(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151724
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 3/06 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F26B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061493
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】石堂 健二
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB03
3L113AC01
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC66
3L113AC76
3L113BA05
3L113DA02
(57)【要約】
【課題】乾燥対象物を効率良く乾燥させることができる技術を提供する。
【解決手段】乾燥装置100は、複数のチップ(木質チップ)を含むチップ群200(乾燥対象物)を乾燥させる装置である。乾燥装置100は、供給管10(供給部)と、吸気管20(吸気部)と、を備えている。乾燥装置100は、チップ群200が貯蔵されるチップ貯蔵庫300に、供給管10及び吸気管20を設置して使用する。供給管10は、チップ群200の内部に配置され、気体を供給する管である。吸気管20は、チップ群200の内部に配置され、供給管10により供給された気体を吸気する管である。供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で垂直方向に延びて配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を乾燥させる乾燥装置であって、
前記乾燥対象物の内部に配置され、気体又は熱を供給する供給部と、
前記乾燥対象物の内部に配置され、前記供給部により供給された気体又は前記供給部により供給された熱によって発生した気体を吸気する吸気部と、
を備える乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記供給部及び前記吸気部は、前記乾燥対象物の内部で垂直方向、水平方向又は斜め方向に延びて配置されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項3】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記供給部及び前記吸気部は、前記乾燥対象物の内部で格子状に配置されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記供給部及び前記吸気部は、それぞれ複数あり、前記乾燥対象物の内部で交互に配置されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乾燥装置において、
複数の前記供給部と複数の前記吸気部とを支持する支持部を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項6】
請求項4に記載の乾燥装置において、
前記供給部を駆動する1つの第1駆動部と、
前記吸気部を駆動する1つの第2駆動部と、
前記第1駆動部と複数の前記供給部とを接続する1つの第1接続部と、
前記第2駆動部と複数の前記吸気部とを接続する1つの第2接続部と、
を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項7】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記供給部は、気体を供給する複数の供給口を備え、
前記吸気部は、気体を吸気する複数の吸気口を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項8】
請求項7に記載の乾燥装置において、
前記乾燥対象物は、複数のチップを含むチップ群であり、
前記供給口及び前記吸気口の大きさは、前記チップの大きさよりも小さいことを特徴とする乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマス発電等の燃料として木質チップは広く利用されており、木質チップを燃料として利用する際には木質チップをいかに効率的に乾燥させるかということが重要であり、木質チップの乾燥効率は、発電事業の成立に影響を与える。
そして、木質チップを乾燥させる技術として、コンテナの底部から送風してコンテナ内のチップを乾燥させる木質チップの乾燥装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術としては、上記のような文献が存在しているが、乾燥対象物を効率良く乾燥させたいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、乾燥対象物を効率良く乾燥させることができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の乾燥装置は、乾燥対象物を乾燥させる乾燥装置であって、前記乾燥対象物の内部に配置され、気体又は熱を供給する供給部と、前記乾燥対象物の内部に配置され、前記供給部により供給された気体又は前記供給部により供給された熱によって発生した気体を吸気する吸気部と、を備える乾燥装置である。
【0008】
本解決手段の乾燥装置は、以下の構成を備えている。
(1)乾燥対象物を乾燥させる乾燥装置である。
(2)乾燥対象物の内部に配置され、気体又は熱を供給する供給部を備えている。
(3)乾燥対象物の内部に配置され、供給部により供給された気体又は供給部により供給された熱によって発生した気体を吸気する吸気部を備えている。
【0009】
本解決手段によれば、乾燥対象物の内部に気体又は熱を供給し、乾燥対象物の内部から気体を吸気するため、供給部や吸気部が乾燥対象物の外部に配置されている方式と比較して、乾燥対象物の乾燥時間が短縮され乾燥効率を向上させることができる。
【0010】
また、本解決手段によれば、乾燥対象物の貯蔵庫に供給部や吸気部を設置することができるため、乾燥設備の導入コストを抑えつつ、乾燥設備の設置スペースも削減することができる。
【0011】
解決手段2:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記供給部及び前記吸気部は、前記乾燥対象物の内部で垂直方向、水平方向又は斜め方向に延びて配置されていることを特徴とする乾燥装置である。
【0012】
本解決手段では、供給部及び吸気部は、乾燥対象物の内部で垂直方向、水平方向又は斜め方向に延びて配置されている。垂直方向、水平方向、斜め方向は、乾燥対象物を貯蔵する貯蔵庫に対する方向であってもよく、乾燥対象物を載置する載置場(例えば地面)に対する方向であってもよい。斜め方向は、垂直方向と水平方向との間の任意の傾斜した方向である。
【0013】
本解決手段によれば、供給部及び吸気部は、乾燥対象物の内部で垂直方向、水平方向又は斜め方向に延びて配置されているため、供給部及び吸気部を様々な方向に延ばすことができ、乾燥対象物の形状や乾燥対象物の貯蔵庫の形状に合わせて、柔軟に供給部及び吸気部を配置することができる。
【0014】
解決手段3:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記供給部及び前記吸気部は、前記乾燥対象物の内部で格子状に配置されていることを特徴とする乾燥装置である。
【0015】
本解決手段では、供給部及び吸気部は、乾燥対象物の内部で格子状に配置されている。格子状は、平面的な格子状であってもよく、立体的な格子状であってもよい。
【0016】
本解決手段によれば、供給部及び吸気部は、乾燥対象物の内部で格子状に配置されているため、供給部及び吸気部の配置を密にすることができ、より一層、乾燥効率を向上させることができる。
【0017】
解決手段4:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記供給部及び前記吸気部は、それぞれ複数あり、前記乾燥対象物の内部で交互に配置されていることを特徴とする乾燥装置である。
【0018】
本解決手段では、供給部及び吸気部は、それぞれ複数あり、乾燥対象物の内部で交互に配置されている。
【0019】
本解決手段によれば、供給部及び吸気部が交互に配置されているため、供給部と吸気部との距離を近づけることができ、より一層、乾燥効率を向上させることができる。
【0020】
解決手段5:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、複数の前記供給部と複数の前記吸気部とを支持する支持部を備えることを特徴とする乾燥装置である。
【0021】
本解決手段では、複数の供給部と複数の吸気部とを支持する支持部を備えている。支持部は、供給部と吸気部とを連結している。
【0022】
本解決手段によれば、複数の供給部と複数の吸気部とを支持する支持部を備えているため、使用中においても供給部と吸気部との距離を一定の間隔に保つことができ、乾燥効率の低下を抑制することができる。
【0023】
解決手段6:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記供給部を駆動する1つの第1駆動部と、前記吸気部を駆動する1つの第2駆動部と、前記第1駆動部と複数の前記供給部とを接続する1つの第1接続部と、前記第2駆動部と複数の前記吸気部とを接続する1つの第2接続部と、を備えることを特徴とする乾燥装置である。
【0024】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)供給部を駆動する1つの第1駆動部を備えている。
(2)吸気部を駆動する1つの第2駆動部を備えている。
(3)第1駆動部と複数の供給部とを接続する1つの第1接続部を備えている。
(4)第2駆動部と複数の吸気部とを接続する1つの第2接続部を備えている。
【0025】
本解決手段によれば、1つの第1駆動部及び1つの第1接続部で、複数の供給部を駆動し、1つの第2駆動部及び1つの第2接続部で、複数の吸気部を駆動するため、複数の供給部及び複数の吸気部を少ない駆動源で効率良く駆動させることができる。
【0026】
解決手段7:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記供給部は、気体を供給する複数の供給口を備え、前記吸気部は、気体を吸気する複数の吸気口を備えることを特徴とする乾燥装置である。
【0027】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)供給部は、気体を供給する複数の供給口(開口)を備えている。
(2)吸気部は、気体を吸気する複数の吸気口(開口)を備えている。
【0028】
本解決手段によれば、複数の供給口を用いて気体を供給し、複数の吸気口を用いて気体を吸気するため、気体の供給と気体の吸気とを乾燥対象物の内部で偏りなく行うことができる。
【0029】
解決手段8:本解決手段の乾燥装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記乾燥対象物は、複数のチップを含むチップ群であり、前記供給口及び前記吸気口の大きさは、前記チップの大きさよりも小さいことを特徴とする乾燥装置である。
【0030】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)乾燥対象物は、複数のチップ(木質チップ)を含むチップ群(木質チップ群)である。
(2)供給口及び吸気口の大きさ(直径)は、チップの大きさ(外形)よりも小さい。
【0031】
本解決手段によれば、供給口及び吸気口の大きさは、チップの大きさよりも小さいため、供給口及び吸気口の中にチップが入り込むことがなく、乾燥装置の使用中に乾燥効率が低下してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、乾燥対象物を効率良く乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態の乾燥装置100を示す図である。
【
図2】第1実施形態の乾燥装置100の使用方法を説明する図である。
【
図3】第1実施形態の乾燥装置100の使用方法を説明する図である。
【
図4】第1実施形態の乾燥装置100の使用方法を説明する図である。
【
図6】第2実施形態の乾燥装置100-2を示す図である。
【
図7】第3実施形態の乾燥装置100-3を示す図である。
【
図8】第4実施形態の乾燥装置100-4を示す図である。
【
図9】第4実施形態の乾燥装置100-4の詳細を示す図である。
【
図10】乾燥装置100-4の機能を示す図である。
【
図11】第5実施形態の乾燥装置100-5を示す図である。
【
図12】第6実施形態の乾燥装置100-6を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の乾燥装置100を示す図である。
乾燥装置100は、複数のチップ(木質チップ)を含むチップ群200(乾燥対象物)を乾燥させる装置である。乾燥装置100は、供給管10(供給部)と、吸気管20(吸気部)と、を備えている。
【0035】
乾燥装置100は、チップ群200が貯蔵されるチップ貯蔵庫300に、供給管10及び吸気管20を設置して使用する。
チップ貯蔵庫300は、奥行方向(縦方向)の長さ、水平方向(横方向)の長さ、垂直方向(高さ方向)の長さがそれぞれ数メートル程度(例えば、奥行方向の長さ:3~5m、水平方向の長さ:4~6m、垂直方向の長さ:1~3m等)の容器である。
【0036】
供給管10は、チップ群200の内部に配置され、気体を供給する管である(送風管)。気体は、温風(熱風)であることが好ましいが、常温の風であってもよい。
吸気管20は、チップ群200の内部に配置され、供給管10により供給された気体を吸気する管である。
供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で垂直方向に延びて配置されている。
【0037】
供給管10及び吸気管20は、それぞれ複数あり、チップ群200の内部で交互に配置されている。
具体的には、供給管10は4本あり、吸気管20は5本ある。そして、チップ貯蔵庫300の内部において、左側の端から吸気管20、供給管10が交互に順番に並べて配置され、最後の右側の端は、吸気管20が配置されている。
【0038】
本実施形態では、気体の吸気のしやすさを考慮して、両端に、吸気管20を配置している。このため、吸気管20の数は、供給管10の数よりも1本多い。ただし、供給管10の数と吸気管20の数とは、同数であってもよく、吸気管20の数が供給管10の数よりも少なくてもよい。
【0039】
また、乾燥装置100は、1つの温風挿入用ポンプ30(第1駆動部、送風機、送風用ファン)と、1つの排気用ポンプ40(第2駆動部、送風機、吸気用ファン)と、1つの第1配管50(第1接続部)と、1つの第2配管60(第2接続部)と、を備えている。
【0040】
温風挿入用ポンプ30は、供給管10に温風を供給する(供給部を駆動する)装置である。なお、温風は、温風挿入用ポンプ30の外部にある不図示の温風生成装置から取り込んでもよく、温風挿入用ポンプ30で生成してもよい。
排気用ポンプ40は、吸気管20に吸気を行わせる(吸気部を駆動する)装置である。
【0041】
第1配管50は、温風挿入用ポンプ30と複数の供給管10とを接続する配管である。第2配管60は、排気用ポンプ40と複数の吸気管20とを接続する配管である。
【0042】
供給管10は、気体を供給する複数の供給口11(温風出口)を備えている。複数の供給口11は、供給管10の上端から下端までの間に、おおむね均等な割合で配置されている。また、供給口11は、供給管10の前後左右の四方に配置されている。
【0043】
吸気管20は、気体を吸気する複数の吸気口21(温風入口)を備えている。複数の吸気口21は、吸気管20の上端から下端までの間に、おおむね均等な割合で配置されている。また、吸気口21は、吸気管20の前後左右の四方に配置されている。
【0044】
供給口11と吸気口21とは、気体の流れを良くするために、同一の個数で同一の高さ(垂直方向における同一の位置)に配置されている。
【0045】
吸気口21は、チップ群200の内部の気体を吸い出す。吸気口21を設けることにより、チップ群200の内部の気体が積極的に排気され、チップ群200の内部全体に温風が行き渡り乾燥が促進される。
【0046】
供給管10及び吸気管20の設置間隔は、供給管10及び吸気管20の本数を変えることにより変更可能である。また、供給口11及び吸気口21の設置間隔は、供給口11及び吸気口21の個数を変えることにより変更可能である。これらの変更により、乾燥効率を調整することができる。そして、供給口11と吸気口21との間隔を短くすることによって、その間に詰まっているチップ群200を早期に乾燥させることができる。
【0047】
供給口11及び吸気口21の大きさは、チップ群200に含まれる個々のチップの大きさよりも小さい。例えば、供給口11及び吸気口21は、直径が1~10mm程度の円形の開口であり、チップの大きさ(外形、平面でみて最長の長さ)は、3~4cm程度である。
【0048】
チップ貯蔵庫300の奥行方向の長さが短い場合(例えば1m未満である場合)、乾燥装置100は、1つだけ配置すればよい。一方、チップ貯蔵庫300の奥行方向の長さが長い場合(例えば1m以上である場合)、乾燥装置100は、奥行方向に対して複数配置することができる。
【0049】
また、チップ貯蔵庫300の奥行方向の長さが長い場合、供給管10を管状ではなく、奥行方向及び垂直方向に延びる板状(平面状)の部材にすることにより、1つの乾燥装置100だけでチップ貯蔵庫300全体を乾燥させることができる。
【0050】
図2~
図4は、第1実施形態の乾燥装置100の使用方法を説明する図である。
まず、
図2(A)に示すように、乾燥装置100を用意し、
図2(B)に示すように、空のチップ貯蔵庫300を用意する。
【0051】
ついで、
図3(A)に示すように、空のチップ貯蔵庫300に、乾燥前のチップ群200を入れ、
図3(B)に示すように、チップ群200の内部に、供給管10及び吸気管20を直接挿し込む。なお、先に供給管10及び吸気管20を配置してから、乾燥前のチップ群200を入れてもよい。
【0052】
そして、
図4(A)に示すように、この状態で、温風挿入用ポンプ30及び排気用ポンプ40を駆動させる。そうすると、気体(温風)が温風挿入用ポンプ30に取り込まれる(矢印A1)。温風挿入用ポンプ30に取り込まれた気体は、温風挿入用ポンプ30から第1配管50を通過して供給管10に送られる。供給管10に送られた気体は、供給口11からチップ群200の内部に供給され(矢印A2)、チップ群200を乾燥させる。
【0053】
一方、吸気管20の吸気口21は、チップ群200の内部の気体を吸気する(矢印A3)。吸気された気体は、第2配管60に送られ、排気用ポンプ40を通過して、排気用ポンプ40の外部に排気される(矢印A4)。
【0054】
最後に、
図4(B)に示すように、乾燥装置100を取り除くと、乾燥後のチップ群200が残る。
【0055】
図5は、比較例の乾燥装置100Aを示す図である。なお、比較例の乾燥装置100Aは、従来技術ではない。
比較例の乾燥装置100Aは、チップ乾燥用容器400と、気体通路401と、複数の開口402と、気体放出口403と、温風挿入用ポンプ30と、を備えている。
【0056】
比較例の乾燥装置100Aにおいて、温風挿入用ポンプ30を駆動させると、気体(温風)が温風挿入用ポンプ30に取り込まれる(矢印B1)。取り込まれた気体は、気体通路401に進入し、複数の開口402を通過する(矢印B2)。チップ乾燥用容器400のチップ群200の内部に進入した気体は、チップ群200を乾燥させながらチップ群200の内部を上昇し(矢印B3)、気体放出口403から排気される(矢印B4)。
【0057】
このように、比較例の乾燥装置100Aでは、チップ群200を乾燥する際に、チップ群200を積めたチップ乾燥用容器400の底から温風を圧送して乾かす方法をとっているが、チップ群200の積み上げた高さ分で(チップの上下で)乾燥ムラが生じて上段部が乾くまで全体に温風を送らねばならず非効率になっている。すなわち、チップ群の積み上げ高さを上げる分だけ、下からの圧送した温風の流量が弱まり、温風の循環が滞り乾燥までに時間がかかる。また、比較例の乾燥装置100Aでは、チップ貯蔵庫300とは別に、専用の装置(チップ乾燥用容器400等)を準備する必要があるため設備の導入コストが高い。
【0058】
これに対して、第1実施形態の乾燥装置100では、チップ群200の上下で乾燥ムラが生じず、乾燥効率が良い。また、第1実施形態の乾燥装置100は、チップ貯蔵庫300に供給管10及び吸気管20を直接挿すだけで設置完了となり、専用の装置(チップ乾燥用容器400等)を準備する必要がなく、乾燥設備の導入コストを抑えつつ、乾燥設備の設置スペースも削減することができる。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)第1実施形態によれば、チップ群200の内部に気体を供給し、チップ群200の内部から気体を吸気するため、供給管10や吸気管20がチップ群200の外部に配置されている方式と比較して、チップ群200の乾燥時間が短縮され乾燥効率を向上させることができる。
【0060】
(2)第1実施形態によれば、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で垂直方向に延びて配置されているため、チップ群200の垂直方向における乾燥ムラ(上下の乾燥ムラ)をより一層生じにくくさせることができる。
【0061】
(3)第1実施形態によれば、供給管10及び吸気管20が交互に配置されているため、供給管10及び吸気管20との距離を近づけることができ、より一層、乾燥効率を向上させることができる。
【0062】
(4)第1実施形態によれば、1つの温風挿入用ポンプ30及び1つの第1配管50で、複数の供給管10を駆動し、1つの排気用ポンプ40及び1つの第2配管60で、複数の吸気管20を駆動するため、複数の供給管10及び複数の吸気管20を少ない駆動源で効率良く駆動させることができる。
【0063】
(5)第1実施形態によれば、複数の供給口11を用いて気体を供給し、複数の吸気口21を用いて気体を吸気するため、気体の供給と気体の吸気とをチップ群200の内部で偏りなく行うことができる。また、供給口11と吸気口21とを細かく設けることで、気体を隅々まで行き渡らせることができ、乾燥効率を向上させることができる。
【0064】
(6)第1実施形態によれば、供給口11及び吸気口21の大きさは、チップの大きさよりも小さいため、供給口11及び吸気口21の中にチップが入り込むことがなく、乾燥装置100の使用中に乾燥効率が低下してしまうことを抑制することができる。
【0065】
(7)第1実施形態によれば、木質チップの乾燥時間が短縮されるため、バイオマス発電事業の事業収支に大きく貢献することができる。
【0066】
(8)第1実施形態によれば、様々なチップ貯蔵場所に対応することができるため、既存のチップ貯蔵庫を流用することでコスト削減に貢献することができる。
【0067】
(9)比較例のような乾燥方法である場合、下方から温風を流し上部に抜けるような構造であるため、チップ群を積みすぎると圧損が大きくなり上部はなかなか乾かなくなってしまう。一方、第1実施形態の構造で乾燥することにより上下位置での乾燥ムラが解消されるため、チップ群の積み上げ高さを気にする必要がなくなる。
【0068】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図6は、第2実施形態の乾燥装置100-2を示す図である。
第1実施形態と第2実施形態との異なる点は、主に、供給管10及び吸気管20が配置されている方向が異なる点である。
具体的に、第2実施形態の乾燥装置100-2では、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で水平方向に延びて配置されている。
【0069】
第1配管50及び第2配管60は、供給管10及び吸気管20の水平方向の中央付近に接続されている。なお、第1配管50及び第2配管60は、供給管10及び吸気管20の水平方向の左端部又は右端部に接続されていてもよい。
【0070】
第2実施形態の乾燥装置100-2において、乾燥前のチップ群200に、供給管10及び吸気管20を挿し込みにくい状況である場合には、先に、チップ貯蔵庫300に供給管10及び吸気管20を配置し、その後、チップ貯蔵庫300に乾燥前のチップ群200を入れることもできる。
【0071】
第2実施形態によれば、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で水平方向に延びて配置されているため、チップ群200の水平方向における乾燥ムラ(左右の乾燥ムラ)をより一層生じにくくさせることができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、第3実施形態の乾燥装置100-3を示す図である。
第1実施形態と第3実施形態との異なる点は、主に、供給管10及び吸気管20が配置されている方向が異なる点である。
具体的に、第3実施形態の乾燥装置100-3では、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で斜め方向(垂直方向と水平方向との間の傾斜した方向)に延びて配置されている。また、供給管10及び吸気管20は、正面から見て互いに交差するように配置されている。
【0073】
第3実施形態によれば、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で斜め方向に延びて配置されているため、チップ群200の斜め方向における乾燥ムラ(上下左右の乾燥ムラ)をより一層生じにくくさせることができる。
【0074】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。
図8は、第4実施形態の乾燥装置100-4を示す図である。
第1実施形態と第4実施形態との異なる点は、主に、供給管10-4及び吸気管20-4が配置されている方向が異なる点である。
具体的に、第4実施形態の乾燥装置100-4では、供給管10-4及び吸気管20-4は、チップ群200の内部で格子状(立方格子状、ジャングルジム状)に配置される。
【0075】
図9は、第4実施形態の乾燥装置100-4の詳細を示す図である。なお、図中においては、供給管10-4及び吸気管20-4を平面で示しているが、実際には断面円形状又は断面方形状の立体的な管である。
乾燥装置100-4は、3つの供給管10-4と、4つの吸気管20-4とを備えている。
各供給管10-4及び各吸気管20-4は、垂直方向に3面の区画を有し、水平方向に4面の区画を有する格子状の管となっている。なお、区画数は、適宜変更可能である(以下、同様)。
そして、乾燥装置100-4においては、前方側の端部から吸気管20-4、供給管10-4が交互に順番に並んで配置され、最後の後方側の端部には、吸気管20-4が配置されている。
【0076】
また、乾燥装置100-4は、3つの供給管10-4と4つの吸気管20-4とを支持する支持部70を備えている。
支持部70は、乾燥装置100-4を立方体としてみた場合、左側面の底辺、左側面の中央、上面の中央、右側面の上辺、右側面の中央、右側面の底辺に、前方側の端部から後方側の端部まで延びて配置されている。なお、支持部70は、左側面の上辺に配置してもよい。また、供給管10-4の数や吸気管20-4の数、支持部70の数は、
図8のものとは異なっているが、これらの数は、乾燥させたいチップ群の大きさに応じて適宜変更することができる。
【0077】
図10は、乾燥装置100-4の機能を示す図である。
図10(A)に示すように、乾燥の最小単位は、1つの立方体となる。このような立方体が少なくとも1つ存在していれば、チップ群の乾燥を行うことができ、乾燥させたいチップ群の大きさに応じて立方体を増加することができる。1つの立方体のうち、対向する面の一方の面の辺に供給の機能を持たせ、他方の面の辺に吸気の機能を持たせることにより、気体の供給及び気体の吸気を実現することができる。
【0078】
また、
図10(B)に示すように、気体の流れに関しては、供給管10-4の供給口11から供給された気体が、吸気管20-4の吸気口21に吸い込まれるようになっている(矢印C1から矢印C2の方向に気体が流れる)。なお、図中では、供給管10-4及び吸気管20-4の下辺の気体の流れのみを図示しているが、上辺、左辺、右辺に関しても同様の気体の流れとなる。
【0079】
第4実施形態によれば、供給管10及び吸気管20は、チップ群200の内部で格子状に配置されているため、供給管10及び吸気管20の配置を密にすることができ、より一層、乾燥効率を向上させることができる。
【0080】
また、第4実施形態によれば、3つの供給管10-4と4つの吸気管20-4とを支持する支持部70を備えているため、使用中においても供給管10-4と吸気管20-4との距離を一定の間隔に保つことができ、乾燥効率の低下を抑制することができる。
【0081】
〔第5実施形態〕
次に、第5実施形態について図面を参照しながら説明する。
図11は、第5実施形態の乾燥装置100-5を示す図である。
第5実施形態の乾燥装置100-5は、第4実施形態と似たタイプの乾燥装置であるが、主に、供給管及び吸気管の数、区画数等が異なっている。
第5実施形態の乾燥装置100-5は、供給管10-5の外部から供給管10-5に気体(送風(常温))を供給する送風機30-5(気体供給部)を備えている。
すなわち、第5実施形態の乾燥装置100-5は、気体(送風(常温))によってチップ群を乾燥させる。
【0082】
また、第5実施形態の乾燥装置100-5は、チップ群200(
図2参照)の内部に配置され、チップ群200の内部で格子状に配置され、供給管10-5により供給された気体を吸気する吸気管20-5(吸気部)を備えている。
吸気管20-5は、排気用ポンプ40-5(送風機、吸気用ファン)に接続されている。排気用ポンプ40-5は、吸気管20-5に吸気を行わせる(吸気部を駆動する)装置である。
【0083】
乾燥装置100-5は、3つの供給管10-5と、2つの吸気管20-5とを備えている。
各供給管10-5及び各吸気管20-5は、垂直方向に2面の区画を有し、水平方向に4面の区画を有する格子状の管となっている。
そして、乾燥装置100-5においては、前方側の端部から供給管10-5、吸気管20-5が交互に順番に並んで配置され、最後の後方側の端部には、供給管10-5が配置されている。
【0084】
各供給管10-5には、気体を供給する複数の供給口(直径数ミリ程度の開口:不図示)が設けられており、各吸気管20-5には、気体を吸気する複数の吸気口(直径数ミリ程度の開口:不図示)が設けられている。
【0085】
また、乾燥装置100-5は、3つの供給管10-5と2つの吸気管20-5とを支持する支持部70-5を備えている。
支持部70-5は、乾燥装置100-5を立方体としてみた場合、上面の左辺、中央、右辺、及び、下面の左辺、中央、右辺に、前方側の端部から後方側の端部まで延びて配置されている。
【0086】
第5実施形態によれば、格子状の供給管10-5と格子状の吸気管20-5とによって乾燥装置100-5の内部で気体の流れを促進させることができ、乾燥効率を向上させることができる。
また、第5実施形態によれば、気体(送風(常温))によってチップ群を乾燥させることができるため、チップ群を温めないで乾燥させたい場合に有効である。
【0087】
〔第6実施形態〕
次に、第6実施形態について図面を参照しながら説明する。
図12は、第6実施形態の乾燥装置100-6を示す図である。
第6実施形態の乾燥装置100-6は、第4実施形態と似たタイプの乾燥装置であるが、主に、供給管及び吸気管の数、区画数等が異なっている。
第6実施形態の乾燥装置100-6は、供給管10-6の外部から供給管10-6に熱及び気体(送風(温風))を供給する温風挿入用ポンプ30-6(熱気体供給部)を備えている。
すなわち、第6実施形態の乾燥装置100-6は、熱及び気体(送風(温風))によってチップ群を乾燥させる。
【0088】
また、第6実施形態の乾燥装置100-6は、チップ群200(
図2参照)の内部に配置され、チップ群200の内部で格子状に配置され、供給管10-6により供給された気体及び供給管10-6により供給された熱によって発生した気体(例えば水蒸気)を吸気する吸気管20-6(吸気部)を備えている。
吸気管20-6は、排気用ポンプ40-6(送風機、吸気用ファン)に接続されている。排気用ポンプ40-6は、吸気管20-6に吸気を行わせる(吸気部を駆動する)装置である。
【0089】
乾燥装置100-6は、2つの供給管10-6と、3つの吸気管20-6とを備えている。
各供給管10-6及び各吸気管20-6は、垂直方向に2面の区画を有し、水平方向に4面の区画を有する格子状の管となっている。
そして、乾燥装置100-6においては、前方側の端部から吸気管20-6、供給管10-6が交互に順番に並んで配置され、最後の後方側の端部には、吸気管20-6が配置されている。
【0090】
各供給管10-6には、熱及び気体を供給する複数の供給口(直径数ミリ程度の開口:不図示)が設けられており、各吸気管20-6には、気体(熱により発生した気体を含む)を吸気する複数の吸気口(直径数ミリ程度の開口:不図示)が設けられている。
【0091】
また、乾燥装置100-6は、2つの供給管10-6と3つの吸気管20-6とを支持する支持部70-6を備えている。
支持部70-6は、乾燥装置100-6を立方体としてみた場合、上面の左辺、中央、右辺、及び、下面の左辺、中央、右辺に、前方側の端部から後方側の端部まで延びて配置されている。
【0092】
第6実施形態によれば、格子状の供給管10-6と格子状の吸気管20-6とによって乾燥装置100-6の内部で気体の流れを促進させることができ、乾燥効率を向上させることができる。
また、第6実施形態によれば、熱及び気体(送風(温風))によってチップ群を乾燥させることができるため、チップ群を温めて乾燥時間を短縮させることができる。
【0093】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
(1)乾燥対象物は、木質チップの例で説明したが、木質チップ以外のチップであってもよい。また、乾燥対象物は、焼却灰や砂、堆肥等であってもよい。この場合、供給口11及び吸気口21には、気体は通すが固体(砂や粒子等)は通さないフィルターを取り付けることができる。
【0094】
(2)供給部は、気体ではなく、熱を供給するもの(例えば、ヒータ)であってもよい。この場合、吸気部は、供給部により供給された熱によって発生した気体(例えば、水蒸気)を吸気するものであってもよい。
【0095】
(3)上述した各実施形態は、組み合わせて利用することもできる。
(4)第1実施形態~第3実施形態には、第4実施形態等の支持部を設けるようにしてもよい。
【0096】
(5)供給部の数や吸気部の数、支持部の数は、乾燥させたいチップ群の大きさに応じて適宜変更することができる。
(6)供給部や吸気部は、断面円形状の管であってもよく、断面方形状の管であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
10、10-4~10-6 供給管
11 供給口
20、20-4~20-6 吸気管
21 吸気口
30、30-6 温風挿入用ポンプ
30-5 送風機
40、40-5、40-6 排気用ポンプ
50 第1配管
60 第2配管
70、70-5、70-6 支持部
100、100-2~100-6 乾燥装置(実施形態)
100A 乾燥装置(比較例)
200 チップ群
300 チップ貯蔵庫
400 チップ乾燥用容器
401 気体通路
402 開口
403 気体放出口