(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015171
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】癌の組合せ治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230124BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230124BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230124BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230124BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230124BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20230124BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K38/07
A61K47/68
C07K16/24
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173704
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2020515138の分割
【原出願日】2018-09-12
(31)【優先権主張番号】62/558,608
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】アクセル、フース
(72)【発明者】
【氏名】サンジェイ、カンデーカル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、メイズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアンナ、オパリンスカ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬の組合せを含む、多発性骨髄腫などの癌を治療する方法を提供する。
【解決手段】それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる、方法。
【請求項2】
それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる、方法。
【請求項3】
前記抗BCMA抗原結合タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗BCMA抗原結合タンパク質が、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域(VH);および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域(VL)を含んでなる抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗BCMA抗原結合タンパク質が、細胞毒素に結合された抗体を含んでなる免疫複合体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞毒素がMMAEまたはMMAFから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ICOSに対する作用物質が抗ICOS抗体である、請求項1および3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗ICOS抗体がICOSアゴニストである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記ICOSに対する作用物質が、S228P変異およびL235E変異を含んでなるFc領域を含んでなる、請求項1および3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗CD38抗原結合タンパク質が抗CD38抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記抗CD38抗体がダラツムマブである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病および非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる、癌の治療において使用するための組合せ。
【請求項16】
抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる、癌の治療において使用するための組合せ。
【請求項17】
癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる組合せの使用。
【請求項18】
癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる組合せの使用。
【請求項19】
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)ICOSに対する作用物質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキット。
【請求項20】
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)抗CD38抗原結合タンパク質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットで電子提出された配列表を含み、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。2018年9月10日に作成された前記ASCIIコピーはPU66430_WO_SL.txtの名称で21,096バイトのサイズである。
【0002】
発明の分野
本発明は、対象において癌を治療する方法に関する。特に、本発明は、癌を治療するための抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬の組合せに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
多発性骨髄腫(MM)は、不治の悪性腫瘍であり、総ての癌の1%、総ての血液系悪性腫瘍の10%を占める。多発性骨髄腫の治療において、様々な薬物および組合せ治療が評価され、有効であることが判明している(National Comprehensive Cancer Network, 2016; Moreau, San Miguel et al., 2017)。しかしながら、これらの患者の総てではなくともほとんどが必ず再発する(Richardson, Barlogie et al., 2003; Richardson, Barlogie et al., 2006; Jagannath, Barlogie et al., 2008)。
【0004】
MMの治療歴のある患者に対して三剤および四剤の組合せが浮上しているが、これらの治療計画は毒性作用により限定される可能性がある(National Comprehensive Cancer Network, 2016)。重篤な毒性の増加無く、既存の両方と組み合わせることができる新しい作用機序の薬剤が必要とされる。よって、作用機序が重複せず、事前の処置との交差耐性が最小となり得る治療組合せを開発する差し迫った必要がある。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本開示は、対象、例えば、ヒトにおいて癌を治療する方法に関する。特に、本発明は、癌を治療するための、抗体などの抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬の組合せに関する。一実施形態において、癌は、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、および非ホジキンリンパ腫から選択される。
【0006】
本明細書では、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる方法が提供される。一実施形態において、この免疫調節薬は、ICOSに対する作用物質(an agent directed to ICOS)、例えば、抗ICOS抗体である。さらに別の側面では、この抗ICOS抗体は、ICOSアゴニストである。
【0007】
別の実施形態において、この免疫調節薬は、抗CD38抗原結合タンパク質、例えば、ダラツムマブである。
【0008】
本明細書ではまた、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなり、前記抗体が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる方法が提供される。
【0009】
さらに本明細書では、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなり、前記抗BCMA抗原結合タンパク質が、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる抗体である、治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる方法が提供される。
【0010】
さらに本明細書では、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなり、前記抗BCMA抗原結合タンパク質が、細胞毒素に結合された抗体を含んでなる免疫複合体である、治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる方法が提供される。一実施形態において、前記細胞毒素は、MMAEまたはMMAFである。
【0011】
さらに本明細書では、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる方法が提供される。
【0012】
さらに本明細書では、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVHドメイン;および配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでなるVLドメインを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することを含んでなる方法が提供される。
【0013】
一実施形態において、ICOSに対する作用物質は、S228P変異およびL235E変異を含んでなるFc領域を含んでなる。
【0014】
また、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる、癌の治療において使用するための組合せも提供される。
【0015】
さらに、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる、癌の治療において使用するための組合せも提供される。
【0016】
また、癌の治療において使用するための医薬(medicament)の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる組合せの使用も提供される。
【0017】
さらに、癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる組合せの使用も提供される。
【0018】
また、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)ICOSに対する作用物質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットも提供される。
【0019】
さらに、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)抗CD38抗原結合タンパク質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、ICOSに対する作用物質と組み合わせた抗BCMA抗体薬物結合体で処置した群の7日目の平均腫瘍体積データを示す。
【
図2】
図2は、ICOSに対する作用物質と組み合わせた抗BCMA抗体薬物結合体で処置した群の個々の腫瘍体積曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本開示は、対象において癌を治療する方法に関する。特に、本発明は、癌を治療するための、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬の組合せに関する。理論に縛られるものではないが、本明細書に記載される新規な組合せは、重複しない作用機序のために毒性の軽減をもたらすと考えられる。
【0022】
用語「抗原結合タンパク質」は、本明細書で使用する場合、抗原と結合し得る抗体、抗体フラグメントおよび他のタンパク質構築物を指す。本発明の抗原結合タンパク質は、天然抗体または機能的フラグメントもしくはその等価物の構造の形式を採り得る本発明の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含んでなり得る。よって、本発明の抗原結合タンパク質は、適当な軽鎖と対をなした際に、全長抗体、(Fab’)2フラグメント、Fabフラグメント、またはその等価物(例えば、scFV、ビボディ、トリボディまたはテトラボディ、Tandabsなど)の形式を採る本発明のVH領域を含んでなり得る。抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4;またはIgM;IgA、IgEもしくはIgDまたはその修飾変異体であり得る。抗体重鎖の定常ドメインも相応に選択され得る。軽鎖定常ドメインはκまたはλ定常ドメインであり得る。さらに、抗原結合タンパク質は、あらゆるクラスの修飾、例えば、IgG二量体、もはやFc受容体と結合しないかまたはC1q結合を媒介しないFc変異株を含んでなり得る。抗原結合タンパク質はまた、抗原結合領域および非免疫グロブリン領域を含んでなる、WO86/01533に記載されているタイプのキメラ抗体であってもよい。別の側面において、抗原結合タンパク質は、dAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニ抗体、およびミニボディからなる群から選択される。本発明の一側面において、抗原結合タンパク質は、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり、さらなる側面において、抗体はヒト化されている。一側面において、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0023】
用語「単一可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含んでなる折り畳まされたポリペプチドドメインを指す。従って、これにはVH、VHHおよびVLなどの完全抗体可変ドメイン、および例えば1以上のループが抗体可変ドメインに特徴的ではない配列に置き換えられている修飾された抗体可変ドメイン、または末端切断された、もしくはN末端もしくはC末端延長部を含んでなる抗体可変ドメイン、ならびに全長ドメインの少なくとも結合活性および特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれたフラグメントが含まれる。単一可変ドメインは、可変領域またはドメインの違いには依存せずに抗原またはエピトープに結合することができる。「ドメイン抗体」または「dAb(TM)」は、「単一可変ドメイン」と同じと見なすことができる。単一可変ドメインは、ヒト単一可変ドメインであり得るが、齧歯類、テンジクザメおよびラクダ科VHH dAbsTMなどの多種由来の単一可変ドメインも含む。ラクダ科VHHは、天然に軽鎖を欠く重鎖抗体を産生する、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコを含む種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。このようなVHHドメインは、当技術分野で利用可能な標準技術に従ってヒト化されてもよく、このようなドメインは「単一可変ドメイン」と見なされる。本明細書で使用する場合、VHとしては、ラクダ科VHHドメインが含まれる。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「アゴニスト」は、限定されるものではないが、補助シグナル伝達受容体との接触時に下記:(1)受容体を刺激もしくは活性化する、(2)受容体の活性、機能もしくは存在を増強、増大もしくは促進、誘導もしくは延長する、および/または(3)受容体の発現を増強、増大、促進もしくは誘導することのうちの1以上を生じる抗体を含む抗原結合タンパク質を指す。アゴニスト活性は、限定されるものではないが、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン産生の測定などの当技術分野で既知の様々なアッセイによりin vitroで測定することができる。アゴニスト活性はまた、限定されるものではないが、T細胞増殖またはサイトカイン産生の測定などの代替評価項目を測定する様々なアッセイによりで測定することもできる。
【0025】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のそのCDRを有し、その分子の残りの免疫グロブリン由来部分は1以上のヒト免疫グロブリンに由来する操作抗体の一種を指す。加えて、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するように変更されてもよい(例えば、Queen et al. Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson, et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)参照)。好適なヒトアクセプター抗体は、従来のデータベース、例えば、KABAT(商標)データベース、Los Alamosデータベース、およびSwiss Proteinデータベースから、ドナー抗体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列との相同性によって選択されたものであり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域との相同性(アミノ酸に基づく)により特徴付けられたヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するために好適であり得る。軽鎖定常または可変フレームワーク領域を供与し得る好適なアクセプター抗体も同様に選択できる。アクセプター抗体重鎖および軽鎖は同じアクセプター抗体に起源する必要はないことに留意すべきである。従来技術には、このようなヒト化抗体を生産するいくつかの方法が記載されている-例えば、EP-A-0239400およびEP-A-054951参照。
【0026】
用語「完全ヒト抗体」としては、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在する場合)を有する抗体が含まれる。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダムもしくは部位特異的突然変異誘発により、またはin vivoで体細胞突然変異により導入された突然変異)を含んでよい。完全ヒト抗体は、最終的にヒト起源であるポリヌクレオチドによってのみコードされたアミノ酸配列またはそのような配列と同一のアミノ酸配列を含んでなる。本明細書で意味する場合、トランスジェニックマウスで産生された、マウスゲノムに挿入されたヒト免疫グロブリンコードDNAによりコードされた抗体は、最終的にヒト起源であるDNAによりコードされていることから、完全ヒト抗体である。この場合、ヒト免疫グロブリンをコードするDNAは、マウス内で再構成されてよく(抗体をコードするために)、また、体細胞突然変異を生じてもよい。マウス内でこのような変化を受けた、元はヒトDNAによりコードされた抗体は、本明細書で意味する場合、完全ヒト抗体である。このようなトランスジェニックマウスの使用は、ヒト抗原に対して完全ヒト抗体を選択することを可能とする。当技術分野で理解されるように、完全ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系DNA配列を含んでなる抗体の生成のためヒトDNAライブラリーがファージに挿入されるファージディスプレー技術を用いて作製することができる。
【0027】
用語「VH」および「VL」は、抗原結合タンパク質のそれぞれ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を指して本明細書で使用される。
【0028】
「CDR」は、抗原結合タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列と定義される。これらは免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDR(またはCDR領域)が存在する。よって、「CDR」は、本明細書で使用する場合、3つ総ての重鎖CDR、3つ総ての軽鎖CDR、総ての重鎖CDRおよび軽鎖CDR、または少なくとも2つのCDRを指す。
【0029】
本明細書を通し、可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基は、Kabatナンバリング法に従って符番される。同様に、実施例で使用される用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」もKabatナンバリング法に従う。さらに詳しくは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1991)参照。
【0030】
可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基に関して別のナンバリング法も存在することは当業者に自明であろう。例えば、Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に示されているものなど、CDR配列に関する別のナンバリング法も存在する。抗体の構造およびタンパク質折り畳みは、他の残基もCDR配列の一部と見なされることを意味し得、当業者によりそのように理解されるであろう。
【0031】
当業者に利用可能なCDR配列の他のナンバリング法としては、「AbM」(バース大学)および「contact」(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)法が含まれる。「最小結合単位」を求めるために、Kabat、Chochia、AbMおよびcontact法のうち少なくとも2つを用いて最小オーバーラッピング領域を決定することができる。最小結合単位は、CDRの下位部分であり得る。
【0032】
クエリー核酸配列とサブジェクト核酸配列の間の「同一性パーセント」は、ペアワイズBLASTNアラインメントを実施した後にサブジェクト核酸配列がクエリー核酸配列と100%のクエリー被覆率を有する場合にBLASTNアルゴリズムにより計算される、パーセンテージとして表される「同一性」値である。このようなクエリー核酸配列とサブジェクト核酸配列の間のペアワイズBLASTNアラインメントは、National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイトで利用可能なデフォルト設定のBLASTNアルゴリズムを用い、低複雑性領域のフィルターを解除して実施される。
【0033】
クエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間の「同一性パーセント」は、ペアワイズBLASTPアラインメントを実施した後にサブジェクトアミノ酸配列がクエリーアミノ酸配列と100%のクエリー被覆率を有する場合にBLASTPアルゴリズムにより計算される、パーセンテージとして表される「同一性」値である。このようなクエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間のペアワイズBLASTPアラインメントは、National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイトで利用可能なデフォルト設定のBLASTPアルゴリズムを用い、低複雑性領域のフィルターを解除して実施される。
【0034】
クエリー配列はサブジェクト配列と100%同一性であり得、またはクエリー配列は、サブジェクト配列と比べた場合にある整数までのアミノ酸またはヌクレオチド変異を含んでもよく、従って、同一性%は100%未満である。例えば、クエリー配列は、サブジェクト配列と少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一である。このような変異としては、少なくとも1個のアミノ酸欠失、置換(保存的置換および非保存的置換を含む)、または挿入が含まれ、前記の変異は、クエリー配列のアミノ末端位もしくはカルボキシ末端位、またはそれらの末端位の間の任意の位置に、クエリー配列内のアミノ酸もしくはヌクレオチド間に個々に、またはクエリー配列内に1以上の連続群として存在してよい。
【0035】
同一性%は、CDRを含め、クエリー配列の全長にわたって決定されてよい。あるいは、同一性%はCDRを除外してもよく、例えば、CDRは、サブジェクト配列と100%同一であり、同一性%の変動はクエリー配列の残りの部分にあり、従って、CDR配列は固定/無傷である。
【0036】
用語「変異体」は、本明細書で使用する場合、参照アミノ酸配列に比べて少なくとも1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を指し、例えば、欠失、付加、挿入、転位、末端切断、および/または置換を含み得る。
【0037】
キメラ抗原受容体(CAR)は、MHC-抗原ペプチド複合体と結合する必要なくT細胞において新規な特異性を作り出すために、人工T細胞受容体として開発された。これらの合成受容体は、単一融合分子としてフレキシブルリンカーを介して1以上のシグナル伝達ドメインと結合された標的結合ドメインを含有する。この標的結合ドメインは、T細胞を罹患細胞の表面上の特異的標的に標的化するために使用され、シグナル伝達ドメインは、T細胞の活性化および拡大増殖のための分子装置を含有する。T細胞膜を貫通する(すなわち、膜貫通ドメインを形成する)フレキシブルリンカーは、CARの標的結合ドメインの細胞膜ディスプレーを可能とする。CARは、リンパ腫および固形腫瘍を含む種々の悪性腫瘍由来の腫瘍細胞の表面に発現される抗原にT細胞を向け直すことを上手く可能にした(Jena et al. (2010) Blood, 116(7):1035-44)。
【0038】
CARの開発は、これまでに3世代を含んだ。第1世代のCARは、CD3ζ鎖またはFc受容体γ鎖の細胞質領域に由来するシグナル伝達ドメインに結合された標的結合ドメインを含んでなるものであった。第1世代CARは、選択された標的にT細胞を上手く向け直すことが示されたが、それらはin vivoで長期の拡大増殖および抗腫瘍活性を提供できなかった。第2世代および第3世代のCARは、CD28、OX-40(CD134)および4-1BB(CD137)などの補助刺激分子を含めることによって改善されたT細胞の生存の増進および拡大増殖の増大に注力された。
【0039】
CARを有するT細胞は、疾患状態で、罹患細胞を除去するために使用できた。一つの臨床目的は、アフェレーシスおよびT細胞単離の後に、患者細胞を、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を介してCAR用の発現構築物を含有する組換えDNAで形質転換することであろう。T細胞の拡大増殖の後、それらのT細胞は、罹患標的細胞を標的化し、死滅させる目的で、患者に再導入される。
【0040】
一側面において、膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれに由来してもよい。一側面において、膜貫通ドメインは、いずれの膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来してもよい。あるいは、膜貫通ドメインは、合成することもでき、主として、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含んでなる。例えば、膜貫通ドメインは、CD4、CD8、CD3もしくはCD28などのCDタンパク質の膜貫通ドメイン、α、β、γもしくはδなどのT細胞受容体のサブユニット、IL-2受容体(α鎖)のサブユニット、低親和性神経成長因子受容体(LNGFRもしくはp75)のサブユニット(submit)(β鎖もしくはγ鎖)、またはFc受容体のサブユニット鎖であり得る。
【0041】
一側面において、膜貫通ドメインは、CD4、CD8またはCD28の膜貫通ドメインを含んでなる。さらなる側面において、膜貫通ドメインは、CD4またはCD8の膜貫通ドメイン(例えば、引用することにより本明細書の一部とされるNCBI参照配列:NP_001139345.1に記載されるようなCD8α鎖)を含んでなる。なおさらなる側面において、膜貫通ドメインは、CD4の膜貫通ドメインを含んでなる。
【0042】
細胞内エフェクタードメインまたは「シグナル伝達ドメイン」は、標的結合ドメインの標的への結合の後に、細胞内シグナル伝達を担う。細胞内エフェクタードメインは、CARが発現される免疫細胞の通常のエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化を担う。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性、またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。CAR足場において使用するためのエフェクタードメインの好ましい例は、抗原結合後にシグナル伝達を開始させるとともに働く天然T細胞受容体および補助受容体の細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体または変異体および同じ機能的能力を有する任意の合成配列であり得る。
【0043】
エフェクタードメインは、抗原依存的一次活性化を開始させるものと、二次シグナルまたは補助刺激シグナルを提供するために抗原非依存性様式で働くものの、2つのクラスに分けることができる。一次活性化エフェクタードメインは、immunoreceptor tyrosine-based activation motifs(ITAM)として知られるシグナル伝達モチーフを含んでなる。ITAMは、様々な受容体の細胞質内テールに共通に見られ、syk/zap70クラスチロシンキナーゼの結合部位として働く十分に定義されたシグナル伝達モチーフである。本発明において使用されるITAMの例は、限定されない例として、CD3ζ、FcRγ、FcRβ、FcRε、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものを含み得る。一側面において、細胞内エフェクタードメインは、CD3ζシグナル伝達ドメイン(CD247としても知られる)を含んでなる。天然TCRはCD3ζシグナル伝達分子を含有するので、このエフェクタードメインの使用は、天然に存在するTCR構築物に最も近い。
【0044】
本発明の一側面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζエフェクタードメインである。エフェクタードメインはまた、二次シグナルまたは補助刺激シグナルも提供し得る。T細胞は、例えば、増殖の活性化および分化などを増強することによってT細胞応答を増強するために、抗原提示細胞上の同族補助刺激リガンドと結合する補助刺激分子をさらに含んでなる。よって、一側面において、細胞内エフェクタードメインは、補助刺激ドメインをさらに含んでなる。さらなる側面において、補助刺激ドメインは、CD28、CD27、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、ICOS(CD278)、CD30、CD40、PD-1(CD279)、CD2、CD7、NKG2C(CD94)、B7-H3(CD276)またはそれらの任意の組合せから選択される補助刺激分子の細胞内ドメインを含んでなる。なおさらなる側面において、補助刺激ドメインは、CD28、CD27、4-1BB、OX40、ICOSまたはそれらの任意の組合せから選択される補助刺激分子の細胞内ドメインを含んでなる。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「有効な用量」は、例えば、研究者または臨床家に求められる組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬物または医薬の用量を意味する。さらに、用語「治療上有効な用量」は、そのような用量を受容していない対応する対象に比べて疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは改善の向上、または疾患もしくは障害の進行測度の低減をもたらすいずれの用量も意味する。この用語はまた、その範囲内に、通常の生理学的機能を増進するために有効な用量も含む。
【0046】
組合せおよび医薬組成物
本明細書に記載される用語「組合せ」は、少なくとも2つの治療薬を指す。本明細書で使用する場合、用語「治療薬」は、組織、系、動物、哺乳動物、ヒト、または他の対象において所望の効果を生じる物質を意味すると理解される。一実施形態において、この組合せは、抗BCMA抗原結合タンパク質、好適には、抗BCMA抗体と少なくとも1つの付加的治療薬である。一実施形態において、この組合せは、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬である。別の実施形態において、この組合せは、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質である。さらに別の実施形態において、この組合せは、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合剤である。本明細書に記載される組合せは、癌の治療に有効である。
【0047】
本発明の組合せの投与は、それらの組合せが単剤治療薬の個々の投与と比較した場合に下記の特性の改善のうち1以上を提供するという点で個々の治療薬よりも有利であり得る:i)最も有効な単剤よりも大きい抗癌効果、ii)相乗作用的または極めて相乗作用的な抗癌活性、iii)副作用プロファイルの軽減を伴って抗癌活性の増強を提供する投与プロトコール、iv)毒性作用プロファイルの軽減、v)治療域の増大、またはvi)一方もしくは両方の治療薬のバイオアベイラビリティの増大。
【0048】
本明細書に記載される組合せは、医薬組成物の形態であり得る。「医薬組成物」は、本明細書に記載される組合せ、および1種類以上の薬学上許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含有する。これらの担体、希釈剤または賦形剤は、その処方物の他の成分と適合し、医薬調剤が可能性であり、そのレシピエントに有害でないという意味で許容可能でなければならない。
【0049】
一実施形態において、組合せ中の各治療薬は、その固有の医薬組成物として個々に処方され、これらの医薬組成物のそれぞれが癌を治療するために投与される。本実施形態において、これらの医薬組成物のそれぞれは、同じまたは異なる担体、希釈剤または賦形剤を含み得る。例えば、一実施形態において、第1の医薬組成物は、抗BCMA抗原結合タンパク質を含有し、第2の医薬組成物は、免疫調節薬を含有し、第1および第2の医薬組成物は両方とも癌を治療するために投与される。
【0050】
一実施形態において、組合せ中の各治療薬は、単一の医薬組成物中に一緒に処方され、癌を治療するために投与される。例えば、一実施形態において、単一の医薬組成物は、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬の両方を含有し、癌を治療するために単一の医薬組成物として投与される。
【0051】
一実施形態において、本明細書に記載される組合せは、付加的治療薬、例えば、付加的癌治療薬とさらに組み合わせることができる。付加的治療薬としては、限定されるものではないが、その他の免疫調節薬、治療抗体、CAR-T治療薬、BiTE、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、抗炎症化合物、および免疫調節イミド薬(IMiD)(例えば、サリドマイドおよびその類似体)を含み得る。
【0052】
抗BCMA抗原結合タンパク質
本明細書に記載される組合せ中の抗BCMA抗原結合タンパク質は、癌の治療または予防に有用である。本明細書に開示される抗BCMA抗原結合タンパク質はいずれも、癌を治療するために、免疫調節薬と組み合わせて使用され得る。本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質は、例えば、GenBank受託番号Q02223.2のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90パーセントの相同性または少なくとも90パーセントの同一性を有するヒトBCMAをコードする遺伝子を含有するヒトBCMAを含む、ヒトBCMAと結合し得る。
【0053】
例示的抗BCMA抗原結合タンパク質およびそれを作製する方法は、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる国際公開第WO2012/163805号に開示されている。さらなる例示的抗BCMA抗原結合タンパク質としては、それぞれ引用することによりその全内容が本明細書の一部とされるWO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/090327、WO2016/020332、WO2016/079177、WO2014/122143、WO2014/122144、WO2017/021450、WO2016/014565、WO2014/068079、WO2015/166649、WO2015/158671、WO2015/052536、WO2014/140248、WO2013/072415、WO2013/072406、WO2014/089335、US2017/165373、WO2013/154760、およびWO2017/051068に記載されているものが含まれる。
【0054】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)エフェクター機能が増強されている。用語「エフェクター機能」は、本明細書で使用する場合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害性(CDC)媒介応答、Fc媒介貪食作用およびFcRn受容体を介した抗体リサイクルのうち1以上を指すことを意味する。IgG抗体において、ADCCおよびADCPを含むエフェクター機能は、重鎖定常領域と免疫細胞の表面に存在するFcγ受容体のファミリーとの間の相互作用により媒介される。ヒトでは、これらはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)が含まれる。抗原に結合した抗原結合タンパク質とFc/Fcγ複合体の形成との間の相互作用は、細胞傷害性、免疫細胞活性化、貪食作用および炎症性サイトカインの放出を誘導する。
【0055】
別の実施形態において、本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質は、BAFFおよび/またはAPRILの、BCMA受容体への結合を阻害する。別の実施形態において、本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質は、FcγRIIIAに結合することができるか、またはFcγRIIIAにより媒介されるエフェクター機能の能力がある。
【0056】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)は、配列番号1に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0057】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)は、配列番号2に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0058】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0059】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL1(「CDR1」)は、配列番号4に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0060】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL2(「CDR2」)は、配列番号5に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0061】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)を含んでなる抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL3(「CDR3」)は、配列番号6に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0062】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる抗体である。
【0063】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号6に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる抗体である。
【0064】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域(「VH」)を含んでなる抗体である。
【0065】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域(「VL」)を含んでなる抗体である。
【0066】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる抗体である。
【0067】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる抗体である。
【0068】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖領域(「HC」)を含んでなる抗体である。
【0069】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖領域(「LC」)を含んでなる抗体である。
【0070】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるHC;および配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる抗体である。
【0071】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでなるHC;および配列番号10に示されるアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる抗体である。
【0072】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、限定されるものではないが、化学療法薬、薬物、増殖阻害薬、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性のある毒素、またはそのフラグメント)、または放射性同位体(すなわち、放射性複合体)などの1以上の細胞傷害性薬剤と結合した抗体を含め、本明細書に記載されるように本発明による抗原結合タンパク質を含んでなる免疫複合体である。さらなる実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、アウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)などの毒素と結合される。
【0073】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、下記の一般構造:
ABP-((リンカー)n-Ctx)m
を有する免疫複合体であり、ここで、
ABPは、抗原結合タンパク質であり、
リンカーは、不在であるか、または任意の切断可能または非切断可能リンカーであり、 Ctxは、本明細書に記載される任意の細胞傷害性薬剤であり、
nは、0、1、2、または3であり、かつ
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0074】
例示的リンカーとしては、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン-シトルリン(val-cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシラート(SMCC)、およびN-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾアート(SIAB)が挙げられる。
【0075】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、MMAEまたはMMAFに連結されたモノクローナル抗体を含有する免疫複合体である。別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、下記の構造で示されるようなMCリンカーによってMMAEまたはMMAFに連結されたモノクローナル抗体を含有する免疫複合体である。
【0076】
【0077】
本発明の一側面において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体である。さらなる側面において、CARは、結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内エフェクタードメインを含んでなる。
【0078】
本発明の一側面において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、異なる抗体の2つの単鎖可変フラグメント(scFv)からなる融合タンパク質を含んでなる二重特異性T細胞エンゲイジャー(bi-specific T-cell engager)(BiTE)である。
【0079】
抗BCMA抗原結合タンパク質の適当な治療上有効な用量は、当業者により容易に決定される。本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質の好適な用量は、患者に関して、患者の体重に応じて計算されてよく、例えば、好適な用量は、約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kgまたは例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kgの範囲であり得る。
【0080】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質の治療上有効な用量は、約0.03mg/kg~約4.6mg/kgの範囲である。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質の治療上有効な用量は、0.03mg/kg、0.06mg/kg、0.12mg/kg、0.24mg/kg、0.48mg/kg、0.96mg/kg、1.92mg/kg、3.4mg/kg、または4.6mg/kgである。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質の治療上有効な用量は、1.9mg/kg、2.5mg/kgまたは3.4mg/kgである。
【0081】
免疫調節薬
用語「免疫調節薬」は、本明細書で使用する場合、免疫応答を誘導、増強、または抑制する薬剤を指す。免疫調節薬は、免疫応答を惹起もしくは増幅するように設計することができ(活性化免疫調節薬)、または免疫応答を低減もしくは抑制するように設計することもできる(抑制免疫調節薬)。免疫調節薬の例としては、限定されるものではないが、ICOSに対する作用物質および抗CD38抗原結合タンパク質が挙げられる。
【0082】
ICOS
一実施形態において、免疫調節薬は、ICOSに対する作用物質である。本明細書で使用する場合、「ICOS」は、いずれの誘導性T細胞補助刺激因子タンパク質も意味する。ICOS(Inducible T-cell COStimulator)の別称としては、AILIM;CD278;CVID1、JTT-1またはJTT-2、MGC39850、または8F4が含まれる。ICOSは、活性化されたT細胞で発現されるCD28スーパーファミリー補助刺激分子である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、CD28およびCTLA-4細胞表面受容体ファミリーに属す。このタンパク質はホモ二量体を形成し、細胞間シグナル伝達、免疫応答、および細胞増殖の調節に有用な役割を果たす。ヒトICOS(アイソフォーム2)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-2)のアミノ酸配列は、配列番号11で表される。ヒトICOS(アイソフォーム1)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-1)のアミノ酸配列は、配列番号12で表される。
【0083】
ICOSの活性化は、ICOS-L(B7RP-1/B7-H2)による結合を介して生じる。B7-1もB7-2も(CD28およびCTLA4のリガンド)、ICOSと結合することも活性化することもない。しかしながら、ICOS-Lは、CD28およびCTLA-4の両方に弱く結合することが示されている(Yao S et al., “B7-H2 is a costimulatory ligand for CD28 in human”, Immunity, 34(5); 729-40 (2011))。ICOSの発現は、T細胞に限定されているものと思われる。ICOSの発現レベルは、T細胞のサブセットおよびT細胞の活性化状態が異なれば異なる。ICOSの発現は、休止中のTH17、T濾胞性ヘルパー(TFH)および制御性T(Treg)細胞で示されているが、CD28とは異なり、ナイーブTH1およびTH2エフェクターT細胞集団での発現は高くない(Paulos CM et al., “The inducible costimulator (ICOS) is critical for the development of human Th17 cells”, Sci Transl Med, 2(55); 55ra78 (2010))。ICOSの発現は、TCRの会合を介した活性化の後にCD4+およびCD8+エフェクターT細胞に強く誘導される(Wakamatsu E, et al., “Convergent and divergent effects of costimulatory molecules in conventional and regulatory CD4+ T cells”, Proc Natal Acad Sci USA, 110(3); 1023-8 (2013))。ICOS受容体を介した補助刺激シグナル伝達は、同時にTCR活性化シグナルを受けているT細胞のみに起こる(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。活性化された抗原特異的T細胞では、ICOSは、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-4、IL-13およびその他を含むTH1およびTH2の両サイトカインの産生を調節する。ICOSはまた、CD28よりも程度は小さくとも、エフェクターT細胞の増殖も刺激する(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。ICOSに対する抗体および疾患の治療に使用する方法は、例えば、WO2012/131004、US20110243929、およびUS20160215059に記載されている。US20160215059は、引用することにより本明細書の一部とされる。アゴニスト活性を有するヒトICOSに対するマウス抗体のCDRは、PCT/EP2012/055735(WO2012/131004)に示されている。ICOSに対する抗体は、WO2008/137915、WO2010/056804、EP1374902、EP1374901、およびEP1125585にも開示されている。ICOSに対するアゴニスト抗体またはICOS結合タンパク質は、WO2012/13004、WO2014/033327、WO2016/120789、US20160215059、およびUS20160304610に開示されている。US2016/0304610の例示的抗体としては、37A10S713が含まれる。37A10S713の配列は、下記に配列番号:21~28として改めて示す。
【0084】
「ICOSに対する作用物質(an agent directed to ICOS)」とは、ICOSに結合し得るいずれの化学化合物または生体分子も意味する。いくつかの実施形態において、ICOSに対する作用物質は、ICOS結合タンパク質である。他のいくつかの実施形態において、ICOSに対する作用物質は、ICOSアゴニストである。
【0085】
本明細書で使用する場合、「ICOS-L」および「ICOSリガンド」は、互換的に使用され、ヒトICOSの膜結合型天然リガンドを指す。ICOSリガンドは、ヒトにおいてはICOSLG遺伝子によりコードされるタンパク質である。ICOSLGはまた、CD275(分化抗原群275)とも呼称されている。ICOS-Lの別称としては、B7RP-1およびB7-H2が含まれる。
【0086】
用語「ICOS結合タンパク質」は、本明細書で使用する場合、ICOSに結合し得る抗体およびその他のタンパク質構築物、例えば、ドメインを指す。いくつかの場合では、ICOSはヒトICOSである。用語「ICOS結合タンパク質」は、「ICOS抗原結合タンパク質」と互換的に使用することができる。
【0087】
よって、当技術分野で理解されるように、抗ICOS抗体および/またはICOS抗原結合タンパク質は、ICOS結合タンパク質と見なせるであろう。
【0088】
一実施形態において、免疫調節薬は、抗ICOS抗原結合タンパク質である。別の実施形態において、免疫調節薬は、抗ICOS抗体である。さらに別の実施形態において、抗ICOS抗体は、ICOSに向けられたアゴニスト抗体である。
【0089】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)は、配列番号13に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0090】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0091】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)は、配列番号15に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0092】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL1(「CDR1」)は、配列番号16に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0093】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL2(「CDR2」)は、配列番号17に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0094】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)を含んでなる抗ICOS抗体である。一実施形態において、軽鎖可変領域CDL3(「CDR3」)は、配列番号18に示されるアミノ酸配列に1個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列(変異体)を含んでなる。
【0095】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる抗ICOS抗体である。
【0096】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および配列番号18に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる抗ICOS抗体である。
【0097】
抗ICOS抗体のCDR H1、H2、H3、L1、L2、L3のそれぞれは、単独で修飾されてもよいし、または他の任意のCDRと、任意の順列もしくは組合せで組み合わせて修飾されてもよいことが認識されるであろう。一実施形態において、CDRは、最大3個のアミノ酸、例えば、1または2個のアミノ酸、例えば、1個のアミノ酸の置換、欠失または付加により修飾される。一般に、修飾は、置換、特に、例えば下表1に示されるような保存的置換である。
【0098】
【0099】
抗体のサブクラスは、補体の活性化またはFc受容体(FcR)の結合および抗体依存性細胞傷害性(ADCC)などの二次エフェクター機能をある程度決定する(Huber, et al., Nature 229(5284): 419-20 (1971); Brunhouse, et al., Mol Immunol 16(11): 907-17 (1979))。特定の適用に関して最適なタイプの抗体を特定する上で、抗体のエフェクター機能を考慮することができる。例えば、hIgG1抗体は、半減期が比較的長く、補体の結合に極めて有効であり、これらの抗体はFcγRIおよびFcγRIIの両方に結合する。これに対して、ヒトIgG4抗体は、半減期が短く、補体を結合せず、FcRに対する親和性も低い。IgG4のFc領域でセリン228をプロリンで置換すると(S228P)、hIgG4で見られたヘテロ性が少なくなり、血清半減期が延長される(Kabat, et al., “Sequences of proteins of immunological interest” 5.sup.th Edition (1991); Angal, et al., Mol Immunol 30(1): 105-8 (1993))。ロイシン235をグルタミン酸で置換する(L235E)第2の突然変異は、残存しているFcR結合活性および補体結合活性を消失させる(Alegre, et al., J Immunol 148(11): 3461-8 (1992))。結果として得られる両方の突然変異を有する抗体は、IgG4PEと呼称される。hIgG4アミノ酸のナンバリングはEU numbering reference: Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969). PMID: 5257969によるものである。本発明の一実施形態において、抗ICOS抗体は、IgG4アイソタイプである。一実施形態において、抗ICOS抗体は、置換S228PおよびL235Eを含んでなるIgG4 Fc領域を含んでなり、名称IgG4PEを有する。
【0100】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域(「VH」)を含んでなる抗ICOS抗体であり、「H2」と呼称され得る。
【0101】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域(「VL」)を含んでなる抗ICOS抗体であり、「L5」と呼称され得る。
【0102】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる抗ICOS抗体であり、「H2L5」と呼称され得る。
【0103】
一実施形態において、免疫調節薬は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および配列番号20に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる抗ICOS抗体であり、「H2L5」と呼称され得る。
【0104】
本発明の一側面において、ICOSに対する作用物質は、キメラ抗原受容体である。さらなる側面において、CARは、結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内エフェクタードメインを含んでなる。
【0105】
本発明の一側面において、ICOSに対する作用物質は、異なる抗体の2つの単鎖可変フラグメント(scFv)からなる融合タンパク質を含んでなる二重特異性T細胞エンゲイジャー(BiTE)である。
【0106】
ICOSに対する作用物質の適当な治療上有効な用量は、当業者により容易に決定される。一実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.0005mg/kg~約6mg/kgの範囲である。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.001mg/kg~約3.0mg/kgの範囲である。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.001mg/kg、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、または約3.0mg/kgである。
【0107】
ICOSに対する作用物質の適当な治療上有効な用量は、当業者により容易に決定される。一実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.04mg~約480mgの範囲である。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.08mg~約240mgの範囲である。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約0.08mg、約0.24mg、約0.8mg、約2.4mg、約8mg、約24mg、約80mg、または約240mgである。
【0108】
一実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約80mgである。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約24mgである。さらに別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約240mgである。別の実施形態において、ICOSに対する作用物質の治療上有効な用量は、約24mg~約240mgの範囲である。
【0109】
抗CD38抗原結合タンパク質
一実施形態において、免疫調節薬は、抗CD38抗原結合タンパク質である。本明細書に記載される組合せ中の抗CD38抗原結合タンパク質は、癌の治療または予防に有用である。本明細書に記載される抗CD38抗原結合タンパク質は、ヒトCD38、例えば、GenBank受託番号D84284.2のアミノ酸配列を含有するヒトCD38、またはそれと少なくとも90パーセントの相同性または少なくとも90パーセントの同一性を有するヒトCD38をコードする遺伝子と結合し得る。
【0110】
CD38は、多発性骨髄腫およびその他の細胞種および組織を含む造血系細胞の表面で発現される膜貫通糖タンパク質(48kDa)であり、受容体介在接着、シグナル伝達、ならびにシクラーゼおよびヒドロラーゼ活性の調節などの複数の機能を有する。理論に縛られるものではないが、抗CD38抗体などの抗CD38抗原結合タンパク質は、CD38に結合し、Fcが介在する架橋によって直接アポトーシスを誘導することによるだけでなく、補体依存性細胞傷害性(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)および抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を介した免疫介在性腫瘍細胞溶解によって、CD38発現腫瘍細胞の増殖を阻害すると考えられる。
【0111】
本明細書に記載される抗CD38抗原結合タンパク質としては、CD38と結合し得る抗体、抗体フラグメントおよびその他のタンパク質構築物が含まれる。本発明の抗CD38抗原結合タンパク質は、天然抗体または機能的フラグメントまたはその等価物の構造の形式を採り得る本発明の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含んでなってもよい。
【0112】
一実施形態において、抗CD38抗原結合タンパク質は、抗体である。別の実施形態において、抗CD38(anto-CD38)抗原結合タンパク質は、抗体依存性細胞傷害性によりCD38+標的細胞の死滅を媒介する。さらに別の実施形態において、抗CD38抗原結合タンパク質は、CD38抗原に対する免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)ヒトモノクローナル抗体である。
【0113】
一実施形態において、抗CD38抗体は、ダラツムマブ(ダラザレックス(登録商標)-Janssen Biotech,Inc.)である。
【0114】
例示的抗CD38抗原結合タンパク質およびその製造方法は、米国特許第8,263,746号;同第9,200,061号;同第8,088,896号;同第8,486,394号;および同第9,193,799号に開示され、これらはそれぞれ引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
【0115】
本発明の一側面において、抗CD38抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体である。さらなる側面において、CARは、結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内エフェクタードメインを含んでなる。
【0116】
本発明の一側面において、抗CD38抗原結合タンパク質は、異なる抗体の2つの単鎖可変フラグメント(scFv)からなる融合タンパク質を含んでなる二重特異性T細胞エンゲイジャー(BiTE)である。
【0117】
抗CD38抗原結合タンパク質の適当な治療上有効な用量は、当業者により容易に決定される。本明細書に記載される抗CD38抗原結合タンパク質の好適な用量は、患者に関して、患者の体重に従って計算されてよく、例えば、好適な用量は、約0.1mg/kg~約30mg/kg、例えば、約5mg/kg~約20mg/kg、または例えば、約10mg/kg~約20mg/kgmの範囲であり得る。
【0118】
一実施形態において、抗CD38抗原結合タンパク質の治療上有効な用量は、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、または約20mg/kgである。さらに別の実施形態において、抗CD38抗原結合タンパク質の治療上有効な用量は、約16mg/kgである。
【0119】
治療方法
本明細書には、対象における癌を本明細書に記載される組合せで治療するための方法が記載される。本明細書で使用する場合、用語「癌」、および「腫瘍」は、単数形または複数形のいずれかで互換的に使用され、細胞を宿主生物に病的とする悪性化を受けた細胞を指す。原発性癌細胞は、十分に確立された技術、特に組織学的検査によって非癌細胞から容易に識別することができる。癌細胞の定義は、本明細書で使用する場合、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞原型に由来するいずれの細胞も含む。これには転移した癌細胞、ならびに癌細胞に由来するin vitro培養物および細胞株が含まれる。固形腫瘍として通常顕在化する癌の一種に言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、身体検査でのコンピューター断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波もしくは触診などの手法によって腫瘍塊に基づいて検出可能なもの、および/または患者から取得可能なサンプルにおける1以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能なものである。腫瘍は、「液性腫瘍」と呼ぶことができる、造血系(または血液系または血液学的または血液関連)癌、例えば、血液細胞または免疫細胞に由来する癌であり得る。血液系腫瘍に基づく病態の具体例としては、慢性骨髄球性白血病、急性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病および急性リンパ球性白血病などの白血病;多発性骨髄腫、MGUSおよびワルデンストロームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍;非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫などのリンパ腫などが挙げられる。
【0120】
癌は、異常な数の芽球細胞もしくは望ましくない細胞増殖が存在するか、またはリンパ系および骨髄系両方の悪性腫瘍を含む血液学的癌と診断されるもののいずれであってもよい。骨髄系悪性腫瘍としては、限定されるものではないが、急性骨髄性(myeloid)(または骨髄球性または骨髄性(myelogenous)または骨髄芽球性)白血病(未分化型または分化型)、急性前骨髄性(promyeloid)(または前骨髄球性または前骨髄性(promyelogenous)または前骨髄芽球性)白血病、急性骨髄単球性(または骨髄単芽球性)白血病、急性単球性(または単芽球性)白血病、赤白血病および巨核球性(または巨核芽球性)白血病が挙げられる。これらの白血病は、急性骨髄性(myeloid)(または骨髄球性または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)と総称され得る。骨髄性悪性腫瘍としてはまた、骨髄増殖性疾患(MPD)も含み、これには限定されるものではないが、慢性骨髄性(myelogenous)(または骨髄性(myeloid))白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、本態性血小板血症(または血小板増多症)、および真性多血症(PCV)が含まれる。骨髄系悪性腫瘍はまた、骨髄異形成(または骨髄異形成症候群またはMDS)(これは不応性貧血(RA)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEBT)と呼ばれることもある);ならびに特発性骨髄化生を伴うまたは伴わない骨髄線維症(MFS)も含む。
【0121】
造血系癌はまた、リンパ節、脾臓、骨髄、末梢血、および/または節外部位に影響を及ぼし得るリンパ系悪性腫瘍も含む。リンパ系癌としては、B細胞悪性腫瘍が含まれ、これには、限定されるものではないが、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)が含まれる。B-NHLは、緩徐進行性(もしくは低悪性度)、中悪性度(もしくは急速進行性)または高悪性度(超急速進行性)であり得る。緩徐進行性B細胞リンパ腫としては、濾胞性リンパ腫(FL);小型リンパ球性リンパ腫(SLL);節性MZL、節外性MZL、脾MZLおよび有毛リンパ球を伴う脾MZLを含む辺縁帯リンパ腫(MZL);リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);および粘膜随伴リンパ系組織(MALTまたは節外辺縁帯)リンパ腫が含まれる。中悪性度B-NHLとしては、白血病細胞浸潤を伴うまたは伴わないマントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)、濾胞性大細胞(またはグレード3またはグレード3B)リンパ腫、および原発性縦隔リンパ腫(PML)が含まれる。高悪性度B-NHLとしては、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫(SNCCL)およびリンパ芽球性リンパ腫が含まれる。その他のB-NHLとしては、免疫芽球性リンパ腫(または免疫細胞腫)、原発性滲出液リンパ腫、HIV関連(またはAIDS関連)リンパ腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)またはリンパ腫が含まれる。B細胞悪性腫瘍としてはまた、限定されるものではないが、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、有毛細胞白血病(HCL)、大顆粒リンパ球(LGL)白血病、急性リンパ性(またはリンパ球性またはリンパ芽球性)白血病、およびキャッスルマン病が含まれる。NHLとしてはまたT細胞非ホジキンリンパ腫(T-NHL)を含み得るが、これには、限定されるものではないが、非特定型T細胞非ホジキンリンパ腫(NOS)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、血管免疫芽球性リンパ系障害(AILD)、鼻性ナチュラルキラー(NK)細胞/T細胞リンパ腫、γ/δリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、およびセザリー症候群が含まれる。
【0122】
造血系癌としてはまた、古典型ホジキンリンパ腫、結節性硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、リンパ球優位型(LP)ホジキンリンパ腫、結節性LPホジキンリンパ腫、およびリンパ球減少型ホジキンリンパ腫を含むホジキンリンパ腫(またはホジキン病)が含まれる。造血系癌としてはまた、くすぶり型MM、意義不明の(または未知または不明の)単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、および原発性アミロイド症(AL)を含む多発性骨髄腫(MM)などの形質細胞疾患または癌が含まれる。造血系癌としてはまた、多形核白血球(または好中球)、好塩基球、好酸球、樹状細胞、血小板、赤血球およびナチュラルキラー細胞を含むさらなる造血系細胞のその他の癌も含み得る。本明細書で「造血系細胞組織」と呼ばれる造血細胞を含む組織としては、骨髄;末梢血;胸腺;ならびに脾臓、リンパ節、粘膜関連リンパ系組織(例えば、消化管関連リンパ系組織)、扁桃腺、パイエル板および虫垂、およびその他の粘膜、例えば、気管支内層に関連するリンパ系組織などの末梢リンパ系組織が含まれる。
【0123】
一実施形態において、癌は、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮細胞癌、非小細胞肺癌、中皮腫、膵臓癌、および前立腺癌からなる群から選択される。
【0124】
用語「治療する」およびその派生語は、本明細書で使用する場合、治療的療法を含むことを意味する。特定の病態に関して、治療は、(1)その病態もしくはその病態の生物学的兆候のうち1以上を改善すること;(2)(a)その病態に至るもしくはその病態の原因となる生体カスケードの1以上の点、または(b)その病態の生物学的兆候のうち1以上に干渉すること;(3)その病態に関連する症状、影響もしくは副作用のうち1以上またはその病態もしくはその処置に関連する症状、影響もしくは副作用のうち1以上を緩和すること;(4)その病態もしくはその病態の生物学的兆候のうち1以上を遅延させること、および/あるいは(5)その病態の生物学的兆候のうち1以上を除去するもしくは検出不能のレベルにまで軽減することによって前記病態もしくは前記病態の生物学的兆候のうち1以上を、その兆候に関して寛解状態であると見なされる期間、その寛解期間にわたって付加的な処置なく治癒させることを意味する。当業者ならば、特定の疾患または病態に関して寛解であると見なされる期間を理解するであろう。
【0125】
予防的療法もまた企図される。当業者ならば、「予防」が絶対的な用語ではないことを認識するであろう。医学では、「予防」は、ある病態もしくはその生物学的兆候の見込みもしくは重篤度を実質的に低減するため、またはそのような病態もしくはその生物学的兆候の発症を遅延させるための薬物の予防的投与を指すと理解される。予防的療法は、例えば、対象が癌を発症するリスクが高いと見なされる場合、例えば、対象が癌の強い家族歴を有する場合または対象が発癌物質に曝露されていた場合に適当である。
【0126】
「対象」は、処置、例えば癌治療を必要とする患者など、治療を必要とするいずれの患者も含んで広く定義される。対象としては哺乳動物を含み得る。一実施形態において、対象はヒト患者である。癌治療を必要とする対象としては、新たに診断された、再発した、難治性の、進行性の疾患、寛解、およびその他を含む様々な病期の患者を含み得る。癌治療を必要とする対象としてはまた、幹細胞移植を受けた患者または移植不適格と見なされる患者も含み得る。
【0127】
対象は、本明細書に記載される組合せによる治療に関して選択するためにプレスクリーニングを受けてもよい。一実施形態では、対象由来のサンプルが、本明細書に記載される組合せによる治療の前にBCMAの発現に関して検査される。
【0128】
対象は、本発明の組合せで治療される前に少なくとも1つの事前癌療法を受けていてもよい。一実施形態において、対象は、本発明の組合せで治療される前に少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも7回の事前癌療法で処置されている。
【0129】
別の実施形態において、対象は、新たに診断された癌を有し、本発明の組合せで治療される前に事前療法を受けていない。
【0130】
本発明の組合せの個々の治療薬、およびそのような治療薬を含んでなる医薬組成物は、一緒に投与されてもよいし、または個別に投与されてもよい。個別に投与される場合には、これは同時に行ってもよいし、またはいずれの順序で(同じ投与経路により、または異なる投与経路により)逐次に行ってもよい。このような逐次投与は時間的に接近していても、または時間的に離れていてもよい。本発明の治療薬またはその薬学上許容可能な塩およびさらなる治療上活性な薬剤の用量および相対的投与時機は、所望の複合治療効果を達成するために選択される。
【0131】
本発明の治療薬は適当ないずれの投与経路によって投与されてもよい。いくつかの治療薬では、好適な経路としては、経口、直腸、鼻腔、局所(口内および舌下を含む)、膣、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内、および硬膜外を含む)を含む。好ましい経路は、例えば、その組合せのレシピエントの状態および治療される癌によって異なり得ることが認識されるであろう。また、投与される薬剤のそれぞれは同じ経路で投与されても異なる経路で投与されてもよいこと、およびそれらの治療薬は一緒に処方されても、別個の医薬組成物中に処方されてもよいことも認識されるであろう。
【0132】
一実施形態において、本発明の組合せの1以上の治療薬は静脈内に投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1以上の治療薬は腫瘍内に投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1以上の治療薬は経口投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの1以上の治療薬は全身投与、例えば、静脈内投与され、本発明の組合せの1以上の他の治療薬は腫瘍内に投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの総ての治療薬は全身投与、例えば、静脈内投与される。別の実施形態において、本発明の組合せの総ての治療薬は腫瘍内に投与される。いずれかの実施形態、例えば、本段落では、本発明の治療薬は、1以上の医薬組成物として投与される。
【0133】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載される治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0134】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0135】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0136】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38(anit-CD 38)抗原結合タンパク質とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とダラツムマブとを含んでなる治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0137】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0138】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0139】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるHC;および/または配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0140】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0141】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0142】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなり;かつ、前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号18に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0143】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなり;かつ、前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号20に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0144】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0145】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0146】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるHC;および/または配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0147】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とダラツムマブとを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0148】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA抗体とダラツムマブとを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、治療上有効な用量の組合せを投与することにより、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供する。
【0149】
一実施形態において、本発明は、療法において使用するための、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0150】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0151】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0152】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0153】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0154】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体とICOSに対する作用物質とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるHC;および/または配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0155】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号18に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0156】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号20に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0157】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなり;前記抗ICOS抗体が配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号14に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号15に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号16に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号17に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号18に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0158】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗ICOS抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなり;かつ、前記抗ICOS抗体が配列番号19に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号20に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0159】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0160】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0161】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体と抗CD38抗体とを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるHC;および/または配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるLCを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0162】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体とダラツムマブとを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH1;配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH2;配列番号3に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRH3;配列番号4に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL1;配列番号5に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL2;および/または配列番号6に示されるアミノ酸配列を含んでなるCDRL3を含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0163】
一実施形態において、本発明は、癌の治療において使用するための、抗BCMA抗体とダラツムマブとを含んでなり、前記抗BCMA抗体が配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなるVH;および/または配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでなるVLを含んでなる、本明細書に記載されるような組合せを提供する。
【0164】
一実施形態において、癌の治療において使用するための医薬の製造における組合せの使用が提供される。別の実施形態において、癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質と免疫調節薬とを含んでなる組合せの使用が提供される。さらに別の実施形態において、癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質とを含んでなる組合せの使用が提供される。さらに別の実施形態において、癌の治療において使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質と抗CD38抗原結合タンパク質とを含んでなる組合せの使用が提供される。
【0165】
治療計画
抗BCMA抗原結合タンパク質および免疫調節薬の適当な治療計画は当業者により容易に決定される。
【0166】
一つの例示的治療計画では、1用量の抗BCMA抗原結合タンパク質が3週間ごとに(21日周期)最大16周期投与される。別の例示的治療計画では、1用量の抗BCMA抗原結合タンパク質が週1回、連続3週間の投与、その後の1週間の休薬(28日周期)が最大16周期行われる。さらに別の例示的治療計画では、1用量の抗BCMA抗原結合タンパク質が28日周期の1日目に投与される。さらなる例示的治療計画では、1用量の抗BCMA抗原結合タンパク質が21日周期の1日目に最大1年投与される。
【0167】
一つの例示的治療計画では、1用量のICOSに対する作用物質が3週間ごとに(21日周期)最大16周期投与される。別の例示的治療計画では、1用量のICOSに対する作用物質が週1回、連続3週間の投与、その後の1週間の休薬(28日周期)が最大16周期行われる。さらに別の例示的治療計画では、1用量のICOSに対する作用物質が28日周期の1日目に投与される。さらなる例示的治療計画では、1用量のICOSに対する作用物質が21日周期の1日目に最大1年投与される。
【0168】
例示的な一実施形態において、免疫調節薬はダラツムマブであり、治療計画は、1~8週の毎週の単回用量のダラツムマブ、9~24週の2週毎の単回用量のダラツムマブ、および25週以降の4週毎の単回用量のダラツムマブを含む。
【0169】
例示的な一実施形態において、免疫調節薬はダラツムマブであり、治療計画は、1~9週の毎週の単回用量のダラツムマブ、10~24週の3週毎の単回用量のダラツムマブ、および25週以降の4週毎の単回用量のダラツムマブを含む。
【0170】
キット
いくつかの側面において、本開示は、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)ICOSに対する作用物質;および
(iii)癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットを提供する。
【0171】
いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質およびICOSに対する作用物質は、それらの固有の医薬組成物として1種類以上の薬学上許容可能な担体とともにそれぞれ個々に処方される。
【0172】
いくつかの側面において、本開示は、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)抗CD38抗原結合タンパク質;および
(iii)癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットを提供する。
【0173】
いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質および抗CD38抗原結合タンパク質は、それらの固有の医薬組成物として1種類以上の薬学上許容可能な担体とともにそれぞれ個々に処方される。
【0174】
いくつかの側面において、本開示は、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)ICOSに対する作用物質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットを提供する。
【0175】
いくつかの側面において、本開示は、
(i)抗BCMA抗原結合タンパク質;
(ii)抗CD38抗原結合タンパク質と組み合わせた場合に癌の治療において使用するための説明書
を含んでなる、癌の治療において使用するためのキットを提供する。
【0176】
配列表
配列番号1:抗BCMA抗体CDRH1
【化2】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
配列番号11:ヒトICOS(アイソフォーム2)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-2)
【化12】
【0187】
配列番号12:ヒトICOS(アイソフォーム1)(受託番号:UniProtKB-Q9Y6W8-1)
【化13】
【0188】
配列番号13:抗ICOS抗体CDRH1
【化14】
【0189】
配列番号14:抗ICOS抗体CDRH2
【化15】
【0190】
配列番号15:抗ICOS抗体CDRH3
【0191】
【0192】
配列番号16:抗ICOS抗体CDRL1
【化17】
【0193】
配列番号17:抗ICOS抗体CDRL2
【化18】
【0194】
配列番号18:抗ICOS抗体CDRL3
【化19】
【0195】
配列番号19:抗ICOS抗体重鎖可変領域(H2)
【化20】
【0196】
配列番号20:抗ICOS抗体軽鎖可変領域(L5)
【化21】
【0197】
配列番号21:37A10S713重鎖可変領域
【化22】
【0198】
配列番号22:37A10S713軽鎖可変領域
【化23】
【0199】
配列番号23:37A10S713 VH CDR1
【化24】
【0200】
配列番号24:37A10S713 VH CDR2
【化25】
【0201】
配列番号25:37A10S713 VH CDR3
【化26】
【0202】
配列番号26:37A10S713 VL CDR1:
【化27】
【0203】
配列番号27:37A10S713 VL CDR2
【化28】
【0204】
配列番号28:37A10S713 VL CDR3
【化29】
【実施例0205】
実施例1:抗BCMA抗体薬物結合体とICOSに対する作用物質の組合せのin vivo試験
1.1 動物
Charles Riverからの雌C57BL/6マウスを本試験で使用した。マウスは、完全に承認されたAAALAC施設で、USDA実験動物福祉法に従った、実験動物の管理と使用に関するNIHガイドライン(NIH Guide for Care and Use of Laboratory Animals)に概説された条件下で飼育した。
【0206】
1.2 細胞培養
ヒトBCMAを過剰発現するEL4マウスリンパ腫細胞(EL4-hBCMA)を作出した。EL4-hBCMAを液体窒素保存から取り出し、解凍し、無菌培地(10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するDMEM)を含有する培養フラスコに移した。これらの細胞を接種前に最低3回継代培養した。BCMA発現細胞を選択するために、G418(培地中終濃度0.2mg/ml)を初代培養およびその後の継代培養毎に添加した。腫瘍細胞は、加湿インキュベーターにて5%CO2中、37℃で、組織培養フラスコ内で維持した。接種直前に、細胞を氷冷DMEMで3回洗浄し、冷DMEM中1.0×106細胞/mlの濃度とした。接種原株を氷上に置き、注射のためにビバリウムに移した。
【0207】
1.3 C57BL/6の接種
C57BL/6雌マウスに、細胞接種前に識別チップ(BMDS IMI-1000 transponder)を移植した。対数増殖の際に採取したEL4-hBCMA細胞を各マウスの右側腹部に注射した(0.1mL中1.0×105細胞)。
【0208】
1.4 無作為化および処置
マウスの目立った腫瘍成長を経過観察し、触知可能な腫瘍が見られた際に測定した。接種後11日目に、各マウスの腫瘍体積を記録した。マウスを、マッチング分布を用いたStudyLog Study Director Suite無作為化機能を用いて群に分けた。本試験では、0日目が無作為化および最初の処置の日であった。
【0209】
1.6 腫瘍の測定
腫瘍成長はFowler「ProMax」デジタルカリパスを用いて測定した。式(腫瘍体積=0.52×L×W2)を用いて腫瘍体積を求めるために腫瘍の長さと幅を測定した。腫瘍体積データをは、Studylog Study Director Suiteソフトウエアを用いて記録した。マウスで得られた個々のマウスの2,000mm3より大きい腫瘍測定値は試験から除き、安楽死させた。
【0210】
1.7 試験プロトコール
本試験の目的は、EL4-hBCMAマウス同系腫瘍モデルにおいて、抗BMCA抗原結合タンパク質とICOSに対する作用物質を組み合わせた場合の抗腫瘍活性を評価することであった。平均腫瘍体積が150~200mm3に達した際にマウスを下記の4群に無作為化した。
・IgG1/MMAF
・IgG1/GSK2857916
・ICOS/MMAF
・ICOS/GSK2857916
【0211】
「GSK2857916」(または「GSK916」)は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域(VH)と配列番号8に示されるアミノ酸を含んでなる軽鎖可変領域(VL)を含んでなる細胞毒素MMAFと結合された抗BCMA IgG1モノクローナル抗体であり、10mg/kgの濃度で投与した。
【0212】
「ICOS」は、抗マウスIgG1モノクローナル抗体(マウスIgG1アイソタイプ上に発現させたクローン7E.17G9)であり、200μg/マウスの濃度で投与した。
【0213】
「MMAF」対照群は、ヒトIgG1と結合された細胞毒素MMAFを含み、GSK2857916の対照である。
【0214】
「IgG1」対照群は、ICOS抗体のアイソタイプ対照である。
【0215】
総ての化合物を3週間にわたって週に2回投与した。
【0216】
1.8 統計分析
総ての統計分析はRソフトウエアを用いて行った。
【0217】
1.9 結果
図1は、7日目の平均腫瘍体積データを示す。
図2は、最大83日間処置を受けた群の個々の腫瘍体積曲線を示す。同様の腫瘍成長阻害がGSK2857916単剤療法(IgG1/GSK2857916)およびICOSとGSK2857916の組合せ(ICOS/GSK2857916)でも見られた。試験83日目までに完全な腫瘍退縮が見られた。ICOS単剤療法では無腫瘍マウスは20%となり、GSK2857916では無腫瘍マウスは10%となった。ICOSとGSK2857916の組合せでは、無腫瘍マウスは30%となった。よって、この組合せは、ICOSまたはGSK2857916単独よりも10%~20%生存に有利な傾向を示した。