(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151875
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061725
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 和央
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することのできる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】
情報処理装置(100)は、それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報(21)に基づく保全情報(22)を選択する選択部(30)と、選択された保全情報(22)に基づいて候補者を決定する決定部(40)と、決定された候補者の状態に関する候補者状態情報(23)を取得する取得部(50)と、選択された保全情報(22)と取得された候補者状態情報(23)とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報(25)を生成する生成部(60)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択する選択部と、
前記選択された保全情報に基づいて候補者を決定する決定部と、
前記決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得する取得部と、
前記選択された保全情報と前記取得された候補者状態情報とに基づいて、前記発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成する生成部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記発生した異常に対する異常類似度に基づいて、前記複数の保全情報から前記発生異常情報に基づく保全情報を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
発生異常情報に含まれる装置に関する装置情報と前記保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、該保全情報についての前記異常類似度を算出する異常類似度算出部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記選択された保全情報に含まれる候補者情報が示す一の候補者に対する候補者類似度に基づいて、前記候補者を決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択された保全情報と、前記複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、該他の候補者についての前記候補者類似度を算出する候補者類似度算出部をさらに備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記支援情報は、前記決定された候補者を示す候補者情報を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成された支援情報を出力装置に出力させる出力部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
通信ネットワークを介して前記発生異常情報を受信する通信部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置の情報処理方法であって、
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択するステップと、
前記選択された保全情報に基づいて候補者を決定するステップと、
前記決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得するステップと、
前記選択された保全情報と前記取得された候補者状態情報とに基づいて、前記発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成するステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置のコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択するステップと、
前記選択された保全情報に基づいて、候補者を決定するステップと、
前記決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得するステップと、
前記選択された保全情報と前記取得された候補者状態情報とに基づいて、前記発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成するステップと、を含む、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報表示装置として、取得した異常情報に基づいて、異常を解消するための作業員の人数又は作業に要する期間を含む初動対応情報を生成し、応じた画像を表示部に表示させるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生産現場において異常(トラブル)が発生したときに、生産現場の保全員が当該異常に対処する場合がある。
【0005】
しかしながら、保全員だけでは、例えば、知識、技能、経験等の観点で限界があり、発生した異常に対して十分に対処できないおそれがあった。そのため、異常が発生したときに、生産現場の保全員を支援することが求められる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することのできる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択する選択部と、選択された保全情報に基づいて候補者を決定する決定部と、決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得する取得部と、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成する生成部と、を備える。
【0008】
この態様によれば、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報が生成される。これにより、例えば、保全員自身が支援情報に基づいて発生した当該異常に対処したり、支援情報に基づいて当該異常の有識者にアクセスしたりする等、発生した異常に対する保全員のアクションを促進することが可能となる。従って、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【0009】
前述した態様において、選択部は、発生した異常に対する異常類似度に基づいて、複数の保全情報から発生異常情報に基づく保全情報を選択してもよい。
【0010】
この態様によれば、発生した異常に対する異常類似度に基づいて、複数の保全情報から発生異常情報に基づく保全情報が選択される。これにより、発生した異常と同一の異常が過去に発生していない場合でも、発生した異常に類似する過去の異常に対する保全情報を選択することができる。
【0011】
前述した態様において、発生異常情報に含まれる装置に関する装置情報と保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、該保全情報についての異常類似度を算出する異常類似度算出部をさらに備えてもよい。
【0012】
この態様によれば、発生異常情報に含まれる装置に関する装置情報と保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、当該保全情報についての異常類似度が算出される。これにより、例えば、装置自体、部品構成、ソフトウェア構成等の装置属性の一致度合い(一致率)に応じた異常類似度を求めることができ、異常が発生した装置に対して、装置属性の類似する装置の装置情報を含む保全情報を選択することが可能となる。
【0013】
前述した態様において、決定部は、選択された保全情報に含まれる候補者情報が示す一の候補者に対する候補者類似度に基づいて、候補者を決定してもよい。
【0014】
この態様によれば、選択された保全情報に含まれる候補者情報が示す一の候補者に対する候補者類似度に基づいて、候補者が決定される。これにより、選択された保全情報に含まれる候補者情報の一の候補者が対応可能でない場合でも、当該一の候補者に類似する他の候補者を再度決定することができる。
【0015】
前述した態様において、選択された保全情報と、複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、該他の候補者についての候補者類似度を算出する候補者類似度算出部をさらに備えてもよい。
【0016】
この態様によれば、選択された保全情報と、複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、当該他の候補者についての候補者類似度が算出される。これにより、例えば、過去に取り扱い経験のある装置、及び/又は、過去に解決した経験のある異常の内容(類型、タイプ)等の属性の一致度合い(一致率)に応じた異常類似度を求めることができ、異常が発生した装置に対して、選択された保全情報に含まれる候補者情報の一の候補者に対して、属性の類似する候補者を決定することが可能となる。
【0017】
前述した態様において、支援情報は、決定された候補者を示す候補者情報を含んでもよい。
【0018】
この態様によれば、支援情報には、決定された候補者を示す候補者情報が含まれる。これにより、候補者情報を得た保全員は、発生した異常の有識者にアクセスして当該有識者の知識、技能、経験等を利用及び活用することが可能となる。従って、発生した異常に対してさらに適切に対処することができる。
【0019】
前述した態様において、生成された支援情報を出力装置に出力させる出力部をさらに備えてもよい。
【0020】
この態様によれば、生成された生成情報が出力装置に出力させられる。これにより、生産現場にいるに、支援情報を容易に通知する(知らせる)ことができる。
【0021】
前述した態様において、通信ネットワークを介して発生異常情報を受信する通信部をさらに備えてもよい。
【0022】
この態様によれば、通信ネットワークを介して発生異常情報が受信される。これにより、生産現場において異常が発生したときに、外部の装置(機器)から送信される発生異常情報を、即座に(リアルタイムで)受信することができる。
【0023】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、情報処理装置の情報処理方法であって、それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択するステップと、選択された保全情報に基づいて候補者を決定するステップと、決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得するステップと、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成するステップと、を含む。
【0024】
この態様によれば、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報が生成される。これにより、例えば、保全員自身が支援情報に基づいて発生した当該異常に対処したり、支援情報に基づいて当該異常の有識者にアクセスしたりする等、発生した異常に対する保全員のアクションを促進することが可能となる。従って、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【0025】
本開示の他の態様に係る情報処理プログラムは、情報処理装置のコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報に基づく保全情報を選択するステップと、選択された保全情報に基づいて、候補者を決定するステップと、決定された候補者の状態に関する候補者状態情報を取得するステップと、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報を生成するステップと、を含む。
【0026】
この態様によれば、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報が生成される。これにより、例えば、保全員自身が支援情報に基づいて発生した当該異常に対処したり、支援情報に基づいて当該異常の有識者にアクセスしたりする等、発生した異常に対する保全員のアクションを促進することが可能となる。従って、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、一実施形態に従う情報処理装置の適用例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態における情報処理装置の物理的構成を示す構成図である。
【
図3】
図3は、一実施形態における情報処理装置の機能ブロックの構成を示す構成図である。
【
図4】
図4は、ナレッジデータの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態における情報処理装置が行う情報生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、異常類似度に基づいて保全情報を選択する処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、候補者類似度に基づいて候補者を決定する処理の第1例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、候補者類似度に基づいて候補者を決定する処理の第2例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0030】
<構成例>
図1及び
図2を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置100の構成の一例について説明する。
図1は、一実施形態に従う情報処理装置100の適用例を示す図である。
【0031】
図1に示すように、管理システム200は、生産現場における装置等の複数の設備を監視するものある。管理システム200は、情報処理装置100を備える。生産現場には保全員MSがおり、保全員MSは、生産現場において発生した不良、不調、不具合、故障、障害等のトラブル(これらのトラブルを区別しないときには「異常」という)に対処する。
【0032】
例えば、生産現場のあるラインLNにおいて、センサの変位値が閾値をオーバーしたという異常が発生したときに、異常に関する発生異常情報が保全装置MAに通知される。保全装置MAは、生産現場に発生した異常を保全するためのものであり、例えばPLC(Programmable Logic Controller)等を含んで構成される。保全装置MAは、例えば表示装置等の出力手段、及び、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等の入力手段のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。保全装置MAは、通知された発生異常情報を、そのまま、あるいは、情報を付加して情報処理装置100に送信する。また、保全装置MAは、発生した異常に対する保全活動に関する保全情報を生成し、ナレッジデータ記憶装置SD1に送信して記憶させる。
【0033】
ナレッジデータ記憶装置SD1は、保全装置MAから送信された保全情報を記憶する。ナレッジデータ記憶装置SD1には、複数の保全情報が記憶されており、各保全情報は、過去に発生した異常に対する保全活動に関する情報を含んでいる。ナレッジデータ記憶装置SD1は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0034】
一方、管理システム200は、後述する有識者KPとなり得る候補者CA1,CA2について、候補者CA1,CA2の状態に関する候補者状態情報を取得する。例えば、モーションセンサーデバイスMDによって、候補者CA1の動きに関するデータを検出し、生体センサ等のバイタルセンシングデバイスVDによって、候補者CA2の体温、脈拍、呼吸数、活動量等のデータを検出する。これらのデータは、定期的に又は非定期的に、検出され、状態データ記憶装置SD2に送信される。
【0035】
なお、モーションセンサーデバイスMD及びバイタルセンシングデバイスVDは、候補者状態情報を取得手段の一例であり、これらに限定されるものでない。例えば、モーションセンサーデバイスMD及びバイタルセンシングデバイスVDに代えて、又は、これらとともに、人を識別可能なカメラを用い、候補者CA1,CA2の候補者状態情報を取得する。また、一人の候補者に対し、1つの候補者状態情報を取得する場合に限定されず、複数の候補者状態情報を取得してもよい。
【0036】
また、候補者状態情報は、デバイスによって取得される場合に限定されるものではない。
候補者状態情報は、例えば候補者CA1,CA2の勤務データを参照することで、候補者CA1,CA2の出勤、欠勤、早退等の出退勤情報、勤務開始時間(予定を含む)及び勤務終了時間(予定を含む)等の勤務時間情報等を取得し、候補者状態情報に含めるようにしてもよい。
【0037】
状態データ記憶装置SD2は、送信された候補者状態情報を記憶する。状態データ記憶装置SD2には、複数の候補者状態情報が記憶されており、各候補者状態情報を、例えば、候補者毎に、時系列で、保存している。状態データ記憶装置SD2は、ナレッジデータ記憶装置SD1と同様に、例えば、HDD、SSD及び/又はeMMC等のストレージを含んで構成される。
【0038】
情報処理装置100は、保全装置MAから送信された発生異常情報と、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶された保全情報と、状態データ記憶装置SD2に記憶された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報を提供するように構成されている。情報処理装置100が提供する支援情報は、出力装置ODに送信される。
【0039】
出力装置ODは、支援情報を文字、記号、画像、音声等の手段で出力するための装置である。出力装置ODは、例えば、ディスプレイ、スピーカ、カメラ、マイク等のデバイスを含んで構成される。出力装置ODが出力する支援情報は、保全員MSに見られ、あるいは、聞かれることで通知することができる。その結果、保全員MSは、支援情報に基づいて、例えば有識者KPに連絡して異常に対処することが可能になる。なお、生産現場に設置される出力装置ODは、1つである場合に限定されず、複数であってもよい。この場合、支援情報は、出力装置ODのそれぞれにおいて出力される。
【0040】
次に、
図2を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置の物理的構成について説明する。
図2は、一実施形態における情報処理装置100の物理的構成を示す構成図である。
【0041】
図2に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106と、を備える。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。
【0042】
プロセッサ101は、情報処理装置100の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))、SoC(Sysmtem-on-a-Chip)等の集積回路を含んで構成される。
【0043】
メモリ102及び記憶装置103は、それぞれ、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)、キャッシュメモリ及び/又はバッファメモリ等を含んで構成される。記憶装置103は、例えば、HDD、SSD及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージを含んで構成される。
【0044】
通信装置104は、有線及び無線の少なくとも一方のネットワークを介して通信を行うように構成されている。通信装置104は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール、他の機器に接続するインターフェース等を含んで構成される。
【0045】
入力装置105は、ユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置105は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、ポインティングデバイス、及び/又はマイク等を含んで構成される。
【0046】
出力装置106は、情報を出力するように構成されている。出力装置106は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ、ミニLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等の表示装置、及び/又はスピーカ等を含んで構成される。
【0047】
なお、
図2に示す例では、情報処理装置100が、一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、これに限定されるものではない。情報処理装置100は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、
図2で示す構成は一例であり、情報処理装置100は、それぞれ、これら以外の構成を備えてもよいし、これらの構成のうち一部を備えなくてもよい。
【0048】
次に、
図3及び
図4を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置の機能ブロックについて説明する。
図3は、一実施形態における情報処理装置100の機能ブロックの構成を示す構成図である。
図4は、ナレッジデータKDの一例を示す図である。
【0049】
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部10と、記憶部20と、選択部30と、決定部40と、取得部50と、生成部60と、出力部70と、異常類似度算出部80と、候補者類似度算出部90と、を備える。
【0050】
通信部10は、各種の情報を送信及び受信可能に構成されている。通信部10は、通信ネットワークNWを介して、保全装置MAから発生異常情報21を受信する。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、又はこれらの組み合わせ等のいずれであってもよい。また、通信ネットワークNWは、有線であるか無線であるかを問わず、有線及び無線の組み合わせであってもよい。
【0051】
このように、通信部10が、通信ネットワークNWを介して発生異常情報21を受信することにより、生産現場において異常が発生したときに、外部の装置(機器)から送信される発生異常情報を、即座に(リアルタイムで)受信することができる。
【0052】
また、通信部10は、例えば、通信ネットワークNWを介して、ナレッジデータ記憶装置SD1から保全情報22を受信する。さらに、通信部10は、例えば、通信ネットワークNWを介して、状態データ記憶装置SD2から候補者状態情報23を受信する。受信した発生異常情報21、保全情報22、及び候補者状態情報23は、記憶部20に書き込まれて記憶される。
【0053】
記憶部20は、各種の情報を記憶するように構成されている。記憶部20は、前述したように、通信部10によって受信された、発生異常情報21、保全情報22、及び候補者状態情報23を記憶する。また、記憶部20は、生成部60によって生成され、書き込まれる支援情報25を記憶する。
【0054】
前述したように、ナレッジデータ記憶装置SD1は、複数の保全情報を記憶している。
図4に示すように、ナレッジデータ記憶装置SD1は、ナレッジデータKDを記憶しており、ナレッジデータKDには、各保全情報が1行のレコードとして格納されている。保全情報は、例えば、保全活動を行ったユーザ、異常の発生した装置、異常の内容、ユーザの行動、及びその結果の情報を含んでいる。
【0055】
なお、ナレッジデータKDの構造及び形式は、
図4に示す例に限定されるものではない。例えば、ナレッジデータKDは、ファイルであってもよいし、データベースであってもよい。また、ナレッジデータKDの少なくとも一部がデータベースである場合、正規化を行い、データのグループ単位を細分化してもよい。
【0056】
選択部30は、複数の保全情報から、発生異常情報21に基づく保全情報22を選択するように構成されている。具体的には、選択部30は、発生異常情報21に基づいて、前述したナレッジデータ記憶装置SD1のナレッジデータKDから、保全情報を選択する。
【0057】
また、選択部30は、発生した異常に対する異常類似度に基づいて、複数の保全情報から、発生異常情報21に基づく保全情報22を選択するように構成されている。異常類似度の詳細については、後述する。
【0058】
決定部40は、選択部30によって選択された保全情報22に基づいて、候補者を決定するように構成されている。保全情報は、
図4に示すユーザのように、候補者を示す候補者情報を含んでいる。当該候補者情報に基づいて、候補者が決定される。
【0059】
また、決定部40は、選択部30によって選択された保全情報22に含まれる候補者情報が示す一の候補者に対する候補者類似度に基づいて、候補者を決定するように構成されている。候補者類似度の詳細については、後述する。
【0060】
取得部50は、決定部40によって決定された候補者の候補者状態情報23を取得するように構成されている。前述したように、候補者状態情報は、候補者の状態に関する情報である。具体的には、取得部50は、複数の候補者状態情報を記憶する状態データ記憶装置SD2から、決定された候補者の候補者状態情報23を取得する。
【0061】
生成部60は、選択部30によって選択された保全情報22と、取得部50によって取得された候補者状態情報23とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報25を生成するように構成されている。生成された支援情報25は、記憶部20に書き込まれて記憶される。
【0062】
このように、選択された保全情報と取得された候補者状態情報とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報25を生成することにより、例えば、保全員MS自身が支援情報25に基づいて発生した当該異常に対処したり、支援情報25に基づいて当該異常の有識者KPにアクセスしたりする等、発生した異常に対する保全員MSのアクションを促進することが可能となる。従って、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【0063】
出力部70は、生成部60によって生成された支援情報25を出力装置ODに出力させるように構成されている。具体的には、出力部70は、通信部10及び通信ネットワークを介して、出力装置ODに出力指示(コマンド)及び支援情報25を送信する。出力指示及び支援情報は、支援情報の生成後、即座に(リアルタイムで)に送信されてもよいし、支援情報25の生成後、一定時間経過後に、送信されてもよい。また、出力部70は、定期的に又は非定期的に、出力装置ODに出力指示及び支援情報を繰り返し送信してもよい。出力指示及び支援情報25を受信した出力装置ODは、出力指示に従って支援情報25を出力する。このように、生成された支援情報25を出力装置ODに出力させることにより、生産現場にいる保全員MSに、支援情報25を容易に通知する(知らせる)ことができる。
【0064】
支援情報は、決定部40によって決定された候補者を示す候補者情報を含んでいてもよい。候補者情報は、例えば、候補者の氏名、所属部署、主な所在場所、電話番号、メールアドレス等の情報を含んでいる。このように、支援情報が、決定された候補者を示す候補者情報を含むことにより、候補者情報を得た保全員MSは、発生した異常の有識者KPにアクセスして当該有識者KPの知識、技能、経験等を利用及び活用することが可能となる。従って、発生した異常に対してさらに適切に対処することができる。
【0065】
異常類似度算出部80は、発生異常情報21に含まれる装置に関する装置情報と、保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、当該保全情報についての異常類似度を算出するように構成されている。算出された異常類似度は、前述したように、選択部30が、複数の保全情報の中から発生異常情報21に基づく保全情報を選択する際に、使用される。
【0066】
候補者類似度算出部90は、選択部30によって選択された保全情報22と、複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、当該他の候補者についての候補者類似度を算出するように構成されている。ここで、一の候補者は、選択された保全情報に含まれる候補者情報が示す候補者である。候補者類似度算出部90は、この一の候補者に対して、他の候補者についての候補者類似度を算出する。算出された候補者類似度は、前述したように、決定部40が、候補者を決定する際に、使用される。
【0067】
なお、選択部30、決定部40、取得部50、生成部60、出力部70、異常類似度算出部80、及び候補者類似度算出部90のうちの少なくとも1つは、プロセッサ101が、記憶装置103に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-Transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USBメモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0068】
<処理手順>
次に、
図5から
図8を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置が行う処理手順について説明する。
図5は、一実施形態における情報処理装置100が行う情報生成処理S200の一例を説明するためのフローチャートである。
図6は、異常類似度に基づいて保全情報を選択する処理を説明するための図である。
図7は、候補者類似度に基づいて候補者を決定する処理の第1例を説明するための図である。
図8は、候補者類似度に基づいて候補者を決定する処理の第2例を説明するための図である。
【0069】
対象となる生産現場に異常が発生すると、
図5に示すように、まず、通信部10は、通信ネットワークNWを介して、保全装置MAから発生異常情報21を受信する(S201)。受信された発生異常情報21は、記憶部20に書き込まれて記憶される。
【0070】
次に、選択部30は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ナレッジデータ記憶装置SD1に要求(リクエスト)を送信し、ステップS201において受信された発生異常情報21に基づいて、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行う(S202)。
【0071】
次に、選択部30は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ナレッジデータ記憶装置SD1に応答(レスポンス)を受信し、当該応答に基づいて、発生異常情報21と同一異常の保全情報が存在するか否かを判定する(S203)。ナレッジデータ記憶装置SD1は、検索の結果、ナレッジデータKDを検索した結果、発生異常情報21と同一異常の保全情報があったときは当該保全情報を含めて応答を送信し、発生異常情報21と同一異常の保全情報がなかったときは応答のみを送信する。
【0072】
ステップS203の判定の結果、発生異常情報21と同一異常の保全情報が存在する場合、選択部30は、応答に含まれる当該保全情報22を選択する(S204)。
【0073】
一方、ステップS203の判定の結果、発生異常情報21と同一異常の保全情報が存在しない場合、この場合であっても、発生異常情報21に類似する異常が過去に発生し、保全活動が行われた可能性がある。よって、選択部30は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ナレッジデータ記憶装置SD1に要求(リクエスト)を再度送信し、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行って保全情報を受信する(S205)。ステップS205において受信される保全情報は、発生異常情報21に類似する異常に対するものであり、通常、複数である場合が多い。以下において、特に明示する場合を除き、複数の保全情報を受信するものとして説明する。
【0074】
次に、異常類似度算出部80は、ステップS205において受信された各保全情報について、当該保全情報についての異常類似度を算出する(S206)。前述したように、異常類似度は、発生異常情報21に含まれる装置に関する装置情報と、当該保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、算出される。
【0075】
次に、選択部30は、ステップS206において算出された異常類似度に基づいて、複数の保全情報から発生異常情報21に基づく保全情報22を選択する(S207)。
【0076】
ここで、一例として
図6を用いて、発生異常情報21は「センサA100」に「センサ変位値が閾値オーバー」という異常を示し、ナレッジデータ記憶装置SD1のナレッジデータKDを検索した結果、同一異常の保全情報が存在しない場合について説明する。この場合、ステップS205において、選択部30は、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行い、異常の内容が類似する保全情報を受信する。次いで、ステップS206において、異常類似度算出部80は、各保全情報に含まれる装置情報の装置、具体的には、「センサA110」、「センサA200」、「…」、「ロボットB1」のそれぞれについて、図示しない装置マスタファイルを参照し、発生異常情報21に含まれる「センサA100」に対する異常類似度を算出する。装置マスタファイルは、生産現場における複数の装置のそれぞれについて、そのハードウェア構成、ソフトウェア仕様等の装置属性の情報を保存している。装置マスタファイルは、記憶部20に記憶されていてもよいし、外部の装置(機器)、例えば、保全装置MA又はナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されていてもよい。例えば、
図6に示すように、「センサA100」に対する「センサA110」の異常類似度「0.8」、「センサA100」に対する「センサA200」の異常類似度「0.6」、「センサA100」に対する「ロボットB1」の異常類似度「0.1」が算出される。そして、ステップS207において、選択部30は、算出された異常類似度に基づいて、例えば、異常類似度が「0.5」以上を基準として、「センサA110」の装置情報を含む保全情報と、「センサA200」の装置情報を含む保全情報とを選択する。
【0077】
このように、異常類似度算出部80が、発生異常情報21に含まれる装置に関する装置情報と保全情報に含まれる装置に関する装置情報とに基づいて、当該保全情報についての異常類似度を算出することにより、例えば、装置自体、部品構成、ソフトウェア構成等の装置属性の一致度合い(一致率)に応じた異常類似度を求めることができ、異常が発生した装置に対して、装置属性の類似する装置の装置情報を含む保全情報を選択することが可能となる。
【0078】
また、このように、選択部30が、発生した異常に対する異常類似度に基づいて、複数の保全情報から発生異常情報21に基づく保全情報を選択することにより、発生した異常と同一の異常が過去に発生していない場合でも、発生した異常に類似する過去の異常に対する保全情報を選択することができる。
【0079】
ステップS204又はステップS207の後、決定部40は、ステップS204又はステップS207において選択された保全情報に基づいて、候補者を決定する(S208)。より詳細には、決定部40は、保全情報に含まれるユーザ情報が示す人物を候補者に決定する。
【0080】
次に、取得部50は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ステップ208において決定された候補者を示す候補者情報に基づく要求(リクエスト)を状態データ記憶装置SD2に送信し、当該候補者の候補者状態情報を受信して取得する(S209)。
【0081】
次に、生成部60は、ステップS209において取得された候補者状態情報に基づいて、ステップS208において決定された候補者が、発生した異常に対応可能か否かを判定する(S210)。発生した異常に対応可能か否かの判定は、例えば、候補者状態情報に含まれる心拍数、脈拍、呼吸数、活動量等について、時系列における直近の数値が、過去の平均値以下であれば、当該候補者は、通常状態であると推測することができるので、対応可能と判定する。一方、直近の数値が過去の平均値より大きければ、候補者は多忙であると推測することができるため、対応不能と判定する。
【0082】
ステップS210の判定の結果、ステップS208において決定された候補者が、発生した異常に対応可能である場合、当該候補者は、発生した異常に対して知識、技能、経験等を有する人物であって、現時点で当該異常に対応することのできる有識者である蓋然性が高い。よって、生成部60は、発生した異常に対する支援に関する支援情報25を生成する(S211)。支援情報25は、ステップS208において決定された候補者を示す候補者情報を含む。
【0083】
次に、出力部70は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ステップ211において生成された支援情報25を出力装置ODに送信し、出力装置ODに出力させる(S212)。ステップS212の後、情報処理装置100は、情報生成処理S200を終了する。
【0084】
一方、ステップS210の判定の結果、ステップS208において決定された候補者が、発生した異常に対応可能でない、つまり、対応不能である場合、この場合であっても、当該候補者に類似する知識、技能、経験等を有する人物であって、現時点で当該異常に対応可能な他の候補者が存在する可能性がある。よって、決定部40は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、ナレッジデータ記憶装置SD1に要求(リクエスト)を再度送信し、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行って保全情報を受信する(S213)。ステップS213において受信される保全情報は、通常、複数である場合が多い。以下において、特に明示する場合を除き、複数の保全情報を受信するものとして説明する。
【0085】
次に、候補者類似度算出部90は、ステップS210において対応可能か否かを判定した候補者に対する候補者類似度を算出する(S214)。前述したように、候補者類似度は、ステップS204又はステップS207において選択された保全情報と、複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、当該他の候補者についての候補者類似度が算出される。
【0086】
次に、決定部40は、ステップS214において算出された候補者類似度に基づいて、複数の保全情報から発生異常情報21に基づいて候補者を決定する(S215)。
【0087】
ここで、候補者類似度の算出は、各候補者について、取り扱った経験のある装置に関する情報をベクトル化する方法と、解決した経験のある異常に関する情報をベクトル化する方法との2通りが考えられる。
【0088】
第1例として
図7を用いて、ステップS208において決定された候補者、例えば「Aさん」が、発生した異常に対応可能でない場合について説明する。この場合、ステップS213において、決定部40は、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行い、結果が「〇」、つまり、異常が解決した保全情報を受信する。ステップS214において、候補者類似度算出部90は、まず、各保全情報に含まれる候補者情報のユーザ、具体的には、「Bさん」、「Cさん」、「Dさん」、「…」のそれぞれについて、各装置に対して当該ユーザが過去に取り扱った場合は「1」を、取り扱ってない場合は「0」を格納し、
図7に示すようなマトリクス状の表を作成する。次いで、候補者類似度算出部90は、作成した表に対して行列演算を行うことで、各ユーザの候補者類似度を算出する。その結果、
図7に示す例では、「Aさん」に対する「Bさん」の候補者類似度「0.1」、「Aさん」に対する「Cさん」の候補者類似度「0.8」、「Aさん」に対する「Dさん」の候補者類似度「0.5」が算出される。そして、ステップS215において、決定部40は、算出された候補者類似度に基づいて、例えば、候補者類似度が「0.8」であって、算出された候補者類似度の中で最も高い「Cさん」を、候補者として決定する。
【0089】
また、第2例として
図8を用いて、ステップS208において決定された候補者、例えば「Aさん」が、発生した異常に対応可能でない場合について説明する。この場合、前述した第1例と同様に、ステップS213において、決定部40は、ナレッジデータ記憶装置SD1に記憶されたナレッジデータKDに対して検索を行い、結果が「〇」、つまり、異常が解決した保全情報を受信する。ステップS214において、候補者類似度算出部90は、まず、各保全情報に含まれる候補者情報のユーザ、具体的には、「Bさん」、「Cさん」、「Dさん」、「…」のそれぞれについて、各異常に対して当該ユーザが過去に解決した場合は「1」を、解決していない場合は「0」を格納し、
図8に示すようなマトリクス状の表を作成する。次いで、候補者類似度算出部90は、作成した表に対して行列演算を行うことで、各ユーザの候補者類似度を算出する。その結果、
図7に示す例では、「Aさん」に対する「Bさん」の候補者類似度「0.8」、「Aさん」に対する「Cさん」の候補者類似度「0.0」、「Aさん」に対する「Dさん」の候補者類似度「0.5」が算出される。そして、ステップS215において、決定部40は、算出された候補者類似度に基づいて、例えば、候補者類似度が「0.8」であって、算出された候補者類似度の中で最も高い「Bさん」を、候補者として決定する。
【0090】
さらに、前述の、取り扱い経験のある装置に関する情報をベクトル化する方法及び解決経験のある異常に関する情報をベクトル化する方法の両方、例えば、
図7に示す表と
図8に示す表との組み合わせに基づいて、候補者類似度算出部90は、各ユーザの候補者類似度を算出してもよい。
【0091】
このように、候補者類似度算出部90が、選択された保全情報と、複数の保全情報のうちの他の候補者を示す候補者情報を含む保全情報とに基づいて、当該他の候補者についての候補者類似度を算出することにより、例えば、過去に取り扱い経験のある装置、及び/又は、過去に解決した経験のある異常の内容(類型、タイプ)等の属性の一致度合い(一致率)に応じた異常類似度を求めることができ、異常が発生した装置に対して、選択された保全情報に含まれる候補者情報の一の候補者に対して、属性の類似する候補者を決定することが可能となる。
【0092】
また、このように、決定部40が、選択された保全情報に含まれる候補者情報が示す一の候補者に対する候補者類似度に基づいて、候補者を決定することにより、選択された保全情報に含まれる候補者情報の一の候補者が対応可能でない場合でも、当該一の候補者に類似する他の候補者を再度決定することができる。
【0093】
ステップS215の後、ステップS209に戻り、取得部50は、ステップ215において決定された候補者の候補者状態情報を取得する。そして、ステップS210の判定の結果、ステップ215において決定された候補者が、発生した異常に対応可能になるまで、ステップS213からステップS215と、ステップS209及びステップS210とを繰り返す。
【0094】
本実施形態では、ステップS208において決定された候補者が発生した異常に対応可能でないときに、その都度、候補者類似度を算出する例を示したが、これに限定されるものではない。各ユーザの候補者類似度は、1回算出したら記憶部20に記憶しておき、次回以降は、記憶部に記憶された候補者類似度を読み出すようにしてもよい。また、情報処理装置100は、情報生成処理S200の開始前に、あらかじめ各ユーザの候補者類似度を算出してもよいし、他の装置(機器)によってあらかじめ算出された各ユーザの候補者類似度を、通信ネットワークNWを介して受信してもよい。
【0095】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本実施形態における情報処理装置100、情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、選択された保全情報22と取得された候補者状態情報23とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報25が生成される。これにより、例えば、保全員MS自身が支援情報25に基づいて発生した当該異常に対処したり、支援情報25に基づいて当該異常の有識者KPにアクセスしたりする等、発生した異常に対する保全員MSのアクションを促進することが可能となる。従って、従来と比較して、発生した異常に対して適切に対処することができる。
【0096】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。すなわち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0097】
[付記1]
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報(21)に基づく保全情報(22)を選択する選択部(30)と、
選択された保全情報(22)に基づいて候補者を決定する決定部(40)と、
決定された候補者の状態に関する候補者状態情報(23)を取得する取得部(50)と、
選択された保全情報(22)と取得された候補者状態情報(23)とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報(25)を生成する生成部(60)と、を備える、
情報処理装置(100)。
[付記9]
情報処理装置(100)の情報処理方法でって、
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報(21)に基づく保全情報(22)を選択するステップと、
選択された保全情報(22)に基づいて候補者を決定するステップと、
決定された候補者の状態に関する候補者状態情報(23)を取得するステップと、
選択された保全情報(22)と取得された候補者状態情報(23)とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報(25)を生成するステップと、を含む、
情報処理方法。
[付記10]
情報処理装置(100)の情報処理プログラムでって、
それぞれが過去の異常に対する保全活動を関する複数の保全情報から、発生した異常に関する発生異常情報(21)に基づく保全情報(22)を選択するステップと、
選択された保全情報(22)に基づいて候補者を決定するステップと、
決定された候補者の状態に関する候補者状態情報(23)を取得するステップと、
選択された保全情報(22)と取得された候補者状態情報(23)とに基づいて、発生した異常に対する支援に関する支援情報(25)を生成するステップと、を含む、
情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0098】
10…通信部、20…記憶部、21…発生異常情報、22…保全情報、23…候補者状態情報、25…支援情報、30…選択部、40…決定部、50…取得部、60…生成部、70…出力部、80…異常類似度算出部、90…候補者類似度算出部、100…情報処理装置、101…プロセッサ、102…メモリ、103…記憶装置、104…通信装置、105…入力装置、106…出力装置、200…管理システム、CA1,CA2候補者、KD…ナレッジデータ、KP…有識者、LN…ライン、MA…保全装置、MD…モーションセンサーデバイス、MS…保全員、NW…通信ネットワーク、OD…出力装置、S200…情報生成処理、SD1…ナレッジデータ記憶装置、SD2…状態データ記憶装置、VD バイタルセンシングデバイス。