特開 2023-151705 動物用トイレ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023151705

(43)【公開日】2023-10-16

(54)【発明の名称】動物用トイレ

(51)【国際特許分類】

   A01K 1/01 20060101AFI20231005BHJP

【ＦＩ】

A01K1/01 801A

【審査請求】未請求

【請求項の数】25

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022061460

(22)【出願日】2022-04-01

(71)【出願人】

【識別番号】321000026

【氏名又は名称】株式会社大貴

(74)【代理人】

【識別番号】100179327

【弁理士】

【氏名又は名称】大坂 憲正

(72)【発明者】

【氏名】吉永 隼士

【テーマコード（参考）】

2B101

【Ｆターム（参考）】

2B101CA06

2B101CA08

2B101CB01

2B101GB08

(57)【要約】

【課題】仕切部の貫通孔が粒状体で塞がれる事態を起こりにくくすることができる動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ１は、本体部１０、仕切部２０、及び屋根部材２４を備えている。本体部１０は、排泄された尿を受ける。仕切部２０は、本体部１０の内部空間を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画している。仕切部２０は、尿を通過させる貫通孔２２を有している。屋根部材２４は、仕切部２０に固定されている。屋根部材２４は、貫通孔２２から離間した状態で貫通孔２２を上方から覆っている。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

排泄された尿を受ける本体部と、
前記尿を通過させる貫通孔を有し、前記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、
前記仕切部に固定されており、前記貫通孔から離間した状態で当該貫通孔を上方から覆う屋根部材と、
を備えることを特徴とする動物用トイレ。

【請求項2】

請求項１に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材は、平面視で、前記貫通孔の全体を覆っている動物用トイレ。

【請求項3】

請求項２に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の平面形状と前記貫通孔の平面形状とは、互いに相似である動物用トイレ。

【請求項4】

請求項２に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の平面形状と前記貫通孔の平面形状とは、互いに合同である動物用トイレ。

【請求項5】

請求項１に記載の動物用トイレにおいて、
平面視で、前記屋根部材の面積は、前記貫通孔の面積の１５０％以下である動物用トイレ。

【請求項6】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部の上下方向についての前記屋根部材と前記貫通孔との間隔は、当該貫通孔の径以下である動物用トイレ。

【請求項7】

請求項６に記載の動物用トイレにおいて、
前記間隔は、前記貫通孔の径の２５％以上である動物用トイレ。

【請求項8】

請求項７に記載の動物用トイレにおいて、
前記間隔は、前記貫通孔の径の５０％以上である動物用トイレ。

【請求項9】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の上面の少なくとも一部は、当該屋根部材の周縁に向かって下方に傾斜している動物用トイレ。

【請求項10】

請求項９に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の前記上面の全体が、当該屋根部材の前記周縁に向かって下方に傾斜している動物用トイレ。

【請求項11】

請求項９に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の前記上面は、平面状をしている動物用トイレ。

【請求項12】

請求項９に記載の動物用トイレにおいて、
前記屋根部材の前記上面は、曲面状をしている動物用トイレ。

【請求項13】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部と前記屋根部材とを連結する連結部材を備える動物用トイレ。

【請求項14】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記連結部材は、棒状をしており、一端が前記仕切部に接続されるとともに他端が前記屋根部材に接続されている動物用トイレ。

【請求項15】

請求項１４に記載の動物用トイレにおいて、
前記支持部材の径は、前記貫通孔の径の３０％以下である動物用トイレ。

【請求項16】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、複数の前記貫通孔を有する動物用トイレ。

【請求項17】

請求項１６に記載の動物用トイレにおいて、
前記各貫通孔を個別に覆う複数の前記屋根部材を備える動物用トイレ。

【請求項18】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記上部空間に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。

【請求項19】

請求項１８に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。

【請求項20】

請求項１９に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。

【請求項21】

請求項１乃至５の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、１つの容器からなり、底面部及び側面部を有している動物用トイレ。

【請求項22】

請求項２１に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記本体部に固定されていない動物用トイレ。

【請求項23】

請求項２２に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、前記側面部から当該本体部の内側に突出する支持部を有し、
前記仕切部は、前記支持部上に載置される動物用トイレ。

【請求項24】

請求項２１に記載の動物用トイレにおいて、
前記下部空間に配設され、前記貫通孔を通過した前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。

【請求項25】

請求項２４に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、動物用トイレに関する。

【背景技術】

【0002】

従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献１に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部（トレー）、及び本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部（簀子）を備えている。仕切部には、尿を通過させる貫通孔が形成されている。上部空間（仕切部上）には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。下部空間には、吸水性シートが配設されている。本体部の上部空間に排泄された尿は、粒状体どうしの間、及び仕切部の貫通孔を通過した後、下部空間において吸水性シートに吸収される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－１８０１８２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、上述の動物用トイレにおいては、上部空間に敷設された粒状体によって貫通孔が塞がれることがある。このように貫通孔が塞がれると、尿が貫通孔を通過しにくくなるため、上部空間から下部空間への尿の円滑な移動が妨げられてしまう。

【0005】

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、仕切部の貫通孔が粒状体で塞がれる事態を起こりにくくすることができる動物用トイレを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明による動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部と、上記尿を通過させる貫通孔を有し、上記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、上記仕切部に固定されており、上記貫通孔から離間した状態で当該貫通孔を上方から覆う屋根部材と、を備えることを特徴とする。

【0007】

この動物用トイレにおいては、仕切部の貫通孔を上方から覆う屋根部材が設けられている。このため、上部空間に粒状体が敷設されても、屋根部材に阻まれることにより、粒状体が貫通孔まで達しにくい。これにより、貫通孔が粒状体で塞がれる事態を起こりにくくすることができる。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、仕切部の貫通孔が粒状体で塞がれる事態を起こりにくくすることができる動物用トイレが実現される。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。

【図2】本体部１０を示す端面図である。

【図3】本体部１０を示す正面図である。

【図4】本体部１０を示す平面図である。

【図5】仕切部２０を示す平面図である。

【図6】仕切部２０及び屋根部材２４を示す平面図である。

【図7】図６のVII－VII線に沿った端面図である。

【図8】図６の一部を拡大して示す平面図である。

【図9】図７の一部を拡大して示す端面図である。

【図10】引出部５０を示す斜視図である。

【図11】屋根部材２４の一変形例を説明するための平面図である。

【図12】屋根部材２４の一変形例を説明するための端面図である。

【図13】屋根部材２４の他の変形例を説明するための端面図である。

【図14】屋根部材２４の他の変形例を説明するための端面図である。

【図15】本体部１０の変形例を説明するための端面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

【0011】

図１は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。同図を参照しつつ、動物用トイレ１の構成の概略を説明する。動物用トイレ１は、本体部１０、仕切部２０、屋根部材２４、連結部材２６、複数の粒状体３０、吸水性シート４０、及び引出部５０を備えている。本体部１０は、１つの容器からなり、底面部１０ａ及び側面部１０ｂを有している。本体部１０は、排泄された尿を受ける。本体部１０の外形は、略直方体である。本体部１０の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0012】

本体部１０は、支持部１２を有している。支持部１２は、側面部１０ｂから本体部１０の内側に突出している。支持部１２は、仕切部２０を下から支持する。支持部１２は、例えば、突条又は突起からなる。支持部１２は、側面部１０ｂと一体に成形されてもよいし、側面部１０ｂと別々に成形された後に側面部１０ｂに取り付けられてもよい。

【0013】

仕切部２０は、支持部１２上に載置されている。ただし、仕切部２０は、本体部１０に固定されていない。仕切部２０は、本体部１０に対して着脱可能である。仕切部２０は、板状の部材からなる。仕切部２０は、底面部１０ａと平行に配置されている。また、仕切部２０は、本体部１０（側面部１０ｂ）の上端及び吸水性シート４０の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部２０は、本体部１０の内部空間を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画している。上部空間Ｓ１は、仕切部２０の上方に存在し、複数の粒状体３０が敷設される空間である。下部空間Ｓ２は、仕切部２０の下方に存在し、尿が溜まる空間である。仕切部２０は、尿を通過させる貫通孔２２を有している。貫通孔２２は、尿を通過させる一方で、粒状体３０を通過させない。仕切部２０の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0014】

屋根部材２４は、仕切部２０に固定されている。屋根部材２４は、連結部材２６を介して仕切部２０に固定されている。屋根部材２４は、本体部１０には固定されていない。屋根部材２４は、水平な板状の部材からなる。屋根部材２４は、貫通孔２２を上方から覆っている。ただし、屋根部材２４は、貫通孔２２から上方に離間している。すなわち、屋根部材２４の下面は、貫通孔２２の上端（仕切部２０の上面）よりも高い位置にある。これにより、貫通孔２２（仕切部２０）と屋根部材２４との間には、隙間が存在している。このように、屋根部材２４は、貫通孔２２から離間した状態で貫通孔２２を上方から覆っている。上記隙間は、尿を通過させる一方で、粒状体３０を通過させない。尿は、当該隙間を通じて貫通孔２２に流れ込む。屋根部材２４及び連結部材２６の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0015】

上部空間Ｓ１（仕切部２０上）には、排泄物（主に尿）を処理するための複数の粒状体３０が敷設される。各粒状体３０は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体３０の粒径は、例えば、１０ｍｍ以上２０ｍｍ以下である。ここで、粒状体３０の粒径は、当該粒状体３０を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ１の使用時、粒状体３０は、排泄された尿を直接に受けることになる。

【0016】

粒状体３０は、疎水性を有している。すなわち、粒状体３０は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体３０が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が６０％以上であることが必要である。まず、内径１０ｃｍ、目開き１ｍｍの篩に５０ｇ相当の粒状体３０（サンプル）を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径３ｃｍ、筒先の内径４ｍｍのシリンジ（テルモ社製６０ｍｌシリンジ）を用いて、３０ｍｌの水を１０秒かけて滴下する。１分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量（３０ｍｌ）に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が１８ｍｌ以上であれば、液通過率が６０％以上となるため、粒状体３０が疎水性を有するといえる。

【0017】

各粒状体３０は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体３０の主材料とは、粒状体３０を構成する１又は２以上の材料のうち、当該粒状体３０に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。各粒状体３０は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。

【0018】

紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。塩ビ壁紙分級物は、紙及びポリ塩化ビニルを含有する塩ビ壁紙からポリ塩化ビニルの一部が除去されてなる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、又は紙おむつ分級物（紙おむつを分級することにより得られるプラスチック）が挙げられる。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、疎水処理（撥水処理）が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。

【0019】

粒状体３０を構成する材料は、１つのみであってもよいし、２つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体３０を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体３０は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体３０の疎水性を高めることができる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体３０の全体に対して５重量％以上５０重量％未満とされる。

【0020】

粒状体３０は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料（粒状体３０を構成する材料）を造粒することにより、粒状体３０となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤（撥水剤）でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体３０の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け（分粒）、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。

【0021】

下部空間Ｓ２（仕切部２０の下方）には、吸水性シート４０が配設される。吸水性シート４０は、仕切部２０の貫通孔２２を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔２２を通過した尿は、吸水性シート４０に吸収された状態で下部空間Ｓ２に溜まる。

【0022】

引出部５０は、側面部１０ｂに形成された開口１４を通じて、本体部１０に対して抜き挿しすることが可能である。引出部５０には、吸水性シート４０が収容される。すなわち、吸水性シート４０は、引出部５０に収容された状態で本体部１０内に配設されている。引出部５０の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0023】

動物用トイレ１の使用時、粒状体３０上に排泄された尿は、粒状体３０どうしの隙間を通り抜けて下方へと流れる。当該尿は、仕切部２０の貫通孔２２を通じて、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２へと移動し、吸水性シート４０に吸収される。

【0024】

以下、図２～図１０を参照しつつ、動物用トイレ１の各部の構成を詳細に説明する。図２及び図３は、それぞれ、本体部１０を示す端面図及び正面図である。本体部１０の側面部１０ｂには、引出部５０を抜き挿しするための開口１４が形成されている。開口１４は、底面部１０ａの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口１４の横方向（図３の左右方向）の長さは、本体部１０の横幅（内寸）に略等しく、例えば２０ｃｍ以上４０ｃｍ以下である。開口１４の縦方向（図３の上下方向）の長さは、例えば２ｃｍ以上５ｃｍ以下である。

【0025】

図４は、本体部１０を示す平面図である。支持部１２は、平面視で、側面部１０ｂの内周の全体に設けられている。すなわち、支持部１２は、側面部１０ｂの内周に沿って環状に設けられた突条からなる。側面部１０ｂの内周は、平面視で、略矩形状をしている。ここで、略矩形とは、矩形に限らず、角丸四角形のように矩形に近い形状も含む趣旨である。支持部１２の突出長さ（当該支持部１２が設けられた側面部１０ｂの内面に垂直な方向の長さ）は、例えば５ｍｍ以上１５ｍｍ以下である。

【0026】

図５は、仕切部２０を示す平面図である。同図は、屋根部材２４が取り付けられていない状態の仕切部２０を示している。仕切部２０は、その周囲全体が側面部１０ｂから離間した状態で本体部１０内に配設可能である。仕切部２０は、平面視で、略矩形状をしている。仕切部２０は、複数の貫通孔２２を有している。以下の記述において「複数の貫通孔２２」は、別段の断りがない限り、仕切部２０に設けられた全ての貫通孔２２を指すものとする。複数の貫通孔２２は、仕切部２０において二次元的に配列されている。各貫通孔２２の平面形状は、円形である。各貫通孔２２の径は、例えば５ｍｍ以上１０ｍｍ以下である。

【0027】

図６は、仕切部２０及び屋根部材２４を示す平面図である。図７は、図６のVII－VII線に沿った端面図である。また、図８及び図９は、それぞれ図６及び図７の一部（一組の貫通孔２２及び屋根部材２４）を拡大して示す図である。動物用トイレ１には、複数の屋根部材２４が設けられている。複数の屋根部材２４は、各貫通孔２２を個別に覆っている。屋根部材２４の個数は、貫通孔２２の個数に等しい。すなわち、１つの貫通孔２２に対して１つの屋根部材２４が設けられている。各屋根部材２４の平面形状は、円形である。平面視で、屋根部材２４の面積は、貫通孔２２の面積の１００％以上１５０％以下であることが好ましい。貫通孔２２の面積は、貫通孔２２の上端における開口面積として定義される。本実施形態において屋根部材２４の面積は、貫通孔２２の面積よりも大きい。それゆえ、屋根部材２４の平面形状と貫通孔２２の平面形状とは、互いに相似である。屋根部材２４は、平面視で、貫通孔２２の全体を覆っている。すなわち、屋根部材２４は、平面視で、貫通孔２２の全体に重なっている。平面視で、屋根部材２４の中心は、貫通孔２２の中心に一致している。

【0028】

本体部１０の上下方向（図７及び図９の上下方向）についての屋根部材２４と貫通孔２２との間隔ｄ１（図９参照）は、貫通孔２２の径ｄ２以下であることが好ましい。間隔ｄ１は、屋根部材２４の下面から仕切部２０の上面を含む平面までの距離に等しい。径ｄ２は、貫通孔２２の上端における開口の径として定義される。間隔ｄ１は、径ｄ２の２５％以上であることが好ましく、５０％以上であることがより好ましい。

【0029】

連結部材２６は、仕切部２０と屋根部材２４とを連結している。連結部材２６は、棒状をしている。連結部材２６は、一端が仕切部２０に接続されるとともに、他端が屋根部材２４に接続されている。詳細には、連結部材２６の下端が仕切部２０の上面に接続されるとともに、連結部材２６の上端が屋根部材２４の下面に接続されている。これにより、連結部材２６は、仕切部２０から屋根部材２４まで延在している。連結部材２６の延在方向は、本体部１０の上下方向に等しい。連結部材２６の径ｄ３（図９参照）は、貫通孔２２の径ｄ２の３０％以下であることが好ましい。図８からわかるように、１つの屋根部材２４に対して複数（具体的には４つ）の連結部材２６が設けられている。複数の連結部材２６は、貫通孔２２の周囲に沿って等間隔で配置されている。

【0030】

連結部材２６は、平面視で、仕切部２０の遮蔽領域Ｒ１（図８参照）内に設けられている。遮蔽領域Ｒ１は、仕切部２０の上面のうち、平面視で屋根部材２４で覆われた領域である。本実施形態の場合、遮蔽領域Ｒ１は、平面視で貫通孔２２の周縁と屋根部材２４の周縁とで画された円環状の領域である。

【0031】

図１０は、引出部５０を示す斜視図である。引出部５０は、底板５０ａ、前板５０ｂ、先板５０ｃ、及び一対の側板５０ｄを有している。底板５０ａの大きさは、本体部１０の底面部１０ａの大きさに略等しい。前板５０ｂは、開口１４と略同一の形状及び大きさをしている。前板５０ｂには、把手５２が取り付けられている。

【0032】

動物用トイレ１の効果を説明する。動物用トイレ１においては、仕切部２０の貫通孔２２を上方から覆う屋根部材２４が設けられている。このため、上部空間Ｓ１に粒状体３０が敷設されても、屋根部材２４に阻まれることにより、粒状体３０が貫通孔２２まで達しにくい。これにより、貫通孔２２が粒状体３０で塞がれる事態を起こりにくくすることができる。

【0033】

屋根部材２４は、平面視で、貫通孔２２の全体を覆っている。このことは、貫通孔２２の全体が開放された状態（貫通孔２２が粒状体３０で全く塞がれていない状態）を維持するのに有利である。

【0034】

屋根部材２４の平面形状と貫通孔２２の平面形状とは、互いに相似である。このように屋根部材２４の形状を貫通孔２２の形状と同一にすることにより、仕切部２０の遮蔽領域Ｒ１の広さを小さく抑えやすくなる。遮蔽領域Ｒ１は、貫通孔２２の周囲に存在する。にもかかわらず、遮蔽領域Ｒ１は屋根部材２４で覆われているため、遮蔽領域Ｒ１には尿が直接落下しにくい。そのため、遮蔽領域Ｒ１の広さを小さくすることは、尿が貫通孔２２に流れ込みやすくするのに有利である。

【0035】

このように仕切部２０の遮蔽領域Ｒ１の広さを小さくするには、屋根部材２４の面積が小さい方が有利である。かかる観点から、平面視で、屋根部材２４の面積は、貫通孔２２の面積の１５０％以下であることが好ましい。他方、屋根部材２４の面積が小さすぎると、屋根部材２４が貫通孔２２の全体を覆うことができなくなってしまう。かかる観点から、屋根部材２４の面積は、貫通孔２２の面積の１００％以上であることが好ましい。

【0036】

屋根部材２４と貫通孔２２との間隔ｄ１が貫通孔２２の径ｄ２以下である場合、屋根部材２４と貫通孔２２との間の隙間に粒状体３０が入り込んでしまうのを防ぐことができる。他方、尿が当該隙間を通じて貫通孔２２に流れ込みやすくするには、間隔ｄ１を大きくした方が有利である。かかる観点から、間隔ｄ１は、径ｄ２の２５％以上であることが好ましく、５０％以上であることがより好ましい。

【0037】

連結部材２６は、貫通孔２２と屋根部材２４とを連結している。かかる連結部材２６を設けることにより、屋根部材２４が貫通孔２２から離間した状態で貫通孔２２を上方から覆う構成を容易に実現することができる。

【0038】

連結部材２６は、棒状をしている。当然ながら、尿は、連結部材２６が存在する部分を通ることができない。それゆえ、連結部材２６の存在は、尿の流れを阻害する。この点、連結部材２６を細長い形状（棒状）にすることにより、尿の流れを阻害する程度を小さく抑えることができる。

【0039】

このように尿の流れを阻害する程度を小さくするには、連結部材２６の径ｄ３が小さい方が有利である。かかる観点から、径ｄ３は、貫通孔２２の径ｄ２の３０％以下であることが好ましい。他方、径ｄ３が小さすぎると、連結部材２６の機械的強度が不足しかねない。かかる観点から、径ｄ３は、径ｄ２の１０％以上であることが好ましい。

【0040】

仕切部２０は、複数の貫通孔２２を有している。このように複数の貫通孔２２を設けることは、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２へ尿を円滑に移動させる上で有利である。

【0041】

各貫通孔２２を個別に覆うように複数の屋根部材２４が設けられている。これにより、何れの貫通孔２２についても、当該貫通孔２２が粒状体３０で塞がれる事態を起こりにくくすることができる。

【0042】

各粒状体３０は、疎水性を有している。この場合、粒状体３０上に排泄された尿の大部分は、粒状体３０に吸収されずに、粒状体３０どうしの隙間を通り抜けていく。これにより、尿を貫通孔２２まで速やかに導くことができる。

【0043】

各粒状体３０が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体３０を得ることができる。この場合、使用済みの粒状体３０を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザ（動物の飼主等）にとっての利便性が向上する。特に各粒状体３０が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体３０を得ることができる。

【0044】

本体部１０は、１つの容器からなっている。この場合、本体部１０が複数の容器からなる場合に比して簡易な構成で、上部空間Ｓ１及び下部空間Ｓ２を有する動物用トイレ１を実現することができる。

【0045】

仕切部２０は、本体部１０に固定されていない。この場合、本体部１０に対する仕切部２０の着脱が容易になる。

【0046】

仕切部２０は、支持部１２上に載置されている。これにより、本体部１０に固定することなく仕切部２０を本体部１０内の所定の位置に留めておくことができる。

【0047】

支持部１２は、平面視で、側面部１０ｂの内周の全体に設けられている。これにより、仕切部２０が下部空間Ｓ２に落下してしまうのを防ぎやすくなる。

【0048】

仕切部２０は、その周囲全体が側面部１０ｂから離間した状態で本体部１０内に配設可能である。このように仕切部２０と側面部１０ｂとの間にマージンを設けておくことにより、本体部１０に対して仕切部２０を着脱する際、仕切部２０の移動を円滑に行うことができる。

【0049】

仕切部２０の下方には、吸水性シート４０が配設されている。これにより、下部空間Ｓ２に溜まった尿を吸水性シート４０内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。

【0050】

本体部１０に対して抜き挿しすることが可能な引出部５０が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート４０を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。

【0051】

本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、屋根部材２４の平面形状と貫通孔２２の平面形状とが互いに相似である場合を例示した。しかし、屋根部材２４の平面形状と貫通孔２２の平面形状とは、互いに合同であってもよい。その場合、図１１に示すように、平面視で貫通孔２２と屋根部材２４とが完全に重なり合うようにすることが可能となる。そうすることにより、仕切部２０に遮蔽領域Ｒ１が存在しないようにすることができる。このことは、尿が貫通孔２２に流れ込みやすくするのに特に有利である。このとき、連結部材２６は、例えば図１２に示すように、斜めに延在するように設けられる。

【0052】

上記実施形態においては、屋根部材２４の上面全体が水平である場合を例示した。しかし、屋根部材２４の上面の少なくとも一部は、例えば図１３及び図１４に示すように、屋根部材２４の周縁に向かって下方に傾斜していてもよい。両図においては、屋根部材２４の上面の全体が屋根部材２４の周縁に向かって下方に傾斜している。図１３において屋根部材２４の上面は、平面状をしている。屋根部材２４の上面の位置は、屋根部材２４の一方の側（図１３の左側）から他方の側（図１３の右側）に向かうにつれて、次第に低くなっている。図１４において屋根部材２４の上面は、曲面状（傘状）をしている。屋根部材２４の上面の位置は、屋根部材２４の中心から周縁に向かうにつれて、次第に低くなっている。

【0053】

このように屋根部材２４の上面を傾斜させることにより、当該上面に達した尿が屋根部材２４から流れ落ちやすくなる。このため、尿が屋根部材２４の上面に溜まりにくいようにすることができる。屋根部材２４の上面の全体を傾斜させた場合、尿が屋根部材２４の上面に特に溜まりにくくなる。屋根部材２４の上面が平面状である場合、上面が傾斜した屋根部材２４を比較的簡易な構造で実現することができる。屋根部材２４の上面が曲面状である場合、屋根部材２４の上面に達した尿を当該屋根部材２４の周縁全体に向けて均等に流すことができる。なお、本例のように屋根部材２４の下面から仕切部２０の上面を含む平面までの距離が一定でない場合、屋根部材２４と貫通孔２２との間隔ｄ１は、上記距離の最大値として定義するものとする。

【0054】

上記実施形態においては、屋根部材２４が平面視で貫通孔２２の全体を覆う場合を例示した。しかし、屋根部材２４は、平面視で、貫通孔２２の一部のみを覆っていてもよい。

【0055】

上記実施形態においては、貫通孔２２の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、貫通孔２２の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。このように貫通孔２２の平面形状が円形でない場合、貫通孔２２の径ｄ２は、貫通孔２２の上端における開口を内包することが可能な最小の円の直径として定義するものとする。

【0056】

上記実施形態においては、屋根部材２４の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、屋根部材２４の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。なお、屋根部材２４の平面形状は、貫通孔２２の平面形状と異なっていてもよい。

【0057】

上記実施形態においては、引出部５０が設けられた場合を例示した。しかし、引出部５０を設けることは必須でない。引出部５０を設けない場合、吸水性シート４０は、底面部１０ａ上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部１０ｂに開口１４は設けられない。

【0058】

上記実施形態においては、本体部１０に吸水性シート４０が配設される場合を例示した。しかし、本体部１０に吸水性シート４０を配設することは必須でない。吸水性シート４０を配設しない場合、引出部５０も設けられない。

【0059】

上記実施形態においては、本体部１０が１つの容器で構成された場合を例示した。しかし、本体部１０は、例えば図１５に示すように、複数の容器で構成されてもよい。同図において本体部１０は、２つの容器（容器６２，６４）で構成されている。各容器６２，６４は、底面部及び側面部を有する箱状をしている。容器６２は、容器６４上に積み重ねられている。容器６２の底面部は、貫通孔２２を有しており、仕切部２０を構成している。これにより、容器６２の内部空間及び容器６４の内部空間が、それぞれ上部空間Ｓ１及び下部空間Ｓ２となっている。容器６２の側面部並びに容器６４の底面部及び側面部が、本体部１０を構成している。

【符号の説明】

【0060】

１ 動物用トイレ
１０ 本体部
１０ａ 底面部
１０ｂ 側面部
１２ 支持部
１４ 開口
２０ 仕切部
２２ 貫通孔
２４ 屋根部材
２６ 連結部材
３０ 粒状体
４０ 吸水性シート
５０ 引出部
５２ 把手
６２ 容器
６４ 容器
Ｒ１ 遮蔽領域
Ｓ１ 上部空間
Ｓ２ 下部空間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】