IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図1
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図2
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図3
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図4
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図5
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図6
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図7
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図8
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図9
  • 特開-印刷装置及び検出方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151734
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】印刷装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J17/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061518
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 麻帆
【テーマコード(参考)】
2C055
2C068
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C068AA05
2C068EE21
2C068EE27
2C068MM03
2C068MM15
(57)【要約】
【課題】印刷装置に装着された被印刷媒体の種類の検出に関する利便性を向上させる。
【解決手段】印刷装置(1)は、被印刷媒体(3)が収容された収容器(30)を装着可能な装着部(150)と、装着部において、装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部(125,114)と、装着部に収容器が装着された場合に、検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する制御部(120)と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体が収容された収容器を装着可能な装着部と、
前記装着部において、前記装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部と、
前記装着部に収容器が装着された場合に、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する制御部と、を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記検出部は、静電容量又は静電容量の変化を検出するセンサと、前記センサに対向する導体と、を含み、
前記センサは、前記装着部に装着された前記収容器の少なくとも一部に対向するように第1の位置及び第2の位置のうちのいずれか一方に配置され、
前記導体は、前記装着部に装着された前記収容器の少なくとも一部に対向するように前記第1の位置及び前記第2の位置のうちのいずれか他方に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1の位置は、前記装着部の底部であり、
前記第2の位置は、前記装着部の頂部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類に対応した静電容量に関する閾値を少なくとも記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化と、前記記憶部に記憶された前記静電容量に関する閾値と、に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記被印刷媒体の種類は、被印刷媒体の幅、被印刷媒体の被印刷面の色、及び被印刷媒体の材料のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記収容器は、種類毎に、前記装着部に装着された場合の前記検出部に近接する位置の形状が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記収容器は少なくとも、前記被印刷媒体と、前記被印刷媒体に転写されるインク層を含むインクリボンと、が収容されており、
前記制御部は、前記被印刷媒体の種類及び前記インクリボンのインク層の色を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
被印刷媒体が収容された収容器を装着可能な装着部と、前記装着部において、前記装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部と、を備えた印刷装置が、
前記装着部に収容器が装着された場合に、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する
ことを特徴とする検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ状の被印刷媒体への印刷を行う印刷装置には、収容された被印刷媒体の種類(例えば、幅や色等)が異なる複数種類のカートリッジのそれぞれを着脱可能なカートリッジ装着部を有するものがある。この種の印刷装置では、マイクロスイッチ等の機械的なスイッチを利用して、カートリッジ装着部にカートリッジが装着されているか否かの検出や、カートリッジ装着部に装着されたカートリッジに収容されている被印刷媒体の幅等の検出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-127094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクロスイッチ等の機械的なスイッチは、物理的接触によりオン・オフが切り替わる機構であるため、スイッチング動作が繰り返されることによる部品の摩耗等により故障する。スイッチが故障した場合、カートリッジが装着されているか否かや、被印刷媒体の幅等を正しく検出することができない。また、スイッチが故障した場合、例えば、印刷装置のメーカ等に印刷装置を送ってスイッチを交換又は修理することになる。
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、印刷装置に装着された被印刷媒体の種類の検出に関する利便性を向上させることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体が収容された収容器を装着可能な装着部と、前記装着部において、前記装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部と、前記装着部に収容器が装着された場合に、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の態様によれば、印刷装置に装着された被印刷媒体の種類の検出に関する利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る印刷装置の外観構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る印刷装置の機能構成の一例を示す図である。
図3図1に例示した印刷装置におけるカートリッジの装着方法を説明する分解斜視図である。
図4】カートリッジの検出方法の従来例を説明する図である。
図5】一実施形態に係る印刷装置における検出部のハードウェア構成を例示する図である。
図6】一実施形態に係る印刷装置におけるカートリッジの検出方法の一例を説明する図である。
図7】静電容量センサの出力に基づく判定方法の一例を説明する図である。
図8】静電容量センサ及びセンス用の導電部品の配置の第1の例を説明する図である。
図9】静電容量センサ及びセンス用の導電部品の配置の第2の例を説明する図である。
図10】静電容量センサを利用したカートリッジの検出方法の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る印刷装置の外観構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に例示した印刷装置1は、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の情報処理装置2から転送(送信)された印刷データに基づいて、テープ状の被印刷媒体3への印刷を行うものである。印刷装置1は、図3を参照して後述するカートリッジ装着部を有する箱状の第1の筐体部材101と、第1の筐体部材101におけるカートリッジ装着部を開閉可能なように第1の筐体部材101に取り付けられた蓋状の第2の筐体部材102とを有する。第1の筐体部材101内には、図2を参照して後述する機能を実施するための各種電子部品及び各種機構が内蔵されている。
【0012】
図1に例示した印刷装置1は、カートリッジ装着部に装着されたカートリッジに収容されているテープロールからカートリッジ外部に繰り出され、搬送経路に沿って搬送される被印刷媒体3に対して印刷を行う。搬送経路に沿って搬送される被印刷媒体3は、例えば、第1の筐体部材101に設けられた排出口103から印刷装置1の外部に排出することができる。本明細書で使用される「カートリッジ」は、テープ状の被印刷媒体3を巻き取ってロール状にしたテープロールを少なくとも収容することが可能な収容器を意図しており、収容するテープロールを利用者が交換可能であるか否かは問わない。同様に、本明細書で使用される「カートリッジ装着部」は、収容器を装着する部分(装着部)を意図しており、装着される収容器がどのようなものか(例えば、収容するテープロールを利用者が交換可能であるか否か等)は問わない。
【0013】
印刷装置1の第1の筐体部材101には、複数の操作ボタン104と複数の表示ランプ105とが配置されている。複数の操作ボタン104は、例えば、押しボタン式のスイッチである。複数の操作ボタン104は、例えば、印刷装置1の電源のオン・オフを行う操作ボタン、情報処理装置2との無線接続に利用する無線通信規格を選択する操作ボタン、印刷装置1の記憶部に格納している印刷データを利用した被印刷媒体3への印刷を繰り返す操作ボタン、被印刷媒体3を排出(フィード)する操作ボタンを含む。複数の表示ランプ105は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ランプである。複数の表示ランプ105は、例えば、印刷装置1の電源のオン・オフの状態を示す表示ランプ、無線通信の種類や状態を示す表示ランプを含む。
【0014】
なお、本実施形態に係る印刷装置1の外観構成は、図1に例示した外観構成に限定されない。印刷装置1は、例えば、文字の入力等が可能なキーボードや、キーボードにより入力された文字等の情報を表示する表示装置が装置筐体の表面に配置されたものであってもよい。
【0015】
図2は、一実施形態に係る印刷装置の機能構成の一例を示す図である。印刷装置1は、制御部120、記憶部121、入力部122、表示部123、通信部124、検出部125、搬送部126、印刷部127、及びカット部128を含む。
【0016】
制御部120は、印刷装置1の各種動作を制御する。制御部120による制御は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部121に記憶させたプログラムを実行することにより実施される。制御部120は、判定部120aを含む。判定部120aは、カートリッジ装着部にカートリッジが装着された場合に、検出部125の出力(検出信号)に基づいて、カートリッジ装着部に装着されたカートリッジの種類、又はカートリッジに収容されている被印刷媒体の種類を判定する。判定部120aは、検出部125の出力(検出信号)に基づいて、カートリッジ装着部にカートリッジが装着されているか否かの判定を、更に行ってもよい。
【0017】
記憶部121は、例えば、印刷装置1のOS(Operating System)のプログラム、被印刷媒体3への印刷に関するプログラム等の各種プログラム、プログラムの実行中に参照するデータ、情報処理装置2から転送された印刷データ等の各種データを記憶する。本実施形態の印刷装置1の記憶部121は、検出部125の出力に基づく判定部120aによる判定に利用する判定基準を示す情報の記憶に利用することができる。記憶部121は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部121は、主記憶装置としてのRAM及びROMとは別の、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやカード型メモリ等の印刷装置1に着脱可能な可搬型記録媒体を含んでもよい。
【0018】
入力部122は、印刷装置1の操作に関する各種情報の入力を受け付ける。入力部122は、例えば、複数の操作ボタン104を含む。入力部122は、文字等の入力が可能なキーボードを含んでもよい。表示部123は、印刷装置1の状態を示す情報、印刷装置1に入力された情報等の各種情報を表示する。表示部123は、例えば、複数の表示ランプ105を含む。表示部123は、文字や図形等の情報を表示するドットマトリクス型ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を含んでもよい。印刷装置1は、例えば、表示部123の1つとしての液晶ディスプレイ等の表示領域上に、入力部122の1つとしての位置検出器(デジタイザ)が配置されたタッチパネルディスプレイを備えるものであってもよい。
【0019】
検出部125は、第1の筐体部材101のカートリッジ装着部にカートリッジが装着されているか否か、及びカートリッジ装着部に装着されたカートリッジの種類又はカートリッジに収容されている被印刷媒体の種類(例えば、被印刷媒体の幅(テープ幅))を示す信号(検出信号)を出力する。本実施形態の印刷装置1における検出部125は、図3図5及び図6を参照して後述するように、静電容量センサ114とセンス用の導電部品115とを含む。制御部120(より具体的には判定部120a)は、静電容量センサ114の出力に基づいて、カートリッジが装着されているか否かの判定、カートリッジの種類又はカートリッジに収容されている被印刷媒体の種類の判定等を行う。検出部125は、例えば、搬送経路上の被印刷媒体3の有無を検出するセンサを、更に含んでもよい。
【0020】
搬送部126は、制御部120からの制御信号に従って被印刷媒体3を搬送する。搬送部126は、被印刷媒体3を搬送経路に沿って送り出すプラテンローラと、プラテンローラを回転させるモータと、モータを駆動させる駆動回路と、被印刷媒体3の送り量を計測するエンコーダ等の計測手段とを含む。
【0021】
印刷部127は、制御部120からの制御信号に従って被印刷媒体3への印刷を行う。印刷部127は、被印刷媒体3又はインクリボンに熱エネルギーを印加する複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、サーマルヘッドの各発熱素子の発熱を制御する制御回路と、サーマルヘッドの周囲の温度を計測するサーミスタ等の計測手段とを含む。
【0022】
カット部128は、制御部120からの制御信号に従って被印刷媒体3をカットする。カット部128は、被印刷媒体3をカットするカッター(鋏)と、カッター(鋏)を動作させるモータと、モータを駆動させる駆動回路とを含む。
【0023】
図3は、図1に例示した印刷装置におけるカートリッジの装着方法を説明する分解斜視図である。図4は、カートリッジの検出方法の従来例を説明する図である。図3におけるX方向、Y方向、及びZ方向は、それぞれ、印刷装置1を(図1に例示したような向きで)使用するときの、高さ方向、奥行き方向、及び幅方向である。図4の(a)~(c)には、それぞれ、図3のXYZ座標系におけるYZ面と平行な面で見た印刷装置1の内部構成を模式的に示している。
【0024】
図1に例示した印刷装置1における第2の筐体部材102は、上述したように、第1の筐体部材101に設けられたカートリッジ装着部を開閉可能なように、第1の筐体部材101に取り付けられている。第2の筐体部材102は、例えば、図3に示したように、第2の筐体部材102に設けた爪部141a及び141bのそれぞれが第1の筐体部材101に設けた受け部140a及び140bと回転可能に係合することにより構成されるヒンジ機構によって第1の筐体部材101に設けられたカートリッジ装着部150を開閉することができる。第2の筐体部材102を閉じると、第2の筐体部材102に設けた噛合部144が第1の筐体部材101に設けたラッチ機構143と噛み合い、第2の筐体部材102が開かないようにロックされる。第1の筐体部材101に設けたリリースボタン142を押すと、噛合部144とラッチ機構143との噛み合いが解除され、第2の筐体部材102を開くことができる。
【0025】
第2の筐体部材102を開くと、図3に例示したように、第1の筐体部材101に設けられているカートリッジ装着部150が露出する。カートリッジ装着部150は、第1の筐体部材101に形成された凹形状の部分であり、カートリッジ30は、カートリッジ装着部150の凹形状により画成される空間内に着脱可能に装着される。カートリッジ30には、テープ状の被印刷媒体3を巻き取ってロール状にしたテープロール(図示せず)が収容されている。図3に例示した印刷装置1では、カートリッジ30は、カートリッジ30から繰り出された被印刷媒体3の幅の方向(テープ幅方向)が印刷装置1における幅方向(図3ではZ方向)となるような向きで、カートリッジ装着部150に装着される。
【0026】
カートリッジ装着部150は、図3に示すように、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジから繰り出された被印刷媒体3の搬送経路の一部である溝部160により排出口103に通じている。また、カートリッジ装着部150には、搬送部126のプラテンローラ112と、印刷部127のサーマルヘッド111とが配置されている。カートリッジ30から繰り出された被印刷媒体3は、プラテンローラ112とサーマルヘッド111との間を通り、上述した溝部160を経由して排出口103に至る搬送経路に沿って搬送される。プラテンローラ112とサーマルヘッド111とは、少なくとも被印刷媒体3を搬送する間、被印刷媒体3を挟持する。また、第1の筐体部材101には、搬送経路における溝部160の区間において被印刷媒体3をカットすることが可能な態様で、カット部128のカッター(図示せず)が配置されている。
【0027】
また、カートリッジ装着部150の底面151には、静電容量センサ114を配置する開口部152が形成されている。底面151における開口部152は、図5を参照して後述するように、第2の筐体部材102を閉じたときに、静電容量センサ114がカートリッジ装着部150を挟んで第2の筐体部材102に設けられたセンス用の導電部品115と向かい合う位置に形成されている。
【0028】
カートリッジ装着部150には、収容されている被印刷媒体3の種類が異なる複数種類のカートリッジ30のそれぞれを装着することができる。カートリッジ装着部150に装着可能なカートリッジ30は、装着したときにカートリッジ装着部150の底面151と向かい合う面(図3のXY面)でみた形状が略同一であり、カートリッジ装着部150の深さ方向(図3のZ方向)の寸法が、収容する被印刷媒体3の幅によって異なる。
【0029】
複数種類のカートリッジのそれぞれは、図4の(a)~(c)に例示したように、カートリッジ30、31、32の種類によらず、搬送経路に沿って搬送される被印刷媒体3における幅方向(図4のZ方向)の中心がサーマルヘッド111の中心と略一致する深さ位置になるように、カートリッジ装着部150に装着される。例えば、複数種類のカートリッジ30、31、32のそれぞれには、テープ幅方向で中心となる位置に、カートリッジ装着部150に設けられたカートリッジ受部153、154と当接するヒレ部(図示せず)が設けられており、第2の筐体部材102を閉じたときに第2の筐体部材102から第1の筐体部材101の底面151に向かう方向の押圧荷重を受けることにより、カートリッジ装着部150内でのカートリッジ30、31、32の位置合わせが行われる。
【0030】
従来の印刷装置では、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジ30、31、32の種類(例えば、収容された被印刷媒体3の幅方向と対応する方向の寸法WC1、WC2、WC3)を検出する検出手段として、マイクロスイッチ等の機械的なスイッチを利用している。例えば、カートリッジ装着部150には、図4の(a)に例示したテープ幅WT1の被印刷媒体3が収容されたカートリッジ30が装着された場合にのみ出力信号がオンになるスイッチと、図4の(b)に例示したテープ幅WT2(>WT1)の被印刷媒体3が収容されたカートリッジ31が装着された場合にのみ出力信号がオンになるスイッチと、図4の(c)に例示したテープ幅WT3(>WT2)の被印刷媒体3が収容されたカートリッジ32が装着された場合にのみ出力信号がオンになるスイッチと、を含むスイッチ部材113が配置されている。スイッチ部材113は、例えば、カートリッジ装着部150内でのカートリッジの位置合わせに利用するカートリッジ受部(例えば、図4のカートリッジ受部153)等に配置される。スイッチ部材113は、制御部120として機能するプロセッサや記憶部121として機能するRAM及びROM等が実装されたプリント基板116に接続されている。この種の印刷装置では、スイッチ部材113の出力信号のオン・オフのパターンによりカートリッジ装着部150に装着されたカートリッジの種類(収容されている被印刷媒体3の幅)を検出することができる。例えば、複数種類のカートリッジ30、31、32のそれぞれは、カートリッジ受部に当接するカートリッジのヒレ部等の形状が、スイッチ部材113におけるオフからオンに切り替えるスイッチの組み合わせ及びカートリッジ装着部150内での位置に応じて異なる。
【0031】
しかしながら、上述した機械的なスイッチは、物理的接触によりオン・オフが切り替わる機構であり、誤った信号が出力されることがある。例えば、機械的なスイッチは、カートリッジ装着部150やカートリッジの公差等に起因してスイッチング操作が正しく行われず、オフからオンに切り替わらないことが起こり得る。また、機械的なスイッチは、スイッチング動作が繰り返されることによる部品の摩耗や、装置内に進入した塵埃等による接触不良により、オフからオンに切り替わらないことが起こり得る。このように、スイッチが正しく機能しない場合、カートリッジが装着されているか否かや、被印刷媒体の幅等を正しく検出することができない。また、スイッチが正しく機能しない場合、例えば、印刷装置のメーカ等に印刷装置を送ってスイッチを交換又は修理することになる。このように、機械的なスイッチを利用してカートリッジの種類を検出する従来の印刷装置では、スイッチが正しく機能しないことにより利便性が低下することがあった。
【0032】
図5は、一実施形態に係る印刷装置における検出部のハードウェア構成を例示する図である。図5には、図3のXYZ座標系におけるYZ面と平行な面で見た印刷装置の内部構成を模式的に示している。
【0033】
本実施形態の印刷装置1では、上述した機械的なスイッチの代わりに、静電容量センサ114とセンス用の導電部品115とを含む計測手段(検出部125)を利用して、カートリッジ30の種類(例えば、収容されている被印刷媒体3の幅)等を検出する。具体的には、カートリッジ装着部150を挟んで向かい合う第1の位置及び第2の位置のいずれか一方に静電容量センサ114を配置し、第1の位置及び第2の位置のいずれか他方にセンス用の導電部品115(以下、単に「導電部品115」とも記載する)を配置する。図5に例示した印刷装置1では、第1の筐体部材101におけるカートリッジ装着部150の底面151に沿った位置(カートリッジ装着部150の底部)に静電容量センサ114を配置し、カートリッジ装着部150を覆う第2の筐体部材102におけるカートリッジ装着部150に面する表面102a(カートリッジ装着部150の頂部)に導電部品115を配置している。静電容量センサ114及び導電部品115は、特定のセンサ及び導電部品に限定されない。
【0034】
静電容量センサ114及び導電部品115の対向する面(互いに向かい合う面)は、図5に例示したような平行な配置に限らず、静電容量又は静電容量の変化を検出可能な範囲で向かい合っていればよい。静電容量センサ114及び導電部品115の対向する面のいずれか一方及び両方は、カートリッジ装着部150の底面151(図5のXY面)と平行でなくてもよい。静電容量センサ114と導電部品115とのカートリッジ装着部150の底面151(図5のXY面)と平行な面内での寸法は、図5に例示したような導電部品115の寸法が静電容量センサ114の寸法よりも大きくなる関係に限らず、例えば、両者の寸法が略同一であってもよい。静電容量センサ114と導電部品115とのカートリッジ装着部150の底面151(図5のXY面)と平行な面内での位置関係は、図5に例示したような対称的な関係に限らず、中心位置がずれていてもよい。例えば、静電容量センサ114における導電部品115と向かい合う面が、Z方向から見たXY平面視(図8及び図9を参照)において導電部品115と重なる部分と重ならない部分とを含むような位置関係であってもよい。
【0035】
静電容量センサ114は、例えば、カートリッジ装着部150の底面151に形成された開口部152(図3を参照)からカートリッジ装着部150の空間内に面するように配置されている。静電容量センサ114は、制御部120として機能するプロセッサや記憶部121として機能するRAM及びROM等が実装されたプリント基板116に接続されている。第1の筐体部材101内のプリント基板116の位置及び寸法、並びにプリント基板116と静電容量センサ114との関係等は、図5に例示したものに限定されない。導電部品115は、例えば、カートリッジ装着部150を覆う第2の筐体部材102における、第1の筐体部材101に取り付けたときにカートリッジ装着部150の底面151と対向する面102aに設けられている。導電部品115は、例えば、金属箔又は金属板等の単一の導体部品であってもよいし、樹脂板等の絶縁板の表面に導体膜が形成された部品であってもよい。導電部品115は接地されていることが静電容量の検出の上では好ましいが、静電容量(静電容量の変化)が検出可能であれば接地は必須ではない。
【0036】
図6は、一実施形態に係る印刷装置におけるカートリッジの検出方法の一例を説明する図である。図6には、図5に例示した印刷装置1のうちのカートリッジ30の検出と関連する部分のみを抽出して模式的に示している。
【0037】
静電容量センサ114は、例えば、図示しない発振回路及び検出回路を含み、発振回路に結合された平板状の電極の主平面がカートリッジ装着部150に面する(すなわち、センス用の導電部品115と向かい合う)ように配置される。
【0038】
静電容量センサ114は、電極に所定の電圧を印加することにより生じる電界の状態と関連付けられる発振回路の発振周波数に基づいて電界内の物体の有無等(電界内に物体が侵入した際の静電容量又は静電容量の変化)を検出する、非接触型(すなわち、検出対象の物体との物理的な接触を伴わない)センサである。
【0039】
例えば、図6に例示したようなカートリッジ装着部150にカートリッジ30が装着された状態で第2の筐体部材102を閉じて静電容量センサ114を動作させた場合の電界の状態(例えば、静電容量センサ114と導電部品115との間の電界の強度)は、カートリッジ30が装着されていない場合の電界の状態とは異なる。また、カートリッジ30が装着された状態である場合の電界の状態は、例えば、静電容量センサ114の電極からカートリッジ30までの距離G1(言い換えると、カートリッジ30のテープ幅方向の寸法である幅WC1)、カートリッジ30やカートリッジ30内の被印刷媒体3の電気的特性(例えば、誘電率等)に応じて変化する。例えば、幅WC1のカートリッジ30が装着されているときの電界の状態は、カートリッジ30とは種類が異なる別のカートリッジ(例えば、幅WC2のカートリッジ31)が装着されているときの電界の状態とは異なる。カートリッジ30に用いる材料は、一般に、カートリッジ30の種類によらず共通であるため、例えば、本実施形態の印刷装置1では、静電容量センサ114が検出する(電界の状態と関連付けられる)静電容量又は静電容量の変化を、静電容量センサ114の電極からカートリッジ30、31、32までの距離G、つまりカートリッジ30におけるテープ幅方向の寸法(被印刷媒体3の幅)と関連付けることができる。
【0040】
このため、例えば、予めカートリッジを装着していない状態で静電容量センサ114により検出した発振回路の発振周波数(電界の状態)と、印刷装置1の電源をオンにした時や印刷開始時等に静電容量センサ114により検出した発振回路の発振周波数とを比較することにより、印刷装置1にカートリッジ30が装着されているか否かを判定することができる。
【0041】
また、例えば、カートリッジ装着部150に装着可能であり、かつ種類(被印刷媒体3の幅や材料)が異なる複数のカートリッジのそれぞれを装着して静電容量センサ114により検出した発振回路の発振周波数を予め取得しておき、印刷装置1の電源をオンにした時や印刷開始時等に静電容量センサ114により検出した発振回路の発振周波数とを比較することにより、印刷装置1に装着されているカートリッジ30の種類(被印刷媒体3の幅や材料)を判定することができる。
【0042】
なお、静電容量センサ114を利用したカートリッジ30の有無の判定方法及びカートリッジ30の種類の判定方法は、特定の方法に限定されない。また、カートリッジ装着部150の底面151と、静電容量センサ114における導電部品115と向かい合う面との、カートリッジ装着部150の深さ方向(Z方向)における位置関係は、図5及び図6に例示したような一致する関係に限らず、異なっていてもよい。
【0043】
図7は、静電容量センサの出力に基づく判定方法の一例を説明する図である。図7のテーブル5には、静電容量を利用したカートリッジ30の有無、及びカートリッジ30の種類の判定方法(判定基準)の一例を示している。
【0044】
静電容量センサ114の出力と関連付けられる静電容量を利用したカートリッジ30の有無、及びカートリッジ30の種類の判定には、例えば、図7に示したような、静電容量比C/C0を利用することができる。静電容量比C/C0において、C0はカートリッジ装着部150にカートリッジ30が装着されていない状態であるときの静電容量であり、Cは電源オン時又は印刷開始時に計測した静電容量である。
【0045】
本実施形態の印刷装置1では、例えば、図4の(a)~(c)を参照して説明したように、カートリッジ30の種類(被印刷媒体3の幅)毎にカートリッジ30からカートリッジ装着部150の底面151(すなわち静電容量センサ114の電極)までの距離が異なり、被印刷媒体3の幅が広くなるほど距離が短くなる。静電容量センサ114により計測される静電容量は、一般的に、電極から対象物までの距離が短くなるほど大きくなる。このため、本実施形態の印刷装置1では、テープ幅方向の寸法が大きいカートリッジが装着されているほど、静電容量又は静電容量の変化が大きくなる。従って、例えば、図7のテーブル5のように静電容量比C/C0の大きさに基づいて、カートリッジ無し(カートリッジ30が装着されていない状態)であること、及びテープ幅(装着されたカートリッジ30の種類)を判定することができる。
【0046】
なお、図7のテーブル5における静電容量比C/C0の範囲を示すTH1、TH2、及びTH3は、特定の値に限定されるものではなく、予め取得した静電容量比に基づいて設定し、変更することができる。また、カートリッジ無し、及び各テープ幅を特定する静電容量比C/C0の範囲は、不連続であってもよい。例えば、TH1≧C/C0である場合にはカートリッジ無しと判定し、TH2≧C/C0≧TH1’(>TH1)である場合にはテープ幅6mmの被印刷媒体3が収容されたカートリッジ30が装着されていると判定してもよい。テーブル5に例示した閾値の範囲は、例えば、カートリッジ内の被印刷媒体3の残量が静電容量又は静電容量の変化に与え得る影響を考慮して設定することができる。なお、テーブル5のような閾値を利用した判定における閾値は、カートリッジのテープ幅方向の寸法(被印刷媒体3の幅)に限らず、被印刷媒体3の材料(例えば、紙、樹脂基材の粘着テープ、布、マグネット等)、被印刷媒体3の被印刷面の色等の違いに起因する静電容量又は静電容量の変化を考慮して定めてもよい。
【0047】
このように、本実施形態の印刷装置1は、静電容量センサ114を利用した、カートリッジ30に対する物理的な接触を伴わない非接触式の検出方法により、カートリッジ30が装着されているか否かの判定、及びカートリッジ30の種類の判定を行う。このため、マイクロスイッチ等の機械的なスイッチを利用する従来の印刷装置で起こり得る、接触不良等による誤判定を防ぐことができる。また、機械的なスイッチのような部品の摩耗や塵埃の進入等による故障も発生しないため、スイッチの交換や修理等により印刷装置を使用できない期間が生じることも防げる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カートリッジ30に関する情報を正しく検出できないことによる利便性の低下を防ぐことができる。
【0048】
図8は、静電容量センサ及びセンス用の導電部品の配置の第1の例を説明する図である。図9は、静電容量センサ及びセンス用の導電部品の配置の第2の例を説明する図である。図8及び図9は、それぞれ、図3のXYZ座標系におけるXY面と平行な面で見た印刷装置1の内部構成を模式的に示している。
【0049】
本実施形態の印刷装置1における静電容量センサ114及び導電部品115の位置は、上述したように、カートリッジ装着部150におけるカートリッジ30が装着される空間内の電界の状態(静電容量センサ114と導電部品115との間の電界の強度)と関連付けられる静電容量又は静電容量の変化を検出することが可能であればよい。静電容量センサ114及び導電部品115は、例えば、図8に示したように、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジ30における、被印刷媒体3をロール状にしたテープロール4が収容されている位置と重なるように配置されていてもよい。このような配置にすると、例えば、テープロール4としてカートリッジ内に残っている被印刷媒体3の量(テープロール4の半径)の変化に応じて静電容量センサ114の出力(検出信号)が変化する場合に、その変化に基づいて、被印刷媒体3の残量を検出することができる。また、このような配置にすると、例えば、カートリッジ30内の被印刷媒体3の材料に応じて静電容量センサ114の出力が変化する場合に、その変化に基づいて、被印刷媒体3の残量だけでなく被印刷媒体3の材料の種類(例えば、紙、樹脂基材の粘着テープ、布、マグネット等)も検出することができる。なお、図8に示した平面視における静電容量センサ114及び導電部品115の形状及び位置関係は、一例にすぎない。静電容量センサ114及び導電部品115の形状は、適宜変更可能であり、上述したように、略同一の寸法であってもよい。更に、静電容量センサ114と導電部品115とは、互いに向かい合う面で見た平面視(図8のXY平面視)において、互いに重なっている部分と重ならない部分とが存在していてもよい。
【0050】
また、静電容量センサ114及び導電部品115は、例えば、図9に示したように、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジ30におけるテープロール4とは重ならない位置に配置されていてもよい。カートリッジ30内におけるテープロール4の位置と無関係に静電容量センサ114及び導電部品115を配置することにより、例えば、第1の筐体部材101内に配置されている他の部品と干渉しない位置に配置することができ、各種部品のレイアウトの変更等を抑制することができる。なお、図9に示した平面視における静電容量センサ114及び導電部品115の形状及び位置関係は、一例にすぎない。静電容量センサ114及び導電部品115の形状は、適宜変更可能であり、上述したように、略同一の寸法であってもよい。更に、静電容量センサ114と導電部品115とは、互いに向かい合う面で見た平面視(図9のXY平面視)において、互いに重なっている部分と重ならない部分とが存在していてもよい。
【0051】
また、本実施形態に係る印刷装置1には、第1の筐体部材101におけるカートリッジ装着部150を開閉する第2の筐体部材102又は第2の筐体部材102と対応する蓋状の部品に、カートリッジ内の被印刷媒体3の種類や残量を目視で確認することを可能にする窓が設けられていることがある。そのような窓が設けられた印刷装置1に、図8に例示したようにテープロール4と重なる位置に静電容量センサ114及び導電部品115を配置する場合、導電部品115の一部又は全部が、第2の筐体部材102に設けられた窓と重なることがある。そのため、導電部品115の一部又は全部が第2の筐体部材102に設けられた窓と重なる場合、導電部品115として、例えば、透明な樹脂フィルムの表面にITO(酸化インジウムスズ)等の透明電極を形成した部材を利用することが考えられる。一方、図9に例示したようにテープロール4とは重ならない位置に配置する場合、導電部品115として任意の導体材料を利用することができる。
【0052】
また、印刷装置1は、被印刷媒体3とインクリボンとを収容したカートリッジ30を使用して被印刷媒体3への印刷を行う熱転写式のものであってもよい。熱転写式の印刷装置1に使用可能なカートリッジ30は、被印刷媒体3をロール状にしたテープロール4と干渉しない位置にインクリボンが配置されている。このため、熱転写式の印刷装置1においては、図9に示したように、被印刷媒体3をロール状にしたテープロール4と重ならない位置に静電容量センサ114及び導電部品115を配置することにより、例えば、インクリボンのインクの種類(例えば、色等)に応じて電界の状態(静電容量)に変化が生じ得る場合に、その変化に基づいて、インクの種類を検出することができる。すなわち、熱転写式の印刷装置1では、テープ幅方向の寸法(収容されている被印刷媒体3の幅)が同一であり、収容されているインクリボンのインク色の種類が異なる複数種類のカートリッジのうちの、どのカートリッジが装着されているかを判定することもできる。
【0053】
図10は、静電容量センサを利用したカートリッジの検出方法の変形例を説明する図である。図10には、図3のXYZ座標系におけるZX面と平行な面で見た印刷装置1の内部構成を模式的に示している。
【0054】
図5図9を参照して上述したカートリッジ30の検出方法では、収容された被印刷媒体3の幅毎に異なる、カートリッジのテープ幅方向の寸法(言い換えると、カートリッジ装着部150の底面151からカートリッジ30までの距離)に応じた電界の状態(強度)と関連付けられる静電容量等を利用している。しかしながら、静電容量センサを利用する本実施形態に係るカートリッジ30の検出方法は、図10に例示したように、カートリッジ装着部150の側面155、156に沿って配置された静電容量センサ117、118を利用して行うものであってもよい。図10には、カートリッジ装着部150に装着可能な全ての種類のカートリッジ(例えば、テープ幅方向の寸法が異なるカートリッジ30、31、32)を装着したときにカートリッジが必ず存在する深さ方向の範囲DC内となる深さ位置(Z方向の位置)に第1の静電容量センサ117が配置されており、第1の静電容量センサ117よりも上方となる深さ位置に第2の静電容量センサ118が配置されている。第1の静電容量センサ117及び第2の静電容量センサ118には、それぞれ、図5及び図6を参照して上述した静電容量センサ114と同様のものを用いることができる。図10には示していないが、カートリッジ装着部150の側面156のうちの第1の静電容量センサ117と向かい合う位置、及びカートリッジ装着部150の側面155のうちの第2の静電容量センサ118と向かい合う位置には、図5及び図6を参照して上述したセンス用の導体部品が設けられていてもよい。センス用の導体部品を設ける場合、センス用の導体部品は接地されていることが好ましい。
【0055】
第1の静電容量センサ117は、カートリッジ装着部150に装着可能な全ての種類のカートリッジを装着したときにカートリッジが必ず存在する深さ方向の範囲DC内となる深さ位置に配置されている。すなわち、カートリッジ装着部150にカートリッジが装着されている場合、どの種類のカートリッジであっても第1の静電容量センサ117の出力に明確に影響を与えるので、カートリッジが装着されていない時とは異なる検出信号が出力される。このため、第1の静電容量センサ117の出力に基づいて、カートリッジが装着されているか否かを判定することができる。
【0056】
また、第2の静電容量センサ118は、カートリッジ装着部150における第1の静電容量センサ117よりもZ方向の上方に配置されている。このため、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジの種類に応じて、第2の静電容量センサ118からの電界がカートリッジにより影響を受ける範囲が異なり、それによって電界の状態の変化(静電容量の変化)の仕方が異なる。例えば、被印刷媒体3の幅が広い(Z方向の幅が広い)カートリッジ32の影響を受ける電界の範囲は、被印刷媒体3の幅が狭い(Z方向の幅が狭い)カートリッジ30、31の影響を受ける電界の範囲よりも広範囲になるため、電界の状態の変化(静電容量の変化)の度合いが大きくなる。このため、第2の静電容量センサ118の出力に基づいて、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジの種類を判定することができる。
【0057】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎない。すなわち、本発明に係る印刷装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、様々な変形、変更が可能である。
【0058】
上述した実施形態では、静電容量センサ114を利用して計測される静電容量、つまりは電極の電荷量、電界の強度等の変化を利用してカートリッジ30が装着されているか否か、及びカートリッジ30の種類を判定(検出)している。しかしながら、カートリッジが装着されているか否か、及びカートリッジの種類の判定は、静電容量、電荷量、電界に限らず、他の物理量に基づいて行ってもよい。
【0059】
また、カートリッジの種類毎に図7等における閾値が明確に異なる値になるように、各カートリッジの形状を、種類毎に異なるようにしてもよい。例えば、各カートリッジ(例えば、図4及び図10に例示したカートリッジ30、31、32)は、収容された被印刷媒体3の種類毎に、カートリッジ装着部150に装着した場合に静電容量センサ114(検出部125)に近接する位置の形状が異なるように形成されていてもよい。例えば、図9等の位置に静電容量センサ114と導電部品115とが設けられる場合、少なくとも静電容量センサ114と導電部品115とに対向する部分のカートリッジのZ方向の幅(厚み)などの形状を、カートリッジの種類又は被印刷媒体3の種類に応じて異なるようにしても良い。これにより、異なるカートリッジの種類(異なる被印刷媒体3の種類)において、静電容量比の閾値の範囲が互いに重複しないように設定することができ、カートリッジ装着部150に装着されたカートリッジの種類(又は被印刷媒体3の種類)を確実に判定することができる。
【0060】
また、上述した実施形態で図8及び図9を参照して説明した静電容量センサ114と導電部品115の配置は、いずれか一方の配置を適用するだけでなく、両方の配置を適用してもよい。すなわち、静電容量センサ114と導電部品115の第1の組を図8に例示したようなテープロール4と重なる位置に配置し、静電容量センサ114と導電部品115の第2の組を、図9に例示したようなテープロール4と重ならない位置であって、かつ第1の組の静電容量センサ114による静電容量又は静電容量の変化の計測と互いに干渉しない距離だけ離れた位置に配置してもよい。この場合、第1の組の静電容量センサ114により計測された静電容量又は静電容量の変化と、第1の組の静電容量センサ114により計測された静電容量又は静電容量の変化との組み合わせに基づいてカートリッジの種類を判定(検出)することができるため、例えば、判定(識別)可能なカートリッジの種類を多くすることできる。
【0061】
また、上述した印刷装置1の静電容量センサ114と導電部品115とは図示しない配線により導通されていても良い。この場合、例えば、図3を参照して上述したような第1の筐体部材101と第2の筐体部材102との結合部分であるヒンジ機構付近を介して静電容量センサ114と導電部品115とを配線することで導通する。
【0062】
また、上述した印刷装置1では、静電容量を精度良く検出するために導電部品115を設けたが、静電容量を検出可能であれば導電部品115は設けないとしても良い。
【0063】
また、上述した印刷装置1の検出部の構成は、発振回路及び検出回路等を含む静電容量センサ114と導電部品115とによるものに限られず、カートリッジ装着部150に一対の金属板を設ける構成としても良い。この場合、一対の金属板は導通され、一対の金属板間に装着されたカートリッジの静電容量(静電容量の変化)を検出するものとしても良い。
【0064】
また、上述した印刷装置1の検出部125は、上述したカートリッジが装着されているか否か、及びカートリッジの種類の判定(検出)を行うための検出手段、搬送経路上の被印刷媒体3の有無を検出する検出手段に限らず、他の検出手段を含んでもよい。例えば、印刷装置1は、被印刷媒体3の被印刷面の色を検出するセンサ(例えば、フォトセンサ)を含んでもよい。この種のセンサを利用することにより、上述した静電容量センサ114によるカートリッジ30の種類の判定において被印刷媒体3の色を検出しない場合に、被印刷媒体3に対する接触を伴わない非接触な方式で、被印刷媒体3の色を追加で検出することができる。
【0065】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体が収容された収容器を装着可能な装着部と、
前記装着部において、前記装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部と、
前記装着部に収容器が装着された場合に、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する制御部と、を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記検出部は、静電容量又は静電容量の変化を検出するセンサと、前記センサに対向する導体と、を含み、
前記センサは、前記装着部に装着された前記収容器の少なくとも一部に対向するように第1の位置及び第2の位置のうちのいずれか一方に配置され、
前記導体は、前記装着部に装着された前記収容器の少なくとも一部に対向するように前記第1の位置及び前記第2の位置のうちのいずれか他方に配置される、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記第1の位置は、前記装着部の底部であり、
前記第2の位置は、前記装着部の頂部である、
ことを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類に対応した静電容量に関する閾値を少なくとも記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化と、前記記憶部に記憶された前記静電容量に関する閾値と、に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記5]
前記被印刷媒体の種類は、被印刷媒体の幅、被印刷媒体の被印刷面の色、及び被印刷媒体の材料のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記6]
前記収容器は、種類毎に、前記装着部に装着された場合の前記検出部に近接する位置の形状が異なる、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記7]
前記収容器は少なくとも、前記被印刷媒体と、前記被印刷媒体に転写されるインク層を含むインクリボンと、が収容されており、
前記制御部は、前記被印刷媒体の種類及び前記インクリボンのインク層の色を判定する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記8]
被印刷媒体が収容された収容器を装着可能な装着部と、前記装着部において、前記装着部に装着された収容器の少なくとも一部に対向するように設けられ、静電容量又は静電容量の変化を検出する検出部と、を備えた印刷装置が、
前記装着部に収容器が装着された場合に、前記検出部によって検出された静電容量又は静電容量の変化に基づいて、前記装着部に装着された収容器の種類又は収容器に収容されている被印刷媒体の種類を判定する
ことを特徴とする検出方法。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷装置
101 第1の筐体部材
102 第2の筐体部材
103 排出口
104 操作ボタン
105 表示ランプ
111 サーマルヘッド
112 プラテンローラ
113 スイッチ
114、117、118 静電容量センサ
115 センス用の導電部品
116 プリント回路板
120 制御部
120a 判定部
121 記憶部
122 入力部
123 表示部
124 通信部
125 検出部
126 搬送部
127 印刷部
128 カット部
150 カートリッジ装着部
151 (カートリッジ装着部150の)底面
152 (底面151の)開口部
153、154 カートリッジ受部
155、156 (カートリッジ装着部150の)側面
160 溝部
2 情報処理装置
3 被印刷媒体
4 テープロール
30、31、32 カートリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10