(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151913
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231005BHJP
G06N 5/04 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
G06N5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061786
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大竹 雄河
(72)【発明者】
【氏名】島村 知行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
(57)【要約】
【課題】モデル開発者が生成した複数の学習済みモデルの中から、モデル利用者が所望の学習済みモデルを選択することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置20は、第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部29に登録する登録部23と、第2の端末から検索情報を受信して、検索情報に含まれる装置名及び課題と記憶部のモデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する検索部24と、第2の端末に、検索部24の検索結果を出力する出力部21とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する登録部と、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する検索部と、
前記第2の端末に、前記検索部の検索結果を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
当該情報処理装置に通信可能に接続されたシミュレーションサーバに、前記記憶部に記憶されている所定の学習済みモデルについて、前記第2の端末から受信したシミュレーション用データを用いたシミュレーションを指示し、前記シミュレーションサーバからシミュレーション結果を受信するシミュレーション指示部
をさらに備える、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の端末と前記第2の端末とがテキストメッセージをやり取りするチャット画面を制御するチャット制御部
をさらに備える、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
学習済みモデルを適用する装置名、データ種類及び課題を少なくとも含む要件情報を第2の端末から受信して、前記要件情報を前記記憶部に登録する要件受付部
をさらに備え、
前記出力部は、前記要件情報に基づいて生成された画面を前記第1の端末に出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記モデル情報及び前記検索情報はそれぞれ、前記装置名で特定される装置における作業対象であるワークに関する情報をさらに含み、
前記検索部は、前記モデル情報のワークに関する情報と前記検索情報のワークに関する情報との類似度にさらに基づいて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から前記1又は複数の学習済みモデルを検索する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検索部は、前記検索情報に含まれる前記装置名により特定される装置の種類に応じて、前記検索情報に含まれる他の要素の重みづけを行い、前記スコアを算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の端末から、前記検索結果の中から選択された1の学習済みモデルをダウンロードするための要求を受信して、前記要求された学習済みモデルを前記第2の端末にダウンロードさせるダウンロード部と、
前記第2の端末から、ダウンロードした学習済みモデルに関するレビュー情報を受信して、前記記憶部に登録するレビュー登録部であって、前記レビュー情報は、前記ダウンロードした学習済みモデルの入力に使用したデータを含む、レビュー登録部と
をさらに備える、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録することと、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索することと、
前記第2の端末に、検索結果を出力することと
を含む方法。
【請求項9】
1又は複数のコンピュータに、
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する処理と、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する処理と、
前記第2の端末に、検索結果を出力する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項10】
情報処理装置に通信可能に接続された端末が、
前記情報処理装置に検索情報を送信することであって、前記検索情報は装置名及び課題を含む、ことと、
前記情報処理装置から検索結果を受信することであって、前記検索結果は、前記検索情報に含まれる装置名及び課題との類似度に基づいて検索された1又は複数の学習済みモデルを含む、ことと
を含む方法。
【請求項11】
前記情報処理装置にシミュレーション用データを送信することと、
前記情報処理装置からシミュレーション結果を受信することであって、前記シミュレーション結果は、所定の学習済みモデルを適用したシミュレーション装置で前記シミュレーション用データを用いたシミュレーションを行った結果を含む、ことと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記情報処理装置に、前記検索結果に含まれる学習済みモデルのモデル開発者とのチャットを要求すること
をさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野で機械学習の活用が期待されている。一方で、機械学習を一から始める場合、機械学習のスキルを有する人材に要する人的コストや学習のために要する時間的コストがかかるため、機械学習を活用する機会が限定的になっている。
【0003】
一例として、ものづくりの現場で機械学習を活用する場合、機械学習そのものに対する技術に加えて、機械学習を導入しようとしている装置や、装置が対象とするワークに対する高い知見が必要となり、この両方を有する技術者を確保するためには多くのコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、学習済みモデルの購入希望者が、任意の開発者により生成された学習済みモデルを購入可能な場を提供するためのシステムが開示されている。
【0006】
特許文献1に記載のシステムにより、購入希望者は、モデル生成者から学習済みモデルを購入することができる。しかしながら、特許文献1では、数ある学習済みモデルの中から購入希望者がどのように所望の学習済みモデルを選択すればよいのか明らかになっていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、モデル開発者が生成した複数の学習済みモデルの中から、モデル利用者が所望の学習済みモデルを選択することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する登録部と、第2の端末から検索情報を受信して、検索情報に含まれる装置名及び課題と記憶部のモデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する検索部と、第2の端末に、検索部の検索結果を出力する出力部とを備える。
【0009】
この態様によれば、情報処理装置は、第2の端末のユーザであるモデル利用者に、検索情報に含まれる装置名及び課題との類似度が高いモデル情報を有する学習済みモデルを含む検索結果を提供することができる。モデル利用者は、このような検索結果を得ることで、自身が所望している学習済みモデルを選択することができる。
【0010】
上記情報処理装置は、当該情報処理装置に通信可能に接続されたシミュレーションサーバに、記憶部に記憶されている所定の学習済みモデルについて、第2の端末から受信したシミュレーション用データを用いたシミュレーションを指示し、シミュレーションサーバからシミュレーション結果を受信するシミュレーション指示部をさらに備えてもよい。
【0011】
この態様によれば、情報処理装置は、モデル利用者に、シミュレーション用データを用いたシミュレーション結果を提供することができる。モデル利用者は、ダウンロード前に自身が所持するデータを用いたシミュレーション結果を得ることで、より実際の適用例に即した学習済みモデルを選択することができる。さらに、情報処理装置が上記シミュレーション指示部を備えることで、第1の端末のユーザであるモデル開発者は、自身が開発した学習済みモデルがダウンロード前に外部に流出する恐れを回避しながら、学習済みモデルの有用性を広く知らせることができる。
【0012】
上記情報処理装置は、第1の端末と第2の端末とがテキストメッセージをやり取りするチャット画面を制御するチャット制御部をさらに備えてもよい。この態様によれば、情報処理装置は、モデル開発者とモデル利用者とに、コミュニケーションを行う場を提供することができる。細やかなコミュニケーションを行う場を提供することで、モデル利用者は、ダウンロードした学習済みモデルに関する疑問を解消したり、ダウンロードした学習済みモデルのカスタマイズを依頼する等、新たな商談を進めることができる。モデル開発者は、モデル利用者の学習済みモデルに対する満足度を向上させたり、新たな商談機会を得ることができる。
【0013】
上記情報処理装置は、学習済みモデルを適用する装置名、データ種類及び課題を少なくとも含む要件情報を第2の端末から受信して、要件情報を記憶部に登録する要件受付部をさらに備え、出力部は、要件情報に基づいて生成された画面を第1の端末に出力してもよい。この態様によれば、情報処理装置は、モデル利用者からの新たな要件情報を吸い上げ、モデル開発者に、所定の学習済みモデルの利用を望むユーザがいることを知らせることができる。モデル利用者は、検索の時点で記憶部に記憶されている学習済みモデルの中に所望の学習済みモデルがなかった場合でも、情報処理装置を介して、所望の学習済みモデルを取得する機会を得ることができる。
【0014】
上記情報処理装置において、モデル情報及び検索情報はそれぞれ、装置名で特定される装置における作業対象であるワークに関する情報をさらに含み、検索部は、モデル情報のワークに関する情報と検索情報のワークに関する情報との類似度にさらに基づいて算出されたスコアに基づいて、記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索してもよい。モデル利用者は、検索情報に指定した装置や課題だけでなく、ワークの類似度を加味した検索結果を得ることで、より実際の適用例に即した学習済みモデルを選択することができる。
【0015】
上記情報処理装置において、検索部は、検索情報に含まれる装置名により特定される装置の種類に応じて、検索情報に含まれる他の要素の重みづけを行い、スコアを算出してもよい。この態様によれば、情報処理装置は、装置の種類に応じて、学習済みモデルを選択する上で特に重要度が高い検索情報の要素について重みづけされたスコアに基づいて、学習済みモデルを検索することができる。モデル利用者は、検索情報に指定した装置の特性に応じて、より自身の装置との親和性が高いと想定される学習済みモデルを選択することができる。
【0016】
上記情報処理装置は、第2の端末から、検索結果の中から選択された1の学習済みモデルをダウンロードするための要求を受信して、要求された学習済みモデルを第2の端末にダウンロードさせるダウンロード部と、第2の端末から、ダウンロードした学習済みモデルに関するレビュー情報を受信して、記憶部に登録するレビュー登録部であって、レビュー情報は、ダウンロードした学習済みモデルの入力に使用したデータを含む、レビュー登録部とをさらに備えてもよい。この態様によれば、情報処理装置は、モデル開発者及びモデル利用者の双方に有益な情報を収集することができる。
【0017】
本開示の他の態様に係る方法は、第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録することと、第2の端末から検索情報を受信して、検索情報に含まれる装置名及び課題と記憶部のモデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索することと、第2の端末に、検索結果を出力することとを含む。
【0018】
本開示の他の態様に係るプログラムは、1又は複数のコンピュータに、第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する処理と、第2の端末から検索情報を受信して、検索情報に含まれる装置名及び課題と記憶部のモデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する処理と、第2の端末に、検索結果を出力する処理とを実行させる。
【0019】
本開示の他の態様に係る方法は、情報処理装置に通信可能に接続された端末が、情報処理装置に検索情報を送信することであって、検索情報は装置名及び課題を含む、ことと、情報処理装置から検索結果を受信することであって、検索結果は、検索情報に含まれる装置名及び課題との類似度に基づいて検索された1又は複数の学習済みモデルを含む、こととを含む。
【0020】
上記方法は、情報処理装置にシミュレーション用データを送信することと、情報処理装置からシミュレーション結果を受信することであって、シミュレーション結果は、所定の学習済みモデルを適用したシミュレーション装置でシミュレーション用データを用いたシミュレーションを行った結果を含む、こととをさらに含んでもよい。
【0021】
上記方法は、情報処理装置に、検索結果に含まれる学習済みモデルのモデル開発者とのチャットを要求することをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、モデル開発者が生成した複数の学習済みモデルの中から、モデル利用者が所望の学習済みモデルを選択することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係るサーバ装置の適用場面の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るシミュレーションサーバの構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る提供者端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る学習済みモデルのアップロード処理を例示するフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る学習済みモデルのダウンロード処理を例示するフローチャートである。
【
図12】実施形態に係る学習済みモデルの事前シミュレーション処理を例示するフローチャートである。
【
図13】実施形態に係るサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」と表記する。)を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0025】
§1 適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図1は、実施形態に係るサーバ装置20の適用場面の一例を示す図である。
【0026】
サーバ装置20は、提供者端末10、利用者端末30及びシミュレーションサーバ40と、通信ネットワークNを介して、相互に通信可能に接続されている。通信ネットワークNは、有線又は無線回線により構成された有線通信網及び無線通信網のいずれであってもよく、インターネットやLocal Area Network(LAN)であってよい。
【0027】
サーバ装置20は、モデル開発者とモデル利用者とを仲介する学習済みモデルサービスサイトを運営する運営会社により操作される装置であってよい。サーバ装置20は、モデル開発者により操作される提供者端末10からアップロードされた学習済みモデルをモデルデータベース201に記憶する。また、サーバ装置20は、モデル利用者により操作される利用者端末30からの検索要求に応じて、モデルデータベース201に記憶された学習済みモデルのうちの1又は複数の学習済みモデルに関する情報を含む検索結果を利用者端末30に提供することができる。その後、利用者端末30において検索結果のうちの1つの学習済みモデルが選択されると、サーバ装置20は、選択された学習済みモデルを利用者端末30にダウンロードさせる。また、サーバ装置20は、学習済みモデルのダウンロードに応じて、モデル開発者がその対価を得るために必要な対価情報を提供者端末10に提供する。
【0028】
ここで、学習済みモデルをサーバ装置20にアップロードする際、提供者端末10は、学習済みモデルを利用するモデル利用者が所望の学習済みモデルを検索するために利用可能なモデル情報を、学習済みモデルと共にアップロードすることができる。モデル情報とは、学習済みモデルに関する情報であり、一例では、モデル情報には、学習済みモデルの適用対象である装置名、データ種類、課題等が含まれる。課題とは、学習済みモデルの適用対象である装置において解決すべき課題であり、例えば、適用対象の装置が「画像検査装置」である場合、課題には、傷の検出、汚れの検出、位置の測定、寸法の計測等が含まれる。
【0029】
利用者端末30は、学習済みモデルの検索要求を送信する際、検索情報として、学習済みモデルを適用する装置名、データ種類、課題等を指定することができる。サーバ装置20は、検索情報との類似度が高いモデル情報を有する学習済みモデルを含む検索結果を利用者端末30に提供することができる。モデル利用者は、このような検索結果を参照することで、自身が所望している学習済みモデルを選択してダウンロード(取得)することができる。
【0030】
本態様によれば、モデル開発者は、自社が開発した学習済みモデルを広く流通させ、学習済みモデルの対価を得ることができる。モデル利用者は、自社で学習済みモデルを生成する人的、時間的コストを費やすことなく、所望の学習済みモデルを取得することができる。
【0031】
さらに、一実施形態では、サーバ装置20は、利用者端末30からのシミュレーション要求に応じて、シミュレーションサーバ40に、事前シミュレーションを指示してもよい。例えば、利用者端末30は、シミュレーション用データと学習済みモデルの検索情報とを含むシミュレーション要求をサーバ装置20に送信することができる。
【0032】
シミュレーションサーバ40は、モデルデータベース201の学習済みモデルのシミュレーションを行う認証機関により操作されるサーバ装置であってよい。シミュレーションサーバ40は、サーバ装置20からの指示に応じて、モデルデータベース201から所定の学習済みモデルとそのモデル情報をダウンロードし、シミュレーション装置(図示せず)に学習済みモデルを適用してシミュレーションを行うことができる。ダウンロードしたすべての学習済みモデルについてシミュレーション用データを用いたシミュレーションが完了すると、シミュレーションサーバ40は、シミュレーション結果をサーバ装置20に送信する。その後、シミュレーション結果は、サーバ装置20から利用者端末30へと送信される。
【0033】
本態様によれば、モデル利用者は、学習済みモデルを選択するために有用な、自身が所持するシミュレーション用データを用いたシミュレーション結果を得ることができる。事前シミュレーションを認証機関の管理下で行うことで、モデル開発者は、ダウンロード前に自社の学習済みモデルが流出する恐れを回避しながら、学習済みモデルの実効性を示すことができる。
【0034】
なお、学習済みモデルとは、任意の機械学習アルゴリズムによる機械学習モデルに対して、事前に適切な学習データを用いて学習を行ったモデルである。ただし、学習済みモデルは、それ以上の学習を行わないものではなく、追加学習を行うこともできる。
【0035】
機械学習モデルとは、所定のモデル構造と、学習処理によって変動する処理パラメータとを有し、学習データから得られる経験に基づいてその処理パラメータが最適化されることで、識別精度が向上するモデルである。すなわち機械学習モデルは、学習処理によって最適な処理パラメータを学習するモデルである。機械学習モデルのアルゴリズムは、例えば、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク等を用いることができるが、その種類は特に限定されない。当該学習を行う機械学習モデルには、学習前のものも、学習データによりすでに何らかの学習を行っているものも含まれる。
【0036】
学習済みモデルを取得するとは、学習済みモデルの機能を、当該学習済みモデルを適用する装置において再現するために必要な情報を取得することをいう。例えば、機械学習モデルとしてニューラルネットワークを用いる場合、学習済みモデルを取得するとは、少なくとも、ニューラルネットワークのレイヤ数、各レイヤに関するノード数、ノード間を繋ぐリンクの重みパラメータ、各ノードに関するバイアスパラメータ及び各ノードに関する活性化関数の関数形に関する情報を取得することをいう。
【0037】
図1では、1台の提供者端末10が図示されているが、複数の提供者端末10(101~10n)を有する情報処理システムにおいて本発明を実装することができる。また、
図1では、1台の利用者端末30が図示されているが、複数の利用者端末30(301~30n)を有する情報処理システムにおいて本発明を実装することができる。同様に、
図1では、1台のシミュレーションサーバ40が図示されているが、複数のシミュレーションサーバ(401~40n)を有する情報処理システムにおいて本発明を実装することができる。
【0038】
§2 構成例
[機能構成]
(サーバ装置)
次に、
図2を用いて、サーバ装置20の構成の一例について説明する。なお、
図2では、単一のサーバ装置20を想定し、必要な機能構成だけを示しているが、サーバ装置20を、複数のコンピュータシステムによる多機能の分散システムの一部として構成することもできる。
【0039】
サーバ装置20は、機能的な構成として、例えば、サイト提供部21、会員登録部22、モデル登録部23、検索部24、シミュレーション指示部25、ダウンロード部26、チャット制御部27、レビュー登録部28及び記憶部29を有する。記憶部29は、例えば、モデルデータベース201及び会員データベース202を記憶する。各機能構成について、以下に記載する。
【0040】
モデルデータベース201には、提供者端末10からアップロードされた学習済みモデルが保存される。一実施形態では、モデルデータベース201には、モデルID、提供者ID、学習済みモデル、モデル情報、サンプルデータ、実績及びレビュー情報等が含まれていることが望ましい。モデルIDは、学習済みモデルを一意に識別するための情報である。提供者IDは、モデル開発者を一意に識別するための情報である。サンプルデータには、学習済みモデルに入力するサンプルデータが保存される。実績には、利用実績が保存される。レビュー情報には、学習済みモデルをダウンロードしたモデル利用者からのレビュー情報が保存される。
【0041】
モデル情報とは、学習済みモデルに関する情報である。一実施形態では、モデル情報には、学習済みモデルの適用対象である装置名、装置メーカー、装置構成、データ種類、課題、ワーク情報、性能情報、利用料等が含まれる。装置構成とは、学習済みモデルの適用に際して考慮し得る装置の構成情報である。例えば、学習済みモデルの入力として赤外線カメラにより撮影した画像を用いている場合、装置構成として、赤外線カメラを含めることにより、学習済みモデルの特性を示すことができる。
【0042】
ワーク情報とは、装置における作業対象であるワークに関する情報であり、一例では、材質、形等が含まれる。性能情報とは、学習済みモデルの予測性能を示す情報であり、一例では、Root Mean Squared Error (RMSE)、R2 (決定係数)、正解率、再現率、適合率等の指標を用いて表すことができる。
【0043】
会員データベース202には、学習済みモデルサービスサイトの会員の基本情報が保存される。一実施形態では、会員データベース202には、会員ID、会社名、住所、メールアドレス等が含まれていることが望ましい。会員IDは、学習済みモデルサービスサイトの会員を一意に識別するための情報である。本実施形態では、学習済みモデルサービスサイトを利用するユーザは、本発明を用いたサービスの利用契約を行っているものとする。利用契約を通じてユーザには会員IDが付与され、会員IDごとに会員ページが作成されるものとする。
【0044】
サイト提供部21は、モデル開発者とモデル利用者とを仲介する学習済みモデルサービスサイトを、例えばインターネットである通信ネットワークN上で提供する。当該ウェブサイトでは、学習済みモデルの各種情報を提供したり、学習済みモデルをダウンロードすることができる。このためにサイト提供部21は、HTML(HyperText Markup Language)等で記述されたウェブページを、提供者端末10又は利用者端末30へ送信すると共に、ユーザによる入力結果等を、提供者端末10又は利用者端末30から受信する。
【0045】
サイト提供部21は、ユーザからの入力等に応答して、対応するウェブページを作成して提供者端末10又は利用者端末30に送信する。具体的には、サイト提供部21は、例えば、会員を登録するための会員登録画面、学習済みモデルを登録するためのモデル登録画面、学習済みモデルを検索するための検索画面、検索要求に基づいて検索された1又は複数の学習済みモデルに関する情報を含む検索結果画面、シミュレーション結果画面、モデル開発者及びモデル利用者からのテキストメッセージをリアルタイムで表示するチャット画面、学習済みモデルのレビューを登録するためのレビュー登録画面等に係る各種ウェブページを、提供者端末10又は利用者端末30に送信する。
【0046】
会員登録部22は、提供者端末10又は利用者端末30からの会員登録要求に応じて、会員の情報を登録する。本実施形態では、会員登録要求には、会社名、住所、メールアドレス等が含まれ、会員登録部22は、会員登録要求に基づいて、会員IDを付与して会員データベース202に会員情報を登録する。
【0047】
モデル登録部23は、提供者端末10からのモデル登録要求に応じて、学習済みモデルを登録する。本実施形態では、モデル登録要求には、モデル開発者の会員ID、学習済みモデル、モデル情報、サンプルデータ等が含まれ、モデル登録部23は、モデル登録要求に基づいてモデルデータベース201に学習済みモデルに関する情報を登録する。
【0048】
検索部24は、利用者端末30からの検索要求に応じて、モデルデータベース201に記憶された学習済みモデルから1又は複数の学習済みモデルを検索する。本実施形態では、検索要求には、学習済みモデルを検索するための検索情報として、学習済みモデルを適用する装置名、データ種類、課題、状況等が含まれ、検索部24は、検索情報に基づいてモデルデータベース201から検索した1又は複数の学習済みモデルに関する候補リスト情報を生成して、サイト提供部21に渡す。
【0049】
一例では、検索部24は、検索された学習済みモデル毎の、モデルID、学習済みモデルを適用する装置名、課題、性能情報、利用料、実績、レビュー情報、会社名、メールアドレス等を含む候補リスト情報をサイト提供部21に渡すことが望ましい。状況とは、装置構成に関する状況であり、例えば、装置構成が決まっている、装置構成が一部決まっている、装置構成も含めてこれから検討したい、情報を入手したい等が含まれる。装置構成が一部決まっている、装置構成が決まっている場合には、装置構成に関する詳細情報が、検索情報に含まれ得る。
【0050】
本実施形態では、検索部24は、少なくともモデルデータベース201に記憶された学習済みモデルのうち、検索情報のデータ種類とモデルデータベース201のモデル情報に格納されたデータ種類とが一致する学習済みモデルのみを検索する。データ種類が一致する学習済みモデルについて、検索部24は、検索情報の装置名や課題と学習済みモデルのモデル情報との類似度に基づいてスコアを算出し、スコアの高い順に並び替えることが望ましい。装置名や課題の類似度は、テキストの構造や意味を解析する自然言語解析により決定してもよい。
【0051】
なお、検索部24は、装置の種類に応じて、検索情報に含まれる複数の要素のうち、特定の要素に他の要素と比較して高い重みづけを行ってスコアを算出することが望ましい。例えば、装置名が装置の種類「画像検査」に分類される場合、検索部24は、ワーク情報の類似度に他の要素と比較して高い重みづけを行い、スコアを算出することができる。
【0052】
また、一実施形態では、検索情報に装置構成に関する情報が含まれる場合、検索部24は、検索情報の装置構成と学習済みモデルのモデル情報の装置構成とに基づいて、装置構成が異なる学習済みモデルを候補リスト情報から除いたり、学習済みモデルのスコアが低くなるように調整してもよい。
【0053】
シミュレーション指示部25は、利用者端末30からのシミュレーション要求に応じて、シミュレーションサーバ40に事前シミュレーションを指示する。本実施形態では、シミュレーション要求には、シミュレーション用データと学習済みモデルの検索情報とが含まれ、シミュレーション指示部25は、まず、検索情報に基づいてモデルデータベース201からシミュレーションに用いられる1又は複数の学習済みモデルを特定する。一例では、シミュレーション指示部25は、検索情報に基づいてモデルデータベース201からシミュレーションに用いられる1又は複数の学習済みモデルのモデルIDを取得する。
【0054】
続いて、シミュレーション指示部25は、シミュレーション用データとシミュレーションに用いられる1又は複数の学習済みモデルに関する情報とをシミュレーションサーバ40に送信する。一例では、シミュレーション指示部25は、シミュレーション用データと1又は複数のモデルIDとを含むシミュレーション指示をシミュレーションサーバ40に送信する。
【0055】
シミュレーションサーバ40の管理下において、サーバ装置20から指示されたすべての学習済みモデルについてシミュレーション用データを用いたシミュレーションが完了すると、シミュレーションサーバ40は、シミュレーション結果をサーバ装置20に送信する。シミュレーション結果を受信すると、シミュレーション指示部25は、受信したシミュレーション結果をサイト提供部21に渡す。
【0056】
ダウンロード部26は、利用者端末30からのダウンロード要求に応じて、要求された学習済みモデルを利用者端末30にダウンロードさせる。本実施形態では、ダウンロード要求には、モデルIDと支払情報とが含まれ、支払情報が利用料の支払い完了を示す場合、ダウンロード部26は、モデルIDで特定される学習済みモデルをモデルデータベース201から利用者端末30にダウンロードさせる。また、ダウンロード部26は、モデル開発者がその対価を得るために必要な対価情報を提供者端末10に提供する。一実施形態では、ダウンロード部26は、利用者端末30への学習済みモデルのダウンロードに際し、モデルデータベース201の実績を更新してもよい。一例では、ダウンロード部26は、モデルデータベース201の実績に保存される値をインクリメントする。
【0057】
さらに、ダウンロード部26は、シミュレーションサーバ40からのダウンロード要求に応じて、要求された学習済みモデルをシミュレーションサーバ40にダウンロードさせる。本実施形態では、シミュレーションサーバ40からのダウンロード要求には、1又は複数のモデルIDが含まれ、ダウンロード部26は、モデルIDで特定される1又は複数の学習済みモデルをモデルデータベース201からシミュレーションサーバ40にダウンロードさせる。
【0058】
チャット制御部27は、利用者端末30と提供者端末10とがリアルタイムでテキストメッセージをやり取りするチャット画面を制御する。まず始めに、チャット制御部27は、利用者端末30からのチャット要求に応じて、利用者端末30と要求された提供者端末10との間でチャットを可能にするチャット画面を生成し、生成したチャット画面をサイト提供部21に渡す。本実施形態では、チャット要求には、会員IDと、相手先会員IDと、モデルIDとが含まれ、チャット制御部27は、会員IDと相手先会員IDとの間でチャットを可能にするチャット画面を生成する。
【0059】
一実施形態では、チャット制御部27は、相手先会員IDで特定される会員のメールアドレスに、チャット要求を受信したことを示す通知を行ってもよい。その後、利用者端末30又は提供者端末10からチャット情報を受信すると、チャット制御部27は、チャット情報に基づいてチャット画面を更新し、更新したチャット画面をサイト提供部21に渡す。本実施形態では、チャット情報には、会員IDと、相手先会員IDと、テキストメッセージとが含まれ、チャット制御部27は、会員IDと相手先会員IDとで特定されるチャット画面を、テキストメッセージが表示されるように更新する。
【0060】
レビュー登録部28は、利用者端末30からのレビュー登録要求に応じて、学習済みモデルのレビュー情報を登録する。本実施形態では、レビュー登録要求には、モデルIDとレビュー情報とが含まれ、レビュー登録部28は、モデルデータベース201において、モデルIDで特定される学習済みモデルのレビュー情報を登録する。一例では、レビュー情報には、性能情報、コメント、使用データ等が含まれることが望ましい。使用データには、モデル利用者が学習済みモデルの入力に使用したデータを含めることができる。
【0061】
(シミュレーションサーバ)
次に、
図3を用いて、シミュレーションサーバ40の構成の一例について説明する。なお、
図3では、単一のシミュレーションサーバ40を想定し、必要な機能構成だけを示しているが、シミュレーションサーバ40を、複数のコンピュータシステムによる多機能の分散システムの一部として構成することもできる。
【0062】
シミュレーションサーバ40は、機能的な構成として、例えば、受付部41、実行部42、送信部43及び記憶部44を有する。記憶部44は、例えば、モデルデータベース401を記憶する。各機能構成について、以下に記載する。
【0063】
モデルデータベース401には、サーバ装置20からダウンロードした学習済みモデルが保存される。一実施形態では、モデルデータベース401には、モデルID、学習済みモデル、モデル情報等が含まれていることが望ましい。
【0064】
受付部41は、サーバ装置20からのシミュレーション指示に応じて、サーバ装置20のモデルデータベース201に記憶された学習済みモデルから1又は複数の学習済みモデルをダウンロードする。本実施形態では、シミュレーション指示には、シミュレーション用データと1又は複数のモデルIDとが含まれ、受付部41は、1又は複数のモデルIDを含むダウンロード要求をサーバ装置20に送信し、モデルIDにより特定される学習済みモデルとそのモデル情報とをダウンロードしてモデルデータベース401に保存する。一実施形態では、受付部41は、モデルデータベース201からのダウンロードに先立ち、シミュレーション指示に含まれるモデルIDを用いてモデルデータベース401を検索して、モデルデータベース401に含まれないモデルIDについてダウンロード要求をサーバ装置20に送信してもよい。
【0065】
実行部42は、サーバ装置20から受信したシミュレーション指示に基づいて、シミュレーション装置(図示せず)に学習済みモデルを適用して、シミュレーション用データを用いたシミュレーションを行う。
【0066】
送信部43は、指示されたすべての学習済みモデルについてのシミュレーション結果をサーバ装置20に送信する。
【0067】
[ハードウェア構成]
(サーバ装置)
次に、
図4を用いて、サーバ装置20のハードウェア構成の一例について説明する。
図4の例では、サーバ装置20は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processor Unit)等のプロセッサ20aと、RAM(Random Access Memory)20bと、ROM(Read only Memory)20cと、通信装置20dと、記憶装置20eとを有してもよい。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信できるように接続される。
【0068】
プロセッサ20aは、ROM20c又は記憶装置20eに記憶されたプログラムをRAM20bに展開して実行することで、データの演算や加工を行う制御部として機能する。プロセッサ20aは、通信装置20dから種々の入力データを受信し、入力データを演算した結果を通信装置20dから出力したり、RAM20bや記憶装置20eに格納したりする。
【0069】
本実施形態におけるプロセッサ20aは、ROM20c又は記憶装置20eに記憶されたプログラムを実行することにより、上述した学習済みモデルサービスに係る処理を実現可能に構成される。例えば、サイト提供部21、会員登録部22、モデル登録部23、検索部24、シミュレーション指示部25、ダウンロード部26、チャット制御部27及びレビュー登録部28は、プロセッサ20a上で動作するプログラムとして実現可能である。このプログラムは、RAM20bやROM20c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信装置20dにより接続される通信ネットワークNを介して提供されてもよい。
【0070】
RAM20bは、例えば半導体記憶素子で構成され、書き換え可能なデータを記憶する。RAM20bは、プログラムに含まれるコードの他、記憶部29の一部又は全部のデータを一時的に記憶する。ROM20cは、例えば半導体記憶素子で構成され、読み出し可能かつ書き換え不可能なデータを記憶する。ROM20cは、プログラム及び学習済みモデルサービスに係る処理に必要な各種データ、例えば記憶部29のデータを記憶する。
【0071】
通信装置20dは、提供者端末10、利用者端末30及びシミュレーションサーバ40を含む外部の装置との間で、有線又は無線による通信ネットワークNを介したデータ通信を行うための装置である。
【0072】
記憶装置20eは、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成される不揮発性の記憶媒体である。記憶装置20eは、プログラム及び記憶部29のデータを記憶する。
【0073】
(シミュレーションサーバ)
次に、シミュレーションサーバ40のハードウェア構成の一例について説明する。サーバ装置20と同様に、シミュレーションサーバ40は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processor Unit)等のプロセッサ40aと、RAM(Random Access Memory)40bと、ROM(Read only Memory)40cと、通信装置40dと、記憶装置40eとを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信できるように接続される。
【0074】
プロセッサ40aは、ROM40c又は記憶装置40eに記憶されたプログラムをRAM40bに展開して実行することで、データの演算や加工を行う制御部として機能する。プロセッサ40aは、通信装置40dから種々の入力データを受信し、入力データを演算した結果を通信装置40dから出力したり、RAM40bや記憶装置40eに格納したりする。
【0075】
本実施形態におけるプロセッサ40aは、ROM40c又は記憶装置40eに記憶されたプログラムを実行することにより、上述した事前シミュレーションに係る処理を実現可能に構成される。例えば、受付部41、実行部42及び送信部43は、プロセッサ40a上で動作するプログラムとして実現可能である。このプログラムは、RAM40bやROM40c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信装置40dにより接続される通信ネットワークNを介して提供されてもよい。
【0076】
RAM40bは、例えば半導体記憶素子で構成され、書き換え可能なデータを記憶する。RAM40bは、プログラムに含まれるコードの他、記憶部44の一部又は全部のデータを一時的に記憶する。ROM40cは、例えば半導体記憶素子で構成され、読み出し可能かつ書き換え不可能なデータを記憶する。ROM40cは、プログラム及び学習済みモデルサービスに係る処理に必要な各種データ、例えば記憶部44のデータを記憶する。
【0077】
通信装置40dは、サーバ装置20を含む外部の装置との間で、有線又は無線による通信ネットワークNを介したデータ通信を行うための装置である。
【0078】
記憶装置40eは、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成される不揮発性の記憶媒体である。記憶装置40eは、プログラム及び記憶部44のデータを記憶する。
【0079】
(提供者端末)
次に、
図5を用いて、提供者端末10のハードウェア構成の一例について説明する。
図5の例では、提供者端末10は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processor Unit)等のプロセッサ10aと、RAM(Random Access Memory)10bと、ROM(Read only Memory)10cと、通信装置10dと、記憶装置10eと、入力装置10fと、表示装置10gとを有してもよい。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信できるように接続される。
【0080】
プロセッサ10aは、ROM10c又は記憶装置10eに記憶されたプログラムをRAM10bに展開して実行することで、データの演算や加工を行う制御部として機能する。プロセッサ10aは、入力装置10fや通信装置10dから種々の入力データを受信し、入力データを演算した結果を表示装置10gや通信装置10dから出力したり、RAM10bや記憶装置10eに格納したりする。
【0081】
本実施形態におけるプロセッサ10aは、記憶装置10eに記憶されたプログラムを実行することにより、ブラウザを実現可能に構成される。ブラウザは、サーバ装置20の提供するウェブサイトを含む通信ネットワークN上の各種ウェブサイトをユーザに閲覧可能とするためのアプリケーションプログラムである。
【0082】
RAM10bは、例えば半導体記憶素子で構成され、書き換え可能なデータを記憶する。RAM10bは、プログラムに含まれるコードの他、学習済みモデルサービスに係る処理に必要な一部又は全部のデータを一時的に記憶する。ROM10cは、例えば半導体記憶素子で構成され、読み出し可能かつ書き換え不可能なデータを記憶する。ROM10cは、プログラム及び学習済みモデルサービスに係る処理に必要な各種データ、例えば学習済みモデルを記憶する。
【0083】
通信装置10dは、サーバ装置20を含む外部の装置との間で、有線又は無線による通信ネットワークNを介したデータ通信を行うための装置である。
【0084】
記憶装置10eは、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成される不揮発性の記憶部媒体である。記憶装置10eは、ブラウザのプログラム及び学習済みモデルサービスに係る処理に必要な各種データ、例えば学習済みモデルを記憶する。
【0085】
入力装置10fは、ユーザからの操作を受け付けるための装置であり、キーボードやマウス、タッチパネル等によって実現することができる。
【0086】
表示装置10gは、情報を表示するための装置であり、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現することができる。
【0087】
(利用者端末)
次に、利用者端末30のハードウェア構成の一例について説明する。提供者端末10と同様に、利用者端末30は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processor Unit)等のプロセッサ30aと、RAM(Random Access Memory)30bと、ROM(Read only Memory)30cと、通信装置30dと、記憶装置30eと、入力装置30fと、表示装置30gとを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信できるように接続される。
【0088】
プロセッサ30a、RAM30b、ROM30c、通信装置30d、記憶装置30e、入力装置30f、表示装置30gはそれぞれ、プロセッサ10a、RAM10b、ROM10c、通信装置10d、記憶装置10e、入力装置10f、表示装置10gと同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
【0089】
§3 画面例
次に、
図6~
図9を用いて、一実施形態における、モデル開発者とモデル利用者とを仲介する学習済みモデルサービスサイトの画面例について説明する。
図6は、学習済みモデルを登録するためのモデル登録画面を例示する図である。
図6の例では、モデル登録画面には、アップロードする学習済みモデルのモデル情報として、当該学習済みモデルの適用対象である装置名、データ種類、課題、ワーク情報、性能情報、紹介コメント等を指定する項目が含まれている。また、モデル登録画面には、学習済みモデルのサンプルデータが添付フィルとして指定可能であることが示されている。
【0090】
一実施形態では、装置名の入力内容に応じて、課題の候補を表示するようにモデル登録画面を構成することができる。例えば、
図6の例では、装置名に「画像検査装置」が入力されると、課題の候補として、「傷の検出」、「汚れの検出」、「位置の測定」、「寸法の計測」が表示されてもよい。また、一実施形態では、装置名の入力内容に応じて、ワーク情報の候補を表示するようにモデル登録画面を構成することができる。例えば、
図6の例では、装置名に「画像検査装置」が入力されると、ワーク情報の候補として、「アルミ」、「鉄」、「ステンレス」、「樹脂」、「ガラス」が表示されてもよい。
図6の例では、ワーク情報としてワークの材質を指定しているが、別の実施形態では、ワークの材質に加えて/代えてワークの形を指定するようにしてもよい。
【0091】
図7は、学習済みモデルを検索するための検索画面を例示する図である。
図7の例では、検索画面には、学習済みモデルを検索するための検索情報として、状況、データ種類、装置名、課題を指定する項目が含まれている。
【0092】
一実施形態では、装置名の入力内容に応じて、装置名の候補を表示するように検索画面を構成することができる。例えば、
図7の例では、装置名に「が」が入力されると、装置名の候補として、「画像検査」、「画像検査(O社)」、「画像検査(X社)」が表示されてもよい。また、一実施形態では、モデル登録画面と同様に、装置名の入力内容に応じて、課題の候補を表示するように検索画面を構成することができる。
【0093】
また、検索画面には、シミュレーション用データが添付ファイルとして指定可能であることが示されている。
図7の例では、シミュレーション用データとして、製品に毛髪が混入している不良例を示すデータ「不良例.JPG」と製品に汚れが付着していない良品例を示すデータ「良品例.JPG」とが指定されている。
【0094】
図8は、検索要求に基づいて検索された1又は複数の学習済みモデルに関する情報を含む検索結果画面を例示する図である。
図8の例では、検索結果画面には、候補となる学習済みモデル毎の、学習済みモデルを適用する装置名、課題、性能情報、利用料、実績、レビュー情報、会社名、メールアドレスが示されている。
【0095】
図9は、学習済みモデルのレビューを登録するためのレビュー登録画面を例示する図である。
図9の例では、レビュー登録画面には、レビュー情報として、性能情報、コメント等を指定する項目が含まれている。また、レビュー登録画面には、学習済みモデルに実際に使用した使用データが添付フィルとして指定可能であることが示されている。
図9の例では、使用データとして、製品に付着した毛髪の検出に成功した不良例を示すデータ「不良例.JPG」が指定されている。
【0096】
§4 動作例
(学習済みモデルのアップロード処理)
次に、
図10~
図12を用いて、サーバ装置20の動作例を説明する。
図10は、実施形態に係る学習済みモデルのアップロード処理を例示するフローチャートである。本実施形態では、
図10で説明されるアップロード処理を行う前に、事前にモデル開発者Aは会員登録を済ませており、サーバ装置20の会員データベース202にモデル開発者Aのレコードが格納されているものとする。
【0097】
学習済みモデルサービスサイトの会員であるモデル開発者Aが、提供者端末10のブラウザを用いてサーバ装置20の提供する学習済みモデルサービスサイトへとアクセスすると(S101)、サーバ装置20のサイト提供部21は、アクセスを受けたURLに応じたウェブページを提供者端末10へと送信する(S102)。
【0098】
例えばブラウザ上に表示された「学習済みモデルをアップロードする」コントロールをモデル開発者Aが選択する等、ブラウザでのモデル開発者Aの操作に応じて、提供者端末10からサーバ装置20に学習済みモデルをアップロードするための要求が送信されると(S103)、サイト提供部21は、モデル登録画面のウェブページを提供者端末10に送信する(S104)。本実施形態では、
図6に示されるようなモデル登録画面の初期画面に対応するウェブページが提供者端末10に送信されるものとする。
【0099】
モデル登録画面でモデル情報の入力とサンプルデータの指定とを済ませた後、例えば、ブラウザ上で学習済みモデルの保存場所を指定して「モデル登録」コントロールを選択する等、ブラウザでのモデル開発者Aの操作に応じて、提供者端末10からサーバ装置20にモデル登録要求が送信されると(S105)、サーバ装置20のモデル登録部23は、学習済みモデルを登録する(S106)。ここでは、提供者端末10から、モデル開発者Aの会員ID「1000A」、学習済みモデル、モデル情報、サンプルデータ等を含むモデル登録要求を受信して、モデル登録部23は、モデル登録要求に基づいてモデルデータベース201にモデルID「0001」で特定される学習済みモデルのレコードを登録したものとする。
【0100】
(学習済みモデルのダウンロード処理)
次に、
図11を用いて、実施形態に係る学習済みモデルのダウンロード処理を詳細に説明する。本実施形態では、
図11で説明されるダウンロード処理を行う前に、事前にモデル利用者Bは会員登録を済ませており、サーバ装置20の会員データベース202にモデル利用者Bのレコードが格納されているものとする。
【0101】
学習済みモデルサービスサイトの会員であるモデル利用者Bが、利用者端末30のブラウザを用いてサーバ装置20の提供する学習済みモデルサービスサイトへとアクセスすると(S1101)、サーバ装置20のサイト提供部21は、アクセスを受けたURLに応じたウェブページを利用者端末30へと送信する(S1102)。
【0102】
例えばブラウザ上に表示された「学習済みモデルを検索する」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20に学習済みモデルを検索するための要求が送信されると(S1103)、サイト提供部21は、モデル検索画面のウェブページを利用者端末30に送信する(S1104)。本実施形態では、
図7に示されるようなモデル検索画面の初期画面に対応するウェブページが利用者端末30に送信されるものとする。
【0103】
モデル検索画面で検索情報の入力を済ませた後、例えば、ブラウザ上に表示された「検索」コントロールを選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にモデル検索要求が送信されると(S1105)、サーバ装置20の検索部24は、モデルデータベース201に記憶された学習済みモデルから1又は複数の学習済みモデルを検索する(S1106)。なお、
図6に示す例ではシミュレーション用データが指定されているが、ここでは、シミュレーション用データが指定されることなく、利用者端末30からモデル検索要求がサーバ装置20に送信されたものとする。
【0104】
本実施形態では、検索要求には、学習済みモデルを検索するための検索情報として、学習済みモデルを適用する装置名、データ種類、課題等が含まれ、検索部24は、検索情報に基づいてモデルデータベース201から検索した1又は複数の学習済みモデルに関する候補リスト情報を生成して、サイト提供部21に渡す(S1107)。候補リスト情報を受け取ったサイト提供部21は、候補リスト情報に基づく検索結果画面のウェブページを利用者端末30に送信する(S1108)。ここでは、サイト提供部21は、検索部24から渡された、検索された学習済みモデル毎の、モデルID、学習済みモデルを適用する装置名、課題、性能情報、利用料、実績、レビュー情報、会社名、メールアドレス等を含む候補リスト情報に基づいて、
図8に示される検索結果画面のウェブページを利用者端末30に送信したものとする。
【0105】
例えば検索結果画面に表示された1の学習済みモデルを選択して、ブラウザ上に表示された「ダウンロード」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にダウンロード要求が送信されると(S1109)、サーバ装置20のダウンロード部26は、要求された学習済みモデルを利用者端末30にダウンロードさせ、モデルデータベース201の実績を更新する(S1110)。
【0106】
本実施形態では、ダウンロード要求には、モデルIDと支払情報とが含まれ、支払情報が利用料の支払い完了を示す場合、ダウンロード部26は、モデルIDで特定される学習済みモデルをモデルデータベース201から利用者端末30にダウンロードさせる。ここでは、利用者端末30から、モデルID「0001」と利用料の支払い完了を示す支払情報とを含むダウンロード要求を受信して、ダウンロード部26は、モデルID「0001」で特定される学習済みモデルをモデルデータベース201から利用者端末30にダウンロードさせるものとする。
【0107】
利用者端末30への学習済みモデルのダウンロード後、ダウンロード部26は、モデル開発者がその対価を得るために必要な対価情報を提供者端末10に送信する(S1111)。
【0108】
その後、例えば会員ページに表示されたダウンロード済みの学習済みモデルに関連する「チャットを開始する」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にチャット要求が送信されると(S1112)、サーバ装置20のチャット制御部27は、利用者端末30と要求された提供者端末10との間でチャットを可能にするチャット画面を生成し、サイト提供部21に渡す(S1113)。ここでは、利用者端末30から、モデル利用者Bの会員ID「1000B」と、相手先会員ID「1000A」と、モデルID「0001」とを含むチャット要求を受信して、チャット制御部27は、会員ID「1000B」のモデル利用者Bと会員ID「1000A」のモデル開発者Aとの間でチャットを可能にするチャット画面を生成したものとする。
【0109】
チャット画面を受け取ると、サイト提供部21は、該当のチャット画面の利用者となる会員にチャット画面のウェブページを送信する(S1114)。ここでは、モデル利用者Bの利用者端末30とモデル開発者Aの提供者端末10にチャット画面のウェブページを送信する。続いてチャット制御部27は、相手先会員IDで特定される会員のメールアドレスに、チャット要求を受信したことを示す通知を行う(S1115)。ここでは、チャット制御部27は、相手先会員ID「1000A」で特定されるモデル開発者Aのメールアドレスに、モデルID「0001」の学習済みモデルについてチャット要求を受信したことを示す通知を行う。
【0110】
その後、例えばチャット画面に表示されたチャット用メッセージ入力コントロールにおいて入力を行う等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作又はブラウザでのモデル開発者Aの操作に応じて、利用者端末30又は提供者端末10からサーバ装置20にチャット情報が送信されると(S1116)、チャット制御部27は、チャット情報に基づいてチャット画面を更新し、更新したチャット画面をサイト提供部21に渡す(S1117)。ここでは、利用者端末30から、会員ID「1000B」と、相手先会員ID「1000A」と、テキストメッセージとを含むチャット情報を受信して、チャット制御部27は、会員ID「1000B」と相手先会員ID「1000A」とで特定されるチャット画面を、会員ID「1000B」からのテキストメッセージが表示されるように更新したものとする。チャット画面を受け取ると、サイト提供部21は、該当のチャット画面の利用者となる会員にチャット画面のウェブページを送信する(S1118)。
【0111】
さらに、例えば会員ページに表示されたダウンロード済みの学習済みモデルに関連する「レビューを登録する」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にレビューを登録するための要求が送信されると(S1119)、サイト提供部21は、レビュー登録画面のウェブページを利用者端末30に送信する(S1120)。本実施形態では、
図9に示されるようなレビュー登録画面の初期画面に対応するウェブページが利用者端末30に送信されるものとする。
【0112】
レビュー登録画面でレビュー情報の入力を済ませた後、例えば、ブラウザ上に表示された「登録」コントロールを選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にレビュー登録要求が送信されると(S1121)、サーバ装置20のレビュー登録部28は、学習済みモデルのレビュー情報を登録する(S1122)。ここでは、利用者端末30から、モデルID「0001」とそのレビュー情報として性能情報とコメント「・・・・・・」と使用データ「不良例.JPG」とを含むレビュー登録要求を受信して、レビュー登録部28は、モデルデータベース201において、モデルID「0001」で特定される学習済みモデルのレビュー情報を登録したものとする。
【0113】
なお、本実施形態では、モデル利用者Bが学習済みモデルをダウンロードした後にモデル開発者Aとチャットを開始する例について説明したが、別の実施形態では、モデル利用者Bが学習済みモデルをダウンロードする前にモデル開発者Aとチャットを開始するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施形態では、モデル利用者Bがモデル開発者Aとチャットを行った後に学習済みモデルのレビュー登録を行う例について説明したが、チャットとレビュー登録の順序を制限するものではなく、モデル利用者Bは、任意のタイミングに任意の順序でチャットやレビュー登録を行うことができる。
【0115】
また、本実施形態では、学習済みモデルのダウンロード後にモデル開発者Aに対価情報を送信する例について説明したが、対価情報を送信するタイミングを制限するものではなく、サーバ装置20は、利用契約に応じた任意のタイミングでモデル開発者Aに対価情報を送信することができる。
【0116】
(学習済みモデルの事前シミュレーション処理)
次に、
図12を用いて、実施形態に係る学習済みモデルの事前シミュレーション処理を詳細に説明する。なお、
図12のS1101~S1104及びS1109~S1111は、
図11のS1101~S1104及びS1109~S1111と同一である。
【0117】
モデル利用者Bが、利用者端末30のブラウザを用いてサーバ装置20の提供する学習済みモデルサービスサイトへとアクセスすると(S1101)、サーバ装置20のサイト提供部21は、アクセスを受けたURLに応じたウェブページを利用者端末30へと送信する(S1102)。
【0118】
例えばブラウザ上に表示された「学習済みモデルを検索する」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20に学習済みモデルを検索するための要求が送信されると(S1103)、サイト提供部21は、モデル検索画面のウェブページを利用者端末30に送信する(S1104)。本実施形態では、
図7に示されるようなモデル検索画面の初期画面に対応するウェブページが利用者端末30に送信されるものとする。
【0119】
モデル検索画面で検索情報の入力を済ませた後、例えば、ブラウザ上に表示された「事前シミュレーション」コントロールを選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にシミュレーション要求が送信されると(S1201)、サーバ装置20のシミュレーション指示部25は、シミュレーションサーバ40に事前シミュレーションを指示する(S1202)。ここでは、利用者端末30から、シミュレーション用データ「不良例.JPG」及び「良品例.JPG」と学習済みモデルの検索情報とを含むシミュレーション要求を受信して、シミュレーション指示部25は、まず、検索情報に基づいてモデルデータベース201からシミュレーションに用いられる学習済みモデルのモデルID「0001」、「0002」、「0003」、「0004」、「0005」を取得する。続いて、シミュレーション指示部25は、シミュレーション用データ「不良例.JPG」及び「良品例.JPG」とモデルID「0001」、「0002」、「0003」、「0004」、「0005」とを含むシミュレーション指示をシミュレーションサーバ40に送信する。
【0120】
サーバ装置20からシミュレーション指示を受け付けると、シミュレーションサーバ40の受付部41は、シミュレーション指示に含まれる1又は複数のモデルIDを含むダウンロード要求をサーバ装置20に送信し(S1203)、モデルIDにより特定される学習済みモデルとそのモデル情報とをダウンロードしてモデルデータベース401に保存する(S1204)。続いて、シミュレーションサーバ40の実行部42は、サーバ装置20から受信したシミュレーション指示に基づいて、シミュレーション装置(図示せず)に学習済みモデルを適用して、シミュレーション用データを用いたシミュレーションを行う(S1205)。
【0121】
サーバ装置20から指示されたすべての学習済みモデルについてシミュレーション用データを用いたシミュレーションが完了すると、シミュレーションサーバ40の送信部43は、指示されたすべての学習済みモデルについてのシミュレーション結果をサーバ装置20に送信する(S1206)。シミュレーション結果を受信すると、サーバ装置20のシミュレーション指示部25は、シミュレーション結果をサイト提供部21に渡し、サイト提供部21は、シミュレーション結果画面のウェブページを利用者端末30に送信する(S1207)。
【0122】
なお、サーバ装置20は、シミュレーションサーバ40から受信したシミュレーション結果や検索情報と学習済みモデルのモデル情報との類似度に基づいて、シミュレーション結果に含まれる1又は複数の学習済みモデルについて、レコメンド情報を付したシミュレーション結果画面を生成してもよい。
【0123】
検索結果画面と同様、例えばシミュレーション結果画面に表示された1の学習済みモデルを選択して、ブラウザ上に表示された「ダウンロード」コントロールをモデル利用者Bが選択する等、ブラウザでのモデル利用者Bの操作に応じて、利用者端末30からサーバ装置20にダウンロード要求が送信されると(S1109)、サーバ装置20のダウンロード部26は、要求された学習済みモデルを利用者端末30にダウンロードさせる(S1110)。その後、ダウンロード部26は、モデル開発者がその対価を得るために必要な対価情報を提供者端末10に送信する(S1111)。
【0124】
なお、本実施形態では、モデル利用者Bが学習済みモデルの検索情報と同時にシミュレーション用データを指定してシミュレーション要求を送信する例について説明したが、別の実施形態では、モデル利用者Bは、まず、検索情報を指定して検索結果画面のウェブページを取得し、その後、シミュレーション用データを指定してシミュレーション要求を送信するようにしてもよい。この場合、利用者端末30から、検索情報に代えて1又は複数のモデルIDを含むシミュレーション要求を送信すればよい。
【0125】
以上、本実施形態によれば、サーバ装置20は、検索情報に含まれる装置名及び課題とモデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出したスコアに基づいて学習済みモデルを検索する検索部24を備えることで、モデル利用者に、検索情報に含まれる装置名及び課題との類似度が高いモデル情報を有する学習済みモデルを含む検索結果を提供することができる。モデル利用者は、このような検索結果を得ることで、自身が所望している学習済みモデルを取得することができる。
【0126】
さらに、サーバ装置20は、シミュレーションサーバ40に、所定の学習済みモデルについて、利用者端末から受信したシミュレーション用データを用いたシミュレーションを指示するシミュレーション指示部を備えることで、モデル利用者に、シミュレーション用データを用いたシミュレーション結果を提供することができる。モデル利用者は、ダウンロード前に自身が所持するデータを用いたシミュレーション結果を得ることで、より実際の適用例に即した学習済みモデルを選択することができる。さらに、サーバ装置20が上記シミュレーション指示部を備えることで、モデル開発者は、自身が開発した学習済みモデルがダウンロード前に外部に流出する恐れを回避しながら、学習済みモデルの有用性を広く知らせることができる。
【0127】
さらに、サーバ装置20は、提供者端末10と利用者端末30とがテキストメッセージをやり取りするチャット画面を制御するチャット制御部を備えることで、モデル開発者とモデル利用者とに、コミュニケーションを行う場を提供することができる。細やかなコミュニケーションを行う場を提供することで、モデル利用者は、ダウンロードした学習済みモデルに関する疑問を解消したり、ダウンロードした学習済みモデルのカスタマイズを依頼する等、新たな商談を進めることができる。モデル開発者は、モデル利用者の学習済みモデルに対する満足度を向上させたり、新たな商談機会を得ることができる。
【0128】
(追加の実施形態)
図2及び
図11では、モデル利用者Bが、学習済みモデルサービスサイトのモデルデータベース201に記憶されている学習済みモデルの中から所望の学習済みモデルをダウンロードする例について説明してきた。追加の実施形態では、
図13の例では、サーバ装置20は、モデル利用者Bからのモデル要件登録要求を受け付ける要件受付部210を備えてもよい。本実施形態では、モデル要件登録要求には、会員ID、及び学習済みモデルの要件情報として、学習済みモデルを適用する装置名、データ種類、課題等が含まれる。要件受付部210は、要件登録要求に基づいて要件データベース203に要件情報を登録する。要件受付部210は、要件データベース203に基づいて1又は複数の要件情報を含む要件リスト画面を生成し、サイト提供部21に渡すことで、学習済みモデルサービスサイトの会員に、所定の学習済みモデルの利用を望むユーザがいることを知らせることができる。
【0129】
例えば要件リスト画面に表示された1の要件に関連する「チャットを開始する」コントロールをモデル開発者Aが選択する等、ブラウザでのモデル開発者Aの操作に応じて、提供者端末10からサーバ装置20にチャット要求が送信され、サーバ装置20のチャット制御部27が、提供者端末10と要求された利用者端末30との間でチャットを可能にするチャット画面を生成するようにしてもよい。
【0130】
以上、本実施形態によれば、サーバ装置20は、要件情報を利用者端末から受信して、要件情報を登録する要件受付部を備えることで、モデル利用者からの新たな要件情報を吸い上げ、学習済みモデルサービスサイトの会員に、所定の学習済みモデルの利用を望むユーザがいることを知らせることができる。モデル利用者は、検索の時点でモデルデータベース201に記憶されている学習済みモデルの中に所望の学習済みモデルがなかった場合でも、学習済みモデルサービスサイトを介して、所望の学習済みモデルを取得する機会を得ることができる。
【0131】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【0132】
[付記1]
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する登録部(23)と、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する検索部(24)と、
前記第2の端末に、前記検索部の検索結果を出力する出力部(21)と
を備える情報処理装置。
【0133】
[付記2]
当該情報処理装置に通信可能に接続されたシミュレーションサーバに、前記記憶部に記憶されている所定の学習済みモデルについて、前記第2の端末から受信したシミュレーション用データを用いたシミュレーションを指示し、前記シミュレーションサーバからシミュレーション結果を受信するシミュレーション指示部(25)
をさらに備える、付記1記載の情報処理装置。
【0134】
[付記3]
前記第1の端末と前記第2の端末とがテキストメッセージをやり取りするチャット画面を制御するチャット制御部(27)
をさらに備える、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0135】
[付記4]
学習済みモデルを適用する装置名、データ種類及び課題を少なくとも含む要件情報を第2の端末から受信して、前記要件情報を前記記憶部に登録する要件受付部(210)
をさらに備え、
前記出力部(21)は、前記要件情報に基づいて生成された画面を前記第1の端末に出力する、
付記1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0136】
[付記5]
前記モデル情報及び前記検索情報はそれぞれ、前記装置名で特定される装置における作業対象であるワークに関する情報をさらに含み、
前記検索部(24)は、前記モデル情報のワークに関する情報と前記検索情報のワークに関する情報との類似度にさらに基づいて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から前記1又は複数の学習済みモデルを検索する、
付記1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0137】
[付記6]
前記検索部(24)は、前記検索情報に含まれる前記装置名により特定される装置の種類に応じて、前記検索情報に含まれる他の要素の重みづけを行い、前記スコアを算出する、
付記1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0138】
[付記7]
前記第2の端末から、前記検索結果の中から選択された1の学習済みモデルをダウンロードするための要求を受信して、前記要求された学習済みモデルを前記第2の端末にダウンロードさせるダウンロード部(26)と、
前記第2の端末から、ダウンロードした学習済みモデルに関するレビュー情報を受信して、前記記憶部に登録するレビュー登録部であって、前記レビュー情報は、前記ダウンロードした学習済みモデルの入力に使用したデータを含む、レビュー登録部(28)と
をさらに備える、付記1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0139】
[付記8]
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録すること(S106)と、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索すること(S1106)と、
前記第2の端末に、検索結果を出力すること(S1108)と
を含む方法。
【0140】
[付記9]
1又は複数のコンピュータに、
第1の端末から、学習済みモデルと当該学習済みモデルに関するモデル情報とを受信して、記憶部に登録する処理(S106)と、
第2の端末から検索情報を受信して、前記検索情報に含まれる装置名及び課題と前記記憶部の前記モデル情報に含まれる装置名及び課題との類似度を用いて算出されたスコアに基づいて、前記記憶部から1又は複数の学習済みモデルを検索する処理(S1106)と、
前記第2の端末に、検索結果を出力する処理(S1108)と
を実行させるプログラム。
【0141】
[付記10]
情報処理装置に通信可能に接続された端末が、
前記情報処理装置に検索情報を送信することであって、前記検索情報は装置名及び課題を含む、こと(S1105)と、
前記情報処理装置から検索結果を受信することであって、前記検索結果は、前記検索情報に含まれる装置名及び課題との類似度に基づいて検索された1又は複数の学習済みモデルを含む、こと(S1108)と
を含む方法。
【0142】
[付記11]
前記情報処理装置にシミュレーション用データを送信すること(S1201)と、
前記情報処理装置からシミュレーション結果を受信することであって、前記シミュレーション結果は、所定の学習済みモデルを適用したシミュレーション装置で前記シミュレーション用データを用いたシミュレーションを行った結果を含む、こと(S1207)と
をさらに含む、付記10に記載の方法。
【0143】
[付記12]
前記情報処理装置に、前記検索結果に含まれる学習済みモデルのモデル開発者とのチャットを要求すること(S1112)
をさらに含む、付記10又は11に記載の方法。
【符号の説明】
【0144】
10…提供者端末(第1の端末)、10a…プロセッサ、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信装置、10e…記憶装置、10f…入力装置、10g…表示装置、20…サーバ装置(情報処理装置)、20a…プロセッサ、20b…RAM、20c…ROM、20d…通信装置、20e…記憶装置、201…モデルデータベース、202…会員データベース、203…要件データベース、21…サイト提供部(出力部)、22…会員登録部、23…モデル登録部(登録部)、24…検索部、25…シミュレーション指示部、26…ダウンロード部、27…チャット制御部、28…レビュー登録部、210…要件受付部、29…記憶部、30…利用者端末(第2の端末、端末)、30a…プロセッサ、30b…RAM、30c…ROM、30d…通信装置、30e…記憶装置、30f…入力装置、30g…表示装置、40…シミュレーションサーバ、40a…プロセッサ、40b…RAM、40c…ROM、40d…通信装置、40e…記憶装置、401…モデルデータベース、41…受付部、42…実行部、43…送信部、44…記憶部、N…通信ネットワーク