(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151597
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ユニット構造物及びユニット構造物施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20231005BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20231005BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04G21/16
E02D27/00 Z
E04B1/348 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061296
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】514105837
【氏名又は名称】株式会社ホリウチ
(71)【出願人】
【識別番号】522130025
【氏名又は名称】株式会社クレアート
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】堀内 祥一
【テーマコード(参考)】
2D046
2E174
【Fターム(参考)】
2D046AA13
2E174AA01
2E174BA02
2E174DA22
2E174DA41
2E174DA56
2E174DA67
(57)【要約】
【課題】作業性に優れたユニット構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
下部にアンカーボルト取付穴12dが複数形成されるとともに、下面から下方に突出する筒状のジャッキ挿通部12eが複数設けられたユニット構造物100の施工方法であって、ユニット構造物100を釣り上げたうえで降下させて、挿入部12eをベース部200上に配置されたジャッキ300の挿入部302をジャッキ挿通部12eに挿通して、ユニット構造物100をジャッキ300に載置するユニット構造物載置工程S5と、アンカーボルト401をアンカーボルト取付穴12dに取り付けるアンカーボルト取付工程S9と、ベース部100上においてユニット構造物100の下部を取り囲む型枠500を形成する型枠形成工程S11と、型枠500にコンクリートを流し込んで、基礎を形成する基礎形成工程S12と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に据え付けられるユニット構造物(100)であって、
下部に、アンカーボルト取付穴(12d)が複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部(12e)が複数設けられていることを特徴とするユニット構造物。
【請求項2】
上部に水平方向に延在する天井梁(13)を備え、
前記天井梁の上面には、連結穴(13d)が形成されるともに、スペーサ板(13e)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のユニット構造物。
【請求項3】
予め組み立てられたユニット構造物(100)を地面に据え付けるユニット構造物施工方法であって、
前記ユニット構造物は、下部に、アンカーボルト取付穴(12d)が複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部(12e)が複数設けられ、
前記地面上に上面が水平面であるベース部(200)を形成するベース部形成工程(S2)と、
前記ベース部に、棒状の挿入部(302)が形成されたジャッキ(300)を載置するジャッキ載置工程(S4)と、
前記ユニット構造物を前記ベース部上に釣り上げたうえで、前記ユニット構造物を降下させて、前記挿入部を前記ジャッキ挿通部に挿通して、前記ユニット構造物を前記ジャッキに載置するユニット構造物載置工程(S5)と、
前記ジャッキによって、前記ユニット構造物を水平にする水平調整工程(S6)と、
アンカーボルト(401)を前記アンカーボルト取付穴に取り付けるアンカーボルト取付工程(S9)と、
前記ベース部上において前記ユニット構造物の下部を取り囲む型枠(500)を形成する型枠形成工程(S11)と、
前記型枠にコンクリートを流し込んで、基礎を形成する基礎形成工程(S12)と、
を有することを特徴とするユニット構造物施工方法。
【請求項4】
前記ベース部に前記ユニット構造物の適正な水平方向の据付位置であるマーク(201a、201b)をマーキングするマーキング工程(S3)を更に有し、
前記ユニット構造物載置工程では、前記マークを用いて、前記ユニット構造物の前記ベース部に対する水平方向の位置を合わせることを特徴とする請求項3に記載のユニット構造物施工方法。
【請求項5】
前記型枠形成工程よりも前に、前記ジャッキを前記ベース部に固定するジャッキ固定工程(S8)を更に有することを特徴とする請求項3又は4に記載のユニット構造物施工方法。
【請求項6】
前記ユニット構造物の上端部には、水平方向に延在する天井梁(13)を有し、
前記天井梁の上面には、連結穴(13d)が形成され、
水平方向に隣接する前記天井梁の前記連結穴に対応した連通穴(651a、652a)が形成された連結部材(651、652)を、水平方向に隣接する前記天井梁に橋渡すように、前記水平方向に隣接する前記天井梁の上面に載置し、前記連結部材のそれぞれの前記連通穴を、前記水平方向に隣接する前記天井梁に形成された前記連結穴に一致させ、それぞれの前記連通穴及び前記連結穴にボルト(655)を差し込んだうえで、それぞれの前記ボルトにナット(656)をねじ込む連結工程を更に有することを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のユニット構造物施工方法。
【請求項7】
前記ユニット構造物の上端部には、水平方向に延在する天井梁(13)を有し、
前記天井梁の上面には、連結穴(13d)が形成されるとともに、スペーサ板(13e)が取り付けられ、
前記ユニット構造物上に載置される上側ユニット構造物(150)の下端部には、水平方向に延在する床梁(12)を有し、
前記床梁の下面には、下側連結穴(12f)が形成され、
水平方向に隣接する前記天井梁の前記連結穴に対応した連通穴(651a、652a)が形成された連結部材(651、652)を、水平方向に隣接する前記天井梁に橋渡すように、前記水平方向に隣接する前記天井梁の上面に載置した後に、前記上側ユニット構造物を、釣り上げて、前記ユニット構造物の前記天井梁上に載置し、前記連結部材のそれぞれの前記連通穴を、前記連結穴及び前記下側連結穴に一致させ、それぞれの前記連通穴、前記連結穴、及び前記下側連結穴にボルト(655)を差し込んだうえで、それぞれの前記ボルトにナット(656)をねじ込む連結工程を更に有することを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のユニット構造物施工方法。
【請求項8】
前記ベース部に据え付ける前の前記ユニット構造物の少なくとも一面には、外壁(17)が取り付けられており、
端部が鋭角に折り曲げられた折り曲げ部(18d,21d)を有する第1部材(18、21)と、端部がコ字状に形成された係合部(19c、22c)を有する第2部材(19、22)を用い、
前記第2部材を隣接する前記ユニット構造物のうち他方の前記ユニット構造物の前記外壁に取り付け、前記折り曲げ部を前記係合部に係合させて、前記第1部材を隣接する前記ユニット構造物のうち一方の前記ユニット構造物の前記外壁に取り付けること外壁接合工程を更に有することを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載のユニット構造物施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット構造物及びユニット構造物施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、工場で製造されたユニット構造物が有る。このようなユニット構造物は、コンクリートで構成された基礎の上に据え付けて施工する。基礎の上面にはユニット構造物を固定するための複数のアンカーボルトが突設されている。そして、ユニット構造物の下部には、アンカーボルトが挿通されるアンカーホールが複数形成されている。それぞれのアンカーボルトには、下側ナットが取り付けられている。
【0003】
ユニット構造物を基礎に据え付ける際には、ユニット構造物をクレーンで釣り上げて、アンカーボルトとアンカーホールの水平方向の位置を一致させた状態で、ユニット構造物を降下させて、アンカーボルトをアンカーホールに挿通して、ユニット構造物の下部をアンカーボルトに取り付けられた下側ナット上に載置する。次に、複数の下側ナットを回転させて、ユニット構造物が地面や基礎に対して水平となるように調整する。次に、複数のアンカーボルトに上側ナットをねじ込んでユニット構造物をアンカーボルトに固定する。次に、基礎とユニット構造物下部との間の隙間にモルタルを詰め込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法で、基礎の上にユニット構造物据え付けるには、以下の点で問題が有った。アンカーボルトをアンカーホールに挿通するには、全てのアンカーボルトとこれに対応するアンカーホールの水平方向の位置を一致させる必要が有るが、アンカーボルトとアンカーホールとの間のクリアランスは2mm以下しか無く、全てのアンカーボルトとこれに対応するアンカーホールの水平方向の位置を一致させることが困難であった。このように、上記クリアランスを2mm以下にしている理由は、アンカーボルトとアンカーホールとの水平方向の位置を規制して、ユニット構造物に加わる水平方向の荷重をアンカーボルトで支えるためである。
【0006】
また、ユニット構造物を据え付け時に、アンカーボルトが曲がっている場合が有り、この場合には、アンカーボルトの曲げを修正する必要が有り、この作業が手間であった。アンカーボルトとアンカーホールの水平方向の位置がどうしても合わない場合には、アンカーホールを拡大する必要が有り、この作業が手間であった。更に、アンカーホールを拡大した場合には、アンカーボルトとアンカーホールとの間のクリアランスが広がってしまうことから、強度計算の再計算を行わなければならない。
【0007】
また、基礎を形成するには、内枠と外枠を対向させて配置させたうえで、内枠と外枠との間隔を保持する支持金具を取り付けて型枠を形成し、アンカーボルトを型枠内の規定位置に正確に配置してからコンクリートを流し込むために、工数が多いという問題があった。また、ユニット構造物が構造耐力上必要なアンカーボルトの本数が多い場合には、先にアンカーボルトを基礎コンクリートに埋設させ、基準の寸法内に納める事は、コンクリート打設時の振動により、アンカーのズレが必ず生じることを考えると、ユニット構造物を基礎に据え付けることは極めて困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するために、作業性に優れたユニット構造物とユニット構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明であるユニット構造物は、
下部に、アンカーボルト取付穴が複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部が複数設けられていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、ベース部に、棒状の挿入部が形成されたジャッキを載置し、ユニット構造物をベース部上に釣り上げたうえで、ユニット構造物を降下させて、挿入部をジャッキ挿通部に挿通して、ユニット構造物をジャッキに載置し、アンカーボルトをアンカーボルト取付穴に取り付け、ベース部上においてユニット構造物の下部を取り囲む型枠を形成し、型枠にコンクリートを流し込んで、基礎を形成するすれば、ユニット構造物をベース部に据え付けることができる。
【0011】
このため、ユニット構造物を据え付ける際に、従来のように、釣り上げられた重量物であるユニット構造物を水平方法に動かして、基礎に設けられたアンカーボルトをユニット構造物のアンカーホールに挿通するような困難な作業を行う必要が無く、ジャッキ側を水平方法に動かして、ジャッキの挿入部をユニット構造物のジャッキ挿通部に挿入すれば良いので、作業性が向上する。また、アンカーボルトは、ユニット構造物載置工程の後に、ユニット構造物に形成されたアンカーボルト取付穴に取り付ければ良いので、作業性が向上する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
上部に水平方向に延在する天井梁を備え、
前記天井梁の上面には、連結穴が形成されるともに、スペーサ板が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、水平方向に隣接する天井梁の連結穴に対応した連通穴が形成された連結部材を、水平方向に隣接するユニット構造物の天井梁に橋渡すように、水平方向に隣接する天井梁の上面に載置した後に、上側ユニット構造物を、釣り上げて、ユニット構造物の天井梁上に載置し、連結部材のそれぞれの連通穴を、連結穴及び上側ユニット構造物の下端部に形成された下側連結穴に一致させ、それぞれの連通穴、連結穴、及び下側連結穴にボルトを差し込んだうえで、それぞれのボルトにナットをねじ込むことによって、水平方向及び上下方向に隣接するユニット構造物を互いに連結させることができる。また、天井梁の上面には、スペーサ板が取り付けられているので、連結部材のそれぞれの連通穴の位置が連結穴及び下側連結穴からずれている場合に、ユニット構造物の天井梁と上側ユニット構造物の床梁の間にバール等の工具を差し込んで、ユニット構造物の天井梁と上側ユニット構造物の床梁の間隔を広げて、連結部材を移動させて、連通穴と連結穴及び下側連結穴の位置を一致させることができる。
【0014】
上記目的を達成するためになされた、請求項3に記載の発明であるユニット構造物施工方法は、
予め組み立てられたユニット構造物を地面に据え付けるユニット構造物施工方法であって、
前記ユニット構造物は、下部に、アンカーボルト取付穴が複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部が複数設けられ、
前記地面上に上面が水平面であるベース部を形成するベース部形成工程(S2)と、
前記ベース部に、棒状の挿入部が形成されたジャッキを載置するジャッキ載置工程(S4)と、
前記ユニット構造物を前記ベース部上に釣り上げたうえで、前記ユニット構造物を降下させて、前記挿入部を前記ジャッキ挿通部に挿通して、前記ユニット構造物を前記ジャッキに載置するユニット構造物載置工程(S5)と、
前記ジャッキによって、前記ユニット構造物を水平にする水平調整工程(S6)と、
アンカーボルトを前記アンカーボルト取付穴に取り付けるアンカーボルト取付工程(S9)と、
前記ベース部上において前記ユニット構造物の下部を取り囲む型枠(500)を形成する型枠形成工程(S11)と、
前記型枠にコンクリートを流し込んで、基礎を形成する基礎形成工程(S12)と、
を有することを特徴とする。
【0015】
これによれば、ユニット構造物を据え付ける際に、従来のように、釣り上げられた重量物であるユニット構造物を水平方法に動かして、基礎に設けられたアンカーボルトをユニット構造物のアンカーホールに挿通するような困難な作業を行う必要が無く、ジャッキ側を水平方法に動かして、ジャッキの挿入部をユニット構造物のジャッキ挿通部に挿入すれば良いので、作業性が向上する。つまり、重量物であるユニット構造物に対して、ジャッキは軽量であるので、ジャッキを水平方向に移動させて、ジャッキの挿入部をユニット構造物のジャッキ挿通部に挿入することは容易である。また、アンカーボルトは、ユニット構造物載置工程の後に、ユニット構造物に形成されたアンカーボルト取付穴に取り付ければ良いので、作業性が向上する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記ベース部に前記ユニット構造物の適正な水平方向の据付位置であるマーク(201a、201b)をマーキングするマーキング工程(S3)を更に有し、
前記ユニット構造物載置工程では、前記マークを用いて、前記ユニット構造物の前記ベース部に対する水平方向の位置を合わせることを特徴とする。
【0017】
これによれば、ユニット構造物をベース部の所望の位置に正確に据え付けることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記型枠形成工程よりも前に、前記ジャッキを前記ベース部に固定するジャッキ固定工程(S8)を更に有することを特徴とする。
【0019】
これによれば、ジャッキがベース部に固定されることにより、ジャッキに取り付けられているユニット構造物のベース部に対する水平方向へのずれが抑制される。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項3~5のいずれかに記載の発明において、
前記ユニット構造物の上端部には、水平方向に延在する天井梁(13)を有し、
前記天井梁の上面には、連結穴(13d)が形成され、
水平方向に隣接する前記天井梁の前記連結穴に対応した連通穴(651a、652a)が形成された連結部材(651、652)を、水平方向に隣接する前記天井梁に橋渡すように、前記水平方向に隣接する前記天井梁の上面に載置し、前記連結部材のそれぞれの前記連通穴を、前記水平方向に隣接する前記天井梁に形成された前記連結穴に一致させ、それぞれの前記連通穴及び前記連結穴にボルト(655)を差し込んだうえで、それぞれの前記ボルトにナット(656)をねじ込む連結工程を更に有することを特徴とする。
【0021】
これによれば、水平方向に隣接するユニット構造物が連結部材によって連結され、ユニット構造物のベース部に対する水平方向のズレが抑制される。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項3~5のいずれかに記載の発明において、
前記ユニット構造物の上端部には、水平方向に延在する天井梁(13)を有し、
前記天井梁の上面には、連結穴(13d)が形成されるとともに、スペーサ板(13e)が取り付けられ、
前記ユニット構造物上に載置される上側ユニット構造物(150)の下端部には、水平方向に延在する床梁(12)を有し、
前記床梁の下面には、下側連結穴(12f)が形成され、
水平方向に隣接する前記天井梁の前記連結穴に対応した連通穴(651a、652a)が形成された連結部材(651、652)を、水平方向に隣接する前記天井梁に橋渡すように、前記水平方向に隣接する前記天井梁の上面に載置した後に、前記上側ユニット構造物を、釣り上げて、前記ユニット構造物の前記天井梁上に載置し、前記連結部材のそれぞれの前記連通穴を、前記連結穴及び前記下側連結穴に一致させ、それぞれの前記連通穴、前記連結穴、及び前記下側連結穴にボルト(655)を差し込んだうえで、それぞれの前記ボルトにナット(656)をねじ込む連結工程を更に有することを特徴とする。
【0023】
これによれば、水平方向に隣接するユニット構造物が連結部材によって連結され、ユニット構造物のベース部に対する水平方向のズレが抑制される。また、上側ユニット構造物がユニット構造物に連結される。更に、天井梁の上面には、スペーサ板が取り付けられているので、連結部材のそれぞれの連通穴の位置が連結穴及び下側連結穴からずれている場合に、ユニット構造物の天井梁と上側ユニット構造物の床梁の間にバール等の工具を差し込んで、ユニット構造物の天井梁と上側ユニット構造物の床梁の間隔を広げて、連結部材を移動させて、連通穴と連結穴及び下側連結穴の位置を一致させることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項3~7に記載の発明において、
前記ベース部に据え付ける前の前記ユニット構造物の少なくとも一面には、外壁(17)が取り付けられており、
端部が鋭角に折り曲げられた折り曲げ部(18d,21d)を有する第1部材(18、21)と、端部がコ字状に形成された係合部(19c、22c)を有する第2部材(19、22)を用い、
前記第2部材を隣接する前記ユニット構造物のうち他方の前記ユニット構造物の前記外壁に取り付け、前記折り曲げ部を前記係合部に係合させて、前記第1部材を隣接する前記ユニット構造物のうち一方の前記ユニット構造物の前記外壁に取り付けること外壁接合工程を更に有することを特徴とする。
【0025】
これによれば、隣接するユニット構造物の外壁の間の隙間が、互いに係合した第1部材及び第2部材で塞がれ、風雨のユニット構造物内への侵入が防止される。また、第1部材の折り曲げ部を第2部材の係合部に係合させるだけで、第1部材と第2部材とを隙間無く接合することができる。このため、隣接するユニット構造物の外壁の間の隙間を塞ぐための作業性が向上するとともに、外壁と他の建造物との間のスペースが小さい場合であっても、隣接するユニット構造物の外壁の間の隙間を塞ぐことが可能となる。
【0026】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態のユニット構造物の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のユニット構造物施工方法を構成するユニット構造物の据付方法のフローチャートである。
【
図3】水平方向に隣接するユニット構造物の接続部分の断面図である。
【
図7】ベース部にジャッキを載置した状態のベース部の上面図である。
【
図8】ユニット構造物をジャッキを介してベース部に載置した状態の側面図である。
【
図11】床梁にアンカーボルトが取り付けられている状態を示した説明図である。
【
図12】床梁の下に鉄筋が配置されている状態を示した説明図である。
【
図13】水平方向に隣接するユニット構造物を連結する状態を示した説明図である。
【
図14】水平方向及び上下方向に隣接するユニット構造物を連結する状態を示した説明図である。
【
図15】上下方向に隣接するユニット構造物の接続部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(ユニット構造物の構造)
以下に、
図1を用いて、本発明の一実施形態であるユニット構造物100について説明する。ユニット構造物100は、後で詳細に説明するが、地面に据え付けられるものである。
図1に示すように、ユニット構造物100は、4本の柱11、4本の床梁12、4本の天井梁13、複数の壁下地材14、複数の補強床梁15、複数の筋交16、外壁17を有している。柱11、床梁12、天井梁13、壁下地材14、補強床梁15、筋交16は、鉄鋼等の金属で構成されている。本実施形態では、以下に示すように、柱11、床梁12、天井梁13、筋交16のように力が作用し剛性が必要な部材は、厚さが6mm以上の鋼材で構成されている。
【0029】
4本の柱11は、断面形状L字形状であり、ユニット構造物100の四隅に、上下方向に沿って設けられている。なお、柱11の断面形状L字の頂部は、ユニット構造物100の四隅に一致している。本実施形態では、柱11は、厚さ12mmで75mm×75mmのL型鋼である。
【0030】
床梁12は、それぞれの両端部が他の床梁12の端部と溶接によって接続され、長方形状の枠状に形成されている。床梁12は、上板部12a、下板部12b、側板部12cからなる断面形状略コ字形状である。本実施形態では、床梁12は溝型鋼(C型鋼)である。また、側板部12cの長さが150mm、上板部12a及び下板部12bの長さが75mm、側板部12cの厚さが6.5mm、上板部12a及び下板部12bの根本部分の厚さが10mm、上板部12a及び下板部12bの先端部分の厚さが6.5mmとなっている。上板部12a及び下板部12bは水平方向に延在し、互いに対向している。なお、上板部12aは、下板部12bの上方に配置されている。側板部12cは、鉛直方向に延在し、上板部12aと下板部12bの幅方向の一端部を接続している。長方形状の枠状に形成された4つの床梁12の四隅には、それぞれ、4本の柱11の下端が溶接によって接続されている。なお、床梁12の上板部12aが柱11の下端に接続されている。また、側板部12cは、ユニット構造物100の外側に向いている。
【0031】
床梁12の下板部12bには、複数の円形状のアンカーボルト取付穴12dが形成されている。本実施形態では、アンカーボルト取付穴12dは、下板部12bにおいて長方形状の枠状に形成された4つの床梁12の四隅部に形成されるとともに、下板部12bの両端部の間に一定間隔をおいて複数形成されている。
【0032】
床梁12の下面、つまり、床梁12の下板部12bの下面には、下方に突出するように複数の円筒形状のジャッキ挿通部12eが溶接によって取り付けられている。本実施形態では、ジャッキ挿通部12eは、左側と右側の床梁12の下面に所定間隔をあけてそれぞれ2個づつ、計4個設けられている。
【0033】
天井梁13は、それぞれの両端部が他の天井梁13の端部と溶接によって接続され、長方形状の枠状に形成されている。天井梁13は、上板部13a、下板部13b、側板部13cからなる断面形状略コ字形状である。本実施形態では、天井梁13は溝型鋼(C型鋼)である。また、側板部13cの長さが150mm、上板部13a及び下板部13bの長さが75mm、側板部13cの厚さが6.5mm、上板部13a及び下板部13bの根本部分の厚さが10mm、上板部13a及び下板部13bの先端部分の厚さが6.5mmとなっている。上板部13a及び下板部13bは水平方向に延在し、互いに対向している。なお、上板部13aは、下板部13bの上方に配置されている。側板部13cは、鉛直方向に延在し、上板部13aと下板部13bの幅方向の一端部を接続している。長方形状の枠状に形成された4つの天井梁13の四隅は、それぞれ、4本の柱11の上端に溶接によって接続されている。なお、天井梁13の下板部13bが柱11の上端に接続されている。また、側板部13cは、ユニット構造物100の外側に向いている。
【0034】
天井梁13の上面である上板部13aには複数の連結穴13dが形成されている。後で詳細に説明するが、連結穴13dは、隣接又は上側に配置されたユニット構造物100を連結するためのものである。本実施形態では、連結穴13dは、左側及び右側の天井梁13の両端部に1つずつ、前側及び後側の天井梁13の両端部に左右方向に2つずつ形成されている。天井梁13の上板部13aには、複数のスペーサ板13eが溶接によって取り付けられている。本実施形態では、スペーサ板13eは、前側及び後側の天井梁13の中央部と両端部に取り付けられている。この天井梁13の両端部に取り付けられているスペーサ板13eは、連結穴13dに隣接している。
【0035】
壁下地材14は、断面形状が略コ字形状の柱状である。本実施形態では、壁下地材14は、リップ溝形鋼(C型鋼)である。壁下地材14は、その長手方向が水平方向と一致するように配置され、その両端が対向する一対の柱11に溶接によって取り付けられ、対向する一対の柱11を接続している。
図1に示す実施形態では、壁下地材14は、ユニット構造物100の後面及び左面に、上下方向に所定間隔をおいて、複数設けられている。
【0036】
筋交16は、断面形状がコ字形状、角管形状、板状、棒状等の柱状である。本実施形態では、筋交16は、厚さ6mmで75mm×75mmの角鋼の両端部に、厚さ6mmで1辺の長さが65mmの平板鋼を溶接したものや、厚さ6mmで75mm×75mmの角鋼である。筋交16として、外径が27mm、16mm、12mmの丸鋼の中間部にターンバックルを備えたものを用いてもよい。筋交16は、壁下地材14が設けれているユニット構造物100の面に、この面の対角線方向に沿って設けれている。具体的には、筋交16の両端部は、柱11と床梁12又は天井梁13との接続部分に溶接によって取り付けられている。
図1に示す実施形態では、ユニット構造物100の前面及び右面には、壁下地材14及び筋交16は設けられていない。これは、ユニット構造物100の前面や右面が、他のユニット構造物100と連結されたり、出入口が設けられたりして、人が通過する通路となるからである。
【0037】
補強床梁15は、断面形状が略コ字形状の柱状である。本実施形態では、補強床梁15は、厚さ3.2mmのリップ溝形鋼(C型鋼)であり、高さ方向の寸法が100mm、幅方向の寸法が50mm、リップ部の寸法が20mmとなっている。補強床梁15は、その長手方向が水平方向と一致するように配置され、その両端が対向する一対の床梁12に溶接によって取り付けられ、対向する一対の床梁12を接続している。補強床梁15は、前後方向に所定間隔をおいて複数設けられている。
【0038】
外壁17は、石膏、金属、木材、樹脂、セラミック等で構成された板状であり、ユニット構造物100の4つの側面のうち、1つの側面を覆うように取り付けられている。外壁17は、壁下地材14に、ネジやリベットによって固定されている。本実施形態では、
図3に示すように、外壁17は、内側から外側に向かって順番に、石膏ボード17a、防水シート17b、波型鋼板17cから構成されている。波型鋼板17cは、本実施形態では、耐食性に優れたアルミニウム・亜鉛合金メッキを鋼板に施したガルバニウム鋼板である。
【0039】
(ユニット構造物の据付方法)
以下に、
図2~
図12を用いて、本発明の一実施形態のユニット構造物施工方法の一部を構成するユニット構造物の据付方法について説明する。
図2に示すように、ユニット構造物施工方法は、S1~S20の工程を順次行う。ユニット構造物据付方法が開始すると、ステップS1に進む。
【0040】
ステップS1「地盤補強工程」は、ユニット構造物100が据え付けられる地面である地盤を補強する工程である。地盤に縦方向及び横方向に所定間隔をおいて複数の柱状の穴を掘削し、これらの穴にセメント系固化材に水を加えてスラリー状にしたセメントミルクを注入してこのセメントミルクを固化させる柱状改良を行う。或いは、地盤に縦方向及び横方向に所 定間隔をおいて、複数の鋼管を打ち込んでもよい。ステップS1が終了すると、ステップS2に進む。
【0041】
ステップS2「ベース部形成工程」は、地面上に、上面が水平面であるベース部200を形成する工程である。S1の工程で補強された地面である地盤を取り囲むように、型枠を形成し、この型枠内に給排水管210(
図4示)を配置するとともに、碁盤目状に鉄筋を配置し、型枠内にコンクリートを流し込んで、このコンクリートを固化させた後に、型枠を除去して、ベース部200を形成する。なお、本実施形態では、
図4に示すように、ベース部200は、幅方向において、他の建造物900に隣接している。ステップS2が終了すると、ステップS3に進む。
【0042】
ステップS3「マーキング工程」は、ベース部200に、通り芯マーク201a、外壁下地面マーク201b、ジャッキ用マーク202をマーキングする工程である。通り芯マーク201a及び外壁下地面マーク201bは、ユニット構造物100の適正な水平方向の据付位置を示すマークである。通り芯マーク201aは、ベース部200の幅方向に沿って記載されたマークであり、ユニット構造物100の奥行き方向の外縁を表すものである。1つのユニット構造物100に対して、一対(2本)の通り芯マーク201aがベース部200に記載されている。外壁下地面マーク201bは、ベース部200の奥行き方向に沿って記載されたマークであり、ユニット構造物100の幅方向の外縁、つまり、外壁17の外縁を表すものである。1つのユニット構造物100に対して、一対(2本)の外壁下地面マーク201bが記載されている。一対の通り芯マーク201aと一対の外壁下地面マーク201bによって、長方形状のマークがベース部200に記載されている。本実施形態では、ベース部200に複数のユニット構造物100を一方向(奥行方向)に連続して据え付けるので、ベース部200に複数の一対の通り芯マーク201aと一対の外壁下地面マーク201bからなる長方形状のマークが一方向に連続して描かれている。なお、隣接する通り芯マーク201aは、隣接するユニット構造物100の離間寸法分だけ離間している。
【0043】
ジャッキ用マーク202は、後述するジャッキ300のベース部材301をベース部200(
図4、
図7示)の載置位置を示すマークである。本実施形態では、ジャッキ用マーク202は、奥行方向に一致する線であり、外壁下地面マーク201bから所定寸法だけ内側の位置に記載されている。本実施形態では、一対の外壁下地面マーク201bから所定寸法だけ内側の位置にそれぞれ1本のジャッキ用マーク202が記載され、このジャッキ用マーク202から所定寸法だけ内側に更にそれぞれ1本のジャッキ用マーク202が記載されている。つまり、本実施形態では、ベース部200には、4本のジャッキ用マーク202が記載されている。ステップS3が終了すると、ステップS4に進む。
【0044】
ここで、
図5、
図6を用いてジャッキ300の説明をする。
図5、
図6に示すように、ジャッキ300は、ベース部材301、挿入部302、ハンドル部303とから構成されている。ベース部材301、挿入部302、ハンドル部303は、鉄鋼等の金属で構成されている。
図6に示すように、ベース部材301は、略正方形状の板状であり、挿入部302との接合部の周囲に4つのアンカー穴301aが形成されている。
図5に示すように、挿入部302は、丸棒状であり、ベース部材301の中央部に溶接によって接合されており、ベース部材301の延在方向と直行する方向に延在している。挿入部302の外周面には、雄ねじ302aが形成されている。挿入部302の外径(雄ねじ302aの最外径)は、ジャッキ挿通部12eの内径よりも僅かに小さくなっている。
【0045】
図5、
図6に示すように、ハンドル部303は、略円板状の支持部303aと、支持部303aの外縁から突出する一対の丸棒状の把持部303bとから構成されている。支持部303aの中心部には、雌ねじであるネジ穴303cが形成されている。ネジ穴303cが挿入部302の雄ねじ302aにねじ込まれて、ハンドル部303が挿入部302に回転可能に取り付けられている。支持部303aの上面のネジ穴303cの周囲には、ベース部材301と平行な平面である支持面303dが形成されている。ハンドル部303を挿入部302に対して回転させると、ハンドル部303がベース部材301や挿入部302に対して上下する。
【0046】
図2に戻って、ユニット構造物据付方法の説明を再開する。
ステップS4「ジャッキ載置工程」では、
図7に示すように、ジャッキ300のベース部材301の中心が、ジャッキ用マーク202と一致するように、ベース部200上にジャッキ300を載置する。本実施形態では、1のユニット構造物100に対して、一対のジャッキ用マーク202に、奥行方向に2つのジャッキ300を載置し、合計で4つのジャッキ300を載置する。また、ジャッキ300は、ベース部材301の外縁が通り芯マーク201aと一致するように、通り芯マーク201aに近接させてベース部200の載置する。なお、本実施形態では、
図7に示すように、奥行き方向に隣接するユニット構造物100のジャッキ300は、異なるジャッキ用マーク202に載置する。つまり、あるユニット構造物100のジャッキ300を、外側のジャッキ用マーク202の中心に載置した場合には、前記ユニット構造物100と隣接するユニット構造物100のジャッキ300は、内側のジャッキ用マーク202の中心に載置する。このようにジャッキ300を配置するのは、隣接するユニット構造物100のジャッキ300が干渉することを防止するためである。ステップS4が終了すると、ステップS5に進む。
【0047】
ステップS5「ユニット構造物載置工程」では、まず、クレーン等を用いて、ユニット構造物100をベース部200上に釣り上げ、ユニット構造物100の奥行き方向の外縁が通り芯マーク201aと一致し、ユニット構造物100の幅方向の外縁が外壁下地面マーク201bと一致するように、ユニット構造物100のベース部200に対する水平方向位置を調整する。次に、ユニット構造物100を降下させて、各ジャッキ300の挿入部302を、これらに対応するユニット構造物100のジャッキ挿通部12eにそれぞれ挿通させて、ユニット構造物100を各ジャッキ300に載置する(
図8の状態)。この状態では、各ジャッキ挿通部12eの下端は、各ジャッキ300の支持面303dに当接して支持されている。なお、ユニット構造物100のベース部200に対する水平方向位置の調整は、各挿入部302を各ジャッキ挿通部12eに挿通した後に、ユニット構造物100を各ジャッキ300に載置する前に微調整を行うことにしてもよい。ステップS5が終了すると、ステップS6に進む。
【0048】
ステップS6「水平調整工程」において、各ジャッキ300のハンドル部303を回転させることにより、ユニット構造物100のベース部200に対する上下方向の位置を、設計寸法に調整するとともに、ユニット構造物100を水平にする。ここで、ユニット構造物100を水平にするとは、ユニット構造物100を構成する部材である床梁12や天井梁13を水平にすることであり、これら床梁12や天井梁13が傾いていない状態にすることである。この水平調整工程においては、床梁12や天井梁13等のユニット構造物100を構成する部材に水平器(不図示)を載置させて、床梁12や天井梁13等のユニット構造物100を構成する部材が水平になるように、各ジャッキ300のハンドル部303を回転させる。ステップS6が終了すると、ステップS7に進む。
【0049】
ステップS7「据付確認工程」では、ユニット構造物100がベース部200の所望の水平位置に据え付けられていること及びユニット構造物100が水平に据え付けられているかを確認する。なお、ユニット構造物100がベース部200の所望の水平位置に据え付けられていることとは、ユニット構造物100の奥行き方向の外縁が通り芯マーク201aと一致し、ユニット構造物100の幅方向の外縁が外壁下地面マーク201bと一致していることである。なお、上記一致には、2mm以内の誤差が許容される(望ましくは1mm)。
【0050】
本実施形態では、
図9に示すように、下げ振り錘800を及び定規700を用いて確認する。下げ振り錘800は、永久磁石が取り付けられた保持器(不図示)と、先端が尖った錘801と、保持器と錘801とを連結する連結紐802とから構成されている。保持器には、連結紐802を巻き取る巻取り機構を備えている。下げ振り錘800の保持器をユニット構造物100の外縁部(
図8の例では、壁下地材14の側面)に貼り付けて、錘801の先端をベース部200の上面に近接させる。
【0051】
次に、定規700で、通り芯マーク201a又は外壁下地面マーク201bと錘801の先端の距離を測定する。通り芯マーク201a又は外壁下地面マーク201bと錘801の先端の距離α(以下、距離αと略す)と、保持器のユニット構造物100の外縁部への取付面と連結紐802の基端との距離β(以下、距離βと略す)とが同じ距離であれば、連結紐802が垂直であり、ユニット構造物100が傾いていないと判断される。通り芯マーク201a及び外壁下地面マーク201bの両方のそれぞれについて、距離αと距離βを測定し、これらの距離αと距離βが同一であれば、ユニット構造物100がベース部200の所望の水平位置に据え付けられ、且つユニット構造物100が水平に据え付けられていると判断し、ステップS8に進む。一方で、通り芯マーク201a及び外壁下地面マーク201bの両方のうち、少なくともいずれかの距離αと距離βが一致していない場合には、ユニット構造物100がベース部200の所望の水平位置に据え付けられていないか、ユニット構造物100が水平に据え付けられていないかのいずれかと判断し、ステップS20に進む。なお、距離αと距離βが同一には、2mm以内の誤差が許容される(望ましくは1mm)。
【0052】
ステップS20「水平位置・水平調整工程」において、ステップS5、S6と同様の方法で、ユニット構造物100の外縁が通り芯マーク201aや外壁下地面マーク201bと一致するように、ユニット構造物100のベース部200に対する水平方向位置を調整するとともに、ユニット構造物100を構成する部材が水平になるように調整する。ステップS20が終了すると、ステップS7に進む。
【0053】
ステップS8「ジャッキ固定工程」において、ジャッキ300のベース部材301をベース部200に固定する固定である。本実施形態では、ジャッキ300のベース部材301のアンカー穴301a直下のベース部200にドリルで下穴を開け、この下穴にアンカーを挿入し、アンカーを下穴に固定した後に、アンカーにナットを締め付けることによって、ジャッキ300をベース部200に固定する。なお、この工程で用いられるアンカーには、打込みアンカー、締付けアンカー、ケミカルアンカー(登録商標)が含まれる。ステップS8が終了すると、ステップS9に進む。なお、ベース部200に複数のユニット構造物100を据え付ける場合には、ベース部200に据え付けるそれぞれのユニット構造物100について、ステップS4~S8を行う。
【0054】
ステップS9「アンカーボルト取付工程」において、
図10や
図11に示すように、床梁12に形成された各アンカーボルト取付穴12dに、アンカーボルト401の基端部401a(
図11示)を差し込んで、アンカーボルト401の基端部401aをナット402(
図11示)によって床梁12の下板部12bに固定して取り付ける。本実施形態では、
図11に示すように、下板部12bの下側のアンカーボルト401の基端部401aには1つのナット402がねじ込まれ、下板部12bの上側のアンカーボルト401の基端部401aには2つのナット402がねじ込まれてダブルナット構造となっている。なお、ナット402と下板部12bとの間には、ワッシャー403が配置されている。
図10に示すように、本実施形態では、アンカーボルト401は、棒材が折曲れられて形成されたものであり、床梁12から下側に鉛直方向に延在する鉛直部401b、鉛直部401bの下端から水平方向に延在する水平部401cと、水平部401cの先端からJ字形状に折り曲げられた先端部401dとから構成されている。本実施形態では、
図11に示すように、床梁12の四隅部分においては、アンカーボルト401を放射状に床梁12の四隅部分に取り付ける。このように、アンカーボルト401を放射状に床梁12の四隅部分に取り付けているので、後述するステップS12「基礎形成工程」で基礎を形成した場合に、放射状に配置されたアンカーボルト401によって、床梁12の四隅部分とコンクリートとが強固に連結される。ステップS9が終了すると、ステップS10に進む。
【0055】
ステップS10「鉄筋配置工程」において、
図12に示すように、枠状の床梁12の内側であって、床梁12の下方でありベース部200の上方に、鉄筋450を格子状に配置する。ステップS10が終了すると、ステップS11に進む。
【0056】
ステップS11「型枠形成工程」において、ベース部200上においてユニット構造物100の下部である床梁12を取り囲むように、鉛直方向に延在する型枠500(
図11示)を形成する。本実施形態では、型枠500は、床梁12の外側面に密着している。ステップS11が終了すると、ステップS12に進む。
【0057】
ステップS12「基礎形成工程」において、生コンクリートを型枠500の内側に流し込んで、生コンクリートを固化・乾燥させて、基礎を形成する。なお、生コンクリートは、少なくとも床梁12の下板部12bに達するまで流し込む。ベース部200の載置されたジャッキ300は、生コンクリートに埋もれる。生コンクリートが固化・乾燥した後に、型枠500を除去する。基礎が形成されると、この基礎によって、ユニット構造物100が支えられる。ステップS12が終了すると、「ユニット構造物の据付方法」が終了する。
【0058】
(隣接するユニット構造物の据付)
建築する建物の大きさに応じて、上記したユニット構造物の据付方法によって、ユニット構造物100を、ベース部200に水平方向に隣接させて据え付ける。場合によっては、ユニット構造物100の上に、後述する上側ユニット構造物150を積み上げて、後述する方法で固定する。場合によっては、ユニット構造物100状に積み上げられた上側ユニット構造物150の上に、更に1又は複数の上側ユニット構造物150を積み上げて固定する。
【0059】
(ユニット構造物の連結工程)
次に、本発明の一実施形態のユニット構造物施工方法の一部を構成するユニット構造物の連結工程について説明する。以下の説明は、ユニット構造物100上に上側ユニット構造物150を積み上げない例についての説明である。
図2のステップS5「ユニット構造物載置工程」において、ジャッキ300に既に載置されているユニット構造物100の横にユニット構造物100を載置する際には、
図13の(A)に示すように、既にジャッキ300に載置されているユニット構造物100の天井梁13に複数のスペーサ600を設置してから行う。このスペーサ600は、断面形状L字に直角に曲げられた板状である。スペーサ600の一方の片600aを、既にジャッキ300に載置されているユニット構造物100の天井梁13上に載置し、スペーサ600の他方の片600bを、既にジャッキ300に載置されているユニット構造物100の天井梁13の側面に密接させる。
【0060】
次に、ジャッキ300に新たに載置するユニット構造物100を釣り上げて、このユニット構造物100の天井梁13をスペーサ600の他方の片600aに付き当て、ユニット構造物100をジャッキ300に載置する。これにより、隣接するユニット構造物100同士がスペーサ600の他方の片600bだけ正確に離間した状態で、ジャッキ300に載置され、ユニット構造物100をベース部200上の正確な位置に配置することができる。
【0061】
次に、
図13の(B)に示すように、スペーサ600を除去したうえで、隣り合うユニット構造物100を接続する板状の第1連結部材651及び第2連結部材652を、隣り合う2つのユニット構造物100の天井梁13上に、これら天井梁13を橋渡すように載置する。第1連結部材651及び第2連結部材652には、隣り合う2つのユニット構造物100の天井梁13上に形成した連結穴13dの位置に対応する連通穴651a、652aが形成されている。そして、第1連結部材651及び第2連結部材652のそれぞれの連通穴651a、652aを、これらの連通穴651a、652aに対応する連結穴13dに位置を合わせる(
図13の(B)の状態)。
【0062】
次に、各連通穴651a、652a及び連結穴13dに、ボルト655を差し込んで、これらのボルト655にナット(不図示)を締め込む。これにより、隣り合うユニット構造物100の天井梁13同士が強固に連結される。
【0063】
次に、既に据え付けられているユニット構造物100の上に、上側ユニット構造物150を据え付けて、上下方向に隣り合うユニット構造物100及び上側ユニット構造物150を連結する方法について説明する。2階以上の階の上側ユニット構造物150は、ジャッキ挿通部12e及びアンカーボルト取付穴12dが無く、床梁12の下板部12bに下側連結穴12f(
図14示)が形成されていること以外は、基本的に上記説明した1階のユニット構造物100と同様の構造である。床梁12に形成された下側連結穴12fは、天井梁13に形成された連結穴13dに対応した位置に形成されている。
【0064】
まず、既に据え付けられているユニット構造物100の天井梁13上に、第1連結部材651及び第2連結部材652を配置する。この際に、第1連結部材651及び第2連結部材652に形成された連通穴651a、652aの位置を、ユニット構造物100の天井梁13の形成された連結穴13dの位置に一致させる。なお、第1連結部材651及び第2連結部材652の板厚は、スペーサ板13eの板厚と同一である。
【0065】
次に、上側ユニット構造物150を、釣り上げて、既に据え付けられているユニット構造物100の天井梁13上に載置する。この際に、上側ユニット構造物150の床梁12に形成された下側連結穴12fの位置を、第1連結部材651及び第2連結部材652に形成された連通穴651a、652aの位置、及びユニット構造物100の天井梁13の形成された連結穴13dの位置に一致させる。この際に、第1連結部材651及び第2連結部材652の連通穴651a、652aの位置が、ユニット構造物100の天井梁13の形成された連結穴13dの位置からずれている場合には、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間にバール等の工具を差し込んで、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間隔を広げて、第1連結部材651及び第2連結部材652を移動させて、連通穴651a、652aと連結穴13dの位置を一致させる。
【0066】
次に、
図14に示すように、ボルト655を各下側連結穴12f、各連通穴651a、652a、各連結穴13dに差し込んだうえで、これらのボルト655にナット656をねじ込んで締め付ける。これにより、上側ユニット構造物150が、既に据え付けられているユニット構造物100上に固定されるとともに、水平方向に関して規定の正確な位置に位置決めされる。また、水平方向に隣接するユニット構造物100、150同士が強固に連結される。
【0067】
(ユニット構造物の外壁接合工程)
次に、本発明の一実施形態のユニット構造物施工方法の一部を構成する外壁接合工程について説明する。
図3に示すように、水平方向に隣接するユニット構造物100の接合部17dには、第1接合部材18及び第2接合部材19が配置され、水平方向に隣接する外壁17間の隙間を塞ぎ、外部からユニット構造物100の内部への風雨の侵入を防止している。第1接合部材18は、水平方向に隣接する外壁17の一端側に取り付けられ、第2接合部材19は、水平方向に隣接する外壁17の他端側に取り付けられている。第1接合部材18及び第2接合部材19は、アルミニウム合金等の金属で構成されている。
【0068】
第1接合部材18は、金属製の平板を折り曲げて形成したものであり、一端側から他端側に向かって順番に、取付部18a、第1立上り部18b、第1外板部18c、第1折り曲げ部18dとから構成されている。取付部18aは、平板形状であり、波型鋼板17cの凹部に密着して配置されている。取付部18aにネジ25が貫通し、このネジ25が外壁17にねじ込まれて、第1接合部材18が外壁17に取り付けられている。第1立上り部18bは、取付部18aと直行する方向に延在し、外壁17の外側に突出している。第1外板部18cは、第1立上り部18bの端部に接続し、第1立上り部18bと直行する方向に延在し、取付部18aと同じ方向に延在している。第1外板部18cは、水平方向に隣接する外壁17間の隙間の外側に配置され、この隙間を閉塞している。第1折り曲げ部18dは、第1外板部18cの端部に接続した平板状である。第1折り曲げ部18dの延在方向と第1外板部18cの延在方向のなす角は鋭角である。
【0069】
第2接合部材19は、金属製の平板を折り曲げて形成したものであり、その端部の断面形状が略コ字形状となっており、第1挿入部19a、第2立上り部19b、第1係合部19cとから構成されている。第1挿入部19aは、横方向に延在する平板状であり、外壁17の水平方向の他端側において、波型鋼板17cと防水シート17bの間に挿入されている。第2立上り部19bは、第1挿入部19aと直行する方向に延在し、外壁17の外側方向に突出している。第1係合部19cは、第2立上り部19bと直行する方向に延在し、第1挿入部19aと対向している。
【0070】
第2接合部材19を他方の外壁17に取り付けてから、第1折り曲げ部18dを第1係合部19cに引っ掛けて係合させて、上述したように、取付部18aにネジ25をねじ込んで第1接合部材18を一方の外壁17に取り付ける。このような構造によって、第1外板部18cの端部と第1係合部19cとが重なっているので、風雨のユニット構造物100内への侵入が防止される。
【0071】
図15に示すように、上下方向に隣接するユニット構造物100の接合部17eには、第3接合部材21及び第4接合部材22が配置され、上下に隣接する外壁17間の隙間を塞ぎ、外部からユニット構造物100の内部への風雨の侵入を防止している。第3接合部材21は、上下方向に隣接する外壁17の上側に取り付けられ、第4接合部材22は、上下方向に隣接する外壁17の下側に取り付けられている。第3接合部材21及び第4接合部材22は、アルミニウム合金等の金属で構成されている。
【0072】
第3接合部材21は、金属製の平板を折り曲げて形成されたものであり、一端側から他端側に向かって順番に、第2挿入部21a、傾斜部21b、第2外板部21c、第2折り曲げ部21dとから構成されている。第2挿入部21aは、上下方向に延在する平板状であり、上下方向に隣接する外壁17の上側の外壁17の下端側において、波型鋼板17cと防水シート17bの間に挿入されている。傾斜部21bは、平板形状であり、第2挿入部21aの下端に接続して、外壁17の外側に突出している。傾斜部21bは、外壁17の外側に位置するに従って下方に位置するように傾斜している。第2外板部21cは、上下方向に延在する平板状であり、傾斜部21bの端部に接続している。第2折り曲げ部21dの延在方向と第2外板部21cの延在方向のなす角は、鋭角である。
【0073】
第4接合部材22は、金属製の平板を折り曲げて形成したものであり、その端部の断面形状が略コ字形状となっており、第3挿入部22a、第3立上り22b、第2係合部22cとから構成されている。第3挿入部22aは、上下方向に延在する平板状であり、上下方向に隣接する外壁17のうち下側の外壁17の上端部において、波型鋼板17cと防水シート17bの間に挿入されている。第3立上り部22bは、第3挿入部22aと直行する方向に延在し、外壁17の外側方向に突出している。第2係合部22cは、第3立上り部22bと直行する下方向に延在し、第3挿入部22aと対向している。
【0074】
第4接合部材22を外壁17に取り付けてから、第2折り曲げ部21dを第2係合部22cに引っ掛けるように係合させて、第3接合部材21を外壁17に取り付ける。このような構造によって、第2外板部21cの下端部と第2係合部22cとが重なっているので、風雨のユニット構造物100内への侵入が防止される。
【0075】
上述したように、傾斜部21bは、外壁17の外側に位置するに従って下方に位置するように傾斜しているので、傾斜部21bにおいて雨水が溜まることが無い。
【0076】
(その後の工程)
ベース部200にユニット構造物100、150を据え付けた後は、ユニット構造物100、150の外装工事、内装工事、水道工事、電気工事等を行い、建物を完成させる。
【0077】
(本実施形態の効果)
ユニット構造物100は、下部に、アンカーボルト取付穴12dが複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部12eが複数設けられている。
【0078】
これによれば、ベース部200に、棒状の挿入部302が形成されたジャッキ300を載置し、ユニット構造物100をベース部200上に釣り上げたうえで、ユニット構造物100を降下させて、ジャッキ300の挿入部302をジャッキ挿通部12eに挿通して、ユニット構造物100をジャッキ300に載置し、アンカーボルト401をアンカーボルト取付穴12dに取り付け、ベース部200上においてユニット構造物100の下部を取り囲む型枠500を形成し、型枠500にコンクリートを流し込んで、基礎を形成するすれば、ユニット構造物100をベース部200に据え付けることができる。
【0079】
このため、ユニット構造物100を据え付ける際に、従来のように、釣り上げられた重量物であるユニット構造物を水平方法に動かして、基礎に設けられたアンカーボルトをユニット構造物のアンカーホールに挿通するような困難な作業を行う必要が無く、ジャッキ300側を水平方法に動かして、ジャッキ300の挿入部302をユニット構造物100のジャッキ挿通部12eに挿入すれば良いので、作業性が向上する。また、アンカーボルト401は、ユニット構造物載置工程S5の後に、ユニット構造物100に形成されたアンカーボルト取付穴12dに取り付ければ良いので、作業性が向上する。
【0080】
ユニット構造物100は、上部に水平方向に延在する天井梁13を備え、天井梁13の上面には、連結穴13dが形成されるともに、スペーサ板13eが取り付けられている。
【0081】
これによれば、水平方向に隣接するユニット構造物100の天井梁13の連結穴13dに対応した連通穴651a、652aが形成された連結部材651、652を、水平方向に隣接する天井梁13を橋渡すように、水平方向に隣接する天井梁13の上面に載置した後に、上側ユニット構造物150を、釣り上げて、ユニット構造物100の天井梁13上に載置し、連結部材651、552のそれぞれの連通穴651a、652aを、連結穴13d及び上側ユニット構造物150の下端部に形成された下側連結穴12fに一致させ、それぞれの連通穴651a、652a、連結穴13d、及び下側連結穴12fにボルト655を差し込んだうえで、それぞれのボルト655にナット656をねじ込むことによって、水平方向及び上下方向に隣接するユニット構造物100、150を互いに連結させることができる。
【0082】
また、天井梁13の上面には、スペーサ板13eが取り付けられているので、連結部材651,652のそれぞれの連通穴651a、652aの位置が連結穴13d及び下側連結穴12fからずれている場合に、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間にバール等の工具を差し込んで、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間隔を広げて、連結部材651、652を移動させて、連通穴651a、652aと連結穴13d及び下側連結穴12fの位置を一致させることができる。
【0083】
本実施形態のユニット構造物施工方法は、予め組み立てられたユニット構造物100を地面に据え付ける方法であり、ユニット構造物100は、下部に、アンカーボルト取付穴12dが複数形成されるとともに、下方に突出する筒状のジャッキ挿通部12eが複数設けられ、地面上に上面が水平面であるベース部200を形成するベース部形成工程S2と、ベース部200に、棒状の挿入部302が形成されたジャッキ300を載置するジャッキ載置工程S4と、ユニット構造物100をベース部200上に釣り上げたうえで、ユニット構造物100を降下させて、ジャッキ300の挿入部302をユニット構造物100のジャッキ挿通部12eに挿通して、ユニット構造物100をジャッキ300に載置するユニット構造物載置工程S5と、ジャッキ300によって、ユニット構造物100を水平にする水平調整工程S6と、アンカーボルト401をアンカーボルト取付穴12dに取り付けるアンカーボルト取付工程S9と、ベース部200上においてユニット構造物100の下部を取り囲む型枠500を形成する型枠形成工程S11と、型枠500にコンクリートを流し込んで、基礎を形成する基礎形成工程S12とを有する。
【0084】
これによれば、ユニット構造物100を据え付ける際に、従来のように、釣り上げられた重量物であるユニット構造物を水平方法に動かして、基礎に設けられたアンカーボルトをユニット構造物のアンカーホールに挿通するような困難な作業を行う必要が無く、ジャッキ300側を水平方法に動かして、ジャッキ300の挿入部302をユニット構造物100のジャッキ挿通部12eに挿入すれば良いので、作業性が向上する。つまり、重量物であるユニット構造物100に対して、ジャッキ300は軽量であるので、ジャッキ300を水平方向に移動させて、ジャッキ300の挿入部302をユニット構造物100のジャッキ挿通部12eに挿入することは容易である。また、アンカーボルト401は、ユニット構造物載置工程S5の後に、ユニット構造物100に形成されたアンカーボルト取付穴12dに取り付ければ良いので、作業性が向上する。
【0085】
本実施形態では、ユニット構造物100を、2mm以内の誤差で、ベース部200の所望の水平位置に据え付けることが可能となる。従来では、アンカーボルトとアンカーホールの水平方向の位置がどうしても合わない場合には、アンカーホールを拡大しており、最大で5mmの据付誤差が生じていた。本実施形態では、ユニット構造物100の水平方向の位置を精度高くベース部200に据え付けることが可能となる。従来では、ユニット構造物100の高さ方向の最大誤差が5mmであった。しかし、本実施形態では、ジャッキ300によって、ユニット構造物100のベース部200に対する高さを調整しているので、ユニット構造物100の高さ方向の誤差を、2mm以内に収めることができる。
【0086】
また、ベース部200にユニット構造物100の適正な水平方向の据付位置である通り芯マーク201a及び外壁下地面マーク201bをマーキングするマーキング工程S3を更に有し、ユニット構造物載置工程S5では、通り芯マーク201a及び外壁下地面マーク201bを用いて、ユニット構造物100のベース部200に対する水平方向の位置を合わせる。
【0087】
これによれば、ユニット構造物100をベース部200の所望の位置に正確に据え付けることができる。
【0088】
また、型枠形成工程S11よりも前に、ジャッキ300をベース部200に固定するジャッキ固定工程S8を更に有する。
【0089】
これによれば、ジャッキ300がベース部200に固定されることにより、ジャッキ300に取り付けられているユニット構造物100のベース部200に対する水平方向へのずれが抑制される。
【0090】
また、ユニット構造物100の上端部には、水平方向に延在する天井梁13を有し、天井梁13の上面には、連結穴13dが形成され、ユニット構造物100上に載置される上側ユニット構造物150の下端部には、水平方向に延在する床梁12を有し、床梁12の下面には、下側連結穴12fが形成され、水平方向に隣接する天井梁13の連結穴13dに対応した連通穴651a、652aが形成された連結部材651、652を、水平方向に隣接する天井梁13を橋渡すように、水平方向に隣接する天井梁13の上面に載置した後に、上側ユニット構造物150を、釣り上げて、ユニット構造物100の天井梁13上に載置し、連結部材651、652のそれぞれの連通穴651a、652aを、連結穴13d及び下側連結穴12fに一致させ、それぞれの連通穴651a、652a、連結穴13d、及び下側連結穴12fにボルト655を差し込んだうえで、それぞれのボルト655にナット656をねじ込む連結工程を更に有する。
【0091】
これによれば、水平方向に隣接するユニット構造物100が連結部材651、652によって連結され、ユニット構造物100のベース部200に対する水平方向のズレが抑制される。また、上側ユニット構造物150がユニット構造物100に連結される。更に、天井梁13の上面には、スペーサ板13eが取り付けられているので、連結部材651、652のそれぞれの連通穴651a、652aの位置が連結穴13d及び下側連結穴12fからずれている場合に、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間にバール等の工具を差し込んで、ユニット構造物100の天井梁13と上側ユニット構造物150の床梁12の間隔を広げて、連結部材651、652を移動させて、連通穴651a、652aと連結穴13d及び下側連結穴12fの位置を一致させることができる。
【0092】
本実施形態では、上述したように、ユニット構造物100を水平方向に関して精度高くベース部200に据え付けることができるので、連結穴13dや連通穴651a、652aの数を増やしても、連結穴13dや連通穴651a、652aにボルト655を差し込むことができる。このため、ボルト655の数を増やすことができるので、ボルト655として、高強度の高力ボルトを用い無くても、通常のボルトを用いることができる。この結果、ユニット構造物100を解体する際に、高力ボルトを用いた場合のように破壊する必要が無く、ナット656を緩めるだけで、ボルト655及びナット656を取り外すことができ、解体が容易であり、ユニット構造物100を再利用することが可能となる。
【0093】
また、ベース部200に据え付ける前のユニット構造物100の少なくとも一面には、外壁17が取り付けられており、端部が鋭角に折り曲げられた折り曲げ部18d、21dを有する第1部材である第1接合部材18や第3接合部材21と、端部がコ字状に形成された係合部19c、22cを有する第2部材である第2接合部材19や第4接合部材22を用い、第2部材である第2接合部材19や第4接合部材22を隣接するユニット構造物100のうち他方の外壁17に取り付け、折り曲げ部18d、21dを係合部19c、22cに係合させて、第1部材である第1接合部材18や第3接合部材21を隣接するユニット構造物100のうち一方の外壁17に取り付けること外壁接合工程を更に有する。
【0094】
これによれば、隣接するユニット構造物100、150の外壁17の間の隙間が、互いに係合した第1部材である第1接合部材18や第3接合部材21及び第2部材である第2接合部材19や第4接合部材22で塞がれ、風雨のユニット構造物100内への侵入が防止される。また、第1部材である第1接合部材18や第3接合部材21の折り曲げ部18d、21dを第2部材である第2接合部材19や第4接合部材22の係合部19c、22cに係合させるだけで、第1部材である第1接合部材18や第3接合部材21と第2部材である第2接合部材19や第4接合部材22とを隙間無く接合することができる。このため、隣接するユニット構造物100、150の外壁17の間の隙間を塞ぐための作業性が向上するとともに、
図8や
図10に示すように、外壁17と他の建造物900との間のスペースが小さい場合であっても、隣接するユニット構造物100、150の外壁17の間の隙間を塞ぐことが可能となる。
【0095】
本実施形態のユニット構造物100、150に施される内装が異なったとしても、ユニット構造物100、150の基本的構造は同じであるので、ユニット構造物100。150の強度計算を一度行えば、内装が異なるユニット構造物毎に強度計算をする必要が無い。本実施形態のユニット構造物100、150は、トラックにて積載できるサイズにしてあるが、上記説明したように、ユニット構造物100、150を水平方向及び上下方向に連結することによって、任意の大きさの建物を建てることができる。
【0096】
本実施形態のユニット構造物100を構成する部材は、レーザ加工機によって切断、穴あけ加工されているので、2mm以内の寸法誤差で組立(溶接接合)製作することができる。
【0097】
(別の実施形態)
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うユニット構造物やユニット構造物施工方法もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0098】
以上説明した実施形態では、ジャッキ挿通部12eは円筒形状であるが、角筒状であってもよい。
【0099】
以上説明した実施形態では、ユニット構造物100をベース部200に据え付ける際には、ユニット構造物100の一面には、外壁17が予め取り付けられている。ユニット構造物100の周囲に他の建造物900が無い場合や、ユニット構造物100と他の建造物900との距離が大きい場合には、ユニット構造物100の一面に、外壁17が取り付けられておらず、ユニット構造物100をベース部200に据え付けた後に、外壁17をユニット構造物100に取り付ける実施形態であっても良い。
【符号の説明】
【0100】
12d:アンカーボルト取付穴
12e:ジャッキ挿通部
13:天井梁
13d:連通穴
13e:スペーサ板
17:外壁
18:第1接合部材(第1部材)
18d:第1折り曲げ部(折り曲げ部)
19:第2接合部材(第2部材)
19c:第1係合部(係合部)
21:第3接合部材(第1部材)
21d:第2折り曲げ部(折り曲げ部)
22:第4接合部材(第2部材)
22c:第2係合部(係合部)
100:ユニット構造物
200:ベース部
201a:通り芯マーク(マーク)
201b:外壁下地面マーク(マーク)
300:ジャッキ
302:挿入部
401:アンカーボルト
500:型枠
651:第1連結部材(連結部材)
651a:連通穴
652:第2連結部材(連結部材)
652a:連通穴
655:ボルト
656:ナット