(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151737
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231005BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20231005BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231005BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 105
B41J29/38 301
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061532
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 浩一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HN02
2C061HN15
2C061HV02
2C061HV46
2C061KK26
2C061KK35
2H270LD03
2H270MB11
2H270MB25
2H270RB05
2H270RB09
2H270RB10
(57)【要約】
【課題】画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】用紙に画像を転写する転写部23と、転写された画像を用紙に定着させる定着部24と、を備え、用紙に画像を形成する画像形成装置20と、画像形成装置20により画像が形成された用紙を検査する画像検査装置40と、画像検査装置40の後段に配置され、用紙の物性を検知するメディア検知部(含水量検知部51、用紙表面性検知部52、用紙抵抗検知部53)を備えるメディア検知装置50と、画像形成装置20、画像検査装置40及びメディア検知装置50を制御する制御部と、を備える。また、制御部は、画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、メディア検知部により検知された物性に基づいて画像形成装置20における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を転写する転写部と、前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、を備え、前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により前記画像が形成された用紙を検査する画像検査装置と、
前記画像検査装置の後段に配置され、前記用紙の物性を検知するメディア検知部を備えるメディア検知装置と、
前記画像形成装置、前記画像検査装置及び前記メディア検知装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、前記メディア検知部により検知された物性に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記メディア検知部は、前記用紙の前記画像が形成されていない白紙領域の物性を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、前記物性を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、画像形成未実施の用紙を前記画像形成装置から排出させ、
前記メディア検知部は、前記画像形成装置から排出された画像形成未実施の用紙の物性を検知することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、前記用紙の含水量を検知し、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量が第1閾値未満である場合は前記定着部の温度を下げる必要があると判断し、前記メディア検知部により検知された含水量が第1閾値以上である場合は前記転写部の出力値を下げる必要があると判断することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記メディア検知装置は、前記用紙を搬送しながら前記メディア検知部により前記用紙の含水量を検知させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置の前段に配置され、前記画像が形成される前の用紙の物性を検知する第2メディア検知部を備える第2メディア検知装置を備え、
前記制御部は、前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、前記メディア検知部により検知された物性と前記第2メディア検知部により検知された物性との差分に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記メディア検知部及び前記第2メディア検知部は、ともに前記用紙の含水量を検知し、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値未満である場合は前記定着部の温度を下げる必要があると判断し、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値以上である場合は前記転写部の出力値を下げる必要があると判断することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により前記異常が検知された用紙を排出する経路上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記メディア検知装置は、前記用紙を停止させた状態で前記メディア検知部により前記用紙の表面性を検知させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された表面性が第2閾値を超えている場合は前記定着部の温度を上げる必要があると判断することを特徴とする請求項12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックした後、再度前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合は、前記画像形成装置による画像形成動作を停止させ、前記メディア検知部により検知された物性に基づいて不具合箇所を推定し、サービスコールを通知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商業印刷機分野においては、用紙に印字する画像の品質を担保することが大きな課題となっている。使用される用紙の状態は顧客が使用する環境に応じて変化するが、顧客の使用環境に応じた用紙の状態を把握したとしても、顧客が使用する印刷機(画像形成装置)を適切に制御しなければ、画像品質を担保することは難しい。
【0003】
そこで、印字後の画像を自動で検査し、顧客のニーズに合った出力物として印字できているかを判断する技術が提案されている。例えば、部品の劣化や経時変化等で白抜けと濃度ムラが同時に発生した場合に、広範囲に発生して検出しやすい濃度ムラのみならず、白抜けも検知できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成の場合、印刷機の状態に応じて白抜けを検知することは可能であるが、どのユニット(定着部・転写部)の制御が影響して白抜けが発生しているかを判断することができない。また、上記特許文献1記載の構成の場合、どのユニットに対してどのような印刷条件を変更するべきか判断できないため、画像品質を担保することができない。
【0006】
本発明は、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することが可能な画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成システムにおいて、
用紙に画像を転写する転写部と、前記転写部により転写された画像を前記用紙に定着させる定着部と、を備え、前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により前記画像が形成された用紙を検査する画像検査装置と、
前記画像検査装置の後段に配置され、前記用紙の物性を検知するメディア検知部を備えるメディア検知装置と、
前記画像形成装置、前記画像検査装置及び前記メディア検知装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、前記メディア検知部により検知された物性に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知部は、前記用紙の前記画像が形成されていない白紙領域の物性を検知することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、前記物性を検知することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、画像形成未実施の用紙を前記画像形成装置から排出させ、
前記メディア検知部は、前記画像形成装置から排出された画像形成未実施の用紙の物性を検知することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により検知された異常が白抜けである場合に、前記用紙の含水量を検知し、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量が第1閾値未満である場合は前記定着部の温度を下げる必要があると判断し、前記メディア検知部により検知された含水量が第1閾値以上である場合は前記転写部の出力値を下げる必要があると判断することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知装置は、前記用紙を搬送しながら前記メディア検知部により前記用紙の含水量を検知させることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置の前段に配置され、前記画像が形成される前の用紙の物性を検知する第2メディア検知部を備える第2メディア検知装置を備え、
前記制御部は、前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、前記メディア検知部により検知された物性と前記第2メディア検知部により検知された物性との差分に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知部及び前記第2メディア検知部は、ともに前記用紙の含水量を検知し、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分に基づいて前記画像形成装置における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックすることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値未満である場合は前記定着部の温度を下げる必要があると判断し、前記メディア検知部により検知された含水量と前記第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値以上である場合は前記転写部の出力値を下げる必要があると判断することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知部は、前記画像検査装置により前記異常が検知された用紙を排出する経路上に配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成システムにおいて、
前記メディア検知装置は、前記用紙を停止させた状態で前記メディア検知部により前記用紙の表面性を検知させることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記メディア検知部により検知された表面性が第2閾値を超えている場合は前記定着部の温度を上げる必要があると判断することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記判断結果を前記画像形成装置の画像形成制御にフィードバックした後、再度前記画像検査装置により前記用紙に形成された画像の異常が検知された場合は、前記画像形成装置による画像形成動作を停止させ、前記メディア検知部により検知された物性に基づいて不具合箇所を推定し、サービスコールを通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】メディア検知装置の概略構成を示す図である。
【
図3】用紙の物性を検知する対象となる領域を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る画像形成システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】画像形成条件判断処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】画像形成条件判断処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図8】画像形成条件判断処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図9】変形例1に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図10】変形例1に係る画像形成条件判断処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】メディア検知部により画像形成未実施の用紙の物性を検知させる様子を説明するための図である。
【
図12】新たに給紙装置から給紙を開始する用紙からフィードバックを実施する様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本実施形態に係る画像形成システム1は、
図1に示すように、給紙装置10と、給紙装置10の後段に接続され、印刷データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置20と、画像形成装置20の後段に接続されたリレーユニット30と、リレーユニット30の後段に接続された画像検査装置40と、画像検査装置40の後段に接続されたメディア検知装置50と、メディア検知装置50の後段に接続されたフィニッシャー60と、を備えて構成されている。
【0025】
給紙装置10は、複数の給紙トレイや、給紙ローラー、分離ローラー、給紙/分離ゴム、送り出しローラー等からなる給紙手段を備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)ごとに用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ画像形成装置20へと用紙が搬送される。
【0026】
画像形成装置20は、無端で環状に掛け渡された中間転写ベルト21と、この中間転写ベルト21に沿って配置されたC(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)各色のトナー像を形成する像形成ユニット22と、用紙にトナー像(画像)を転写する転写部23と、転写されたトナー像(画像)を用紙に定着させる定着部24と、を備えて構成されている。画像形成装置20は、像形成ユニット22により中間転写ベルト21上にCMYK各色のトナー像を重畳してフルカラーのトナー像を形成する。そして、転写部23により、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を給紙装置10から搬送されてきた用紙に転写する。さらに、定着部24で用紙にトナー像を熱定着させた後、当該用紙を後段の装置(ここではリレーユニット30)に向けて出力する。
【0027】
リレーユニット30は、画像形成装置20から出力された用紙をさらに後段の装置(ここでは画像検査装置40)に中継搬送する。リレーユニット30は、画像形成装置20から搬送されてくる用紙の搬送スピードと同期をとる機能を備える。
【0028】
画像検査装置40は、リレーユニット30から搬送された用紙を光学的に読み取るセンサー(ラインセンサー等)を備えて構成されている。画像検査装置40は、画像が形成された用紙をセンサーで読み取って検査し、画像異常(白抜け)の有無を判断した後、用紙を後段のメディア検知装置50に搬送する。
【0029】
メディア検知装置50は、
図1及び
図2に示すように、用紙Pの含水量を検知する含水量検知部(メディア検知部)51と、用紙Pの表面性を検知する用紙表面性検知部(メディア検知部)52と、用紙Pの抵抗を検知する用紙抵抗検知部(メディア検知部)53と、を備えて構成されている。メディア検知装置50は、画像検査装置40により画像異常(白抜け)と判断された用紙Pに対しては、用紙Pを搬送しながら含水量検知部51により用紙Pの含水量を検知させる。含水量検知部51により含水量が検知された用紙Pは、画像異常(白抜け)が発生しているため、メディア検知装置50の上部に設けられたパージトレイT2に用紙Pを異常紙(ヤレ紙)として排出(パージ)する経路に搬送される。パージトレイT2への排出経路上には、用紙表面性検知部52及び用紙抵抗検知部53が設けられており、メディア検知装置50は、パージトレイT2に用紙Pを排出する際に、用紙Pの搬送を停止させた状態で、用紙表面性検知部52により用紙Pの表面性を検知させ、用紙抵抗検知部53により用紙Pの抵抗を検知させる。
図2中の符号A1は用紙Pの表面性検知時の停止位置であり、符号A2は用紙Pの抵抗検知時の停止位置である。
一方、メディア検知装置50は、画像異常(白抜け)と判断されなかった用紙Pに対しては、含水量検知部51による用紙Pの物性(含水量)検知を行わずに、後段のフィニッシャー60へと排出する。
【0030】
メディア検知装置50は、
図3に示すように、用紙Pの画像が形成されている画像領域E1ではなく、用紙Pの画像が形成されていない白紙部分(白紙領域E2)の物性を検知する。
【0031】
フィニッシャー60は、メディア検知装置50から送られてきた用紙(画像異常のない正常紙)に対して、指定された後処理を施した後、排紙トレイT1に排出する。
【0032】
また、画像形成システム1は、
図4に示すように、制御部110と、記憶部120と、給紙装置10と、画像形成装置20と、リレーユニット30と、画像検査装置40と、メディア検知装置50と、フィニッシャー60と、を備えて構成されている。
【0033】
制御部110は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、画像形成システム1の各部の動作を集中制御する。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
例えば、制御部110は、画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、メディア検知装置50により検知された物性に基づいて画像形成装置20における画像形成条件(例えば、転写制御・定着制御)の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
【0034】
記憶部120は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部120には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部110から読み書き可能に記憶する。
【0035】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の動作について、
図5~
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
まず、制御部110は、
図5に示すように、画像形成装置20により用紙に画像を形成させる(ステップS101)。
【0037】
次に、制御部110は、ステップS101で画像が形成された用紙に対し、画像検査装置40による画像検査を実施させる(ステップS102)。
【0038】
次に、制御部110は、ステップS102で画像検査装置40により画像異常(白抜け)が検出されたか否かを判定する(ステップS103)。
制御部110は、画像異常(白抜け)が検出されたと判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行する。
一方、制御部110は、画像異常(白抜け)が検出されていないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS106へと移行し、そのまま用紙を排紙トレイT1に排出(正常排出)する。
【0039】
次に、制御部110は、画像形成条件が適切であるか否かを判断する処理(画像形成条件判断処理)を実施する(ステップS104)。
【0040】
ここで、画像形成条件判断処理の一例(用紙の含水量に基づいて画像形成条件が適切であるか否かを判断する処理)について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
まず、制御部110は、
図6に示すように、メディア検知装置50の含水量検知部51により画像形成後の用紙(画像異常が検出された用紙)の含水量を検知させ、当該検知された画像形成後の用紙の含水量を取得する(ステップS201)。具体的には、制御部110は、含水量検知部51により用紙Pの白紙領域E2(
図3参照)の含水量を検知させ、当該検知された含水量を取得する。
【0042】
次に、制御部110は、ステップS201で取得された含水量が、第1閾値α未満であるか否かを判定する(ステップS202)。ここで、第1閾値αとは、この値(第1閾値α)を下回ると白抜けが発生するおそれがある程度に定着温度が高い状態にあると推定される含水量の値のことである。
制御部110は、第1閾値α未満であると判定した場合(ステップS202:YES)、定着温度が高いと判断し、次のステップS203へと移行する。
一方、制御部110は、第1閾値α未満でない(すなわち、第1閾値α以上である)と判定した場合(ステップS202:NO)、定着温度が正常であり、他の要因で画像異常(白抜け)が発生している(すなわち、用紙にトナーを転写する出力値が高い)と判断し、ステップS205へと移行する。
【0043】
ステップS203において、制御部110は、画像形成制御を変更する対象のユニット(画像形成制御変更ユニット)を、「定着ユニット(定着部24)」に決定する。
【0044】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである定着ユニット(定着部24)の目標温度をX[℃]下げるように決定し(ステップS204)、
図5のステップS105へと移行する。
【0045】
ステップS205において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「転写ユニット(転写部23)」に決定する。
【0046】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである転写ユニット(転写部23)の用紙転写出力をY[μA]下げるように決定し(ステップS206)、
図5のステップS105へと移行する。
【0047】
また、画像形成条件判断処理の他の例(用紙の表面性に基づいて画像形成条件が適切であるか否かを判断する処理)について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
まず、制御部110は、
図7に示すように、メディア検知装置50の用紙表面性検知部52により画像形成後の用紙の表面性を検知させ、当該検知された画像形成後の用紙の表面性を取得する(ステップS301)。具体的には、制御部110は、用紙表面性検知部52により用紙Pの白紙領域E2(
図3参照)の表面性を検知させ、当該検知された表面性を取得する。
【0049】
次に、制御部110は、ステップS301で取得された表面性が、第2閾値βを超えているか否かを判定する(ステップS302)。ここで、表面性とは、用紙表面の粗さの程度を示す指標であり、表面性が高い場合は表面がツルツルで画像が定着しにくい状態(粗くない状態)を、表面性が低い場合は表面がザラザラで画像が定着しやすい状態(粗い状態)を、それぞれ示している。また、第2閾値βとは、この値(第2閾値β)を上回ると画像が定着しにくくて白抜けが発生するおそれがある表面性の値のことである。
制御部110は、第2閾値βを超えていると判定した場合(ステップS302:YES)、用紙に画像が定着しにくい状態で定着温度を高くする必要があると判断し、次のステップS303へと移行する。
一方、制御部110は、第2閾値βを超えていない(すなわち、第2閾値β以下である)と判定した場合(ステップS302:NO)、用紙に画像が十分に定着可能な状態であり、表面性以外の要因で画像異常(白抜け)が発生している(すなわち、用紙にトナーを転写する出力値が高い)と判断し、ステップS305へと移行する。
【0050】
ステップS303において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「定着ユニット(定着部24)」に決定する。
【0051】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである定着ユニット(定着部24)の目標温度をZ[℃]上げるように決定し(ステップS304)、
図5のステップS105へと移行する。
【0052】
ステップS305において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「転写ユニット(転写部23)」に決定する。
【0053】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである転写ユニット(転写部23)の用紙転写出力をY[μA]下げるように決定し(ステップS306)、
図5のステップS105へと移行する。
【0054】
次に、画像形成条件判断処理の他の例(用紙の含水量及び表面性に基づいて画像形成条件が適切であるか否かを判断する処理)について、
図8のフローチャートを参照して説明する。なお、一般に、画像形成動作により含水量の方が表面性よりも大きく変化するため、
図8に示す例では、含水量を優先して判断した後、表面性を判断するようにしている。
【0055】
まず、制御部110は、
図8に示すように、メディア検知装置50の含水量検知部51及び用紙表面性検知部52により画像形成後の用紙の含水量及び表面性を検知させ、当該検知された画像形成後の用紙の含水量及び表面性を取得する(ステップS401)。
【0056】
次に、制御部110は、ステップS401で取得された含水量が、第1閾値α未満であるか否かを判定する(ステップS402)。
制御部110は、第1閾値α未満であると判定した場合(ステップS402:YES)、次のステップS403へと移行する。
一方、制御部110は、第1閾値α未満でない(すなわち、第1閾値α以上である)と判定した場合(ステップS402:NO)、ステップS405へと移行する。
【0057】
ステップS403において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「定着ユニット(定着部24)」に決定する。
【0058】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである定着ユニット(定着部24)の目標温度をX[℃]下げるように決定し(ステップS404)、
図5のステップS105へと移行する。
【0059】
ステップS405において、制御部110は、ステップS401で取得された表面性が、第2閾値βを超えているか否かを判定する。
制御部110は、第2閾値βを超えていると判定した場合(ステップS405:YES)、次のステップS406へと移行する。
一方、制御部110は、第2閾値βを超えていない(すなわち、第2閾値β以下である)と判定した場合(ステップS405:NO)、ステップS408へと移行する。
【0060】
ステップS406において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「定着ユニット(定着部24)」に決定する。
【0061】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである定着ユニット(定着部24)の目標温度をZ[℃]上げるように決定し(ステップS407)、
図5のステップS105へと移行する。
【0062】
ステップS408において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「転写ユニット(転写部23)」に決定する。
【0063】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである転写ユニット(転写部23)の用紙転写出力をY[μA]下げるように決定し(ステップS409)、
図5のステップS105へと移行する。
【0064】
図5のステップS105において、制御部110は、ステップS105における判断結果(決定した画像形成条件)を、画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
【0065】
そして、制御部110は、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックした後、再度画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合は、画像形成装置20による画像形成動作を停止させ、メディア検知部により検知された物性に基づいて不具合箇所を推定し、ユーザー又はサービスマンにサービスコール(推定した不具合箇所を含む情報)を通知するようにする。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、用紙に画像を転写する転写部23と、転写部23により転写された画像を用紙に定着させる定着部24と、を備え、用紙に画像を形成する画像形成装置20と、画像形成装置20により画像が形成された用紙を検査する画像検査装置40と、画像検査装置40の後段に配置され、用紙の物性を検知するメディア検知部(含水量検知部51、用紙表面性検知部52、用紙抵抗検知部53)を備えるメディア検知装置50と、画像形成装置20、画像検査装置40及びメディア検知装置50を制御する制御部110と、を備える。また、制御部110は、画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、メディア検知部により検知された物性に基づいて画像形成装置20における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、顧客の使用環境(画像形成装置及び用紙の状態)に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知部は、用紙の画像が形成されていない白紙領域の物性を検知する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙の物性を精度よく検知することができるので、より適切な画像形成を行うことが可能となり、画像品質を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知部は、画像検査装置40により検知された異常が白抜けである場合に、物性を検知する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、白抜けが検知された場合に、自動的に適切な画像形成を行わせることができるので、容易に画像品質を担保することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知部は、画像検査装置40により検知された異常が白抜けである場合に、用紙の含水量を検知し、制御部110は、メディア検知部により検知された含水量に基づいて画像形成装置20における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙の状態に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、制御部110は、メディア検知部により検知された含水量が第1閾値未満である場合は定着部24の温度を下げる必要があると判断し、メディア検知部により検知された含水量が第1閾値以上である場合は転写部23の出力値を下げる必要があると判断する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙の状態に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知装置50は、用紙を搬送しながらメディア検知部により用紙の含水量を検知させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙を停止させることなく含水量を検知させることができるので、迅速に適切な画像形成条件に変更することが可能となり、迅速に画像不良の発生を抑制させることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知部は、画像検査装置40により異常が検知された用紙を排出する経路上に配置されている。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙を正常排出する経路上で物性を検知するために用紙を停止させることがなくなるので、滞りなく正常紙を排出することが可能となり、画像形成に係る生産性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、メディア検知装置50は、用紙を停止させた状態でメディア検知部により用紙の表面性を検知させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙の表面性を精度よく検知することができるので、より適切な画像形成を行うことが可能となり、画像品質を向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、制御部110は、メディア検知部により検知された表面性が第2閾値を超えている場合は定着部24の温度を上げる必要があると判断する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙の状態に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、制御部110は、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックした後、再度画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合は、画像形成装置20による画像形成動作を停止させ、メディア検知部により検知された物性に基づいて不具合箇所を推定し、サービスコールを通知する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、画像形成条件の変更後も画像異常が解消されない場合に、不具合箇所を含む情報をユーザーやサービスマンに通知することができるので、画像不良を発生させ続けることがなくなり、資材を無駄にすることを抑制することができる。
【0076】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0077】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、画像形成後の用紙の物性を検知するメディア検知部(含水量検知部51、用紙表面性検知部52、用紙抵抗検知部53)を備えるメディア検知装置50を備える構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、メディア検知装置50に加えて、画像形成装置20の前段に配置され、画像が形成される前の用紙の物性を検知する第2メディア検知部を備える第2メディア検知装置70を備えるようにしてもよい。
【0078】
変形例1に係る画像形成システム1Aは、
図9に示すように、給紙装置10と、給紙装置10の後段に接続された第2メディア検知装置70と、第2メディア検知装置70の後段に接続され、印刷データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置20と、画像形成装置20の後段に接続されたリレーユニット30と、リレーユニット30の後段に接続された画像検査装置40と、画像検査装置40の後段に接続されたメディア検知装置50と、メディア検知装置50の後段に接続されたフィニッシャー60と、を備えて構成されている。
【0079】
第2メディア検知装置70は、用紙の含水量を検知する含水量検知部(第2メディア検知部)71と、用紙の表面性を検知する用紙表面性検知部(第2メディア検知部)72と、用紙の抵抗を検知する用紙抵抗検知部(第2メディア検知部)73と、を備えて構成され、含水量検知部71により給紙装置10から搬送された用紙の含水量を検知させながら、画像形成装置20へと用紙を搬送する
【0080】
次に、変形例1に係る画像形成システム1の動作について説明する。なお、変形例1に係る画像形成システム1の動作は、画像形成条件判断処理の内容が異なる点を除いて、実施形態に係る画像形成システム1の動作(
図5参照)と同様である。
以下、変形例1に係る画像形成条件判断処理の一例(用紙の含水量に基づいて画像形成条件が適切であるか否かを判断する処理)について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0081】
まず、制御部110は、
図10に示すように、第2メディア検知装置70の含水量検知部71により画像形成前の用紙の含水量を、メディア検知装置50の含水量検知部51により画像形成後の用紙の含水量を、それぞれ検知させ、当該検知された画像形成前後の用紙の含水量を取得する(ステップS501)。
【0082】
次に、制御部110は、ステップS501で取得された画像形成前後の用紙の含水量の差分(画像形成前の用紙の含水量と画像形成後の用紙の含水量との差分)を算出する(ステップS502)。
【0083】
次に、制御部110は、ステップS502で算出された含水量の差分が、第1閾値α未満であるか否かを判定する(ステップS503)。
制御部110は、第1閾値α未満であると判定した場合(ステップS503:YES)、次のステップS504へと移行する。
一方、制御部110は、第1閾値α未満でない(すなわち、第1閾値α以上である)と判定した場合(ステップS503:NO)、ステップS506へと移行する。
【0084】
ステップS504において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「定着ユニット(定着部24)」に決定する。
【0085】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである定着ユニット(定着部24)の目標温度をX[℃]下げるように決定し(ステップS505)、
図5のステップS105へと移行して判断結果(決定した画像形成条件)を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
【0086】
ステップS506において、制御部110は、画像形成制御変更ユニットを、「転写ユニット(転写部23)」に決定する。
【0087】
次に、制御部110は、画像形成制御変更ユニットである転写ユニット(転写部23)の用紙転写出力をY[μA]下げるように決定し(ステップS507)、
図5のステップS105へと移行して判断結果(決定した画像形成条件)を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
【0088】
上記のように、変形例1に係る画像形成システム1Aは、画像形成装置20の前段に配置され、画像が形成される前の用紙の物性を検知する第2メディア検知部(含水量検知部71、用紙表面性検知部72、用紙抵抗検知部73)を備える第2メディア検知装置70を備える。また、制御部110は、画像検査装置40により用紙に形成された画像の異常が検知された場合に、メディア検知部により検知された物性と第2メディア検知部により検知された物性との差分に基づいて画像形成装置20における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
したがって、変形例1に係る画像形成システム1Aによれば、画像形成による用紙の物性の変化を精度よく検知することができるので、より適切な画像形成を行うことが可能となり、画像品質を向上させることができる。
【0089】
また、変形例1に係る画像形成システム1Aによれば、メディア検知部及び第2メディア検知部は、ともに用紙の含水量を検知し、制御部110は、メディア検知部により検知された含水量と第2メディア検知部により検知された含水量との差分に基づいて画像形成装置20における画像形成条件の変更を判断し、判断結果を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックする。
したがって、変形例1に係る画像形成システム1Aによれば、用紙の状態に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0090】
また、変形例1に係る画像形成システム1Aによれば、制御部110は、メディア検知部により検知された含水量と第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値未満である場合は定着部24の温度を下げる必要があると判断し、メディア検知部により検知された含水量と第2メディア検知部により検知された含水量との差分が第1閾値以上である場合は転写部23の出力値を下げる必要があると判断する。
したがって、変形例1に係る画像形成システム1Aによれば、用紙の状態に応じて適切な画像形成を行うことができるので、画像不良の発生を低減させて画像品質を担保することができる。
【0091】
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、メディア検知装置50のメディア検知部(含水量検知部51、用紙表面性検知部52、用紙抵抗検知部53)により用紙の物性を検知させる場合に、画像形成後の用紙(画像異常が検出された用紙)の物性を検知させるようにしているが、これに限定されるものではない。
例えば、画像形成後の用紙の物性を検知させる代わりに、画像形成未実施の用紙の物性を検知させるようにしてもよい。画像形成後の用紙は、画像形成未実施の用紙と比べて、画像情報を含んでいる分、用紙の物性にばらつきが生じてしまうため、物性の検知精度が落ちるという課題があるが、画像形成未実施の用紙の物性を検知させることで、物性の検知精度を向上させることができる。具体的には、まず、制御部110は、画像検査装置40により検知された異常が白抜けである場合に、画像形成未実施の用紙(画像形成を実施(開始)していない給紙済みの用紙)を画像形成装置20から排出させる。このとき、排出させる用紙に対して画像形成は実施させず(ただし、定着制御は実施させる)にメディア検知装置50まで搬送させる。その後、メディア検知装置50のメディア検知部により、画像形成装置20から排出された画像形成未実施の用紙の物性を検知させる。すなわち、用紙物性を検知する用紙は、
図11に示すように、第2メディア検知装置70を搬送中の用紙(=画像形成未実施の用紙P4)となる。なお、
図11中の符号P1は白抜けが検知された用紙であり、符号P2は画像形成済みの用紙であり、符号P3は画像形成開始済みの用紙である。
上記のように、制御部110が、画像検査装置40により検知された異常が白抜けである場合に、画像形成未実施の用紙を画像形成装置20から排出させ、メディア検知部が、画像形成装置20から排出された画像形成未実施の用紙の物性を検知することで、用紙の物性を精度よく検知することができるので、より適切な画像形成を行うことが可能となり、画像品質を向上させることができる。
【0092】
また、上記実施形態では、メディア検知装置50及び第2メディア検知装置70による検知対象の物性として、用紙に含まれる水分である含水量、用紙表面の粗さである表面性を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。
例えば、含水量や表面性の代わりに、用紙が持つ抵抗である用紙抵抗値や、用紙の目方向・剛度・紙厚・坪量・紙サイズ等の物性を検知して用いるようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、メディア検知装置50の含水量検知部51をパージトレイT2への排出経路よりも上流(手前)側に配置し、画像検査装置40により画像異常(白抜け)が検知された場合に、用紙の含水量を検知するようにしているが、これに限定されるものではない。
例えば、画像検査装置40により画像異常(白抜け)が検知されたか否かにかかわらず、用紙の含水量を検知するようにしてもよい。
また、含水量検知部51を、用紙表面性検知部52や用紙抵抗検知部53と同様、パージトレイT2への排出経路上に配置するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、画像形成条件判断処理で画像形成条件を決定したタイミングで、当該決定した画像形成条件を画像形成装置20の画像形成制御にフィードバックするようにしているが、これに限定されるものではない。
例えば、
図11に示すように、画像形成システム1内で既に搬送を開始している用紙であって、画像形成未実施、かつ、画像形成条件の変更パラメーターによる画像形成(フィードバック後の画像形成条件による画像形成)が間に合う用紙(例えば、
図11の用紙P4)から、フィードバックを実施するようにしてもよい。
また、
図12に示すように、画像形成システム1内で既に搬送を開始している用紙をすべてパージトレイT2に排出するようにし、新たに給紙装置10から給紙を開始する用紙P6から、フィードバックを実施するようにしてもよい。特に、画像形成条件を変更する際に、フィードバック内容に応じて画像形成ユニットを一旦停止して起ち上げ直す必要がある場合等には、新たに給紙装置10から給紙を開始する用紙P6からフィードバックを実施することが好ましい。なお、
図12中の符号P5は、画像形成条件を決定したタイミングで既に搬送を開始していて、その後パージトレイT2に排出された用紙である。
【0095】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成システム
10 給紙装置
20 画像形成装置
21 中間転写ベルト
22 像形成ユニット
23 転写部
24 定着部
30 リレーユニット
40 画像検査装置
50 メディア検知装置
51 含水量検知部(メディア検知部)
52 用紙表面性検知部(メディア検知部)
53 用紙抵抗検知部(メディア検知部)
60 フィニッシャー
70 第2メディア検知装置
71 含水量検知部(第2メディア検知部)
72 用紙表面性検知部(第2メディア検知部)
73 用紙抵抗検知部(第2メディア検知部)
110 制御部
120 記憶部
T1 排紙トレイ
T2 パージトレイ
P 用紙