IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社アイ・エス・ケーの特許一覧

<>
  • 特開-通帳読取システム 図1
  • 特開-通帳読取システム 図2
  • 特開-通帳読取システム 図3
  • 特開-通帳読取システム 図4
  • 特開-通帳読取システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151839
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】通帳読取システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061678
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】522132236
【氏名又は名称】有限会社アイ・エス・ケー
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】祐盛 昭佳
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB40
(57)【要約】
【課題】より効率良く会計処理をするための会計データを生成することを可能とする通帳読取システムを提供することである。
【解決手段】通帳読取システム10は、二つ折りの紙通帳を全開状態にしたときの外枠を読み取るための基準枠を含む枠認識部を有し、紙通帳を読み取る通帳読取部12と、基準枠と外枠が一致したときに、紙通帳に記帳された文字及び数字を認識して、文字データ及び数字データとして画面部に表示する認識表示部14と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りの紙通帳を全開状態にしたときの外枠を読み取るための基準枠を含む枠認識部を有し、前記紙通帳を読み取る通帳読取部と、
前記基準枠と前記外枠が一致したときに、前記紙通帳に記帳された文字及び数字を認識して、文字データ及び数字データとして画面部に表示する認識表示部と、
を備えることを特徴とする通帳読取システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通帳読取システムにおいて、
前記通帳読取部が前記紙通帳の同一頁を複数回読み取ったことを検知する第1検知部を備えることを特徴とする通帳読取システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通帳読取システムにおいて、
前記通帳読取部が前記紙通帳を複数頁読み取った後に、読み飛ばした頁の存在を検知する第2検知部を備えることを特徴とする通帳読取システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通帳読取システムにおいて、
前記文字データは、振込者の名義から特定されるクライアントに関する情報を含み、
前記数字データは、前記クライアントから振り込まれた金額に関する情報を含み、
前記認識表示部が認識して生成された前記文字データ及び前記数字データを蓄積し、該蓄積されたデータに基づいて、前記クライアント毎の分析用データを表示する分析データ表示部を備えることを特徴とする通帳読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事業を行う中で生じた取引の内容を帳簿に記入する作業である、いわゆる記帳がなされている。本発明に関連する技術として、例えば、通帳の画像データから通帳の内容の読み取りが可能な会計処理装置であって、通帳の画像データから少なくとも日付、金額、並びに前記通帳のページ内の色、背景の模様、背景の文字、及びページ内のレイアウトの少なくともいずれかを含む通帳の記載形式、を含む読取要素を抽出する画像解析部と、前記読取要素に対応した補助科目に相当する金融機関名を選定することを学習した通帳読取AIによって、前記画像解析部により抽出された読取要素に対する補助科目に相当する金融機関名を選定した通帳読取データを生成する通帳読取部と、を備える会計処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6404524号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、会計事務所や企業内の経理部などにおいて、金融機関の通帳を目視で確認しながら記帳をしているため、取引回数が多くなると時間がかかり効率が悪くなるという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、より効率良く会計処理をするための会計データを生成することを可能とする通帳読取システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通帳読取システムは、二つ折りの紙通帳を全開状態にしたときの外枠を読み取るための基準枠を含む枠認識部を有し、前記紙通帳を読み取る通帳読取部と、前記基準枠と前記外枠が一致したときに、前記紙通帳に記帳された文字及び数字を認識して、文字データ及び数字データとして画面部に表示する認識表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る通帳読取システムにおいて、前記通帳読取部が前記紙通帳の同一頁を複数回読み取ったことを検知する第1検知部を備えることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る通帳読取システムにおいて、前記通帳読取部が前記紙通帳を複数頁読み取った後に、読み飛ばした頁の存在を検知する第2検知部を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る通帳読取システムにおいて、前記文字データは、振込者の名義から特定されるクライアントに関する情報を含み、前記数字データは、前記クライアントから振り込まれた金額に関する情報を含み、前記認識表示部が認識して生成された前記文字データ及び前記数字データを蓄積し、該蓄積されたデータに基づいて、前記クライアント毎の分析用データを表示する分析データ表示部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より効率良く会計処理をするための会計データを生成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の通帳読取システムを示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の通帳読取システムにおいて、金融機関を選択している様子を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の通帳読取システムにおいて、紙通帳を読み取っている様子を示す図である。
図4】本発明に係る実施形態の通帳読取システムにおいて、数字データを表示している様子を示す図である。
図5】本発明に係る実施形態の通帳読取システムにおいて、数字データを編集し、その後、ファイルに出力している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の通帳読取システム10を示す図である。図2は、通帳読取システム10において、金融機関を選択している様子を示す図である。
【0014】
図3は、通帳読取システム10において、紙通帳を読み取っている様子を示す図である。図4は、通帳読取システム10において、数字データを表示している様子を示す図である。
【0015】
図5は、通帳読取システム10において、数字データを編集し、その後、ファイルに出力している様子を示す図である。
【0016】
通帳読取システム10は、金融機関の紙通帳を読み取って会計データを生成するシステムである。通帳読取システム10は、通帳読取部12と、認識表示部14と、第1検知部16と、第2検知部18と、分析データ表示部20と、記憶部22とを備える。通帳読取システム10は、ネットワーク2を介して、各ユーザ4に接続されている。
【0017】
通帳読取システム10の各機能は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成の何れによっても実現することが可能である。例えば、ソフトウェアによって実現する場合、これらの機能は、実際にはCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたサーバー装置上において、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶されたアプリケーションソフトウェアが動作することによって実現することができる。
【0018】
通帳読取部12は、二つ折りの紙通帳を全開状態にしたときの外枠を読み取るための基準枠を含む枠認識部を有し、紙通帳を読み取る機能を有している。通帳読取部12によって紙通帳を読み取る場合には、ユーザ4の携帯端末にダウンロードされている通帳読取システム10に関するアプリケーションソフトウェアを起動する。
【0019】
アプリケーションソフトウェアを起動した後は、最初に図2の左図に示されるように、複数の金融機関名の中から当該紙通帳に対応する金融機関をプルダウンメニューの中から選択し、選択後、図2の右図に示されるように、読み取りボタンを操作する。
【0020】
この後、ユーザ4の携帯端末のカメラが起動し、通帳読取部12は、図3の左図に示されるように、ユーザ4の携帯端末のカメラが撮影する画像に、正方形の四隅に対応する基準枠が重ね合わされて表示される。
【0021】
ユーザ4が二つ折りの紙通帳を全開状態とし、携帯端末のカメラが撮影可能な位置に紙通帳を移動させ、図3の右図に示されるように、全開状態とした紙通帳の外枠と、基準枠が一致したときに読み取りが完了する。
【0022】
なお、紙通帳が全開状態まで開いていないときは、外枠と基準枠が一致しないため、読み取りが完了しない。紙通帳を全開状態とすることで、文字及び数字が真っすぐな状態で撮影可能となるため、認識表示部14による文字及び数字の認識率を高めることが出来る。
【0023】
認識表示部14は、携帯端末の画面に表示される基準枠と紙通帳の外枠が一致したときに、紙通帳に記帳された文字及び数字を認識して、文字データ及び数字データとして携帯端末の画面に表示する機能を有する。
【0024】
具体的には、図4の左図に示されるように、通帳読取部12により読み取られた紙通帳の画像を年月日、お引き出し金額、お預入れ金額のそれぞれの領域を認識する枠が表示されている。この枠内の文字又は数字を文字データ及び数字データとして携帯端末の画面に表示する機能を有する。
【0025】
認識表示部14は、ここでは、光学的文字認識(Optical Character Recognition(またはReader)を用いることが出来るが、もちろん、その他の手段を用いて認識してもよい。
【0026】
図4の右図に示される例では、認識表示部14により、数字データのみが生成されたユーザ4の携帯端末の画面に表示されるものとして説明するが、数字データのみならず、文字データを重ねて表示することも可能である。
【0027】
認識表示部14は、図5の左図に示されるように、表示された数字データを編集することが出来る。近年、光学的文字認識(OCR)の技術は、日々進化しており、認識率も極めて高いものであるが、万一、文字又は数字の誤認識があった場合に備えて編集できるようになっている。
【0028】
また、認識表示部14は、生成が完了した数字データを会計用データとして出力する機能を有する。ここでは、会計用データは、各項目の間がカンマで区切られたデータであるCSV(Comma Separated Values)ファイルであるものとして説明するが、もちろん、その他のファイルであってもよい。
【0029】
第1検知部16は、通帳読取部12が紙通帳の同一頁を複数回読み取ったことを検知する機能を有する。通帳読取部12により、紙通帳を読み込みさせるのにあたって、ユーザ4自身が手で開いているため、誤って同じ頁を繰り返し読み取らせてしまう可能性がある。図4の左図に示されるように、紙通帳の右上等には該当の頁が表示されているため、同じ頁が重複して読み取られていることを検知した場合には、警告を表示する。
【0030】
第2検知部18は、通帳読取部12が紙通帳を複数頁読み取った後に、読み飛ばした頁の存在を検知する機能を有する。上記のように、紙通帳の文字又は数字を読み取るために、ユーザ4が紙通帳を開いて読み込ませる必要があるため、複数の頁を読み取るのにあたって、紙通帳の右上等には該当の頁を読み取ることで、読み飛ばしてスキップしてしまった頁が存在する場合に警告を表示する。
【0031】
上記認識表示部14によって生成されたデータは、数字データが中心であったが、文字データを生成してもよい。ここで、文字データは、紙通帳に記帳された振込者の名義などであり、この名義とユーザ4のクライアント名とを紐づけることができる。この際、対応する数字データは、クライアントから振り込まれた金額となる。
【0032】
分析データ表示部20は、認識表示部14が認識して生成された文字データ及び数字データを蓄積し、該蓄積されたデータに基づいて、クライアント毎の分析用データを表示する。
【0033】
例えば、上記データには、振り込みが実施された日時、振込者の名義(クライアント名)、振込み金額が含まれているため、クライアント毎のユーザ4の売上情報(例えば、時系列の折れ線グラフなど)をユーザ4の携帯端末の画面に表示することが出来る。
【0034】
記憶部22は、認識表示部14により認識された文字データ及び数字データや、分析データ表示部20により表示されたデータなどを記憶する機能を有している。
【0035】
続いて、上記構成からなる通帳読取システム10の作用について説明する。従来、企業が事業活動を行う際の取引の内容については、企業の経理部門や会計事務所等により帳簿がつけられている。具体的には、金融機関の紙通帳に記帳された取引内容等を見ながら手入力がなされている。
【0036】
しかしながら、従来のような手作業は取引内容が多くなるほど時間を要することになり、また、誤入力が起きてしまって修正に手間取ると効率が悪くなることがある。このような課題に対し、本発明の実施形態に係る通帳読取システム10は、顕著な効果を発揮する。
【0037】
帳簿をつける経理部門や会計事務所の担当者(ユーザ4)の携帯端末にインストールされた通帳読取システム10のアプリケーションソフトウェアを起動する。
【0038】
この後、図2の左側のように金融機関を選択し、通帳の金融機関を選んで読み取りボタンを操作すると、図3の左側のように、携帯端末のカメラが起動する。そして、ユーザ4が金融機関の紙通帳を開き、該当頁を携帯端末の画面に表示された基準枠内に一致させるようにする。
【0039】
紙通帳を中途半端に開いた状態で読み取ってしまうと、記帳された数字又は文字は傾斜している状態となる可能性があり、このまま認識表示部14により認識されると誤認識が生じてしまうことがある。
【0040】
しかしながら、通帳読取システム10によれば、紙通帳を全開状態にしたときに、紙通帳の外枠と、基準枠とが一致した状態で読み取られ、数字又は文字が傾斜することなく真っすぐな状態で読み取ることができるため、認識率を向上させることが出来る。
【0041】
また、紙通帳を全開状態にするのはユーザ4自身であり、複数頁を開いて読み込ませる場合には、同じ頁を複数回読み取ったり、又は、所定の頁を飛ばしてしまったりすることがあるため、第1検知部16又は第2検知部18により、これらの不具合を検知することが出来る。
【0042】
以上のように、通帳読取システム10によって、紙通帳に記帳された文字又は数字から文字データ又は数字データを生成し、CSVファイルなどで会計用データとして出力することができる。この会計用データを会計ソフトなどに読み込むことで帳簿をつけることができるため、従来のように手作業に比べて、より効率良く記帳することができるという顕著な効果を奏する。
【0043】
また、通帳読取システム10によれば、蓄積されたデータに基づいて、クライアント別の売上分析など様々な分析を行うことができるという利点がある。
【符号の説明】
【0044】
2 ネットワーク、4 ユーザ、10 通帳読取システム、12 通帳読取部、14 認識表示部、16 第1検知部、18 第2検知部、20 分析データ表示部、22 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5