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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151928
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20231005BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20231005BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231005BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H04R29/00 320
H04R1/02 107
G06K7/10 436
G06K7/00 004
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061804
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 蒼詩
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BC14
5D017BC16
(57)【要約】
【課題】情報読取装置において、マイク素子を筐体に固定する構造に異常が発生しているのか否かをユーザに知らせるため技術を提供する。
【解決手段】情報読取装置は、筐体と、筐体内に固定されているスピーカ素子と、筐体内に固定されているマイク素子と、制御部と、を備え、制御部は、所定のテスト音をスピーカ素子に出力させる出力処理と、スピーカ素子がテスト音を出力している間に、マイク素子から電気信号を取得する取得処理と、マイク素子から取得された電気信号によって示される音量が、所定の閾値を超えるのか否かを判断する判断処理と、音量が閾値以上である判断する場合に、マイク素子を筐体に固定する構造に異常が発生していることを報知する報知処理と、を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の媒体から情報を読み取る情報読取装置であって、
筐体と、
前記筐体内に固定されているスピーカ素子と、
前記筐体内に固定されているマイク素子と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
所定のテスト音を前記スピーカ素子に出力させる出力処理と、
前記スピーカ素子が前記テスト音を出力している間に、前記マイク素子から電気信号を取得する取得処理と、
前記マイク素子から取得された前記電気信号によって示される音量が、所定の閾値を超えるのか否かを判断する判断処理と、
前記音量が前記閾値以上である判断する場合に、前記マイク素子を前記筐体に固定する構造に異常が発生していることを報知する報知処理と、
を実行する、情報読取装置。
【請求項2】
前記マイク素子は、基板に接続されており、
前記基板は、接着部材を介して、前記筐体の内面に固定されており、
前記マイク素子は、前記筐体に形成されている集音孔と対面している、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記異常は、前記接着部材の少なくとも一部の領域が、前記基板及び前記筐体の前記内面のうちの少なくとも一方から剥がれる現象である、請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記マイク素子は、少なくとも一端が前記基板に接続されている導電性の接続部材に実装されており、
前記基板は、前記内面のうち前記集音孔が形成されていない領域と対面しており、
前記接続部材は、前記集音孔と対面しているともに、前記接着部材に接しておらず、
前記接続部材は、前記基板と前記マイク素子の間を防振する機能を有する、請求項2又は3に記載の情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、対象の媒体から情報を読み取るための情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報(例えばバーコードに記録されている情報)を読み取るための読取部(例えばカメラ)を備える情報読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報読取装置は、多機能化の傾向がある。例えば、近年の情報読取装置は、読取部だけでなく、集音のためのマイク素子を備える。マイク素子は、所定の構造で情報読取装置の筐体に固定されている。
【0005】
情報読取装置を利用する環境は、様々である。例えば、携帯型の情報読取装置では、ユーザは、情報読取装置を把持して、対象の媒体上の情報を情報読取装置に読み取らせる。このため、ユーザが、情報読取装置を誤って落下させる可能性がある。さらに、情報を読み取る作業は、繰り返し行われるため、情報読取装置の落下の頻度も高くなる可能性がある。情報読取装置が落下すると、マイク素子の所定の構造に異常が発生する可能性がある。
【0006】
また、例えば、固定型の情報読取装置も、工場内の振動の大きい場所等の過酷な環境で利用され得る。この場合でも、マイク素子の所定の構造に過大な外力が加わり、マイク素子の所定の構造に異常が発生する可能性がある。
【0007】
マイク素子の所定の構造の異常は、マイク素子から出力される電気信号のノイズの原因となる。マイク素子のノイズが大きくなると、マイク素子の電気信号を利用した処理(例えば音声入力)が正常に機能しない可能性がある。
【0008】
マイク素子の所定の構造を堅牢にすることは、サイズ、部品点数、製造工程等の増大の原因となる。また、マイク素子は、情報読取装置の筐体内に固定されている。このため、ユーザがマイク素子の所定の構造を目視することは困難である。
【0009】
本明細書では、情報読取装置において、マイク素子を筐体に固定する構造に異常が発生しているのか否かをユーザに知らせるため技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で開示する情報読取装置は、筐体と、前記筐体内に固定されているスピーカ素子と、前記筐体内に固定されているマイク素子と、制御部と、を備え、前記制御部は、所定のテスト音を前記スピーカ素子に出力させる出力処理と、前記スピーカ素子が前記テスト音を出力している間に、前記マイク素子から電気信号を取得する取得処理と、前記マイク素子から取得された前記電気信号によって示される音量が、所定の閾値を超えるのか否かを判断する判断処理と、前記音量が前記閾値以上である判断する場合に、前記マイク素子を前記筐体に固定する構造に異常が発生していることを報知する報知処理と、を実行する。
【0011】
スピーカ素子から発生した音波(以下では「スピーカ音」と記載)は、情報読取装置の外部だけでなく、筐体にも伝達する。このため、スピーカ音は、筐体を介してマイク素子に伝達する。発明者は、マイク素子を筐体に固定する構造(以下では「固定構造」と記載)に異常が発生すると、筐体からのスピーカ音(即ち振動)が、固定構造が正常である場合よりも大きくなることを発見した。上記の構成において、スピーカ素子がテスト音を出力している間にマイク素子から取得した電気信号によって示される音量が所定の閾値を超えることは、筐体からのスピーカ音が固定構造の正常時よりも大きいことを意味する。上記の構成によれば、スピーカ素子のテスト音とマイク素子の電気信号とを利用して、固定構造の異常をユーザに知らせることができる。ユーザは、マイク素子の電気信号を利用した処理が正常に機能しない原因を知り、その原因に対処することができる。
【0012】
また、上記の情報読取装置の制御方法、情報読取装置のためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを保存する記憶媒体も、新規で有用である。
【0013】
前記マイク素子は、基板に接続されており、前記基板は、接着部材を介して、前記筐体の内面に固定されており、前記マイク素子は、前記筐体に形成されている集音孔と対面していてもよい。
【0014】
前記異常は、前記接着部材の少なくとも一部の領域が、前記基板及び前記筐体の前記内面のうちの少なくとも一方から剥がれる現象であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、報知処理により固定構造の異常を知らされたユーザは、接着部材の剥がれを解消するための対処をすることができる。
【0016】
前記マイク素子は、少なくとも一端が前記基板に接続されている導電性の接続部材に実装されており、前記基板は、前記内面のうち前記集音孔が形成されていない領域と対面しており、前記接続部材は、前記集音孔と対面しているともに、前記接着部材に接しておらず、前記接続部材は、前記基板と前記マイク素子の間を防振する機能を有していてもよい。
【0017】
例えば、基板と筐体との間に防振シートが配置されている比較例が想定される。この比較例では、基板と防振シートの間の第1の接着部材と、防振シートと筐体との間の第2の接着部材と、が存在する。このため、比較例では、接着部材が剥がれ得る箇所が、4か所も存在する。これに対して、上記の構成によれば、防振シートに代えて、防振の機能を有する接続部材にマイク素子が搭載される。さらに、接続部材は、接着部材に接しておらず、接着部材は、筐体の内面のうち集音孔が形成されていない領域と対面している。即ち、上記の構成では、接着部材が剥がれ得る箇所が、基板と筐体との間の2か所しか存在しない。上記の構成は、上記の比較例と比べて、接着部材が剥がれ得る箇所の個数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報読取装置の斜視図を示す。
図2】情報読取装置のブロック図を示す。
図3】第1実施例に係る固定構造を示す。
図4】異常報知処理のフローチャートを示す。
図5】第2実施例に係る固定構造を示す。
図6】第2実施例に係る固定構造のケース1を示す。
図7】第2実施例に係る固定構造のケース2を示す。
図8】第2実施例に係る固定構造のケース3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
(情報読取装置10の構成;図1図2
図1図2に示される本実施例に係る情報読取装置10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されている情報を読み取るための装置である。情報読取装置10は、表示部12と、操作部14と、スピーカ素子16と、マイク部18と、カメラ20と、制御部30と、を備える。なお、図1では、制御部30は、情報読取装置10の筐体60に隠れて見えない。
【0020】
表示部12は、各種情報を表示するディスプレイを含む。操作部14は、ユーザが操作可能な複数個のボタンを含む。制御部30は、CPU32と、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、様々な処理を実行する。例えば、制御部30は、操作部14の操作に応じて、カメラ20を起動し、情報コードを撮像する。そして、制御部30は、撮像済みの情報コードに記録された情報を読み取り、当該情報を出力する。例えば、制御部30は、当該情報によって表される読み取り結果(例えば文字列)を表示部12に表示する。また、制御部30は、当該データを外部の装置(例えばサーバ)に送信する。
【0021】
スピーカ素子16は、電気信号を音波に変換して出力する電子部品である。例えば、制御部30は、情報コードの読取が成功する場合に、情報コードの読取が成功したことを示す成功音をスピーカ素子16に出力させる。スピーカ素子16は、図示省略の基板に搭載されており、当該基板には、制御部30からの電気信号をスピーカ素子16に供給する回路が形成されている。
【0022】
マイク部18は、マイク素子50と、基板52と、を備える。マイク素子50は、音波を電気信号に変換して出力する電子部品である。マイク素子50は、基板52に実装されている。基板52には、マイク素子50からの電気信号を制御部30に供給する回路が形成されている。例えば、制御部30は、マイク素子50からの電気信号を分析して、当該電気信号によって示される音声を文字列に変換する。そして、制御部30は、当該文字列を利用した処理(例えば、当該文字列の表示、当該文字列によって示される命令(例えば読取開始の命令)に従った処理)を実行する。
【0023】
(固定構造;図3
図3を参照して、マイク部18を情報読取装置10の筐体60に固定する固定構造について説明する。図3の固定構造は、筐体60の内側に配置される。基板52のうち、マイク素子50が実装されている面の裏面には、両面テープ54が配置されている。両面テープ54のうち、基板52とは反対側の面には、防振シート56が配置されている。防振シート56のうち、両面テープ54とは反対側の面には、防水シート58が配置されている。防水シート58は、両面テープでもある。防水シート58のうち、防振シート56とは反対側の面には、筐体60の内面が配置されている。マイク部18(即ちマイク素子50及び基板52)は、両面テープ54、防振シート56、及び、防水シート58を介して、筐体60の内面に固定されている。
【0024】
筐体60の内面には、集音孔60aが形成されている。マイク素子50は、集音孔60aと対面している。集音孔60aは、筐体60の外部の空間、即ち、情報読取装置10の周囲の空間と連通している。情報読取装置10の周囲の音波は、集音孔60aを介して、筐体60の内部のマイク素子50に伝達する。
【0025】
一方、筐体60には、様々な振動が伝達する。例えば、スピーカ素子16が音波を出力している場合には、当該音波(即ち振動)がスピーカ素子16から筐体60に伝達する。また、例えば、ユーザが情報読取装置10を把持している場合には、ユーザから筐体60に振動が伝達する。筐体60に伝達する振動は、筐体60に固定されているマイク素子50にも伝達する。筐体60からマイク素子50に伝達する振動は、マイク素子50が出力する電気信号のノイズの原因となる。防振シート56は、筐体60からマイク素子50に伝達する振動を軽減して、ノイズの発生を防止する。
【0026】
また、集音孔60aは、筐体60の外部の空間と連通している。このため、集音孔60aから筐体60の内部に水が浸入し得る。集音孔60aは、筐体60の内側において防水シート58で覆われている。防水シート58は、集音孔60aから筐体60の内部に水が浸入することを防止する。
【0027】
図1に示すように、情報読取装置10は、携帯型の装置である。ユーザは、情報読取装置10を把持して、対象の媒体(例えば紙)上に表示されている情報コードを情報読取装置に読み取らせる。このため、ユーザが、情報読取装置10を誤って落下させる可能性がある。さらに、情報を読み取る作業は、繰り返し行われるため、情報読取装置10の落下の頻度も高くなる可能性がある。情報読取装置10が落下すると、図3の固定構造に異常が発生する可能性がある。特に、両面テープ54の少なくとも一部の領域が、基板52及び防振シート56のうちの少なくとも一方から剥がれると、当該一部の領域に隙間が発生し、固定構造の防振性能が損なわれ得る。また、防水シート58も、両面テープ54と同様に剥がれる可能性があり、防水シート58が剥がれると、固定構造の防振性能が損なわれ得る。両面テープ54又は防振シート56の剥がれにより固定構造に異常が発生すると、筐体60からマイク素子50に伝達する振動が過大となり、マイク素子50が出力する電気信号のノイズが大きくなる。この場合、マイク素子50の電気信号を利用した処理(例えば音声入力)が正常に機能しない可能性がある。
【0028】
(異常報知処理;図4
図4を参照して、プログラム40に従って、制御部30のCPU32が実行する異常報知処理について説明する。異常報知処理は、固定構造の異常の発生を報知するための処理である。図4の処理は、図4の処理の開始の指示がユーザによって操作部14に入力されることをトリガとして開始される。
【0029】
S10では、CPU32は、所定のテスト音をスピーカ素子16に出力させる。テスト音は、情報読取装置10のベンダによって予め決められている。
【0030】
S12では、CPU32は、S10においてスピーカ素子16がテスト音を出力している間、マイク素子50から電気信号を取得する。そして、CPU32は、取得済みの電気信号を分析して、当該電気信号によって示される音の中から、テスト音と同一の周波数帯の音を抽出する。
【0031】
S14では、CPU32は、S12で抽出された音の音量が所定の閾値より大きいのか否かを判断する。ここで、閾値は、図3の固定構造が正常である場合においてテスト音が出力されたときのマイク素子50の電気信号に基づき予め決定される。CPU32は、音量が閾値以下であると判断する場合(S14でNO)に、後述するS16の処理をスキップして、図4の処理を終了する。
【0032】
一方、CPU32は、音量が閾値より大きいと判断する場合(S14でYES)に、S16において、マイク素子50の固定構造(図3参照)に異常が発生していることを報知する。具体的には、CPU32は、マイク素子50の固定構造に異常が発生していることを示すメッセージを表示部12に表示させる。なお、変形例では、CPU32は、当該異常の発生を示す音声(又は警告音)をスピーカ素子16に出力させてもよい。S16が終了すると、CPU32は、図4の処理を終了する。
【0033】
(本実施例の効果)
図4のS12で抽出された音の音量が閾値よりも大きいことは、スピーカ素子16から筐体60を介してマイク素子50に伝達する振動が過大となっていることを意味する。一方で、上述の通り、両面テープ54又は防振シート56が剥がれると、筐体60からマイク素子50に伝達する振動が過大となる。図4のS12で抽出された音の音量が閾値よりも大きいことから、両面テープ54又は防振シート56の剥がれの発生を推定することができる。本実施例の構成によれば、両面テープ54又は防振シート56の剥がれの発生が推定される場合、即ち、S14でYESと判断される場合に、固定構造の異常が報知される(S16)。当該報知により、ユーザは、固定構造の異常を知ることができる。ユーザは、マイク素子50の電気信号を利用した処理が正常に機能しない原因を知り、その原因に対処することができる。例えば、ユーザは、両面テープ54又は防振シート56の剥がれを解消するための対処をすることができる。
【0034】
(対応関係)
情報読取装置10、筐体60、集音孔60a、スピーカ素子16、マイク素子50、基板52、制御部30が、それぞれ、「情報読取装置」、「筐体」、「集音孔」、「スピーカ素子」、「マイク素子」、「基板」、「制御部」の一例である。両面テープ54及び防水シート58が、「接着部材」の一例である。図4のS10、S12、S14、S16が、それぞれ、「出力処理」、「取得処理」、「判断処理」、「報知処理」の一例である。
【0035】
(第2実施例)
(固定構造;図5図6
本実施例は、マイク素子50の固定構造が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例のマイク部18は、マイク素子50と基板52に加えて、FPC(Flexible Printed Circuits)基板76を含む。本実施例では、固定構造において、防振シート56に代えて、FPC基板76が採用される。FPC基板76は、折り曲げ可能な回路基板であり、リジッド基板である基板52よりも変形し易い。FPC基板76の弾性率は、基板52の弾性率よりも低い。FPC基板76は、基板52とマイク素子50の間を防振する機能を有する。例えば、FPC基板76の材料等は、基板52からマイク素子50への振動伝達率が所定の値(例えば50%)以下であるように選定される。
【0036】
図5に示すように、マイク素子50はFPC基板76に実装されている。図6は、マイク素子50の側から見た基板52及びFPC基板76の概略図である。図6に示すように、FPC基板76は、基板52に形成されている貫通孔52a内に架けられている。別言すれば、FPC基板76の一端が、貫通孔52aの一つの外周縁に接続されており、FPC基板76の他端が、貫通孔52aの反対側の外周縁に接続されている。FPC基板76は、基板52と別体であり、コネクタを介して、基板52に接続される。なお、変形例では、FPC基板76は、基板52の重層構造の一部として、基板52と一体的に形成されてもよい。
【0037】
また、図5に示すように、貫通孔52aは、筐体60の集音孔60aに対面している。これにより、貫通孔52a内のFPC基板76及びマイク素子50も集音孔60aに対面している。一方、本実施例における基板52は、筐体60の内面のうち集音孔60aが形成されていない領域と対面しており、基板52と当該領域との間に両面テープ54が配置されている。
【0038】
また、図5に示すように、FPC基板76と筐体60の内面との間には、空間が形成されている。そして、当該空間内において、防水シート58が集音孔60aを覆う。図5に示すように、FPC基板76は、防水シート58にも両面テープ54にも接していない。
【0039】
本実施例でも、筐体60には様々な振動が伝達する。筐体60からマイク素子50に伝達する振動は、基板52及びFPC基板76を介して、マイク素子50に伝達する。FPC基板76は、比較的に防振性能が高く、筐体60からマイク素子50に伝達する振動を軽減することができる。マイク素子50が出力する電気信号のノイズの発生を防止することができる。
【0040】
また、第1実施例では、集音孔60aとマイク素子50との間に、4個の部材(即ち、防水シート58、防振シート56、両面テープ54、基板52)が存在する。一方、本実施例では、集音孔60aとマイク素子50との間に、2個の部材(即ち、防水シート58、FPC基板76)が存在する。第1実施例と比較して、集音孔60aとマイク素子50との間に存在する部材の個数が低減される。両者の間の部材は、集音孔60aからマイク素子50へと伝達する音波の減衰の原因となり得る。両者の間の部材の個数が低減されることで、集音孔60aからマイク素子50へと伝達する音波の減衰を抑制することができる。
【0041】
また、例えば、第1実施例の固定構造では、基板52と筐体60の間に2個の両面テープ、即ち、両面テープ54及び防水シート58が存在する。このため、第1実施例では、部材と部材を接着する接着部材が剥がれ得る箇所が、4か所も存在する。これに対して、本実施例の固定構造では、接着部材は、両面テープ54のみであり、接着部材が剥がれ得る箇所が、2か所しか存在しない。本実施例の構成は、第1実施例と比べて、接着部材が剥がれ得る箇所の個数を低減することができる。
【0042】
(対応関係)
FPC基板76が、「接続部材」の一例である。両面テープ54が、「接着部材」の一例である。
【0043】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0044】
(変形例1) マイク素子50の固定構造は、図3図5の構造に限らない。例えば、マイク素子50が実装される基板52は、ねじ、かしめ、スナップフィット等の固定部材を介して、筐体60に固定されてもよい。
【0045】
(変形例2) 第2実施例におけるFPC基板76の配置は、図6のケース1に限らない。例えば、図7、8のケース2、3に示すように、FPC基板76は、基板52に形成されている切欠き52b内に配置されてもよい。図7のケース2では、FPC基板76は、FPC基板76の一端が、切欠き52bの一つの外周縁に接続されており、FPC基板76の他端が、切欠き52bの反対側の外周縁に接続されていてもよい。また、図8のケース3では、FPC基板76の一端が、切欠き52bの外周縁に接続されており、FPC基板76の他端が、基板52とは異なる部材であるブロック90に接続されてもよい。ブロック90は、例えば、筐体60の一部である。一般的に言えば、「接続部材」は、少なくとも一端が基板に接続されていればよい。
【0046】
(変形例3) 「情報読取装置」が読み取る「情報」は、情報コードに記録されている情報に限らず、例えば、対象の媒体上に表示されている文字列、ICタブ、RFID等の記憶媒体に記憶されている情報であってもよい。「情報」が文字列である場合には、例えば、OCRが利用されてもよい。
【0047】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0048】
例えば、第2実施例の固定構造(図5参照)を備え、図4の異常報知処理を実行しない情報読取装置10も新規で有用である。
【符号の説明】
【0049】
10 :情報読取装置
12 :表示部
14 :操作部
16 :スピーカ素子
18 :マイク部
20 :カメラ
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
50 :マイク素子
52 :基板
52a :貫通孔
52b :切欠き
54 :両面テープ
56 :防振シート
58 :防水シート
60 :筐体
60a :集音孔
76 :FPC基板
90 :ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8