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特開2023-151809勾配コンクリートの仕上げ装置および勾配コンクリートの仕上げ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151809
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】勾配コンクリートの仕上げ装置および勾配コンクリートの仕上げ方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/14 20060101AFI20231005BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20231005BHJP
   E02B 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E01C7/14
E04G21/10 Z
E02B7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061636
(22)【出願日】2022-04-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】515256729
【氏名又は名称】ゲートアップ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 泰夫
【テーマコード(参考)】
2D051
2E172
【Fターム(参考)】
2D051AC08
2D051AF03
2D051AH01
2D051AH07
2D051CA10
2E172AA05
2E172DE01
2E172GB03
(57)【要約】
【課題】急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合においては、締固めやタンピングを行うと、動的な側方流動や表面の垂れが発生し、コンクリートの仕上げ品質が劣化する。また、狭隘で複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術や工具も、見当たらない。
【解決手段】予め、ガイドとなる複数の有孔板を、自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに合致するよう上側鉄筋上に設置し、所定の量のコンクリートを当該有孔板の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して締固め、その後順次、有孔板を撤去する。その上で円筒回転体の弧状スライド部を隣接のガイドとなる有孔板の端部にかけて、スライド移動させつつ、撤去後のコンクリート面を回転させて仕上げる。そうすると、隣接の有孔板は、依然として表面の垂れや動的な側方流動を抑止するから、円筒回転体にてタンピングしつつ表面を効率よく仕上げることができる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
錐台状の貫通孔を断面視で漏斗状かつ平面視で碁盤目状または千鳥状に配列する全体視長方形の有孔板と、
前記貫通孔に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状の複数のアンカー棒と、
から、構成し、
前記有孔板を、前記複数のアンカー棒が前記貫通孔に貫通し拘束されて下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含されつつ、前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配することを特徴とする、勾配コンクリートの流れ止め装置。
【請求項2】
勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
コンクリート面に自らの下側を接して回転することで仕上げる円筒状の円筒回転体と、
前記円筒回転体の両端部の夫々を自らの下端付近において回転可能に保持する二組の支持脚と、
前記二組の支持脚の何れかの側に固定され、前記円筒回転体の端部を回転させるモーターと、
から構成し、
前記円筒回転体を、前記勾配の方向に概直角に配して、前記円筒回転体の前記勾配の高いほうから所定の量のコンクリートを供給しつつ、前記モーターにて前記円筒回転体を当該コンクリートが掻き揚げられるように回転させて仕上げる態様であることを特徴とする、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の勾配コンクリートの流れ止め装置と、請求項2に記載の勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置を用いて、勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
前記円筒回転体は、何れかの端部にコンクリート面に面する部分より縮径かつ同芯の弧状スライド部を有し、
前記有孔板の複数を前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配し、前記複数のアンカー棒を前記貫通孔に貫通し拘束して下端を下方の第一のコンクリートにアンカー状に包含しつつ当該第一のコンクリートを供給し締め固める第一の工程と、
前記有孔板の下面側に所定の量の第二のコンクリートを供給しかつ圧入して締固める第二の工程と、
前記円筒回転体が、前記有孔板の複数が逐次撤去され撤去後のコンクリート面に自らの下側を接して、何れかの端部の前記弧状スライド部が当該撤去後のコンクリート面に隣接の残る前記有孔板の端部にかけられかつ前記勾配の方向に対し概直角に配され、所定の量の第三のコンクリートを前記円筒回転体の勾配の高いほうから供給して前記モーターにて掻き揚げるように回転させて仕上げる第三の工程と、
を経ることを特徴とする、勾配コンクリートの仕上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合の、締固め及びタンピングにおける、勾配コンクリートの流れ止め装置、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置、勾配コンクリートの仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会インフラにおけるコンクリート路盤には、その機能から、急な勾配を有し、狭隘で複雑な形状の場合がある。「曲線を成す高速道路ランプの路盤面」や「平面視、上流側が拡幅し下流側が縮小する台形状のダムの下流側の水路面」などがそれに当たる。
【0003】
ここで、「コンクリート充填」においては、振動機を用いて、コンクリートに一様に振動が与えられ締め固められる様に、振動機の操作間隔及び1か所当りの振動時間を事前に計画しなければならないことが、コンクリート標準示方書に定められている。
【0004】
また、「表面仕上げ」において、鉄筋位置はコンクリートの沈降によるひび割れが発生するため、この箇所の鏝等を用いたタンピングの必要性が、コンクリート標準示方書に注意喚起されている。
【0005】
しかし、前述の急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合の、「コンクリート充填」及び「表面仕上げ」において、コンクリート標準示方書にあるように、振動機の締固めや鏝等を用いたタンピングを行うと、チクソトロピー性を有するコンクリートは再流動化し「動的な側方流動を起こす場合」や「表面が垂れて仕上げ勾配が保てない場合」が出てくる。このため、人力によるコンクリートを掻き揚げる作業が必要となり、このことが大きな作業負荷となった。なによりも、人力によるコンクリートを掻き揚げる作業は、逆にコンクリートの表面の密実性を阻害した。
【0006】
このような、急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合の、動的な側方流動を防ぐには、打設中のコンクリートが流動せぬよう、粗朶柵などのような剛性のあるせき止め材を、路盤鉄筋内の基盤上全域に適宜頻度にて配すればよい。しかし、異物となり品質問題を生じるような、土留材である粗朶柵を路盤鉄筋内の基盤上に配して存置するわけにはいかない。したがって、このような、動的な側方流動を防ぐ手立てがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3016783号公報
【特許文献2】特許第6191936号公報
【0008】
ここで、特許文献1に、構築用コンクリートせき止め具の技術がある。しかし、この技術は、水平な薄いスラブなどの打ち継ぎの端面に静的な側圧耐荷材である褄枠の代替として固定される。したがって、全域において適宜頻度にて所定の剛性で、路盤コンクリートの基盤、或いは、表面に固定できる構造になく、「動的な側方流動を起こす場合」に、適用できない。
【0009】
一方、「表面が垂れて仕上げ勾配が保てない場合」の、人力によるコンクリートの掻き揚げ作業を機械化する技術に、特許文献2のような、回転駆動式チューブローラの技術がある。同技術は、所定間隔の2本のレールをコンクリートの仕上げ面に合わせ上側鉄筋上に設置し、その上に回転駆動式チューブローラを回転させて当該チューブローラの下面にて整形を図る技術である。
しかし、特許文献2の技術は機構上、回転するチューブローラがコンクリート表面を撫ぜて整形するだけだから、整形後、別途機械にてタンピングをしなければならなかった。そうすると、急な勾配において依然として当該タンピングに伴う「表面の垂れ」を防ぐことはできず、「人力によるコンクリートの掻き揚げ作業」を機械化できない。
軟練りのコンクリートによる広範囲の仕上げ面を、撫ぜて表面の平滑化を図るのみに好適な技術である。
【0010】
要するに、特許文献1や特許文献2などの先行技術には、急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合において、締固めやタンピングを保障しつつ「動的な側方流動」や「表面の垂れ」を防ぐ手立ても、狭隘で複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術や工具も、見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上では、従来の急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合の締固め及びタンピングに伴う課題を説示したが、以下に、これら課題を総括する。
【0012】
1)振動機の締固めや鏝等を用いたタンピングを行うと、チクソトロピー性を有するコンクリートは再流動化し「動的な側方流動を起こす場合」や「表面が垂れて仕上げ勾配が保てない場合」が出てくる。
このため、人力によるコンクリートを掻き揚げる作業が必要となり、このことが大きな作業負荷となった。なによりも、人力によるコンクリートを掻き揚げる作業は時間がかかり、時間と共に水和反応及び硬化が進むコンクリートの表面の密実性を阻害した。
【0013】
2)動的な側方流動を防ぐには、打設中のコンクリートが流動せぬよう、粗朶柵などのような剛性のあるせき止め材を、路盤鉄筋の基盤上全域において適宜頻度にて配すればよい。しかし、異物となり品質問題を生じるような、土留材である粗朶柵を路盤鉄筋内の基盤上に配して存置するわけにはいかない。したがって、このような、動的な側方流動を防ぐ手立てがない。
【0014】
3)特許文献1に、構築用コンクリートせき止め具の技術がある。しかし、この種の技術は、水平な薄いスラブなどの打ち継ぎの端面に静的な側圧耐荷材である褄枠の代替として固定される。したがって、全域において適宜頻度にて所定の剛性で、路盤コンクリートの基盤、或いは、表面に固定できる構造になく、「動的な側方流動」を防ぐことができない。
【0015】
4)特許文献2に、人力によるコンクリートの整形を機械化する、回転駆動式チューブローラの技術がある。しかし、同技術はワイヤー懸下など線材による懸下であるから機構上、回転するチューブローラがコンクリート表面を低速回転にて撫ぜて整形する。このため整形後、別途機械にてのタンピングをしなければならない。
【0016】
5)そうすると特許文献2の技術は、当該回転駆動式チューブローラによる整形後、別途機械にてのタンピングに伴う「表面の垂れ」を防ぐことはできず、「人力によるコンクリートの掻き揚げ作業」を機械化できない。
【0017】
6)また特許文献2の技術の当該回転駆動式チューブローラはワイヤー懸下など線材による懸下であるから機構上、表面を低速回転にて撫ぜるだけである。このため、スランプ15cm以上の軟練りのコンクリートを専ら対象とする。したがって、急な勾配における「動的な側方流動」や「表面の垂れ」を最小化するスランプ8cm以下の硬練りのコンクリートへの対応が難しい。
【0018】
7)さらに特許文献2の技術は、埋没させる2本のレールの固定や撤去跡のコンクリートの仕上げに手間を食う。このため、レールの設置頻度が増大する狭隘で複雑な形状の場合には、対応が難しい。また、整形中に2本のレールが沈下したりずれたりする問題に効果的な対応が難しい。
【0019】
8)特許文献2の技術は、ワイヤー懸下など線材による懸下であるから方向制御はできない。したがって、狭隘な面、複雑な面に対し方向を定められず、整形できない。
【0020】
9)要するに、急な勾配を有する路盤コンクリートにおいて、振動機の締固めやタンピングを保障しつつ、表面の垂れや動的な側方流動を防ぐ手立ては先行技術に見当たらない。また、整形に加え、タンピングと掻き揚げの機能を有し、小回りがきき取り扱いが簡便な工具や設備も、先行技術には見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第一の手段は、
勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
錐台状の貫通孔を断面視で漏斗状かつ平面視で碁盤目状または千鳥状に配列する全体視長方形の有孔板と、
前記貫通孔に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状の複数のアンカー棒と、
から、構成し、
前記有孔板を、前記複数のアンカー棒が前記貫通孔に貫通し拘束されて下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含されつつ、前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配することを特徴とする、勾配コンクリートの流れ止め装置、を提供する。
【0022】
本発明の第二の手段は、
勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
コンクリート面に自らの下側を接して回転することで仕上げる円筒状の円筒回転体と、
前記円筒回転体の両端部の夫々を自らの下端付近において回転可能に保持する二組の支持脚と、
前記二組の支持脚の何れかの側に固定され、前記円筒回転体の端部を回転させるモーターと、
から構成し、
前記円筒回転体を、前記勾配の方向に概直角に配して、前記円筒回転体の前記勾配の高いほうから所定の量のコンクリートを供給しつつ、前記モーターにて前記円筒回転体を当該コンクリートが掻き揚げられるように回転させて仕上げる態様であることを特徴とする、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置、を提供する。
【0023】
本発明の第三の手段は、
第一の手段に記載の勾配コンクリートの流れ止め装置と、第二の手段に記載の勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置を用いて、勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる場合において、
前記円筒回転体は、何れかの端部にコンクリート面に面する部分より縮径かつ同芯の弧状スライド部を有し、
前記有孔板の複数を前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配し、前記複数のアンカー棒を前記貫通孔に貫通し拘束して下端を下方の第一のコンクリートにアンカー状に包含しつつ当該第一のコンクリートを供給し締め固める第一の工程と、
前記有孔板の下面側に所定の量の第二のコンクリートを供給しかつ圧入して締固める第二の工程と、
前記円筒回転体が、前記有孔板の複数が逐次撤去され撤去後のコンクリート面に自らの下側を接して、何れかの端部の前記弧状スライド部が当該撤去後のコンクリート面に隣接の残る前記有孔板の端部にかけられかつ前記勾配の方向に対し概直角に配され、所定の量の第三のコンクリートを前記円筒回転体の勾配の高いほうから供給して前記モーターにて掻き揚げるように回転させて仕上げる第三の工程と、
を経ることを特徴とする、勾配コンクリートの仕上げ方法、を提供する。
【0024】
本発明の第一の手段である、勾配コンクリートの流れ止め装置によれば、次のような効果を奏することができる。
【0025】
1)アンカー棒は、有孔板の錐台状の貫通孔に概楔状に拘束され、下端は下方のコンクリートにアンカー状に包含され、概、上下の両端固定の梁構造となる。そうすると、アンカー棒は、高い剛性で有孔板の下面側に供給しかつ圧入し締固める新たなコンクリートの動的な側方流動を抑止する。
【0026】
2)有孔板を上側鉄筋上に、勾配面には平行に、長方形の長手を勾配の方向に直交に配置し、アンカー棒は有孔板の面に直交に貫通孔の配列にしたがって列を揃えて適宜頻度にて配する。そうすると、有孔板及びアンカー棒は一体化してあたかも粗朶柵のごとくコンクリートの動的な側方流動を構造効率よく抑止する。
【0027】
3)複数の有孔板を、自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに概合致するよう上側鉄筋上に、長方形の長手を勾配の方向に直交させ、複数列、列間に隙間を空けて、設置する。そして、当該列間の隙間から、所定の量のコンクリートを当該有孔板の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、締固める。そうすると、複数の有孔板は順次、表面の垂れや動的な側方流動を抑止しつつ、仕上げることができる。
【0028】
4)水和反応が進行した凝結始発前の段階で、有孔板自体は離脱させることなく、アンカー棒のみを引き抜く。その後、アンカー棒を抜いた痕は、振動機を挿入しつつ締固めてから有孔板を順次撤去する。そうすると、表面の垂れや動的な側方流動を起こすことなくアンカー棒を抜いた痕を締め固めて有孔板を撤去できる。
【0029】
本発明の第二の手段である、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置によれば、次のような効果を奏することができる。
【0030】
5)円筒回転体は、勾配の方向に概直角に配して勾配の高いほうから所定の量のコンクリートを供給しつつ、コンクリートが掻き揚げられるように回転させる。そうすると、供給するコンクリートは下方に逸することがない。このため、供給されるコンクリートは順次仕上げられて、人力で掻き揚げる手間はなくなる。
【0031】
6)円筒回転体は、両端部の夫々を自らの下端付近において回転可能に保持する二組の支持脚に、コンクリート面に対し、支持する。そうすると、特許文献2の技術のような、ワイヤー懸下など線材による懸下でないから、狭隘な面、複雑な面に対し方向を定め、自在に表層の締固めとタンピングをしつつ方向制御できる。
【0032】
本発明の第三の手段である、勾配コンクリートの仕上げ方法によれば、次のような効果を奏することができる。
【0033】
7)予め、ガイドとなる複数の有孔板を、自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに概合致するよう上側鉄筋上に設置し、所定の量のコンクリートを当該有孔板の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、有孔板の上側から締固め、その後順次、有孔板を撤去する。
その上で円筒回転体の弧状スライド部を隣接のガイドとなる有孔板の端部にかけて、スライド移動させて、撤去後のコンクリート面を回転させて仕上げる。そうすると、隣接の有孔板は、依然として表面の垂れや動的な側方流動を抑止するから、円筒回転体にて表層の締固めとタンピングをしつつ表面を効率よく掻き揚げて仕上げることができる。
【0034】
8)各工程で、コンクリートの表面の垂れや動的な側方流動を効果的に抑止する有孔板の存在には、逆に、撤去した後の水和反応及び硬化が進む碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げの問題が出てくる。しかし、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置で、タンピングすれば再流動化するから、碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げについては造作もない。
【0035】
9)このように、第三の手段は、第一の手段と第二の手段の相乗効果にて、勾配コンクリートにおいて、締固めやタンピングを保障しつつ表面の垂れや動的な側方流動を防ぎ、複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、勾配コンクリートの流れ止め装置の構造を示す図である。
図2図2は、図1のC-C断面を拡大して示す図である。
図3図3は、勾配コンクリートの流れ止め装置の各タイプを示す図である。
図4図4は、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置の構造を示す図である。
図5図5は、図4の一部を拡大して示す図である。
図6図6は、図4と対比して、装置の使用形態を示す図である。
図7図7は、図6の一部を拡大して示す図である。
図8図8は、実施例の各ステップを示す概念図である。
図9図9は、実施例のステップ1の施工詳細を示す図である。
図10図10は、実施例のステップ3の施工詳細を示す図である。
図11図11は、図10の一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第一の手段である、「a.勾配コンクリートの流れ止め装置」について、図1図2図3を参照しながら説示する。続いて、本発明の第二の手段である、「b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置」について、図4図5図6図7を参照しながら説示する。
【0038】
a.勾配コンクリートの流れ止め装置
勾配コンクリートの流れ止め装置11のタイプ1の構造を、図1に示す。A-A’は、C-C’の矢視にあるように、有孔板12の平面を示す。B-B’は、C-C’の矢視にあるように、有孔板12の下方のアンカー棒14及び長尺のアンカー棒15の平面配置を示す。また、D-D’は、A-A’の矢視にあるように、勾配コンクリートの流れ止め装置のタイプ1の、側面を示す。図1のC-C断面を拡大して図2に示す。
【0039】
図1図2に示すように、勾配コンクリートの流れ止め装置11のタイプ1は、有孔板12、アンカー棒14及び長尺のアンカー棒15、長尺のアンカー棒15の頭部でこれらをつなぐ頭繋ぎ材17と、頭繋ぎ材17同士を締結する締結材18、頭繋ぎ材17と締結材18を締結するクランプ19、有孔板12を自らの下面がコンクリート仕上げ面に概合致するよう上側鉄筋上に配置するためのスペーサー16から構成する。
【0040】
図1図2に示すように、有孔板12は全体視長方形の形状にて、錐台状の貫通孔13を断面視で漏斗状かつ平面視で碁盤目状に配列する。また、アンカー棒14及び長尺のアンカー棒15は、錐台状の貫通孔13に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状となるよう、補助的なテーピングにより上端を漏斗状の貫通孔13に合致する概錐台状に形成しておく(図示せず)。
【0041】
そして、図2に示すように、タイプ1は、列を成す長尺のアンカー棒15の頭部を、溝形鋼の下フランジ開口20に嵌め込むことで繋ぐ頭繋ぎ材17で繋ぎ、さらに、複数列の頭繋ぎ材17同士はクランプ19を介し繋ぎ材17に直交する締結材18で締結する。
以上を踏まえ、有孔板12を、複数のアンカー棒14が貫通孔13に貫通し拘束されて下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含されつつ、コンクリート路盤の上側鉄筋上に配する。
【0042】
さらに、図3に示すように、タイプ1の長尺のアンカー棒15のみのアンカー棒で構成するタイプ2、タイプ1のアンカー棒全てを短尺のアンカー棒14で構成するタイプ3、タイプ2のアンカー棒全てを短尺のアンカー棒14で構成するタイプ4のバリーエーションを、勾配やコンクリート配合に対し、適宜選択する。そうすると、次のような効果を奏することができる。
【0043】
10)アンカー棒14,15は、補助的なテーピング(図示せず)などにより上端を漏斗状の貫通孔13に合致する概錐台状に形成しておくか、あるいは、複数のアンカー棒14,15の上端を、アンカー棒の頭繋ぎ材17で一体化しておけば、有孔板12に対し、単体あるいは複数一体にて概楔状に強固に拘束する。
【0044】
11)有孔板12と上側鉄筋の間にはレベル調整に必要なスペーサー16を介在させ、有孔板12と上側鉄筋をスペーサー16もろとも結束材で結束しておく。そうすると、有孔板12は勾配に起因するコンクリートの揚圧力に対し鉄筋自重とともに確実に耐荷でき、浮き上がることがない。
【0045】
12)コンクリートは元来、AE剤などの表面活性作用によって気泡径が25~250μm程度の微細な気泡を内包する粘弾性体である。したがって、有孔板12の下面で流れ止めを図りながら所定の圧で圧入すれば、凝結始発まで継続する弾性効果により、ブリージングに伴う沈降を相殺し、鉄筋直上の割れや直下の空隙を低減し、品質を向上できる。
【0046】
13)有孔板12の清掃において、貫通孔13は断面視で漏斗状に配列するため、上面側を下にして漏斗状を逆さまに、全体に叩くようにすれば、付着コンクリートは容易に脱落し、清掃は簡便となる。
【0047】
14)貫通孔13を平面視で碁盤目状に配列する。そうすると、開口率が最大化し、ブリージングと空気抜けが確保でき、コンクリートを密実化する。また、貫通孔13を平面視で千鳥状に配列する。そうすると、碁盤目状に対し、最低限のブリージングと空気抜けを確保しつつ、仕上げ面をより平滑化できる。このように、コンクリート路盤の用途、勾配やコンクリート配合に対し、適宜選択できる。
【0048】
15)有孔板12は、貫通孔13を平面視で碁盤目状または千鳥状に配列する。このため、タイプ1、タイプ2、タイプ3、タイプ4など、頭繋ぎ材17で一体化できるよう列を成すアンカー棒の配置や長さを変え、複数のバリーエーションを、コンクリート路盤の用途、勾配やコンクリート配合に対し、適宜選択できる。
【0049】
16)有孔板12は、貫通孔13を平面視で碁盤目状または千鳥状に配列するから、締固めや仕上げ作業において長靴は滑ることがない。このため、格好の安全足場となる。
【0050】
17)有孔板12の貫通孔13をφ30mm以上の円形、あるいは、一辺が30mm以上の矩形にする。そして、有孔板12自体は離脱させることなく、アンカー棒のみを引き抜く。そうするとその後、アンカー棒を抜いた痕を、振動機の径が機構上最小径となるφ28mmの細径の振動機で締固めることができる。
【0051】
18)有孔板12の貫通孔13に固定するアンカー棒の上端を頭繋ぎ材17にて列毎に固定する。そして、有孔板12の複数に亘り、当該頭繋ぎ材17に対しクランプ19を介し直交に締結材18で締結する。そうすると、有孔板12及びアンカー棒は、有孔板12の複数に亘り、強固に一体化する。このため、有孔板12を逐次撤去してコンクリートをタンピングしても、全体として、表面の垂れや動的な側方流動、円弧滑りを生じない。
【0052】
19)ここで、有孔板12の貫通孔13をφ60mm以下の円形、あるいは、一辺が60mm以下の矩形にする。そうすると、有孔板12の上から締固めやタンピングを行っても、標準配合の粗骨材を内包するコンクリートは圧送圧を受け粗骨材と細骨材が一体の強固なアーチアクションを形成し、セメントペーストを逸することがない。
【0053】
20)尚、有孔板12及びアンカー棒は、有孔板12の貫通孔に対しアンカー棒の形状が合致し拘束されれば、樹脂製でも木製でも鋼製でも材質は問わない。また、拘束が目的の貫通孔は、断面視で漏斗状の錐台状とし、平面視で碁盤目状または千鳥状に配列すれば、円錐台状孔でも角錐台状孔でも差し支えなく、アンカー棒は、丸状棒でも角状棒でも差し支えない。
21)例えば、有孔板12をFRP製とし断面視で漏斗状の角錐台状の貫通孔を碁盤目状に配列し、アンカー棒を当該貫通孔よりやや拡径の鋼管を使用する。そうすると、FRP製の貫通孔は鋼管のアンカー棒の貫通を受け、両者は弾性変形しながら噛み込み確実に拘束でき、全体に軽量化を図ることができる。
【0054】
b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置
「b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置30」の構造を、図4に、平面図、その下側に側面図、その右側に断面図で構成する三面図を示す。そして、図4の側面図と断面図の一部を図5に拡大して示す。
加えて、図4図5に対比させる形にて、図6図7に、「b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置30」と「a.勾配コンクリートの流れ止め装置11」を併用する場合を示す。
【0055】
図4図5に示すように、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置30は、まず、コンクリート面に自らの下側を接して回転することで仕上げる円筒状の円筒回転体31と、当該円筒回転体31の両端部の夫々を自らの下端付近において軸受け38を介し回転可能に保持する逆三角形状の二組の支持脚32と、当該二組の支持脚32の何れかの側に固定され、プーリ35とゴムベルト36を介し、当該円筒回転体31の端部に連続するコンクリート面に面する部分より縮径かつ同芯の円筒部44を回転させるモーター34とから構成する。
【0056】
そして、逆三角形状の二組の支持脚32は、相互に円筒回転体31の上方の水平連結材33にて連結し、その上端部にはハンドル41を配し、二人一組の作業者にて、方向を定める(図4図5を参照)。
【0057】
加えて、円筒回転体31は、内部が中空の鋼管を採用し軽量化を図り、表面に浮いているコンクリートの内部の粗骨材をモーターの高速回転の運動エネルギーにてコンクリート内部に叩き込むように締固めタンピングする。そして、装置自体の傾き及び回転速度を変化させて、コンクリートの硬軟や水和反応の進捗度合いに調整する。
【0058】
さらに、図6図7に示すように、円筒回転体31は、何れかの端部にコンクリート面に面する部分より縮径かつ同芯の弧状スライド部40を有し、当該弧状スライド部40を隣接のガイドとなる有孔板12の端部にかけて、スライド移動させて、回転させる。そうすると、次のような効果を奏することができる。(図4図5を参照)。
【0059】
22)水平連結材33にて連結される二組の支持脚の上端部にはハンドル41を配す。そうすると、二人一組の作業者により握られるハンドル41は常に同一向きとなり、全体に一体性と剛性がでて、方向が定められ操作性が向上する。
【0060】
23)二組の支持脚32は、水平連結材33にて連結されかつ、逆三角形状を呈する。このため、狭隘箇所でもタンピングと掻き揚げの操作に支障がなく、小回りがきき取り扱いが簡便となる。
【0061】
24)モーター34は、二組の支持脚32の何れかの側の、水平連結材33上に固定され、ゴムベルト36を介し、円筒回転体31の端部の縮径かつ同芯の円筒部44を回転させる。このため、モーター34及びゴムベルト36は掻き揚げられるコンクリートに汚損されず、耐久性が向上する。
【0062】
25)内部が中空の鋼管にて軽量化を図り、表面に浮いているコンクリートの内部の粗骨材をモーターの高速回転の運動エネルギーにてコンクリート内部に叩き込むように締固めタンピングする。このため、特許文献2の技術の回転駆動式チューブローラの技術では、対応が難しい、スランプ8cm以下の硬練りのコンクリートの場合でも、表層の締固めとタンピングをしつつ、掻き揚げ仕上げることができる。また、いわゆる砕石や土の締固め用の重量ローラーではコンクリート中に埋没する問題を、メカニズムとして解決する。
【0063】
26)円筒回転体31は、弧状スライド部40を介し、ガイドとなる有孔板12に面として支持されるから埋没せず、精度よく仕上げ面を仕上げることができる。
【0064】
27)「b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置」と「a.勾配コンクリートの流れ止め装置」を併用することで、残る有孔板12の複数は、円筒回転体31のタンピング範囲以外の、「動的な側方流動」や「表面の垂れ」を効果的に防ぐから、「表層の締固めとタンピング」及び「コンクリートの掻き揚げ作業」を機械化しかつ、作業を連続化できる。
【0065】
以下、本発明の第三の手段である、勾配コンクリートの仕上げ方法の実施例を、図8図9図10を主に参照して説明する。図8は、実施例のステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを示す概念図であり、鉄筋等は省いている。
そして、図9は、実施例のステップ1の施工詳細を示す図であり、図10は、実施例のステップ3の施工詳細を示す図であり、図11は、図10の一部を拡大して示す図である。図9図10は、夫々、平面図、右側に断面図、下側に側面図を示す三面図である。
【実施例0066】
本発明の第三の手段の実施例として、図8を主に参照しながら、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを順に説示する。
ここで、ステップ1は、以下の手順である。
ステップ1-1.勾配コンクリートの流れ止め装置(タイプ1)の配置。
ステップ1-2.最下層の打設範囲Aの充填と締固め。
ステップ1-3.第一のコンクリートのアンカー棒への充填締固めによる包含。
ステップ1-4.第二のコンクリートの有孔板の下面側への供給圧入と締固め。
【0067】
ステップ2は、以下の手順である。
ステップ2-1.アンカー棒の引き抜き。
ステップ2-2.アンカー棒の引き抜き痕の締固めと、有孔板の撤去。
【0068】
ステップ3は、以下の手順である。
ステップ3-1.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置の配置。
ステップ3-2.円筒回転体の掻き揚げタンピング。
【0069】
ステップ4は、以下の手順である。
ステップ4-1.金鏝にて最終仕上げ、完了。
【0070】
ステップ1-1.勾配コンクリートの流れ止め装置(タイプ1)の配置。
ア)勾配コンクリートの流れ止め装置11は、前述のタイプ1を実施例にとる(図8のステップ1に図1図2を併せて参照)。
イ)また、有孔板12をFRP製とし、断面視、漏斗状で、角錐台状の貫通孔を碁盤目状に配列し、アンカー棒を当該貫通孔よりやや拡径の鋼管を使用する。そうすると、FRP製の貫通孔は鋼管のアンカー棒の貫通を受け、両者は弾性変形しながら確実に拘束する。
ウ)そして予め、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置30の円筒回転体31のガイドとなる、有孔板12の複数を自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに合致するよう上側鉄筋58上に、長方形の長手を勾配の方向52に直交させ、複数列、列間に隙間76,77,78,79を空けて、設置する(図8のステップ1に図9を併せて参照)。
エ)有孔板12は、上面がコンクリート仕上げ面に概合致するよう上側鉄筋58上に配置するためのスペーサー16を、有孔板12と上側鉄筋58もろとも結束材で結束(図示せず)しておく(図8のステップ1に図2及び図9を併せて参照)。
オ)複数のアンカー棒14及び長尺のアンカー棒15は、有孔板12の面に直交に前述のタイプ1の配置で、貫通孔13の配列にしたがって列を揃えて適宜頻度、有孔板12の貫通孔13に貫通させ拘束する(図8のステップ1に図1図2を併せて参照)。
カ)尚、アンカー棒14及び長尺のアンカー棒15は、断面視、漏斗状で、角錐台状の貫通孔13に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状となるよう、補助的なテーピング(図示せず)により上端を漏斗状の貫通孔13に合致する概錐台状に形成しておく(図8のステップ1に図1図2を併せて参照)。
キ)さらに列を成す長尺のアンカー棒15の頭部を、溝形鋼の下フランジ開口20に嵌め込むことで繋ぐ頭繋ぎ材17で繋ぎ、その上で、複数列の頭繋ぎ材17同士はクランプ19を介し繋ぎ材17に直交する締結材18で締結する(図8のステップ1に図1図2及び図9を併せて参照)。
【0071】
ステップ1-2.最下層の打設範囲Aの充填と締固め。
ア)図9に示すように、コンクリート路盤の最下層にあたる、打設範囲A63を、Start73からEnd74に向けて、列間の隙間A76、列間の隙間B(1)77、列間の隙間B(2)78、列間の隙間B(3)79、の順に、充填し、振動機57にて締め固める(図8のステップ1に図9を併せて参照)。
イ)尚、このように列間の隙間の各箇所から充填するのは、コンクリートの横引きによる骨材分離を防ぐことが目的である。
【0072】
ステップ1-3.第一のコンクリートのアンカー棒への充填締固めによる包含。
ア)コンクリート路盤の上側鉄筋58上に配する有孔板12の貫通孔13に貫通し拘束される、複数のアンカー棒14,15の下端を、下方の第一のコンクリートにアンカー状に包含しつつ当該第一のコンクリートを供給し締め固める。
イ)図8のステップ1において、第一のコンクリートとは、打設範囲B(n-1)66が該当し、ここにてアンカー棒14,15の下端をアンカー状に包含しておく。
【0073】
ステップ1-4.第二のコンクリートの有孔板の下面側への供給圧入と締固め。
ア)有孔板12の列間の隙間から、所定の量の第二のコンクリートを当該有孔板12の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、締固める。
イ)図8のステップ1において、第二のコンクリートは、上層の打設範囲Bn65が該当し、ここを充填しても、アンカー棒14,15の下端は第一のコンクリートの打設範囲B(n-1)66にてアンカー状に包含されている。したがって、アンカー棒は、上端は有孔板の錐台状の貫通孔に概楔状に拘束され、下端は下方の当該第一のコンクリートにアンカー状に包含され、上下の両端固定の梁構造となり、第二のコンクリートの締固めに伴う動的な側方流動を抑止する。
ウ)そして、図8のステップ1において、打設範囲Bn65は、充填が進むと次の上方の有孔板12(図示せず)のアンカー棒14,15の下端を包含する下方の第一のコンクリートに至る、こととなる。
【0074】
エ)このように、順に上方へ列間の隙間77,78,79から、所定の量のコンクリートを当該有孔板12の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、締固める(図8のステップ1に図9を併せて参照)。
【0075】
オ)コンクリートは元来、AE剤などの表面活性作用によって気泡径が25~250μm程度の微細な気泡を内包する粘弾性体である。したがって、有孔板12の下面で流れ止めを図りながら所定の圧で圧入すれば、凝結始発まで継続する弾性効果により、ブリージングに伴う沈降を相殺し、鉄筋直上の割れや直下の空隙を低減し、品質を向上できる。
カ)ここで、有孔板12の貫通孔13をφ60mm以下の円形、あるいは、一辺が60mm以下の矩形にする。そうすると、有孔板12の上から締固めやタンピングを行っても、標準配合の粗骨材を内包するコンクリートは圧送圧を受け粗骨材と細骨材が一体の強固なアーチアクションを形成し、セメントペーストを逸することがない。
【0076】
ステップ2-1.アンカー棒の引き抜き。
ア)図8のステップ2において、水和反応が進行した凝結始発前の段階で、有孔板12自体は仕上げ面から離脱させることなく、アンカー棒14,15のみを引き抜く(図8のステップ1とステップ2を比べて参照)。
イ)アンカー棒は、有孔板12の複数に亘る複数列の頭繋ぎ材17同士を締結する締結材18を、クランプ19を緩めることで、下方にスライドし離脱させ(図9の右側の図と図10の右側の図を比べて参照)、長尺のアンカー棒15の頭部を嵌め込んでいた頭繋ぎ材17を撤去し、引き抜く(図8のステップ2に、図1図2及び図9図10も併せて参照)。
【0077】
ステップ2-2.アンカー棒の引き抜き痕の締固めと、有孔板の撤去。
ウ)図8のステップ2に示すように、アンカー棒14,15を抜いた痕は、振動機68を挿入しつつ締固めて有孔板12を撤去する。そうすると、表面の垂れや動的な側方流動を起こすことなくアンカー棒14,15を抜いた痕を締め固めて有孔板12を撤去できる。
エ)有孔板12の貫通孔13をφ30mm以上の円形、あるいは、一辺が30mm以上の矩形にする。そして、有孔板12自体は離脱させることなく、アンカー棒のみを引き抜く。そうするとその後、アンカー棒を抜いた痕を、振動機68の径が機構上最小径となるφ28mmの細径の振動機68で締固めることができる。
オ)有孔板12の清掃においては、上面側を下にして漏斗状を逆さまに、全体に叩くようにし、付着コンクリートを脱落させる(図示せず)。
【0078】
ステップ3-1.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置の配置。
ア)図8のステップ3において、図6図7に示す勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置30を図10に示すように配置する。
イ)円筒回転体31は、有孔板12の複数が逐次撤去され撤去後のコンクリート面に自らの下側を接して、何れかの端部の弧状スライド部40を隣接に残る前記有孔板12の端部にかけ、勾配の方向52に対し概直角に配す(図8のステップ3に、図6図7及び図10も併せて参照)。
ウ)二組の支持脚32は、逆三角形状にし、相互に円筒回転体31の上方の水平連結材33にて連結し、その下端部においては、軸受け38を介し円筒回転体31を回転可能に保持し、その上端部にはハンドル41を配し、二人一組の作業者にて、方向を定める(図8のステップ3に、図6図7及び図10も併せて参照)。
エ)ハンドル41には、スイッチ37とブレーキ43を備えており、これにて起動、停止、及び制動を行う(図6図7を参照)。
オ)水平連結材33には、モーター34と動力源のバッテリー42と飛散防止カバー39を上載し、重心のバランスをとるとともに、円筒回転体31の掻き揚げに伴う飛散防止を図る(図6図7を参照)。
【0079】
ステップ3-2.円筒回転体の掻き揚げタンピング。
ア)図8のステップ3において、円筒回転体31は、追加供給が必要な場合、所定の量の第三のコンクリート62を前記円筒回転体31の勾配の高いほうから供給してモーター34にて掻き揚げるように回転させて、弧状スライド部40を残る前記有孔板12の端部にかけスライド移動させて、撤去後のコンクリート面を回転させて仕上げる(図8のステップ3に、図6図7及び図10も併せて参照)。
イ)円筒回転体31は、内部が中空の鋼管を採用し軽量化を図り、表面に浮いているコンクリートの内部の粗骨材をモーターの高速回転の運動エネルギーにてコンクリート内部に叩き込むように締固めタンピングする。そして、装置自体の傾き及び回転速度を変化させて、コンクリートの硬軟や水和反応の進捗度合いに調整する(図6図7を参照)。
ウ)図8のステップ3に示すように、水和反応及び硬化が進む碁盤目状の不陸面54は、円筒回転体31のタンピングにて再流動化させつつ、平滑に仕上げる(図8のステップ3とステップ4を比べて参照)。
【0080】
ステップ4-1.金鏝にて最終仕上げ、完了
ア)金鏝にて最終仕上げを行い、完了する(図示せず)。
【0081】
以上、本発明の第三の手段の実施例として、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを説示した。このような、勾配コンクリートの仕上げ方法によれば、前述の次のような効果を奏することができる。
・予め、ガイドとなる複数の有孔板を、自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに概合致するよう上側鉄筋上に設置し、所定の量のコンクリートを当該有孔板の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、有孔板の上側から締固め、その後順次、有孔板を撤去する。
その上で円筒回転体の弧状スライド部40を隣接のガイドとなる有孔板の端部にかけて、スライド移動させて、撤去後のコンクリート面を回転させて仕上げる。そうすると、隣接の有孔板は、依然として表面の垂れや動的な側方流動を抑止するから、円筒回転体にて表層の締固めとタンピングをしつつ表面を効率よく仕上げることができる。
・各工程で、コンクリートの表面の垂れや動的な側方流動を効果的に抑止する有孔板の存在には、逆に、撤去した後の水和反応及び硬化が進む碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げの問題が出てくる。しかし、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置で、タンピングすれば再流動化するから、水和反応及び硬化が進む碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げについては造作もない。
・このように、第三の手段は、第一の手段と第二の手段の相乗効果にて、勾配コンクリートにおいて、締固めやタンピングを保障しつつ表面の垂れや動的な側方流動を防ぎ、複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術である。
【符号の説明】
【0082】
11 勾配コンクリートの流れ止め装置(タイプ1) 、12 有孔板、13 貫通孔、14 アンカー棒、15 長尺のアンカー棒、16 スペーサー、17 アンカー棒の頭繋ぎ材、18 頭繋ぎ材同士の締結材、19 クランプ、20 下フランジ開口、30 勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置、31 円筒回転体、32 支持脚、33 水平連結材、34 モーター、35 プーリ、36 ゴムベルト、37 スイッチ、
38 軸受け、39 飛散防止カバー、40 弧状スライド部、41 ハンドル、42 バッテリー、43 ブレーキ、44 同芯の円筒部、51 勾配を有するコンクリート路盤、52 勾配の方向、53 路盤鉄筋、54 碁盤目状または千鳥状の不陸面、55 アンカー棒を抜いた痕、57 振動機、58 上側鉄筋、59 コンクリート圧送ホース、62 第三のコンクリート、63 打設範囲A、64 打設範囲B、65 打設範囲B(n)、66 打設範囲B(n-1)、67 打設範囲C、68 振動機、71 路盤鉄筋固定アンカー、72 型枠、73 Start、74 End、75 施工済部、76 列間の隙間A、77 列間の隙間B(1)、78 列間の隙間B(2)、79 列間の隙間B(3)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる勾配コンクリートの仕上げ装置であって
前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配され、錐台状の貫通孔を断面視で漏斗状かつ平面視で碁盤目状または千鳥状に配列する全体視長方形の有孔板と、
前記貫通孔に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状の複数のアンカー棒とを備え
前記有孔板、前記複数のアンカー棒が前記貫通孔に貫通し拘束され自らの下端を下方の前記コンクリートにアンカー状に包含されることで固定され、当該有孔板の下面で前記勾配コンクリートを流れ止める
ことを特徴とする勾配コンクリートの仕上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の勾配コンクリートの仕上げ装置であって、
前記コンクリートをタンピングしつつ掻き揚げるタンピング掻き揚げ装置を更に備え、
前記タンピング掻き揚げ装置は、
前記コンクリート面に自らの下側を接して回転する円筒状の円筒回転体と、前記円筒回転体の両端部の夫々を自らの下端付近において回転可能に保持する二組の支持脚と、前記二組の支持脚の何れかの側に固定され前記円筒回転体の端部を回転させるモーターと、前記円筒回転体の何れかの端部に具備され前記コンクリートの面に面する部分より縮径かつ当該円筒回転体と同芯の弧状スライド部とを備え、
前記弧状スライド部の下方を前記有孔板の端部にかけて当該端部をガイドとしてスライド移動させて、前記円筒回転体が前記勾配の方向に概直角に配され、前記円筒回転体が回転して前記コンクリートを掻き揚げる
ことを特徴とする勾配コンクリートの仕上げ装置。
【請求項3】
請求項に記載の勾配コンクリートの仕上げ置を用いた勾配コンクリートの仕上げ方法であって、
複数の前記有孔板を前記コンクリート路盤の上側鉄筋上に配し、前記複数のアンカー棒を前記貫通孔に貫通し拘束して当該アンカー棒の下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含しつつコンクリートを供給し締め固める第一の工程と、
前記有孔板の下面側に所定の量のコンクリートを供給しかつ圧入して締固める第二の工程と、
前記複数の有孔板逐次撤去した後のコンクリート面に、前記タンピング掻き揚げ装置の前記円筒回転体の下側を接し、前記弧状スライド部を未撤去の前記有孔板の端部にかけて当該円筒回転体を前記勾配の方向に対し概直角に配し、当該円筒回転体に対して勾配の高いから所定の量のコンクリートを供給し、前記弧状スライド部をスライド移動させて前記モーターによる前記円筒回転体の回転によりコンクリートを掻き揚げ仕上げを行う第三の工程と、
有する勾配コンクリートの仕上げ方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、急な勾配を有する路盤コンクリートを仕上げる場合に適用する、勾配コンクリートの仕上げ装置および勾配コンクリートの仕上げ方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、勾配を有するコンクリート路盤のコンクリートを仕上げる勾配コンクリートの仕上げ装置であって、
コンクリート路盤の上側鉄筋上に配され、錐台状の貫通孔を断面視で漏斗状かつ平面視で碁盤目状または千鳥状に配列する全体視長方形の有孔板と
通孔に上方から貫通させると形状が合致し拘束される形状の複数のアンカー棒とを備え、
孔板を、複数のアンカー棒が貫通孔に貫通し拘束され自らの下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含されることで固定され、当該有孔板の下面で勾配コンクリートを流れ止めることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様に記載の勾配コンクリートの仕上げ装置であって、コンクリートをタンピングしつつ掻き揚げるタンピング掻き揚げ装置を更に備え、
タンピング掻き揚げ装置は、
コンクリートの面に自らの下側を接して回転する円筒状の円筒回転体と、円筒回転体の両端部の夫々を自らの下端付近において回転可能に保持する二組の支持脚と、二組の支持脚の何れかの側に固定され円筒回転体の端部を回転させるモーターと、円筒回転体の何れかの端部に具備されコンクリートの面に面する部分より縮径かつ当該円筒回転体と同芯の弧状スライド部とを備え、
弧状スライド部の下方を有孔板の端部にかけて当該端部をガイドとしてスライド移動させて、円筒回転体が勾配の方向に概直角に配され、円筒回転体が回転してコンクリートを掻き揚げることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の第三の態様は、上記第二の態様に記載の勾配コンクリートの仕上げ装置を用いた勾配コンクリートの仕上げ方法であって、
複数の有孔板をコンクリート路盤の上側鉄筋上に配し、複数のアンカー棒を貫通孔に貫通し拘束して当該アンカー棒の下端を下方のコンクリートにアンカー状に包含しつつコンクリートを供給し締め固める第一の工程と
孔板の下面側に所定の量のコンクリートを供給しかつ圧入して締固める第二の工程と、
複数の有孔板を逐次撤去した後のコンクリート面に、タンピング掻き揚げ装置の円筒回転体の下側を接し、弧状スライド部を未撤去の有孔板の端部にかけて当該円筒回転体を勾配の方向に対し概直角に配し、当該円筒回転体に対して勾配の高いから所定の量のコンクリートを供給し、弧状スライド部をスライド移動させてモーターによる円筒回転体の回転によりコンクリートを掻き揚げて仕上げを行う第三の工程と、
有することを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本発明の第一の態様によれば、次のような効果を奏することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明の第二の態様によれば、次のような効果を奏することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明の第三の態様によれば、次のような効果を奏することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
9)このように、第三の態様は、第一の態様と第二の態様の相乗効果にて、勾配コンクリートにおいて、締固めやタンピングを保障しつつ表面の垂れや動的な側方流動を防ぎ、複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本発明の「勾配コンクリートの仕上げ装置」の内、上記第一の態様については、勾配コンクリートを流れ止めることから、上記第二の態様で更に備える「タンピング掻き揚げ装置」との区別を図るために、以下では、「a.勾配コンクリートの流れ止め装置」と称して図1図2図3を参照しながら説示する。続いて、本発明の第二の態様で更に備える「タンピング掻き揚げ装置」については、以下では、「b.勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置」と称して図4図5図6図7を参照しながら説示する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
以下、本発明の第三の態様である、勾配コンクリートの仕上げ方法の実施例を、図8図9図10を主に参照して説明する。図8は、実施例のステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを示す概念図であり、鉄筋等は省いている。
そして、図9は、実施例のステップ1の施工詳細を示す図であり、図10は、実施例のステップ3の施工詳細を示す図であり、図11は、図10の一部を拡大して示す図である。図9図10は、夫々、平面図、右側に断面図、下側に側面図を示す三面図である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
本発明の第三の態様の実施例として、図8を主に参照しながら、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを順に説示する。
ここで、ステップ1は、以下の手順である。
ステップ1-1.勾配コンクリートの流れ止め装置(タイプ1)の配置。
ステップ1-2.最下層の打設範囲Aの充填と締固め。
ステップ1-3.第一のコンクリートのアンカー棒への充填締固めによる包含。
ステップ1-4.第二のコンクリートの有孔板の下面側への供給圧入と締固め。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
以上、本発明の第三の態様の実施例として、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4,の各ステップを説示した。このような、勾配コンクリートの仕上げ方法によれば、前述の次のような効果を奏することができる。
・予め、ガイドとなる複数の有孔板を、自らの下面をコンクリートの仕上げレベルに概合致するよう上側鉄筋上に設置し、所定の量のコンクリートを当該有孔板の下面で流れ止めを図りながら供給しかつ圧入して、有孔板の上側から締固め、その後順次、有孔板を撤去する。
その上で円筒回転体の弧状スライド部40を隣接のガイドとなる有孔板の端部にかけて、スライド移動させて、撤去後のコンクリート面を回転させて仕上げる。そうすると、隣接の有孔板は、依然として表面の垂れや動的な側方流動を抑止するから、円筒回転体にて表層の締固めとタンピングをしつつ表面を効率よく仕上げることができる。
・各工程で、コンクリートの表面の垂れや動的な側方流動を効果的に抑止する有孔板の存在には、逆に、撤去した後の水和反応及び硬化が進む碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げの問題が出てくる。しかし、勾配コンクリートのタンピング掻き揚げ装置で、タンピングすれば再流動化するから、水和反応及び硬化が進む碁盤目状または千鳥状の不陸面の仕上げについては造作もない。
・このように、第三の態様は、第一の態様と第二の態様の相乗効果にて、勾配コンクリートにおいて、締固めやタンピングを保障しつつ表面の垂れや動的な側方流動を防ぎ、複雑な形状を自在に掻き揚げタンピングする技術である。