(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151590
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】オペアンプを用いた充電回路
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231005BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J1/00 306L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061281
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(71)【出願人】
【識別番号】516131843
【氏名又は名称】ANP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165AA03
5G165BB06
5G165CA01
5G165EA01
5G165HA04
5G165HA08
5G165HA17
5G165KA05
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA02
5G165NA05
5G165NA06
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA03
5G503CA08
5G503CC02
5G503EA02
5G503GA01
5G503GA15
(57)【要約】
【課題】CC-CV方式の充電に適した、専用のICを必要せず、安価かつシンプルな構成のオペアンプを用いた充電回路を提供する。
【解決手段】
第1電路と、第2電路と、第3電路を備え、前記第1電路上には、FETPch及び定電流ダイオードが夫々直列に設けられ、前記第2電路上には、オペアンプが設けられ、前記第3電路上には、第1の抵抗及び第2の抵抗が設けられ、前記FETPchのゲートと前記オペアンプの出力端子は、第4電路を通じて接続され、前記二次電池の正極と前記オペアンプの正極側の入力は、第5電路を通じて接続され、前記第3電路上の前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の間の箇所と、前記オペアンプの負極側の入力は、第6電路を通じて接続され、前記第3電路上の前記第2の抵抗と前記他端の間の箇所と、前記第2電路上の前記オペアンプと前記他端の間の箇所は、第7電路を通じて接続されている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペアンプを用いた、二次電池を充電する充電回路であって、
一端に電源が接続され、他端に二次電池の正極が接続される第1電路と、
一端に前記電源が接続され、他端が地絡されている第2電路と、
一端に前記電源が接続され、他端に前記二次電池の負極が接続される第3電路を備え、
前記第1電路上には、前記電源に近い順に、電界効果トランジスタPch及び定電流ダイオードが夫々直列に設けられ、
前記電界効果トランジスタPchは、電圧上位方向にソースが接続され、電圧下位方向にドレインが接続され、
前記第2電路上には、オペアンプが設けられ、
前記オペアンプは、電圧上位方向に電源電圧の正極が接続され、電圧下位方向に電源電圧の負極が接続され、
前記第3電路上には、前記電源に近い順に、第1の抵抗及び第2の抵抗が設けられ、
前記電界効果トランジスタPchのゲートと前記オペアンプの出力端子は、第4電路を通じて接続され、
前記二次電池の正極と前記オペアンプの正極側の入力は、第5電路を通じて接続され、
前記第3電路上の前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の間の箇所と、前記オペアンプの負極側の入力は、第6電路を通じて接続され、
前記第3電路上の前記第2の抵抗と前記他端の間の箇所と、前記第2電路上の前記オペアンプと前記他端の間の箇所は、第7電路を通じて接続されていることを特徴とする、オペアンプを用いた充電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を充電するオペアンプを用いた充電回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蓄えている電力を、繰り返し放電したり、充電したりすることができる二次電池の充電方式の1つとして、電流と電圧を制御するCC-CV(定電流-定電圧)充電がある。
【0003】
図2は、CC-CV充電時の理想的な電流(I)及び電圧(V)の推移を示したものである。
図2に示すように、このCC-CV充電では、当初(
図2では、時間tを表す横軸上の「CC」)、一定の電流(
図2では、「I
const」と示されている)で二次電池に対して充電を行う。そして、二次電池の電圧が所定の値に到達したら(
図2では、時間tを表す横軸上の「CV」)、一定の電圧(
図2では、「V
const」と示されている)で二次電池に対して充電を行う。このようにして、過充電状態を避けつつ満充電まで充電を行う方式である。
【0004】
CC-CV方式の充電を行うためには、細かな制御が要求されるため、専用のIC等を開発するのが、通常であった。
【0005】
例えば、特許文献1では、携帯端末に内装されるリチュウムイオン電池を携帯端末の外部において満充電以前に充電を停止させる構造を備えることにより、温度劣化が大きな満充電以前に充電を打ち切って電池の劣化を軽減するリチュウムイオン電池の充電構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【0007】
しかし、専用のIC等を用いる場合、高価で複雑な構成になる場合が多い。そのため、出願人は、
図3に示すように、専用のICを必要せず、安価かつシンプルな構成のオペアンプを用いた充電回路を創作した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図3に示す構成のオペアンプを用いた充電回路の場合、オペアンプの-(マイナス)入力に印加される基準電圧と、充電対象のオペアンプの+(プラス)入力に印加される二次電池に係る電池電圧の差分が僅かの場合、オペアンプは差分に比例して電圧を出力するため、定電流ダイオードに印加する電圧が僅かになってしまう。そして、印加される電圧が低すぎると、定電圧ダイオードが正常に動作しない。出力が安定しない。その結果、充電対象の二次電池に対し一定の電流を即ち、
図2中のCC期において、「I
const」を提供できない。
【0009】
更に、そもそも充電回路に印加する入力電圧(VCC)が低い(例えば、5V)場合には、それに応じて、基準電圧と電池電圧の差分も小さくなる。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するものとして、CC-CV方式の充電に適した、専用のICを必要せず、安価かつシンプルな構成のオペアンプを用いた充電回路を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、
オペアンプを用いた、二次電池を充電する充電回路であって、
一端に電源が接続され、他端に二次電池の正極が接続される第1電路と、
一端に前記電源が接続され、他端が地絡されている第2電路と、
一端に前記電源が接続され、他端に前記二次電池の負極が接続される第3電路を備え、
前記第1電路上には、前記電源に近い順に、電界効果トランジスタPch及び定電流ダイオードが夫々直列に設けられ、
前記電界効果トランジスタPchは、電圧上位方向にソースが接続され、電圧下位方向にドレインが接続され、
前記第2電路上には、オペアンプが設けられ、
前記オペアンプは、電圧上位方向に電源電圧の正極が接続され、電圧下位方向に電源電圧の負極が接続され、
前記第3電路上には、前記電源に近い順に、第1の抵抗及び第2の抵抗が設けられ、
前記電界効果トランジスタPchのゲートと前記オペアンプの出力端子は、第4電路を通じて接続され、
前記二次電池の正極と前記オペアンプの正極側の入力は、第5電路を通じて接続され、
前記第3電路上の前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の間の箇所と、前記オペアンプの負極側の入力は、第6電路を通じて接続され、
前記第3電路上の前記第2の抵抗と前記他端の間の箇所と、前記第2電路上の前記オペアンプと前記他端の間の箇所は、第7電路を通じて接続されている、オペアンプを用いた充電回路とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るオペアンプを用いた充電回路を適用・使用することによって、専用のICを必要しない、安価かつシンプルな構成で、二次電池に対し、CC-CV方式の充電を行うことができる。
【0013】
また、電界効果トランジスタPchを適用・使用することによって、二次電池に安定的に定電流を提供することができ、二次電池2に対し、より理想的な制御で、CC-CV方式の充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態例1のオペアンプを用いた充電回路の構成図である。
【
図2】CC-CV充電時の理想的な電流(I)及び電圧(V)の推移を示す説明図である。
【
図3】従来のオペアンプを用いた充電回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1のオペアンプを用いた充電回路Aの構成を
図1に基づいて説明する。オペアンプを用いた充電回路Aは、二次電池を充電する回路である。
【0016】
<オペアンプを用いた充電回路Aの構成>
図1に示すように、オペアンプを用いた充電回路Aは、一端に電源1が接続され、他端に二次電池2の正極21が接続される第1電路31と、一端に電源1が接続され、他端が地絡(GND)されている第2電路32と、一端に電源1が接続され、他端に二次電池2の負極22が接続される第3電路33を備えている。
【0017】
電源1は、オペアンプを用いた充電回路Aに直流電圧を印加する直流電源(VCC)であって、例えば、5(V)を印加する。二次電池2は、蓄えている電力を、繰り返し放電したり、充電したりすることができる蓄電デバイスである。
【0018】
第1電路31上には、電源1に近い順に、電界効果トランジスタPch(=Pチャネル型FET)4及び定電流ダイオード(CRD)5が夫々直列に設けられている。
【0019】
電界効果トランジスタPch4は、電圧上位方向にソース(
図1上では、「S」と表示されている)が接続され、電圧下位方向にドレイン(
図1上では、「D」と表示されている)が接続されている。
【0020】
第2電路32上には、オペアンプ6が設けられており、電圧上位方向にオペアンプ6の電源電圧の正極端子61が接続され、電圧下位方向にオペアンプ6の電源電圧の負極端子62が接続されている。
【0021】
第3電路33上には、電源1に近い順に、第1の抵抗71及び第2の抵抗72が設けられている。
【0022】
電界効果トランジスタPch4のゲート(
図1上では、「G」と表示されている)とオペアンプ6の出力端子63は、第4電路34を通じて接続されている。
【0023】
二次電池2の正極21とオペアンプ6の正極側の入力端子(非反転入力端子)64は、第5電路35を通じて接続されている。第5電路35上には、抵抗74が設けられている。
【0024】
第3電路33上の第1の抵抗71と第2の抵抗72の間の箇所と、オペアンプ6の負極側の入力端子(反転入力端子)65は、第6電路36を通じて接続されている。第6電路36上には、抵抗74が設けられている。これら第5電路35及び第6電路36上に設けられた抵抗74は、例えば、10(KΩ)の高抵抗であり、オペアンプの入力端子はノイズの影響を受けやすいが、この影響を排除するためのものである。
【0025】
第3電路33上の第2の抵抗72と他端の間の箇所と、第2電路32上のオペアンプ6と他端の間の箇所は、第7電路37を通じて接続されている。
【0026】
電界効果トランジスタPch4は、pチャネルMOS-FETである。電界効果トランジスタPch4では、ソース(S)-ドレイン(D)間で、「p型半導体→n型半導体→p型半導体」と接合して構成されている。ドレイン(D)・ソース(S)間に、ソース(S)+極性(プラス極性)で電圧を印加し、また、ゲート(G)・ソース(S)間に、ゲート(G)-極性(マイナス極性)で電圧を印加すると、ソース(S)からドレイン(D)に電流が流れる。
【0027】
定電流ダイオード5は、電圧上位方向にアノード(
図1上では、「A」と表示されている)が接続され、電圧下位方向にカソード(
図1上では、「K」と表示されている)が接続されている。定電流ダイオード5は、印加される電圧の変動の影響を受けにくいという特性があり、電圧が印加されると、所定の電流を出力する。
【0028】
オペアンプ6は、負極側の入力端子65から印加される基準電圧と、正極側の入力端子64から印加される二次電池2に係る電池電圧の差分を、増幅して出力端子63から出力する差動増幅器である。なお、オペアンプ6は、第2電路32上で、電源電圧の正極端子61が接続され、電圧下位方向にオペアンプ6の電源電圧の負極端子62が接続されており、電源1から電圧の供給を受けて動作する。そのため、オペアンプ6は、供給された電源電圧より大きい電圧を出力端子63から出力することはできない。供給された電源電圧以下の電圧しか出力することができない。
【0029】
オペアンプ6の負極側の入力端子65には、電源1からの電圧が、抵抗71及び抵抗72によって分圧され、印加される。この電圧が、二次電池2に係る電池電圧と比較対象となる基準電圧(Vref)となる。抵抗71及び抵抗72の値によって、基準電圧が決定される。そして、基準電圧を設定することは、二次電池2に対する充電電圧の上限を設定することとなる。即ち、二次電池2の満充電電圧の基準値を設定するものである。満充電電圧以上になるとオペアンプ6の電圧出力がOFFになり、電界効果トランジスタPch4がOFFする。電界効果トランジスタPch4がOFFすると充電が停止する。
【0030】
<オペアンプを用いた充電回路Aの動作>
次に、本発明の実施の形態例1のオペアンプを用いた充電回路Aの動作について説明する。上述したように、オペアンプ6の負極側の入力端子65には、電源1からの電圧が、抵抗71及び抵抗72によって分圧され、基準電圧として、印加される。オペアンプ6の正極側の入力端子64には、第5電路35を通じて、二次電池2に係る電池電圧が印加される。オペアンプ6は、基準電圧と電池電圧を比較する。そして、電池電圧が基準電圧より低い場合、オペアンプ6の出力端子63から、その差分電圧が出力される。第4電路34を通じてソースに対してマイナスの電圧がゲートに印加されると、電界効果トランジスタPch4は、ON(オン)し、ソース(S)からドレイン(D)に電流が流れる。そして、電界効果トランジスタPch4が、ONしたことにより、電源1から電圧が印加されると、定電流ダイオード5は、所定の電流を出力する。その結果、第1電路31を通じて、二次電池2に対し、所定の電流で充電が行われる。これは、
図1で示した「CC」期に相当する。
【0031】
そして、充電が進み、電池電圧が基準電圧に近づき、電池電圧と基準電圧の差分が小さくなると、出力端子63から出力される差分電圧も小さくなり、電界効果トランジスタPch4のソース(S)からドレイン(D)に流れる電流も少なくなる。それに伴い、電源1から印加される電圧も小さくなり、定電流ダイオード5から出力される電流も少なくなり、二次電池2に充電される電力も少なくなる。これは、
図1で示した「CV」期に相当し、二次電池2の自己放電分を補う補充電の役割を果たす。
【0032】
以下、詳しく説明する。二次電池2では、充電した電力について、自己放電が常に生じている。その結果、第5電路35を通じて、オペアンプ6の正極側の入力端子64に印加される二次電池2に係る電池電圧が、オペアンプ6の負極側の入力端子65に印加される基準電圧に対して若干低くなる。そして、オペアンプ6から出力される電圧も低くなり、電界効果トランジスタPch4のゲートを駆動し、ソース(S)からドレイン(D)に流れる電流が増える。そして、定電流ダイオード5から出力される電流も増え、二次電池2に充電される電力も自己放電分を補う程度に増える。
【0033】
このように本発明の実施の形態例1のオペアンプを用いた充電回路Aを適用・使用することによって、専用のICを必要しない、安価かつシンプルな構成で、二次電池2に対し、CC-CV方式の充電を行うことができる。
【0034】
また、電界効果トランジスタPch4を適用・使用することによって、二次電池2に安定的に定電流を提供することができ、二次電池2に対し、より理想的な制御で、CC-CV方式の充電を行うことができる。
【0035】
特に、二次電池2等の蓄電デバイスと電源1の電圧値が近接している。また、使用されるオペアンプ6が、電源1に対してレールトゥレール(Rail to Rail)ではない。即ち、オペアンプ6が最大値(VCC)から最小値 (GND) までの範囲に対応していない。これらの場合であっても、電界効果トランジスタPch4を用いることで、二次電池2に対し、より理想的な制御で、CC-CV方式の充電を行うことができる。
【0036】
また、
図3に示すように、オペアンプ6の出力電圧で定電流ダイオード5を動作させる構成の場合、オペアンプ6の負極側の入力端子65に印加される基準電圧と、オペアンプ6の正極側の入力端子64に印加される二次電池2に係る電池電圧の差分が、僅かの場合、オペアンプ6は差分に比例して電圧を出力するため、定電流ダイオード5に印加する電圧が僅かになってしまう。そして、印加される電圧が低すぎると、定電圧ダイオード5が正常に動作しない。しかしながら、電界効果トランジスタPch4を用いることで、負帰還回路の動作が生じ、基準電圧と、オペアンプ6の正極側の入力端子64に印加される二次電池2に係る電池電圧の差分が僅かの場合の場合であっても、定電流ダイオード5を正常に動作させることができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係るオペアンプを用いた充電回路は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
A:オペアンプを用いた充電回路、
1:電源、
2:二次電池、21:二次電池の正極、22:二次電池の正極、
31:第1電路、32:第2電路、33:第3電路、34:第4電路、35:第5電路、36:第6電路、37:第7電路、38:第8電路、
4:電界効果トランジスタPch、
5:定電流ダイオード、
6:オペアンプ、61:オペアンプの電源電圧の正極端子、62:オペアンプの電源電圧の負極端子、63:オペアンプの出力端子、64:オペアンプの正極側の入力端子、65:オペアンプの負極側の入力端子、
71:抵抗、72:抵抗、74:抵抗