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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151586
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】建設機械の作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20231005BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/22 A
E02F9/22 C
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061276
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中森 啓太
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA07
2D003BB11
2D003CA02
2D003DA02
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】これから行われる作業に関する注意喚起を行うことができる。
【解決手段】建設機械と、管理装置と、支援装置とを含む建設機械の作業支援システムであって、前記管理装置は、予定された前記建設機械の動作に関する注意喚起を促す注意喚起画像データを生成する画像生成部と、前記注意喚起画像データが示す注意喚起画像を前記支援装置に表示させる表示指示部と、を有する、建設機械の作業支援システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械と、管理装置と、支援装置とを含む建設機械の作業支援システムであって、
前記管理装置は、
予定された前記建設機械の動作に関する注意喚起を促す注意喚起画像データを生成する画像生成部と、
前記注意喚起画像データが示す注意喚起画像を前記支援装置に表示させる表示指示部と、を有する、建設機械の作業支援システム。
【請求項2】
前記注意喚起画像は、
今後の所定期間において、前記建設機械が動作する領域を示す画像である、請求項1記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項3】
前記所定期間として、異なる複数の値が設定されており、
前記注意喚起画像は、前記複数の値毎に、前記支援装置に表示される、請求項2記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項4】
前記複数の値は、
第一の所定期間を示す値と、前記第一の所定期間よりも長い第二の所定期間を示す値を含む、請求項3記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項5】
前記複数の値毎に表示される前記注意喚起画像は、それぞれの表示態様が異なる、請求項4記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記建設機械から稼働情報を取得し、前記支援装置から前記支援装置の現在位置を示す位置情報及び前記支援装置が向いている方向を示す方向情報を取得する情報取得部を有し、
前記画像生成部は
前記稼働情報と、前記位置情報と、前記方向情報とを用いて前記注意喚起画像データを生成する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項7】
前記稼働情報は、
今後予定されている前記建設機械の作業内容を示す予定作業情報と、前記建設機械の現在位置を示す位置情報と、を含む、請求項6記載の建設機械の作業支援システム。
【請求項8】
前記画像生成部は、
前記支援装置の撮像装置により撮像された画像データを取得し、前記注意喚起画像データを重畳した重畳画像データを生成し、
前記表示指示部は、
前記重畳画像データが示す重畳画像を前記注意喚起画像として前記支援装置に表示させる、請求項1乃至7の何れか一項に記載の建設機械の作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、建設機械の作業範囲を区切る仮想的な壁である仮想壁を設定し、仮想壁の外側にある物体と建設機械との接触を防止する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/189030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、今後、建設機械が行う予定である作業について考慮されていない。このため、従来の技術では、これから行われる作業に関する注意喚起を行うことができない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、これから行われる作業に関する注意喚起を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る建設機械の作業支援システムは、建設機械と、管理装置と、支援装置とを含む建設機械の作業支援システムであって、前記管理装置は、予定された前記建設機械の動作に関する注意喚起を促す注意喚起画像データを生成する画像生成部と、前記注意喚起画像データが示す注意喚起画像を前記支援装置に表示させる表示指示部と、を有する、建設機械の作業支援システムである。
【発明の効果】
【0007】
これから行われる作業に関する注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建設機械の作業支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】ショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。
図3】管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】注意喚起画像について説明する図である。
図5】作業支援システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
図6】作業支援システムの動作を説明するシーケンス図である。
図7】支援装置の画面遷移を説明する図である。
図8】注意喚起画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本実施形態の建設機械の作業支援システムについて説明する。図1は、建設機械の作業支援システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態では、ショベル100を建設機械の一例として説明する。
【0010】
本実施形態の建設機械の作業支援システムSYSは、ショベル100と、管理装置200と、支援装置300とを含む。以下の説明では、建設機械の作業支援システムSYSを、単に作業支援システムSYSと表現する。
【0011】
本実施形態の作業支援システムSYSにおいて、ショベル100と、管理装置200と、支援装置300とは、ネットワーク等を介して接続される。
【0012】
本実施形態のショベル100は、自機の稼働状況を示す稼働情報を取得し、管理装置200に送信し、管理装置200から各種の情報を受信する。
【0013】
ショベル100の稼働情報とは、具体的には、自機の現在位置を示す位置情報、今後予定されている作業内容を示す予定作業情報、自機の向きを示す向き情報、自機の姿勢を示す姿勢情報、作業内容を示す作業内容情報、負荷率を記す負荷率情報、稼働時間の累積時間を示す累積時間情報、燃料噴射量を含む燃料情報、CO排出量、作業量、等を含む。
【0014】
なお、本実施形態の予定作業情報は、例えば、ショベル100が作業現場において、一日に行う予定の作業内容を示す情報であってよい。言い換えれば、予定作業情報とは、今後の一定期間において、ショベル100が行う予定である作業内容を示す情報であってよい。
【0015】
また、本実施形態の予定作業情報は、例えば、現在の爪先の目標位置と、今後予定されている作業における爪先の目標軌道と、を含んでもよい。
【0016】
管理装置200は、ショベル100から、稼働情報を受信し、稼働情報に含まれる状態情報が示すショベル100の作業内容毎に、稼働情報を集計する。そして、管理装置200は、ショベル100が作業を休止している状態である期間の内、エンジンが駆動中に各アクチュエータ動作を停止している期間(アイドリング状態の期間)を特定し、特定された期間における燃料に関する情報を、ショベル100の表示装置40に表示させる。
【0017】
ショベル100が作業を休止している状態である期間には、エンジン駆動中に各アクチュエータ動作を停止している期間(アイドリング状態の期間)の他に、エンジンを停止している期間も存在する。
【0018】
上記の如く、ショベル100の各アクチュエータ動作を停止している状態とは、ショベル100の原動機としてのエンジン11がオンとされ、且つ、レバー操作が行われていない状態と、エンジン11がオフとされている状態と、を含む。
【0019】
尚、原動機として、エンジンを用いずに電動モータを利用してもよい。この場合、電動モータへ電力を供給するため蓄電装置も搭載される。蓄電装置は、電力を蓄えるための装置であり、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等である。この場合、ショベル100は、インバータを用いて電動モータを制御することで、蓄電装置にて蓄電された電力によりメインポンプ14を回転駆動させる。
【0020】
また、本実施形態の管理装置200は、支援装置300の位置を示す位置情報と、支援装置300が向いている方向を示す方向情報とを取得する。次に、本実施形態の管理装置200は、ショベル100から取得した稼働情報に含まれる位置情報と、予定作業情報と、支援装置300の位置情報及び方向情報とから、今後予定されたショベル100の作業に関する注意喚起を促すための画像データを生成する。
【0021】
そして、管理装置200は、支援装置300に対して、今後予定されたショベル100の作業に関する注意喚起を促す画像を表示させる。
【0022】
支援装置300は、例えば、ショベル100の作業を支援するための端末装置である。具体的には、本実施形態の支援装置300は、ショベル100の作業を支援する作業者Pに装着される眼鏡型のウェアラブル端末等であり、拡張現実機能を有するAR(Augmented Reality)グラスであってもよい。
【0023】
また、支援装置300は、仮想現実を作業者Pに体験させることができるVR(Virtual Reality)グラスであってもよい。さらに、支援装置300は、例えば、スマートフォン等のような、可搬型のタブレット型端末であってもよい。作業者Pは、ショベル100を操作するオペレータとは別の人物であってもよい。
【0024】
本実施形態の支援装置300は、自機の現在位置を示す位置情報と、支援装置300が向いている方向を示す方向情報とを取得し、管理装置200に送信する。また、本実施形態の支援装置300は、撮像装置が撮像した画像データを管理装置200に送信してもよい。支援装置300の撮像装置が撮像した画像データを管理装置200に送信することで、例えば、管理装置200側でショベル100の管理等を行う管理者に対し、作業現場の環境を把握させることができる。
【0025】
なお、支援装置300の位置情報は、世界座標系の座標値によって示されてもよく、支援装置300が向いている方向とは、例えば、支援装置300の有する撮像装置が向いている方向であってもよい。
【0026】
さらに、支援装置300は、管理装置200から送信された、注意喚起を促す画像を示す画像データを受信し、この画像を表示させる。
【0027】
以下の説明では、今後予定されたショベル100の作業に関する注意喚起を促す画像を、注意喚起画像と表現する場合がある。また、以下の説明では、今後予定されたショベル100の動作に関する注意喚起を促す画像を示す画像データを、注意喚起画像データと表現する場合がある。
【0028】
このように、本実施形態の管理装置200は、ショベル100の位置情報と予定作業情報と、支援装置300の位置情報と方向情報と、に基づき、今後行われるショベル100の動作に関する注意喚起画像データを生成し、支援装置300に送信する。支援装置300は、管理装置200から注意喚起画像データを受信し、注意喚起画像を表示させる。
【0029】
このとき、支援装置300が、透過型の表示装置を有するARグラスである場合には、注意喚起画像は、AR画像として支援装置300に表示され、支援装置300を装着している作業者Pが見ている風景と共に作業者Pに視認される。
【0030】
また、支援装置300がスマートフォンやVRグラスである場合には、支援装置300は、位置情報と方向情報と共に、自機が有する撮像装置で撮像した画像データを管理装置200に送信する。そして、支援装置300の表示装置には、支援装置300の有する撮像装置が撮像した風景画像と注意喚起画像とが重畳された重畳画像が、支援装置300の表示装置に表示される。重畳画像は、管理装置200において生成されてよい。
【0031】
なお、図1の例では、管理装置200は1台の情報処理装置により実現されるものとしたが、これに限定されない。管理装置200は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。言い換えれば、管理装置200により実現される機能は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。
【0032】
次に、本実施形態のショベル100について説明する。図1では、ショベル100の側面図を示す。
【0033】
ショベル100は、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3を有する。ショベル100において、下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0034】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。そして、ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0035】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0036】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0037】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0038】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
【0039】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。
【0040】
バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0041】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。
【0042】
バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0043】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、エンジン11の排出機構の近傍には、CO排出量を検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0044】
さらに、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置40、入力装置42、音声出力装置43、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0045】
上部旋回体3には、電力を供給する蓄電部、及び、エンジン11の回転駆動力を用いて発電する電動発電機等が搭載されていてもよい。蓄電部は、例えば、キャパシタ、又は、リチウムイオン電池等である。電動発電機は、電動機として機能して機械負荷を駆動してもよく、発電機として機能して電気負荷に電力を供給してもよい。
【0046】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。各種機能は、例えば、オペレータによるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、オペレータによるショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0047】
表示装置40は、各種情報を表示するように構成されている。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0048】
入力装置42は、オペレータが各種情報をコントローラ30に入力できるように構成されている。入力装置42は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ及びメンブレンスイッチ等の少なくとも1つを含む。
【0049】
音声出力装置43は、音声を出力するように構成されている。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力するように構成されている。
【0050】
記憶装置47は、各種情報を記憶するように構成されている。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。
【0051】
記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100のオペレータが設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0052】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。測位装置P1は、上部旋回体3の向きを測定できるように構成されていてもよい。本実施形態では、測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置としても機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0053】
機体傾斜センサS4は上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は仮想水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0054】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角度を検出或いは算出するように構成されていてもよい。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0055】
撮像装置S6は、空間認識装置の一例であり、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0056】
撮像装置S6は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、撮像装置S6は、3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の他の空間認識装置で置き換えられてもよく、他の空間認識装置とカメラとの組み合わせで置き換えられてもよい。
【0057】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、前カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。なお、本実施形態の撮像装置S6によって撮像された画像データは、稼働情報に含まれてよい。
【0058】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網又はインターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。外部機器は、例えば、外部施設に設置されたサーバ等の管理装置200や、ショベル100の周囲の作業者が携帯しているスマートフォン等の支援装置300である。
【0059】
次に図2を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。図2は、ショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。図2は、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインを、それぞれ二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0060】
油圧システムは、エンジン11によって駆動される左メインポンプ14Lから、左センターバイパス管路40L又は左パラレル管路42Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、且つ、エンジン11によって駆動される右メインポンプ14Rから右センターバイパス管路40R又は右パラレル管路42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させている。
【0061】
左センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
【0062】
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左側走行用油圧モータ1Lへ供給し、且つ、左側走行用油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0063】
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右側走行用油圧モータ1Rへ供給し、且つ、右側走行用油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0064】
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0065】
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0066】
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0067】
制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0068】
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0069】
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0070】
左パラレル管路42Lは、左センターバイパス管路40Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路42Lは、制御弁171、173、175Lの何れかによって左センターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路42Rは、右センターバイパス管路40Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路42Rは、制御弁172、174、175Rの何れかによって右センターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0071】
左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出量を制御できるように構成されている。本実施形態では、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。右レギュレータ13Rは、右メインポンプ14Rの吐出量を制御できるように構成されている。
【0072】
本実施形態では、右レギュレータ13Rは、例えば、右メインポンプ14Rの吐出圧に応じて右メインポンプ14Rの斜板傾転角を調節することによって、右メインポンプ14Rの吐出量を制御する。左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるポンプ吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。なお、ポンプ吸収馬力は、左メインポンプ14Lの吸収馬力と右メインポンプ14Rの吸収馬力との合計である。
【0073】
左吐出圧センサ28Lは、吐出圧センサ28の一例であり、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。右吐出圧センサ28Rについても同様である。
【0074】
ここで、図2の油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御について説明する。
【0075】
左センターバイパス管路40Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。左制御圧センサ19Lは、制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。右センターバイパス管路40Rには、最も下流にある制御弁176Rと作動油タンクとの間に右絞り18Rが配置されている。右メインポンプ14Rが吐出した作動油の流れは、右絞り18Rで制限される。そして、右絞り18Rは、右レギュレータ13Rを制御するための制御圧を発生させる。右制御圧センサ19Rは、制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0076】
コントローラ30は、制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
【0077】
具体的には、図2で示されるように、ショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路40Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路40Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
【0078】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。右メインポンプ14Rが吐出する作動油についても同様である。
【0079】
上述のような構成により、図2の油圧システムは、待機状態においては、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rのそれぞれにおける無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油が左センターバイパス管路40Lで発生させるポンピングロス、及び、右メインポンプ14Rが吐出する作動油が右センターバイパス管路40Rで発生させるポンピングロスを含む。また、図2の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rのそれぞれから必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに供給できる。
【0080】
次に、アクチュエータを自動的に動作させる構成について説明する。ブーム操作レバー26Aは、操作装置26としての電気式操作レバーの一例であり、ブーム4を操作するために用いられる。ブーム操作レバー26Aは、操作方向及び操作量を検出し、検出した操作方向及び操作量を操作データ(電気信号)としてコントローラ30に対して出力する。手動制御時において、ブーム上げ方向にブーム操作レバー26Aが操作された場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Aの操作量に応じて比例弁31ALの開度を制御する。
【0081】
これにより、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、ブーム操作レバー26Aの操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、手動制御時において、ブーム下げ方向にブーム操作レバー26Aが操作された場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Aの操作量に応じて比例弁31ARの開度を制御する。これにより、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、ブーム操作レバー26Aの操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0082】
比例弁31AL、31ARは、電磁弁としての比例弁31の一例であるブーム比例弁31Aを構成する。比例弁31ALは、コントローラ30が調節する電流指令に応じて動作する。コントローラ30は、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調節する。
【0083】
比例弁31ARは、コントローラ30が調節する電流指令に応じて動作する。コントローラ30は、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調節する。比例弁31AL、31ARは、制御弁175L、175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調節可能である。
【0084】
この構成により、コントローラ30は、自動掘削制御の際には、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、ブーム4を自動的に上げることができる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、ブーム4を自動的に下げることができる。
【0085】
アーム操作レバー26Bは、操作装置26としての電気式操作レバーの別の一例であり、アーム5を操作するために用いられる。アーム操作レバー26Bは、操作方向及び操作量を検出し、検出した操作方向及び操作量を操作データ(電気信号)としてコントローラ30に対して出力する。手動制御時において、アーム開き方向にアーム操作レバー26Bが操作された場合、コントローラ30は、アーム操作レバー26Bの操作量に応じて比例弁31BRの開度を制御する。
【0086】
これにより、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、アーム操作レバー26Bの操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。また、手動制御時において、アーム閉じ方向にアーム操作レバー26Bが操作された場合、コントローラ30は、アーム操作レバー26Bの操作量に応じて比例弁31BLの開度を制御する。これにより、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、アーム操作レバー26Bの操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートとに作用させる。
【0087】
比例弁31BL、31BRは、比例弁31の一例であるアーム比例弁31Bを構成する。比例弁31BLは、コントローラ30が調節する電流指令に応じて動作する。コントローラ30は、パイロットポンプ15から比例弁31BLを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調節する。比例弁31BRは、コントローラ30が調節する電流指令に応じて動作する。コントローラ30は、パイロットポンプ15から比例弁31BRを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調節する。比例弁31BL、31BRは、制御弁176L、176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調節可能である。
【0088】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、アーム5を自動的に閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、アーム5を自動的に開くことができる。
【0089】
これにより、自動掘削制御においては、アーム操作レバー26Bの操作量に応じて、アームシリンダ8及びブームシリンダ7が自動で動作することにより、作業部位の速度制御、若しくは、位置制御が実行される。
【0090】
ショベル100は、上部旋回体3を自動的に左旋回・右旋回させるための構成、バケット6を自動的に開閉させるための構成、及び、下部走行体1を自動的に前進・後進させるための構成を備えていてもよい。この場合、旋回用油圧モータ2Aに関する油圧システム部分、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分、左側走行用油圧モータ1Lの操作に関する油圧システム部分、及び、右側走行用油圧モータ1Rの操作に関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0091】
次に、図3を参照して、本実施形態の管理装置200のハードウェア構成について説明する。図3は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0092】
本実施形態の管理装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置201、出力装置202、ドライブ装置203、補助記憶装置204、メモリ装置205、演算処理装置206及びインターフェース装置207を含むコンピュータである。
【0093】
入力装置201は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばタッチパネル等により実現される。出力装置202は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置207は、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0094】
後述する各部により実現される作業支援プログラムは、管理装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。作業支援プログラムは、例えば、記憶媒体208の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。作業支援プログラムを記録した記憶媒体208は、情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0095】
また、作業支援プログラムは、作業支援プログラムを記録した記憶媒体208がドライブ装置203にセットされると、記憶媒体208からドライブ装置203を介して補助記憶装置204にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた作業支援プログラムは、インターフェース装置207を介して補助記憶装置204にインストールされる。
【0096】
補助記憶装置204は、管理装置200にインストールされた作業支援プログラムを格納すると共に、管理装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置205は、管理装置200の起動時に補助記憶装置204から作業支援プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置206はメモリ装置205に格納された作業支援プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0097】
また、本実施形態の支援装置300は、管理装置200と同様に、演算処理装置とメモリ装置とを含むコンピュータである。また、支援装置300は、出力装置としての表示装置を含み、入力装置としてのハードウェアスイッチ等を有してもよい。
【0098】
また、支援装置300は、図3に示す各装置に加え、GPS(Global Positioning System)機能を実現するGPS受信部や、IMU(Inertial Measurement Unit)、撮像装置を含む。GPS受信部は、GPS衛星からGPS信号を受信する。IMUは、支援装置300の加速度と支援装置300が向いている方向とを検出する慣性計測装置である。さらに、本実施形態の支援装置300は、集音装置を有しており、音声データを取得してもよい。
【0099】
次に、図4を参照して、本実施形態の作業支援システムSYSにおける注意喚起画像について説明する。図4は、注意喚起画像について説明する図である。
【0100】
図4の例では、作業現場において、ショベル100-1とショベル100-2と、が存在する状態を示す。
【0101】
また、図4の例では、ショベル100-1は、これから、旋回を行うことが予定されており、ショベル100-2は、これから、矢印Y1が示す方向と、矢印Y2が示す方向とに走行することが予定されているものとする。
【0102】
また、図4の例では、注意喚起を行う期間として、今後の第一の所定期間と、今後の第二の所定期間とが予め作業者Pによって設定されている。ここでは、第二の所定期間は、第一の所定期間よりも長い期間とする。具体的には、図4の例では、第一の所定期間を10秒間とし、第二の所定期間を60秒間とする。
【0103】
この場合、ショベル100-1は、ショベル100-1の位置情報及び予定作業情報とから、第一の所定期間において、作業範囲151内を旋回することがわかる。また、ショベル100-2は、ショベル100-2の位置情報及び予定作業情報とから、第二の所定期間において、作業範囲152内を走行することがわかる。
【0104】
言い換えれば、管理装置200は、ショベル100-1とショベル100-2のそれぞれから取得した位置情報及び予定作業情報に基づき、第一の所定期間(今後10秒間)においてショベル100-1が作業を行う作業範囲151と、第二の所定期間(今後60秒間)においてショベル100-2が作業を行う作業範囲152と、を特定する。
【0105】
ここで、本実施形態の作業範囲とは、ショベル100が予定された作業を行った場合に機体の一部が接触する可能性がある空間を示す。言い換えれば、作業範囲とは、今後の所定期間において、ショベル100が動作する領域を示す。
【0106】
本実施形態の管理装置200は、作業範囲151と作業範囲152とが特定されると、支援装置300に対して、作業範囲151と作業範囲152とを示す仮想壁の画像を表示させる。
【0107】
具体的には、管理装置200は、支援装置300から取得した支援装置300の位置情報と方向情報とに基づき、作業者Pの視線方向に合わせて、作業範囲151を示す仮想壁の画像と、作業範囲152を示す仮想壁の画像とを生成する。
【0108】
なお、作業範囲151を示す仮想壁の画像と、作業範囲152を示す仮想壁の画像とを、注意喚起画像の一例である。
【0109】
そして、管理装置200は、注意喚起画像を示す注意喚起画像データを支援装置300に送信し、支援装置300に注意喚起画像を表示させる。
【0110】
このとき、管理装置200は、作業範囲151を示す仮想壁の画像と、作業範囲152を示す仮想壁の画像と、をそれぞれ異なる色の画像として生成してもよい。また、管理装置200は、作業範囲151が第一の所定期間(10秒間)における作業範囲であること、作業範囲152が第二の所定期間(60秒間)における作業範囲であること、を示す情報を、注意喚起画像に含めてもよい。
【0111】
本実施形態では、このように、ショベル100が今後行う予定である作業について、作業者Pに対して注意喚起を促す画像を支援装置300に表示させる。
【0112】
したがって、本実施形態によれば、作業者Pに対し、これから行われる作業(ショベル100の動作)に関する注意喚起を行うことができる。
【0113】
次に、図5を参照して、本実施形態の作業支援システムSYSの有する各装置の機能構成について説明する。図5は、作業支援システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
【0114】
はじめに、支援装置300の機能構成から説明する。本実施形態の支援装置300は、入力受付部310、表示制御部320、情報出力部330、通信制御部340を有する。
【0115】
入力受付部310は、支援装置300に対する各種の入力を受け付ける。具体的には、入力受付部310は、入力装置に対する作業者Pからの入力操作や、集音装置により取得された音声データによる操作指示を受け付ける。
【0116】
表示制御部320は、通信制御部340を介して管理装置200から受信した画像データを表示装置に表示させる。ここで管理装置200から受信した画像データとは、注意喚起画像データであってもよい。
【0117】
情報出力部330は、支援装置300が取得した各種情報を管理装置200に出力(送信)する。具体的には、情報出力部330は、支援装置300の位置情報と、支援装置300の向きを示す方向情報とを、管理装置200に対して出力する。なお、本実施形態の支援装置300は、支援装置300が起動した直後から、位置情報と方向情報とを管理装置200に連続的に送信してもよい。
【0118】
また、情報出力部330は、支援装置300がスマートフォンやVRグラスである場合に、画像データを連続的に管理装置200に送信してもよい。
【0119】
通信制御部340は、支援装置300と管理装置200との通信を制御する。また、通信制御部340は、支援装置300とショベル100との通信を制御してもよい。
【0120】
次に、管理装置200の機能構成について説明する。管理装置200は、表示指示部210、通信制御部220、情報取得部230、画像生成部240を有する。
【0121】
表示指示部210は、支援装置300に対して、各種の情報の表示を指示する。具体的には、表示指示部210は、支援装置300に対して、所定期間の設定画面や、注意喚起画像の表示指示を行う。また、表示指示部210は、ショベル100の表示装置40に対しても、各種の表示を指示してもよい。
【0122】
通信制御部220は、管理装置200と支援装置300との通信を制御する。また、通信制御部220は、管理装置200とショベル100との通信を制御する。
【0123】
情報取得部230は、ショベル100から送信される稼働情報を取得する。また、情報取得部230は、支援装置300から送信される位置情報、方向情報、画像データを取得する。また、情報取得部230は、支援装置300において設定された所定期間の値を取得する。
【0124】
画像生成部240は、情報取得部230により取得したショベル100の稼働情報と、支援装置300の位置情報、方向情報とに基づき、設定された所定期間におけるショベル100の作業範囲を特定し、特定された作業範囲に応じた注意喚起画像データを生成する。
【0125】
なお、画像生成部240は、情報取得部230が取得した所定期間の値を保持していてもよい。また、画像生成部240は、所定期間として複数の値が設定された場合には、複数の値毎に、ショベル100の作業範囲を特定し、注意喚起画像データを生成する。
【0126】
次に、ショベル100の機能構成について説明する。ショベル100の機能構成は、コントローラ30が、ROM等の記憶装置に格納されたプログラムを読み込むことで実現される。
【0127】
ショベル100は、稼働情報取得部110、通信制御部120を有する。稼働情報取得部110は、稼働情報を取得し、管理装置200に送信する。通信制御部120は、ショベル100と外部装置との通信を制御する。具体的には、通信制御部120は、ショベル100と管理装置200との通信、ショベル100と支援装置300との通信を制御する。
【0128】
次に、図6を参照して、本実施形態の作業支援システムSYSの動作について説明する。図6は、作業支援システムの動作を説明するシーケンス図である。
【0129】
本実施形態の作業支援システムSYSにおいて、支援装置300は、管理装置200に対して、注意喚起画像を表示させるための設定開始指示を送信する(ステップS601)。なお、設定開始指示は、支援装置300の入力装置に対する操作によって行われてもよい。
【0130】
管理装置200は、設定開始指示を受けて、表示指示部210により、支援装置300に対してメニュー画面の表示指示を送信する(ステップS602)。支援装置300は、表示指示を受けて、表示制御部320により、表示装置にメニュー画面を表示させる(ステップS603)。
【0131】
支援装置300は、メニュー画面において、注意喚起を行う所定期間の設定をする操作を受け付けて、管理装置200に対して所定期間の設定画面の表示要求を送信する(ステップS604)。
【0132】
管理装置200は、表示指示部210により、支援装置300に対し、所定期間の設定画面の表示指示を送信する(ステップS605)。
【0133】
支援装置300は、この表示指示を受けて、所定期間の設定画面を表示させ、入力受付部310により、所定期間の設定を受け付ける(ステップS606)。続いて、支援装置300は、管理装置200に対し、を送信する(ステップS607)。
【0134】
また、支援装置300は、情報出力部330により、自機の位置情報、方向情報の管理装置200への送信を開始する(ステップS608)。なお、このとき、支援装置300がスマートフォンやVRグラス等のように、等価型ではない装置である場合には、撮像装置により撮像した画像データも、位置情報と方向情報と共に管理装置200へ送信してよい。
【0135】
管理装置200は、情報取得部230により、所定期間を示す値を取得すると、取得した値を所定期間に設定する(ステップS609)。
【0136】
ショベル100は、作業が開始されると、稼働情報取得部110により稼働情報を取得し(ステップS610)、管理装置200への送信を開始する(ステップS611)。
【0137】
なお、支援装置300から位置情報、方向情報の管理装置200への送信を開始するタイミングと、ショベル100から管理装置200への稼働情報の送信を開始するタイミングは、図6に示すタイミングに限定されない。
【0138】
これらのタイミングは、例えば、ステップS601において、管理装置200に対する設定開始指示が行われる前であってもよい。本実施形態では、任意のタイミングで、支援装置300から管理装置200に対する情報の送信と、ショベル100から管理装置200に対する情報の送信とが開始されてよい。また、支援装置300から管理装置200への情報の送信と、ショベル100から管理装置200への情報の送信は、連続的に行われてもよい。
【0139】
管理装置200は、画像生成部240により、支援装置300から取得した位置情報、方向情報、ショベル100から取得した稼働情報に基づき、注意喚起画像データを生成すし(ステップS612)、支援装置300に注意喚起画像データを送信する(ステップS613)。
【0140】
支援装置300は、注意喚起画像データを受信すると、表示制御部320により、注意喚起画像を表示装置に表示させる(ステップS614)。
【0141】
次に、図7図8を参照して、本実施形態の支援装置300における画面遷移について説明する。なお、図7図8では、支援装置300がスマートフォンである場合を示す。
【0142】
図7は、支援装置における画面遷移を説明する図である。図7に示す画面301は、図6のステップS603において、支援装置300の表示装置に表示されるメニュー画面の一例である。
【0143】
画面301には、作業支援の種類を示す一覧301aが表示されている。作業支援の種類としては、例えば、注意喚起表示、メンテナンス情報表示等が含まれる。画面301では、「注意喚起表示」が選択されている。
【0144】
なお、支援装置300が透過型の表示装置を有するARグラスである場合には、一覧301aは、支援装置300を装着している作業者Pが見ている風景の上に重ねて表示されるAR画像として表示される。
【0145】
画面301において、「注意喚起画像」が選択された状態で、支援装置300から設定要求を送信する操作が行われると、画面301は、画面302に遷移する。
【0146】
画面302は、図6のステップS606で支援装置300に表示される設定画面の一例である。
【0147】
画面302には、注意喚起を行う期間を示す一覧302aが表示されている。画面302の例では、注意喚起を行う期間の一覧として、「10秒間」、「60秒間」、「1分間」が表示されており、「10秒間」、「60秒間」が選択されている。つまり、画面302の例では、注意喚起を行う所定期間として、複数の値が設定されている。
【0148】
図8は、注意喚起画像の表示例を示す図である。図8に示す画面303は、図6のステップS614において支援装置300に表示される画面の一例である。
【0149】
また、図8に示す画面303は、例えば、図4に示す作業現場において、支援装置300を所持(装着)した作業者Pが矢印Y3が示す方向を向いた状態で、支援装置300に表示される画面の例である。
【0150】
画面303では、第一の所定期間として設定された10秒間における作業範囲151を示す注意喚起画像151aと、第二の所定期間として設定された60秒間における作業範囲152を示す注意喚起画像152aと、が表示されている。
【0151】
図8では、支援装置300はスマートフォンとしたため、画面303には、支援装置300が撮像したショベル100-1、ショベル100-2を含む風景の画像と、注意喚起画像151a、152aとが重畳された重畳画像が表示されている。
【0152】
また、支援装置300が透過型のARグラスである場合には、注意喚起画像151a、152aは、AR画像とした支援装置300に表示されて、作業者Pが視認している風景と共に作業者Pに視認される。
【0153】
また、画面303では、注意喚起画像151aと対応する第一の所定期間を示す画像303aが、注意喚起画像151aと対応付けられて表示されている。さらに、画面303では、注意喚起画像152aと対応する第二の所定期間を示す画像303bが、注意喚起画像152aと対応付けられて表示されている。
【0154】
さらに、画面303では、注意喚起画像151aと、注意喚起画像152aとが異なる色で表示されている。言い換えれば、画面303では、注意喚起画像151aと、注意喚起画像152aとの表示態様が異なっている。
【0155】
したがって、本実施形態では、複数の値が所定期間として設定されてるいことを作業者Pに視覚的に認識させることができる。言い換えれば、本実施形態によれば、近い未来においてショベル100が動作する領域に対する注意喚起と、遠い未来においてショベル100が動作する領域に対する注意喚起とを、作業者Pに対して同時に行うことができる。
【0156】
また、本実施形態では、注意喚起画像151aと、注意喚起画像152aとの形状を、直方体の画像としたが、これに限定されない。注意喚起画像の形状は、例えば、半球状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0157】
なお、本実施形態では、注意喚起画像データを管理装置200で生成するものとしたが、これに限定されない。
【0158】
本実施形態では、支援装置300が注意喚起画像データを生成する機能を有していてもよい。その場合、支援装置300は、ショベル100から稼働情報を取得し、自機の位置情報と方向情報を用いて、注意喚起画像データを生成し、表示させればよい。
【0159】
また、本実施形態では、ショベル100が注意喚起画像データを生成する機能を有していてもよい。その場合、ショベル100は、支援装置300から位置情報と方向情報とを取得し、自機の稼働情報を用いて、注意喚起画像データを生成し、近距離無線通信等によって支援装置300に送信すればよい。
【0160】
本実施形態では、このように、支援装置300やショベル100で注意喚起画像データを生成することで、例えば、作業現場の通信環境が整っていない場合であっても、これから行われる動作に関する注意喚起画像を支援装置300に表示させることができる。
【0161】
このように、本実施形態によれば、支援装置300を利用する作業者Pに、ショベル100が今後行う作業を直感的に把握させることができ、効率的に協調作業を行わせることができる。
【0162】
また、本実施形態では、例えば、作業者Pがショベル100を視認してない状態においても、ショベル100が今後行う作業に関する警告を行うことができ、安全性を向上させることができる。
【0163】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
30 コントローラ
40 表示装置
100 ショベル
110 稼働情報取得部
120 通信制御部
200 管理装置
230 情報取得部
240 画像生成部
300 支援装置
320 表示制御部
330 情報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8