109の位置が供給ニードル9に対して位置決めされて、カートリッジ30が第一収容部61に装着される。また、回路基板ホルダ130に保持された回路基板140の電気接点141がプリンタ1側の電気接点613に接触する。従って、カートリッジ30に収容されているインクの残量の情報をプリンタ1は得ることができ、また、インクの使用量の情報を回路基板140に書き込むことが出来る。
【0044】
図5、
図9~
図11を参照して、第一収容部61へのカートリッジ30の装着時に於ける回路基板ホルダ130の動作を説明する。
図5は、第一収容部61へカートリッジ30の装着が完了した状態を示し、
図9~
図11は、第一収容部61へのカートリッジ30の装着が順に進行する状態を示す。初めに、
図9に示すように、供給口109に供給ニードル9が挿入されていない位置では、回路基板ホルダ130の第一保持部材131は、第一収容部61の突出部150に当接していない。また、第二保持部材132の突出部132Aは、第一収容部61の傾斜部161に当接していない。
【0045】
図10に示すように、第一収容部61内で、カートリッジ30が後壁610に向けて奥に挿入されると、第二保持部材132の突出部132Aの傾斜面132AAは傾斜部161の傾斜面161Aに当接する。この時、第一保持部材131の上端部は、突出部150の傾斜面150Aに当接する。従って、第一保持部材131の突出部150に対する当接及び第二保持部材132の傾斜部161に対する当接により、付勢部材170が挟み込まれることで付勢部材170が収縮する。
【0046】
次いで、
図11に示すように、第一収容部61内で、カートリッジ30が後壁610に向けて、更に奥に挿入されると、第二保持部材132の突出部132Aは傾斜部161の上端まで案内される。この時、第一保持部材131の上端部は、突出部150に対する当接から解除され始める。
【0047】
次いで、
図5に示すように、第一収容部61内で、カートリッジ30が後壁610に向けて、更に奥に挿入されると、第二保持部材132の突出部132Aは傾斜部161の傾斜面161Aを登り切って、水平面161Bに当接して保持される。この時、第一保持部材131の上端部は、突出部150に当接していない。第一保持部材131の突出部150に対する当接が解除され、付勢部材170が上方へ伸長することで、回路基板140の電気接点141が、電気接点141の上方に位置するプリンタ1の電気接点613(
図3参照)に接触する。傾斜部161の水平面161Bは、上方に移動された回路基板ホルダ130を支持する。そのため、回路基板140は、供給口109よりも更に離れた位置(高い位置)で保持される。従って、供給口109から飛散した液体が、回路基板140の電気接点141に付着する可能性がより低減する。従って、回路基板140の電気接点141の導通の信頼性が向上する。
【0048】
プリンタ1は、上記構成のカートリッジ30を装着可能である。従って、プリンタ1は、プリンタ1において、カートリッジ30の挿抜時に、液体容器100の供給口109から飛散した液体が、回路基板140の電気接点141に付着する可能性が低減する。従って、回路基板140の電気接点141の導通の信頼性が向上する。
【0049】
上記実施形態において、カートリッジ30は、本発明の「液体収容カートリッジ」の一例である。ケース110は、本発明の「筐体」の一例である。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能である。液体容器100は、箱状のものに限られない。液体容器100は、インクを収容したがこれに限らない。例えば、液体容器100は、インク以外の液体を収容してもよい。例えば、液体容器100は、プリンタ1の出荷時または長期保管時に、カートリッジ30とインクジェットヘッド8とを結ぶインクチューブ48内でのインクの固化を抑制するためにインクチューブ48に導入される保存液(保管液、出荷液)を収容してもよい。また、カートリッジ30の下部ケース37及びカバー36を省略し、液体容器100を直接プリンタ1に装着してもよい。
【0051】
上記実施形態では、インクは、例えば、ブラックのインクであったが、これに限られない。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイト、又はクリア等のインクであってもよい。
【0052】
上記実施形態では、液体容器100の形状は直方体状であったがこれに限らない。例えば、液体容器100の形状は、他の多面体の形状あってもよいし、円筒であってもよい。また、液体容器100は、前後方向に対称の形状でなくてもよい。また、付勢部材170はコイルばねに限られず、ゴムや合成樹脂の弾性体でもよい。
【0053】
上記実施形態では、口栓105は、左右方向において左側面104に偏った位置に設けられているがこれに限らない。例えば、口栓105は、右側面103に偏った位置に設けられてもよい。この場合、第一収容部61の装着部7は、対応する位置に設けられるとよい。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンタ
30 カートリッジ
37 下部ケース
100 液体容器
106 底面
109 供給口
110 ケース
130 回路基板ホルダ
131 第一保持部材
132 第二保持部材
132AA傾斜面
140 回路基板
141 電気接点
150 突出部
150A 傾斜面
160 移動機構
161 傾斜部
161A 傾斜面
161B 水平面
170 付勢部材
613 電気接点