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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151898
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   G03G 21/16 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/16 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061762
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 一成
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA05
2H171FA19
2H171GA40
2H171HA23
2H171KA13
2H171KA23
2H171MA03
2H171MA11
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB17
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC36
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA32
(57)【要約】
【課題】電子部品を搭載した基板に沿って配線を配置した場合に、配線が電子部品からのノイズの影響を受けることを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、シートに画像を熱定着させるヒータを備えた画像形成部と、ヒータに電圧を印加する低電圧回路基板と、電子部品を搭載し、画像形成部の一部に電圧を印加する高電圧回路基板73と、高電圧回路基板73を支持する右フレーム20と、ヒータと低電圧回路基板とを接続し、高電圧回路基板73の端縁731に沿って配置される沿部821を有するヒータ配線82と、右フレーム20に支持され、電子部品と沿部821との間を遮蔽する金属遮蔽板91と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を熱定着させるヒータを備えた画像形成部を備える画像形成装置であって、
前記ヒータに電圧を印加する低電圧回路基板と、
電子部品を搭載し、前記画像形成部の一部に電圧を印加する高電圧回路基板と、
前記高電圧回路基板を支持するフレームと、
前記ヒータと前記低電圧回路基板とを接続し、前記高電圧回路基板の端縁に沿って配置される沿部を有するヒータ配線と、
前記フレームに支持され、前記電子部品と前記沿部との間を遮蔽する金属遮蔽板と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フレームに支持され、前記沿部の移動を規制する第1規制リブと、前記金属遮蔽板を前記フレーム側へ規制する第2規制リブとを有するキャップを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記金属遮蔽板の端縁を覆うフィルムを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記金属遮蔽板は、第1プレートと、前記第1プレートの一端から鋭角に折れ曲がって延びる第2プレートと、を有し、
前記フレームは、前記第1プレートの他端部を規制する第1突起と、前記金属遮蔽板の前記第1プレートと反対側の端部を規制する第2突起と、を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記金属遮蔽板と一体であり、前記フレームに固定される金属固定板を備え、
前記金属固定板は、前記ヒータ配線と交差する位置に、前記ヒータ配線から離間する方向に曲げられた曲げ端部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記フレームは、前記曲げ端部の一面側に接触する第1接触リブと、前記曲げ端部の他面側に接触する第2接触リブと、を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フレームは、前記曲げ端部の先端に隣接するボスを有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ボスは、前記曲げ端部よりも前記ヒータ配線側に位置していることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
アース配線を備え、
前記ボスは、ねじ孔を有し、
前記金属固定板は、前記アース配線の一端とともに前記ねじ孔にねじ止めされる貫通孔を有する第3プレートを備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記アース配線の他端が接続される板金と、
前記ボスと前記板金との間であって前記アース配線の下方に配置されるフェライトコアと、を備え、
前記フレームは、前記フェライトコアの上方に、前記アース配線の前記フレームから離間する方向への移動を規制する第1リブを有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記フェライトコアの上方に配置される配線を備え、
前記フレームは、前記フェライトコアの上方に、前記配線の下方への移動を規制する第2リブを有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からレーザプリンタ等の画像形成装置においては、電子部品を搭載した基板の近くに電源等の配線を配置すると、配線が電子部品からのノイズの影響を受けることが知られている。そのため、基板と配線とを離隔することができる構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-261154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置の小型化が求められており、各部品を高密度に配置する必要がある。そうすると、部品間の狭い空間に配線を配置することになり、基板に隣接して配線を配置しなければならない場合が生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、電子部品を搭載した基板に沿って配線を配置した場合に、配線が電子部品からのノイズの影響を受けることを抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を熱定着させるヒータを備えた画像形成部を備える画像形成装置であって、前記ヒータに電圧を印加する低電圧回路基板と、電子部品を搭載し、前記画像形成部の一部に電圧を印加する高電圧回路基板と、前記高電圧回路基板を支持するフレームと、前記ヒータと前記低電圧回路基板とを接続し、前記高電圧回路基板の端縁に沿って配置される沿部を有するヒータ配線と、前記フレームに支持され、前記電子部品と前記沿部との間を遮蔽する金属遮蔽板と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、高電圧回路基板の端縁に沿ってヒータ配線を配置することで、ヒータ配線が高電圧回路基板の電子部品の近くに配置される場合、金属遮蔽板の遮蔽効果により、ヒータ配線が電子部品からのノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0008】
上記の画像形成装置において、前記フレームに支持され、前記沿部の移動を規制する第1規制リブと、前記金属遮蔽板を前記フレーム側へ規制する第2規制リブとを有していてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、キャップは、第1規制部により沿部の移動を規制するとともに、第2規制部により金属遮蔽板の移動も規制する。よって、金属遮蔽板がヒータ配線側へ移動せず、金属遮蔽板の端縁がヒータ配線に接触しにくいためヒータ配線を傷つけにくい。
【0010】
上記の画像形成装置において、前記金属遮蔽板の端縁を覆うフィルムを備えていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、フィルムにより金属遮蔽板の端縁が保護され、金属遮蔽板の端縁がヒータ配線に接触しにくいためヒータ配線を傷つけにくい。
【0012】
上記の画像形成装置において、前記金属遮蔽板は、第1プレートと、前記第1プレートの一端から鋭角に折れ曲がって延びる第2プレートと、を有し、前記フレームは、前記第1プレートの他端部を規制する第1突起と、前記金属遮蔽板の前記第1プレートと反対側の端部を規制する第2突起と、を有していてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、第1突起及び第2突起により、フレームに取り付けた金属遮蔽板が抜けることを抑制できる。
【0014】
上記の画像形成装置において、前記金属遮蔽板と一体であり、前記フレームに固定される金属固定板を備え、前記金属固定板は、前記ヒータ配線と交差する位置に、前記ヒータ配線から離間する方向に曲げられた曲げ端部を有していてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、曲げ端部を設けることにより、曲げ端部の先端がヒータ配線に接触しにくいためヒータ配線を傷つけにくい。
【0016】
上記の画像形成装置において、前記フレームは、前記曲げ端部の一面側に接触する第1接触リブと、前記曲げ端部の他面側に接触する第2接触リブと、を有していてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、第1接触リブと第2接触リブとで曲げ端部を支持することにより、金属固定板をフレームに固定できる。
【0018】
上記の画像形成装置において、前記フレームは、前記曲げ端部の先端に隣接するボスを有していてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、曲げ端部の先端がボスで隠れることにより、曲げ端部の先端がヒータ配線に接触しにくいためヒータ配線を傷つけにくい。
【0020】
上記の画像形成装置において、前記ボスは、前記曲げ端部よりも前記ヒータ配線側に位置していてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ボスにより、ヒータ配線が曲げ端部に接触しにくいため、曲げ端部の先端がヒータ配線を傷つけにくい。
【0022】
上記の画像形成装置において、アース配線を備え、前記ボスは、ねじ孔を有し、前記金属固定板は、前記アース配線の一端とともに前記ねじ孔にねじ止めされる貫通孔を有する第3プレートを備えていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、ボスを金属固定板の固定及びアースに利用することができる。
【0024】
上記の画像形成装置において、前記アース配線の他端が接続される板金と、前記ボスと前記板金との間であって前記アース配線の下方に配置されるフェライトコアと、を備え、前記フレームは、前記フェライトコアの上方に、前記アース配線の前記フレームから離間する方向への移動を規制する第1リブを有していてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、第1リブにより、アース配線がフレームを覆うカバー側へ移動しないため、アース配線がカバーとフェライトコアの間に落ちることを抑制できる。よって、アース配線がカバーとフェライトコアとに挟まれて断線することを抑制できる。
【0026】
上記の画像形成装置において、前記フェライトコアの上方に配置される配線を備え、前記フレームは、前記フェライトコアの上方に、前記配線の下方への移動を規制する第2リブを有していてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、第2リブにより、配線が下方へ移動しないため、配線がフェライトコアに接触することを抑制できる。よって、フェライトコアを通る配線からリークが生じた場合でも上記の配線はリークの影響を受けにくい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電子部品を搭載した基板に沿って配線を配置した場合に、配線が電子部品からのノイズの影響を受けることを抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態の画像形成装置の斜視図である。
図2図1の画像形成装置の中央断面図である。
図3】カバーを外した画像形成装置の要部を拡大した右側面図である。
図4】金属板、フィルム及びキャップの分解斜視図である。
図5図3のA-A断面図である。
図6図3において金属板、フィルム、キャップ及び各種配線を外した図である。
図7図6のB-B断面図である。
図8図6の後下側から見た斜視図である。
図9図6の前下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、図2における右側及び左側を、それぞれ画像形成装置1の前側及び後側と規定し、図2における紙面手前側及び紙面奥側を、それぞれ画像形成装置1の左側及び右側と規定する。また、図2における上側及び下側を、それぞれ画像形成装置1の上側及び下側と規定する。
【0031】
[画像形成装置の全体構成]
図1は一実施形態の画像形成装置1の斜視図であり、図2図1の画像形成装置1の中央断面図である。画像形成装置1の外観は略直方体の筐体2で形成されている。筐体2は、各部材を支持するフレーム(図示せず)と、フレームを覆い外観を構成するカバー21とを有している。フレームは、左側に配置される左フレーム(図示せず)と、右側に配置される右フレーム20(図3参照)とを有している。カバー21は、上面に排出トレイ211を有している。
【0032】
画像形成装置1は、電子写真方式により、用紙やOHPシート等のシートSに複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。筐体2には、シートトレイ3と、搬送部4と、画像形成部5と、再搬送部6と、制御部7とが収容される。筐体2内において、大まかには上部及び中央部に画像形成部5、画像形成部5の下方及び後方に搬送部4、筐体2の前部及び後部と搬送部4の下方とに亘って再搬送部6、画像形成部5と再搬送部6との間及びフレームの左右に制御部7がそれぞれ配置される。
【0033】
また、筐体2の前面下部にはシートトレイ3の挿入口となる開口部22が形成されている。シートトレイ3は、上方が開放されたシート収納部31を有する箱状体であり、複数枚重ねられたシートSを支持する。シートトレイ3は開口部22を通じて前後方向に移動させることで、筐体2に対して挿抜可能となっている。
【0034】
搬送部4は、搬送経路P1に沿って配置される各部材によって構成され、搬送経路P1に沿ってシートSを搬送する。搬送経路P1はシートトレイ3から画像形成部5を経由して排出トレイ211へ繋がる経路である。搬送部4は搬送経路P1の搬送方向上流側から順に、供給部41と、ベルトユニット42と、排出部43とで構成される。
【0035】
供給部41は、供給ローラ411と、分離ローラ412と、分離パッド413と、搬送ローラ対414と、レジストローラ対415とを備える。シートトレイ3に収容されるシートSは、供給ローラ411、分離ローラ412及び分離パッド413により1枚ずつ搬送経路P1に送り出される。搬送経路P1に送り出されたシートSは、搬送ローラ対414及びレジストローラ対415により画像形成部5に向けて搬送される。
【0036】
ベルトユニット42は、筐体2に対して着脱可能であり、画像形成部5と連動して回転する駆動ローラ421と、駆動ローラ421と離間した位置に回転可能に配設された従動ローラ422と、駆動ローラ421及び従動ローラ422間に巻き付けられた搬送ベルト423とを備える。そして、搬送ベルト423がシートSを載せた状態で回転することにより、シートSを搬送経路P1に沿って搬送し、画像形成部5のドラムユニット51の下方に送り、続いて定着部53へ送る。
【0037】
排出部43は、搬送経路P1の分岐部P11と排出トレイ211との間に配置される中間排出ローラ対431と、排出ローラ対432とを備える。中間排出ローラ対431及び排出ローラ対432は、正方向及び逆方向に回転の切り替えができるように構成されるスイッチバックローラである。中間排出ローラ対431及び排出ローラ対432は、定着部53から搬送されたシートSを排出トレイ211上に排出する場合には正回転し、シートSを反転させて再搬送経路P2に搬送する場合には逆回転する。
【0038】
画像形成部5は、本実施形態では電子写真式を採用している。画像形成部5は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、前後方向に並設される4つのドラムユニット51と、露光用LEDヘッド52と、定着部53と、ベルトクリーナ54とを備える。
【0039】
各ドラムユニット51はブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナー(現像剤)に対応して設けられる。各ドラムユニット51は、感光ドラム511と、現像ローラ512と、搬送ベルト423を挟んで感光ドラム511に対向する各位置に配置された転写ローラ513とを備える。
【0040】
このような画像形成部5においては、帯電器によって一様に帯電された各感光ドラム511が、それぞれ露光用LEDヘッド52によって選択的に露光される。この露光により、各感光ドラム511の表面から電荷が選択的に除去され、各感光ドラム511の表面に静電潜像が形成される。
【0041】
各現像ローラ512には現像バイアスが印加されており、各感光ドラム511に形成された静電潜像が各現像ローラ512に対向すると、静電潜像と各現像ローラ512との間の電位差により、各現像ローラ512から静電潜像にトナーが供給される。これによって、各感光ドラム511の表面にトナー像が形成される。
【0042】
画像形成部5へ向けて搬送されたシートSは搬送ベルト423により搬送されて、搬送ベルト423と各感光ドラム511との間を順次通過する。そして、感光ドラム511の表面上のトナー像は、シートSと対向したときに、転写ローラ513に印加された転写バイアスによってシートSに転写される。
【0043】
定着部53は、搬送経路P1において4つの感光ドラム511の搬送方向下流に配設される。定着部53は、シートSに画像を熱定着させるためのヒータ534を有する加熱ローラ531と、加熱ローラ531に圧接する加圧ローラ532とを備える。加熱ローラ531はシートSの画像形成面側に配設されており、搬送ベルト423と同期して回転駆動され、トナーを加熱しながらシートSに搬送力を付与する。
【0044】
一方、加圧ローラ532はシートSを挟んで加熱ローラ531と反対側に配設され、シートSを加熱ローラ531側に押圧する。これにより、加圧ローラ532は加熱ローラ531と接触するシートSを介して加熱ローラ531から回転力を受けて従動回転する。
【0045】
また、定着部53は、加熱ローラ531及び加圧ローラ532よりもシートSの搬送方向下流に配置される定着排出ローラ対533を備える。
【0046】
画像形成部5において、トナー像が転写されたシートSは、加熱ローラ531と加圧ローラ532との間を通過する間にシートSにトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着されたシートSは、定着排出ローラ対533により挟持されながら中間排出ローラ対431へ搬送される。
【0047】
ベルトクリーナ54は、ベルトユニット42と再搬送部6との間に着脱可能に配置され、搬送ベルト423から廃トナーを回収するための部材である。
【0048】
ベルトクリーナ54は、バックアップローラ541と、クリーニングローラ542と、回収ローラ543と、掻き取りブレード544と、回収室545と、廃トナーボックス546とを有している。
【0049】
バックアップローラ541は、搬送ベルト423の内側に配置され、搬送ベルト423に上方から接触している。クリーニングローラ542は、搬送ベルト423を挟んでバックアップローラ541と対向する位置に配置されており、搬送ベルト423に下方から接触している。
【0050】
ベルトクリーナ54においては、搬送ベルト423に付着する廃トナーを、クリーニングローラ542、回収ローラ543、掻き取りブレード544及び回収室545によって回収し、回収した廃トナーを廃トナーボックス546に収容するように構成されている。
【0051】
クリーニング動作は、画像形成部5による画像形成の終了後に開始される。クリーニング動作においては、搬送ベルト423の表面に付着する廃トナーが、クリーニングローラ542に印加されたバイアスによって、クリーニングローラ542の表面に静電気的に保持され、続いて回収ローラ543に静電気的に転移される。回収ローラ543に転移された廃トナーは、掻き取りブレード544により掻き取られて、回収室545内に落下する。回収室545内に落下した廃トナーは、図示しない搬送手段によって後方へ搬送されて、廃トナーボックス546に収容される。
【0052】
再搬送部6は、再搬送経路P2に沿って配置される各部材によって構成され、再搬送経路P2に沿ってシートSを搬送する。再搬送経路P2は搬送経路P1における定着部53と中間排出ローラ対431との間の分岐部P11から分岐してシートトレイ3の上方を通り、シートトレイ3と画像形成部5との間の合流部P12に合流する経路である。この構成により、再搬送経路P2がシートトレイ3の下方に配置される構成よりも再搬送経路P2を短くすることができる。
【0053】
再搬送部6は、シートトレイ3の上方であって画像形成部5の下方に、シートSの下面を案内する下シュート61と、シートSの上面を案内する上シュート62とを備える。下シュート61は、再搬送経路P2に沿ってシートSを案内するための斜送ローラ対611と再搬送ローラ612とを備える。
【0054】
筐体2の後面には下シュート61の挿入口となる開口部24が形成されている。下シュート61は開口部24を通じて前後方向に移動させることで、筐体2に対して挿抜可能となっている。
【0055】
再搬送部6は、中間排出ローラ対431から搬送されてくる一面に画像が形成されたシートSを合流部P12へ搬送する。合流部P12から画像形成部5へ再搬送されたシートSは、画像形成部5により他面に画像が形成された後、排出部43により排出トレイ211に排出される。再搬送部6においてジャムが生じた場合、下シュート61を引き出すことにより、ジャム処理することができる。
【0056】
このように、画像形成装置1においては、画像形成部5にて一面に画像が形成されたシートSを、再搬送経路P2を通じて画像形成部5へ再搬送して、当該シートSの他面に画像を形成する、いわゆる両面印刷を行うことが可能となっている。
【0057】
制御部7は、メイン回路基板(図示せず)と、低電圧回路基板71と、板金部材72と、低電圧回路基板71よりも高い電圧を印加する高電圧回路基板73(図3参照)とを備える。
【0058】
メイン回路基板は、左フレームの左面に配置され、低電圧回路基板71及び高電圧回路基板73を含む画像形成装置1全体を制御する制御部を有する基板である。低電圧回路基板71は、ベルトクリーナ54の後方であって再搬送部6と画像形成部5との間に配置され、電源回路やヒータ534などに低電圧を印加する基板である。
【0059】
板金部材72は、低電圧回路基板71の上下前後を覆うエンクロージャである。高電圧回路基板73は、右フレーム20の右面に配置され、画像形成部5の一部などに高電圧を印加する基板である。
【0060】
次に、このような画像形成装置1において、小型化のために各部品を高密度に配置する観点から、高電圧回路基板73に沿って配線を配置する構成について説明する。さらに、その際に生じる高電圧回路基板73の電子部品から配線へのノイズの影響を抑制する構成について説明する。
【0061】
[ヒータ配線及び金属遮蔽板]
図3はカバー21を外した画像形成装置1の要部を拡大した右側面図、図4は金属板9、フィルム83及びキャップ84の分解斜視図、図5図3のA-A断面図、図6図3において金属板9、フィルム83、キャップ84及び各種配線を外した図、図7図6のB-B断面図、図8図6の後下側から見た斜視図、図9図6の前下側から見た斜視図である。
【0062】
図3から図9に示すように、画像形成装置1は、右フレーム20に取り付けられた、排気ファン81と、ヒータ配線82と、金属板9と、フィルム83と、キャップ84と、板金85と、アース配線86と、フェライトコア87と、配線88とを備える。右フレーム20は、右側面に、第1突起201と、第2突起202と、第1接触リブ203と、第2接触リブ204と、ボス205と、第1リブ206と、第2リブ207とを有する。
【0063】
図3図6図8及び図9に示すように、排気ファン81は、右フレーム20の後下部付近に取り付けられ、筐体2内の空気を外部に排出するファンである。本実施形態の排気ファン81は、右側から見て略正方形の枠体811を有している。排気ファン81は、高電圧回路基板73の後下部における上下方向に延びる端縁731の後方に配置されている。すなわち、排気ファン81の枠体811の前側端縁812が、高電圧回路基板73の端縁731と所定の前後方向の隙間Gを有して配置されている。この隙間Gは、小型化のために各部品を高密度に配置する観点から、1本の配線を配置可能な幅に設計されている。
【0064】
図3及び図5に示すように、ヒータ配線82は、ヒータ534と低電圧回路基板71とを接続する配線である。ヒータ配線82は、中途部分に高電圧回路基板73の端縁731に沿って配置される沿部821を有している。本実施形態において、沿部821は、上下方向に延び、隙間Gに配置されている。
【0065】
図3図6図8及び図9に示すように、金属板9は、一部が隙間Gに配置される板金部材である。図4に示すように、金属板9は、金属遮蔽板91と、金属遮蔽板91と一体の金属固定板92とを有している。金属遮蔽板91は、高電圧回路基板73の電子部品とヒータ配線82の沿部821との間を遮蔽する部材である。金属遮蔽板91は、第1プレート911と、第2プレート912とを有している。
【0066】
第1プレート911は、上下左右方向に延びる板状部材であり、高電圧回路基板73の端縁731に沿って上下左右方向に延びる右フレーム20のリブ20Aに後側から接触して配置されている。第2プレート912は、第1プレート911の一端である下端から前方へ直角に近い鋭角(例えば、85°以上90°未満)に折れ曲がって延びる板状部材であり、高電圧回路基板73の下端縁732に沿って前後左右方向に延びる右フレーム20のリブ20Bに下側から接触して配置されている。
【0067】
このような金属遮蔽板91により、高電圧回路基板73の電子部品とヒータ配線82の沿部821とが遮蔽される。よって、本実施形態のように高電圧回路基板73の端縁731に沿ってヒータ配線82を配置することで、ヒータ配線82が高電圧回路基板73の電子部品の近くに配置される構成において、金属遮蔽板91の遮蔽効果により、ヒータ配線82が電子部品からのノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0068】
また、第1プレート911と第2プレート912とが鋭角であるため、金属板9が右フレーム20に支持されている状態において、第1プレート911及び第2プレート912が、直角に配置されるリブ20A及びリブ20Bから離れることを抑制できる。
【0069】
金属固定板92は、金属板9における右フレーム20に固定される部材である。図4に示すように、金属固定板92は、貫通孔921を有する第3プレート922と、曲げ端部923を有する第4プレート924とで構成されている。
【0070】
第4プレート924は、第2プレート912の前端から下方へ直角に折れ曲がって延びる板状部材である。曲げ端部923は、第4プレート924の右端部を後方へ湾曲するように折り曲げられた部分である。図3及び図6に示すように、曲げ端部923は、ヒータ配線82と交差する位置に配置され、ヒータ配線82から離間する方向に曲げられている。曲げ端部923を設けることにより、曲げ端部923の湾曲した部分がヒータ配線82に対向するため、第4プレート924の右端がヒータ配線82に接触しにくく、ヒータ配線82を傷つけにくい。
【0071】
図4に示すように、第3プレート922は、第4プレート924の下端から後方へ直角に折れ曲がって延びる板状部材である。貫通孔921は、アース配線86の一端とともに右フレーム20のボス205にねじ止めされる孔である。貫通孔921を用いてねじ止めされることにより、金属板9は右フレーム20に固定される。
【0072】
図4及び図8に示すように、フィルム83は、金属遮蔽板91の端縁を覆い、ヒータ配線82を傷つけにくくする部材である。フィルム83は、第1プレート911後面に貼り付けられる第1フィルム831と、第1フィルム831の下端から折れ曲がって第2プレート912の下面に貼り付けられる第2フィルム832とで構成されている。第1フィルム831は第1プレート911の右方へはみ出しており、第2フィルム832は第2プレート912の右方へはみ出している。このようなフィルム83により、金属遮蔽板91の端縁がヒータ配線82に接触しにくく、ヒータ配線82を傷つけにくい。なお、フィルム83は、絶縁距離を確保する観点から絶縁フィルムであることが好ましい。
【0073】
図5図6及び図8に示すように、第1突起201は、右フレーム20のリブ20Aの後面から突出し、第1プレート911の他端部である上端部を規制する突起である。具体的には、第1突起201の左側面が第1プレート911の上端部の右端と近接して配置されることにより、第1プレート911が右方へ移動することを規制している。
【0074】
図6から図9に示すように、第2突起202は、右フレーム20のリブ20Bの下面から突出し、第2プレート912における第1プレート911と反対側の前端部を規制する突起である。具体的には、第2突起202の上面が第2プレート912の前端部の左端と近接して配置されることにより、第2プレート912が左方へ移動することを規制している。
【0075】
このような第1突起201及び第2突起202により、右フレーム20に取り付けた金属遮蔽板91が抜けることを抑制できる。また、第1プレート911と第2プレート912とが鋭角であるため、第1プレート911及び第2プレート912がそれぞれリブ20A及びリブ20Bに押し付けられるため、より第1突起201及び第2突起202から抜けにくい。
【0076】
第1接触リブ203は、右フレーム20の右側面から突出し、曲げ端部923の一面側である後面側に接触するリブである。具体的には、第1接触リブ203の前面が曲げ端部923の後面に接触して配置されている。第2接触リブ204は、第1接触リブ203よりも下方において、右フレーム20の右側面から突出し、曲げ端部923の他面側である前面側に接触するリブである。具体的には、第2接触リブ204の後面が曲げ端部923の前面に接触して配置されている。
【0077】
このような第1接触リブ203及び第2接触リブ204により、曲げ端部923が前後方向に支持される。よって、金属固定版92を右フレーム20に固定できる。
【0078】
ボス205は、右フレーム20の右側面から突出し、上下方向に延びる略円柱状の部材であり、下面に第3プレート922及びアース配線86をねじ止めするためのねじ孔208を有している。ボス205は、曲げ端部923の先端に隣接して配置されている。これにより、曲げ端部923の先端がボス205で隠れ、曲げ端部923の先端がヒータ配線82に接触しにくいためヒータ配線82を傷つけにくい。
【0079】
また、図7に示すように、ボス205は、曲げ端部923よりもヒータ配線82側、本実施形態では曲げ端部923よりも右側に位置している。これにより、ヒータ配線82がより曲げ端部923に接触しにくくなるため、曲げ端部923の先端がヒータ配線82を傷つけにくい。
【0080】
図3から図5に示すように、キャップ84は、隙間Gに配置され、ヒータ配線82の沿部821の移動を規制するとともに、金属遮蔽板91を右フレーム20のリブ20A側へ規制する部材である。キャップ84は、第1規制リブ841と、第2規制リブ842とを有している。
【0081】
図4に示すように、第1規制リブ841は、左方へ突出するリブであり、ヒータ配線82の沿部821が右方へ移動を規制する。第2規制リブ842は、前方へ突出するリブであり、第1プレート911の後面の上端近傍を前方へ押圧することにより、第1プレート911を右フレーム20のリブ20A側へ規制する。よって、第1プレート911がヒータ配線82側へ移動せず、第1プレート911の上端縁がヒータ配線82に接触しにくいためヒータ配線82を傷つけにくい。
【0082】
図3に示すように、板金85は、右フレーム20の右側面における後下部に固定され、アース配線86等を接続してアースをとるための部材である。板金85は、排気ファン81の下方に、アース配線86をねじ止めするための左右方向に貫通する貫通孔(図示せず)を有している。
【0083】
アース配線86は、金属板9と板金85とを接続する部材である。アース配線86の一端は金属板9の貫通孔921とともにボス205にねじ止めされ、アース配線86の他端は板金85の貫通孔とともに右フレーム20にねじ止めされている。アース配線86は、一端から上方へ延び、排気ファン81の下端に沿って後方へ他端まで延びるように配置されている。
【0084】
フェライトコア87は、第1フェライトコア871及び第2フェライトコア872で構成されている。第1フェライトコア871は、円環状の部材であり、前後方向においてボス205と板金85との間に、上下方向においてアース配線86の下方に配置されている。第2フェライトコア872は、円環状の部材であり、前後方向において第1フェライトコア871と板金85との間に、上下方向においてアース配線86の下方に配置されている。
【0085】
配線88は、第1配線881及び第2配線882で構成されている。板金85の左方には商用電源に繋がる電源部材(不図示)が配置されており、第1配線881は、低電圧回路基板71と電源部材とを接続する配線であり、中途部分が第1フェライトコア871に巻回されている。第2配線882は、低電圧回路基板71と電源部材とを接続する配線であり、中途部分が第1フェライトコア871の上方を通って第2フェライトコア872に巻回されている。
【0086】
図3図8及び図9に示すように、第1リブ206は、右フレーム20の右側面における第1フェライトコア871の上方から突出し、アース配線86の右フレーム20から離間する方向への移動を規制するリブである。具体的には、第1リブ206は、右フレーム20の右側面から右方へ延びて下方へ折れ曲がって延びる略L字型の部材である。
【0087】
第1リブ206により、アース配線86の右側への移動、つまり右フレーム20を覆うカバー21側への移動が規制されるため、アース配線86がカバー21と第1フェライトコア871との間に落ちることを抑制できる。よって、アース配線86がカバー21と第1フェライトコア871とに挟まれて断線することを抑制できる。
【0088】
第2リブ207は、右フレーム20の右側面から突出し、第2配線882の下方への移動を規制するリブである。第2リブ207の上端は、第1フェライトコア871の上端よりも上方に位置している。具体的には、第2リブ207は、右フレーム20の右側面から右方へ延びる十字状の部材である。
【0089】
第2リブ207により、第2配線882が下方へ移動しないため、第2配線882が第1フェライトコア871に接触することを抑制できる。よって、第1フェライトコア871を通る第1配線881からリークが生じた場合でも、第2配線882はリークの影響を受けにくい。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
5 画像形成部
20 右フレーム(フレーム)
21 カバー
71 低電圧回路基板
73 高電圧回路基板
82 ヒータ配線
83 フィルム
84 キャップ
85 板金
86 アース配線
87 フェライトコア
91 金属遮蔽板
92 金属固定板
201 第1突起
202 第2突起
203 第1接触リブ
204 第2接触リブ
205 ボス
206 第1リブ
207 第2リブ
208 ねじ孔
534 ヒータ
821 沿部
841 第1規制リブ
842 第2規制リブ
882 第2配線(配線)
911 第1プレート
912 第2プレート
921 貫通孔
922 第3プレート
923 曲げ端部
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9