(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151817
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061645
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 治久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄哉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA20
2C056EB06
2C056EB08
2C056EB29
2C056EB40
2C056EC06
2C056EC26
2C056EC35
2C056FA04
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】検出素子の検出機能を従来よりも長期間保持させつつ液滴の吐出の状態を高精度に検知することが可能な液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出装置は、液滴を吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドから吐出された液滴の飛翔領域を通るように光を照射する光源と、光源に対して離れて配置され、受光面に照射された光を検出する検出素子と、光源と検出素子との間に配置されて光源から照射された光に作用する光学素子と、制御装置と、を備え、制御装置は、検出素子による検出値を受け取り、検出値に基づき、光源、検出素子又は光学素子のいずれかを動かすことで光源からの光の受光面上の照射位置を変える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出された液滴の飛翔領域を通るように光を照射する光源と、
前記光源に対して離れて配置され、受光面に照射された前記光を検出する検出素子と、
前記光源と前記検出素子との間に配置されて前記光源から照射された光に作用する光学素子と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検出素子による検出値を受け取り、前記検出値に基づき、前記光源、前記検出素子又は前記光学素子のいずれかを動かすことで前記光源からの光の前記受光面上の照射位置を変える、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
第1時期に前記吐出ヘッドに前記液滴を吐出させない状態で前記光源に前記検出素子の前記受光面上の所定位置に光を照射させた際の前記検出素子の検出値である第1検出値と、前記第1時期よりも後の第2時期に前記吐出ヘッドに前記液滴を吐出させない状態で前記光源に前記所定位置と同位置に光を照射させた際の前記検出素子の検出値である第2検出値とを比較した比較結果を取得し、
前記比較結果に基づいて前記所定位置の劣化の有無を判定し、
前記所定位置について前記劣化があると判定した場合に前記照射位置を変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記検出素子の前記受光面上における複数の所定位置について前記劣化の有無を判定し、
前記照射位置を変える場合には、前記複数の所定位置のうち前記劣化がないと判定した所定位置に前記照射位置を変える、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の所定位置のうち所定数の前記所定位置について前記劣化があると判定した場合に、前記検出素子の交換を促す信号を出力する、請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記比較結果により前記第2検出値が前記第1検出値よりも光量に関して所定割合の減少を示す値である場合に前記劣化があると判定する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記検出素子を移動させる検出素子用駆動装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記検出素子用駆動装置により前記検出素子を移動させることで前記照射位置を変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記検出素子用駆動装置はモータを有し、
前記制御装置は前記モータにより前記検出素子を移動させる、請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記光学素子を移動させる光学素子用駆動装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記光学素子用駆動装置により前記光学素子を移動させることで前記照射位置を変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記光学素子用駆動装置はモータを有し、
前記制御装置は前記モータにより前記光学素子を移動させる、請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記光学素子は集光素子である、請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記検出素子には電路部が設けられ、
前記制御装置は、変更前の前記照射位置の前記電路部からの間隔と、変更後の前記照射位置の前記電路部からの間隔とが等しくなるように前記照射位置を変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記光源からの光を前記受光面上の同じ位置に継続して照射させた累積時間が所定時間に達したときに前記照射位置を変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
前記検出素子に振動を付与する振動機構をさらに備える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
前記光源から出射された光が通過する出射口を有し、前記光源を前記飛翔領域から隔てる光源用隔壁と、
前記光源からの光が入射する入射口を有し、前記検出素子を前記飛翔領域から隔てる検出素子用隔壁と、をさらに備える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記受光面内に前記光の照射範囲が収まるように前記光源に光を照射させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項16】
前記制御装置は前記照射位置を所定時間の経過ごとに変える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等の画像記録装置に用いられる液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐出ヘッドから吐出されたインク滴の有無を検出する技術がある。この技術として、例えば特許文献1には、吐出ヘッドから吐出されたインク滴に対して光源からのレーザ光を照射させ、当該インク滴内を通過した光を受光部で受光し、その受光量に基づきインク滴の体積を検知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光源から出射された光が受光部に照射され続けると、光や温度上昇によって受光部の物性が変化して当該受光部が早期に劣化する恐れがある。そのため、液滴の吐出の状態を高精度に検知できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、検出素子の検出機能を従来よりも長期間保持させつつ液滴の吐出の状態を高精度に検知することが可能な液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出された液滴の飛翔領域を通るように光を照射する光源と、前記光源に対して離れて配置され、受光面に照射された前記光を検出する検出素子と、前記光源と前記検出素子との間に配置されて前記光源から照射された光に作用する光学素子と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記検出素子による検出値を受け取り、前記検出値に基づき、前記光源、前記検出素子又は前記光学素子のいずれかを動かすことで前記光源からの光の前記受光面上の照射位置を変えるものである。
【0007】
本発明に従えば、所定時間に達する前でも検出素子における所定位置が劣化していると判断する場合に、検出素子の受光面上における光の照射位置が変えられる。これにより、受光面上の変更後の照射位置に照射された光に係る受光量を高精度に検出することができる。このことによって、検出素子の検出機能を従来よりも長期間保持させつつ液滴の吐出の状態を高精度に検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出素子の検出機能を従来よりも長期間保持させつつ液滴の吐出の状態を高精度に検知することが可能な液滴吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置が設けられる画像形成装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置を示す平面図である。
【
図3】
図1の吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【
図4】
図1の画像形成装置の構成要素を示すブロック図である。
【
図5】飛翔領域を飛翔中のインク滴内を通過したレーザ光を検出素子の受光面にて受光する構成を示す図である。
【
図6】(a)は受光面上の変更前の照射位置を示す図であり、(b)は受光面上の変更後の照射位置を示す図である。
【
図9】(a)は標準位置の集光素子を示す図であり、(b)は傾斜した集光素子を示す図である。
【
図10】受光面上の電路部と各照射位置との位置関係を説明するための図である。
【
図11】受光面上の電路部と各照射位置との位置関係の別例を説明するための図である。
【
図12】検出素子に振動を付与する振動機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置について図面を参照して説明する。以下に説明する液滴吐出装置は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置1aが設けられる画像形成装置1を示す斜視図である。以下では、画像形成位置1として立体物である被印刷媒体Wに対する印刷も可能なインクジェットプリンタを用いた例を開示するが、画像形成装置1には用紙のみに印刷が可能なインクジェットプリンタ等も含まれる。
図1において、相互に直交する方向を、第1方向Ds、第2方向Dfおよび第3方向Dzとする。本実施形態では、例えば、第1方向Dsは後述するキャリッジ3の移動方向であり、第2方向Dfは後述する被印刷媒体Wの搬送方向であり、第3方向Dzは上下方向である。以下の説明では、Dsを移動方向と呼び、Dfを搬送方向と呼び、Dzを上下方向と呼ぶ。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、筐体2と、操作キー4と、表示部5と、被印刷媒体Wが配置されるプラテン6と、上部カバー7とを備える。また、画像形成装置1は、吐出ヘッド10と、制御装置20(
図4)を含むコントローラユニット19とを有する
図2の液滴吐出装置1aを備える。吐出ヘッド10は、液滴として例えば紫外線硬化型のインク滴Id(
図5)を吐出するインクジェットヘッドである。
【0013】
筐体2は箱状に形成されている。筐体2は開口部2aを有する。筐体2には操作キー4が設けられている。また、操作キー4の近傍には表示部5が設けられている。操作キー4はユーザによる操作入力を受け付ける。表示部5は例えばタッチパネルで構成され、所定情報を表示する。表示部5の一部は操作キーとしても機能する。コントローラユニット19は、操作キー4からの入力又は図略の通信インタフェースを介する外部入力に基づき印刷機能を実現すると共に表示部5の表示を制御する。
【0014】
プラテン6は被印刷媒体Wを載置可能に構成されている。プラテン6は所定の厚みを有し、例えば搬送方向Dfを長手方向とする矩形状の板材により構成される。プラテン6は図略のプラテン支持台により、取り外し可能に支持されている。プラテン支持台は搬送モータ33(
図4)の駆動により被印刷媒体Wへの印刷を実行する印刷位置と被印刷媒体Wをプラテン6から取り外す着脱位置との間で搬送方向Dfに移動可能に構成される。これにより、プラテン6は被印刷媒体Wの被吐出面を吐出ヘッド10に対して搬送方向Dfに相対移動させる。印刷時にはプラテン6が搬送方向Dfに移動するため、プラテン6上に載置された被印刷媒体Wが搬送方向Dfに沿って搬送される。
【0015】
上部カバー7は、その端部を持ち上げると上方へ回動するように構成されている。これにより、筐体2の内部が露出する。
【0016】
図2に示すように、液滴吐出装置1aは、貯留タンク62、例えば2つの吐出ヘッド10(10A,10B)と2つの紫外線照射装置40(40A,40B)が搭載されたキャリッジ3、および一対のガイドレール67を備える。なお、2つの吐出ヘッド10と2つの紫外線照射装置40を設けることにしたが、これに限定されるものではなく、1つの吐出ヘッド10と1つの紫外線照射装置40を設けてもよい。
【0017】
キャリッジ3は、移動方向Dsに延在する一対のガイドレール67に支持され、当該ガイドレール67に沿って移動方向Dsに往復動する。これにより、2つの吐出ヘッド10(10A,10B)と2つの紫外線照射装置40(40A,40B)は移動方向Dsに往復動可能になっている。また、吐出ヘッド10はチューブ62aを介して貯留タンク62に接続される。
【0018】
本実施形態において、例えば、吐出ヘッド10Aは、カラーインクと総称されることがあるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色のインク滴Idを吐出する。以上の4色のインク滴Idが被印刷媒体Wに吐出されることで当該被印刷媒体Wにカラー画像が印刷される。一方、吐出ヘッド10Bは、ホワイト(W)のインク滴Idおよびクリア(Cr)のインク滴Idを吐出する。被印刷媒体Wとして例えば布帛にカラー画像を印刷する際には、当該布帛の色や布帛の材質への影響を低減するために、下地インクとして白インクのインク滴Idが先に吐出され、当該白インクのインク滴Idの上にカラーインクのインク滴Idが吐出される。また、クリアインクのインク滴Idは光沢を付与する場合や印刷部分の保護を行う場合に吐出される。
【0019】
貯留タンク62にはインクが貯留されている。貯留タンク62はインクの種類ごとに設けられている。貯留タンク62は、例えば6つ設けられ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ、ホワイト、およびクリアのインクがそれぞれ貯留される。
【0020】
液滴吐出装置1aはさらにパージ部50および受け部54を備える。受け部54はキャリッジ3の移動領域に重なるように一対のガイドレール67のうち移動方向Dsの一方側に配置される。パージ部50は、キャリッジ3の移動領域に重なるように一対のガイドレール67のうち移動方向Dsの他方側に配置される。
【0021】
パージ部50は、キャップ51、吸引ポンプ52および吸引位置と待機位置との間でキャップ51を昇降する図略の昇降機構を有する。吸引ポンプ52はキャップ51に接続されている。待機位置では吐出面NM(
図3)はキャップ51から離間する。一方、吸引位置では吐出面NMがキャップ51に覆われ、密閉空間が形成される。キャップ51が吸引位置にあるときに吸引ポンプ52が駆動されると、上記密閉空間が吸引されてノズル孔121a(
図3)からインクが排出されるパージ処理が行われる。
【0022】
また、受け部54はフラッシング処理によって吐出ヘッド10から吐出されたインク滴Idを受ける。
【0023】
次に吐出ヘッド10の詳細構造について説明する。
図3に示すように、吐出ヘッド10は貯留タンク62からのインクを用いてインク滴Idを吐出する複数のノズル121を有する。吐出ヘッド10は流路形成体と容積変更部の積層体を有する。流路形成体には、その内部にインク流路が形成され、その下面である吐出面NMに複数のノズル孔121aが開口している。また、上記の容積変更部は、駆動されてインク流路の容積を変更する。このとき、ノズル孔121aではメニスカスが振動してインクが吐出される。
【0024】
吐出ヘッド10の上述の流路形成体は複数のプレートの積層体であり、容積変更部は振動板155およびアクチュエータ(圧電素子)160を含む。振動板155の上には後述の共通電極161が接続されている。
【0025】
複数のプレートは、下から順に、ノズルプレート146、スペーサプレート147、第1流路プレート148、第2流路プレート149、第3流路プレート150、第4流路プレート151、第5流路プレート152、第6流路プレート153、および第7流路プレート154を含んで積層されている。
【0026】
各プレートには大小種々の孔および溝が形成されている。各プレートが積層された流路形成体の内部では孔および溝が組み合わされて、複数のノズル121、複数の個別流路164およびマニホールド122がインク流路として形成されている。
【0027】
ノズル121はノズルプレート146を積層方向に貫通し形成されている。ノズルプレート146の吐出面NMには、ノズル121の先端である複数のノズル孔121aが搬送方向Dfに複数並んでノズル列を形成している。
【0028】
マニホールド122は、吐出圧力が付与される圧力室128に対してインクを供給する。マニホールド122は、搬送方向Dfに延在しており、複数の個別流路164の各一端にそれぞれ接続されている。すなわち、マニホールド122はインクの共通流路として機能する。マニホールド122は、第1流路プレート148~第4流路プレート151を積層方向に貫通した貫通孔および第5流路プレート152の下面から窪んだ窪みが積層方向に重なって形成されている。
【0029】
ノズルプレート146はスペーサプレート147の下方に配置されている。そのスペーサプレート147は例えばステンレス鋼材で形成される。スペーサプレート147は、例えばハーフエッチングによりノズルプレート146側の面からスペーサプレート147の厚み方向に凹むことで、ダンパ部147aを成す薄肉部分とダンパ空間147bとが形成される凹部145を有する。これにより、マニホールド122とノズルプレート146との間に、バッファー空間としてのダンパ空間147bが形成される。
【0030】
マニホールド122には供給ポート122aが連通している。供給ポート122aは例えば筒状に形成され、搬送方向Dfの一端に設けられている。なお、マニホールド122と供給ポート122aとは図略の流路により繋がっている。
【0031】
各個別流路164はマニホールド122にそれぞれ接続されている。個別流路164は、その上流端がマニホールド122に接続され、その下流端がノズル121の基端に接続されている。個別流路164は、第1連通孔125、個別絞り路である供給絞り路126、第2連通孔127、圧力室128、およびディセンダ129で構成されており、これらの構成要素はこの順で配置される。
【0032】
第1連通孔125は、その下端がマニホールド122の上端に接続し、マニホールド122から積層方向の上方に延び、第5流路プレート152における上側部分を積層方向に貫通している。
【0033】
供給絞り路126の上流端は第1連通孔125の上端に接続されている。供給絞り路126は、例えばハーフエッチングにより形成され、第6流路プレート153の下面から窪んだ溝により構成されている。また、第2連通孔127は、その上流端が供給絞り路126の下流端に接続され、供給絞り路126から積層方向の上方に延び、第6流路プレート153を積層方向に貫通して形成されている。
【0034】
圧力室128は、その上流端が第2連通孔127の下流端に接続されている。圧力室128は、第7流路プレート154を積層方向に貫通して形成されている。
【0035】
ディセンダ129は、スペーサプレート147、第1流路プレート148、第2流路プレート149、第3流路プレート150、第4流路プレート151、第5流路プレート152、および第6流路プレート153を積層方向に貫通して形成されている。ディセンダ129は、その上流端が圧力室128の下流端に接続され、下流端がノズル121の基端に接続されている。ノズル121は、例えば積層方向においてディセンダ129に重なり、幅方向においてディセンダ129の中央に配置されている。
【0036】
振動板155は、第7流路プレート154の上に積層されており、圧力室128の上端開口を覆っている。
【0037】
アクチュエータ160は、共通電極161、圧電層162および個別電極163を含み、これらはこの順で配置されている。共通電極161は振動板155の全面を覆っている。圧電層162は共通電極161の全面を覆っている。個別電極163は、圧力室128ごとに設けられ、圧電層162上に配置されている。1つの個別電極163、共通電極161および両電極で挟まれた部分の圧電層162により1つのアクチュエータ160が構成される。
【0038】
個別電極163はドライバICに電気的に接続されている。このドライバICは、制御装置20から制御信号を受けて、駆動信号(電圧信号)を生成し、個別電極163に印加する。これに対して、共通電極161は常にグランド電位に保持されている。このような構成において、圧電層162の活性部は駆動信号に応じて共通電極161および個別電極163と共に面方向に伸縮する。これに応じて、振動板155が協働して変形し、圧力室128の容積を増減する方向に変化する。これにより、インク滴Idをノズル121から吐出させる吐出圧力が圧力室128に付与される。
【0039】
吐出ヘッド10において、インクは、供給ポート122aを介してマニホールド122に流入すると、当該マニホールド122から第1連通孔125を介して供給絞り路126に流入し、供給絞り路126から第2連通孔127を介して圧力室128に流入する。その後、インクはディセンダ129を流れ、ノズル121に流入する。ここで、アクチュエータ160により圧力室128に吐出圧力が付与されると、インク滴Idがノズル孔121aから吐出される。
【0040】
図4は
図1の画像形成装置1の構成要素を示すブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置1は、上述の構成要素の他、コントローラユニット19、読取装置26、モータドライバIC30,31、ヘッドドライバIC32、搬送モータ33、キャリッジモータ34、照射装置ドライバIC35、パージドライバIC36、および光源ドライバIC37を備える。また、画像形成装置1は検出ドライバIC38、検出駆動ドライバIC39、光学駆動ドライバIC41、振動駆動ドライバICを備える。液滴吐出装置1aは、光源65、検出素子67、検出素子用駆動装置43、光学素子用駆動装置44、集光素子71、および振動機構75を備える。
【0041】
コントローラユニット19は、CPUで構成される制御装置20、記憶部(ROM21、RAM22、EEPROM23、HDD24)、およびASIC25を有する。制御装置20は、上記の各記憶部に接続されていると共に各ドライバIC30~32,35~38および表示部5を制御する。
【0042】
制御装置20は、ROM21に記憶された所定の処理プログラムを実行することにより、種々の機能を実行する。制御装置20は、コントローラユニット19に1つのプロセッサとして実装されていてもよいし、互いに協働する複数のプロセッサとして実装されていてもよい。処理プログラムは、コンピュータ読取可能な光磁気ディスク等又はUSBフラッシュメモリ等の記録媒体KBから読取装置26で読み出されてROM21に記憶される。RAM22には、外部から受信した画像データおよび制御装置20の演算結果等が記憶される。EEPROM23にはユーザが入力した各種の初期設定情報が格納されている。HDD24には特定情報などが記憶される。
【0043】
ASIC25には、モータドライバIC30,31と、ヘッドドライバIC32と、照射装置ドライバIC35と、パージドライバIC36と、光源ドライバIC37と、検出ドライバIC38と、検出駆動ドライバIC39と、光学駆動ドライバIC41と、振動駆動ドライバIC42とが接続される。ASIC25は、制御装置20の指令に基づいて各ドライバIC30~32,35~39,41,42を駆動する。
【0044】
制御装置20は、モータドライバIC30により搬送モータ33を駆動することでプラテン6を搬送方向Dfに移動させる。制御装置20は、モータドライバIC31によりキャリッジモータ34を駆動することでキャリッジ3を移動方向Dsに移動させる。
【0045】
制御装置20は、外部装置等から取得した画像データを被吐出面にインク滴Idを吐出するための吐出データに変換する。制御装置20は、変換した吐出データに基づいてヘッドドライバIC32により吐出ヘッド10からインク滴Idを吐出させる。また、制御装置20は、照射装置ドライバIC35により紫外線照射装置40の各発光ダイオードチップから紫外線を照射させる。制御装置20はパージドライバIC36によりパージ部50を駆動する。
【0046】
制御装置20は光源ドライバIC37により光源65にレーザ光を照射させ、検出ドライバIC38により検出素子67に上記レーザ光を検出させる。また、制御装置20は検出駆動ドライバIC39により検出素子用駆動装置43を駆動させ、光学駆動ドライバIC41により光学素子用駆動装置44を駆動させ、振動駆動ドライバIC42により振動機構75を駆動させる。
【0047】
図5は飛翔領域Shを飛翔中のインク滴Id内を通過したレーザ光Lzを検出素子67の受光面68にて受光する構成を示す図である。
【0048】
光源65は例えばレーザーダイオードである。
図5に示すように、光源65は、当該光源65から出射されるレーザ光Lzの光軸方向において吐出ヘッド10の位置を基準として一方側に配置される。光源65は、吐出ヘッド10のノズル121から吐出されたインク滴Idが飛翔する飛翔領域Shへ向けてレーザ光Lzを照射する。
【0049】
光源65は箱状の光源収納部82内に配置される。これにより、光源65は飛翔領域Shから隔てられる。光源収納部82は所定波長の光を透過させる例えば透明板などで構成される。光源収納部82が光源用隔壁に相当する。光源収納部82は光源65から出射されるレーザ光Lzの出射方向の側にスリット82aを有する。スリット82aが出射口に相当する。光源収納部82内には、スリット82aを当該光源収納部82の内側から覆うようにレンズ83が配置されている。このような構成において、光源65から出射されたレーザ光Lzはレンズ83を透過しスリット82aを通過した後、吐出ヘッド10から吐出されて飛翔領域Shを飛翔中のインク滴Idに照射される。
【0050】
検出素子67は例えばフォトダイオードである。検出素子67は光源65から出射されたレーザ光Lzの光軸方向において吐出ヘッド10の位置を基準として他方側に配置される。検出素子67は光源65に対して離れて配置される。検出素子67は光源65に対して飛翔領域Shを挟んで配置される。検出素子67は、光源65から出射されたレーザ光Lzが飛翔中のインク滴Id内を通過した後のレーザ光Lzに関する受光量を検出する。この場合、検出素子67はレーザ光Lzが受光面68に照射される際に当該検出素子67の電極間を流れる電流値を検出する。
【0051】
検出素子67は箱状の検出素子収納部70内に配置される。これにより、検出素子67は飛翔領域Shから隔てられる。検出素子収納部70は所定波長の光を透過させる例えば透明板などで構成される。検出素子収納部70が検出素子用隔壁に相当する。検出素子収納部70は光源65から出射されるレーザ光Lzの入射方向の側にスリット70aを有する。スリット70aが入射口に相当する。検出素子収納部70内には、スリット70aを当該検出素子収納部70の内側から覆うように光学素子としての集光素子71が配置されている。これにより、集光素子71は光源65と検出素子67との間に配置される。集光素子71は例えばレンズであり、レーザ光Lzに作用して当該レーザ光Lzを集光する。これにより、レーザ光Lzが検出素子67の受光面68に受光され易くなる。
【0052】
このような構成において、光源65から出射されたレーザ光Lzはスリット70aを介して集光素子71を透過した後、検出素子67の受光面68に照射される。検出素子67は受光面68に照射されたレーザ光Lzに関する受光量を検出する。
【0053】
制御装置20は、検出素子67により受光された受光量に応じた電流値を受け取り、当該電流値に基づきノズル121の吐出の状態(例えば吐出不良の有無等)を判定する。この場合、吐出不良に起因してインク滴Idの体積が変化する等の現象が生じるため、その際の受光量に応じた電流値を検知することでノズル121の吐出不良を判別することができる。
【0054】
ここで、制御装置20は検出素子67の受光面68の部分において劣化が生じている場合に、光源65から出射されたレーザ光Lzの受光面68上の照射位置を変える。以下、図面を参照しつつ説明する。
図6(a)は受光面68上の変更前の照射位置IP1を示す図であり、(b)は受光面68上の変更後の照射位置IP2を示す図である。
【0055】
まず、制御装置20は、第1時期に吐出ヘッド10にインク滴Idを吐出させない状態で、光源65に検出素子67の受光面68上の所定位置(
図6(a)の照射位置IP1)にレーザ光Lzを照射させ、その際における検出素子67の検出値(第1検出値)を取得する。第1時期とは、後述の第2時期よりも前の時期であればよく、例えば工場出荷時等である。
【0056】
制御装置20は、第1時期よりも後の第2時期に吐出ヘッド10にインク滴Idを吐出させない状態で、光源65に上記所定位置と同位置にレーザ光Lzを照射させ、その際における検出素子67の検出値(第2検出値)を取得する。
【0057】
制御装置20は、取得した第1検出値と第2検出値とを比較し、この比較結果から第2検出値が第1検出値よりも所定割合の減少を示す値である場合に、受光面68上の上記所定位置に劣化が存在すると判定する。制御装置20は第2検出値が第1検出値から例えば3割以上低下したものとなる場合に劣化が存在すると判定することができる。
【0058】
或いは、制御装置20は、第1検出値と第2検出値との比較結果に加えて、照射位置IP1にレーザ光Lzを照射した累積照射時間が所定時間に達したときに受光面68上の照射位置IP1が劣化したと見做してもよい。この場合、第1検出値と第2検出値との比較結果から第2検出値が第1検出値よりも所定割合の減少を示す値でなくても、照射位置IP1にレーザ光Lzを照射した累積照射時間が所定時間に達している場合には、照射位置IP1は劣化したと見做される。反対に、照射位置IP1にレーザ光Lzを照射した累積照射時間が所定時間に達していなくても、第1検出値と第2検出値との比較結果から第2検出値が第1検出値よりも所定割合の減少を示す値である場合には、照射位置IP1は劣化したと見做される。
【0059】
制御装置20は、劣化が存在すると判定すると、光源65からのレーザ光Lzの受光面68上の照射位置を変える。具体的には、制御装置20はレーザ光Lzの照射位置を
図6(a)の照射位置IP1から、当該照射位置IP1の下方に位置する
図6(b)の照射位置IP2に変更する。これにより、受光面68上の劣化した照射位置IP1にレーザ光Lzが照射されることに起因して、インク滴Idの吐出の状態を高精度に検知できなくなることを回避することができる。
【0060】
以下、レーザ光Lzの照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2に変えるべく検出素子67を移動させる検出素子用駆動装置43の構成について説明する。
図7は検出素子67を移動させる構成を示す図であり、
図8は集光素子71を移動させる構成を示す図である。
【0061】
制御装置20は、検出素子用駆動装置43により検出素子67を上下方向Dzに移動させることでレーザ光Lzの照射位置を変える。
【0062】
以下の構成は一例であり、検出素子用駆動装置43の構成を限定するものではない。検出素子用駆動装置43は、
図7に示すように、例えば電動モータであるモータ43aと、駆動側ギアおよび従動側ギアを含む減速ギア43bと、ボールねじ43cと、可動テーブル43dとを有する。モータ43aの回転軸43kは減速ギア43bの駆動側ギアに接続されている。また、ボールねじ43cは上下方向Dzに延在するように配置される。検出素子67は可動テーブル43dに支持される。
【0063】
制御装置20によりモータ43aが回転駆動されると、その回転力が減速ギア43bを介してボールねじ43cに伝達される。これにより、ボールねじ43cがその軸回りに回転し、これに伴って可動テーブル43dが上下方向Dzに移動する。このため、可動テーブル43dに支持された検出素子67を上下方向Dzに移動させることが可能となる。これによって、レーザ光Lzの照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2に変えることができる。
【0064】
ここで、検出素子用駆動装置43の代わりに、又は検出素子用駆動装置43と併せて光学素子用駆動装置44を用いてレーザ光Lzの照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2に変えてもよい。光学素子用駆動装置44の構成は基本的に検出素子用駆動装置43の構成と同じである。
【0065】
制御装置20は、光学素子用駆動装置44により集光素子71を上下方向Dzに移動させることでレーザ光Lzの照射位置を変えることができる。
【0066】
以下の構成は一例であり、光学素子用駆動装置44の構成を限定するものではない。光学素子用駆動装置44は、
図8に示すように、例えば電動モータであるモータ44aと、駆動側ギアおよび従動側ギアを含む減速ギア44bと、ボールねじ44cと、可動テーブル44dとを有する。モータ44aの回転軸44kは減速ギア44bの駆動側ギアに接続されている。また、ボールねじ44cは上下方向Dzに延在するように配置される。可動テーブル44dには支持軸44eが設けられ、当該支持軸44eに集光素子71が支持される。なお、光学素子用駆動装置44の各構成要素は集光素子71を透過するレーザ光Lzの通過領域を避けて配置する。
【0067】
制御装置20によりモータ44aが回転駆動されると、その回転力が減速ギア44bを介してボールねじ44cに伝達される。これにより、ボールねじ44cがその軸回りに回転し、これに伴って可動テーブル44dが上下方向Dzに移動する。このため、支持軸44eを介して可動テーブル44dに支持された集光素子71を上下方向Dzに移動させることが可能となる。これによって、レーザ光Lzの照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2に変えることができる。
【0068】
図9(a)は標準位置の集光素子71を示す図であり、(b)は傾斜した集光素子71を示す図である。
図9(a)に示すように標準位置にある集光素子71を、
図9(b)に示すように傾斜させることによっても、レーザ光Lzの照射位置を変えることができる。この場合、例えば、集光素子71の上端を回転自在に支持し、集光素子71の下端にシリンダ内を往復運動するピストンの先端を固定した状態で、当該ピストンを往復移動させることで集光素子71を傾斜させることができる。
【0069】
図10は受光面68上の電路部としてのワイヤ72の接続部である電路部73と各照射位置IP1~IP4との位置関係を説明するための図である。
図10に示すように、検出素子67の電極に接続される電路部としてのワイヤ72が受光面68上の電路部73を介して検出素子67に接続される。電路部73は正面視で例えば円形状の受光面68の中心に配置される。
【0070】
制御装置20は、変更前の照射位置の電路部からの間隔と、変更後の照射位置の電路部からの間隔とが等しくなるように照射位置を変える。この点、
図10では、レーザ光Lzが照射される受光面68上の所定位置として、例えば4つの照射位置IP1~IP4を設けることができる。照射位置IP1と電路部73との間隔k1、照射位置IP2と電路部73との間隔k2、照射位置IP3と電路部73との間隔k3、および照射位置IP4と電路部73との間隔k4は、それぞれ等しい。
【0071】
制御装置20は、受光面上68における照射位置IP1~IP4について劣化の有無を判定する。制御装置20は、例えば照射位置IP1に劣化が存在すると判定し、かつ照射位置IP2~IP4には劣化が存在しないと判定するとき、照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2~IP4のうちの何れかの照射位置に変える。この場合、制御装置20は受光面68内に光の照射範囲が全て収まるように光源65にレーザ光Lzを照射させる。或いは、制御装置20は、例えば照射位置IP2~IP4に劣化が存在すると判定し、かつ照射位置IP1には劣化が存在しないと判定するとき、照射位置を照射位置IP2~IP4から照射位置IP1に変える。
【0072】
そして、制御装置20は複数の照射位置のうち所定数の照射位置について劣化があると判定した場合に、検出素子67の交換を促す信号を出力する。例えば、制御装置20は照射位置IP1~IP4のうち全ての照射位置について劣化があると判定するとき、検出素子67の交換を促す信号を表示部5に出力する。表示部5は検出素子67の交換が必要である旨をユーザに報知するための表示を行う。なお、照射位置IP1~IP4のうち全ての照射位置について劣化が存在する場合でなくとも、照射位置IP1~IP4のうち所定数として例えば3つの照射位置に劣化が存在すると判定するとき等にも、検出素子67の交換をユーザに報知してもよい。
【0073】
このように受光面上68における照射位置IP1~IP4について劣化の有無を判定し、当該劣化の有無に応じて照射位置を変える代わりに、上述した
図6と同様に制御装置20は照射位置を所定時間の経過ごとに変えてもよい。例えば、照射位置IP1に対してレーザ光Lzを照射した累積時間が所定時間に達したときに、制御装置20は照射位置を照射位置IP1から照射位置IP2~IP4の何れかの照射位置に変える。このように照射位置についての劣化の有無を判定することなく、レーザ光Lzの照射累積時間に応じて照射位置を変えてもよい。
【0074】
図11は受光面68上の電路部としてのワイヤ72の接続部である電路部73と各照射位置IP1~IP4との位置関係の別例を説明するための図である。
図11の例では、電路部73は円形状の受光面68の中心から離れた位置に偏心して配置される。このような態様であっても、制御装置20は、変更前の照射位置の電路部からの間隔と、変更後の照射位置の電路部からの間隔とが等しくなるように照射位置を変える。この場合、
図11において、制御装置20は間隔k1と、間隔k2と、間隔k3と、間隔k4とがそれぞれ等しくなるように照射位置IP1~IP4を配置する。
【0075】
図12は検出素子67に振動を付与する振動機構75を示す模式図である。
図12に示すように、検出素子67に振動を付与する振動機構75が設けられる。振動機構75は検出素子67の上端および下端に設けられる。振動機構75は検出素子67の端部を支持する支持部75aおよび当該支持部75aに固定された圧電素子75bを有する。制御装置20は各圧電素子75bに交流又はパルス電圧を加えることで、当該圧電素子75bに生じる振動を支持部75aを介して検出素子67に伝達することができる。これにより、検出素子67に振動が付与され、当該検出素子67に付着した埃等を除去することができる。
【0076】
以上説明したように、液滴吐出装置1aによれば、検出素子67における所定位置が劣化していると判断する場合に、制御装置20により検出素子67の受光面68上におけるレーザ光Lzの照射位置が変えられる。これにより、受光面68上の変更後の照射位置に照射されたレーザ光Lzに係る受光量を高精度に検出することができる。このことによって、検出素子67の検出機能を従来よりも長期間保持させつつインク滴Idの吐出の状態を高精度に検知することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、制御装置20は、相互に異なる時期に取得した第1検出値と第2検出値とを比較し、当該比較結果から第2検出値が第1検出値よりも所定割合の減少を示す値である場合に、受光面68上の上記所定位置に劣化が存在すると判定する。この場合、第2検出値とこれよりも過去の第1検出値(例えば工場出荷時の値)とを比較することで、検出素子67の受光面68上の劣化を判別し易くなる。
【0078】
また、本実施形態では、制御装置20はレーザ光Lzの照射位置を変える場合には、複数の所定位置のうち劣化がないと判定した所定位置に照射位置を変える。この場合、同じ検出素子67を引き続き使用することができ、経済的である。
【0079】
また、本実施形態では、制御装置20は複数の所定位置のうち所定数(例えば3つ)の所定位置について劣化があると判定した場合に、検出素子67の交換を促す信号を出力する。この場合、ユーザは検出素子67の交換時期を認識することができる。
【0080】
また、本実施形態では、制御装置20は第1検出値と第2検出値との比較結果により第2検出値が第1検出値よりも光量に関して所定割合の減少を示す値である場合に劣化があると判定する。この場合、検出素子67の劣化の判断基準を設けることができ、ゆえに劣化の判別を信頼性高く行うことができる。
【0081】
また、本実施形態では、制御装置20は検出素子用駆動装置43により検出素子67を移動させることでレーザ光Lzの照射位置を変える。この場合、レーザ光Lzの照射位置を簡単な構成で変えることができる。
【0082】
また、本実施形態では、制御装置30は光学素子用駆動装置44により集光素子71を移動させることでレーザ光Lzの照射位置を変えてもよい。この場合も、レーザ光Lzの照射位置を簡単な構成で変えることができる。
【0083】
また、本実施形態では、光学素子として集光素子71を用いる。この場合、レーザ光Lzの照射位置を絞ることができ、ゆえに検出素子67の受光面68における劣化面積を小さくすることが可能となる。
【0084】
また、本実施形態では、制御装置20は変更前の照射位置の電路部73からの間隔と、変更後の照射位置の電路部73からの間隔とが等しくなるように照射位置を変える。この場合、電路部73と照射位置との距離によって変わる配線抵抗に起因して受光量の値がばらつくことを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、制御装置20は光源65からのレーザ光Lzを受光面68上の同じ位置に継続して照射させた累積時間が所定時間に達したときに照射位置を変える。この場合、照射累積時間が所定時間に達したときを劣化直前とみなして照射位置を変えることができる。これにより、劣化してしまった直後のタイミングで検出することに起因して受光量の検出精度が低下してしまうことを未然に防ぐことができる。
【0086】
また、本実施形態では、検出素子67に振動を付与する振動機構75が設けられる。この場合、検出素子67に付着した埃等を除去することができる。この点、塵等があると、塵等により光が遮られることによる光量低下、および塵等が振動することによって光量が変動することによる光ノイズが発生する。そのため、検出する受光量のSN比の低下に繋がる。これに対して、本実施形態では検出素子67に付着した埃等を振動機構75により除去することができるため、当該検出素子67における受光量の検出を精度良く行うことができる。
【0087】
また、本実施形態では、光源65は箱状の光源収納部82内に配置される。これにより、光源65は飛翔領域Shから隔てられている。また、検出素子67は箱状の検出素子収納部70内に配置される。これにより、検出素子67は飛翔領域Shから隔てられている。このことによって、埃等が光源65および検出素子67に付着し難くなる。
【0088】
また、本実施形態では、制御装置20は受光面68内にレーザ光Lzの照射範囲が収まるように光源65に光を照射させる。この場合、レーザ光Lzの照射範囲の全部又は一部が受光面68内に収まらない場合における検出受光量の低下を回避することができる。
【0089】
さらに、本実施形態では、制御装置20はレーザ光Lzの照射位置を所定時間の経過ごとに変える。この場合、高強度のレーザ光Lzを検出素子67の受光面68に照射する場合であっても、検出素子67の検出機能を出来るだけ長期間保持させることができる。
【0090】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0091】
上記実施形態では、光源65が箱状の光源収納部82内に配置され、検出素子67が箱状の検出素子収納部70内に配置されるようにしたが、光源65および検出素子67を飛翔領域Shから隔てる構成は上記に限定されるものではない。所定波長の光を透過させる平板により光源65および検出素子67を飛翔領域Shから隔ててもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、検出素子67に振動を付与する振動機構75を設けたが、集光素子71に振動機構を設けてもよい。この場合、集光素子71に付着した埃等を除去することができる。
【0093】
また、上記実施形態では、集光素子71としてレンズを採用したが、これに限定されるものではない。集光素子71はレーザ光Lzに作用して当該レーザ光Lzを集光することが可能なものであればよく、集光素子71として例えば凹面鏡又は凸面鏡等を採用してもよい。
【0094】
さらに、電路部73はセンサの半導体上に形成される電極や半導体中の導電率が高い部分でもよい。また、光検出部の両端や周辺部を囲うように電極がある場合には、電極からの抵抗率が一定となる位置に光を照射してもよい。例えば円輪状の電極であれば、同心円となる円の位置に光を照射してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1a 液滴吐出装置
10 吐出ヘッド
20 制御装置
43 検出素子用駆動装置
43a モータ
44 光学素子用駆動装置
44a モータ
65 光源
67 検出素子
68 受光面
70 検出素子収納部
70a スリット
71 集光素子
72 ワイヤ
73 電路部
75 振動機構
82 光源収納部
82a スリット
Id インク滴
IP1~IP4 照射位置
k1~k4 照射位置の電路部からの間隔
Lz レーザ光
Sh 飛翔領域