(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151806
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】平海苔束保護紙の吸引取り出し構造
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20231005BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061632
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】392024699
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【弁理士】
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】川島 一美
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LP17
4B019LT73
(57)【要約】
【課題】第1に、確実に最上位の1枚だけを、取り出すことができ、第2に、もってトラブル発生も防止される、平海苔束保護紙の吸引取り出し構造を提案する。
【解決手段】本発明の吸引取り出し構造1は、海苔の生産工程で使用され、もって紙ボックスから、極薄長方形の平海苔束保護紙Pの最上位1枚を、吸引し取り出して供給する。そして板部2と、板部2の両端部に設けられた収納部3と、収納部3内に配された吸引部4と、を有している。板部2は、紙ボックス内の最上位の保護紙P面に、当接配置使用される。収納部3は、その保護紙Pの長手方向端縁から間隔距離Dにて、配置使用されると共に、その外側部分と保護紙P面との間に上下の段差間隔Aを存して、配置使用される。吸引部4は、その吸引面と保護紙P面との間に上下の高さ間隔Cを存して、配置使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔の生産工程で使用され、紙ボックスから、極薄長方形の平海苔束保護紙の最上位1枚を、吸引し取り出して供給する、吸引取り出し構造であって、
板部と、該板部の端部に設けられた収納部と、該収納部内に配された吸引部と、を有しており、
該板部は、該紙ボックス内の最上位の該保護紙面に、当接配置使用され、
該収納部は、該保護紙の長手方向端縁から間隔距離Dにて、配置使用されると共に、その外側部分と該保護紙面との間に上下の段差間隔Aを存して、配置使用され、
該吸引部は、その吸引面と該保護紙面との間に上下の高さ間隔Cを存して、配置使用されること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項2】
請求項1において、該吸引部は、吸引により、その高さ間隔Cにて吸い上げスペースSを形成して、吸い上げると共に、吸い上げが、段差間隔Aを介し該保護紙の長手方向端縁に向けても波及し、
該保護紙は、該板部側で当接,押圧されつつ、吸い上げスペースS側から長手方向端縁に向け、吸い上げ変形されて下位の保護紙から離反し、
もって、最上位の該保護紙が1枚だけ、下位の保護紙から分離して、該紙ボックス内から取り出し可能となること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項3】
請求項2において、高さ間隔Cは、段差間隔A以上の上下間隔よりなること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項4】
請求項2において、該収納部および該吸引部は、該板部の両端部にそれぞれ設けられていること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項5】
請求項2において、該板部は、該保護紙の長手方向に沿って略H形や長方形をなし、該収納部は、下面が開放された有頂筒状をなすこと、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項6】
請求項2において、該保護紙は、寸法が、170mmから280mm × 400mmから650mmよりなり、紙厚が、0.02mm~0.1mmよりなること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【請求項7】
請求項6において、間隔距離Dは、30mm~150mmよりなり、段差間隔Aは、1mm~4mmよりなり、高さ間隔Cは、4mm~10mmよりなること、を特徴とする平海苔束保護紙の吸引取り出し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔の生産工程で使用される、平海苔束用の保護紙の吸引取り出し構造に関する。すなわち、折曲しないで平海苔のままの海苔束用の保護紙を、その紙ボックスから吸引して取り出す構造に関する。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
海苔(乾海苔)の生産工程では、生海苔摘採,水洗,抄き,脱水,乾燥等の前工程の後、検査,カウント集積,(折曲),結束等の後工程を辿って、海苔が生産され出荷されている。
後工程において、乾燥後に検査された平海苔は、例えば10枚等の海苔束としてカウント集積された後、代表的には二つ折りに折曲され、結束されて出荷されている。
このような従来例1(代表例)に対し、海苔束を折曲,結束することなく、平らに広げた平海苔のまま結束して出荷する従来例2も、マーケットニーズにより増加しつつある。50枚や100枚の平海苔束として結束,出荷するようにした従来例2も、最近増加してきている。
すなわち、生産,出荷された海苔は、事後、2次乾燥そして焼き海苔,味付け海苔等の2次加工に供されることも多く、その際、前述した折曲,結束していた従来例1においては、結束を解き折曲を再度伸ばして、元の平海苔として乾燥,加工に供されていた。
これに対し、このような伸ばす手間を省くべく、平海苔のまま結束,出荷する従来例2も多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
このように折曲することなく、平海苔のまま結束,出荷する従来例2としては、例えば次の特許文献1,2に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開2006ー101809号公報
【特許文献2】特開2006ー101810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《従来技術》
さて従来例2については、平海苔束を保護すべく、保護紙が用いられることが多かった。保護紙が被せられ,全体的に巻き付けられていた。
図5の(2)図~(4)図に示したように、結束帯Tによる結束締め付け時や、事後の取扱い時,流通時等において、平らに広げられたままの平海苔束Nが損傷しないように、保護紙Pが用いられていた。
このように従来例2で用いられる保護紙Pは、極薄の長方形をなし、紙ボックスH(後述する
図3の(5)図,
図4も参照)に多数枚が収納されていた。そして結束に際し、1枚が取り出されて供給され、平海苔束Nに被せて巻き付けられていた。
そして、保護紙Pの紙ボックスHからの取り出しは、吸引取り出し構造が使用され、システム化,自動化されていた。結束ラインの一環として、吸引取り出し構造により、紙ボックスの最上位1枚の保護紙Pが、吸引により分離され取り出されて供給され、もって平海苔束Nに被せられ巻き付けられてから結束されていた。
【0005】
《問題点》
ところで、平海苔束Nとして出荷する従来例2に関しては、このような保護紙Pの吸引取り出し構造については、次の問題が指摘されていた。
吸引分離対象である紙ボックス内の最上位1枚の保護紙Pのみならず、更に下位の保護紙Pまで吸引されてしまうことが、多々あった。
保護紙P’が極めて極薄なので、紙ボックスの下位の保護紙Pまで吸引が及び、下位の保護紙Pが、一緒にくっつき1枚更には複数枚、分離して取り出されて供給されてしまうことが多々あった。取り出されなくても、シワがよることもあった。
従来の吸引取り出し構造については、保護紙Pの取り出し供給に際し、このようなトラブル発生が課題とされていた。
【0006】
《本発明について》
本発明の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造は、このような実情に鑑み、上述した課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、確実に最上位の1枚だけを、取り出すことができ、第2に、もってトラブル発生も防止される、平海苔束保護紙の吸引取り出し装置を、提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造は、海苔の生産工程で使用され、紙ボックスから、極薄長方形の平海苔束保護紙の最上位1枚を、吸引し取り出して供給する。
そして板部と、該板部の端部に設けられた収納部と、該収納部内に配された吸引部と、を有している。
該板部は、該紙ボックス内の最上位の該保護紙面に当接配置使用される。
該収納部は、該保護紙の長手方向端縁から間隔距離Dにて配置使用されると共に、その外側部分と該保護紙面との間に上下の段差間隔Aを存して、配置使用される。
該吸引部は、その吸引面と該保護紙面との間に上下の高さ間隔Cを存して、配置使用されること、を特徴とする。
【0008】
請求項2の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項1において、該吸引部は、吸引により、その高さ間隔Cにて吸い上げスペースSを形成して、吸い上げると共に、吸い上げが、段差間隔Aを介し該保護紙の長手方向端縁に向けても波及する。
該保護紙は、該板部側で当接,押圧されつつ、吸い上げスペースS側から長手方向端縁に向け、吸い上げ変形されて下位の保護紙から離反する。
もって、最上位の該保護紙が1枚だけ、下位の保護紙から分離して、該紙ボックス内から取り出し可能となること、を特徴とする。
請求項3の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項2において、高さ間隔Cは、段差間隔A以上の上下間隔よりなること、を特徴とする。
【0009】
請求項4の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項2において、該収納部および該吸引部は、該板部の両端部にそれぞれ設けられていること、を特徴とする。
請求項5の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項2において、該板部は、該保護紙の長手方向に沿って略H形や長方形をなし、該収納部は、下面が開放された有頂筒状をなすこと、を特徴とする。
請求項6の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項2において、該保護紙は、寸法が、170mmから280mm × 400mmから650mmよりなり、紙厚が、0.02mm~0.1mmよりなること、を特徴とする。
請求項7の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、請求項6において、間隔距離Dは、30mm~150mmよりなり、段差間隔Aは、1mm~4mmよりなり、高さ間隔Cは、4mm~10mmよりなること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)本発明の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造は、板部,収納部,吸引部等を、組み合わせて採用してなる。
(2)そして、紙ボックス内の最上位の保護紙に対し、降下,使用される。
(3)使用に際し板部は、最上位の保護紙に当接配置される。
収納部は、保護紙の長手方向端縁から、間隔距離Dにて配置使用されると共に、その外側部分と保護紙との間に、段差間隔Aを存して配置使用される。
収納部に配された吸引部と該保護紙との間には、高さ間隔Cを存して配置使用される。
(4)そして、吸引部の吸引により、高さ間隔Cにて吸い上げスペースSが直下に形成されて、吸い上げが行われる。これと共に吸い上げが、段差間隔Aを介し保護紙の長手方向端縁に向け、波及する。つまり、間隔距離Dについて対応波及する。
(5)そこで保護紙は、一方では、板部側で当接,押圧されつつ、他方では、吸い上げスペースS側から長手方向端縁に向け、吸い上げ変形される。
(6)保護紙は、このように吸い上げ変形されることにより、その直下の下位の保護紙から、離反する。
(7)従って、吸引取り出し構造が上昇される際、最上位の保護紙のみが、吸引部の吸引により取り出される。
すなわち、最上位の該保護紙は、吸い上げ変形により直下の下位の保護紙から部分的に離反せしめられていることに基づき、下位の保護紙から全体的にも確実に分離され、もって紙ボックスから取り出される。
(8)取り出された1枚の保護紙は、平海苔束に供給される。
【発明の効果】
【0011】
《第1の効果》
第1に、確実に最上位の1枚だけを、取り出すことができる。
本発明の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造は、所定の板部,収納部,吸引部等を、組み合わせて採用したことにより、最上位の保護紙が1枚だけ、下位の保護紙から分離して、紙ボックス内から吸引し取り出して供給することができる。
極薄の保護紙ではあるが、前述したこの種従来例のように、1枚取りに支障が生じるようなことはなく、確実な1枚取りが実現される。
【0012】
《第2の効果》
第2に、そこでトラブル発生も防止される。
本発明の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造では、上述したように、確実に最上位の1枚だけを、紙ボックスから取り出し供給することができる。
もって、前述したこの種従来例のように、紙ボックスの更に下位の保護紙まで、吸引されて供給されてしまうことは防止される。下位の保護紙が、一緒に1枚更には複数枚、取り出されて供給されることや、シワがよることは、解消される。
このように、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る平海苔束保護紙の吸引取り出し構造について、発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は、実施例1の使用状態の正面説明図、(2)図は、(1)図の要部拡大図である。
【
図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、実施例1の使用状態の底面図である。
【
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、他の実施例を示す。そして(1)図は、実施例2の底面図、(2)図は、実施例3の底面図、(3)図は、実施例4の底面図、(4)図は、実施例5の底面図である。(5)図は、結束機や吸引取り出し構造の正面図である。
【
図4】同発明を実施するための形態の説明に供し、吸引取り出し工程の正面説明図である。そして(1)図は、吸引取出し前、(2)図は、吸引取出し中、(3)図は、吸引取出し後、(4)図は、平海苔束への供給の各工程を示す。
【
図5】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は、保護紙を平海苔束と共に示した、平面説明図である。(2)図は、平海苔束の斜視図、(3)図は、保護紙が巻き付けられた状態の斜視図、(4)図は、結束された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《本発明の概要》
本発明の概要については、次のとおり。
本発明の平海苔束保護紙の吸引取り出し構造1は、海苔の生産工程で使用される。もって紙ボックスHから、極薄長方形の平海苔束保護紙Pの最上位1枚を、吸引し取り出して供給する。
そして板部2と、板部2の端部に設けられた収納部3と、収納部3内に配された吸引部4と、を有している。
板部2は、紙ボックスH内の最上位の保護紙P面に、当接配置使用される。
収納部3は、その保護紙Pの長手方向端縁から間隔距離Dにて、配置使用されると共に、その外側部分と保護紙P面との間に上下の段差間隔Aを存して、配置使用される。
吸引部4は、その吸引面と保護紙P面との間に上下の高さ間隔Cを存して、配置使用される。
本発明の概要については、以上のとおり。以下このような本発明について、詳述する。
【0015】
《ライン構成等について》
まず、
図3の(5)図を参照して、結束機5や吸引取り出し構造1のライン構成について、説明する。
平海苔束Nは、前工程のカウント集積工程から、折り曲げない平海苔のまま、50枚や100枚等の束にカウント集積されて、供給される(
図5の(2)図を参照)。1枚の平海苔は、長さ210mm(~230mm、更には275mm)×幅190mm(~200mm)程度の寸法よりなり、略長方形の薄いシート状をなす。
そしてコンベア6が、平海苔束Nを一束ずつ載せて、前方に搬送する。コンベア6は、例えばひもコンベアよりなり、2本のひも間の左右幅間隔が、平海苔束Nの左右幅より狭くなっている。
コンベア6は、少なくとも結束機5下に至るまで配設されており、結束機5の手前に吸引取り出し構造1が配設されている。吸引取り出し構造1は、搬送停止された平海苔束Nに、保護紙Pを供給して被せる。
保護紙Pが供給され被せられた平海苔束Nは、プレス板7上で搬送停止された後、プレス板7に積載,上昇されてプレス圧縮される。
圧縮され保護紙Pが被せられて巻き付けられた平海苔束Nは(
図5の(3)図を参照)、結束機5により結束帯Tで結束されて(
図5の(4)図を参照)、降下される。もって、結束された保護紙P付の平海苔束Nとして、出荷される。
結束機5や吸引取り出し構造1のラインについては、以上のとおり。
【0016】
《保護紙Pについて》
次に、
図3の(5)図,
図4,
図5等を参照して、保護紙Pについて説明する。
保護紙Pは、結束帯Tによる結束,締め付け時や、事後の取扱い時,流通時の接触等に対し、平海苔束Nを保護する。もって、平海苔束Nに被せて巻き付けられる。
紙厚0.02mm~0.1mm程度、例えば0.04mm程度の極薄紙、代表的には文庫紙が使用される。寸法は、170mmから280mm × 400mmから650mm程度、例えば205mm×470mm程度の長方形帯状をなす。なお、平海苔束Nを完全に巻回しなくても可とされている。
そして保護紙Pは、上面が開放された箱状の紙ボックスH内に、多数枚が積重収納されている。
図3の(5)図中、6’は紙ボックス用のコンベアである。
保護紙Pについては、以上のとおり。
【0017】
《吸引取り出し構造1の概要》
次に、
図2,
図3の(5)図,
図4等を参照して、吸引取り出し構造1の概要について、説明する。
吸引取り出し構造1は、紙ボックスH内から最上位1枚の保護紙Pを、吸引分離対象とし、吸引により取り出して、平海苔束Nへと供給する。
そして、付設された昇降機構8により昇降動される。もって、
図4の(1)図の吸引取り出し前の工程、降下後の(2)図の吸引取り出し中の工程、(3)図の吸引取り出し後の上昇工程、(4)図の平海苔束Nへの降下、供給工程を辿る。
昇降機構8は、例えば
図3の(5)図中に示したように、縦コンベア,駆動スライド,ガイドシャフト,フリースライド,連結機,モータ等を備えている。
そして吸引取り出し構造1は、板部2,収納部3,吸引部4等を、備えている。
吸引取り出し構造1の概要については、以上のとおり。
【0018】
《板部2》
吸引取り出し構造1の板部2について、
図2,
図3等を参照して、説明する。
板部2は、例えば鉄板製よりなり、保護紙Pへの使用に際し、保護紙Pの長手方向に沿って、例えば略H形(
図2の例)や長方形(
図3の(1)図~(4)図の例)をなす。
使用に際し、つまり吸引取り出し時において、板部2は、紙ボックスH内の最上位の保護紙P表面に、降下,当接配置される。もって、その重量に基づき、保護紙Pに押圧力を及ぼし、保護紙Pの中央エリアをその間、不動に押し付ける。
このように板部2は、長方形帯状をなす保護紙Pを、不動に押し付けるに足る形状や面積よりなる。
板部2については、以上のとおり。
【0019】
《収納部3》
吸引取り出し構造1の収納部3について、
図1,
図2,
図3等を参照して、説明する。
収納部3は、下面が開放された有頂筒状をなし、板部2の端部に設けられる。例えば、板部2と一体的に折曲形成される。
図2,
図3の(1)図,(2)図,(3)図等の各例の収納部3は、正方形の角筒状をなし、板部2の左右両端部に2個ずつ計4個設けられている。
そして、
図1,
図2,
図3の(1)図,(3)図の各例の収納部3は、板部2の左右両端部の各コーナー位置に設けられている。
図3の(2)図の例の収納部3は、板部2の左右両端部の各コーナーから若干距離を置いた、内側位置に設けられている。
図1,
図2,
図3の(1)図,(2)図の例の収納部3は、板部2に連接付設されている。
図3の(3)図の例の収納部3は、板部2に内設されている。
図3の(4)図の例の収納部3は、長筒状をなし、板部2の左右両端部に沿って、計2個設けられている。
【0020】
そして、使用に際し降下した収納部3は、長方形帯状をなす保護紙Pの長手方向の図示では左右端縁から、それぞれ間隔距離Dにて配置使用される。それぞれ、収納部3の内側端縁まで、間隔距離Dにて配置使用される設定よりなる。
間隔距離Dは、収納部3に収納される吸引部4が、使用に際し紙ボックスH内の最上位の保護紙Pを、所期のとおり吸い上げ変形させるのに必要十分な距離よりなる。そして、30mm~150mmで吸い上げ変形可能となるが、例えば90mm~110mmに設定される。
なお第1に、後述するように、最上位の保護紙P紙面と、収納部3の外側部分とは、上下の段差間隔Aが存する設定よりなる。
第2に、収納部3の間隔距離Dに鑑み、板部2の形状や面積も、保護紙Pとの関係で対応設定される。
第3に、図中Wは、収納部3そして吸引部4の寸法であり、保護紙Pの紙厚が厚いほど広く設定され、例えば、紙厚0.04mmの場合は25mm程度に設定される。
収納部3については、以上のとおり。
【0021】
《吸引部4》
吸引取り出し構造1の吸引部4について、
図1,
図2,
図3の(1)図~(4)図等を参照して、説明する。
吸引部4は、前述により板部2の端部に設けられた例えば4個の収納部3内に、それぞれ配されている。各々例えば短円柱状をなし、各収納部3内上部に、嵌入収納されている。その吸引には、市販,公知の吸引構造,吸着構造が使用可能であり、ベルヌーイ式グリッパ,真空パッド,吸引パッド,吸盤,その他が使用される。
そして吸引部4は、下面の吸引面と最上位の保護紙P表面との間に、上下の高さ間隔Cを存して、配置使用される。
この高さ間隔Cは、使用に際し紙ボックスH内の最上位の保護紙Pを、所期のとおり吸い上げ変形させることが可能な上下間隔に設定される。そして4mm~10mmで可能となるが、具体的には保護紙Pの紙厚次第であり、例えば、紙厚0.04mmの場合は4mm程度とされる。
【0022】
高さ間隔Cは、収納部3の段差間隔A以上の上下間隔に設定される。
すなわち収納部3は、前述したように有頂筒状をなすが、内側部分が、板部2と例えば一体形成され連接されるのに対し、外側部分は、紙ボックスH内の最上位の保護紙P紙面との間に、上下の段差間隔Aを存して使用される設定よりなる。
そして、最上位の保護紙P特に間隔距離Dの保護紙Pを、所期のとおり吸い上げて変形させることを可能とするには、1mm~4mmの段差間隔Aが必要となる。
なお段差間隔Aは、具体的には保護紙Pの紙厚次第であり、紙厚が厚いほど広い間隔に設定され、例えば、紙厚0.04mmの場合は1.5mm~2mm程度とされる。
そして、上述したに吸引部4の高さ間隔Cは、この収納部3の段差間隔A以上の上下間隔に設定される。これらにより、使用に際し紙ボックスH内の最上位の保護紙Pを、所期のとおり吸い上げ変形させることが可能となる。
【0023】
さてそこで、降下,使用される板部2両端部の各吸引部4は、吸引により、直下の高さ間隔Cにて吸い上げスペースSをそれぞれ形成して、吸い上げると共に、吸い上げが、段差間隔Aを介し、最上位の保護紙Pの長手方向端縁に向け、それぞれ波及する。つまり吸い上げが、間隔距離Dについて対応波及する。
そこで、最上位の保護紙Pは、板部2側では、上から当接,押圧されつつ、吸い上げスペースS側から長手方向端縁に向けては、それぞれ上方向に吸い上げ変形されて、下位の保護紙Pから離反する。
もって、吸引取り出し構造1全体が降下状態から上昇される際、最上位の保護紙Pを1枚だけ、下位の保護紙P’から分離して、紙ボックスH内から取り出すことが可能となる。保護紙Pは、上述したように下位の保護紙P’から離反されるので、全体的にも下位の保護紙P’から分離されて、取り出される。
吸引部4については、以上のとおり。
【0024】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)本発明の平海苔束保護紙Pの吸引取り出し構造1は、板部2と収納部3と吸引部4とを、初めて組み合わせて採用してなる。収納部3は、代表的には板部2の両端部に設けられる。
【0025】
(2)そして吸引取り出し構造1は、吸引取り出し対象である紙ボックスH内の最上位の保護紙Pに対し、降下,使用される(
図4の(1)図,(2)図)を参照)。
【0026】
(3)使用に際し板部2は、最上位の保護紙Pに、当接配置される(
図1,
図2,
図4の(2)図等を参照)。
各収納部3は、保護紙Pの長手方向端縁から、それぞれ間隔距離Dにて配置使用される。又、それぞれの外側部分と保護紙Pとの間に、上下の段差間隔Aを存して、配置使用される(
図1を参照)。
各収納部3内にそれぞれ配された吸引部4は、保護紙Pとの間に、上下の高さ間隔Cを存して、配置使用される(
図1を参照)。
【0027】
(4)そして、各吸引部4の吸引により、高さ間隔Cにて吸い上げスペースSが直下にそれぞれ形成されて、吸い上げが行われる。これと共に吸い上げが、段差間隔Aを介し保護紙Pの長手方向端縁に向け、それぞれ波及する(
図1を参照)。つまり、吸い上げが間隔距離Dについて対応波及する。
【0028】
(5)そこで、最上位の保護紙Pは、一方では、板部2側で中央部を当接,押圧されつつ、他方では、吸い上げスペースS側から長手方向端縁に向け、それぞれ吸い上げ変形される(
図1の(1)図,(2)図を参照)。
【0029】
(6)このように保護紙Pは、長手方向端縁に向けそれぞれ吸い上げ変形されることにより、その直下から離反する。直下部分の下位の保護紙P’から、それぞれ離反する(
図1の(2)図を参照)。
【0030】
(7)従って吸引取り出し構造1が、それ迄の使用,降下状態から上昇される際、吸引取り出し構造1と共に、最上位の保護紙Pのみが、各吸引部4の吸引により取り出されるようになる。
すなわち最上位の保護紙Pは、上述した吸い上げ変形により、直下の保護紙P’から部分的に離反せしめられることに基づき、下位の保護紙P’から全体的にも確実に分離される。
もって、紙ボックスH内から1枚だけが、取り出されるようになる(
図4の(3)図を参照)。
【0031】
(8)このように取り出された1枚の保護紙Pは、平海苔束Nに供給されて被せられる(
図4の(4)図を参照)。
【符号の説明】
【0032】
A 段差間隔
C 高さ間隔
D 間隔距離
H 紙ボックス
N 平海苔束
P 保護紙
P’下位の保護紙
S 吸い上げスペース
T 結束帯
W 横寸法
1 吸引取り出し構造
2 板部
3 収納部
4 吸引部
5 結束機
6 コンベア
6’コンベア
7 プレス板
8 昇降機構