特開 2023-151678 長尺フィルムの製造方法、長尺フィルムの検査方法、及び検査マーキング装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023151678

(43)【公開日】2023-10-16

(54)【発明の名称】長尺フィルムの製造方法、長尺フィルムの検査方法、及び検査マーキング装置

(51)【国際特許分類】

   B65H 26/02 20060101AFI20231005BHJP

【ＦＩ】

B65H26/02

【審査請求】未請求

【請求項の数】11

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022061426

(22)【出願日】2022-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】000108410

【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100113424

【弁理士】

【氏名又は名称】野口 信博

(74)【代理人】

【識別番号】100185845

【弁理士】

【氏名又は名称】穂谷野 聡

(72)【発明者】

【氏名】星 和樹

(72)【発明者】

【氏名】吉田 竜也

(72)【発明者】

【氏名】松本 崇裕

【テーマコード（参考）】

3F105

【Ｆターム（参考）】

3F105AA04

3F105BA37

3F105DA25

3F105DA61

(57)【要約】

【課題】接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができる長尺フィルムの製造方法、長尺フィルムの検査方法、及び検査マーキング装置を提供する。
【解決手段】
検査マーキング装置１０は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送部としての巻き出し機構１１及び巻き取り機構１５と、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検知部としての検出センサ１２と、搬送された長尺フィルムの各個片を検査する検査部としての検査カメラと、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与部としてのレーザーマーカー１４と、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、付与部に識別マークを付与させる制御部とを備える。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する作製工程と、
前記長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、
前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、
前記各個片の位置情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、
前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程と
を有する長尺フィルムの製造方法。

【請求項2】

前記検知工程では、前記付与工程における各個片の付与位置を前記位置情報に記録し、
前記付与工程では、前記各個片の付与位置に基づいて、前記識別マークを付与する請求項１記載の長尺フィルムの製造方法。

【請求項3】

前記検知工程では、前記検査工程における各個片の検査位置を前記位置情報に記録し、
前記検査工程では、前記各個片の検査位置に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査する請求項１又は２記載の長尺フィルムの製造方法。

【請求項4】

前記付与工程では、前記長尺フィルムの搬送速度に基づいて、前記識別マークの付与タイミングを制御する請求項１乃至３のいずれか１項に記載の長尺フィルムの製造方法。

【請求項5】

前記付与工程では、レーザーマーカーにより前記識別マークを付与する請求項１乃至４のいずれか１項に記載の長尺フィルムの製造方法。

【請求項6】

基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、
前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、
前記各個片の位置情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、
前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程と
を有する長尺フィルムの検査方法。

【請求項7】

基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送部と、
前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検知部と、
前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査する検査部と、
前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与部と、
前記検知部から前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、前記各個片の位置情報に基づいて、前記検査部から各個片の検査情報を取得し、前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記付与部に前記識別マークを付与させる制御部と
を備える検査マーキング装置。

【請求項8】

前記制御部が、前記各個片の検知位置と共に、前記付与部における各個片の付与位置を前記位置情報に記録し、
前記付与部が、前記各個片の付与位置に基づいて、前記識別マークを付与する請求項７記載の検査マーキング装置。

【請求項9】

前記制御部が、前記各個片の検知位置と共に、前記検査部における各個片の検査位置を前記位置情報に記録し、
前記検査部が、前記各個片の検査位置に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査する請求項７又は８記載の検査マーキング装置。

【請求項10】

前記制御部が、前記長尺フィルムの搬送速度に基づいて、前記付与部における前記識別マークの付与タイミングを制御する請求項７乃至９のいずれか１項に記載の検査マーキング装置。

【請求項11】

前記付与部が、レーザーマーカーにより前記識別マークを付与する請求項７乃至１０のいずれか１項に記載の検査マーキング装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本技術は、基材フィルムの長手方向に個片が配置された長尺フィルムの製造方法、長尺フィルムの検査方法、及び検査マーキング装置に関する。

【背景技術】

【0002】

近年、異方性導電フィルム（ＡＣＦ：Anisotropic Conductive Film）、導電性フィルム、接着剤フィルム（ＮＣＦ：Non Conductive Film）などの接着フィルムを、例えば任意形状の個片に打ち抜き、基材フィルムの長手方向に個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取り、出荷している（例えば、特許文献１参照。）。

【0003】

しかしながら、例えば打ち抜き時に、破片の残存、破片の個片への転着、個片の捲れなどが発生することがあるため、長尺フィルムの各個片から不良個片を検査し、識別する必要がある。

【0004】

長尺フィルムの各個片を連続的に搬送しながら外観検査し、不良個片が検出された場合、その個片を剥がして除去することも考えられるが、走行させたまま基材フィルムから個片を剥がすのは困難であるため、走行を一時停止することになる。不良個片が多くなると、その度に走行を停止することになってしまうため、生産性が急激に悪化することになる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０２０－１９８４２２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができる長尺フィルムの製造方法、長尺フィルムの検査方法、及び検査マーキング装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本技術に係る長尺フィルムの製造方法は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する作製工程と、前記長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、前記各個片の位置情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程とを有する。

【0008】

本技術に係る長尺フィルムの検査方法は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、前記各個片の位置情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程とを有する。

【0009】

本技術に係る検査マーキング装置は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送部と、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検知部と、前記搬送された長尺フィルムの各個片を検査する検査部と、前記搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与部と、前記検知部から前記長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、前記各個片の位置情報に基づいて、前記検査部から各個片の検査情報を取得し、前記各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、前記付与部に前記識別マークを付与させる制御部とを備える。

【発明の効果】

【0010】

本技術によれば、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができる。また、個片の使用時には、識別マークを画像認識することにより不良個片を避けることができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】図１は、本実施の形態における長尺フィルムの一部の一例を示す図である。

【図2】図２は、検査マーキング装置の構成例を示す図である。

【図3】図３は、検出センサの動作を説明するための図であり、図３（Ａ）は、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検出センサを示し、図３（Ｂ）は、検出センサにて検知された個片の検知信号を示す。

【図4】図４は、検出センサの検知タイミングを説明するための図である。

【図5】図５は、検査判定におけるＮＧ信号及びＯＫ信号を説明するための図である。

【図6】図６は、レーザーマーカーによる識別マークの付与例である。

【図7】図７は、長尺フィルムの供給モータ又は回収モータの加速減速波形例を示す図である。

【図8】図８は、長尺フィルムの検査方法を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
１．検査マーキング装置
２．長尺フィルムの製造方法

【0013】

＜１．検査マーキング装置＞
本実施の形態に係る検査マーキング装置は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送部と、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検知部と、搬送された長尺フィルムの各個片を検査する検査部と、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与部と、検知部から長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、各個片の位置情報に基づいて、検査部から各個片の検査情報を取得し、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、付与部に識別マークを付与させる制御部とを備える。これにより、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができ、また、個片の使用時には、識別マークを画像認識することにより不良個片を避けることができる。

【0014】

ここで、識別マークは、不良個片が識別可能であれば、印字位置が限定されるものではなく、例えば、長尺フィルムの幅方向の端部に基材フィルムの領域を設けている場合、不良個片の端部の基材フィルムのみに印字してもよく、不良個片のみに印字してもよく、不良個片及び不良個片周辺の基材フィルムの両方に印字してもよい。不良個片の周辺の基材フィルムへの印字は、不良個片間の搬送方向の少なくとも一方（不良個片の搬送方向の一方の側）、基材フィルムの幅方向の端部、もしくはそれらに跨る（不良個片の基材フィルム端部側から不良個片の搬送方向にかけて斜線になるなど）、といった印字でもよい。不良個片の識別をどの位置にするかは、個片フィルムの取り扱い方法、具体的には部材へ貼着し、基材フィルムから剥離する工程やそれを行う設備に応じて、設定すればよい。このようにすれば、設備の構成の変更や改造といった時間的経済的コストの削減に寄与できることになる。また、例えば、長尺フィルム幅方向の端部に基材フィルムの領域を設けている場合、正常個片の端部の基材フィルムのみに印字するようにしてもよく、使用時において不良個片の前の個片の端部の基材フィルムに印字するようにしてもよい。

【0015】

また、制御部は、各個片の検知位置と共に、付与部における各個片の付与位置を位置情報に記録し、付与部は、各個片の付与位置に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。これにより、印字トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても識別マークの位置を安定化させることができる。

【0016】

また、制御部は、各個片の検知位置と共に、検査部における各個片の検査位置を位置情報に記録し、検査部は、各個片の検査位置に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。これにより、撮像トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても個片の検査位置を安定化させることができる。

【0017】

また、制御部は、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、付与部における識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。これにより、例えば、加速時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。

【0018】

また、付与部は、レーザーマーカー、インクジェット、パンチングなどを用いることができ、これらの中でも、レーザーマーカーにより識別マークを付与することが好ましい。例えばインクジェットを用いて識別マークを付与する場合、周辺にインクが飛散するため、不良個片の判断を誤ったり、汚損による新たな不良が発生したりする、といった懸念が生じる場合がある。また、搬送を止めることなく、不良個所へパンチングによりマーキングを行う場合、個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取る時にパンチングホールによる形状変化で巻き品質が悪化したり、パンチング痕が隣の巻き層にある個片に転写したりする虞がある上、パンチングによる廃棄物の回収が必要となる。また、パンチングによるフィルム振動が前段の検査カメラのフォーカスに悪影響を及ぼすため、搬送速度に影響が生じ、生産性に悪影響が生じる場合がある。このような理由から、付与部として、レーザーマーキングを用いることにより、これらの懸念を回避することができる。

【0019】

図１は、本実施の形態における長尺フィルムの一部の一例を示す図である。本実施の形態において、長尺フィルムは、基材フィルム１の長手方向に接着フィルムの個片２が配置されたものである。この接着フィルムは、基材フィルム１から剥離して分離されるものとなる。本技術では、個片の接着フィルムには、これに対応した支持体はなく、接着剤からなる層のみで構成されているものになる（基材と略同じ幅のカバーフィルムが積層されている場合はある）。また、長尺フィルムは、図１に示すように、個片２が長手方向に単位領域毎に連続して配置され、リールに巻き回されたものであってもよい。ここで、「単位領域」とは、基材の長さ方向に所定長さを有し、例えば矩形状の領域を示し、個片間の中心線と隣接する個片間の中心線との間の領域、又は個片一つが個片間中心線に挟まれた領域、と考えてもよい。

【0020】

接着フィルムとしては、特に制限はなく、異方性導電フィルム（ＡＣＦ：Anisotropic Conductive Film）、導電粒子が接着剤に含有された導電性フィルム、接着剤フィルム（ＮＣＦ：Non Conductive Film）、半田粒子を含有する半田含有フィルムなどが挙げられる。

【0021】

樹脂コア金属被覆粒子、金属粒子、合金粒子、半田粒子などの導電粒子を含有する場合、個片は、導電粒子を含有する領域と、導電粒子を含有しない領域とを有していてもよい。また、個片は、２層以上の構成であってもよく、導電粒子を含む層と含まない層の２層以上の構成であってもよく、導電粒子を含む層同士の２層以上の構成であってもよく、導電粒子を含まない層同士の２層以上の構成であってもよい。

【0022】

接着フィルムの個片の形状は、特に制限はなく、例えば特開２０２０－１９８４２２号公報に記載されているように、水平２辺及び垂直１辺のコの字型、水平２辺及び垂直２辺のロの字型、Ｌ字型、Ｕの字型、Ｃの字型などであってもよい。また、導電粒子を含有する場合、特許第６１８７６６５号公報に記載されているように、導電粒子が絶縁性樹脂に埋め込まれていてもよい。また、導電粒子は、ランダム又は規則的に配置してもよく、導電粒子は、フィルム厚方向の位置が揃っていることが好ましい。また、半田粒子を含有する場合、特許第６８９８４１３号公報に記載されているように、常温で固形であり、温度１９０℃、荷重２．１６ｋｇの条件で測定されたメルトフローレートが１０ｇ／１０ｍｉｎ以上である熱可塑性樹脂を配合し、半田粒子の平均粒径の５０％以上３００％以下の厚みとすることが好ましく、特許第７０３２３６７号公報に記載されているように、接着フィルムの最低溶融粘度が１００Ｐａ・ｓ未満であることが好ましい。なお、接着フィルムのバインダーは、熱硬化性であっても、熱可塑性であっても構わない。また、単層であってもよく、複数層に積層されていてもよい。

【0023】

基材フィルムの長手方向に配置された個片間の距離は、搬送速度に応じて適宜設定することができる。例えば高速搬送する場合は、個片間の距離を大きくすることが好ましく、低速搬送する場合は、個片間の距離を小さくしてもよい。

【0024】

例えば１０～５０ｍ／ｍｉｎの搬送速度で長尺フィルムを搬送する場合、個片間の距離の下限は、好ましくは０．２ｍｍ以上、より好ましくは１．０ｍｍ以上、さらに好ましくは２ｍｍ以上であり、個片間の距離の上限は、好ましくは２０ｍｍ以下、より好ましくは１０ｍｍ以下、さらに好ましくは５ｍｍ以下である。この範囲の個片間の距離であれば、撮像間隔が１ミリ秒以上の検出センサ１３を用いることにより、個片を検出することが可能となる。

【0025】

個片の長尺フィルムの長手方向のサイズは、個片の被接着物の大きさに応じて適宜設定することができる。個片の長尺フィルムの長手方向のサイズの下限は、個片間距離以上であることが好ましい。これにより、検出センサ１３を用いて個片を検出することが可能となる。

【0026】

個片の厚みは、支持体のない個片の形状が使用に影響しない程度に変形せず、対象物に貼着され基材フィルムから分離（剥離）できれば特に限定されるものではない。一例として、個片の厚みの下限は、好ましくは１μｍ以上、より好ましくは３μｍ以上、さらに好ましくは４μｍ以上であり、個片の厚みの上限は、好ましくは２００μｍ以下、より好ましくは５０μｍ以下、さらに好ましくは１０μｍ以下である。

【0027】

個片の厚みは、公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージ（例えば、最小表示量０．０００１ｍｍ）を用いて測定することができる。但し、導電粒子の粒子径よりも個片の厚みが薄い場合には、接触式の厚み測定器は適さないので、レーザー変位計（例えば、分光干渉変位タイプなど）を用いることが好ましい。ここで、個片の厚みとは、バインダー樹脂層のみの厚みであり、導電粒子の粒子径は含まない。

【0028】

基材フィルムは、複数の個片を支持する支持フィルムである。基材フィルムとしては、例えば、ＰＥＴ（Poly Ethylene Terephthalate）、ＯＰＰ（Oriented Polypropylene）、ＰＭＰ（Poly-4-methylpentene-1）、ＰＴＦＥ（Polytetrafluoroethylene）などが挙げられる。また、基材フィルムは、少なくとも個片側の面が例えばシリコーン樹脂により剥離処理されたものを好適に用いることができる。

【0029】

基材フィルムの厚みは、特に限定されるものではない。基材フィルムの厚みの下限は、剥離の観点からは、好ましくは１０μｍ以上、より好ましくは２５μｍ以上、さらに好ましくは３８μｍ以上である。基材フィルムの厚みの上限は、厚すぎると過度に接着フィルムに圧力がかかりすぎることが懸念されるため、好ましくは２００μｍ以下、より好ましくは１００μｍ以下、さらに好ましくは７５μｍ以下であり、５０μｍ以下としてもよい。また、接着フィルムの個片上にカバーフィルムを設ける場合、カバーフィルムの厚みも同様の範囲となるが、カバーフィルムは、基材フィルムより薄い方が好ましい。

【0030】

また、基材フィルムの幅も、特に限定されるものではない。基材フィルムの幅の下限は、巻き回す観点からは、好ましくは１ｍｍ以上、より好ましくは２ｍｍ以上、さらに好ましくは４ｍｍ以上である。基材フィルムの幅の上限は、大きすぎると持ち運びや取り扱いが困難となることが懸念されるため、好ましくは５００ｍｍ以下、より好ましくは２５０ｍｍ以下、さらに好ましくは１２０ｍｍ以下である。

【0031】

図３は、検査マーキング装置の構成例を示す図である。図３に示すように、検査マーキング装置１０は、巻き出し機構１１と、検出センサ１２と、検査カメラ１３と、レーザーマーカー１４と、巻き取り機構１５とを備える。また、外観検査マーキング装置は、巻き出し機構１１と、検出センサ１２と、検査カメラ１３と、レーザーマーカー１４と、巻き取り機構１５とを制御する制御部を備える。ここで、巻き出し機構１１及び巻き取り機構１５は、前述の搬送部に対応し、検出センサ１２は、前述の検知部に対応し、検査カメラ１３は、前述の検査部に対応し、レーザーマーカー１４は、前述の付与部に対応する。

【0032】

巻き出し機構１１は、図示しないが、例えば長尺フィルムが収容される供給リール、供給リールから長尺フィルムが巻き出されるよう供給リールを回転駆動する供給モータ、長尺フィルムを転がり接触状態で支持するローラなどを備え、供給リールから長尺フィルムを巻き出し、長手方向に搬送する。また、図示しないが、巻き出し機構１１から巻き取り機構１５までの長尺フィルムは、例えばローラの作用により長尺フィルムの長手方向に引っ張り力が付与される。

【0033】

検出センサ１２は、例えば、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラなどから構成することができ、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する。例えば、ラインセンサカメラを用いて搬送された長尺フィルムの幅方向を撮像し、基材フィルム上に個片がある場合と個片がない場合との反射光の違いを検出することにより、個片を検知することができる。

【0034】

図３は、検出センサの動作を説明するための図であり、図３（Ａ）は、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検出センサを示し、図３（Ｂ）は、検出センサにて検知された個片の検知信号を示す。図３（Ａ）及び図３（Ｂ）に示すように、検出センサ１３は、例えば搬送された長尺フィルムに対して個片が有る状態をＨｉ、及び個片が無い状態をＬｏとして検知信号を出力し、制御部は、検知信号がＬｏからＨｉに変わるタイミングで各個片２０を検知する。

【0035】

図４は、検出センサの検知タイミングを説明するための図である。検出センサ１３は、例えば図４に示すように、ｔ＝０、ｔ＝１、ｔ＝２、ｔ＝３、ｔ＝４、ｔ＝５、のタイミングで撮像し、制御部は、検知信号がＬｏからＨｉに変わるｔ＝１及びｔ＝５のタイミングで個片を検知する。

【0036】

後述するように、検査カメラ１３の撮像トリガ及びレーザーマーカー１４の印字トリガをオフセット設定する場合、検出センサ１２の撮像間隔を短くすることにより、検知位置の誤差が小さくなり、検査カメラ１３の撮像位置及びレーザーマーカー１４の位置精度が向上する。このため、検出センサ１２の撮像間隔は、検知位置の誤差と生産性の観点から５０ミリ秒以下が好ましく、１０ミリ秒以下がより好ましい。また、撮像間隔が短すぎると個片を検知した瞬間に高速な信号ＯＮ／ＯＦＦ振動が発生し、検知数や検知位置を誤る恐れが有るので１ミリ秒以上であることが好ましく、３ミリ秒以上であることがより好ましい。

【0037】

検査カメラ１３は、例えば、エリアラインカメラなどから構成され、例えば、基材フィルムへの破片の残存、破片の個片への転着、個片の捲れなどの外観検査のための撮像を行い、外観検査の結果を制御部の個片情報メモリに記録する。外観検査は、正常個片であるＯＫ判定と不良個片であるＮＧ判定との２つの検査判定を行い、１つの個片の検査判定に対してＮＧ信号及びＯＫ信号を出力することが好ましい。

【0038】

図５は、検査判定におけるＮＧ信号及びＯＫ信号を説明するための図である。外観検査は、例えば図５に示すように、１つの個片の検査判定に対してＮＧ信号及びＯＫ信号を出力し、例えば個片番号３の不良個片に対してＮＧ信号をＨｉとして出力し、個片番号１，２，４，５の正常個片に対してＯＫ信号をＨｉとして出力する。これにより、例えば個片番号３の不良個片のＮＧ判定が遅れ、ＮＧ信号の出力が遅れた場合でも、個片番号３の不良個片がレーザーマーカー１４の印字トリガに到達する前に個片番号３のＮＧ結果をメモリに個片情報として記録すればよく、判定処理に余裕を持たせることができる。

【0039】

レーザーマーカー１４は、対象物にレーザー光を照射して対象物表面を酸化、剥離、発色などにより状態を変化させ、搬送を止めることなく、また搬送に過度な影響（振動など）を及ぼすことなく、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与する。レーザーマーカー１４は、１点のレーザー光を照射して、点描や一筆書きのように印字していくスキャン方式であることが好ましい。レーザーマーカー１４に使用されるレーザーは、基材フィルムの材料、個片の接着フィルム材料などに応じて適宜選択すればよく、例えばファイバーレーザー、ＵＶレーザー、ＹＶＯ_４レーザー、ＣＯ２レーザー、ＹＡＧレーザーなどを選択することができる。また、レーザーマーカー１４は、発塵の影響を抑制するため、印字部にバキュームを設けることが好ましい。

【0040】

図６は、レーザーマーカーによる識別マークの付与例である。図６に示すように、レーザーマーカー１４は、例えば不良個片２２、２４、２６に対してそれぞれ識別マークＭ１～Ｍ３を付与し、正常個片２１に対して識別マークＭを付与しない。識別マークは、単位領域内に付与されることが好ましく、単位領域の中心付近に付与されることがより好ましい。これにより不良個片の識別力を向上させることができる。なお、図６に示す識別マークの付与例では、不良個片及び不良個片の端部の基材フィルムの両方に印字しているが、本技術は、これに限られるものではない。

【0041】

巻き取り機構１５は、例えば、長尺フィルムが回収される回収リール、回収リールから長尺フィルムが巻き取られるよう回収リールを回転駆動する回収モータ、長尺フィルムを転がり接触状態で支持するローラなどを備え、個片の検査、マーキングが終了した長尺フィルムを回収リールに巻き取る。

【0042】

制御部は、メモリを有する、例えばＰＬＣ（Programmable Logic Controller）などで構成され、巻き出し機構１１からの長尺フィルムの引き出し長さ又は巻き取り機構１５への長尺フィルムの回収長さに基づいて長尺フィルムが走行した搬送距離を測長する。また、制御部は、長尺フィルムの供給モータ及び回収モータを制御し、長尺フィルムを所定の搬送速度で走行させる。長尺フィルムの搬送速度は、検知位置の誤差の観点から好ましくは５０ｍ／ｍｉｎ以下、さらに好ましくは３０ｍ／ｍｉｎ以下である。また、搬送速度が遅すぎると生産性に影響を及ぼすので１ｍ／ｍｉｎ以上が好ましく、１０ｍ／ｍｉｎ以上がより好ましい。

【0043】

また、制御部は、検出センサ１２から長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、位置情報を個片情報としてメモリに記録する。また、制御部は、各個片の位置情報に基づいて、検査カメラ１３から各個片の検査情報を取得し、検査情報を個片情報としてメモリに記録する。また、制御部は、各個片の個片情報に基づいて、レーザーマーカー１４に識別マークを付与させる。また、制御部は、個片情報に基づいて、検査カメラ１３の撮像タイミング、レーザーマーカー１４の印字タイミングなどを制御する。

【0044】

表１に、メモリに記録される個片情報の一例を示す。表１に示すように、個片情報は、個片番号（個片Ｎｏ．）と、検出センサ１２による個片検知の測長値（有り無し検知測長）と、検査カメラ１３の撮像トリガの測長値（カメラトリガ測長）と、検査判定による検査結果（検査結果）と、レーザーマーカー１４の印字トリガの測長値（レーザー測長）とを有する。

【0045】

【表1】

【0046】

制御部は、検出センサ１２で個片を検知する毎に、個片番号を記録すると共に長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を示す個片検知の測長値を個片情報に記録する。また、制御部は、各個片の検知位置と共に、検査カメラ１３における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値を個片情報に記録し、検査カメラ１３は、各個片の撮像トリガの測長値に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ１２から検査カメラ１３までの距離をオフセットすることにより（表１に示す個片情報の例では、３００．００ｍｍ）、検査カメラ１３の撮像トリガを容易に出力することができる。

【0047】

また、制御部は、各個片の検知位置と共に、レーザーマーカー１４における各個片の付与位置である印字トリガの測長値を個片情報に記録し、レーザーマーカー１４は、各個片の印字トリガの測長値に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ１２からレーザーマーカー１４までの距離をオフセットすることにより（表１に示す個片情報の例では、６００．００ｍｍ）、レーザーマーカー１４の印字トリガを容易に出力することができる。

【0048】

また、制御部は、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、レーザーマーカー１４における識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。例えば、制御部は、供給モータ又は回収モータの加速減速波形の領域に基づいて印字トリガを補正することが好ましい。

【0049】

図７は、長尺フィルムの供給モータ又は回収モータの加速減速波形例を示す図である。図７に示すように、供給モータ又は回収モータの加速減速波形は、例えば、加速制御により加速し、減速制御により減速する。そして、加速減速波形は、例えば、加速開始直後領域Ｓ１と、一定増速領域Ｓ２と、加速終了領域Ｓ３と、定速領域Ｓ４と、減速開始直後領域Ｓ５と、一定減速領域Ｓ６と、減速終了領域Ｓ７との７つの速度領域に分けることができる。制御部は、供給モータ又は回収モータの速度領域を監視し、印字トリガに速度領域Ｓ１～Ｓ７に応じた補正値をそれぞれ設定することにより、例えば、加速時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。

【0050】

次に、図２に示す検査マーキング装置の動作例について説明する。巻き出し機構１１から搬送される接着フィルムの個片を検出センサ１２が検知し、個片を検知する毎に長尺フィルムが走行した搬送距離の測長値をメモリに個片情報として記録する。また、制御部は、個片を検知する毎に予め設定された検出センサ１２から検査カメラ１３までの距離（撮像トリガの測長値）、及び予め設定された検出センサ１２からレーザーマーカー１４までの距離（印字トリガの測長値）を個片情報にオフセットする。

【0051】

制御部は、撮像トリガの測長値分走行した場合、検査カメラ１３にカメラ撮像トリガを出力して外観検査を行い、その検査結果を個片情報に付与することにより、個片と検査結果とを紐付ける。そして、制御部は、個片情報の検査結果がＮＧである個片が印字トリガの測長値分走行した場合、レーザーマーカー１４に印字トリガを出力して不良個片に識別マークを印字する。

【0052】

このような検査マーキング装置によれば、搬送を止めることなく、接着フィルムの個片を高速に検査し、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与することができ、生産性を向上させることができる。

【0053】

前述の実施の形態では、長尺フィルムの搬送方向に対して個片が一列に並列している態様で説明したが、本技術は、これに限定されるものではない。長尺フィルムの幅方向に複数列の個片が並列している態様なども包含する。また、個片が１種類として説明したが、複数種類が混在していてもよい。このように個片が複数列もしくは複数種類ある場合、レーザーマーカー１４や検出センサ１３などを、複数設ければよい。

【0054】

＜２．長尺フィルムの製造方法＞
本実施の形態に係る長尺フィルムの製造方法は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する作製工程と、長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、各個片の位置情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程とを有する。これにより、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができる。

【0055】

ここで、検知工程では、付与工程における各個片の付与位置を個片情報に記録し、付与工程では、各個片の付与位置に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。これにより、印字トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても識別マークの位置を安定化させることができる。

【0056】

また、検知工程では、検査工程における各個片の検査位置を個片情報に記録し、検査工程では、各個片の検査位置に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。これにより、撮像トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても個片の検査位置を安定化させることができる。

【0057】

また、付与工程では、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。これにより、例えば、加速時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。

【0058】

また、付与工程では、レーザーマーカー、インクジェット、パンチングなどを用いることができ、これらの中でも、レーザーマーカーにより識別マークを付与することが好ましい。例えばインクジェットを用いて識別マークを付与する場合、周辺にインクが飛散するため、不良個片の判断を誤ったり、汚損による新たな不良が発生したりする、といった懸念が生じる場合がある。また、搬送を止めることなく、不良個所へパンチングによりマーキングを行う場合、個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取る時にパンチングホールによる形状変化で巻き品質が悪化したり、パンチング痕が隣の巻き層にある個片に転写したりする虞がある上、パンチングによる廃棄物の回収が必要となる。また、パンチングによるフィルム振動が前段の検査カメラのフォーカスに悪影響を及ぼすため、搬送速度に影響が生じ、生産性に悪影響が生じる場合がある。このような理由から、付与部として、レーザーマーキングを用いることにより、これらの懸念を回避することができる。

【0059】

以下、作製工程（Ａ）、搬送工程（Ｂ）、検知工程（Ｃ）、検査工程（Ｄ）、及び、付与工程（Ｅ）について、前述した図１～図６に示す検査マーキング装置、及び図７に示す長尺フィルムの検査方法を示すフローチャートを用いて説明する。

【0060】

［作製工程（Ａ）］
作製工程（Ａ）では、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する。個片は、ハーフカット加工、スクリーン印刷、若しくはインクジェット印刷、又は、これらの組み合わせにより基材フィルム上に形成されることが好ましい。ハーフカット加工は、ビク刃により基材フィルムをカットせずに接着フィルムのみをカットし、不必要ところは抜き加工などにより除去する。スクリーン印刷は、スクリーンマスクの網目に対し、スキージなどによる圧力で接着剤を通過させ、基材フィルム上に印刷（塗布）し、例えばスクリーンマスクの厚みにより所定厚みの個片を作製する。スクリーンマスクは、ポリエステルなどの合成繊維又はステンレスや各種金属繊維で織ったスクリーンメッシュを用いた版である。接着剤が導電粒子や半田粒子を含む場合は、導電粒子や半田粒子の最大径よりもメッシュを大きくすればよい。インクジェット印刷は、版不要でデータから直接パターニングし、例えばノズル径により塗布量をコントロールして所定厚みの個片を作製したり、表面に新たに接着剤を設けたりする。

【0061】

また、個片は、２層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含む層と含まない層の２層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含む層同士の２層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含まない層同士の２層以上の構成であってもよい。個片を２層以上で構成する場合、塗布や積層などにより２層以上の原反を形成してからハーフカット加工することが好ましい。また、スクリーン印刷により個片を作製した後に、積層して成形してもよい。また、ノズルジェット印刷（インクジェット印刷）で、個片を作製した後に、積層して成形してもよい。

【0062】

［搬送工程（Ｂ）］
次の搬送工程（Ｂ）では、長尺フィルムを長手方向に搬送する。ステップＳ１１において、制御部は、巻き出し機構１１から接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを巻き出し、長尺フィルムの長手方向の位置を示す搬送距離を測長する。

【0063】

［検知工程（Ｃ）］
次の検知工程（Ｃ）では、搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する。先ず、ステップＳ１２において、制御部は、検出センサ１２を用いて、基材フィルム上の個片の有無を判別し、各個片の長尺フィルムの長手方向の位置情報である搬送距離の測長値を取得する。

【0064】

そして、ステップＳ１３において、制御部は、例えば表１に示す個片情報のように、検出センサ１２で個片を検知する毎に、個片番号（個片Ｎｏ．）を記録すると共に長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を示す個片検知の測長値（有り無し検知測長）を個片情報に記録する。

【0065】

また、制御部は、例えば表１に示す個片情報のように、検査カメラ１３における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値（カメラトリガ測長）を個片情報に記録する。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ１２から検査カメラ１３までの距離を個片情報にオフセットする（表１に示す個片情報の例では、３００．００ｍｍ）。

【0066】

また、制御部は、例えば表１に示す個片情報のように、レーザーマーカー１４における各個片の付与位置である印字トリガの測長値（レーザー測長）を個片情報に記録する。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ１２からレーザーマーカー１４までの距離を個片情報にオフセットする（表１に示す個片情報の例では、６００．００ｍｍ）。

【0067】

［検査工程（Ｄ）］
次の検査工程（Ｄ）では、各個片の位置情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する。先ず、ステップＳ１４において、制御部は、検査カメラ１３における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値（カメラトリガ測長）を走行したか否かを判別し、撮像トリガの測長値を走行したと判断した場合、ステップＳ１５に進む。

【0068】

次に、ステップＳ１５において、制御部は、撮像トリガの測長値に基づいて検査カメラ１３で個片を撮像し、外観検査を行う。外観検査は、正常個片であるＯＫ判定と不良個片であるＮＧ判定との２つの検査判定を行い、１つの個片の検査判定に対してＮＧ信号及びＯＫ信号を出力することが好ましい。制御部は、外観検査のＯＫ又はＮＧの判定結果の検査情報を個片情報としてメモリに記録する。

【0069】

［付与工程（Ｅ）］
次の付与工程（Ｅ）では、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する。先ず、ステップＳ１６において、制御部は、レーザーマーカー１４における各個片の付与位置である印字トリガの測長値を走行したか否かを判別し、撮像トリガの測長値を走行したと判断した場合、ステップＳ１７に進む。

【0070】

次に、ステップＳ１７において、制御部は、メモリに記録された個片情報に基づいて所定の個片の検査結果がＯＫか否かを判別し、検査結果がＯＫの場合は、ステップＳ１９に進み、検査結果がＮＧの場合は、ステップＳ１８に進む。

【0071】

ステップＳ１８において、制御部は、レーザーマーカー１４に個片情報の検査結果がＮＧである不良個片に対して識別マークを付与させ、ステップＳ１９に進む。ステップＳ１９において、制御部は、個片の検査、マーキングが終了した長尺フィルムを巻き取り機構１５の回収リールに巻き取る。

【0072】

このような長尺フィルムの製造方法によれば、搬送を止めることなく、接着フィルムの個片を高速に検査し、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与することができ、生産性を向上させることができる。

【符号の説明】

【0073】

１ 基材フィルム、２ 個片、１０ 検査マーキング装置、１１ 巻き出し機構、１２ 検出センサ、１３ 検査カメラ、１４ レーザーマーカー、１５ 巻き取り機構、２０～２６ 個片

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】