(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015165
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ホログラフィー量子力学シミュレーション
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20230124BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G06N10/40
G06F7/38 510
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173216
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2020201918の分割
【原出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】16/705,727
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522047446
【氏名又は名称】クオンティニュアム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フェイグ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・シー.・ポッター
(57)【要約】 (修正有)
【課題】量子コンピュータによる量子回路を実行する方法、装置、コンピューティングエンティティ、コンピュータプログラム製品及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、量子ビット管理システム及び複数の物理的量子ビットを含む量子コンピュータのコントローラによって、複数の回路スライスを含む量子回路を受信することと、コントローラによって、量子コンピュータの物理的量子ビットを使用して、量子回路のi番目のスライスを実行させることと、コントローラによって、i番目のスライスの実行を介して完全に発展したシステム量子ビットとして発展した物理的量子ビットを、任意選択的に測定し、再初期化し、i+m(式中、mは正の整数)番目のスライスのベースレベルでシステム量子ビットワイヤに再導入することと、コントローラによって、量子コンピュータに物理的量子ビットを使用して、量子回路のi+m番目のスライスを実行させることと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
量子ビット管理システム及び複数の物理的量子ビットを含む量子コンピュータのコントローラによって、複数の回路スライスを含む量子回路を受信することであって、前記複数の回路スライスのうちの第1のスライスが、前記量子回路の完全に発展したレベルの第1のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐を含み、前記複数の回路スライスのうちのi番目のスライスが、スライスi-j(式中、0≦j<iは整数である)における前記量子回路の前記完全に発展したレベルに到達する、前記量子回路の任意のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にないが、スライスi-1の実行中に前記完全に発展したレベルに到達し、任意選択的に測定され、前記システム量子ビットワイヤのスライスiのベースレベルにリセットされた1つ以上の物理的量子ビットを開始することによってこれから実行され得るすべてのゲートを含むように定義される、受信することと、
前記コントローラによって、前記量子コンピュータの前記物理的量子ビットを使用して、前記量子回路の前記i番目のスライスを実行させることと、
前記コントローラによって、前記i番目のスライスの実行を介して完全に発展した前記システム量子ビットとして発展した物理的量子ビットを、任意選択的に測定し、再初期化し、i+m(式中、mは正の整数)番目のスライスのベースレベルでシステム量子ビットワイヤに再導入することと、
前記コントローラによって、前記量子コンピュータに前記物理的量子ビットを使用して、前記量子回路の前記i+m番目のスライスを実行させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記量子回路の前記i番目のスライスを実行することが、経時的に前記システム量子ビットを順伝搬させるように、前記i番目のスライス内に横たわる入力及び出力ワイヤに対するすべてのゲートを実行することを含み、前記量子回路が、局所的相互作用によって特徴付けられるハミルトニアンによって支配される相互作用を符号化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物理的ドメイン内の少なくとも1つの自由度に対応する値を決定するように、前記複数の量子ビットのうちの少なくとも1つの物理的量子ビットの1つ以上の測定を行うことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、量子コンピュータによる量子回路の実行に関する。例えば、様々な実施形態は、効率的な量子ビットの使用を伴う量子コンピュータによる量子回路の実行に関する。
【背景技術】
【0002】
目先の量子計算ハードウェアは、限られた数(数10~数100)の量子ビット(qubit)のみへのアクセスを有し、ノイズ及びゲートエラーによっても強く制限されるだろう。比較的少数のノイズの多い量子ビットでも、古典的な計算手段を使用して解決することが非常に困難である複雑な問題を効果的に解決することを困難にする。加えられる努力、工夫、及び革新を通じて、かかるシステムの多くの欠陥は、本発明の実施形態に従って構造化される解決策を開発することによって解決され、それらの多くの実施例が本明細書で詳細に記載される。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態は、方法、量子コンピュータ、コンピューティングエンティティ(例えば、古典コンピューティングエンティティ)、システム、コンピュータプログラム製品、及び/又は同様のものを提供する。一態様によれば、量子コンピュータは、量子コンピュータの物理的量子ビットの効率的な使用によって、量子回路を実行してもよい。一実施形態例では、量子コンピュータのコントローラは、複数の回路スライスを含む量子回路を受信する。量子コンピュータは、コントローラ、量子ビット管理システム、及び複数の物理的量子ビットを含む。複数の回路スライスのうちの第1のスライスは、量子回路の完全に発展したレベルの第1のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐を含む。複数の回路スライスのうちのi番目のスライスは、スライスi-j(式中、0≦j<iは整数である)における量子回路の完全に発展したレベルに到達する、量子回路の任意のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にないが、スライスi-1の実行中に完全に発展したレベルに到達し、任意選択的に測定され、システム量子ビットワイヤのスライスiのベースレベルにリセットされた1つ以上の物理的量子ビットを開始することによってこれから実行され得るすべてのゲートを含むように定義される。例えば、i番目のスライスは、スライスiの実行を介して量子回路の完全に発展したレベルに到達するシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にあり、スライスi-j(式中、0<j<iは整数である)における完全に発展したレベルに到達するシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にないすべてのゲートを含んでもよい。コントローラは、量子コンピュータの物理的量子ビットを使用して、量子回路のi番目のスライスを実行させることと、i番目のスライスの実行を介して、完全に発展したシステム量子ビットとして発展した物理的量子ビットを、任意選択的に測定し、再初期化し、i+m(式中、mは正の整数)番目のスライスのベースレベルのシステム量子ビットワイヤに再導入することと、量子コンピュータに、物理的量子ビットを使用して、量子回路のi+m番目のスライスを実行させることと、を行う。
【0004】
別の態様によれば、方法が提供される。例示的な実施形態では、方法は、量子コンピュータのコントローラによって、複数の回路スライスを含む量子回路を受信することを含む。量子コンピュータは、量子ビット管理システム及び複数の物理的量子ビットを含む。複数の回路スライスのうちの第1のスライスは、量子回路の完全に発展したレベルの第1のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐を含む。量子回路のi番目のスライスは、スライスi-j(式中、0<j<iは整数である)における量子回路の完全に発展したレベルに到達する、量子回路の任意のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にないが、スライスi-1の実行中に完全に発展したレベルに到達し、任意選択的に測定され、
システム量子ビットワイヤのスライスiのベースレベルにリセットされた1つ以上の物理的量子ビットを開始することによってこれから実行され得るすべてのゲートを含むように定義される。方法は、コントローラによって、量子コンピュータの物理的量子ビットを使用して、量子回路のi番目のスライスの実行をさせることと、コントローラによって、i番目のスライスの実行を介して、完全に発展したシステム量子ビットとして発展した物理的量子ビットを、任意選択的に測定し、再初期化し、i+m(式中、mは、正の整数)番目のスライスのベースレベルのシステム量子ビットワイヤに再導入することと、コントローラによって、量子コンピュータに、物理的量子ビットを使用して、量子回路のi+m番目のスライスを実行させることと、を更に含む。
【0005】
例示的な実施形態では、量子回路のi番目のスライスを実行することが、経時的にシステム量子ビットを順伝搬するために、i番目のスライス内に横たわる入力及び出力ワイヤに対するすべてのゲートを実行することを含む。例示的な実施形態では、量子回路が、少なくとも1つの補助系ワイヤを含み、量子回路のi番目のスライスを実行することが、i番目のスライスの底部における1つ以上のシステム量子ビットと、1つ以上の他のスライスの底部におけるシステム量子ビットとの間に初期相関を導入するために、一体型ゲートを介した少なくとも1つの補助系量子ビットに、i番目のスライスの底部における1つ以上のシステム量子ビットを相互作用させることを含む。例示的な実施形態では、量子回路が、局所的相互作用によって特徴付けられるハミルトニアン(Hamiltonian)によって
支配される相互作用を符号化する。例示的な実施形態では、システム量子ビットワイヤは、シミュレートされている物理的ドメインのセクションに関連付けられた自由度に対応する。例示的な実施形態では、量子回路のi番目のスライスを実行することが、オペレータに応じて自由度を発展させることを含む。例示的な実施形態では、オペレータはハミルトニアンである。例示的な実施形態では、物理的ドメインが、一次元、二次元、又は三次元物理的ドメインのうちの1つである。例示的な実施形態では、量子回路が、物理的ドメインを表す格子に定義された量子状態の発展のダイナミクスをシミュレートする。例示的な実施形態では、方法は、物理的ドメイン内の少なくとも1つの自由度に対応する値を決定するために、複数の量子ビットの少なくとも1つの物理的量子ビットの1つ以上の測定を行うことを更に含む。例示的な実施形態では、量子回路の少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤが、量子回路の複数のスライスを通って延在する。
【0006】
更に別の態様によれば、コンピューティングエンティティが提供される。例示的な実施形態では、コンピューティングエンティティが、量子コンピュータのコントローラと通信する。量子コンピュータは、量子ビット管理システム及び複数の物理的量子ビットを含む。コンピューティングエンティティは、コントローラにより、複数の回路スライスを含む量子回路を受信するように、コントローラが量子コンピュータの要素を制御するように構成されている。複数の回路スライスのうちの第1のスライスは、量子回路の完全に発展したレベルの第1のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐を含む。複数の回路スライスのうちのi番目のスライスは、スライスi-j(式中、0≦j<iは整数である)における量子回路の完全に発展したレベルに到達する、量子回路の任意のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐内にないが、スライスi-1の実行中に完全に発展したレベルに到達し、任意選択的に測定され、システム量子ビットワイヤのスライスiのベースレベルにリセットされた1つ以上の物理的量子ビットを開始することによってこれから実行され得るすべてのゲートを含むように定義される。コンピューティングエンティティは、量子コンピュータに、物理的量子ビットを使用して、量子回路のi番目のスライスを実行させることと、量子コンピュータに、i番目のスライスの実行を介して、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤに沿って完全に発展するように発展した物理的量子ビットを、量子回路のi+m(式中、mは、正の整数)番目のスライスのシステム量子ビットワイヤのベースレベルに初期化させることと、量子コンピュータに、物理的量子ビットを使用して、量子回路のi+m番目のスライスを実行させることと、行うように、コントローラに
、量子コンピュータの要素を制御させるように更に構成されている。
【0007】
例示的な実施形態では、量子回路のi番目のスライスを実行することが、経時的にシステム量子ビットを順伝搬するために、i番目のスライス内に横たわる入力及び出力ワイヤに対するすべてのゲートを実行することを含む。例示的な実施形態では、量子回路が、少なくとも1つの補助系ワイヤを含み、量子回路のi番目のスライスを実行することが、i番目のスライスの底部における1つ以上のシステム量子ビットと、1つ以上の他のスライスの底部におけるシステム量子ビットとの間に初期相関を導入するために、一体型ゲートを介した少なくとも1つの補助系量子ビットに、i番目のスライスの底部における1つ以上のシステム量子ビットを相互作用させることを含む。例示的な実施形態では、量子回路が、局所的相互作用によって特徴付けられるハミルトニアンによって支配される相互作用を符号化する。例示的な実施形態では、システム量子ビットワイヤは、シミュレートされている物理的ドメインのセクションに関連付けられた自由度に対応する。例示的な実施形態では、量子回路のi番目のスライスを実行することが、オペレータに応じて自由度を発展させることを含む。例示的な実施形態では、オペレータはハミルトニアンである。例示的な実施形態では、物理的ドメインが、一次元、二次元、又は三次元物理的ドメインのうちの1つである。例示的な実施形態では、量子回路が、物理的ドメインを表す格子に定義された量子状態の発展のダイナミクスをシミュレートする。例示的な実施形態では、コンピューティングエンティティは、物理的ドメイン内の少なくとも1つの自由度に対応する値を決定するために、量子コンピュータが複数の量子ビットのうちの少なくとも1つの物理的量子ビットの1つ以上測定を行うように、コントローラが量子コンピュータの要素を制御するように更に構成されている。例示的な実施形態では、量子回路の少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤが、量子回路の複数のスライスを通って延在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
このように本発明を一般的な用語で説明してきたが、ここで、必ずしも縮尺どおりに描かれていない添付図面を参照する。
【0009】
【
図1】例示的な一実施形態による、例示的なシステムの概略図を提供する。
【0010】
【
図2】例示的な一実施形態による、セクションに分割された例示的なドメインの概略図を提供する。
【0011】
【
図3A】例示的な一実施形態による、例示的な量子回路及び例示的な量子回路のスライスの概略図を提供する。
【
図3B】例示的な一実施形態による、例示的な量子回路及び例示的な量子回路のスライスの概略図を提供する。
【0012】
【
図4】量子回路を効率的な量子ビットの使用で実行するための量子コンピュータによって行われる様々なプロセス、手順、及び/又は動作を図示するフローチャートを提供する。
【0013】
【
図5】例示的な一実施形態による、使用され得る例示的なユーザコンピューティングエンティティの概略図を提供する。
【0014】
【
図6】例示的な一実施形態による、使用され得る例示的な量子コンピュータの概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明を、本発明の全てではなくいくつかの実施形態が示される添付図面を
参照しながら以下により完全に説明する。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。「又は」という用語(「/」とも示される)は、別様に示唆されない限り、代替的及び連言的な意味の両方で本明細書にて使用される。「図示の」及び「例示の」という用語は、品質レベルの指示のない例として使用される。「概して」及び「およそ」という用語は、別様に示唆されない限り、エンジニアリング及び/又は製造限界内、及び/又はユーザ測定能力内を指す。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
I.概要
【0016】
電子材料及び磁気材料の動的特性を計算することは、吸光及び発光スペクトル、交流(AC)伝導性、磁気感受性、磁気抵抗、スピン力学、及び多くの他の特性などの、それらの技術的に重要な物理的特性の多くを予測するのに有用である。相関量子系のダイナミクスの古典的なシミュレーションは、非常に困難であり、エンタングルエントロピの急速な成長により、時間依存密度マトリックス再正規化グループ(DMRG)のような最新のシミュレーション方法を非常に短い時間スケールに制限する。
【0017】
非常に一般的に、量子系のダイナミクスを古典的にシミュレートするためのメモリ及びシミュレーション時間リソースは、システムサイズ又は最終シミュレーション時間において指数関数的に成長する。対照的に、プログラム可能な量子コンピュータの出現は、量子材料をシミュレーションするための様々な多項式時間アルゴリズムを可能にし、これは、これらのシミュレーションを実施するために必要とされるリソースの指数関数的な低減を提供する。しかしながら、目先の量子計算ハードウェアは、限られた数(数10~数100)の量子ビット(qubits)のみへのアクセスを有し、ノイズ及びゲートエラーによっても強く制限されるであろう。
【0018】
本発明の様々な実施形態は、比較的少数の潜在的にノイズの多い量子ビットを使用して、古典的な計算手段を介して解決することが非常に困難かつ/又は難解性であり得る複雑な問題を解決するように、効率的な量子ビットの使用を伴う量子回路を実行するための方法、装置、コンピューティングエンティティ、コンピュータプログラム製品、及び/又はシステムなどを提供する。
【0019】
様々な実施形態において、量子コンピュータは、限られた数の「物理的量子ビット」のみを使用して、多数の「システム量子ビット」(例えば、回路のシステム量子ビットワイヤに沿って発展する量子ビット)の広い幅の回路を実装する。最初に、最も左側のシステム量子ビットワイヤに対する量子回路出力の過去の因果円錐が識別され、これは、システム量子ビットワイヤのサブセットを少なくとも1つの補助系量子ビットと共に含む。例えば、完全に発展したレベルの第1のシステム量子ビットワイヤの過去の因果円錐は、
図3Aに示されるように、第1のスライス140Aを定義するために識別され、使用される。回路内の所与の量子ビットについて、我々は、所与の量子ビットが、過去から将来までワイヤをトレースすることによって、そこから流れ出す任意のワイヤによって各ゲートを出る所与の量子ビットが到達することができるすべての量子ビットのセットとして、その過去の因果円錐を定義することができる。この定義から、
図3Aに示されるシステム量子ビットワイヤ1及び2の頂部における量子ビットの過去の因果円錐は、破線(例えば、境界線146)の左下にすべての量子ビットを含む(すべての量子ビットが補助系ワイヤに沿って入るとともに、量子ビットがシステム量子ビットワイヤ1~5に沿って入ることを含む)。
【0020】
量子コンピュータは、この過去の因果円錐内に含まれる完全回路の制限を処理するのに十分な物理的量子ビットを有する(
図3A及び
図3Bの回路の底部の最も左側の5つの
システム量子ビットワイヤ120及び補助系ワイヤ110)。量子回路の完全に発展したレベルにこれらのシステム量子ビットワイヤに沿って発展した量子ビット(例えば、
図3BにおいてA及びBとラベル付けられたこの円錐の出力で)は、所望であれば測定され、再初期化され、かつ回路のベースレベルへと再循環される。それらを使用して、初期円錐の右側へのスライスによって因果円錐を拡張し、回路出力でのより多くのシステム量子ビット[この場合、C及びDとラベル付けされた回路の頂部の左から3番目及び4番目の量子ビット]を包含してもよい。このプロセスは、量子回路のスライスのすべてが処理及び/又は行われるまで、回路のより多くのスライスを処理及び/又は行うように繰り返されてもよい。この時点で、量子回路全体が完全に実行され、回路の完全に発展したレベルに対するすべての所望の測定が取得されている。
【0021】
様々な実施形態では、量子回路が定義される。様々な実施形態では、量子回路は、複数のシステム量子ビットワイヤを含む。例示的な実施形態では、モデル化及び/又はシミュレートされる物理的システム又はドメインは、任意の好適な技法(例えば、材料のタイト結合説明)を使用して、格子に離散される。格子内の各点は、量子自由度の有限数(例えば、最大ds)を含む。例えば、モデル化及び/又はシミュレートされるドメインは、一次元、二次元、又は三次元物理的システム及び/又はドメイン(例えば、物理的材料の少なくとも一部)であってもよく、各システム量子ビットワイヤは、量子自由度、物理的場所、及び/又はシステム及び/又はドメイン内の粒子の(例えば、時間における)発展を表現、モデル化、シミュレート、及び/又はこれに対応してもよい。例えば、量子回路のシステム量子ビットワイヤは、システム及び/又はドメイン内の対応するセクションの1つ以上の特性の(例えば、時間における)発展をシミュレートしてもよい。例えば、量子回路は、物理的ドメイン内の粒子の量子状態の発展のダイナミクスをシミュレートしてもよい。様々な実施形態では、ドメインは物理的ドメインでなくてもよく、ドメインは三次元より大きくてもよい。例えば、ドメインは、地理的領域、地理的領域におけるロジスティック動作、ファイナンシャル指数、及び/又は他の一次元若しくは多次元ドメインを通じた疾患の広がりに対応してもよい。
【0022】
様々な実施形態では、ドメインのセクション(及び/又は場所、及び/又は粒子、及び/又はセクション内の対応する自由度)間の時間発展及び/又は相互作用は、オペレータを介してシミュレート及び/又はモデル化される。例えば、ドメインは、セクションに分割されてもよい。ドメインの次元がdである場合、各セクションの次元はd-1である。様々な実施形態では、オペレータは、ハミルトニアンである。様々な実施形態では、オペレータは、ローカルオペレータである。オペレータH(t)は、H(t)=Σ
kh
k(t)のときに、ローカルオペレータであり、式中、kは、d次元格子の(例えば、空間的に隣接する)d-1次元セクションに連続的にインデックス付けし、各オペレータ項h
k(t)は、セクションkから最大でも正の整数pの距離のセクション内に含まれる格子サイトに作用する。例えば、システム及び/又はドメインが一次元システム及び/又はドメインである場合、セクションはゼロ次元(例えば、システム及び/又はドメイン内の特定の点に対応する)であり、各オペレータ項h
k(t)は、システム及び/又はドメインの最大pの隣接点に作用する。例えば、
図2は、例示的な一次元システム、及び/又は複数のセクション202(例えば、202.1、202.2、202.3、202.4、202.k)に分割されたドメイン200を図示する。例示的な実施形態では、p=2であり、h
1(t)は、セクション202.1、202.2、及び202.3に関する自由度に
作用してもよいが、セクション202.4における自由度には作用しない。別の例示的な実施形態では、ドメインが三次元ドメインである場合、セクションは、二次元(例えば、平面)であり、各オペレータ項h
k(t)は、二次元セクション内で、セクションkから最大pのセクションの自由度/点に作用する。例えば、オペレータ項h
k(t)は、ドメイン内のあらゆる自由度、場所、及び/又は粒子に作用しない。例えば、オペレータ項h
k(t)は、幾何学的に局所的な相互作用を符号化してもよい。
【0023】
様々な実施形態では、量子回路は、1つ以上の補助系ワイヤを含む。様々な実施形態では、各補助系量子ビット(例えば、補助系ワイヤに沿って発展している量子ビット)は、ドメインのセクションにわたるドメインの1つ以上の初期特性に対応する初期状態に存在する様々な量子ビットワイヤ(及び/又はそれによって表されるドメインの自由度)間の相関を準備する。例えば、システム量子ビット(例えば、システム量子ビットワイヤ120に沿って発展している物理的量子ビット)が、単一のゲート112(
図3A及び
図3Bを参照)を介して、補助系量子ビット(例えば、補助系ワイヤ110に沿って発展している物理的量子ビット)と相互作用するときに、補助系量子ビットは、様々なセクションにおける様々な自由度の初期状態間の相関を付与する。例示的な実施形態では、補助系量子ビット(例えば、補助系ワイヤに沿って発展している量子ビット)は、初期時間t=0におけるドメインの様々なセクションにおける自由度間のマトリックス積状態を生成する。様々な実施形態では、各システム量子ビットは、最初にシステム量子ビットワイヤに初期化され、次いで、単一ゲートを介して1つ以上の補助系量子ビットとの相互作用を通じて相関状態にされる。次いで、システム量子ビットは、局所的ハミルトニアン下でシミュレートされたシステム及び/又はドメインの時間発展をシミュレートするために、他のシステム量子ビット(例えば、他のシステム量子ビットワイヤに沿って発展している量子ビット)によってゲートされることによってシステム量子ビットワイヤに沿って引き続き発展する。
【0024】
様々な実施形態では、量子回路のスライスが定義される。上述のように、量子回路は、時間t=0に対応する量子回路のベースレベルから、時間t=Tに対応する完全に発展したレベルまで延在する複数のシステム量子ビットワイヤを含む。量子ワイヤは各々、シミュレートされたシステム及び/又はドメインのセクションの1つ以上の自由度に関する。システム量子ビットワイヤは、量子回路の1つ以上のスライスを通過してもよい。
【0025】
様々な実施形態では、量子回路は、
図3Bの左側の第1のスライス140Aから開始し、各連続するスライス140を介して左から右に移動するスライス140ごとに実行される。例えば、最初に、第1のスライス140A内の全てのゲート(三角形領域)が実行され、そのスライス140Aの出力(例えば、完全に発展したレベル136)における任意の所望の量子ビットの測定が行われる。次に、完全に発展したレベル136(例えば、
図3BにおいてA及びBとラベル付けられたスライスの上部)にされた物理的量子ビットは、次のスライス140においてシステム量子ビットワイヤの底部(例えば、ベースレベル130)で挿入される。次いで、そのスライス140内のゲートは、回路の時間順序に従って実行される(例えば、最初に赤色ゲート、次いで、底部から頂部まで昇順の青色ゲート)。
図3Bの例では、この手順におけるこの時点で実行されるゲートは、明るい陰影にされている。この第2のスライス140B(
図3BにおいてC及びDとラベル付けされた)の頂部にされた物理的量子ビットは、次いで、リセットされ(例えば、再初期化され)、第3のスライス140の底部に再び挿入される。この時点で、第3のスライス内のゲートが実行されることができ、手順は、すべてのゲート112、122が実行されるまで、すべてのスライス140を通じて左から右に続き、すべての測定値150が作製される。
【0026】
様々な実施形態では、量子回路の各スライスは、量子回路のベースレベルから始まり、量子回路のシステム量子ビットワイヤにわたって、完全に発展したレベルまで斜めに延在する。例えば、量子回路が時間t=0から時間t=Tへのシステム及び/又はドメインの発展をシミュレート及び/又はモデル化する場合、量子回路のベースレベルは時間t=0に対応し、完全に発展したレベルは、時間t=Tに対応する。様々な実施形態では、i=1スライスは、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤがベースレベルから完全に発展したレベルに発展し、完全に発展したレベルの少なくとも1つのシステム量子ビット
ワイヤの完全な過去の因果円錐を排他的に含有しなければならないように定義される。過去の因果円錐は、
図3A及び
図3Bに示される矢印の方向にゲートを通るワイヤの後に、完全に発展した量子ビットに接続され得るベースレベルのすべてのシステム量子ビットを識別することによって定義される。例えば、i=1スライスにおける完全に発展したレベルに到達するシステム量子ビットワイヤは、i>1スライスのベースレベルにおいて開始するシステム量子ビットワイヤのいずれかの相互作用及び/又は発展なしに、ベースレベルから完全に発展したレベルに発展する。様々な実施形態では、i>1スライスは、再帰的に定義されてもよい。例えば、i≧1について、i+1スライスは、量子回路のi番目のスライスの完全に発展したレベルのシステム量子ビットワイヤのすぐ右のシステム量子ビットワイヤをとり、次いでi番目のスライスの完全に発展したレベルのシステム量子ビットワイヤのすぐ右のそれらのシステムビットワイヤの過去の因果円錐を識別することによって識別され得る。i番目のスライスの完全に発展したレベルのシステム量子ビットワイヤのすぐ右のシステム量子ビットワイヤは、完全に発展したレベルのゲートによって直接接続されるシステム量子ビットワイヤを含む。任意の非負の整数jについて、スライスi-jと交差しない識別された過去の因果円錐の一部は、スライスi+1である。例えば、i>1スライスにおいて完全に発展したレベルに到達するシステム量子ビットワイヤは、i+j(式中、jは、正の整数)スライスのベースレベルで開始し、及び/又はそこから延在するシステム量子ビットワイヤのいずれかとの相互作用及び/又はその発展なしに、完全に発展したレベルに発展する。i>1スライスの実行は、i-j(式中、jは、正の整数)スライスのベースレベルで開始及び/又はそこから延在する1つ以上のシステム量子ビットワイヤとの相互作用及び/又はその発展を含んでもよい。一般に、スライスiにおいて完全に発展したレベルに到達するシステム量子ビットワイヤについて、スライスi-j(式中、jは、任意の非負整数)のいずれかを起源とする(例えば、量子回路のベースレベルの)システム量子ビットワイヤでゲートされてもよく、スライスi+jのいずれかを期限とする(例えば、量子回路のベースレベルの)システム量子ビットワイヤでゲートされなくてもよい。
【0027】
様々な実施形態において、量子回路は、スライスごとに実行される。例えば、量子コンピュータは、1つ以上のシステム量子ビットワイヤが第1のスライスのベースレベルで初期化され、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤが第1のスライスの完全に発展したレベルに発展するように、量子回路の第1のスライスを実行してもよい。次いで、量子回路の第2のスライスは、1つ以上のシステム量子ビットワイヤが第2のスライスのベースレベルで初期化され、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤが第2のスライスの完全に発展したレベルに発展するように実行されてもよい。次いで、量子回路の各スライスが実行されるまで、量子回路の第3のスライスが実行されるなどが行われてもよい。
【0028】
様々な実施形態では、対応する時間におけるドメインの対応する場所及び/又は粒子の1つ以上の特性を判定するために、対応する量子ビットトレースに沿った量子ビットの発展の様々なポイントにおける量子ビットの1つ以上の特性の測定値が取られてもよい。例えば、システム量子ビットワイヤに沿って発展している物理的量子ビットが量子回路の完全に発展したレベルに到達するときに、1つ以上の測定値を取得して、時間t=Tにおいてシステム量子ビットワイヤに対応する場所及び/又は粒子の1つ以上の特性を判定してもよい。様々な実施形態では、物理的量子ビットがシステム量子ビットワイヤに沿ってスライスiの完全に発展したレベルまで発展し、任意の所望の測定が行われると、別のシステム量子ビットワイヤに沿って発展するスライスi+1のベースレベルで初期化及び再導入され得る。
【0029】
様々な実施形態では、スライスごとの方式での量子回路の実行は、物理的な量子ビットの再利用を可能にする。例えば、スライスごとの方式で量子回路を実行することによって、量子コンピュータの物理的量子ビットは、異なるスライスの複数のシステム量子ビッ
トワイヤに沿って初期化されてもよい。したがって、量子回路を完全に実行するためには、より少ない物理的量子ビットが必要とされる。それにより、実施形態は、比較的少数の量子ビットを使用して、複雑なシステムをモデル化及び/又はシミュレーションする量子回路の実行を可能にする。
II.例示的なシステムアーキテクチャ
【0030】
図1は、例示的な実施形態による、使用され得る例示的なシステムの概略図を提供する。様々な実施形態では、システムは、計算エンティティ10と、量子コンピュータ30と、を備える。様々な実施形態では、量子コンピュータ30は、コントローラ500、複数の量子ビット、及び1つ以上の量子ビット管理システムを含む。様々な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10は、量子コンピュータ30のコントローラ500と有線又は無線通信を介して通信してもよい。様々な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10は、コントローラ500と直接通信してもよいか、又は1つ以上のネットワーク20を介してコントローラ500と通信してもよい。
【0031】
様々な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ30に提供し、量子コンピュータ30からの出力を受信、及び/又は閲覧するなどを可能にするように構成されている。ユーザコンピューティングエンティティ10は、1つ以上の有線又は無線ネットワーク20を介して量子コンピュータ30(例えば、コントローラ500)と通信してもよい。様々な実施形態では、量子コンピュータ30は、トラップされたイオン量子コンピュータ、核磁気共鳴量子コンピュータ、超伝導量子コンピュータ、フォトニック量子コンピュータ、及び/又は他の種類の量子コンピュータであってもよい。
【0032】
様々な実施形態では、コントローラ500は、量子コンピュータ30の1つ以上の量子ビット管理システムを制御して、量子コンピュータ30の1つ以上の量子ビットを所望の方法で操作及び/又は発展させるように構成されている。例えば、コントローラ500は、1つ以上の量子ビット管理システムに、量子回路によって示される及び/又は定義された方法で1つ以上の量子ビットを操作及び/又は発展させることによって、1つ以上の量子回路を実行するように構成されてもよい。例えば、1つ以上の量子ビット管理システムは、熱制御システム(例えば、低温冷却システム)、真空システム(例えば、圧力制御システム)、量子ビット閉じ込めシステム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、イオントラップに接続されたイオントラップ及び電圧源)、1つ以上のゲートシステム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、レーザ及び対応する光学系)、及び/又は測定システム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、光学素子、及び/又は光検出器などを含む)などを含んでもよい。1つ以上の量子ビット管理システムに、量子回路に従って1つ以上の量子ビットを操作及び/又は発展させることによって、量子コンピュータ30は、計算、シミュレーション、及び/又はモデルの生成を行ってもよい。
【0033】
ユーザコンピューティングエンティティ10は、量子回路(複数可)、量子回路(複数可)を符号化する実行可能コード部分(例えば、コンピュータ実行可能命令、及び/又はコマンドセットなど)を提供(例えば、送信)してもよく、及び/又は1つ以上の量子回路の実行を要求し、量子コンピュータ30のコントローラ500が量子回路(複数可)、量子回路(複数可)を符号化する実行可能コード部分、及び/又は要求を受信するようにする。次に、量子コンピュータ30は、場合によっては、量子回路、量子回路を符号化する実行可能なコード部分、及び/又は量子回路の実行の要求を受信することに応答して、量子回路を実行し、量子回路の実行の結果を、判定、及び/又は測定などをしてもよい。次いで、量子コンピュータ30は、量子回路の実行の結果、及び/又は量子回路の実行
の結果の処理結果を提供(例えば、送信)してもよく、ユーザコンピューティングエンティティ10が、量子回路の実行の結果、及び/又は量子回路の実行の結果の処理結果を受信するようにする。次いで、ユーザコンピューティングエンティティ30は、量子回路の実行の結果、及び/又は量子回路の実行の結果の処理結果を1つ以上のプログラムへの入力として使用し、量子回路の実行の結果及び/又は量子回路の実行の結果の処理結果をユーザコンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して表示させ、量子回路の実行の結果、及び/又は量子回路の実行の結果の処理結果をコンピュータ可読メモリに記憶させ、及び/又は同様のことをしてもよい。
III.例示的な量子回路
【0034】
様々な実施形態では、量子回路は、量子計算が量子ゲートのシーケンスである量子計算のモデルである。様々な実施形態では、量子回路は複数のスライスに分割される。量子回路を実行することは、スライスを一連で実行することを含む。
図3A及び
図3Bは、例示的な量子回路100の図を提供する。量子回路100は、複数のシステム量子ビットワイヤ120(例えば、120A、120B)を含む。量子回路100は、各システム量子ビットワイヤが初期化ステップで開始するベースレベル130で開始し、複数のレベルを通って完全に発展したレベル136まで延在する複数のレベルを含む。本明細書で使用するとき、システム量子ビットは、システム量子ビットワイヤ120に沿って発展している量子コンピュータ30の物理的量子ビット555である。単一の物理的量子ビット555は、アルゴリズムの様々な点において、本明細書に記載される量子ビット再利用スキームの結果として、複数の異なるシステム量子ビットの役割を果たしてもよいと留意する。例えば、単一の物理的量子ビット555は、以前のシステム量子ビットワイヤの完全に発展した状態に到達した後に、複数のシステム量子ビットワイヤに連続的に再導入されてもよい。
【0035】
様々な実施形態では、ベースレベル130と完全に発展したレベル136との間の複数のレベルは、単一の回路レベル132を含んでもよい。様々な実施形態では、量子回路100は、1つ以上の補助系ワイヤ110を含む。本明細書で使用するとき、補助系量子ビットは、補助系ワイヤ110.に沿って発展している量子コンピュータ30の物理的量子ビット555である。様々な実施形態では、単一の回路レベル132は、システム量子ビットワイヤ120との補助系ワイヤ110の相互作用を含む。例えば、補助系量子ビットは、システム量子ビットワイヤ120に沿って、例えば、ゲート112(例えば、112A、112B)を介して発展するシステム量子ビットと相互作用し得る。ゲート112を介した補助系量子ビットとシステム量子ビットとの相互作用は、システム量子ビットを、対応するシステム量子ビットワイヤ120に対応する場所及び/又は粒子の初期状態に対応する状態及び/又はそれに近似する状態にしてもよい。例えば、補助系量子ビットとシステム量子ビットとの相互作用は、システム量子ビットを、ハミルトニアンの最低エネルギー状態に近似する状態にしてもよい。中間レベル134(例えば、134A、134B)は、オペレータ(例えば、ハミルトニアン)によって説明されるように、ドメイン内の隣接する場所及び/又は粒子間の時間発展及び/又は相互作用(複数可)に対応してもよい。例えば、システム量子ビットワイヤ120の中間レベル134は、相互作用ゲート122(例えば、122A、122B)が、他のシステム量子ビットワイヤに沿って発展している物理的量子ビット間の時間発展及び/又は相互作用を引き起こすことを含んでもよい。システム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビット555とは対照的に、様々な実施形態では、補助系ワイヤ110に沿って発展した物理的量子ビット555は再使用されない。
【0036】
様々な実施形態では、量子回路100は、1つ以上の測定値150(例えば、150A、150nの取得を含んでもよい。例えば、測定値150は、対応する時間におけるドメイン内の場所及び/又は粒子の1つ以上の特性を示してもよい。例えば、測定値150
Aが、完全に発展したレベル136の第1のシステム量子ビットワイヤ120Aに沿って発展した第1の物理的量子ビットで作製される場合、測定値150Aは、時間t=Tにおいて第1の場所又は粒子に対応する1つ以上の特性を示す。量子回路100は、量子回路100によってモデル化された計算に適切なものとして、回路内の異なるレベル134、136で、及び/又は異なるシステム量子ビットワイヤ120に沿って様々な測定値を含んでもよい。
【0037】
量子回路100は、暗黙の時間順序を有し、それによって、すべてのシステム量子ビット(すなわち、垂直)ワイヤ120が底部(過去)から頂部(将来)に延び、補助系(すなわち水平)ワイヤ110が左(過去)から右(将来)に延びる。この方向は、
図3A及び
図3Bのワイヤのサブセット上の矢印によって示されているが、ワイヤのすべてについても同様の方法で存在する。
【0038】
様々な実施形態では、量子回路100は、複数のスライス140(例えば、140A、140B、...、140n)に分割され、及び/又は複数のスライス140を含む。量子回路100のスライス140は、システム量子ビットワイヤ120と比較して、ベースレベル130から完全に実行されたレベル136まで斜め方式に延在する。例えば、スライス境界146(
図3に点線として示される)は、1つ以上のシステム量子ビットワイヤ120を横断してもよい。例えば、量子回路100のi番目のスライス140iは、ベースレベル量子ビットセット142i(例えば、142A、142B)及び完全に発展したレベルの量子ビットセット144i(例えば、144A、144B)に対応してもよい。ベースレベルの量子ビットセット142iは、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤ120を含み、完全に発展したレベルの量子ビットセット144iは、少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤ120を含む。しかしながら、ベースレベルの量子ビットセット142i及び完全に発展したレベルの量子ビットセット144iは、いかなる重なりも有しなくてもよい。例えば、i番目のスライス140iの完全に発展したレベルの量子ビットセット144iは、i番目のスライス140iのベースレベルの量子ビットセット142i内のシステム量子ビットワイヤ120のいずれも含まなくてもよい。換言すれば、システム量子ビットワイヤ120は、i番目のスライスのベースレベルセット142i内のベースレベル130で開始してもよく、i+j(式中、jは、正の整数)番目のスライス140(i+j)の完全に発展した量子ビットセット144(i+j)に到達してもよい。例えば、i番目のスライス140iは、中間レベル134(例えば、134A、134B)を横切って完全に発展したレベル136まで斜めに延在する。
【0039】
例示的な実施形態では、i>1について、ベースレベルの量子ビットセット142i及び完全に発展したレベルの量子ビットセット144iは、同じ数のシステム量子ビットワイヤ120を含む。例示的な実施形態では、i、j>1について、i番目のスライスのベースレベルの量子ビットセット142i及びj番目のスライスのベースレベルの量子ビットセット142jは、同じ数のシステム量子ビットワイヤ120を含む。例示的な実施形態では、第1のスライス140Aの完全に発展したレベルの量子ビットセット144Aは、i番目のスライス140iの完全に発展したレベルの量子ビットセット144iと同じ数のシステム量子ビットワイヤ120を含む。様々な実施形態では、第1のスライス140Aのベースレベルの量子ビットセット142Aは、i番目のスライス140iのベースレベルの量子ビットセット144iと比較して、より多数のシステム量子ビットワイヤ120を含む。例示的な実施形態では、第1のスライス140Aのベースレベルの量子ビットセット142Aは、完全に発展する、ベースレベルの量子ビットセット142Aの少なくとも1つのシステム量子ビットワイヤ120に必要な最小数のシステム量子ビットワイヤ120を含む。例えば、第1のスライス140Aは、ベースレベルの量子ビットセット142Aと完全に発展したレベルの量子ビットセット144Aとの間に重なりが存在する唯一のスライス140であってもよい。
【0040】
様々な実施形態では、量子回路100は、ハミルトニアンH(t)の形態をとる幾何学的に局所的な(場合によっては時間依存性)オペレータに供され、結合次元χとの行列積状態(MPS)として表され、量子状態|Ψ(0)>,の発展のダイナミクス
【数1】
をシミュレートする回路及び/又はアルゴリズムである。ここで、T-は、時間順序積を示す。MPSは、十分に大きい結合寸法χについて、任意の純粋又は混合量子状態を表すことができる。MPSの古典的な計算方法は、一般的に、結合次元χにおいて多項式的にスケーリングする計算時間及びメモリリソースを必要とし、典型的には、それらを短時間ダイナミクス、及び一次元又は準一次元システムに制限する。対照的に、様々な実施形態は、量子計算リソースの結合寸次元χ依存性の指数関数的減少を可能にし、計算を量子状態のより大きい範囲、より長い時間範囲、及びより高い次元(例えば、二次元及び三次元)材料及び/又はドメインに対して行うことを可能にする。
【0041】
様々な実施形態では、シミュレートされる及び/又はモデル化されるドメインは、電子的に関連する軌道のための任意の標準軌道基準(例えば、タイト結合記述)を使用して、部位当たりの量子自由度の有限数dsを有する離散したメッシュによって近似される。様々な実施形態は、軌道基準の特定の選択にとらわれない。様々な実施形態は、ローカルハミルトニアンH(t)=Σkhk(t)によって生成される時間ダイナミクスをシミュレ
ート及び/又はモデル化し、本明細書で使用するとき、用語「ローカル」は、各項hk(t)が、セクションkから最大で正の整数pの距離のセクション内に含まれる格子部位に作
用することを意味する。
【0042】
精度~εで整数線形及び断面次元L×Aの格子上に離散化されたシステム又はドメインの時間間隔t∈[0,T]の時間範囲わたって動的特性をシミュレートするために、様々な実施形態は、
【数2】
の物理的量子ビット及び量子回路深さ
【数3】
を必要とする。ここで、Lは、格子がセクションに分割されている方向の格子点/部位の数であり、Aは、各セクション内に含有される格子点/部位の数である。例示的な実施形態では、システム及び/又はドメインは、その最長次元に沿ってセクションに分割され、アルゴリズムをより効率的にする。例えば、セクションは、システム及び/又はドメインの最長次元に対して直交及び/又は横断方向に取られてもよい。
【0043】
様々な実施形態では、量子回路100は、物理的量子ビットを、N
a~O(log
2X)の追加の補助系ワイヤのレジスタと反復的に相互作用する、何らかの固定初期状態で調製されたシステム量子ビットワイヤに沿って移動する
【数4】
の量子ビットに分割する。1つ以上のシステム量子ビットワイヤに沿った物理的量子ビットの適時的な測定、リセット、及び再使用の戦略的使用により、様々な実施形態が、比較的少数の量子ビットで非常に大きいシステムをシミュレートすることを可能にする。
【0044】
様々な実施形態では、量子回路は、以下のように定義、生成、及び/又は決定されてもよい。様々な実施形態では、ドメインの場所及び/又は粒子の量子状態のハミルトニアンによる連続的な時間発展は、シミュレートされたシステム及び/又はドメインのpセクションに作用する不連結項のNレベル(例えば、130、132、134、136)の離散量子回路に分解される。様々な実施形態では、この時間発展の分解は、様々な標準的な方法を使用して行われる。例えば、例示的な実施形態では、
【数5】
であって、
【数6】
である(この式は、最も単純なTrotter分解のみを表すが、Trotter-Suzukiの高次に一般化され得る)Trotter-Suzuki式は、分解を行うために使用される。初期行列積状態は、定義及び/又は決定されてもよく、左基準的な形態のテンソル
【数7】
がそこから抽出されてもよい。様々な実施形態では、補助系量子ビット間の相互作用(例えば、補助系ワイヤ110に沿って発展している量子ビット)及びシステム量子ビット(例えば、システム量子ビットワイヤ120に沿って発展している量子ビット)との間の相互作用は、ドメインの初期行列積状態から抽出され、かつ/又はそれによって決定されるテンソル
【数8】
に基づいて定義され得る。一般性を失うことなく、テンソルは左カノニカル形態であり、
【数9】
はアイソメトリーであり、システム量子ビットは固定された初期状態|0>(ベースレベル130)で初期化される状態で、補助系及びシステム量子ビットに作用する単一の回路U
Vによって実装され得ると考えられる。例示的な実施形態では、単一の回路U
V、テンソル
【数10】
及び固定された初期状態|0>は、
【数11】
を満たす。様々な実施形態では、単一の回路U
Vは、状態の以前の知識、又はパラメータ化された回路群を変動的に最適化することのいずれかによって生成され、例えば、モデル化及び/又はシミュレートされる材料及び/又はドメインのハミルトニアンの最も低いエネルギー状態を変動的に近似する。様々な実施形態では、その結果は、次いで複数のスライス140に分割され得る量子回路100である。
【0045】
様々な実施形態では、時間発展量子回路100は、
【数12】
の物理的量子ビットのみによって表される、(LALog
2d
s)のシステム量子ビットワイヤ120に沿ってシステム量子ビットと相互作用するN
a=O(log
2X)の補助系量子ビットで量子コンピュータに実装される。量子回路は、各々がO(pAlog
2d
s)のシステム量子ビットワイヤ、及びU
V及び動作
【数13】
を実装するための一連の量子ゲートを含む、完全に発展したレベルの量子ビットセット144を有する複数のスライス140に分割される。例えば、
図3に示す例示的な量子回路100は、A=1、d
s=2、及びp=2に対応する。
【0046】
次いで、量子回路100が実行されてもよい。様々な実施形態では、第1のスライス140Aの各レベルは、ベースレベル130から順に、完全に発展したレベル136に達するまで、単一の回路レベル132、中間レベル134(例えば、第1の中間レベル134A、次いで第2の中間レベル134Bなど)の順番で各レベルにわたって実行される。例えば、第1のスライス140Aのベースレベル量子ビットセット142Aのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展する各物理的量子ビットは、固定された初期状態|0>に初期化される。次いで、補助系ワイヤ110に沿って発展する物理的量子ビットは初期化され、単一の回路U
Vを実装する回路は、補助系ワイヤ110に沿って発展している物理的量子ビット、及びゲート112(例えば、112A、112B)で第1のスライス140Aのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展している物理的量子ビットに適用される。相互作用ゲート122(例えば、122A、122B)は、完全に実行されたレベル136に到達するまで、各中間レベル134で実行される。様々な実施形態では、相互作用ゲート122は、第1のスライス140Aのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展している物理的量子ビットに
【数14】
を実装する。第1のスライス140Aが完全に実行されると、第1のスライスの完全に発展したレベルの量子ビットセット144Aのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビットは、第2のスライス140Bのベースレベルの量子ビットセット142Bのシステム量子ビットワイヤ120にリセットされ、初期化される。
【0047】
i>1について、i番目のスライスは、i-1番目のスライスの完全に発展したレベルの量子ビットセット144(i-1)のシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビットをリセットすることによって実行されてもよく、それらの物理的量子ビットは、i番目のスライス140iのベースレベル130で固定初期状態|0>に初期化されるようにする(例えば、i番目のスライス140iのベースレベルの量子ビットセット142iのシステム量子ビットワイヤ120上)。i番目のスライス140iの単一の回路ゲート112は、i番目のスライスの単一の回路レベル132で実行される。次いで、第1の中間レベル134Aの相互作用ゲート122が実行されて、
【数15】
を実装する。次いで、残りの中間レベル134は、スライス140iが、完全に発展
したレベル136に到達するまで、以前のスライス140(i-j)で初期化されたシステム量子ビットワイヤ120をわたるように順番に実行される。次いで、すべてのスライスが完全に実行されるまで、i+1番目のスライス140(i+1)についてプロセスが繰り返されてもよい。
【0048】
この手順は、次のスライスにおける再使用のために物理的量子ビットをリセットする前に、完全に発展したレベル136におけるシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビットについて所望の観測可能なものを測定することによって、任意の測定可能な量の時間発展状態へのアクセスを与える。中間時間で観測可能なものを測定するために、単純に、量子回路100の実行を中断し、所望の時間(例えば、所望の時間に対応する中間レベル134で)物理的量子ビットについての所望の観察可能なものの測定を行う。
IV.例示的なシステム動作
【0049】
図4は、量子回路を効率的な量子ビットの使用で実行するための量子コンピュータ30によって行われる様々なプロセス、手順、及び/又は動作を図示するフローチャートを提供する。ステップ/動作302で開始し、量子回路100が定義され、量子回路のスライス140が決定及び/又は定義される。例示的な実施形態では、量子回路100及び/又は量子回路のスライス140は、ユーザコンピューティングエンティティ10によって(例えば、自動的に(例えば、マシンユーザによって)、又はユーザインターフェースとユーザの相互作用を介して)、及び/又は量子コンピュータ30のコントローラ500によって定義されてもよい。例示的な実施形態では、量子回路100は、ユーザコンピューティングエンティティ10によって定義され、量子コンピュータ30のコントローラ500が量子回路100を受信し、量子回路のスライス140を定義するように提供されてもよい。例示的な実施形態では、量子回路100及び量子回路のスライス140は、ユーザコンピューティングエンティティ10によって定義され、量子コンピュータ30のコントローラ500が量子回路100を既に定義されたそのスライス140で受信するように提供される。例えば、ユーザコンピュータエンティティは、量子回路100に、定義された量子回路のスライス140を提供してもよい。次いで、コントローラ500は、量子回路100を定義されたそのスライス140と共に(例えば、通信インターフェース520を介して処理デバイス505で)受信してもよい。様々な実施形態では、量子回路100のn個のスライス140が定義される。
【0050】
ステップ/動作304では、第1のスライス140Aのシステム量子ビットワイヤに沿って発展する物理的量子ビットは、初期化される(例えば、第1のスライス140Aのベースレベルの量子ビットセット142Aのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展する物理的量子ビット)。例えば、第1のスライス140Aのベースレベル130が実行されてもよい。例えば、コントローラ500は(例えば、処理デバイス505、及び/又はドライバ構成要素515などを介して)、1つ以上の量子ビット管理システム550に、物理的量子ビットが第1のスライス140Aのベースレベルの量子ビットセット142Aのシステム量子ビットワイヤ120及び補助系ワイヤ110に初期化されるように、量子コンピュータ30の物理的量子ビット555を操作させてもよい。例えば、インデックスiは1で初期化され、i番目のスライスのベースレベル130が実行される。
【0051】
ステップ/動作306では、i番目のスライスの単一の回路レベル132が実行される。例えば、コントローラ500は(例えば、処理装置505、及び/又はドライバ構成要素515などを介して)、1つ以上の量子ビット管理システム550に、第iのスライスの単一の回路レベル132が実行されるように、量子コンピュータ30の物理的量子ビット555を操作させてもよい。例えば、単一のUVは、i番目のスライスの単一の回路レベル132にわたって、補助系ワイヤ110及びシステム量子ビットワイヤ120に沿
って発展している物理的量子ビットに適用されてもよい。例えば、単一の回路ゲート112は、補助系ワイヤ110に沿って発展している物理的量子ビット及びi番目のスライスのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展している物理的量子ビットに適用されてもよい。
【0052】
ステップ/動作308では、i番目のスライスのシステム量子ビットワイヤ120の時間発展を適用する回路が実行される。例えば、i番目のスライスの中間レベル134は、順番に実行される。例えば、i番目のスライスの完全に発展したレベル136が達成されるまで、第1の中間レベル134Aが実行され、次に第2の中間レベル134Bなどが実行されてもよい。様々な実施形態では、コントローラ500は(例えば、処理デバイス505、及び/又はドライバ構成要素515などを介して)、1つ以上の量子ビット管理システム550に、量子回路100の中間レベル134に従って相互作用ゲート122が実行されるように、量子コンピュータ30の物理的量子ビット555を操作させてもよい。
【0053】
ステップ/動作310では、i番目のスライスの完全に発展した量子ビットセット144iに対応する任意の所望の測定値が捕捉される。例えば、コントローラ500は(例えば、処理デバイス505、及び/又はドライバ構成要素515などを介して)1つ以上の量子ビット管理システム550に、i番目のスライスの完全に実行したレベル136に(例えば、システム量子ビット線120に沿って)発展した物理的量子ビット555の任意の所望の測定値が捕捉されるように、量子コンピュータ30の物理的量子ビット555を操作させてもよい。ステップ/動作310は、その必要はないが、ステップ308の完了後に開始されてもよく、例えば、中間回路レベル134で測定が行われ得るように、ステップ/動作308と同時に実装されてもよい。
【0054】
ステップ/動作312では、コントローラ500は(例えば、処理デバイス505などを介して)、インデックスiが、回路のスライス数nに等しいかどうかを判定してもよい。ステップ/動作312では、インデックスiがnに等しくないと判定されるときに、プロセスはステップ/動作314に続く。
【0055】
ステップ/動作314では、i番目のスライスの完全に実行されたレベルの量子ビットセット144iのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビットは、(i+1)番目のスライス140(i+1)のベースレベル130に初期化され得るようにリセットされる。例えば、コントローラ500は(例えば、処理デバイス505、及び/又はドライバ構成要素515などを介して)、1つ以上の量子ビット管理システム550に、i番目のスライスの完全に実行されたレベルの量子ビットセット144iのシステム量子ビットワイヤ120に沿って発展した物理的量子ビットが、(i+1)番目のスライスのベースレベルの量子ビットセット142(i+1)のシステム量子ビットワイヤに初期化され得るようにリセットされるように、量子コンピュータ30の物理的量子ビット555を操作させる。例えば、物理的量子ビットがシステム量子ビットワイヤ120に沿って完全に発展すると(例えば、完全に発展したレベル136に到達した)、物理的量子ビット555は、量子回路の後続のスライスで開始する別のシステム量子ビットワイヤに再初期化されてもよい。このようにして、量子回路100の実行内で物理的量子ビットを再使用して、量子回路を実行するために必要とされる物理的量子ビット555の総数を低減することができる。
【0056】
ステップ/動作316では、コントローラ500はインデックスiをインクリメントする。例えば、コントローラは(例えば、及び/又は処理デバイス505などを介して)、インデックスiを値i+1にインクリメントしてもよい。例えば、インデックスiをインクリメントして、次のスライスを実行してもよい。
【0057】
ステップ/動作312では、インデックスi=n(量子回路100のスライス数)がコントローラ500によって決定されると、プロセスはステップ/動作318に続く。ステップ/動作318では、量子回路100の実行は完了していると判定され、コントローラ500は、量子回路100の実行の結果を提供してもよい。例えば、コントローラ500(例えば、通信インターフェース520を介した処理デバイス505などによって)、量子回路100の実行中に捕捉された測定値を提供してもよい。例えば、コントローラ500は、ユーザコンピューティングエンティティ10が量子回路100の実行結果を受信するように、量子回路100の実行結果を提供してもよい。次いで、ユーザコンピューティングエンティティ10は、(例えば、量子回路などの実行結果を分析するために)結果を1つ以上のプロセスへの入力として使用すること、量子回路100の実行結果の少なくとも一部分を、(例えば、ディスプレイ416を介して)ユーザコンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して表示及び/又は提供すること、及び/又は量子回路100の実行結果の少なくとも一部分を、メモリ(例えば、メモリ422,424)に記憶することなどを行ってもよい。
V.技術的利点
【0058】
様々な実施形態は、比較的少数の潜在的にノイズが多い量子ビットを有する量子コンピュータを使用して、ローカルオペレータ(例えば、ローカルハミルトン)の影響下でのドメインのダイナミクスをシミュレートする技術的問題に対する技術的解決策を提供する。例えば、様々な実施形態は、量子ビットの量の使用により(例えば、1~500の量子ビット、10~100の量子ビット、及び/又は20~50の量子ビットなど)、非常に計算コストが高い、及び/又は古典的な計算手段の使用では手に負えない、ローカルオペレータ(例えば、ローカルハミルトン)の影響下での物理的ドメイン(例えば、遥かに大きい物理的ドメイン)のダイナミクスをシミュレートすることを可能にする。様々な実施形態では、量子回路をスライスに分割し、スライスを順番で実行することにより、様々な量子ビットトレースに沿った物理的量子ビットの再使用を可能にし、それによって計算を行う(例えば、量子回路を実行する)のに必要な物理的量子ビットの数を低減する。様々な実施形態は、1つによってシミュレートされるシステム及び/又はドメインの次元を効果的に低減する。例えば、長さLxの一次元システムを、例示的な実施形態では、物理的量子ビットの少数(長さLxとは独立した)のみを使用して、シミュレートされてもよい。別の実施例では、寸法Lx、Lyの二次元システム及び/又ドメインを、例示的な実施形態では、(2つの長さLx、Lyのより小さく/短くなるように選択され得る)LLyでスケーリングし、Lxから独立している量子ビットの数を使用して、シミュレートされてもよい。したがって、実施形態は、より少ない量子ビットを使用して複雑な計算を行うことを可能にすることによって、量子コンピュータの機能の改善を提供する。
VI.例示的なユーザコンピューティングエンティティ
【0059】
図5は、本発明の実施形態と共に使用することができる例示的なユーザコンピューティングエンティティ10の例示の概略図を提供する。様々な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ30に提供し、量子コンピュータ30からの出力を受信、閲覧することなどを可能にするように構成されている。
【0060】
図5に示されるように、ユーザコンピューティングエンティティ10は、アンテナ412と、(例えば、無線)送信機404と、(例えば、無線)受信機406と、送信機404に信号を提供し、受信機406から信号を受信する処理要素408と、をそれぞれ含むことができる。送信機404から提供される信号及び受信機406に提供される信号は、量子コンピュータ30のコントローラ500などのような様々なエンティティと通信す
るために、適用可能な無線システムのエアインターフェース標準に従って、シグナリング情報/データを含んでもよい。この点、ユーザコンピューティングエンティティ10は、1つ以上のエアインターフェース標準、通信プロトコル、変調タイプ、及びアクセスタイプで動作することが可能であってもよい。より具体的には、ユーザコンピューティングエンティティ10は、多数のワイヤレス通信標準及びプロトコルのうちのいずれかに従って動作してもよい。特定の実施形態では、ユーザコンピューティングデバイス10は、汎用パケット無線サービス(general packet radio service、GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、符号分割多元接続2000(Code Division Multiple Access 2000、CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access、WCDMA)、世界移動体通信システム(Global System for Mobile Communication、GSM)、GSM革新のための強化データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution、EDGE)、時分割-同期符号分割多元接続(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access、TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネット
ワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、E-UTRAN)、エボリューションデータオプティマイズド(Evolution-Data Optimized、EVDO)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(High-Speed Downlink Packet Access、HSDPA)、IEEE802.11
(Wi-Fi)、Wi-Fi Direct、802.16(WiMAX)、超広帯域(ultra-wideband、UWB)、赤外線(infrared、IR)プロトコル、近距離通信(near field communication、NFC)プロトコル、Wibree、Bluetoothプロトコル、ワイヤレスユニバーサルシリアルバス(wireless universal serial bus、USB)プロトコル、及び/又は任意の他のワイヤレスプロトコルなどの複数のワ
イヤレス通信標準及びプロトコルに従って動作してもよい。
【0061】
これらの通信標準及びプロトコルを介して、ユーザコンピューティングエンティティ10は、非構造付加サービス情報/データ(Unstructured Supplementary Service information/data、USSD)、ショートメッセージサービス(Short Message Service、SMS)、マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Messaging Service、MMS)、デュアルトーンマルチ周波数シグナリング(Dual-Tone Multi-Frequency Signaling、D
TMF)、及び/又は加入者識別モジュールダイヤラ(Subscriber Identity Module Dialer、SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々な他のエンティティと通信すること
ができる。ユーザコンピューティングエンティティ10はまた、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能な命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、及びオペレーティングシステムに、変更、アドオン、及び更新をダウンロードすることができる。
【0062】
一実施形態によれば、ユーザコンピューティングエンティティ10は、場所判定態様、デバイス、モジュール、機能、及び/又は本明細書で互換可能に使用される類似の単語を含んでもよい。例えば、ユーザコンピューティングエンティティ10は、例えば、緯度、経度、高度、地理コード、コース、方向、方位、速度、UTC、日付、及び/又は様々な他の情報/データを取得するように適合される場所モジュールなどの、屋外測位態様を含んでもよい。一実施形態では、場所モジュールは、ビューでの衛星の数及びそれらの衛星の相対位置を識別することによって、エフェメリスデータとして知られる場合があるデータを取得し得る。衛星は、LEO衛星システム、DOD衛星システム、欧州連合ガリレオ測位システム、中国コンパスナビゲーションシステム、インド領域ナビゲーション衛星システムなどを含む、様々な異なる衛星であり得る。代替的に、場所情報/データは、セルラータワー、Wi-Fiアクセスポイントなどを含む様々な他のシステムに関連して、ユーザコンピューティングエンティティ10の位置を三角測量することによって判定され
てもよい。同様に、ユーザコンピューティングエンティティ10は、例えば、緯度、経度、高度、地理コード、コース、方向、方位、速度、時間、日付、及び/又は様々な他の情報/データを取得するように適合される場所モジュールなどの、屋内測位態様を含んでもよい。屋内態様のいくつかは、RFIDタグ、屋内ビーコン若しくは伝送機、Wi-Fiアクセスポイント、セルラータワー、近くの計算デバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップ)などを含む、様々な位置又は場所技術を使用し得る。例えば、そのような技術は、アイビーコン、ジンバル近接ビーコン、BLE送信機、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)送信機などを含んでもよい。これらの屋内測位態様は、インチ又はセンチメートル以内の誰か又は何かの場所を判定するために様々な設定で使用され得る。
【0063】
ユーザコンピューティングエンティティ10はまた、1つ以上のユーザ入力/出力インターフェース(例えば、処理要素408に結合されたディスプレイ416及び/又はスピーカ/スピーカドライバ、並びに処理要素408に結合されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、及び/又はマイクロフォン)を備えるユーザインターフェースデバイスを備えてもよい。例えば、ユーザ出力インターフェースは、アプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、スクリーン、ウェブページ、ページ、及び/又は本明細書で互換可能に使用される類似の単語を提供するように構成されており、情報/データを表示又は可聴提示させるため、及び1つ以上のユーザ入力インターフェースを介して情報/データとユーザとの相互作用させるように、ユーザコンピューティングエンティティ10上で実行され、及び/又はユーザコンピューティングエンティティ10を介してアクセス可能であってもよい。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド418(ハード若しくはソフト)、タッチディスプレイ、音声/発話若しくは運動インターフェース、スキャナ、リーダ、又は他の入力デバイスなど、計算エンティティ10がデータを受信することを可能にする多数のデバイスのうちのいずれかを含み得る。キーパッド418を含む実施形態では、キーパッド418は、従来の数字(0~9)及び関連するキー(#、*)、並びにユーザコンピューティングエンティティ10を動作させるために使用される他のキーを含む(又はそれらを表示させる)ことができ、英字キーの完全なセット、又は英数字キーの完全なセットを提供するように起動され得るキーのセットを含んでもよい。入力を提供することに加えて、例えば、ユーザ入力インターフェースを使用して、スクリーンセーバ及び/若しくはスリープモードなどのある特定の機能を起動又は起動解除することができる。かかる入力により、ユーザコンピューティングエンティティ10は、情報/データ、ユーザとの相互作用/入力などを収集することができる。
【0064】
ユーザコンピューティングエンティティ10はまた、揮発性記憶域若しくはメモリ422、及び/又は不揮発性記憶域若しくはメモリ424を含むことができ、これらは、埋め込まれてもよいし、及び/又は取り外し可能であってもよい。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM,RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどであってもよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであってもよい。揮発性及び不揮発性記憶域又はメモリは、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、マシンコード、実行可能な命令などを記憶して、ユーザコンピューティングエンティティ10の機能を実装することができる。
【0065】
例示的な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10は、ユーザコンピューティングエンティティ10及び/又は量子コンピュータのコントローラ500と通信してもよい。
VII.例示的な量子コンピュータ
【0066】
図6に示すように、様々な実施形態では、量子コンピュータ30は、コントローラ30及び1つ以上の量子ビット管理システム550を含む。例えば、1つ以上の量子ビット管理システム550は、熱制御システム(例えば、低温冷却システム)、真空システム(例えば、圧力制御システム)、量子ビット閉じ込めシステム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、イオントラップに接続されたイオントラップ及び電圧源)、1つ以上のゲートシステム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、レーザ及び対応する光学系)、及び/又は測定システム(例えば、トラップされたイオン量子コンピュータの場合には、光学素子、光検出器などを含む)などを含んでもよい。コントローラ30は、量子コンピュータ30が計算、シミュレーション、及び/又はモデルの生成などを行うことを可能にする量子回路に従って、1つ以上の量子ビット管理システム550に、1つ以上の量子ビットを操作及び/又は発展させるように構成及び/又はプログラムされている。様々な実施形態では、量子ビット管理システム550は、量子コンピュータ30の1つ以上の物理的量子ビット555を制御、収容、操作、管理、及び/又はその制御された発展を行うように構成されている。
【0067】
様々な実施形態では、コントローラ500は、処理デバイス505、メモリ510、ドライバコントローラ要素t15、通信インターフェース520、アナログ-デジタル変換素子525などを含む様々なコントローラ要素を備えてもよい。例えば、処理デバイス505は、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、CPLD)、マ
イクロプロセッサ、共処理エンティティ、特定用途向け命令セットプロセッサ(application-specific instruction-set processor、ASIP)、集積回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブ
ルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、プログラマブル論理ア
レイ(programmable logic array、PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の処理デバイス及び/又は回路機構、及び/又はコントローラなどを備えてもよい。回路機構という用語は、ハードウェア全体の実施形態、又はハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせを指し得る。例示的な実施形態では、コントローラ500の処理デバイス505は、クロックを含み、及び/又はクロックと通信する。例えば、メモリ510は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、及び/又はレジスタメモリなどのうちの1つ以上のような、揮発性及び/又は不揮発性記憶域などの非一時的なメモリを備えてもよい。様々な実施形態では、メモリ510は、(例えば、量子ビット記録データ記憶、量子ビット記録データベース、量子ビット記録テーブルなどおける)量子コンピュータの量子ビットに対応する量子ビット記憶、較正テーブル、実行可能なキュー、及び/又は(例えば、1つ以上のコンピュータ言語、特殊コントローラ言語などにおける)コンピュータプログラムコードなどを記憶してもよい。例示的な実施形態では、(例えば、処理デバイス505によって)メモリ510に記憶されたコンピュータプログラムコードの少なくとも一部分を実行することにより、量子回路を受信し、(例えば、スライスごとに)量子回路を実行し、量子回路の実行結果を提供するために、コントローラ500に、本明細書に記載される1つ以上のステップ、動作、処理、及び/又は手順などを行わせる。
【0068】
様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素515は、1つ以上のドライバ及び/又は各々が1つ以上のドライバを制御するように構成されたコントローラ要素を含んでもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素515は、ドライバ及び/又はドライバコントローラを備えてもよい。例えば、ドライバコントローラは、コントローラ500によって(例えば、処理デバイス505によって)スケジューリング及び実行される、実行可能な命令、及び/又はコマンドなどに従って、1つ以上の対応するドライバが動作するように構成されてもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素515により、コントローラ500が量子回路100に従って、量子コンピュータの1つ以上の物理的量子ビット555を操作、管理、及び/又は発展させるために、1つ以上の量子ビット管理システム550を動作させることを可能にしてもよい。様々な実施形態では、ドライバは、レーザドライバ、真空構成要素ドライバ、物理的量子ビット555を維持、及び/又は制御、管理、及び/又は発展させるために使用される、DC、RF、及び/又は他の電極に印加される電流及び/又は電圧を制御するためのドライバ、低温及び/又は真空システム構成要素ドライバなどであってもよい。様々な実施形態では、コントローラ500は、カメラ、MEMカメラ、CCDカメラ、フォトダイオード、及び/又は光電子増倍管などのような1つ以上の光学受信機構成要素から信号を通信及び/又は受信するための手段を備える。例えば、コントローラ500は、1つ以上の光学受信機構成要素、及び/又は較正センサなどから信号を受信するように構成されている1つ以上のアナログ-デジタル変換機要素525を備えてもよい。様々な実施形態では、コントローラ500は、ユーザコンピューティングエンティティ10とインターフェース接続及び/又は通信するための通信インターフェース520を備えてもよい。例えば、コントローラ500は、実行可能な命令、及び/又はコマンドセットなどをユーザコンピューティングエンティティ10から受信し、量子コンピュータ30から(例えば、光学収集システムから)受信した出力及び/又は出力の処理結果をユーザコンピューティングエンティティ10に提供するための通信インターフェース520を備えてもよい。様々な実施形態では、ユーザコンピューティングエンティティ10及びコントローラ500は、直接有線及び/又は無線接続、及び/又は1つ以上の有線及び/又は無線ネットワークを介して通信してもよい。
【0069】
理解されるように、コントローラ500の構成要素のうちの1つ以上は、分散システムなどにおいて、他の監視システム500の構成要素から離れて配置されてもよい。更に、構成要素のうちの1つ以上が組み合わせられてもよく、本明細書に記載される機能を行う追加の構成要素が、コントローラ500に含まれてもよい。したがって、コントローラ500は、様々なニーズ及び状況に対応するように適合され得る。例えば、コントローラ30は、単一のコンピューティングエンティティとして記載されているが、例示的な実施形態では、分散システムであってもよく、及び/又は複数のコンピューティングエンティティを備えてもよい。例えば、1つの例示的な実施形態では、コントローラ500は、1つ以上の量子ビット管理システム550の動作を駆動及び/又は制御するように構成されているサーバ及びカスタム構築されたハードウェア構成要素を含んでもよい。
結論:
【0070】
本明細書に記載される本発明の多くの修正例及び他の実施形態は、前述の説明及び関連付けられた図面に提示される教示の利益を有する、本発明に関係がある当業者に着想されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正例及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。