(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151581
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体収容カートリッジ及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061268
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 草介
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】液体容器の口栓が浮き上がる可能性を低減する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供する。
【解決手段】液体を収容し、口栓105を有する液体容器100を収容するためのカートリッジ30は、液体容器100を収容するための開口を有する下部ケース37と、下部ケース37の開口の一部を覆うカバー36とを備える。下部ケース37は、前壁31を更に備え、前壁31は、開口に液体容器100が収容される状態で、口栓105を支持する。カバー36は、開口の一部をカバー36が覆う状態で、前壁31とともにカートリッジの側壁を規定する側壁366を更に備え、カバー36は、側壁366に設けられた当接部366A、366Bを更に備える。当接部366A、366Bは、開口に液体容器100が収容される状態、且つ開口の一部をカバー36が覆う状態で、口栓105に当接する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し、口栓を有する液体容器を収容するための液体収容カートリッジであって、
前記液体容器を収容するための開口を有するケースと、
前記ケースの前記開口の一部を覆うカバーと、を備え、
前記ケースは、第一側壁を更に備え、
前記第一側壁は、前記開口に前記液体容器が収容される状態で、前記口栓を支持し、
前記カバーは、前記開口の前記一部を前記カバーが覆う状態で、前記第一側壁とともに前記液体収容カートリッジの側壁を規定する第二側壁を更に備え、
前記カバーは、前記第二側壁に設けられた当接部を更に備え、
前記当接部は、前記開口に前記液体容器が収容される状態、且つ前記開口の前記一部を前記カバーが覆う状態で、前記口栓に当接することを特徴とする液体収容カートリッジ。
【請求項2】
前記当接部は、前記カバーの前記第二側壁に複数設けられ、
前記開口の前記を前記カバーが覆う状態で、複数の前記当接部が、前記口栓に夫々当接することを特徴とする請求項1に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項3】
前記口栓は、前記カバーの前記第二側壁を前記ケースの前記第一側壁に案内する傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項4】
前記ケースの前記開口を前記カバーが覆った状態において、互いに当接する前記ケースの第三側壁と前記カバーの第四側壁の内、当接方向に於ける長さが短い方の側壁の内側に当接方向に於ける長さが長い方の側壁を内側から外側に向けて支えるリブが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項5】
前記当接部は、前記カバーの前記第二側壁の一部が上下方向と、前記上下方向と交差する方向の夫々に切り欠かれた切り欠き部から構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項6】
前記当接部は、前記カバーの前記第二側壁の一部が水平方向に延びる端部から構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項7】
前記口栓に、前記ケースの第一側面に当接する当接面を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容カートリッジ及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のカートリッジケースは、第一方向に延びる第一ケース及び第二ケースを備えている。第一ケースは、下側に設けられ、上側が開放されており、内部に液体収容体を収納する。第二ケースは、第一ケースに対向して上側に設けられ、第一ケースを覆う。第一ケースの第一方向の一端部には、液体収容体の口栓を支持する口栓支持部が設けられている。口栓には、位置決めボスが第一方向と直交する左右方向に延びており、位置決めボスが口栓支持部に嵌合する。液体収容体がカートリッジケースに取り付けられる場合には、第二ケースが第一ケースに対して、第一方向の一端部と反対方向に移動されて、第一ケースに液体収容体を収納する。液体収容体の口栓は口栓支持部に嵌め込まれる。その後、第二ケースが第一ケースの第一方向の一端部方向に移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記カートリッジケースにおいて、位置決めボスや口栓が持ち上げられた場合には、口栓が口栓支持部から上方にずれる可能性がある。この場合、プリンタに設けられているインク供給ニードルが、口栓に上手く入らずにインクが漏れる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、液体容器の口栓が浮き上がる可能性を低減する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る液体収容カートリッジは、液体を収容し、口栓を有する液体容器を収容するための液体収容カートリッジであって、前記液体容器を収容するための開口を有するケースと、前記ケースの前記開口の一部を覆うカバーと、を備え、前記ケースは、第一側壁を更に備え、前記第一側壁は、前記開口に前記液体容器が収容される状態で、前記口栓を支持し、前記カバーは、前記開口の前記一部を前記カバーが覆う状態で、前記第一側壁とともに前記液体収容カートリッジの側壁を規定する第二側壁を更に備え、前記カバーは、前記第二側壁に設けられた当接部を更に備え、前記当接部は、前記開口に前記液体容器が収容される状態、且つ前記開口の前記一部を前記カバーが覆う状態で、前記口栓に当接することを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、体容器の口栓が浮き上がる可能性が低減するので、ケースに対する口栓の位置が安定する。従って、供給ニードルに対して、口栓が位置ずれをせずに装着可能になる。
【0008】
本発明の第2態様に係るプリンタは、前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とする。第2態様によれば、プリンタにおいて、液体容器の口栓が浮き上がる可能性が低減するので、ケースに対する口栓の位置が安定する。従って、供給ニードルに対して、口栓が位置ずれをせずに装着可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】プリンタ1の内部構成を示す縦断面図である。
【
図4】収容部6にカートリッジ30が挿入される状態を示す斜視図である。
【
図5】収容部6にカートリッジ30が挿入された状態を示す縦断面図である。
【
図7】カートリッジ30に液体容器100が装着された状態を示す斜視図である。
【
図9】カバー36の下側を上に向けた状態の斜視図である。
【
図10】下部ケース37に対してカバー36を閉じる状態を示す側面図である。
【
図13】
図6のXI-XI線に於ける断面図である。
【
図14】下部ケース37の開口39をカバー36が覆った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して順に説明する。本実施形態では、図面中の機械的要素は、各図面において実際のスケールを示す。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、プリンタ1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
図6の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、カートリッジ30の左側、右側、前側、後側、上側、及び下側とする。
図1~
図5はプリンタ1の方向であり、一方
図6~
図14はカートリッジ30の方向であり、カートリッジ30の前面をプリンタ1の後面に向けた状態でカートリッジ30がプリンタ1に装着される。
【0011】
<プリンタ1の構造>
図1を参照して、プリンタ1の構造を説明する。プリンタ1は、長尺状の媒体に印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷データが入力端子(図示略)に入力されると、プリンタ1は、内蔵した印刷機構(図示略)により、印刷データを媒体に印刷し、後述する排出口21から排出する。
図1に示すように、プリンタ1は、筐体2を備える。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状であり、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、底壁27、上壁28、及びフロントカバー23を有する。
【0012】
前壁24は、筐体2の前面に設けられ、上から下に向けて、第一前壁241及び第二前壁242を有する。第一前壁241及び第二前壁242は、夫々、正面から見て、左右方向に長い矩形である。第一前壁241は、筐体2の前側の上部に設けられ、第二前壁242は、第一前壁241の下、且つ、筐体2の前側の中央に設けられる。右壁25、後壁26、及び左壁29は、夫々上下方向に長い矩形である。また、底壁27及び上壁28は、夫々、前後方向に長い矩形である。
【0013】
第一前壁241及び第二前壁242の境目に排出口21が設けられている。排出口21は、正面視左右方向に長い矩形の開口であり、印刷された媒体を排出する。第一前壁241は、表示部3、及び操作部4を備える。表示部3は文字及び画像等を表示する。操作部4は、表示部3の右に設けられる。操作部4は、各種指示を入力するタッチパネル又は複数のボタンを備える。
【0014】
フロントカバー23は、筐体2の前面、且つ、第二前壁242の下に設けられる。フロントカバー23は、正面から見て矩形の蓋であり、下端部に一対のヒンジ231を備える。フロントカバー23は、ヒンジ231により、
図3に示す収容部6の開口部11及び開口部12を閉じる閉位置(
図1参照)と、開口部11及び開口部12を解放する開位置とに回動可能である。
【0015】
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部に、インクジェットヘッド8、カートリッジ30、インクチューブ48、搬送装置45、隔壁55、定着ユニット143を収容する。
【0016】
インクジェットヘッド8は、供給部5から供給される媒体Mに画像を印刷する。インクジェットヘッド8は、インクGを吐出方向に吐出する複数のノズル70を備える。インクジェットヘッド8は、複数のノズル70からインクGを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行う。吐出方向は下方であり、インクジェットヘッド8は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル70が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、供給部5から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。
【0017】
カートリッジ30は、開口部11に収容される。カートリッジ30は、内部にインクを収容した液体容器100を収容し、開口部11の装着部7に装着される。詳細は後述する。インクチューブ48は、筐体2の内部に配置され、装着部7とインクジェットヘッド8との間を接続する。カートリッジ30内部のインクGは、インクチューブ48を介して、カートリッジ30からインクジェットヘッド8に供給される。
【0018】
搬送装置45は、供給部5、搬送部270、10、15、19、支持部80、張力付与部60、及び回転体75を備える。供給部5は、閉位置にあるフロントカバー23の左方、且つ、プリンタ1の後下部の、隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。供給部5は、ロールRを保持する。供給部5は、軸部51、及びマガジン52を備える。軸部51は、左右方向に延び、ロールRの紙管Kに挿通される。マガジン52は、正面視U字状の支持台である。マガジン52は、軸部51の左右両端部を、軸部51が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部51は、マガジン52に取り外し可能に支持される。マガジン52は、プリンタ1に取り外し可能に支持される。
【0019】
ロールRを交換する作業者は、フロントカバー23を開位置に配置して、マガジン52を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。
【0020】
搬送部270は、媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送経路Qに沿った方向である。供給部5から張力付与部60までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、概ね上方である。張力付与部60から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。
【0021】
搬送部270はインクジェットヘッド8よりも搬送方向Fの上流側、且つ、供給部5に対し搬送方向下流側に設けられる。即ち搬送部270は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、インクジェットヘッド8と、供給部5との間に設けられる。搬送部270は、左右方向に延びる軸周りに回転する搬送ローラ271と、左右方向に延びる軸周りに回転するピンチローラ272とを有する。搬送部270は、搬送ローラ271とピンチローラ272で媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fにニップ搬送する。
【0022】
搬送部10は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。搬送部10は、供給部5の軸部51と取り外し可能に係合する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mをインクジェットヘッド8に向けて繰り出させる。
【0023】
支持部80は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側、且つ、搬送部10よりも搬送方向Fの上流側に設けられ、張力付与部60と回転体75とを支持する。張力付与部60は、搬送経路Qにおいて、搬送部270と、搬送部10との間に設けられる。張力付与部60は、供給部5よりも上方に配置され、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側において、左右方向に延びる軸周りに揺動可能に支持される。張力付与部60は、媒体Mに当接して、媒体Mを屈曲させる。これにより、張力付与部60は、媒体Mに張力を付与する。張力は、媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力である。
【0024】
回転体75は、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側、且つ、張力付与部60のうちの搬送方向Fの上流側の端部、即ち、張力付与部60の下端部よりも搬送方向Fの下流側において、左右方向に延びる軸周りに回転可能に支持される。
【0025】
搬送部15は、インクジェットヘッド8の下方、且つ、搬送部270に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部15は、駆動ローラ113、従動ローラ14、及び無端ベルト16を備える。駆動ローラ113と、従動ローラ14とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト16は、駆動ローラ113と、従動ローラ14とに掛け渡される。無端ベルト16の回転に伴い、従動ローラ14が回転する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送部270により媒体Mがニップされるニップ点89の上下位置と略同じであり、インクジェットヘッド8の複数のノズル70と対向する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部270と、搬送部19との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト16に吸着させた状態で搬送する。
【0026】
定着ユニット143は、インクジェットヘッド8に対し搬送方向下流側且つ搬送部19に対し搬送方向上流側に配置される。また、定着ユニット143は、搬送経路Qの下側に設けられる。定着ユニット143は、伝導加熱可能な熱源144と、熱源144によって加熱される加熱板142とを備える。加熱板142は、搬送経路Qを通過する媒体Mを下方から支持する。媒体Mが加熱板142に加熱されることで、インクジェットヘッド8により媒体M上に吐出されたインクGは媒体Mに定着する。
【0027】
搬送部19は、インクジェットヘッド8及び定着ユニット143に対し搬送方向下流側、且つ排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部19は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ17と、ピンチローラ18とを有し、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0028】
印刷処理が実行される場合、プリンタ1の制御部は、搬送部270、10、15、19を駆動して、媒体Mを搬送する。プリンタ1は、張力付与部60により媒体Mに張力が付与されるように搬送部270、10の駆動量を調整する。プリンタ1の制御部は、媒体Mの搬送と同期してインクジェットヘッド8を駆動して、カートリッジ30からインクチューブ48を介して供給されたインクGを媒体Mに吐出する。プリンタ1の制御部は、熱源144を駆動して、媒体M上のインクGを媒体Mに定着させる。媒体Mは排出口21から筐体2の外部に排出される。
【0029】
<収容部6の構造>
図3~
図5を参照して、プリンタ1の内部に設けられる収容部6の構造について説明する。
図3及び
図4は、収容部6のみを示し、プリンタ1の他の構造は省略されている。プリンタ1のフロントカバー23の内側に収容部6が設けられている。収容部6は、左右方向に延びる直方体状であり、左から右に向けて、第一収容部61及び第二収容部62を備える。第一収容部61及び第二収容部62は、夫々、直方体状の空間であり、前方に開口する開口部11及び開口部12を備える。フロントカバー23を閉状態から開状態にした場合、収容部6の開口部11、12か露出される。開口部11、12は、夫々、矩形の開口である。
図4及び
図5に示すように、第一収容部61は、後述するカートリッジ30を収容する。
【0030】
図6に示すように、カートリッジ30は、直方体状である。
図7に示すように、カートリッジ30は、液体を収容する液体容器100を収容する。液体容器100は、液体を収容する容器である。液体容器100は、合成樹脂製のパウチである。以下では、液体容器100にインクが収容されている例を説明する。カートリッジ30の構造の詳細は後述する。第二収容部62は、図示しないメンテナンスボックスを収容する。
【0031】
図3及び
図5に示すように、第一収容部61は、後壁610を備える。後壁610は、第一収容部61の最も後側に設けられた矩形の壁であり、上下左右方向に延びる。後壁610は、装着部7を備える。装着部7は、後壁610の上下方向中央より下に設けられる。カートリッジ30が第一収容部61に収容された場合、装着部7には、カートリッジ30に収納された液体容器100の口栓105が装着される。装着部7には、前方へ向けて突出する供給ニードル9が設けられている。供給ニードル9の内部は中空である。カートリッジ30が第一収容部61に収容され、装着部7に口栓105が装着された場合、供給ニードル9は、液体容器100の接続部107の内部に進入する。従って、液体容器100内のインクがプリンタ1のインクジェットヘッド(図示略)に供給される。
【0032】
また、第一収容部61の後壁610には、一対の位置決め突起611及び位置決め突起612が設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、供給ニードル9に対して、左右対称の位置に設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、前方に向けて突出している。位置決め突起611及び位置決め突起612の前端は、供給ニードル9の前端よりも前側に突出している。カートリッジ30が第一収容部61に挿入された時に、位置決め突起612は、後述する第一位置決め部71の丸穴72に嵌合し、位置決め突起611は後述する第二位置決め部73の長穴74に嵌合する。
【0033】
第二収容部62には、メンテナンスボックス(図示略)が収容される。メンテナンスボックスは、カートリッジ30と同様に、直方体状である。メンテナンスボックスは、第二収容部62に収容された状態で固定される。メンテナンスボックスには、メンテナンス用のノズル洗浄液を収容した収容体が収容される。メンテナンス時に、メンテナンスボックスからノズル洗浄液がインクジェットヘッドに供給される。
【0034】
<カートリッジ30の構造>
図6~
図9を参照して、カートリッジ30の構造について説明する。
図6に示すように、カートリッジ30は、直方体状であり、下部ケース37及びカバー36を備える。
図7に示すように、カートリッジ30は、下部ケース37内に、液体容器100を収容し、
図6に示すように、カバー36が閉じられる。
【0035】
図8に示すように、下部ケース37は、前壁31、後壁32、右壁33、左壁34、及び底壁35を備える。底壁35は、前後方向に長い矩形の板である。前壁31は、底壁35の前端から上方へ向けて延びる。前壁31の左下部には、口栓係合部41が設けられる。口栓係合部41は、前壁31を前後方向に貫通し、且つ上方に開口する開口部である。
図7に示すように口栓係合部41には、液体容器100の口栓105が上方から係合する。前壁31は、液体容器100の口栓105を支持する。前壁31の右上部には、係止部38が設けられている。係止部38は、後述するカバー36の係止爪361Cを係止する。
【0036】
図8に示すように、下部ケース37の右壁33は、底壁35の右端から上方へ向けて延びる。右壁33の前側の上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右壁33の前端部の上下方向における長さは、前壁31の右端部の上下方向における長さと略同一である。左壁34は、底壁35の左端から上方へ向けて延びる。左壁34の前側の端部の上下方向における長さは、前壁31の左端部の上下方向における長さと略同じである。左壁34の前側の上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右壁33と左壁34の後方側の上下方向における長さは、右壁33と左壁34の前端部の上下方向における長さの約2倍の長さである。
【0037】
後壁32は、底壁35の後端から上方に向けて延びる。底壁35の上下方向の長さは、右壁33及び左壁34の後方側の上下方向における長さと略同一である。後壁32の上端の左右には、一対の軸321が左右方向にそれぞれ突出している。前壁31、右壁33、左壁34、及び後壁32により、上方へ開口する開口39が形成される。開口39内に液体容器100が収容される。
【0038】
図7及び
図9に示すように、カバー36は、上壁365、前壁361、後壁362、左壁363、及び右壁364を備える。上壁365は、前後方向に長い矩形の板である。前壁361は、上壁365の前端部から下方に延びる。前壁361には、切り欠き部361A及び切り欠き部361Bが設けられ、切り欠き部361Aと切り欠き部361Bとの間に側壁366が下方に延びている。側壁366の下端は、第一当接部366A及び第二当接部366Bを備える。第一当接部366A及び第二当接部366Bは、口栓105の後述する当接面105C及び当接面105Bに夫々当接する。第一当接部366Aは、側壁366の下端の一部が上下方向と、上下方向と交差する方向である左右方向の夫々に切り欠かれた切り欠き部から構成されている。また、第二当接部366Bは、側壁366の下端の一部が水平方向に延びる端部から構成されている。
【0039】
また、前壁361の左端には側壁368が下方に延びている。側壁368の下端は、第三当接部368Aを備える。第三当接部368Aは、口栓105の後述する当接面105Aに当接する。第三当接部368Aは、側壁366の下端の一部が上下方向と、上下方向と交差する方向である左右方向の夫々に切り欠かれた切り欠き部から構成されている。
【0040】
後壁362は、上壁365の後端から下方に延びる矩形の板であり、後壁362の下端の左右の端部に一対の軸受部367を備える。左壁363は、上壁365の左端から下方に延びる板であり、前側の上下方向の長さが後ろ側の上下方向の長さよりも長く、後ろ側から前側に向けて傾斜する傾斜部を備えている。右壁364は、上壁365の右端から下方に延びる板であり、前側の上下方向の長さが後ろ側の上下方向の長さよりも長く、後ろ側から前側に向けて傾斜する傾斜部を備えている。
【0041】
カバー36の一対の軸受部367が下部ケース37の一対の軸321に、夫々、回動可能に支持されて、カバー36は、開口39を覆う閉状態と、開口39を覆わない開状態とに回動する。
図7に示す開状態において、作業者は、液体容器100をカートリッジ30に着脱可能となる。カバー36が閉状態の場合、カートリッジ30は、プリンタ1の収容部6に収容可能となる。
【0042】
<側壁の内側への倒れ込みの防止構造>
図8、
図9、
図14を参照して、カートリッジ30の側壁の内側への倒れ込みの防止構造について説明する。
図8に示すように、下部ケース37の右壁33の前端側の上部には、前後方向、且つ、上方に延びるリブ33Aが設けられている。リブ33Aは、右壁33の内側に設けられている。右壁33の後端側の上部には、内側に前後方向に延びる切り欠き部33Bが設けられている。また、下部ケース37の左壁34の前端側の上部には、前後方向、且つ、上方に延びるリブ34Aが設けられている。リブ34Aは、左壁34の内側に設けられている。左壁34の後端側の上部には、内側に前後方向に延びる切り欠き部34Bが設けられている。
【0043】
図9は、カバー36の下側を上に向けた状態の斜視図である。
図9に示すように、カバー36の左壁363の前端側の下端部には、内側に前後方向に延びる切り欠き部363Bが設けられている。左壁363の前端側よりも高さの低い部分には、前後方向、且つ、下方に延びるリブ363Aが設けられている。リブ363Aは、左壁363の内側に設けられている。また、カバー36の右壁364の前端側の下端部には、内側に前後方向に延びる切り欠き部364Bが設けられている。右壁364の前端側よりも高さの低い部分には、前後方向、且つ、下方に延びるリブ364Aが設けられている。リブ364Aは、右壁364の内側に設けられている。
【0044】
図14に示すように、下部ケース37の開口39をカバー36が覆った状態において、カバー36の左壁363のリブ363Aは、下部ケース37の左壁34の切り欠き部34Bに当接し、左壁34を内側から外側(矢印A方向)に向けて支える。また、カバー36の右壁364のリブ364Aは、下部ケース37の右壁33の切り欠き部33Bに当接し、右壁33を内側から外側(矢印A方向)に向けて支える。即ち、下部ケース37の側壁とカバー36の側壁の内、当接方向(上下方向)に於ける長さが短い方の側壁の内側に当接方向に於ける長さが長い方の側壁の内側を支えるリブが設けられている。
【0045】
<液体容器100の構造>
図7を参照して、液体容器100の構造を説明する。液体容器100には、一例として、インクが収容されている。インクの一例は、例えば、ブラックである。
図7に示すように、液体容器100は、ケース110を備える。ケース110は、ケース110は、構成樹脂製のパウチで形成される。前後方向に長い直方体状である。ケース110は、前面101及び、後面(図示略)、右側面103、左側面104、底面(図示略)、及び上面108を備える。底面及び上面108は、前後方向に長い矩形である。前面101は、底面の前端から上方向に延びる矩形である。右側面103は、底面の右端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。左側面104は、底面の左端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。後面は、底面106の後端から上方向に延びる矩形である。
【0046】
<口栓105の構造>
図7に示すように、前面101の左側下部には、口栓105が設けられている。口栓105は、接続部107、第一位置決め部71、第二位置決め部73を備える。接続部107は、前面101に対して、前面101と直交する前方向に延びる円筒である。接続部107は、その中央に供給口109が前方向に開口している。接続部107の供給口109は、液体容器100から外部へインクを供給する供給口である。接続部107は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、供給口109の奥側(後ろ側)の部分には、封止部材(図示略)が設けられる。封止部材により、カートリッジ30が装着部7から外され、接続部107の供給口109と供給ニードル9との接続が解除されたときなどに、インクが供給口109から漏れることを抑制している。
【0047】
また、第一位置決め部71は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、第二位置決め部73は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。
【0048】
図7及び
図10に示すように、口栓105は、第一位置決め部71の上方に案内部材120を備える。
図10に示すように、案内部材120は、前面101から前方向に突出する直方体状の部材である。案内部材120の上部後端には、傾斜面121が設けられている。傾斜面121は、前方から後方に向けて斜め下方に傾斜した面である。カートリッジ30のカバー36が閉じられる場合に、傾斜面121は、カートリッジ30のカバー36の側壁368の下端部368Bを後方に案内する。即ち、傾斜面121は、カバー36の側壁368を下部ケース37の前壁31に案内する。
【0049】
次に、
図11~
図13を参照して、口栓105の当接面105A、105B及び105Cについて説明する。
図11は、
図6のX-X線に於ける断面図であり、
図13は、
図6のXI-XI線に於ける断面図である。
図11~
図13に示すように、口栓105は、カバー36との境目に当接面105A、105B及び105Cを備える。当接面105Aは、口栓105の接続部107の左上方に設けられ、当接面105Bは、口栓105の接続部107の右上方に設けられ、当接面105Cは、当接面105Bよりも左寄りの口栓105の接続部107の右上方に設けられている。フロントカバー23を閉じた状態にした場合(
図6参照)、当接面105A、105B及び105Cには、カバー36の第三当接部368A、第二当接部366B及び第一当接部366Aが夫々当接する。
【0050】
<カートリッジ30への液体容器100の収容及び実施例の効果>
カートリッジ30に液体容器100を装着する場合には、
図7に示すように、カートリッジ30のカバー36を開けて、下部ケース37内に液体容器100を収納する。次いで、
図10に示すように、カバー36を閉じて、下部ケース37の開口39(
図8参照)を覆う。この時に、案内部材120の傾斜面121は、カバー36の側壁368を下部ケース37の前壁31に案内する。従って、カバー36の側壁368の下端部368Bが口栓105の案内部材120の上面に乗り上げる可能性を低減できる。この時、下部ケース37の係止部38がカバー36の係止爪361Cを係止する。その後、カバー36が下部ケース37にねじ42により固定される。
【0051】
この状態で、
図11に示すように、第一当接部366A及び第二当接部366Bは、口栓105の当接面105C及び当接面105Bに夫々当接する。また、第三当接部368Aは、口栓105の当接面105Aに当接する。従って、液体容器100の口栓105が浮き上がる可能性が低減するので、下部ケース37に対する口栓105の位置が安定する。従って、供給ニードル9に対して、口栓105が位置ずれをせずに装着可能になる。また、上記実施形態では、複数の当接部が、口栓105に上方から夫々当接するので、液体容器100の口栓105が浮き上がる可能性がより低減する。
【0052】
下部ケース37の開口39をカバー36が覆う場合に、カバー36の側壁が口栓の傾斜面により下部ケース37の前壁31に案内されるので、カバーの側壁が口栓に乗り上げる可能性を低減できる。
【0053】
図11に示すように、複数の当接部である第一当接部366Aの切り欠き部、及び、第三当接部368Aの切り欠き部が、上下方向と、上下方向と交差する方向から口栓105に夫々当接するので、液体容器100の口栓105が移動する可能性が低減する。また、第二当接部366Bの水平方向に延びる端部が、上下方向から口栓105に当接するので、液体容器100の口栓105が浮き上がる可能性が低減する。また、口栓105の当接面105D,105Eが、下部ケース37の前壁31に当接するので、下部ケース37に対する口栓105の位置が安定する。
【0054】
また、
図14に示すように、下部ケース37の側壁とカバー36の側壁の内、当接方向(上下方向)に於ける長さが短い方の左壁363及び右壁364の内側に、当接方向に於ける長さが長い方の側壁の内側を支えるリブ363A,364Aが夫々設けられている。当接方向に於ける長さが短い方の側壁の剛性は、当接方向に於ける長さが長い方の側壁の剛性よりも高い。従って、当接方向に於ける長さが短い方の側壁が、当接方向に於ける長さが長い方の側壁を内側から外側(矢印A方向)に向けて支える。従って、当接方向に於ける長さが長い方の側壁が内側へ倒れ込む可能性を低減することができる。
【0055】
プリンタ1は、上記構成のカートリッジ30を装着可能である。従って、プリンタ1は、液体容器100の口栓105が浮き上がる可能性が低減するので、下部ケース37に対する口栓105の位置が安定する。
【0056】
上記実施形態において、カートリッジ30は、本発明の「液体収容カートリッジ」の一例である。下部ケース37は、本発明の「ケース」の一例である。前壁31は、本発明の「第一側壁」の一例である。側壁366は、本発明の「第二側壁」の一例である。第一当接部366A及び第二当接部366Bは、本発明の「当接部」の一例である。右壁33、左壁34は、本発明の「第三側壁」の一例である。左壁363、右壁364は、本発明の「第四側壁」の一例である。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能である。液体容器100は、インクを収容したがこれに限らない。例えば、液体容器100は、インク以外の液体を収容してもよい。例えば、液体容器100は、プリンタ1の出荷時または長期保管時に、カートリッジ30とインクジェットヘッド8とを結ぶインクチューブ48内でのインクの固化を抑制するためにインクチューブ48に導入される保存液(保管液、出荷液)を収容してもよい。この場合、保存液としては、揮発しにくい特性を有する液体が採用されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、インクは、例えば、ブラックのインクであったが、これに限られない。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイト、又はクリア等のインクであってもよい。
【0059】
上記実施形態では、液体容器100の形状は直方体状であったがこれに限らない。例えば、液体容器100の形状は、他の多面体の形状あってもよいし、円筒であってもよい。また、液体容器100は、前後方向に対称の形状でなくてもよい。
【0060】
上記実施形態では、口栓105は、左右方向において左側面104に偏った位置に設けられているがこれに限らない。例えば、口栓105は、右側面103に偏った位置に設けられてもよい。この場合、第一収容部61の装着部7は、対応する位置に設けられるとよい。また、側壁の内側への倒れ込みの防止構造としては、側壁にリブのみを設けて、当接する側壁の内側をリブが直接支えてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ
30 カートリッジ
31 前壁
33 右壁
33A リブ
34 左壁
34A リブ
36 カバー
37 下部ケース
105 口栓
105A 当接面
105B 当接面
105C 当接面
105D 当接面
105E 当接面
110 ケース
121 傾斜面
361A 切り欠き部
361B 切り欠き部
363 左壁
363A リブ
364 右壁
364A リブ
366 側壁
366A 第一当接部
366B 第二当接部
368 側壁
368A 第三当接部