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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151744
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061544
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡部 祐介
(72)【発明者】
【氏名】宇部 哲玄
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA25
2H270LA29
2H270LD05
2H270MC44
2H270MD27
2H270QB08
2H270SA09
2H270SB17
2H270SC08
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】画像形成装置の設置場所が不適切であるか否かを正確に検知できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置1は、本体筐体2と、定着装置9と、第1センサ11と、第2センサ12と、制御部13とを備える。第1センサ11は、本体筐体2の側壁21Aの近傍に位置する。第1センサ11は、第1温度および相対湿度を測定可能である。第2センサ12は、本体筐体2の側壁21Bの近傍に位置する。第2センサ12は、第2温度を測定可能である。制御部13は、第2温度に基づいて算出された機内温度THが閾値Tを超えた場合に、本体筐体2内の温度を下げる。制御部13は、定着装置9の目標温度が印刷設定値であり、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値T1以上増加し、かつ、相対湿度から計算された絶対湿度が第2所定値H以上増加した場合(S21:YES)、機内温度THを補正する(S6、S7)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を有する第1側壁と、第1方向において前記第1側壁と反対側に位置する第2側壁と、を有する本体筐体と、
感光ドラムと、
前記感光ドラムにトナーを供給する現像ローラと、
前記感光ドラムからシートに転写されたトナーを加熱により前記シートに定着させる定着装置と、
前記本体筐体の前記第1側壁の近傍に位置し、かつ、前記排気口から離れて位置し、第1温度および相対湿度を測定可能な第1センサと、
前記本体筐体の前記第2側壁の近傍に位置し、かつ、前記定着装置から離れて位置し、第2温度を測定可能な第2センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2温度に基づいて算出された前記現像ローラ近傍の温度が第1閾値を超えた場合に、前記本体筐体内の温度を下げるためのクーリングダウン処理と、
前記定着装置の目標温度が印刷設定値であり、第1時間前と比較して、前記第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、前記相対湿度から計算された絶対湿度が第2所定値以上増加した場合、前記現像ローラ近傍の温度を補正する補正処理と、を行う、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記クーリングダウン処理において、前記現像ローラ近傍の温度が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満となるまで、前記定着装置の目標温度を、前記印刷設定値未満に変更する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記補正処理において、前記現像ローラ近傍の温度を、前記第2温度に基づいて算出された値よりも高くする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記補正処理において、一定時間ごとに変化する補正値を、前記第2温度に基づいて算出された前記現像ローラ近傍の温度に加算する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、表示部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記第1時間前と比較して、前記第1温度が前記第1所定値以上増加し、かつ、前記絶対湿度が前記第2所定値以上増加した場合、前記表示部に、前記画像形成装置の設置場所が不適切である旨の表示を、表示させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、表示部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記第1時間前と比較して、前記第1温度が前記第1所定値以上増加し、かつ、前記絶対湿度が前記第2所定値以上増加した場合、前記表示部に、前記クーリングダウン処理を実行するまでの時間が短くなる旨の表示を、表示させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、機内温度検知センサと外気温度検知センサとを備える。画像形成装置は、機内温度検知センサの検知結果と外気温度検知センサの検知結果との差が所定温度以上である場合、画像形成装置の設置場所が不適切であることを報知する(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-58756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成装置の設置場所が適切であっても、空調設備などの影響で画像形成装置周辺の温度が変化した場合、誤って、画像形成装置の設置場所が不適切であると判断される可能性がある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、画像形成装置の設置場所が不適切であるか否かを正確に検知できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の画像形成装置は、本体筐体と、感光ドラムと、現像ローラと、定着装置と、第1センサと、第2センサと、制御部とを備える。本体筐体は、第1側壁と、第2側壁とを有する。第1側壁は、排気口を有する。第2側壁は、第1方向において、第1側壁と反対側に位置する。現像ローラは、感光ドラムにトナーを供給する。定着装置は、感光ドラムからシートに転写されたトナーを、加熱により、シートに定着させる。
【0007】
第1センサは、本体筐体の第1側壁の近傍に位置する。第1センサは、排気口から離れて位置する。第1センサは、第1温度および相対湿度を測定可能である。第2センサは、本体筐体の第2側壁の近傍に位置する。第2センサは、定着装置から離れて位置する。第2センサは、第2温度を測定可能である。
【0008】
制御部は、クーリングダウン処理と、補正処理とを実行する。
【0009】
制御部は、第2温度に基づいて算出された現像ローラ近傍の温度が第1閾値を超えた場合に、クーリングダウン処理を実行する。制御部は、クーリングダウン処理において、本体筐体内の温度を下げる。
【0010】
制御部は、前記定着装置の目標温度が印刷設定値であり、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、相対湿度から計算された絶対湿度が第2所定値以上増加した場合、補正処理を実行する。制御部は、補正処理において、現像ローラ近傍の温度を補正する。
【0011】
このような構成によれば、第1時間内における第1温度の増加量だけでなく、第1時間内における絶対湿度の増加量も条件として、現像ローラ近傍の温度を補正する。
【0012】
ここで、印刷処理が実行されている場合、定着装置でシートが加熱されたときに、シートに含まれている水分が蒸発する。
【0013】
そのため、画像形成装置の設置場所が不適切であると、本体筐体内の湿気が適切に本体筐体外に排出されず、本体筐体内の絶対湿度が過度に増加する可能性がある。
【0014】
一方、画像形成装置の設置場所が適切であれば、本体筐体内の湿気が適切に本体筐体外に排出されるので、本体筐体内の絶対湿度の増加は、抑制される。
【0015】
そのため、画像形成装置の設置場所が適切であり、空調設備などの影響で画像形成装置周辺の温度が増加している場合、本体筐体内の絶対湿度の増加量が第2所定値未満になる。
【0016】
その結果、画像形成装置の設置場所が適切であるか否かを正確に検知できる。
【0017】
(2)制御部は、クーリングダウン処理において、現像ローラ近傍の温度が第1閾値よりも低い第2閾値未満となるまで、定着装置の目標温度を、印刷設定値未満に変更する。
【0018】
このような構成によれば、制御部は、印刷処理を中断し、定着装置の目標温度を印刷設定値未満に変更することにより、現像ローラ近傍の温度を低下させることができる。
【0019】
(3)制御部は、補正処理において、現像ローラ近傍の温度を、第2温度に基づいて算出された値よりも高くするとよい。
【0020】
このような構成によれば、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合、すなわち、印刷処理により、第1温度および絶対湿度が過度に増加した場合、現像ローラ近傍の温度を高くするように補正する。
【0021】
これにより、補正された「現像ローラ近傍の温度」が閾値を超え易くし、クーリングダウン処理を補正前よりも早期に実行できる。
【0022】
その結果、クーリングダウン処理が実行される頻度を増加させることができる。
【0023】
(4)制御部は、補正処理において、一定時間ごとに変化する補正値を、第2温度に基づいて算出された現像ローラ近傍の温度に加算してもよい。
【0024】
このような構成によれば、一定時間ごとに変化する補正値を加算することにより、現像ローラ近傍の温度を、第1温度および絶対湿度の増加に合わせて高くすることができる。
【0025】
その結果、現像ローラ近傍の温度の算出結果が急変することを抑制できる。
【0026】
(5)画像形成装置は、表示部を、さらに備えてもよい。制御部は、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合、表示部に、画像形成装置の設置場所が不適切である旨の表示を、表示させてもよい。
【0027】
このような構成によれば、ユーザに設置場所を変えるよう、促すことができる。
【0028】
(6)制御部は、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合、表示部に、クーリングダウン処理を実行するまでの時間が短くなる旨の表示を、表示させてもよい。
【0029】
このような構成によれば、クーリングダウン処理の頻度が増加することを、ユーザに予告できる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の画像形成装置によれば、画像形成装置の設置場所が不適切であるか否かを正確に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置において、定着装置、第1センサ、第2センサ、ファン、および、制御部の配置を説明するための説明図である。
図3図3は、図1に示す画像形成装置の制御を説明するためのブロック図である。
図4図4は、画像形成装置の制御を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、図4における設置不適切状態検出処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
1.画像形成装置1の概略
図1を参照して、画像形成装置1の概略について説明する。
【0033】
画像形成装置1は、本体筐体2と、シート収容部3と、感光ドラム4と、帯電装置5と、露光装置6と、現像カートリッジ7と、転写装置8と、定着装置9とを備える。
【0034】
1.1 本体筐体2
本体筐体2は、シート収容部3と、感光ドラム4と、帯電装置5と、露光装置6と、現像カートリッジ7と、転写装置8と、定着装置9とを収容する。
【0035】
1.2 シート収容部3
シート収容部3は、シートSを収容可能である。シートSは、例えば、印刷用紙である。シートSは、感光ドラム4に向かって搬送される。
【0036】
1.3 感光ドラム4
感光ドラム4は、円筒形状を有する。感光ドラム4は、第1方向に延びる。感光ドラム4は、軸A1について回転可能である。軸A1は、第1方向に延びる。
【0037】
1.4 帯電装置5
帯電装置5は、感光ドラム4の表面を帯電させる。帯電装置5は、スコロトロン型帯電器である。帯電装置5は、帯電ローラであってもよい。
【0038】
1.5 露光装置6
露光装置6は、帯電装置5によって帯電された感光ドラム4の表面を露光する。露光装置6は、レーザースキャンユニットである。露光装置6は、LEDアレイであってもよい。
【0039】
1.6 現像カートリッジ7
現像カートリッジ7は、本体筐体2内に装着可能である。現像カートリッジ7は、感光ドラム4上にトナーを供給する。詳しくは、現像カートリッジ7は、露光装置6によって露光された感光ドラム4の表面上にトナーを供給する。現像カートリッジ7は、現像筐体71と、現像ローラ72と、層厚規制ブレード73とを有する。言い換えると、画像形成装置1は、現像ローラ72を有する。
【0040】
現像筐体71は、トナーを収容可能である。
【0041】
現像ローラ72は、現像筐体71内のトナーを感光ドラム4の表面に供給可能である。現像ローラ72は、感光ドラム4と接触する。現像ローラ72は、所定の間隔をあけて感光ドラム4から離れていてもよい。現像ローラ72は、円柱形状を有する。現像ローラ72は、第1方向に延びる。現像ローラ72は、軸A2について回転可能である。軸A2は、第1方向に延びる。
【0042】
層厚規制ブレード73は、現像ローラ72上のトナーの層厚を規制する。なお、層厚規制ブレード73の温度が過度に上昇すると、現像ローラ72上のトナーが層厚規制ブレード73の熱で溶融し、層厚規制ブレード73に固着する可能性がある。層厚規制ブレード73にトナーが過度に固着すると、印刷画像にムラが生じる場合がある。そのため、層厚規制ブレード73の温度を制御する必要がある。
【0043】
1.7 転写装置8
転写装置8は、感光ドラム4上のトナーをシートSに転写する。本実施形態では、転写装置8は、転写ローラ81を有する。
【0044】
転写ローラ81は、感光ドラム4と接触する。転写ローラ81は、所定の間隔をあけて感光ドラム4から離れていてもよい。シート収容部3内のシートSは、感光ドラム4と転写ローラ81との間を通って、定着装置9へ搬送される。転写ローラ81は、感光ドラム4上のトナーを、感光ドラム4と転写ローラ81との間を通るシートSに転写する。転写ローラ81は、円柱形状を有する。転写ローラ81は、第1方向に延びる。転写ローラ81は、軸A3について回転可能である。軸A3は、第1方向に延びる。転写装置8は、転写ベルトを有してもよい。
【0045】
1.8 定着装置9
定着装置9は、トナーが転写されたシートSを加熱および加圧する。定着装置9は、感光ドラム4からシートSに転写されたトナーを、加熱により、シートSに定着させる。定着装置9を通過したシートSは、本体筐体2の上面に排紙される。
【0046】
2.画像形成装置1の詳細
次に、図2および図3を参照して、画像形成装置1の詳細について説明する。
【0047】
図2に示すように、画像形成装置1は、第1センサ11と、第2センサ12と、制御部13と、表示部14(図1参照)と、ファン15とを備える。
【0048】
2.1 本体筐体2の詳細
本体筐体2は、2つの側壁21A,21Bと、2つの内壁22A,22Bとを有する。
【0049】
側壁21Aは、第1方向における本体筐体2の一方の外壁である。側壁21Aは、第1方向において、本体筐体2の一端部に位置する。側壁21Aは、上下方向および第2方向に延びる。第2方向は、第1方向および上下方向の両方と交差する。第2方向は、好ましくは、第1方向および上下方向と直交する。側壁21Aは、排気口23を有する。
【0050】
側壁21Bは、第1方向における本体筐体2の他方の外壁である。側壁21Bは、第1方向において、本体筐体2の他端部に位置する。側壁21Bは、第1方向において、側壁21Aと反対側に位置する。側壁21Bは、第1方向において、側壁21Aから離れて位置する。側壁21Aは、上下方向および第2方向に延びる。
【0051】
内壁22Aは、第1方向において、側壁21Aと側壁21Bとの間に位置する。内壁22Aは、第1方向において、側壁21Aから離れて位置する。内壁22Aは、上下方向および第2方向に延びる。
【0052】
内壁22Bは、第1方向において、内壁22Aと側壁21Bとの間に位置する。内壁22Bは、第1方向において、内壁22Aから離れて位置する。内壁22Bは、上下方向および第2方向に延びる。感光ドラム4、現像カートリッジ7および定着装置9は、第1方向において、内壁22Aと内壁22Bとの間に位置する。
【0053】
2.2 第1センサ11
第1センサ11は、第1方向において、本体筐体2の側壁21Aの近傍に位置する。第1センサ11は、第1方向において、側壁21Aと内壁22Aとの間に位置する。第1センサ11は、第2方向において、定着装置9から離れて位置する。第1センサ11は、第2方向において、感光ドラム4に対して、定着装置9の反対側に位置する。第1センサ11は、第2方向において、排気口23から離れて位置する。第1センサ11は、第2方向において、感光ドラム4に対して、排気口23の反対側に位置する。第1センサ11は、第1温度および相対湿度を測定可能である。
【0054】
2.3 第2センサ12
第2センサ12は、第1方向において、本体筐体2の側壁21Bの近傍に位置する。第2センサ12は、第1方向において、側壁21Bと内壁22Bとの間に位置する。第2センサ12は、第2方向において、定着装置9から離れて位置する。第2センサ12は、第2方向において、現像ローラ72の側方に位置する。第2センサ12は、第2温度を測定可能である。第2温度は、現像ローラ72と近接あるいは接触する層厚規制ブレード73の温度とは異なる。
【0055】
2.4 制御部13
制御部13は、図3に示すように、第1センサ11、第2センサ12、表示部14、および、ファン15と電気的に接続される。制御部13は、プロセッサとメモリとを有する回路基板である。図2に示すように、制御部13は、第1方向において、側壁21Aと内壁22Aとの間に位置する。プロセッサとして、例えば、CPUが挙げられる。メモリは、揮発性メモリであってもよく、不揮発性メモリであってもよい。メモリとして、例えば、RAM、ROMが挙げられる。
【0056】
2.5 表示部14
図1に示すように、表示部14は、本体筐体2の上面に位置する。表示部14は、例えば、画像形成装置1の操作パネルのディスプレイである。
【0057】
2.6 ファン15
図2に示すように、ファン15は、本体筐体2内において、排気口23に向かう気流を発生させる。ファン15は、第1方向において、本体筐体2の側壁21Aの近傍に位置する。ファン15は、第1方向において、側壁21Aと定着装置9との間に位置する。
【0058】
3.画像形成装置1の制御
次に、図4および図5を参照して、画像形成装置1の制御について説明する。
【0059】
制御部13は、画像形成装置1の設置場所が不適切である場合、クーリングダウン処理の頻度を増加させる。
【0060】
画像形成装置1の設置場所が不適切である場合とは、具体的には、排気口23が壁に面している場合である。制御部13は、クーリングダウン処理において、定着装置9への電力供給の停止するとともに、定着装置9の目標温度を印刷設定値未満に下げる、および、次のシートSの供給を停止させるなどして、本体筐体2内の温度を下げる。
【0061】
制御部13は、画像形成装置1が稼働状態にされると、まず、定着装置9の目標温度が印刷設定値になってからの経過時間Tn、定着装置9の目標温度が印刷設定値ではなくなってからの経過時間Tm、および、画像形成装置1の設置場所が不適切である場合のフラグをリセットする(S1)。なお、画像形成装置1の設置場所が不適切である場合、フラグは、1である。画像形成装置1の設置場所が適切である場合、フラグは、0である。フラグをリセットするとは、フラグは、0にすることを指す。
【0062】
次に、制御部13は、設置不適切状態検出処理(S2)を実行する。「設置不適切状態検出処理」とは、画像形成装置1の設置場所が不適切であることを検出するための処理である。
【0063】
3.1 設置不適切状態検出処理
図5に示すように、設置不適切状態検出処理(S2)では、制御部13は、まず、「第1時間前の第1温度に対する現在の第1温度の増加量ΔT(out)」、および、「第1時間前の絶対湿度に対する現在の絶対湿度の増加量ΔH」に基づいて、設置場所が不適切であるか否か判断する。絶対湿度は、制御部13において、第1センサ11によって測定された相対湿度から計算される。
【0064】
増加量ΔT(out)が第1所定値T1未満であるか、または、増加量ΔHが第2所定値H未満である場合(S21:NO)、画像形成装置1の設置場所は、適切である。
【0065】
一方、増加量ΔT(out)が第1所定値T1以上であり、かつ、増加量ΔHが第2所定値H以上である場合(S21:YES)、画像形成装置1の設置場所は、不適切である。
【0066】
第1時間は、例えば、1500秒である。第1所定値T1は、例えば、4℃である。第2所定値Hは、例えば、2g/cmである。
【0067】
3.1.1 画像形成装置1の設置場所が適切である場合(S21:NO)の処理
画像形成装置1の設置場所が適切である場合、制御部13は、フラグが0であるか確認する(S22)。
【0068】
制御部13は、フラグが1である場合(S22:NO)、フラグを0にする(S23)。
【0069】
また、制御部13は、フラグが1から0になってからの経過時間Tを0にして、経過時間Tの計測を開始する(S23)。また、制御部13は、フラグが切り替わる直前の補正値ΔRとして、処理(S23)を実行する時点での補正値ΔRを記憶する(S23)。また、画像形成装置1のモードが切り替わる直前の機内温度THとして、処理(S23)を実行する時点での機内温度THを記憶する(S23)。画像形成装置1のモードについては後で説明する。補正値ΔRは、後述する処理(S26)、処理(S27)、処理(S32)または処理(S33)で計算される。また、機内温度THは、後述する処理(S6)、処理(S7)、処理(S12)または処理(S13)で計算される。
【0070】
一方、制御部13は、フラグが0である場合(S22:NO)、処理(S23)を実行しない。
【0071】
次に、制御部13は、画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージを非表示にする(S24)。詳しくは、制御部13は、表示部14に画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージが表示されている場合(S22:NOの場合)、そのメッセージを消す。一方、制御部13は、表示部14に画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージが表示されていない場合(S22:YESの場合)、その状態を維持する。
【0072】
次に、制御部13は、補正値ΔRを計算する。補正値ΔRは、後述する機内温度THの計算に用いられる。
【0073】
経過時間Tが所定時間T2以下である場合(S25:NO)、制御部13は、第1補正値計算処理(S26)を実行する。
【0074】
所定時間T2は、例えば、20秒である。
【0075】
第1補正値計算処理では、以下の計算式(1)により、補正値ΔRを計算する。
【0076】
計算式(1):
補正値ΔR=補正値ΔR×(1-経過時間T/所定時間T2)
つまり、補正値ΔRは、一定時間ごとに変化する。
【0077】
一方、経過時間Tが所定時間T2を超えている場合(S25:YES)、補正値ΔRを0に設定する(S27)。
【0078】
3.1.2 画像形成装置1の設置場所が不適切である場合(S21:YES)の処理
画像形成装置1の設置場所が適切である場合、制御部13は、フラグが1であるか確認する(S28)。
【0079】
制御部13は、フラグが0である場合(S28:NO)、フラグを1にする(S29)。
【0080】
また、制御部13は、フラグが0から1になってからの経過時間TNGを0にして、経過時間TNGの計測を開始する(S29)。また、制御部13は、補正値ΔRとして、処理(S29)を実行する時点での補正値ΔRを記憶する(S29)。また、機内温度THとして、処理(S23)を実行する時点での機内温度THを記憶する(S29)
一方、制御部13は、フラグが1である場合(S28:NO)、処理(S29)を実行しない。
【0081】
次に、制御部13は、画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージを表示する(S30)。つまり、制御部13は、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値T1以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値H以上増加した場合(S21:YES)、表示部14に、画像形成装置1の設置場所が不適切である旨の表示を、表示させる。なお、制御部13は、表示部14に、クーリングダウン処理を実行するまでの時間が短くなる旨の表示を、表示させてもよい。
【0082】
詳しくは、表示部14に画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージが表示されていない場合(S28:NOの場合)、制御部13は、画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージを、表示部14に表示させる。一方、表示部14に画像形成装置1の設置場所が不適切である旨のメッセージが表示されている場合(S28:YESの場合)、制御部13は、その状態を維持する。
【0083】
次に、制御部13は、補正値ΔRを計算する。
【0084】
経過時間TNGが所定時間T2以下である場合(S31:NO)、制御部13は、第2補正値計算処理(S32)を実行する。
【0085】
第2補正値計算処理では、以下の計算式(2)により、補正値ΔRを計算する。
【0086】
計算式(2):
補正値ΔR=2×(経過時間TNG/所定時間T2)+補正値ΔR×(1-経過時間TNG/所定時間T2)
一方、経過時間TNGが所定時間T2を超えている場合(S31:YES)、補正値ΔRを2に設定する(S33)。
【0087】
補正値ΔRの計算および設定が完了すると、制御部13は、設置不適切状態検出処理(S2)を終了する。
【0088】
3.2 機内温度THの計算
次に、制御部13は、設置不適切状態検出処理(S2)で計算された補正値ΔRに基づいて、機内温度THを補正する。機内温度THとは、現像ローラ72近傍の層厚規制ブレード73の推定温度である。機内温度THは、第2センサ12によって測定された第2温度に基づいて算出される。
【0089】
制御部13は、定着装置9の目標温度が印刷設定値である場合、すなわち、印刷中である場合(S3:YES)、定着装置9の目標温度が印刷設定値ではなくなってからの経過時間Tmを0にして(S4)、定着装置9の目標温度が印刷設定値になってからの経過時間Tnが所定時間Tn1を超えている場合(S5:NO)、第1機内温度計算処理(S6)を実行する。
【0090】
所定時間Tn1は、例えば、20秒である。
【0091】
制御部13は、第1機内温度計算処理(S6)では、以下の計算式(A)により、機内温度THを補正する。つまり、定着装置9の目標温度が印刷設定値であり(S3:YES)、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値T1以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値H以上増加した場合(S21:YES)、制御部13は、機内温度THを補正する。第1機内温度計算処理(S6)は、補正処理の一例である。
【0092】
計算式(A):
機内温度TH=a×log(第2温度)+b×log(第2温度)+c+補正値ΔR
なお、上記計算式(A)において、「a×log(第2温度)+b×log(第2温度)+c」は、補正しない場合の機内温度THである。補正しない場合の機内温度THは、第2温度に基づいて算出される。つまり、制御部13は、補正処理において、一定時間ごとに変化する補正値ΔRを、補正しない場合の機内温度THに加算する。これにより、制御部13は、補正処理において、機内温度THを、第2温度に基づいて算出された値よりも高くする。なお、a、b、cは、実験結果からの重回帰分析によって求められた係数である。
【0093】
一方、制御部13は、経過時間Tnが所定時間Tn1以下である場合(S5:YES)、第2機内温度計算処理(S7)を実行する。
【0094】
制御部13は、第2機内温度計算処理(S7)では、以下の計算式(B)により、機内温度THを補正する。つまり、第2機内温度計算処理(S7)も、補正処理の一例である。
【0095】
計算式(B):
機内温度TH={a×log(第2温度)+b×log(第2温度)+c+補正値ΔR}×Tn÷Tn1+TH×(Tn1-Tn)÷Tn1
また、制御部13は、定着装置9の目標温度が印刷設定値ではない場合、すなわち、印刷中でない場合(S3:NO)、定着装置9の目標温度が印刷設定値になってからの経過時間Tnを0にして(S8)、定着装置9の目標温度が印刷設定値ではなくなってからの経過時間Tmが所定時間Tm1以下である場合(S9:YES)、第3機内温度計算処理(S10)を実行する。
【0096】
所定時間Tm1は、例えば、400秒である。
【0097】
制御部13は、第3機内温度計算処理(S10)では、以下の計算式(C)により、機内温度THを計算する。なお、第3機内温度計算処理(S10)および第4機内温度計算処理(S11)では、補正値ΔRによって機内温度THを補正しない。
【0098】
計算式(C):
機内温度TH=TH×(Tm1-Tm)÷Tm1+第2温度×Tm÷Tm1
一方、制御部13は、経過時間Tmが所定時間Tm1を超えている場合(S9:NO)、第4機内温度計算処理(S11)を実行する。
【0099】
制御部13は、第4機内温度計算処理(S11)では、以下の計算式(D)により、機内温度THを計算する。
【0100】
計算式(D):
機内温度TH=第2温度
3.3 クーリングダウン処理
次に、制御部13は、計算された機内温度THが第1閾値TH1を超えた場合(S12:YES)、クーリングダウン処理を実行し(S13)、再度、設置不適切検出処理(S2)を実行する。
【0101】
第1閾値TH1は、例えば、42℃である。
【0102】
一方、制御部13は、計算された機内温度THが第2閾値TH2未満である場合(S12:NO、S14:NO)、クーリングダウン処理を解除して(S15)、再度、設置不適切検出処理(S2)を実行する。第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも低い。
【0103】
第2閾値TH2は、例えば、41℃である。
【0104】
また、制御部13は、計算された機内温度THが第1閾値TH1未満であり、第2閾値TH2を超えている場合(S12:NO、S14:YES)、クーリングダウン処理を維持して、再度、設置不適切検出処理(S2)を実行する。
【0105】
つまり、制御部13は、クーリングダウン処理(S13)において、機内温度THが第2閾値TH2未満となるまで、定着装置9の目標温度を、印刷設定値未満に変更する。
【0106】
4.作用効果
(1)画像形成装置1によれば、図5に示すように、第1時間内における第1温度の増加量ΔT(out)だけでなく、第1時間内における絶対湿度の増加量ΔHも条件として(S21)、機内温度THを補正する(S6、S7)。
【0107】
ここで、印刷処理が実行されている場合、定着装置9でシートSが加熱されたときに、シートSに含まれている水分が蒸発する。
【0108】
そのため、画像形成装置1の設置場所が不適切であり、排気口23が壁に面していると、本体筐体2内の湿気が排気口23から本体筐体2外に排出されず、本体筐体2内の絶対湿度が過度に増加する可能性がある。
【0109】
一方、画像形成装置1の設置場所が適切であれば、本体筐体2内の湿気が排気口23から本体筐体2外に排出されるので、本体筐体2内の絶対湿度の増加は、抑制される。
【0110】
そのため、画像形成装置1の設置場所が適切であり、空調設備などの影響で画像形成装置1周辺の温度が増加している場合、本体筐体2内の絶対湿度の増加量ΔHが第2所定値H未満になる。
【0111】
その結果、画像形成装置1の設置場所が適切であるか否かを正確に検知できる。
【0112】
(2)画像形成装置1によれば、制御部13は、クーリングダウン処理(S13)において、機内温度THが第2閾値TH2未満(S14:NO)となるまで、定着装置9の目標温度を下げる。
【0113】
制御部13は、印刷処理を中断し、定着装置9の目標温度を下げることにより、現像ローラ72近傍の温度を低下させることができる。
【0114】
(3)画像形成装置1によれば、制御部13は、補正処理の一例である第1機内温度計算処理(S6)および第2機内温度計算処理(S7)において、機内温度THを、第2温度に基づいて算出された値よりも高くする。
【0115】
これにより、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合(S21:YES、図5参照)、すなわち、印刷処理により、第1温度および絶対湿度が過度に増加した場合、機内温度THを高くするように補正する。
【0116】
そのため、補正された機内温度THが第1閾値T1を超えた場合に(S12:YES)、クーリングダウン処理(S13)を実行できる。
【0117】
その結果、クーリングダウン処理が実行される頻度を増加させることができる。
【0118】
(4)画像形成装置1によれば、第1機内温度計算処理(S6)および第2機内温度計算処理(S7)において、一定時間ごとに変化する補正値ΔRを、機内温度THに加算する。
【0119】
一定時間ごとに変化する補正値ΔRを加算することにより、機内温度THを、第1温度および絶対湿度の増加に合わせて、徐々に高くすることができる。
【0120】
その結果、機内温度THの算出結果が急変することを抑制できる。
【0121】
(5)画像形成装置1によれば、図5に示すように、制御部13は、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合(S21:YES)、表示部14(図1参照)に、画像形成装置1の設置場所が不適切である旨の表示を、表示させる。
【0122】
これにより、ユーザに設置場所を変えるよう、促すことができる。
【0123】
(6)画像形成装置1によれば、図5に示すように、制御部13は、第1時間前と比較して、第1温度が第1所定値以上増加し、かつ、絶対湿度が第2所定値以上増加した場合(S21:YES)、表示部14に、クーリングダウン処理を実行するまでの時間が短くなる旨の表示を、表示させる。
【0124】
これにより、クーリングダウン処理の頻度が増加することを、ユーザに予告できる。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
2 本体筐体
4 感光ドラム
9 定着装置
11 第1センサ
12 第2センサ
13 制御部
14 表示部
21A 側壁(第1側壁)
21B 側壁(第2側壁)
23 排気口
72 現像ローラ
TH 機内温度
TH1 第1閾値
TH2 第2閾値
図1
図2
図3
図4
図5