(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151730
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】レーザ加工システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20231005BHJP
B23K 26/02 20140101ALI20231005BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061503
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦原 克充
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168CA06
4E168CA07
4E168CA13
4E168CB04
4E168CB23
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要な、ユーザにとってより使い勝手のよいレーザ加工システムを提供する。
【解決手段】レーザ加工システム1は、レーザマーカ100とカメラ500と画像処理機器600とを備える。画像処理機器600は、カメラ500の撮像画像から第1ワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置をカメラの第1座標系で特定する。レーザマーカ100は、キャリブレーション処理により、第1座標系からレーザマーカの第2座標系への変換のためのパラメータを算出する。レーザマーカ100は、当該パラメータを用いて印字位置の座標を第1座標系から第2座標系へ変換する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工システムであって、
レーザ光を用いて印字対象である第1ワークの表面に印字を行うレーザマーカと、
前記第1ワークを撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像を処理する画像処理機器とを備え、
前記画像処理機器は、前記カメラにより撮像された前記第1ワークの画像から前記第1ワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置を前記カメラの第1座標系で特定する第1特定部を含み、
前記レーザマーカは、
前記印字位置の前記第1座標系での座標を取得する第1取得部と、
前記第1座標系から前記レーザマーカの第2座標系への変換のためのパラメータを用いて、前記印字位置の座標を前記第1座標系から前記第2座標系へ変換する変換部と、
変換後の前記第2座標系での座標に基づいて前記レーザ光を走査して、前記第1ワークの前記表面に前記印字を行うレーザヘッドとを含み、
前記レーザヘッドは、前記第2座標系での座標が予め定められたキャリブレーション用のパターンをキャリブレーション用の第2ワークの表面に形成する形成処理をさらに行い、
前記カメラは、前記パターンが形成された前記第2ワークをさらに撮像し、
前記画像処理機器は、前記カメラにより撮像された前記第2ワークの画像から前記パターンの前記第1座標系での座標を特定する第2特定部をさらに含み、
前記レーザマーカは、
前記パターンの前記第1座標系での座標を取得する第2取得部と、
前記パターンの前記第1座標系での座標と、前記パターンの前記第2座標系での座標とを基に、前記パラメータを算出する算出部とをさらに含み、
前記レーザ光の光軸と前記カメラに含まれるレンズの光軸とは同軸ではなく、
前記レーザヘッドが前記レーザ光を走査可能な印字領域は前記カメラの撮像領域に含まれる、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記パターンは、4以上の特徴点を示す、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記形成処理は、前記レーザ光を走査して、前記第2ワークの前記表面に前記4以上の特徴点を印字することを含む、請求項2に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記レーザヘッドは、可視光をさらに走査し、
前記4以上の特徴点は、前記可視光を走査することにより形成される投影像であり、
前記形成処理は、前記4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含み、
前記カメラの露光時間は、前記4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成されてから残りの特徴点の全ての形成が終了するまでの時間以上である、請求項2に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記第2特定部は、
前記カメラにより撮像された前記第2ワークの画像を上下および左右にそれぞれ2分割することにより、当該画像を4つの部分画像に分割し、
前記4つの部分画像の少なくとも1つが前記4以上の特徴点のいずれも含んでいない場合には、エラーを出力する、請求項3または4に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記レーザヘッドは、可視光をさらに走査し、
前記4以上の特徴点は、前記可視光を走査することにより形成される投影像であり、
前記形成処理は、前記4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含み、
前記カメラは、前記4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成される毎に前記第2ワークを撮像することにより、前記第2ワークの画像を特徴点の数だけ取得する、請求項2に記載のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記第2特定部は、前記特徴点の数分の画像の同一の領域に前記4以上の特徴点がいずれも含まれない場合には、エラーを出力し、
前記同一の領域は、前記特徴点の数分の画像の各々を上下および左右にそれぞれ2分割することにより得られる4つの領域のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載のレーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-36840号公報(特許文献1)は、ワークの撮像画像を基に基準位置とのずれ量を算出し、当該ずれ量に基づいて印字位置を補正するレーザ印字装置を開示する。
【0003】
特開2021-87967号公報(特許文献2)は、加工痕が形成されたダミーウエーハを撮像し、撮像画像から特定される加工痕の座標に基づいて、レーザ光の目標照射位置の座標を補正すレーザ加工装置を開示する。
【0004】
特許第6795060号公報(特許文献3)および特許第6939955号公報(特許文献4)は、ワークの設置位置に応じて、レーザ加工位置(以下、「印字位置」とも称する)を補正するレーザ加工システムを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-36840号公報
【特許文献2】特開2021-87967号公報
【特許文献3】特許第6795060号公報
【特許文献4】特許第6939955号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“射影変換の導出式”、[online]、[2022年3月11日検索]、インターネット(URL:https://fermiumbay13.hatenablog.com/entry/2018/08/14/032643)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2016-36840号公報に開示のレーザ印字装置では、レーザ光の光軸とカメラに含まれるレンズの光軸とが同軸となるように、カメラが設けられている。このような場合には、カメラとハーフミラーとの位置調整が重要となる。そのため、通常は、カメラはハーフミラーとの位置調整がされたうえで、レーザ印字装置に内蔵される。そのため、カメラを取り外すことができない。
【0008】
特開2021-87967号公報に開示のレーザ加工装置は、加工痕が形成されたダミーウエーハを撮像する際には、移動手段によってダミーウエーハを移動させて加工痕にカメラを位置づける。すなわち、レーザ印字のタイミングと撮像のタイミングとで、ダミーウエーハに対するレーザ加工装置のカメラの相対位置を変える必要がある。そのため、特開2021-87967号公報に開示のレーザ加工装置は、移動手段を有する大がかりな装置となるとともに、業務効率が低下する可能性がある。
【0009】
特許第6795060号公報および特許第6939955号公報に開示の技術によれば、ユーザは、表示装置の表示画面に映し出される印字イメージを見ながら、レーザマーカの座標系での座標とカメラの座標系での座標とを合わせる必要がある。このような、レーザマーカの座標系での座標とカメラの座標系での座標とを合わせる作業はユーザにとって手間である。
【0010】
本開示の目的は、ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要な、ユーザにとってより使い勝手のよいレーザ加工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある局面に従うレーザ加工システムは、レーザ光を用いて印字対象である第1ワークの表面に印字を行うレーザマーカと、第1ワークを撮像するカメラと、カメラにより撮像された画像を処理する画像処理機器とを備える。画像処理機器は、カメラにより撮像された第1ワークの画像から第1ワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置をカメラの第1座標系で特定する第1特定部を含む。レーザマーカは、印字位置の第1座標系での座標を取得する第1取得部と、第1座標系からレーザマーカの第2座標系への変換のためのパラメータを用いて、印字位置の座標を第1座標系から第2座標系へ変換する変換部と、変換後の第2座標系での座標に基づいてレーザ光を走査して、第1ワークの表面に印字を行うレーザヘッドとを含む。レーザヘッドは、第2座標系での座標が予め定められたキャリブレーション用のパターンをキャリブレーション用の第2ワークの表面に形成する形成処理をさらに行う。カメラは、キャリブレーション用のパターンが形成された第2ワークをさらに撮像する。画像処理機器は、カメラにより撮像された第2ワークの画像からキャリブレーション用のパターンの第1座標系での座標を特定する第2特定部をさらに含む。レーザマーカは、キャリブレーション用のパターンの第1座標系での座標を取得する第2取得部と、キャリブレーション用のパターンの第1座標系での座標と、キャリブレーション用のパターンの第2座標系での座標とを基に、パラメータを算出する算出部とをさらに含む。レーザ光の光軸とカメラに含まれるレンズの光軸とは同軸ではない。レーザヘッドがレーザ光を走査可能な印字領域はカメラの撮像領域に含まれる。
【0012】
これにより、ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要な、ユーザにとってより使い勝手のよいレーザ加工システムを提供することができる。
【0013】
上述の開示において、好ましくは、キャリブレーション用のパターンは、4以上の特徴点を示す。
【0014】
これにより、第1座標系から第2座標系への変換のためのパラメータを算出することができる。
【0015】
上述の開示において、好ましくは、形成処理は、レーザ光を走査して、第2ワークの表面に4以上の特徴点を印字することを含む。
【0016】
これにより、レーザマーカの印字機能を用いることでキャリブレーション用のパターンを形成することができることから、キャリブレーション用のパターンの形成用に別途装置を設ける必要がない。
【0017】
上述の開示において、好ましくは、レーザヘッドは、可視光をさらに走査する。4以上の特徴点は、可視光を走査することにより形成される投影像である。形成処理は、4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含む。カメラの露光時間は、4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成されてから残りの特徴点の全ての形成が終了するまでの時間以上である。
【0018】
これにより、キャリブレーション用のパターンが第2ワークの表面に印字されないことから、第2ワークを再利用することができる。その結果、第2ワークの廃棄数を抑えることができる。
【0019】
上述の開示において、好ましくは、第2特定部は、カメラにより撮像された第2ワークの画像を上下および左右にそれぞれ2分割することにより、当該画像を4つの部分画像に分割する。第2特定部は、4つの部分画像の少なくとも1つが4以上の特徴点のいずれも含んでいない場合には、エラーを出力する。
【0020】
これにより、ユーザは、カメラにより撮像された第2ワークの画像が上記パラメータの算出に適していないことを知ることができる。
【0021】
上述の開示において、好ましくは、レーザヘッドは、可視光をさらに走査する。4以上の特徴点は、可視光を走査することにより形成される投影像である。形成処理は、4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含む。カメラは、4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成される毎に第2ワークを撮像することにより、第2ワークの画像を特徴点の数だけ取得する。
【0022】
これにより、キャリブレーション用のパターンが第2ワークの表面に印字されないことから、第2ワークを再利用することができる。その結果、第2ワークの廃棄数を抑えることができる。
【0023】
上述の開示において、好ましくは、第2特定部は、特徴点の数分の画像の同一の領域に4以上の特徴点がいずれも含まれない場合には、エラーを出力する。同一の領域は、特徴点の数分の画像の各々を上下および左右にそれぞれ2分割することにより得られる4つの領域のうちの少なくとも1つである。
【0024】
これにより、ユーザは、カメラにより撮像された第2ワークの画像が上記パラメータの算出に適していないことを知ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要な、ユーザにとってより使い勝手のよいレーザ加工システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施の形態におけるレーザ加工システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施の形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施の形態における、レーザヘッド、および、観察光学系の構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態における画像処理機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態におけるレーザ加工システムによる印字処理の概要を説明するための図である。
【
図6】キャリブレーション用のパターンが形成されたワークを真上から見た図である。
【
図7】キャリブレーション用のパターン情報の一例を示す図である。
【
図8】キャリブレーション用のパターンの選択画面の一例を示す図である。
【
図9】算出部によるパラメータの算出方法を説明するための図である。
【
図11】印字開始位置を入力するための入力画面の一例を示す図である。
【
図12】本実施の形態におけるレーザ加工システムが実行するキャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本実施の形態におけるレーザ加工システムが実行する本加工の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0028】
[実施の形態]
<A.適用例>
主に、
図1を参照して、本開示の適用例について説明する。一例として、本開示は、レーザ加工システムに適用される。
図1は、本実施の形態におけるレーザ加工システムの概要を示す図である。
【0029】
図1を参照して、レーザ加工システム1は、レーザマーカ100と、設定装置300と、観察光学系としてのカメラ500と、画像処理機器600と、設定装置700とを備える。レーザマーカ100は、レーザ光を用いて印字対象であるワークWの表面にパターンを形成する。「形成」には、レーザ光をワークWの表面に照射して、当該ワークWの表面にパターンを印字することを含み、後述するガイド光をワークWの表面に照射して投影像を形成することをさらに含んでもよい。また、当該パターンは、文字、数字、マーク、および記号のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。以下では、ワークWの表面のうちパターンが形成される面を「加工面」とも称する。
【0030】
レーザマーカ100は、レーザヘッド10と、制御装置20とを備える。レーザヘッド10は、制御装置20の指示に従って、レーザ光LaをステージSTに設置されているワークWの加工面2に照射する。これにより、ワークWの表面が加工され、ユーザにより指定されたパターンがワークWの表面に印字される。
【0031】
設定装置300は、入力装置301と、表示装置302とを備える。入力装置301は、たとえば、キーボード、マウス、およびタッチパネル等を含む。表示装置302は、たとえばディスプレイである。設定装置300は、レーザマーカ100の各種設定を行う。設定装置300は、本加工用の印字パターン、および、後述のキャリブレーション工程で使用されるキャリブレーション用のパターン等を受け付ける。カメラ500は、ワークWの加工面2に対して斜め方向からワークWを撮像し、ワークWの加工面2を含む画像(以下、単に「ワークの画像」とも称する)を取得する。レーザヘッド10がレーザ光Laを走査可能な印字領域はカメラ500の撮像領域Fvに含まれる。
【0032】
画像処理機器600は、カメラに500により撮像された画像を処理する。設定装置700は、入力装置701と、表示装置702とを備える。入力装置701は、たとえば、キーボード、マウス、およびタッチパネル等を含む。表示装置702は、たとえばディスプレイである。設定装置700は、画像処理機器600の各種設定を行う。設定装置700は、本加工用の印字パターンの印字開始位置を受け付ける。
【0033】
<B.制御装置20のハードウェア構成>
図2は、本実施の形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置20は、プロセッサ21と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)23と、記憶装置24と、レーザヘッドインターフェイス25と、入力インターフェイス26と、表示インターフェイス27と、通信インターフェイス28と、メモリーカードインターフェイス29とを含む。プロセッサ21と、RAM22と、ROM23と、記憶装置24と、レーザヘッドインターフェイス25と、入力インターフェイス26と、表示インターフェイス27と、通信インターフェイス28と、メモリーカードインターフェイス29とは、内部バス299を介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
プロセッサ21は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0035】
プロセッサ21は、記憶装置24に格納されているプログラム241をRAM22に展開して実行することで、本実施の形態に従う各種処理を実現する。RAM22は、揮発性メモリーにより構成され、プロセッサ21によるプログラム241の実行に必要なワークメモリとして機能する。ROM23は、プロセッサ21により実行されるOS(Operating System)などのプログラムを格納する。
【0036】
記憶装置24は、不揮発性メモリーによって構成される。または、記憶装置24は、たとえば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などであってもよく、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置24は、本実施の形態に従う各種の処理を実現するためのプログラム241や各種データ(たとえば、キャリブレーション用のパターン情報242等)を格納する。
【0037】
レーザヘッドインターフェイス25は、レーザヘッド10と接続されており、プロセッサ21からの内部コマンドに従って、レーザ光の照射および走査を指示するための信号と、後述するガイド光の照射および走査を指示するための信号とをレーザヘッド10へ出力する。
【0038】
入力インターフェイス26は、プロセッサ21と入力装置301との間のデータ伝送を仲介する。入力インターフェイス26は、ユーザが入力装置301を操作することで与えられる操作指令を受け付ける。
【0039】
表示インターフェイス27は、表示装置302と接続されており、プロセッサ21からの内部コマンドに従って、各種の情報を表示するための信号を表示装置302へ出力する。
【0040】
通信インターフェイス28は、制御装置20と画像処理機器600との間のデータ伝送を仲介する。一例として、制御装置20は、通信インターフェイス28を介して、画像処理機器600からカメラ500によって撮像された画像のカメラ500の座標系での座標を取得する。
【0041】
プログラム241は、メモリーカード29Aなどの記憶媒体に格納されて提供される。プログラム241は、メモリーカードインターフェイス29により、メモリーカード29Aから読み出されて制御装置20にインストールされる。
【0042】
プログラム241は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御装置20の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム241によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0043】
また、メモリーカード29Aに格納されたプログラム241を制御装置20にインストールする形態に代えて、配信サーバーなどからダウンロードしたプログラムを制御装置20にインストールしてもよい。
【0044】
<C.レーザヘッド10、および、観察光学系の構成>
図3は、本実施の形態における、レーザヘッド、および、観察光学系の構成の一例を示す図である。
【0045】
(c1:レーザヘッド10の構成)
レーザヘッド10は、レーザ発振器11と、ガイド光用のLD(Laser Diode)12と、ダイクロイックミラー13と、3D(three-dimensional)光学系14と、ミラー15と、ガルバノミラー16とを含む。
【0046】
レーザ発振器11は、制御装置20の指示に従って、レーザ光を出力する。ガイド光用のLD12は、制御装置20の指示に従って、補助光(以下、「ガイド光」とも称する)を出力する。ガイド光には、可視光が用いられる。ダイクロイックミラー13は、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過させる光学素子である。本実施の形態では、ダイクロイックミラー13は、レーザ発振器11から出力されたレーザ光を透過させ、ガイド光用のLD12から出力されたガイド光を反射し、レーザ光およびガイド光を同軸でミラー15へと誘導する。
【0047】
ミラー15は、レーザ光およびガイド光を反射し、レーザ光およびガイド光を同軸でガルバノミラー16へと誘導する。ガルバノミラー16は図示しないステッピングモータによって駆動する。ステッピングモータが制御装置20の指示に従って駆動することにより、ガルバノミラー16はレーザ発振器11から出力されたレーザ光、および、ガイド光用のLD12から出力されたガイド光を、ワークWの加工面2において走査する。すなわち、ガルバノミラー16がステッピングモータによって駆動することにより、レーザ光およびガイド光がワークWの加工面2における所望の位置へ照射される。
【0048】
本実施の形態では、レーザヘッド10は、ワークWの加工面2に対して直上からレーザ光およびガイド光を照射するように配置されている。すなわち、レーザヘッド10は、レーザヘッド10から照射されるレーザ光およびガイド光の光軸OP1がワークWの加工面2に対して略垂直となるように配置されている。レーザ光およびガイド光がレーザヘッド10によって走査されることにより、光軸OP1がワークWの加工面2に対して傾くことから、レーザ光およびガイド光が加工面2の所望の位置へ照射される。
【0049】
これにより、レーザヘッド10は、レーザ光によってワークWの表面に所望のパターンを印字することができる。また、レーザヘッド10は、レーザ光と同軸でガイド光をワークWの加工面2に照射することにより、ワークWの表面に所望のパターンの投影像を形成することができる。
【0050】
(c2:観察光学系の構成)
観察光学系525は、レーザヘッド10によってレーザ光が照射されるワークWの加工面2を含むワークWの画像を取得するカメラ500と、ミラー505とを含む。カメラ500は、ミラー505を介して、ワークの画像を取得し、当該ワークの画像を画像処理機器600へ送信する。
【0051】
カメラ500は、レーザヘッド10に対し取り外し可能に取り付けられている。これにより、ユーザはワークや加工パターンに合わせてカメラ500の種類を変更することができる。ユーザがカメラ500を取り外しし易く、かつ、レーザヘッド10から出射されるレーザ光を遮らないように、カメラ500の取付位置はレーザヘッド10の下面であって、レーザ光の出射口17と重ならない位置に設けられる。このようなカメラ500の取付位置により、カメラ500に含まれるレンズ501の光軸OP2は、ワークWの加工面2と直交しない。そのため、カメラ500によって取得されるワークの画像は歪んで見える。たとえば、ワークWの加工面2に正方形の4つの頂点が印字されている場合には、カメラ500によって取得されたワークの画像では、当該4つの頂点は台形の4つの頂点のように見える。
【0052】
また、このようなカメラ500の取付位置により、レーザ光の光軸OP1とカメラ500に含まれるレンズ501の光軸OP2とは同軸ではない。レーザ光の光軸OP1は、加工を行っていない状態では、レーザマーカ100の座標系(「第2座標系」に相当)の原点を向くように設定されている。これに対し、カメラ500の座標系(「第1座標系」に相当)の原点は、取得したワークの画像の左下となるように設定されている。また、レーザマーカ100の座標系とカメラ500の座標系とでは、1目盛りの値が一致していない。したがって、レーザ加工システム1において、レーザマーカ100の座標系での座標とカメラ500の座標系での座標とは一致していない。
【0053】
<D.画像処理機器600のハードウェア構成>
図4は、本実施の形態における画像処理機器のハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理機器600は、プロセッサ601と、RAM602と、ROM603と、記憶装置604と、カメラインターフェイス605と、入力インターフェイス606と、表示インターフェイス607と、通信インターフェイス608と、メモリーカードインターフェイス609とを含む。プロセッサ601と、RAM602と、ROM603と、記憶装置604と、カメラインターフェイス605と、入力インターフェイス606と、表示インターフェイス607と、通信インターフェイス608と、メモリーカードインターフェイス609とは、内部バス6999を介して互いに通信可能に接続されている。
【0054】
プロセッサ601は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0055】
プロセッサ601は、記憶装置604に格納されているプログラム641をRAM602に展開して実行することで、本実施の形態に従う各種処理を実現する。RAM602は、揮発性メモリーにより構成され、プロセッサ601によるプログラム641の実行に必要なワークメモリとして機能する。ROM603は、プロセッサ601により実行されるOSなどのプログラムを格納する。
【0056】
記憶装置604は、不揮発性メモリーによって構成される。または、記憶装置604は、たとえば、ハードディスク、SSDなどであってもよく、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置604は、本実施の形態に従う各種の処理を実現するためのプログラム641等を格納する。
【0057】
カメラインターフェイス605は、プロセッサ601とカメラ500との間のデータ伝送を仲介する。より具体的には、プロセッサ601からカメラインターフェイス605を介してカメラ500に撮像指示が出力される。カメラインターフェイス605は、カメラ500から受信した画像をプロセッサ601に出力する。
【0058】
入力インターフェイス606は、プロセッサ601と入力装置701との間のデータ伝送を仲介する。入力インターフェイス606は、ユーザが入力装置701を操作することで与えられる操作指令を受け付ける。
【0059】
表示インターフェイス607は、表示装置702と接続されており、プロセッサ601からの内部コマンドに従って、各種の情報を表示するための信号を表示装置702へ出力する。
【0060】
通信インターフェイス608は、画像処理機器600と制御装置20との間のデータ伝送を仲介する。一例として、画像処理機器600は、カメラ500から取得した画像のカメラ500の座標系での座標を通信インターフェイス608を介して制御装置20へ送信する。
【0061】
プログラム641は、メモリーカード29Aなどの記憶媒体に格納されて提供される。プログラム641は、メモリーカードインターフェイス609により、メモリーカード29Aから読み出されて画像処理機器600にインストールされる。
【0062】
プログラム641は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う画像処理機器600の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム641によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0063】
また、メモリーカード29Aに格納されたプログラム641を画像処理機器600にインストールする形態に代えて、配信サーバーなどからダウンロードしたプログラムを画像処理機器600にインストールしてもよい。
【0064】
<E.印字処理の概要>
図5~
図11を参照して、本実施の形態におけるレーザ加工システム1による印字処理の概要について説明する。
【0065】
図5は、本実施の形態におけるレーザ加工システムによる印字処理の概要を説明するための図である。
図5に示す、第1特定部652、第2特定部650、および第2登録部651は、プロセッサ601がプログラム641を実行することにより実現される。また、
図5に示す、受付部151、第1登録部150、第1取得部154、変換部155、第2取得部152、および算出部153は、プロセッサ21がプログラム241を実行することにより実現される。
【0066】
レーザ加工システム1で行われる印字処理は、4つの処理を含む。第1処理は、カメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するためのパラメータ(以下、単に「パラメータ」とも称する)を算出するキャリブレーション処理である。第2処理は、本加工用のパターン情報を登録する加工パターン登録処理である。第3処理は、ティーチング情報を登録するティーチング処理である。第4処理は、本加工用の印字パターンを本加工用のワーク(「第1ワーク」に相当)に印字する本加工の処理である。
【0067】
(e1:キャリブレーション処理)
キャリブレーション処理について説明する。キャリブレーション処理においては、まず、ユーザの選択操作に従って、レーザヘッド10による形成処理が行われる。形成処理とは、レーザマーカ100の座標系での座標が予め定められたキャリブレーション用のパターンを、ステージSTに設置されているキャリブレーション用のワーク(「第2ワーク」に相当)の表面に視認可能なように形成することである。
【0068】
キャリブレーション用のワークは、レーザヘッド10に対する距離が本加工用のワークと同じになるように配置される。キャリブレーション用のパターンは、4以上の特徴点を示す。本実施の形態においては、キャリブレーション用のパターンとして、正方形の4つの頂点を採用する。制御装置20の記憶装置24には、キャリブレーション用のパターンとして、互いに正方形の1辺の長さが異なる複数のパターンが保存されている。詳細には、キャリブレーション用のパターン情報242(
図2参照)として、キャリブレーション用の各パターンを示すレーザマーカ100の座標系での座標が制御装置20の記憶装置24に保存されている。ユーザは、設定装置300に表示される選択画面上で、キャリブレーション用の複数のパターンの中から一のパターンを選択する。
【0069】
ここで、
図6~
図8を参照して、キャリブレーション用のパターンの一例、キャリブレーション用のパターン情報242の一例、および、ユーザによるキャリブレーション用のパターンの選択方法の一例について説明する。
図6は、キャリブレーション用のパターンが形成されたワークを真上から見た図である。
図7は、キャリブレーション用のパターン情報の一例を示す図である。
図8は、キャリブレーション用のパターンの選択画面の一例を示す図である。
【0070】
図6を参照して、キャリブレーション用のパターンは、正方形の4つの頂点を示す。具体的には、正方形の4つの頂点とは、点P1、点P2、点P3、および点P4である。これら4つの点のレーザマーカ100の座標系での座標がキャリブレーション用のパターン情報242として、記憶装置24に保存されている。
【0071】
図6に示す例では、点P1の座標は(80,-80)であり、点P2の座標は(-80,-80)であり、点P3の座標は(-80,80)であり、点P4の座標は(80,80)である。また、レーザマーカ100の座標系の1目盛りは1ミリメートルに設定されている。したがって、
図6に示す例では、点P1、点P2、点P3、および点P4を頂点とする正方形の1辺の長さLは、160ミリメートルである。
【0072】
図7を参照して、テーブルTBは、キャリブレーション用のパターン情報242の一例である。
図7に示す例では、キャリブレーション用のパターンとして、4つのパターンが記憶装置24に保存されている。第1のパターンは、1辺の長さLが10ミリメートルの正方形の4つの頂点を示すパターンである。第2のパターンは、1辺の長さLが30ミリメートルの正方形の4つの頂点を示すパターンである。第3のパターンは、1辺の長さLが90ミリメートルの正方形の4つの頂点を示すパターンである。第4のパターンは、1辺の長さLが160ミリメートルの正方形の4つの頂点を示すパターンである。
【0073】
図8を参照して、選択画面G2は、ユーザがキャリブレーション用のパターンを選択するための画面であり、設定装置300の表示装置302に表示される。選択画面G2は、キャリブレーション用のパターンを識別する情報を含む。
図8に示す例では、キャリブレーション用のパターンを識別する情報は、当該キャリブレーション用のパターンが示す4つの点を頂点とする正方形の1辺の長さである。ユーザは、本加工の印字領域に応じて、キャリブレーション用の複数のパターンの中から一のパターンを選択する。これにより、ユーザにより選択されたキャリブレーション用のパターンがレーザマーカ100に入力される。
【0074】
再び、
図5を参照して、受付部151は、ユーザが選択画面G2上で選択したキャリブレーション用のパターンを受け付ける。受付部151は、受け付けたキャリブレーション用のパターンで形成処理を行うように、レーザヘッド10に対し指示する。レーザヘッド10は、当該指示を受けて、形成処理として、受付部151によって受け付けられたキャリブレーション用のパターンを、キャリブレーション用のワークの表面に形成する。詳細には、レーザヘッド10は、レーザ光を走査して、キャリブレーション用のワークの表面に4つの頂点を印字する。
【0075】
次いで、カメラ500は、キャリブレーション用のパターンが形成された、キャリブレーション用のワークを撮像する。カメラ500は、キャリブレーション用のワークの画像を画像処理機器600へ送信する。
【0076】
第2特定部650は、カメラ500からキャリブレーション用のワークの画像を取得する。第2特定部650は、カメラ500から取得したキャリブレーション用のワークの画像からキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を特定する。第2特定部650は、特定した座標をレーザマーカ100へ送信する。
【0077】
第2取得部152は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を取得する。一例として、第2取得部152は、画像処理機器600からキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を受信する。算出部153は、画像処理機器600から取得されたキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標と、キャリブレーション用のパターンのレーザマーカ100の座標系での座標とに基づいて、カメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するためのパラメータを算出する。算出部153は、算出したパラメータを記憶装置24に保存する。これにより、キャリブレーション処理が完了する。
【0078】
なお、第2特定部650は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標をメモリーカード29A(
図2および
図4参照)に保存してもよい。その場合には、第2取得部152は、メモリーカード29Aからキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を取得する。
【0079】
また、第2特定部650は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を表示装置702に表示してもよい。その場合には、ユーザは、表示装置702に表示されたキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を、入力装置301を用いてレーザマーカ100に入力する。そして、第2取得部152は、入力されたキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を受け付ける。
【0080】
ここで、
図9を参照して、算出部153によるパラメータの算出方法について説明する。
図9は、算出部によるパラメータの算出方法を説明するための図である。
【0081】
図9に示す画像I2は、カメラ500により撮像されたキャリブレーション用のワークの画像の一例である。
図9に示す点P1、点P2、点P3、および点P4は、キャリブレーション処理において、キャリブレーション用のワークに形成されたキャリブレーション用のパターンの一例である。
【0082】
算出部153により算出されるパラメータには、カメラ500の座標系での座標を正規座標に変換するための第1のパラメータと、正規座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するための第2のパラメータとを含む。正規座標は、点P1、点P2、点P3、および点P4の各点が写っている画素の射影変換後の座標である。本実施の形態においては、点P1、点P2、点P3、および点P4の各点の正規座標として、(1,0)、(0,0)、(0,1)、および(1,1)を割り当てるものとする。
【0083】
画像I2において任意の点Pが写っている画素のカメラ500の座標系での座標(x,y)は、以下の式1、式2、式3、および式4を用いることにより、レーザマーカ100の座標系での座標(x’’,y’’)に変換されることができる。式1および式2は、画像I2において任意の点Pが写っている画素のカメラ500の座標系での座標(x,y)を正規座標(x’,y’)に変換するための式である。式3および式4は、任意の点Pの正規座標(x’,y’)をレーザマーカ100の座標系での座標(x’’,y’’)に変換するための式である。式1および式2における「a」~「h」は変数を示す。また、式3および式4における「L」は、点P1、点P2、点P3、および点P4を頂点とする正方形の1辺の長さ(ミリメートル)を示す。
【0084】
x’=(ax+by+c)/(gx+hy+1)・・・(式1)
y’=(dx+ey+f)/(gx+hy+1)・・・(式2)
x’’=x’L-L/2・・・(式3)
y’’=y’L-L/2・・・(式4)
【0085】
図9に示す例では、画像I2において点P1が写っている画素のカメラ500の座標系での座標は(x1,y1)であり、画像I2において点P2が写っている画素のカメラ500の座標系での座標は(x2,y2)であり、画像I2において点P3が写っている画素のカメラ500の座標系での座標は(x3,y3)であり、画像I2において点P4が写っている画素のカメラ500の座標系での座標は(x4,y4)である。点P1、点P2、点P3、および点P4の各々が写っている画素のカメラ500の座標系での座標は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標として、第2取得部152(
図5参照)により取得される。
【0086】
また、点P1、点P2、点P3、および点P4の各々の正規座標は算出部153により割り当てられる。点P1、点P2、点P3、および点P4は正方形の4つの頂点であることから、
図9に示す例では、算出部153は、点P1が写っている画素の正規座標として(1,0)を割り当て、点P2が写っている画素の正規座標として(0,0)を割り当て、点P3が写っている画素の正規座標として(0,1)を割り当て、点P4が写っている画素の正規座標として(1,1)を割り当てる。
【0087】
算出部153は、点P1、点P2、点P3、および点P4について、式1および式2を解くことにより、式1および式2における変数a~hの値を算出する。
【0088】
詳細には、算出部153は、式1および式2における「x」、「y」、「x’」、および「y’」にそれぞれ、画像I2において点P1が写っている画素のカメラ500の座標系でのx座標「x1」、画像I2において点P1が写っている画素のカメラ500の座標系でのy座標「y1」、点P1が写っている画素のx座標の正規座標「1」、および点P1が写っている画素のy座標の正規座標「0」を代入することにより、点P1についての式1および式2を取得する。
【0089】
また、算出部153は、式1および式2における「x」、「y」、「x’」、および「y’」にそれぞれ、画像I2において点P2が写っている画素のカメラ500の座標系でのx座標「x2」、画像I2において点P2が写っている画素のカメラ500の座標系でのy座標「y2」、点P2が写っている画素のx座標の正規座標「0」、および点P2が写っている画素のy座標の正規座標「0」を代入することにより、点P2についての式1および式2を取得する。
【0090】
また、算出部153は、式1および式2における「x」、「y」、「x’」、および「y’」にそれぞれ、画像I2において点P3が写っている画素のカメラ500の座標系でのx座標「x3」、画像I2において点P3が写っている画素のカメラ500の座標系でのy座標「y3」、点P3が写っている画素のx座標の正規座標「0」、および点P3が写っている画素のy座標の正規座標「1」を代入することにより、点P3についての式1および式2を取得する。
【0091】
また、算出部153は、式1および式2における「x」、「y」、「x’」、および「y’」にそれぞれ、画像I2において点P4が写っている画素のカメラ500の座標系でのx座標「x4」、画像I2において点P4が写っている画素のカメラ500の座標系でのy座標「y4」、点P4が写っている画素のx座標の正規座標「1」、および点P4が写っている画素のy座標の正規座標「1」を代入することにより、点P4についての式1および式2を取得する。
【0092】
算出部153は、取得した8個の式から8個の変数a~hの値を算出する。算出部153は、たとえば「“射影変換の導出式”、[online]、[2022年3月11日検索]、インターネット(URL:https://fermiumbay13.hatenablog.com/entry/2018/08/14/032643)」(非特許文献1)に記載の式を用いて変数a~hの値を算出することができる。
【0093】
算出部153は、算出した変数a~hの値と、式3および式4における「L」の値とを、カメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するためのパラメータとして、記憶装置24に保存する。式3および式4における「L」の値とは、受付部151(
図5参照)により受け付けられたキャリブレーション用のパターンの正方形の1辺の長さである。変数a~hの値は上述の第1のパラメータの一例であり、式3および式4における「L」の値は上述の第2のパラメータの一例である。
【0094】
(e2:加工パターン登録処理)
図5および
図10を参照して、加工パターン登録処理について説明する。加工パターン登録処理は、本加工用のパターン情報を登録する処理である。
【0095】
図5を参照して、加工パターン登録処理において、まず、ユーザは設定装置300を用いて、本加工用のパターン情報をレーザマーカ100に入力する。ここで、
図10を参照して、ユーザによる本加工用のパターン情報の入力方法について説明する。
図10は、エディタ画面の一例を示す図である。エディタ画面G1は、設定装置300の表示装置302に表示される。ユーザは、エディタ画面G1上で本加工用の印字パターンQを作成する。本加工用の印字パターンQは、レーザマーカ100に入力される本加工用のパターン情報の一例である。ユーザは、印字パターンQの作成後、エディタ画面G1上の登録ボタンを押す。これにより、本加工用のパターン情報がレーザマーカ100に入力される。
【0096】
再び
図5を参照して、第1登録部150は、入力された本加工用のパターン情報を受け付け、当該本加工用のパターン情報を記憶装置24に保存する。これにより、加工パターン登録処理が完了する。
【0097】
(e3:ティーチング処理)
図5および
図11を参照して、ティーチング処理について説明する。ティーチング処理は、ティーチング情報を登録する処理である。ティーチング情報とは、本加工の際の印字開始位置を示す情報である。
【0098】
ティーチング処理においては、まず、カメラ500が、ティーチング用のワークを撮像する。ティーチング用のワークとは、本加工用のワークと同一形状のワーク、もしくは、本加工が行われていない状態の本加工用のワークそのものである。ティーチング用のワークは、レーザヘッド10に対する距離が本加工用のワークと同じになるように配置される。カメラ500は、ティーチング用のワークの画像を画像処理機器600へ送信する。
【0099】
第2登録部651は、カメラ500からティーチング用のワークの画像を取得する。第2登録部651は、カメラ500から取得したティーチング用のワークの画像の表示を設定装置700の表示装置702に対し指示する。これにより、表示装置702に、カメラ500により撮像されたティーチング用のワークの画像が表示される。
【0100】
ここで、
図11を参照して、ユーザによる印字開始位置の入力方法について説明する。
図11は、印字開始位置を入力するための入力画面の一例を示す図である。入力画面G3は、設定装置700の表示装置702に表示される。入力画面G3には、カメラ500により撮像されたティーチング用のワークの画像I1が表示される。
【0101】
ユーザは、ティーチング用のワークの画像I1を見ながら、本加工用の印字パターンQを本加工用のワークのどこに印字するかを指定する。一例として、ユーザは、表示装置702に表示されるティーチング用のワークの画像I1上で、印字開始位置Rを指定する。これにより印字開始位置が画像処理機器600に入力される。
【0102】
ユーザにより印字開始位置Rが指定されると、第2登録部651(
図5参照)は、ティーチング用のワークの画像I1に写っているティーチング用のワークの特徴部分Eと、指定された印字開始位置Rとの相対座標をカメラ500の座標系で特定する。ワークの特徴部分Eとは、たとえば、ワークのエッジ部分である。ワークの特徴部分Eと指定された印字開始位置Rとの相対座標、および、ワークの特徴部分Eの画像は、本加工の際の印字開始位置を示す情報、すなわち、ティーチング情報の一例である。
【0103】
再び、
図5を参照して、第2登録部651は、ワークの特徴部分Eと指定された印字開始位置Rとの相対座標、および、ワークの特徴部分Eの画像を、ティーチング情報として記憶装置604に保存する。これにより、ティーチング処理が完了する。
【0104】
(e4:本加工の処理)
図5を参照して、本加工の処理について説明する。本加工の処理は、本加工用の印字パターンを本加工用のワークに印字する処理である。
【0105】
本加工の処理においては、まず、カメラ500が、本加工用のワークを撮像する。カメラ500は、本加工用のワークの画像を画像処理機器600へ送信する。
【0106】
第1特定部652は、カメラ500から本加工用のワークの画像を取得する。第1特定部652は、カメラ500から取得した本加工用のワークの画像から本加工用のワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置をカメラ500の座標系で特定する。詳細には、まず、第1特定部652は、カメラ500から取得した本加工用のワークの画像と、ティーチング処理において記憶装置604に保存された特徴部分Eの画像とを基に、特徴部分Eの座標をカメラ500の座標系で特定する。これにより、本加工用のワークの設置位置が認識される。次いで、第1特定部652は、特定した特徴部分Eの座標と、ティーチング処理において記憶装置604に保存された相対座標とを基に、本加工の際の印字開始位置をカメラ500の座標系で特定する。印字開始位置は「印字位置」の一例である。第1特定部652は、特定した座標、すなわち、本加工の際の印字開始位置のカメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100へ送信する。
【0107】
第1取得部154は、画像処理機器600から本加工の際の印字開始位置のカメラ500の座標系での座標を取得する。変換部155は、パラメータを用いて、本加工の際の印字開始位置の座標をカメラ500の座標系からレーザマーカ100の座標系へ変換する。詳細には、変換部155は、画像処理機器600から取得した印字開始位置のカメラ500の座標系での座標と、キャリブレーション処理において記憶装置24に保存されたパラメータとを上述の式1、式2、式3、および式4に代入して、上述の式1、式2、式3、および式4を解くことにより、本加工の際の印字開始位置のレーザマーカ100の座標系での座標を特定する。変換部155は、加工パターン登録処理において記憶装置24に保存された本加工用のパターン情報と、レーザマーカ100の座標系で特定された印字開始位置の座標とに基づいて本加工用の印字パターンを本加工用のワークの表面に印字するようにレーザヘッド10に対し指示する。レーザヘッド10は、当該指示を受けて、本加工用のパターン情報と、レーザマーカ100の座標系で特定された印字開始位置の座標とに基づいて、レーザ光を走査して、本加工用のワークの表面に印字を行う。これにより、本加工の処理が完了する。
【0108】
レーザ加工システム1においては、キャリブレーション用のワークのレーザヘッド10に対する距離と、ティーチング用のワークのレーザヘッド10に対する距離と、本加工用のワークのレーザヘッド10に対する距離とが互いに等しくなるように、キャリブレーション処理、ティーチング処理、および本加工の処理の各処理においてワークが配置される。
【0109】
<F.印字処理の手順>
(f1:キャリブレーション処理の手順)
図12は、本実施の形態におけるレーザ加工システムが実行するキャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1、ステップS2、ステップS6、およびステップS7は、レーザマーカ100のプロセッサ21がプログラム241を実行することで実現される。ステップS3~ステップS5は、画像処理機器600のプロセッサ601がプログラム641を実行することで実現される。
【0110】
ステップS1において、プロセッサ21は、キャリブレーション用のワークに形成する、キャリブレーション用のパターンを受け付ける。
【0111】
ステップS2において、プロセッサ21は、受け付けたキャリブレーション用のパターンをキャリブレーション用のワークに形成するように、レーザヘッド10に対し指示する。これにより、キャリブレーション用のワークにキャリブレーション用のパターンが形成される。その後、カメラ500により、キャリブレーション用のワークが撮像される。
【0112】
ステップS3において、プロセッサ601は、カメラ500からキャリブレーション用のワークの画像を受信する。
【0113】
ステップS4において、プロセッサ601は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を特定する。
【0114】
ステップS5において、プロセッサ601は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100に送信する。
【0115】
ステップS6において、プロセッサ21は、画像処理機器600からキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を受信する。
【0116】
ステップS7において、プロセッサ21は、受信したキャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標と、キャリブレーション用のパターンのレーザマーカ100の座標系での座標とに基づいて、カメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するためのパラメータを算出し、当該パラメータを記憶装置24に保存する。
【0117】
ステップS7の後、キャリブレーション処理が終了する。
【0118】
(f2:本加工の処理の手順)
図13は、本実施の形態におけるレーザ加工システムが実行する本加工の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS21~ステップS23は、画像処理機器600のプロセッサ601がプログラム641を実行することで実現される。ステップS24~ステップS26は、レーザマーカ100のプロセッサ21がプログラム241を実行することで実現される。
【0119】
ステップS21において、プロセッサ601は、カメラ500から本加工用のワークの画像を受信する。
【0120】
ステップS22において、プロセッサ601は、受信した本加工用のワークの画像から本加工用のワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置をカメラ500の座標系で特定する。印字位置は、少なくとも印字開始位置を含む。
【0121】
ステップS23において、プロセッサ601は、印字位置のカメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100に送信する。
【0122】
ステップS24において、プロセッサ21は、画像処理機器600から印字位置のカメラ500の座標系での座標を受信する。
【0123】
ステップS25において、プロセッサ21は、キャリブレーション処理において算出したパラメータを用いて、印字位置の座標をカメラ500の座標系からレーザマーカ100の座標系へ変換する。
【0124】
ステップS26において、プロセッサ21は、変換後のレーザマーカ100の座標系での座標に基づいて本加工用のワークに印字を行うように、レーザヘッド10に対し指示する。
【0125】
ステップS26の後、本加工の処理が終了する。
【0126】
<G.利点>
このように、レーザマーカ100は、キャリブレーション処理によりカメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するためのパラメータを算出する。また、画像処理機器600は、本加工用のワークの設置位置に基づいて印字位置を補正し、補正後の印字位置のカメラ500の座標系での座標を特定する。また、レーザマーカ100は、補正後の印字位置のカメラ500の座標系での座標を取得し、キャリブレーション処理により算出したパラメータを用いて、補正後の印字位置の座標をカメラ500の座標系からレーザマーカ100の座標系へ変換する。そのため、レーザ加工システム1によれば、ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要である。
【0127】
さらに、レーザ光の光軸とカメラ500に含まれるレンズ501の光軸とは同軸ではない。そのため、レーザ光の光軸とカメラ500に含まれるレンズ501の光軸とを同軸にするためのハーフミラーは不要であることから、当該ハーフミラーとカメラ500との位置調整もまた不要である。したがって、レーザ加工システム1によれば、カメラ500をレーザマーカ100に内蔵しておく必要が無いことから、カメラ500を取り外ししやすい。
【0128】
さらに、レーザヘッド10がレーザ光を走査可能な印字領域はカメラ500の撮像領域に含まれる。そのため、レーザ印字のタイミングと撮像のタイミングとで、ワークに対するカメラ500の相対位置を変える必要がない。したがって、レーザ加工システム1によれば、移動手段を有する大がかりな装置は不要であるとともに、業務効率が低下することを抑えることができる。
【0129】
したがって、レーザ加工システム1によれば、ユーザによるレーザマーカの座標系とカメラの座標系との座標合わせが不要な、ユーザにとってより使い勝手のよいレーザ加工システムを提供することができる。
【0130】
なお、上記においては、キャリブレーション用のパターンとして、正方形の4つの頂点を採用したが、これに限られない。キャリブレーション用のパターンは、4以上の特徴点を示していればよい。したがって、キャリブレーション用のパターンは長方形の4つの頂点を示していてもよいし、台形の4つの頂点を示していてもよいし、平行四辺形の4つの頂点を示していてもよいし、5角形の5つの頂点を示していてもよい。すなわち、キャリブレーション用のパターンは、n角形(nは4以上)の各頂点を示していてもよい。また、レーザヘッド10は、キャリブレーション用のパターンとして、4以上の特徴点を印字してもよいし、4以上の特徴点を頂点とする多角形を印字してもよい。4以上の特徴点の各々は、1つの点でもよいし、所定のマーク(たとえば、十字マーク等)でもよい。
【0131】
また、キャリブレーション用のパターンが5以上の特徴点を示す場合には、上述の第1のパラメータは、最小二乗法などを適用することにより算出することができる。
【0132】
また、第2特定部650は、カメラ500により取得されたキャリブレーション用のワークの画像にキャリブレーション用のパターンが適切に写っていない場合には、エラーを出力してもよい。カメラ500により取得されたキャリブレーション用のワークの画像にキャリブレーション用のパターンが適切に写っていない場合とは、たとえば、カメラ500により取得されたキャリブレーション用のワークの画像において、4以上の特徴点が近接して写っていたり、直線に近い状態で写っていたりする場合である。カメラ500により取得されたキャリブレーション用のワークの画像にキャリブレーション用のパターンが適切に写っていない場合には、算出部153は、カメラ500の座標系での座標をレーザマーカ100の座標系での座標に変換するための適切なパラメータを算出することができない。
【0133】
そこで、第2特定部650は、カメラ500により撮像されたキャリブレーション用のワークの画像を上下および左右にそれぞれ2分割することにより、キャリブレーション用のワークの画像を4つの部分画像に分割してもよい。そして、第2特定部650は、4つの部分画像の少なくとも1つが4以上の特徴点のいずれも含んでいない場合には、エラーを出力してもよい。一例として、第2特定部650は、表示装置702に対し、エラーの表示を指示する。他の例として、設定装置700がスピーカーを備える場合には、第2特定部650は、スピーカーに対し、エラー音の出力を指示する。他の例として、設定装置700がインジケータを備える場合には、第2特定部650は、インジケータに対し、エラーを示す色(たとえば、赤色)の点灯を指示する。
【0134】
これにより、ユーザは、カメラ500により撮像されたキャリブレーション用のワークの画像がパラメータの算出に適していないことを知ることができる。
【0135】
[変形例1]
変形例1におけるレーザ加工システムの構成は、上記実施の形態におけるレーザ加工システム1の構成と同様であることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。上記実施の形態においては、レーザヘッド10は、形成処理として、キャリブレーション用のワークの表面にレーザ光を照射して、キャリブレーション用のワークの表面に、レーザマーカ100の座標系での座標が予め定められた4以上の特徴点を印字した。これに対し、変形例1におけるレーザヘッド10は、形成処理として、キャリブレーション用のワークの表面に可視光を照射して、キャリブレーション用のワークの表面に、レーザマーカ100の座標系での座標が予め定められた4以上の特徴点を示す投影像を形成する。
【0136】
すなわち、変形例1における4以上の特徴点は、可視光を走査することにより形成される投影像である。可視光は、ガイド光用のLD12から出力される。レーザヘッド10は、形成処理として、4以上の特徴点を1つずつ順に形成する。カメラ500がキャリブレーション用のワークを撮像する際には、カメラ500の露光時間は、4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成されてから残りの特徴点の全ての形成が終了するまでの時間以上に設定される。
【0137】
なお、変形例1においても、第2特定部650は、カメラ500により取得されたキャリブレーション用のワークの画像にキャリブレーション用のパターンが適切に写っていない場合には、エラーを出力してもよい。詳細には、第2特定部650は、カメラ500により撮像されたキャリブレーション用のワークの画像を上下および左右にそれぞれ2分割することにより、キャリブレーション用のワークの画像を4つの部分画像に分割してもよい。そして、第2特定部650は、4つの部分画像の少なくとも1つが4以上の特徴点のいずれも含んでいない場合には、エラーを出力してもよい。
【0138】
[変形例2]
変形例2におけるレーザ加工システムの構成は、上記実施の形態におけるレーザ加工システム1の構成と同様であることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。上記実施の形態においては、レーザヘッド10は、形成処理として、キャリブレーション用のワークの表面にレーザ光を照射して、キャリブレーション用のワークの表面に、レーザマーカ100の座標系での座標が予め定められた4以上の特徴点を印字した。これに対し、変形例2におけるレーザヘッド10は、変形例1と同様に、形成処理として、キャリブレーション用のワークの表面に可視光を照射して、キャリブレーション用のワークの表面に、レーザマーカ100の座標系での座標が予め定められた4以上の特徴点を示す投影像を形成する。
【0139】
すなわち、変形例2における4以上の特徴点は、可視光を走査することにより形成される投影像である。可視光は、ガイド光用のLD12から出力される。レーザヘッド10は、形成処理として、4以上の特徴点を1つずつ順に形成する。変形例1と変形例2との違いは、カメラ500によるキャリブレーション用のワークの撮像の仕方である。詳細には、カメラ500は、4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成される毎にキャリブレーション用のワークを撮像することにより、キャリブレーション用のワークの画像を特徴点の数だけ取得する。
【0140】
なお、変形例2においても、第2特定部650は、キャリブレーション用のワークの画像、すなわち、特徴点の数分の画像にキャリブレーション用のパターンが適切に写っていない場合には、エラーを出力してもよい。詳細には、第2特定部650は、特徴点の数分の画像の同一の領域に4以上の特徴点がいずれも含まれない場合には、エラーを出力してもよい。同一の領域とは、特徴点の数分の画像の各々を上下および左右にそれぞれ2分割することにより得られる4つの領域のうちの少なくとも1つである。
【0141】
[変形例3]
上記実施の形態においては、レーザマーカ100用の設定装置と、画像処理機器600用の設定装置とは、別個に設けられていた。これに対し、変形例3においては、レーザマーカ100と、画像処理機器600とで1台の設定装置を共用する。変形例3におけるレーザ加工システムの構成は、レーザマーカ100と、画像処理機器600とで1台の設定装置を共用する点を除き、上記実施の形態と同様であることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0142】
[変形例4]
変形例4におけるレーザ加工システムの構成は、上記実施の形態におけるレーザ加工システム1の構成と同様であることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。上記実施の形態においては、キャリブレーション用のワークは、レーザヘッド10に対する距離が本加工用のワークと同じになるように配置されていた。これに対し、変形例4においては、キャリブレーション用のワークは、レーザヘッド10に対する距離が本加工用のワークと異なるように配置される。すなわち、変形例4においては、キャリブレーション用のワークのレーザヘッド10に対する距離と、本加工用のワークのレーザヘッド10に対する距離とが異なる。変形例4においては、第2特定部650は、キャリブレーション用のパターンのカメラ500の座標系での座標を、キャリブレーション用のワークのレーザヘッド10に対する距離と、本加工用のワークのレーザヘッド10に対する距離とに応じて補正する。
【0143】
[その他の変形例]
変形例1と変形例3とを組み合わせてもよい。変形例1と変形例4とを組み合わせてもよい。変形例1と変形例3と変形例4とを組み合わせてもよい。変形例2と変形例3とを組み合わせてもよい。変形例2と変形例4とを組み合わせてもよい。変形例2と変形例3と変形例4とを組み合わせてもよい。
【0144】
[付記]
上述した実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0145】
[構成1]
レーザ加工システム(1)であって、
レーザ光を用いて印字対象である第1ワークの表面に印字を行うレーザマーカ(100)と、
前記第1ワークを撮像するカメラ(500)と、
前記カメラ(500)により撮像された画像を処理する画像処理機器(600)とを備え、
前記画像処理機器(600)は、前記カメラ(500)により撮像された前記第1ワークの画像から前記第1ワークの設置位置を認識し、当該設置位置に基づいて印字位置を前記カメラ(500)の第1座標系で特定する第1特定部(652)を含み、
前記レーザマーカ(100)は、
前記印字位置の前記第1座標系での座標を取得する第1取得部(154)と、
前記第1座標系から前記レーザマーカ(100)の第2座標系への変換のためのパラメータを用いて、前記印字位置の座標を前記第1座標系から前記第2座標系へ変換する変換部(155)と、
変換後の前記第2座標系での座標に基づいて前記レーザ光を走査して、前記第1ワークの前記表面に前記印字を行うレーザヘッド(10)とを含み、
前記レーザヘッド(10)は、前記第2座標系での座標が予め定められたキャリブレーション用のパターンをキャリブレーション用の第2ワークの表面に形成する形成処理をさらに行い、
前記カメラ(500)は、前記パターンが形成された前記第2ワークをさらに撮像し、
前記画像処理機器(600)は、前記カメラ(500)により撮像された前記第2ワークの画像から前記パターンの前記第1座標系での座標を特定する第2特定部(650)をさらに含み、
前記レーザマーカ(100)は、
前記パターンの前記第1座標系での座標を取得する第2取得部(152)と、
前記パターンの前記第1座標系での座標と、前記パターンの前記第2座標系での座標とを基に、前記パラメータを算出する算出部(153)とをさらに含み、
前記レーザ光の光軸と前記カメラ(500)に含まれるレンズ(501)の光軸とは同軸ではなく、
前記レーザヘッド(10)が前記レーザ光を走査可能な印字領域は前記カメラ(500)の撮像領域に含まれる、レーザ加工システム。
【0146】
[構成2]
前記パターンは、4以上の特徴点を示す、構成1に記載のレーザ加工システム。
【0147】
[構成3]
前記形成処理は、前記レーザ光を走査して、前記第2ワークの前記表面に前記4以上の特徴点を印字することを含む、構成2に記載のレーザ加工システム。
【0148】
[構成4]
前記レーザヘッド(10)は、可視光をさらに走査し、
前記4以上の特徴点は、前記可視光を走査することにより形成される投影像であり、
前記形成処理は、前記4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含み、
前記カメラ(500)の露光時間は、前記4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成されてから残りの特徴点の全ての形成が終了するまでの時間以上である、構成2に記載のレーザ加工システム。
【0149】
[構成5]
前記第2特定部(650)は、
前記カメラ(500)により撮像された前記第2ワークの画像を上下および左右にそれぞれ2分割することにより、当該画像を4つの部分画像に分割し、
前記4つの部分画像の少なくとも1つが前記4以上の特徴点のいずれも含んでいない場合には、エラーを出力する、構成3または4に記載のレーザ加工システム。
【0150】
[構成6]
前記レーザヘッド(10)は、可視光をさらに走査し、
前記4以上の特徴点は、前記可視光を走査することにより形成される投影像であり、
前記形成処理は、前記4以上の特徴点を1つずつ順に形成することを含み、
前記カメラ(500)は、前記4以上の特徴点のうち一の特徴点が形成される毎に前記第2ワークを撮像することにより、前記第2ワークの画像を特徴点の数だけ取得する、構成2に記載のレーザ加工システム。
【0151】
[構成7]
前記第2特定部(650)は、前記特徴点の数分の画像の同一の領域に前記4以上の特徴点がいずれも含まれない場合には、エラーを出力し、
前記同一の領域は、前記特徴点の数分の画像の各々を上下および左右にそれぞれ2分割することにより得られる4つの領域のうちの少なくとも1つである、構成6に記載のレーザ加工システム。
【0152】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0153】
1 レーザ加工システム、2 加工面、10 レーザヘッド、11 レーザ発振器、13 ダイクロイックミラー、14 3D光学系、15,505 ミラー、16 ガルバノミラー、17 出射口、20 制御装置、21,601 プロセッサ、22,602 RAM、23,603 ROM、24,604 記憶装置、25 レーザヘッドインターフェイス、26,606 入力インターフェイス、27,607 表示インターフェイス、28,608 通信インターフェイス、29,609 メモリーカードインターフェイス、29A メモリーカード、100 レーザマーカ、150 第1登録部、151 受付部、152 第2取得部、153 算出部、154 第1取得部、155 変換部、241,641 プログラム、242 キャリブレーション用のパターン情報、299,6999 内部バス、300,700 設定装置、301,701 入力装置、302,702 表示装置、500 カメラ、501 レンズ、525 観察光学系、600 画像処理機器、605 カメラインターフェイス、650 第2特定部、651 第2登録部、652 第1特定部、E 特徴部分、G1 エディタ画面、G2 選択画面、G3 入力画面、I1,I2 画像、L 長さ、La レーザ光、OP1 光軸、OP2 カメラ光軸、P1,P2,P3,P4 点、Q 印字パターン、R 印字開始位置、ST ステージ、W ワーク。