(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151924
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】光学読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231005BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231005BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06K7/10 436
H05K5/02 J
G06F1/16 312M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061800
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐古 新
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB12
4E360AB42
4E360EA18
4E360EA24
4E360EA29
4E360GA24
4E360GA34
4E360GB32
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】光学読取装置を軽量化するための技術を提供する。
【解決手段】 光学読取装置は、光学素子を制御するための回路が形成されている基板と、前記基板を支持する樹脂製のホルダと、を備え、前記ホルダの表面のうちの少なくとも一面の全領域には、メッキが施されており、前記メッキは、前記基板に接触している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を制御するための回路が形成されている基板と、
前記基板を支持する樹脂製のホルダと、
を備え、
前記ホルダの表面のうちの少なくとも一面の全領域には、メッキが施されており、
前記メッキは、前記基板に接触している、
光学読取装置。
【請求項2】
前記メッキは、前記回路のグランドに接続されている、請求項1に記載の光学読取装置。
【請求項3】
前記ホルダの前記表面のうち、前記メッキが施されている面以外の面は、光を吸収する所定の色を有する、請求項1又は2に記載の光学読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、対象の媒体から情報を光学的に読み取るための光学読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受光センサと基板とを支持する金属製の筐体を備える光学的情報読取装置が開示されている。光学的情報読取装置は、例えば、ハンディタイプのバーコードリーダに備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光センサと基板は発熱する。金属製の筐体は、受光センサと基板を放熱する役割を有する。さらに、金属製の筐体は、外部からの電磁波が受光センサと基板に伝達することを遮断する役割も有する。
【0005】
しかし、金属製の筐体は、比較的に重たい。特に、ハンディタイプのバーコードリーダでは、数グラムの増加でもユーザの操作性に影響を及ぼす。
【0006】
本明細書では、光学読取装置を軽量化するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する光学読取装置は、光学素子を制御するための回路が形成されている基板と、前記基板を支持する樹脂製のホルダと、を備え、前記ホルダの表面のうちの少なくとも一面の全領域には、メッキが施されており、前記メッキは、前記基板に接触している。
【0008】
金属と比較して、樹脂は軽い。上記の構成によれば、光学読取装置を軽量化することができる。さらに、ホルダを樹脂にしても、メッキが、放熱と電磁波の遮断との双方の役割を担うことができる。
【0009】
前記メッキは、前記回路のグランドに接続されていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、メッキにさらにグランドの役割も担わせることができる。
【0011】
前記ホルダの前記表面のうち、前記メッキが施されている面以外の面は、光を吸収する所定の色を有していてもよい。
【0012】
例えば、光学読取装置は、端末装置の筐体内に配置される。筐体とホルダとの間の反射光は、光学センサのノイズの原因となる。上記の構成によれば、ホルダと筐体との間の反射光の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
(光学読取端末10の構成;
図1)
光学読取端末10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されている情報を光学的に読み取るための携帯型の端末装置である。光学読取端末10は、本実施例に係る光学読取装置20を内蔵している。光学読取端末10は、さらに、表示部12と、操作部14と、を備える。表示部12は、各種情報を表示するディスプレイを含む。操作部14は、ユーザが操作可能な複数個のボタンを含む。
【0015】
(光学読取装置20の構成;
図2~
図4)
光学読取装置20は、光学系の部品(カメラ等)と当該部品を制御する基板とを一つにまとめたモジュールである。光学読取装置20は、光学読取端末10の筐体内に固定されている。なお、
図2~
図4、及び、後述する
図5、
図6には、XYZ座標系が示されている。
【0016】
光学読取装置20は、ホルダ30と、レーザ光源32と、光学レンズ34と、銅板36と、フラッシュ板50と、4個の制御基板40、42、44、46と、3個のフレキシブルプリント基板70、72、74と、複数個の締結部材100と、を備える。なお、以下では、「フレキシブルプリント基板」を「FPC」と記載する。
【0017】
ホルダ30は、樹脂製の部材である。各部品32~74は、ホルダ30に支持されている。
【0018】
レーザ光源32は、指示レーザを照射可能な光源である。指示レーザは、読み取り対象の情報コードを指示するためのポインタを投影する。レーザ光源32は、制御基板46に実装されている。
【0019】
光学レンズ34は、光学センサ38(
図4参照)と対面する。外部の光は、光学レンズ34を通過して、光学センサ38に到達する。光学センサ38は、光を電気信号に変換するセンサであり、いわゆる、CCDイメージセンサである。
図4に示すように、光学センサ38は、制御基板40に実装されている。例えば、光学センサ38に、情報コードが表示された媒体からの反射光が到達する場合には、光学センサ38は、情報コードの像を表す光を電気信号に変換する。これにより、光学読取端末10は、情報コードを表す画像を取得する。
【0020】
フラッシュ板50は、フラッシュ光源52から放出される光を反射する板である。フラッシュ光源52は、制御基板44に実装されている。
【0021】
制御基板40には、光学センサ38を制御するための回路が実装されている。制御基板42には、光学センサ38から取得した電気信号を処理して、情報コードをデコードするための回路が実装されている。制御基板44には、フラッシュ光源52を制御するための回路が実装されている。制御基板46には、レーザ光源32を制御するための回路が実装されている。
【0022】
FPC70は、制御基板40と制御基板44を接続する。FPC72は、制御基板40と制御基板42を接続する。FPC74は、制御基板42と制御基板46を接続する。各制御基板40~46は、締結部材100によって、ホルダ30に固定される。締結部材100は、例えば、雄ねじである。
【0023】
(ホルダ30の構成;
図5、
図6)
ホルダ30の表面のうちのいくつかの面の全領域には、メッキ30aが施されている。
図5、
図6では、メッキ30aが施されている面を、ドッド柄(即ち紙面の白色よりも濃い灰色に見える色)で表現している。メッキ30aは、例えば、LDS(Laser Direct Structuringの略)を利用して樹脂製のホルダ30の表面に施される。
【0024】
また、ホルダ30の材料は、黒色の樹脂である。このため、ホルダ30の表面のうちメッキ30aが施されていない面(即ち紙面の白色により表される面)には、黒色の樹脂が露出している。例えば、
図6に示すように光学レンズ34が収容される収容部30bの内面には、黒色の樹脂が露出している。光学読取装置20は、光学読取端末10の筐体内に配置される。当該筐体とホルダ30との間の反射光は、光学センサ38のノイズの原因となる。上記の構成によれば、反射光が、ホルダ30で露出している黒色の面に吸収される。ホルダ30と筐体との間の反射光の発生を抑制することができる。
【0025】
(メッキ30aと各制御基板との関係;
図3、
図5、
図6)
図3に示すように、制御基板42の表面のうち、ホルダ30の表面と対面する面には、メッキ30a(特に
図6の符号30cで指し示す箇所)に接触する接点42aが形成されている。接点42aは、締結部材100が貫通する孔の周縁に形成されている。接点42aは、制御基板42のグランドに接続されている。制御基板42を締結部材100でホルダ30に固定することにより、接点42aがメッキ30aに接触する。これにより、制御基板42のグランドがメッキ30aに接続される。詳細な図示は省略するが、他の制御基板40、44、46のグランドも、メッキ30aに接続される。
【0026】
ホルダ30の表面のうちの面A1(
図5参照)は、制御基板44と対面する箇所であり、面A1の全領域にメッキ30aが施されている。また、面A2は、制御基板46と対面し、面A3は、制御基板42と対面し、面A4は、制御基板40と対面する(
図6参照)。面A2~A4のぞれぞれの全領域にもメッキ30aが施されている。即ち、制御基板40~46は、メッキ30aが施されている面に対面し、制御基板40~46は、メッキ30aに接触している。なお、
図5、
図6のメッキ30aが施されている面は、一例に過ぎない。例えば、面A3にメッキ30aが施され、面A1、A2、A4には、メッキ30aが施されていなくてもよい。
【0027】
また、面A1~A4に施されているメッキ30aは、互いに電気的に接続されている。なお、変形例では、面A1~A4のうちの少なくとも1個の面のメッキ30aが、他の面のメッキ30aから電気的に遮断されていてもよい。
【0028】
(本実施例の効果)
光学センサ38、レーザ光源32、及び、フラッシュ光源52等の光学素子は発熱する。また、情報を処理する回路(例えば制御基板42上の回路)も発熱する。光学素子の熱及び回路の熱は、制御基板40~46に伝達する。上記したように、制御基板40~46は、メッキ30aに接触している。メッキ30aは、金属の薄膜であり、熱伝導性が比較的に高い。制御基板40~46に伝達した熱は、メッキ30aを介して放熱される。
【0029】
例えば、ホルダ30を金属で形成する比較例が想定される。この比較例でも、制御基板40~46に伝達した熱は、金属のホルダ30を介して放熱される。しかし、金属は、樹脂と比較して重い。特に、携帯型の光学読取端末10では、数グラムの増加でもユーザの操作性に影響を及ぼす。本実施例の構成によれば、金属よりも軽い樹脂でホルダ30を形成することにより、光学読取装置20を軽量化することができる。さらに、ホルダ30を樹脂にしても、メッキ30aが、放熱の役割を担うことができる。
【0030】
また、銅板36もメッキ30aに接触している。銅板36により、制御基板40~46の放熱をさらに促進することができる。
【0031】
また、本実施例のメッキ30aは、外部からの電磁波が制御基板40~46に伝達することを遮断する役割も担うことができる。上記の比較例のような金属製のホルダ30でも電磁波を遮断する役割を担うことが可能であるが、光学読取装置20の重量化の原因となる。本実施例の構成によれば、樹脂製のホルダ30により光学読取装置20の軽量化が実現され、メッキ30aが、電磁波の遮断の役割も担うことができる。
【0032】
また、メッキ30aは、制御基板40~46のグランドに接続されている。メッキ30aに、放熱及び電磁波の遮断の役割だけでなく、グランドの役割も担わせることができる。
【0033】
また、上記の比較例のような金属製のホルダ30では、光学読取端末10内の反射光を吸収するために、ホルダ30の表面を黒色で塗装する工程が必要である。これに対して、本実施例の樹脂製のホルダ30では、黒色の樹脂でホルダ30を射出成形すればよい。即ち、ホルダ30の表面を黒色で塗装する工程が不要である。
【0034】
(対応関係)
光学読取装置20が、「光学読取装置」の一例である。光学センサ38、レーザ光源32、及び、フラッシュ光源52が、「光学素子」の一例である。制御基板40~46が、「基板」の一例である。ホルダ30、メッキ30a、黒色が、それぞれ、「ホルダ」、「メッキ」、「所定の色」の一例である。
【0035】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0036】
(変形例1) メッキ30aは、制御基板40~46のグランドに接続されていなくてもよい。一般的に言えば、「メッキ」は、少なくとも「基板」と接触していればよい。
【0037】
(変形例2) 「所定の色」は、黒色に限らず、例えば、濃い灰色等の黒色に近い色、即ち、光を吸収する色であればよい。
【0038】
(変形例3) ホルダ30の表面のうち、メッキ30aが施されていない面は、黒色でなくてもよい。本変形例では、「光を吸収する所定の色」を省略可能である。
【0039】
(変形例4) 光学読取装置20は、携帯型の光学読取端末10に限らず、例えば、固定型の光学読取端末に備えられてもよい。また、光学読取装置20は、端末装置に限らず、例えば、自動車等の他の装置に備えられてもよい。
【0040】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
10 :光学読取端末
12 :表示部
14 :操作部
20 :光学読取装置
30 :ホルダ
30a :メッキ
30b :収容部
32 :レーザ光源
34 :光学レンズ
36 :銅板
38 :光学センサ
40~46:制御基板
42a :接点
50 :フラッシュ板
52 :フラッシュ光源
70~74 :FPC
100 :締結部材
A1~A4:面