IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特開-弁座及び弁装置 図1
  • 特開-弁座及び弁装置 図2
  • 特開-弁座及び弁装置 図3
  • 特開-弁座及び弁装置 図4
  • 特開-弁座及び弁装置 図5
  • 特開-弁座及び弁装置 図6
  • 特開-弁座及び弁装置 図7
  • 特開-弁座及び弁装置 図8
  • 特開-弁座及び弁装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151930
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】弁座及び弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/06 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F16K1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061808
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 滉
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA11
3H052CB01
3H052EA02
(57)【要約】
【課題】弁孔を通過する流体の流量を確保する。
【解決手段】弁座5は、弁4が着座及び離座する弁座であって、弁孔51が貫通形成された弁座本体50を備える。第1弁孔51の流路断面積は、第1弁孔51の入口端55から第1弁孔51の出口端56に向かって連続的に拡大する。出口端56は、面取りが形成されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁が着座及び離座する弁座であって、
弁孔が貫通形成された弁座本体を備え、
前記弁孔の流路断面積は、前記弁孔の入口端から前記弁孔の出口端に向かって連続的に拡大し、
前記出口端は、面取りが形成されている弁座。
【請求項2】
請求項1に記載の弁座において、
前記入口端は、面取りが形成されている弁座。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弁座において、
前記面取りは、R面取りである弁座。
【請求項4】
液体及び気体が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記流入口から流入した液体を貯留する貯留室と、
前記貯留室に設けられた第1弁孔と、
前記貯留室に収容され、前記貯留室における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、前記第1弁孔を開閉するフロート弁と、
前記貯留室のうち前記第1弁孔よりも上方箇所に設けられた第2弁孔と、
前記貯留室に設けられ、温度に応じて変形することによって前記第2弁孔を開閉する温度応動弁と、
請求項1又は請求項2に記載の弁座とを備え、
前記弁孔によって前記第2弁孔が形成されている弁装置。
【請求項5】
液体及び気体が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記流入口から流入した液体を貯留する貯留室と、
前記貯留室に設けられた請求項1に記載の弁座と、
前記貯留室に収容され、前記貯留室における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、前記弁孔を開閉するフロート弁とを備え、
前記入口端は、面取りが形成されていない弁装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、弁座及び弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スチームトラップの弁が離着座する弁座が開示されている。弁座には、弁孔が形成されている。弁孔は、弁によって開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、開弁時における弁孔において、弁孔を通過する流体には圧力損失が生じる。そのため、弁孔を通過する流体の流量を確保することが難しい。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、弁孔を通過する流体の流量を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された弁座は、弁が着座及び離座する弁座であって、弁孔が貫通形成された弁座本体を備え、前記弁孔の流路断面積は、前記弁孔の入口端から前記弁孔の出口端に向かって連続的に拡大し、前記出口端は、面取りが形成されている。
【0007】
ここに開示された弁装置は、液体及び気体が流入する流入口と、前記流入口に連通し、前記流入口から流入した液体を貯留する貯留室と、前記貯留室に設けられた第1弁孔と、前記貯留室に収容され、前記貯留室における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、前記第1弁孔を開閉するフロート弁と、前記貯留室のうち前記第1弁孔よりも上方箇所に設けられた第2弁孔と、前記貯留室に設けられ、温度に応じて変形することによって前記第2弁孔を開閉する温度応動弁と、前記弁座とを備え、前記弁孔によって前記第2弁孔が形成されている。
【0008】
ここに開示された弁装置は、液体及び気体が流入する流入口と、前記流入口に連通し、前記流入口から流入した液体を貯留する貯留室と、前記貯留室に設けられた前記弁座と、前記貯留室に収容され、前記貯留室における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、前記弁孔を開閉するフロート弁とを備え、前記入口端は、面取りが形成されていない。
【発明の効果】
【0009】
前記弁座は、弁孔を通過する流体の流量を確保することができる。
【0010】
前記弁座装置は、弁孔を通過する流体の流量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ドレントラップの断面図である。
図2図2は、第2弁機構の断面図である。
図3図3は、第1弁座の断面図である。
図4図4は、図3のA1部分の拡大図である。
図5図5は、図3のA2部分の拡大図である。
図6図6は、第2弁座の断面図である。
図7図7は、図6のA3部分の拡大図である。
図8図8は、図6のA4部分の拡大図である。
図9図9は、比較例の弁座を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、ドレントラップ1の断面図である。ドレントラップ1は、例えば、蒸気を利用する蒸気システムの蒸気配管に設けられる。ドレントラップ1は、ドレンが流入してきた場合にはドレンを流出させる一方、蒸気が流入してきた場合には蒸気の流出を阻止する。ドレントラップ1は、弁装置の一例である。ドレンは液体の一例である。蒸気は気体の一例である。ドレントラップ1は、液体及び気体の流路が形成されたケーシング2と、流路に設けられ、流路を開閉する第1弁機構3及び第2弁機構6を備えている。ケーシング2内に流入したドレンは、基本的には第1弁機構3を介してケーシング2から流出する。第2弁機構6は、基本的に、ケーシング2内に流入した空気を排出する。ただし、第2弁機構6は、ケーシング2内に流入したドレンを排出する場合もある。
【0013】
ケーシング2は、液体及び気体の流入口21と、流入口21に連通し、液体を貯留する貯留室22と、液体及び気体の流出口23とを有している。この例では、流入口21からケーシング2内に、ドレン、蒸気及び空気が流入し得る。貯留室22は、ドレンを貯留する。流出口23は、ドレン及び空気をケーシング2外に流出させる。ケーシング2は、貯留室22と流出口23とを連通させる第1排出通路24と、貯留室22と第1排出通路24とを連通させる第2排出通路25とをさらに有している。
【0014】
ケーシング2では、流入口21、貯留室22、流出口23、第1排出通路24及び第2排出通路25によって流路が形成される。具体的には、流路は、ドレンを排出するための第1流路と、空気及びドレンを排出するための第2流路とを有している。第1流路は、流入口21、貯留室22、第1排出通路24及び流出口23によって形成されている。第2流路は、流入口21、貯留室22、第2排出通路25、第1排出通路24及び流出口23によって形成されている。
【0015】
流入口21及び流出口23は、同軸線上に位置している。貯留室22の上部は、流入口21に連通している。第1排出通路24の上流端は、貯留室22の下部に連通している。第1排出通路24の下流端は、流出口23に連通している。第2排出通路25の上流端は、貯留室22の上部に連通している。第2排出通路25の下流端は、第1排出通路24に連通している。
【0016】
第1弁機構3は、第1排出通路24、ひいては第1流路を開閉する。第1弁機構3は、液体を排出する一方、気体の排出を阻止するフロート式の弁機構である。この例では、第1弁機構3は、ドレンを排出する一方、蒸気の排出を阻止する。第1弁機構3は、第1弁4と第1弁座5とを有している。第1弁4は、弁の一例である。第1弁座5は、弁座の一例である。
【0017】
第1弁4は、フロート弁である。第1弁4は、中空の球形に形成されている。第1弁4は、貯留室22に自由状態で収容されている。
【0018】
第1弁座5は、貯留室22に設けられている。具体的には、第1弁座5は、貯留室22と第1排出通路24との接続部分に設けられている。第1弁座5には、貯留室22と第1排出通路24とを連通させる第1弁孔51が形成されている。第1弁孔51は、弁孔の一例である。
【0019】
貯留室22のドレンが増加すると、第1弁4は上昇して第1弁座5から離座し、第1弁孔51を開く。一方、貯留室22のドレンが減少すると、第1弁4は下降して第1弁座5に着座し、第1弁孔51を閉じる。つまり、第1弁4は、貯留室22におけるドレンの貯留位(すなわち、水位)に応じて上昇下降することによって、第1弁孔51を開閉する。
【0020】
第2弁機構6は、第2排出通路25、ひいては第2流路を開閉する。第2弁機構6は、所定の温度未満の流体を排出する一方、所定の温度以上の流体の排出を阻止する熱応動式の弁機構である。この例では、第2弁機構6は、空気及びドレンを排出する一方、蒸気の排出を阻止する。第2弁機構6は、第2弁7と第2弁座8とを有している。第2弁7は、弁の一例である。第2弁座8は、弁座の一例である。
【0021】
図2は、第2弁機構6の断面図である。第2弁7は、温度に応じて変形する熱応動弁である。第2弁7は、貯留室22の上部に設けられている。第2弁7は、ケーシング2に設けられた保持部材26に収容されている。第2弁7は、弁体71と温度応動部73とを有している。
【0022】
温度応動部73は、内部に膨張媒体が封入された略円盤状に形成されている。温度応動部73の少なくとも一部は、ダイヤフラム74によって形成されている。ダイヤフラム74は、複数枚又は一枚の金属製の薄膜で形成されている。弁体71は、ダイヤフラム74に取り付けられている。膨張媒体は、温度に応じて膨張収縮する媒体である。膨張媒体は、例えば、水、水より沸点が低い液体又はそれらの混合物である。膨張媒体が膨張収縮することによって、ダイヤフラム74が変形する。それに伴い、弁体71は変位する。
【0023】
第2弁座8は、貯留室22に設けられている。具体的には、第2弁座8は、貯留室22と第2排出通路25との接続部分に設けられている。第2弁座8には、貯留室22と第2排出通路25とを連通させる第2弁孔81が形成されている。第2弁孔81は、弁孔の一例である。第2弁孔81は、第1弁孔51よりも上方に位置している。
【0024】
温度応動部73の温度が高くなると、膨張媒体が膨張してダイヤフラム74が変形し、弁体71が変位して第2弁座8に着座する。これにより、第2弁孔81は、弁体71によって閉塞される。温度応動部73の温度が低くなると、膨張媒体が収縮してダイヤフラム74が変形し、弁体71が変位して第2弁座8から離座する。これにより、第2弁孔81は、開放される。この例では、ドレンと同程度の温度では弁体71が第2弁座8から離座し、蒸気と同程度の温度では弁体71が第2弁座8に着座するような膨張媒体が採用されている。
【0025】
次にドレントラップ1の動作について説明する。蒸気システムの始動前においては、ケーシング2内にドレンは存在せず又はケーシング2内のドレンは少なく、第1弁体31は第1弁座5に着座している。また、温度応動部73の温度は低く、弁体71は第2弁座8から離座している。つまり、第1弁機構3は閉弁し、第2弁機構6は開弁している。
【0026】
この状態から蒸気システムが始動すると、流入口21から貯留室22にドレンが流入し始める。このとき、流入口21に接続された配管内に存在していた空気もドレンと共に貯留室22に流入する。貯留室22に流入したドレンは、貯留室22の下部に溜まっていく。貯留室22のドレンの貯留位が上昇すると、第1弁体31が上昇して、第1弁座5から離座する。これにより、第1弁機構3が開弁し、貯留室22のドレンは、第1弁孔51及び第1排出通路24を介して流出口23から流出していく。
【0027】
貯留室22に流入した空気は、貯留室22の上部に滞留する。このとき、空気の温度がかなりの高温でない限り、温度応動部73の膨張媒体の体積は小さい。そのため、ダイヤフラム74の変形量は小さく、弁体71は第2弁座8から離座したままである。つまり、第2弁機構6は開弁したままである。そのため、空気は、第2弁孔81を介して第2排出通路25へ流入し、第1排出通路24を通って流出口23から流出していく。
【0028】
尚、第1弁機構3からのドレンの排出量に対して流入口21からのドレンの流入量が多い場合には、貯留室22におけるドレンの貯留位が上昇し、ドレンは貯留室22の上部まで溜まる。この場合、温度応動部73の温度は、ドレンの温度に近づく。この例では、温度応動部73の膨張媒体の温度がドレンと同程度の場合、膨張媒体の体積は小さく、ダイヤフラム74の変形量は小さい。そのため、弁体71が第2弁座8から離座したままである。したがって、ドレンは、第2弁孔81を介して第2排出通路25へ流入し、第1排出通路24を通って流出口23から流出していく。
【0029】
一方、流入口21から貯留室22に蒸気が流入すると、貯留室22のドレンは、第1弁孔51から排出されて減少していき、やがて第1弁体31が第1弁座5に着座する。こうして、第1弁機構3が閉弁し、第1弁孔51からの蒸気の排出が阻止される。
【0030】
また、貯留室22に蒸気が流入すると、温度応動部73の温度が上昇し、膨張媒体が膨張する。膨張媒体の膨張によりダイヤフラム74が変形し、それに伴い、弁体71が上方へ変位して第2弁座8に着座する。こうして、第2弁機構6が閉弁し、第2弁孔81からの蒸気の排出が阻止される。
【0031】
次に、第1弁座5及び第2弁座8について詳述する。図3は、第1弁座5の断面図である。第1弁座5は、第1弁孔51が貫通形成された弁座本体50を備えている。弁座本体50は、略円筒状に形成されている。弁座本体50の軸方向の一方の端部は、貯留室22に配置されている。弁座本体50の貯留室22とは反対側の端部は、第1排出通路24に配置されている。弁座本体50の軸方向の中間部には、弁座本体50の径方向外側に向かって突出した鍔部53が形成されている。弁座本体50のうち鍔部53よりも貯留室22側の部分の外周面には、雄ねじ54が形成されている。雄ねじ54は、ケーシング2に螺合されている。
【0032】
第1弁孔51は、所定の軸X1に沿って弁座本体50を貫通している。この例では、軸X1は、弁座本体50の軸に沿って延びる。すなわち、第1弁孔51は、弁座本体50の軸方向に貫通している。弁座本体50のうち貯留室22側の端面には、第1弁孔51を囲む環状のシート面52が形成されている。第1弁4がシート面52に着座及び離座することによって、第1弁孔51は開閉される。
【0033】
第1弁孔51は、断面円形の孔である。第1弁孔51は、流体が流入する入口端55と、流体が流出する出口端56とを有している。入口端55は、第1弁孔51の上流側の開口面である。出口端56は、第1弁孔51の下流側の開口面である。第1弁孔51の流路断面積は、入口端55から出口端56に向かって連続的に拡大している。本開示において、「連続的に拡大する」とは、段階的に拡大せず、徐々に拡大することを意味する。具体的には、第1弁孔51の流路断面積は、軸X1方向(すなわち、軸X1の延びる方向)における第1弁孔51の全長にわたって連続的に拡大している。第1弁孔51の流路断面積の拡大変化率は、軸X1方向における第1弁孔51の全長にわたって一定である。すなわち、第1弁孔51は、テーパ状に形成されている。
【0034】
図4は、図3のA1部分の拡大断面図である。入口端55は、第1弁孔51とシート面52との間の角を形成する。すなわち、入口端55には、面取りが形成されていない。
【0035】
図5は、図3のA2部分の拡大断面図である。出口端56は、面取りが形成されている。すなわち、第1弁孔51では、入口端55と出口端56とのうち、出口端56にのみ面取りが形成されている。出口端56の面取りは、R面取りである。厳密には、出口端56の流路断面積は、下流側に向かって拡大している。
【0036】
図6は、第2弁座8の断面図である。第2弁座8は、第2弁孔81が貫通形成された弁座本体80を備えている。この例では、弁座本体80は、略円筒状に形成されている。弁座本体80の軸方向の一方の端部は、貯留室22に配置されている。弁座本体80の貯留室22とは反対側の端部は、第2排出通路25に配置されている。弁座本体80のうち貯留室22側の端部には、弁座本体80の径方向外側に向かって突出した鍔部83が形成されている。弁座本体80のうち鍔部83よりも貯留室22とは反対側の部分の外周面には、雄ねじ84が形成されている。雄ねじ84は、ケーシング2に螺合されている。
【0037】
第2弁孔81は、所定の軸X2に沿って弁座本体50を貫通している。この例では、軸X2は、弁座本体50の軸に沿っている。すなわち、第2弁孔81は、弁座本体80の軸方向に貫通している。弁座本体80のうち貯留室22側の端面には、第2弁孔81を囲む環状のシート面82が形成されている。弁体71がシート面82に着座及び離座することによって、第2弁孔81は開閉される。
【0038】
第2弁孔81は、断面円形の孔である。第2弁孔81は、流体が流入する入口端85と、流体が流出する出口端86とを有している。入口端85は、第2弁孔81の上流側の開口面である。出口端86は、第2弁孔81の下流側の開口面である。第2弁孔81の流路断面積は、入口端85から出口端86に向かって連続的に拡大している。具体的には、第2弁孔81の流路断面積は、軸X2方向(すなわち、軸X2の延びる方向)における第2弁孔81の全長にわたって連続的に拡大している。第2弁孔81の流路断面積の拡大変化率は、軸X2方向における第2弁孔81の全長にわたって一定である。すなわち、第2弁孔81は、テーパ状に形成されている。
【0039】
図7は、図6のA3部分の拡大図である。入口端85は、面取りが形成されている。詳しくは、入口端85の面取りは、R面取りである。厳密には、入口端85の流路断面積は、上流側に向かって拡大している。
【0040】
図8は、図6のA4部分の拡大図である。出口端86は、面取りが形成されている。すなわち、第2弁孔81では、入口端85と出口端86との両方に面取りが形成されている。出口端86の面取りは、R面取りである。厳密には、出口端86の流路断面積は、下流側に向かって拡大している。
【0041】
前述したように、第1弁座5では、図3に示すように、第1弁孔51の流路断面積が、入口端55から出口端56に向かって連続的に拡大している。そのため、第1弁孔51における流体には渦が生じ難い。仮に図9に示す比較例の弁座9のように、弁孔91に流路断面積の急拡大部92が存在すると、急拡大部92において流体の渦が発生し、流体の圧力損失が大きくなる。しかし、第1弁孔51にはこのような急拡大部92が形成されないため、流体の渦が生じ難い。したがって、第1弁孔51における流体の圧力損失を低減できる。
【0042】
加えて、弁孔51の出口端56には、面取りが形成されている。これにより、出口端56における流体の流れはスムーズになる。そのため、出口端56における流体の圧力損失が低減される。特にこの例では、出口端56の面取りは、R面取りである。そのため、出口端56の面取りがC面取りである場合と比較して、出口端56における流体の流れが一層スムーズになり、出口端56における流体の圧力損失は一層小さくなる。
【0043】
さらに、出口端56に面取りが形成されることにより、第1弁孔51における出口端56直前の流路断面積を小さくすることができる。そのため、第1弁孔51の流路断面積の拡大変化率、すなわち、第1弁孔51の拡がり角度を小さくすることができる。したがって、第1弁孔51における流体の渦の発生を一層低減でき、第1弁孔51の流体の圧力損失を一層低減できる。つまり、第1弁孔51では、第1弁孔51の流路断面積が連続的に拡大し、且つ、出口端56に面取りが形成されることにより、流体の圧力損失を低減できる。したがって、第1弁孔51を通過する流体の流量、すなわち、ドレンの流量を十分に確保することができる。
【0044】
また、この例では、第1弁孔51の流路断面積の拡大変化率は、軸X1方向における第1弁孔51の全長にわたって一定である。そのため、第1弁孔51の流路断面積の拡大変化率が出口端56に向かって徐々に増大する場合と比較して、流体の渦は、さらに発生し難い。したがって、第1弁孔51における流体の圧力損失を一層低減できる。
【0045】
また、第1弁孔51の入口端55には、面取りが形成されていない。このため、入口端55における流路断面積を小さくし、閉弁時の第1弁4に作用する、第1弁孔51を閉じる方向の力を低減できる。すなわち、第1弁4の閉弁時には、貯留室22の流体の圧力と第1弁孔51の流体の圧力との差によって、第1弁4には第1弁孔51を閉じる方向の力が作用するが、この力を低減できる。そのため、フロート弁である第1弁4に生じる浮力が小さい場合でも、第1弁4を適切に上昇させ、第1弁孔51を適切に開くことができる。したがって、例えば、貯留室22にドレンが溜まり始めた初期において第1弁孔51を開き、第1弁孔51から速やかにドレンを排出できる。
【0046】
一方、第2弁座8でも、第2弁孔81の流路断面積は、図6に示すように、入口端85から出口端86に向かって連続的に拡大しており、第2弁孔81には流路断面積の急拡大部92が形成されない。そのため、第2弁孔81における流体の圧力損失を低減できる。
【0047】
加えて、第2弁孔81の出口端86には、面取りが形成されているため、出口端86における流体の流れはスムーズになる。したがって、出口端86における流体の圧力損失が低減される。特にこの例では、出口端86の面取りは、R面取りである。そのため、出口端86の面取りがC面取りである場合と比較して、出口端86における流体の流れが一層スムーズになり、出口端86における流体の圧力損失は一層小さくなる。
【0048】
さらに、出口端86に面取りが形成されることにより、第2弁孔81における出口端86直前の流路断面積を小さくすることができる。そのため、第2弁孔81の流路断面積の拡大変化率を小さくすることができる。したがって、第2弁孔81における流体の圧力損失を一層低減できる。したがって、第2弁孔81を通過する流体の流量、すなわち、空気及びドレンの流量を十分に確保することができる。
【0049】
さらに、第2弁座8では、入口端85にも面取りが形成されている。そのため、入口端85における流体の流れがスムーズになり、入口端85における流体の圧力損失を小さくできる。特に入口端85の面取りは、R面取りである。そのため、入口端85の面取りがC面取りである場合と比較して、入口端85における流体の流れを一層スムーズにできる。したがって、入口端85における流体の圧力損失を小さくすることができ、第2弁孔81における流体の圧力損失を一層低減できる。
【0050】
以上のように、第1弁座5(弁座)は、第1弁4(弁)が着座及び離座する弁座であって、第1弁孔51(弁孔)が貫通形成された弁座本体50を備え、第1弁孔51の流路断面積は、第1弁孔51の入口端55から第1弁孔51の出口端56に向かって連続的に拡大し、出口端56は、面取りが形成されている。
【0051】
この構成によれば、第1弁孔51の流路断面積は、入口端55から出口端56に向かって連続的に拡大するので、第1弁孔51における流体の圧力損失を小さくすることができる。加えて、出口端56には、面取りが形成され、出口端56における流体の流れはスムーズになり、出口端56における流体の圧力損失も小さくなる。したがって、第1弁孔51を通過する流体の流量を確保することができる。
【0052】
また、第2弁座8(弁座)は、第2弁7(弁)が着座及び離座する弁座であって、第2弁孔81(弁孔)が貫通形成された弁座本体80を備え、第2弁孔81の流路断面積は、第2弁孔81の入口端85から第2弁孔81の出口端86に向かって連続的に拡大し、出口端86は、面取りが形成されている。
【0053】
この構成によれば、第2弁孔81の流路断面積は、第2弁孔81の入口端85から第2弁孔81の出口端86に向かって連続的に拡大するので、第2弁孔81における流体の圧力損失を小さくすることができる。加えて、出口端86には、面取りが形成されるため、出口端86における流体の流れはスムーズになり、出口端86における流体の圧力損失も小さくなる。したがって、第2弁孔81を通過する流体の流量を確保することができる。
【0054】
また、入口端85は、面取りが形成されている。
【0055】
この構成によれば、入口端85における流体の流れがスムーズになり、入口端85の流体の圧力損失を小さくできる。したがって、第2弁孔81における流体の圧力損失を一層低減できる。
【0056】
また、出口端56、入口端85及び出口端86の各々の面取りは、R面取りである。
【0057】
この構成によれば、出口端56、入口端85及び出口端86の各々における流体の流れが一層スムーズになり、第1弁孔51及び第2弁孔81の流体の圧力損失をさらに低減できる。
【0058】
また、ドレントラップ1(弁装置)は、液体及び気体が流入する流入口21と、流入口21に連通し、流入口21から流入した液体を貯留する貯留室22と、貯留室22に設けられた第1弁孔51と、貯留室22に収容され、貯留室22における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、第1弁孔51を開閉する第1弁4(フロート弁)と、貯留室22のうち第1弁孔51よりも上方箇所に設けられた第2弁孔81と、貯留室22に設けられ、温度に応じて変形することによって第2弁孔81を開閉する第2弁7(温度応動弁)と、第2弁座8(弁座)とを備え、第2弁座8の弁孔によって第2弁孔81が形成されている。
【0059】
この構成によれば、ドレントラップ1において、第2弁孔81を通過する液体及び気体の流量を確保できる。
【0060】
また、ドレントラップ1(弁装置)は、液体及び気体が流入する流入口21と、流入口21に連通し、流入口21から流入した液体を貯留する貯留室22と、貯留室22に設けられた第1弁座5(弁座)と、貯留室22に収容され、貯留室22における液体の貯留位に応じて上昇下降することによって、第1弁孔51を開閉する第1弁4(フロート弁)とを備え、入口端55は、面取りが形成されていない。
【0061】
この構成によれば、入口端55には面取りが形成されていないため、閉弁時の第1弁4のうち第1弁孔51を塞ぐ部分の面積を小さくできる。そのため、閉弁時の第1弁4に作用する、第1弁孔51を閉じる方向の力を低減できる。これにより、フロート弁である第1弁4に生じる浮力が小さい場合でも、第1弁4を適切に上昇させ、第1弁孔51を適切に開くことができる。したがって、貯留室22に流体が溜まり始めた初期において第1弁孔51を開き、第1弁孔51から速やかに流体を排出できる。
【0062】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0063】
例えば、ドレントラップ1は、蒸気の排出を阻止するスチームトラップに限定されない。ドレントラップ1は、空気の排出を阻止するエアトラップ又はガスの排出を阻止するガストラップ等であってもよい。本開示の技術は、ドレントラップ1に限らず、流体として気体又は液体の流通を制御する任意の弁装置に適用することができる。弁装置は、第1弁機構3及び第2弁機構6のうち第1弁機構3のみを備えてもよいし、第2弁機構6のみを備えてもよい。また、第2弁機構6は熱応動式に限定されない。第2弁機構6は、例えば、弁体71がディスク状に形成された、いわゆるディスク式の弁機構であってもよい。
【0064】
第1弁孔51のうち入口端55から出口端56に向かう部分が連続的に拡大していれば、第1弁孔51は、出口端56に向かって流路断面積が連続的に拡大しない部分を有してもよい。すなわち、第1弁孔51の流路断面積は、第1弁孔51のうち少なくとも入口端55から出口端56に向かう部分において連続的に拡大していればよい。入口端55には、面取りが形成されてもよい。出口端56には、R面取り代わってC面取りが形成されてもよい。
【0065】
第2弁孔81のうち入口端85から出口端86に向かう部分が連続的に拡大していれば、出口端86に向かって流路断面積が連続的に拡大しない部分を有してもよい。すなわち、第2弁孔81の流路断面積は、第2弁孔81のうち少なくとも入口端85から出口端86に向かう部分において連続的に拡大していればよい。入口端85には、R面取り代わってC面取りが形成されてもよい。入口端85には、面取りが形成されなくてもよい。出口端86には、R面取り代わってC面取りが形成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ドレントラップ(弁装置)
21 流入口
22 貯留室
4 第1弁(弁、フロート弁)
5 第1弁座(弁座)
50 弁座本体
51 第1弁孔(弁孔)
55 入口端
56 出口端
7 第2弁(温度応動弁)
8 第2弁座(弁座)
80 弁座本体
81 第2弁孔(弁孔)
85 入口端
86 出口端

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9