IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アトラエの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151695
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】データ構造
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061448
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】515045835
【氏名又は名称】株式会社アトラエ
(74)【代理人】
【識別番号】100182154
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】森山 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 友也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹田 哲也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織やユーザの組織カルチャーを測定する処理に用いられるデータ構造を提供する。
【解決手段】制御部、記憶部及び出力部を備える組織カルチャー分析装置に用いられ、記憶部に記憶されるデータ構造であって、サーベイの回答者となる組織に属するユーザを識別するユーザ情報と、ユーザが組織において、事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動を、ユーザ又は組織の組織カルチャーとして出力部で出力する組織カルチャー情報と、組織カルチャーに関するサーベイに対して、ユーザが段階で回答した第一段階情報を含む回答情報であって、制御部が記憶部から取得して、組織カルチャー情報を測定する処理に用いられる回答情報と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、記憶部及び出力部を備える組織カルチャーサーベイ装置に用いられ、前記記憶部に記憶されるデータ構造であって、
前記サーベイの回答者となる組織に属するユーザを識別するユーザ情報(108)と、
前記ユーザが前記組織において、事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動を、前記ユーザ又は前記組織の組織カルチャーとして前記出力部で出力する組織カルチャー情報(114)と、
前記組織カルチャーに関する前記サーベイに対して、前記ユーザが段階で回答した第一段階情報を含む回答情報(111)であって、前記制御部が前記記憶部から取得して、前記組織カルチャー情報を測定する処理に用いられる回答情報(111)と
を備えることを特徴とするデータ構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ構造であって、
前記組織カルチャー情報は、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動である
ことを特徴とするデータ構造。
【請求項3】
請求項2に記載されたデータ構造であって、
前記第一段階情報は、前記組織における前記ユーザの行動を示す複数の因子に応じた段階で回答された情報であって、
前記組織カルチャー情報は、前記回答情報から測定された前記因子毎の度合を示す組織カルチャー形成度合(114a、114b)を含む
ことを特徴とするデータ構造。
【請求項4】
請求項3に記載されたデータ構造であって、
前記出力部に出力された前記回答情報に応じて、前記ユーザの入力により前記第一段階情報を更新した第二段階情報を含む優先度情報であって、前記制御部が前記記憶部から取得して、前記ユーザが前記組織において、ビジョンや目標を達成する中で、優先されている行動を前記組織カルチャー形成度合として測定する処理に用いられる優先度情報(112)と
を備えることを特徴とするデータ構造。
【請求項5】
請求項4に記載されたデータ構造であって、
前記回答情報及び/又は前記優先度情報の因子は、
日々の活動の中で、リスクを取って挑戦をしたり、革新性を求めて行動する傾向である挑戦志向情報、
環境変化による機会やリスクの発生を敏感に感じとり、柔軟かつ迅速に対応する傾向である適応性情報、
業務を遂行するにあたり、メンバー同士が力を合わせてチームとして活動する傾向であるチーム志向情報、
メンバーの共通認識の中で、活動において「顧客への提供価値の最大化」を心がける傾向である顧客志向情報、
細部に対して高い精巧さや期待、そして緻密な活動が求められる傾向である質のこだわり情報、
正直であり、言行一致している傾向である一貫性情報、
メンバーの個性や多様性を重視している傾向である多様性情報、
日々の活動において、成果を重視している傾向である業績志向情報
の少なくとも一つに分類されている
ことを特徴とするデータ構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載されたデータ構造であって、
前記回答情報は、複数の組織の前記ユーザに対して理想と現状を回答させるサーベイに対する回答であって、
前記制御部が複数の組織の前記組織カルチャー情報を理想と現状に分けて測定する処理に用いられる回答情報(111)である
ことを特徴とするデータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ構造に関する。さらに詳しく説明すると、本発明は、例えば、組織やユーザの組織カルチャーを測定する処理に用いられるデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、組織の構成員に対して、アンケートが実施され、その回答から従業員の状態を分析することが可能な分析装置が普及し、例えば、会社等が従業員に対して実施している。例えば、複数のサーベイ設問に対する構成員の回答から得点を取得し、現場や人事が自ら組織を強化し開発していくことを可能とする組織開発支援システム、組織開発支援方法、及びプログラムの技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-18152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、会社等の組織が、ビジョンや目標を達成するためには、その組織がどのような組織カルチャーを有しているのかを把握をする必要が研究されている。組織は、組織カルチャーが形成されていないと、組織におけるビジョンや目標を達成するための行動に差が生じ、メンバー間での衝突やコミュニケーションコストが増大等の問題点が生じる。また、組織は、組織カルチャーが形成されていないと、数字やルールで統制を取る必要が生じ、エンゲージメントの低下や社員の自立性が減少するという問題が生じる。しかし、特許文献1に記載された技術では、組織やユーザの組織カルチャーを測定するためのデータ構造を備えていないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような社会的、技術的背景に基づいたものであり、次のような目的を達成する。本発明は、組織やユーザの組織カルチャーを測定する処理に用いられるデータ構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
(1)請求項1のデータ構造は、制御部、記憶部及び出力部を備える組織カルチャーサーベイ装置に用いられ、前記記憶部に記憶されるデータ構造であって、前記サーベイの回答者となる組織に属するユーザを識別するユーザ情報(108)と、前記ユーザが前記組織において、事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動を、前記ユーザ又は前記組織の組織カルチャーとして前記出力部で出力する組織カルチャー情報(114)と、前記組織カルチャーに関する前記サーベイに対して、前記ユーザが段階で回答した第一段階情報を含む回答情報(111)であって、前記制御部が前記記憶部から取得して、前記組織カルチャー情報を測定する処理に用いられる回答情報(111)とを備えることを特徴とするデータ構造。
(2)請求項2のデータ構造は、請求項1のデータ構造であって、前記組織カルチャー情報は、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動であることを特徴とするデータ構造。
(3)請求項3のデータ構造は、請求項2のデータ構造であって、前記第一段階情報は、前記組織における前記ユーザの行動を示す複数の因子に応じた段階で回答された情報であって、前記組織カルチャー情報は、前記回答情報から測定された前記因子毎の度合を示す組織カルチャー形成度合(114a、114b)を含むことを特徴とするデータ構造。
(4)請求項4のデータ構造は、請求項3のデータ構造であって、前記出力部に出力された前記回答情報に応じて、前記ユーザの入力により前記第一段階情報を更新した第二段階情報を含む優先度情報であって、前記制御部が前記記憶部から取得して、前記ユーザが前記組織において、ビジョンや目標を達成する中で、優先されている行動を前記組織カルチャー形成度合として測定する処理に用いられる優先度情報(112)とことを特徴とするデータ構造。
(5)請求項5のデータ構造は、請求項3のデータ構造であって、 前記回答情報及び/又は前記優先度情報の因子は、日々の活動の中で、リスクを取って挑戦をしたり、革新性を求めて行動する傾向である挑戦志向情報、環境変化による機会やリスクの発生を敏感に感じとり、柔軟かつ迅速に対応する傾向である適応性情報、業務を遂行するにあたり、メンバー同士が力を合わせてチームとして活動する傾向であるチーム志向情報、メンバーの共通認識の中で、活動において「顧客への提供価値の最大化」を心がける傾向である顧客志向情報、細部に対して高い精巧さや期待、そして緻密な活動が求められる傾向である質のこだわり情報、正直であり、言行一致している傾向である一貫性情報、メンバーの個性や多様性を重視している傾向である多様性情報、日々の活動において、成果を重視している傾向である業績志向情報の少なくとも一つに分類されていることを特徴とするデータ構造。
(6)請求項6のデータ構造は、請求項1~5のデータ構造であって、前記回答情報は、複数の組織の前記ユーザに対して理想と現状を回答させるサーベイに対する回答であって、前記制御部が複数の組織の前記組織カルチャー情報を理想と現状に分けて測定する処理に用いられる回答情報(111)であることを特徴とするデータ構造。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明は、組織やユーザの組織カルチャーを測定する処理に用いられるデータ構造を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】組織カルチャー分析装置1が提供するサービスの概要を示す図である。
図2】組織カルチャー分析システムで使用される端末の構成を示すブロック図である。
図3】従業員情報108の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図4】因子情報109の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図5】質問情報110の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
【0009】
図6】回答情報111の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図7】優先情報112の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図8】平均値・合意形成度合113の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図9】組織カルチャー情報114の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。
図10】組織カルチャー学習処理の手順を説明するためのシーケンスチャートである。
【0010】
図11】回答情報受付の一例を示した図である。
図12】オブジェクト出力処理・制限出力処理の一例を示した図である。
図13】オブジェクト移動処理の一例を示した図である。
図14】優先度情報受付処理の一例を示した図である。
図15】組織カルチャー形成度合推定モデルが学習する状態を示す図である。
【0011】
図16】組織カルチャー分析処理の手順を説明するためのシーケンスチャートである。
図17】ユーザA、B、Cの回答情報から出力されたオブジェクトを示す図である。
図18】ユーザA、B、Cがオブジェクトを並べ替えた状態を示す図である。
図19】組織カルチャー形成度合推定モデルから組織カルチャー形成度合を予測する状態を示す図である。
図20】組織カルチャー形成度合を出力した状態を示す図である。
図21】組織カルチャーを比較した比較図である。
図22】組織カルチャーを比較した比較図である。
図23】組織カルチャーを比較した比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の情報分析装置について、従業員を回答者としてアンケートを行う会社に適用した場合の実施形態を例に、図1図23を参照して詳細に説明する。
〔実施形態の概要〕
本実施形態のデータ構造は、制御部、記憶部及び出力部を備える組織カルチャーサーベイ装置に用いられ、前記記憶部に記憶されるデータ構造である。
組織カルチャーサーベイ装置に用いられるデータ構造は、サーベイの回答者となる組織に属するユーザを識別するユーザ情報を備える。
組織カルチャーサーベイ装置に用いられるデータ構造は、前記ユーザが前記組織において、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動を、前記ユーザ又は前記組織の組織カルチャーとして前記出力部で出力する組織カルチャー情報を備える。
更に、組織カルチャーサーベイ装置に用いられるデータ構造は、 組織カルチャーに関する前記サーベイに対して、前記ユーザが段階で回答した第一段階情報を含む回答情報であって、前記制御部が前記記憶部から取得して、前記組織カルチャー情報を測定する処理に用いられる回答情報を備える。
本実施の形態のデータ構造は、組織やユーザの組織カルチャーを測定する処理に用いることができる。
【0013】
〔実施形態の詳細〕
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、組織カルチャー分析装置1が提供するサービスの概要を示す図である。本発明の第一実施形態の組織カルチャー分析システムWは、組織カルチャー分析装置1が、組織に属するユーザである従業員A、B、Cから回収したサーベイの回答を分析して、組織や従業員A、B、Cの組織カルチャーを分析するためのシステムである。組織カルチャー分析システムWは、例えば、組織カルチャー分析装置1、人事端末2、従業員端末3a、3b、3cとがインターネット等の通信ネットワークを介して接続されて構成されている。通信ネットワークは、例えば、インターネットを用いて構成されており、SSL(Secure Sockets Layer)などの適当な暗号プロトコルを用いて外部から秘匿された通信を行うことができる。また、これらの装置や端末は、インターネットを介して接続されるため、立地の制約を受けずに、国境を越えて世界中の人や法人が利用することができる。
【0014】
〔組織カルチャー分析システムW〕
図2は、組織カルチャー分析システムWで使用される端末の構成を示すブロック図である。組織カルチャー分析システムWは、組織カルチャー分析装置1、人事端末2、及び従業員端末3とから構成されている。
【0015】
〔組織カルチャー分析装置1〕
組織カルチャー分析装置1は、サーベイの質問の提供、サーベイの回答の受け付け、回答の集計、回答の分析をするサーバ等の装置である。組織カルチャー分析装置1は、例えば、メインシステム、集計システム及び分析システムの3つのシステムを別々のサーバにより構成しても良いし、単一の装置構成で実現しても良いし、複数の装置に分散したシステム構成でも良い。また、組織カルチャー分析装置1は、一定の機能(処理)を一定の装置に担当させたり、3つのシステムのどの機能(処理)をどの装置に担当させるかを自由に変更できるようにしても良い。
【0016】
組織カルチャー分析装置1は、サーベイ支援サーバとして機能するサーバ装置であって、組織の従業員に対して、サーベイを定期的に実施する機能を提供する。組織カルチャー分析装置1は、集計した回答に応じて、組織カルチャーを推定する組織カルチャー推定モデルを生成する。組織カルチャー分析装置1は、組織において一定の権限を有する者(例えば、人事T)の要求に応じて、回答の集計や、回答の分析を実施させる機能を提供する。また、組織カルチャー分析装置1は、集計結果や、分析結果に応じて、組織の組織カルチャーを出力する機能を提供する。組織カルチャー分析装置1は、サーベイを実施する組織内に設置されても良いし、組織カルチャー分析システムWを提供するサービス会社が管理するASP(Application Service Provider)やクラウド内に設置されていても良い。
【0017】
図2(a)は、組織カルチャー分析装置1のハードウェア的な構成を説明するためのブロック図である。組織カルチャー分析装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、通信制御部104、入力部105、出力部106及び記憶部107などがバスラインで接続されて構成されている。CPU101は、中央処理装置であって、記憶部107が記憶するサーベイ支援プログラム(図示せず)に従って動作し、従業員の登録、従業員への質問の提供、回答の回収、集計要求、分析要求、進捗管理等の情報処理を行う。
【0018】
RAM102は、読み書きが可能なメモリであって、CPU101が実行する各処理を行う際のワーキングメモリを提供する。ROM103は、読み出し専用のメモリであって、CPU101を動作させるための基本的なプログラムやパラメータを記憶している。通信制御部104は、組織カルチャー分析装置1をインターネットに接続する。組織カルチャー分析装置1は、通信制御部104を介して、人事端末2、従業員端末3a、3b、3c等と通信することができる。
【0019】
入力部105は、外部からデータを入力するデバイスであって、キーボードにより入力を受け付けるハードキー、所定の画像を読み込む外部カメラや、ソフトキーによるデータ入力を受け付けるタッチパネル等を備えている。
出力部106は、メニュー画面、集計結果の画像、分析結果の画像、印刷に係る画像等を表示する液晶ディスプレイや、指示や警告音を発するスピーカなどを備えている。記憶部107は、ハードディスクやソリッドステートドライブなどの大容量の記憶媒体を用いて構成されており、サーベイ支援プログラム(図示せず)をはじめとするの各種プログラムを記憶している。また、記憶部107は、従業員情報108、因子情報109、質問情報110、回答情報111、優先度情報112、平均値・合意形成度合113、組織カルチャー情報114等のデータベースを記憶している。さらに、記憶部107は、学習モデルとして、組織カルチャー推定モデル120を記憶している。
【0020】
組織カルチャー推定モデル120は、機械学習において、回答情報及び/又は優先度情報を入力とし、組織カルチャーを出力とする学習モデルで構成された測定手段である。また、機械学習が行われた組織カルチャー推定モデル120は、所定の組織の回答情報及び/又は優先度情報を入力することで、組織カルチャーを出力する予測手段でもある。組織カルチャー推定モデル120は、本実施形態では、例えば、因子分析、ベイズ統計(ベイジアンネットワークや情報量理論)、クラスタリング等より構築された学習モデルに従って機械学習が行われる。
【0021】
組織カルチャーとは、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動や優先されている行動であり、ユーザ毎の回答情報や優先度情報から導き出される情報である。組織は、組織カルチャーが形成されていないと、組織におけるビジョンや目標を達成するための行動に差が生じ、メンバー間での衝突やコミュニケーションコストが増大等の問題点が生じる。また、組織は、組織カルチャーが形成されていないと、数字やルールで統制を取る必要が生じ、エンゲージメントの低下や社員の自立性が減少するという問題が生じる。例えば、研究開発に属する従業員A、B、Cの優先度情報112を組織カルチャー推定モデル120に入力することで、研究開発の組織カルチャーを取得することができる。組織において、一定の権限を有する者は、可視化された組織カルチャーを見ることで、研究開発が8つの因子の中で、現在どの因子を重要視しているのか、また、どの因子を理想としているのかを確認できる。
【0022】
〔人事端末2〕
人事端末2は、人事Tによるサーベイの実施登録や、サーベイを実施する対象者の決定や、サーベイの配信日時等の設定を行うために使用される端末である。人事端末2を構成するCPU201、RAM202、ROM203、通信制御部204、入力部205、出力部206及び記憶部207は、組織カルチャー分析装置1のCPU101、RAM102、ROM103、通信制御部104、入力部105、出力部106及び記憶部107とほぼ同様の構成なので、詳細な説明は省略する。
【0023】
人事端末2は、ブラウザやサーベイ管理用の専用アプリケーションソフトウェア209を備えたパーソナルコンピュータ等で構成されている。人事Tは、組織カルチャー分析システムWが分析の対象としている会社の従業員であり、人事を担当する部署で組織カルチャー分析システムWを管理する権限を与えられた者である。人事端末2は、一定の権限が付与されており、組織カルチャー分析装置1にアクセスして、サーベイの集計結果や分析結果の閲覧等をすることができる。また、人事端末2は、過去に行われたサーベイの集計結果や分析結果と、今回行われたサーベイの集計結果や分析結果とを比較して閲覧することができる。さらに、人事端末2は、一の部署で行われたサーベイの集計結果や分析結果と、他の部署で行われたサーベイの集計結果や分析結果とを比較して閲覧することができる。
【0024】
〔従業員端末3〕
従業員端末3は、サーベイの回答を入力するため回答情報入力装置であり、サーベイの回答を所定のオブジェクトで出力する回答情報出力装置であり、従業員A、B、C毎に従業員端末3a、3b、3cが用意されている。従業員端末3は、ブラウザやサーベイ回答用の専用アプリケーションソフトウェア209を備えたパーソナルコンピュータ等で構成されている。従業員A、B、Cは、組織カルチャー分析システムWが分析の対象としている会社の従業員である。従業員端末3a、3b、3cは、アクションプランの閲覧、設定、評価等を行うためにも使用される。なお、従業員端末3は、会社の管理者(例えば、マネージャー等)として一定の権限を有する従業員が利用する端末だけに、一定の権限が付与され、組織カルチャー分析装置1にアクセスして、サーベイ結果の分析や分析結果の閲覧等できても良いし、全ての端末で閲覧できても良い。
【0025】
〔従業員情報108〕
図3は、従業員情報108の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。なお、この図は説明のための一例であって、実際の従業員情報108は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0026】
従業員情報108は、「従業員番号」、「従業員名」、「職種」、「所属部署」、「役職」、「入社年月日」、「年齢」、「生年月日」等の項目から構成されている。「従業員番号」は、組織カルチャー分析装置1に登録された会社の従業員を一意に識別する項目であって、入力された氏名毎に付与された一意のID情報が登録されている。「従業員名」は、組織カルチャー分析装置1に会社の従業員の氏名を登録する項目であって、入力された氏名が登録されている。
氏名に関しては、日本語による国内向けのものと、外国語による海外向けの両方を登録することができる。「職種」は、組織カルチャー分析装置1に会社の従業員の職業の種類である職種を登録する項目であって、入力された職種が登録されている。「所属部署」は、組織カルチャー分析装置1に会社の従業員が所属している部署を登録する項目であって、入力された所属部署が登録されている。「役職」は、組織カルチャー分析装置1に会社の従業員の役割である役職を登録する項目であって、入力された役職が登録されている。
【0027】
「入社年月日」、「年齢」及び「生年月日」は、組織カルチャー分析装置1に登録された会社の従業員の個人情報を登録する項目であって、本例においては、人事Tが所定の方式で入力された従業員のそれぞれの個人情報が登録されている。この他に、従業員情報108に登録されている従業員情報に関するものには、従業員の顔写真や自己紹介(プロフィール)、組織カルチャー分析装置1の事業者にシステム使用料などを支払うためのクレジットカード情報、個人ウェブサイト(ホームページ)のURL(Uniform Resource Locator)、SNS(Social Networking Service)のアドレス等がある。
【0028】
〔因子情報109〕
図4は、因子情報109の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。なお、この図は説明のための一例であって、実際の因子情報109は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0029】
因子情報109は、「因子番号」、「因子」等の項目から構成されている。「因子番号」は、組織カルチャー分析装置1に登録された因子を一意に識別する項目であって、入力された因子毎に付与された一意のID情報が登録されている。「因子」は、所定の基準に従って区分した8つの因子(キードライバー)を示す項目であって、「挑戦思考」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」に区分されて登録されている。
【0030】
「挑戦志向」は、日々の活動の中で、リスクを取って挑戦をしたり、革新性を求めて行動する傾向を示す因子である。「適応性」は、環境変化による機会やリスクの発生を敏感に感じとり、柔軟かつ迅速に対応する傾向を示す因子である。「チーム志向」は、業務を遂行するにあたり、メンバー同士が力を合わせてチームとして活動する傾向を示す因子である。「顧客志向」は、メンバーの共通認識の中で、活動において「顧客への提供価値の最大化」を心がける傾向を示す因子である。「質のこだわり」は、細部に対して高い精巧さや期待、そして緻密な活動が求められる傾向を示す因子である。「一貫性」は、正直であり、言行一致している傾向を示す因子である。「多様性」は、メンバーの個性や多様性を重視している傾向を示す因子である。「業績志向」は、 日々の活動において、成果を重視している傾向を示す因子である。
【0031】
〔質問情報110〕
図5は、質問情報110の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。なお、この図は説明のための一例であって、実際の質問情報110は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0032】
質問情報110は、「質問番号」、「質問内容」、「因子番号」等の項目から構成されている。「質問番号」は、組織カルチャー分析装置1に登録された質問を一意に識別する項目であって、入力された質問毎に付与された一意のID情報が登録されている。「質問内容」は、回答者となる従業員に対して配信する質問の項目であって、従業員の組織において、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動や優先されている行動を確認するための質問内容が登録されている。「因子番号」は、因子情報109で登録されている8つの因子に対応する因子番号を示す項目であって、質問内容に対応する因子毎の因子番号が登録されている。
【0033】
回答者に対して提示される質問内容は、従業員者が会社等の組織に対して、「挑戦思考」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」等の8つの因子に応じて形成され、何によって組織カルチャーを形成しているのかを示す組織カルチャー形成度合を測れる内容にしている。本例における質問情報110に登録される「質問内容」は、8つの因子を基準に2ずつの質問内容が形成され、全部で16の質問内容が形成されている。
【0034】
〔回答情報111〕
図6は、回答情報111の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。なお、この図は説明のための一例であって、実際の回答情報111は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0035】
回答情報111は、「回答者」、「質問番号」「第一段階情報」等の項目から構成されている。「従業員番号」は、組織カルチャー分析装置1がサーベイに回答した従業員を識別する項目であって、それぞれ、従業員情報108で登録された「従業員番号」が登録される。「質問番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問を識別する項目であって、それぞれ、質問情報110で登録された「質問番号」が登録される。「第一段階情報」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答したサーベイ毎の質問の段階を識別する項目であって、それぞれ、従業員端末3a、3b、3cから入力される値(1から5)が登録されている。なお、図6に示す回答情報111a、回答情報111b、回答情報111cは、オブジェクトの出力を模式的に表すもので、ぞれぞれ図17(a)、図17(b)、図17(c)に対応する。
【0036】
〔優先度情報112〕
図6は、回答情報111の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。なお、この図は説明のための一例であって、実際の優先度情報112は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0037】
優先度情報112は、「従業員番号」、「質問番号」「第二段階情報」等の項目から構成されている。「従業員番号」は、組織カルチャー分析装置1がサーベイに回答した従業員を識別する項目であって、それぞれ、従業員情報108で登録された「従業員番号」が登録される。「質問番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問を識別する項目であって、それぞれ、質問情報110で登録された「質問番号」が登録される。「第二段階情報」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答したサーベイ毎の質問の段階を識別する項目であって、それぞれ、サーベイ回答後に、従業員端末3a、3b、3cから従業員が「第一段階情報」を更新した値(1から5)が登録されている。
【0038】
なお、本例では、回答情報111と優先度情報112とは、説明の便宜上、別々のデータベースとして分けて説明をしている。これは、従業員が単にサーベイに回答した第一段階情報と、回答結果を並び替えた第二段階情報とをわかりやすく説明するためである。しかし、回答情報111と優先度情報112とを同じデータベースにして第一段階情報と第二段階情報を集めるようにしても良いことはいうまでもない。なお、図7に示す優先度情報112a、優先度情報112b、優先度情報112cは、並び替えられたオブジェクトの出力を模式的に表すもので、ぞれぞれ図18(a)、図18(b)、図18(c)に対応する。
【0039】
〔平均値・合意形成度合113〕
図8は、平均値・合意形成度合113の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。図8に示すように、平均値・合意形成度合113は、質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c、因子毎の合意形成度合113dで構成されている。なお、この図は説明のための一例であって、実際の平均値・合意形成度合113は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0040】
質問毎の平均値113aは、「質問番号」、「平均値」等の項目から構成されている。「質問番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問を識別する項目であって、それぞれ、質問情報110で登録された「質問番号」が登録される。「平均値」は、組織カルチャー分析装置1が、質問毎の優先度の平均値を識別する項目であって、それぞれ、優先度情報112に登録された、「質問番号」毎の「第二段階情報」の平均値が登録される。本例において、q0001「顧客の意見を聞く」の平均値には、優先度情報112に登録された、「従業員番号:123001」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:2」、「従業員番号:123002」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:3」、「従業員番号:123003」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:5」の平均値である「3.333333...」が登録されている。q0002~q0016も、同様に、優先度情報112に登録された、「質問番号」毎の「第二段階情報」の平均値が登録される。
【0041】
因子毎の平均値113bは、「因子番号」、「平均値」等の項目から構成されている。「因子番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問の因子を識別する項目であって、それぞれ、因子情報109で登録された「因子番号」が登録される。「平均値」は、組織カルチャー分析装置1が、因子毎の優先度の平均値を識別する項目であって、それぞれ、優先度情報112に登録された、「因子」毎の「第二段階情報」の平均値が登録されている。本例において、kw0001「挑戦志向」の平均値には、優先度情報112に登録された、「従業員番号:123001」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:5、1」、「従業員番号:123002」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:4、1」、「従業員番号:123003」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:2、3」の平均値である「2.666666...」が登録されている。kw0002~kw0016も、同様に、優先度情報112に登録された、「因子番号」毎の「第二段階情報」の平均値が登録されている。
【0042】
質問毎の合意形成度合113cは、「質問番号」、「合意形成度合」等の項目から構成されている。「質問番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問を識別する項目であって、それぞれ、質問情報110で登録された「質問番号」が登録される。「合意形成度合」は、組織カルチャー分析装置1が所定の組織に所属する従業員がその組織内で合意が形成されているかを判断する度合であって、それぞれ、優先度情報112に登録された、「質問番号」毎の「第二段階情報」を所定の式に代入することで得られる値が登録されている。
【0043】
本例において、q0001「顧客の意見を聞く」の合意形成度合には、優先度情報112に登録された、「顧客の意見を聞く」(質問番号:q0001)に対して、「従業員番号:123001」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:2」、「従業員番号:123002」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:3」、「従業員番号:123003」、「質問番号:q0001」に対応する「第二段階情報:5」を所定の式に代入することで得られる値である「0.010101...」が登録されている。q0002~q0016も、同様に、優先度情報112に登録された、「質問番号」毎の「第二段階情報」の合意形成度合が登録される。
【0044】
因子毎の合意形成度合113dは、「因子番号」、「合意形成度合」等の項目から構成されている。「因子番号」は、組織カルチャー分析装置1が従業員が回答した質問の因子を識別する項目であって、それぞれ、因子情報109で登録された「因子番号」が登録される。「合意形成度合」は、組織カルチャー分析装置1が所定の組織に所属する従業員がその組織内で合意が形成されているかを判断する度合であって、優先度情報112に登録された、「因子番号」毎の「第二段階情報」を所定の式に代入することで得られる値が登録されている。
【0045】
本例において、kw0001「挑戦志向」の合意形成度合には、優先度情報112に登録された、「従業員番号:123001」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:5、1」、「従業員番号:123002」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:4、1」、「従業員番号:123003」、「因子番号:kw0001」に対応する「第二段階情報:2、3」、を所定の式に代入することで得られる値である「0.222222...」が登録されている。kw0002~kw0016も、同様に、優先度情報112に登録された、「因子番号」毎の「第二段階情報」を所定の式に代入することで得られる値が合意形成度合として登録されている。
【0046】
〔組織カルチャー情報114〕
図9は、組織カルチャー情報114の論理的なデータベースの構成の一例を示した図である。図9に示すように、組織カルチャー情報114は、個人別平均値114a、組織カルチャー形成度合114bで構成されている。なお、この図は説明のための一例であって、実際の組織カルチャー情報114は、他のデータベース等と論理的に関係づけられたリレーショナルデータベースで構成されている。
【0047】
個人別平均値114aは、「従業員番号」と8つの因子である「挑戦志向」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」等の項目から構成されている。「従業員番号」は、組織カルチャー分析装置1がサーベイに回答した従業員を識別する項目であって、それぞれ、従業員情報108で登録された「従業員番号」が登録される。「挑戦志向」は、従業員毎の「挑戦志向」に対応する回答の平均値を識別する項目であって、回答情報111に登録された、「従業員番号」毎の「因子番号:kw001」に対応する「第一段階情報」の平均値が登録される。
【0048】
本例において、123001「従業員A」の挑戦志向には、回答情報111に登録された、「因子番号:kw001」に対応する「第一段階情報:5、2」の平均値である「3.5」が登録されている。同様に他の因子「挑戦志向」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」についても、回答情報111に登録された、従業員毎の「因子番号」に対応する「第一段階情報」の平均値が登録される。
【0049】
組織カルチャー形成度合114bは、「所属部署」と8つの因子である「挑戦志向」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」等の項目から構成されている。「所属部署」は、組織カルチャー分析装置1がサーベイに回答した従業員が所属する所属部署を識別する項目であって、組織カルチャー出力処理を要求した一定の権限を有する者(例えば、人事T)に入力された「所属部署」が登録される。8つの因子である「挑戦志向」、「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」には、「所属部署:研究開発」の組織カルチャー形成度合が登録される。
【0050】
本例において、「挑戦志向」の組織カルチャー形成度合には、因子毎の平均値113bに登録された、「kw0001:挑戦志向」の「平均値:2.6667」と、因子毎の合意形成度合113dに登録された、「kw0001:挑戦志向」の「合意形成度:0.22222...」とを組織カルチャー形成度合推定モデルに入力することで予測された「組織カルチャー形成度合:0.6」が登録される。「適応性」、「チーム志向」、「顧客志向」、「質のこだわり」、「一貫性」、「多様性」、「業務志向」も同様に、因子毎の平均値113bに登録された、「因子番号」毎の「平均値」と、因子毎の合意形成度合113dに登録された、「因子番号」毎の「合意形成度」とを組織カルチャー形成度合推定モデルに入力することで予測された「組織カルチャー形成度合」がそれぞれ登録される。
【0051】
〔組織カルチャー分析システムWの動作〕
次に、以上のように構成された組織カルチャー分析システムWの動作について説明する。以下に説明する各種処理の動作は、組織カルチャー分析装置1のCPU101、人事端末2のCPU201及び従業員端末3のCPU301等が、それぞれの記憶部107、207、307に保存された各種プログラムを実行することにより実現される。なお、人事Tは、人事端末2を使用して予め組織カルチャー分析システムWを使用するために、システム登録要求、ID・PWの付与、従業員情報の登録、配信タイミングの設定等の事前準備を実行しておくと良い。
【0052】
〔組織カルチャー学習処理〕
図10は、組織カルチャー分析装置1が組織カルチャー学習処理をする手順を説明するためのシーケンスチャートである。組織カルチャー学習処理は、提供されたサーベイに応じた回答情報111、優先度情報112を分析することで回答情報及び/又は優先度情報と組織カルチャーの関係性を得る学習フェーズである。組織カルチャー学習処理は、組織カルチャー分析装置1側では、サーベイ提供SC01、回答情報・優先度情報受信SC10、学習SC11、学習結果記憶SC12の各処理によって実行される。組織カルチャー学習処理は、従業員端末3側では、サーベイ受信SC02、サーベイ出力SC03、回答情報受付SC04、オブジェクト出力SC05、制限出力SC06、オブジェクト移動SC07、優先度情報受付SC08、回答情報・優先度情報送信SC09の各処理によって実行される。
【0053】
なお、図1及び図10においては、従業員は3人の場合で説明をしているが、学習モデル生成には、より多くの組織や組織の従業員の回答情報111や優先度情報112が必要である。このため、サーベイ提供SC01~学習結果記憶SC12の処理は、多くの組織や従業員(例えば、図15に示すように「000001」~「123003」)に対して実行していると仮定して説明する。
【0054】
〔サーベイ提供SC01〕
サーベイ提供SC01は、組織カルチャー分析装置1が従業員端末3にサーベイを送信する処理である(図10参照)。CPU101は、現在時刻がサーベイ提供の時期に到達したか否か監視をする。すなわち、CPU101は、組織カルチャー分析装置1に備えられた時計から現在時刻を取得し、現在時刻がサーベイ提供時期データベースに登録されたサーベイ提供時期の監視をする。現在時刻がサーベイ提供の時期に到達すると、CPU101は、質問情報110から、回答情報受付画面データをRAM102に生成し、サーベイがある旨を従業員端末3に送信する。本例において、CPU101は、従業員端末3に対して、サーベイがある旨とそのサーベイの回答情報受付画面に遷移するURLをメールに記載して、従業員に通知する。
【0055】
なお、組織カルチャー分析装置1は、回答情報受付画面に遷移するURLを、メール以外のチャットボットやSNS等で従業員端末3に通知してもよい。このように、組織カルチャー分析装置1は、質問情報110を、回答者毎の従業員端末に提示するサーベイ提供手段を備えている。
【0056】
〔サーベイ受信SC02、サーベイ出力SC03〕
サーベイ受信SC02は、従業員端末3がサーベイを受信する処理であり、サーベイ出力SC03は、従業員端末3が受信したサーベイを出力する処理である(図10参照)。従業員端末3によってメールに記載されたURLが選択されると、従業員端末3のCPU301は、組織カルチャー分析装置1に回答情報受付画面データの要求を送信する。また、CPU101は、当該要求を受けると、従業員A、B、Cの回答情報受付画面データを従業員端末3に送信する。従業員端末3のCPU301は、組織カルチャー分析装置1から従業員A、B、C毎の回答情報受付画面データを受信するとRAM302に記憶し、これを用いて出力部306に従業員A、B、C毎の回答情報受付画面を表示する(図11参照)。このように、従業員端末3は、質問情報110を受信するサーベイ受信手段と、質問情報110に応じた回答情報受付画面を表示するサーベイ出力手段を備えている。
【0057】
〔回答情報受付SC04〕
図11は、回答情報受付画面の一例を示した図である。回答情報受付画面は、組織カルチャー分析装置1が従業員端末3に送信する質問に対して、従業員が回答の入力を行う画面である。ここで入力した内容に応じて、RAM302に記憶される回答情報111が決定する(図6参照)。サーベイ出力欄1101は、回答者毎に質問情報が出力される欄である。回答入力欄1102は、サーベイ出力欄1101に出力された質問に応じて従業員が入力する欄である。回答入力欄1102は、選択された質問の回答から、従業員が組織において、ビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動を決めるデータを段階で入力する欄である。
【0058】
本実施形態では、回答入力欄は、「全く当てはまらない」から「とても当てはまる」の5段階がボタン1102a~1102eの選択により入力可能であるが、それ以外(5以下、5以上)のランクを設定するようにしてもよい。従業員は、従業員端末3の入力部305からボタン1102a~1102eを選択する。従業員端末3のCPU301は、従業員A、B、Cが回答情報受付画面から回答を入力すると、これをRAM302に記憶する。なお、入力された回答は、選択されたボタン1102a~1102eに応じて、例えば、従業員端末3の記憶部307に保存されている変換用データに従って数値化される(例えば、ボタン1102a=1、ボタン1102b=2、ボタン1102c=3、ボタン1102d=4、ボタン1102e=5等)。
【0059】
従業員が全てのサーベイに回答して、例えば、入力に間違いがないか等のOKボタン(図示せず)が選択されると、従業員端末3のCPU301は、図6に示すように、回答情報111としてRAM302に記憶する。このように、従業員端末3は、回答情報111を受け付ける回答情報受付手段を備えている。そして、従業員端末3のCPU301は、出力部306にオブジェクト出力画面と制限出力画面を表示する(図12参照)。
【0060】
〔オブジェクト出力SC05〕
図12は、オブジェクト出力画面、制限出力画面の一例を示した図である。
オブジェクト出力画面は、従業員端末3が、サーベイの質問の内容をそれぞれ一のオブジェクトとして移動自在に出力し、回答情報111の第一段階情報に入力された段階毎にオブジェクトを積み重ねて出力する画面である。
本実施形態では、オブジェクト出力画面には、第一エリア121~第五エリア125が配置されている。
【0061】
第一エリア121には、回答情報受付画面で、1の段階を選択した、質問の内容がオブジェクトとして積み重ねられている。本例において、第一エリア121には、回答情報111(図6参照)で第一段階情報が1である「q0005」の質問の内容がオブジェクトとして、積み重ねられている。第二エリア122には、回答情報受付画面で、2の段階を選択した、質問の内容がオブジェクトとして積み重ねられている。
本例において、第二エリア122には、回答情報111(図6参照)で第一段階情報が2である「q0001」、「q0002」、「q0008」、「q00015」の質問の内容がオブジェクトとして、積み重ねられている。
【0062】
第三エリア123には、回答情報受付画面で、3の段階を選択した、質問の内容がオブジェクトとして積み重ねられている。本例において、第三エリア123には、回答情報111(図6参照)で第一段階情報が3である「q0004」、「q0011」、「q0012」、「q00013」の質問の内容がオブジェクトとして、積み重ねられている。第四エリア124には、回答情報受付画面で、4の段階を選択した、質問の内容がオブジェクトとして積み重ねられている。本例において、第四エリア124には、回答情報111(図6参照)で第一段階情報が4である「q0003」、「q0007」、「q0009」の質問の内容がオブジェクトとして、積み重ねられている。
【0063】
第五エリア125には、回答情報受付画面で、5の段階を選択した、質問の内容がオブジェクトとして積み重ねられている。本例において、第五エリア125には、回答情報111(図6参照)で第一段階情報が5である「q0006」、「q0010」、「q0014」「q0016」の質問の内容がオブジェクトとして、積み重ねられている。従業員端末3は、質問の内容がオブジェクトとして、回答した段階毎に積み重ねて出力する回答情報出力方法を実現する回答情報出力プログラムを備えている。このように、従業員端末3は、オブジェクト出力画面を生成するオブジェクト出力手段を備えている。
【0064】
〔制限出力SC06〕
図12は、オブジェクト出力画面、制限出力画面の一例を示した図である。制限出力画面は、サーベイの質問に対して、測定目的に応じて、段階毎に積み重ねることができるオブジェクトの制限を出力する画面である。本実施形態では、制限出力画面には、第一エリア121~第五エリア125に応じて、破線で記載された制限エリア126が配置されている。制限エリア126は、第一エリア121及び第五エリア125を、オブジェクトが2つだけ積み重ねられるように制限している。制限エリア126は、第二エリア122、第三エリア123及び第四エリア124を、オブジェクトが3つだけ積み重ねられるように制限している。制限エリア126は、オブジェクトが、左右対称な正規分布に積み重ねられるように制限を出力している。このように、従業員端末3は、制限出力画面を生成する制限出力手段を備えている。
【0065】
〔オブジェクト移動SC07〕
図13は、オブジェクト移動画面の一例を示した図である。オブジェクト移動画面は、従業員端末3が、従業員の操作に応じて、積み重ねられているオブジェクトを移動させる画面である。本例において、図13に示すように、第五エリア125に積み重ねられている「q0016」の質問の内容のオブジェクトが、カーソルで第四エリアと第五エリアの間に移動されている。従業員端末3が、タブレットやスマートフォンの場合には、タッチ操作で移動ができる。オブジェクト移動画面において、制限エリア126にオブジェクトが収められていない場合には、OKボタン127のコントラストが下げられ、OKボタン127は押せない状態になっている。
このように、従業員端末3は、従業員の操作に応じて、オブジェクトを移動させるオブジェクト移動手段を備えている。
【0066】
〔優先度情報受付SC08〕
図14は、優先度情報受付画面の一例を示した図である。優先度情報受付画面は、従業員が入力した質問の回答に優先度を付けた入力を行う画面である。従業員が並び替えた段階に応じて、RAM302に記憶される優先度情報112が決定する(図6参照)。優先度情報受付画面において、制限エリア126にすべてのオブジェクトが収められた場合には、OKボタン127のコントラストが上げられ、OKボタン127は押せる状態になる。従業員が制限エリア126内に全てのオブジェクトを収めて、OKボタンが選択されると、従業員端末3のCPU301は、図7に示すように、優先度情報112としてRAM302に記憶する。このように、従業員端末3は、優先度情報112を受け付ける優先度情報受付手段を備えている。従業員端末3や組織カルチャー分析装置1は、回答情報111だけでなく、従業員がより優先すべきと判断した因子が何であるかを判断できる優先度情報112を取得することができる。
【0067】
〔回答情報・優先度情報送信SC09〕
回答情報・優先度情報送信SC09は、従業員端末3から組織カルチャー分析装置1に回答情報111と優先度情報112を送信する処理である(図10参照)。従業員によって、優先度受付画面において、OKボタン127が選択されると、従業員端末3のCPU301は、RAM302に記憶した回答情報111と優先度情報112を組織カルチャー分析装置1に送信する。このように、従業員端末3は、回答情報111と優先度情報112とを送信する回答情報・優先度情報送信手段を備えている。
【0068】
〔回答情報・優先度情報受信SC10〕
回答情報・優先度情報受信SC10は、従業員端末3から回答情報111と優先度情報112を送信する処理である(図10参照)。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、従業員端末3aから回答情報111と優先度情報112を受信すると、これを記憶部107に記憶する。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、受信した回答情報111と優先度情報112とから質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c、因子毎の合意形成度合113dを導き、これを平均値・合意形成度合113として記憶部107に記憶する。このように、組織カルチャー分析装置1は、回答情報111と優先度情報112とを受信する回答情報・優先度情報受信手段を備えている。
【0069】
〔学習SC11〕
学習SC11は、組織カルチャー分析装置1が組織カルチャーを学習する処理であり、組織カルチャーを推定する組織カルチャー推定モデル120を生成する処理である(図10参照)。図15は、組織カルチャー形成度合推定モデルが学習する状態を示す図である。組織カルチャー推定モデル生成処理は、入力データである回答情報111及び/又は優先度情報112と出力データである組織カルチャー形成度合114bとの関係性を得る学習フェーズである。
【0070】
CPU101は、組織カルチャー分析装置1の要求に応じて、又は、所定のタイミングで、回答情報111及び/又は優先度情報112に格納された全ての従業員の履歴回答情報及び/又は全ての従業員の履歴優先度情報を組織カルチャー推定モデルに入力する。組織カルチャー推定モデルは、入力された全ての従業員の履歴回答情報及び/又は全ての従業員の履歴優先度情報を分析することで、回答情報111及び/又は優先度情報112と組織カルチャー形成度合の関係性を得る。
【0071】
組織カルチャー推定モデルは、このような学習フェーズを経ることで、組織カルチャー形成度合に関するモデル(組織カルチャー形成度合推定モデル)を獲得する、すなわち全ての従業員の回答情報111及び/又は優先度情報112と組織カルチャー形成度合の関係性を表現するパラメータを獲得する。
組織カルチャー推定モデルは、このような組織カルチャー形成度合に関するモデルを獲得することで、所定の組織の従業員の回答情報111及び/又は優先度情報112から一定の基準で組織カルチャー形成度合の予測が行えるようになる。
【0072】
このように、組織カルチャー分析装置1は、所定の学習フェーズを得ることで、事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動である組織カルチャーを組織カルチャー情報として測定する測定手段を備えている。組織カルチャー分析装置1の測定手段は、回答情報111や優先度情報112から因子毎又は項目(質問)の度合を示す組織カルチャー形成度合を測定できる。また、組織カルチャー分析装置1の測定手段は、予測するための値(説明変数)として、優先度情報112から得られる質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c及び因子毎の合意形成度合113dを入力データとして用いることで、従業員が組織において、ビジョンや目標を達成する中で、優先されている行動を組織カルチャー形成度合として測定できる。
【0073】
さらに、組織カルチャー分析装置1は、全ての従業員の回答情報111及び/又は優先度情報112を教師データとして用い、全ての従業員の回答情報111及び/又は優先度情報112と組織カルチャー形成度合の関係性を表現するパラメータを推定する推定モデルを機械学習により生成する組織カルチャー形成度合推定モデル生成手段を備えている。
【0074】
〔学習結果記憶SC12〕
学習結果記憶SC12は、組織カルチャー分析装置1が学習S11で得られた測定手段を記憶する処理である(図10参照)。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、学習S11で得られた測定手段として組織カルチャー推定モデル(組織カルチャー形成度合推定モデル)を記憶部107記憶する。このように、組織カルチャー分析装置1は、測定手段(組織カルチャー推定モデル、組織カルチャー形成度合推定モデル)を記憶する学習結果記憶手段を備えている。
【0075】
〔組織カルチャー分析処理〕
図16は、組織カルチャー分析装置1が組織カルチャー分析処理をする手順を説明するためのシーケンスチャートである。組織カルチャー分析処理は、提供されたサーベイに応じた回答情報111、優先度情報112を分析することで組織の組織カルチャーを得る分析フェーズである。組織カルチャー分析処理は、組織カルチャー分析装置1側では、サーベイ提供時期受信S103、サーベイ提供SC104、回答情報・優先度情報受信SC113、測定SC114、測定結果送信SC115の各処理によって実行される。
【0076】
組織カルチャー分析処理は、人事端末2側では、サーベイ提供時期入力S101、サーベイ提供時期送信SC102、測定結果受信SC116、測定結果出力SC117の各処理によって実行される。組織カルチャー分析処理は、従業員端末3側では、サーベイ受信SC105、サーベイ出力SC106、回答情報受付SC107、オブジェクト出力SC108、制限出力SC109、オブジェクト移動SC110、優先度情報受付SC111、回答情報・優先度情報送信SC112の各処理によって実行される。なお、本例において、組織カルチャー分析処理は、ある会社の研究開発の職種に所属する従業員3人の場合で説明をしている。
【0077】
〔サーベイ提供時期入力SC101〕
サーベイ提供時期入力SC101は、人事Tが人事端末2を利用してサーベイ提供時期を入力する処理である(図16参照)。 人事端末2のCPU201は、人事Tがマイページ画面で、例えばサーベイ提供時期入力ボタンを選択すると、組織カルチャー分析装置1に対してサーベイ提供時期入力画面データの要求を送信する。CPU101は、当該要求を受信すると、サーベイ提供時期入力画面データを生成して人事端末2に送信する。人事端末2のCPUは、組織カルチャー分析装置1からサーベイ提供時期入力画面データを受信すると、これをRAM202に記憶する。そして、当該記憶したサーベイ提供時期入力画面データを用いて出力部206にサーベイ提供時期入力画面を表示する。
【0078】
サーベイ提供時期入力画面には、例えば、サーベイ提供時期データベースに登録するための「配信頻度」、「配信タイミング」、「回答期間」、「自動リマインド」、「初回全項目配信」等の項目が入力可能に表示されている。人事端末2のCPU201は、人事Tがサーベイ提供時期入力画面からサーベイ提供時期を入力すると、これをRAM202に記憶する。このように、人事端末2は、サーベイ提供時期を人事Tに入力させるサーベイ提供時期入力手段を備えている。
【0079】
〔サーベイ提供時期送信SC102〕
サーベイ提供時期送信SC102は、人事Tが入力したサーベイ提供時期を組織カルチャー分析装置1に送信する処理である(図16参照)。人事Tによって、サーベイ提供時期入力画面の登録ボタンが選択されると、人事端末2のCPU201は、RAM202に記憶したサーベイ提供時期を組織カルチャー分析装置1に送信する。このように、人事端末2は、サーベイ提供時期を組織カルチャー分析装置1に送信するサーベイ提供時期送信手段を備えている。
【0080】
〔サーベイ提供時期受信S103〕
サーベイ提供時期受信SC103は、組織カルチャー分析装置1が人事端末2からサーベイ提供時期を受信する処理である(図16参照)。 組織カルチャー分析装置1は、人事端末2からサーベイ提供時期を受信すると、所定の項目をサーベイ提供時期データベースに登録する。このように、組織カルチャー分析装置1は、人事端末2からアンケートの配信の情報であるサーベイ提供時期を受信して登録するサーベイ提供時期受信手段を備えている。なお、組織カルチャー分析装置1が実行するサーベイ提供SC104(図16参照)は、サーベイ提供SC01(図10参照)と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
従業員端末3が実行するサーベイ受信SC105、サーベイ出力SC106、回答情報受付SC107、オブジェクト出力SC108、制限出力SC109、オブジェクト移動SC110、優先度情報受付SC111、回答情報・優先度情報送信SC112(図16参照)は、サーベイ受信SC02、サーベイ出力SC03、回答情報受付SC04、オブジェクト出力SC05、制限出力SC06、オブジェクト移動SC07、優先度情報受付SC08、回答情報・優先度情報送信SC09(図10参照)と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0082】
組織カルチャー分析処理において、従業員Aが、回答情報受付SC107に従って入力した回答は、図6に示すように、回答情報111の「従業員番号:123001」箇所の「第一段階情報」として、従業員端末3aのRAM302に登録されている。従業員端末3aは、回答情報111(回答情報111(a))に応じて、図17(a)に示す、オブジェクト出力画面を従業員Aの端末に出力する。
【0083】
組織カルチャー分析処理において、従業員Bが、回答情報受付SC107に従って入力した回答は、図6に示すように、回答情報111の「従業員番号:123002」箇所の「第一段階情報」として、従業員端末3bのRAM302に登録されている。従業員端末3bは、回答情報111(回答情報111(b))に応じて、図17(b)に示す、オブジェクト出力画面を従業員Bの端末に出力する。
【0084】
組織カルチャー分析処理において、従業員Cが、回答情報受付SC107に従って入力した回答は、図6に示すように、回答情報111の「従業員番号:123003」箇所の「第一段階情報」として、従業員端末3cのRAM302に登録されている。従業員端末3cは、回答情報111(回答情報111(c))に応じて、図17(c)に示す、オブジェクト出力画面を従業員Cの端末に出力する。
【0085】
組織カルチャー分析処理において、従業員Aが、オブジェクト移動S110に従ってオブジェクトを移動させた結果は、図18(a)に示す通りである。並べ替えられたオブジェクトに応じて、従業員端末3aは、優先度情報112の「従業員番号:123001」箇所の「第二段階情報」をRAM302に登録する(図7参照)。優先度情報受付S111を経ることで、従業員Aはより優先している行動を優先度情報112として入力できる。つまり、従業員Aは、回答段階で17(a)に示すように、4つの項目に対して「良く当てはまる」(段階:5)を選択しているが、優先度情報受付S111を経ることで、「良く当てはまる」(段階:5)を2つに絞り込めている。また、従業員Aは、優先度情報受付S111を経ることで、18(a)に示すように、正規分布のバランスのとれた段階を選択したことになり、他の従業員との比較も安定したものになる。
【0086】
組織カルチャー分析処理において、従業員Bが、オブジェクト移動S110に従ってオブジェクトを移動させた結果は、図18(b)に示す通りである。並べ替えられたオブジェクトに応じて、従業員端末3bは、優先度情報112の「従業員番号:123002」箇所の「第二段階情報」をRAM302に登録する(図7参照)。優先度情報受付S111を経ることで、従業員Bはより優先している行動を優先度情報112として入力できる。つまり、従業員Bは、回答段階で17(b)に示すように、3つの項目に対して「良く当てはまる」(段階:5)を選択しているが、優先度情報受付S111を経ることで、「良く当てはまる」(段階:5)を2つに絞り込めている。また、従業員Bは、優先度情報受付S111を経ることで、18(b)に示すように、正規分布のバランスのとれた段階を選択したことになり、他の従業員との比較も安定したものになる。
【0087】
組織カルチャー分析処理において、従業員Cが、オブジェクト移動S110に従ってオブジェクトを移動させた結果は、図18(c)に示す通りである。並べ替えられたオブジェクトに応じて、従業員端末3cは、優先度情報112の「従業員番号:123003」箇所の「第二段階情報」をRAM302に登録する(図7参照)。優先度情報受付S111を経ることで、従業員Cはより優先している行動を優先度情報112として入力できる。つまり、従業員Cは、回答段階で17(c)に示すように、3つの項目に対して「良く当てはまる」(段階:5)を選択しているが、優先度情報受付S111を経ることで、「良く当てはまる」(段階:5)を2つに絞り込めている。また、従業員Cは、優先度情報受付S111を経ることで、18(c)に示すように、正規分布のバランスのとれた段階を選択したことになり、他の従業員との比較も安定したものになる。
【0088】
〔回答情報・優先度情報受信SC113〕
回答情報・優先度情報受信SC10は、従業員端末3a、3b、3cから回答情報111と優先度情報112を送信する処理である(図16参照)。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、従業員端末3aから回答情報111と優先度情報112を受信すると、これを記憶部107に記憶する。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、従業員端末3bから回答情報111と優先度情報112を受信すると、これを記憶部107に記憶する。組織カルチャー分析装置1のCPU101は、従業員端末3cから回答情報111と優先度情報112を受信すると、これを記憶部107に記憶する。
【0089】
組織カルチャー分析装置1のCPU101は、受信した回答情報111と優先度情報112とから質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c、因子毎の合意形成度合113dを導き、これを平均値・合意形成度合113として記憶部107に記憶する。優先度情報112は、正規分布のバランスのとれた段階になっているので、優先度情報112から得られる質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c及び因子毎の合意形成度合113dきもバランスがとれたものになる。このように、組織カルチャー分析装置1は、回答情報111と優先度情報112とを受信する回答情報・優先度情報受信手段を備えている。
【0090】
〔測定SC114〕
測定SC114は、組織カルチャー分析装置1が組織カルチャーを測定する処理であり、組織カルチャーを推定する組織カルチャー推定モデル120を使用する処理である(図16参照)。図19は、組織カルチャー推定モデル(組織カルチャー形成度合推定モデル)が、組織カルチャー(組織カルチャー形成度合)を予測する状態を示す図である。組織カルチャー(組織カルチャー形成度合)予測処理は、入力データである回答情報111及び/又は優先度情報112から、組織カルチャー推定モデル(組織カルチャー形成度合推定モデル)120を通じて予測した組織カルチャー(組織カルチャー形成度合)を得る予測フェーズである。
【0091】
組織カルチャー分析装置1のCPU101は、人事端末2の要求に応じて、又は、所定のタイミングで、回答情報111及び/又は優先度情報112に格納された組織(研究開発)の従業員A、B、Cの回答情報111及び/又は優先度情報112を組織カルチャー推定モデル120に入力する。組織カルチャー推定モデル120は、入力された回答情報111及び/又は優先度情報112を分析することで、組織(研究開発)の組織カルチャー(組織カルチャー形成度合)の予測ができる。
【0092】
組織カルチャー分析装置1は、このような予測フェーズを経ることで、組織カルチャー(組織カルチャー形成度合)を獲得する。このように、組織カルチャー分析装置1は、所定の測定フェーズを得ることで、事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動である組織カルチャーを組織カルチャー情報として測定する測定手段を備えている。組織カルチャー分析装置1の測定手段は、回答情報111や優先度情報112から因子毎又は項目(質問)の度合を示す組織カルチャー形成度合を測定できる。
【0093】
組織カルチャー分析装置1の測定手段は、予測するための値(説明変数)として、優先度情報112から得られる質問毎の平均値113a、因子毎の平均値113b、質問毎の合意形成度合113c及び因子毎の合意形成度合113dのいずれか又は全部を入力データとして用いることで、予測したい値(目的変数)として、従業員が組織において、ビジョンや目標を達成する中で、優先されている行動を組織カルチャー形成度合114bとして測定できる。なお、組織カルチャー分析装置1は、回答情報111や優先度情報112から従業員A、B、Cの個人別平均値114aを演算して記憶部107に登録できる。このように、組織カルチャー分析装置1は、組織カルチャー形成度合を予測する組織カルチャー形成度合予測手段を備えている。
【0094】
〔測定結果送信SC115〕
測定結果送信SC115は、組織カルチャー分析装置1から人事端末2に測定結果を送信する処理である(図10参照)。本例において、組織カルチャー分析装置1のCPU101は、人事端末2に対して、測定結果がある旨とそのサーベイの測定結果出力画面に遷移するURLをメールに記載して、人事Tに通知する。このように、組織カルチャー分析装置1は、測定結果を人事端末2に送信する測定結果送信手段を備えている。
【0095】
〔測定結果受信SC116、測定結果出力SC117〕
測定結果受信SC116は、人事端末2が測定結果を受信する処理であり、測定結果出力SC117は、人事端末2が受信した測定結果を出力する処理である(図16参照)。人事端末2によってメールに記載されたURLが選択されると、人事端末2のCPU201は、人事端末2に測定結果出力画面データの要求を送信する。また、CPU101は、当該要求を受けると、人事Tの測定結果出力画面データを人事端末2に送信する。人事端末2のCPU201は、組織カルチャー分析装置1から測定結果出力画面データを受信するとRAM202に記憶し、これを用いて出力部206に測定結果出力画面を表示する(図20参照)。このように、人事端末2は、個人別平均値114aや組織カルチャー形成度合114bを受信する測定結果受信手段と、個人別平均値114aや組織カルチャー形成度合114bに応じた測定結果出力画面を表示する測定結果出力手段を備えている。
【0096】
図20は、測定結果出力画面の一例を示した図である。図20(a)は、従業員Aの測定結果出力画面を示す図である。図20(a)は、個人別平均値114aから得られる従業員Aの測定結果を8つの因子毎に出力した画面である。人事Tは、この画面をみることで、従業員Aが、組織(研究開発)内で事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動を把握できる。また、人事Tは、従業員Aが、組織(研究開発)内でビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動や優先されている行動が何であるかを因子毎の度合を確認できる。例えば、人事Tは、従業員Aは、挑戦思考、質のこだわり、チーム志向、業績志向が高いことが一目で把握できる。
【0097】
図20(b)は、組織カルチャー形成度合114bから得られる従業員A、B、Cが所属する組織(研究開発)の測定結果を8つの因子毎に出力した画面である。人事Tは、この画面をみることで、組織(研究開発)が、組織内で事業開発や組織開発をする中で、実行されている行動を把握できる。また、人事Tは、組織(研究開発)が、組織内でビジョンや目標を達成する中で、実行されている行動や優先されている行動が何であるかを因子毎の度合を確認できる。例えば、人事Tは、組織(研究開発)は、「一貫性」、「業績志向」が高いことが一目で把握できる。このように、本発明の第一実施形態の組織カルチャー分析システムWを利用すると、組織の組織カルチャーを容易に把握することができる。
【0098】
〔第二実施形態〕
上記で説明した第一実施形態では、一の組織の従業員から回答情報や優先度情報を取得して、現状の組織カルチャーを把握している。第二実施形態では、理想と現状や経営と現場(複数の組織)の組織カルチャーを把握し、その差分から組織が取り組むべき注力ポイントを把握することができる。第二実施形態では、前述した第一実施形態と同一の部位には同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
【0099】
第二実施形態の組織カルチャー分析装置1は、次のような処理を行う。
(1)現場の組織(研究開発)の従業員端末3a、3b、3cに理想と現状の状態を調査するサーベイを提供する(図16:SC104参照)。
(2)従業員端末3a、3b、3cは、所定の処理(図16:S105~S111参照)を経て、理想と現状の状態を示す回答情報111と優先度情報112とを組織カルチャー分析装置に送信する(図16:S112参照)。
(3)組織カルチャー分析装置1は、回答情報111と優先度情報112とを測定して、現場理想組織カルチャーと現場現状組織カルチャーを予測する(図16:S114参照)。
【0100】
(4)経営の経営端末に理想と現状の状態を調査するサーベイを提供する(図16:SC104参照)。
(5)経営端末は、所定の処理(図16:S105~S111参照)を経て、理想と現状の状態を示す回答情報111と優先度情報112とを組織カルチャー分析装置に送信する(図16:S112参照)。
(6)組織カルチャー分析装置1は、回答情報111と優先度情報112とを測定して、経営理想組織カルチャーと経営現状組織カルチャーを予測する(図16:S114参照)。
(7)人事端末2は、組織カルチャー分析装置1から現場理想組織カルチャー、現場現状組織カルチャー、経営理想組織カルチャー、経営現状組織カルチャーを比較した測定結果を出力する(図16:S117参照)。
【0101】
これらの処理を実行することで、図21図23に示すように、理想と現状や経営と現場の組織カルチャーを把握できる比較図が出力できる。図21(a)は、経営_理想×現場_現状の比較図である。図21(a)からは、組織カルチャーに関するギャップが把握できる。これにより、本来の組織課題が明確になる。図21(b)は、経営チーム内理想の比較図である。図21(b)からは経営チーム内の組織カルチャーにおける合意と認識齟齬が明確に把握できる。
【0102】
図22(a)は、経営_理想×現場_理想の比較図である。図22(a)からは組織カルチャーが伝わっている箇所又は伝わってない箇所が把握できる。図22(b)は、現場_理想×現場_現状の比較図である。図22(b)からは、行動パターンが根付いているのか、いないのかを把握できる。図23(a)は、経営_現状×現場_現状の比較図である。図23(a)からは、組織カルチャーの実態を把握できている箇所と、いない箇所が把握できる。図23(b)は、経営_理想×経営_現状の比較図である。図23(b)からは、変えるべき箇所、変えるべきでない箇所が把握できる。これにより、課題として認識している箇所が明確になる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態の説明を行ったが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更ができる。本発明は、テーブル形式によって各データを格納することについて説明をしたが、これらのデータは必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良い。例えば、リスト、DB、キュー等のデータ構造やそれ以外の方法で表現されていても良い。
【0104】
本例においては、従業員に質問する質問の数を16問の場合で説明をしたが、質問の数はこの数に限定されなくてもよい。例えば、組織カルチャー分析システムWを管理する者又は組織カルチャー分析システムWを利用する人事Tによって、質問の数を適宜変更できるようにしても良い。また、組織カルチャー分析システムWを利用する人事Tは、回答者情報を適宜、生成、更新及び削除しても良く。さらに、組織カルチャー分析システムWを管理する者は、質問情報を適宜、生成、更新及び削除しても良く。このように、組織カルチャー分析装置1は、回答者情報や質問情報を更新する格納手段を備えても良い。
【符号の説明】
【0105】
1 情報分析装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23