(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151671
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】介護事業所用日報システムおよび介護事業所の運営支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20231005BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061416
(22)【出願日】2022-03-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】510303752
【氏名又は名称】web-web株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100224661
【弁理士】
【氏名又は名称】牧内 直征
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】長岡 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 健司
(72)【発明者】
【氏名】江口 弘恭
(72)【発明者】
【氏名】江口 公一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA10
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】介護事業所において、日々の業務を日報という形で記録することで、介護事業所における法令基準のチェックを容易にでき、また、運営上有用なデータを自動作成できる介護事業所用日報システムおよび介護事業所の運営支援方法を提供する。
【解決手段】介護事業所用日報システム1は、職員情報登録手段4と、事業所情報登録手段5と、利用者情報登録手段6と、日報データ入力受付手段7と、法令基準チェック手段8と、日報データ保存手段9とを備えてなり、日報データ入力受付手段7は、日報データとして、職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録を受け付け、法令基準チェック手段8は、日報データ入力受付手段7が受け付けた職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所で使用する介護事業所用日報システムであって、
前記介護事業所の管理者または職員が操作する電子情報端末と、前記電子情報端末上またはサーバ上で動作するアプリケーションとから構成され、
前記介護事業所の職員の資格属性を含む情報を職員マスタデータとして登録できる職員情報登録手段と、前記介護事業所を運営する事業所自体の情報を事業所マスタデータとして登録できる事業所情報登録手段と、前記介護事業所で介護サービスを受ける前記利用者の情報を利用者マスタデータとして登録できる利用者情報登録手段と、入力者である前記介護事業所の管理者または前記職員による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をする日報データ入力受付手段と、前記日報データ入力受付手段で入力された前記日報データの法令基準整合チェックを行う法令基準チェック手段と、前記日報データ入力受付手段で入力された前記日報データを保存する日報データ保存手段とを備えてなり、
前記職員情報登録手段、前記事業所情報登録手段、前記利用者情報登録手段、前記日報データ入力受付手段、前記法令基準チェック手段、および日報データ保存手段による動作は、前記アプリケーションを用いて実行され、
前記日報データ入力受付手段は、前記日報データとして、前記職員の出退勤記録および勤務した職種と、前記利用者の利用状況記録を受け付け、
前記法令基準チェック手段は、前記日報データ入力受付手段が受け付けた前記職員の出退勤記録および勤務した職種と、前記利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において前記入力者に対する警告を行うことを特徴とする介護事業所用日報システム。
【請求項2】
前記介護事業所が、通所介護事業所であることを特徴とする請求項1記載の介護事業所用日報システム。
【請求項3】
前記法令基準チェック手段は、前記日報データ入力受付手段が、前記職員の出退勤記録および勤務した職種と、前記利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における前記利用者の人数と、前記職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格および勤務した職種の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の介護事業所用日報システム。
【請求項4】
前記法令基準チェック手段は、前記入力者が前記日報データ入力受付手段へ各職員の出退勤記録および勤務した職種を入力する毎に前記人員基準に対する法令基準整合チェックを行い、法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において前記入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することを特徴とする請求項3記載の介護事業所用日報システム。
【請求項5】
利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所の運営を支援する介護事業所の運営支援方法であって、
前記運営支援方法は、前記介護事業所の管理者または職員が操作する電子情報端末と、前記電子情報端末上またはサーバ上で動作するアプリケーションとから構成され、前記介護事業所の職員の資格属性を含む情報を職員マスタデータとして登録できる職員情報登録手段と、前記介護事業所を運営する事業所自体の情報を事業所マスタデータとして登録できる事業所情報登録手段と、前記介護事業所で介護サービスを受ける前記利用者の情報を利用者マスタデータとして登録できる利用者情報登録手段と、入力者である前記介護事業所の管理者または職員による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をする日報データ入力受付手段と、前記日報データ入力受付手段で入力された前記日報データの法令基準整合チェックを行う法令基準チェック手段と、前記日報データ入力受付手段で入力された前記日報データを保存する日報データ保存手段とを備え、前記職員情報登録手段、前記事業所情報登録手段、前記利用者情報登録手段、前記日報データ入力受付手段、前記法令基準チェック手段、および日報データ保存手段による動作は、前記アプリケーションを用いて実行されるシステムを用いて実施され、
前記日報データ入力受付手段が、介護サービスの提供日よりも前に、前記事業所マスタデータ、前記職員マスタデータ、および前記利用者マスタデータそれぞれの登録情報から前記職員の情報と前記利用者の情報を受け付け、将来の日報へ予め転記する転記ステップと、
前記日報データ入力受付手段が前記入力者による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をすると、前記法令基準チェック手段が、前記日報データ入力受付手段が受け付けた前記職員の出退勤記録および勤務した職種と、前記利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックを行う法令基準チェックステップと、
前記法令基準チェックステップでの法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において前記入力者に対する警告を行う警告ステップと、
を有することを特徴とする介護事業所の運営支援方法。
【請求項6】
前記法令基準チェックステップにおいて、前記法令基準チェック手段は、前記日報データ入力受付手段が、前記職員の出退勤記録および勤務した職種と、前記利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における前記利用者の人数と、前記職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格および勤務した職種の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うとともに、前記入力者が前記日報データ入力受付手段へ各職員の出退勤記録を入力する毎に前記人員基準に対する法令基準整合チェックを行い、その結果が不整合である場合において前記入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することを特徴とする請求項5記載の介護事業所の運営支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護事業所の運営負担を軽減する介護事業所日報システムおよび介護事業所運営支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進み、介護事業所(訪問介護やデイサービス)などによる要介護者への介護が広く行われている。介護事業で行われる介護の種類には、要介護者の自宅へ介護者が訪問して介護する訪問介護、要介護者がデイサービスセンターなどの介護事業所に通って介護を受ける通所介護、要介護者が養護老人ホームなどの介護事業所へ入居して介護を受ける施設系介護がある。
【0003】
上記種々の介護の中でも通所介護は、要介護者が日帰りで様々なサービスを利用できるという特徴がある。通所介護は、利用者である要介護者にとって健康状態のチェック・食事・排泄・入浴といった生活に欠かせないサービスを受けられると同時に家族以外の人と交流を持つことができ、社会との繋がりを感じられる場である。また、普段介護を行っている家族の負担軽減を図ることができる。
【0004】
通所介護を事業として行う場合、介護保険法で定められている、人員・設備および運営に関する基準(指定3基準という)を満たす必要がある。例えば、人員基準の場合、通所介護を行う事業者は、社会福祉士、介護支援専門員などの資格を有する生活相談員、看護師や准看護師の資格を有する看護職員、理学療法士、作業療法士などの資格を有する機能訓練指導員、介護職員(国家試験である介護福祉士と無資格者が混在する)と、管理者とをそれぞれ1名以上配置する必要がある。なお、人員基準として、生活相談員(専ら通所介護の提供に当たる者に限る)はサービス提供時間を通じて1以上、看護職員は1以上、機能訓練指導員は1以上必要である。また、介護職員は通所介護を提供している時間数で除して得た数が利用者の数が15人までの場合にあっては1以上必要であり、15人を超える場合にあっては15人を超える部分の数を5で除して得た数に1を加えた数以上必要である(介護保険法 基準省令「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」のうちの「第2章の2地域密着型通所介護」および基準第37条による他の章からの準用規定から引用)。
【0005】
通所介護を行う事業所(通所介護事業所)は、利用者の定員によって大きく2分される。利用者定員が19人以上の場合、「通所介護事業所」に区分され、指定は都道府県が行う。また、利用者定員が18人以下の場合、「地域密着型通所介護」に区分され、指定権者は市区町村になる。
【0006】
地域密着型通所介護は、民家などの比較的小さな施設で行うことができ、利用者に合わせた細やかなケアを行いやすい。また、地域密着型通所介護の事業所では、人員基準を満たすための必要人員が少人数であるため、事業参入しやすく年々その数は増大している。
【0007】
ところで、介護事業所の職員は、要介護者に対して行ったサービス内容や時間、出退勤時間などを出勤日ごとに日報へ記録する。日報は、各介護事業所のそれぞれの書式で、紙への手書きにより記録される場合が多い。例えば、特許文献1には、介護者が介護内容を記録する介護記録紙および介護記録ノートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-219677号公報
【特許文献2】特開2003-132149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
日報の記録を手書きで行う場合、PCなどの電子情報端末で行う場合に比べて時間がかかりやすいうえ、記入ミスに気付きにくい。また、各種帳票が独立して存在することとなり、管理や加算が煩雑である。
【0010】
このため、手書きの日報(紙日報)の代わりに、電子情報による日報処理が提案されている。例えば、特許文献2には、ウェブサイト上で介護員の作業報告などを迅速に処理することが可能な介護サービス支援システムが記載されている。
【0011】
ここで、介護事業所の管理者は、介護保険法に基づいて、職員が記録した日報をまとめて、利用者毎にサービス終了後2年間の保管義務がある。また、管理者は、不定期に行われる実地指導・監査において指定基準違反の指摘を受けないよう、日報やその他の帳票に記入ミスなどがないか入念にチェックを行う必要がある。特に、人員基準のチェックは、必要人員の要件を満たしているか、日々の日報を漏れなくチェックする必要があるため負担が大きい。人員基準は「常勤換算」といった特殊な計算式により算出されていて、人員基準違反となった場合には、最悪の場合指定取消といった行政処分が科されることから慎重な事務作業が求められている。以上の事から所謂サービス終了後のアフターオフィスに相当の労力が必要であり、その事が介護事業所の介護職員不足を招いている遠因となっている。
【0012】
特許文献2記載のシステムは、作業報告の入力により日報記入時間の削減を行えるものの、管理者や職員に大きな負担がかかる指定3基準に対する適合チェックを行う機能は有していない。
【0013】
また、特許文献2のように複数の装置やインターネット環境が必須である複雑なシステムは一般的に高コストであるため、比較的資金力のある「通所介護事業所」では導入が進みやすいが、比較的資金力に乏しい「地域密着型通所介護」では導入が進みにくい。
【0014】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、介護事業所において、日々の業務を日報という形で記録することで、介護事業所における法令基準のチェックを容易にでき、また、運営上有用なデータを自動作成することができるシステムを提供することを目的とする。
【0015】
特に、地域密着型通所介護において、日々の業務を日報という形で記録することで、法令基準のうち特に人員基準のチェックを容易にし、かつ、運営上必要なデータを自動作成することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の介護事業所用日報システムは、利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所で使用する介護事業所用日報システムであって、上記介護事業所の管理者または職員が操作する電子情報端末と、上記電子情報端末上またはサーバ上で動作するアプリケーションとから構成され、上記介護事業所の職員の資格属性を含む情報を職員マスタデータとして登録できる職員情報登録手段と、利用定員・サービス提供時間・営業日・地域区分・事業所が使用している加算項目などの上記介護事業所を運営する事業所自体の情報を事業所マスタデータとして登録できる事業所情報登録手段と、上記介護事業所で介護サービスを受ける上記利用者の情報を利用者マスタデータとして登録できる利用者情報登録手段と、入力者である上記介護事業所の管理者または上記職員による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をする日報データ入力受付手段と、上記日報データ入力受付手段で入力された上記日報データの法令基準整合チェックを行う法令基準チェック手段と、上記日報データ入力受付手段で入力された上記日報データを保存する日報データ保存手段とを備えてなり、上記職員情報登録手段、上記事業所情報登録手段、上記利用者情報登録手段、上記日報データ入力受付手段、上記法令基準チェック手段、および日報データ保存手段による動作は、上記アプリケーションを用いて実行され、上記日報データ入力受付手段は、上記日報データとして、上記職員の出退勤記録および勤務した職種と、上記利用者の利用状況記録を受け付け、上記法令基準チェック手段は、上記日報データ入力受付手段が受け付けた上記職員の出退勤記録および勤務した職種と、上記利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において上記入力者に対する警告を行うことを特徴とする。
【0017】
上記介護事業所が、通所介護事業所(特に、地域密着型通所介護)であることを特徴とする。
【0018】
上記法令基準チェック手段は、上記日報データ入力受付手段が、上記職員の出退勤記録および勤務した職種と、上記利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における上記利用者の人数と、上記職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格およびその日勤務した職種の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うことを特徴とする。
【0019】
上記法令基準チェック手段は、上記入力者が上記日報データ入力受付手段へ各職員の出退勤記録および勤務した職種を入力する毎に上記人員基準に対する法令基準整合チェックを行い、その結果が不整合である場合において上記入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することを特徴とする。
【0020】
利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所の運営を支援する介護事業所の運営支援方法であって、上記運営支援方法は、上記介護事業所の管理者または職員が操作する電子情報端末と、上記電子情報端末上またはサーバ上で動作するアプリケーションとから構成され、上記介護事業所の職員の資格属性を含む情報を職員マスタデータとして登録できる職員情報登録手段と、上記介護事業所を運営する事業所自体の情報を事業所マスタデータとして登録できる事業所情報登録手段と、上記介護事業所で介護サービスを受ける上記利用者の情報を利用者マスタデータとして登録できる利用者情報登録手段と、入力者である上記介護事業所の管理者または職員による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をする日報データ入力受付手段と、上記日報データ入力受付手段で入力された上記日報データの法令基準整合チェックを行う法令基準チェック手段と、上記日報データ入力受付手段で入力された上記日報データを保存する日報データ保存手段とを備え、上記職員情報登録手段、上記事業所情報登録手段、上記利用者情報登録手段、上記日報データ入力受付手段、上記法令基準チェック手段、および日報データ保存手段による動作は、上記アプリケーションを用いて実行されるシステムを用いて実施され、上記日報データ入力受付手段が、介護サービスの提供日よりも前に、上記事業所マスタデータ、上記職員マスタデータ、および上記利用者マスタデータそれぞれの登録情報から上記職員の情報と上記利用者の情報を受け付け、将来の日報へ予め転記する転記ステップと、上記日報データ入力受付手段が上記入力者による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をすると、上記法令基準チェック手段が、上記日報データ入力受付手段が受け付けた上記職員の出退勤記録および勤務した職種と、上記利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックを行う法令基準チェックステップと、上記法令基準チェックステップでの法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において上記入力者に対する警告を行う警告ステップと、を有することを特徴とする。
【0021】
上記法令基準チェックステップにおいて、上記法令基準チェック手段は、上記日報データ入力受付手段が、上記職員の出退勤記録および勤務した職種と、上記利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における上記利用者の人数と、上記職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格および勤務した職種の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うとともに、上記入力者が上記日報データ入力受付手段へ各職員の出退勤記録を入力する毎に上記人員基準に対する法令基準整合チェックを行い、その結果が不整合である場合において上記入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の介護事業所用日報システムは、日報データ入力受付手段が、日報データとして、職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録を受け付け、法令基準チェック手段が、日報データ入力受付手段が受け付けた職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告を行うので、見つけることが難しい「うっかりミス」などの人為的ミスによる法令基準違反を未然に防ぐことができる。すなわち、介護事業所において、日々の業務を日報という形で記録することで、介護事業所における法令基準のチェックを容易にでき、また、運営上有用なデータを自動作成することができる。
【0023】
本発明の介護事業所用日報システムは、複数の装置やインターネット環境を必須としない比較的簡易なシステムであるので、通所介護事業所(特に、地域密着型通所介護)にも導入されやすい。
【0024】
法令基準チェック手段は、日報データ入力受付手段が、職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における利用者の人数と、職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格およびその日勤務した職種の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行う。これにより、日々の業務を日報という形で記録することで、法令基準のうちでも特にチェック負担が大きい人員基準のチェックを容易にできる。特に、地域密着型通所介護のような介護事業所では、日報の法令基準チェックを行う人員数も十分でない場合が多いため、本発明の介護事業所用日報システムにより人員基準のチェックが容易にできることで、人員基準のチェック負担が大幅に軽減される。
【0025】
法令基準チェック手段は、入力者が日報データ入力受付手段へ各職員の出退勤記録および勤務した職種入力する毎に人員基準に対する法令基準整合チェックを行うので、即時的にエラーの確認ができる。これにより、入力者にとって問題点がわかりやすく、人為的ミスをより防ぐことができる。また、法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告として、整合していない理由を表示し、運営上必要なデータを自動作成することができる。
【0026】
本発明の介護事業所の運営支援方法は、日報データ入力受付手段が、介護サービスの提供日よりも前に、事業所マスタデータ、職員マスタデータおよび利用者マスタデータそれぞれの登録情報から職員の情報と利用者の情報を受け付け、将来の日報へ予め転記する転記ステップと、日報データ入力受付手段が入力者による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をすると、法令基準チェック手段が、日報データ入力受付手段が受け付けた職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックを行う法令基準チェックステップと、法令基準チェックステップでの法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告を行う警告ステップと、を有するので、入力者が日々の日報への入力の手間が軽減されるとともに人為的ミスが起こりにくい。その結果、介護事業所における法令基準のチェックを容易にできる。また、本発明の介護事業所の運営支援方法は、6年に1度の監査や意図しない不正請求の調査のときの過去データの振り返りチェックも、紙日報の場合と比較して容易である。日報やその他の帳票における記入ミスがあると事業者が意図しない不正請求認定を受けたり、監査・実地指導となったりして、役所側(国の機関、役所など)の業務増大にも繋がるため、ミスの低減は役所側の負担軽減にも寄与すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の介護事業所用日報システムの概要図である。
【
図2】アプリがサーバ上で動作する場合のシステムの概要図である。
【
図7】利用者マスタデータの登録画面の一例である。
【
図8】日報の入力・閲覧画面(利用者)の一例である。
【
図9】日報の入力・閲覧画面(職員、警告なし)の一例である。
【
図10】日報の入力・閲覧画面(職員、警告あり)の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の介護事業所用日報システムを詳細に説明する。本発明の介護事業所用日報システムの構成の一例を
図1に基づいて説明する。
図1は、介護事業所用日報システムの概要図である。本発明の介護事業所用日報システム1は、利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所で使用するシステムである。
図1に示すように、介護事業所用日報システム1は、介護事業所の管理者または職員が操作する電子情報端末2と、電子情報端末2の上で動作するアプリケーション3(本発明では「アプリケーション」を単に「アプリ」ともいう)とから構成される。なお、後述するように、アプリ3は、電子情報端末2と通信ネットワーク11を介してそれぞれ相互に接続されたサーバ10の上で動作してもよい(
図2参照)。
【0029】
介護事業所用日報システム1は、介護事業所の職員の資格属性を含む情報を職員マスタデータとして登録できる職員情報登録手段4と、介護事業所を運営する事業所自体の情報を事業所マスタデータとして登録できる事業所情報登録手段5と、介護事業所で介護サービスを受ける利用者の情報を利用者マスタデータとして登録できる利用者情報登録手段6とを有する。
【0030】
介護事業所用日報システム1は、さらに、入力者である介護事業所の管理者または職員による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をする日報データ入力受付手段7と、日報データ入力受付手段7で入力された日報データの法令基準整合チェックを行う法令基準チェック手段8と、日報データ入力受付手段7で入力された日報データを保存する日報データ保存手段9とを備えてなる。
【0031】
介護事業所用日報システム1において、職員情報登録手段4、事業所情報登録手段5、利用者情報登録手段6、日報データ入力受付手段7、法令基準チェック手段8、および日報データ保存手段9は、電子情報端末2に設けられている。これらの手段による動作は、アプリ3を用いて実行される。
【0032】
アプリ3としては、例えば、電子情報端末2の上で動作する表計算ソフト、サーバ上で動作する表計算ソフトなどが使用できる。なお、アプリ3は表計算ソフトに限られない。
【0033】
電子情報端末2としては、特に限定されず、介護事業所に配置されたPC、タブレット端末、専用端末などの他、携帯可能なスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ノートPCなどが挙げられる。
【0034】
図2を用いて、アプリがサーバの上で動作する場合について説明する。
図2は、アプリがサーバ上で動作する場合のシステムの概要図である。
図2に示すように、介護事業所用日報システム1aにおいて、サーバ10は、電子情報端末2aと、通信ネットワーク11を介してそれぞれ相互に接続されている。
図2において、職員情報登録手段4a、事業所情報登録手段5a、利用者情報登録手段6a、日報データ入力受付手段7a、法令基準チェック手段8a、および日報データ保存手段9aは、サーバ10に設けられている。これらの手段による動作は、利用者が電子情報端末2aの画面上で入力などの操作を行うと、サーバ10の上のアプリ3aによって実行され、実行された動作の結果が電子情報端末2aの画面上に表示される。
【0035】
再度、
図1を用いて介護事業所用日報システム1を説明する。日報データ入力受付手段7は、日報データとして、各職員の出退勤時間や休憩時間などの出退勤記録および勤務した職種と、利用者が受けた介護サービスの詳細などの利用状況記録を受け付ける。法令基準チェック手段8は、日報データ入力受付手段7が受け付けた職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録に基づいて法令基準整合チェックを行う。ここで、法令基準整合チェックは、日々の日報の記載内容を法令基準と照らし合わせて、指定3基準を満たしているか判断を行うことを意味する。チェックの結果が不整合である場合に、入力者に対してエラーメッセージなどの警告が行われる。
【0036】
なお、法令基準を満たさない場合に記入者に対して行われる警告としては、データ入力画面への表示でもよいし、警告音でもよいし、記入者が所有する端末へのメールなどのメッセージ通知であってもよい。
【0037】
介護事業所用日報システムは、上記構成により、紙日報の場合に要していた日報記入時間を削減できる。また、紙日報の場合に特に見つけることが難しい人為的ミスなどによる法令基準違反を未然に防ぐことができるので、人間が法令基準違反をチェックする場合に要する多くの時間も削減できる。その結果、介護事業所の業務が効率化され、介護事業所の運営負担が軽減される。
【0038】
本発明の介護事業所用日報システムは、複数の装置やインターネット環境を必須としない比較的簡易なシステムである。本システムの運用には、常時インターネットへ接続された環境は必要ではないが、メールやインターネット経由で新ファイルをweb-web株式会社から入手する必要がある。通常使用するPCとは異なるPCで入手して、USBメモリでファイル移動させて使用することもできる。クラウド上に配置したファイルをインターネット接続して使用するオンライン方式と、PCのデスクトップ上にファイルを配置して使用するオフライン方式のいずれの方式でも運用できる。そのため、大規模システムの導入を必要としない。紙日報での運用が行われている通所介護事業所に特に適する。
【0039】
入力者が電子情報端末2を用いて日報データを入力することにより、日報データ入力受付手段7は、職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録を受け付ける。法令基準チェック手段8は、その当日における利用者の人数と、職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格および勤務した職種の情報から、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うことが好ましい。ここで、人員基準に対する法令基準整合チェックは、その当日の日報上の人員数、資格者の有無、職員が勤務した職種、必要人員の勤務時間などを人員基準に照らし合わせて基準を満たしているか判断を行うことを意味する。
【0040】
人員基準を満たさず日報上へ警告表示される場合、表示内容としては、例えば、日報上のエラー表示でもよいし、利用者人数によって変動する介護職員必要人数でもよいし、常時在所が必要な生活相談員でもよい。なお、生活相談員は、サービス提供時間中に常時事業所にいればよく、午前と午後で別の者が担当するなどしてもよい。
【0041】
その結果、チェック負担が大きい人員基準のチェックを容易にできる。特に、地域密着型通所介護のような介護事業所では、日報の法令基準チェックを行う人員数も十分でない場合が多いため、本発明の介護事業所用日報システムにより人員基準のチェックが容易にできることで、人員基準のチェック負担が大幅に軽減される。
【0042】
法令基準チェック手段8は、入力者が日報データ入力受付手段7へ各職員一人ひとりの出退勤記録および勤務した職種を入力する毎(例えば、職員名、出勤時間、退勤時間、休憩時間、職種などをそれぞれ入力する毎)に自動計算を行い、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うことが好ましい。これにより、日報へ記載される職員全員分の日報データ入力後に法令基準整合チェックが行われる場合に比べ、即時的にエラーの確認ができる。その結果、入力者にとって問題点がわかりやすく、人為的ミスをより防ぐことができる。また、法令基準チェック手段8は、法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することが好ましい。これにより、人員基準のチェックがさらに容易となり、かつ、運営上必要なデータを自動作成することができる。
【0043】
本発明の介護事業所用日報システムは、以下に示す種々の機能を有する。本発明の介護事業所用日報システムは、例えば、日々の業務内容と、利用者の情報を日報という形で記録するだけで、各種帳票を自動で作成できる。帳票としては、例えば、介護報酬の予定と実績の表、勤務予定表、出勤簿、ヒヤリハット、利用者の利用予定表、利用者の利用データをまとめた利用者別月集計などである。これらを自動で作成でき、リアルタイムで閲覧、出力、印刷ができる。なお、本発明の介護事業所用日報システムは、以下の機能を有していなくてもよい。
【0044】
月ごとの利用者別集計にバイタルなどの日報に入力した情報は全て利用者別に分け、人別に一覧で見ることができる。利用者の家族からバイタル情報を求められた場合、印刷して渡すことができる。バイタル情報が記載された利用者別集計は、病院への情報提供や、投薬・服薬の判断の目安として利用できる。
【0045】
本発明の介護事業所用日報システムは、利用者の情報をもとに、介護報酬表に当月の介護報酬の予定を表示できる。実績(例えば、日報入力データなど)から介護報酬実績も表示され、介護事業所の稼働率(例えば、利用人数での稼働率や、利用時間での稼働率など)や、予定と実績の差異(先月・先々月・昨年同月比)などを、数値やグラフとして表示できる。その他にも介護報酬表には食事代・利用者人数・累計報酬額・利用人数差異なども表示できる。
【0046】
本発明の介護事業所用日報システムは、利用者の一か月の利用予定表を作成でき、いつ誰が利用するか・何名の利用があるかが一目で認識できる。利用予定表を印刷して貼り出し、送迎ルートの打合せや食事準備・レクリエーションの計画立案などに用いることができる。
【0047】
本発明の介護事業所用日報システムは、出勤簿機能により、日報情報から各職員の出勤日数・勤務時間・どの日にどの職種で勤務したかを確認できる。また、出勤簿には、介護職員のうち介護福祉士が占める割合(%)が表示される。この割合は加算に関係しており、サービス提供体制強化加算イ・ロのうち、イが50%以上、ロが40%である。基準の割合を下回ると不正請求となるため、正確な計算が必須である。
【0048】
次に、本発明の介護事業所用日報システムを用いた介護事業所の運営支援方法について
図1を用いて説明する。介護事業所用日報システムについて上述した構成については説明を省略する。
【0049】
本発明の介護事業所の運営支援方法は、利用者である要介護者に対する介護サービスを提供する介護事業所の運営を支援する運営支援方法である。この運営支援方法は、後述する転記ステップと、法令基準チェックステップと、警告ステップとを有する。
【0050】
転記ステップは、日報データ入力受付手段7が、介護サービスの提供日よりも前に、職員マスタデータおよび利用者マスタデータそれぞれの登録情報から職員の情報と利用者の情報を受け付け、将来の日報へ予め転記するステップである。
【0051】
法令基準チェックステップは、日報データ入力受付手段7が入力者による介護サービスの提供日毎の日報データの入力受付をすると、法令基準チェック手段8が、日報データ入力受付手段7が受け付けた職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録に基づいた法令基準整合チェックを行うステップである。
【0052】
警告ステップは、法令基準チェックステップでの法令基準整合チェックの結果が不整合である場合において入力者に対する警告を行うステップである。
【0053】
法令基準チェックステップにおいて、法令基準チェック手段8は、日報データ入力受付手段7が、職員の出退勤記録および勤務した職種と、利用者の利用状況記録を受け付けるその当日における利用者の人数と、職員マスタデータの資格情報を参照して、出勤した職員とその資格の情報とから、人員基準に対する法令基準整合チェックを行うことが好ましい。
【0054】
さらに、法令基準チェック手段8は、入力者が日報データ入力受付手段7へ各職員の出退勤記録および勤務した職種を入力する毎に人員基準に対する法令基準整合チェックを行い、その結果が不整合である場合において入力者に対する警告として、整合していない理由を表示することが好ましい。
【0055】
次に、
図3~
図10を用いて、本発明のシステムの使用方法の一例について説明する。なお、これらの図に記載した名前はすべて仮名である。
【0056】
図3は、
図1に示した構成のPCにおけるシステム立ち上げ時のメニュー画面の一例である。
図3に示すように、メニュー画面には、システム立ち上げ時の日にちの情報とともに、種々のボタンが表示される。データの入力者は、これらのうち特に「入力・閲覧モード」、「セットモード」、「管理モード」を日常的に利用する。
【0057】
上記3つのモードについて概説する。「入力・閲覧モード」では、日々の日報の入力または閲覧などをすることができる。
【0058】
「セットモード」は、主に月初および月末に用いられ、利用者の一か月分の予定表の作成を行うことができる。「セットモード」では、例えば、利用者の基本情報一覧である利用者マスタ、利用者の予定表などを閲覧できる。
【0059】
「管理モード」では、主に経営に関する情報の入力や閲覧に用いられる。「管理モード」では、例えば、事業所自体の情報(事業所の基本情報)の一覧である事業所マスタ、および職員の基本情報一覧である職員マスタを閲覧できる。事業所マスタおよび職員マスタは、例えば、管理者マスターボタンから閲覧できる。また、「管理モード」では、職員勤務予定表、出勤簿、介護報酬表、月ごとの利用者別集計、ヒヤリハットなどの運営情報も閲覧できる。なお、セットモードおよび管理モードについては、介護事業所の一般職員を除外した幹部職員や経営者などの管理者のみが操作できるように、クリック時にパスワード入力などを要求するように設定できる。
【0060】
図4を用いて、職員情報登録手段について説明する。
図4は、職員情報登録手段への情報入力を行うための職員マスタデータの登録画面の一例である。職員マスタデータの登録画面は、例えば、「管理モード」から開くことができる。
図4に示すように、入力者は、職員マスタデータとして、各職員の氏名、保有資格(例えば、介護福祉士、看護師など)、勤続年数、常勤か非常勤の区別、一週間の勤務予定などの情報を入力できる。
図4下部は、事業所情報登録手段への情報入力を行うための事業所マスタデータの登録画面の一例である。なお、
図4下部において、「事業所基本情報」の欄が事業所マスタデータの登録画面である。事業所マスタデータの登録画面は、例えば、「管理モード」から開くことができる。
図4下部に示すように、入力者は、管理者マスタの中の事業所マスタデータとして、単位登録を除いて、事業所の管理者氏名、利用者定員、事業所休業日、常勤職員が勤務すべき時間数(週当たり)、常勤職員勤務日数(週当たり)、サービス提供時間および業務時間(開始時刻と終了時刻)、地域区分などの情報を入力できる。
【0061】
また、「管理モード」からは、加算データの登録画面も開くことができる。ここで、加算とは、介護サービスの内容によって介護報酬に増額される料金を計算するために用いられる点数であり、利用者への請求額にかかわるため、正確な計算が求められる。
【0062】
図5を用いて加算データの登録画面について説明する。
図5は、加算データの登録画面の一例である。なお、加算データは、事業所マスタデータに含まれる。
図5に示すように、入力者は、加算データとして、(介護)体制・処遇加算の各類別の有無、(独自)体制・処遇加算の各類別の有無、当事業所で使用する加算各種、当事業所で使用する加算(独自)各種などを入力できる。なお、加算データの登録画面は、職員マスタデータの登録画面と同じ画面に表示してもよい。
【0063】
図6を用いて、登録された職員マスタデータに基づいて作成される職員の勤務予定表について説明する。
図6は、勤務予定表の表示画面の一例である。勤務予定表の表示画面は、例えば、「管理モード」から開くことができる。勤務予定表は、月初に使用される。
図6に示すように、入力者は、まず「マスターからセット」ボタンをクリックする。その結果、職員マスタデータの入力内容に基づいて一か月分の勤務予定が自動的に入力される。次に、入力者は、その月の研修・出張・有給などがある場合はこの表に入力する。各セルをクリックするとプルダウンが表示され、「有給」、「出勤」、「休」、「出張」、「研修」、「忌引」、「欠勤」、「その他」などを選択できる。これにより、職員マスタに登録されている基本の勤務状況と異なる場合(休みや研修などで勤務が変更になる場合)に、予め分かっている休みや研修などを入力して変更できる。その後、入力者は、「日報へセット」ボタンをクリックする。その結果、変更した勤務予定が、各日の日報上に自動で反映され、勤務予定の職員の名前がリストアップされる。
【0064】
勤務予定表では、各日のセルの上にカーソルを配置したり、選択したりした場合、その日が法令基準を満たしていないと、音や表示などによる警告を発することもできる。また、各日のセルをダブルクリックするなどして、その日の日報へ直接移動できることとしてもよい。
【0065】
図7を用いて、利用者情報登録手段について説明する。
図7は、利用者情報登録手段への情報入力を行うための利用者マスタデータの登録画面の一例である。利用者マスタデータの登録画面は、例えば、「セットモード」から開くことができる。
図7に示すように、入力者は、利用者マスタデータとして、各利用者の氏名、介護度、週間予定(通所の有無、入浴の有無など)、利用時間、送迎の要否、同一建物減算の有無、独自サービスが月割か日割か、などを入力できる。
【0066】
登録された利用者マスタデータに基づいて作成される利用者の予定表について説明する(図示省略)。利用者の予定表の作成・表示画面は、例えば、「セットモード」から開くことができる。利用者の予定表を作成する際、入力者は、予定表のマスタを開き、まず「マスターをセット」ボタンをクリックする。その結果、利用者マスタデータの入力内容に基づいて一か月分の利用者の予定が自動的に入力される。次に、入力者は、必要あれば適宜修正を行い、「日報へセット」ボタンをクリックする。その結果、各日の日報上に自動で反映され、利用者の名前がリストアップされる。
【0067】
図8~
図10を用いて、日報の入力・閲覧について説明する。
図8は、日報の入力・閲覧画面の一例における、利用者の欄の部分である。日報の入力・閲覧画面は、「入力・閲覧モード」から開くことができる。
図8に示すように、入力者は、その日の利用者に関する日報データとして、各利用者の氏名、到着時間(送迎ある場合)、検温、血圧、脈、SpO
2、排便、排尿、その他、追加加算、主食、副食、水分、おやつ、入浴有無、入浴順、活動内容、記入者名などの情報を入力できる
【0068】
図9および
図10は、日報の入力・閲覧画面の一例における、職員の欄の部分である。
図9および
図10に示すように、この欄において、入力者は、出退勤記録(出勤、退勤、休憩の時間)、職員がその日勤務した職種、職員間で共有すべき連絡事項、記入者名などの情報を入力できる。なお、職種は固定ではなく、運転手の代行や、勤務状況により、日によって生活相談員や介護職員を交代するなどの場合がある。
【0069】
入力者が入力した内容が法令基準を満たさない場合、入力を確定し自動的に計算がなされると即時的に「注意メッセージ」欄に警告表示がなされる。日々注意すべき法令基準は、特に人員基準であるため、「注意メッセージ」欄は、「人員基準 注意メッセージ」欄とすることが好ましい。例えば、人員基準として、サービス提供時間中に生活相談員1人以上が継続して勤務していること、を満たさない場合に警告表示されるように設定している場合、上記条件を満たしていると、「人員基準 注意メッセージ」欄に警告表示は表示されない(
図9)。一方、生活相談員の勤務時間が所定の条件を満たしていないと、「生活相談員が時間を満たしていません」とのエラーメッセージが表示される(
図10)。また、生活相談員が1日に一人もいない場合は、「生活相談員が居ません」とのエラーメッセージが表示される(図示省略)。なお、「人員基準 注意メッセージ」欄には、利用者数に基づいて自動計算されたその日の必要介護職員数も表示される。
【0070】
職員の欄では、入力内容に不整合がある場合に注意喚起する「入力エラーメッセージ」欄も設けられている。当該欄では、例えば、職員氏名が3名以上入力されている場合に「同名が3行以上入力されました」と表示したり、同じ職員氏名で勤務時間が重複している場合に「○○さんの時間が不正です(重なり)」と表示したりすることができる。なお、法令基準を満たさない場合の警告や入力内容に不整合がある場合の注意喚起は、上記に限らず、入力者が気付きやすい場所に気付きやすい表示で行うことができる。
【0071】
上述のように、法令基準違反や入力内容の不整合に対して、日報へ入力すると即時的に警告が発せられることで、人為的ミスの防止効果に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の介護事業所用日報システムおよび介護事業所の運営支援方法は、介護事業所において、日々の業務を日報という形で記録することで、介護事業所における法令基準のチェックを容易にできる。また、運営上有用なデータを自動作成できることにより介護事業所の運営負担を軽減でき、介護事業所の運営に広く利用できる。
【符号の説明】
【0073】
1、1a 介護事業所用日報システム
2、2a 電子情報端末
3、3a アプリ
4、4a 職員情報登録手段
5、5a 事業所情報登録手段
6、6a 利用者情報登録手段
7、7a 日報データ入力受付手段
8、8a 法令基準チェック手段
9、9a 日報データ保存手段
10 サーバ
11 通信ネットワーク