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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151893
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】遠隔作業システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B25J19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061752
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】石塚 一平
(72)【発明者】
【氏名】平野 克彦
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707CS08
3C707CY13
3C707HS13
3C707HT36
3C707JU12
3C707KS10
3C707KT01
3C707KT04
3C707KV11
3C707LV22
3C707WA17
(57)【要約】
【課題】作業ロボットに接続するホースの重量を減らし、作業ロボットの操作を向上させる遠隔作業システムを提供する。
【解決手段】本発明は、作業ロボット7を動作させる水分配器6と、水分配器6に水を供給する主水ホース42と、水分配器6を制御し作業ロボット7を制御する制御装置4と、を備える。水分配器6は、主水ホース42から複数に分岐された複数の流通ホース431a~431cのそれぞれに備えられ、流路を開閉して作業ロボット7への水の供給及び停止を行うゲート弁と、ゲート弁を開閉させる水を供給する制御ホース41a,41bと、ゲート弁から吐出された流水を作業ロボット7に供給する出水ホース432a~432cと、を備える。ゲート弁は、第1ゲート弁と、第2ゲート弁を備え、供給される水で前記第1ゲート弁及び第2ゲート弁を開閉させ、作業ロボット7への水の供給及び停止を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ロボットを遠隔操作して作業を行う遠隔作業システムにおいて、
前記作業ロボットの動作機構部に接続され、流体圧によって作業ロボットを動作させる流体分配器と、前記流体分配器に接続され、流体を供給する流体供給ホースと、前記流体分配器を制御することにより、前記作業ロボットを制御する制御装置と、を備え、
前記流体分配器は、前記流体供給ホースから複数に分岐され、流体が流れる複数の流通ホースと、前記複数の流通ホースのそれぞれに備えられ、前記複数の流通ホースの流路を開閉して前記作業ロボットへの流体の供給及び停止を行うゲート弁と、前記ゲート弁を開閉させる駆動手段と、前記ゲート弁から吐出された流体を前記作業ロボットに供給する吐出ホースと、を備え、
前記ゲート弁は、少なくとも第1ゲート弁と、前記第1ゲート弁の下流側に配置された第2ゲート弁を備え、
前記駆動手段で前記第1ゲート弁及び第2ゲート弁を開閉させることにより、前記作業ロボットへの流体の供給及び停止を制御することを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記駆動手段は流体であり、前記ゲート弁には流体を供給する制御ホースが接続され、
前記ゲート弁は、通常時は閉じられており流体が流入すると開く常閉型ゲート弁、若しくは通常時は開かれており流体が流入すると閉じる常開型ゲート弁の何れかであることを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記ゲート弁は、前記制御ホースと接続するゲート弁シリンダと、前記流通ホースの流路を開閉するゲート弁ロッドと、前記ゲート弁ロッドと接続され前記制御ホースからの供給される流体によって前記ゲート弁シリンダ内を移動する弁体と、前記弁体を付勢する弾性手段と、を備えたことを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項4】
請求項3に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記流体分配器は、前記作業ロボット内に備えたことを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項5】
請求項3に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記流体分配器は、前記作業ロボットから分離して備えたことを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項6】
請求項3に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記流体分配器を複数備え、
1の流体分配器の吐出ホースを他の流体分配器の制御ホースに接続したことを特徴とする遠隔作業システム。
【請求項7】
請求項3に記載の遠隔作業システムにおいて、
前記ゲート弁が正常に動作したことを確認する検知手段を備えたことを特徴とする遠隔作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ロボットを遠隔地から操作する遠隔作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業ロボットのホース負荷軽減に関する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1には、水供給ホースの外周に流体を噴射する中間ノズルを複数設置し、ホースを噴射反力で浮上/移動させることで、移動面とホースとの接触による摩擦力を緩和する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、ホースが長くなり、浮上/移動させるされるための中間ノズルが増加すると、ロボットやセンサの駆動・信号送受に必要な電源ケーブル・信号ケーブルの他、中間ノズルを制御するための電源ケーブル・信号ケーブルが必要であり、ケーブル径が増加するといった課題があった。このため、特許文献1では、ケーブル径の増加によりケーブルを含むホースの重量が増加し、作業中におけるホースのハンドリングが困難となってしまう恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、作業ロボットに接続するホースの重量を減らし、作業ロボットの操作を向上させる遠隔作業システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、作業ロボットを遠隔操作して作業を行う遠隔作業システムにおいて、前記作業ロボットの動作機構部に接続され、流体圧によって作業ロボットを動作させる流体分配器と、前記流体分配器に接続され、流体を供給する流体供給ホースと、前記流体分配器を制御することにより、前記作業ロボットを制御する制御装置と、を備え、前記流体分配器は、前記流体供給ホースから複数に分岐され、流体が流れる複数の流通ホースと、前記複数の流通ホースのそれぞれに備えられ、前記複数の流通ホースの流路を開閉して前記作業ロボットへの流体の供給及び停止を行うゲート弁と、前記ゲート弁を開閉させる駆動手段と、前記ゲート弁から吐出された流体を前記作業ロボットに供給する吐出ホースと、を備え、前記ゲート弁は、少なくとも第1ゲート弁と、前記第1ゲート弁の下流側に配置された第2ゲート弁を備え、前記駆動手段で前記第1ゲート弁及び第2ゲート弁を開閉させることにより、前記作業ロボットへの流体の供給及び停止を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業ロボットに接続するホースの重量を減らし、作業ロボットの操作を向上させた遠隔作業システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る遠隔作業システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施例に係る遠隔作業システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
図3】作業ロボットに内蔵する液圧アクチュエータの動作説明図である。
図4】ゲート弁の段数が2段の水分配器の構成を示す図である。
図5】ゲート弁の段数が2段の水分配器の制御ホースへの水圧印加パターンと通水する出水ホースの関係を示す図である。
図6】ゲート弁の段数が3段の水分配器の構成を示す図である。
図7】ゲート弁の段数が3段の水分配器の制御ホースへの水圧印加パターンと通水する出水ホースの関係を示す図である。
図8】常閉型ゲート弁の構造を示す図である。
図9】常開型ゲート弁の構造を示す図である。
図10】ゲート弁の段数が2段の水分配器を複数組み合わせた分水装置の構成を示す図である。
図11】本発明の変形例に係る遠隔作業システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0010】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0011】
本発明の実施例における以下の説明では、作業装置が作業環境に存在するある対象物を撤去する場合を想定例としている。図1は、本発明の実施例に係る遠隔作業システムの構成を示す図である。遠隔作業システムは、作業ロボット7を遠隔操作して所定の作業を行うものである。
【0012】
図1において、作業環境9には、作業装置である1台の作業ロボット7が存在しており、作業ロボット7は撤去対象物8を把持、運搬する作業を実施する。本実施例では、作業ロボット7は移動機構としてクローラ型、作業機構としてマニピュレータをそれぞれ有する構成としているが、それらに限定されるものではない。
【0013】
作業ロボット7は、ケーブル5で制御装置4と接続されており、制御装置4からの指令で移動機構や作業機構が制御される。そして、制御装置4は動作管理装置3に接続されて、現場である作業環境9の全体作業を制御している。作業を管理・監視するオペレータ1は、表示装置2へ作業指示を入力し、作業中は作業の進行状況や装置の状態等を監視する。なお、表示装置2、動作管理装置3、作業ロボット7の制御装置4は、統合・分割が可能であり、本実施例の構成のみに限定されない。例えば、表示装置2と動作管理装置3を統合して一つの装置にしても良いし、制御装置4を移動機構用と作業機構用に分割しても良い。また、各装置間は有線ケーブルにより接続されているが無線化されたシステム構成であっても良い。また、作業ロボット7は、ケーブル5と接続された水分配器6(流体分配器)を備えている。
【0014】
図2は、本発明の実施例に係る遠隔作業システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
図2において、表示装置2は、オペレータ1の入力を表示装置2へ取り込む作業指示入力部10、作業指示(目的)を作業ロボット7の動作指示に分解する動作指示部11、データの送受信を管理するデータ送受信部13、オペレータ1への各種データの表示を行う表示部12を備えている。
【0016】
動作管理装置3は、表示装置2と作業ロボット7の制御装置4とのデータ授受を管理するデータ送受信部21、作業ロボット7に搭載されたセンサ信号からロボット本体の状態(移動機構や作業機構の異常の有無等)を推定する装置状態推定部19、作業状態(対象物の運搬状況等)を推定する作業状態推定部20、装置状態と作業状態の推定結果から初期に設定された動作指示を変更するか否かを判断する装置動作変更部18、装置動作変更部18での動作指示変更を判断するために用いる装置スペック情報14と変更前の動作指示情報16を格納する記憶部15、動作変更有無の判定結果を反映して作業ロボット7の動作を生成(移動機構と作業機構の軌道計画等)する装置動作生成部17を備えている。
【0017】
また、作業ロボット7を制御する制御装置4は、動作管理装置3とデータの授受を行うデータ送受信部22、動作管理装置3で生成された装置動作(軌道計画)から作業ロボットの移動機構30(動作機構部)と作業機構29(動作機構部)の目標制御量(移動機構のクローラ回転速度、作業機構の各関節の関節角度)を算出する目標値算出部23、算出された目標値とロボットの各駆動部に内蔵される角度検出器28の信号から算出される現在角度を用いて各駆動部の目標指令電圧を生成するロボット制御部25、作業ロボット7に搭載された形状計測器26、対象物認識器27等の各種センサの信号を取り込む環境計測部24を備えている。また、制御装置4は、後述する水分配器6を制御することにより、作業ロボット7を制御する。
【0018】
ここで、本実施例では対象物認識器27は、周辺環境の映像データを取得するカメラ、周辺環境や対象物の形状を測定するレーザセンサ、ロボットの手先に加わる力・トルクを測定する力・トルクセンサを搭載しているものとするが、異なる作業の場合には必要に応じて変更可能である。また、形状計測器26は、カメラやレーザなどの光学式センサ、ミリ波やマイクロ波などの音響式センサが搭載される。
【0019】
図3は、作業ロボットに内蔵する液圧アクチュエータの動作説明図である。作業ロボット7の動作機構部となる作業機構29と移動機構30は、液圧アクチュエータ31によって構成される。
【0020】
図3に示すように、液圧アクチュエータ31のシリンダ軸33は、シリンダ筒体32の内部を移動する円盤状部材34と、この円盤状部材34の中心部から軸方向(図3の右側)に延びる軸状部材35とから構成されている。円盤状部材34の外周には、シール部材39が備えられており、シリンダ筒体32に内部を2つの空間に仕切っている。シリンダ筒体32には、シリンダ筒体32の底部側空間32aに接続された注排液ライン(A)37と、シリンダ筒体32の上部側空間32bに接続された注排液ライン(B)38とから成り、注排液ライン(A)37と注排液ライン(B)38は電磁弁ユニット(図示せず)を介して、貯液タンク、昇圧ポンプおよび昇圧ポンプを駆動する電動機を内蔵したポンプユニットへ接続される。
【0021】
さらに、液圧アクチュエータと電磁弁ユニット、電磁弁ユニットとポンプユニットの間には、圧力計や流量計測器が設置され、液圧アクチュエータ31への印加圧力や供給水量が計測できる構成となっている。
【0022】
液圧アクチュエータ31は、シリンダ筒体32の底部側空間32a及び上部側空間32bに注排する液を調整することにより円盤状部材34を動作させ、軸状部材35に駆動力を伝達する。軸状部材35には作業ロボット7のアーム等に接続される接続部36が備えられており、液圧アクチュエータ31の駆動力が作業ロボット7に伝達される。
【0023】
図1及び図2に示した水分配器6は、液圧アクチュエータ31とポンプユニットの間に設置するものであり、本実施例では図1に示すように作業ロボット7に搭載している。水分配器6は、制御装置4によって制御されて動作し、作業ロボット7を制御する。図4図5を用いて、水分配器6の基本構成とその動作原理を説明する。
【0024】
図4は、ゲート弁の段数が2段の水分配器の構成を示す図である。図5は、ゲート弁の段数が2段の水分配器の制御ホースへの水圧印加パターンと通水する出水ホースの関係を示す図である。なお、本実施例では水を用いる例で説明するが、他の液体、或いは気体であっても構わない。すなわち、水分配器6は、流体圧によって作業ロボットを動作させるものであり、液体、気体に限定されるものでは無く、流体であれば良い。
【0025】
水分配器6(流体分配器)には、水を供給する主水ホース42(流体供給ホース)が接続されている。
【0026】
水分配器6は、主水ホース42から複数の流路に分岐され、水が流れる複数の流通ホース431a,431b,431cと、複数の流通ホース431a,431b,431cのそれぞれに備えられた1段目のゲート弁3つ(第1ゲート弁)と、1段目のゲート弁の下流側に配置された2段目のゲート弁3つ(第2ゲート弁)と、ゲート弁を開閉させる水(駆動手段)を供給する2つの制御ホース41a,41bと、2段目のゲート弁から吐出された水を作業ロボット7に供給する複数の出水ホース432a,432b,432c(吐出ホース)を備える。1段目のゲート弁と2段目のゲート弁は、流通ホースの本数に合わせ、それぞれ複数備える。
【0027】
ゲート弁は、通常時は閉じられており水が流入すると開く常閉型ゲート弁44と、通常時は開かれており水が流入すると閉じる常開型ゲート弁45を用いている。
【0028】
図5において、「1」は制御ホースに通水された状態を示しており、「0」は制御ホースに通水されていない状態を示している。
【0029】
そして、常閉型ゲート弁44及び常開型ゲート弁45を図4に示すように配置し、制御ホース41a,41bへ図5に示すパターンで通水すると、主水ホース42から流通ホース431a,431b,431cを介して出水ホース432a,432b,432cから吐出される水を選択することができる。
【0030】
例えば、制御ホース41a,41bに通水が行われない場合には、主水ホース42から流通ホース431a,431b,431cに流れる通路が全て閉じられるので、出水ホース43a,43b,43cからは水が吐出しない。また、制御ホース41bにのみ通水が行われた場合には、2段目の常閉型ゲート弁44が開き、常開型ゲート弁45が閉じるので、出水ホース432aから水が吐出される。本実施例では、1段目のゲート弁(第1ゲート弁)及び2段目のゲート弁(第2ゲート弁)を開閉させることにより、作業ロボット7への水の供給及び停止を制御するようにしている。
【0031】
ここで、図4に示すゲート弁の段数が2段の場合、主水ホース47と制御ホース2本の計3本のホースで、出水ホース、すなわち液圧アクチュエータへ接続できるホース本数3本を実現しているため、ホースの削減効果が低い。そこで、図6及び図7に示すように構成すると良い。
【0032】
図6は、ゲート弁の段数が3段の水分配器の構成を示す図である。図7は、ゲート弁の段数が3段の水分配器の制御ホースへの水圧印加パターンと通水する出水ホースの関係を示す図である。
【0033】
図6及び図7において、水分配器6は、主水ホース47から複数の流路に分岐され、水が流れる複数の流通ホース481a,481b,481c,481d,481e,481f,481gと、複数の流通ホース481a,481b,481c,481d,481e,481f,481gのそれぞれに備えられた1段目のゲート弁7つ(第1ゲート弁)と、1段目のゲート弁の下流側に配置された2段目のゲート弁7つ(第2ゲート弁)と、2段目のゲート弁の下流側に配置された3段目のゲート弁7つ(第3ゲート弁)と、各ゲート弁を開閉させる水(駆動手段)を供給する3つの制御ホース46a,46b,46cと、3段目のゲート弁から吐出された水を作業ロボット7に供給する複数の出水ホース482a,482b,482c、482d,482e,482f,482g(吐出ホース)を備える。1段目のゲート弁、2段目のゲート弁及び3段目のゲート弁は、流通ホースの本数に合わせ、それぞれ複数備える。
【0034】
そして、常閉型ゲート弁49及び常開型ゲート弁50を図6に示すように配置し、制御ホース46a,46b,46cへ図7に示すパターンで通水すると、主水ホース47から流通ホース481a,481b,481c,481d,481e,481f,481gを介して出水ホース482a,482b,482c、482d,482e,482f,482gから吐出される水を選択することができる。
【0035】
例えば、制御ホース46a,46b,46cに通水が行われない場合には、主水ホース42から流通ホース481a,481b,481c,481d,481e,481f,481gに流れる通路が全て閉じられるので、出水ホース48a,48b,48c、48d,48e,48f,48gからは水が吐出しない。また、制御ホース46cにのみ通水が行われた場合には、3段目の常閉型ゲート弁49が開き、常開型ゲート弁50が閉じるので、1段目及び2段目のゲート弁が開いている出水ホース482aから水が吐出される。
【0036】
図6及び図7に示すように、ゲート弁の段数を3段にすると、主水ホースと制御ホース3本の計4本のホースで、出水ホース、すなわち液圧アクチュエータ31の注排液ライン(A)37、注排液ライン(B)38へ接続できるホース本数7本を実現できるため、ホースの削減が可能となる。
【0037】
次に、ゲート弁の構造について図8及び図9を用いて説明する。図8は、常閉型ゲート弁の構造を示す図である。
【0038】
ゲート弁は、制御ホース46と接続するゲート弁シリンダ51と、流通ホースの流路を開閉するゲート弁ロッド52と、ゲート弁ロッド52と接続され制御ホース46からの供給される水によってゲート弁シリンダ内51を移動する弁体54と、弁体54を付勢する弾性手段53(ばね)で構成される。
【0039】
図8において、制御ホース46からゲート弁シリンダ51内に水が流入し水圧が印加されると、弾性手段53の付勢力に抗して弁体54が上方に向かって押圧され、それに伴いゲート弁ロッド52も上方に移動し、流路が開く。一方、制御ホース46からの圧力が解放されると、弾性手段53の付勢力によって弁体54が下方に向かって押圧され、それに伴いゲート弁ロッド52も下方に移動し、流路が閉じる。このようにして、常閉型ゲート弁49が構成される。
【0040】
次に、常開型ゲート弁の構造を説明する。図9は、常開型ゲート弁の構造を示す図である。
【0041】
図9において、制御ホース46からゲート弁シリンダ51内に水が流入し水圧が印加されると、弾性手段53の付勢力に抗して弁体54が下方に向かって押圧され、それに伴いゲート弁ロッド52も下方に移動し、流路が閉じる。一方、制御ホース46からの圧力が解放されると、弾性手段53の付勢力によって弁体54が上方に向かって押圧され、それに伴いゲート弁ロッド52も上方に移動し、流路が開くる。このようにして、常開型ゲート弁50が構成される。
【0042】
図8及び図9に示すように、本実施例では、制御ホース46と弾性手段53の設置位置を変えることで、水圧の印加により開くゲート弁と閉じるゲート弁を構成する。ここで、ゲート弁が正常に動作したことを確認する検知手段として、例えばゲート弁ロッド52の移動量を変位計で直接計測する手段、ゲート弁への水供給量を制御ホースに設けた流量計測器で計測する手段などがある。
【0043】
なお、本実施例では水を駆動手段として駆動するゲート弁を例に説明したが、電気を駆動源とする電磁式、ワイヤなどを駆動源とする機械式など、流路の開閉を遠隔地から制御できる構成であれば良い。
【0044】
また、図4図5を用いて説明したゲート弁の段数が2段の水分配器を複数組み合わせると、図10に示す構成も可能である。
【0045】
図10は、ゲート弁の段数が2段の水分配器を複数組み合わせた分水装置の構成を示す図である。図10において、分水装置60(分流装置)は、第1水分配器61から第5水分配器65の5つの水分配器で構成されている。第1水分配器61から第5水分配器65は、流通ホース721a~721f、741a~741iのそれぞれに、2段のゲート弁(第1ゲート弁、第2ゲート弁)が備えられ、各段に3つのゲート弁(常閉型ゲート弁80又は常開型ゲート弁81)を備えている。制御ホース71a,71bはそれぞれ分岐され、第1水分配器61のゲート弁、第2水分配器62のゲート弁に接続されている。また、主水ホース76は分岐され、第1水分配器61から第5水分配器65の流通ホース721a~721f、741a~741iに接続されている。
【0046】
主水ホース76から分岐された水は、第1水分配器61、第2水分配器62に流入する。第1水分配器61、第2水分配器62では、制御ホース71a、71bに流入する水を制御することによりゲート弁を開閉させ、出水ホース722a~722fから吐出する水を制御する。
【0047】
第1水分配器61の出水ホース722aは第3水分配器63の制御ホース73aに接続され、第1水分配器61の出水ホース722bは第3水分配器63の制御ホース73bに接続され、第1水分配器61の出水ホース722cは第4水分配器64の制御ホース73cに接続され、第2水分配器62の出水ホース722dは第4水分配器64の制御ホース73dに接続され、第2水分配器62の出水ホース722eは第5水分配器65の制御ホース73eに接続され、第2水分配器62の出水ホース722fは第5水分配器65の制御ホース73fに接続される。すなわち、図10では、1の水分配器の出水ホースを他の水分配器の制御ホースに接続している。
【0048】
第1水分配器61の出水ホース72a~72c及び第2水分配器62の出水ホース72d~72fから吐出された水は、第3水分配器63~第5水分配器65のゲート弁を制御するために用いられる。そして、図10の構成では、第3水分配器63~第5水分配器65のゲート弁を制御して、第3水分配器63~第5水分配器65の出水ホース742a~742iから吐出される水を制御する。
【0049】
例えば、制御ホース71aにのみ通水させると、第1水分配器61及び第2水分配器62に備えられたゲート弁の開閉により出水ホース722b,722eから水が吐出される。出水ホース722b,722eは、制御ホース73b,73eに接続されているので、制御ホース73b,73eからの水は第3水分配器63及び第5水分配器65に備えられたゲート弁を開閉し、第3水分配器63の出水ホース742a及び第5水分配器65の出水ホース742hから水が吐出される。
【0050】
図10に示した構成では、主水ホース76を分岐し、主水ホース76の水の一部を第3水分配器63~第5水分配器65の制御に用いるようにしているので、主水ホース1本と制御ホース2本を用いて9本の出水ホースに分岐することができ、ホース本数の増加によるケーブル重量を低減し、摩擦力の低減を図る遠隔作業システムの液圧制御装置を提供することができる。
【0051】
図11は、本発明の変形例に係る遠隔作業システムの構成を示す図である。図1に示した構成では作業ロボット7内に水分配器6を設置していたが、図11では水分配器6を作業ロボット7から分離して単独で設置するようにしている。図11に示す構成では、水分配器6と作業ロボット7は、出水ホース43で接続している。
【0052】
変形例によれば、水分配器6を作業ロボット7から分離して設置するようにしているので、作業ロボット7の種類を変更した場合であっても出水ホース43と作業ロボット7との接続を変更することで対応が可能となり、水分配器6を共用することができる。
【0053】
以上のように構成した本実施例の効果を説明する。従来技術においては、ロボットやセンサの駆動・信号送受に必要な電源ケーブル・信号ケーブルの他、ホース外周へ噴射ノズルへの給水路を追加してケーブル移動を支援する必要があり、ケーブル径が増加し、作業中のケーブルハンドリングが困難となってしまう恐れがあった。
【0054】
これに対して本実施例に係る遠隔作業システムでは、液圧ロボットと制御装置間に水圧印加で閉止または開栓する複数のゲート弁で構成された水分配器を配置し、その水分配器のゲート弁の開閉を制御することで主水ホースの通水ルートを切り替えることにより、ホース本数自体を削減してケーブル重量を減らし、摩擦力の低減、ロボット移動操作性の向上を図ることができる。
【0055】
本実施例の遠隔作業システムでは、各種のセンサが使用される。これらは作業装置の駆動部の移動量や回転量を検出するセンサであり、対象物との相互作用を検出するセンサであり、駆動部の動作を検出するセンサであり、作業環境の変化を検出するセンサである。このうち作業環境の変化を検出するセンサは作業装置に搭載されていてもよいが、これらの機能は現場環境の計測であることから現場内に固定的に設置されていてもよい。他のセンサは作業装置の動作を決定するためのセンサということができる。
【0056】
なお、作業装置の駆動部の移動量や回転量を検出するセンサとしては、レーザ距離計、エンコーダ、ポテンショメータ、傾斜計、地磁気センサ、ジャイロセンサが利用可能であり、対象物との相互作用を検出するセンサとしては、カメラ、超音波距離計、レーザ距離計、力・トルクセンサ、温度計、感圧センサが利用可能であり、駆動部の動作を検出するセンサとしては電流センサが利用可能であり、作業環境の変化を検出するセンサとしては圧力計、漏水検知器、温度計、放射線量計が利用可能である。
【0057】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…オペレータ、2…表示装置、3…動作管理装置、4…制御装置、5…ケーブル、6…水分配器、7…作業ロボット、8…撤去対象物、9…作業環境、10…作業指示入力部、11…動作指示部、12…表示部、13…データ送受信部、14…装置スペック情報、15…記憶部、16…動作指示情報、17…装置動作生成部、18…装置動作変更部、19…装置状態推定部、20…作業状態推定部、21…データ送受信部、22…データ送受信部、23…目標値算出部、24…環境計測部、25…ロボット制御部、26…形状計測器、27…対象物認識器、28…角度検出器、29…作業機構、30…移動機構、31…液圧アクチュエータ、32…シリンダ筒体、32a…底部側空間、32b…上部側空間、33…シリンダ軸、34…円盤状部材、35…軸状部材、36…接続部、37…注排液ライン(A)、38…注排液ライン(B)、39…シール部材、41…制御ホース、41a,41b…制御ホース、42…主水ホース、43,43a,43b,43c…出水ホース、44…常閉型ゲート弁、45…常開型ゲート弁、46…制御ホース、46a,46b,46c…制御ホース、47…主水ホース、48a~48g…出水ホース、49…常閉型ゲート弁、50…常開型ゲート弁、51…ゲート弁シリンダ、52…ゲート弁ロッド、53…弾性手段、54…弁体、60…分水装置、61…第1水分配器、62…第2水分配器、63…第3水分配器、64…第4水分配器、65…第5水分配器、71a,71b…制御ホース、72a~72f…出水ホース、73a~73f…制御ホース、76…主水ホース、80…常閉型ゲート弁、81…常開型ゲート弁、431a~431c…流通ホース、432a~432c…出水ホース、481a~481g…流通ホース、482a~482g…出水ホース、721a~721f…流通ホース、722a~722f…出水ホース、741a~741i…流通ホース、742~742i…出水ホース
図1
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図11