(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151926
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報読取システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20231005BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06K7/00 008
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061802
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中安 勇希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】所定の作業領域における見回りの漏れの有無をユーザに知らせるための技術を提供する。
【解決手段】情報読取システムは、所定の作業領域において携帯型の情報読取装置を利用した作業が実施されている間に、作業領域内における情報読取装置の位置と、情報読取装置の読取部が向いている方向と、を計測可能なセンサが計測した計測値を収集してメモリに記憶する収集部と、収集済みの計測値を利用して、作業領域内の特定の位置において情報読取装置を利用するユーザが目視した方向を示す目視方向を推定する推定部と、推定済みの目視方向を示す画面を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業領域において携帯型の情報読取装置を利用した作業が実施されている間に、前記作業領域内における前記情報読取装置の位置と、前記情報読取装置の読取部が向いている方向と、を計測可能なセンサが計測した計測値を収集してメモリに記憶する収集部と、
収集済みの前記計測値を利用して、前記作業領域内の特定の位置において前記情報読取装置を利用するユーザが目視した方向を示す目視方向を推定する推定部と、
推定済みの前記目視方向を示す画面を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、情報読取システム。
【請求項2】
前記情報読取システムは、さらに、
前記作業において前記情報読取装置が前記作業領域に配置されている品物から品物情報を読み取る場合に、読取済みの前記品物情報に対応付けて、前記情報読取装置の前記位置を示す第1の位置情報を前記メモリに記憶する第1の記憶制御部を備え、
前記表示制御部は、前記第1の位置情報を利用して、前記メモリ内の前記品物情報によって示される前記品物の前記作業領域内における位置をさらに示す前記画面を前記表示部に表示させる、請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項3】
前記メモリは、さらに、品物の在庫数を記憶し、
前記情報読取システムは、さらに、
前記作業において前記作業領域に配置されている前記品物の現在の個数が前記情報読取装置に入力される場合に、前記情報読取装置の前記位置を示す第2の位置情報を前記メモリに記憶する第2の記憶制御部を備え、
前記表示制御部は、入力済みの前記現在の個数が前記メモリ内の前記在庫数よりも少ない場合に、前記第2の位置情報を利用して、前記品物が失われた位置をさらに示す前記画面を前記表示部に表示させる、請求項1又は2の記載の情報読取システム。
【請求項4】
前記作業領域は、店舗内の領域である、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報を読み取るための情報読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品陳列棚に置いた商品を管理する様々な方法が存在する。例えば、バーコードを使用した商品管理では、商品に張り付けられたバーコードをリーダで読み取る。また、特許文献1には、商品情報が記憶されたRFIDタグを含むプライスカードを商品陳列棚に設置して、商品陳列棚のアンテナでRFIDタグを読み取るシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、店舗の従業員は、店舗の状況(商品の個数等)を把握するために店舗内を見回る。このような見回りは、万引きの抑制に寄与する。万引きを抑制するためには、店舗の全体を見回ることが効果的である。ただ、通常の業務において、店舗の全体を見回ることは難しい。また、店舗の全体を漏れなく見回したのかどうかは、その作業者の判断に委ねられる。また、このような見回り作業は、店舗だけでなく、倉庫、工場等の所定の作業領域で実施され得る。
【0005】
上記の技術は、商品の位置、商品の個数等を管理するに過ぎず、店舗等の見回りの漏れを客観的に判断する指標を提供するものではない。
【0006】
本明細書では、所定の作業領域における見回りの漏れの有無をユーザに知らせるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する情報読取システムは、所定の作業領域において携帯型の情報読取装置を利用した作業が実施されている間に、前記作業領域内における前記情報読取装置の位置と、前記情報読取装置の読取部が向いている方向と、を計測可能なセンサが計測した計測値を収集してメモリに記憶する収集部と、収集済みの前記計測値を利用して、前記作業領域内の特定の位置において前記情報読取装置を利用するユーザが目視した方向を示す目視方向を推定する推定部と、推定済みの前記目視方向を示す画面を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。前記作業領域は、例えば、店舗内の領域である。
【0008】
上記の構成によれば、携帯型の情報読取装置を利用した作業が実施されている間に収集された計測値を利用して、ユーザの目視方向が推定される。そして、推定済みの目視方向を示す画面が表示される。例えば、ユーザは、当該画面を見て、所定の作業領域においてユーザが見ている箇所だけでなく、ユーザが見ていない箇所、即ち、見回りが漏れている箇所も知ることができる。所定の作業領域における見回りの漏れの有無をユーザに知らせることができる。例えば、ユーザは、見回りが漏れている箇所の見回りを実施することができる。
【0009】
前記情報読取システムは、さらに、前記作業において前記情報読取装置が前記作業領域に配置されている品物から品物情報を読み取る場合に、読取済みの前記品物情報に対応付けて、前記情報読取装置の前記位置を示す第1の位置情報を前記メモリに記憶する第1の記憶制御部を備え、前記表示制御部は、前記第1の位置情報を利用して、前記メモリ内の前記品物情報によって示される前記品物の前記作業領域内における位置をさらに示す前記画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、ユーザは、見回りが漏れている箇所だけでなく、品物の現在の位置も知ることができる。
【0011】
前記メモリは、さらに、品物の在庫数を記憶し、前記情報読取システムは、さらに、前記作業において前記作業領域に配置されている前記品物の現在の個数が前記情報読取装置に入力される場合に、前記情報読取装置の前記位置を示す第2の位置情報を前記メモリに記憶する第2の記憶制御部を備え、前記表示制御部は、入力済みの前記現在の個数が前記メモリ内の前記在庫数よりも少ない場合に、前記第2の位置情報を利用して、前記品物が失われた位置をさらに示す前記画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
現在の個数が在庫数よりも少ないことは、ユーザの知らない間に品物が失われたことを意味する。例えば、万引きの発生や、第三者(例えば顧客)による品物の別の位置への移動により、品物が失われる可能性がある。上記の構成によれば、ユーザは、品物が失われた位置(例えば万引きが発生した位置)を知ることができる。
【0013】
また、上記の情報読取システムの制御方法、情報読取システムのためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを保存する記憶媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】情報読取装置の処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(情報読取システム;
図1、
図2)
本実施例の情報読取システム2は、店舗内の領域において携帯型の情報読取装置10を利用して、情報コード310(例えばバーコード、2次元コード)に記録されている情報を読み取るシステムである。情報コード310は、例えば、店舗内の商品棚200に配列されている商品300の包装に表示されている。なお、
図1の商品棚200の形状は、一例に過ぎない。また、商品棚200には、様々な商品300が配列されているが、
図1では、一種類の商品300のみを図示し、他の商品300の図示を省略している。
【0016】
例えば、店舗の従業員は、情報読取装置10を把持して、店舗内の商品棚200の間を移動して、棚卸作業を行う。棚卸作業では、従業員は、情報読取装置10を操作して、商品棚200内の商品300の情報コード310に記録されている商品情報を情報読取装置10に読み取らせる。商品情報は、商品300の商品名を識別する番号である。さらに、従業員は、商品棚200に配置されている商品300を数え、商品300の現在の個数を情報読取装置10に入力する。これにより、読取済みの商品情報と入力済みの個数が、情報読取装置10から管理装置100に送信され、商品300の現在の個数が管理装置100によって管理される。なお、変形例では、商品300の現在の個数は、情報コード310内の商品情報を繰り返し読み取った回数であってもよい。また、他の変形例では、商品300の現在の個数は、情報コード310に記録されていてもよい。
【0017】
情報読取システム2は、情報読取装置10と、アクセスポイント8と、管理装置100と、を備える。なお、以下では、アクセスポイント8を、「AP8」と記載する。情報読取装置10と管理装置100は、AP8によって形成されている無線LANに所属している。情報読取装置10と管理装置100は、当該無線LANを介して、互いに通信可能である。
【0018】
(情報読取装置10の構成;
図2)
情報読取装置10は、撮像部12と、操作部14と、表示部16と、無線LANインターフェース20と、加速度センサ22と、制御部30と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0019】
撮像部12は、情報コード310を撮像するためのセンサを含む。当該センサは、例えば、CCDイメージセンサである。撮像部12は、例えば、カメラである。なお、変形例では、撮像部12は、レーザを走査して情報コード310に照射するレーザ光源と、当該レーザの反射レーザを受光する素子と、を含んでもよい。
【0020】
操作部14は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部14を操作することによって、様々な指示を情報読取装置10に入力することができる。表示部16は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。また、表示部16は、ユーザの操作を受け付け可能なタッチパネル(即ち操作部14)として機能してもよい。無線LANI/F20は、AP8によって形成されている無線LANを介した通信を実行するためのI/Fであり、当該無線LANに接続されている。
【0021】
加速度センサ22は、3軸(即ち、X、Y、Z軸)の加速度を計測するセンサである。加速度センサ22の測定値を利用して、情報読取装置10の傾き、姿勢、回転等が算出される。
【0022】
制御部30は、CPU32と、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、情報読取装置10の各部(例えば12等)を制御し、様々な処理を実行する。
【0023】
(管理装置100の構成;
図2)
管理装置100は、情報読取装置10によって読み取られた情報と、店舗が所有する商品300の在庫数と、を管理する装置である。さらに、管理装置100は、後述するマップも生成可能である。管理装置100は、サーバ機能を有する端末装置であり、例えば、デスクトップPC、ノートPC、スマートフォン等の端末装置である。なお、変形例では、管理装置100は、インターネット上のサーバであってもよい。
【0024】
管理装置100は、無線LANI/F120と、操作部114と、表示部116と、制御部130と、を備える。無線LANI/F120は、AP8によって形成されている無線LANに接続されている。制御部130は、CPU132と、メモリ134と、を備える。CPU132は、メモリ134に記憶されているプログラム140に従って、管理装置100の各部(例えば120等)を制御し、様々な処理を実行する。プログラム140は、例えば、情報読取装置10のベンダによって提供される。
【0025】
メモリ134は、さらに、マップ生成情報142と、在庫情報144と、を記憶する。在庫情報144は、複数個の商品300のそれぞれについて、当該商品300の現在の在庫数を含む。在庫情報144は、例えば、店舗の管理者によって管理装置100に入力される。
【0026】
マップ生成情報142は、商品棚200が配置された店舗内の領域の模式的なマップ(
図5参照)を生成するための情報である。マップ生成情報142は、テンプレート142aと、行動情報142bと、商品位置情報142cと、を含む。テンプレート142aは、マップのテンプレートである。テンプレート142aには、店舗内の領域内の位置を示す座標が定義されている。行動情報142bは、店舗内の領域を移動した従業員の軌跡と、従業員の目視の方向の履歴と、を示す。商品位置情報142cは、複数個の商品300のそれぞれについて、当該商品300の店舗内の領域における位置を示す。
【0027】
テンプレート142aは、店舗の管理者によって予め生成されメモリ134に記憶される。行動情報142bと商品位置情報142cは、情報読取装置10から受信した情報に基づいて随時更新される。
【0028】
(情報読取装置10の処理;
図3)
図3を参照して、情報読取装置10のCPU32が、プログラム40に従って実行する処理について説明する。
図3の処理は、情報読取装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0029】
CPU32は、S10、S20、及び、S30の監視を実行する。S10では、CPU32は、情報読取装置10の現在の状態を定期的に通知するタイミングが到来したのか否かを判断する。CPU32は、定期のタイミングが到来する場合(S10でYES)に、S12に進む。
【0030】
S12では、CPU32は、無線LANI/F20を介して、情報読取装置10の現在の状態を通知する状態通知を管理装置100に送信する。状態通知は、情報読取装置10が現在の位置におけるAP8からの電波の強度と、加速度センサ22の現在の測定値と、を含む。電波の強度は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicatorの略)によって示される値である。電波の強度は、無線LANI/F20によって計測される。一般的に、AP8に近づくほど電波の強度が強くなる。電波の強度を利用して、AP8からの距離、即ち、店舗内の領域における情報読取装置10の位置が推定される。また、加速度センサ22の現在の測定値から、情報読取装置10の現在の向きも推定される。S12が終了すると、CPU32は、S10~S30の監視に戻る。
【0031】
また、S20では、CPU32は、情報を読み取る読み取り指示が操作部14に入力されたのか否かを監視する。CPU32は、読み取り指示が入力される場合(S20でYES)に、S22に進む。
【0032】
S22では、CPU32は、撮像部12を起動して、商品300上の情報コードを撮像する。CPU32は、撮像部12によって撮像された画像内の情報コードをデコードして、情報コードに記録されている情報(即ち商品情報)を読み取る。さらに、CPU32は、商品300の個数を入力するための画面を表示部16に表示させ、当該個数の入力を受ける。
【0033】
S24では、CPU32は、無線LANI/F20を介して、S22の処理の結果を通知する結果通知を管理装置100に送信する。結果通知は、S22で読み取られた情報と、S22で入力された個数と、情報読取装置10の現在の位置におけるAP8の電波の強度と、を含む。S24が終了すると、CPU32は、S10~S30の監視に戻る。
【0034】
また、S30では、CPU32は、無線LANI/F20を介して、管理装置100から商品ロスが発生したことを通知する発生通知を受信することを監視する。商品ロスの詳細は後述する。発生通知は、マップを表示するためのマップ情報を含む。マップの詳細は後述する。CPU32は、管理装置100から発生通知が受信される場合(S30でYES)に、S32に進む。
【0035】
S32では、CPU32は、受信済みの発生通知内のマップ情報によって示されるマップを表示部16に表示させる。S32が終了すると、CPU32は、S10~S30の監視に戻る。
【0036】
(管理装置100の処理;
図4)
図4を参照して、管理装置100のCPU132が、プログラム140に従って実行する処理について説明する。
図4の処理は、管理装置100の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0037】
CPU32は、S50、S60、及び、S80の監視を実行する。S50では、CPU132は、無線LANI/F120を介して、情報読取装置10から状態通知(
図3のS12参照)を受信することを監視する。CPU132は、情報読取装置10から状態通知が受信される場合(S50でYES)に、S52に進む。
【0038】
S52では、CPU132は、S50で受信した状態通知内の電波の強度を利用して、情報読取装置10の現在の位置(即ち従業員の位置)を算出する。そして、CPU132は、メモリ134内の行動情報142bによって示される過去の軌跡の終点と算出済みの現在の位置とを繋げて、従業員の軌跡を算出する。
【0039】
S54では、CPU132は、S50で受信した状態通知内の測定値を利用して、S52で算出した現在の位置における従業員の目視の方向を推定する。例えば、情報読取装置10の撮像部12は、情報読取装置10の背面(即ち、表示部16が配置される表面の裏面)に配置される(
図1参照)。一般的に、従業員は、読み取り対象の情報コードを見ながら、情報読取装置10の撮像部12を情報コードに向ける。このため、撮像部12の方向は、従業員の目視の方向と略一致する傾向にある。CPU132は、状態通知内の測定値を利用して、撮像部12の方向を算出する。CPU132は、撮像部12の方向から従業員の目視の方向を推定する。そして、CPU132は、推定済みの目視の方向をS52で算出した現在の位置に対応付ける。なお、撮像部12は、背面に限らず、例えば、情報読取装置10に長手方向における端部に配置されてもよい。一般的に言えば、撮像部12は、情報読取装置10の所定の位置に配置されており、情報読取装置10の姿勢(即ち加速度センサ22の測定値)から撮像部12の向きを算出可能である。
【0040】
S56では、CPU132は、メモリ134内の行動情報142bを更新する。具体的には、CPU132は、メモリ134内の行動情報142bによって示される目視の方向の履歴に、S52で推定した目視方向を追加する。さらに、CPU132は、メモリ134内の行動情報142bによって示される軌跡をS52で算出した軌跡に変更する。S56が終了すると、CPU132は、S50~S80の監視に戻る。
【0041】
また、S60では、CPU132は、無線LANI/F120を介して、情報読取装置10から結果通知(
図3のS24参照)を受信することを監視する。CPU132は、情報読取装置10から結果通知が受信される場合(S60でYES)に、S62に進む。
【0042】
S62では、CPU132は、結果通知内の電波の強度を利用して、情報読取装置10の現在の位置を算出する。上記したように、従業員は、情報読取装置10を操作して、商品棚200に配列されている商品300の情報コードを撮像する。即ち、情報読取装置10の現在の位置は、商品300の現在の位置と略一致する傾向にある。CPU132は、商品位置情報142cとして、結果通知内の他の情報(即ち商品情報と個数)と、算出済みの現在の位置(即ち、商品300の現在の位置として推定される位置)と、をメモリ134に記憶する。
【0043】
S64では、CPU132は、結果通知内の商品情報によって示される商品300について商品ロスが発生しているのか否かを判断する。例えば、万引きの発生、又は、第三者(例えば顧客)による商品300の別の位置への移動により、商品300が失われる商品ロスが発生する可能性がある。商品300が失われることは、現在の個数が在庫数より少ないことである。CPU132は、結果通知内の現在の個数が、在庫情報144のうち、結果通知内の商品情報によって示される商品300の在庫数よりも小さいか否かを判断する。CPU132は、現在の個数が在庫数より小さい場合に、商品ロスが発生していると判断して(S64でYES)、S66に進む。
【0044】
S66では、CPU132は、S62で算出された商品300の現在の位置を商品ロスが発生した位置を示す発生位置情報としてメモリ134に記憶する。
【0045】
S68では、CPU132は、メモリ134内のマップ生成情報142と、S66で記憶された発生位置情報と、を利用して、マップを示すマップ情報を生成する。
【0046】
図5は、マップ情報によって示されるマップの一例である。マップは、商品棚200の模式的な画像である棚画像400と、作業員の軌跡を示す軌跡画像410と、商品300の模式的な画像である商品画像420と、商品ロスが発生した位置を示す商品ロス記号430と、を含む。なお、マップは、複数個の商品画像420を含むが、
図5では、1個の商品画像420のみを図示し、他の商品画像420の図示を省略している。
【0047】
図5に示すように、棚画像400は、白色、灰色、黒色の3段階の色で塗分けられている。各色は、目視頻度の程度を示す。白色から黒色へと濃くなるにつれて、目視頻度が高くなる。例えば、棚画像400のうちの黒色で塗られた箇所の目視頻度は、棚画像400のうちの白色又は灰色で塗られた箇所の目視頻度よりも高い。ここで、目視頻度は、マップ生成情報142内の行動情報142bによって示される目視の方向の履歴を利用して算出される。例えば、目視頻度は、棚画像400内の特定の位置について、単位時間当たりの目視の方向が重なる回数である。マップ内の棚画像400を見たユーザは、商品棚200のうち、従業員が頻繁に目視する箇所と、従業員がほとんど目視しない箇所と、を知ることができる。なお、目視頻度を表す色の段階は、3段階に限らず、例えば、2段階、4段階以上でもよい。
【0048】
また、軌跡画像410は、マップ生成情報142内の行動情報142bによって示される軌跡を示す画像である。マップ内の軌跡画像410を見たユーザは、軌跡画像410を見て、従業員が移動した経路を知ることができる。
【0049】
また、商品画像420は、商品位置情報142cによって示される位置(即ち座標)に配置される画像である。例えば、商品画像420が選択されると、商品位置情報142cのうち、当該商品画像420によって示される位置に対応する他の情報(即ち、商品情報と個数)が表示される。マップ内の商品画像420を見たユーザは、商品画像420を見て、商品300の現在の位置を知ることができる。
【0050】
また、商品ロス記号430は、S66で記憶された発生位置情報によって示される位置に配置される記号である。マップ内の商品ロス記号430を見たユーザは、商品300が失われた位置を知ることができる。例えば、ユーザは、店舗内の領域において万引き等の商品ロスが発生した位置を知ることができる。
【0051】
図4に戻り説明を続ける。S70では、CPU132は、無線LANI/F120を介して、S68で生成されたマップ情報を含む発生通知(
図3のS30参照)を情報読取装置10に送信する。S70が終了すると、CPU132は、S50~S80の監視に戻る。一方、CPU132は、現在の個数が在庫数と一致する場合に、商品ロスが発生していないと判断して(S64でNO)、S66~S70の処理をスキップして、S50~S80の監視に戻る。
【0052】
また、S80では、CPU132は、マップの表示の指示が管理装置100の操作部114に入力されることを監視する。CPU132は、マップの表示の指示が入力される場合(S80でYES)に、S82に進む。S82は、S68と同様である。S84では、CPU132は、S82で生成されたマップ情報によって示されるマップを管理装置100の表示部116に表示させる。S84が終了すると、CPU132は、S50~S80の監視に戻る。
【0053】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、携帯型の情報読取装置10を利用した棚卸作業が実施されている間に収集された情報(即ち行動情報142b)を利用して、従業員の目視方向が推定される(
図4の54)。そして、推定済みの目視方向を示すマップが表示される(
図3の32又は
図4のS84)。情報読取装置10のユーザ又は管理装置100のユーザは、マップを見て、店舗内の領域において従業員が見ている箇所だけでなく、従業員が見ていない箇所、即ち、店舗内の領域の見回りが漏れている箇所も知ることができる。店舗内の領域における見回りの漏れの有無をユーザに知らせることができる。例えば、ユーザは、見回りが漏れている箇所の見回りを実施することができる。
【0054】
(対応関係)
店舗内の領域が、「作業領域」の一例である。情報読取装置10と管理装置100を備えるシステムが、「情報読取システム」の一例である。情報読取装置10、撮像部12は、それぞれ、「情報読取装置」、「読取部」の一例である。無線LANI/F20及び加速度センサ22が、「センサ」の一例である。表示部16及び116が、「表示部」の一例である。メモリ134が、「メモリ」の一例である。
図5のマップが、「画面」の一例である。商品位置情報142c、
図4のS66の発生位置情報が、「第1の位置情報」、「第2の位置情報」の一例である。
【0055】
図4のS50及びS54の処理を実行するCPU132が、「収集部」及び「推定部」の一例である。
図3のS32の処理を実行するCPU32及び
図4のS84の処理を実行するCPU132が、「表示制御部」の一例である。
【0056】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0057】
(変形例1) 「所定の作業領域」は、例えば、倉庫、工場等の建物内の領域、野外の領域であってもよい。
【0058】
(変形例2) 「読取部」は、例えば、RFID(Radio Frequency Identifierの略)タグに記憶された情報を読み取りためのリーダ、カメラが撮像した画像に対するOCRを実行可能なCPUであってもよい。
【0059】
(変形例3) 「センサ」は、例えば、情報読取装置10のカメラが撮像した画像を解析して、情報読取装置10の位置及び姿勢を算出するCPUであってもよい。また、「センサ」は、GPS等の位置を測定するセンサと、加速度センサ22と、であってもよい。
【0060】
(変形例4) 情報読取システム2は、管理装置100を備えず、情報読取装置10が、管理装置100の機能を有していてもよい。本変形例では、情報読取装置10が、「情報読取システム」の一例である。
【0061】
(変形例5)
図5の商品画像420はマップに含まれなくてもよい。本変形例では、「第1の位置情報」を省略可能である。
【0062】
(変形例6)
図5の商品ロス記号430はマップに含まれなくてもよい。本変形例では、「第2の位置情報」を省略可能である。
【0063】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0064】
2 :情報読取システム
8 :AP
10 :情報読取装置
12 :撮像部
14 :操作部
16 :表示部
20 :無線LANI/F
22 :加速度センサ
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
100 :管理装置
114 :操作部
116 :表示部
120 :無線LANI/F
130 :制御部
132 :CPU
134 :メモリ
140 :プログラム
142 :マップ生成情報
142a :テンプレート
142b :行動情報
142c :商品位置情報
144 :在庫情報
200 :商品棚
300 :商品
310 :情報コード
400 :棚画像
410 :軌跡画像
420 :商品画像
430 :商品ロス記号