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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151927
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】携帯型の光学読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231005BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20231005BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 372
G06K7/14 017
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061803
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 飛雄真
(57)【要約】
【課題】携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況を考慮した読み取りを実現するための技術を提供する。
【解決手段】携帯型の光学読取装置は、情報を光学的に読み取るための光学読取ユニットと、前記携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況に応じて、前記光学読取ユニットの向きを複数種類の向きに変更可能な変更機構と、を備え、前記複数種類の向きのうちの第1の向きは、第1の使用状況に適合する向きであり、前記複数種類の向きのうちの第2の向きは、前記第1の使用状況とは異なる第2の使用状況に適合する向きである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型の光学読取装置であって、
情報を光学的に読み取るための光学読取ユニットと、
前記携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況に応じて、前記光学読取ユニットの向きを複数種類の向きに変更可能な変更機構と、
を備え、
前記複数種類の向きのうちの第1の向きは、第1の使用状況に適合する向きであり、
前記複数種類の向きのうちの第2の向きは、前記第1の使用状況とは異なる第2の使用状況に適合する向きである、
携帯型の光学読取装置。
【請求項2】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1の姿勢で使用される状況であり、
前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1の姿勢とは異なる第2の姿勢で使用される状況であり、
前記変更機構は、前記向きに沿った軸と鉛直軸との双方と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるための重りを含み、
前記携帯型の光学読取装置が前記第1の姿勢である場合に、前記重りは第1の位置において前記鉛直軸上に位置しており、
前記携帯型の光学読取装置が前記第2の姿勢である場合に、前記重りは前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記鉛直軸上に位置しており、
前記第1の位置において、前記光学読取ユニットの向きは前記第1の向きであり、
前記第2の位置において、前記光学読取ユニットの向きは前記第2の向きである、請求項1に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項3】
前記変更機構は、
前記光学読取ユニットの前記向きに沿った軸と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるアクチュエータと、
前記使用状況を示す使用状況情報に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備える、請求項1に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項4】
前記携帯型の光学読取装置は、さらに、
前記携帯型の光学読取装置の姿勢を計測するための加速度センサを備え、
前記使用状況情報は、前記加速度センサの測定値を含む、請求項3に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記測定値が所定の範囲に含まれる場合に、前記アクチュエータを制御して、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度に変更する、請求項4に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項6】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1の作業で使用されている状況であり、
前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1の作業とは異なる第2の作業で使用されている状況であり、
前記使用状況情報は、前記第1の作業を示す第1の値と、前記第2の作業を示す第2の値と、を含む複数個の値のうちのいずれかを示し、
前記制御部は、前記使用状況情報が前記第1の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第1の向きを示すように前記アクチュエータを制御し、
前記制御部は、前記使用状況情報が前記第2の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第2の向きを示すように前記アクチュエータを制御する、請求項3に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項7】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1のアプリケーションプログラムを起動している状況であり、
前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1のアプリケーションプログラムとは異なる第2のアプリケーションプログラムを起動している状況であり、
前記使用状況情報は、前記第1のアプリケーションプログラムを示す第3の値と、前記第2のアプリケーションプログラムを示す第4の値と、を含む複数個の値のうちのいずれかを示し、
前記制御部は、前記使用状況情報が前記第3の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第1の向きを示すように前記アクチュエータを制御し、
前記制御部は、前記使用状況情報が前記第4の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第2の向きを示すように前記アクチュエータを制御する、請求項3に記載の携帯型の光学読取装置。
【請求項8】
前記使用状況情報は、前記光学読取ユニットによって撮像された撮像画像を含み、
前記制御部は、前記撮像画像を分析して、前記携帯型の光学読取装置の前記使用状況を決定し、
前記制御部は、決定済みの前記使用状況に応じて、前記アクチュエータを制御する、請求項3に記載の光学読取装置。
【請求項9】
前記撮像画像は、情報コードを示すコード画像を含み、
前記制御部は、前記撮像画像から、前記コード画像の外形が所定の形状であること、及び、前記コード画像の一部が欠損していること、のうちの少なくとも一方が分析される場合に、前記使用状況が前記第2の使用状況であると決定し、
前記使用状況が前記第1の使用状況であることが決定される場合に、前記光学読取ユニットの前記向きは前記第1の向きに維持され、
前記使用状況が前記第2の使用状況であることが決定される場合に、前記制御部は、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更するように前記アクチュエータを制御する、請求項8に記載の光学読取装置。
【請求項10】
前記変更機構は、
前記光学読取ユニットの前記向きに沿った軸と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記第1の使用状況は、前記情報の読み取りが成功している状況であり、
前記第2の使用状況は、前記情報の読み取りが失敗する状況であり、
前記使用状況が前記第1の使用状況である場合に、前記光学読取ユニットの前記向きはは前記第1の向きに維持され、
前記使用状況が前記第2の使用状況である場合に、前記制御部は、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更するように前記アクチュエータを制御する、請求項1に記載の光学読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報を光学的に読み取るための携帯型の光学読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている携帯型の光学読取装置は、情報コードを撮像するカメラを備える。携帯型の光学読取装置は、カメラによって撮像された情報コードから情報を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-124827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、光学読取装置を把持して使用する。一方で、情報コードの向きや配置は様々である。このため、ユーザは、情報コードがカメラの画角内に収まるように手を動かして、光学読取装置の姿勢を調整する。
【0005】
しかし、光学読取装置の姿勢によっては、情報コードが画角に収まっても、ユーザの姿勢が光学読取装置を使用しづらい姿勢である可能性がある。また、光学読取装置の姿勢によっては、情報コードが画角に収まっても、情報コードが表示されている媒体からの反射光等によって情報コードの読み取りが失敗する可能性がある。
【0006】
本明細書では、携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況を考慮した読み取りを実現するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する携帯型の光学読取装置は、情報を光学的に読み取るための光学読取ユニットと、前記携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況に応じて、前記光学読取ユニットの向きを複数種類の向きに変更可能な変更機構と、を備え、前記複数種類の向きのうちの第1の向きは、第1の使用状況に適合する向きであり、前記複数種類の向きのうちの第2の向きは、前記第1の使用状況とは異なる第2の使用状況に適合する向きである。
【0008】
上記の構成によれば、変更機構が、光学読取ユニットの向きをユーザの使用状況に応じて変更する。変更機構が光学読取ユニットの向きを変更することによって、例えば、ユーザが光学読取装置を使用しづらい姿勢で光学読取装置を把持することを回避することができる。また、変更機構が光学読取ユニットの向きを変更することによって、例えば、情報コードの読み取りが失敗することを回避することができる。以上より、携帯型の光学読取装置を把持するユーザの使用状況を考慮した読み取りを実現することができる。
【0009】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1の姿勢で使用される状況であり、前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1の姿勢とは異なる第2の姿勢で使用される状況であり、前記変更機構は、前記向きに沿った軸と鉛直軸との双方と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるための重りを含み、前記携帯型の光学読取装置が前記第1の姿勢である場合に、前記重りは第1の位置において前記鉛直軸上に位置しており、前記携帯型の光学読取装置が前記第2の姿勢である場合に、前記重りは前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記鉛直軸上に位置しており、前記第1の位置において、前記光学読取ユニットの向きは前記第1の向きであり、前記第2の位置において、前記光学読取ユニットの向きは前記第2の向きであってもよい。
【0010】
上記の構成によれば、電力を使用することなく、重力を使用して、光学読取ユニットの向きを変更することができる。
【0011】
前記変更機構は、前記光学読取ユニットの前記向きに沿った軸と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるアクチュエータと、前記使用状況を示す使用状況情報に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部と、を備えてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、アクチュエータを使用して、光学読取ユニットの向きを任意の向きに変更することができる。
【0013】
前記携帯型の光学読取装置は、さらに、前記携帯型の光学読取装置の姿勢を計測するための加速度センサを備え、前記使用状況情報は、前記加速度センサの測定値を含んでもよい。
【0014】
上記の構成によれば、光学読取装置の姿勢に基づいて、光学読取ユニットの向きを変更することができる。
【0015】
前記制御部は、前記測定値が所定の範囲に含まれる場合に、前記アクチュエータを制御して、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度に変更してもよい。「所定の範囲」は、光学読取ユニットの向きを変更すべき範囲(例えば、情報コードの読み取りが失敗する頻度が比較的に高い姿勢を示す範囲)である。
【0016】
例えば、ユーザの指示に応じてアクチュエータを制御する比較例が想定される。この比較例では、ユーザの指示が必要であり、ユーザが不便に感じ得る。これに対し、上記の構成によれば、測定値が所定の範囲に含まれる否かの判断により、光学読取ユニットの向きを自動的に変更することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0017】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1の作業で使用されている状況であり、前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1の作業とは異なる第2の作業で使用されている状況であり、前記使用状況情報は、前記第1の作業を示す第1の値と、前記第2の作業を示す第2の値と、を含む複数個の値のうちのいずれかを示し、前記制御部は、前記使用状況情報が前記第1の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第1の向きを示すように前記アクチュエータを制御し、前記制御部は、前記使用状況情報が前記第2の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第2の向きを示すように前記アクチュエータを制御してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、ユーザの作業の種類に応じて、光学読取ユニットの向きを変更することができる。
【0019】
前記第1の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が第1のアプリケーションプログラムを起動している状況であり、前記第2の使用状況は、前記携帯型の光学読取装置が前記第1のアプリケーションプログラムとは異なる第2のアプリケーションプログラムを起動している状況であり、前記使用状況情報は、前記第1のアプリケーションプログラムを示す第3の値と、前記第2のアプリケーションプログラムを示す第4の値と、を含む複数個の値のうちのいずれかを示し、前記制御部は、前記使用状況情報が前記第3の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第1の向きを示すように前記アクチュエータを制御し、前記制御部は、前記使用状況情報が前記第4の値を示す場合に、前記光学読取ユニットの前記向きが前記第2の向きを示すように前記アクチュエータを制御してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、ユーザが使用するアプリケーションプログラムの種類に応じて、光学読取ユニットの向きを変更することができる。
【0021】
前記使用状況情報は、前記光学読取ユニットによって撮像された撮像画像を含み、前記制御部は、前記撮像画像を分析して、前記携帯型の光学読取装置の前記使用状況を決定し、前記制御部は、決定済みの前記使用状況に応じて、前記アクチュエータを制御してもよい。
【0022】
上記の構成によれば、既存の光学読取ユニットを使用して、使用状況を決定し、光学読取ユニットの向きを変更することができる。
【0023】
前記撮像画像は、情報コードを示すコード画像を含み、前記制御部は、前記撮像画像から、前記コード画像の外形が所定の形状であること、及び、前記コード画像の一部が欠損していること、のうちの少なくとも一方が分析される場合に、前記使用状況が前記第2の使用状況であると決定し、前記使用状況が前記第1の使用状況であることが決定される場合に、前記光学読取ユニットの前記向きは前記第1の向きに維持され、前記使用状況が前記第2の使用状況であることが決定される場合に、前記制御部は、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更するように前記アクチュエータを制御してもよい。
【0024】
コード画像の外形やコード画像の一部の欠損から読み取り対象の媒体からの反射光を受光しやすい使用状況であることを推定可能である。上記の構成によれば、反射光を受光しやすい使用状況であることが推定される場合に、光学読取ユニットの向きが第1の向きから第2の向きに変更される。光学読取ユニットの向きが少しでも変更されることより、反射光の受光を回避することができる。
【0025】
前記変更機構は、前記光学読取ユニットの前記向きに沿った軸と直交する軸回りに前記光学読取ユニットを回転させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御部と、を備え、前記第1の使用状況は、前記情報の読み取りが成功している状況であり、前記第2の使用状況は、前記情報の読み取りが失敗する状況であり、前記使用状況が前記第1の使用状況である場合に、前記光学読取ユニットの前記向きはは前記第1の向きに維持され、前記使用状況が前記第2の使用状況である場合に、前記制御部は、前記光学読取ユニットの前記向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更するように前記アクチュエータを制御してもよい。
【0026】
上記の構成によれば、情報の読み取りが失敗した向きである第1の向きを回避して、情報の読み取りの成功を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】光学読取装置の斜視図を示す。
図2】従来の問題点1を示す。
図3】従来の問題点2を示す。
図4】第1実施例において、光学読取装置を水平姿勢で使用するケースを示す。
図5】第1実施例において、光学読取装置を垂直姿勢で使用するケースを示す。
図6】第2実施例に係る光学読取装置のブロック図を示す。
図7】第2実施例に係る光学読取装置の模式図を示す。
図8】第2実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
図9】第3実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
図10】第4実施例に係る光学読取装置のブロック図を示す。
図11】第4実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
図12】第5実施例に係る光学読取装置のブロック図を示す。
図13】第5実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
図14】第6、第7実施例に係る光学読取装置のブロック図を示す。
図15】第6実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
図16】第6実施例の具体的なケースを示す。
図17】第7実施例に係る向き変更処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施例)
(光学読取装置10の構成;図1
光学読取装置10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されているデータを読み取るための携帯型の装置である。ユーザは、光学読取装置10を把持して使用する。光学読取装置10は、表示部12と、操作部14と、光学読取ユニット20と、筐体60と、を備える。表示部12、操作部14、及び、光学読取ユニット20は、筐体60に支持されている。
【0029】
表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部14を操作することによって、様々な指示を光学読取装置10に入力することができる。なお、表示部12は、ユーザの操作を受け付け可能なタッチパネル(即ち操作部14)として機能してもよい。
【0030】
光学読取ユニット20は、情報コードを撮像するためのカメラを含む。なお、変形例では、光学読取ユニット20は、レーザを走査して情報コード100に照射するレーザ源と、当該レーザの反射レーザを受光する素子と、を含んでもよい。
【0031】
光学読取装置10は、操作部14の操作に応じて、光学読取ユニット20内のカメラを起動し、情報コードを撮像する。そして、光学読取装置10は、撮像済みの情報コードに記録された情報を読み取り、当該情報を出力する。例えば、光学読取装置10は、当該情報によって表される読み取り結果(例えば文字列)を表示部12に表示する。また、光学読取装置10は、当該情報を外部の装置(例えばサーバ)に送信する。
【0032】
図1に示すように、表示部12は、筐体60の表面に露出しており、光学読取ユニット20は、筐体60の裏面に露出している。光学読取ユニット20は、筐体60を介して、表示部12と対面している。別言すれば、表示部12の側から見たときに、表示部12と光学読取ユニット20は重なっている。
【0033】
(従来の問題点1、2;図2図3
本実施例の光学読取装置10を説明する前に、従来の光学読取装置10の問題点について説明する。従来の光学読取装置10では、光学読取ユニット20の向きは、固定されている。図2の破線で示すように、光学読取ユニット20の向き(破線矢印参照)が固定されている構造が想定される。この構造において、机上の情報コード100から情報を読み取る作業が想定される。机上に対する作業は、例えば、店舗内のレジ作業等である。机上に対する作業では、光学読取装置10は、水平姿勢(即ち表示部12が水平面と略平行で光学読取ユニット20が鉛直下側に向いている姿勢)で使用される。この机上の作業において、情報コード100を光学読取ユニット20の画角内に収めようとすると、ユーザの視線上において、情報コード100が筐体60に隠れる。ユーザは、情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見ることができず、不便に感じ得る。
【0034】
ユーザの不便を解消するために、図2の実線で示すように、光学読取ユニット20の向き(実線矢印参照)を変更して固定する構造が想定される。この構造では、破線の構造と比較して、情報コード100を遠くから撮像可能である。図2に示すように、情報コード100を光学読取ユニット20の画角内に収めたとしても、ユーザの視線上において、情報コード100が筐体60に隠れない。ユーザは、情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見ることができる。
【0035】
また、光学読取装置10を使用する作業は、机上の作業に限らない。例えば、図3に示すように、棚に陳列されている品物(例えば商品)上の情報コード100から情報を読み取る作業も想定される。当該作業は、例えば、同じ店舗内の棚卸作業等である。この棚に対する作業では、光学読取装置10は、垂直姿勢(即ち表示部12が鉛直面と略平行で光学読取ユニット20が水平方向に向いている姿勢)で使用される。
【0036】
図3では、棚に対する作業において、図2の実線の構造を有する光学読取装置10が使用される。図3のように情報コード100を光学読取ユニット20の画角内に収めると、ユーザの視線上において、情報コード100が筐体60に隠れない。しかし、情報コード100は、光学読取装置10から離れて上側に位置する。情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見るためには、ユーザは、情報コード100と表示部12を見上げる必要がある。見上げる姿勢は、ユーザの負担になり得る。また、ユーザが、見上げる姿勢でなく、楽な姿勢(例えば見下げる姿勢)で表示部12を見ると、情報コード100がユーザの視界から外れる。楽な姿勢において、ユーザは、情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見ることができない。
【0037】
(変更機構の構造;図4図5
本実施例の光学読取装置10は、光学読取ユニット20の向きを複数種類の向きに変更可能な変更機構を備える。変更機構は、光学読取ユニット20の向きに沿った軸(即ち実線矢印に沿った軸)と鉛直軸(即ち紙面上下方向に延びる軸)との双方と直交する軸20aの回りに光学読取ユニット20を回転させるための重り20bを含む。重り20bと光学読取ユニット20の向きとの間の角度は、所定の角度に固定されている。例えば、光学読取ユニット20には、軸20aに沿って延びるシャフト(図示書略)が固定されており、当該シャフトは、筐体60に固定されているベアリング(図示書略)に嵌合している。当該構造により、光学読取ユニット20は、軸20aの回りに回転可能である。
【0038】
図4の姿勢は、図2と同様の水平姿勢である。図4に示すように、水平姿勢において、重り20bは、重力の作用により、鉛直軸上に位置する。重り20bと光学読取ユニット20の間の所定の角度は、水平姿勢において、光学読取ユニット20の向きが、図2の実勢の構造と同じ向きとなるように調整されている。また、筐体60には、ストッパ22aが形成されている。重り20bがストッパ22aに当接することにより、光学読取ユニット20が想定以上に回転することが抑制される。なお、ストッパ22aは省略可能である。図4に示すように、本実施例の光学読取装置10を使用するユーザは、情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見ることができる。
【0039】
一方、図5の姿勢は、図3と同様の垂直姿勢である。例えば、図4の水平姿勢から図5の垂直姿勢に変更されると、重力の作用により、重り20bは、ストッパ22aから離れる方向へと移動し、鉛直軸上に位置する。重り20bの移動に伴い、光学読取ユニット20が、軸20aの周りに回転する。重り20bがストッパ22bに当接することにより、光学読取ユニット20が想定以上に回転することが抑制される。なお、ストッパ22bは省略可能である。
【0040】
図5に示すように、光学読取ユニット20の向きが、水平姿勢における光学読取装置10の頂部10aに近い側の向き(図4参照)から、光学読取装置10の底部10bに近い側の向きへと変更される。本実施例の光学読取装置10を垂直姿勢で使用する場合に、本実施例の光学読取ユニット20の向きは、図3の従来の光学読取ユニット20における向きよりも底部10bの側に位置する。これにより、図5に示すように、情報コード100を光学読取ユニット20の画角内に収めたとしても情報コード100が光学読取装置10の近くに位置する。そして、ユーザは、表示部12を見上げなくても、楽な姿勢(例えば見下げる姿勢)で、情報コード100と表示部12に表示される情報とを同時に見ることができる。
【0041】
本実施例の構成によれば、ユーザは、水平姿勢でも垂直姿勢でも情報コード100と表示部12とを同時に見ることができる。特に、垂直姿勢において楽な姿勢で光学読取装置10を使用することができる。別言すれば、ユーザが光学読取装置10を使用しづらい姿勢(例えば見上げる姿勢)で光学読取装置10を把持することを回避することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0042】
また、本実施例の構成によれば、電力を使用することなく、重力を使用して、光学読取ユニット20の向きを変更することができる。
【0043】
(対応関係)
光学読取装置10、光学読取ユニット20が、それぞれ、「携帯型の光学読取装置」、「光学読取ユニット」の一例である。重り20bが、「変更機構(及び重り)」の一例である。図4の使用状況、図4の水平姿勢が、それぞれ、「第1の使用状況」、「第1の姿勢」の一例である。図5の使用状況、図5の垂直姿勢が、それぞれ、「第2の使用状況」、「第2の姿勢」の一例である。重り20bがストッパ22aに近い位置が、「第1の位置」の一例である。重り20bがストッパ22bに近い位置が、「第2の位置」の一例である。
【0044】
(第2実施例)
(光学読取装置10の構成;図6図7
本実施例の光学読取装置10は、重り20bに代えて、アクチュエータ24を使用して、光学読取ユニット20の向きを変更する点を除いて、第1実施例の光学読取装置10と同様である。
【0045】
図6に示すように、本実施例の光学読取装置10は、各部12、14、20に加えて、加速度センサ16と、アクチュエータ24と、制御部30と、を備える。
【0046】
加速度センサ16は、3軸(即ち、X、Y、Z軸)の加速度を計測するセンサである。加速度センサ16は、筐体60に固定されている。加速度センサ16の測定値を利用して、光学読取装置10の姿勢を算出可能である。
【0047】
アクチュエータ24は、モータである。アクチュエータ24の回転運動により光学読取ユニット20が回転可能である。例えば、軸20aに沿って延びるシャフトが光学読取ユニット20に固定されている。当該シャフトに固定されているギア(図示省略)とアクチュエータ24の回転軸に固定されているギア(図示省略)とが噛み合い、アクチュエータ24の回転運動が当該シャフトに伝達する。これにより、光学読取ユニット20の向きを変更可能である。
【0048】
制御部30は、光学読取装置10内の各部(例えば24)を制御する。CPU32と、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、後述する向き変更処理(図8参照)を実行する。
【0049】
(向き変更処理;図8
図8を参照して、向き変更処理について説明する。図8の処理は、読み取りの開始の指示が操作部14に入力されることをトリガとして開始される。
【0050】
S10では、CPU32は、加速度センサ16から測定値を取得する。S12では、CPU32は、S10で取得した測定値を使用して、光学読取装置10の姿勢が水平姿勢(図4参照)であるのか否かを判断する。例えば、CPU32は、測定値のうちのZ軸方向(例えば光学読取装置10の長手方向と一致する方向(図7における紙面左右方向))の値が、水平姿勢を示す所定の値域に含まれる場合に、光学読取装置10の姿勢が水平姿勢であると判断する。一方、CPU32は、測定値のうちのZ軸方向の値が、所定の値域に含まれない場合に、光学読取装置10の姿勢が垂直姿勢であると判断する。
【0051】
CPU32は、光学読取装置10の姿勢が水平姿勢であると判断する場合(S12でYES)に、S14に進む。S14では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24の回転角度を第1の角度に設定する。第1の角度は、図4の水平姿勢における光学読取ユニット20の向きに対応する角度である。即ち、本実施例でも、第1実施例と同様に、水平姿勢において、情報コード100と表示部12とを同時に見ることができる。
【0052】
また、CPU32は、光学読取装置10の姿勢が垂直姿勢であると判断する場合(S12でNO)に、S16に進む。S16では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24の回転角度を第2の角度に設定する。第2の角度は、第1の角度と異なる角度である。第2の角度は、図5の垂直姿勢における光学読取ユニット20の向きに対応する角度である。即ち、本実施例でも、第1実施例と同様に、垂直姿勢において、情報コード100と表示部12とを同時に見ることができる。さらに、本実施例でも、第1実施例と同様に、垂直姿勢において楽な姿勢で光学読取装置10を使用することができる。S14又はS16が終了すると、CPU32は、図8の処理を終了する。
【0053】
本実施例でも、第1実施例と同様の効果を奏することができる。また、第1実施例の構成では、重力に逆らって光学読取ユニット20の向きを変更することができない。これに対して、本実施例の構成によれば、アクチュエータを使用して、光学読取ユニットの向きを任意の向き(例えば重力に逆らった向き)に変更することができる。
【0054】
(対応関係)
アクチュエータ24、制御部30、加速度センサ16が、それぞれ、「アクチュエータ」、「制御部」、「加速度センサ」の一例である。
【0055】
(第3実施例)
(向き変更処理;図9
本実施例は、向き変更処理の内容が異なる点を除いて、第2実施例と同様である。S20は、図8のS10と同様である。
【0056】
S22では、CPU32は、S10で取得した測定値が、所定の範囲に含まれるのか否かを判断する。ここで、所定の範囲は、例えば、情報コード100の読み取りが失敗する頻度が比較的に高い姿勢を示す範囲である。例えば、CPU32は、情報コード100の読み取りが失敗する毎に加速度センサ22の測定値をログ情報としてメモリ34に記憶する。そして、CPU32は、当該ログ情報から所定の範囲を算出する。なお、変形例では、所定の範囲は、ユーザによって光学読取装置10に入力されてもよい。また、他の変形例では、所定の範囲は、光学読取装置10のベンダによって光学読取装置10に予め入力されていてもよい。この変形例では、ベンダは、情報コード100の読み取りの失敗に関わらず、光学読取ユニット20の向きを変更すべき範囲として、所定の範囲を決定してもよい。
【0057】
CPU32は、測定値が所定の範囲に含まれると判断する場合(S22でYES)に、S24に進む。S24では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24の回転角度をデフォルトの角度から補正角度に変更する。補正角度は、デフォルトの角度とは異なる角度である。補正角度は、ログ情報を利用して算出されてもよいし、ユーザによって決定されてもよいし、ベンダによって決定されてもよい。「所定の範囲」が、情報コード100の読み取りが失敗する頻度が比較的に高い姿勢を示す場合には、S24の処理により、読み取りが失敗する可能性がある向き(即ちデフォルトの角度に対応する向き)を回避することができる。S24が終了すると、図9の処理が終了する。
【0058】
また、CPU32は、測定値が所定の範囲に含まれないと判断する場合(S22でNO)に、S24の処理をスキップして、図9の処理を終了する。別言すれば、アクチュエータ24の回転角度はデフォルトの角度に維持される。
【0059】
例えば、読み取りが失敗する場合にユーザの指示に応じてアクチュエータ24を制御する比較例が想定される。この比較例では、ユーザの指示が必要であり、ユーザが不便に感じ得る。これに対し、本実施例の構成によれば、S24の判断により、光学読取ユニット20の向きを自動的に変更することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0060】
(対応関係)
図9のS22の所定の範囲、S24のデフォルトの角度、S24の補正角度が、それぞれ、「所定の範囲」、「第1の向きに対応する角度」、「第2の向きに対応する角度」の一例である。情報コード100の読み取りが失敗する頻度が比較的に低い使用状況、情報コード100の読み取りが失敗する頻度が比較的に高い使用状況が、それぞれ、「第1の使用状況」、「第2の使用状況」の一例である。
【0061】
(第4実施例)
(光学読取装置10の構成;図10
本実施例の光学読取装置10は、加速度センサ22を備えない点と、メモリ34に業務テーブル42が記憶されている点と、向き変更処理の内容が異なる点と、を除いて、第2実施例と同様である。
【0062】
業務テーブル42は、光学読取装置10を使用した複数種類の業務のそれぞれについて、当該業務の種類と、当該業務に適合するアクチュエータ24の回転角度と、を記憶するテーブルである。例えば、業務の種類「レジ」では、光学読取装置10は、水平姿勢で使用され、業務の種類「レジ」に対応する回転角度は、図4の水平姿勢における光学読取ユニット20の向きに対応する角度A1を示す。また、例えば、業務の種類「棚卸」では、光学読取装置10は、垂直姿勢で使用され、業務の種類「棚卸」に対応する回転角度は、図5の垂直姿勢における光学読取ユニット20の向きに対応する角度A2を示す。業務テーブル42内の情報は、ユーザによって入力されてもよいし、ベンダによって入力されてもよい。なお、業務の種類は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0063】
(向き変更処理;図11
図11を参照して、本実施例に係る向き変更処理について説明する。図11の処理は、光学読取装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0064】
S30では、CPU32は、操作部14において複数種類の業務の中から1個の業務の指定を受けることを監視する。CPU32は、1個の業務の指定を受ける場合(S30でYES)に、S32に進む。
【0065】
S32では、CPU32は、業務テーブル42から、S30で指定された業務の種類に対応する回転角度を取得する。S34では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24の回転角度をS32で取得した回転角度に変更する。S34が終了すると、CPU32は、S30の監視に戻る。
【0066】
本実施例の構成によれば、ユーザの作業の種類に応じて、光学読取ユニット20の向きを変更することができる。光学読取ユニット20の向きがユーザの作業の種類に適合する向きに自動的に変更される。ユーザの利便性が向上する。
【0067】
(対応関係)
レジ作業、棚卸作業が、それぞれ、「第1の作業」、「第2の作業」の一例である。業務テーブル42の「レジ」、「棚卸」が、それぞれ、「第1の値」、「第2の値」の一例である。
【0068】
(第5実施例)
(光学読取装置10の構成;図12
本実施例の光学読取装置10は、レジ作業アプリ50及び棚卸作業アプリ52がメモリ34に記憶されている点、及び、業務テーブル42に代えて、アプリテーブル54がメモリ34に記憶されている点と、向き変更処理の内容が異なる点と、を除いて、第4実施例と同様である。
【0069】
本実施例では、プログラム40は、例えば、OS(Operating Systemの略)プログラムである。レジ作業アプリケーションプログラム50及び棚卸作業アプリケーションプログラム52は、それぞれ、プログラム40上で動作する。以下では、「アプリケーションプログラム」を、「アプリ」と記載する。各アプリ50、52は、光学読取装置10のベンダによって提供される。なお、変形例では、各アプリ50、52は、光学読取装置10のベンダとは異なるベンダによって提供されてもよい。
【0070】
レジ作業アプリ50は、ユーザがレジ作業を行う際に使用するアプリである。棚卸作業アプリ52は、ユーザが棚卸作業を行う際に使用するアプリ。なお、アプリの個数は、2個に限らず、3個以上であってもよい。
【0071】
アプリテーブル54は、光学読取装置10に記憶されている複数個のアプリのそれぞれについて、当該アプリのアプリ名と、当該アプリに対応する業務に適合するアクチュエータ24の回転角度と、を記憶するテーブルである。アプリテーブル54内の角度は、図10の業務テーブル42と同様に、例えば、ユーザによって入力される。
【0072】
(向き変更処理;図13
図13を参照して、本実施例に係る向き変更処理について説明する。図13の処理は、光学読取装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0073】
S40では、CPU32は、メモリ34内の複数個のアプリのうちの1個のアプリが起動することを監視する。CPU32は、1個のアプリが起動する場合(S40でYES)に、S42に進む。
【0074】
S42では、CPU32は、アプリテーブル54から、S40で起動されたアプリを示すアプリ名に対応する回転角度を取得する。S44では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24の回転角度をS42で取得した回転角度に変更する。S44が終了すると、CPU32は、S40の監視に戻る。
【0075】
本実施例では、ユーザは、作業の種類に応じて、アプリを使い分ける。アプリの種類に応じて、光学読取ユニット20の向きを変更することができる。光学読取ユニット20の向きがユーザの使用するアプリの種類に適合する向きに自動的に変更される。ユーザの利便性が向上する。
【0076】
(対応関係)
レジ作業アプリ50、棚卸作業アプリ52が、それぞれ、「第1のアプリケーションプログラム」、「第2のアプリケーションプログラム」の一例である。アプリテーブル54内のアプリ名が、「第3の値(及び第4の値)」の一例である。
【0077】
(第6実施例)
(光学読取装置10の構成;図14図16
本実施例の光学読取装置10は、加速度センサ16を備えない点を除いて、第2実施例と同様である。
【0078】
光学読取ユニット20が、読み取り対象の情報コード100が表示されている媒体に光を照射する光源26(図16参照)を備える場合がある。光源26は、例えば、フラッシュである。例えば、光源26の照射光の方向が情報コード100の媒体に対して直角である場合には、照射光に対する反射光が光学読取ユニット20に直接的に受光され得る。この場合には、光学読取ユニット20によって撮像された画像内に当該反射光が結像し得る。例えば、図15に示すように、反射光の画像が情報コード100を示す画像(以下では、「コード画像」と記載)と重なると、コード像の一部が欠損する。当該欠損は、情報コード100の読み取りの失敗の原因となり得る。
【0079】
本実施例では、光学読取装置10は、照射光を受光する可能性が推定される場合に、光学読取ユニット20を回転させる(図16参照)。これにより、光源26の照射光の方向が情報コード100の媒体に対して直角ではなくなり、反射光が光学読取ユニット20に直接的に受光されることを回避することができる。反射光の結像に起因して、情報コード100の読み取りが失敗することを回避することができる。
【0080】
(向き変更処理;図15
図15を参照して、本実施例に係る向き変更処理について説明する。図15の処理は、光学読取装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0081】
S50では、CPU32は、操作部14において読み取りの開始の指示を受けることを監視する。CPU32は、読み取りの開始の指示を受ける場合(S50でYES)に、S52に進む。
【0082】
S52では、CPU32は、光学読取ユニット20によって撮像された画像(以下では「撮像画像」と記載)からコード画像を抽出する。コード画像の抽出方法としては、例えば、既知の技術が利用される。本明細書では、抽出方法の詳細な説明を省略する。
【0083】
S54では、CPU32は、S52で抽出されたコード画像から反射光の受光の有無を推定する。上記のように、反射光の受光は、光源26の照射光の方向が情報コード100の媒体に対して直角である場合に発生し易い。照射光の方向が媒体に対して直角である場合には、コード画像の外形は、元の情報コード100の外形と略同一である。例えば、情報コード100が二次元コードである場合には、情報コード100の外形は、正方形又は長方形である。また、情報コード100が二次元コードである場合には、情報コード100の外形は、長方形である。コード画像の外形が正方形又は長方形等の所定の形状であるか否かを判断することにより、反射光の受光の有無を判断することができる。また、上記のように、反射光の受光が発生している場合には、コード画像の一部が白く欠損する。コード画像の一部の欠損の有無を判断することにより、反射光の受光の有無を判断することができる。
【0084】
S54では、CPU32は、コード画像を分析して、コード画像の外形が所定の形状(例えば正方形)であること、及び、コード画像の一部が欠損していること、のうちの少なくとも一方の発生の有無を判断する。そして、CPU32は、両現象のうちの少なくとも一方の現象が発生していると判断する場合(S54でYES)に、S56に進む。一方、CPU32は、両現象のいずれも発生していないと判断する場合(S54でNO)に、S56の処理をスキップして、S58に進む。なお、変形例では、CPU32は、両現象のうちの一方のみ、例えば、コード画像の外形が所定の形状であるのか否かのみから、反射光の受光の発生の推定を判断してもよい。
【0085】
S56では、CPU32は、アクチュエータ24を制御して、アクチュエータ24を所定の角度だけ回転させる。所定の角度は、例えば、数度である。S56が終了すると、CPU32は、S58に進む。
【0086】
S58では、CPU32は、光学読取ユニット20から撮像画像を取得して、当該撮像画像内のコード画像に対する読み取り処理を実行する。これにより、コード画像によって示される情報コード100内の情報が読み取られる。S58が終了すると、CPU32は、S50の監視に戻る。
【0087】
(対応関係)
反射光の受光が発生しない状況、反射光の受光が発生する状況が、それぞれ、「第1の使用状況」、「第2の使用状況」の一例である。図15のS56の処理を実行する前の向きが、図15のS56の処理を実行した後の向きが、それぞれ、「第1の向き」、「第2の向き」の一例である。
【0088】
(第7実施例)
(光学読取装置10の構成;図14図16
本実施例の光学読取装置10は、向き変更処理の内容が異なる点を除いて、第6実施例と同様である。
【0089】
(向き変更処理;図17
図17を参照して、本実施例に係る向き変更処理について説明する。図17の処理は、光学読取装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0090】
S70は、図15のS50と同様である。CPU32は、読み取りの開始の指示を受ける場合(S70でYES)に、S72に進む。S72は、図15のS58と同様である。
【0091】
S74では、CPU32は、S72の読み取り処理が成功したのか否かを判断する。CPU32は、読み取り処理が成功したと判断する場合(S74でYES)に、後述するS76の処理をスキップして、S70の監視に戻る。一方、CPU32は、読み取り処理が失敗したと判断する場合(S74でNO)に、S76に進む。S76は、図15のS56と同様である。CPU32は、S76が終了すると、S72に戻る。
【0092】
本実施例の構成によれば、読み取り処理が失敗した光学読取ユニット20の向きを回避して、読み取り処理の成功を促すことができる。例えば、反射光の発生し易い光学読取ユニット20の向きを回避することができる。
【0093】
(対応関係)
図17のS76の処理を実行する前の向き、図17のS76の処理を実行した後の向きが、それぞれ、「第1の向き」、「第2の向き」の一例である。
【0094】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0095】
(変形例1) 「光学読取ユニット」によって読み取られる情報は、情報コード100内の情報に限らない、例えば、媒体に表示されている文字列であってもよい。文字列は、例えば、OCRによって読み取られる。
【0096】
(変形例2) 「使用状況」は、店舗内の使用状況(例えばレジ等)に限らず、例えば、倉庫、工場等他の建物内の使用状況であってもよい。また、他の変形例では、屋内、屋外が、それぞれ、「第1の使用状況」、「第2の使用状況」の一例であってもよい。
【0097】
(変形例3) CPU32は、撮像画像から、光学読取装置10の周囲の環境を分析し、当該分析結果に基づいて、光学読取ユニット20の向きを変更してもよい。周囲の環境は、例えば、棚の有無、レジの有無等である。
【0098】
(変形例4) 「アクチュエータ」は、電動式のモータに限らず、例えば、油圧式、空気圧式の駆動装置であってもよい。
【0099】
(変形例5) 第2~第7実施例において、軸20aの延びる方向は、光学読取ユニット20の向きと鉛直軸との双方に直交する方向でなくてもよく、例えば、鉛直軸と平行な方向であってもよい。
【0100】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0101】
10 :光学読取装置
10a :頂部
10b :底部
12 :表示部
14 :操作部
16 :加速度センサ
20 :光学読取ユニット
20a :軸
20b :重り
22 :加速度センサ
22a :ストッパ
22b :ストッパ
24 :アクチュエータ
26 :光源
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
42 :業務テーブル
50 :レジ作業アプリ
52 :棚卸作業アプリ
54 :アプリテーブル
60 :筐体
100 :情報コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17