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特開2023-151804作業用機器管理システム、作業用機器管理方法及び作業用機器管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151804
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】作業用機器管理システム、作業用機器管理方法及び作業用機器管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061630
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 博人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】作業用機器が配置されている階数を気圧で特定する場合における精度の向上を解決課題とする。
【解決手段】所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定階気圧を取得すると、所定階気圧の取得箇所の高さと所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として所定階について算出する第2の処理と、所定階における理論標準高度と実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、機器気圧及び補正標準高度に基づいて、複数の作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造を有する建築物内の作業で使用される複数の作業用機器を管理する作業用機器管理システムであって、
前記複数の作業用機器の各々に設けられた気圧センサーの検出値である機器気圧、及び、前記建築物内の所定箇所に設けられた気圧センサーの検出値である基準気圧に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が配置されている階数を特定する処理部を備え、
前記処理部は、
気圧と標高との関係を表した一般式に基づく前記建築物の各階の理論気圧に関連する値である第1関連値を各階について算出した後、各階と前記所定箇所との実際の高さの差分と前記第1関連値との関係値を理論標準高度として各階について算出する第1の処理と、
配置箇所の高さが既知であり且つ前記所定箇所の階とは異なる所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定階気圧を取得すると、前記所定階気圧の取得箇所の高さと前記所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として前記所定階について算出する第2の処理と、
前記所定階における前記理論標準高度と前記実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、
前記機器気圧及び前記補正標準高度に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行する、
作業用機器管理システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1の処理においては、気圧と標高との関係を表した一般式に基づく前記建築物の各階の理論気圧から前記基準気圧を差し引いた理論気圧差を各階について算出した後、各階と前記所定箇所との実際の高さの差分を前記理論気圧差で除算した値を、単位気圧あたりの高さである前記理論標準高度として各階について算出し、
前記第2の処理においては、前記所定階気圧を取得すると、前記所定階気圧から前記基準気圧を差し引いた実気圧差を算出した後、前記所定階気圧の取得箇所の高さを前記実気圧差で除算した値を、単位気圧あたりの高さである前記実標準高度として前記所定階について算出し、
前記第3の処理においては、前記所定階における前記理論標準高度と前記実標準高度との差分をオフセット値として算出した後、前記理論標準高度を前記オフセット値で補正した前記補正標準高度を算出する、
請求項1に記載の作業用機器管理システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記第4の処理において、前記機器気圧から前記基準気圧を差し引いた差分値を、前記所定階における前記補正標準高度又は前記実標準高度で乗算することによって算出した標高から、前記複数の作業用機器の各々が所在する階の仮判定を行う、
請求項2に記載の作業用機器管理システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記第4の処理において、前記機器気圧から前記基準気圧を差し引いた差分値を、前記仮判定された階における前記補正標準高度で乗算することによって算出した標高から、前記複数の作業用機器の各々が所在する階の本判定を行う、
請求項3に記載の作業用機器管理システム。
【請求項5】
前記所定箇所とは、前記建築物の地上付近の階である、
請求項1から4の何れか一項に記載の作業用機器管理システム。
【請求項6】
前記作業用機器は、昇降自在な高所作業台を備える高所作業車であり、
前記機器気圧は、前記高所作業台に設けられた気圧センサーの検出値である、
請求項1に記載の作業用機器管理システム。
【請求項7】
階層構造を有する建築物内の作業で使用される複数の作業用機器を管理する作業用機器管理方法であって、
前記複数の作業用機器の各々に設けられた気圧センサーの検出値である機器気圧、及び、前記建築物内の所定箇所に設けられた気圧センサーの検出値である基準気圧に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が配置されている階数を特定する処理部に、
気圧と標高との関係を表した一般式に基づく前記建築物の各階の理論気圧に関連する値である第1関連値を各階について算出した後、各階と前記所定箇所との実際の高さの差分と前記第1関連値との関係値を理論標準高度として各階について算出する第1の処理と、
配置箇所の高さが既知であり且つ前記所定箇所の階とは異なる所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定階気圧を取得すると、前記所定階気圧の取得箇所の高さと前記所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として前記所定階について算出する第2の処理と、
前記所定階における前記理論標準高度と前記実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、
前記機器気圧及び前記補正標準高度に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行する、
作業用機器管理方法。
【請求項8】
階層構造を有する建築物内の作業で使用される複数の作業用機器を管理する作業用機器管理プログラムであって、
前記複数の作業用機器の各々に設けられた気圧センサーの検出値である機器気圧、及び、前記建築物内の所定箇所に設けられた気圧センサーの検出値である基準気圧に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が配置されている階数を特定するコンピュータに、
気圧と標高との関係を表した一般式に基づく前記建築物の各階の理論気圧に関連する値である第1関連値を各階について算出した後、各階と前記所定箇所との実際の高さの差分と前記第1関連値との関係値を理論標準高度として各階について算出する第1の処理と、
配置箇所の高さが既知であり且つ前記所定箇所の階とは異なる所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定階気圧を取得すると、前記所定階気圧の取得箇所の高さと前記所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として前記所定階について算出する第2の処理と、
前記所定階における前記理論標準高度と前記実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、
前記機器気圧及び前記補正標準高度に基づいて、前記複数の作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行させる、
作業用機器管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用機器管理システム、作業用機器管理方法及び作業用機器管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場においては、資材を運搬する運搬車や高所作業車等の作業車両、その他各種の作業用機器が用いられる。これらの作業用機器は、複数の作業者によって共用される場合がある。そこで、このような作業用機器を共用しやすくするための各種管理手法が提案されている(例えば、特許文献1-4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-175224号公報
【特許文献2】特開2019-179357号公報
【特許文献3】特許第6474948号公報
【特許文献4】特許第6960798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
階層構造を有する建築物の建築現場で作業用機器が配置されている階を特定する手法として、作業用機器に設けた気圧センサーによって検出される気圧を用いたものが考えられる。この場合、例えば、基準となる階の気圧センサーによって検出される気圧と、作業用機器に設けた気圧センサーによって検出される気圧とを比較することにより、作業用機器が配置されている階を特定することが可能である。しかしながら、気象条件は時々刻々と変化するため、このような手法の場合、作業用機器が配置されている階の特定を誤る可能性がある。
【0005】
そこで、本願は、作業用機器が配置されている階数を気圧で特定する場合における精度の向上を解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、単位気圧あたりの高さである標準高度を用いることにした。
【0007】
詳細には、本発明は、階層構造を有する建築物内の作業で使用される複数の作業用機器を管理する作業用機器管理システムであって、複数の作業用機器の各々に設けられた気圧センサーの検出値である機器気圧、及び、建築物内の所定箇所に設けられた気圧センサーの検出値である基準気圧に基づいて、複数の作業用機器の各々が配置されている階数を特定する処理部を備え、処理部は、気圧と標高との関係を表した一般式に基づく建築物の各階の理論気圧に関連する値である第1関連値を各階について算出した後、各階と所定箇所との実際の高さの差分と第1関連値との関係値を理論標準高度として各階について算出する第1の処理と、配置箇所の高さが既知であり且つ所定箇所の階とは異なる所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定階気圧を取得すると、所定階気圧の取得箇所の高さと所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として所定階について算出する第2の処理と、所定階における理論標準高度と実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、機器気圧及び補正標準高度に基づいて、複数の
作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行する。
【0008】
上記によれば、気圧と標高との関係を表した一般式を使って理論標準高度を特定し、これを実際の気圧に基づいて補正した補正標準高度から階数の判別を行っているため、理論値と実測値の何れにも偏らない計算処理に基づく階数の判別が可能である。よって、例えば、実測値のみに基づく階数の判別に比べて、作業用機器が配置されている階数の特定を精度良く行うことが可能となる。
【0009】
なお、処理部は、第1の処理においては、気圧と標高との関係を表した一般式に基づく建築物の各階の理論気圧から基準気圧を差し引いた理論気圧差を各階について算出した後、各階と所定箇所との実際の高さの差分を理論気圧差で除算した値を、単位気圧あたりの高さである理論標準高度として各階について算出し、第2の処理においては、所定階気圧を取得すると、所定階気圧から基準気圧を差し引いた実気圧差を算出した後、所定階気圧の取得箇所の高さを実気圧差で除算した値を、単位気圧あたりの高さである実標準高度として所定階について算出し、第3の処理においては、所定階における理論標準高度と実標準高度との差分をオフセット値として算出した後、理論標準高度をオフセット値で補正した補正標準高度を算出してもよい。これによれば、気圧と標高との関係を表した一般式を使って、単位気圧あたりの高さである理論標準高度を特定し、これを実際の気圧に基づいて補正した補正標準高度から階数の判別を行っているため、理論値と実測値の何れにも偏らない計算処理に基づく階数の判別が可能である。よって、例えば、実測値のみに基づく階数の判別に比べて、作業用機器が配置されている階数の特定を精度良く行うことが可能となる。
【0010】
また、処理部は、第4の処理において、機器気圧から基準気圧を差し引いた差分値を、所定階における補正標準高度又は前記実標準高度で乗算することによって算出した標高から、複数の作業用機器の各々が所在する階の仮判定を行ってもよい。これによれば、作業用機器が配置されている階数の特定に要する計算を簡素化可能である。
【0011】
また、処理部は、第4の処理において、機器気圧から基準気圧を差し引いた差分値を、仮判定された階における補正標準高度で乗算することによって算出した標高から、複数の作業用機器の各々が所在する階の本判定を行ってもよい。これによれば、作業用機器が配置されている階数の特定をより高精度に行うことが可能である。
【0012】
また、所定箇所とは、建築物の地上付近の階であってもよい。これによれば、建築物の建設初期段階においても作業用機器が配置されている階数の特定を行うことが可能である。
【0013】
また、作業用機器は、昇降自在な高所作業台を備える高所作業車であり、機器気圧は、高所作業台に設けられた気圧センサーの検出値であってもよい。これによれば、高所作業車の位置や稼働状況を把握することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、方法及びプログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、階層構造を有する建築物内の作業で使用される複数の作業用機器を管理する作業用機器管理方法であって、複数の作業用機器の各々に設けられた気圧センサーの検出値である機器気圧、及び、建築物内の所定箇所に設けられた気圧センサーの検出値である基準気圧に基づいて、複数の作業用機器の各々が配置されている階数を特定する処理部に、気圧と標高との関係を表した一般式に基づく建築物の各階の理論気圧に関連する値である第1関連値を各階について算出した後、各階と所定箇所との実際の高さの差分と第1関連値との関係値を理論標準高度として各階について算出する第1の処理と、配置箇所の高さが既知であり且つ所定箇所の階とは異なる所定階に配置された気圧センサーの検出値である所定
階気圧を取得すると、所定階気圧の取得箇所の高さと所定階気圧に関連する値である第2関連値との関係値を実標準高度として所定階について算出する第2の処理と、所定階における理論標準高度と実標準高度との比較に基づいて補正標準高度を算出する第3の処理と、機器気圧及び補正標準高度に基づいて、複数の作業用機器の各々が所在する階数を判別する第4の処理と、を実行してもよい。
【発明の効果】
【0015】
開示の技術によれば、作業用機器が配置されている階数を気圧で特定する場合における精度の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る作業用機器管理システムの全体構成を例示する図である。
図2図2は、サーバーのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、タブレット端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、作業車両センサー装置のハーウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、基準センサー装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6図6は、サーバーの処理ブロックの一例を示す図である。
図7図7は、管理データベースに格納される管理テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、管理データベースに格納される作業車両管理テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、管理データベースに格納される利用状況管理テーブルの一例を示す図である。
図10図10は、利用受付部によって出力される利用受付画面の一例を示す図である。
図11図11は、出力部によって出力される利用状況確認画面の一例を示す図である。
図12図12は、基準センサー装置の処理フローの一例を示す図である。
図13図13は、作業車両センサー装置の処理フローの一例を示す図である。
図14図14は、作業車両の位置を特定する処理のフローチャートを示した図である。
図15図15は、標準高度(理論値)を示したテーブルの一例である。
図16図16は、標準高度(補正値)を示したテーブルの一例である。
図17図17は、サーバーによる作業車両管理テーブルの構築処理の処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。図1は、実施形態に係る作業用機器管理システムの全体構成を例示する図である。作業用機器管理システム100は、19階建てのビルディング4(本願でいう「階層構造を有する建築物」の一例である)の建築作業で使用される作業車両1(本願でいう「作業用機器」の一例である)を管理するシステムである。作業用機器管理システム100は、作業車両1、基準センサー装置13、サーバー2及びタブレット端末3を備える。
【0018】
作業車両1は、建築現場で使用される車両である。作業車両1は、例えば、作業者を乗せる高所作業台11を有する高所作業車である。高所作業台11は、作業対象の高さに応じて昇降自在である。作業車両センサー装置12は、高所作業台11に設けられる。作業
車両センサー装置12は、例えば、作業車両1の稼働状況や作業車両1の位置を検知する各種センサーを含み、センサーが検出した検出値を第1無線リンクN1によってサーバー2に送信する。
【0019】
基準センサー装置13は、ビルディング4の1階(本願でいう「所定箇所」の一例である)に設置されるセンサー装置である。基準センサー装置13は、設置された階の気圧を測定する気圧センサーを含み、気圧センサーによる検出値を第1無線リンクN1によってサーバー2に送信する。なお、基準センサー装置13は、気密性がある程度高い個室等に設置されると計測値に影響を受ける恐れがあるため、外気が自然に流通する通気性の良い箇所に設置されることが好ましい。また、基準センサー装置13は、ビルディング4の1階に設置される形態に限定されるものではなく、2階以上の何れかの箇所に設置されてもよい。但し、作業用機器管理システム100がビルディング4の建設中に用いられるものであるため、基準センサー装置13は、ビルディング4の地上付近の階に設置される方が、ビルディング4が低層部分しか存在しない建設初期段階においても作業用機器管理システム100を使用可能にできるため、好適である。
【0020】
サーバー2は、情報処理装置である。サーバー2は、作業車両1の夫々に設けられた作業車両センサー装置12によって取得されたセンサーの検出値を第1無線リンクN1を介して受信し、記憶する。また、サーバー2は、作業車両1の利用登録をタブレット端末3から第2無線リンクN2を介して受け付け、受け付けた利用登録を示す利用情報を記憶する。サーバー2は、記憶したセンサーの検出値や利用情報に基づく作業車両情報をタブレット端末3に対して第2無線リンクN2を介して閲覧可能に提供する。
【0021】
タブレット端末3は、建築現場において作業者によって使用される可搬型の情報処理装置である。タブレット端末3は、第2無線リンクN2を介して、サーバー2から提供される作業車両情報をディスプレイに表示する。また、タブレット端末3は、作業者からの操作に応じて作業車両1の利用登録をサーバー2に送信する。
【0022】
(サーバー2のハードウェア構成)
図2は、サーバー2のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバー2は、Central Processing Unit(CPU)201、主記憶部202、補助記憶部203、第1通信部204及び第2通信部205を含む。CPU201、主記憶部202、補助記憶部203、第1通信部204及び第2通信部205は、接続バスによって相互に接続される。
【0023】
CPU201は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、或いは、プロセッサとも呼ばれる。CPU201は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU201がマルチコア構成を有していてもよい。サーバー2では、CPU201が補助記憶部203に記憶されたプログラムを主記憶部202の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、サーバー2は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。
【0024】
主記憶部202は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部202は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0025】
補助記憶部203は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部203は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部203には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、
各種テーブル等が格納される。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置及び外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部203は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0026】
補助記憶部203は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部203は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部203は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0027】
第1通信部204は、LTEネットワークとのインターフェースである。第1通信部204は、LTEネットワークによって実現される第1無線リンクN1を介して高所作業台11との通信を行う。
【0028】
第2通信部205は、無線Local Area Network(LAN)とのインターフェースである。第2通信部205は、無線LANによって実現される第2無線リンクN2を介してタブレット端末3との通信を行う。
【0029】
サーバー2は、例えば、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。このような入力部として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルあるいは音声入力装置といった入力デバイスを例示できる。
【0030】
サーバー2は、例えば、CPU201で処理されるデータや主記憶部202に記憶されるデータを出力する出力部を備えるものとしてもよい。このような、出力部として、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal
Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルあるいはプリンタといった出力デバイスを例示できる。
【0031】
(タブレット端末3のハードウェア構成)
図3は、タブレット端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。タブレット端末3は、CPU301、主記憶部302、補助記憶部303、第2通信部304、ディスプレイ305、タッチパネル302及びカメラ307を含む。サーバー2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。タブレット端末3では、ディスプレイ305、タッチパネル302及びカメラ307も接続バスによって接続される。
【0032】
ディスプレイ305は、CPU301で処理されるデータや主記憶部302に記憶されるデータを表示する。ディスプレイ305は、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。
【0033】
タッチパネル302は、ディスプレイ305上に重畳して配置される。タッチパネル302は、指による接触を検出し、接触位置の座標値を取得する。タッチパネル302は、取得した接触位置の座標値と時刻情報をCPU301に通知する。タブレット端末3は、ディスプレイ305上にタッチパネル302が配置されることで、直感的な操作を作業者に提供することができる。
【0034】
カメラ307は、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサやComplementary metal-oxide-semiconductor(CMOS)イメージセンサを有するデジタルカメラである。カメラ307は、静止画像及び動画像を撮影可能である。
【0035】
(作業車両センサー装置12のハードウェア構成)
図4は、作業車両センサー装置12のハーウェア構成の一例を示す図である。作業車両センサー装置12は、マイコン1201、気圧センサー1202、加速度センサー1203、バッテリー1204、スイッチ1205及び第1通信部1205を含む。
【0036】
マイコン1201は、マイクロコンピュータである。マイコン1201は、例えば、プロセッサと記憶部との組み合わせである。マイコン1201は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLarge Scale Integration(LSI)、チップセット等であってよい。なお、マイコン1201は記憶部を含む。マイコン1201の記憶部には、例えば、作業車両1を示す車両名が記憶される。
【0037】
気圧センサー1202は、気圧を検出するセンサーである。気圧センサー1202は、例えば、半導体ピエゾ抵抗方式の気圧センサーである。気圧センサー1202は、作業車両センサー装置12が設置された場所の気圧を検出する。
【0038】
加速度センサー1203は、加速度を検出するセンサーである。加速度センサー1203は、作業車両センサー装置12の加速度を検出する。加速度センサー1203は作業車両1の高所作業台11に設置されるため、作業車両1が移動していない場合でも高所作業台11が昇降していれば、加速度センサー1203は高所作業台11の加速度を検出する。
【0039】
マイコン1201は、気圧センサー1202による気圧を示す検出値及び加速度センサー1203による加速度を示す検出値を作業車両1の車両名と対応付けて、第1通信部1205を介してサーバー2に所定間隔(例えば、60分間隔)で送信する。作業車両1に通信機が設けられている場合、マイコン1201は作業車両の通信機経由でサーバー2へ検出値を送信してもよい。この場合は第1通信部1205を省略可能である。
【0040】
なお、マイコン1201は、加速度センサー1203の検出値については、予め設定された閾値未満の場合には送信しなくともよい。作業車両センサー装置12では、例えば、加速度センサー1203による加速度を示す検出値が閾値以上である場合に割り込みが発生するように設定されてもよい。そして、マイコン1201は、割り込みが発生した場合には、気圧センサー1202による気圧を示す検出値及び加速度センサー1203による加速度を示す検出値を作業車両1の車両名と対応付けて、サーバー2に送信してもよい。また、マイコン1201は、割り込みが発生していない場合には、気圧センサー1202による気圧を示す検出値を作業車両1の車両名と対応付けて、第1通信部1205を介してサーバー2に送信してもよい。
【0041】
さらに、マイコン1201は、バッテリー1204の残量を検知し、検知した残量を気圧センサー1202の検出値及び加速度センサー1203の検出値とともにサーバー2に送信してもよい。作業車両センサー装置12は、60分間隔という比較的長い間隔で送信することで、作業車両1の低消費電力化、すなわち、バッテリー1204の長寿命化を実現する。なお、作業車両センサー装置12の送信間隔は60分に限定されず、1日の作業時間の間(例えば1時間)、または1週間などの所定の期間利用する間バッテリー120
4の残量がもつように、30分、90分等に送信間隔が設定されてもよい。
【0042】
バッテリー1204は、マイコン1201、気圧センサー1202、加速度センサー1203及び第1通信部1205に給電する。バッテリー1204は、例えば、乾電池である。作業車両センサー装置12が作業車両1のバッテリーから給電可能であれば、バッテリー1204は、省略してもよいし、或いは、小容量のものにしてもよい。
【0043】
スイッチ1205は、例えば、プッシュ式のスイッチである。スイッチ1205が押下されると、マイコン1201は、前回の検出値の送信から60分が経過していなくとも、気圧センサー1202による気圧を示す検出値及び加速度センサー1203による加速度を示す検出値を作業車両1の車両名と対応付けて、第1通信部1205を介してサーバー2に送信する。
【0044】
(基準センサー装置13のハードウェア構成)
図5は、基準センサー装置13のハードウェア構成の一例を示す図である。基準センサー装置13は、マイコン1301、気圧センサー1302及び第1通信部1303を含む。基準センサー装置13は、例えば、ビルディング4に設置されたコンセントから電力の供給を受けるため、作業車両センサー装置12とは異なりバッテリーは省略される。
【0045】
気圧センサー1302は、基準センサー装置13が設置された場所の気圧を検出する。マイコン1301は、気圧センサー1302による気圧を示す検出値を第1通信部1205を介してサーバー2に所定間隔(例えば、60分間隔)で送信する。
【0046】
(サーバー2の処理ブロック)
図6は、サーバー2の処理ブロックの一例を示す図である。サーバー2は、算出部21、位置取得部22、稼働状況取得部23、利用受付部24、出力部25及び管理データベース26を備える。サーバー2は、主記憶部202に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU201が実行することで、上記サーバー2の、算出部21、位置取得部22(本願でいう「処理部」の一例である)、稼働状況取得部23、利用受付部24、出力部25及び管理データベース26等の各部としての処理を実行する。
【0047】
算出部21は、ビルディング4の夫々の階に対応する気圧(理論値)を算出する。算出部21は、算出した気圧(理論値)を管理データベース26へ格納する。
【0048】
管理データベース26は、ビルディング4の階数や高さ、気圧、高所作業台11の利用状況等の各種情報を管理するデータベースである。図7は、管理データベース26に格納される管理テーブルの一例を示す図である。管理テーブル261には、例えば、「階数」、「フロア高さ」、「標高」等の各種項目が含まれている。「階数」には、ビルディング4の各階を示す情報が格納される。「フロア高さ」には、予め測定された(または設計上の)ビルディング4の各階の床の高さ(地上高)を示す情報が格納される。「フロア高さ」には、ビルディング4が建っている土地の標高(海抜)にフロア高さを加算した値、すなわち、ビルディング4の各階の床の標高(海抜)を示す情報が格納される。「フロア高さ」と「標高」の単位は、「m(メートル)」である。管理データベース26に格納されるこれらの情報は、例えば、タブレット端末3における登録操作を通じてサーバー2により受け付けられ、管理データベース26に格納される。
【0049】
図8は、管理データベース26に格納される作業車両管理テーブル262の一例を示す図である。作業車両管理テーブル262は、「車両名」、「位置」、「稼働状況」、「残容量」及び「更新日時」の各項目を含む。「車両名」には、作業車両1に付された名称が格納される。「位置」には、作業車両1が存在する位置を示す情報が格納される。「位置
」には、例えば、作業車両1がビルディング4の3階に存在する場合には、「3階」が格納される。「稼働状況」には、作業車両1の稼働状況を示す情報が格納される。稼働状況を示す情報は、例えば、「稼働中」や「停止中」である。「残容量」には、作業車両1に搭載された作業車両センサー装置12のバッテリー1204の残容量を示す情報が格納される。バッテリー1204の残容量を示す情報としては、例えば、100分率(%)を挙げることができる。
【0050】
図9は、管理データベース26に格納される利用状況管理テーブル263の一例を示す図である。利用状況管理テーブル263は、「ID」、「車両名」、「業者名」、「個人名」及び「コメント」の各項目を含む。「ID」には、作業車両1夫々の利用状況を識別するIDが格納される。「車両名」には、作業車両1の名称が格納される。「業者名」には、作業車両1を利用する作業者が所属する業者の名称が格納される。「個人名」には、作業車両1を利用する作業者の氏名が格納される。「コメント」には、作業車両1に関する情報や建築作業に関する情報等のコメントが格納される。「コメント」には、例えば、利用日の前日などに、業者間または作業者間で誰がどの作業車両1を利用するかを決定する調整会議を行い、その決定に基づいたコメントが登録されてもよい。例えば、「○○日から使用を希望」等のコメントが「コメント」に登録されることで、そのコメントを調整会議において考慮して作業車両1の配車を行うことができる。
【0051】
位置取得部22は、作業車両センサー装置12が検出した気圧を基に、作業車両1の位置を取得する。位置取得部22は、気圧センサー1202が検出した気圧を示す検出値を作業車両センサー装置12から受信する。そして、位置取得部22は、後述する各種の計算処理を行い、作業車両1が配置されている階数を特定する。そして、位置取得部22は、作業車両1が存在する階数を作業車両1の車両名と対応付けて作業車両管理テーブル262に格納する。
【0052】
稼働状況取得部23は、作業車両センサー装置12が検出した加速度を基に、作業車両1の稼働状況を取得する。稼働状況取得部23は、加速度センサー1203が検出した加速度を示す検出値を作業車両センサー装置12から受信する。稼働状況取得部23は、受信した加速度を示す検出値が閾値以上の場合に作業車両1が稼働していると判定する。また、稼働状況取得部23は、受信した加速度を示す検出値が閾値未満の場合に作業車両1が稼働していないと判定する。稼働状況取得部23は、判定した稼働状況を作業車両1の車両名と対応付けて作業車両管理テーブル262に格納する。
【0053】
利用受付部24は、作業車両1と当該作業車両1を利用する作業者名とを対応付ける利用登録を受け付ける。利用受付部24は、例えば、タブレット端末3からの要求に応じて、利用受付画面をタブレット端末3に送信する。図10は、利用受付部24によって出力される利用受付画面241の一例を示す図である。利用受付画面241は、利用車両名入力欄2411、利用業者名入力欄2412、利用者名入力欄2413、コメント記入欄2414及び登録ボタン2415を含む。利用車両名入力欄2411は、例えば、プルダウンメニューであり、利用されていない作業車両1の車両名を選択可能としてもよい。タブレット端末3に表示された利用受付画面241の利用車両名入力欄2411、利用業者名入力欄2412及び利用者名入力欄2413の各入力欄には、例えば、作業車両1利用する作業者によって情報が入力される。すなわち、利用車両名入力欄2411には、作業者が利用する作業車両1の車両名が入力される。利用業者名入力欄2412には、作業者が所属する業者名が入力される。利用者名入力欄2413には、作業者の個人名が入力される。コメント入力欄2414には、作業車両1に関する情報や建築作業に関する情報等のコメントが入力される。そして、利用車両名入力欄2411、利用業者名入力欄2412、利用者名入力欄2413及びコメント入力欄2414の各入力欄に情報が入力された状態で登録ボタン2415が押下されると、各入力欄に入力された情報を含む利用情報がタ
ブレット端末3から第2無線リンクN2を介してサーバー2に送信される。
【0054】
利用受付部24は、タブレット端末3から利用情報を受信すると、受信した利用情報を利用状況管理テーブル263に格納する。すなわち、利用受付部24は、利用受付画面241の利用車両名入力欄2411に入力された情報を、利用状況管理テーブル263の「車両名」に格納する。利用受付部24は、利用受付画面241の利用業者名入力欄2412に入力された情報を、利用状況管理テーブル263の「業者名」に格納する。利用受付部24は、利用受付画面241の利用者名入力欄2413に入力された情報を、利用状況管理テーブル263の「個人名」に格納する。利用受付部24は、コメント入力欄2414に入力された情報を、利用状況管理テーブル263の「コメント」に格納する。このような処理によって、利用受付部24は、利用情報を利用状況管理テーブル263に格納する。
【0055】
出力部25は、利用状況管理テーブル263に格納された利用状況を表示する利用状況確認画面を出力する。出力部25は、例えば、タブレット端末3からの利用状況確認要求を受信すると、作業車両管理テーブル262及び利用状況管理テーブル263に格納された情報を基に利用状況確認画面を生成する。そして、出力部25は、生成した利用状況確認画面をタブレット端末3に送信する。
【0056】
図11は、出力部25によって出力される利用状況確認画面251の一例を示す図である。利用状況確認画面251は、ビルディング画像2511、階層画像2512及び利用状況テーブル2513を含む。出力部25は、ビルディング4を模式的に示すビルディング画像2511を出力する。ビルディング画像2511には、ビルディング4の各階層を模式的に示す階層画像2512が示される。出力部25は、作業車両管理テーブル262及び利用状況管理テーブル263に格納された情報を基に、作業車両の利用状況を示す利用状況テーブル2513を各階層を示す階層画像2512に配置する。図11に示す利用状況テーブル2513の例では、業者名によって利用状況の一覧がソートされ、さらに、個人名によって利用状況の一覧がソートされている。
【0057】
(基準センサー装置13の処理フロー)
図12は、基準センサー装置13の処理フローの一例を示す図である。以下、図12を参照して、基準センサー装置13の処理フローの一例について説明する。
【0058】
T1では、初期設定が行われる。初期設定では、例えば、気圧センサー1302のキャリブレーションや、検出値の送信先となるサーバー2の登録が行われる。キャリブレーションの詳細については後述する。
【0059】
T2では、気圧センサー1302は、気圧を測定する。T3では、マイコン1301は、T2において気圧センサー1302によって測定された気圧を示す検出値を第1通信部1205を介してサーバー2に送信する。
【0060】
T4では、マイコン1301は、前回の検出値の送信から60分経過したか否かを判定する。60分経過した場合(T4でYES)、処理はT2に戻されて、気圧の測定(T2)及び検出値の送信(T3)が行われる。60分経過していない場合(T4でNO)、T4の処理が繰り返される。
【0061】
(作業車両センサー装置12の処理フロー)
図13は、作業車両センサー装置12の処理フローの一例を示す図である。以下、図13を参照して、作業車両センサー装置12の処理フローの一例について説明する。
【0062】
T11では、初期設定が行われる。初期設定では、例えば、気圧センサー1202及び加速度センサー1203のキャリブレーションや、検出値の送信先となるサーバー2の登録が行われる。また、割り込みを発生させる閾値(加速度センサー1203の検出値に対する閾値)の設定も行われる。キャリブレーションの詳細については後述する。
【0063】
T12では、気圧センサー1202は、気圧を測定する。また、加速度センサー1203は、加速度を測定する。割り込みが発生した場合、すなわち、T12で検出された加速度を示す検出値が閾値以上である場合(T13でYES)、処理はT14に進められる。割り込みが発生しない場合、すなわち、T12で検出された加速度を示す検出値が閾値未満である場合(T13でNO)、処理はT15に進められる。
【0064】
T14では、マイコン1201は、T12において気圧センサー1202によって測定された気圧を示す検出値及び加速度センサー1203によって測定された加速度を示す検出値を第1通信部1205を介してサーバー2に送信する。
【0065】
T15では、T12において気圧センサー1202によって測定された気圧を示す検出値を第1通信部1205を介してサーバー2に送信する。
【0066】
T16では、マイコン1201は、スイッチ1205が押下されたか否かを判定する。押下された場合(T16でYES)、処理はT12に戻されて、気圧及び加速度の測定(T12)及び検出値の送信(T14、T15)が行われる。押下されていない場合(T16でNO)、処理はT15に進められる。
【0067】
T17では、マイコン1201は、前回の検出値の送信から60分経過したか否かを判定する。60分経過した場合(T17でYES)、処理はT12に戻されて、気圧及び加速度の測定(T12)及び検出値の送信(T14、T15)が行われる。60分経過していない場合(T17でNO)、T16に処理が戻される。
【0068】
(キャリブレーション)
作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13の個体差により、同一の気圧を測定しても夫々のセンサーの検出値が異なることがある。このような個体差による検出値の差は、例えば、±30Pa程度の幅がある。そのため、このような個体差を放置したまま運用すると、サーバー2による作業車両1の位置の検出精度が低下する。そこで、図12のT1や図13のT11のように、センサーのキャリブレーションが行われる。キャリブレーションでは、作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13が同一の階(同一の高さ)に配置された状態で、各センサー同時に気圧の測定が実行される。そして、各センサーの検出値が同一の気圧を示すように各センサーの検出値に対するキャリブレーションが行われる。そして、検出値のキャリブレーションが行われた作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13の夫々が、ビルディング4の所定の階に配置される。
【0069】
(作業車両1の位置特定)
図14は、作業車両1の位置を特定する処理のフローチャートを示した図である。本処理は、主に位置取得部22が司る。まず、図14に示すフローチャートの概要について説明する。
【0070】
作業車両1の位置の特定に際しては、まず、標準高度(理論値)の算出が行われる(T21)。標準高度とは、単位気圧あたりの高さ(高度差)を表す値である。本ステップT21で算出される標準高度(理論値)は、実際の気圧を考慮しない理論上の標準高度の値である。故に、本ステップT21は、基本的には、作業用機器管理システム100をビルディング4に適用開始する初期段階で実行されるが、適用開始後に定期不定期に実行され
てもよい。
【0071】
標準高度は、上述したように、単位気圧あたりの高さ(高度差)を表す値である。よって、基本的には、基準センサー装置13で観測される気圧から作業車両センサー装置12で観測される気圧を差し引いた値に標準高度を乗じれば、ビルディング4における当該作業車両センサー装置12の標高を特定することができる。しかし、本ステップT21で算出される標準高度(理論値)は、実際の気圧を考慮しない理論上の標準高度の値である。よって、以下の処理を行うことにより、作業車両センサー装置12の標高の特定に用いることができる標準高度を算出する。
【0072】
すなわち、ステップT21における標準高度(理論値)の算出が行われた後は、標準高度(実測値)の算出が行われる(T22)。標準高度(実測値)とは、作業車両センサー装置12や基準センサー装置13から得られる実際の気圧を基にした標準高度(実測値)の算出を行う処理である。本ステップT22においては、複数ある作業車両センサー装置12のうち、基準センサー装置13とは異なる所定階に設置されており且つ配置箇所の標高が既知の作業車両センサー装置12から得られる気圧の実測値と、作業車両センサー装置12から得られる気圧の実測値とを用いて、所定階における標準高度(実測値)の算出を行う。実際の気圧は時々刻々と変化し続けるものであるため、本ステップT22以降の処理は、作業用機器管理システム100をビルディング4に適用している間は繰り返し実行される。
【0073】
ステップT22における標準高度(実測値)の算出が行われた後は、標準高度オフセット値の算出が行われる(T23)。標準高度オフセット値とは、ステップT22において特定した所定階における標準高度(実測値)と、ステップT21において算出した当該所定階における標準高度(理論値)との差分を、標準高度オフセット値として算出する処理である。
【0074】
ステップT23における標準高度オフセット値の算出が行われた後は、各階の標準高度(理論値)に標準高度オフセット値を加えた各階毎の値を標準高度(補正値)として算出する処理が行われる(T24)。よって、基本的には、基準センサー装置13で観測される気圧から作業車両センサー装置12で観測される気圧を差し引いた値に標準高度(補正値)を乗じれば、ビルディング4における当該作業車両センサー装置12の標高をほぼ正確に特定することができる。
【0075】
ステップT24における標準高度(補正値)の算出が行われた後は、ビルディング4に配置されている各作業車両センサー装置12が配置されている階数の判定が行われる(T25)。階数の判定は、各作業車両センサー装置12で観測される気圧の実測値と、ステップT24で算出した所定階における標準高度(補正値)を使って標高を算出し、各作業車両センサー装置12が配置されている階数の暫定的な特定を行う。次に、暫定的に特定された階数に対応する標準高度(補正値)を参照し、作業車両センサー装置12で観測される気圧の実測値と当該標準高度(補正値)を使って標高を再算出し、作業車両センサー装置12が配置されている階数の最終的な特定を行う。
【0076】
上記一連のステップT22~T24が繰り返し実行されることにより、気象の変化に伴う気圧の変動が時々刻々と生じていても、常に正確な階数判定を継続することができる。以下、上述した各ステップT21~T24の詳細について、具体例を交えながら説明する。
【0077】
(ステップT21)図15は、標準高度(理論値)を示したテーブルの一例である。管理テーブル261には、このような標準高度(理論値)に関する情報も含まれている。具
体例を用いた本説明においては、複数ある作業車両センサー装置12のうち、基準センサー装置13とは異なる所定階に設置されており且つ配置箇所の標高が既知の作業車両センサー装置12として、16階に設置されたものを仮定する。よって、図15の管理テーブル261では、16階の標準高度(理論値)をグレー表示している。
【0078】
ステップT21における処理では、まず、各階に対応する気圧の理論値が算出される。「気圧(理論値)」は、各階に対応する気圧の理論値であり、下記の数式(1)を使って算出した値が格納される。下記の数式(1)における気圧Pの単位は「hPa」であるが、これ以降の説明における気圧の単位は「Pa」とする。また、下記の数式(1)におけるz(標高)の単位は「km」であるが、これ以降の説明における標高や高さの単位は「m」とする。
【数1】
【0079】
次に、1階から各階までの気圧差が算出される。そして、図7に示した管理テーブル261に示す各階の高さ(フロア高さ)を、対応する気圧差で除算することにより、各階の標準高度(理論値)を算出する。
標準高度(理論値)=フロア高さ/気圧差
【0080】
(ステップT22)標準高度(実測値)の算出においては、配置箇所が特定されている16階の作業車両1の作業車両センサー装置12(以下、「固定機」と呼ぶが、他の階への移動を制限するものではない。また、「固定機」は、作業車両1ではなく建物に固定されたものでもよい)のデータを使う。よって、固定機が設置されているフロア高さに、当該フロアにおける床から固定機までの高さ(実測値)を加算することにより、当該ビルディング4における固定機の高さを計算する。
固定機高さ=設置階フロア高さ+床から固定機までの高さ
【0081】
図7に示すように、16階のフロア高さは74.2mである。よって、床から固定機までの高さが0.92mであれば、固定機の高さは75.12mとなる。
【0082】
また、標準高度(実測値)の算出においては、1階に設置されている基準センサー装置13(以下、「基準機」と呼ぶ)のデータを使う。よって、基準機が設置されているフロア高さに、当該フロアにおける床から基準機までの高さ(実測値)を加算することにより、当該ビルディング4における基準機の高さを計算する。
基準機高さ=設置階フロア高さ+床から基準機までの高さ
【0083】
図7に示すように、1階のフロア高さは0mである。よって、床から固定機までの高さが0.65mであれば、基準機の高さは0.65mとなる。
【0084】
次に、基準機で観測される気圧の実測値から固定機で観測される気圧の実測値を差し引いた差分の値で、固定機の高さから基準機の高さを差し引いた差分の値を除算することにより、16階における標準高度(実測値)を算出する。
標準高度(実測値)=(固定機高さ-基準機高さ)/(基準機気圧-固定機気圧)
【0085】
例えば、固定機で観測されている気圧の実測値が101093Paであり、基準機で観測されている気圧の実測値が101988Paである場合、16階における標準高度(実測値)は以下のようにして算出される。
標準高度(実測値)=(75.12-0.65)/(101988-101093

=0.083206704 [m/Pa]
【0086】
(ステップT23)標準高度オフセット値は、ステップT22で算出した標準高度(実測値)から、標準高度(理論値)の差し引くことにより算出される。
標準高度オフセット値=標準高度(実測値)-標準高度(理論値)
【0087】
図15の管理テーブル261に示したように、16階の標準高度(理論値)は0.083580743[m/Pa]であるから、本具体例において、標準高度オフセット値は以下のようにして算出される。
標準高度オフセット値=0.083206704-0.083580743
=-0.000374039 [m/Pa]
【0088】
(ステップT24)標準高度オフセット値の算出後は、各階の標準高度(理論値)に標準高度オフセット値を加えた各階毎の値を標準高度(補正値)として算出する。図16は、標準高度(補正値)を示したテーブルの一例である。管理テーブル261には、このような標準高度(補正値)に関する情報も含まれている。
標準高度(補正値)=標準高度(理論値)+標準高度オフセット値
【0089】
(ステップT25)標準高度(補正値)の算出が行われた後は、まず、各作業車両センサー装置12で観測される気圧の実測値と、ステップT24で算出した所定階における標準高度(補正値)を使って標高を算出し、各作業車両センサー装置12が配置されている階数の暫定的な特定を行う(仮演算)。以下においては、例えば、3階に配置されている作業車両センサー装置12について例示する。
【0090】
階数の暫定的な特定(仮演算)を行う段階では、3階の作業車両センサー装置12が3階に配置されていることは把握できていない。そこで、各階の作業車両センサー装置12(以下、対象機という)が何れの階に配置されているかの暫定的な特定は、基準機で観測される気圧の実測値から、対象機で観測される気圧の実測値を差し引いた値に、固定機が存在する階の標準高度(補正値)を乗算し、更に基準機の高さを加算する。
対象機高さ(仮演算)=(基準機気圧-対象機気圧)×固定機標準高度+基準機高さ
【0091】
例えば、ある対象機から気圧の実測値として101753Paという値が送信されている場合、対象機高さ(仮演算)は以下のように算出される。
対象機高さ(仮演算)=(101988-101753)×0.083206704+0.65
=20.20357542 [m]
【0092】
よって、対象機が配置されている階数は、図7に示す管理テーブル261に基づいて3階と暫定的に特定することができる。
【0093】
次に、暫定的に特定された階数に対応する標準高度(補正値)を参照し、対象機で観測される気圧の実測値と当該標準高度(補正値)を使って標高を再算出し、作業車両センサー装置12が配置されている階数の最終的な特定を行う。
【0094】
階数の最終的な特定(再演算)を行う段階では、対象機が3階に配置されていると既に仮判定されている。そこで、対象機が何れの階に配置されているかの最終的な特定は、基準機で観測される気圧の実測値から、対象機で観測される気圧の実測値を差し引いた値に、対象機がある階の標準高度(補正値)を乗算し、更に基準機の高さを加算する。
対象機高さ(再演算)=(基準機気圧-対象機気圧)×対象機標準高度+基準機高さ
【0095】
例えば、上述したように対象機から気圧の実測値として101753Paという値が送信されている場合、対象機高さ(再演算)は以下のように算出される。
対象機高さ(仮演算)=(101988-101753)×0.082965518+0.65
=20.1468967 [m]
【0096】
よって、対象機が配置されている階数は、図7に示す管理テーブル261に基づいて3階と最終的に特定することができる。
【0097】
以上の通り、サーバー2においてステップT21~T24の処理が実行されることにより、ビルディング4内の各作業車両センサー装置12が配置されている階数の判定を高精度に行うことが可能となる。また、ステップT22~T24は繰り返し実行されるので、気圧が時々刻々と変化しても、管理テーブル261の標準高度オフセット値や標準高度(補正値)が常に更新される。よって、上記実施形態によれば、気圧が変化しても作業車両センサー装置12の階数を高精度に判定し続けることが可能であり、作業車両センサー装置12が設けられている作業車両1が配置されている階数の特定を誤る可能性を可及的に抑制することができる。なお、ステップT22~T24を繰り返し実行する頻度は、気象状況が変化する早さに応じるが、例えば、60分毎が計算負荷の観点からも好適である。
【0098】
(作業車両管理テーブル262構築処理の処理フロー)
図17は、サーバー2による作業車両管理テーブル262の構築処理の処理フローの一例である。以下、図17を参照して、サーバー2による作業車両管理テーブル262の構築処理の処理フローの一例について説明する。
【0099】
T31では、サーバー2は、作業車両センサー装置12から気圧を示す検出値及び加速度を示す検出値を作業車両1の車両名とともに受信する。T32では、位置取得部22は、T31で受信した気圧を示す検出値と管理テーブル261とを基に、作業車両1が配置された階数を算出する。管理データベース26は、算出した階数を作業車両管理テーブル262にT31で受信した車両名と対応付けて格納する。
【0100】
T33では、稼働状況取得部23は、T31で受信した加速度を示す検出値を基に、作業車両1の稼働状況を判定する。稼働状況取得部23は、判定した稼働状況を作業車両管理テーブル262にT31で受信した車両名と対応付けて格納する。
【0101】
T34では、サーバー2は、作業車両センサー装置12から検出値を受信したか否かを判定する。受信した場合(T34でYES)、処理はT32に戻されて、作業車両1の位置判定、格納(T32)、作業車両1の稼働状況判定、格納(T33)が行われる。受信していない場合(T34でNO)、T34の処理が繰り返される。すなわち、図17の処理フローでは、作業車両センサー装置12から検出値を受信する度に作業車両管理テーブル262における作業車両1の位置及び稼働状況が更新される。
【0102】
(実施形態の作用効果)
本実施形態では、気圧の実測値や標準高度の補正値を用いた作業車両センサー装置12の階数の判定が行われるので、作業車両センサー装置12が設けられている作業車両1が配置されている階数の特定を誤る可能性を可及的に抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態では、利用状況確認画面251において、業者名及び個人名でグルー
プ分けされて利用状況が出力される。そのため、本実施形態によれば、作業車両1がどの作業者によって利用されているかを視覚的にわかりやすく表示することができる。
【0104】
本実施形態では、作業車両センサー装置12は、作業車両1の高所作業台11に設けられる。そのため、仮に作業車両1が移動していなくとも、作業に応じて高所作業台11が昇降していれば、作業車両センサー装置12の加速度センサー1203は高所作業台11の昇降時の加速度を検出できる。すなわち、本実施形態によれば、作業車両1が移動していない状況であっても、作業車両1の稼働状況を取得することができる。なお、高所作業台11の昇降を検出しなくともよい場合には、例えば、作業車両1の高所作業台11以外の個所に作業車両センサー装置12が設けられてもよい。
【0105】
<位置特定処理の第1変形例>
なお、上記実施形態における作業車両1の位置特定の処理は、以下のように変形してもよい。上記実施形態におけるステップT25の処理においては、各作業車両センサー装置12が配置されている階数の暫定的な特定(仮演算)の際、固定機が存在する階の標準高度(補正値)を使って階数の暫定的な特定を行っていたが、その他の方法で暫定的な特定を行ってもよい。
【0106】
その他の暫定的な特定方法としては、例えば、標準高度を使わない方法が挙げられる。例えば、基準機で観測される気圧の実測値と対象機で観測される気圧の実測値との差分から推定される大まかな階数を暫定的に特定した後、暫定的に特定した階数に対応する標準高度(補正値)を使って階数の最終的な特定を行うようにしてもよい。
【0107】
<位置特定処理の第2変形例>
また、上記実施形態では、基準機で観測される気圧の実測値から、対象機で観測される気圧の実測値を差し引いた値に、固定機が存在する階の標準高度(補正値)を乗算し、更に基準機の高さを加算することで、対象機が配置されている階数を暫定的に特定していた。しかし、階数の暫定的な特定は、その他の階の標準高度を使って行われてもよい。例えば、基準機で観測される気圧の実測値から、対象機で観測される気圧の実測値を差し引いた値に、基準機が存在する階の標準高度(補正値)を乗算し、更に基準機の高さを加算することで、対象機が配置されている階数を暫定的に特定してもよい。
【0108】
<位置特定処理の第3変形例>
また、上記実施形態では、対象機が配置されている階数の特定を、仮演算と再演算という2段階の工程で行っていたが、例えば、仮演算で暫定的に特定した階数を、対象機が配置されている階数として最終的に特定してもよい。この場合、再演算の処理が不要となるため、サーバー2の処理を軽減可能である。このような変形例は、仮演算で暫定的に特定した階数であっても要求精度に実用上支障が無い場合に好適である。本変形例であっても、標準高度を使った計算が行われているので、標準高度を使わないその他の計算方法に比べて高精度な階数の特定が可能である。
【0109】
<その他の変形例>
実施形態では、作業車両センサー装置12は気圧センサー1202と加速度センサー1203の2つのセンサーを備えた。しかしながら、作業車両センサー装置12が備えるセンサーはこれらに限定されず、作業車両センサー装置12は他のセンサーを備えてもよい。作業車両センサー装置12は、例えば、Global Positioning System(GPS)センサーをさらに備えてもよい。作業車両センサー装置12がGPSセンサーを備えることで、サーバー2は、気圧センサー1202による作業車両1が配置された階層の特定(高さ方向の位置の特定)に加えて、同一階層における作業車両1の位置の特定(水平方向の位置の特定)も行うことができる。
【0110】
実施形態では、作業車両センサー装置12のマイコン1201は、加速度センサー1203の検出値が閾値未満の場合には加速度センサー1203の検出値のサーバー2への送信を抑制する。しかしながら、マイコン1201は、加速度センサー1203の検出値を閾値未満であってもサーバー2に送信してもよい。この場合、サーバー2は、受信した加速度センサー1203の検出値(または検出値が示す加速度)が閾値未満である場合には、作業車両1は稼働していないと判定してもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、作業車両1の階数を判定していたが、作業車両以外の各種の作業用機器の階数の判定に用いてもよい。作業車両以外の各種の作業用機器としては、工事に関係する各種の機器類が挙げられる。
【0112】
利用受付画面241では、さらに、作業車両1を利用する時間帯の指定を受け付ける時間帯指定欄が設けられてもよい。時間帯は、例えば、具体的に開始時間から終了時間を指定するものでもあってもよく、午前・午後を指定するものであってもよい。利用受付画面241が時間帯の指定を受け付ける場合、利用状況確認画面においても時間帯を表示してもよい。
【0113】
作業車両1の利用受付には、二次元コードが用いられてもよい。例えば、作業車両1の車両名を示す情報を含む二次元コードが作業車両1の夫々に付される。そして、タブレット端末3は、カメラ307によって作業車両1に付された二次元コードを撮影することで、当該作業車両1の利用受付を行ってもよい。
【0114】
実施形態では作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13は、夫々に設定された間隔で検出値を送信したが、作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13が検出値を送信するタイミングは夫々に設定された間隔に限定されない。例えば、作業車両センサー装置12及び基準センサー装置13は、タブレット端末3からの指示に応じて検出値を送信してもよい。作業車両センサー装置12が備えるバッテリー1204の残容量に余裕がある場合には、高頻度で検出値を送信させても問題はなく、むしろ、作業車両1の稼働状況や作業車両1の位置を所望のタイミングで確認できるようになる。
【0115】
実施形態では、稼働状況確認画面252において、作業車両1の夫々の稼働状況を模式的に示す稼働状況アイコン253が表示される。稼働状況アイコン253によって作業車両1の夫々の稼働状況が視覚的に把握可能となる。作業車両1の稼働状況を把握可能にすることで、例えば、利用登録がありながら非稼働であった作業車両1を把握することが可能になり、必要以上に利用登録をしないようにするなど適切な利用登録をするよう作業者に注意喚起をすることにも利用できる。また、稼働状況アイコン253は、利用登録がありながら非稼働であった場合に、そのことが容易に把握可能な表示、例えば異なる色で表示するようにしても良い。
【0116】
実施形態ではタブレット端末3が利用されたが、作業用機器管理システム100において作業者によって使用される可搬型の情報処理装置がタブレット端末3に限定されるわけではない。作業者によって使用される可搬型の情報処理装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ウェアラブル端末であってもよい。
【0117】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0118】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実
現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0119】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0120】
1・・作業車両
2・・サーバー
3・・タブレット端末
4・・ビルディング
11・・高所作業台
12・・作業車両センサー装置
13・・基準センサー装置
21・・算出部
22・・位置取得部
23・・稼働状況取得部
24・・利用受付部
25・・出力部
26・・管理データベース
N1・・第1無線リンク
N2・・第2無線リンク
100・・作業用機器管理システム
201,301・・CPU
202,302・・主記憶部
203,303・・補助記憶部
204,1205,1303・・第1通信部
205,304・・第2通信部
241・・利用受付画面
251・・利用状況確認画面
252・・稼働状況確認画面
253・・稼働状況アイコン
261・・管理テーブル
262・・作業車両管理テーブル
263・・利用状況管理テーブル
305・・ディスプレイ
306・・タッチパネル
307・・カメラ
1201,1301・・マイコン
1202,1302・・気圧センサー
1203・・加速度センサー
1204・・バッテリー
1205・・スイッチ
2411・・利用車両名入力欄
2412・・利用業者名入力欄
2413・・利用者名入力欄
2414・・コメント記入欄
2415・・登録ボタン
2511・・ビルディング画像
2512・・階層画像
2513・・利用状況テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図17