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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151699
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/46 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061453
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】五味 俊輔
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB02
2C056EB36
2C056EB59
2C056EC02
2C056EC07
2C056EC22
2C056EC28
2C061AQ05
2C061CF09
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK19
2C061HV04
2C061HV19
2C061HV44
2C061HV46
(57)【要約】
【課題】再起動後のインクの吐出不良を低減することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置10は、インクを貯留するタンク13と、前記タンク13に貯留されたインクの攪拌動作を行う攪拌装置17と、前記タンク13から供給されたインクをノズル21から吐出するヘッド20を有し、吐出したインクによる印刷媒体Aへの印刷に関する印刷動作及び前記印刷動作のバックアップに関する動作であって前記攪拌動作を除く動作であるバックアップ動作を含む処理動作を行う印刷部11と、外部電源からの電力を蓄電可能な蓄電部と、制御部50と、を備え、前記制御部50は、前記外部電源について停電の発生の有無を検知し、停電の発生を検知した場合に、前記処理動作のうち未完了動作を実行させてから、前記未完了動作の実行により残った前記蓄電部の電力で前記攪拌動作を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されたインクの攪拌動作を行う攪拌装置と、
前記タンクから供給されたインクをノズルから吐出するヘッドを有し、吐出したインクによる印刷媒体への印刷に関する印刷動作及び前記印刷動作のバックアップに関する動作であって前記攪拌動作を除く動作であるバックアップ動作を含む処理動作を行う印刷部と、
外部電源からの電力を蓄電可能な蓄電部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記外部電源について停電の発生の有無を検知し、停電の発生を検知した場合に、前記処理動作のうち未完了動作を実行させてから、前記未完了動作の実行により残った前記蓄電部の電力で前記攪拌動作を実行させる、
印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷動作の実行中に停電が発生した場合に、停電後も前記印刷動作を所定の状態まで継続した後に停止させてから、前記攪拌動作を実行させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定の状態は、前記印刷動作を途中で中断した状態を含み、
前記制御部は、前記印刷動作を中断した後に停電が解消した場合における前記印刷動作の再開位置を、前記印刷動作により印刷する画像のうち、停電の発生時点で印刷されずに残った画像である残存画像に基づいて判定する、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ヘッドに対して前記印刷媒体を第1方向へ搬送させる搬送装置を備え、
前記制御部は、
前記残存画像に、前記印刷媒体にインクを着弾させない空白部分が、前記第1方向に直交する第2方向に横断するようにして存在する場合、前記空白部分を前記印刷動作の再開位置と判定し、
停電後においても、前記空白部分までの前記画像を前記印刷媒体に印刷するように、前記印刷動作を実行させる、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ヘッドに対して前記印刷媒体を第1方向へ搬送させる搬送装置を備え、
前記制御部は、
前記残存画像に、前記印刷媒体に着弾するインクのドットの密度が所定密度未満の低濃度部分が、前記第1方向に直交する第2方向に横断するようにして存在する場合、前記低濃度部分を前記印刷動作の再開位置と判定し、
停電後においても、前記低濃度部分から前記第1方向の上流に向かって前記ドットの密度を低下させながら前記印刷動作を実行させる、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ヘッドに対して前記印刷媒体を第1方向へ搬送させる搬送装置を備え、
前記制御部は、
前記残存画像に、前記印刷媒体に着弾するインクのドットの密度について、前記第1方向における変化量が所定量以上である濃度変化部分が、前記第1方向に直交する第2方向に横断するようにして存在する場合、前記濃度変化部分を前記印刷動作の再開位置と判定し、
停電後においても、前記濃度変化部分までの前記画像を前記印刷媒体に印刷するように、前記印刷動作を実行させる、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記ヘッドに対して前記印刷媒体を第1方向へ搬送させる搬送装置を備え、
前記制御部は、
前記残存画像に、前記印刷媒体に着弾するインクのドットのうち前記第1方向に並ぶ少なくとも2つの前記ドットが同色である単色部分が、前記第1方向に直交する第2方向に横断するようにして存在する場合、前記単色部分を前記印刷動作の再開位置と判定し、
停電後においても、前記単色部分前記第1方向の上流に向かって前記ドットの密度を低下させながら前記印刷動作を実行させる、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷部は、
前記ヘッドにおいて前記ノズルが開口する吐出面を被覆可能なキャップと、
前記ヘッド及び前記キャップを相対移動させるキャッピング装置と、を有し、
前記バックアップ動作は、前記吐出面を被覆するように前記ヘッド及び前記キャップを相対移動させるキャッピング動作を有し、
前記制御部は、前記キャッピング動作が未完了である状態で停電が発生した場合に、前記キャッピング動作を実行させてから、前記攪拌動作を実行させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷部は、不揮発性記憶部を有し、
前記バックアップ動作は、前記未完了動作に関するデータを前記不揮発性記憶部に記憶させる記憶動作を有し、
前記制御部は、停電が発生した場合に、前記記憶動作を実行させてから、前記攪拌動作を実行させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記蓄電部の電圧を検出する電圧検出部と、
入力された電力の電圧を第1電圧に変換する第1電圧変換部と、を備え、
前記制御部は、前記蓄電部の電圧が第1所定電圧以上である場合には、前記蓄電部から前記第1電圧変換部に入力された電力の電圧を前記第1電圧に変換させてから、電力を前記印刷部に出力させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
入力された電力の電圧を、前記第1電圧よりも小さい第2電圧に変換する第2電圧変換部を備え、
前記制御部は、前記蓄電部の電圧が前記第1所定電圧未満である場合には、前記蓄電部から入力された電力の電圧を前記第2電圧に変換させ、前記第2電圧変換部から入力された電力の前記第2電圧を前記第1電圧に変換させてから、電力を前記印刷部に出力させる、
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記蓄電部の電圧を検出する電圧検出部と、
前記制御部は、前記蓄電部の充電中における前記電圧検出部の検出電圧の経時変化に基づいて、前記蓄電部が満充電状態か否かを判定する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項13】
出力部を備え、
前記制御部は、前記満充電状態であると判定された前記蓄電部の電圧が所定電圧未満である場合には、前記出力部に前記蓄電部の交換を出力させる、
請求項12に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置として、例えば、特許文献1のインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、被印字物に印字するインクを噴射するノズルが備わるインク循環部、及び、インク循環部に電気を供給する電源部を有している。インクジェット記録装置は、停電を検知したら、処理中のデータ等を記録装置に退避保存させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-341555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなインクジェット記録装置では、停電後の再起動時に正常な動作を可能にするように、データの退避保存を行っている。しかしながら、インクの種類によってはインクの粘度が上昇し、再起動時にインクの吐出不良が生じるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事態に鑑み、再起動後のインクの吐出不良を低減することができる印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る印刷装置は、インクを貯留するタンクと、前記タンクに貯留されたインクの攪拌動作を行う攪拌装置と、前記タンクから供給されたインクをノズルから吐出するヘッドを有し、吐出したインクによる印刷媒体への印刷に関する印刷動作及び前記印刷動作のバックアップに関する動作であって前記攪拌動作を除く動作であるバックアップ動作を含む処理動作を行う印刷部と、外部電源からの電力を蓄電可能な蓄電部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記外部電源について停電の発生の有無を検知し、停電の発生を検知した場合に、前記処理動作のうち未完了動作を実行させてから、前記未完了動作の実行により残った前記蓄電部の電力で前記攪拌動作を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、再起動後のインクの吐出不良を低減することができる印刷装置を提供することができるという効果を奏する。
【0008】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置を概略的に示す図である。
図2図1の印刷装置の機能ブロック図である。
図3図1の印刷装置の電気的接続を概略的に示す図である。
図4】蓄電部の電圧と電力との関係を示すグラフである。
図5図1の印刷装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図6】充電時における蓄電部の電圧の経時変化を示すグラフである。
図7】変形例2に係る印刷装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図8図7の印刷装置の印刷動作の一例を示すフローチャートである。
図9】残存画像に空白部分がある場合の印刷動作を説明するための図である。
図10】残存画像に低濃度部分がある場合の印刷動作を説明するための図である。
図11】残存画像に濃度変化部分がある場合の印刷動作を説明するための図である。
図12】残存画像に単色部分がある場合の印刷動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<印刷装置の構成>
本発明の一実施の形態に係る印刷装置10は、図1に示すように、インクをヘッド20のノズル21から印刷媒体Aに吐出して、インクにより印刷媒体Aに画像を印刷する装置である。以下では、印刷装置10を、インクジェットプリンタに適用した例について説明するが、印刷装置10はこれに限定されない。また、印刷媒体Aは、例えば、紙及び布等のシートである。
【0011】
印刷装置10は、シリアルヘッド方式であって、印刷部11、プラテン12、タンク13、攪拌装置17及び制御部50を備えている。印刷部11は、ヘッド20、搬送装置30及び走査装置40を有している。なお、搬送装置30により印刷媒体Aを搬送する第1方向を前後方向と称する。第1方向に交差(例えば、直交)する第2方向であって、走査装置40によりヘッド20を移動させる方向を左右方向と称する。また、前後方向及び左右方向に交差(例えば、直交)する方向を上下方向と称する。但し、印刷装置10の配置はこれに限定されない。
【0012】
印刷装置10は、その内部において互いに左右方向に並ぶ印刷範囲及びメンテナンス範囲を有している。プラテン12は、印刷装置10の印刷範囲に配置されており、平坦な上面を有している。プラテン12は、その上面上に配置された印刷媒体Aと、これに対向して設けられるヘッド20の下面との間の距離を規定する。
【0013】
<タンク、攪拌装置>
タンク13は、インクを貯留する容器である。タンク13の数は、インクの色数と同数であって、例えば、4個である。4個のタンク13は、シアンのインク、イエローのインク、マゼンタのインク及びブラックのインクをそれぞれ貯留している。タンク13は、ヘッド20にチューブにより接続されており、チューブを介してインクをヘッド20において対応するノズル21に供給する。
【0014】
攪拌装置17は、タンク13に貯留されたインクの攪拌動作を行う。攪拌装置17は、例えば、回転軸17a、プロペラ17b及び攪拌モータ17cを有している。プロペラ17bは、回転軸17aに取り付けられており、回転軸17aからその径方向に延びている。攪拌モータ17cは、回転軸17aに接続されており、回転軸17aを回転駆動する。これにより、プロペラ17bは、タンク13内において回転軸17aを中心に回転する。よって、タンク13内のインクがプロペラ17bにより攪拌されて、インクの含有物の沈殿及び増粘を低減することができる。
【0015】
<印刷部>
印刷部11は、タンク13から供給されたインクをノズル21から吐出するヘッド20を有し、処理動作を行う。処理動作は、吐出したインクによる印刷媒体Aへの印刷に関する印刷動作、及び、バックアップ動作を含んでいる。バックアップ動作は、印刷動作のバックアップに関する動作であって、攪拌動作を除く動作である。例えば、印刷部11は、ヘッド20、搬送装置30及び走査装置40に加えて、キャップ14、キャッピング装置15及び不揮発性記憶部16を有している。なお、不揮発性記憶部16については後述する。
【0016】
ヘッド20は複数のノズル21を有している。ノズル21は、ヘッド20の下面である吐出面23に開口している。複数のノズル21は前後方向に並んで列を成してノズル列を形成し、複数のノズル列が左右方向に並んでいる。ノズル列のノズル21は互いに同じタンク13に連通し、互いに異なるノズル列は互いに異なるタンク13に連通している。また、ヘッド20は、図2に示すように、駆動素子22を有している。駆動素子22は、圧電素子であって、ノズル21に対応して設けられており、ノズル21からインクを吐出する圧力をヘッド20内のインクに付与する。
【0017】
図1に示すように、搬送装置30は、例えば、2本の搬送ローラ31、及び、搬送モータ32(図2)を有し、ヘッド20に対して印刷媒体Aを前後方向へ搬送させる。2本の搬送ローラ31は、前後方向において互いの間にプラテン12を挟んで配置されている。搬送ローラ31は、左右方向に延びる軸を有し、搬送モータ32に連結されている。搬送ローラ31は、搬送モータ32の駆動によって軸を中心に回転し、印刷媒体Aをプラテン12上において前後方向に搬送する。
【0018】
走査装置40は、キャリッジ41、2本のガイドレール42、走査モータ43、及び、無端ベルト44を有している。キャリッジ41は、ヘッド20を搭載し、左右方向に移動可能に2本のガイドレール42に支持されている。2本のガイドレール42は、前後方向においてヘッド20を互いの間に挟むように、プラテン12の上方において左右方向に延びている。無端ベルト44は、左右方向に延びて、キャリッジ41に取り付けられ、また、走査モータ43にプーリー45を介して取り付けられている。走査モータ43が駆動すると、無端ベルト44が走行し、キャリッジ41はガイドレール42に沿って左右方向に往復移動する。これにより、キャリッジ41は、印刷範囲とメンテナンス範囲との間においてヘッド20を左右方向に移動させる。
【0019】
図1の例では、キャップ14は、走査装置40による左右方向におけるヘッド20の移動範囲内のうち、印刷範囲よりも右のメンテナンス範囲に配置されている。キャップ14は、ゴムなどの弾性材料から成り、上側が開口した箱形状の容器であって、ヘッド20の吐出面23を被覆可能な部材である。
【0020】
図1及び図2に示すように、キャッピング装置15は、キャッピングモータ15aを有し、キャッピングモータ15aが駆動することによりヘッド20及びキャップ14を相対移動させる。例えば、キャッピング装置15は、キャップ14がヘッド20の吐出面23に対して当接又は離間するように、ヘッド20に対してキャップ14を上下方向に移動する。なお、キャップ14がヘッド20の吐出面23に対して当接又は離間すれば、キャッピング装置15はキャップ14に対してヘッド20を上下方向に移動させてもよい。
【0021】
キャッピング装置15は、キャップ14を吐出面23に接近させて、キャップ14の上側開口の周囲を取り囲む上端縁が吐出面23に接触させる。このキャッピング動作により、吐出面23がキャップ14に被覆されるキャッピング状態になって、吐出面23とキャップ14の内面との間に空間が閉塞され、吐出面23に開口するノズル21からのインクの乾燥が低減される。一方、キャッピング装置15は、キャップ14を吐出面23から離間させるアンキャッピング動作により、吐出面23とキャップ14の内面との間に空間が開放される。このアンキャッピング状態では、吐出面23が外部に現れて、吐出面23からインクを吐出させる印刷動作などが可能になる。
【0022】
<制御部>
制御部50は、例えば、コンピュータであって、インターフェース51、演算部52、記憶部53及び不揮発性記憶部16を備えている。インターフェース51は、コンピュータ、カメラ、通信ネットワーク、記録媒体、ディスプレイ及びプリンタ等の外部装置Bから画像データ及び目標の色のデータ等の各種データを受信する。画像データは、印刷媒体Aに印刷される画像を示すラスタデータなどである。なお、制御部50は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して印刷装置10の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0023】
記憶部53は、演算部52からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROMを有している。RAMは、画像データ、及び、演算部52により変換されたデータなどの各種データを一時的に記憶し、給電がなくなると記憶データが消去される。ROMは、各種データ処理を行うためのプログラム及び予め定められているデータなどを記憶している。なお、プログラムは、記憶部53とは異なる外部の記憶媒体であって且つ演算部52からアクセス可能な記憶媒体、例えば、CD-ROMなどに記憶されていてもよい。
【0024】
不揮発性記憶部16は、演算部52によりアクセス可能なメモリであって、例えば、フラッシュメモリなどが例示される。不揮発性記憶部16は、記憶データを書き換え可能であって、外部からの給電がなくても記憶データを保持する。なお、不揮発性記憶部16は制御部50とは別に設けられていてもよい。また、不揮発性記憶部16は記憶部53に含まれていてもよい。
【0025】
演算部52は、例えば、CPUなどのプロセッサ、又は、ASICなどの集積回路などの回路を含む。演算部52は、プログラムを実行することにより各部を制御し、処理動作などの各種動作を実行する。なお、各種動作の詳細については後述する。
【0026】
このような制御部50は、ヘッド駆動回路24を介して駆動素子22に接続されている。制御部50は、駆動素子22の制御信号を画像データに基づいてヘッド駆動回路24に出力し、ヘッド駆動回路24が制御信号に基づいて駆動信号を生成して駆動素子22に出力する。駆動素子22は駆動信号に応じて駆動して、ノズル21からインクが吐出される。
【0027】
また、制御部50は、搬送装置30の搬送モータ32に接続され、搬送モータ32の駆動を制御する。これにより、搬送装置30による印刷媒体Aの搬送が制御される。さらに、制御部50は、走査装置40の走査モータ43に接続され、走査モータ43の駆動を制御する。これにより、走査装置40によるヘッド20の移動が制御される。制御部50は、キャッピング装置15のキャッピングモータ15aに接続され、キャッピングモータ15aの駆動を制御する。これにより、キャップ14の移動が制御される。
【0028】
<電源制御回路>
図3に示すように、印刷装置10は、AC/DC変換部60を有している。AC/DC変換部60は、商業用電源など外部電源Cに接続され、外部電源Cから交流電圧の電力が供給される。また、AC/DC変換部60は、印刷制御部50aに接続されており、外部電源Cが給電可能な場合には、交流電圧の電力を、例えば、36Vの直流電圧の電力に変換して印刷制御部50aに供給する。この印刷制御部50aは、制御部50の演算部52(図2)及び記憶部53(図2)により構成されている。
【0029】
これにより、外部電源Cが印刷装置10に電力を供給可能な場合には、印刷制御部50aは外部電源Cからの電力によって駆動し、印刷部11に給電している。さらに、AC/DC変換部60に接続された回路には電圧検出部67が設けられている。制御部50は、電圧検出部67により検出された電圧に基づいて外部電源CからAC/DC変換部60を介した給電の停止、つまり停電を検出する。
【0030】
また、AC/DC変換部60は、充電用電圧変換部61に接続されており、交流電圧の電力を、例えば、36Vの直流電圧の電力に変換して充電用電圧変換部61に供給する。充電用電圧変換部61は、蓄電部62に接続されており、例えば、36Vを8Vに電圧を変換して、電力を蓄電部62に供給する。蓄電部62は、充電及び放電可能な電子部品であって、例えば、コンデンサ及び二次電池が例示される。蓄電部62は、外部電源Cが電力を供給可能な間に外部電源Cから充電されて蓄電する。また、蓄電部62は、制御部50に接続されており、外部電源Cから印刷装置10への電力の供給が停止すると、蓄電部62は蓄えた電力を放電して制御部50に給電する。
【0031】
蓄電部62には、電圧検出部63が接続されている。電圧検出部63は、蓄電部62に接続された電子回路における電圧を検出して制御部50に出力する。図4の例に示すように、蓄電部62の電力は、電圧が高くなるほど大きくなる所定の関係を有している。この所定の関係は、制御部50の記憶部53に予め記憶されている。例えば、蓄電部62がコンデンサである場合、電力U=1/2×C×Vの式で表される。このCは静電容量(F)であり、Vは電圧(V)である。これにより、制御部50は、電圧検出部63により検出された電圧に基づいて、蓄電部62に蓄えられている電力を取得することができる。
【0032】
蓄電部62は、切替部64を介して複数の電圧変換部65に接続されている。切替部64は、蓄電部62からの電力の入力先を、複数の電圧変換部65のうちの少なくともいずれか1つの電圧変換部65に切り替える。切替部64は制御部50に接続されており、電圧変換部65の切り替えが制御部50により制御される。
【0033】
切替部64は、例えば、4つのスイッチ(第1スイッチ64a、第2スイッチ64b、第3スイッチ64c、第4スイッチ64d)を有している。複数の電圧変換部65は、例えば、第1電圧変換部65a及び第2電圧変換部65bを有している。第1スイッチ64a及び第2スイッチ64bは、並列に蓄電部62に接続されている。第1スイッチ64aは、蓄電部62及び第1電圧変換部65aに切断可能に接続されている。第2スイッチ64bは、蓄電部62及び第2電圧変換部65bに切断可能に接続されている。第3スイッチ64cは、第1電圧変換部65a及び第2電圧変換部65bに切断可能に接続されている。第4スイッチ64dは、第2電圧変換部65b及び攪拌装置17に切断可能に接続されている。
【0034】
複数の電圧変換部65は、蓄電部62に対して並列に設けられ、蓄電部62から入力された電力の電圧を、複数の処理動作の動作電圧に応じて互いに異なる複数の電圧にそれぞれ変換して印刷部11又は攪拌装置17に出力する。第1電圧変換部65aは、入力された電力の電圧を第1電圧に変換する。例えば、第1電圧変換部65aは、印刷制御部50aを介して印刷部11に接続されており、入力された電力の5V以上且つ12V以下の電圧を、第1電圧の36Vに変換して、電圧を変換した電力を印刷制御部50aに供給する。これにより、印刷制御部50aは、処理動作に応じた電圧に変換して印刷部11に給電する。これにより、外部電源Cの停電時において蓄電部62からの電力によって印刷部11による処理動作が可能になる。
【0035】
第2電圧変換部65bは、入力された電力の電圧を第2電圧に変換する。この第2電圧変換部65bの入力電圧は、第1電圧変換部65aの入力電圧(例えば、5V以上且つ12V以下)よりも小さく、例えば、2V以上且つ5V未満である。また、第2電圧変換部65bの出力電圧である第2電圧は、第1電圧変換部65aの出力電圧である第1電圧よりも小さく、また、第1電圧変換部65aの入力電圧であって、例えば、12Vである。この第2電圧変換部65bは、制御部50の攪拌制御部50bを介して攪拌装置17に接続されており、入力された電力の電圧を、攪拌装置17による攪拌動作に対応する第2電圧、例えば、12Vに変換して、電圧を変換した電力を攪拌制御部50bを介して攪拌装置17に供給する。これにより、攪拌装置17は、停電時において蓄電部62からの電力によって攪拌動作が可能になる。攪拌制御部50bは、制御部50の演算部52(図2)及び記憶部53(図2)により構成されている。
【0036】
制御部50は、印刷部11を駆動する場合には、電圧検出部63により検出された蓄電部62の電圧に応じて切替部64を制御する。ここで、制御部50は、蓄電部62の電圧が第1所定電圧以上であるか否かを判定する。第1所定電圧は、例えば、第1電圧変換部65aが変換可能な最低入力電圧であって、例えば、5Vである。この場合、蓄電部62の電圧が第1所定電圧以上であれば、第1電圧変換部65aが電圧を変換することができる。このため、制御部50は、切替部64において第1スイッチ64aを閉じ、第2スイッチ64b、第3スイッチ64c及び第4スイッチ64dを開く。これにより、蓄電部62と第1電圧変換部65aが接続され、蓄電部62と第2電圧変換部65bとの間、第1電圧変換部65aと第2電圧変換部65bとの間、第2電圧変換部65bと攪拌装置17との間が遮断される。これにより、制御部50は、蓄電部62から入力された電力の電圧を第1電圧変換部65aにより第1電圧に変換させてから、電力を印刷部11に出力させることができる。
【0037】
また、制御部50は、蓄電部62の電圧が第1所定電圧未満である場合には、第1電圧変換部65aが電圧を変換することができない。この場合、制御部50は、切替部64において第2スイッチ64b及び第3スイッチ64cを閉じ、第1スイッチ64a及び第4スイッチ64dを開く。これにより、蓄電部62と第2電圧変換部65bとの間、及び、第1電圧変換部65aと第2電圧変換部65bとの間が接続され、蓄電部62と第1電圧変換部65a、及び、第2電圧変換部65bと攪拌装置17との間が遮断される。これにより、制御部50は、蓄電部62から入力された電力の電圧を第2電圧変換部65bにより第2電圧に変換させ、第2電圧変換部65bから入力された電力の第2電圧を第1電圧変換部65aにより第1電圧に変換させてから、電力を印刷部11に出力させる。このように、蓄電部62の電圧が低くなっても、電圧を2段階に変換することにより、蓄電部62の電力を無駄なく利用することができる。
【0038】
さらに、制御部50は、攪拌装置17を駆動する場合には、切替部64において第2スイッチ64b及び第4スイッチ64dを閉じ、第1スイッチ64a及び第3スイッチ64cを開く。これにより、蓄電部62と第2電圧変換部65bとの間、及び、第2電圧変換部65bと攪拌装置17との間が接続され、蓄電部62と第1電圧変換部65a、及び、第1電圧変換部65aと第2電圧変換部65bとの間が遮断される。これにより、制御部50は、蓄電部62から入力された電力の電圧を第2電圧変換部65bにより第2電圧に変換させてから、電力を攪拌装置17に出力させる。攪拌装置17は、第2電圧の電力により攪拌動作が可能になる。
【0039】
<処理動作>
処理動作は、印刷動作及びバックアップ動作を含んでいる。印刷動作は、第1電圧で駆動素子22、搬送装置30及び走査装置40を画像データに基づいて駆動させて、画像を印刷媒体Aに印刷する処理動作である。この印刷動作では、制御部50は、画像データを外部装置Bから取得し、画像データに基づいてパス及び搬送を実行する。パスでは、制御部50が、右又は左にヘッド20を移動させながら、ヘッド20からインクを印刷媒体Aに吐出させる。搬送では、制御部50は、印刷媒体Aを前方へ搬送させる。そして、印刷装置10は、パスと搬送とを交互に繰り返し、インクにより印刷媒体Aに画像を印刷する印刷動作を進めていく。
【0040】
バックアップ動作は、キャッピング動作及び記憶動作を有している。キャッピング動作は、第1電圧より小さい第2電圧で動作し吐出面23を被覆するようにキャップ14を移動させる処理動作である。このキャッピング動作では、制御部50は、キャップ14をヘッド20の吐出面23に接近させて当接させる。これにより、吐出面23がキャップ14により被覆され、吐出面23に開口するノズル21におけるインクの乾燥を抑制することができる。この乾燥によるインクの増粘が抑制され、増粘に起因したインクの吐出不良を抑制することができる。
【0041】
記憶動作は、第2電圧より小さい第3電圧で動作しログデータを不揮発性記憶部16に記憶する処理動作である。すなわち、制御部50は、ヘッド20、キャッピング装置15、搬送装置30、走査装置40及び制御部50が動作する度に、その動作内容をログデータとして記憶部53に記憶している。また、制御部50は、印刷動作の進行に合わせて、画像データに基づいた駆動素子22の制御信号を順次、ヘッド駆動回路24に出力すると共に、出力せずに残っている画像データである未印刷画像データをログデータとして記憶部53に記憶している。
【0042】
外部電源Cの停電が発生すると、制御部50は、ログデータのうち、少なくとも未完了動作に関するログデータを不揮発性記憶部16に記憶する。例えば、制御部50は、キャップ14を吐出面23から離すアンキャッピング動作を実行した後に、キャップ14により吐出面23を被覆するキャッピング動作を実行していない。この場合には、制御部50は、キャッピング動作を未完了動作として、アンキャッピング動作のログデータを未完了動作に関するログデータとして不揮発性記憶部16に記憶する。このログデータにより、キャッピング動作が未完了であって、吐出面23はアンキャッピング状態であることがわかる。
【0043】
また、制御部50は、画像データに基づいて駆動素子22の制御信号をヘッド駆動回路24に出力し始めて印刷を開始してから、この画像データに基づいた制御信号の出力を終了していない。この場合には、制御部50は、印刷動作を未完了動作として、印刷開始のログデータ及び未印刷画像データを未完了動作に関するログデータとして不揮発性記憶部16に記憶する。このログデータにより印刷動作が開始しているが終了していない印刷動作中、つまり印刷動作が未完了であって、印刷動作がどこまで進んでいるかがわかる。
【0044】
<印刷装置の制御方法>
印刷装置10は、例えば、図5の制御方法に一例に示すフローチャートに沿って制御部50により制御される。まず、制御部50は、外部電源Cについて停電の発生の有無を電圧検出部67の検出電圧に基づいて検知する(ステップS1)。制御部50は、停電の発生を検知した場合には(ステップS1:YES)、複数の処理動作のうち未完了動作の動作電圧に応じて、蓄電部62からの電力の入力先を、複数の電圧変換部65のうちの少なくともいずれか1つに切り替えさせて、未完了動作を実行させる。
【0045】
具体的には、制御部50は、電圧検出部63により検出された蓄電部62の電圧を取得し、図4の例に示す所定の対応関係に基づいて電圧に応じた蓄電部62の電力を取得する(ステップS2)。そして、制御部50は、印刷動作中か否かをログデータに基づいて判定する(ステップS3)。記憶された印刷開始のログデータの後に印刷終了のログデータが記憶部53に記憶されていない場合には、制御部50は印刷動作中であると判定する(ステップS3:YES)。そして、制御部50は、ステップS2で取得した蓄電部62の電力が第1電力以上か否かを判定する(ステップS4)。第1電力は、少なくとも印刷動作、キャッピング動作及び記憶動作の処理動作を実行可能な電力である。キャッピング動作及び記憶動作の動作電力は予め記憶部53に記憶されている。印刷動作の動作電力は、印刷動作のログデータに基づいて制御部50により取得されてもよい。このログデータの未印刷画像データと動作電力との対応関係は予め記憶部53に記憶されている。
【0046】
このように、制御部50は、印刷動作が未完了である状態で停電が発生した場合であって(ステップS3:YES)、且つ、蓄電部62の電力が第1電力以上である場合には(ステップS4:YES)、印刷動作、キャッピング及び記憶動作を未完了動作として実行させる(ステップS5~S7)。この印刷動作により、停電による印刷動作の中断に起因した印刷効率の低下を低減することができる。また、キャッピング動作により、吐出面23に開口したノズル21においてインクの乾燥が低減され、乾燥に起因したインクの吐出不良による印刷効率の低下を低減することができる。さらに、記憶動作により、停電後の再起動時に未完了動作がない状況がわかって処理できるため、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0047】
それから、制御部50は、このような処理動作のうち未完了動作を実行させ、S5で実行させた印刷動作、S6で実行させたキャッピング動作、及び、S7で実行させた記憶動作の処理動作が完了させて(ステップS8:YES)、未完了動作の実行により残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。この攪拌動作により、タンク13のインクが攪拌されて、インクの含有物の沈殿及び増粘などが抑制されるため、停電後の再起動時のメンテナンス時間を低減しつつ、吐出不良に起因した印刷効率の低下を低減することができる。また、未完了動作の実行により残っている蓄電部62の電力が尽きるまで攪拌動作を継続することにより、蓄電部62の電力を有効利用でき、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0048】
また、印刷動作中のステップS4において、制御部50は、ステップS2で取得した蓄電部62の電力が第1電力未満である場合には(ステップS4:NO)、この蓄電部62の電力が第2電力以上か否かを判定する(ステップS10)。第2電力は、第1電力よりも小さく、少なくともキャッピング動作及び記憶動作を実行可能な電力であって、予め記憶部53に記憶されている。ここで、蓄電部62の電力が第1電力未満であって且つ第2電力以上であれば(ステップS10:YES)、制御部50は、未完了動作のうち印刷動作を中断して印刷動作を実行させずに、キャッピング動作及び記憶動作を実行させて完了させてから(ステップS6、S7、S8:YES)、残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。一方、印刷動作中において蓄電部62の電力が第2電力未満であれば(ステップS10:YES)、制御部50は、未完了動作のうち印刷動作及びキャッピング動作を実行させずに、記憶動作を実行させて完了させてから(ステップS7、S8:YES)、残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。これにより、蓄電部62の電力を最大限に用いて未完了動作及び攪拌動作を行うことによって、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0049】
続いて、印刷動作が完了している場合には(ステップS3:NO)、制御部50は、アンキャッピング状態か否かを判定する(ステップS11)。ここで、記憶されたアンキャッピング動作のログデータの後にキャッピング動作のログデータが記憶部53に記憶されていない場合には、制御部50はアンキャッピング状態であると判定する(ステップS11:YES)。そして、制御部50は、ステップS2にて取得された蓄電部62の電力が第2電力以上か否かを判定する(ステップS10)。
【0050】
このように、制御部50は、印刷動作が完了しているがキャッピング動作が未完了である状態で停電が発生した場合であって(ステップS11:YES)、且つ、ステップS2で取得された蓄電部62の電力が第2電力以上である場合には(ステップS10:YES)、キャッピング動作及び記憶動作を未完了動作として実行させて完了させてから(ステップS6、S7、S8:YES)、残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。このように、未完了動作及び攪拌動作を停電時に実行させることにより、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0051】
これに対し、アンキャッピング状態において(ステップS11:YES)、ステップS2で取得された蓄電部62の電力が第2電力未満である場合には(ステップS10:NO)、未完了動作のうちキャッピング動作を実行させずに、記憶動作を実行させて完了させてから(ステップS7、S8:YES)、残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。これにより、蓄電部62の電力を最大限に用いてバックアップ動作及び攪拌動作を行うことによって、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0052】
また、制御部50は、印刷動作及びキャッピング動作が完了している状態で停電が発生した場合には(ステップS11:NO)、記憶動作を実行させて完了させてから(ステップS7、S8:YES)、残った蓄電部62の電力で攪拌動作を実行させる(ステップS9)。このように、未完了動作及び攪拌動作を停電時に実行させることにより、停電に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0053】
<変形例1>
変形例1に係る印刷装置10では、上記実施の形態において、制御部50は、電圧検出部63による検出電圧に基づいて蓄電部62の充電状態を判定する。具体的には、制御部50は、蓄電部62の充電時に電圧検出部63により検出された電圧を取得し、図6に示すように、蓄電部62の電圧の経時変化を監視する。外部電源Cからの蓄電部62の充電時には、電圧は時間の経過に伴い増加し、その単位時間当たりの電圧の変化率は所定率以上である。その変化率は、蓄電部62に蓄電された電力が大きくなるほど減少し、時間の経過に伴い減少していく。そして、変化率が所定率未満になると、蓄電部62の充電が完了した満充電状態になる。
【0054】
この満充電状態の蓄電部62の電圧は、経年劣化などにより低下していく。例えば、時点Taにおける充電時の電圧の経時変化のグラフVaでは、時刻t0にて電圧の変化率が所定率未満となって、蓄電部62は満充電となり、その際の満充電電圧はV0である。この時点Taの後の時点Tbにおける充電時の電圧の経時変化のグラフVbでは、時刻t1にて電圧の変化率が所定率未満となって、蓄電部62は満充電となり、その際の満充電電圧はV1である。このように、時点Tbの満充電電圧V1は、経年劣化などによって、時点Tbよりも前の時点Taの満充電電圧V0よりも小さく、所定電圧よりも低くなる。
【0055】
このため、制御部50は、電圧検出部63により検出された蓄電部62の電圧を取得すると共に、その変化率を算出する。制御部50は、グラフVaでは時刻t2にて電圧がV1に達し、その変化率が所定率以上であるため、蓄電部62の充電状態は満充電前の充電中であると判定する。一方、制御部50は、グラフVbでは時刻t1にて電圧がV1に達し、その変化率が所定率未満であるため、蓄電部62の充電状態は充電が完了した満充電であると判定する。例えば、印刷装置10が、表示装置などの出力部18(図2)を備えている場合には、制御部50は、判定した充電状態を出力部18に出力する。これにより、ユーザは、蓄電部62の充電状態を把握することができる。
【0056】
また、制御部50は、蓄電部62の充電状態は満充電であると判定した場合、その際の満充電電圧を取得する。制御部50は、グラフVaでは満充電電圧V0が所定電圧以上であるため、蓄電部62を使用可能であると判定する。一方、制御部50は、グラフVbでは満充電電圧V1が所定電圧未満であるため、蓄電部62が劣化していると判定する。制御部50は、劣化と判定した場合、蓄電部62の交換などのメッセージを出力部18に出力する。これにより、ユーザは、メッセージに基づいて蓄電部62を交換することにより、蓄電部62の劣化に起因した印刷効率の低下を低減することができる。
【0057】
<変形例2>
変形例2に係る印刷装置10では、上記実施の形態及び変形例1において、制御部50は、印刷動作の実行中に停電が発生した場合に、停電後も印刷動作を所定の状態まで継続した後に停止させてから、攪拌動作を実行させる。この所定の状態は、印刷動作を途中で中断した状態を含んでいる。この場合、制御部50は、印刷動作を中断した後に停電が解消した場合における印刷動作の再開位置を、印刷動作により印刷する画像のうち、停電の発生時点で印刷されずに残った画像である残存画像E1に基づいて判定する。また、所定の状態は、印刷動作を途中で中断せずに、印刷動作をやりきることを含んでいてもよい。
【0058】
すなわち、図5では、印刷動作中において(ステップS3:YES)、蓄電部62の電力が第1電力以上である場合には(ステップS4:YES)、印刷動作をやりきる(ステップS5)。一方、蓄電部62の電力が第1電力未満である場合には(ステップS4:NO)、停電時に印刷動作を中断した。但し、残存画像E1において、停電後の再開位置として適当なところがあれば、その位置まで印刷動作を継続することにより、中断による画質の低下を低減して、中断による印刷効率の低下を抑制することができる。このため、印刷装置10は、例えば、図7の制御方法に一例に示すフローチャートに沿って制御部50により制御される。この図7のフローチャートでは、制御部50は、図5のステップS10とステップS6との間にステップS20の印刷動作を実行する。なお、図7のフローチャートにおいて、制御部50は、図5のステップS10とステップS7との間にステップS20の印刷動作を実行してもよい。
【0059】
印刷動作では、制御部50は、例えば、図9(a)の画像データの画像Eを複数の領域である画素eに分割し、画像データに色変換処理及びハーフトーン処理を画素e毎に行う。これにより、画像データは、印刷装置10により出力可能な色及び階調に変換される。この変換後の画像データの階調は、例えば、色毎及び画素e毎のドットDの有無及びサイズに対応している。このため、制御部50は、ドットDの有無、サイズ及び色をドット情報として取得し、このドット情報に応じて複数種類の波形信号から1種類の波形信号を色毎及び画素e毎に選択し、波形選択データを生成する。
【0060】
波形信号は、例えば、パルス信号であって、ドット無しの非吐出波形信号、及び、ドット有りの吐出波形信号を有している。非吐出波形信号は、インクをノズル21から吐出させない波形信号である。吐出波形信号は、インクをノズル21から吐出させる波形信号であって、ドットDのサイズに応じて複数の信号を有している。例えば、吐出波形信号は、所定サイズよりも小さい小ドットDを形成するための小玉のインクを吐出させる小玉波形信号、所定サイズの中ドットDを形成するための中玉のインクを吐出させる中玉波形信号、及び、所定サイズよりも大きい大ドットDを形成するための大玉のインクを吐出させる大玉波形信号を有している。
【0061】
そして、制御部50は、波形選択データをパス毎に分割し、パスにおいてノズル21からインクを吐出する順序に従って並べる。制御部50は、波形選択データを、インクを吐出するノズル21に応じた駆動素子22、及び、インクの着弾位置に応じた駆動素子22の駆動タイミングに割り付けて、波形選択データ及び4種類の波形信号を含む制御データをヘッド駆動回路24に出力する。このように、制御データによって、波形選択データに応じたインクの吐出量、インクを吐出するノズル21、及び、駆動素子22の駆動タイミングに応じたインクの吐出タイミングが規定される。
【0062】
ヘッド駆動回路24は、制御データの波形選択データに基づいて1種類の波形信号を選択する。この波形信号が非吐出波形信号である場合には、ヘッド駆動回路24は駆動信号を駆動素子22に印加しないため、インクがノズル21から吐出されずに、インクが印刷媒体Aに着弾しない空白が形成される。
【0063】
一方、波形信号が吐出波形信号である場合には、ヘッド駆動回路24は、この吐出波形信号の波形に応じた電圧の信号を駆動信号として駆動素子22に印加する。これにより、駆動素子22が駆動信号に応じて駆動し、ノズル21に連通するヘッド20内の液体流路の容積が変更して、インクに吐出圧力が付与され、インクがノズル21から吐出される。このインクが印刷媒体Aに着弾し、印刷媒体AにおいてインクによるドットDが形成される。インクの吐出量に応じてドットDのサイズが異なる。小玉波形信号に応じて吐出された小玉のインクによって小ドットDが形成される。中玉波形信号に応じて吐出された中玉のインクによって、小ドットDよりも大きな中ドットDが形成される。大玉波形信号に応じて吐出された大玉のインクによって、中ドットDよりも大きな大ドットDが形成される。
【0064】
このような印刷動作中において、図9(b)に示すように、画像Eの途中まで印刷しているときに外部電源Cの停電が発生する(S3)。ここで、制御部50は、ステップS2で取得した蓄電部62の電力が第1電力未満であるが(ステップS4:NO)、第2電力以上である場合には(ステップS10:YES)、印刷動作を継続する(ステップS20)。この印刷動作を継続した場合、制御部50は、残存画像E1の未印刷画像データを記憶部53から取得し、残存画像E1の画素eごとにドット情報を未印刷画像データに基づいて取得する(ステップS21)。そして、制御部50は、このドット情報に基づいて、残存画像E1に空白部分E2が左右方向に横断するようにして存在するか否かを判定する(ステップS21)。
【0065】
この空白部分E2は、図9(a)に示すように、複数の画素eが左右方向に並ぶ画素列において画素eにドットDが形成されずに、ドット無しの空白画素e0が左右方向に列を成して並んでいる部分である。また、空白部分E2は、ドット有りの画素eを含んでいない。さらに、空白部分E2の前方及び後方の両方向にドット有りの画素eが存在する。これにより、空白部分E2は、ドットDにより形成される残存画像E1において左右方向に延びて、残存画像E1を空白部分E2よりも前方の前方画像部分E3と空白部分E2よりも後方の後方画像部分E4とに区切る。
【0066】
ここで、制御部50は、残存画像E1に空白部分E2が左右方向に横断するようにして存在する場合(ステップS22:YES)、空白部分E2を印刷動作の再開位置と判定する(ステップS23)。なお、残存画像E1に複数の空白部分E2がある場合、停電時の印刷位置E0に最も近い空白部分E2が再開位置となる。そして、図9(c)に示すように、制御部50は、停電後においても、空白部分E2までの画像Eを印刷媒体Aに印刷するように、印刷動作を実行させる(ステップS24)。そして、制御部50は、停電時の位置E0から空白部分E2までの前方画像部分E3を印刷した後に、印刷動作を中断する(ステップS25)。これにより、制御部50は、外部電源Cの停電解消してからの給電開始後に、中断している印刷動作を再開して、空白部分E2から後方画像部分E4を印刷する。このように、残存画像E1を区切る空白部分E2を再開位置とすることにより、再開位置が目立ち難いため、中断による印刷効率の低下を抑制する。
【0067】
続いて、上記ステップS22において残存画像E1に空白部分E2が存在しない場合(ステップS22:NO)、制御部50は、残存画像E1に、印刷媒体Aに着弾するインクのドットDの密度が所定密度未満の低濃度部分E5が、左右方向に横断するようにして存在するか否かを判定する(ステップS26)。
【0068】
このドットDの密度は、例えば、画像Eが印刷される印刷媒体Aの印刷領域A1における単位面積当たりのドットDの面積であって、画像データに基づいて取得される。ドットDの面積は、ドットDのサイズ(例えば、小ドットD、中ドットD、大ドットD)毎に予め記憶部53に記憶されている。図10(a)の例では、画像Eに、低濃度部分E5と、低濃度部分E5よりもドットDの密度が大きい他部分とが設けられている。この低濃度部分E5及び他部分には、右側の拡大図に示すように、画素e毎にドットDが形成されている。低濃度部分E5には小ドットDが形成されており、他部分には小ドットDよりも大きい中ドットD又は大ドットDが形成されている。
【0069】
また、左側の拡大図の例では、低濃度部分E5及び他部分には、互いに同じサイズのドットDが形成されている。但し、印刷領域A1における単位面積当たりのドットDの数は、他部分よりも低濃度部分E5の方が少ない。このように、ドットDのサイズ及び数の少なくともいずれか一方を、他部分よりも低濃度部分E5で減少させることにより、互いに隣接するドットDの間隔は他部分よりも低濃度部分E5で大きく、印刷領域A1においてドットDにより覆われる面積は他部分よりも低濃度部分E5で小さくなる。よって、低濃度部分E5では印刷領域A1における単位面積当たりのドットDの面積であるドットDの密度は、他部分よりも低濃度部分E5で小さく、所定密度未満である。
【0070】
このような低濃度部分E5は、ドットDにより形成される残存画像E1において左右方向に延びている。図10(a)の例では、低濃度部分E5は、残存画像E1を低濃度部分E5よりも前方の前方画像部分E3と低濃度部分E5よりも後方の後方画像部分E4に分けている。前方画像部分E3及び後方画像部分E4におけるドットDの密度は、低濃度部分E5のドットDの密度よりも大きい。なお、残存画像E1の全てが低濃度部分E5であってもよい。また、残存画像E1が低濃度部分E5とその他の部分に分かれていてもよい。
【0071】
ここで、制御部50は、残存画像E1に低濃度部分E5が左右方向に横断するようにして存在する場合(ステップS26:YES)、低濃度部分E5を印刷動作の再開位置と判定する(ステップS27)。なお、残存画像E1に複数の低濃度部分E5がある場合、停電時の印刷位置E0に最も近い低濃度部分E5が再開位置となる。そして、図10(b)に示すように、制御部50は、停電後においても、低濃度部分E5から後方に向かってドットDの密度を低下させながら印刷動作を実行させる(ステップS28)。
【0072】
ここで、制御部50は、前後方向において停電時の位置E0から低濃度部分E5までの前方画像部分E3については、ドット密度を調整せずに、画像データに基づいたドットDの数及びサイズで印刷媒体Aに印刷する。そして、制御部50は、前後方向において低濃度部分E5に達すると、低濃度部分E5について、画像データに基づいたドットDの密度以下になり、また、後方に向かってドットDの密度が小さくなっていくように、ドットDの数及びサイズを減少させていく。さらに、制御部50は、後方画像部分E4については、低濃度部分E5よりもドットDの密度が小さく、また、後方に向かってドットDの密度が小さくなっていくように、ドットDの数及びサイズを減少させていく。
【0073】
そして、制御部50は、印刷動作を中断する(ステップS25)。それから、制御部50は、外部電源Cの停電解消してからの給電開始後に、中断している印刷動作を再開する。ここで、制御部50は、図10(a)に示すように、低濃度部分E5及び後方画像部分E4について、画像データに基づいたドットDの密度になるように、ドットDを形成していく。このように、ドットDの密度が小さい低濃度部分E5を再開位置とすることにより、再開位置が目立ち難いため、中断による印刷効率の低下を抑制する。
【0074】
続いて、上記ステップS26において残存画像E1に低濃度部分E5が存在しない場合(ステップS26:NO)、制御部50は、残存画像E1に、印刷媒体Aに着弾するインクのドットDの密度について、前後方向における変化量が所定量以上である濃度変化部分E6が、左右方向に横断するようにして存在するか否かを判定する(ステップS29)。
【0075】
例えば、図11(a)に示すように、制御部50は、複数のドットDが左右方向に一列に並ぶドット列ごとに、ドットDの密度を取得する。そして、制御部50は、ドット列のドットDの密度と、このドット列と前後方向において隣接するドット列のドットDの密度との差を取得する。制御部50は、ドットDの密度の差である変化量が所定量であれば、その互いに隣接するドット列の間を濃度変化部分E6と判定する。この濃度変化部分E6は、ドットDにより形成される残存画像E1において左右方向に延びて、残存画像E1を濃度変化部分E6よりも前方の前方画像部分E3と濃度変化部分E6よりも後方の後方画像部分E4に分ける。この前方画像部分E3の最後ドット列と後方画像部分E4の最前ドット列は濃度変化部分E6を互いの間に挟んで前後方向に隣接する。ドットDの密度は、最後ドット列が最前ドット列よりも大きい場合もあれば、最後ドット列が最前ドット列よりも小さい場合もある。
【0076】
ここで、制御部50は、残存画像E1に濃度変化部分E6が左右方向に横断するようにして存在する場合(ステップS29:YES)、濃度変化部分E6を印刷動作の再開位置と判定する(ステップS30)。なお、残存画像E1に複数の濃度変化部分E6がある場合、停電時の印刷位置E0に最も近い濃度変化部分E6が再開位置となる。そして、図11(b)に示すように、制御部50は、停電後においても、濃度変化部分E6までの画像Eを印刷媒体Aに印刷するように、印刷動作を実行させる。そして、制御部50は、停電時の印刷位置E0から濃度変化部分E6までの前方画像部分E3を印刷してから(ステップS24)、印刷動作を中断する(ステップS25)。これにより、前方画像部分E3の最後ドット列まで印刷媒体Aに形成される。
【0077】
制御部50は、外部電源Cの停電解消してからの給電開始後に、中断している印刷動作を再開すると、濃度変化部分E6から後方画像部分E4を印刷していく。これにより、後方画像部分E4の最前ドット列から順次、印刷媒体Aに形成されていく。このように、ドットDの密度変化が大きい濃度変化部分E6を再開位置とすることにより、再開位置が目立ち難いため、中断による印刷効率の低下を抑制する。
【0078】
続いて、上記ステップS29において残存画像E1に濃度変化部分E6が存在しない場合(ステップS29:NO)、制御部50は、残存画像E1に、印刷媒体Aに着弾するインクのドットDのうち前後方向に並ぶ少なくとも2つのドットDが同色である単色部分E7が、左右方向に横断するようにして存在するか否かを判定する(ステップS31)。
【0079】
図12(a)の例では、制御部50は、複数のドットDが左右方向に一列に並ぶドット列ごとに、ドットDの色をドットデータに基づいて取得する。そして、制御部50は、前後方向において互いに隣接するドット列について、前後方向に並ぶドットDのペアが互いに同色であるか否かを判定する。制御部50は、ドット列における全てのペアのドットDが同色である場合、この前後方向において互いに隣接するドット列のドットDを単色部分E7であると判定する。単色部分E7は、ドットDにより形成される残存画像E1において左右方向に延びている。図12(a)の例では、単色部分E7は、残存画像E1を単色部分E7よりも前方の前方画像部分E3と単色部分E7よりも後方の後方画像部分E4に分けている。ただし、残存画像E1の全てが単色部分E7であってもよい。また、残存画像E1が単色部分E7とその他の部分に分かれていてもよい。
【0080】
このように、制御部50は、残存画像E1に単色部分E7が左右方向に横断するようにして存在する場合(ステップS31:YES)、単色部分E7を印刷動作の再開位置と判定する(ステップS32)。なお、残存画像E1に複数の単色部分E7がある場合、停電時の印刷位置E0に最も近い単色部分E7が再開位置となる。そして、図12(b)に示すように、制御部50は、停電後においても、単色部分E7から後方に向かってドットDの密度を低下させながら印刷動作を実行させる(ステップS28)。
【0081】
この印刷動作において、制御部50は、前後方向において停電時の位置E0から単色部分E7までの前方画像部分E3については、ドットDの密度を調整せずに、画像データに基づいたドットDの数及びサイズで印刷媒体Aに印刷する。そして、制御部50は、前後方向において単色部分E7に達すると、単色部分E7について、画像データに基づいたドットDの密度以下になり、また、後方に向かってドットDの密度が小さくなっていくように、ドットDの数及びサイズを減少させていく。さらに、制御部50は、後方画像部分E4については、単色部分E7よりもドットDの密度が小さく、また、後方に向かってドットDの密度が小さくなっていくように、ドットDの数及びサイズを減少させていく。
【0082】
そして、制御部50は、印刷動作を中断する(ステップS25)。それから、制御部50は、外部電源Cの停電解消してからの給電開始後に、中断している印刷動作を再開する。ここで、制御部50は、図9(a)に示すように、単色部分E7及び後方画像部分E4について、画像データに基づいたドットDの密度になるように、ドットDを形成していく。このように、単色部分E7を再開位置とし、単色部分E7を重ねて印刷することにより、互いに同色のドットDがずれても再開位置が目立ち難いため、中断による印刷効率の低下を抑制する。
【0083】
上記ステップS31において残存画像E1に単色部分E7が存在しない場合(ステップS31:NO)、制御部50は、印刷動作を中断する(ステップS25)。そして、制御部50は、印刷動作の中断後に、図7のステップS6の処理に戻り、キャッピング動作、記憶動作及び攪拌動作を実行する(ステップS6~S9)。
【0084】
<その他の変形例>
上記実施の形態及び全変形例に係る印刷装置10では、印刷装置10はシリアルヘッド方式であったが、ラインヘッド方式であってもよい。この場合、印刷装置10は走査装置40を備えずに、ヘッド20は移動せずに左右方向において印刷媒体Aの長さよりも長い寸法を有している。
【0085】
上記実施の形態及び変形例において、ヘッド20は、駆動素子22に圧電素子を用いた方式(ピエゾ方式)を採用したが、この方式に限定されない。例えば、ヘッド20は、駆動素子22に発熱体を用いたサーマル方式、又は、駆動素子22に導電性振動板及び電極を用いた静電方式を採用し得る。
【0086】
なお、上記実施の形態及び変形例は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の印刷装置は、再起動後のインクの吐出不良を低減することができる印刷装置等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
10 :印刷装置
11 :印刷部
13 :タンク
14 :キャップ
15 :キャッピング装置
16 :不揮発性記憶部
17 :攪拌装置
18 :出力部
20 :ヘッド
21 :ノズル
23 :吐出面
30 :搬送装置
50 :制御部
53 :記憶部
62 :蓄電部
63 :電圧検出部
65 :電圧変換部
65a :第1電圧変換部
65b :第2電圧変換部
67 :電圧検出部
図1
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図12