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特開2023-151679長尺フィルム、及び接続構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151679
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】長尺フィルム、及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/32 20060101AFI20231005BHJP
   B41M 5/26 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20231005BHJP
【FI】
H05K3/32 B
B41M5/26
B32B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061427
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
(72)【発明者】
【氏名】玉川 翔悟
【テーマコード(参考)】
2H111
4F100
5E319
【Fターム(参考)】
2H111HA14
2H111HA23
2H111HA32
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CB00B
4F100EJ94
4F100GB41
4F100HB31C
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319AC02
5E319BB16
5E319CC03
5E319CD53
5E319CD55
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】接着フィルムの個片の性能を維持することができる長尺フィルム、及び接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】
長尺フィルム10は、長尺の基材フィルム11と、基材フィルム11の長手方向に配置された接着フィルムの個片21~15とを有し、所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マーク30が付与されている。これにより、個片の使用時には、識別マークを識別することにより不良個片を避けることができ、接着フィルムの個片の性能を維持することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基材フィルムと、前記基材フィルムの長手方向に配置された接着フィルムの個片とを有し、不良個片が判別可能なように所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークが付与された長尺フィルム。
【請求項2】
当該長尺フィルムの幅方向の端部に前記基材フィルムからなる端部領域が設けられ、前記端部領域に前記識別マークを有する請求項1記載の長尺フィルム。
【請求項3】
前記端部領域の幅方向の長さが、100μm以上である請求項2記載の長尺フィルム。
【請求項4】
前記個片が、前記基材フィルムが露出した窓枠部を有し、該窓枠部の基材フィルムに前記識別マークが付与された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長尺フィルム。
【請求項5】
前記識別マークが、レーザー印字されてなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の長尺フィルム。
【請求項6】
当該長尺フィルムが、リールに巻き回されてなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の長尺フィルム。
【請求項7】
長尺の基材フィルムと、前記基材フィルムの長手方向に配置された接着フィルムの個片とを有し、不良個片が判別可能なように所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークが付与された長尺フィルムを用い、前記識別マークに基づいて正常個片のみを端子列を有する第1の電子部品又は第2の電子部品に貼付する貼付工程と、
前記正常個片を介して、前記第1の電子部品の端子と前記第2の電子部品の端子とを接続させる接続工程と
を有する接続構造体の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、基材フィルムの長手方向に個片が配置された長尺フィルム、及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、導電性フィルム、接着剤フィルム(NCF:Non Conductive Film)などの接着フィルムを、例えば任意形状の個片に打ち抜き、基材フィルムの長手方向に個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取り、出荷している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、例えば打ち抜き時に、破片の残存、破片の個片への転着、個片の捲れなどが発生することがあるため、長尺フィルムの各個片から不良個片を検査し、ピックアップする必要がある。
【0004】
不良個片のピックアップは、検査後に行われるため、不良個片の両端の個片に影響が出る可能性がある。また、接着フィルムの僅かな破片がベースフィルム上に残ってしまい、接続構造体の製造ラインで異物になる可能性がある。このように不良個片のピックアップでは、長尺フィルムの個片の性能を維持することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-198422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、接着フィルムの個片の性能を維持することができる長尺フィルム、及び接続構造体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に係る長尺フィルムは、長尺の基材フィルムと、前記基材フィルムの長手方向に配置された接着フィルムの個片とを有し、所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークが付与されている。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、個片の使用時には、識別マークを画像認識することにより不良個片を避けることができ、接着フィルムの個片の性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、長尺フィルムの一例を示す図である。
図2図2は、窓枠部を有する個片の不良個片の一例を示す模式図であり、図2(A)は、異物が混入した状態を示し、図2(B)は、ヨレが発生した状態を示し、図2(C)は、欠けが発生した状態を示す。
図3図3は、識別マークの一例を示す図である。
図4図4は、検査マーキング装置の構成例を示す図である。
図5図5は、検出センサの動作を説明するための図であり、図5(A)は、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検出センサを示し、図5(B)は、検出センサにて検知された個片の検知信号を示す。
図6図6は、検出センサの検知タイミングを説明するための図である。
図7図7は、検査判定におけるNG信号及びOK信号を説明するための図である。
図8図8は、レーザーマーカーによる識別マークの付与例である。
図9図9は、長尺フィルムの供給モータ又は回収モータの加速減速波形例を示す図である。
図10図10は、長尺フィルムの検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.長尺フィルム
2.検査マーキング装置
3.長尺フィルムの製造方法
4.接続構造体の製造方法
【0011】
<1.長尺フィルム>
本実施の形態に係る長尺フィルムは、長尺の基材フィルムと、基材フィルムの長手方向に配置された接着フィルムの個片とを有し、不良個片が判別可能なように所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークが付与されている。これにより、接個片の使用時には、識別マークを例えば画像認識により識別することにより不良個片を避けることができ、接着フィルムの個片の性能を維持することができる。
【0012】
図1は、長尺フィルムの一例を示す図である。図1に示すように、長尺フィルム10は、長尺の基材フィルム11と、基材フィルム11の長手方向に配置された接着フィルムの個片21~25とを有し、不良個片である個片23及び不良個片である個片23を配置する基材フィルム11に識別マーク30が付与されている。
【0013】
長尺フィルム10は、幅方向の端部に基材フィルム11からなる端部領域が設けられることが好ましい。基材フィルム11からなる端部領域の幅方向の長さWは、好ましくは100μm以上、より好ましくは500μm以上、さらに好ましくは1000μm以上である。これにより、基材フィルム11からなる端部領域に識別マークを付与することができ、個片へ識別マークを付与した場合に比べて印字品質の低下を抑制することができる。
また、このような端部領域があることで、長尺になった場合に発生し易い、接着剤のはみ出しが起こり難くなる。接着剤が基材フィルム端部まで届き難いためであり、所謂、ブロッキングが発生し難くなることから、実用上の利便性が向上する。後述するように、個片が基材フィルムの端部から離れている場合、ブロッキングは発生し難くなることから、生産性にも寄与できる。
【0014】
長尺フィルム10は、個片21~25が長手方向に単位領域毎に連続して配置され、リールに巻き回されたものであってもよい。ここで、「単位領域」とは、基材の長さ方向に所定長さを有し、例えば矩形状の領域を示し、個片間の中心線と隣接する個片間の中心線との間の領域、又は個片一つが個片間中心線に挟まれた領域、と考えてもよい。この接着フィルムは、基材フィルムから剥離して分離されるものとなる。本技術では、個片の接着フィルムには、これに対応した支持体はなく、接着剤からなる層のみで構成されているものになる(基材と略同じ幅のカバーフィルムが積層されている場合はある)。
【0015】
基材フィルム11は、複数の個片を支持する支持フィルムである。基材フィルム11としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などが挙げられる。また、基材フィルム11は、少なくとも個片側の面が例えばシリコーン樹脂により剥離処理されたものを好適に用いることができる。
【0016】
基材フィルム11の厚みは、特に限定されるものではない。基材フィルム11の厚みの下限は、剥離の観点からは、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは38μm以上である。基材フィルムの厚みの上限は、厚すぎると過度に接着フィルムに圧力がかかりすぎることが懸念されるため、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下であり、50μm以下としてもよい。また、接着フィルムの個片上にカバーフィルムを設ける場合、カバーフィルムの厚みも同様の範囲となるが、カバーフィルムは、基材フィルムより薄い方が好ましい。
【0017】
また、基材フィルム11の幅も、特に限定されるものではない。基材フィルム11の幅の下限は、巻き回す観点からは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは4mm以上である。基材フィルム11の幅の上限は、大きすぎると持ち運びや取り扱いが困難となることが懸念されるため、好ましくは500mm以下、より好ましくは250mm以下、さらに好ましくは120mm以下である。
【0018】
接着フィルムとしては、特に制限はなく、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、導電粒子が接着剤に含有された導電性フィルム、接着剤フィルム(NCF:Non Conductive Film)、半田粒子を含有する半田含有フィルムなどが挙げられる。接着フィルムのバインダーは、熱硬化性であっても、熱可塑性であっても構わない。
【0019】
金属粒子、樹脂コア金属被覆粒子、半田粒子などの導電粒子を含有する場合、個片は、導電粒子を含有する領域と、導電粒子を含有しない領域とを有していてもよい。また、個片は、2層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含む層と含まない層の2層以上の構成であってもよく、導電粒子を含む層同士の2層以上の構成であってもよく、導電粒子を含まない層同士の2層以上の構成であってもよい。
【0020】
接着フィルムの個片の形状は、特に制限はなく、例えば特開2020-198422号公報に記載されているように、水平2辺及び垂直1辺のコの字型、水平2辺及び垂直2辺のロの字型、L字型、Uの字型、Cの字型などであってもよい。また、導電粒子を含有する場合、特許第6187665号公報に記載されているように、導電粒子が絶縁性樹脂に埋め込まれていてもよい。また、導電粒子は、ランダム又は規則的に配置してもよく、導電粒子は、フィルム厚方向の位置が揃っていることが好ましい。また、半田粒子を含有する場合、特許第6898413号公報に記載されているように、常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂を配合し、半田粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みとすることが好ましく、特許第7032367号公報に記載されているように、接着フィルムの最低溶融粘度が100Pa・s未満であることが好ましい。なお、接着フィルムのバインダーは、熱硬化性であっても、熱可塑性であっても構わない。また、単層であってもよく、複数層に積層されていてもよい。
【0021】
個片の厚みは、特に限定されるものではなく、個片の厚みの下限は、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上であり、個片の厚みの上限は、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
【0022】
個片の厚みは、公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージ(例えば、最小表示量0.0001mm)を用いて測定することができる。但し、導電粒子の粒子径よりも個片の厚みが薄い場合には、接触式の厚み測定器は適さないので、レーザー変位計(例えば、分光干渉変位タイプなど)を用いることが好ましい。ここで、個片の厚みとは、バインダー樹脂層のみの厚みであり、導電粒子の粒子径は含まない。
【0023】
また、図1に示すように、個片は、基材フィルム11が露出した窓枠部を有し、窓枠部の基材フィルムに識別マーク30が付与されていてもよい。窓枠部を有する個片は、不良個片になり易いため、本技術の適用は特に有用である。
【0024】
図2は、窓枠部を有する個片の不良個片の一例を示す模式図であり、図2(A)は、異物が混入した状態を示し、図2(B)は、ヨレが発生した状態を示し、図2(C)は、欠けが発生した状態を示す。図2(A)に示すように、個片上又は基材フィルム上に混入した異物H1は、外観検査において、例えば導電粒子の粒子径以上の大きさの金属物又は非金属物である場合、不良個片と判別される。また、図2(B)に示すように、個片の外形に発生したヨレH2は、外観検査において、例えばヨレが±50μm以上である場合、不良個片と判別される。また、図2(C)に示すように、個片の外形に発生した欠けH3は、外観検査において、例えば欠けが±50μm以上である場合、不良個片と判別される。
【0025】
識別マーク30は、レーザーマーカー、インクジェット、パンチングなどを用いて付与することができ、これらの中でも、レーザーマーカーによりレーザー印字されることが好ましい。例えばインクジェットを用いて識別マーク30を付与する場合、周辺にインクが飛散するため、不良個片の判断を誤ったり、汚損による新たな不良が発生したりする虞がある。また、搬送を止めることなく、不良個所へパンチングによりマーキングを行う場合、個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取る時にパンチングホールによる形状変化で巻き品質が悪化したり、パンチング痕が隣の巻き層にある個片に転写したりする虞がある上、パンチングによる廃棄物の回収が必要となる。また、パンチングによるフィルム振動が前段の検査カメラのフォーカスに悪影響を及ぼすため、搬送を止めることなくマーキングすることが困難となる。識別マーク30をレーザーマーキングで付与することにより、これらの虞を解消することができる。
【0026】
また、識別マーク30の幅は、導電粒子を含有する場合は導電粒子の粒子径以上であり、好ましくは20μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上である。これにより、識別マーク30の識別力を向上させることができきる。
【0027】
また、識別マーク30は、不良個片が識別可能であれば、印字位置が限定されるものではなく、例えば、長尺フィルムの幅方向の端部に基材フィルムの領域を設けている場合、不良個片の端部の基材フィルムのみに印字してもよく、不良個片のみに印字してもよく、不良個片及び不良個片の端部の基材フィルムの両方に印字してもよい。また、例えば、長尺フィルム幅方向の端部に基材フィルムの領域を設けている場合、正常個片の端部の基材フィルムのみに印字するようにしてもよく、不良個片の前の個片の端部の基材フィルムに印字するようにしてもよい。
【0028】
図3は、識別マークの一例を示す図である。例えば図3(A)に示すように、識別マークM1は、個片の窓枠部中央部から基材フィルムからなる端部領域までに印字した幅方向のラインであってもよい。また、例えば図3(B)に示すように、識別マークM2は、基材フィルムからなる端部領域に印字した搬送方向のラインであってもよい。また、例えば図3(C)に示すように、識別マークM3は、個片の窓枠部内に印字した搬送方向のラインであってもよい。また、例えば図3(D)に示すように、識別マークM4は、基材フィルムからなる端部領域に印字した搬送方向のジグザグラインであってもよい。また、例えば図3(E)に示すように、識別マークM5は、個片の窓枠部中央部から基材フィルムからなる端部領域までに印字したサークルであってもよい。また、例えば図3(F)に示すように、識別マークM6は、個片の搬送方向の両端部の内側に印字した斜めラインであってもよい。なお、例えば図3(G)に示すように、識別マークM7は、隣の個片に印字することがなく、不良個片を識別することができれば、特に限定されるものではない。
【0029】
このような長尺フィルムによれば、個片の使用時には、識別マークを例えば画像認識により識別することにより不良個片を避けることができ、接着フィルムの個片の性能を維持することができる。また、各個片についてユーザ側で安全に使用できるように管理することもでき、より安定的に製品の圧着特性等(導通、接着強度、絶縁、信頼性等)を維持することができる。
【0030】
<2.検査マーキング装置>
本実施の形態に係る検査マーキング装置は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送部と、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検知部と、搬送された長尺フィルムの各個片を検査する検査部と、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与部と、検知部から長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、各個片の位置情報に基づいて、検査部から各個片の検査情報を取得し、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、付与部に識別マークを付与させる制御部とを備える。これにより、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができ、また、個片の使用時には、識別マークを画像認識することにより不良個片を避けることができる。
【0031】
また、制御部は、各個片の検知位置と共に、付与部における各個片の付与位置を位置情報に記録し、付与部は、各個片の付与位置に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。これにより、印字トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても識別マークの位置を安定化させることができる。
【0032】
また、制御部は、各個片の検知位置と共に、検査部における各個片の検査位置を位置情報に記録し、検査部は、各個片の検査位置に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。これにより、撮像トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても個片の検査位置を安定化させることができる。
【0033】
また、制御部は、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、付与部における識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。これにより、例えば、加速時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。
【0034】
また、付与部は、レーザーマーカー、インクジェット、パンチングなどを用いることができ、これらの中でも、レーザーマーカーにより識別マークを付与することが好ましい。例えばインクジェットを用いて識別マークを付与する場合、周辺にインクが飛散するため、不良個片の判断を誤ったり、汚損による新たな不良が発生したり、といった懸念が生じる場合がある。また、搬送を止めることなく、不良個所へパンチングによりマーキングを行う場合、個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取る時にパンチングホールによる形状変化で巻き品質が悪化したり、パンチング痕が隣の巻き層にある個片に転写したりする虞がある上、パンチングによる廃棄物の回収が必要となる。また、パンチングによるフィルム振動が前段の検査カメラのフォーカスに悪影響を及ぼすため、搬送速度に影響が生じ、生産性に悪影響が生じる場合がある。このような理由から、付与部として、レーザーマーキングを用いることにより、これらの懸念を回避することができる。
【0035】
図4は、検査マーキング装置の構成例を示す図である。図4に示すように、検査マーキング装置40は、巻き出し機構41と、検出センサ42と、検査カメラ43と、レーザーマーカー44と、巻き取り機構45とを備える。また、外観検査マーキング装置は、巻き出し機構41と、検出センサ42と、検査カメラ43と、レーザーマーカー44と、巻き取り機構45とを制御する制御部を備える。ここで、巻き出し機構41及び巻き取り機構45は、前述の搬送部に対応し、検出センサ42は、前述の検知部に対応し、検査カメラ43は、前述の検査部に対応し、レーザーマーカー44は、前述の付与部に対応する。
【0036】
巻き出し機構41は、図示しないが、例えば長尺フィルムが収容される供給リール、供給リールから長尺フィルムが巻き出されるよう供給リールを回転駆動する供給モータ、長尺フィルムを転がり接触状態で支持するローラなどを備え、供給リールから長尺フィルムを巻き出し、長手方向に搬送する。また、図示しないが、巻き出し機構41から巻き取り機構45までの長尺フィルムは、例えばローラの作用により長尺フィルムの長手方向に引っ張り力が付与される。
【0037】
検出センサ42は、例えば、ラインセンサカメラ、エリアラインカメラなどから構成することができ、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する。例えば、ラインセンサカメラを用いて搬送された長尺フィルムの幅方向を撮像し、基材フィルム上に個片がある場合と個片がない場合との反射光の違いを検出することにより、個片を検知することができる。
【0038】
図5は、検出センサの動作を説明するための図であり、図5(A)は、搬送された長尺フィルムの各個片を検知する検出センサを示し、図5(B)は、検出センサにて検知された個片の検知信号を示す。図5(A)及び図5(B)に示すように、検出センサ42は、例えば搬送された長尺フィルムに対して個片が有る状態をHi、及び個片が無い状態をLoとして検知信号を出力し、制御部は、検知信号がLoからHiに変わるタイミングで各個片50を検知する。
【0039】
図6は、検出センサの検知タイミングを説明するための図である。検出センサ42は、例えば図6に示すように、t=0、t=1、t=2、t=3、t=4、t=5、のタイミングで撮像し、制御部は、検知信号がLoからHiに変わるt=1及びt=5のタイミングで個片を検知する。
【0040】
後述するように、検査カメラ43の撮像トリガ及びレーザーマーカー44の印字トリガをオフセット設定する場合、検出センサ42の撮像間隔を短くすることにより、検知位置の誤差が小さくなり、検査カメラ43の撮像位置及びレーザーマーカー44の位置精度が向上する。このため、検出センサ42の撮像間隔は、好ましくは1~50ミリ秒、より好ましくは1~10ミリ秒、さらに好ましくは1~5ミリ秒である。
【0041】
検査カメラ43は、例えば、エリアラインカメラなどから構成され、例えば、基材フィルムへの破片の残存、破片の個片への転着、個片の捲れなどの外観検査のための撮像を行い、外観検査の結果を制御部の個片情報メモリに記録する。外観検査は、正常個片であるOK判定と不良個片であるNG判定との2つの検査判定を行い、1つの個片の検査判定に対してNG信号及びOK信号を出力することが好ましい。
【0042】
図7は、検査判定におけるNG信号及びOK信号を説明するための図である。外観検査は、例えば図7に示すように、1つの個片の検査判定に対してNG信号及びOK信号を出力し、例えば個片番号3の不良個片に対してNG信号をHiとして出力し、個片番号1,2,4,5の正常個片に対してOK信号をHiとして出力する。これにより、例えば個片番号3の不良個片のNG判定が遅れ、NG信号の出力が遅れた場合でも、個片番号3の不良個片がレーザーマーカー44の印字トリガに到達する前に個片番号3のNG結果をメモリに個片情報として記録すればよく、判定処理に余裕を持たせることができる。
【0043】
レーザーマーカー44は、対象物にレーザー光を照射して対象物表面を酸化、剥離、発色などにより状態を変化させ、搬送を止めることなく、また搬送に過度な影響(振動など)を及ぼすことなく、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与する。レーザーマーカー44は、1点のレーザー光を照射して、一筆書きのように印字していくスキャン方式であることが好ましい。レーザーマーカー44に使用されるレーザーは、基材フィルムの材料、個片の接着フィルム材料などに応じて適宜選択すればよく、例えばファイバーレーザー、UVレーザー、YVOレーザー、COレーザー、YAGレーザーなどを選択することができる。また、レーザーマーカー44は、発塵の影響を抑制するため、印字部にバキュームを設けることが好ましい。
【0044】
図8は、レーザーマーカーによる識別マークの付与例である。図8に示すように、レーザーマーカー44は、例えば不良個片52、54、56に対してそれぞれ識別マークM1~M3を付与し、正常個片51、53、55に対して識別マークMを付与しない。識別マークは、単位領域内に付与されることが好ましく、単位領域の中心付近に付与されることがより好ましい。これにより不良個片の識別力を向上させることができる。なお、図8に示す識別マークの付与例では、不良個片及び不良個片の端部の基材フィルムの両方に印字しているが、本技術は、これに限られるものではない。
【0045】
巻き取り機構45は、例えば、長尺フィルムが回収される回収リール、回収リールから長尺フィルムが巻き取られるよう回収リールを回転駆動する回収モータ、長尺フィルムを転がり接触状態で支持するローラなどを備え、個片の検査、マーキングが終了した長尺フィルムを回収リールに巻き取る。
【0046】
制御部は、メモリを有する、例えばPLC(Programmable Logic Controller)などで構成され、巻き出し機構41からの長尺フィルムの引き出し長さ又は巻き取り機構45への長尺フィルムの回収長さに基づいて長尺フィルムが走行した搬送距離を測長する。また、制御部は、長尺フィルムの供給モータ及び回収モータを制御し、長尺フィルムを所定の搬送速度で走行させる。長尺フィルムの搬送速度は、好ましくは1~50m/min、より好ましくは5~50m/min、さらに好ましくは10~50m/minである。
【0047】
また、制御部は、検出センサ12から長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得し、位置情報を個片情報としてメモリに記録する。また、制御部は、各個片の位置情報に基づいて、検査カメラ43から各個片の検査情報を取得し、検査情報を個片情報としてメモリに記録する。また、制御部は、各個片の個片情報に基づいて、レーザーマーカー44に識別マークを付与させる。また、制御部は、個片情報に基づいて、検査カメラ43の撮像タイミング、レーザーマーカー44の印字タイミングなどを制御する。
【0048】
表1に、メモリに記録される個片情報の一例を示す。表1に示すように、個片情報は、個片番号(個片No.)と、検出センサ42による個片検知の測長値(有り無し検知測長)と、検査カメラ43の撮像トリガの測長値(カメラトリガ測長)と、検査判定による検査結果(検査結果)と、レーザーマーカー44の印字トリガの測長値(レーザー測長)とを有する。
【0049】
【表1】

【0050】
制御部は、検出センサ42で個片を検知する毎に、個片番号を記録すると共に長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を示す個片検知の測長値を個片情報に記録する。また、制御部は、各個片の検知位置と共に、検査カメラ43における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値を個片情報に記録し、検査カメラ43は、各個片の撮像トリガの測長値に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ42から検査カメラ43までの距離をオフセットすることにより(表1に示す個片情報の例では、300.00mm)、検査カメラ13の撮像トリガを容易に出力することができる。
【0051】
また、制御部は、各個片の検知位置と共に、レーザーマーカー44における各個片の付与位置である印字トリガの測長値を個片情報に記録し、レーザーマーカー44は、各個片の印字トリガの測長値に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ42からレーザーマーカー44までの距離をオフセットすることにより(表1に示す個片情報の例では、600.00mm)、レーザーマーカー44の印字トリガを容易に出力することができる。
【0052】
また、制御部は、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、レーザーマーカー44における識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。例えば、制御部は、供給モータ又は回収モータの加速減速波形の領域に基づいて印字トリガを補正することが好ましい。
【0053】
図9は、長尺フィルムの供給モータ又は回収モータの加速減速波形例を示す図である。図9に示すように、供給モータ又は回収モータの加速減速波形は、例えば、加速制御により加速し、減速制御により減速する。そして、加速減速波形は、例えば、加速開始直後領域S1と、一定増速領域S2と、加速終了領域S3と、定速領域S4と、減速開始直後領域S5と、一定減速領域S6と、減速終了領域S7との7つの速度領域に分けることができる。制御部は、供給モータ又は回収モータの速度領域を監視し、印字トリガに速度領域S1~S7に応じた補正値をそれぞれ設定することにより、例えば、加速時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。
【0054】
次に、図4に示す検査マーキング装置の動作例について説明する。巻き出し機構41から搬送される接着フィルムの個片を検出センサ42が検知し、個片を検知する毎に長尺フィルムが走行した搬送距離の測長値をメモリに個片情報として記録する。また、制御部は、個片を検知する毎に予め設定された検出センサ42から検査カメラ43までの距離(撮像トリガの測長値)、及び予め設定された検出センサ42からレーザーマーカー44までの距離(印字トリガの測長値)を個片情報にオフセットする。
【0055】
制御部は、撮像トリガの測長値分走行した場合、検査カメラ43にカメラ撮像トリガを出力して外観検査を行い、その検査結果を個片情報に付与することにより、個片と検査結果とを紐付ける。そして、制御部は、個片情報の検査結果がNGである個片が印字トリガの測長値分走行した場合、レーザーマーカー44に印字トリガを出力して不良個片に識別マークを印字する。
【0056】
このような検査マーキング装置によれば、搬送を止めることなく、接着フィルムの個片を高速に検査し、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与することができ、生産性を向上させることができる。
【0057】
<2.長尺フィルムの製造方法>
本実施の形態に係る長尺フィルムの製造方法は、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する作製工程と、長尺フィルムを長手方向に搬送する搬送工程と、搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する検知工程と、各個片の位置情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する検査工程と、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する付与工程とを有する。これにより、接着フィルムの個片を高速に検査し、生産性を向上させることができる。
【0058】
ここで、検知工程では、付与工程における各個片の付与位置を位置情報に記録し、付与工程では、各個片の付与位置に基づいて、識別マークを付与することが好ましい。これにより、印字トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても識別マークの位置を安定化させることができる。
【0059】
また、検知工程では、検査工程における各個片の検査位置を位置情報に記録し、検査工程では、各個片の検査位置に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査することが好ましい。これにより、撮像トリガを容易に出力することができ、搬送速度を上げても個片の検査位置を安定化させることができる。
【0060】
また、付与工程では、長尺フィルムの搬送速度に基づいて、識別マークの付与タイミングを制御することが好ましい。これにより、例えば、加減時、減速時の印字位置ズレを抑制することができる。
【0061】
また、付与工程では、レーザーマーカー、インクジェット、パンチングなどを用いることができ、これらの中でも、レーザーマーカーにより識別マークを付与することが好ましい。例えばインクジェットを用いて識別マークを付与する場合、周辺にインクが飛散するため、不良個片の判断を誤ったり、汚損による新たな不良が発生したりする虞がある。また、搬送を止めることなく、不良個所へパンチングによりマーキングを行う場合、個片が配置された長尺フィルムをリールに巻き取る時にパンチングホールによる形状変化で巻き品質が悪化したり、パンチング痕が隣の巻き層にある個片に転写したりする虞がある上、パンチングによる廃棄物の回収が必要となる。また、パンチングによるフィルム振動が前段の検査カメラのフォーカスに悪影響を及ぼすため、搬送を止めることなくマーキングすることが困難となる。付与部として、レーザーマーキングを用いることにより、これらの虞を解消することができる。
【0062】
以下、作製工程(A)、搬送工程(B)、検知工程(C)、検査工程(D)、及び、付与工程(E)について、前述した図4図9に示す検査マーキング装置、及び図10に示す長尺フィルムの検査方法を示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
[作製工程(A)]
作製工程(A)では、基材フィルムの長手方向に接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを作製する。個片は、ハーフカット加工、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷により基材フィルム上に形成されることが好ましい。ハーフカット加工は、ビク刃により基材フィルムをカットせずに接着フィルムのみをカットし、不必要ところは抜き加工などにより除去する。スクリーン印刷は、スクリーンマスクの網目に対し、スキージなどによる圧力で接着剤を通過させ、基材フィルム上に印刷(塗布)し、例えばスクリーンマスクの厚みにより所定厚みの個片を作製する。スクリーンマスクは、ポリエステルなどの合成繊維又はステンレスや各種金属繊維で織ったスクリーンメッシュを用いた版である。接着剤が導電粒子や半田粒子を含む場合は、導電粒子や半田粒子の最大径よりもメッシュを大きくすればよい。インクジェット印刷は、版不要でデータから直接パターニングし、例えばノズル径により塗布量をコントロールして所定厚みの個片を作製する。
【0064】
また、個片は、2層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含む層と含まない層の2層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含む層同士の2層以上の構成であってもよく、導電粒子や半田粒子を含まない層同士の2層以上の構成であってもよい。個片を2層以上で構成する場合、塗布や積層などにより2層以上の原反を形成してからハーフカット加工することが好ましい。また、スクリーン印刷により個片を作製した後に、積層して成形してもよい。また、ノズルジェット印刷(インクジェット印刷)で、個片を作製した後に、積層して成形してもよい。
【0065】
[搬送工程(B)]
次の搬送工程(B)では、長尺フィルムを長手方向に搬送する。ステップS11において、制御部は、巻き出し機構41から接着フィルムの個片が配置された長尺フィルムを巻き出し、長尺フィルムの長手方向の位置を示す搬送距離を測長する。
【0066】
[検知工程(C)]
次の検知工程(C)では、搬送された長尺フィルムの各個片を検知し、長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を含む位置情報を取得する。先ず、ステップS12において、制御部は、検出センサ42を用いて、基材フィルム上の個片の有無を判別し、各個片の長尺フィルムの長手方向の位置情報である搬送距離の測長値を取得する。
【0067】
そして、ステップS13において、制御部は、例えば表1に示す個片情報のように、検出センサ42で個片を検知する毎に、個片番号(個片No.)を記録すると共に長尺フィルムの長手方向の各個片の検知位置を示す個片検知の測長値(有り無し検知測長)を個片情報に記録する。
【0068】
また、制御部は、例えば表1に示す個片情報のように、検査カメラ43における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値(カメラトリガ測長)を個片情報に記録する。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ42から検査カメラ43までの距離を個片情報にオフセットする(表1に示す個片情報の例では、300.00mm)。
【0069】
また、制御部は、例えば表1に示す個片情報のように、レーザーマーカー14における各個片の付与位置である印字トリガの測長値(レーザー測長)を個片情報に記録する。すなわち、制御部は、予め設定された検出センサ42からレーザーマーカー44までの距離を個片情報にオフセットする(表1に示す個片情報の例では、600.00mm)。
【0070】
[検査工程(D)]
次の検査工程(D)では、各個片の位置情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの各個片を検査し、各個片の検査情報を取得する。先ず、ステップS14において、制御部は、検査カメラ13における各個片の検査位置を示す撮像トリガの測長値(カメラトリガ測長)を走行したか否かを判別し、撮像トリガの測長値を走行したと判断した場合、ステップS15に進む。
【0071】
次に、ステップS15において、制御部は、撮像トリガの測長値に基づいて検査カメラ13で個片を撮像し、外観検査を行う。外観検査は、正常個片であるOK判定と不良個片であるNG判定との2つの検査判定を行い、1つの個片の検査判定に対してNG信号及びOK信号を出力することが好ましい。制御部は、外観検査のOK又はNGの判定結果の検査情報を個片情報としてメモリに記録する。
【0072】
[付与工程(E)]
次の付与工程(E)では、各個片の位置情報及び検査情報に基づいて、搬送された長尺フィルムの所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークを付与する。先ず、ステップS16において、制御部は、レーザーマーカー44における各個片の付与位置である印字トリガの測長値を走行したか否かを判別し、撮像トリガの測長値を走行したと判断した場合、ステップS17に進む。
【0073】
次に、ステップS17において、制御部は、メモリに記録された個片情報に基づいて所定の個片の検査結果がOKか否かを判別し、検査結果がOKの場合は、ステップS19に進み、検査結果がNGの場合は、ステップS18に進む。
【0074】
ステップS18において、制御部は、レーザーマーカー44に個片情報の検査結果がNGである不良個片に対して識別マークを付与させ、ステップS19に進む。ステップS19において、制御部は、個片の検査、マーキングが終了した長尺フィルムを巻き取り機構45の回収リールに巻き取る。
【0075】
このような長尺フィルムの製造方法によれば、搬送を止めることなく、接着フィルムの個片を高速に検査し、所定の個片又は基材フィルムの少なくとも一方に対して識別マークを付与することができ、生産性を向上させることができる。
【0076】
<4.接続構造体の製造方法>
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、長尺の基材フィルムと、前記基材フィルムの長手方向に配置された接着フィルムの個片とを有し、不良個片が判別可能なように所定の個片又は所定の個片を配置する基材フィルムの少なくとも一方に識別マークが付与された長尺フィルムを用い、識別マークに基づいて正常個片のみを端子列を有する第1の電子部品又は第2の電子部品に貼付する貼付工程と、正常個片を介して、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続させる接続工程とを有する。
【0077】
[貼付工程]
貼付工程では、前述した長尺フィルムを用い、識別マークに基づいて正常個片のみを端子列を有する第1の電子部品又は第2の電子部品に貼付する。例えば、画像認識により不良個片を判別して使用せずに、正常個片について貼付装置を用いて基材フィルム側から押圧し、ステージ上の第1の電子部品又は第2の電子部品の実装面に個片を貼り付ける。個片が転着された長尺フィルムは、基材フィルムのみとなって巻き取られ、不良個片は、基材フィルムと共に巻き取られてもよく、回収部材に貼り付けた後、基材フィルムのみとなって巻き取られてもよい。
【0078】
[接続工程]
接続工程では、正常個片を介して、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続させる。例えば、緩衝材を介して、第1の電子部品及び第2の電子部品の端子列上を圧着ツールで押圧する。また、個片の接着フィルムの硬化型に応じて、加熱、光照射などを行い、個片を硬化させる。
【0079】
このような接続構造体の製造方法によれば、使用する接着フィルムの個片の性能を維持することができ、接続構造体の優れた圧着特性等(導通、接着強度、絶縁、信頼性等)を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 長尺フィルム、11 基材フィルム、21~25 個片、30 識別マーク、40 検査マーキング装置、41 巻き出し機構、42 検出センサ、43 検査カメラ、44 レーザーマーカー、45 巻き取り機構、50~56 個片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10