IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイベックスの特許一覧

<>
  • 特開-容器 図1
  • 特開-容器 図2
  • 特開-容器 図3
  • 特開-容器 図4
  • 特開-容器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151713
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B65D6/18 N ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061469
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】304022115
【氏名又は名称】株式会社アイベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 好明
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA02
3E061AB04
3E061AB09
3E061CA02
3E061DB20
(57)【要約】
【課題】容易に折り畳んで小型化することができると同時に、使用時の容器の開口部の変形を防止できる折り畳み式の容器を提供する。
【解決手段】容器1は、柔軟な素材で構成されている下面部2と第一の側面対および第二の側面対からなる側面部3とを備えている。側面部3の上辺には上辺袋部6が配置され、上辺支持部材9が収容されている。非使用時に折り畳まれる第二の側面対の上辺袋部には、互いに離間した状態で二つの上辺支持部材が配置されている。さらに容器1は、上辺袋部の周方向略中央部に固定部材10が配置されている。容器1は、使用時には、固定部材10が、第二の上辺袋部を直線状に固定することにより、容器の上面が矩形状となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非使用時には折り畳みが可能で、使用時には広げられて上方が矩形状に開口した形状になる容器であって、
柔軟な材料から構成され、使用時に矩形状となる下面部と、
柔軟な材料から構成され、前記下面部の四辺に接続して使用時に側面を構成する四つの側面部であって、略同一形状である第一の側面部と第三の側面部が対向して第一の側面対を構成し、略同一形状である第二の側面部と第四の側面部が対向して第二の側面対を構成する、側面部と、
前記第一の側面対の上辺に、それぞれ配置された第一の上辺袋部と、
前記第一の上辺袋部内に配置された第一の上辺支持部材と、
前記第二の側面対の上辺に、それぞれ配置された第二の上辺袋部と、
前記第二の上辺袋部内に二つずつ配置された第二の上辺支持部材であって、前記第二の側面部の上辺の二分の一よりも短い寸法で形成されており、前記第二の上辺袋部内に互いに離間した状態で配置されている第二の上辺支持部材と、
前記第二の上辺袋部の周方向略中央部に配置された固定部材と、
を備えており、
非使用時には、前記第二の側面対の周方向略中央および前記第二の側面対に接続された前記下面部の二辺の略中央が内方に屈曲することにより折り畳まれ、
使用時には、前記固定部材が、前記第二の上辺袋部を直線状に固定することにより、容器の上面が矩形状となることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記固定部材は、
前記第二の上辺袋部の周方向中央近傍に固定された台座部と、
一方の端部が前記台座部に対して前記第二の上辺袋部の周方向中央を隔てた位置に固定され、他方の端部が前記台座部と重なる位置に延在する可動部と、
を備えており、
前記台座部と前記可動部の端部とを重ね合わせて結合することで、前記第二の上辺袋部を直線状に固定することを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記固定部材は、前記台座部と前記可動部とを結合するための、面ファスナーまたは磁石を備えていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第一の側面対と接続する前記下面部の二つの辺にそれぞれ配置された第一の下辺支持部材と、
前記第二の側面対と接続する前記下面部の二つの辺にそれぞれ配置された第二の下辺支持部材と、
隣り合う前記側面部と前記側面部との境界に沿って配置された側辺支持部材と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。特に、非使用時には折り畳み可能で、かつ使用時には開口部の形状を維持した状態で内部に物品を収容できる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミなどを収容する容器として、非使用時には折り畳み可能であり、使用時には広げられて上部が開口する容器が知られている。発明者らは、これまでに、折りたたみが可能な側面を備えた四角柱状の容器を発明し、特許文献1および特許文献2に開示している。
【0003】
特許文献1の容器は、柔軟な素材で構成されている矩形状の下面部と、相対向する二組の側面部とを備えており、使用時には上面が開放された略立方体形状となる容器である。特許文献1の容器は、非使用時に、側面部の上辺を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、上辺と側辺とが積み重なるように折り畳むことができる。
【0004】
特許文献2の容器もまた、柔軟な素材で構成されている下面部と、相対向する二組の側面部とを備えている。特許文献2の容器は、非使用時に、対向する二つの側面部の周方向の中央と二つの側面部に接続された下面部の二辺の略中央が内方に屈曲することにより折り畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-150747号公報
【特許文献2】特開2019-26266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の容器に適用される折りたたみ方法は、全体が立方体形状である容器に好適に適用される。しかしながら、奥行きと幅の寸法が異なる直方体形状の容器の場合、この方法で折り畳むことは難しい。一方、特許文献2の容器に適用される折りたたみ方法は、奥行き方向と幅方向の寸法が異なる容器にも適用可能である。しかしながら、折り畳まれる側の側面部と折り畳まない側面部との寸法が著しく異なるような容器の場合、使用中に折りたたみ箇所が屈曲し、開口部の形状が変形してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、非使用時に容易に折り畳んで小型化することができると同時に、使用時の容器の開口部の変形を防止できる折り畳み式の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、非使用時には折り畳みが可能で、且つ使用時には開口部の形状を安定して維持できる容器に関する。
本発明の容器は、柔軟な材料から構成された使用時に矩形状となる下面部と、柔軟な材料から構成され、下面部の四辺に接続して使用時に側面を構成する四つの側面部を備えている。側面部は、略同一形状である第一の側面部と第三の側面部が対向して第一の側面対を構成し、略同一形状である第二の側面部と第四の側面部が互いに対向して第二の側面対を構成している。さらに本発明の容器は、第一の側面対の上辺に配置された第一の上辺袋部と、第一の上辺袋部に配置された第一の上辺支持部材と、第二の側面対の上辺に配置された第二の上辺袋部と、第二の上辺袋部内に二つずつ配置された第二の上辺支持部材を備えている。第二の上辺支持部材は、第二の側面部の上辺の二分の一よりも短い寸法で形成されており、第二の上辺袋部内に互いに離間した状態で配置されている。本発明の容器は、第二の上辺袋部の周方向略中央部に、固定部材が配置されており、非使用時には、第二の側面対の周方向略中央、および第二の側面対に接続された下面部の二つの辺の略中央が内方に屈曲することにより折り畳まれる。使用時には、固定部材が、第二の上辺袋部を直線状に固定することにより、容器の上面が矩形状となることを特徴とする。
【0009】
本発明の容器の固定部材は、第二の上辺袋部の周方向中央近傍に固定された台座部と、一方の端部は台座部に対して第二の上辺袋部の周方向中央を隔てた位置に固定され、他方の端部は台座部と重なる位置に延在する可動部とを備え、台座部と可動部の端部とを重ね合わせて結合することで、第二の上辺袋部を直線状に固定することが好ましい。
【0010】
本発明の容器の固定部材は、台座部と可動部とを結合するための、面ファスナーまたは磁石を備えていることが好ましい。
【0011】
本発明の容器は、第一の側面対と接続する下面部の二つの辺にそれぞれ配置された第一の下辺支持部材と、第二の側面対と接続する下面部の二つの辺にそれぞれ配置された第二の下辺支持部材と、隣り合う側面部と側面部との境界に沿って配置された側辺支持部材と、をさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器は、四つの側面部のうち第二の側面部と第四の側面部からなる第二の側面対に、それぞれ第二の上辺袋部が設けられており、この第二の上辺袋部には、第二の上辺支持部材が二つずつ収容されている。第二の上辺支持部材は、第二の側面部の上辺の二分の一よりも短い寸法で形成されており、第二の上辺袋部内に互いに離間した状態で配置されている。これにより、第二の側面対が折りたたまれるとき、周方向略中央の折り曲げ箇所には支持部材が存在しない。この結果、非使用時に側面部を容易に折りたたむことができ、簡単な操作で容器全体を小型化することができる。
【0013】
一方で、使用時には、固定部材が、容器の上辺を直線状に固定することにより、容器の上面は矩形状を確実に維持でき、容器全体の型崩れを防止できる。固定部材によって、使用時の容器上面の形状が安定するため、容器全体を従来よりも大型化することが可能となる。
【0014】
本発明の容器の固定部材は、第二の上辺袋部の中央に固定された台座部と、一方の端部が台座部と重なる位置に延在するように、他方の端部が第二の上辺袋部に固定されている可動部と、を備えた場合に、第二の上辺袋部を直線状に延ばすと同時に、容易に台座部と可動部を固定して、容器の上部を矩形状に固定することができる。しかも、このような固定部材の構成は、非使用時に折り畳んだ場合に固定部材が嵩張ることなく、容器全体を平坦な状態で保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第一実施形態の容器の使用時(広げられた状態)の斜視図である。
図2図2は、第一実施形態の容器の、使用時と非使用時との間の移行状態で、固定部材の花王部の他端側が台座部から離れた状態の斜視図である。
図3図3は、第一実施形態の容器の非使用時(折り畳まれた状態)の斜視図である。
図4図4(a)は第二の側面部の部分斜視図であり、図4(b)は第一の側面部と第四の側面部の結合部分の部分斜視図である。
図5図5は、第二実施形態の容器の使用時(広げられた状態)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明について、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものであるが、本発明は、以下の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0017】
本発明の容器の部材の名称に含まれる「上」、「下」、「中央」等が示す方向及び位置は、容器を使用可能な状態に広げて立てた時の方向及び位置に対応している。「縦」の方向とは、容器を立てた時の鉛直方向に対応している。「周方向」とは、容器上部の開口の外周に沿った方向を指している。
【0018】
<第一実施形態>
本発明の容器の第一実施形態である容器1について説明する。図1に、容器1の使用時における斜視図を示す。図2は、第一実施形態の容器が、使用時と非使用時との間の移行状態にあるときの斜視図である。図3は、第一実施形態の容器の非使用時、すなわち折り畳まれた状態の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、容器1は、柔軟な材料から構成され、使用時に矩形状となる下面部2と、四つの側面部3a、3b、3c、3dを備える。側面部3aと側面部3cは同一形状で互いに対向するように配置されており、第一の側面対3a、3cを構成している。側面部3bと側面部3dは同一形状で互いに対向するように配置されており、第二の側面対3b、3dを構成している。以下、第一の側面対3a、3c、第二の側面対3b、3dを総称して、側面部3ともいう。
【0020】
容器1は、下面部2および側面部3によって内部に収容空間が形成される。容器1は、使用時には、上方が開口した矩形状となり、その高さは側面部3の側辺で形成される縦方向稜線部の長さで規定される。側面部3a、3cの周方向の寸法すなわち上辺の長さは、側面部3b、3dの周方向の寸法と同一か、それよりも長く形成されている。下面部2と側面部3の辺の長さがすべて略同一に形成されている場合、容器1は立方体状となる。側面部3a、3cと側面部3b、3dの上辺の長さが異なる場合、または下面部2の辺の長さと側面部3の高さが異なる場合、容器1は直方体状となる。
【0021】
下面部2と側面部3は同一の網状(即ちネット状又はメッシュ状)またはシート状の樹脂または布からなる、柔軟な素材で形成されている。下面部2と、側面部3は一枚の素材で形成されていても良く、また異なる材料を縫合や溶着で接続した複合材を用いても良い。下面部2と側面部3とを網状の材料で形成した場合には、風を通過させることができるので屋外でも吹き飛ばないという効果が得られる。シート状の素材で形成した場合には、風雨や光を遮る効果を得ることができる。網状の素材としては、強度や環境保護の観点から、再生ペット樹脂が好適に用いられる。また、代替的には、アクリルメッシュ、エステルターポリン等を用いることができる。シート状の素材としては、ポリエチレンが好適に用いられる。
【0022】
非使用時、図3に表示するように、側面部3bと側面部3dは、周方向略中央の中心線13で内方に屈曲して折り畳まれる。下面部2は、側面部3bの下辺中央と側面部3dの下辺中央を結ぶ直線14を中心として、内方に屈曲しておりたたまれる。必須ではないが、容器1の側面部3と下面部2に、中心線13,14を予め折り目をつける加工を行うことにより、一層整ったけいすることなく折り畳むことができる。
【0023】
本実施形態の容器1においては、側面部3の上辺に柔軟な補強部材を配置して上辺袋部6を形成し、その中に硬質の上辺支持部材9を収容して閉鎖することで、使用時の開口部の形状を規定している。側面部3a、3cの上辺に、上辺袋部6a、6cが配置され、その中にそれぞれ1つずつ上辺支持部材9a、9cが配置されている。側面部3bの上辺に、上辺袋部6bが配置され、その中にそれぞれ二つずつ上辺支持部材9b、9bが配置されている。側面部3dの上辺に、上辺袋部6dが配置され、その中にそれぞれ二つずつ上辺支持部材9d、9dが配置されている。上辺支持部材9bおよび上辺支持部材9dは、いずれも、第二の側面対3b、3dの上辺の二分の一よりも短い寸法で形成されており、第二の上辺袋部6b、6d内で、互いに離間した状態で、直列に配置されている。なお、配置の説明の便宜上、上辺袋部6に対して、配置された側面部ごとにaからdの符号を付しているが、上辺袋部6の中は連通していても良い。
【0024】
上辺袋部6を形成する補強部材として、シート状の樹脂材または布が好適に用いられる。最も好適な素材は、ポリエチレンシートである。側面部3の上辺に補強部材を固定する方法は、縫合、溶着、接着剤による接着、その他固定に用いる任意の方法を適用可能であるが、側面部3が網状の素材で形成されている場合は、縫合による固定が最も適している。尚、構成を簡易に説明するために、上辺袋部6について側面部ごとに符号を付して区別を行っているが、上辺袋部6全体を1枚の補強部材で形成することも可能である。
【0025】
側面部3b、3dの上辺袋部6b、6dの中で、二つの上辺支持部材9b、9dが、互いに離間して収容されていることは、容器1の全体を平坦な状態に折り畳むために有効である。図4(a)に、側面部3bの上辺中央付近の部分拡大図を示す。上辺袋部6b内の二つの上辺支持部材9bは、いずれも側面部3bの上辺中央に到達しておらず、互いの先端が接することなく距離を空けて配置されている。上辺袋部6d内の二つの上辺支持部材9dも同様に、側面部3dの上辺中央の位置に到達せず、離間して配置されている。すなわち、上辺袋部6b、6dは、中心線13の両側の一定の長さの領域が空洞の状態になっている。中心線13近傍で空洞になっている上辺袋部6b、6dは、容器1を折り畳む際、図3に示すように他の部分と同様に嵩張ることなく折り畳まれる。
【0026】
本実施形態の容器1は、下面部2の四辺に、上辺袋部6と同じ素材からなる下辺袋部4が配置されている。側面部3の側辺には、上辺袋部6と同じ素材からなる側辺袋部5が配置されている。側面部3a、3cの下辺袋部4a、4cの中には、それぞれ1つずつ下辺支持部材7a、7cが配置されている。側辺袋部5の中には、側辺支持部材8が配置されている。側面部3b、3dの下辺袋部4b、4dの中には、それぞれ1つずつ下辺支持部材7b、7dが配置されている。
【0027】
上辺支持部材9a、9b、9c、9d、側辺支持部材8、および下辺支持部材7a,7cは、樹脂や金属からなる棒状または平板状の剛性部材であって、使用時と非使用時の移行の工程で、撓み(弾性変形)は生じるが塑性変形することのない強度を備えている。これらの支持部材として最も好適に用いられる素材は、繊維強化プラスチックである。容器1は、側辺支持部材8を備えることによって、使用時に自立することができる。
【0028】
下辺支持部材7a、7cは、形状の安定と、下面部2の錘の機能を果たす。これに対して、下辺支持部材7b、7dは、形状を安定させると同時に、非使用時に上方に向かって折り畳まれる下面部2の動作に追従して移動可能である必要がある。このため、下辺支持部材7b、7dは、柔軟性のある素材で、下辺支持部材7a、7cよりも軽量な部材で形成されることが好ましい。下辺支持部材7b、7dには、鉛入りのロープである沈子コードや、それに類似したケーブルが好適に適用される。
【0029】
図4(b)に例として側面部3aと側面部3dの結合箇所の拡大図を示す。上辺袋部6a、6b、6c、6dの両端部は、いずれも、図4(b)に示した構造とほぼ同一である。上辺袋部6の端部は、上辺支持部材9の端部が到達しておらず、空洞の状態になっている。図示されていない下辺袋部4a、4cの両端部にも、同様に、下辺支持部材7a、7cが配置されていない空洞の領域が設けられている。容器1を非使用時の状態にするには、隣り合う側面部と側面部を重ね合わすように四つの縦方向稜線部を折り曲げるが、このとき、下辺袋部4と上辺袋部6の両端部は空洞となっているので、他の部分と同様に嵩張ることなく平坦に折り畳まれる。
【0030】
容器1内面の上辺袋部6b、6dの周方向略中央部に、それぞれ固定部材10が配置されている。上辺袋部6b、6dは、固定部材10を固定するために、上辺袋部6a、6cよりも上下方向の幅の広い部分が設けられている。固定部材10は、台座部11と、可動部12を備えている。容器1の使用時には、固定部材10が、上辺袋部6b、6dをそれぞれ直線状に固定することにより、容器の上面の矩形状の開口部が安定する。
【0031】
図4(a)に示すように、台座部11は、容器1の内面の、上辺袋部6の周方向略中央すなわち中心線13の近傍に固定されている。可動部12は、一方の端部が、上辺袋部6の略中央であって台座部11とは中心線13を隔てた位置に固定されている。可動部12の他方の端部は固定されていない自由端となっている。使用時、容器1の上辺袋部6b、6dが直線状に広げられるとき、可動部12の少なくとも一部は、台座部11の表面と重なりあって接する位置に延在する。
【0032】
固定部材10は、台座部11と可動部12とを結合するための、面ファスナーまたは磁石を備えている。最も好適な実施形態では、台座部11が面ファスナーのループ側11aで構成されており、可動部12の台座部11と重なる表面に面ファスナーのフック側12aが固定されている。代替的な実施形態では、台座部11が磁石で構成されており、可動部12に台座部11と異なる磁極の磁石が固定されている。
【0033】
可動部12は、台座部11に結合することによって、上辺袋部6b、6dが周方向中央部で折れ曲がることを防止し、側面部3b、3dの上辺を直線状に固定する。可動部12の主要部は、樹脂の平板で構成されている。主要部の好ましい素材は、ポリプロピレン製の平板である。さらに可動部12は、主要部である樹脂の平板の外側を補強部材であるシート状の樹脂材または布で包み込み、主要部を補強部材で覆った構成とすることが最も好ましい。このような可動部12は、一方の端部の補強部材を上辺袋部6に固定し、かつ他方の端部の補強部材に面ファスナーまたは磁石を取りつけることで、固定部材10の構成要素として機能する。
【0034】
非使用時の状態の容器1を、使用時の形状に移行させるときの、固定部材10の動作について説明する。非使用時の容器1は側面部3b、3dが折り畳まれており、固定部材10は、図3に示すように、可動部12の自由端側が折り畳まれた上辺袋部6から突出している。使用時、この上辺袋部6b、6dを広げて、その内部の上辺支持部材9b、9dを直線状に配置することで、可動部12は上辺袋部6b、6dの移動に追従して、台座部11の表面と重なりあって結合する。容器1は、固定部材10に対して特段の作業を行うことなく、上辺袋部6b、6dを広げてその内部の上辺支持部材9b、9dを直線状に配置すると同時に、固定部材10の台座部11と可動部12が結合し、上面の形状が矩形状に固定される。この結果、容器1全体が直方体の形状で安定する。
【0035】
使用時の形状の容器1を折り畳むときは、上辺袋部6b、6dを中央から内側に重ね合わせるように折り畳むことで、側面部3b、3dが追従して容器の内側に向かって折り畳まれる。このとき、固定部材10の台座部11と可動部12の結合は解除され、底面部2も側面部3b、3dの動作に追従して折り畳まれる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の容器1は、上辺袋部6b、6dの周方向略中央部にそれぞれ配置された固定部材10によって、上辺袋部6b、6dを直線状に延ばすと同時に、容器1の上面を矩形状に固定することができる。しかも、このような固定部材10が配置されているにも拘わらず、上辺袋部6b、6dと上辺支持部材9b、9dの配置によって、容器1は、非使用時に折り畳んだ場合であっても上辺袋部6が嵩張ることなく、全体が平坦な状態となる。
【0037】
<第二実施形態>
本発明の容器の第二実施形態である容器21について説明する。図5に、容器21の使用時における斜視図を示す。本実施形態の容器21は、第一実施形態の容器1に構成を追加した容器であり、容器1と同一の構成を有するものについては、重複説明を省略する。
【0038】
本実施形態の容器21は、上面部22を備えている。上面部22を形成する素材は特に限定されないが、シート状の素材を適用した場合は、収容した物品を風雨や光から遮る効果を一層高めることができる。また、側面部3と同一の素材によって上面部22を形成した場合は、異なる素材を適用した場合よりも製造が容易である。
【0039】
本実施形態では、上面部22は、側面部3と同一の素材で形成されており、側面部3cの上辺袋部6cに固定されている。上面部22は、容器21の開口部を覆って閉鎖することのできる大きさを有する。すなわち、上面部22の幅方向長さは上辺袋部6a、6cの周方向長さよりも長く、且つ上面部22の奥行き方向の長さは上辺袋部6b、6dの周方向長さよりも長い。上面部22の辺の一つで、上辺袋部6cに固定されている端部と平行な自由端となっている辺は折り曲げられて袋状の部分が形成されており、その中に錘23が固定されている。錘23には、下辺支持部材7b、7dと同様の、沈子コードやケーブルが好適に適用される。
【0040】
側面部3cの両側の側辺袋部5には、それぞれ、外部の建造物等に固定するための外部接続部材25が固定されている。本実施形態の外部接続部材25は、側辺袋部5と同一の素材で形成された長方形の部材の中央に、ハトメによる開口が設けられており、この開口を通した紐やワイヤーによって、容器21を外部のものに固定することができる。外部の物体に固定することを前提とした容器21は、支持部材の強度を、自立のみを想定した容器よりも下げることができ、軽量化を図ることができる。
【0041】
側面部3bの両側の側辺袋部5には、容器21の非使用時に側辺支持部材8を収容した側辺袋部5を束ねるための、一対の側辺結合部材26a,26bが固定されている。好適な実施形態として、側辺結合部材26a,26bの一方には、面ファスナーのループ部が固定されており、側辺結合部材26a,26bの他方には、面ファスナーのフック部が固定されている。面ファスナーを結合することで、非使用時の側辺支持部材8の中央部を束ね、容器21を一層小型化して保管や輸送を行うことができる。
【0042】
上辺袋部6aと上辺袋部6cの間に、補助紐24が架け渡されている。補助紐24は、上辺袋部6a、6c内の上辺支持部材9a、9cが撓んで容器21全体が膨らむことを防止する。補助紐24は、特に、幅方向と奥行き方向の寸法が異なる、細長い直方体の容器21において、変形を防止する効果を発揮する。
【0043】
容器21は、上面部22を備えることで、カラス等が容器21の収容物を荒らすことを防止できる。また、外部接続部材25を用いることによって外部の建造物等に固定が可能となり、容器21をより多くの場所に設置できるようになる。さらに、補助紐24を備えることによって、容器21全体の変形をより効果的に防止することができる。
【実施例0044】
容器1を具現化した実施例を説明する。容器1は、第一の側面対の上辺の長さが900mm、第二の側面対の上辺の長さが600mm、側面部の高さが600mmで形成されている。下面部2と側面部3は、再生ペット樹脂で形成されたネット状の素材で構成されている。袋部を形成する補強部材にはポリエチレン製のシートが用いられている。上辺支持部材9a、9b、9c、9d、側辺支持部材8、および下辺支持部材7a,7cには、繊維強化プラスチックが用いられている。下辺支持部材7b、7dには、沈子コードが用いられている。固定部材10の台座部11は、高さ方向の長さ50mm、周方向の長さ80mmのファスナーのループ部11aを備えている。固定部材10の可動部12は、高さ方向の長さ50mm、周方向の長さ180mmのポリプロピレン製の平板の外側をポリエチレン製のシートで被覆して形成されており、高さ方向の長さ50mm、周方向の長さ80mmの面ファスナーのフック部12aが取り付けられている。
【符号の説明】
【0045】
1、21 容器
2 下面部
3(3a~3d) 側面部
4(4a~4d) 下辺袋部
5 側辺袋部
6(6a~6d) 上辺袋部
7(7a~7d) 下辺支持部材
8 側辺支持部材
9(9a~9d) 上辺支持部材
10 固定部材
11 台座部
12 可動部
22 上面部
24 補助紐
図1
図2
図3
図4
図5