(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151591
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体収容カートリッジ及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 169
B41J2/175 101
B41J2/175 161
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061282
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 草介
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056KC02
2C056KC04
(57)【要約】
【課題】液体容器から液体を供給する供給口の接続不良を低減し、供給口からの液体の漏れの可能性を低減する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供する。
【解決手段】カートリッジは、液体を収容する液体容器100と、液体容器100から外部へ液体を供給する供給口109と、供給口109の開口方向と交差する交差方向において、供給口109に対する一方に設けられた第一位置決め部71と、交差方向において、供給口109に対する一方と異なる他方に設けられた第二位置決め部73とを備える。カートリッジは、第一位置決め部71及び第二位置決め部73により、供給口109の位置が供給ニードルに対して位置決めされる。従って、供給ニードルに対して、供給口109の位置ずれの可能性を低減でき、供給口109の接続不良を低減し、供給口109からの液体の漏れの可能性を低減することができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体容器と、
前記液体容器から外部へ前記液体を供給する供給口と、
前記供給口の開口方向と交差する交差方向において、前記供給口に対する一方に設けられた第一位置決め部と、
前記交差方向において、前記供給口に対する前記一方と異なる他方に設けられた第二位置決め部とを備えたことを特徴とする液体収容カートリッジ。
【請求項2】
前記液体容器は、第1面を備えるケースを備え、
前記供給口、前記第一位置決め部、及び前記第二位置決め部は、前記第1面に設けられ、
前記供給口は、前記第1面から前記供給口の前記開口方向に延びる接続部に設けられ、
前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部は、各々、前記第1面から前記開口方向に延び、
前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部は、各々、前記接続部よりも前記開口方向に長いことを特徴とする請求項1に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項3】
前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部は、前記供給口に対して、左右対称の位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項4】
前記第一位置決め部の端部に丸穴が設けられ、前記第二位置決め部の端部に長穴が設けられ、
前記長穴は、前記長穴から前記丸穴に向かう長軸方向の大きさが、前記長軸方向に直交する短軸方向の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項5】
前記液体容器は底面を備え、
前記底面からの高さが前記供給口よりも高い位置に、電気接点を有する回路基板を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体収容カートリッジ。
【請求項6】
前記回路基板の前記電気接点が設けられた面が上方を向いていることを特徴とする請求項5に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項7】
前記回路基板は、前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部の間の上方に設けられてことを特徴とする請求項5又は6に記載の液体収容カートリッジ。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容カートリッジ及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のカートリッジケースは、第一方向に延びる第一ケース及び第二ケースを備えている。第一ケースは、下側に設けられ、上側が開放されており、内部に液体収容体を収納する。第二ケースは、第一ケースに対向して上側に設けられ、第一ケースを覆う。第一ケースの第一方向の一端部には、液体収容体の口栓を支持する口栓支持部が設けられている。液体収容体がカートリッジケースに取り付けられる場合には、第二ケースが第一ケースに対して、第一方向の一端部と反対方向に移動されて、第一ケースに液体収容体が収納される。液体収容体の口栓は口栓支持部に嵌め込まれる。その後、第二ケースが第一ケースの第一方向の一端部方向に移動される。液体収容体を収納したカートリッジケースは、プリンタのカートリッジ装着部に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記カートリッジケースに収納された液体収容体の口栓とプリンタに設けられているインク供給ニードルの位置合わせの精度が出ない場合には、口栓にインク供給ニードルが上手く入らずに、口栓とインク供給ニードルとの接続不良や、インクが漏れる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、液体容器から液体を供給する供給口の接続不良を低減し、供給口からの液体の漏れの可能性を低減する液体収容カートリッジ及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る液体収容カートリッジは、液体を収容する液体容器と、前記液体容器から外部へ前記液体を供給する供給口と、前記供給口の開口方向と交差する交差方向において、前記供給口に対する一方に設けられた第一位置決め部と、前記交差方向において、前記供給口に対する前記一方と異なる他方に設けられた第二位置決め部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記液体収容カートリッジは、第一位置決め部及び第二位置決め部により、供給口の位置が供給ニードルに対して位置決めされる。従って、供給ニードルに対して、供給口の位置ずれの可能性を低減でき、供給口の接続不良を低減し、供給口からの液体の漏れの可能性を低減する。
【0008】
本発明の第二態様に係るプリンタは、前記液体収容カートリッジを備えたことを特徴とする。第二態様によれば、プリンタにおいて、第一位置決め部及び第二位置決め部により、供給口の位置が供給ニードルに対して位置決めされる。従って、供給ニードルに対して、供給口の位置ずれの可能性を低減でき、供給口の接続不良を低減し、供給口からの液体の漏れの可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】プリンタ1の内部構成を示す縦断面図である。
【
図4】収容部6にカートリッジ30が挿入される状態を示す斜視図である。
【
図5】収容部6にカートリッジ30が挿入された状態を示す縦断面図である。
【
図7】カートリッジ30に液体容器100が装着された状態を示す斜視図である。
【
図9】カバー36の下側を上に向けた状態の斜視図である。
【
図13】メンテナンスボックス300の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して順に説明する。本実施形態では、図面中の機械的要素は、各図面において実際のスケールを示す。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、プリンタ1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
図6の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、カートリッジ30の左側、右側、前側、後側、上側、及び下側とする。
図1~
図5はプリンタ1の方向であり、一方
図6~
図13はカートリッジ30の方向であり、カートリッジ30の前面をプリンタ1の後面に向けた状態でカートリッジ30がプリンタ1に装着される。
【0011】
<プリンタ1の構造>
図1を参照して、プリンタ1の構造を説明する。プリンタ1は、長尺状の媒体に印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷データが入力端子(図示略)に入力されると、プリンタ1は、内蔵した印刷機構(図示略)により、印刷データを媒体に印刷し、後述する排出口21から排出する。
図1に示すように、プリンタ1は、筐体2を備える。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状であり、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、底壁27、上壁28、及びフロントカバー23を有する。
【0012】
前壁24は、筐体2の前面に設けられ、上から下に向けて、第一前壁241及び第二前壁242を有する。第一前壁241及び第二前壁242は、夫々、正面から見て、左右方向に長い矩形である。第一前壁241は、筐体2の前側の上部に設けられ、第二前壁242は、第一前壁241の下、且つ、筐体2の前側の中央に設けられる。右壁25、後壁26、及び左壁29は、夫々上下方向に長い矩形である。また、底壁27及び上壁28は、夫々、前後方向に長い矩形である。
【0013】
第一前壁241及び第二前壁242の境目に排出口21が設けられている。排出口21は、正面視左右方向に長い矩形の開口であり、印刷された媒体を排出する。第一前壁241は、表示部3、及び操作部4を備える。表示部3は文字及び画像等を表示する。操作部4は、表示部3の右に設けられる。操作部4は、各種指示を入力するタッチパネル又は複数のボタンを備える。
【0014】
フロントカバー23は、筐体2の前面、且つ、第二前壁242の下に設けられる。フロントカバー23は、正面から見て矩形の蓋であり、下端部に一対のヒンジ231を備える。フロントカバー23は、ヒンジ231により、
図3に示す収容部6の開口部11及び開口部12を閉じる閉位置(
図1参照)と、開口部11及び開口部12を解放する開位置とに回動可能である。
【0015】
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部に、インクジェットヘッド8、カートリッジ30、インクチューブ48、搬送装置45、隔壁55、定着ユニット143を収容する。
【0016】
インクジェットヘッド8は、供給部5から供給される媒体Mに画像を印刷する。インクジェットヘッド8は、インクGを吐出方向に吐出する複数のノズル70を備える。インクジェットヘッド8は、複数のノズル70からインクGを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行う。吐出方向は下方であり、インクジェットヘッド8は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル70が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、供給部5から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。
【0017】
カートリッジ30は、開口部11に収容される。カートリッジ30は、内部にインクを収容した液体容器100を収容し、開口部11の装着部7に装着される。詳細は後述する。インクチューブ48は、筐体2の内部に配置され、装着部7とインクジェットヘッド8との間を接続する。カートリッジ30内部のインクGは、インクチューブ48を介して、カートリッジ30からインクジェットヘッド8に供給される。
【0018】
搬送装置45は、供給部5、搬送部270、10、15、19、支持部80、張力付与部60、及び回転体75を備える。供給部5は、閉位置にあるフロントカバー23の左方、且つ、プリンタ1の後下部の、隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。供給部5は、ロールRを保持する。供給部5は、軸部51、及びマガジン52を備える。軸部51は、左右方向に延び、ロールRの紙管Kに挿通される。マガジン52は、正面視U字状の支持台である。マガジン52は、軸部51の左右両端部を、軸部51が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部51は、マガジン52に取り外し可能に支持される。マガジン52は、プリンタ1に取り外し可能に支持される。
【0019】
ロールRを交換する作業者は、フロントカバー23を開位置に配置して、マガジン52を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。
【0020】
搬送部270は、媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送経路Qに沿った方向である。供給部5から張力付与部60までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、概ね上方である。張力付与部60から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。
【0021】
搬送部270はインクジェットヘッド8よりも搬送方向Fの上流側、且つ、供給部5に対し搬送方向下流側に設けられる。即ち搬送部270は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、インクジェットヘッド8と、供給部5との間に設けられる。搬送部270は、左右方向に延びる軸周りに回転する搬送ローラ271と、左右方向に延びる軸周りに回転するピンチローラ272とを有する。搬送部270は、搬送ローラ271とピンチローラ272で媒体Mを供給部5からインクジェットヘッド8に向かう搬送方向Fにニップ搬送する。
【0022】
搬送部10は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。搬送部10は、供給部5の軸部51と取り外し可能に係合する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mをインクジェットヘッド8に向けて繰り出させる。
【0023】
支持部80は、搬送部270よりも搬送方向Fの下流側、且つ、搬送部10よりも搬送方向Fの上流側に設けられ、張力付与部60と回転体75とを支持する。張力付与部60は、搬送経路Qにおいて、搬送部270と、搬送部10との間に設けられる。張力付与部60は、供給部5よりも上方に配置され、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側において、左右方向に延びる軸周りに揺動可能に支持される。張力付与部60は、媒体Mに当接して、媒体Mを屈曲させる。これにより、張力付与部60は、媒体Mに張力を付与する。張力は、媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力である。
【0024】
回転体75は、搬送部270よりも搬送方向Fの上流側、且つ、張力付与部60のうちの搬送方向Fの上流側の端部、即ち、張力付与部60の下端部よりも搬送方向Fの下流側において、左右方向に延びる軸周りに回転可能に支持される。
【0025】
搬送部15は、インクジェットヘッド8の下方、且つ、搬送部270に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部15は、駆動ローラ113、従動ローラ14、及び無端ベルト16を備える。駆動ローラ113と、従動ローラ14とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト16は、駆動ローラ113と、従動ローラ14とに掛け渡される。無端ベルト16の回転に伴い、従動ローラ14が回転する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送部270により媒体Mがニップされるニップ点89の上下位置と略同じであり、インクジェットヘッド8の複数のノズル70と対向する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部270と、搬送部19との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト16に吸着させた状態で搬送する。
【0026】
定着ユニット143は、インクジェットヘッド8に対し搬送方向下流側且つ搬送部19に対し搬送方向上流側に配置される。また、定着ユニット143は、搬送経路Qの下側に設けられる。定着ユニット143は、伝導加熱可能な熱源144と、熱源144によって加熱される加熱板142とを備える。加熱板142は、搬送経路Qを通過する媒体Mを下方から支持する。媒体Mが加熱板142に加熱されることで、インクジェットヘッド8により媒体M上に吐出されたインクGは媒体Mに定着する。
【0027】
搬送部19は、インクジェットヘッド8及び定着ユニット143に対し搬送方向下流側、且つ排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部19は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ17と、ピンチローラ18とを有し、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0028】
印刷処理が実行される場合、プリンタ1の制御部は、搬送部270、10、15、19を駆動して、媒体Mを搬送する。プリンタ1は、張力付与部60により媒体Mに張力が付与されるように搬送部270、10の駆動量を調整する。プリンタ1の制御部は、媒体Mの搬送と同期してインクジェットヘッド8を駆動して、カートリッジ30からインクチューブ48を介して供給されたインクGを媒体Mに吐出する。プリンタ1の制御部は、熱源144を駆動して、媒体M上のインクGを媒体Mに定着させる。媒体Mは排出口21から筐体2の外部に排出される。
【0029】
<収容部6の構造>
図3~
図5を参照して、プリンタ1の内部に設けられる収容部6の構造について説明する。
図3及び
図4は、収容部6のみを示し、プリンタ1の他の構造は省略されている。プリンタ1のフロントカバー23の内側に収容部6が設けられている。収容部6は、左右方向に延びる直方体状であり、左から右に向けて、第一収容部61及び第二収容部62を備える。第一収容部61及び第二収容部62は、夫々、直方体状の空間であり、前方に開口する開口部11及び開口部12を備える。フロントカバー23を閉状態から開状態にした場合、収容部6の開口部11、12が露出される。開口部11、12は、夫々、矩形の開口である。
図4及び
図5に示すように、第一収容部61は、後述するカートリッジ30を収容する。
【0030】
図6に示すように、カートリッジ30は、直方体状である。
図7に示すように、カートリッジ30は、液体を収容する液体容器100を収容する。液体容器100は、インクを収容する。液体容器100は、合成樹脂製のパウチである。以下では、液体容器100にインクが収容されている例を説明する。カートリッジ30の構造の詳細は後述する。第二収容部62は、図示しないメンテナンスボックスを収容する。
【0031】
図3及び
図5に示すように、第一収容部61は、後壁610を備える。後壁610は、第一収容部61の最も後側に設けられた矩形の壁であり、上下左右方向に延びる。後壁610は、装着部7を備える。装着部7は、後壁610の上下方向中央より下に設けられる。カートリッジ30が第一収容部61に収容された場合、装着部7には、カートリッジ30に収納された液体容器100の口栓105が装着される。装着部7には、前方へ向けて突出する供給ニードル9が設けられている。供給ニードル9の内部は中空である。カートリッジ30が第一収容部61に収容され、装着部7に口栓105が装着された場合、供給ニードル9は、液体容器100の接続部107の供給口109の内部に進入する。従って、液体容器100内のインクがプリンタ1のインクジェットヘッド8に供給される。
【0032】
また、第一収容部61の後壁610には、一対の位置決め突起611及び位置決め突起612が設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、供給ニードル9に対して、左右対称の位置に設けられている。位置決め突起611及び位置決め突起612は、前方に向けて突出している。位置決め突起611及び位置決め突起612の前端は、供給ニードル9の前端よりも前側に突出している。カートリッジ30が第一収容部61に挿入された時に、位置決め突起612は、後述する第一位置決め部71の丸穴72に嵌合し、位置決め突起611は後述する第二位置決め部73の長穴74に嵌合する。
【0033】
第二収容部62には、
図13に示すメンテナンスボックス300が収容される。メンテナンスボックス300は、カートリッジ30と同様に、直方体状である。メンテナンスボックス300は、第二収容部62に収容された状態で固定される。メンテナンスボックス300には、メンテナンス用のノズル洗浄液を収容した収容体1000が収容される。メンテナンスボックス300の構造の詳細は後述する。
【0034】
また、
図3に示すように、第二収容部62の後壁620には、一対の位置決め突起711及び位置決め突起712が設けられている。位置決め突起711及び位置決め突起712は、洗浄液ニードル90に対して、左右対称の位置に設けられている。位置決め突起711及び位置決め突起712は、前方に向けて突出している。位置決め突起711及び位置決め突起712の前端は、洗浄液ニードル90の前端よりも前側に突出している。メンテナンスボックス300が第二収容部62に挿入された時に、位置決め突起712は、
図13に示す第一位置決め部81の丸穴82に嵌合し、位置決め突起711は第二位置決め部83の長穴84に嵌合する。
【0035】
<カートリッジ30の構造>
図6~
図9を参照して、カートリッジ30の構造について説明する。
図6に示すように、カートリッジ30は、直方体状であり、下部ケース37及びカバー36を備える。
図7に示すように、カートリッジ30は、下部ケース37内に、液体容器100を収容し、
図6に示すように、カバー36が閉じられる。
【0036】
図8に示すように、下部ケース37は、前壁31、後壁32、右壁33、左壁34、及び底壁35を備える。底壁35は、前後方向に長い矩形の板である。前壁31は、底壁35の前端から上方へ向けて延びる。前壁31の左下部には、口栓係合部41が設けられる。口栓係合部41は、前壁31を前後方向に貫通し、且つ上方に開口する開口部である。
図7に示すように口栓係合部41には、液体容器100の口栓105が上方から係合する。前壁31は、液体容器100の口栓105を支持する。
【0037】
図8に示すように、下部ケース37の右壁33は、底壁35の右端から上方へ向けて延びる。右壁33の前側の上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右壁33の前端部の上下方向における長さは、前壁31の右端部の上下方向における長さと略同一である。左壁34は、底壁35の左端から上方へ向けて延びる。左壁34の前側の端部の上下方向における長さは、前壁31の左端部の上下方向における長さと略同じである。左壁34の前側の上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右壁33と左壁34の後方側の上下方向における長さは、右壁33と左壁34の前端部の上下方向における長さの役2倍の長さである。
【0038】
後壁32は、底壁35の後端から上方に向けて延びる。底壁35の上下方向の長さは、右壁33及び左壁34の後方側の上下方向における長さと略同一である。後壁32の上端の左右には、一対の軸321が左右方向にそれぞれ突出している。前壁31、右壁33、左壁34、及び後壁32により、上方へ開口する開口39が形成される。開口39内に液体容器100が収容される。
【0039】
図9は、カバー36の下側を上に向けた状態の斜視図である。
図9に示すように、カバー36は、上壁365、前壁361、後壁362、右壁364、及び左壁363を備える。上壁365は、前後方向に長い矩形の板である。前壁361は、上壁365の前端部から下方に延びる。前壁361には、切り欠き部361A及び切り欠き部361Bが設けられ、切り欠き部361Aと切り欠き部361Bとの間に側壁366が下方に延びている。後壁362は、上壁365の後端から下方に延びる矩形の板であり、後壁362の下端の左右の端部に一対の軸受部367を備える。右壁364は、上壁365の右端から下方に延びる板であり、前側の上下方向の長さが後ろ側の上下方向の長さよりも長く、後ろ側から前側に向けて傾斜する傾斜部を備えている。左壁363は、上壁365の左端から下方に延びる板であり、前側の上下方向の長さが後ろ側の上下方向の長さよりも長く、後ろ側から前側に向けて傾斜する傾斜部を備えている。
【0040】
カバー36の一対の軸受部367が下部ケース37の一対の軸321に、夫々、回動可能に支持されて、カバー36は、開口39を覆う閉状態と、開口39を覆わない開状態とに回動する。
図7に示す開状態において、作業者は、液体容器100をカートリッジ30に着脱可能となる。カバー36が閉状態の場合、カートリッジ30は、プリンタ1の収容部6に収容可能となる。
【0041】
<液体容器100の構造>
図10及び
図11を参照して、液体容器100の構造を説明する。液体容器100には、一例として、インクが収容されている。インクの一例は、例えば、ブラックのインクである。液体容器100は、ケース110を備える。ケース110は、構成樹脂製のパウチで形成される。ケース110は、前後方向に長い直方体状である。ケース110は、前面101、後面102、右側面103、左側面104、底面106、及び上面108を備える。底面106及び上面108は、前後方向に長い矩形である。前面101は、底面106の前端から上方向に延びる矩形である。右側面103は、底面106の右端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。左側面104は、底面106の左端から上方に延び、且つ、前後方向に長い矩形である。後面102は、底面106の後端から上方向に延びる矩形である。
【0042】
<口栓105の構造>
図10に示すように、前面101の左側下部には、口栓105が設けられている。口栓105は、接続部107、第一位置決め部71、第二位置決め部73、回路基板ホルダ130を備える。接続部107は、前面101に対して、前面101と直交する前方向に延びる円筒である。接続部107は、その中央に供給口109が前方向に開口している。接続部107の供給口109は、液体容器100から外部へインクを供給する供給口である。接続部107は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、供給口109の奥側(後ろ側)の部分には、封止部材(図示略)が設けられる。封止部材により、カートリッジ30が装着部7から外され、接続部107の供給口109と供給ニードル9との接続が解除されたときなどに、インクが供給口109から漏れることを抑制している。
【0043】
第一位置決め部71は、供給口109に対して、供給口109の開口方向(前方向)と交差する交差方向において左斜め下の位置に設けられている。第一位置決め部71の前端部には、開口が円形の丸穴72が設けられている。第二位置決め部73は、供給口109に対して、供給口109の開口方向(前方向)と交差する交差方向において右斜め下の位置に設けられている。第二位置決め部73の前端部には、開口が横方向に長い長穴74が設けられている。長穴74は、長穴74から丸穴72に向かう長軸方向、すなわち左右方向の大きさが、長軸方向に直交する短軸方向、すなわち上下方向の大きさよりも大きい。長穴の一例は、開口部が長円又は楕円の穴である。
【0044】
また、第一位置決め部71は前面101から供給口109の開口方向に延びている。また、第二位置決め部73は、前面101から供給口109の開口方向に延びている。
図11及び
図12に示すように、第一位置決め部71及び第二位置決め部73は、各々、接続部107よりも供給口109の開口方向(前方向)に長い。すなわち、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の前面101からの前後方向の長さL1は、接続部107の前面101からの前後方向の長さL2よりも大きい。
図10に示すように、第一位置決め部71及び第二位置決め部73は、供給口109に対して、左右対称の位置に設けられている。また、第一収容部61にカートリッジ30が挿入された場合には、供給口109、第一位置決め部71及び第二位置決め部73が、夫々、供給ニードル9、位置決め突起612及び位置決め突起611に対向する位置に設けられている。
【0045】
<回路基板140及び回路基板ホルダ130の構造>
図10及び
図11に示すように、口栓105は、供給口109の上方に回路基板ホルダ13を備えている。即ち、液体容器100の底面106からの高さが、供給口109よりも高い位置に回路基板ホルダ130が設けられている。回路基板ホルダ130は、回路基板140を着脱可能に保持する。回路基板140は、電子回路を内蔵し、電気接点141が露出している。回路基板140は、液体容器100に収容されている液体の残量の情報を記憶している。回路基板140の一例は、ICチップである。回路基板140は、電気接点141が設けられた面が上方を向いた状態で、回路基板ホルダ130に保持される。即ち、カートリッジ30は、供給口109よりも高い位置に、電気接点141を有する回路基板140を備えている。尚、回路基板140の電気接点141は、第一収容部61に設けられた接触部613(
図3及び
図5参照)に接触する。
【0046】
また、
図10及び
図11に示すように、口栓105において、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の間の上方に回路基板ホルダ130が設けられている。従って、回路基板140は、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の間の上方に設けられている。
【0047】
<カートリッジ30の着脱及び実施例の効果>
プリンタ1にカートリッジ30を装着する場合には、使用者は、プリンタ1のフロントカバー23を開いて、カートリッジ30を挿入する。また、プリンタ1の使用中にインクが不足し、表示部3にカートリッジ30の交換の指示が表示された場合には、使用者は、プリンタ1のフロントカバー23を開いて、カートリッジ30を交換する。これらの場合に、カートリッジ30は、供給口109の開口方向と交差する交差方向において、供給口109に対する一方に設けられた第一位置決め部71と、交差方向において、供給口109に対する一方と異なる他方に設けられた第二位置決め部73とを備えているので、第一位置決め部71及び第二位置決め部73により、供給口109の位置が供給ニードル9に対して位置決めされる。従って、供給ニードル9に対して、供給口の位置ずれの可能性を低減でき、供給口109の接続不良を低減し、供給口109からの液体の漏れの可能性を低減することができる。
【0048】
また、第一位置決め部71及び第二位置決め部73は、各々、接続部107よりも供給口109の開口方向(前方向)に長いので、供給ニードル9が供給口109に挿入されるよりも先に、第一位置決め部71及び第二位置決め部73に、第一収容部61の位置決め突起612及び位置決め突起611が挿入される。従って、供給ニードル9が供給口109に正しく挿入される。
【0049】
また、
図10に示すように、第一位置決め部71及び第二位置決め部73は、供給口109に対して、左右対称の位置に設けられているので、左右方向に於ける供給口109の位置合わせの精度が向上する。
【0050】
また、第一位置決め部71の前端部には、開口が円形の丸穴72が設けられているので、第一位置決め部71の丸穴72に位置決め突起612が挿入されて位置が正確に決まる。さらに、第二位置決め部73の前端部の長穴74は、第二位置決め部73から供給口109に向かう長軸方向の大きさが、長軸方向に直交する短軸方向の大きさよりも大きい。従って、長穴74に挿入される位置決め突起611が長穴74の長手方向にずれても、長穴74に挿入できない可能性が低減する。
【0051】
また、回路基板140は、液体容器100の底面106からの高さが、供給口109よりも高い位置に設けられているので、供給口109から飛散した液体が、回路基板140の電気接点141に付着する可能性が低減する。従って、回路基板140の電気接点141の導通の信頼性が向上する。
【0052】
また、回路基板140の電気接点141が設けられた面が上方を向いているので、供給口109から飛散した液体が、回路基板140の電気接点141に付着する可能性が低減する。また、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の間の上方に回路基板140が設けられているので、第一収容部61に設けられた接触部613に対する回路基板140の位置合わせの精度が向上する。
【0053】
プリンタ1は、上記構成のカートリッジ30を装着可能である。従って、プリンタ1は、供給ニードル9に対して、供給口の位置ずれの可能性を低減でき、供給口109の接続不良を低減し、供給口109からの液体の漏れの可能性を低減することができる。
【0054】
上記実施形態において、前面101は、本発明の「第1面」の一例である。カートリッジ30は、本発明の「液体収容カートリッジ」の一例である。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能である。液体容器100は、箱状のものに限られない。液体容器100は、インクを収容したがこれに限らない。例えば、液体容器100は、インク以外の液体を収容してもよい。例えば、液体容器100は、プリンタ1の出荷時または長期保管時に、カートリッジ30とインクジェットヘッド8とを結ぶインクチューブ48内でのインクの固化を抑制するためにインクチューブ48に導入される保存液(保管液、出荷液)を収容してもよい。この場合、保存液としては、揮発しにくい特性を有する液体が採用されてもよい。また、カートリッジ30の下部ケース37及びカバー36を省略し、液体容器100を直接プリンタ1に装着してもよい。
【0056】
上記実施形態では、インクを収容するカートリッジ30の第一位置決め部71及び第二位置決め部73について述べたが、これに限らず、前述の通り、位置決め部材は、メンテナンスボックスに設けられてもよい。例えば、
図13に示すようにメンテナンスボックス300は、洗浄液供給口85と、第一位置決め部81と、第二位置決め部83と、廃液流入口86と、大気連通孔87と、廃液窓88と、を備える。第二収容部62は、洗浄液ニードル90と、位置決め突起711と、位置決め突起712と、廃液ニードル713と、大気連通ニードル714と、廃液センサ715と、を備える。
【0057】
メンテナンスボックス300を第二収容部62に装着すると、洗浄液ニードル90が、洗浄液供給口85に挿入される。これにより、収容体1000の袋1001に収容されたノズル洗浄液が、洗浄液ニードル90を介して、プリンタ1内へ供給される、メンテナンスボックス300を第二収容部62に装着すると、位置決め突起711及び位置決め突起712が、それぞれ、第二位置決め部83の長穴84及び第一位置決め部81の丸穴82に挿入される。これにより、メンテナンスボックス300のプリンタ1内での位置決めがなされる。メンテナンスボックス300を第二収容部62に装着すると、廃液ニードル713が、廃液流入口86に挿入される。ノズル洗浄液を用いてインクジェットヘッド8のノズル70が洗浄され、発生した廃液は、廃液ニードル713を介して、メンテナンスボックス300内の収容体1000以外のスペースに流入されることで、メンテナンスボックス300によって回収される。メンテナンスボックス300を第二収容部62に装着すると、大気連通ニードル714が、大気連通孔87に挿入される。これにより、メンテナンスボックス300内のスペースと外部とが大気連通される。メンテナンスボックス300によって回収された廃液が溜まっていくと、廃液の液面が廃液窓88の位置まで上昇するようになる。このとき、廃液窓88は透光性を有するため、廃液窓88を介して外部から廃液の液面を視認可能である。また、メンテナンスボックス300を第二収容部62に装着すると、廃液窓88は廃液センサ715の発光部と受光部との間に位置する。そのため、廃液センサ715によって、廃液窓88を介して、メンテナンスボックス300によって回収された廃液がフルになったか否かを検知することができる。
【0058】
メンテナンスボックス300が第一位置決め部81と、第二位置決め部83と、を備え、第二収容部62が、位置決め突起711と、位置決め突起712と、を備えることにより、カートリッジ30及び第一収容部61と同様の効果を奏することができる。
【0059】
上記実施形態では、インクは、例えば、ブラックのインクであったが、これに限られない。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイト、又はクリア等のインクであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、液体容器100の形状は直方体状であったがこれに限らない。例えば、液体容器100の形状は、他の多面体の形状あってもよいし、円筒であってもよい。また、液体容器100は、前後方向に対称の形状でなくてもよい。
【0061】
上記実施形態では、第一位置決め部71及び第二位置決め部73は、供給口109よりも下方に設けられているが、第一位置決め部71及び第二位置決め部73を、供給口109より上方に設けてもよい。また、第一位置決め部71及び第二位置決め部73の何れか一方を供給口109よりも上方に設け、他方を供給口109よりも下方に設けてもよい。
【0062】
上記実施形態では、口栓105は、左右方向において左側面104に偏った位置に設けられているがこれに限らない。例えば、口栓105は、右側面103に偏った位置に設けられてもよい。この場合、第一収容部61の装着部7は、対応する位置に設けられるとよい。
【符号の説明】
【0063】
1 プリンタ
9 供給ニードル
30 カートリッジ
37 下部ケース
71 第一位置決め部
72 丸穴
73 第二位置決め部
74 長穴
100 液体容器
101 前面
106 底面
107 接続部
109 供給口
110 ケース
140 回路基板
141 電気接点